JP2003095959A - ホモシステイン血症治療剤 - Google Patents

ホモシステイン血症治療剤

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JP2003095959A
JP2003095959A JP2001288854A JP2001288854A JP2003095959A JP 2003095959 A JP2003095959 A JP 2003095959A JP 2001288854 A JP2001288854 A JP 2001288854A JP 2001288854 A JP2001288854 A JP 2001288854A JP 2003095959 A JP2003095959 A JP 2003095959A
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nitroprusside
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cbs
cystathionine
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JP2001288854A
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Hideo Kimura
英雄 木村
Hisashi Egashira
恒 江頭
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IYAKUHIN FUKUSAYOU HIGAI KYUUS
JENOKKUSU SOYAKU KENKYUSHO KK
KOKURITSU SEISHIN SHINKEI CENTER
KOKURITSU SEISHIN SHINKEI CT
Genox Research Inc
Iyakuhin Fukusayou Higai Kyuusai Kenkyu Shinko Chosa Kiko
Original Assignee
IYAKUHIN FUKUSAYOU HIGAI KYUUS
JENOKKUSU SOYAKU KENKYUSHO KK
KOKURITSU SEISHIN SHINKEI CENTER
KOKURITSU SEISHIN SHINKEI CT
Genox Research Inc
Iyakuhin Fukusayou Higai Kyuusai Kenkyu Shinko Chosa Kiko
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、CBSの酵素活性を活性化することが
できる化合物の提供を課題としている。 【解決手段】ニトロプルシド化合物、および/またはそ
の誘導体を有効成分として含有する、ホモシステイン血
症の治療剤、あるいは向精神薬を提供する。ニトロプル
シド化合物は、CBSの酵素活性を増強する。その結果、
ホモシステインが消費され、血中のホモシステイン濃度
が低下する。ホモシステイン血症の改善は、ホモシスチ
ン尿症の治療にも有用である。あるいはCBSの酵素作用
によって生成する硫化水素は、脳内で神経伝達物質ある
いは修飾物質として働いている。したがって、ニトロプ
ルシド化合物は、向精神薬としても有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シスタチオニンβ
−合成酵素活性の活性化剤とその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】ホモシスチン尿症(Homosystinurea)やホ
モシステイン血症(Homosysteinemia)は、シスタチオニ
ンβ合成酵素(cystathionine β-synthase、以下CBSと
省略することもある)の欠失によって起る常染色体劣性
疾患である。CBSは、生体内において、ホモシステイン
からシスタチオニンを合成する反応を触媒している。ホ
モシステインは、メチオニンの中間代謝物質として生体
内で生成するアミノ酸である。天然に存在する物質では
あるが、蛋白質の構成アミノ酸とはならない。正常な代
謝が行われていれば、ホモシステインはシスタチオニン
を経てシステイン生合成の前駆体として消費される。ホ
モシステイン自体は、血管内皮細胞を傷害し動脈硬化の
原因となることが指摘されている。
【0003】遺伝子の異常などによってCBSの十分な活
性が無くなると、生体中にホモシステインが蓄積しホモ
システイン血症に至る。血中に多量に存在するホモシス
テインが、患者の尿に排泄され、ホモシスチン尿症を呈
する。ホモシスチンは、SH基の酸化によって形成される
-S-S-結合を介して2分子のホモシステインが結合した
ホモダイマーである。ホモシスチンとホモシステインの
構造を以下に示す。
【化1】
【0004】ホモシスチン尿症の患者には、精神発達障
害、精神異常、血管障害、オステオポローシスなどの症
状が見られる。血中のホモシステイン濃度は食事の内容
に大きく左右される。そのため現在は、ホモシスチン尿
症の原因となる先天性の代謝異常をスクリーニングによ
って早期に発見し、食事療法を一刻も早く開始すること
が重要な課題となっている。
【0005】生体中のホモシステインを無害なシスタチ
オニンに代謝するCBSの活性化は、ホモシスチン尿症の
改善につながると考えられる。このようなアプローチの
一つとして、ビタミンB6投与療法が行われている。CB
Sはピリドキシン(ビタミンB6)依存性の酵素であ
る。このことを利用して、ビタミンB6投与によってCB
Sの酵素活性を刺激すれば、ホモシステイン濃度の低下
が期待できる。しかし、ビタミンB6の投与ではホモシ
スチン尿症を改善できない無効群が存在することが明ら
かにされている。無効群に対して有効な治療方法は、現
在のところ明らかにされていない。
【0006】更に、ホモシステインは健常者の血中にも
存在し、動脈硬化の原因となっていると考えられてい
る。したがって、先天性代謝異常の患者のみならず、健
常者においてもCBSを活性化し血中ホモシステインを消
費させることができれば、動脈効果に起因する多くの疾
患の治療効果や予防効果を期待することができる。つま
り、CBSを活性化し、血中ホモシステイン濃度を抑制す
ることは、健常者においても大きな意義がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、CBSの酵素
活性を活性化することができる化合物の提供を課題とし
ている。あるいは本発明は、CBSの活性化剤を有効成分
として含有する、血中のホモシステイン濃度を低下させ
ることができる治療剤の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、様々な化
合物について、CBSに対する活性化作用を調査した。そ
の結果、ニトロプルシド化合物が、CBSの酵素活性を劇
的に向上させることを見出した。更に、ニトロプルシド
化合物、あるいはその誘導体の投与によって、生体中の
ホモシステイン濃度の低下を実現できることを見出し、
本発明を完成した。すなわち本発明は、以下のホモシス
テイン血症の治療剤、向精神薬、CBSの活性化剤、ある
いはホモシスチン尿症の治療剤として有用な化合物のス
クリーニング方法に関する。
【0009】〔1〕ニトロプルシド化合物、その誘導
体、およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群か
ら選択される化合物を有効成分として含有する、ホモシ
ステイン血症治療剤。 〔2〕ニトロプルシド化合物、その誘導体、およびそれ
らの薬学的に許容される塩からなる群から選択される化
合物を有効成分として含有する、向精神薬。 〔3〕ニトロプルシド化合物、その誘導体、およびそれ
らの薬学的に許容される塩からなる群から選択される化
合物を有効成分として含有する血中ホモシステインの抑
制剤。 〔4〕ニトロプルシド化合物、その誘導体、およびそれ
らの薬学的に許容される塩からなる群から選択される化
合物を含むシスタチオニンβ−合成酵素の活性化剤。 〔5〕更にカルシウム/カルモジュリンを含む〔4〕に
記載の活性化剤。 〔6〕ニトロプルシド化合物、その誘導体、およびそれ
らの薬学的に許容される塩からなる群から選択される化
合物をシスタチオニンβ−合成酵素に接触させる工程を
含む、シスタチオニンβ−合成酵素の活性化方法。 〔7〕ニトロプルシド化合物、その誘導体、およびそれ
らの薬学的に許容される塩からなる群から選択される化
合物をカルシウム/カルモジュリンとともに、シスタチ
オニンβ−合成酵素に接触させる工程を含む、〔6〕に
記載の活性化方法。 〔8〕以下の工程を含む、細胞膜透過性およびシスタチ
オニンβ合成酵素の活性化作用を有する化合物のスクリ
ーニング方法。 (1)被験ニトロプルシド化合物誘導体および/または
その塩の存在下でシスタチオニンβ−合成酵素産生細胞
を培養する工程 (2)前記細胞内におけるシスタチオニンβ−合成酵素
活性を測定する工程、および (3)対照と比較して、細胞内におけるシスタチオニン
β−合成酵素活性を上昇させる化合物を選択する工程
〔9〕〔8〕に記載の方法によって選択された細胞膜透
過性のニトロプルシド化合物誘導体を有効成分として含
む、ホモシステイン血症治療剤。 〔10〕〔8〕に記載の方法によって選択された細胞膜
透過性のニトロプルシド化合物誘導体を有効成分として
含む、向精神薬。 〔11〕〔8〕に記載の方法によって選択された細胞膜
透過性のニトロプルシド化合物誘導体を有効成分として
含む、血中ホモシステインの抑制剤。
【0010】
【発明の実施の形態】ニトロプルシド化合物は、(Fe(C
N)5NO)2-からなる化合物である。ニトロプルシド化合物
は、薬学的に許容される塩として用いることもできる。
ニトロプルシド化合物の塩としては、ナトリウム塩(Na
2Fe(CN)5NO;Sodium Nitroferricyanide 、またはSodium
nitroprusside)やカリウム塩(K2Fe(CN)5NO;Potassiu
m nitroprusside)等が公知である。これらの塩は、通
常2水和物の形で利用される。
【0011】また本発明のニトロプルシド化合物は、薬
学的に許容されるエステルとすることもできる。より具
体的には、アセトキシメチルエステル等のエステルを利
用することができる。本発明において、ニトロプルシド
化合物のエステルをニトロプルシド化合物の誘導体と言
う。本発明における誘導体は、細胞膜透過性を高めるた
めに、その分子量が通常1000以下、好ましくは60
0以下、更に好ましくは400以下とするのが望まし
い。
【0012】水溶性ニトロプルシド化合物は、脂溶性基
を導入することにより、生体内での機能を強化すること
ができる。本発明において脂溶性基とは、脂質との親和
性が強く、水との相互作用が小さい極性が低い置換基を
言う。脂溶性基としては、鎖状や環状の炭化水素基、芳
香族炭化水素基などを示すことができる。より具体的に
は、アセトキシメチル基等の置換低級アルキル基を示す
ことができる。たとえばニトロプルシド化合物によるCB
S活性化作用を損なわないように脂溶性基を付加された
ニトロプルシド化合物は、本発明における望ましい誘導
体として示すことができる。アセトキシメチル基は、ニ
トロプルシド化合物のCN基に導入することができる。
【0013】また、CBS活性作用を妨げるような脂溶性
基であっても、細胞に入った後にその基の妨害作用を取
り除くことができれば良いことになる。たとえば、細胞
内に存在するエステラーゼによって、ニトロプルシド化
合物に導入した脂溶性基が分解されるような化合物は、
本発明の誘導体として有用である。脂溶性基の1つの例
として、アセトキシメチル基があげられる。アセトキシ
メチル基は、カルシウムイオンのキレーターであるEDTA
を膜透過性にするために付加されたもので、既に、EDTA
EM以外にもいくつかの類似化合物が市販されている。
【0014】ニトロプルシドナトリウムは、血圧降下作
用を有することが知られており、血圧降下剤として既に
臨床的に応用されている化合物である。しかし、CBSに
対する活性化作用を有することは知られていない。
【0015】本発明は、ニトロプルシド化合物、その誘
導体、およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群
から選択される化合物を有効成分として含有する、ホモ
システイン血症治療剤に関する。本発明者らによって、
ニトロプルシド化合物あるいはその誘導体に、CBSの活
性化作用が見出された。CBSは生体内においてホモシス
テインをシスタチオニンβに変換する作用を有する酵素
である。したがって、この酵素を活性化する化合物を投
与することによって、ホモシステイン濃度を低下させる
ことができる。血中ホモシステイン濃度の上昇は、ホモ
シスチン尿症などの原因となることから、ホモシステイ
ン濃度を低下させる化合物は、ホモシスチン尿症の治療
に有用である。
【0016】またCBSの活性化によって血中ホモシステ
インを消費し、その濃度を低下させる化合物は、血中に
おけるホモシステインの蓄積抑制剤として用いることが
できる。すなわち本発明は、ニトロプシド化合物および
/またはその誘導体を有効成分として含有する、血中ホ
モシステイン抑制剤に関する。先天性代謝異常の患者の
みならず、健常者の血中にもホモシステインは存在し、
同様に動脈硬化の原因となっていることが指摘されてい
る。したがって、血中のホモシステイン濃度の抑制剤
は、健常者においても動脈効果の治療や予防に有用であ
る。
【0017】加えて、発明者らは、CBSがホモシステイ
ンとセリンからシスタチオニンを合成する反応と、シス
テインからピルビン酸と硫化水素を合成する反応の両者
を触媒していることを明らかにしている。硫化水素は脳
内で生産されており、脳内神経伝達物質グルタミン酸受
容体の1つN-methyl-D-aspartate (NMDA)受容体の活性
を増強し、記憶のモデルであるシナプス反応の長期増強
を行う(Abe, K. andKimura, H.: The possible role o
f hydrogen sulfide as an endogenous neuromodulato
r. J. Neurosci. 16, 1066-1071, 1996)。またNMDA受
容体の欠損したマウスでは精神分裂様の症状を呈するこ
とも報告されている(Mohn, A.R. et al.: Mice with r
educed NMDA receptor expression display behaviors
relatedto schizophrenia. Cell 98, 427-436, 199
9)。更に、NMDA受容体を過剰発現させたマウスでは、
記憶、学習能力が向上する(Tang, Y-P. et al.: Geneti
c enhancement of learning and memory in mice. Nat
ure 401, 63-69, 1999)。
【0018】これらの結果から、CBSの活性を増加さ
せ、硫化水素の生産を上昇させるニトロプルシド化合物
によって、NMDA受容体の活性を増強し、精神分裂病の治
療や痴呆の改善に適用することできると考えられる。し
たがって、CBSの活性化作用を有するニトロプルシド化
合物あるいはその誘導体には、ホモシステイン濃度の低
下のみならず、向精神薬としての作用も期待できる。す
なわち本発明は、ニトロプルシド化合物、その誘導体、
およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選
択される化合物を有効成分として含有する、向精神薬に
関する。
【0019】更に本発明は、以下の工程を含む、細胞膜
透過性およびシスタチオニンβ合成酵素の活性化作用を
有する化合物のスクリーニング方法に関する。CBSは細
胞内に存在する酵素であることから、細胞膜透過性を有
するニトロプルシド化合物には、より大きなCBSの活性
化作用を期待することができる。 (1)被験ニトロプルシド化合物誘導体および/または
その塩の存在下でCBS産生細胞を培養する工程 (2)前記細胞内におけるCBSの酵素活性を測定する工
程、および (3)対照と比較して、細胞内におけるシスタチオニン
β−合成酵素活性を上昇させる化合物を選択する工程。
【0020】本発明において、被験ニトロプルシド化合
物とは、ニトロプルシド化合物に様々な修飾を施した化
合物等を用いることができる。より具体的には、アセト
キシメチル基等の脂溶性基の結合によって得ることがで
きるニトロプルシド化合物の誘導体を示すことができ
る。被験ニトロプルシド化合物は、塩として用いること
もできる。
【0021】本発明のスクリーニング方法には、CBS産
生能を有する任意の細胞を用いることができる。たとえ
ばサル腎臓由来のCOS細胞や293HEK(Human Embryonic ki
dney)細胞はCBS産生細胞として好ましい。これらの細胞
株は、ATCCから購入することができる。その他、ヒトCB
Sをコードする遺伝子を導入した形質転換細胞を用いる
こともできる。ヒトCBSをコードする遺伝子は公知であ
る(GenBank Acc.No. L19501)。
【0022】細胞内におけるCBSの酵素活性は、公知の
方法によって測定することができる。たとえば、CBSの
作用によって生成する硫化水素を指標として酵素活性を
測定する方法が公知である。すなわち、前記細胞の培養
物から発生する硫化水素を捕集し、ガスクロマトグラフ
ィーなどによって定量すればよい。
【0023】酵素活性の測定の結果、化合物を加えない
対照と比較して、CBSの酵素活性を刺激する作用を有す
る被験ニトロプルシド化合物を選択することにより、本
発明のスクリーニングを行うことができる。
【0024】本発明のスクリーニングによって得ること
ができる、細胞膜透過性のニトロプルシド化合物は、ホ
モシステイン血症治療剤や向精神薬として有用である。
CBSは細胞内に存在する酵素であることから、細胞膜透
過性を与えることによって、CBS活性化作用を増強する
ことができる。すなわち本発明は、前記工程(1)〜
(3)を含む、ホモシステイン血症治療剤、あるいは向
精神薬として有用な化合物のスクリーニング方法を提供
する。
【0025】ニトロプルシド化合物、あるいはその誘導
体、または前記スクリーニング方法によって得ることが
できる細胞膜透過性のニトロプルシド化合物は、公知の
製剤化技術を利用してホモシステイン血症治療剤、ある
いは向精神薬とすることができる。具体的には、前記化
合物を有効成分として含み、生理学的に許容される担
体、賦形剤、あるいは希釈剤等と混合することによって
製造することができる。このような担体としては、たと
えば糖類や油脂類を挙げることができる。
【0026】本発明のホモシステイン血症治療剤、ある
いは向精神薬は、治療に有効な量を投与することによ
り、治療効果を得ることができる。投与方法としては、
経口、注射、あるいは経皮などの公知の投与方法を示す
ことができる。本発明のホモシステイン血症治療剤、あ
るいは向精神薬は、投与方法に応じた剤形、すなわち、
経口剤、注射剤、あるいは経皮吸収剤として製剤化する
ことができる。
【0027】本発明のホモシステイン血症治療剤、ある
いは向精神薬の投与量は、患者の症状、性別、体重、有
効成分として用いる化合物の種類などに応じて、適宜、
治療に有効な量を選択し投与することができる。より具
体的には、たとえばニトロプルシドナトリウムの場合、
1日当たり1−100mg/kg投与することにより、治療
効果を期待することができる。なおニトロプルシドナト
リウムでは、500mg/kg以上の投与により、投与され
た患者の半数以上で副作用が見られるとされている。し
たがって、500mg/kg以下の投与量とするのが望まし
い。
【0028】また、以上のような知見に基づいて、ニト
ロプルシド化合物、その誘導体、およびそれらの薬学的
に許容される塩からなる群から選択される化合物を含む
CBSの活性化剤が提供される。本発明によるCBSの活性化
剤には、更にカルシウム/カルモジュリンを加えること
ができる。本発明においてカルシウム/カルモジュリン
とは、カルシウムを結合したカルモジュリンを意味す
る。カルモジュリンは、細胞内において様々な酵素活性
を調節している蛋白質である。カルシウムとの結合によ
って構造が変化し、不活性な酵素に結合してその酵素活
性を誘導する。カルモジュリンによって酵素活性を調節
されている酵素は多く、CBSもその1つである。
【0029】通常、細胞内にはカルシウム/カルモジュ
リンが存在しているので、ニトロプルシド化合物あるい
はその誘導体を作用させることにより、CBSの活性化を
達成することは可能である。しかし、精製CBSや、カル
シウム/カルモジュリンが十分に存在しない可能性が考
えられる場合には、ニトロプルシド化合物あるいはその
誘導体とともに、カルシウム/カルモジュリンを作用さ
せることが、CBS活性化に当たり有効である。
【0030】本発明によるCBSの活性化剤によって、CBS
をin vivoで、あるいはin vitroにおいて活性化するこ
とができる。CBSの活性化は、in vivoではホモシスチン
尿症やホモシステイン血症の治療に有用である。またin
vitroにおいては、CBSの活性測定用キットに使用する
ことができる。
【0031】
【実施例】実施例1:100μL、総タンパク量15μg
の脳ホモジネート(50mM-Tris,pH8.6)に最終濃度1mM
L-システイン、2mMピリドキサール5'リン酸と、30
0μMのNa-nitroprusside、1mMのCa、10μMのカルモ
ジュリンを加えた溶液をマイクロチューブに入れ、窒素
で満たし、パラフィルムで密封した。これを37℃、3
0分インキュベートした後、100μLの100%トリ
クロロ酢酸を加えた。マイクロチューブに充填した窒素
300μLを採取し、硫化水素をガスクログラフィーに
よって測定した。
【0032】CBSは、ホモシステインから、シスタチオ
ニンを生産する反応と、システインからピルビン酸と硫
化水素を生産する反応を触媒する。したがって、硫化水
素を指標としてCBSの活性を評価することができる。
【0033】結果を図1に示す。図から明らかなよう
に、ニトロプルシドナトリウムを添加した場合に、CBS
の活性が顕著に増強される。カルシウム/カルモジュリ
ンを加えずニトロプルシドナトリウムのみを添加した場
合には、酵素活性の増強作用は見られない。したがっ
て、酵素作用の増強はCBSの活性化を通じて達成された
ものと考えられた。
【0034】
【発明の効果】本発明により、CBSの新規な活性化剤が
提供された。本発明によるCBSの活性化剤は、公知の活
性化剤であるビタミンB6とは異なる機序でCBSを活性
化しているものと推測される。したがって、ビタミンB
6投与療法に応答しない無効群においても、治療効果を
期待できる。更に本発明のスクリーニング方法によっ
て、ニトロプルシド化合物のCBS活性化効果を細胞内に
おいて効率的に発現することが可能な化合物をスクリー
ニングすることができる。このような化合物によれば、
ニトロプルシド化合物によるCBSの活性化作用を更に増
強することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニトロプルシドナトリウムによるCBS活性の活
性増強作用を示す。図中、縦軸は、活性化剤を加えない
場合の酵素活性を1とする、相対的なCBSの酵素活性
を、横軸には活性化剤として加えた各種の化合物を示し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 英雄 東京都小平市小川東町4−1−1 国立精 神・神経センター神経研究所内 (72)発明者 江頭 恒 東京都小平市小川東町4−1−1 国立精 神・神経センター神経研究所内 Fターム(参考) 4B050 CC10 HH01 KK02 KK18 LL01 4B063 QA20 QQ95 QR18 QR72 QS24 4C086 AA01 AA02 HA01 MA01 MA04 NA14 ZA18 ZC02 ZC19

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニトロプルシド化合物、その誘導体、およ
    びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択さ
    れる化合物を有効成分として含有する、ホモシステイン
    血症治療剤。
  2. 【請求項2】ニトロプルシド化合物、その誘導体、およ
    びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択さ
    れる化合物を有効成分として含有する、向精神薬。
  3. 【請求項3】ニトロプルシド化合物、その誘導体、およ
    びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択さ
    れる化合物を有効成分として含有する血中ホモシステイ
    ンの抑制剤。
  4. 【請求項4】ニトロプルシド化合物、その誘導体、およ
    びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択さ
    れる化合物を含むシスタチオニンβ−合成酵素の活性化
    剤。
  5. 【請求項5】更にカルシウム/カルモジュリンを含む請
    求項4に記載の活性化剤。
  6. 【請求項6】ニトロプルシド化合物、その誘導体、およ
    びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択さ
    れる化合物をシスタチオニンβ−合成酵素に接触させる
    工程を含む、シスタチオニンβ−合成酵素の活性化方
    法。
  7. 【請求項7】ニトロプルシド化合物、その誘導体、およ
    びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択さ
    れる化合物をカルシウム/カルモジュリンとともに、シ
    スタチオニンβ−合成酵素に接触させる工程を含む、請
    求項6に記載の活性化方法。
  8. 【請求項8】以下の工程を含む、細胞膜透過性およびシ
    スタチオニンβ合成酵素の活性化作用を有する化合物の
    スクリーニング方法。 (1)被験ニトロプルシド化合物誘導体および/または
    その塩の存在下でシスタチオニンβ−合成酵素産生細胞
    を培養する工程 (2)前記細胞内におけるシスタチオニンβ−合成酵素
    活性を測定する工程、および (3)対照と比較して、細胞内におけるシスタチオニン
    β−合成酵素活性を上昇させる化合物を選択する工程
  9. 【請求項9】請求項8に記載の方法によって選択された
    細胞膜透過性のニトロプルシド化合物誘導体を有効成分
    として含む、ホモシステイン血症治療剤。
  10. 【請求項10】請求項8に記載の方法によって選択され
    た細胞膜透過性のニトロプルシド化合物誘導体を有効成
    分として含む、向精神薬。
  11. 【請求項11】請求項8に記載の方法によって選択され
    た細胞膜透過性のニトロプルシド化合物誘導体を有効成
    分として含む、血中ホモシステインの抑制剤。
JP2001288854A 2001-09-21 2001-09-21 ホモシステイン血症治療剤 Pending JP2003095959A (ja)

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