JP2003103356A - 鍛造材鋳造装置、及び鍛造材鋳造方法 - Google Patents

鍛造材鋳造装置、及び鍛造材鋳造方法

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JP2003103356A
JP2003103356A JP2001297391A JP2001297391A JP2003103356A JP 2003103356 A JP2003103356 A JP 2003103356A JP 2001297391 A JP2001297391 A JP 2001297391A JP 2001297391 A JP2001297391 A JP 2001297391A JP 2003103356 A JP2003103356 A JP 2003103356A
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die
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Masatoshi Watabe
正利 渡部
Daisuke Machino
大輔 町野
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Hoei Kogyo KK
Hoei Industries Co Ltd
Original Assignee
Hoei Kogyo KK
Hoei Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 鍛造処理により優れた機械的性質を付与され
る金属製品について、その製造工程等の見直しを行い、
より工程処理速度の向上を図り、又、自動化を図り、ス
ループットを向上させ、鍛造による金属製品の低コスト
化を図ること。 【解決手段】 鍛造材として成分調整しつつ溶解して溶
湯を得た後に、鋳造によってプリフォーム鍛造材6を得
て、そのプリフォーム鍛造材6を鍛造するという工程を
経て製造を行う。その際、鋳造に使用する金型85、8
6に傾倒可能なものを用いて、その金型を半回転させ、
注湯、凝固、離型が完了するものとし、離型時には、成
形したプリフォーム鍛造材6を金型85,86から外側
へ、概ね水平方向に押し出して、離型したプリフォーム
鍛造材6が、次に用意された搬送装置に載るようにす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、溶解した鍛造材
を鋳造してプリフォーム鍛造材を得る鍛造材鋳造装置、
及び鍛造材鋳造方法に関する。より詳細には、鍛造処理
を経て作製される金属製品、例えば、自動車等の車両用
足まわり部品、の製造工程において、溶解した鍛造材た
る溶湯を鋳造してプリフォーム鍛造材を得るときに、金
型内で溶湯を凝固させた後に、金型の型割面と平行にプ
リフォーム鍛造材を押し出して、離型させることを可能
とすることによって、プロセスの処理速度向上を図り、
又、プロセスの自動化を図るに好ましい形態とした鍛造
材鋳造装置、及び鍛造材鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 環境問題の1つである地球温暖化を防
止するために、自動車の燃料消費量低減が、世界的に強
く求められている。そして、そのためには、自動車をよ
り軽くする軽量化技術が最も重要であるといわれる。自
動車そのものを軽量化すれば動力源への負荷が減り、ガ
ソリンエンジンによらず何れの動力源であっても燃料使
用量を減らすことが可能となるからである。
【0003】 最もアプローチし易い自動車軽量化技術
の1つは、自動車を形作る材料を軽量化材料に変更する
ことである。既に、軽量化材料の代表例であるアルミニ
ウム合金材料が、エンジンシリンダヘッド、エンジンシ
リンダブロック等の自動車用部品に使用され、それら部
品が製造されている。
【0004】 しかし、これらの殆どは、アルミニウム
合金製の、所謂鋳造品として製造されている。鋳造品
は、作り易い利点があるが、機械的強度の向上には限界
があり、同じ自動車用部品であっても、安全性に強く関
わる部品、例えば足まわり部品等においては、腐食性が
小さく強度や伸びの特性に優れ欠陥の少ないことが要求
され、鋳造品の適用が困難であって、代わりに鍛造品や
スクィズ鋳造品(低速射出成形体)等が製造され使用さ
れるようになってきている。
【0005】 ところが、鍛造品やスクィズ鋳造品には
高コストという解決すべき課題があり、高価な自動車等
に極限られて採用されているのが現状である。サスペン
ション等の自動車足まわりに係る部品に好適に用いられ
る、従来のアルミニウム鍛造品、例えば、日本工業規格
に規定されるA6061合金等を用いたアルミニウム鍛
造品が高コストである理由は、製造工程数が多いことも
挙げられるが、展伸加工した丸棒における鍛造用材料そ
のものが高コストであることが主である。又、例えば、
日本工業規格に規定されるAC4CH合金等を用いたス
クィズ鋳造品も、製造工程数が多い上に溶湯充填スピー
ドが遅いため、生産性が上がらない等で低コスト化出来
ていない。
【0006】 一方、一般の鋳造品では、溶湯の清浄化
等で欠陥発生の低減に努めても機械的性質の向上に限界
があり、使用環境の厳しい足まわり部品に適用すること
は到底困難であることは明らかであった。
【0007】 そこで、より機械的強度の高い鍛造品に
おいて、製造工程の見直し等を行い、コスト低減を望む
要求が高まってきた。通常、アルミニウム鍛造品を製造
する場合に、展伸加工された丸棒で購入し、作製する金
属製品に応じた長さに切断した後に、この鍛造材を鍛造
型打ち後、製品とバリを分離し、鍛造製品を得る。一般
に、バリは回収業者へ引き取られ、雑鋳造材用に利用さ
れる。その製品にならないバリは、型打ち前の原料の概
ね30%にも達し、換言すれば、鍛造材は約70%しか
製品に使用されず、原料の利用率という点で大きな無駄
が生じている。従って、これを是正することによって、
コスト低減が図れると考えられる。
【0008】 即ち、鍛造時に生じる不用なバリを、展
伸材用成分としての新しい鍛造材と合わせて溶解しつつ
成分調整し、得られた溶湯を鋳造して成形した後に、鍛
造して鍛造品を得て、更に熱処理等の後処理を施して金
属製品を作製すれば、バリが再利用され原料の利用率は
概ね100%になる。こうすれば、鍛造による金属製品
においては、その総コストにおける原料費の占める割合
が大きいために、従来の鍛造品に比べて、より低コスト
化することが可能となる。従って、望ましい機械的性質
を有する鍛造による金属製品を、より安価で供給するこ
とが出来、市場ニーズに応え得る。
【0009】 しかし、鍛造材を溶解し鋳造して成形す
る製造工程を経ているため、原料費は削減されるもの
の、溶解炉、鋳造装置等に新たな設備投資が必要とな
り、初期コストの償却負担等が生じる。従って、従来の
鍛造品と比べては低コスト化がなされても、鋳造品やス
クィズ鋳造品と比較すると低コストであるとはいえず、
更なるコスト削減に向けて検討を続ける必要があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】 従って、例えば、厳
しい条件下で使用される自動車等の車両用足まわり部品
のように、強度、伸び等の機械的特性に高いレベルが求
められる鍛造による金属製品において、より低コストな
ものが求められているが、適切な金属製品が提案されて
いなかった。
【0011】 本発明は、上記した従来の課題に鑑みて
なされたものであり、その目的とするところは、鍛造処
理により優れた機械的性質を付与される金属製品の製造
工程等の見直しを行い、より工程処理速度の向上を図
り、又、自動化を図り、スループットを向上させ、鍛造
による金属製品の低コスト化を図ることにある。そし
て、金属として例えばアルミニウム合金を用い、軽量で
丈夫な自動車等の車両用足まわり部品を、より安価で供
給し、自動車等の燃費低減を図り、排出二酸化炭素を削
減し、地球温暖化防止等の環境対策に貢献することにあ
る。
【0012】 本発明者らは、上記の課題を解決するた
めに、製造工程について種々検討し研究した結果、鍛造
処理によって金属製品を製造する場合に、鍛造材として
成分調整しつつ溶解して溶湯を得た後に、鋳造によって
プリフォーム鍛造材を得て、そのプリフォーム鍛造材を
鍛造するという工程を経て製造を行うものとした。そし
て、鋳造に使用する金型に傾倒可能なものを用いて、そ
の金型を半回転させ、注湯、凝固、離型が完了するもの
とし、離型時には、成形したプリフォーム鍛造材を金型
から外側へ、概ね水平方向に押し出して、離型したプリ
フォーム鍛造材が次に用意された搬送装置に載るように
することによって、上記の目的を達成出来ることを見出
した。
【0013】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、鍛造材からなる溶湯を金型に充填し凝固させた後に
離型して、概ね柱状、若しくは、押湯部側の一端から他
端に向けて、概ね型抜き勾配程度の先細形状、をなすプ
リフォーム鍛造材を得る鋳造装置であって、金型の型割
面と平行に、プリフォーム鍛造材を移動させる離型手段
を備えることを特徴とする鍛造材鋳造装置が提供され
る。離型手段として、金型の反湯口側の背面側から押出
ピンが金型のキャビティ内へ突き出る押出機構を用いる
ことが好ましい。
【0014】 本発明の鍛造材鋳造装置により作製され
たプリフォーム鍛造材を、更に鍛造して得られる金属製
品として車両用足まわり部品を好適に製造することが出
来る。又、鍛造材として、アルミニウム合金を好適に用
いることが出来る。
【0015】 又、本発明によれば、鍛造材からなる溶
湯を金型内で凝固させてなり、概ね柱状、若しくは、押
湯部側の一端から他端に向けて概ね先細形状、をなすプ
リフォーム鍛造材の離型方法であって、金型の反湯口側
から押出ピンが金型のキャビティ内へ突き出ることによ
り、プリフォーム鍛造材を金型の型割面と平行に、金型
の湯口側(押湯部側)へ押し出すことを特徴とするプリ
フォーム鍛造材の離型方法が提供される。
【0016】 更に、本発明によれば、鍛造材からなる
溶湯を、傾倒可能な金型に充填し凝固させた後に離型し
てプリフォーム鍛造材を得る鋳造方法であって、金型が
ほぼ第一の水平状態から、傾倒開始とともに、湯口から
溶湯の充填を開始し、金型が湯口を上にしてほぼ垂直状
態になるときに、溶湯の充填が完了するように所定の時
間をかけて金型を起こし、溶湯を凝固させ、金型を先の
第一の水平状態とは反対側に倒し、ほぼ第二の水平状態
のときに、押出ピンが金型の反湯口側の背面側から金型
のキャビティ内へ突き出ることにより、プリフォーム鍛
造材を、金型の型割面と平行に湯口側へ押し出して離型
することを特徴とする鍛造材鋳造方法が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】 以下に、本発明の鍛造材鋳造装
置、及び鍛造材鋳造方法について、実施の形態を具体的
に説明するが、本発明は、これらに限定されて解釈され
るものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおい
て、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良
を加え得るものである。
【0018】 例えば、詳細の説明中において、鍛造材
の代表例としてアルミニウム合金を取り上げて記載する
ことがあるが、本発明は、鍛造材である原料を溶解して
溶湯を得て、鋳造によりプリフォーム鍛造材として成形
する鍛造材鋳造装置、及び鍛造材鋳造方法において、溶
湯の金型への注湯、凝固、及び金型からのプリフォーム
鍛造材の離型、更には搬送という一連の作業が、より速
くスムーズに進むように工夫することによって、生産効
率の向上を実現した発明であって、鍛造材としての金属
は、塑性が大きく鍛造に向いていて、実質的に鍛造処理
を経て成形され金属製品となり得る鍛造用材料を指し、
特に限定されるものではない。例えば、アルミニウム合
金(日本工業規格に規定されるA6061等)の他、鉄
基合金として炭素鋼(S40C等)や特殊鋼(クロムモ
リブデン鋼等)、あるいは、マグネシウム合金等が挙げ
られる。
【0019】 尚、プリフォーム鍛造材とは、後に例え
ば鍛造型打ちするために、鍛造材が鋳造装置によって鋳
造され予め成形された(Preformed)鍛造材の
ことを指し、鋳造済鍛造材を意味する。又、詳細の説明
中において単に金型というときには、鍛造材鋳造装置に
備わる鋳造用金型を指す。更に、反湯口側というときに
は、キャビティからみて湯口若しくは押湯キャビティと
は反対側をいう。
【0020】 本発明は、鍛造材用の原料を溶解した溶
湯を金型に充填し凝固させた後に離型してプリフォーム
鍛造材を得る鍛造材鋳造装置、及び鍛造材鋳造方法であ
り、本発明においては、凝固した成形体たるプリフォー
ム鍛造材を金型から取り出す際に、従来のように、型割
面に対して背面から交差する方向に離型するのではな
く、プリフォーム鍛造材を金型の型割面と平行に押し出
すようにして移動させ離型することを可能としたところ
に特徴がある。
【0021】 一般には、金型から成形体を取り出すと
きには、予め金型に離型剤を塗布して外し易いようにし
ておき、凝固後に成形体が残った下型から浮かせるよう
に、即ち、金型の型割面と垂直に、下型から突き出して
外し、人手で取り出し、成形体を次工程へ移している。
従って、作業処理速度に限界があり、生産効率を上げら
れなかった。又、この作業は容易には自動化し難く、人
手の代わりに、成形体を把持出来る高価なハンド&アー
ムを備えたロボットを導入すれば、かえって製造コスト
の増加になってしまう。
【0022】 本発明においては、プリフォーム鍛造材
を金型の型割面と平行に押し出すようにして移動させ離
型するので、押し出す力を強めれば、プリフォーム鍛造
材を下型上に残さず、金型外に飛び出させ、プリフォー
ム鍛造材が飛び出した先に搬送用コンベアを備えること
も可能であり、このようにすれば、作業処理速度そのも
のも向上する上に、次工程への搬送を含めて全自動化が
図り易い。
【0023】 鍛造して金属製品を作製する際に、鍛造
材である原料を溶解して鋳造したプリフォーム鍛造材を
得て、それを鍛造するという製造工程を経て作製すれ
ば、バリ等の屑材を再利用することが出来、原料費の低
減が図れる。それに加えて、本発明によって、鍛造材か
らプリフォーム鍛造材を鋳造して次の鍛造処理工程に搬
送するまでの作業処理速度が向上する。更には、容易に
コストを抑えながら自動化することが出来るので、スル
ープットが向上し、鍛造による金属製品をより低コスト
にすることが可能となる。
【0024】 以下、本発明の鍛造材鋳造装置、及び鍛
造材鋳造方法について、図面に基づいて具体的に説明す
る。先ず、鍛造材鋳造装置について説明する。図6は、
本発明の鍛造材鋳造装置の一実施例を示す側面図であ
り、金型のみを断面で表している。鍛造材鋳造装置93
は、上型85と下型86からなる鋳造用金型84を主な
構成要素とし、上型85と下型86によって所定容積の
プリフォーム鍛造材の型をなすキャビティ98が形成さ
れ、キャビティ98に溶湯を注湯する湯口88と、それ
に続く押湯キャビティ97を備える。
【0025】 下型86には、溶湯を一時受け入れて溜
める受部91が備わり、上型85には、溶湯が凝固しプ
リフォーム鍛造材になった後にプリフォーム鍛造材を押
し出して取り出す離型手段の一例である押出機構1が設
けられる。更に、鋳造用金型84を支える傾倒軸92も
備わる。鋳造用金型84は、この傾倒軸92を中心とし
て、図6に示す概ね第一の水平状態から、湯口88を上
にして、約90°回転して垂直状態となり、更に約90
°回転して、この第一の水平状態とは上型85と下型8
6とが上下反対になるような第二の水平状態となること
が可能である。即ち、鋳造用金型84は、傾倒軸92を
中心として、半回転する機能を有する。プリフォーム鍛
造材は、垂直状態から第一の水平状態に復帰させてか
ら、取り出すことも出来る。
【0026】 続いて、鍛造材鋳造装置93を用いて、
プリフォーム鍛造材を作製する方法を説明する。図3
は、本発明の鍛造材鋳造方法の一実施例を示す図で、鍛
造材鋳造装置93の金型部分のみ断面を表した説明図で
ある。鍛造材鋳造方法は、概ね、第一の水平状態71に
おいて、溶湯89を受け入れ、傾倒を開始することによ
って、キャビティ98へ注湯を開始し、垂直状態72に
おいて、キャビティ98への注湯を完了し、金型を冷却
して溶湯89を凝固させプリフォーム鍛造材6として成
形し、第二の水平状態において、形したプリフォーム鍛
造材6を離型して、次工程へ搬送するためにコンベアに
載せる、といった工程を経て行われる。より詳細には、
以下の通りである。
【0027】 先ず、第一の水平状態71において、溶
湯89を受部91へ受け入れる。溶湯89の受け入れ
は、自動給湯ラドルによる汲み上げであってもよいが、
本例では、溶湯ポンプ(図示しない)による自動送湯方
式として示す。保持炉(図示しない)等から溶湯89を
圧送して移送配管を経て、下型86に備わる受部91に
溶湯89が送られる。尚、移送配管において溶湯接触部
の材料は、炭化珪素、窒化珪素等からなり、耐熱性、耐
食性に優るセラミックスを用いることが好ましい。
【0028】 又、本例に示す他に、キャビティ98へ
の注湯は、加圧又は吸引による直接注湯であってもよ
い。
【0029】 金型が概ね垂直に立った状態(垂直状態
72)で、注湯は完了する。このような注湯を行うと、
反湯口側から次第に溶湯89が充填されるので、空冷に
よる溶湯89の凝固も反湯口側から始まり、湯口側にあ
る押湯部12が最後に凝固する。即ち、指向性凝固が施
されることになり、例え、内部欠陥の要因が生じたとし
ても押湯部12に集まり易く、鍛造され金属製品になる
鍛造部11に内部欠陥が生じる確率を低くすることが出
来る。
【0030】 ここで、指向性凝固とは、収縮孔や気孔
等の内部欠陥が最終凝固位置に発生することを利用し
て、押湯部や湯口等の端部を最終凝固位置として特定の
方向から冷却し凝固させて、その端部に内部欠陥を誘導
する方法である。鋳造原料たる鍛造材は、塑性及び強靭
性に優れているが、鋳造性に関わる溶湯時の流動性や凝
固収縮性には劣り、鋳造して成形した際に引け巣等の鋳
造欠陥を生じ易く、その後に鍛造して得る金属製品にお
いて機械的性質の低下を引き起こし易い。従って、上記
のように、指向性凝固を施し、仮に欠陥が生じても、鍛
造されて金属製品となる鍛造部には欠陥が残らないよう
にすることが好ましい。
【0031】 溶湯89を凝固させた後に、金型を反対
側に倒して、概ね第二の水平状態73とする。そして、
金型を開き、成形されたプリフォーム鍛造材6は、第一
の水平状態71とは上下反対となった上型85に残す。
このプリフォーム鍛造材6を、押出機構1によって金型
の反湯口側から湯口88側の外側へ突き出して離型さ
せ、搬送用コンベアに載せる。プリフォーム鍛造材6は
搬送用コンベアで次工程の、例えば鍛造プレス機に運ば
れる。
【0032】 押出機構1とは、プリフォーム鍛造材6
の離型手段の1つであって、押出ピンあるいは突出棒
で、プリフォーム鍛造材6の後ろ側、即ち反湯口側の背
面から、型割面87と平行方向に押圧力を加えて、移動
させる仕組みである。押出ピンあるいは突出棒を手動で
動かしてもよいが、本例では、押出ピンで押圧力を加え
る方法として、次のような手段を用いる。 a)バネで固定された押出ピンを、圧縮空気の圧力でバ
ネが伸びる方向に移動させる。空気圧力を減じれば押出
ピンはバネの力で元に戻る(逆作動弁の原理)。他に、
次のような手段も考えられる。 b)圧縮空気の圧力で押出ピンを移動させ、戻りも圧縮
空気の圧力で行う(複作動弁の原理)。 c)電気でモーターを回転させ、カムやギアによって回
転運動を往復運動に換えて、その往復運動で押出ピンを
移動させる。
【0033】 ここでは、最も簡素で低コストなa)を
例に、図1及び図2を参照しながら、押出機構1の一例
を詳細に説明する。図1は、本発明の鍛造材鋳造装置に
おけるプリフォーム鍛造材6の離型手段の一実施例を示
す図で、押出機構1部分のみ断面を表し、図3における
第二の水平状態73での上面図である。図2は、図1の
AA’断面を表した側面図である。尚、図2において
は、押出ピン4を移動させた状態を表している。
【0034】 押出機構1は、鋳造用金型84の上型8
5の反湯口側の背面に設けられ、外筒17と、外筒17
の中でバネ18を介して外筒17に繋がった押出ピン4
からなる。外筒17には吸気管と排気管が接続され、そ
れぞれの配管には電磁弁21,22が備えられる。外筒
17は、金型内においては、溶湯がキャビティ98から
進入するのを防止するように上型85内部に隙間無く埋
め込まれ、閉型時に上型85と下型86が密着して閉じ
るのを妨げない。
【0035】 押出機構1においては、離型動作時に、
例えばコイル状のバネ18の圧縮力より大きな圧力を与
え得る圧縮空気3を、電磁弁21を開いて吸気管から外
筒17に送ることによって、図2に示すように、押出ピ
ン4はバネ18を伸長させながらキャビティ98内へ突
き出て、キャビティ98内で成形されたプリフォーム鍛
造材6の端面のほぼ中心を押圧する。こうして、プリフ
ォーム鍛造材6は、型割面87と平行に、湯口88側の
外へ押し出される。
【0036】 電磁弁21を閉じ、電磁弁22を開いて
外筒17から排気管を通して空気を逃がし、外筒17内
を減圧すれば、キャビティ98内へ突き出た押出ピン4
は、バネ18の圧縮力で図1に示す外筒17に格納され
た状態に戻る。離型動作時以外の押出機構を働かせる必
要のないときには、押出ピン4は、この状態で維持され
る。吸排気可能な電磁弁を用いて1本の配管で吸気管と
排気管を兼ねることも可能である。又、押出ピン4の突
き出しによりプリフォーム鍛造材6をスムーズに離型す
るためには、予め、上型85及び下型86に離型剤を塗
布しておくことが好ましい。好ましい離型剤として、黒
鉛系離型剤等が挙げられる。
【0037】 このようにして、成形されたプリフォー
ム鍛造材6を金型から離型し外へ押し出して、搬送用コ
ンベアに載せることが出来る。キャビティ98へ突き出
る押出ピン4の長さLや、外筒17に供給する圧縮空気
3の量と圧力等を変えることによって、プリフォーム鍛
造材6の金型の外への飛び出し具合を調節することが可
能である。
【0038】 本発明の鍛造材鋳造装置において作製さ
れるプリフォーム鍛造材の形状は、金型の反湯口側の背
面からの押圧によって、大きな抵抗無く容易に型割面と
平行に移動するものであればよく、この条件以外に限定
されるものではない。一般には、概ね柱状、若しくは、
押湯部側の一端から他端に向けて概ね、型抜き勾配程度
の先細形状をなすプリフォーム鍛造材であることが好ま
しい。
【0039】 上記したように、本発明で用いる鋳造原
料たる鍛造材は、鋳造性に関わる溶湯時の流動性に劣
る。従って、成形した際に鋳造欠陥を生じ難くするため
に、プリフォーム鍛造材の形状は、極単純な円柱形であ
ることが、より好ましい。又、極単純な形状であれば、
プリフォーム鍛造材と、プリフォーム鍛造材を鍛造して
得られる鍛造品9との鍛造比が、十分に大きく取れて、
鍛造効果が発揮され、その結果、好ましい機械的強度を
有する金属製品を得ることが出来る。
【0040】 次に、本発明の鍛造材鋳造装置を用いた
鍛造品製造工程の一実施例を、図4に示すブロックフロ
ー図を参照しながら説明する。鍛造材を鍛造装置63
で、例えば鍛造型打ちし鍛造品9を得た後に、後処理装
置64において、好ましくは熱処理を施し、機械的性質
をより好ましいものとした金属製品7を得る。鍛造装置
63における、例えば鍛造型打ち後に発生するバリ材5
は、有効に原料として再利用され系外に出されることが
ない。バリ材5は、溶解炉61で新材8と混合して溶解
され溶湯になり、鍛造材鋳造装置62でプリフォーム鍛
造材6に成形される。そして、このプリフォーム鍛造材
6は、直ぐに鍛造装置63で鍛造される。
【0041】 本発明においては、例えば以下の対応に
より、溶解炉61(より詳細には溶解後に温度を保持す
る保持炉)から溶湯を移送し、鍛造装置63へプリフォ
ーム鍛造材6を搬送するまで、自動化が可能である。 1)溶解炉61(保持炉)には湯面計と、湯面計に連動
する溶湯ポンプを備え、十分な溶湯があれば、命令に従
って、溶湯ポンプが稼動し、溶湯を移送配管を介して鍛
造材鋳造装置62へ送湯する。 2)鍛造材鋳造装置62入口には、溶湯の受部91を備
える。 3)鍛造装置63へプリフォーム鍛造材6を搬送するコ
ンベアは、鍛造材鋳造装置62の離型動作時に合わせて
稼動する。 4)これら1)〜3)の動作、及び、鍛造材鋳造装置6
2の注湯、凝固、離型の各動作は、予め定められた工程
をもって行い、情報の入出力、命令の出力等はシーケン
サ等の制御機器によって行う。
【0042】 次に、本発明の鍛造材鋳造装置により作
製されるプリフォーム鍛造材を鍛造して得られる金属製
品について説明する。本発明により作製されるプリフォ
ーム鍛造材を鍛造し、その後、例えば熱処理することに
よって、一般に使用されている自動車等の車両用足まわ
り部品を好適に製造することが出来る。より詳細には、
デリバリーパイプ、ロアアーム、ナックルステアリング
等の自動車等の車両用足まわり部品である。
【0043】 従来は、鍛造を経て製造される金属製品
は、機械的性質に優れていて、より強度が求められる車
両用足まわり部品には適していることは理解されても、
コストが高く普及し難かった。しかし、本発明によっ
て、よりスループットが向上し、より低コスト化が実現
され、高性能な鍛造品の普及が促進される。
【0044】 又、自動車等の車両用足まわり部品とし
ては、より軽いことが好ましいが、本発明においては、
原料である溶解される鍛造材としてアルミニウム合金を
好適に用いることが出来るので、軽量化の要望に充分に
応えられる。図5は、本発明により作製されるプリフォ
ーム鍛造材を鍛造した後、熱処理等を施して得られる金
属製品の形状の一例であり、デリバリーパイプ2を示す
斜視図である。このようなデリバリーパイプ2は、本発
明において好ましい形状である、極単純な概ね柱状のプ
リフォーム鍛造材を用いて鍛造することが出来る。この
とき、鍛造比は概ね5:1〜2:1であって、充分な鍛
造効果が期待出来る。分離されるバリの量は概ね30%
であり、全量が再利用される。
【0045】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明の鍛造材
鋳造装置、及び鍛造材鋳造方法によれば、鍛造処理によ
り優れた機械的性質が付与された金属製品の生産工程に
おいて、鍛造材の鋳造処理速度をより向上させることが
出来るので、製造工程全体のスループットの向上に寄与
し、金属製品をより低コスト化することが可能となる。
そして、金属として例えばアルミニウム合金を用いて、
軽量の車両用足まわり部品をより安価で供給すれば、自
動車等の燃費低減が図られ、地球規模の課題である排出
二酸化炭素の削減に寄与し地球温暖化防止等の環境対策
に貢献することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の鍛造材鋳造装置における離型手段の
一実施例を示す図で、押出機構部分のみ断面を表した上
面図である。
【図2】 本発明の鍛造材鋳造装置における離型手段の
一実施例を示す図で、断面を表した側面図である。
【図3】 本発明の鍛造材鋳造方法の一実施例を示す図
で、鍛造材鋳造装置の金型部分のみ断面を表した説明図
である。
【図4】 本発明の鍛造材鋳造装置を用いた鍛造品製造
工程の一実施例を示す概略ブロックフロー図である。
【図5】 本発明の鍛造材鋳造装置により作製されるプ
リフォーム鍛造材を鍛造して得られる金属製品の一実施
例を示す斜視図である。
【図6】 本発明の鍛造材鋳造装置の一実施例を示す図
で、金型部分のみ断面を表した側面図である。
【符号の説明】
1…押出機構、2…デリバリーパイプ、3…圧縮空気、
4…押出ピン、5…バリ材、6…プリフォーム鍛造材、
7…金属製品、8…新材、9…鍛造品、11…鍛造部、
12…押湯部、18…バネ、21…電磁弁、22…電磁
弁、61…溶解炉、62…鍛造材鋳造装置、63…鍛造
装置、64…後処理装置、71…第一の水平状態、72
…垂直状態、73…第二の水平状態、84…鋳造用金
型、85…上型、86…下型、87…型割面、88…湯
口、89…溶湯、91…受部、92…傾倒軸、93…鍛
造材鋳造装置、97…押湯キャビティ、98…キャビテ
ィ。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 33/02 B22D 33/02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鍛造材からなる溶湯を金型に充填し凝固
    させた後に離型して、略柱状、若しくは、押湯部側の一
    端から他端に向けて略先細形状、をなすプリフォーム鍛
    造材を得る鋳造装置であって、 前記プリフォーム鍛造材を、前記金型の型割面と平行に
    移動させる離型手段を備えることを特徴とする鍛造材鋳
    造装置。
  2. 【請求項2】 前記離型手段は、押出ピンが前記金型の
    反湯口側から前記金型のキャビティ内へ突き出る押出機
    構からなる請求項1に記載の鍛造材鋳造装置。
  3. 【請求項3】 前記プリフォーム鍛造材を鍛造して得ら
    れる金属製品が、車両用足まわり部品である請求項1に
    記載の鍛造材鋳造装置。
  4. 【請求項4】 前記鍛造材が、アルミニウム合金である
    請求項1〜3の何れか一項に記載の鍛造材鋳造装置。
  5. 【請求項5】 鍛造材からなる溶湯を金型内で凝固させ
    てなり、略柱状、若しくは、押湯部側の一端から他端に
    向けて略先細形状、をなすプリフォーム鍛造材の離型方
    法であって、 押出ピンが金型の反湯口側から前記金型のキャビティ内
    へ突き出ることにより、前記プリフォーム鍛造材を、前
    記金型の型割面と平行に湯口側へ押し出すことを特徴と
    するプリフォーム鍛造材の離型方法。
  6. 【請求項6】 鍛造材からなる溶湯を、傾倒可能な金型
    に充填し凝固させた後に離型してプリフォーム鍛造材を
    得る鋳造方法であって、 前記金型が略第一の水平状態から、傾倒開始とともに、
    湯口から前記溶湯の充填を開始し、 前記金型が前記湯口を上にして略垂直状態になる間に、
    前記溶湯の充填が完了するように所定の時間をかけて前
    記金型を起こし、前記溶湯を凝固させ、 前記金型を前記略第一の水平状態とは反対側に倒し、前
    記金型が略第二の水平状態のときに、押出ピンが前記金
    型の反湯口側から前記金型のキャビティ内へ突き出るこ
    とにより、前記プリフォーム鍛造材を、前記金型の型割
    面と平行に湯口側へ押し出して離型することを特徴とす
    る鍛造材鋳造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013526409A (ja) * 2010-05-11 2013-06-24 スネクマ 部品を射出成形するための工具
CN110605378A (zh) * 2018-06-15 2019-12-24 天津源特机械部件有限公司 一种半固态压铸成型模具
CN112566740A (zh) * 2018-08-16 2021-03-26 费尔有限公司 铸造机

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