JP2003108750A - 医療経営診断方法及び医療経営最適化方法並びにそのプログラム - Google Patents

医療経営診断方法及び医療経営最適化方法並びにそのプログラム

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JP2003108750A
JP2003108750A JP2001296356A JP2001296356A JP2003108750A JP 2003108750 A JP2003108750 A JP 2003108750A JP 2001296356 A JP2001296356 A JP 2001296356A JP 2001296356 A JP2001296356 A JP 2001296356A JP 2003108750 A JP2003108750 A JP 2003108750A
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variable
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optimization
hospitalization
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JP2001296356A
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Isao Hamamoto
勲 濱本
Akira Yamamoto
章 山本
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NIPPON KEIEI SD SUPPORT KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 病院の経営状況診断し、職員数、人件費、病
床数、加算条件などを変数とし、医業収入又は利益を最
適化する。 【解決手段】 医療機関の経営現状情報を取得し、前記
経営現状情報から当該医療機関の入院動態を予測し、前
記経営現状情報及び前記予測から当該医療機関の経営状
況を診断する医療経営診断方法を採用した。経営現状情
報の少なくとも一つの項目を変数とし、前記変数の可変
範囲を指定し、前記可変範囲内において変数を変化さ
せ、前記医療経営診断方法にて経営状況を求め、経営状
況が最適となる変数を探索する医療経営最適化方法を採
用した。探索する方法として、総当たり法又は遺伝的ア
ルゴリズムを用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療機関の経営を
診断する方法及び医療機関の経営を最適化する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】医療機関における経営環境は年々厳しさ
を増している。そのため、医療機関でも医業収入や利益
の最大化するために、人的及び物的資源の有効な活用を
図り、経営の効率化することが迫られている。
【0003】従来、医療コンサルタントが、医療機関の
規模(病床数や人員数)、外来患者数、入院患者数など
から、医療機関の経営状況を診断し、医療機関の医業収
入又は利益が改善されるように、病床配置の変更、病床
数の増減、人員の増減、人件費の増減など指示する医療
経営の最適化が行われてきた。
【0004】しかしながら、医業収入の基礎となる診療
報酬点数の算定方法は複雑であり、医療コンサルタント
の知識や経験に依るところも大きく、最適な又は最適に
近い経営最適化結果を得られない場合もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、医療
機関の経営状況の診断を行い、当該医療機関の病床数や
人員数、人件費などの可変しうる範囲の中から、医業収
入又は利益が最大となるように最適化することにより、
客観的に医療機関の経営最適化を行うことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
鋭意検討した結果、医療機関の経営現状情報を取得し、
前記経営現状情報から当該医療機関の入院動態を予測
し、前記経営現状情報及び前記予測結果から当該医療機
関の経営状況を診断する医療経営診断方法を採用した。
【0007】医療機関の経営現状情報には、各部門(例
えば、外来部門、一般病床部門、療養病床部門など)の
職員数、人件費、患者一人あたりの単価、原価率、病床
数などがある。これらの情報から、医療機関の医業収入
又は利益を各部門ごと又は全部門について求める。この
ような診断を行うと、どの部門に経営改善に余地がある
かなどが明確に示される。なお、職員には、看護婦(看
護士を含む。以下同じ。)、准看護婦(准看護士を含
む。以下同じ。)、看護補助、ヘルパーなどがある。
【0008】経営現状情報には診療報酬点数に関する各
種算定基準も含まれる。病床部門における病床稼働率及
び平均在院日数が算定の基準となることがある。かかる
場合、実際の病床稼働率及び平均在院日数を用いること
ができる。また、入院患者に関する統計的データからシ
ミュレーションにより入院動態を求め、該入院動態から
病床稼働率及び平均在院日数を求めることも可能であ
る。入院患者に関する統計的データには、入院日数の平
均及びモード、一日の新規入院患者数の平均及びモード
などがある。
【0009】更に、経営現状情報の少なくとも一つの項
目を変数に指定し、前記変数の可変範囲を指定し、前記
可変範囲内において変数を変化させ、前記医療経営診断
方法にて経営状況を求め、経営状況が最適となる変数を
探索する医療経営最適化方法を採用した。
【0010】前述した方法で診断された医療機関の現状
は、必ずしも満足なものであるとは限らない。経営現状
情報のうち少なくとも一つの項目を変数に指定する。更
に、当該変数の可変範囲を指定する。指定された可変範
囲内で変数を変化させ、変化させた変数ごとに前述の医
療経営診断方法による診断結果が求める。その中で、最
適である変数を求め、医療機関の経営最適化を行う。例
えば、可変変数をとして外来部門の看護婦人数に指定
し、外来部門の看護婦人数の可変範囲を指定し、該可変
範囲内で変数を変化させて、外来部門の医業収入を最大
にすることなどが考えられる。
【0011】本発明では、変数を探索する方法が総当た
り法である医療経営最適化方法を採用できる。可変範囲
内で可能なすべての変数の組み合わせに対して、経営診
断結果を求め、その中で最適な変数を最適化とする。す
べての変数の組み合わせについて経営診断結果を求める
ので、確実に最適解を得ることができる。
【0012】本発明では、変数を探索する方法が遺伝的
アルゴリズムである医療経営最適化方法も採用できる。
本発明での最適化問題は離散最適化問題であり、診療報
酬点数の算定方法が複雑であるため、目的関数である医
療収入や利益は非線形性を有し、最急勾配法などの従前
の最適化方法では最適解を見つけることが困難である。
また、可変させる変数が多く、及び/又は、可変範囲が
広い場合は、総当たり法では何通りもの組み合わせにつ
いて計算が必要となり、計算時間が増加し、現実的でな
い場合もある。
【0013】そこで、解の収束の速い遺伝的アルゴリズ
ム(以下、GAということがある。)による最適化方法
を採用した。GAでは、変数を遺伝子(ビット列)に置
き換え、ランダムなビット列からなる多数の遺伝子集団
を生命の進化のように適合度の高い遺伝子を自然淘汰さ
せることにより、解を得ることができる。得られた解は
最適解である保証はないが、最適解に近い解が得られ、
しかも計算時間を短縮することができる。
【0014】また、本発明に係る方法は、データの入出
力をネットワークを介して行うこともでき、本発明に係
る方法を実行できるプログラムも特許請求の範囲に含ま
れる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面を用い
て説明する。なお、本発明に係る方法は、コンピュータ
に実行させることより実施でき、使用されるコンピュー
タは特に限定されるものではない。
【0016】[経営現状情報の入力]まず、医療機関の
経営状況を診断するために、経営現状情報が入力され
る。図1は経営現状情報を入力する画面の例を示す。1
00は経営現状情報入力画面でディスプレイに表示さ
れ、マウスやキーボードなどの入力装置により経営現状
情報が入力され、保存ボタン108をクリックすること
によりコンピュータの記憶装置に記憶される。また、読
み込みボタン109をクリックすることにより記憶され
た経営現状情報入力を読み込むことができる。
【0017】101は医療機関名入力欄で、医療機関の
名称を入力する。102は職員配置入力欄である。典型
的な医療機関は、外来部門、一般病床、療養病床の3部
門に分かれている。それぞれの部門に医師、看護婦、准
看護婦、看護補助の各職員が配置されているので、各部
門の配置人員を入力する。103は人件費入力欄で、看
護婦、准看護士、看護補助の月収を入力する。なお、医
師の収入は、後述する原価率で考慮されるので入力を要
しない。
【0018】104は外来部門情報入力欄で、外来患者
数、単価、原価率、紹介率を入力する。外来患者数は1
日あたりの外来患者人数、単価は患者1人あたりの診療
報酬点数である。原価率は単価に対する原価の割合で、
この中には医師の収入に相当する部分もある。紹介率は
外来患者のうち他の医療機関からの紹介で来院した患者
の比率である。これらの値は、医療機関の実績に基づく
値である。105は病床部門情報入力欄で、全病床数、
一般病床数、療養病床数、各病床における単価、原価
率、老人比率が入力される。なお、医療機関が加算算定
基準となる地域支援病院や特定機能病院であれば、画面
上の□印をマウスでクリックすることによりレ印が付さ
れ、その旨が入力される。
【0019】106は入院動態情報入力欄で、各病床に
おける入院日数の平均及びモード(最頻値)、1日入院
人数(1日あたりの新規入院患者数)の平均及びモード
が入力される。これらの値は、医療機関の実績に基づく
値である。107は加算条件情報入力欄で、診療報酬点
数算定に必要な加算条件を指定する。例えば、入院時医
学管理加算を行う場合、画面上の□印をマウスでクリッ
クすることによりレ印が付され、その旨が入力される。
また、一般入院基本料を算定する場合、医療機関の規模
などにより算定基準が異なるので、画面上の▼印をマウ
スでクリックし可能な算定基準の一覧を表示し、該当す
る規模などを指定する。なお、図1に図示した加算条件
は典型的な医療機関で加算条件として考慮される可能性
の高いものを例示したものであり、もちろん、加算条件
はこれに限定されるものではなく、他の加算条件(特定
入院料や夜間勤務等看護加算など)を追加することがで
きる。
【0020】[経営状況の診断]前述のように、各部門
ごとに医師、看護婦、准看護婦、看護補助が配置されて
おり、その人員配置は予め固定されている。したがっ
て、本発明では、各部門について独立に医業収入及び利
益を計算し、当該医療機関の経営状況を診断する。
【0021】外来部門は、看護婦、准看護婦、看護補助
の人件費、外来患者数、外来診療単価、原価率から、収
支が計算される。すなわち、1日あたりの医業収入(診
療報酬点数)は、外来診療単価×外来患者数で表される
診療報酬点数である。また、1日あたりの利益は外来部
門の医業収入−(1日あたりの職員の人件費+外来診療
単価×外来患者数×外来原価率)で計算される。1月
(または30日)あたりの医業収入及び利益に換算した
方が結果を理解しやすい。なお、ここでいう職員は、看
護婦、准看護婦、看護補助である。
【0022】外来部門と同様に一般病床及び療養病床に
ついても、入力された経営現状情報を基にして医業収入
及び利益が計算される。しかし、外来部門と異なり、診
療報酬点数の算定には、平均在院日数と病床稼働率が必
要となる。もちろん、現状の実績をそのまま用いてもよ
いが、平均とモードから決定される確率分布関数を求
め、得られた確率分布関数に従って、期間を定めて入院
動態をシミュレーションし、平均在院日数と病床稼働率
を求める。
【0023】シミュレーションでは、1日ごとに新規入
院患者数を1日入院人数の平均及びモードに基づく確率
分布関数に従って求める。さらに、各新規入院患者に対
して、入院日数の平均及びモードに基づく確率分布関数
に従い入院日数を決める。入院日数が決まれば、患者の
退院日が決まる。そして、新規患者を患者リストに加え
る。患者リスト内の患者数がその日の入院患者数で、病
床稼働率も求めることができる。次に、この日に退院す
る患者を患者リストから削除する。なお、患者毎に番号
などの固有のラベルを付し、入院日、退院日、入院日数
などのデータを構造化しておけば、計算処理が容易とな
る。
【0024】同様に、定められた期間内にわたってシミ
ュレーションすることにより、入院動態がわかり、病床
稼働率と平均在院数を求めることができる。病床稼働率
は、シミュレーション期間中に病床稼働率の平均であ
り、平均在院日数は、シミュレーション期間中に発生し
た全患者の入院日数の平均である。
【0025】確率分布関数として、ポワソン分布や指数
分布などが好適に使用できる。平均とモードではなく、
平均と分散から確率分布関数を決定してもよい。要する
に、医療機関の現状を示す統計的な指標(平均、分散、
モードなど)から確率分布関数を決定し、該確率分布関
数から1日入院人数と入院人数を発生することができれ
ばよい。また、シミュレーションの日数は長期であるほ
ど好適であり、少なくとも30日以上であることが好ま
しい。本実施例では、150日としている。
【0026】シミュレーションにより平均在院日数及び
病床稼働率が求められると、入院基本料が決定できる。
よって、病床部門での医業収入は、病床単価×病床数×
病床稼働率×シミュレーション日数+入院基本料などの
各種加算点数となる。また、利益は、医業収入−(1日
あたりの職員の人件費+病床単価×病床数×病床稼働
率)×シミュレーション日数となる。外来部門と同様
に、職員とは、看護婦、准看護婦、看護補助のことであ
る。
【0027】図2は経営状況診断結果を出力した画面を
示す図である。200は、経営状況診断結果出力画面で
ある。201は算定可否表示画面で、入力された経営現
状情報から診療報酬点数の算定が可能か否かが表示され
る。診療報酬点数が算定できない場合は、その旨のメッ
セージが出力される。例えば、病床数に対して、看護
婦、准看護婦の人数が極端に少ない場合などが該当する
(法令により必要な人員数が定められているためであ
る)。
【0028】202は、収支表示画面である。外来、一
般病床、療養病床及び3部門の総合計について、医業収
入(診療報酬点数)及び利益が表示される。203は、
入院動態表示画面であり、シミュレーションされた入院
動態が表示されている。すなわち、210は一般病棟で
の入院動態グラフ、211は療養病床での入院動態グラ
フで、病床稼働率及び平均在院日数も表示される。この
ように、経営状況診断結果出力画面200によれば、医
療機関の経営状況が視覚的に理解されうる。なお、診療
報酬点数請求は月ごとに行われるので、シミュレーショ
ン期間に依らず、医業収入(診療報酬点数)及び利益
は、1月あたりに換算されて表示している。
【0029】[経営最適化]医療機関の経営状況につい
て診断方法について述べたが、診断結果は必ずしも満足
な結果ではなく、改善の余地があることが多い。次に、
医業収入又は利益が最大となるように最適化する方法に
ついて述べる。
【0030】最適化とは、変数とその変数で表される目
的関数を定めて、目的関数が最大となる変数の値を求め
ることである。本発明では、目的関数は1部門または全
部門の医業収入又は利益である。変数は、経営現状情報
入力で入力した項目の一部又は全部である。なお、変数
の可変範囲を指定するとことが好ましい。
【0031】例えば、一般病床数を増加すれば、入院患
者が増え、一般病床の医業収入は増加する。また、職員
の人件費を削減すれば、医業収入は一定であっても利益
は増加する。しかしながら、病床数の増加や人件費の削
減には限度があり、実現可能な範囲で最適化を行う必要
がある。また、職員の増減が困難であり、固定したい変
数もあることもある。したがって、最適化の前段階とし
て、変数の指定と可変範囲を設定する。
【0032】図3に可変範囲設定画面の一例を示す。1
20は可変範囲設定画面である。121は一般病床部門
に関する可変範囲設定欄である。例えば、病床数を10
から20まで1ステップで変化させたい場合、画面上の
病床数の横の□印をマウスでクリックすることによりレ
印が付され、下限に10、上限に20、ステップに1を
入力する。122は療養病床部門に関する可変範囲設定
欄、123は外来部門に関する可変範囲設定欄で、同様
に可変したい項目を指定し、可変範囲を設定することが
できる。
【0033】124は職員の人件費に関する可変範囲設
定欄である。例えば、看護婦の月収を25万円から30
万円へ1万円ステップで設定する場合、画面上の看護婦
の横の□印をマウスでクリックすることによりレ印が付
され、下限に25万、上限に30万、ステップに1万を
入力する。124は、加算条件等に関する可変範囲設定
欄で、加算条件を採用するか否かを指定する。なお、医
師の増減については、業務の特殊性と法定人員数が定め
られていることに鑑み最適化の変数の対象としていな
い。
【0034】125は加算条件等設定欄である。加算条
件を変数として指定するか否かを入力する。変数として
指定しなければ、現状のままで、加算する又は加算しな
いのいずれかの状態に固定される。
【0035】126は最適化条件設定欄である。目的関
数として、医業収入か利益かを指定し、外来、一般病
床、療養病床のいずれの部門か3部門の総合計かを指定
する。シミュレーション期間は最適化計算での入院動態
シミュレーションの期間である。経営現状診断と同様の
150日では計算時間が長くなるため、適当な期間を定
めるためであるが、30日以上であることが好ましい。
最適化方法として、総当たり法もしくは遺伝的アルゴリ
ズムを指定することができる。後述するが、遺伝的アル
ゴリズムを指定した場合は、パラメータ設定を更に設定
することもできる。このように設定した可変範囲は、保
存ボタン127をクリックすることによりコンピュータ
の記憶装置に記憶される。また、読み込みボタン128
をクリックすることにより記憶された可変範囲を読み込
むことができる。
【0036】総当たり法を指定したときの最適化方法に
ついて説明する。例えば、外来部門の看護婦数の可変範
囲を10人から20人まで2人のステップで(6通
り)、一般病床及び療養病床においても同様の可変範囲
とした場合を考える。この場合、可変範囲では、6×6
×6=216通りの組み合わせが考えられる。すべての
組み合わせについて、前述した診断方法により経営状況
を求め、最も目的関数が大きくなる変数を最適解とすれ
ばよい。このとき、病床数に対して看護婦数が少ないな
ど、診療報酬点数の算定が不可能な場合、目的関数を十
分小さい負の値とすれば、そのような条件が解となるこ
とはない。
【0037】可変させる変数が多く、及び/又は、可変
範囲が広い場合は、総当たり法では何通りもの組み合わ
せについて計算が必要となり、計算時間が増加し、現実
的でない場合もある。また、本発明における最適化は離
散最適化問題であり、診療報酬点数の算定方法が複雑で
あるため、目的関数である医療収入や利益は非線形性を
有し、最急勾配法などの従前の最適化方法では最適解を
見つけることが困難である。そこで、遺伝的アルゴリズ
ム(GA)により最適化を行うこととした。
【0038】図4に示す遺伝的アルゴリズム(GA)パ
ラメータ設定画面140を用いて、GAによる最適化方
法を説明する。GAでは、変数を0又は1のビット列
(すなわち2進数)である遺伝子で表現する。例えば、
看護婦数を10人から20人まで2ステップで可変する
場合、6通りであるから、ビット列000からビット列
101までの6段階で表現される。ビット列000が看
護婦10人に、ビット列101が看護婦20人に相当す
る。また、急性期病院加算のように加算する/しないと
いう加算条件に対しては、1ビットで表現できる。入院
基本料のように、加算しないと加算する場合でもいくつ
かの段階がある場合は、それに応じたビット数が必要と
なる。
【0039】このように変数をビット列に置き換えたも
のが遺伝子である。したがって、遺伝子は固定長のビッ
ト列であり、何ビット目がどの変数を表しているかが決
められていて、ビット列から変数の値を一意に復元でき
る必要がある。
【0040】GAは生命が進化し自然淘汰される過程を
再現し最適化する方法であるので、一定数の個体数が必
要である。これは、GAパラメータ設定画面140の遺
伝子数で指定する。指定された遺伝子数だけランダムな
ビット列を発生し、第1世代とする。ただし、変数の可
変範囲外となる遺伝子は排除される。前述の看護婦の例
では、ビット列111は24人に相当するので排除され
る。
【0041】次に、第1世代のすべて遺伝子について、
目的関数を求める。遺伝子から対応する変数に復元し、
個々の変数に対応する目的関数を求める。以下、GAの
説明では、目的関数を適合度(または適応度)と呼ぶ。
【0042】次世代に進化させるために、親を選択す
る。選択方法は、トーナメント方式で行う。この方法で
は、指定された個数の遺伝子をランダムに選択し、適合
度の最も高い遺伝子を親とする。個数の指定は、GAパ
ラメータ設定画面140のトーナメント方式での選択個
数で行う。
【0043】2つの親が選択されると、子(次世代の遺
伝子)を発生させる交叉が行われる。ただし、交叉確率
にしたがい、交叉せず親がそのまま子になることも許容
される。交叉確率の指定は、GAパラメータ設定画面1
40の交叉確率で行う。交叉の方法は1点交叉とする。
これは、ランダムなビット目で遺伝子が交叉して、子に
受け継がれる方法である。nビット目での交叉は、親1
の1〜nビットと親2の(n+1)ビット以降とが結合
されて子1となり、親2の1〜nビットと親1の(n+
1)ビット以降が結合されて子2となることを意味す
る。
【0044】更に、子に対して、所定の確率でビット反
転させ、突然変異を起こす。この確率は、GAパラメー
タ設定画面140の突然変異の確率で指定する。このよ
うにして、遺伝子数だけの子を発生させ、次世代の集団
とする。だだし、可変範囲外となる遺伝子は除外する
が、可変範囲内であるが算定が矛盾するなどの遺伝子
は、適合度を負の十分小さな値としておく。
【0045】このように、何世代にも渡り、選択及び交
叉の進化を繰り返すと、適合度の高い遺伝子が淘汰され
る。GAでは、最適解が得られたか否かの判断が困難で
あるため、指定した繰り返し世代数で計算を終わり、最
終世代の中で最も適合度の高い遺伝子を最適解とする。
【0046】GAでは世代数の指定が重要となる。すな
わち、指定した世代数が小さいと、適合度の改善の余地
があるにもかかわらず、最適化が終了してしまう。逆
に、指定した世代数が大きいため、実際には適合度があ
まり改善されていないにもかかわらず、何世代も計算を
繰り返すことにも考えられる。このような弊害をなくす
ため、世代数を大きめに指定し、新しい世代で適合度の
改善された量(医業収入や利益)が閾値より小さけれ
ば、適合度を改善する余地がないとして、最適化を終了
する。なお、閾値はGAパラメータ設定画面140の閾
値で設定する。
【0047】以上、GAによる最適化方法の一例を示し
たものである。したがって、交叉方法には、1点交叉の
他に2点交叉や一様交叉などがある。選択方法には、ト
ーナメント選択の他にルーレット選択などがある。いず
れの方法も採用することができる。
【0048】総当たり法またはGAによって得られた最
適化結果は、図5、図6に示す最適化結果出力画面によ
り表示される。図5において、221は最適化後の入院
動態を示している。もちろん、図2に示した入院動態グ
ラフを現状(最適化前)及び最適化後について表示して
もよい。222は、現状(最適化前)及び最適化後につ
いて、部門ごとの医業収入及び利益を示し、223は、
現状(最適化前)及び最適化後について、各種加算条件
の有無を示し、急性期病院加算、一般入院基本料算定、
看護補助加算をそれぞれ行うことを示している。一般入
院基本料のI群3は、I群入院基本料3という一般入院
基本料の算定基準、看護補助加算の4:1は、患者4人
に看護補助1人を充てる加算基準を意味する。図6にお
いて、240は現状(最適化前)及び最適化後につい
て、変数の変化を示したものである。だだし、変化させ
ていない項目も表示しているので、最適化後の経営現状
情報と見ることもでき、具体的にどの項目を改善すべき
かが明確に表示される。
【0049】以上述べた本発明に係る方法は、ネットワ
ークを介して、入出力を行い、実施可能である。例え
ば、端末コンピュータから実際に計算を行うコンピュー
タにネットワーク経由で接続し、端末コンピュータのブ
ラウザ画面に経営現状情報入力画面、可変範囲設定画
面、遺伝的アルゴリズムパラメータ設定画面などの入力
画面を表示し、所定の情報を入力し、経営状況診断結果
出力画面や最適化結果出力画面をブラウザ画面に表示す
る方法も可能である。この場合、データの暗号化などセ
キュリティ対策をすることが望ましい。また、ネットワ
ークの形態は特に限定されるものではない。
【0050】一般病床と療養病床を有する医療機関につ
いて説明したが、他の病床(結核病床など)を有する場
合にも、同様の診断及び最適化を行うことができる。法
令等の改正により診療報酬点数の算定基準や算定方法等
は変更されうるが、それらの変更に対しても容易に対応
が可能である。なお、本発明に係る方法を実現できるプ
ログラムも特許請求の範囲である。
【0051】
【発明の効果】以上の通り、本発明に係る方法では、客
観的にかつ迅速に、医療機関の経営状況を診断でき、医
業収入や利益を最適化する条件を見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】経営現状情報を入力する画面を示す図である。
【図2】経営状況診断結果を出力した画面を示す図であ
る。
【図3】可変範囲を設定する画面を示す図である。
【図4】遺伝的アルゴリズムのパラメータを設定する画
面を示す図である。
【図5】最適化結果を出力した画面を示す図である。
【図6】最適化結果を出力した画面を示す図である。
【符号の説明】
100 経営現状情報入力画面 120 可変範囲設定画面 140 遺伝的アルゴリズムパラメータ設定画面 200 経営状況診断結果出力画面 220 最適化結果出力画面 240 最適化結果出力画面

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 医療機関の経営現状情報を取得し、前記
    経営現状情報から当該医療機関の入院動態を予測し、前
    記経営現状情報及び前記予測結果から当該医療機関の経
    営状況を診断する医療経営診断方法。
  2. 【請求項2】 経営現状情報の少なくとも一つの項目を
    変数に指定し、前記変数の可変範囲を指定し、前記可変
    範囲内において変数を変化させ請求項1に記載の方法に
    て経営状況を求め、経営状況が最適となる変数を探索す
    る医療経営最適化方法。
  3. 【請求項3】 変数を探索する方法が総当たり法である
    請求項2に記載の医療経営最適化方法。
  4. 【請求項4】 変数を探索する方法が遺伝的アルゴリズ
    ムである請求項2に記載の医療経営最適化方法。
  5. 【請求項5】 ネットワークを利用する請求項1乃至4
    に記載された医療経営診断方法又は医療経営最適化方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の方法
    を実現するプログラム。
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