JP2003095966A - 脳梗塞後遺症治療剤 - Google Patents

脳梗塞後遺症治療剤

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JP2003095966A
JP2003095966A JP2001296314A JP2001296314A JP2003095966A JP 2003095966 A JP2003095966 A JP 2003095966A JP 2001296314 A JP2001296314 A JP 2001296314A JP 2001296314 A JP2001296314 A JP 2001296314A JP 2003095966 A JP2003095966 A JP 2003095966A
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cerebral infarction
ginkgo biloba
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disease
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Tadaomi Morimasa
忠臣 盛政
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Tokiwa Phytochemical Co Ltd
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Tokiwa Phytochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な脳梗塞後遺症治療剤及び冷え性治療剤
を提供する。 【解決手段】 本発明は、イチョウ葉エキスを有効成分
として含む脳梗塞後遺症治療剤に関するものであり、意
識障害、運動障害、言語障害、失語症、感情障害、思考
障害、感覚障害、記憶障害及び姿勢異常などの脳梗塞後
遺症の改善に有効である。本発明はまた、イチョウ葉エ
キスを有効成分として含む冷え性および現代病としての
「クーラー病」治療剤にも関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脳梗塞後遺症治療剤
に関する。さらに詳しくはイチョウ葉エキスを有効成分
として含む脳梗塞後遺症治療剤に関する。本発明はま
た、イチョウ葉エキスを有効成分として含む冷え性なら
びに現代病としての「クーラー病」の治療剤にも関す
る。
【0002】
【従来の技術】脳梗塞は脳出血、クモ膜下出血と共に脳
卒中の原因といわれ、ガン、心疾患と共に日本人の3大
死因の1つである。脳梗塞症は症状が激しいと急死する
ことがあり、運良く助かってもしばしば重大な後遺症、
例えば半身麻痺や失語症を遺して寝たきりになる事があ
る。脳梗塞症は脳の血管が詰まったり細くなって、脳の
血流が少なくなったり途絶して、脳の組織が破壊された
り、壊死に陥る病気である。
【0003】脳梗塞は大きく脳血栓と脳塞栓に分けるこ
とができる。脳血栓は、脳に分布している細い動脈の中
で固まった血が、血栓となって血管に詰まってしまうも
ので、主に高脂血症、糖尿病、高血圧症などで、細い血
管の動脈硬化が進行して起こる。脳塞栓は、脳以外の場
所にできた凝血塊が脳の血管に運ばれて栓子となって、
動脈を塞いでしまうことにより起こる。
【0004】脳の血管が詰まってから数時間の間なら、
詰まった血管を再開通させることにより、脳梗塞を最小
限に食い止めることができるが、すでに半日以上過ぎ
て、脳細胞が完全に死んでしまうと回復させることは不
可能となる。そのような場合には虚血に陥った脳細胞を
保護する薬の投与や再発を防ぐ治療が中心となる。従っ
て、最近の脳梗塞の治療では、急性期の治療発症超早期
(3-6時間以内)に行う再開通療法(組織プラスミノー
ゲン(tPA)やウロキナーゼなどの血栓溶解剤を投与
する血栓溶解療法)、その他の血流回復のための治療、
脳の浮腫(はれ)を軽減させる治療、脳を保護する治
療、再発予防の治療、薬物療法、外科的治療、血管内治
療などを行っている。
【0005】しかし、このような治療を行っても脳梗塞
ではしばしば後遺症が残る。脳梗塞後遺症には、意識障
害、運動障害及び言語障害(出血や梗塞を起こした脳の
反対側の手足に麻痺がおこる)、構音障害(顔面神経麻
痺を伴う事もある)、失語症感情障害、思考障害、感覚
障害、記憶障害、姿勢異常などさまざまな症状が含まれ
る。脳梗塞後遺症はリハビリテーションによりある程度
回復するが、完全な回復は困難であり、特に脳梗塞発症
後長期間を経て後遺症が固定したしまった後は回復が極
めて困難となる。
【0006】また、冷え性は皮膚にある、温度を感じる
神経の異常によって起こると言われている。体温は脳内
の自律神経から体温調節のための指令が身体の各器官に
送られることによって調節されており、自律神経がうま
く機能しなくなる(自律神経失調)と調節が難しくな
る。自律神経は、神経中枢(交感神経、副交感神経)の
影響を受けているため、強いストレスが続くと上手く機
能しなくなることがある。また、自律神経は、女性ホル
モンの分泌をコントロールする神経とも密接な関係にあ
る。このため、出産、閉経時などに自律神経のバランス
が崩れ、冷え症になる女性が多い。
【0007】冷え症の原因は、血流が悪いため末端まで
暖かい血液が流れにくくなることであり、例えば、動脈
硬化などが原因で血管が細くなり、末端の毛細血管に温
かい血液が流れにくくなっている場合や、静脈の流れが
悪いため、動脈の血液が体中にいきわたる前に冷えてし
まう、いわゆる「静脈のうっ血」という状態が起きた場
合や、貧血や低血圧のため、温かい血液が毛細血管まで
届かない場合に起こると言われている。現代病としての
「クーラー病」の原因はクーラーという人工的な環境の
変化によって、本来持っている適応能力に変調が起こ
り、また屋外と、室内の温度差によって自律神経の失調
を来して、様々な症状を引き起こすことがある。このよ
うな体の変調を総称して「クーラー病」と呼ばれてい
る。主な症状として、体の冷え、頭痛、腹痛、下痢、倦
怠感、食欲不振、神経痛、生理不順などがある。
【0008】一方、イチョウ(Ginkgo biloba L)は古
くから親しまれ、私達の生活に深く浸透している樹木で
ある。イチョウの葉の抽出物が「ギンコー(Ginkgo)」
と呼ばれ、種々の疾患の治療や健康食品として利用され
ている。特に、ドイツやフランスでは、脳血管系の障害
や痴呆症、また末梢循環系の医薬品として広く用いられ
ている。
【0009】イチョウ葉には多種類のフラボノイド、テ
ルペンラクトン、フェノール化合物、有機酸が含有され
ている。イチョウ葉エキスはこのイチョウ葉を抽出した
後、好ましくない成分を除去、精製することによって作
られる。イチョウ葉エキスの主な構成成分はフラボノイ
ドとテルペンラクトンである。フラボノイド(1)とし
ては、クエルセチン、ケンフェロール、イソラムネチン
の配糖体をはじめ、多種類のフラボノイドが含有されて
おり、現在、世界で流通しているイチョウ葉エキスの規
格は、フラボノイド配糖体として24%である。また、
テルペンラクトンとしては、ギンコライドA(2),ギ
ンコライドB(3),ギンコライドC(4)、ギンコラ
イドJ(5),およびビロバライド(6)が含まれてお
り、イチョウ葉エキスの流通規格品は総テルペノイド含
量として6%である。なお、各化合物の構造式を以下に
示す。
【0010】
【化1】
【0011】イチョウ葉エキスの薬理効果としては、現
在までに、う触予防剤(例えば特許第1556516
号)、血小板活性化因子によって誘発される病気の治療
剤(特許第1819947号)、抗ストレス潰瘍剤(特
許第2062185号)、レトロウイルス感染の治療剤
(特許第2735386号)などの種々の作用の他に、
痴呆症での有意な改善効果(Pierre L. et al. JAMA, 2
78(16), 1327, 1997)、動脈硬化症による間欠性跛行に
おける治療効果(R. Bauer et al., Arzneim. Forsh. D
rug Res., 34(1), 121, 1984)、II型糖尿病の治療効
果(Jean R. Rapin et al., Drug Dev. Res., 40, 68-7
4, 1997)、緑内障の治療効果(R. Ritch,Medical Hypo
theses, 54(2), 221-235, 2000)が報告されている。ま
た、イチョウ葉エキスは、脳血管障害、脳循環不全によ
る機能障害(めまい、耳鳴り、頭痛)を改善することが
報告されている(Jois Kleijnen, The Lancet, 340(7),
1136, 1992)。さらに、脳梗塞との関連では、イチョ
ウ葉エキスを6日間ラットに経口投与し、7日目に90
分間右中大動脈を閉塞し、閉塞24時間後までの脳血流
と、大脳の壊死(脳梗塞)の程度を試験したところ、イ
チョウ葉エキス投与群では対照群と比較して通常状態で
の脳血流を増加させ、また脳梗塞の面積を減少させるこ
とが報告されている(W. R. Zhang et al., Neurologic
al Research,22, 517-521, 2000)。したがって、この
報告はイチョウ葉エキスが脳梗塞の予防に一定の効果の
あることを示唆するものであるが、現在までのところ、
イチョウ葉エキスが脳梗塞後遺症に臨床的な治療効果が
あることは全く報告されていない。また、イチョウ葉エ
キスが冷え性および現代病としての「クーラー病」に効
果があることも知られていない。
【0012】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、新規な脳梗
塞後遺症の治療剤を提供することにある。更に、本発明
の目的は新規な冷え性および現代病としての「クーラー
病」の治療剤を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意研究した結果、イチョウ葉エキスが
脳梗塞後遺症を顕著に改善することを発見して本発明を
完成した。さらに、本発明者らは、イチョウ葉エキスが
冷え性および現代病としての「クーラー病」を改善する
ことを発見して本発明を完成した。
【0014】すなわち、本発明はイチョウ葉エキスを有
効成分として含む脳梗塞後遺症、冷え性および現代病と
しての「クーラー病」治療剤を提供する。イチョウ葉エ
キスは、ヨーロッパでは20年以上臨床医薬品として投
与・服用され続けてきたものである。従って、本発明の
治療剤はヒトに投与した場合の安全性に優れており、特
に長期間経口的に投与した場合の安全性も確認されてい
ると考えられる。
【0015】本発明において、脳梗塞後遺症とは、脳梗
塞発症の結果として現れる種々の後遺症をいい、典型的
には以下のものを含む。 1)高次脳機能障害 2)運動障害(出血や梗塞を起こした脳の反対側の手足
に麻痺がおこり、構音障害や顔面神経麻痺を伴う事もあ
る) 3)言語障害 4)失語症(感覚性失語症と運動性失語症がある) 5)感覚障害 6)思考障害 7)感情障害(感情のコントロールが困難になる感情失
禁が起こる) 8)記憶障害 9)姿勢異常 本発明の脳梗塞後遺症治療剤における「治療」という用
語は、例えば、脳梗塞発症から脳梗塞後遺症への進展を
防ぐこと、軽度の脳梗塞後遺症から重度の脳梗塞後遺症
への進展を防ぐこと、脳梗塞後遺症の症状を緩和するこ
と、及び脳梗塞後遺症の症状を改善させること等を含
む。これらの脳梗塞後遺症の治療には本人の自覚症状の
改善感、神経学的な診察結果から得られるもの及び脳神
経機能の測定結果、長谷川式簡易脳機能検査、MMT−
R、及び家族からの評価から得られるものを含む。
【0016】本発明はさらに、イチョウ葉エキスを有効
成分として含む冷え性および現代病としての「クーラー
病」治療剤を提供する。本発明の脳梗塞後遺症治療剤及
び冷え性ならびに現代病としての「クーラー病」治療剤
は、イチョウ葉エキス及び任意成分として薬剤的に許容
できる担体を含む、脳梗塞後遺症治療用組成物及び冷え
性ならびに現代病としての「クーラー病」治療用組成物
の形態であってよい。また、本発明の脳梗塞後遺症及び
冷え性ならびに現代病としての「クーラー病」治療剤
は、食品の形態であってもよく、飲料の形態であって良
い。さらに、これらの形態に何ら限定されるものではな
い。
【0017】
【発明の実施の形態】(1)製造方法 本発明の脳梗塞後遺症治療剤及び冷え性治療剤に使用す
るイチョウ葉エキスは好ましくは以下の方法で調製する
が、これに限定されない。すなわち、乾燥したイチョウ
緑葉を粉砕し、希エタノールで抽出する。抽出液を減圧
下に濃縮して得た残留物にコノール等の高級アルコール
を助剤として加えて冷却した後、濾過して澄明液を得
る。これを吸着樹脂(アンバーライトXAD−7:Rohm
and Hass社製)に通して、目的物を吸着させ、水洗し
た後、含水エタノールで溶出し、濃縮、乾燥してイチョ
ウ葉エキスを得る。得られたエキス中の総フラボン配糖
体含量、総テルペンラクトン含量、ギンコール酸含量を
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いて定量す
る。
【0018】本発明の治療剤に用いるイチョウ葉エキス
は、イチョウ葉エキス中の総フラボン配糖体含量が24
%〜28%であり、エキス中の総テルペンラクトン量が
5.5%〜10%である。また、上述したように、ギン
コール酸はイチョウの実「ギンナン」の採取中に接触皮
膚炎などを引き起こす原因となる感作性物質であり、イ
チョウ葉にも1.0%前後含まれ、抽出精製によりギン
コール酸などのアルキルフェノールを除去する。本発明
の脳梗塞後遺症および冷え症、「クーラー病」の治療剤
に用いるイチョウ葉エキスのギンコール酸含量は1 ppm
以下である。このように規格化された好ましいイチョウ
葉エキスとしては、例えば常磐植物化学研究所製のギン
コロン−24があり、ギンコロン−24を含むイチョウ
葉エキス剤の『TPCのイチョウ葉エキス錠』(250
mg)を挙げることができる。『TPCのイチョウ葉エ
キス錠』を臨床的に用いた経験では15人のヒトに対し
て、述べ10年に相当する日数の間一度も副作用を経験
したことはない。しかし、本発明は『TPCのイチョウ
葉エキス錠』に限定されるものではない。
【0019】(2)服用の指導 本発明の治療剤を安全かつ、投与によって治療効果を期
待することができれば、特に限定されるものではない
が、経口投与可能な剤形が好ましい。特に、嚥下障害の
ある場合、より服用しやすい液剤が好ましい。
【0020】本発明の治療剤は種々の剤形とすることが
できる。例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル
剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液
剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とす
ることができるが、これらに限定されない。また、製剤
には薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができ
る。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香
剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、
乳化剤、コーティング剤、ビタミンC、抗酸化剤を含む
ことができるが、これらに限定されない。
【0021】本発明の脳梗塞後遺症治療剤の投与量は、
一般的には、イチョウ葉エキスに換算して成人1日あた
り約50mg〜約3000mg、好ましくは約100mg〜約2000mgで
ある。もちろん個別的に、投与されるヒトの年齢、体
重、症状、投与経路、投与期間、治療経過等に応じて変
化させることもできる。1日あたりの量を数回に分けて
投与することもできる。また、他の脳梗塞後遺症保健医
薬品や治療法と組み合わせて投与することもできる。本
発明の冷え性及び「クーラー病」治療剤の投与量は、一
般的には、イチョウ葉エキスに換算して成人1日あたり
約50mg〜約3000mg、好ましくは約100mg〜約2000mgであ
る。もちろん個別的に、投与されるヒトの年齢、体重、
症状、投与経路、投与期間、治療経過等に応じて変化さ
せることもできる。1日あたりの量を数回に分けて投与
することもできる。
【0022】本発明の治療剤は、食品又は飲料の形態と
することもできる。例えば、イチョウ葉エキスを原材料
に配合することにより、麺類、パン、キャンディー、ゼ
リー、クッキー、スープ、健康飲料の形態とすることが
できる。このような食品、飲料にはイチョウ葉エキスの
他に、鉄、カルシウム等の無機成分、種々のビタミン
類、オリゴ糖、キトサン等の食物繊維、大豆抽出物等の
タンパク質、レシチンなどの脂質、ショ糖、乳糖等の糖
類を加えることができる。
【0023】(3)試験方法 本発明の脳梗塞後遺症治療剤を、脳梗塞後遺症を発症し
ている者あるいは発症する危険性のある者に投与した場
合の効果は、本人の自覚症状の改善感、神経学的な診察
結果及び脳神経機能の測定結果、臨床神経学的検査、脳
画像診断などを指標として明らかにすることができる。
【0024】また、本発明の冷え性および現代病として
の「クーラー病」治療剤の効果は、ひえを感じなくなっ
た、靴下を履かなくてもすむ、安眠できる、クーラーが
不快ではないなどの本人の自覚症状の改善感により確認
することができる。
【0025】(4)効果 以下の実施例で示すように、イチョウ葉エキスを脳梗塞
後遺症を発症している9症例に経口投与したところ、全
例において、改善又は改善傾向が認められた。すなわ
ち、脳神経機能の全般的な脳改善(脳幹挫傷)、耳鳴り
減少と患部側の上肢痛の低下(左不全麻痺)、ふらふら
感消失、患側右知覚改善及び舌もつれの改善(脳損
傷)、患側の指先知覚鈍麻の改善(右不全麻痺)、下肢
しびれ感の改善(ラクナ梗塞)、患側右手感覚低下の改
善(多発性脳梗塞右不全麻痺)、患側左上肢挙上痛の消
失と挙上可能(左不全麻痺)などの結果が、本人の自覚
症状の改善感及び神経学的な診察結果から得られた。こ
の結果から、イチョウ葉エキスが顕著な脳梗塞後遺症の
治療効果を有することが明らかになった。特に、脳梗塞
発症後数年を経過して後遺症が長期に及ぶ患者について
も改善が観察された。
【0026】また、 イチョウ葉エキスを冷え性および
現代病としての「クーラー病」の患者3名に経口投与し
た結果、いずれも、冬の間靴下を履かないで冷えを感じ
ずに安眠でき、さらに夏期のクーラーが不快でなくなっ
た。従って、イチョウ葉エキスは冷え性および現代病と
しての「クーラー病」に有効であることが確認できた。
【0027】本発明を以下の実施例によりさらに詳しく
説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。本発
明を種々変更、修飾して使用することが当業者には可能
であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
【0028】
【実施例】実施例1:イチョウ葉エキスの調製法 乾燥したイチョウ緑葉(1 kg)を粉砕し、希エタノー
ルで抽出した。抽出液を減圧下に濃縮して得た残留物
に、コノ−ルなどの高級アルコールを助剤として加えて
冷却した後、濾過して澄明液を得た。これを吸着樹脂
(アンバーライトXAD−7)に通して、目的物を吸着
させ、水洗した後、含水エタノールで溶出し、濃縮、乾
燥してイチョウ葉エキス(約20 g)を得た。得られた
エキス中の総フラボン配糖体含量、総テルペンラクトン
含量、ギンコール酸含量をHPLC(高速液体クロマトグラ
フィー)を用いて定量し、総フラボン配糖体含量は24
%〜26%、総テルペンラクトン含量は6〜8%であ
り、更にギンコール酸含量は1 ppm以下に規格化した。
以下の実施例では、このようなイチョウ葉エキスである
ギンコロン24(常磐植物化学研究所製)を40mg/
錠を含む「TPCのイチョウ葉エキス錠」(250mg:
常磐植物化学研究所製)をイチョウ葉エキス剤として使
用した。 実施例2:脳梗塞後遺症患者に対するイチョウ葉エキス
の臨床効果 症例、試験方法及び評価 1.対象:脳梗塞後遺症(9症例)の外来通院患者の同
意を得て臨床評価の対象とした。 2.投与方法:『TPCのイチョウ葉エキス錠』(25
0mg:常磐植物化学研究所製、一錠中にギンコロン−
24(常磐植物化学研究所製)40mg、天然甘味料
(甘草抽出物)10mg、ビタミンC5mgを含む)を
一日3錠、毎食後に1錠を投与した。 3.試験方法及び評価:毎週または2週間に一度診察を
行い、脳神経機能の改善については、本人の自覚症状の
改善感、神経学的な診察結果及び脳神経機能の測定結
果、臨床神経学的検査、脳画像診断などを基づいて評価
した。その他の症状については本人の自覚症状の改善感
及び臨床神経学的な診察結果および家族からの評価に基
づいて評価した。なお、以下の症例において、評価の時
期は平成13年6月末にカルテのチェックを行い評価し
た。 結果 症例1. 74歳、男性。 主病名;脳梗塞。平成10年5月17日発病。危険因子;糖
尿病(II型)、平成10年5月頃発病。 病歴と経過:右不全麻痺に対して、内科的治療、リハビ
リ療法により経過良好にて退院。通院にてリハビリ療
法、糖尿病に対する治療を継続してきた。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成13年2月8日より投与
開始、現在に至る。 効能(発現時期):服用1週間目より右上下肢患部側の
冷感が軽減。 症例2.73歳、女性。 主病名:脳室周囲虚血(陳旧性)。平成11年初頃発病。
危険因子;高脂血症(発病時期不詳)。 病歴と経過:平成11年初め頃より、両下肢のしびれ感、
歩行時にめまいを感じ、 言葉が正確に出なくなった(構音障害)。頭部MRI、MRA
上進行は認められなかった。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成13年2月8日より投与
開始、現在に至る。 効能(発現時期):服用2−3週間目より、両下肢のし
びれ感が軽減、めまい感が消失、構音障害の評価は診療
上では不詳。家族は言葉の内容がわかるようになった。 症例3. 71歳、女性。 主病名:脳室周囲虚血(陳旧性)。平成11年初頃発病。
危険因子:高脂血症(発病時期不詳)。 病歴と経過:喋りにくさ、歩行時ふらつき感、嚥下障害
を訴え始めた。MRI、MRA上、左不全麻痺と診断できたの
は平成12年12月16日で現在に至る。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成12年12月16日より投
与開始, 現在に至る。 効能(発現時期):主訴はほぼ改善に至る(自覚症状、
神経学的評価は服用約2ヶ月以降)。 症例4.61歳、女性。 主病名:脳幹損傷(交通外傷)(左不全麻痺)。平成12
年8月12日発病。危険因子:高脂血症(50歳代に発
病)。 病歴と経過:事故による左片側麻痺および言語失調症
状。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成12年12月27日より投
与開始、現在に至る。 効能(発現時期):翌日、歩行は改善。物忘れ軽減、舌
もつれは気にならなくなった(自覚症状、神経学的評価
は服用1ヶ月以降)。 症例5.74歳、男性. 主病名:外傷後脳幹損傷。平成11年5月11日発病。 病歴と経過:左記日時に交通事故。エアーバックにより
頭頸部打撲。脳神経の全12起部全てに損傷の神経兆候
を認めた。現役の声楽関係の仕事に従事。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成11年10月(初診時)
より投与開始、現在に至る。 効能(発現時期):服用3週間目より、構音障害が消
失。脳神経全てにおいて改善または改善傾向。複視は10
cmに近接しても認められなくなった。 症例6.52歳、女性。 主病名:脳幹梗塞。平成12年3月19日発病。 病歴と経過:解離性脳動脈瘤、脳梗塞左不全麻痺、左方
視複視、味覚鈍麻等が発病以来持続。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成12年12月27日より投
与開始、現在に至る。 効能(発現時期):左感覚低下は、左三叉神経第II枝領
域に限局化した。運動不全麻痺は左正中神経末端部に限
局化した。自覚症状、神経学的評価は服用1ヶ月以来徐
々に軽快。 症例7.72歳、女性。 主病名:多発性脳梗塞。平成9年頃発病.危険因子:糖
尿病、高脂血症(発病時期時期不詳) 病歴と経過:平成9年初め頃より、めまい、軽度の歩行
障害、左不全麻痺。そのころより脳血管性と思われる鬱
状態が持続。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成13年2月13日より投
与開始、現在に至る。 効能(発現時期):服用2−3週間目より、左上肢挙上
困難(痛みも伴う)であったが、患側左上肢の挙上の可
動範囲が左右差が無くなり改善。5月10日より上下肢の
患側感覚障害も軽減。 症例8.71歳、女性。 主病名:左不全麻痺。平成4年頃発病。 病歴と経過:平成4年頃から歩行のふらつき、左上下肢
のしびれと痛みを伴う。 左上肢挙上困難、耳鳴りは左右差なし。神経学的には、
脳神経を含めた左不全麻痺を認めるが、MRI、MRAでは異
常所見を認めない。他医にては、当初は神経症として扱
われてきた。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成12年12月16日より投
与開始、現在に至る。 効能(発現時期):歩行時のふらつき感は消失。左上下
肢のしびれ感は消失。左上肢挙上はほぼ完全。自覚症
状、神経学的評価;上記神経症状は2ヶ月程度でほぼ消
失。耳鳴り(頭鳴り)は軽減したが、服用を止めたら元
通り。 症例9.56歳、男性。 主病名:脳梗塞(左不全麻痺)。平成12年7月2日起床時
に発病。危険因子:糖尿病、高血圧症、平成元年、42
歳で発病。 病歴と経過:右上下肢の脱力。頭痛。2時間後には構音
障害。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成13年3月21日よ
り、現在に至る。 効能(発現時期):平成13年4月18日より、歩きやすく
なってきた。患側右手で、箸でつまめるようになってき
た。朝晩の散歩が楽になってきた。 実施例3:冷え性患者および現代病としての「クーラー
病」に対するイチョウ葉エキスの臨床効果 症例、試験方法及び評価 1.対象:冷え症及び現代病としての「クーラー病」
(3症例)の外来通院患者の同意を得て臨床評価の対象
とした。 2.投与方法:『TPCのイチョウ葉エキス錠』(25
0mg:常磐植物化学研究所製、一錠中にギンコロン−
24(常磐植物化学研究所製)40mg、天然甘味料
(甘草抽出物)10mg、ビタミンC5mgを含む)を
一日3錠、毎食後に1錠を投与した。 3.評価:毎週または2週間に一度診察を行い、冷え性
の改善については、患者本人に対する問診(冷えを感じ
なくなった、靴下を履かなくても冷えを感じずに安眠で
きたなど)により、本人の改善感基づいて評価した。な
お、以下の症例において、評価の時期は平成13年6月
末にカルテのチェックを行い評価した。 結果 症例1. 74歳、女性。 主病名:脳梗塞および冷え性。平成10年9月30日発病。
危険因子:高血圧症は発病10年以上、高脂血症は平成
10年9月発病。 病歴と経過:臨床神経学的検査にては、軽度の右不全麻
痺を認めた。長年にわたる、冬期およびクーラー使用時
に両下肢の冷え性。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成13年2月17日よ
り、現在にいたる。 効能(発現時期):服用1週間以内より、冷え症は消
失。その後、就眠中の靴下や過度の暖房が不要になっ
た。 症例2. 50歳、女性。 主病名:冷え性。発病は思春期以来毎年。 病歴と経過:思春期以来の冷え性。就寝時には厚手の靴
下および足温器を毎日必要とした。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成12年12月8日よ
り、現在にいたる。 効能(発現時期):服用1週間以降持続して、靴下、足
温器が不要となった。夏期のクーラーが不快でなくなっ
た。 症例3. 50歳、女性。 主病名:冷え性、発病は思春期以来毎年。 病歴と経過:生来病弱な体質。学校保健室で安むことが
多かった。冬季は就寝時に厚手の靴下をよび足温器を毎
日必要とした。 イチョウ葉エキス剤投与期間:平成12年12月28日
より、現在にいたる。 効能(発現時期):服用1週間以降持続して、靴下、足
温器がは不要となった。夏期のクーラーが不快でなくな
った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 CA01 EA11 MA03 MA04 NA14 ZA02 ZA15 4C088 AB02 AC05 BA08 BA32 CA08 CA14 NA14 ZA02 ZA15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イチョウ葉エキスを有効成分として含む
    脳梗塞後遺症治療剤。
  2. 【請求項2】 脳梗塞後遺症が意識障害、運動障害、言
    語障害、失語症、感情障害、思考障害、感覚障害、記憶
    障害及び姿勢異常から選択される1以上である請求項1
    記載の脳梗塞後遺症治療剤。
  3. 【請求項3】 イチョウ葉エキス中の総フラボン配糖体
    含量が24%〜28%であり、エキス中の総テルペンラ
    クトン量が5.5%〜10%であり、かつエキス中のギ
    ンコール酸含量が1 ppm以下である、請求項1又は2記
    載の防御剤。
  4. 【請求項4】 イチョウ葉エキスを有効成分として含む
    冷え性ならびに現代病としての「クーラー病」の治療
    剤。
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