JP2003098243A - 衛星測位演算方法及びこれを用いる衛星航法測位装置 - Google Patents

衛星測位演算方法及びこれを用いる衛星航法測位装置

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JP2003098243A
JP2003098243A JP2001287535A JP2001287535A JP2003098243A JP 2003098243 A JP2003098243 A JP 2003098243A JP 2001287535 A JP2001287535 A JP 2001287535A JP 2001287535 A JP2001287535 A JP 2001287535A JP 2003098243 A JP2003098243 A JP 2003098243A
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satellite
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Yoshifumi Tateda
良文 舘田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マルチパスによる影響を受けにくい特性に加
え、演算部分に高い処理能力を有するプロセッサを必要
とせず、少ない電力消費で小型化した信号処理機能を有
し、実時間で整数値バイアスを確定できる衛星測位演算
方法及びこれを用いる衛星航法測位装置を提供する。 【解決手段】 各々の観測タイミングで得た関係式の範
囲で、測位側の位置と搬送波の位相測定で基準とした位
相の差に相当する変数とを消去した式を求め、求めた式
を元の関係式に代入することにより測位側の位置と搬送
波の位相測定で基準とした位相の差に相当する変数を消
去した条件式を求め、観測タイミング毎に、それ以前を
含めた複数の観測タイミングについて求めた前記変数を
消去した条件式について、互いにできるだけ小さな偏差
で成立する条件で整数値バイアスを求めることにより、
マルチパス、整数値バイアスの確定時間、演算量の全て
において優位な衛星測位演算方法が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、米国が運用してい
るGPS衛星や、ロシア共和国が運用しているGLON
ASS衛星などの測位衛星信号を基準局と測位局で同時
に受信し、その受信信号の搬送波位相を比較して基準局
に対する測位局の相対位置を求める衛星測位演算方法に
関する。特に、基準局と測位局で観測する搬送波の位相
差において、搬送波周期の整数倍に相当する整数値バイ
アスが未確定である段階で、この整数値バイアスを素早
く求めるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】近年、GPS測量は国土地理院技術資料
A・1-No.228に示されるように、測量の分野で広く利用
されている。搬送波位相によるGPS測量では、基準側
と測位側にそれぞれGPS受信機を設ける。両方のGP
S受信機は、複数の衛星各々の搬送波と、受信機が持っ
ている基準信号とを比較することにより、受信機の基準
信号に対する衛星信号の搬送波位相を同時観測する。こ
の搬送波位相の測定値は時間に対して連続的に累積した
値を出力し、1サイクルを超える分を含んでいる。
【0003】更に、両方のGPS受信機で求めた位相を
相互に比較することにより、基準側のアンテナに対する
測位側のアンテナの相対位置を数cmの精度で求める。米
国のGPS衛星からはL1とL2の信号が送信され、搬送波
の波長λ1とλ2はそれぞれ約19cmと約24cmである。な
お、観測した基準局に対する測位局の搬送波位相差は
“整数値バイアス”と呼ばれる搬送波の波長λ1、λ2の
整数倍だけの不確定な部分を含んでいる。
【0004】両方のGPS受信機が衛星信号の搬送波を
連続して追尾している間は、この整数値バイアスが変化
しないので、連続した搬送波位相の観測結果からこの整
数値バイアスを導き出すようにしているが、これには複
雑な処理が必要であり、様々な技術が開発されている。
【0005】通常、基準側アンテナは地上に固定されて
おり、測位側のアンテナが移動しなければ比較的容易に
整数値バイアスを求めることができるが、測位側のアン
テナが移動している場合は非常に困難である。この測位
側が移動している状態で整数値バイアスを求める技術を
特に“OTF(On The Fly)”と呼んでいる。
【0006】従来の、OTF整数値バイアス確定の技術と
してPatrick Y. C. Hwang," Kinematic GPS for Differ
ential Positioning: Resolving Integer Ambiguities
on the Fly", Navigation, Vol.38, No.1, Spring 1991
に示されているカルマンフィルタを用いる技術が知られ
ている。これによると、測位側のアンテナ位置と整数値
バイアスを変数とし、基準側に対する測位側の搬送波位
相差を入力して、観測を重ねる毎に上記変数を更新する
追尾フィルタを構成する。この追尾フィルタの応答特性
は、入力した搬送波位相差の性質から逐次求めていくも
ので、定常状態では測定環境に応じて最適化された応答
特性になっている点で優れている。
【0007】また別の従来例は、OTF整数値バイアス確
定の技術としてHasanuddin Z. Abidin," On the Constr
uction of the Ambiguity Searching Space for On-the
-FlyAmbiguity Resolution", Navigation, Vol.40, No.
3, Fall 1993に示されている整数値バイアスの候補を評
価し選別する技術が知られている。これによると、最初
にGPS衛星が送信するC/AコードまたはP(Y)コードを
利用して、基準側と測位側の間の相対位置を求める。コ
ードを利用して得られる相対位置の精度は数mから数十c
m程度である。そして、この予測される範囲内に収まる
整数値バイアスの組合せ全ての中に、ただ一組の正しい
組合せが含まれているとする。基準側に対する測位側の
相対位置を求めるには少なくとも4個の衛星が必要であ
る。観測できる衛星数に冗長性がある場合は、整数値バ
イアスの組合せで決まる基準側に対する測位側の相対位
置が全ての衛星で矛盾なく一致するという条件で評価
し、適切でない整数値バイアスの組合せを順次排除す
る。そして、同様の評価を観測毎に繰り返し、適切でな
い組合せを全て排除して、一組の正しい組合せに到達す
る。この技術は、整数値バイアスの組合せに対する評価
が適切であれば、短い期間の観測結果で整数値バイアス
が確定できる点で優れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のカルマンフィルタを用いる技術では、定常状態に到
達するまでに時間がかかる上に、測位側の移動特性が変
化した場合の応答が悪いため、使用目的に合せて特化し
たフィルタが必要で汎用性に欠けるという問題を有して
いた。
【0009】また、上記従来の整数値バイアスの候補を
評価し選別する技術では、整数値バイアスの組合せにお
ける候補が非常に多くなるため、組合せに対する評価の
処理が膨大になるので、搬送波位相差を短い間隔で測定
し、これを実時間で処理するためには、演算部分に処理
能力の高いプロセッサが必要である上、消費電力が多い
という問題を有していた。特に、マルチパスによる搬送
波位相の揺らぎが有る状況では、一組の正しい組合せに
到達するのが困難になるといった問題を有していた。
【0010】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、整数値バイアスの候補を評価し選別する技術と同等
の短い観測期間で整数値バイアスが確定でき、整数値バ
イアスの確定に関してマルチパスによる影響を受けにく
い特性に加え、演算部分に高い処理能力を有するプロセ
ッサを必要とせず、少ない電力消費で小型化した信号処
理機能であっても、実時間で整数値バイアスを確定でき
る衛星測位演算方法及びこれを用いる衛星航法測位装置
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に本発明の衛星測位演算方法は、観測タイミング毎に未
知の整数値バイアスを含んだ搬送波の一重位相差と衛星
の位置と基準側および測位側の位置と搬送波の位相測定
で基準側と測位側において基準とした位相の差の関係式
を求め、各々の観測タイミングで得た前記関係式の範囲
で、これらの式ができるだけ少ない誤差で同時に成り立
つ条件で、測位側の位置と搬送波の位相測定で基準とし
た位相の差を定める条件式を求め、前記条件式で求めた
条件を搬送波位相に関する前記関係式に代入することに
より、測位側の位置と搬送波の位相測定で基準とした位
相の差に相当する変数とを消去した条件式を求め、観測
タイミング毎に、それ以前を含めた複数の観測タイミン
グについて求めた前記変数を消去した条件式について、
互いにできるだけ小さな偏差で成立する条件で整数値バ
イアスを求めるようにすることで、全ての有効な観測結
果を無駄なく利用して、短い時間で整数値バイアスが確
定できるようにすると共に従来の整数値バイアスの候補
を評価し選別する方法では必須であった多数の整数値バ
イアスの組合せを評価するための大容量の記憶装置や高
い演算能力を要する演算装置を不要にするものである。
【0012】また、本発明の衛星測位演算方法は、各々
の観測タイミングで得た前記関係式の範囲で、これらの
式が少ない誤差で同時に成り立つ条件で、測位側の位置
と搬送波の位相測定で基準とした位相の差を決定する条
件式を求め、これらを決定する条件によって衛星の配置
できまる精度を評価する条件を定めて、この条件を満た
さない衛星配置と判定した観測タイミングにおいては前
記変数を消去した条件式を、前記整数値バイアスを求め
る条件式の組合せに観測結果を加えないようにして、整
数値バイアスを確定するのに弊害をもたらす可能性を持
つ、衛星の配置が悪い状態の観測結果を的確に排除する
ことにより、整数値バイアスの精度を遅滞無く高められ
るようにするものである。
【0013】また、本発明の衛星測位演算方法は、整数
値バイアスを求めるための連立方程式を解く際に、前の
観測タイミングで得た整数値バイアスを初期値として、
連立方程式の解法に反復法を用いて漸近的に整数値バイ
アスを求め、ここで求めた整数値バイアスを更に次回の
整数値バイアスを求める演算で初期値として利用するこ
とで、演算量を少なくすると共に、未知数である整数値
バイアスの数が多い場合でも演算量の増加を抑えられる
ようにしたものである。
【0014】以上のように本発明によれば、処理能力が
低い演算装置であっても、実時間で搬送波位相による高
精度な測位が可能となる上に、短い時間で整数値バイア
スを確定できる、優れた衛星測位演算方法を提供できる
と共に、安価で小型省電力ながらセンチメートルレベル
の精度を持った衛星航法測位装置や、低い処理能力の演
算装置を備えた測位局を多数備えてネットワーク化して
搬送波位相による測位演算を行う中央装置を実現でき
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、衛星信号の搬送波位相を複数の衛星について観測
し、前記搬送波位相を用いて基準側に対する測位側の相
対的な位置を求める衛星測位演算方法において、前記基
準側と前記測位側のそれぞれの位置で受信した同じ衛星
について、前記搬送波位相差と、前記搬送波位相差に含
まれる整数の搬送波位相バイアスと、前記搬送波位相の
測定で基準とした位相に関する前記測位側および前記基
準側それぞれの位相差と、受信した衛星の位置と、前記
基準側および前記測位側の位置との関係式を求め、複数
の観測タイミングで得た前記関係式が同時に成り立つ条
件で、前記測位側の位置と前記基準とした位相の差を定
める条件式を求め、前記条件式で求めた条件を前記関係
式に代入することにより、前記測位側の位置と前記基準
とした位相の差に相当する変数を消去した式を求め、前
記変数を消去した式について、互いに小さな偏差で成立
する条件によって整数値バイアスを求めるようにしたこ
とで、全ての有効な観測結果を無駄なく利用して、短い
時間で整数値バイアスを確定できるようにすると共に従
来の整数値バイアスの候補を評価し選別する方法が要し
た多数の整数値バイアスの組合せを評価するための大容
量の記憶装置や高い演算能力を要する演算装置を不要に
することができる。
【0016】また、本発明の請求項2に記載の発明は、
衛星信号を受信するアンテナと、前記アンテナで受信し
た前記衛星信号の搬送波位相を複数の衛星について同時
に観測する受信機を、位置が既知である基準側の位置
と、測位側にそれぞれ設置し、複数の観測タイミングに
ついて基準側と測位側の両者で同時に搬送波位相を観測
し、観測した前記搬送波位相を用いて基準側に対する測
位側の相対的な位置を求める衛星測位演算方法におい
て、観測タイミング毎に測位側と基準側で受信した4個
を超える同じ衛星について、測位側と基準側で観測した
搬送波位相の差と、この位相の差に含まれる整数の搬送
波位相バイアスと、搬送波の位相測定で基準とした位相
に関する測位側と基準側の差と、衛星の位置と、基準側
および測位側の位置との関係式を求め、各々の観測タイ
ミングで得た前記関係式の範囲で、これらの式が少ない
誤差で同時に成り立つ条件で、測位側の位置と搬送波の
位相測定で基準とした位相の差を定める条件式を求め、
前記条件式で求めた条件を前記関係式に代入することに
より、測位側の位置と搬送波の位相測定で基準とした位
相の差に相当する変数を消去した式を求め、観測タイミ
ング毎にそれ以前を含めた複数の観測タイミングについ
て求めた前記変数を消去した式について、互いに小さな
偏差で成立する条件によって整数値バイアスを求めるよ
うにしたので、複数の観測タイミングで求めた全ての有
効な観測結果を無駄なく利用して、短い時間で整数値バ
イアスが確定できるのに加え、測位側の位置と搬送波の
位相測定で基準とした位相の差に相当する変数を消去す
るので、測位位置の移動と搬送波の位相測定で基準とし
た位相の変動による影響が無いために汎用性が高くなる
上に、従来の整数値バイアスの候補を評価し選別する方
法に比べ、整数値バイアスを演算により総合的に求める
ので、候補として多数の整数値バイアスの組合せを想定
した、大容量の記憶装置や高い演算能力の演算装置を必
要とせず、マルチパスの影響も受けにくいという作用を
有する。
【0017】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
または請求項2に記載の衛星測位演算方法に対して、求
めた整数値バイアスの分散を評価し、求めた前記整数値
バイアスを中心として、前記整数値バイアスの分散で定
める所定の範囲に、唯一の整数が含まれるという条件
で、整数値バイアスが確定できたか否かを判定する方法
を加えているので、求めた整数値バイアスを的確なタイ
ミングに素早く確定でき、より素早く精度の良い相対位
置を求めることができるという作用を有する。
【0018】また、請求項4に記載の発明は、請求項1
から請求項3に記載の衛星測位演算方法に対して、各々
の観測タイミングで得た前記関係式の範囲で、これらの
式が少ない誤差で同時に成り立つ条件で、測位側の位置
と搬送波の測定で基準とした位相の差を定める条件式を
求め、前記位置と基準とした位相の差を決定する条件に
よって、求める位置と基準とした位相の差の精度を評価
する条件を定めて、この条件を満たさない衛星配置の観
測タイミングにおいては、整数値バイアスを求める条件
式の組合せに観測結果を加えないようにするので、整数
値バイアスを確定するのに弊害をもたらす可能性があ
る、衛星の配置が悪い状態の観測結果を的確に排除で
き、整数値バイアスの精度を遅滞無く高めることができ
るという作用を有する。
【0019】また、請求項5に記載の発明は、請求項4
に記載の衛星測位演算方法に対して、各々の観測タイミ
ングで得た前記関係式の範囲で、これらの式が少ない誤
差で同時に成り立つ条件で、測位側の位置と搬送波の測
定で基準とした位相の差を定める条件式を求め、この位
置と基準とした位相の差を決定する条件について、求め
る位置に関する精度の評価条件を定め、定めた条件を満
たさない衛星配置の観測タイミングにおいては、整数値
バイアスを求める条件式の組合せに観測結果を加えない
ようにするので、請求項4に記載の測位演算方法に比べ
て基準とした位相の差の精度が劣化している場合も位置
の観測に利用できるためより多い観測タイミングについ
て測位側の位置を求めることができると共に、整数値バ
イアスを確定するのに弊害をもたらす可能性がある、衛
星の配置が悪い状態の観測結果を大部分排除でき、整数
値バイアスの精度を更に素早く高めることができるとい
う作用を有する。
【0020】また、請求項6に記載の発明は、請求項5
の整数値バイアスを求める条件式の組合せを排除する条
件に加え、測位側の位置の精度とは別に、条件式で得ら
れる搬送波の位相測定で基準とした位相の差に関する精
度を衛星の配置を用いて定め、この条件を満たさない衛
星配置の観測タイミングについても、整数値バイアスを
求める条件式の組合せに観測結果を加えないようにする
ので、請求項5に記載の測位演算方法に比べて、整数値
バイアスの精度を素早く高めることができるだけでな
く、衛星の配置が悪い状態の観測結果をより的確に排除
できるという作用を有する。
【0021】また、請求項7に記載の発明は、請求項1
から請求項6までのいずれかに記載の衛星測位演算方法
に対して、整数値バイアスを求めるための条件としてΩ
マトリクス条件式(22)とζベクトル条件式(23)
の各要素を保持する記憶手段を設け、観測タイミング毎
に測位側の位置と搬送波の位相測定で基準とした位相の
差に相当する変数とを消去した式を求め、求めた前記変
数を消去した条件式を、前記記憶手段に保持している前
記Ωマトリクス条件と前記ζベクトル条件の各要素に対
して累積加算し、累積加算した前記Ωマトリクス条件と
前記ζベクトル条件とによって整数値バイアスを求める
ようにしているので、観測タイミング毎に整数値バイア
スを更新する際の演算を少なくできるという作用を有す
る。
【0022】また、請求項8に記載の発明は、請求項1
から請求項7に記載の衛星測位演算方法に対して、整数
値バイアスを求める際に連立方程式を解く演算に代え
て、前の観測タイミングで得た整数値バイアスを初期値
として、連立方程式の解法に反復法を用いて漸近的に整
数値バイアスを求め、新たに求めた整数値バイアスを更
に次回の整数値バイアスを求める演算における初期値と
するので、演算量が少なくなる上に、未知数である整数
値バイアスの数が多い場合でも演算量の増加が少なくて
すむという作用を有する。
【0023】また、請求項9に記載の発明は、請求項8
に記載の衛星測位演算方法に対して、整数値バイアスの
初期値を、基準側に設置した受信機を基準として、衛星
信号のコード位相を使った差動測位で測位側の位置を求
め、求めた前記位置によって概略の整数値バイアスを求
め、前記概略の整数値バイアスを初期値とすることによ
り、最終解に近い初期値になるため、反復法で求める整
数値バイアスの収束を早めることができ、素早く精度の
良い整数値バイアスが求まるという作用を有する。
【0024】また、請求項10に記載の発明は、請求項
1から請求項9に記載の衛星測位演算方法に対して、演
算で求めた整数値バイアスについて、連続した観測タイ
ミングの内で、間隔を置いて標本化した観測タイミング
に求めた整数値バイアスを保存し、個々の観測タイミン
グで求めた整数値バイアスと保存している前記整数値バ
イアスとを比較し、それらの変動量を評価することによ
り整数値バイアスの精度評価とするので、整数値バイア
スの精度を判定する演算量が少ないにもかかわらず、的
確に整数値バイアスを確定できるという作用を有する。
【0025】また、請求項11に記載の発明は、請求項
1から請求項10に記載の衛星測位演算方法に対して、
整数値バイアスが確定済みの位相と未確定の位相が含ま
れている場合に、確定済みの整数値バイアスを既知と
し、未確定の整数値バイアスだけについて、整数値バイ
アスを決定するための関係式を求め、互いに小さな偏差
で成立する条件によって未確定の整数値バイアスを求め
るので、確定済みの整数値バイアスを有効に生かせるた
め、より短い観測時間で整数値バイアスが確定できると
いう作用を有する。
【0026】また、請求項12に記載の発明は、アンテ
ナで受信した衛星信号の搬送波位相を複数の衛星につい
て同時に観測する機能と、基準側で同じ衛星について同
時に観測した搬送波位相を通信路を介して受け取る機能
と、衛星信号の搬送波位相による測位演算機能とを有し
た衛星航法測位装置において、前記測位演算機能が、請
求項1から請求項11に記載の衛星測位演算方法を用い
るようにしているので、演算の処理能力が低い測位演算
機能を持った、小型で安価な衛星航法測位装置であって
も短い測位周期や実時間処理による搬送波測位が可能と
なるという作用を有する。
【0027】また、請求項13に記載の発明は、測位側
受信機及び基準側受信機と通信ネットワークを介して接
続される中央装置であって、前記中央装置は、前記測位
側受信機で観測した衛星信号の搬送波位相を受信する機
能と、前記基準側受信機で観測した衛星信号の搬送波位
相を別途入力する機能と、衛星信号の搬送波位相による
測位演算機能とを備え、前記測位演算機能が上記請求項
1から請求項11に記載の衛星測位演算方法を用いるよ
うにしているので、処理能力が低い測位演算機能であっ
ても多数の測位について短時間で搬送波位相による測位
演算が行えると共に短い観測時間で整数値バイアスが確
定できる、優れた性能を有する中央装置を提供できると
いう作用を有する。
【0028】また、請求項14に記載の発明は、測位衛
星信号を基準局と測位局で同時に受信し、受信した前記
測位衛星信号の搬送波位相を前記基準局と前記測位局と
でそれぞれ記録する受信記録手段を備え、前記受信記録
手段に記録したそれぞれの搬送波位相を比較し、請求項
1から請求項11に記載の衛星測位演算方法を用いるの
で、多数の有効な観測結果を無駄なく利用でき、観測時
間が短い場合でもより確実に整数値バイアスが確定でき
るとともに、全体を通した演算量が減少するのに加え、
候補として多数の整数値バイアスの組合せを想定する必
要が無いので大容量の記憶装置や高い演算能力の演算装
置が不要になるという作用を有する。
【0029】以下、本発明の実施の形態について、図1
から図5を用いて説明する。
【0030】(第1の実施の形態)図1は本発明の第1
の実施形態に係る衛星信号の搬送波位相による測位演算
方法を用いてGPS測量を行うシステムの構成を示すブ
ロック図である。図1において本実施形態におけるGP
S測量システムは、位置を求めるためのL1とL2の信号を
送信しているGPS衛星101と、アンテナの設置位置
が既知であるL1およびL2の搬送波の位相を測定する基準
側GPS受信機102と、基準側に対する相対位置の測
定に供するL1およびL2の搬送波の位相を測定する測位側
GPS受信機103と、基準側と測位側で観測した搬送
波の位相を比較して相対位置を求める測位演算装置10
4と、基準側GPS受信機102で観測した搬送波の位
相を測位側に送信する送信モデム105と、基準側から
の搬送波の位相を通信路を介して受信し測位演算装置1
04に出力する受信モデム106とから構成されてい
る。本実施形態のGPS測量システムの構成は従来例と
同様であるが、測位演算装置104における搬送波位相
による測位演算方法が異なっている。
【0031】次に図1に示した本実施形態に係るGPS
測量システムの動作を説明する。まず、図1の複数のG
PS衛星101が送信する電波を基準側GPS受信機1
02のアンテナで受信する。GPS衛星101が送信す
るL1の信号は符号速度が1.023MbpsでC/Aコードと呼ばれ
る衛星固有の符号と50bpsの航法データにより、1.57542
GHzの搬送波を位相変調した信号と、符号速度が10.23Mb
psでP(Y)コードと呼ばれる衛星固有の符号で、直交した
1.57542GHzの搬送波を位相変調した信号を送信してい
る。基準側GPS受信機102では、受信する衛星と同
じC/AコードとL1搬送波を発生し、これと受信信号と乗
算した後、C/Aコードの周期1msを単位として時間積分す
る。この時間積分した結果を使ってC/AコードとL1搬送
波の位相を追尾すると共に航法データを受信する。
【0032】加えて、受信する衛星と同じP(Y)コードと
L2搬送波を発生し、これと受信信号と乗算した信号を、
遮断周波数が50Hzの低域通過フィルタで濾波した出力に
よってP(Y)コードとL2搬送波の位相を追尾する。そして
1秒に1回の周期で、受信機で発生しているL1とL2の搬送
波およびC/AとP(Y)コードの位相を、測位に利用可能な
全ての衛星について同時に観測し、送信モデム105へ
出力する。送信モデム105はこの基準側で観測した搬
送波とコードの位相データを順次通信路へ送出する。
【0033】一方、受信モデム106は通信路からこの
位相データを受信して測位演算装置104に出力する。
更に、測位側GPS受信機103は基準側GPS受信機
102と同様に、複数のGPS衛星101が送信する電
波を受けて、L1とL2の搬送波およびC/AとP(Y)コードの
位相を追尾し、基準側GPS受信機102に合せて1秒
に1回の周期でこれらの位相を観測し、受信した航法デ
ータと共に測位演算装置104に出力する。測位演算装
置104はこれらの位相と、受信モデム106と測位側
GPS受信機103から受けた、L1とL2の搬送波および
C/AとP(Y)コードの位相を比較して基準側のアンテナに
対する測位側のアンテナ位置を求める。
【0034】衛星から受信した航法データを参照して、
測位側および基準側GPS受信機が出力するC/AまたはP
(Y)コードの位相により、衛星が電波を発射した時刻を
知ることができる。これらは全てGPSタイムと呼ばれ
る固有の時刻を基準にしている。測位側GPS受信機1
03で観測した衛星nのC/AまたはP(Y)コードの位相が示
している時刻と受信機が位相を観測した時刻の差は、衛
星から受信機までの電波伝播時間と一致する。この時刻
差に光速を掛け合わすと衛星と受信機間の見かけの距離
n,uρになる。ここでuは測位側を示す識別子である。た
だし、これには未知数として、測位側GPS受信機の時
刻とGPSタイムの差である時刻バイアスuBを含んでい
る。地球中心を原点とするx-y-z直交座標系において、
測位側GPS受信機103の位置ベクトルをurk、測位
側で受信した信号を発信した時の衛星の位置ベクトルを
n,urkとすると、測位側GPS受信機103における観
測時刻と観測してC/AまたはP(Y)コードの位相で求めた
時刻の差に光速cを掛け合わせた見かけの距離n,uRは、
以下の式(1)にように表せる。
【0035】
【数1】 ここで、測位側受信機の時刻バイアスuBは衛星間で共通
である。衛星時刻の誤差 nεには電離層や大気圏の伝播
遅延も含めている。
【0036】基準側GPS受信機102と測位側GPS
受信機103が、電離層や大気圏の伝播遅延による影響
の差が少ないとすれば、基準側GPS受信機102で観
測したC/AまたはP(Y)コードの位相についても同様に以
下の式(2)のように表せる。
【0037】
【数2】 この式(2)で、基準側GPS受信機の位置ベクトルsr
kは既知、見かけの距離n ,sRは観測値、基準側で受信し
た信号を衛星から発信した時の衛星の位置ベクトルn,sr
kも観測値である。観測誤差n,sεが小さいとして、時刻
バイアスsBが分かれば、衛星時刻の誤差nεを求めるこ
とができる。sBを高精度で求めることはできないが、n
εにおける電離層および大気層の遅延の影響と、航法デ
ータの誤差情報を参考にして、時間的な変化を含めて総
合的にsBを決定し、そのsBでnεを決定する。このsBの
誤差は、測位側受信機103の時刻バイアスuBの決定に
は影響するが、測位側GPS受信機103の位置ベクト
urkの精度には影響しない。なお、L1で観測したC/Aま
たはP(Y)コードの位相と、L2で観測したP(Y)コードの位
相を比較することによって、電離層における遅延時間を
求めることもできる。
【0038】次に、測位側についても観測誤差n,uεが
同様に小さいとすると、式(1)において、以上により
求めたnεを代入すれば、見かけの距離n,uRは観測値、
測位側で受信した信号を発信した時の衛星の位置ベクト
n,urkも観測値であるため、未知数は測位側GPS受
信機103の位置ベクトルurkと時刻バイアスuBだけで
あって、独立変数は4個である。従って、測位側と基準
側で共通した4個以上の衛星が観測できれば、最小二乗
法によりurkuBを求めることができる。
【0039】以上のように衛星時刻の誤差nεを補正す
ることにより、衛星の配置が悪くなければ、測位側と基
準側の距離が100km程度であっても、以上の演算により
基準側に対する測位側の位置が相対的に1m程度の精度で
測定できる。この様なコード位相を使った差動測位を
“DGPS”と呼んでいる。
【0040】基準側GPS受信機102と測位側GPS
受信機103において、L1またはL2の搬送波の位相を、
基準信号と衛星信号の搬送波の比較によって同時に観測
する。この搬送波位相の測定値は時間に対して連続的に
累積した値を出力し、1サイクルを超える分も含めて使
用する。
【0041】基準側GPS受信機102で衛星nについ
て、受信機の位置ベクトルをsrk、信号を発信した時の
衛星の位置ベクトルをn,srk、衛星と受信機間の距離を
n,sρとすると、以下の式(3)が成立する。
【0042】
【数3】 この場合、受信機の位置ベクトルk srは既知であり、衛
星の位置ベクトルn,srkは方位ベクトルn,shkと共に基準
側で観測したC/AまたはP(Y)コードの位相で求めた時刻
で計算してn,sρを求める。そして、衛星nについて観測
した搬送波位相をn, s,Xφ、搬送波の整数値バイアスを
n,s,XNとすると、以下の式(4)及び式(5)が成立す
る。
【0043】
【数4】
【数5】 ここで、n,s,Xφは観測値なので式(5)右辺の値を求
めることができる。
【0044】更に搬送波LXについて、測位側GPS受信
機103における衛星nの観測についても同様に、受信
機の位置ベクトルをurk、信号を発信した時の衛星の位
置ベクトルをn,urk、衛星と受信機間の距離をn,uρとす
ると、以下の式(6)が成立する。
【数6】
【0045】衛星の位置ベクトルn,urkは方位ベクトル
n,uhkと共に測位側で観測したC/AまたはP(Y)コードの位
相による時刻で計算するが、k urは未知の変数である。
そして、衛星nについて観測した搬送波位相をn,u,Xφ、
搬送波の整数値バイアスをn, u,XNとすると、以下の式
(7)及び式(8)が成立する。
【0046】
【数7】
【数8】
【0047】式(8)から式(5)を引くことにより、
以下の式(9)に示すように衛星nが送信する搬送波LX
の位相n,Xφを消去できる。
【数9】 ここで、n,u,Xφ-n,s,Xφのことを一重位相差と呼んで
いる。ここで、式(9)のρに式(4)と式(5)のρ
を代入すると、以下の式(10)が得られる。
【数10】
【0048】整数値バイアスn,u,XNとn,s,XNが既知であ
ると仮定すると、未知数はu,Xφ、s ,Xφ、u krであっ
て、5個と見ることができる。しかしu,Xφとs,Xφを個
別に求めることは困難であるだけでなく、個別に求めて
もあまり意味がないので搬送波の位相測定で基準とした
測位側の位相u,Xφと基準側の位相s,Xφの差XΦを一個
の変数として4個の未知数と考える。そして、XΦは基
準側と測位側にそれぞれ設置した基準発振器の変化など
によって、観測のたびに変動するが、同時に観測した衛
星間では同じ値である。そして、観測できた衛星数mが
5個以上あれば、衛星数mの独立した式(10)が得ら
れるのに対し、未知数は4個なので冗長性がある。ここ
で、搬送波位相n,u,Xφとn,s,Xφの差について測定誤差
n,Xεを想定して、観測した全ての衛星についてn,Xεが
できるだけ小さくなるような条件でu krとXΦを決定する
関係式(11)を以下のようにして求める。
【数11】
【0049】ここで、衛星の方位ベクトルn,uhku krの
関数であるが、DGPSで方位ベクトルを求めた位置と
観測位置とのずれが、衛星までのでの距離に比べて十分
小さい為、この近似による誤差は少ない。そして、式
(11)においてn,Xηは既知で、n,XNは観測タイミン
グに対しては不変であって、一回の観測の範囲では既知
として取り扱い、n,Xεを小さくする条件として最小二
乗法を適用すると、式(12)のようになる。
【数12】
【0050】式(12)に式(11)を代入して整理す
ると、式(13)
【数13】 のようになり、u krとXΦに関する連立一次方程式が得ら
れる。GマトリクスとΓマトリクスを以下の式(14)
及び式(15)のように定義する。
【0051】
【数14】
【数15】
【0052】このように定義すると、u krとXΦは、以下
の式(16)
【数16】 で求めることができる。
【0053】また、GDOPを以下の式(17)
【数17】 のように定義すると、n,u,XNとn,s,XNが求まった場合に
得られるu krの精度を、概略GDOPと観測した位相差n,u,X
φとn,s,Xφの分散σφと波長Xλとの積によって見積も
ることができる。
【0054】次に、式(16)の条件を式(11)に代
入してu krとXΦを消去すると、式(18)
【数18】 が得られる。ここで、式(11)のn,u,XNとn,s,XNを個
別に求めるのは、n,u,Xφとn,s,Xφの場合と同様に困難
であって、求める意義も少ない。ここでも、両者の差で
あるn,XNを決定すれば十分である。この式はm個ある
が、u krとXΦを消去したので実質的にはm-4個の条件し
か得られない。これに対して未知の整数値バイアスn,XN
はm個あるので、一回の観測では確定できないことは明
らかである。L1とL2の二周波について計算すると、この
式は2m個になって2m-5個の条件が得られるが、整数値バ
イアスn,XNも2m個になる。
【0055】次に、時間が経過して衛星の配置が変化し
た時、改めて衛星信号を観測する。この時、式(18)
において、基準側と測位側の搬送波位相の測定でサイク
ルスリップと呼ばれる不連続が発生しなければ、観測タ
イミングの識別子aに対して整数値バイアスn,XNは変化
しない。そのため、観測の度に一周波でm-4個、二周波
で2m-5個の条件式が得られることになる。観測の回数を
重ねると、式(18)の数が増えるので、最小二乗法に
よって整数値バイアスn,XNを求めることができる。しか
し、余り短い時間で観測回数を増やしても、衛星方位の
変化が少ないため、十分な精度が得られない。衛星の配
置や個数に依存するが、数分程度の時間が必要である。
【0056】そこで、観測aの1からtまでについて、n,X
εの二乗和を最小にする最小二乗法によれば以下の式
(19)の条件が成立する。
【数19】 これに式(18)を代入して整理すると、式(20)
【数20】 が成立する。整数値バイアスp,XNについて整理すると、
式(21)
【数21】 が得られる。
【0057】ここでΩマトリクスを、以下の式(22)
のように定義し、
【数22】 またζベクトルを、以下の式(23)のように定義す
る。
【数23】
【0058】このように定義すると、整数値バイアス
p,XNを以下の式(24)のように横ベクトル
【数24】 で求めることができる。
【0059】また、得られた整数値バイアスp,XNの分散
σNは概略n,u,Xφとn,s,Xφの一重位相差の差分散σφ
とΩマトリクスにより、以下の式(25)
【数25】 で見積もることができ、これが1より十分小さくて、4
個以上の整数値バイアスp ,XNが分散の範囲内に一つだけ
整数値を含んでいる場合に整数値バイアスp,XNが確定し
たと判断する。
【0060】図2は図1の測位演算装置104における
処理を説明する流れ図である。図2において201は処
理の開始、202は状態変数の初期化、203は図1の
基準側GPS受信機102と測位側GPS受信機103
で観測したコードおよび搬送波の位相を入力する位相入
力、204は搬送波の追尾状態に異常があった場合の処
理を行う搬送波位相前処理、205は衛星の配置を評価
する式(17)のGDOP演算、206は整数値バイアスが
確定すれば測位が可能になるかを判定する配置判定、2
07は整数値バイアスが確定しているかを判定するバイ
アス判定、208は確定した整数値バイアスにより式
(16)で測位側の相対位置を演算する相対位置演算、
209は相対位置演算208で求めた相対位置を出力す
る位置出力、210は位相入力203した衛星の配置で
きまるマトリクスGの逆マトリクスΓを求めるΓマトリ
クス演算(式(15))、211は整数値バイアスを求
めるためのマトリクスΩを求めるΩマトリクス演算(式
(22))、212はΩマトリクスによって整数値バイ
アスとその分散σNを求めるN・σN演算(式(24)、
式(25))、213はバイアスを求める方程式で得ら
れる整数値バイアスの精度を評価するN精度判定、21
4は整数値バイアスの精度が十分でなく整数値が確定で
きない場合に測位側の相対位置を演算する相対位置演算
である。
【0061】以下では、図1の構成と図2の流れ図を使
って更に詳細に本実施形態における衛星信号の搬送波位
相による測位演算方法を説明する。本実施形態における
測位演算では、測位に利用する衛星を管理する管理表を
設け、初期化202においてこの管理表を空にすると共
に、観測タイミングaを0にする。
【0062】位相入力203において、観測したコード
および搬送波の位相を入力すると、基準側と測位側の両
者で観測値が得られた衛星について、上記管理表に記録
する。この時、位相を入力した衛星の仰角や信号対雑音
比などが所定の条件を満たさない場合は排除する。加え
て、上記管理表に既に保持されている衛星と一致した場
合は連続、はじめての衛星ならば初期であるとする。そ
して、基準側か測位側のどちらかで位相を入力できない
衛星を排除する。更に、基準側と測位側の両者から位相
を入力した場合であっても、基準側か測位側のどちらか
で“サイクルスリップ”と呼ばれる搬送波位相の不連続
が検出された場合は初期であるとする。
【0063】GDOP演算205では、上記管理表に4個以
上の衛星が有る場合に式(17)を評価し、4個以下で
あればGDOPを無効な値とする。配置判定206では、GD
OPが30以下の場合はバイアス判定207へ分岐し、超え
る場合は位相入力203に分岐して次の入力を待つ。バ
イアス判定207は、上記管理表において連続となって
いる衛星の内で、式(11)に示す整数値バイアスn,XN
が確定している衛星だけで評価したGDOPが30以下である
場合に相対測位演算208に分岐し、それ以外の場合は
Γマトリクス演算210に分岐する。Γマトリクス演算
210では、式(15)によってΓマトリクスを計算す
る。
【0064】次に、Ωマトリクス演算211では上記管
理表に記載される衛星と対応した配列数のΩマトリクス
を式(22)によって計算する。そして、N・σN演算2
12において式(24)によって整数値バイアスn,XN
を、式(25)によって分散σ Nをそれぞれ計算する。N
精度判定213では、分散σNが0.25より小さくて、各
整数値バイアスp,XNが分散の範囲内に整数値を含んでい
る場合に整数値バイアス p,XNが確定したと判断する。
【0065】整数値バイアスp,XNが確定した場合はそれ
らを対応する整数値に置き換える。更にN精度判定21
3では、整数値バイアスp,XNが確定した衛星だけで測位
が可能か否かを判定して、可能な場合は相対位置演算2
08に分岐し、それ以外の場合は相対位置演算214へ
分岐する。
【0066】相対位置演算208では、整数値バイアス
p,XNが確定した衛星によって式(16)で相対位置を計
算すると共に、この結果を用いて未確定の整数値バイア
p, XNについて整数値バイアスp,XNを求める。ただし、
追加で求めた整数値バイアスは候補値として、20秒間は
位置の計算に使用しないようにして評価を継続し、支障
が無いと判定できる場合は確定したとする。相対位置演
算208で得られる相対位置は、衛星の配置、マルチパ
ス、相対距離、電離層などの状況によるが、1cmから20c
m程度の精度が得られる。
【0067】相対位置演算214では、得られた整数値
バイアスp,XNを整数に丸めないで、そのまま式(16)
に代入して相対位置を求める。得られる位置の精度は、
衛星配置が良好になって数分経過すれば、コード位相に
よるDGPS測位に比べると、通常は精度が良い上にマ
ルチパスの影響も少ない。
【0068】次に、相対位置演算208または相対位置
演算214で得た相対位置を位置出力209で、図1に
おける測位演算装置104の外部へ出力した後、位相入
力203で次の入力を待ち、新たな位相入力に対して同
様の処理を継続する。
【0069】以上のように本発明の実施形態によれば、
従来例のカルマンフィルタを用いる時間的に新しい観測
結果により重きを置いた評価に比べ、一つの観測タイミ
ングで得たコードと搬送波の位相の範囲で、これらの式
ができるだけ少ない誤差で同時に成り立つ条件で、測位
側の位置と搬送波の測定で基準とした位相の差を定める
条件式を求め、更に測位側の位置と搬送波の測定で基準
とした位相の差に相当する変数とを消去して、整数値バ
イアスを求めるための条件式(18)を求め、複数の観
測タイミングで同様に求めたこれらの条件式を独立の式
として、これらの式が互いにできるだけ小さな偏差で成
立する条件で整数値バイアスを求めことにより、全ての
有効な観測結果を無駄なく利用できるので、短い観測時
間で整数値バイアスが確定できる上に、整数値バイアス
の確定が測位側の動きに影響されないので汎用性が高く
なる点で優れた効果が得られる。
【0070】また本発明の実施形態によれば、従来例の
整数値バイアスの候補を評価し選別する方法に比べ、複
数の観測タイミングで同様に求めたこれらの条件式を独
立の式として、これらの式ができるだけ少ない誤差で同
時に成り立つ条件で、整数値バイアスを演算により総合
的に求めるので、候補として多数の整数値バイアスの組
合せを想定した、大容量の記憶装置や高い演算能力を要
する演算装置を必要としないことに加え、マルチパスに
よる搬送波位相の揺らぎが整数値バイアスの確定に及ぼ
す影響が少ない点で優れた効果が得られる。
【0071】測位衛星信号を基準局と測位局で同時に受
信し、その受信信号の搬送波位相を比較して基準局に対
する測位局の相対位置を求める、本実施形態に係る衛星
信号の搬送波位相による測位演算方法は、一つの観測タ
イミングで得たコードと搬送波の位相の範囲で、これら
の式ができるだけ少ない誤差で同時に成り立つ条件で、
測位側の位置と搬送波の測定で基準とした位相の差を定
める条件式(13)を求め、更に測位側の位置と搬送波
の測定で基準とした位相の差に相当する変数とを消去し
て、この消去した式について互いにできるだけ小さな偏
差で成立する条件で整数値バイアスを求めるので、短い
観測時間で整数値バイアスが確定できる上に、小規模の
記憶装置と低い演算能力の演算装置であっても移動中に
実時間で搬送波位相による測位が可能であるためその効
果は大きい。
【0072】測位演算機能と受信モデム機能を内蔵し
た、本実施形態の衛星信号の搬送波位相による測位演算
方法を用いるGPS受信機は、短い観測時間で整数値バ
イアスが確定できる上に、小規模の記憶装置と低い演算
能力の演算装置であっても実時間で搬送波位相による測
位が可能であって、また小型で低消費電力のGPS受信
機を提供できるためその効果は大きい。
【0073】基準側と測位側から送られてくるコードお
よび搬送波の位相を通信ネットワークを介して受信する
ようにした、本実施形態の衛星信号の搬送波位相による
測位演算方法を用いる中央装置は、短い観測時間で整数
値バイアスが確定できる上に、小規模の記憶装置と低い
演算能力の演算装置であっても、より多くの測位につい
て同時並行して測位演算が行えるためその効果は大き
い。
【0074】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施
の形態に係る測位演算方法を用いてGPS測量を行うシ
ステムの構成は図1と同様である。図3は図1の測位演
算装置104における処理を説明する流れ図である。概
略の処理は図2と同様であって以下にその違いを説明す
る。すなわち図3において、215は図2のN・σN演算
212とは異なる方法で整数値バイアスn,XNを求めるN
ベクトル演算、216はNベクトル演算215で求めた
整数値バイアスNベクトルを次の観測タイミングのNベク
トル演算215まで保持するNベクトル保存、217は
求めた整数値バイアスn,XNの精度を個々に評価するN精
度判定を行う段階を備えている。
【0075】本実施形態における衛星信号の搬送波位相
による測位演算方法の動作を以下に説明するが、概略の
動作は第1の実施の形態と同様であるので、以下では測
位演算方法の動作の違いについて図3の流れ図を使って
詳細に説明する。図3において、Nベクトル演算215
ではΩマトリクス演算211で演算したΩマトリクスを
受けて整数値バイアスNベクトルを演算する。ここで、
観測タイミングを識別する識別子tを定義し、マトリク
スやベクトルに()付でタイミングを区別することにす
る。
【0076】今の観測タイミングはtであるとして、Ω
マトリクスに対応した整数値バイアスp,XN(t)の内で、
前の観測タイミングのNベクトル保存216で保存して
いるN(t-1)ベクトルの成分である整数値バイアスp,XN(t
-1)に、含まれていない成分がある場合は、前回のN(t-
1)ベクトルで式(16)によってXΦを求め、更にコー
ド位相によるDGPSで測位側の相対位置urを求める。
そして、式(10)に求めたXΦとurを代入して概略の
p,XNを求めて初期値とする。初めて行うNベクトル演算
の処理では、XΦを0として、全てのp,XNを初期化する。
N(t-1)ベクトルの全成分が決まると、N(t)ベクトルを以
下の式(26)
【数26】 によって求める。ただし、ζベクトルは式(23)で求
め、DマトリクスはΩマトリクスの対角成分以外を0とし
たマトリクスであるとする。そして、Dマトリクスの逆
マトリクスは以下の式(27)のように
【数27】 定義される。このとき、計算精度を高めるためには、Ω
マトリクスの対角成分ができるだけ大きな値になるよう
に、配列の順序を並べ替えておくことが必要である。続
くNベクトル保存216では次の観測タイミングにおけ
るNベクトル演算215に備えて、今回の観測タイミン
グで求めたN(t)ベクトルを保存する。
【0077】次に、N精度判定217ではNベクトル演算
215で求めたN(t)ベクトルである整数値バイアスp,XN
の各成分を個別に、10秒間隔で標本化して49秒間保
持する。そして、同じ識別子について標本化して保存し
ている4個の整数値バイアスと今回のタイミングで求め
た整数値バイアスを相互に比較して、同じ整数値に0.1
以下の精度で収まっているかを判定する。そして、複数
の整数値バイアスがこの条件を満たし、対応する衛星の
組合せで配置判定206の条件を満たす場合に相対位置
演算208に分岐すると共に、対応する整数値バイアス
が確定したと判定する。それ以外の場合は相対位置演算
214に分岐する。
【0078】以上のように本実施形態によれば、第1の
実施形態に比べ整数値バイアスNを求める演算量が大幅
に削減できる点で優れた効果が得られる。通常、衛星数
が多く、2周波で処理する方が、短い観測時間で整数値
バイアスNを確定できる。そして、整数値バイアスNの数
は、衛星数mまたはその2倍になる。しかし第1の実施
形態においては、整数値バイアスNとその精度を評価す
る分散σNの演算における、逆マトリクスの演算式(2
4)と式(25)を2回行う必要がある。そして、この
演算は整数値バイアスNの数が多くなると急激に増大す
るという欠点を有している。これに対して、本実施形態
では整数値バイアスNを求めるのに反復法を用い、前の
観測タイミングで得た整数値バイアスNを初期値とする
ので、少ない処理量で精度良く整数値バイアスNを求め
ることができるのに加え、標本化した観測タイミングに
求めた整数値バイアスNを保存し、それらの変動によっ
て整数値バイアスNの精度を評価するので、更に少ない
処理量で整数値バイアスNを確定できるので、小規模の
記憶装置と低い演算能力の演算装置であっても実時間で
搬送波位相による高精度の測位が可能である点で優れた
効果が得られる。
【0079】測位衛星信号を基準局と測位局で同時に受
信し、その受信信号の搬送波位相を比較して基準局に対
する測位局の相対位置を求める、本実施形態の衛星信号
の搬送波位相による測位演算方法は、整数値バイアスN
を求める演算において、前の観測タイミングで得た整数
値バイアスNを初期値として、連立方程式の解法に反復
法を用いて漸近的に整数値バイアスNを求めるので、少
ない演算量にもかかわらず十分な精度をもつ整数値バイ
アスNを求めることができ、小規模の記憶装置と低い演
算能力の演算装置であっても実時間で搬送波位相による
測位が可能となるためその効果は大きい。更に、本実施
形態の衛星信号の搬送波位相による測位演算方法は、求
めた整数値バイアスNについて、標本化した観測タイミ
ングに求めた整数値バイアスNを保存し、それらの変動
によって整数値バイアスNの精度を評価するので、更に
少ない処理量と整数値バイアスNを保存する僅かな記憶
領域で、確実に整数値バイアスNの確定を判定できるた
めその効果は大きい。
【0080】(第3の実施の形態)図4は本実施形態に
係る衛星信号の搬送波位相による測位演算方法を用いて
GPS測量を行うシステムの構成を示すブロックであ
る。図4において本実施形態におけるGPS測量システ
ムは、位置を求めるためのL1とL2の信号を送信している
GPS衛星101と、アンテナの設置位置が既知である
L1およびL2の搬送波の位相を測定する基準側GPS受信
機102と、基準側に対する相対位置の測定に供するL1
およびL2の搬送波の位相を測定する測位側GPS受信機
103と、基準側GPS受信機102で観測したコード
および搬送波の位相を記録する記録装置107と、測位
側GPS受信機103で観測したコードおよび搬送波の
位相を記録する記録装置108と、位置の測定において
記録装置107および108に記録している位相の記録
を読み取って、後処理で位置を求める測位演算装置10
9とから構成されている。
【0081】以上のように構成した本実施形態に係るG
PS測量システムについて、以下にその動作を説明す
る。本実施形態のGPS測量システムは、通信路を設け
ず基準側と測位側それぞれで観測した位相を記録し、後
処理によって位置を求める点が第1の実施の形態と異な
っている。図5は図4の測位演算装置109における処
理を説明する流れ図である。図5において201は処理
の開始、202は状態変数の初期化、203は図4の基
準側の記録装置107と測位側の記録装置108で記録
したコードおよび搬送波の位相を入力する位相入力、2
04は搬送波の追尾状態に異常があった場合の処理を行
う搬送波位相前処理、205と227は衛星の配置を評
価する式(17)のGDOP演算、206と228は整数値
バイアスが確定していれば測位が可能かを判定する配置
判定、210と229は衛星の配置できまるマトリクス
Gの逆マトリクスΓを求めるΓマトリクス演算(式(1
5))、211は整数値バイアスを求めるためのマトリ
クスΩを求めるΩマトリクス演算(式(22))、21
2はΩマトリクスによって整数値バイアスNとその分散
σNを求めるN・σN演算(式(24)、式(25))、
213はバイアスを求める方程式で得られる整数値バイ
アスの精度を評価するN精度判定、218は位相記録の
終わりを調べる入力終了判定、219は整数値バイアス
の識別子pについて走査の終わりを調べるp終了判定、2
20は整数値バイアスの精度が十分な場合に整数値バイ
アスNを整数に丸める整数化、221は整数値バイアスN
とその分散σNを保存するN・σN保存、222は次の整
数値バイアスの識別子に変更するp更新、223は入力
終了判定218で入力が終了した後の処理に移る準備を
行う再初期化、224は再度始めから位相を入力する位
相入力、225は位相記録の終わりを調べる入力終了判
定、226は処理の終了、230はN・σN保存221で
保存した整数値バイアスNによって測位側の相対位置を
求める相対位置演算、231は相対位置演算230で求
めた相対位置を出力する位置出力である。
【0082】図4の構成と図5の流れ図を用いて更に詳
細に本実施形態に係る衛星信号の搬送波位相による測位
演算方法を説明する。なお、相対位置の演算と整数値バ
イアスNの演算原理は第1の実施形態と同様であって、
以下ではその違いについてのみ説明することにする。図
5において、位相入力203では記録されている位相を
観測の順に入力する。本実施形態では、図2と異なり一
回目の入力では相対位置の演算を行わない。また、N・
σN演算212は最後の入力まで到達した後に行い、第
1の実施形態のように観測タイミング毎には行わない。
そして、第1の実施形態では整数値バイアスp,XNは受信
した衛星識別子nと搬送波周波数LXに対応付けた識別子
であるとし、一旦衛星信号が途切れた場合およびサイク
ルスリップと呼ばれる搬送波位相の不連続が検出された
場合は初期化していた。これに対して、本実施形態では
再度受信した衛星信号について、新たな整数値バイアス
p,XNの識別子pを付与して、以後別の整数値バイアスと
して処理する。そして、基準側と測位側で連続した受信
が2分に満たない期間に対応した整数値バイアスp,XN
は、位置の決定に寄与しない上に、整数値バイアスの計
算において負荷が増大し、解を求める際の障害になるの
で、N・σN演算212の前に暫定的に除去する。
【0083】図5のΩマトリクス演算211では、Ωマ
トリクスの式(22)とζベクトルの式(23)の各要
素を位相入力に応じて、前の観測タイミングにおける入
力で計算した各要素を使って、追加的に累積加算する。
また、信号の途切れなどで新しく追加した整数値バイア
スの識別子に対しては、マトリクスの配列要素がむやみ
に増大しないように、途切れる前の対応する整数値バイ
アスを含まない新たな縦と横のベクトルを追加して保持
する。
【0084】入力の終了を入力終了判定218で検出し
た時はN・σN演算212に分岐する。N・σN演算212
では、Ωマトリクス演算211で求めたΩマトリクスと
ζベクトルにより、式(24)と式(25)でNとσN
演算する。p終了判定219からN・σN保存221まで
は、全ての識別子pについて順次、整数値バイアスNを求
め分散σNを評価し、可能な場合は整数値バイアスNを整
数に丸め、得られた結果を保存する。
【0085】次に、N・σN保存221で保存したN・σN
を使い、相対位置演算230において、位相入力224
で再び最初から入力した位相によって測位側の位置を順
次演算する。
【0086】以上の様な後処理による測位演算では、記
録している位相の全てを使うので、より確実に整数値バ
イアスの整数値が確定でき、確定できない場合にも高い
精度で整数値バイアスが求まる。そして、全てを使って
求めた整数値バイアスで、全ての観測タイミングについ
て測位側の相対位置を計算するので、観測の初期から高
い精度で測位側の相対位置を求めることができる。加え
て、整数値バイアスの演算を一括して行うので、全体を
通した演算量が減少する。
【0087】以上のように本実施の形態によれば、従来
例のカルマンフィルタを用いる時間的に新しい観測結果
により重きを置いた評価に比べ、一つの観測タイミング
で得たコードと搬送波の位相の範囲で、測位側と基準側
で観測した搬送波位相の差と、基準とした位相の測位側
と基準側の差と、測位側の位置との関係式を求め、これ
らの式ができるだけ少ない誤差で同時に成り立つ条件
で、測位側の位置と搬送波の測定で基準とした位相の差
を定める条件式を求め、求めた測位側の位置と搬送波の
測定で基準とした位相の差を上記関係式に代入すること
により、測位側の位置と搬送波の測定で基準とした位相
の差に相当する変数とを消去した式を求めるとともに、
多数の観測タイミングについて求めた上記変数を消去し
た式について、互いにできるだけ小さな偏差で成立する
条件で、一括して整数値バイアスを演算するので、全て
の有効な観測結果を無駄なく利用でき、観測時間が短い
場合でもより確実に整数値バイアスが確定できるととも
に、全体を通した演算量が減少する点で優れた効果が得
られる。
【0088】また本実施の形態によれば、従来例の整数
値バイアスの候補を評価し選別する方法に比べ、複数の
観測タイミングで同様に求めたこれらの条件式を独立の
式として、互いにできるだけ小さな偏差で成立する条件
で総合的に求めるので、候補として多数の整数値バイア
スの組合せを想定する必要が無いので、大容量の記憶装
置や高い演算能力を要する演算装置を必要としない点で
優れた効果が得られる。
【0089】測位衛星信号を基準局と測位局で同時に受
信し、その受信信号の搬送波位相をそれぞれ記録し、こ
の記録した搬送波位相を比較して基準局に対する測位局
の相対位置を求める、本実施形態の衛星信号の搬送波位
相による測位演算方法は、一つの観測タイミングで得た
コードと搬送波の位相の範囲で、測位側と基準側で観測
した搬送波位相の差と、基準とした位相の測位側と基準
側の差と、測位側の位置との関係式を観測の都度求め、
この関係式が互いにできるだけ小さな偏差で成立する条
件で、測位側の位置と搬送波の測定で基準とした位相の
差を決定する条件を求め、更にこの観測時点の測位側位
置と搬送波の測定で基準とした位相の差の情報を除いた
整数値バイアスを求めるための条件式(18)を求め、
多数の観測タイミングで同様に求めたこれらの条件式を
独立の式として、多数の観測タイミングについてこの条
件式が互いにできるだけ小さな偏差で成立する条件で、
一括して整数値バイアスを演算するので、全ての有効な
観測結果を無駄なく利用でき、観測時間が短い場合でも
より確実に整数値バイアスが確定できるだけでなく、全
体を通した演算量が少ないので、小規模の記憶装置と低
い演算能力の演算装置であっても短い時間で搬送波位相
による測位演算が完了するためその効果は大きい。
【0090】(第4の実施の形態)本実施形態に係る衛
星信号の搬送波位相による測位演算方法を用いてGPS
測量を行うシステムの構成と動作は上記第1の実施形態
と同様であるが、図2のΩマトリクス演算211とN・
σN演算212の動作が異なっている。以下、上記第1
の実施形態と違う点についてのみ説明する。
【0091】本実施形態では、Ωマトリクス演算211
では上記管理表に記載される衛星と対応した配列数のΩ
マトリクスを式(22)とは異なる方法で計算する。以
下の説明では整数値バイアスp,XNの一部が既に確定して
いるものとし、衛星の識別子pが1からwまでは整数値バ
イアスが未確定、pがw+1からmまでは確定しているもの
とする。また、確定した整数値バイアスだけで搬送波測
位ができなくなった最初の観測結果に対する観測の識別
子aをτとする。この条件で式(21)を整理しなおす
と、以下の式(28)
【数28】 が得られる。ただし、整数値バイアスが未確定の場合は
式(28)に代えて元の式(21)を用い、以降の処理
も第1の実施形態と同様に行う。以下では、観測した衛
星について確定済みと未確定の両方の整数値バイアスが
含まれている場合についてのみ説明する。
【0092】ここでΩマトリクスを、以下の式(29)
のように
【数29】 定義し、またζベクトルを、以下の式(30)のように
【数30】 と定義し、式(22)と式(23)に代えてΩマトリク
スとζベクトルを求める。
【0093】そして、N・σN演算212において整数値
バイアスp,XNを横ベクトルの式(31)
【数31】 で求める。
【0094】更にN・σN演算212において、整数値バ
イアスp,XNの分散σNを概略n,u,Xφとn,s,Xφの一重位
相差の差分散σφと式(29)のΩマトリクスにより、
以下の式(32)
【数32】 で見積もる。これが0.25より小さくて、各整数値バイア
p,XNが分散の範囲内に整数値を含んでいる場合に整数
値バイアスp,XNが確定したと判断する。そして、整数値
バイアスp,XNが確定した場合はそれらを対応する整数値
に置き換える。
【0095】N精度判定213では整数値バイアスp,XN
が確定した衛星だけで測位が可能か否かを判定するが、
これ以降の処理は第1の実施形態と同様である。
【0096】以上のように本実施形態によれば、観測し
た衛星について確定済みと未確定の整数値バイアスが含
まれ、確定済みの衛星だけで搬送波測位ができない場合
に、確定済みの整数値バイアスを既知とし、未確定の整
数値バイアスだけについて、関係式が互いにできるだけ
小さな偏差で成立する条件で求めるので、観測した衛星
について確定済みと未確定の整数値バイアスが含まれる
場合に、確定済みの整数値バイアスを有効に生かせるた
め、第1の実施形態に比べ短い観測時間で整数値バイア
スが確定できる上に、未知数が少ない分だけ演算量が少
なくなる点で優れた効果が得られる。
【0097】なお以上の説明では、搬送波の位相をL1ま
たはL2の一方を使って相対位置や整数値バイアスを求め
るとしたが、これに限らず、L1とL2に整数の重み付けを
した和で演算する、L1とL2の両者について別の整数値バ
イアスを設定して演算する、等により整数値バイアスを
短時間で求めたり、電離層の影響を軽減したりすること
もできる。また、L1とL2のコードの位相差から電離層に
よる遅延を求め、また別に観測した観測網で求めた電離
層の遅延や高精度の軌道情報を利用して、基準側と測位
側の位置の違いによる誤差を軽減することもできる。
【0098】また以上の説明では、基準側と測位側で位
相を測定した時刻が一致しているとして説明したが、こ
れに限らず、衛星の軌道要素または観測した衛星信号の
搬送波周波数を使って、基準側で観測した時刻を測位側
で測定した時刻にずらした場合に観測されるコードおよ
び搬送波の位相を予測して補正することもできる。
【0099】更に第1の実施形態では、観測タイミング
毎に毎回、整数値バイアスを求める式(24)とこれを
評価する式(25)の演算を行うとして説明したが、こ
れに限らず、搬送波の観測が可能となった後も、衛星数
や配置によって整数値バイアスの演算が意味を持つまで
に必要な期間は異なるが、これを予め判断して整数値バ
イアスを求める演算を間引くこともできる。また、整数
値バイアスの分散によって、その後に続く数回の観測タ
イミングについて整数値バイアスを求める演算を間引く
こともできる。
【0100】更に第1の実施形態では、図1の測位側の
GPS受信機とは別に測位演算装置と受信モデムを設置
したが、これに限らず、測位演算装置と受信モデムをG
PS受信機に内蔵することもできる。また、基準側と同
様に測位側のGPS受信機にも送信モデムを設置し、通
信ネットワーク等を介した中央装置において測位演算を
行うこともできる。
【0101】また第2の実施形態では、Nベクトル演算
215における連立方程式の解法として小国力編「行列
演算ソフトウエア」(丸善)p174に示されるヤコビ法を
用い、反復回数を1回だけとして説明したが、この方法
に限らず、反復回数を複数回にして精度を高くすること
もできるし、幾分演算量が増え複雑さも増すが小国力編
「行列演算ソフトウエア」(丸善)p174に示されるガウ
ス−ザイデル法などを用いることで精度を高くすること
もできる。
【0102】また第3の実施形態では、記録した全ての
位相について一括してN・σN演算212で整数値バイア
スNと分散σNを演算するとしたが、これに限らず、整数
値バイアスp,XNの数が増え過ぎないように、適切なタイ
ミングで区切ることで、分割して処理することもでき
る。
【0103】また、これまでの説明では基準側の位置が
既知であるとして、この基準とする位置が変化する場合
について触れていないが、観測タイミング毎に基準側の
正確な位置が分かれば移動していてもかまわない。
【0104】また、これまでは米国が運用しているNA
VSTAR衛星の信号を受信して搬送波位相による測位
演算する例で説明したが、ロシア共和国が運用している
GLONASS衛星など、スペクトル拡散信号の位相
と、衛星信号の搬送波位相を測定して位置を求める受信
機についても同様に実施可能である。
【0105】
【発明の効果】以上のように本発明は、測位衛星信号を
基準局と測位局で同時に受信し、受信した前記測位衛星
信号の搬送波位相を比較して基準局に対する測位局の相
対位置を求めるに際し、一つの観測タイミングで得たコ
ードと搬送波の位相の範囲で、観測の都度測位側の位置
と搬送波の位相測定で基準とした位相の差を、複数の衛
星について求めた関係式ができるだけ少ない誤差で同時
に成り立つ条件で求め、更にこの求めた観測時点の測位
側の位置と搬送波の位相測定で基準とした位相の差の変
数を消去して、複数の観測タイミングで同様に求めたこ
れらの消去した式を独立の式とし、互いにできるだけ小
さな偏差で成立する条件で整数値バイアスを求めること
により、短い観測時間で整数値バイアスが確定できる上
に、小規模の記憶装置と低い演算能力の演算装置であっ
ても移動中に実時間で搬送波位相による測位を行うこと
ができるという効果が得られる。
【0106】加えて本発明は、整数値バイアスNを求め
る演算において、前の観測タイミングで得た整数値バイ
アスNを初期値として、連立方程式の解法に反復法を用
いて漸近的に整数値バイアスNを求めることにより、少
ない演算量にもかかわらず十分な精度をもつ整数値バイ
アスNを求めることができ、低い演算能力の演算装置で
あっても実時間で搬送波位相による測位が可能となると
いう効果が得られる。
【0107】加えて本発明は、求めた整数値バイアスN
について、標本化した観測タイミングに求めた整数値バ
イアスNを保存し、それらの変動によって整数値バイア
スNの精度を評価することにより、少ない処理量と整数
値バイアスNを保存する僅かな記憶領域で、確実に整数
値バイアスNの確定を判定できるという効果が得られ
る。
【0108】加えて本発明は、観測した衛星について確
定済みと未確定の整数値バイアスが含まれ、確定済みの
衛星だけで搬送波測位ができない場合に、確定済みの整
数値バイアスを既知とし、未確定の整数値バイアスだけ
について、関係式が互いにできるだけ小さな偏差で成立
する条件で求めることにより、確定済みの整数値バイア
スを有効に生かせるため、より短い観測時間で整数値バ
イアスが確定できる上に、未知数が少ない分だけ演算量
が少なくなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る衛星信号の搬
送波位相による測位演算方法を用いてGPS測量を行う
システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る測位演算装置
104の処理を説明する流れ図
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る測位演算装置
104の処理を説明する流れ図
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る衛星信号の搬
送波位相による測位演算方法を用いてGPS測量を行う
システムの構成を示すブロック図
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る測位演算装置
109の処理を説明する流れ図
【符号の説明】
102 基準側GPS受信機 103 測位側GPS受信機 104 測位演算装置 105 送信モデム 106 受信モデム 107 記録装置 108 記録装置

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 衛星信号の搬送波位相を複数の衛星につ
    いて観測し、前記搬送波位相を用いて基準側に対する測
    位側の相対的な位置を求める衛星測位演算方法におい
    て、前記基準側と前記測位側のそれぞれの位置で受信し
    た同じ衛星について、前記搬送波位相差と、前記搬送波
    位相差に含まれる整数の搬送波位相バイアスと、前記搬
    送波位相の測定で基準とした位相に関する前記測位側お
    よび前記基準側それぞれの位相差と、受信した衛星の位
    置と、前記基準側および前記測位側の位置との関係式を
    求め、複数の観測タイミングで得た前記関係式が同時に
    成り立つ条件で、前記測位側の位置と前記基準とした位
    相の差を定める条件式を求め、前記条件式で求めた条件
    を前記関係式に代入することにより、前記測位側の位置
    と前記基準とした位相の差に相当する変数を消去した式
    を求め、前記変数を消去した式について、互いに小さな
    偏差で成立する条件によって整数値バイアスを求めるこ
    とを特徴とする衛星測位演算方法。
  2. 【請求項2】 衛星信号を受信するアンテナと、前記ア
    ンテナで受信した前記衛星信号の搬送波位相を複数の衛
    星について同時に観測する受信機を、位置が既知である
    基準側の位置と、測位側として異なった位置にそれぞれ
    設置し、複数の観測タイミングについて基準側と測位側
    の両者で同時に搬送波位相を観測し、観測した前記搬送
    波位相を用いて基準側に対する測位側の相対的な位置を
    求める衛星測位演算方法において、観測タイミング毎に
    測位側と基準側で受信した4個を超える同じ衛星につい
    て、測位側と基準側で観測した搬送波位相の差と、この
    位相の差に含まれる整数の搬送波位相バイアスと、搬送
    波の位相測定で基準とした位相に関する測位側と基準側
    の差と、衛星の位置と、基準側および測位側の位置との
    関係式を求め、各々の観測タイミングで得た前記関係式
    の範囲で、これらの式が少ない誤差で同時に成り立つ条
    件で、測位側の位置と搬送波の位相測定で基準とした位
    相の差を定める条件式を求め、前記条件式で求めた条件
    を前記関係式に代入することにより、測位側の位置と搬
    送波の位相測定で基準とした位相の差に相当する変数を
    消去した式を求め、観測タイミング毎にそれ以前を含め
    た複数の観測タイミングについて求めた前記変数を消去
    した式について、互いに小さな偏差で成立する条件によ
    って整数値バイアスを求めることを特徴とする衛星測位
    演算方法。
  3. 【請求項3】 過去の観測タイミングを含めた複数の観
    測タイミングについて、測位側の位置と搬送波の位相測
    定で基準とした位相の差に相当する変数を消去した式を
    求め、これらの式が小さな偏差で成立する条件で計算し
    た整数値バイアスを求めると共に、この整数値バイアス
    の分散を評価し、求めた前記整数値バイアスを中心とし
    て、前記整数値バイアスの分散で定める所定の範囲に、
    唯一の整数が含まれるという条件で、整数値バイアスが
    確定できたか否かを判定することを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載の衛星測位演算方法。
  4. 【請求項4】 各々の観測タイミングで得た前記関係式
    の範囲で、これらの式が少ない誤差で同時に成り立つ条
    件で、測位側の位置と搬送波の位相測定で基準とした位
    相の差を定める条件式を求め、求めた前記条件式で得ら
    れる測位側の位置および搬送波の位相測定で基準とした
    位相の差の精度を評価する条件を衛星の配置を用いて定
    め、この条件を満たさない衛星配置の観測タイミングに
    ついては、整数値バイアスを求める条件式の組合せに観
    測結果を加えないようにすることを特徴とする請求項1
    乃至請求項3のいずれかに記載の衛星測位演算方法。
  5. 【請求項5】 各々の観測タイミングで得た前記関係式
    の範囲で、測位側の位置と搬送波の位相測定で基準とし
    た位相の差を定める条件式を求め、求めた前記条件式で
    得られる測位側の位置の精度を評価する条件を衛星の配
    置を用いて定め、定めた条件を満たさない衛星配置の観
    測タイミングについては、整数値バイアスを求める条件
    式の組合せに観測結果を加えないようにすることを特徴
    とする請求項4に記載の衛星測位演算方法。
  6. 【請求項6】 各々の観測タイミングで得た前記関係式
    の範囲で、測位側の位置と搬送波の位相測定で基準とし
    た位相の差を定める条件式を求め、求めた前記条件式で
    得られる搬送波の位相測定で基準とした位相の差の精度
    を評価する条件を、測位側の位置の精度とは別に衛星の
    配置を用いて定め、この条件を満たさない衛星配置の観
    測タイミングについても、整数値バイアスを求める条件
    式の組合せに観測結果を加えないようにすることを特徴
    とする請求項5に記載の衛星測位演算方法。
  7. 【請求項7】 整数値バイアスを求めるための条件とし
    て、Ωマトリクス条件式とζベクトル条件式の各要素を
    保持する記憶手段を設け、観測タイミング毎に測位側の
    位置と搬送波の位相測定で基準とした位相の差に相当す
    る変数とを消去した式を求め、求めた前記変数を消去し
    た式を、前記記憶手段に保持している前記Ωマトリクス
    条件と前記ζベクトル条件の各要素に対して累積加算
    し、累積加算した前記Ωマトリクス条件と前記ζベクト
    ル条件とによって整数値バイアスを求めることを特徴と
    する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の衛星測位
    演算方法。
  8. 【請求項8】 整数値バイアスを求める演算において、
    以前の観測タイミングにおいて得た整数値バイアスを初
    期値とし、連立方程式の解法に反復法を用いて漸近的に
    整数値バイアスを求め、新たに求めた整数値バイアスを
    次回の整数値バイアスを求める演算における初期値とす
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに
    記載の衛星測位演算方法。
  9. 【請求項9】 連立方程式の解法に反復法を用いて漸近
    的に整数値バイアスを求める演算において、整数値バイ
    アスの初期値を、基準側に設置した受信機を基準とし
    て、衛星信号のコード位相を使った差動測位で測位側の
    位置を求め、求めた前記位置によって概略の整数値バイ
    アスを求め、求めた前記概略整数値バイアスを初期値と
    することを特徴とする請求項8に記載の衛星測位演算方
    法。
  10. 【請求項10】 演算で求めた整数値バイアスについ
    て、連続した観測タイミングの内で、間隔を置いて標本
    化した観測タイミングについて求めた整数値バイアスを
    保存し、個々の観測タイミングで求めた整数値バイアス
    と前記保存している整数値バイアスとを比較し、それら
    の変動量を評価することにより整数値バイアスの精度評
    価とすることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいず
    れかに記載の衛星測位演算方法。
  11. 【請求項11】 測位側と基準側で受信した4個を超え
    る同じ衛星について、概略おなじタイミングで観測した
    搬送波位相に、整数値バイアスが確定済みの位相と未確
    定の位相が含まれている場合に、確定済みの整数値バイ
    アスを既知とし、未確定の整数値バイアスだけについ
    て、整数値バイアスを決定するための関係式を求め、複
    数の観測タイミングについてこれらの関係式が、互いに
    小さな偏差で成立する条件によって前記未確定の整数値
    バイアスを求めることを特徴とする請求項1乃至請求項
    10のいずれかに記載の衛星測位演算方法。
  12. 【請求項12】 アンテナで受信した衛星信号の搬送波
    位相を複数の衛星について同時に観測する機能と、基準
    側で同じ衛星について同時に観測した搬送波位相を通信
    路を介して受け取る機能と、衛星信号の搬送波位相によ
    る測位演算機能とを有し、前記測位演算機能が、個別の
    観測タイミングで得た関係式の範囲で、測位側の位置と
    搬送波の位相測定で基準とした位相の差に相当する変数
    とを消去した式を求め、前記変数を消去した式につい
    て、互いに小さな偏差で成立する条件で整数値バイアス
    を求める請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の衛
    星測位演算方法を用いる衛星航法測位装置。
  13. 【請求項13】 衛星信号の電波を受信するアンテナ
    と、前記アンテナで受信した前記衛星信号の搬送波位相
    を複数の衛星について同時に観測する受信機を、位置が
    既知である基準側の位置とこれから離れた測位側の位置
    にそれぞれ設置し、両方の受信機と通信ネットワークを
    介して接続する中央装置であって、前記中央装置は、前
    記測位側受信機で観測した衛星信号の搬送波位相を受信
    する機能と、前記基準側受信機で観測した衛星信号の搬
    送波位相を別途入力する機能と、前記衛星信号の搬送波
    位相による測位演算機能とを備え、前記測位演算機能が
    請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の衛星測位演
    算方法を用いることを特徴とする中央装置。
  14. 【請求項14】 測位衛星信号を基準局と測位局で同時
    に受信し、受信した前記測位衛星信号の搬送波位相を前
    記基準局と前記測位局とでそれぞれ記録する受信記録手
    段を備え、前記受信記録手段に記録したそれぞれの搬送
    波位相を比較し、請求項1乃至請求項11のいずれかに
    記載の衛星測位演算方法を用いて基準局に対する測位局
    の相対位置を求めることを特徴とする衛星航法測位装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007255911A (ja) * 2006-03-20 2007-10-04 Fujitsu Ltd 測位計算装置

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