JP2003113736A - 失火検出装置 - Google Patents

失火検出装置

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JP2003113736A
JP2003113736A JP2001308146A JP2001308146A JP2003113736A JP 2003113736 A JP2003113736 A JP 2003113736A JP 2001308146 A JP2001308146 A JP 2001308146A JP 2001308146 A JP2001308146 A JP 2001308146A JP 2003113736 A JP2003113736 A JP 2003113736A
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Toshihiro Aono
俊宏 青野
Takaomi Nishigaito
貴臣 西垣戸
Yuzo Kadomukai
裕三 門向
Eisaku Fukuchi
栄作 福地
Yutaka Takaku
豊 高久
Masami Nagano
正美 永野
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な演算で失火検出を実現する。 【解決手段】各気筒の爆発のたびに、クランク角センサ
からのパルス信号の間隔からクランク軸の回転状態を表
わすパラメータを計算し、この回転状態を表わすパラメ
ータの時系列の特定周波数成分を抽出し、この特定周波
数成分を特定周波数の周期の長さ分乃至はその整数倍過
去に遡った分記憶しておき、記憶された特定周波数成分
から特定周波数の強度を算出し、一方で記憶された特定
周波数成分が所与の大小関係を満たすときの爆発気筒を
探索し、特定周波数成分が所与の大小関係を満たすとき
の爆発気筒と特定周波数の強度とから失火している気筒
を特定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多気筒内燃機関に
おいて失火の有無と失火している気筒の判定を精度よく
行なう装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の失火を検出するため、特開平
9−42041号公報には、内燃機関の所定クランク角
位置を検出するクランク角位置検出手段と、前記内燃機
関の気筒識別信号を発生する気筒識別手段と、前記クラ
ンク角位置検出手段の出力からクランク角位置区間毎の
周期比偏差および、角加速度偏差を演算する演算手段
と、前記演算手段による演算結果に基づき失火の判定を
行う失火判定手段とを備え、内燃機関の低回転域では前
記角加速度偏差に基づいて行い、高回転域では前記周期
比偏差に基づいて行うことで失火を検出する装置が記載
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平9−42041
号公報に記載の装置では、内燃機関の低回転域では前記
角加速度偏差に基づいて、高回転域では前記周期比偏差
に基づいて失火を検出している。内燃機関の回転速度に
よって異なるパラメータに基づき失火を検出するという
方法は、アルゴリズムが複雑になり、また、切り替え回
転速度をまたぐ際の挙動が不安定になる可能性があると
いう課題を有している。
【0004】本発明は、簡単なアルゴリズムで、安定し
て失火を検出できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、内燃機関のクランク軸がある角度を回
転するとパルス信号を出力するクランク角センサと、爆
発している気筒を示す信号を出力する気筒判別手段と、
クランク角センサからのクランク角情報と気筒判別手段
からの爆発気筒情報に基づき、内燃機関の各気筒での失
火を検出する信号処理装置からなる失火検出装置におい
て、各気筒の爆発のたびに、クランク角センサからのパ
ルス信号の間隔からクランク軸の回転状態を表わすパラ
メータを計算し、この回転状態を表わすパラメータの時
系列の特定周波数成分を抽出し、この特定周波数成分を
特定周波数の周期の長さ分乃至はその整数倍過去に遡っ
た分を記憶しておき、記憶された特定周波数成分から特
定周波数の強度を算出し、一方で記憶された特定周波数
成分が所与の大小関係を満たすときの爆発気筒を探索
し、特定周波数の強度と、特定周波数成分が所与の大小
関係を満たすときの爆発気筒から失火している気筒を特
定する。このように、特定周波数成分の強度と、大小関
係の比較により、簡単なアルゴリズムで、安定して失火
を検出できるようになる。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例における
構成を示す図である。
【0007】本実施例は、クランク軸2に取り付けられ
たリングギア3の歯が接近するたびにパルス信号を出力
するクランク角センサ1と、爆発行程にある気筒を判別
する気筒判別手段4と、クランク角センサ1からのパル
ス信号と、爆発気筒情報に基づき失火している気筒を特
定する信号処理装置7により構成される。
【0008】まず、クランク角センサ1について説明す
る。
【0009】内燃機関の気筒5で爆発が起こると、その
往復運動はクランク軸2の回転運動に変換される。クラ
ンク軸2には図2のようなリングギア3が取り付けられ
ており、その歯がクランク角センサ1に近接するとクラ
ンク角センサ1はパルスを発生する。図2は主に6気筒
の内燃機関に用いられるリングギア3である。6気筒の
内燃機関では、6つの気筒5がそれぞれ1回ずつ爆発す
る間に、クランク軸2は2回転する。リングギア3に
は、各気筒5での爆発によるクランク軸2の回転を検出
するのに都合がいいように、図2(a)のように通過時間
計測開始用の歯と終了用の歯が各気筒用についているも
のや、図2(b)のように開始と終了を1つの歯でおこな
うように3つの歯がついているものがある。一般に、
(a)はクランク軸2が低速で回転しているときの失火検
出に適しているが、高速で回転しているときの失火検出
には適さない。(b)は全回転速度域における失火検出に
適している。1つの内燃機関のクランク軸2のリングギ
ア3に、(a)のような歯が設けられていて、低速の運転
時は90°の区間を用い、高速時は120°の区間を用いる
ことで回転域によらずに高精度な検出を狙うこともあ
る。また、全域を120°の区間を用いることで、リング
ギア3に取りつける歯の数を減らしても失火検出の精度
はそれほど低下しない。
【0010】一般に、クランク軸2の回転変動は、失火
によりクランク軸を回転させるトルクが低下することに
よる回転変動と、気筒内の爆発に同期した回転変動の重
ね合わせであり、爆発に同期した回転変動の周期はクラ
ンク軸が(720°/気筒数)回転するのに要する時間
に一致するので、リングギアに取り付ける歯の間隔を
(720°/気筒数)とすることにより、気筒内の爆発
に同期した回転変動が平滑化される。これによって、リ
ングギアに取り付けられた歯間の通過時間は失火による
トルク変動を効率的に反映するようになり、失火検出の
精度は上がる。
【0011】次に、気筒判別手段4について述べる。ク
ランク軸2は全ての気筒5が爆発する間に2回転するの
で、クランク軸2が同じ角度のときに爆発している2つ
の気筒5のうちのどちらが爆発しているのかをクランク
軸2の角度だけを用いて特定することはできない。一
方、カム軸6は、気筒5への空気の流れを制御する給排
気バルブを駆動するために用いられるもので、クランク
軸2が2回転する間に1回転する。したがって、カム軸
6の角度を検出することで、どの気筒が爆発行程にある
のかがわかる。気筒判別手段4は、第1気筒が爆発行程
にあるときにパルスを発生し、それ以外の気筒について
は、クランク軸2に取り付けられたクランク角センサ1
が発するパルスを気筒判別手段4からのパルスを基準に
数えることで、気筒を判別する。
【0012】次に、信号処理装置について図3を用いて
説明する。
【0013】信号処理装置7には、各気筒の爆発に同期
して、クランク角センサ1からのパルス信号が送られ、
この間隔から、クランク軸2の回転角速度、回転角加速
度、回転エネルギー等のうちのいずれかのパラメータが
計算される(回転状態パラメータ算出71)。これらどの
パラメータを周波数解析しても失火検出がうまく行くこ
とがわかっている。このように、クランク角センサ1の
パルス信号の間隔に基づき算出される、パルス信号間
隔、クランク軸2の回転角速度、回転角加速度、回転エ
ネルギー等のクランク角の回転状態を表すパラメータを
回転状態パラメータと呼ぶ。
【0014】各気筒の爆発のたびに回転状態パラメータ
が算出されると、この回転状態パラメータの時系列信号
から特定周波数成分が抽出される(特定周波数成分抽出
フィルタ72)。ある時系列信号の特定周波数成分と
は、特定周波数の3角関数と時系列信号の畳み込みを取
った値である。具体的な抽出方法については後述する。
6気筒内燃機関で、点火順序が第6気筒―第5気筒―第
4気筒―第3気筒―第2気筒―第1気筒であるとき、こ
の内燃機関のクランク軸2が2回転する時間を周期とす
る特定周波数成分(これを0.5次の周波数成分という。
一般に、クランク軸2が1/n回転する時間を周期とす
る周波数成分をn次の周波数成分という)を抽出する
と、例えば図4のようになる。ここで注意すべき事は、
特定周波数成分は一定の値を保つのではなく、脈動する
ということである。この脈動の周期は、特定周波数の周
期と一致する。この図4に示される0.5次の周波数成分
の場合には、周期はクランク軸2が2回転する時間、す
なわち、爆発が6回起こる時間である。こうして求めら
れた特定周波数成分の脈動の状態,具体的には、脈動の
強度(振幅)とピークの位置によって失火の検知が行わ
れる。抽出された特定周波数成分は、特定周波数の周期
乃至はその整数倍の長さ分記憶される(特定周波数成分
メモリ73)。「特定周波数の周期乃至はその整数倍の
長さ分」とは、先述の6気筒内燃機関における0.5次の
周波数成分の場合は、周波数の周期はクランク軸2が2
回転する時間、すなわち爆発が6回起こる時間で、これ
の整数倍の長さとは、爆発が6N(Nは整数)回起こる時
間を指している。
【0015】図4のように脈動する特定周波数成分の強
度としては、例えば特定周波数成分メモリ73に記憶さ
れている特定周波数成分の最大値が考えられる。また
は、最小値でも、脈動の振幅でも、特定周波数成分メモ
リ73に記憶されている特定周波数成分の2乗和でもよ
い。失火のパターン(失火している気筒数、ならびに複
数気筒失火の場合は失火気筒の間隔)は特定周波数の強
度と相関があるので、失火パターンごとの特定周波数強
度の分布を事前にマップ(失火パターンマップ76)に
しておく。特定周波数成分メモリ73から特定周波数の
強度を算出し(周波数強度算出74)、この値に基づき
失火パターンマップ76を参照して失火パターンを特定
する。
【0016】失火している気筒と、特定周波数成分が最
大値になるときに爆発している気筒は、回転数に応じた
特定の間隔をもつ。あるいは、失火している気筒と、特
定周波数成分が最小値になるときに爆発している気筒
は、回転数に応じた特定の間隔をもつとも言える。さら
に別の見方をすると、特定周波数成分が負から正に転じ
たときに爆発している気筒と失火気筒は一定の間隔をも
つ。これらを一般化していうと、失火している気筒と、
特定周波数成分が所与の大小関係を満たすときに爆発し
ている気筒は、回転数に応じた特定の間隔をもつ。従っ
て、失火している気筒と特定周波数成分が所与の大小関
係を満たす気筒の関係を事前に調べておき(失火気筒―
爆発気筒対応関係77)、特定周波数成分メモリ73に
記憶されている特定周波数成分の大きさを比較して(大
小比較75)、所与の大小関係を満たすところを探索
し、このときに爆発している気筒を特定し、失火気筒―
爆発気筒対応関77を用いて爆発気筒と対応する失火気
筒を特定する。この失火気筒―爆発気筒対応関係77と
は、図5のような表でも良いし、爆発気筒の何気筒前か
ということが記憶されていても良い。
【0017】このように、クランク軸2の回転状態パラ
メータの特定周波数成分を抽出し、この特定周波数の周
期乃至はその整数倍の長さ分の値から、周波数の強度
と、所定の大小関係を満たすときに爆発している気筒を
特定し、これにもとづいて失火気筒は特定される。
【0018】次に、特に複数の周波数成分を抽出して、
失火検出の性能の向上を実現する第2の実施例を説明す
る。
【0019】失火と特定周波数成分の強度の関係を図6
に示す。この図から、以下のことがわかる。
【0020】(a)の失火がないときは、どの周波数成分
強度も小さい。
【0021】(b)の1気筒失火、(c)の連続2気筒失火、
(d)の1気筒飛ばして2気筒失火のときは、0.5次成分強
度が大きくなる。0.5次成分強度の大きさに着目する
と、 (c)>(b)≒(d)>(e)≒(a) … (数1) である。≒は、内燃機関の運転条件によって成分強度が
ばらつき、そのレンジが重なり合って、区分できないこ
とを示す。
【0022】(e)の対向する2気筒のときは、1次成分強
度が他の場合より大きい。
【0023】0.5次成分強度と1次成分強度だけを用いる
と、(b)と(d)の区別が明確に出来ないが、1.5次成分強
度に着目すると、 (d)>(b) … (数2) である。
【0024】これをまとめると、図7(a)のような、0.5
次成分強度、1次成分強度、1.5次成分強度を軸とする空
間に、失火パターンの周波数強度は分布することがわか
る。これを上から見たのが図7(b)である。この周波数
成分強度マップを用いれば、失火パターンの判別は可能
となる。また、失火パターンの領域を仕切る閾値は、回
転数の関数として与えられる。
【0025】したがって、図8に示すように、クランク
角センサ1からのパルス信号に基づき回転状態パラメー
タを算出し(回転状態パラメータ算出71)、この回転
状態パラメータの複数の周波数成分が計算され(特定周
波数成分抽出フィルタ72)、周波数成分は特定周波数
の周期乃至はその整数倍の長さの分記憶され(特定周波
数メモリ73)周波数ごとに周波数強度の計算が行われ
る(周波数強度算出74)。この複数周波数の強度に基
づき、失火パターンマップ76を参照し、失火パターン
は特定される。また、失火パターンに応じて、ある周波
数の周波数成分が所与の大小関係を満たすときに爆発し
ている気筒を探索し(大小比較75)、失火気筒―爆発
気筒対応関係77から失火気筒を特定する。
【0026】次に、特定周波数成分抽出フィルタの構成
並びに動作に特徴がある実施例について説明する。特定
周波数成分抽出フィルタ72には、図3にしめすよう
な、特定周波数の周期乃至はその整数倍の時間に爆発す
る気筒の数の回転状態パラメータメモリ721、これと
同数のフィルタ係数メモリ723、積和演算器722が
備えられている。図3は6気筒内燃機関の0.5次成分の
2周期分の回転状態パラメータメモリ721を備えてい
る。
【0027】本装置が備えられた内燃機関では、気筒内
の爆発が1回起こるたびに、クランク角センサ1から信
号処理装置7にパルスが送られ、信号処理装置7は回転
状態パラメータを計算する。回転状態パラメータが計算
されると、この値は回転状態パラメータメモリ721の
現在値用メモリ(図においては一番左)に書きこまれ
る。これに先だって、回転状態パラメータメモリ721
内にすでに書きこまれている過去の回転状態パラメータ
が、1時点前の回転状態パラメータメモリ、すなわち、
図で言ったら1つ右のメモリに書きこまれ、古い回転状
態パラメータが捨てられ、新しいものが残されるように
する。
【0028】フィルタ係数メモリ723には、特定周波
数成分を求めるためのフィルタの係数が書き込まれてい
る。例えば、クランク軸2の2回転に同期した成分(0.5
次成分)を求めるのであれば、フィルタ係数の一例は、 1、1、0、−1、−1、0 あるいは、これが整数回繰り返されたものでも良いし、
これに加減速の補正が入ったものでも良い。
【0029】クランク軸2の1回転に同期した成分(1
次成分)を求めるのであれば、フィルタ係数の一例は、
1、−1、0あるいは、これが整数回繰り返されたもの
でも良いし、これに加減速の補正が入ったものでも良
い。
【0030】クランク軸2の2/3回転に同期した成分(1.
5次成分)を求めるのであれば、フィルタ係数の一例は、 1、−1 あるいは、これが整数回繰り返されたものでも良いし、
これに加減速の補正が入ったものでも良い。
【0031】注意すべき事は、特定周波数成分を抽出す
るフィルタの長さの最短値は、その周期に爆発する気筒
の数であるということである。複数の周波数の成分を抽
出したい場合、抽出したい周波数ごとに異なる長さのフ
ィルタを用意しても良いし、適当に整数倍してどの周波
数に対しても同じ長さにしても良い。
【0032】図9は回転状態パラメータメモリ721と
フィルタ係数メモリ723に書き込まれた値の推移を説
明した図である。この場合のフィルタ係数は、6気筒内
燃機関の0.5次成分を抽出するものである。爆発の順序
は、第6気筒→第5気筒→第4気筒→第3気筒→第2気筒→
第1気筒の順である。フィルタ係数は常に一定である
が、回転状態パラメータは、爆発が起こるたびに新しい
値がメモリに記憶され、古いものは一つずつシフトす
る。その結果、この図9では、回転状態パラメータが毎
回左にシフトしている。
【0033】回転状態パラメータが新しく書きこまれる
と、回転状態パラメータとフィルタ係数の積和演算が行
われ、結果が特定周波数成分メモリ73の現在値に書き
こまれる。この際に、古い値が捨てられ新しいほうから
特定周波数の周期乃至はその整数倍の特定周波数成分が
記憶されるように、1次点前の特定周波数成分は図3で
言ったら1つ右のメモリにシフトされる。
【0034】特定周波数成分メモリに記憶されている値
の例を図4に示す。これは先述の6気筒内燃機関で0.5
次の周波数成分を計算し、保存したものである。このよ
うに周波数成分が脈動するのは、図9のように爆発して
いる気筒によって回転状態パラメータとフィルタ係数の
位相が異なるため、積和演算の結果が変化するからであ
る。
【0035】このようにして、特定周波数の周期乃至は
その整数倍の最新の特定周波数成分が算出、保存され
る。
【0036】また、特定周波数成分抽出フィルタ72
は、複数の周波数を用いる場合には、周波数の種類の数
だけ用意される。但し、回転状態パラメータメモリ72
1は共有されても良い。
【0037】このように、特定周波数成分抽出フィルタ
72を、積和演算で実現することにより、失火検出が少
ない計算量で実現できる。
【0038】これまでいくつかの実施例を上げて述べて
きたように、クランク軸2の回転状態パラメータの特定
周波数成分を抽出し、この脈動周期分の値から、周波数
の強度と、所定の大小関係を満たすときに爆発している
気筒を特定し、これにもとづいて失火気筒は特定され
る。こうすることで、簡単な計算で安定して失火気筒が
検出できるようになる。
【0039】ここまでは失火検出装置について述べてき
たが、検出された失火は運転者に対して表示されるか、
あるいは運行中は記録されて、修理の際に読み出される
かすることで意味をなす。
【0040】そこで、失火状態を表示する実施例につい
て述べる。
【0041】本失火状態表示装置は、図1の実線で示さ
れた失火検出装置に加えて、気筒ごとの失火回数と内燃
機関における爆発回数を数えるカウンタ8と、気筒ごと
の失火回数と爆発回数の比から失火のレベルを判定する
部分9と、判定された警報レベルを表示する部分10と
からなる。失火の影響は、未燃ガスが内燃機関の外部に
漏れてしまうというレベルと、未燃ガスの影響で排気ガ
スの浄化を行なう触媒が劣化してしまうというレベルが
有り、失火の頻度が低ければ前者のレベルにとどまり、
失火の頻度が高いと後者のレベルに達してしまう。従っ
て、失火状態を表示する手段10では、失火している気
筒と、その失火のレベルを表示する。
【0042】また、失火の状況を表示する代わりに、失
火の履歴を記録しておいて、修理の際にこの情報を読み
出せれば、いつから失火しているのかということもわか
り、これにより失火の対策をするだけではなく、失火に
よってダメージを受けるかもしれない排気触媒の交換の
必要性も判断することが出来る。このための失火状態記
録装置は、図1の実線で示された失火検出装置に加え
て、気筒ごとの失火回数と内燃機関における爆発回数を
数えるカウンタ8と、気筒ごとの失火回数と爆発回数の
比から失火のレベルを判定する部分9と、時計11また
は走行距離計12の少なくともどちらか一つと、失火記
録メモリ13からなる。失火記録メモリ13には、どの
時間に、あるいはどの走行距離のときに、どの気筒が、
どの失火レベルであったか、ということが記録される。
【0043】このように、失火検出装置にもとづき失火
表示装置や失火記録装置を構成することで、修理に有益
な情報を提供することが出来る。
【0044】
【発明の効果】上記のような構成の失火検出装置によ
り、内燃機関の気筒内の失火が検出でき、失火の発生し
ている気筒も特定できる。失火が検出されたら運転中止
や修理を実施することで、燃費の悪い状態での走行を避
けることができ、また、未燃ガスを排出も回避でき、環
境への悪影響も防げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかわる失火検出装置の構
成図である。
【図2】リングギアの形状の一例である。
【図3】失火検出装置における信号処理手段の構成の一
例である。
【図4】特定周波数成分の爆発気筒による脈動の様子で
ある。
【図5】特定周波数成分が最大になるときに爆発してい
る気筒と失火している気筒の関係の一例である。
【図6】失火パターンと周波数成分と強度の関係の一例
である。
【図7】失火パターンごとの周波数成分の分布領域を示
す図である。
【図8】失火検出装置における信号処理手段の構成の一
例である。
【図9】爆発気筒による回転状態パラメータの変化を示
す図である。
【符号の説明】
1…クランク角センサ、2…クランク軸、3…リングギ
ア、4…気筒判別手段、5…気筒、6…カム軸、7…信
号処理装置、8…カウンタ、9…失火レベル判定部、1
0…失火状態表示部、11…時計、12…走行距離計、
13…失火記録メモリ、71…回転状態パラメータ算
出、72…特定周波数成分抽出フィルタ、73…特定周
波数成分メモリ、74…周波数強度算出、75…大小比
較、76…失火パターンマップ、77…失火気筒―爆発
気筒対応関係、721…回転状態パラメータメモリ、7
22…積和演算、723…フィルタ係数メモリ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 門向 裕三 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 福地 栄作 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 (72)発明者 高久 豊 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 (72)発明者 永野 正美 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 Fターム(参考) 3G084 DA27 EA01 EA08 EA11 EB22 EC02 EC05 FA24 FA38 FA39

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関のクランク軸の回転にともなって
    パルス信号を出力するクランク角センサと、爆発してい
    る気筒を示す信号を出力する気筒判別手段と、クランク
    角センサからのクランク角情報と気筒判別手段からの爆
    発気筒情報に基づき、内燃機関の各気筒での失火を検出
    する信号処理装置からなる失火検出装置において、 各気筒の爆発のたびに、クランク角センサからのパルス
    信号からクランク軸の回転状態を表わすパラメータを計
    算し、 この回転状態を表わすパラメータの時系列の特定周波数
    成分を抽出し、 この特定周波数成分を特定周波数の周期の長さ分乃至は
    その整数倍過去に遡った分記憶しておき、 記憶された特定周波数成分から特定周波数の強度を算出
    し、一方で記憶された特定周波数成分が所与の大小関係
    を満たすときの爆発気筒を探索し、 特定周波数成分が所与の大小関係を満たすときの爆発気
    筒と特定周波数の強度とから失火している気筒を特定す
    る失火検出装置。
  2. 【請求項2】内燃機関のクランク軸の回転にともなって
    パルス信号を出力するクランク角センサと、爆発してい
    る気筒を示す信号を出力する気筒判別手段と、クランク
    角センサからのクランク角情報と気筒判別手段からの爆
    発気筒情報に基づき、内燃機関の各気筒での失火を検出
    する信号処理装置からなる失火検出装置において、 各気筒の爆発のたびに、クランク角センサからのパルス
    信号からクランク軸の回転状態を表わすパラメータを計
    算し、 この回転状態を表わすパラメータの特定周波数成分とし
    て、特定の周期と特定の波形を持つフィルタと、この回
    転状態を表わすパラメータの時系列との畳み込みを算出
    し、 この特定周波数成分を特定周波数の周期の長さ分乃至は
    その整数倍過去に遡った分記憶しておき、 記憶された特定周波数成分から特定周波数の強度とし
    て、記憶された特定周波数成分の2乗和、最大値、最小
    値のいずれかを算出し、 一方で記憶された特定周波数成分が最大値或いは最小値
    となるときの爆発気筒を探索し、 特定周波数成分が最大値或いは最小値となるときの爆発
    気筒と特定周波数の強度とから失火している気筒を特定
    する失火検出装置。
  3. 【請求項3】内燃機関のクランク軸の回転にともなって
    パルス信号を出力するクランク角センサと、爆発してい
    る気筒を示す信号を出力する気筒判別手段と、クランク
    角センサからのクランク角情報と気筒判別手段からの爆
    発気筒情報に基づき、内燃機関の各気筒での失火を検出
    する信号処理装置からなる失火検出装置において、 信号処理装置は、 クランク角センサからのパルス信号に基づいてクランク
    軸の回転状態を表わすパラメータを算出する部分と、 特定の周期と特定の波形を持つフィルタと、この回転状
    態を表わすパラメータの時系列との畳み込みを算出する
    ことで特定周波数成分を抽出する部分と、 特定周波数の周期乃至はその整数倍過去にさかのぼった
    分の特定周波数成分を記憶しておくメモリと、 記憶された特定周波数成分の2乗和、最大値、最小値の
    いずれかを算出することで特定周波数の強度を算出する
    部分と、 特定周波数成分が最大値あるいは最小値となるときに爆
    発していた気筒を探索する部分と、 特定周波数の強度と特定周波数成分が最大値あるいは最
    小値となるときの爆発気筒から、失火している気筒を特
    定する手段から構成されることを特徴とする失火検出装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載の失火検
    出装置において、クランク角センサは、クランク軸に
    (720°/内燃機関の気筒数)の間隔で取り付けられ
    たリングギアの歯が通過するたびに信号を発生すること
    を特徴とする失火検出装置。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかに記載の失火検
    出装置において、特定周波数成分とは、特定周波数のサ
    イン関数ないしはコサイン関数と、回転状態を表わすパ
    ラメータの時系列との畳み込みを算出した値であること
    を特徴とする失火検出装置。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載の失火検
    出装置において、特定周波数成分を抽出する部分と、特
    定周波数成分を記憶しておくメモリと、周波数強度を算
    出する部分は、複数の周波数に対応して備えられ、複数
    の周波数成分の強度の組み合わせと、いずれかの周波数
    成分が所与の大小関係になる際の爆発気筒に基づいて失
    火気筒を特定する失火検出装置。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6のいずれかに記載の失火検
    出装置において、特定周波数成分を抽出する部分は、特
    定周波数の周期乃至はその整数倍過去に遡った分のクラ
    ンク軸の回転状態を表わすパラメータを記憶するメモリ
    と、これと1対1に対応するフィルタリングのための係数
    を記憶するメモリと、回転状態を表わすパラメータとフ
    ィルタリング係数の積和演算をする部分とから構成され
    ることを特徴とする失火検出装置。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7のいずれかに記載の失火検
    出装置と、失火検出装置より出力される気筒ごとの失火
    の回数とクランク角センサからの信号に基づき気筒内の
    爆発回数をカウントするカウンタと、気筒ごとの失火の
    回数と爆発の回数との比から失火レベルを判定する部分
    と、気筒ごとの失火のレベルを表示する部分とからなる
    失火表示装置。
  9. 【請求項9】請求項1乃至7のいずれかに記載の失火検
    出装置と、失火検出装置より出力される気筒ごとの失火
    の回数とクランク角センサからの信号に基づき気筒内の
    爆発回数をカウントするカウンタと、気筒ごとの失火の
    回数と爆発の回数との比から失火レベルを判定する部分
    と、時計或いは走行距離計の少なくともどちらか一つ
    と、どの時間に、あるいはどの走行距離のときに、どの
    気筒が、どの失火レベルであったか、ということを書き
    込む失火記録メモリからなる失火記録装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010024977A (ja) * 2008-07-18 2010-02-04 Hitachi Ltd 内燃機関の診断制御装置
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