JP2003116382A - パパイヤの栽培方法 - Google Patents

パパイヤの栽培方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 施設内で均一な高品質の果実生産を安定かつ
確実に行うことができ、しかも同一個体で収穫の長期化
が可能となるパパイヤの栽培方法を提供する。 【解決手段】 わい性種パパイヤを茎頂点培養して得た
雌株苗または両性株苗を、透水性、通気性の良好な培地
で、個体ごとに地床から隔離して施設内で養液栽培を行
い、パパイヤを栽培する。このようにして生育した樹体
が施設の屋根に達した時点で、主幹基部から切り戻し、
新たに発生した側枝を引き続き同一培地により施設内で
養液栽培することで、新たに苗を植え替えるのに比べて
再収穫時期を早めることができるとともに、同一個体か
ら長期にわたる収穫が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハウス等の施設内
でパパイヤを栽培する技術に関し、さらに詳しくは、パ
パイヤ苗からの生育を効果的に管理、制御して、安定し
た高品質果実の生産を可能とし、さらには、従来の栽培
方法に比べて長期間にわたって同一個体からの継続収穫
が可能なパパイヤの栽培方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パパイヤは、草本性の果樹で、開花、結
実、果実肥大を同時に繰り返しながら伸長し、生長点は
常に上へと伸びる性質を備えている。
【0003】従来のパパイヤ栽培は、実生栽培が主体
で、露地またはハウス等の施設で栽培されているが、い
ずれも地床で栽培されている。地床栽培では、生育が過
度に旺盛で葉も樹体も大きくなりやすいが、草本性であ
るため茎、葉ともに軟弱で、強風や潮に弱い。特に沖縄
地方では、毎年襲来する台風と潮風害による壊滅的な打
撃を避けるために、施設栽培が普及している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の栽培方法におけ
る実生栽培では、個体差や品質にばらつきがあり、播種
した苗が雄株であればそれを除去しなければならなかっ
た。
【0005】またパパイヤは水分要求度が高い反面、土
壌水分過剰に弱く、過湿状態になると落葉、着果不良、
果実肥大不良、着色不良、果実品質劣化等の被害を受け
やすくなる。また、24〜48時間の停滞水で根腐れを
起こすという報告もある(「沖縄県農林水産部果樹栽培
要領」、(平成11年3月発行))。従来の地床栽培で
は、土壌の過湿を避けるために、水分要求を満たす十分
な灌水ができない傾向にあった。
【0006】さらに、施設内での地床栽培では、生育が
旺盛で1〜2年で樹体が屋根部へ到達し栽培の継続が困
難になるめ、樹体が屋根に到達した時点で新たに苗を植
え替えて更新しなければならなかった。従来から施設栽
培においては、苗を傾斜植え(苗を約45度傾けて植え
る)したり誘引する等して、低位置から結実させる等の
工夫もされているが、それでも更新サイクルは一般的に
は約2年ときわめて短い。
【0007】また地床栽培の場合、土壌伝染性の根腐れ
病(Phytophthora spp.)が蔓延しやすく、土壌消毒なし
には同一地床では連作できないという問題もあった。現
在、土壌消毒には主としてクロールピクリンが使用され
ているが、2003年にその使用が全廃されるため、根
腐れ病の確実な対策がなくなる心配もある。
【0008】そこで本発明の目的は、個体差や品質にば
らつきがなく、土壌水分過剰による被害や根腐れ病の蔓
延を防止でき、パパイヤ苗からの生育を施設内で効果的
に管理、制御でき、これによって高品質果実の安定な生
産が可能となるパパイヤの栽培方法を提供することであ
る。
【0009】さらに本発明の目的は、新たに苗を植え替
えて更新する方法に比べて、更新サイクルを延長するこ
とができ、同一個体からの長期間にわたる継続収穫が可
能なパパイヤの栽培方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明のパパイ
ヤの栽培方法は、わい性種パパイヤを茎頂点培養して得
た雌株苗または両性株苗を、個体ごとに地床から隔離し
た透水性および/または通気性の良好な培地により施設
内で養液栽培を行うことを特徴とするものである。
【0011】透水性の良好な培地として、サンゴダスト
を混入した培地、通気性の良好な培地として、金網ベン
チ、多数の透孔を有するポットまたは金網ポットに入れ
た培地が好ましく使用できる。
【0012】かような本発明によれば、茎頂点培養で均
一に培養された雌株苗または両性株苗のみを植え付けら
れるため、実生栽培のように雄株苗を除去する必要がな
く、さらには個体差や品質にばらつきを少なくすること
ができる。またわい性種の品種を用いることにより、施
設栽培に際して従来のように苗の段階から傾斜植えや誘
引作業等を行う必要がなくなる。
【0013】また、透水性や通気性の良好な培地により
養液栽培を行うことにより、土壌水分過剰となることな
く十分な灌水ができるとともに、養水分の効果的な管
理、制御が可能となり、その結果、安定した高品質のパ
パイヤの生産ができる。
【0014】また、個体ごとに地床から隔離した培地を
使用するため、土壌伝染性の根腐れ病等の蔓延を少なく
でき、また罹病した場合には個体ごとに太陽熱殺菌など
による殺菌消毒が可能であるため、被害を最小限に抑え
ることができる。
【0015】さらに本発明によるパパイヤの栽培方法
は、上記のようにして生育した樹体が施設の屋根に達し
た時点で、主幹基部から切り戻し、新たに発生した側枝
を引き続き同一培地により施設内で養液培養することを
特徴とするものである。
【0016】このように切り戻しにより発生した側枝か
ら再度果実を収穫するため、同一個体から長期間にわた
る継続収穫が可能となるとともに、再度収穫できるよう
になる期間は、新たに苗を植え替える場合よりも側枝か
ら収穫する場合の方がより短期間で収穫できるようにな
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明で使用するパパイヤ品種と
しては、例えばワンダーフレアのようなわい性種のもの
を使用する。また、茎頂点培養の方法は、従来から慣用
されている種々の方法があり、本発明では、茎頂点培養
により得られたわい性種パパイヤの雌株苗または両性株
苗であれば、培養方法等に特に制限なくいかなる苗でも
使用できる。
【0018】養液栽培の方法も、従来から慣用されてい
る種々の方法を採用することができる。例えば、窒素、
リン酸、カリ、さらに必要に応じて各種微量要素を所定
量含有する水溶液を灌水チューブを用いて培地中に圧
送、注入する方法が挙げられる。養液の施与量は、苗あ
るいは樹体の生育ステージに合わせて適宜変化させるこ
とにより、養水分の適切な管理、制御を行うことができ
る。
【0019】本発明で使用する培地は、透水性または通
気性、あるいはその両方の性質が良好な培地であればい
かなる培地でも使用でき、個体ごとに地床から隔離され
た培地とする。
【0020】特に培地の透水性を良好にするためには、
サンゴを微粉砕したサンゴダストを赤土や堆きゅう肥と
ともに配合することが好ましい。図1は、サンゴダスト
を混入した培地をポット1に入れて、1個体ごとに養液
培養している状態の実施例を図示している。ポット1と
しては、例えば市販のポリエチレン等のプラスチック製
の園芸用ポットでよく、一例を挙げれば、上部が開口し
底部へ向かってやや先細とされた逆円錐形で、高さ約5
0cm、上面直径約60cm、底面直径約45cm、容
量約80Lであり、底面に直径約3cmの透孔2が8個
等間隔で形成されている。また、ポット底面には地面と
直接触れないように、またフォークリフト等で運搬し易
いように、突起部3が数個形成されている。図1に図示
されているように、かようなポット内の培地に潅水チュ
ーブ4先端を挿入し、チューブから培地内に所定量の養
液を圧送、注入することによって養液栽培がなされる。
【0021】また、培地の通気性を促進させるために、
多数の透孔を有するポットを使用することができる。図
2は、通気性を促進させたポットの実施例を示してお
り、図1に示したポット1の側面に多数の透孔2を形成
したものである。
【0022】図3は、金網ベンチに培地を載置して培地
の通気性を高めた実施例を示している。金網ベンチ5の
素材は、例えば、鉄筋を碁盤目状に組み合わせて溶接加
工し、耐食性をもたせるために表面を亜鉛メッキ処理し
た市販品が好ましく使用できる。この素材で幅約60c
m、長さ約100cm、側壁高さ約20cmのユニット
を作成し、複数個のユニットを連結配列して施設の長さ
に応じた長尺の金網ベンチとする。また、かような金網
ベンチ5の内面には、網目の細かいポリエチレン製ネッ
ト6を内張りすることにより、金網ベンチ5の間隙から
培地土壌の粒子がこぼれ落ちないようにする。また金網
ベンチ底面5aをブロック等のベース7の上に載せて、
地面と直接接しないようにしている。この金網ベンチ5
内に培地を入れて、個体ごとに約100Lの容量となる
ように培地を凸状に盛り上げ、盛り上げた培地ごとに潅
水チューブ4から養液を圧送、注入することによって、
個体ごとに隔離した養液栽培を行うことができる。
【0023】図4は、培地の通気性を高めるために使用
できる金網ポットの実施例を示すものである。この金網
ポット8は、エキスパンドメタル8aを用いて高さ約5
0cm、直径約60cm、容量約100Lの円筒形のポ
ット形状に成形してあり、底面には地面と直接触れない
ように、またフォークリフト等で運搬し易いように、突
起部9が数個形成されている。かような金網ポット8に
おいても、内面に網目の細かいポリエチレン製ネット
(図示せず)を内張りすることにより、エキスパンドメ
タル8aの間隙から培地土壌の粒子がこぼれ落ちないよ
うにする。
【0024】本発明の栽培方法により、わい性種パパイ
ヤを茎頂点培養して得た雌株苗または両性株苗を透水
性、通気性の良好な培地で個体ごとに養液栽培を行うこ
とにより、一般的には苗の定植から約9ヶ月後から果実
の収穫ができるようになり、約2年間にわたって収穫が
可能となる。この収穫期間の終期には、わい性種のパパ
イヤでも樹体がハウスの屋根に到達してしまい、生育に
支障をきたす。
【0025】本発明においては、樹体がハウスの屋根に
到達した時点で、図5に示すように、樹体の主幹10の
土壌面から約30〜40cm程度上方の基部から切り戻
しを行うことにより側枝11を発生させ、この側枝を同
一培地により引き続き施設内で養液培養を行うことによ
り、側枝から再度果実を収穫するのである。側枝から再
度収穫できるようになるのは一般的には切り戻し後約6
ヶ月程度であり、新たな苗を植え替え後に収穫できるよ
うになる約9ヶ月に比べて収穫開始時期を短縮させるこ
とができる。さらに、最初の苗からの収穫期間と切り戻
し後の側枝からの収穫期間とを合わせれば、同一個体か
ら4〜5年の継続収穫が可能となる。
【0026】
【実施例】茎頂点培養されたわい性種パパイヤ(品種:
ワンダーフレア)の雌株苗を、沖縄県石垣市の園芸農家
のハウスにて、以下の方法および条件で栽培した。なお
茎頂点培養は、「園芸学会雑誌」第69巻、別冊1、7
6頁“パパイヤ再分化系の確立”(平成12年3月発
行)に記載の方法により行った。
【0027】(1)培地 下記4種類の培地について試験した。 ・サンゴダスト・ポット区(本発明区) 容積比で赤土4:堆きゅう肥2:サンゴダスト2を混合
した培地により、図1に示したポットを使用して栽培し
た。 ・金網ベンチ区(本発明区) 容積比で赤土7:堆きゅう肥3を混合した培地により、
図3に示したような金網ベンチ上で、個体ごとに凸状に
培地を盛り上げて栽培した。 ・ポット区(対照区) 容積比で赤土5:堆きゅう肥3:ピートモス2を混合し
た培地により、図1に示したポットを使用して栽培し
た。
【0028】(2)栽培方法 上記の各培地に雌株苗を定植し、マイクロチューブを用
いる自動潅水により養液栽培を行った。養液は、原水1
tに対して水溶性肥料(窒素19%:リン酸19%:カ
リ19%、商品名「ポリフィード」、ハイファ・ケミカ
ルズ・リミテッド(Haifa Chemicals Ltd.)社製)250
gと水溶性肥料(窒素6%、リン酸0%、カリ9%、商
品名「OK−5号」、大塚化学(株)製)10gを溶解
した水溶液を用いた。
【0029】養液の施与量は、生育ステージに合わせて
下記の通り変化させた。 定植〜2ヶ月間:1日1回、1株当たり500cc 2ヶ月〜3ヶ月:1日1回、1株当たり1000cc 3ヶ月〜6ヶ月:1日2回、1株当たり合計2000c
c 6ヶ月〜9ヶ月:1日3回、1株当たり合計4500c
c 9ヶ月以降: 1日4回、1株当たり合計6000c
c。
【0030】(3)主幹切り戻し 上記の培地および栽培方法を用いて、1997年6月下
旬に苗の定植を行った。本発明によるサンゴダスト・ポ
ット区および金網ベンチ区での栽培は、定植9ヶ月後の
1998年4月から2000年5月まで約2年間収穫可
能であった。2000年5月には樹体がハウスの屋根に
達した。この時点で、サンゴダスト・ポット区および金
網ベンチ区の一部について、樹体主幹の土壌表面から約
30cm上方の基部から図4に図示したように切り戻し
を行い、切り戻しを行わなかった樹体については、新た
な苗に植え替えた。
【0031】新たな苗に植え替えたものについては、最
初の苗と同様に、植え替え9ヶ月後の2001年2月か
ら収穫できるようになったのに対して、切り戻しを行っ
たものは主幹基部から側枝が発生し、切り戻し6ヶ月後
の2000年11月には側枝から再度収穫ができるよう
になった。この側枝からの収穫は現在(2001年10
月)も引き続き行っており、主幹の収穫期間と同様に少
なくとも約2年間は収穫可能と予想される。すなわち、
新たな苗に植え替える場合と比べて、切り戻しを行った
場合には、収穫開始時期を約3ヶ月早めることができる
とともに、同一個体から少なくとも4年間の継続収穫が
可能となる。
【0032】なお、本発明によるサンゴダスト・ポット
区および金網ベンチ区で栽培した樹体の場合、切り戻し
による側枝再生率は97%となったのに対して、従来の
ハウス内地床栽培の場合には切り戻しによる側枝再生率
は40%程度に過ぎなかった。この原因は、サンゴダス
ト・ポット区および金網ベンチ区では土壌水分を自由に
制御、管理できるのに対して、地床栽培では土壌水分過
多により再生根が十分に発達し得ないためと考えられ
る。
【0033】(4)培地物性 上記の各培地の物性として、透水速度(cc/sec.cm2
およびガス交換面積率(cm2 /cm3 )を測定した結果、
および過湿による障害(落葉、着果不良、果実肥大不
良、着色不良、果実品質劣化)の有無を表1に示す。
【0034】透水速度およびガス交換面積率は以下の方
法により測定した。 [透水速度]直径5cm、容積200mLの円筒容器を
土壌表面に置き、この円筒容器内に水200mLを静か
に流し込み、全量が土壌表面から完全に土壌内に浸透す
るまでの時間を測定して、透水速度(cc/sec.cm2 )を
算出した。 [ガス交換面積率]培地体積当たりの空気接触面積を表
す。ポットの場合にはポット上部の土壌表面の空気に触
れている面積、金網ベンチの場合には底面を除いた土壌
上部表面と土壌側面の空気に触れている面積を、空気接
触面積とする。
【0035】なお、比較のために、従来から行われてい
る施設内地床栽培法(パパイヤ品種は、わい性種ではな
いサンライズを用い、種から発芽させた実生苗から栽培
する方法)で使用されている施設内の地床の物性につい
ても、地床区として表1に併せて示す。
【0036】
【表1】 培地物性
【0037】表1からわかるように、透水速度はポット
区と地床区で極めて低かった。このことは、特に従来の
地床区では、停滞水や土壌水分過剰による根腐れを起こ
しやすい状況を示す。一方、サンゴダスト・ポット区の
透水速度は、地床区の約9倍、ポット区の約4倍と極め
て高かった。またガス交換面積率は、金網ベンチ区で極
めて多かった。このことは、ガス交換の促進により土壌
中の酸素濃度が高く維持されることを示す。
【0038】過湿による障害は、ポット区と地床区でみ
られたが、サンゴダスト・ポット区と金網ベンチ区では
みられなかった。このことから、サンゴダスト・ポット
区では透水性の高さが、金網ベンチ区では通気性の高さ
が、過湿を防いだといえる。すなわち本発明によるサン
ゴダスト・ポット区と金網ベンチ区においては、過湿に
よる被害を受けることなく十分な潅水が可能であること
を示している。
【0039】(5)生育特性 上記の培地および栽培方法を用いて、2000年6月8
日に苗を定植して栽培試験を行った。苗の定植後約11
ヶ月(果実の収穫開始後約2ヶ月)時点である2001
年4月25日に、各試験区で栽培した樹体について、生
葉数、着果数、生存率を調べた結果を表2に示す。
【0040】なお、比較のために、従来の施設内地床栽
培(品種:サンライズ、種から発芽させた実生苗使用)
の結果も、地床区として表2に併せて示す。従来の施設
内地床栽培は、植床に堆きゅう肥を元肥として一株当た
り10〜15kg施肥し、植幅を約90cm、15〜3
0cm上げ床とする。施肥方法は、植え付け1ヶ月目に
第1回目の施肥、その後は生育状態に応じて加減して施
す。肥料は、マンゴー専用1号(窒素5%、リン酸7
%、カリ5%)や有機706号(窒素7%、リン酸10
%、カリ6%)の有機質肥料を使用する。
【0041】
【表2】 生育特性
【0042】表2からわかるように、本発明によるサン
ゴダスト・ポット区と金網ベンチ区においては、生葉
数、着果数ともにポット区、地床区に比べて大幅に増加
した。また地床区の生存率は68%と低く、果実収量の
低下原因となっていた。
【0043】(6)果実特性 上記の生育特性の試験後に栽培を継続し、2001年6
月21日〜7月24日までの期間内で収穫適期を迎えた
果実を収穫した。収穫適期とは、果実の外観が、夏場は
黄色に2〜3分着色した頃、冬場は黄色に5〜6分着色
した頃を指す。各試験区で収穫された果実について、糖
度(Brix %)、果実重(g)、果長(mm)、果径(mm)、
収穫量(kg/10a/年)、食味を調べた結果の平均値を表
3に示す。
【0044】食味は実際に食した際の官能試験により下
記の基準で評価した。 ◎:肉質と甘味等を評価して“良” ○:肉質と甘味等を評価して“可” △:肉質と甘味等を評価して“不可” なお、比較のために、従来の施設内地床栽培(品種:ワ
ンダーフレアおよびサンライズ、種から発芽させた実生
苗使用。栽培方法は上記(5)参照)による果実特性に
ついても、地床区として表3に併せて示す。
【0045】
【表3】 果実特性
【0046】表3からわかるように、本発明によるサン
ゴダスト・ポット区と金網ベンチ区においては、ポット
区、地床区に比べて糖度が高まり、果実が大きくなり、
収穫量が増加するとともに、食味も良くなった。
【0047】(7)栽培密度 従来の施設内地床栽培(品種:サンライズ)において
は、水分吸収が旺盛になり、樹冠の広がりを抑制できな
いため、栽培密度は0.5本/坪(160本/10a)
以上には増やせなかった。これに対して本発明によるサ
ンゴダスト・ポット区および金網ベンチ区の栽培では、
養水分吸収を抑制できることにより、樹冠の広がりが抑
制される結果、栽培密度を0.8本/坪(240本/1
0a)まで増加させることが可能となった。
【0048】
【発明の効果】以上の説明からわかるように本発明にれ
ば、個体差や品質にばらつきがなく、土壌水分過剰によ
る被害や根腐れ病の蔓延を防止でき、パパイヤ苗からの
生育を施設内で効果的に管理、制御することができる。
その結果、高品質果実の安定な生産が可能となる。
【0049】さらに、切り戻しにより発生した側枝から
再収穫することにより、新たに苗を植え替えて再収穫す
る方法に比べて、再収穫開始時期を早めることができる
とともに、同一個体からの長期間にわたる継続収穫がで
き、更新サイクルを延長することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透水性良好な培地によるポットを用いた養液栽
培の説明図。
【図2】通気性良好な多数の透孔を有するポットの実施
例を示す斜視図。
【図3】通気性良好な金網ベンチを用いた養液栽培の説
明図。
【図4】通気性良好な金網ポットの実施例を示す斜視
図。
【図5】主幹を切り戻して側枝を発生させた状態の説明
図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 わい性種パパイヤを茎頂点培養して得た
    雌株苗または両性株苗を、個体ごとに地床から隔離した
    透水性および/または通気性の良好な培地により施設内
    で養液栽培を行うことを特徴とするパパイヤの栽培方
    法。
  2. 【請求項2】 透水性の良好な培地として、サンゴダス
    トを混入した培地を用い、通気性の良好な培地として金
    網ベンチ、多数の透孔を有するポットまたは金網ポット
    に入れた培地を用いることを特徴とする請求項1に記載
    のパパイヤの栽培方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の栽培方法で生育した樹
    体が施設の屋根に達した時点で、主幹基部から切り戻
    し、新たに発生した側枝を引き続き同一培地により施設
    内で養液栽培することを特徴とするパパイヤの栽培方
    法。
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