JP2003110271A - 海洋観測ブイ制御盤の冷却装置。 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】海洋観測ブイ制御盤が外気温度の上昇による熱
衝撃で、異常を起こすことを防止するための冷却装置を
提供する。 【解決手段】海洋観測ブイ制御盤１１を固定するプレー
ト２とケース１に、多数のフィン３１，３２を設けて、
熱伝達面積を増大させた熱交換用部材３を固定し、その
一端を海水に浸漬されることにより、海水の冷い温度が
熱交換用部材３によって伝達され、上部の制御盤雰囲気
温度を冷却させるもので海面上部に露出する熱交換用部
材３部分から吸熱と放熱を防止するために巻かれた断熱
材による円筒状カバーで構成されてなる冷却装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】 本発明は冷却装置に関し、
特に海洋観測ブイに取付けられている電気系部品の温度
上昇による異常を抑制する海洋観測ブイ制御盤の冷却装
置に係る技術分野に属する。

【０００２】

【従来技術】 海洋に浮かべている観測用ブイの制御盤
は、ウキ上方部の大気中に設置され、空冷される構造と
なっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】 真夏のように外気温
が高温状態になる場合、制御盤内部は放熱性が悪いた
め、急激に温度上昇し、６０℃以上の高温下にさらさ
れ、制御盤内部の電気系統に異常を起こす可能性があっ
た。

【０００４】本発明は、このような問題を考慮してなさ
れたもので、熱を放熱させる冷却性能を付加した海洋観
測ブイ制御盤の冷却装置を提供することを課題とする。

【０００５】

【問題を解決するための手段】 前述の課題を解決する
ため、本発明に係る海洋観測ブイ制御盤の冷却装置は、
次のような手段を採用する。

【０００６】すなわち、海洋観測ブイ内部の制御盤に直
結された熱変換用部材を備え、熱変換部材の一部を海水
又は水に浸漬させることにより、制御盤周囲の雰囲気温
度の上昇を、熱交換用部材からの放熱と、海水又は水に
よる冷却作用により、抑制することを特徴とする。

【０００７】この手段では、熱変換用部材を海水又は水
に浸漬することで、熱交換用部材に伝わった制御盤内の
温度が、海水又は水によって冷却される。

【０００８】また熱変換用部材構造において、長尺円筒
状で内外部に多数のフィンを備えたことを特徴とする。

【０００９】この手段では、熱交換用部材の構造が多数
のフィンを備えていることで、伝熱面積が広くなり、材
質を熱伝導性の良いアルミニューム等を使用することに
より冷却速度を早くできる。

【００１０】さらに、海面上部側の熱交換用部材を覆う
カバーにおいて、断熱効果材を有することを特徴とす
る。

【００１１】この手段では、海面上部側の熱交換部用材
部分を断熱材で覆うことにより外気温の影響を防止する
事で、安定した冷却を行うことができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】 以下、本発明に係る海洋観測ブ
イ制御盤の冷却装置の実施の形態を図面に基づいて説明
する。

【００１３】図１〜図４は、本発明に係る海洋観測ブイ
制御盤の冷却装置の実態を示すものである。

【００１４】この実施の形態における海洋観測ブイ制御
盤の冷却装置１００は制御盤１１を保護している制御盤
ケース１と、制御盤ケース１を保持するプレート２と、
熱交換用部材３と、断熱材による円筒状カバー４とで主
に構成されている。

【００１５】制御盤ケース１とプレート２（アルミニュ
ーム製等、熱伝導性が高い材料が望ましい）は締結材
（例えばボルト・ナット）で固定され、プレート２の中
心部にあけられた孔２ａから制御盤ケース１内部に熱交
換用部材３の上端３ａが挿入されて溶接等にて固定され
ている。また、熱交換用部材３上方部の露出部分には、
外気温度からの吸熱や外気への放熱を防止するために、
断熱材（発泡スチロール等）による円筒状カバー４を設
けている。

【００１６】熱交換用部材３は、伝熱面積を多くするた
めに、図３（ａ）に示すように、外側部に外側フィン３
１（この実例の場合４６枚）を、内側部にも内側フィン
３２（この実例の場合２８枚）を設け、図３（ｂ）に示
すように長尺円筒形状にしている。また、熱交換用部材
３は、アルミニュームなどの熱伝導性の高い材料で、耐
食性のための表面処理コーティングが施されている。

【００１７】上記海洋観測ブイ制御盤の冷却装置１００
を使用した海洋観測ブイ２００は、ウキ部５により海面
上または水面に浮いており、ウキ部５上部に支柱７で固
定されたプレート２上に設けられた制御盤ケース１内に
は制御盤１１が格納されており、その制御盤１１は観測
機器６の制御を行う。

【００１８】

【実施例】上記実施の形態で得られた実験結果を以下に
示す。試作した海洋観測ブイ制御盤の冷却装置１００の
仕様は、 熱交換部材の長さ寸法Ｌ：２０００ｍｍ 実験比較仕様 Ａ：実施の形態の熱交換用部材３（アル
ミ円筒フィン付パイプ）の場合の寸法（外径×内径：φ
９２×φ４５ｍｍ） Ｂ：通常のアルミ円筒パイプａの
場合の寸法（外径×内径：φ１０２×φ９２ｍｍ） 実験方法：図５の様に、水（２０℃）ｄが入った水槽ｅ
にアルミニュームの熱交換部材３とアルミニューム材円
筒パイプａを水１／３浸漬させた状態に立て、各々上部
の内部に９０℃の高温水を入れたガラス瓶ｂをセット
し、水面上に露出した部分を断熱部材ｆで覆い、ガラス
瓶ｂ内に熱電対ｃを挿入し冷却状態を経過時間毎に比較
測定した結果、

【表１】に示すように１０分後に１０℃、２０分後に１
５℃、３０分後に１７℃差の冷却効果が表れた。

【表１】 以上のように、熱交換用部材３が冷却効果において優れ
ていることが証明された。なお、従来例のような空冷の
場合は６０℃で一定であった。

【００１９】

【発明の効果】 以上のように、本発明に係る海洋観測
ブイ制御盤の冷却装置は、制御盤付近に直結され、海中
又は水中に浸漬させた熱変換用部材（アルミニューム
等）によって制御盤周囲の雰囲気温度の放熱と、海水又
は水による冷却作用を受けることによって、制御盤周囲
の雰囲気温度の上昇を抑制する冷却効果がある。また、
制御盤ケース、特にプレートにより制御盤雰囲気温度の
上昇を抑制することができる効果がある。

【００２０】さらに、熱交換用部材を内外多数のフィン
形状にすることによって、伝熱面積が増大し、冷却速度
が増大する効果がある。

【００２１】さらにまた、円筒状カバーを断熱材にする
ことにより、より効果的に冷却能力を上げることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る海洋観測ブイ制御盤の冷却装置
の実施形態における主要部の分解図である。

【図２】 本発明に係る海洋観測ブイ制御盤の冷却装置
の実施形態を示す使用図である。

【図３】 本発明に係る海洋観測ブイ制御盤の冷却装置
の実態形態における要部の形状説明図であり、（ａ）は
断面図、（ｂ）は正面図である。

【図４】 本発明に係る海洋観測ブイ制御盤の冷却装置
のテスト状態図。

【符号の説明】

１ 制御盤ケース ２ プレート ３ 熱交換用部材 ４ 円筒状カバー ５ ブイ ６ 観測機器 ７ 支柱 １１ 制御盤 ３１ 外側フィン ３２ 内側フィン １００ 海洋観測ブイ制御盤の冷却装置 ２００ 海洋観測ブイ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 海洋観測ブイの海面上部に取付けられた
   制御盤付近に直結し、海中又は水中まで伸びる熱変換用
   部材を設け、この熱交換用部材を通して制御盤周囲の雰
   囲気温度の放熱と、海水又は水による冷却作用を受ける
   ことによって制御盤周囲雰囲気温度の上昇を抑制するこ
   とを特徴とする海洋観測ブイ制御盤の冷却装置。
2. 【請求項２】 熱交換用部材を覆うカバーを設けたこと
   を特長とする請求項１記載の海洋観測ブイ制御盤の冷却
   装置。
3. 【請求項３】 制御盤雰囲気温度の上昇を制御すべく、
   制御盤ケースと熱交換用部材を固定するプレートを設け
   てなることを特徴とする、請求項１又は２記載の海洋観
   測ブイ制御盤の冷却装置。
4. 【請求項４】 熱変換用部材構造において、長尺円筒状
   で、少なくとも外周に多数のフィンを備えたことを特徴
   とする請求項１、２または３記載の海洋観測ブイ制御盤
   の冷却装置。
5. 【請求項５】 熱交換用部材がアルミニュームであるこ
   とを特徴とする請求項１、２、３または４記載の海洋観
   測ブイ制御盤の冷却装置。
6. 【請求項６】 海面上部側の熱交換用部材表面を覆う円
   筒状カバーにおいて、断熱材を有することを特徴とする
   請求項１、２、３、４または５記載の海洋観測ブイ制御
   盤の冷却装置。