JP2003092026A - 透明導電膜および光電変換素子 - Google Patents

透明導電膜および光電変換素子

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JP2003092026A
JP2003092026A JP2001281513A JP2001281513A JP2003092026A JP 2003092026 A JP2003092026 A JP 2003092026A JP 2001281513 A JP2001281513 A JP 2001281513A JP 2001281513 A JP2001281513 A JP 2001281513A JP 2003092026 A JP2003092026 A JP 2003092026A
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catalyst
conductive film
substrate
layer
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JP2001281513A
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Masahiko Muramoto
昌彦 村本
Hisashi Hayakawa
尚志 早川
Yoshiji Saijo
義司 西條
Katsuhisa Tanabe
克久 田邉
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C Uyemura and Co Ltd
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Sharp Corp
C Uyemura and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 太陽電池用透明電極の必須要素である、高い
電気的特性と、優れた光閉じ込め効果を発揮させる表面
凹凸との両者を備える透明導電膜を提供すること。 【解決手段】 基板10上に形成された2層以上の触媒
層11A,Bおよび2層以上の透明導電層12A,Bを
それぞれ有し、触媒層11A,Bおよび透明導電層12
A,Bが交互に形成されるとともに、表面凹凸13の最
大高低差Hが100nm〜1μmの範囲である透明導電
膜1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、適度な表面凹凸と
優れた電気的特性とを有する透明導電膜および該透明導
電膜を用いてなる光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
から、薄膜太陽電池では、普及促進のため、製造コスト
の低減が求められており、特に、製造コスト中に占める
割合の大きい透明電極部分のコスト低減を図るべく、高
品質で、かつ、安価な透明導電膜を創出することが望ま
れている。また、太陽電池内部で発電した光エネルギー
を電流として外部に取り出す際に、電極部の電気的特性
が低いと、その部分でエネルギー損失が生じることか
ら、太陽電池用の透明電極には、高い電気特性を有して
いることが必要とされる。さらに、太陽電池に照射され
た光を、表面で乱反射して反射光の割合を低減するとと
もに、電池内部で光路長を増大させる、いわゆる光閉じ
込め効果を発揮させるために、透明電極表面に大きな凹
凸が形成されている必要がある。
【0003】現在までのところ、このような太陽電池用
透明導電膜を形成する手法としては、熱CVD法やスパ
ッタリング法が用いられているが、これらの手法は、装
置が複雑で高額になるとともに、材料利用効率が低いた
め、安価な透明導電膜の製造方法とはなり得ていない。
このような点から、製造コストの低減化を図ることがで
きる化学的手法を用いた透明導電膜が近年注目を浴び、
特に、無電解めっき法は、製造装置が極めて簡易(外
部電源不要、浴槽程度のものとなる)、材料利用効率
が高い、大面積でも薄膜を均一に形成可能、膜形成
にあたり導電性や形状等の基板の種類を選ばない、等の
利点を有することから、該方法を用いた透明導電膜を形
成する研究・開発が盛んに行われている。
【0004】このような無電解めっき法を用いた酸化亜
鉛系透明導電膜の形成例として、J.Electroc
hem.Soc.,147(1)210−213に記載
された技術が挙げられる(以下、従来技術1という)。
この従来技術1では、センシタイジング−アクチベーテ
ィング法(Pd−Sn:2液法)によって触媒を付与
し、基板を硝酸亜鉛とジメチルアミンボラン(以下、D
MABと記す)の水溶液からなるめっき液に浸漬するこ
とによって、酸化亜鉛系透明導電膜を作製しており、D
MABの濃度をより大きくすることにより、酸化亜鉛中
の欠陥を低減し、電気的特性を向上させている。ところ
が、従来技術1で得られる透明導電膜の電気的特性は、
3.6×102Ωcm程度であり、太陽電池用電極で求
められる電気的特性値と比べ、4〜5桁程高いものとな
っているという問題がある。
【0005】この酸化亜鉛の電気的特性を向上させるた
めの改良技術として、特開2000−336486号公
報に開示された、酸化亜鉛を析出させるための触媒層に
着目したものがある(以下、従来技術2という)。この
従来技術2では、パラジウムと銀(Sn−Ag−Pd:
3液法)からなる金属触媒粒子を基板に付与することに
よって、より高密度で平坦な触媒粒子を基板に付与して
おり、このため、成長初期層に、より欠陥の少ない酸化
亜鉛が形成できるものである。しかしながら、従来技術
2では、前述のように非常に平坦で均一な触媒粒子を基
板上に形成しているため、上部に析出した透明導電膜の
表面凹凸がそれほど大きなものとはならず、該透明導電
膜を太陽電池に適用した場合、十分な光閉じ込め効果が
得られないという問題がある。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、太陽電池用透明電極の必須要素である、高い電
気的特性と、優れた光閉じ込め効果を発揮させる表面凹
凸との両者を備える透明導電膜およびこの透明導電膜を
用いた光電変換素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ね
た結果、触媒粒子の大きさと、その上部に形成される透
明導電層の表面凹凸の最大高低差およびその電気的特性
に、以下に説明する(1),(2)のような相関関係が
あることを見いだした。
【0008】(1)基板上に付与した触媒粒子の粒径が
小さい場合、触媒粒子は基板上に均一、かつ、高密度に
付与される。その結果として、触媒層上部に析出する透
明導電層の電気的特性は向上するが、表面形状が非常に
平坦なものとなり、十分な光閉じ込め効果を発揮させる
ほどの凹凸が得られない。 (2)基板に付与する触媒粒子の大きさが大きくなるに
つれ、得られる透明導電層の電気的特性は低下するもの
の、その表面凹凸の最大高低差はより大きなものとなっ
ていく。
【0009】このような相関関係が生じる理由は次のよ
うに考えられる。すなわち、触媒が基板に付与される過
程では、触媒が基板表面全体を同時に覆うのではなく、
ある部分にまず吸着した後全体に広がっていく。このた
め、触媒吸着の初期段階において、触媒が付着した部分
同士がある距離を空けて存在し、触媒が付着した部分同
士の間には触媒粒子が存在しない空間が生じることとな
る。次の段階として、触媒はその空間を埋めるように基
板の表面に吸着していくことになるが、触媒粒子が小さ
い場合、この空間に入り込むことが物理的に可能とな
る。
【0010】したがって、触媒粒子が小さい場合には、
上記空間が埋まり、触媒層は隙間無く、かつ、均一に基
板表面を覆うことができ、その結果、基板表面に存在す
る触媒層の表面凹凸が非常に平坦となると考えられる。
一方、触媒粒子が大きい場合、上述した触媒粒子の吸着
部分同士の間に生じる空間の大きさと触媒粒子の大きさ
との兼ね合いによっては、この空間を埋めることが物理
的に不可能な状態が生じ、基板表面上で触媒粒子が存在
する部分と存在しない部分とが局部的に生じ得る。その
結果、基板上に付着した触媒層は低密度なものとなり、
表面凹凸の最大高低差(膜厚方向の厚みの最大値と最小
値との差ともいえる)が大きくなると考えられる。
【0011】さらに、透明導電層は触媒を基点として成
長していくため、触媒の存在の有無によって、その上部
に形成される透明導電層の成長速度が大きく異なり、触
媒の存在しない部分は存在する部分に対して著しく成長
速度が遅くなると考えられる。つまり、小粒子径の触媒
からなる触媒層は、隙間無く基板表面を覆っているた
め、成長速度の差異が基板面内で発生しにくく、透明導
電層表面が平坦なものとなるうえ、導電層が均一に成長
して緻密なものとなり、電気的特性に優れたものとなる
と考えられる。一方、大粒子径の触媒からなる触媒層
は、前述のように低密度であるため、基板面内で、局部
的に成長速度の差異に起因する表面凹凸が発現するだけ
でなく、不均一に成長した透明導電層の内部には多くの
欠陥や空孔が発生し、電気的特性の低下を招くと考えら
れる。
【0012】以上のように、本発明者らは、透明導電膜
の表面凹凸の最大高低差とその電気的特性とにはトレー
ドオフの関係が存在するとともに、その性質を左右する
ものが触媒層の形成状態であることを知見し、平均粒
子径の大きな触媒を基板に付与した後に析出した透明導
電層(表面凹凸の最大高低差が大きい透明導電層)、お
よび平均粒子径の小さな触媒を基板に付与した後に析
出した透明導電層(電気的特性が優れる透明導電層)を
含む透明導電膜が、高い電気的特性と、優れた光閉じ込
め効果を発揮させる表面凹凸との両者を兼ね備えること
を見いだし、本発明を完成した。
【0013】したがって、本発明は、 1.基板上に形成された2層以上の触媒層および2層以
上の透明導電層をそれぞれ有し、前記触媒層および透明
導電層が交互に形成されるとともに、表面凹凸の最大高
低差が100nm〜1μmの範囲であることを特徴とす
る透明導電膜、 2.前記最大高低差が前記透明導電層のいずれか1層の
表面凹凸の最大高低差を反映していることを特徴とする
1記載の透明導電膜、 3.前記触媒層のうちいずれか1層は、膜厚方向の最大
厚みと最小厚みとの差が7nm〜70nmの範囲である
ことを特徴とする1,2記載の透明導電膜、 4.前記触媒層のうちいずれか1層は、平均粒子径が1
〜30nmの触媒粒子から形成されていることを特徴と
する1〜3のいずれかに記載の透明導電膜、 5.前記触媒層がパラジウム元素を含むことを特徴とす
る1〜4のいずれかに記載の透明導電膜、 6.前記透明導電層が無電解めっき法で形成されたこと
を特徴とする1〜5のいずれかに記載の透明導電膜、 7.1〜6のいずれかに記載の透明導電膜を用いてなる
ことを特徴とする光電変換素子 を提供する。
【0014】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。本発明に係る透明導電膜は、上述のように、基板上
に形成された2層以上の触媒層および2層以上の透明導
電層をそれぞれ有し、前記触媒層および透明導電層が交
互に形成されるとともに、表面凹凸の最大高低差が10
0nm〜1μmの範囲であることを特徴とする。ここ
で、透明導電膜を形成する基板としては、特に限定はな
く、絶縁基板、金属基板、シリコン基板等を用いること
ができ、また、これらの基板に被覆を施したものも用い
ることができる。なお、基板の形状は、必ずしも平坦で
ある必要はなく、曲面形状等のその他の形状のものでも
よい。
【0015】本発明における触媒層を構成する触媒と
は、めっき液中で、透明導電層の析出反応を促進させる
作用を有する金属含有物のことであり、無電解めっき法
において、センシタイジング−アクチベータ工程や、キ
ャタリスト−アクセレレーター法などで用いられ、基板
表面に付着し、層を形成する材料から構成されるもので
ある。このような触媒としては、基板表面に層を形成さ
せることができるものであれば、特に制限はないが、パ
ラジウム元素を含む触媒であることが好ましい。
【0016】具体的な触媒層の形成工程は、例えば、塩
化錫と塩酸からなるセンシタイザーおよび塩化パラジウ
ムと塩酸とからなるアクチベーターを用いたセンシタイ
ジング−アクチベーティング法(Sn−Pd:2液
法)、錫とパラジウムとのコロイドで構成されるキャタ
リストを用いたキャタリスト−アクセレレーター法、ア
ルカリキャタリスト法等により行うことができるが、大
粒子径の触媒を用いて触媒層に適度な凹凸を付与させ、
その上に積層される透明導電層の凹凸を大きくする場
合、センシタイジング−アクチベーター法(Sn−P
d:2液法)、キャタリスト−アクセレレーター法を用
いることが好ましい。
【0017】この場合、センシタイザーとしては、塩化
錫(塩化第1錫)等の水溶性第1錫塩1〜50g/L、
特に5〜30g/L、塩酸等の酸5〜100ml/L、
特に20〜60ml/Lであり、pH1〜5、特に1.
5〜3であることが好ましい。また、アクチベーターと
しては、塩化パラジウム等の水溶性パラジウム塩0.0
1〜1g/L、特に0.02〜0.5g/L、塩酸等の
酸0.01〜1ml/L、特に0.02〜0.5ml/
Lであり、pH1〜5、特に1.5〜3であることが好
ましい。一方、キャタリストとしては、塩化錫(塩化第
1錫)等の水溶性第1錫塩10〜100g/L、特に2
0〜50g/L、塩化パラジウム等の水溶性パラジウム
塩0.01〜1g/L、特に0.05〜0.5g/L、
塩酸等の酸50〜800ml/L、特に100〜500
ml/Lであり、pH1〜5、特に1.5〜3であるこ
とが好ましい。また、アクセレレーターとしては、公知
のものが用いられる。処理条件としては、公知の条件が
採用されるが、センシタイザー−アクチベーター法で
は、それぞれ25℃で1分間の浸漬処理を2回繰り返す
処理、キャタリスト−アクセレレーター法では、キャタ
リスト溶液に25℃で10分間浸漬した後、アクセレレ
ーター溶液に25℃で3分間浸漬することが好ましい。
【0018】また、基板上に小粒子径の触媒を付着させ
て触媒層を形成する場合には、Sn−Pdの2液法で
用いられる溶液、キャタリスト−アクセレレーター法、
またはアルカリキャタリスト法で用いられる公知のパラ
ジウム塩含有溶液等に塩化カリウム、塩化ナトリウム等
のアルカリ金属塩、塩化マグネシウム等のアルカリ土類
金属塩、アンモニア水,塩化アンモニウム等のアンモニ
ウム化合物、クエン酸,リンゴ酸等のカルボン酸等の安
定化剤を添加する方法、予め銀を基板に付着させ、そ
の後パラジウムを付着させる方法を用いることができる
(Sn−Ag−Pd:3液法)。上記の方法では、酸
の添加によって、系内でパラジウムイオンが錯化され、
安定性が高められるため、パラジウムの凝集に伴う触媒
の大粒子径化を阻害できることとなり、の方法では、
そのメカニズムの詳細は不明であるが、銀とパラジウム
との間に何らかの化学作用が生じ、基板にパラジウムが
高密度で均一に付着されるものと考えられる。
【0019】この場合、の上記安定化剤の添加量は、
0.1〜1000g/L、特に0.5〜800g/Lで
あることが好ましい。また、は上記水溶性第1錫塩を
用いたセンシタイジング処理した後、銀水溶液で処理
し、さらに上記水溶性パラジウム塩を用いたアクチベー
ティング処理を行うものであり、この銀水溶液として
は、塩化銀等の水溶性銀塩0.01〜10g/L、特に
0.1〜4g/L、塩酸等の酸0.01〜10ml/
L、特に0.1〜4ml/Lであり、pH1〜8、特に
2〜6であることが好ましい。なお、その処理条件とし
ては、25℃で1分間の浸漬処理をすることが好まし
い。
【0020】上記触媒層は、必ずしも基板の法線方向に
連続した層状のものに限定されるものではなく、不連続
に存在していても構わない。なお、後に説明する各図に
おいては、便宜上、層状に描写している。
【0021】上記透明導電層は、酸化亜鉛系、酸化錫
系、酸化インジウム系等の公知の透明導電材料から形成
されるものである。この場合、各透明導電層は、単一材
料から単層として形成したものでもよく、複数の透明導
電材料からなる層を触媒層を介在させずに積層して形成
したものでもよい。この透明導電層の形成方法として
は、特に制限されるものでないが、製造コストの低減化
および高材料利用率を図ることを考慮すると、無電解め
っき法を用いることが好適である。なお、無電解めっき
法の具体的条件としては、従来行われている公知の方法
を採用すればよく、使用する導電材料等に応じて適宜選
択することができる。一例を挙げると、酸化亜鉛からな
る透明導電層を形成するには、硝酸亜鉛・6水和物等の
水溶性亜鉛塩とDMAB(ジメチルアミンボラン)等の
還元剤を含有する溶液を用いた無電解めっき法を用いれ
ばよい。より具体的には、水溶性亜鉛塩0.1〜150
g/L、特に0.3〜100g/L、DMAB等の還元
剤0.01〜10g/L、特に0.1〜5g/Lを含有
し、pH4〜9、特に5〜7の無電解酸化亜鉛めっき液
を用いることが好ましい。また、めっき条件は、10〜
90℃、特に30〜85℃において、5分〜4時間、特
に10分〜2時間めっきする事が好ましい。
【0022】本発明においては、上記大粒子径の触媒層
上に形成される透明導電層の表面は比較的大きな凹凸を
有するものとなる。一方、上記小粒子径の触媒からなる
触媒層上に形成される透明導電層は、緻密な層であり、
その表面も平坦なものとなるが、該層が大粒子径の触媒
層上に形成された透明導電層の上部に積層される場合に
は、大粒子径触媒層上の透明導電層の凹凸が反映される
こととなる。なお、本発明では、以上説明した触媒層お
よび透明導電層を全て含めた積層体を透明導電膜として
いる。
【0023】上記表面凹凸または表面凹凸の最大高低差
とは、基板に対して水平方向に5μm〜1mm程度の範
囲内に存在する表面の最高点と最低点との差(いわゆる
最大高さ:Rmax)のことをいう。ここで、表面凹凸
の大きさは太陽電池特性と密接に関連するものであり、
図5に示されるように、100nm未満、かつ、1μm
を超える凹凸を有する場合、太陽電池特性が著しく低下
していることがわかる。すなわち、上記最大高低差が1
00nm未満であると、凹凸が小さすぎるため、短絡電
流密度が低下して透明導電膜表面での光閉じ込め効果が
不十分となるので、十分な太陽電池特性を得ることがで
きない。一方、1μmを超えると、凹凸が大きすぎるた
め、太陽電池内部での電流のリークが生じ、開放電圧の
低下が著しくなる。太陽電池の変換効率を考慮すると、
表面凹凸は150〜500nmがより好ましい。
【0024】また、2層以上の触媒層および2層以上の
透明導電層の層数としては、特に制限はないが、層数が
多いほどプロセスが複雑になるため、2〜10層程度が
好ましく、2〜5層がより好ましい。特に、上述した大
粒子径の触媒からなる触媒層上に形成される透明導電層
は、該導電層の凹凸の最大高低差が透明導電膜表面の凹
凸の最大高低差として反映され、凹凸が形成されるもの
であるため、1層のみ形成することが好ましい。なお、
各触媒層および透明導電層の厚みは適宜選定されるが、
各触媒層の厚みは1〜100nm、特に5〜50nmで
あることが好ましく、各透明導電層の厚みは10〜10
00nm、特に40〜500nmであることが好まし
い。また、本発明の透明導電膜の厚みは、50nm〜5
μm、特に100nm〜3μmとすることが好ましい。
【0025】以上の透明導電膜において、前記触媒層の
うちいずれか1層は、膜厚方向の最大厚みと最小厚みと
の差が7〜70nmの範囲であることが好ましい。上述
のように、透明導電層表面に形成されている凹凸は、そ
の下部に形成されている触媒層の影響を大きく受けるこ
ととなるが、触媒層の膜厚方向の最大厚みと最小厚みと
の差が7〜70nmの範囲にある場合、その上部で成長
する透明導電層の表面凹凸は100nm〜1μm程度と
なり、結果としてこの表面凹凸が透明導電膜に反映され
て、膜表面にも100nm〜1μmの表面凹凸が形成さ
れることとなる。
【0026】また、前記触媒層のうちいずれか1層(小
粒子径の触媒からなる触媒層)は、平均粒子径が1〜3
0nmの触媒粒子から形成された層であることが好まし
い。上述のように、電気的特性が高い透明導電層を形成
するためには、平均粒子径が小さい触媒からなる触媒層
上に透明導電層を析出させることが好ましいが、平均粒
子径が1nm未満の場合、触媒としての機能が低く、透
明導電層が十分に形成されない虞があり、一方、30n
mを超えると、触媒層が低密度になり、十分な電気的特
性を有する透明導電層が得られない虞がある。透明導電
層の電気的特性を飛躍的に向上させることを考慮する
と、触媒粒子径は、3〜20nmであることが好適であ
る。一方、大粒子径の触媒からなる触媒層は、その触媒
粒子の平均粒子径が30nmより大きければよいが、通
常30〜150nm、特に50〜100nmとすること
が好ましい。
【0027】以上に説明した透明導電膜は、高い光閉じ
込め効果および優れた電気的特性を有するため、太陽電
池等の光電変換素子の透明電極として好適に利用するこ
とができる。ここで、適用可能な太陽電池としては、特
に限定はなく、例えば、スーパーストレート型,サブス
トレート型,タンデム型の各太陽電池や、酸化チタン等
の微粒子表面に色素を吸着させ、これに伝導層を積層し
た有機材料を含む有機太陽電池等を挙げることができ
る。
【0028】以下、本発明の実施の形態を図面に基づい
て説明する。 [第1実施形態]図1には、本発明の第1実施形態に係
る透明導電膜1が示されている。透明導電膜1は、無ア
ルカリガラス等から形成される基板10上に形成された
第1触媒層11Aと、この第1触媒層11A上に形成さ
れた第1透明導電層12Aと、この第1透明導電層12
A上に形成された第2触媒層11Bと、この第2触媒層
11B上に形成された第2透明導電層12Bとを備えて
おり、2層の触媒層11A,Bと2層の透明導電層12
A,Bが交互に積層されて構成されたものである。
【0029】ここで、第1触媒層11Aは、透明導電膜
1表面(透明導電層12A表面)に凹凸13を形成する
ための層であり、センシタイジング−アクチベーティン
グ法(Sn−Pd:2液法)等により形成されたもので
ある。一方、第2触媒層11Bは、透明導電層12Bに
優れた電気的特性を付与するための層であり、例えば、
1〜30nm程度の小さな平均粒子径を有する触媒から
構成されている。また、透明導電層12A,Bは酸化亜
鉛系の透明材料からなる層である。なお、透明導電膜1
の表面凹凸13は、第1触媒層11A上に形成された第
1透明導電層12Aの表面凹凸12A’が反映されて形
成されたものであり、この表面凹凸13の最大高低差H
は、100nm〜1μmの範囲となっている。
【0030】以上のように構成される透明導電膜1は、
次のように製造される。まず、前処理として、基板10
の脱脂・表面処理を行う。具体的には、アルカリ性溶液
または酸性溶液に界面活性剤を添加した公知の処理溶液
中に基板10を浸漬した後、水洗いして処理溶液を除去
する。これにより、基板10に付着している油脂分を取
り除くとともに、表面の濡れ性を改善することができ
る。
【0031】次に、前処理を行った基板10上に第1触
媒層11Aを形成させるが、具体的には、塩化錫と塩酸
とからなるセンシタイザーおよび塩化パラジウムと塩酸
とからなるアクチベーターを用いたセンシタイジング−
アクチベーティング法(Sn−Pd:2液法)を用い
て、パラジウムを含む触媒を基板10上に付着させる。
このようにして形成させた第1触媒層11Aは、適度な
凹凸を有し、この上に積層される第1透明導電層12A
に大きな凹凸12A’を形成させる土台となる。なお、
第1触媒層の形成方法として、錫とパラジウムのコロイ
ドで構成されたキャタリストを用いるキャタリスト−ア
クセレレーター法、アルカリキャスト法等を用いること
もできる。
【0032】続いて、上記のようにして形成した第1触
媒層11Aを有する基板10を、透明導電材料を含む析
出液に浸漬することにより、第1透明導電層12Aを形
成する。具体的には、0.001〜0.1mol/Lの
硝酸亜鉛・6水和物等の水溶性亜鉛塩、および0.00
001〜0.1mol/LのDMAB等の還元剤を含有
したpH2〜7、好ましくは5〜7の溶液を20〜85
℃、好ましくは50〜75℃の温度に調整した後、上記
基板10を浸漬させ、第1触媒層11A上に酸化亜鉛系
の第1透明導電層12Aを形成させる。形成された第1
透明導電層12Aは、前述のように大きな表面凹凸12
A’を有する層であるが、全く電気的特性を示さないも
のではなく、多少の電気的特性を示すため、透明導電膜
1の面抵抗を低減する役割も多少有しているものと考え
られる。
【0033】なお、酸化亜鉛系材料だけでなく、酸化イ
ンジウム系材料も透明導電材料として用いることがで
き、この場合、0.001〜0.1mol/Lの硝酸イ
ンジウム等の水溶性インジウム塩、および0.001〜
0.3mol/Lのトリメチルアミンボラン(以下、T
MABと記す)等の還元剤を含有したpH2〜7、好ま
しくは3〜5.5の溶液を用い、上記温度でめっきを施
せばよい。
【0034】さらに、第1透明導電層12Aの上に、小
粒子径の触媒を高密度に付着させて第2触媒層11Bを
形成させる。具体的には、第1触媒層11Aをセンシタ
イジング−アクチベーティング法(Sn−Pd:2液
法)で形成する際に使用したパラジウム含有溶液に、パ
ラジウム安定化剤である塩化カリウム等を添加して触媒
の平均粒子径を調整する。塩化カリウム等の安定化剤の
添加量は、0.01〜10mol/L、好ましくは0.
03〜0.5mol/Lである。添加量が0.01mo
l/Lよりも少ない場合、塩化カリウムの添加効果が不
十分となり、10mol/Lより多いと、パラジウムの
吸着量が少なくなり、触媒としての機能を果たすことが
困難になる。
【0035】なお、第2触媒層を形成させる場合、キャ
タリスト−アクセレレーター法、アルカリキャタリスト
法で用いられる公知のパラジウム含有溶液にパラジウム
安定化剤を添加してもよく、Sn−Ag−Pdの3液法
によるセンシタイジング−アクチベーティング法を用い
てもよい。また、パラジウム安定化剤は、塩化カリウム
に限定されず、その他のアルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩、アンモニウム化合物、カルボン酸等を用いるこ
ともできる。また、これらの添加量についても、特に限
定されず、適宜設定することができる。
【0036】次に、第1透明導電層12Aを形成したの
と同様の条件を用いて、第2触媒層11B上に第2透明
導電層12Bを形成させる。この場合の透明導電材料と
しては、第1透明導電層12Aと同様のものでも、異な
るものでもよい。得られた透明導電層12Bは、緻密で
均一な層であり、電気的特性に優れたものである。この
ようにして各触媒層11A,Bおよび透明導電層12
A,Bが積層されてなる透明導電膜1に、脱酸素雰囲気
下で加熱処理を施し、電気的特性をさらに向上させるこ
とができる。この場合、加熱温度は、使用する基板10
の耐熱温度に応じて適宜設定すればよい。
【0037】[第2実施形態]図2には、本発明の第2
実施形態に係る光電変換素子であるスーパーストレート
構造の太陽電池2が示されている。太陽電池2は、石英
基板やガラス基板等の透光性を有する材料からなる基板
20上に、第1透明電極21A、光電変換層22、第2
透明電極21B、および金属電極23がこの順に積層さ
れて構成されている。なお、照射光24は、太陽電池特
性測定時に照射する疑似太陽光である。
【0038】ここで、基板20の形状としては、平坦な
ものに限定されず、曲面形状等のその他の形状の基板を
用いることもできる。上記第1透明電極21Aは、光閉
じ込め効果を考慮すると、表面凹凸の最大高低差が10
0nm〜1μmの範囲にあるものが好ましく、また、プ
ラズマCVD装置を用いて光電変換層22を形成する場
合、耐還元性に優れる酸化亜鉛系透明導電材料が好まし
いことから、第1透明電極21Aには、本発明の透明導
電膜(第1実施形態の透明導電膜1)を用いる。なお、
その膜厚は、薄いほど透光性に優れるが、電気的特性と
の兼ね合いにより、100nm〜5μm、特に200n
m〜2μmが好ましい。
【0039】上記光電変換層22の材料は、結晶性であ
っても非晶質であってもよく、シリコン系薄膜等の無機
材料だけでなく、後述する第4実施形態のような酸化チ
タン等の微粒子の表面に色素を吸着させ、該色素吸着微
粒子の周囲を伝導層によって取り囲んだ有機材料を含む
ものでもよく、いずれも公知のものを用いることができ
る。そして、光電変換層22の構成としては、電気的性
質が光の入射側からpin型でも、nip型でもよく、
これらに用いるp型、n型半導体の膜厚は、それぞれ1
0〜200nm程度が好ましく、i型半導体の膜厚は1
00nm〜4μm程度が好ましい。
【0040】上記第2透明電極21Bは、第1透明電極
21Aと同様、本発明の透明導電膜からなるものを用い
てもよく、その他の透明導電膜からなるものを用いても
よい。また、その表面形状は、第1透明電極21Aと同
程度の凹凸を有するものであることが好ましい。この場
合、第2透明電極21Bと金属電極23との界面で光の
散乱が生じるため、光電変換層22側へ戻る光の光電変
換層22中での光路長を増大させることができ、その結
果、太陽電池2の電池特性をさらに向上させることがで
きる。
【0041】上記金属電極23の材料としては、可視光
域での反射率が高いものが好ましく、例えば、銀、アル
ミニウム、チタン等を好適に用いることができる。ま
た、その膜厚は、光が透過せず、かつ、下地の凹凸を十
分に被覆できる程度の厚みであることが好ましく、10
0nm〜1μmであることが好ましい。
【0042】以上のように構成されたスーパーストレー
ト構造の太陽電池2は、次のように製造される。まず、
基板20を洗浄後、該基板20上に、前述の第1実施形
態の方法により透明導電膜を積層し、第1透明電極21
Aを形成する。この上に、電気的性質がp型、i型、n
型の微結晶シリコン薄膜からなる光電変換層22をプラ
ズマCVD装置を用いて連続形成する。具体的には、上
記基板20を100〜350℃の所定温度に加熱した
後、各型に応じたガスを所定流量に調整しつつ、基板2
0とカソードとの間に高周波電力を印加し、プラズマを
発生させることにより微結晶シリコン薄膜からなる光電
変換層22を形成する。
【0043】続いて、光電変換層22上に、スパッタリ
ング法によってITO(酸化インジウムに酸化錫を数重
量%配合した材料)を積層し、第2透明電極21Bを形
成する。この第2透明電極21Bの形成は、予め基板2
0を30〜350℃の所定温度に加熱し、酸素に対する
アルゴンの流量比を0.001〜0.05cm3/mi
nに制御しつつ、基板20とカソードとの間に300〜
500VのDCバイアスを印加することにより行われ
る。最後に、第2透明電極21B上に、電子ビーム蒸着
法により銀等の金属を積層し、金属電極23を形成す
る。この金属電極23の形成にあたっては、30〜35
0℃の所定温度に基板20を加熱し、蒸着源である純銀
等の純金属に対して、電子ビームを照射し、溶融させる
ことにより行われる。
【0044】[第3実施形態]図3には、本発明の第3
実施形態に係る光電変換素子であるサブストレート構造
の太陽電池3が示されている。太陽電池3は、基板30
上に、第1金属電極33A、第1透明電極31A、光電
変換層32、第2透明電極31B、および第2金属電極
33Bが、この順に積層されて構成されている。なお、
照射光34は、太陽電池特性測定時に与える疑似太陽光
を示すものである。
【0045】ここで、基板30の材質としては、導電
性、透光性の有無等の制約を受けず、任意の材質のも
の、例えば、SUS、石英、ガラス等を用いることがで
きる。また、基板上を、二酸化珪素や公知の有機材料で
被覆したものを用いることもできる。上記第1金属電極
33Aの材質としては、可視光域で反射率の高いアルミ
ニウム、銀、チタン等を用いることができる。また、そ
の膜厚は、特に限定されるものではないが、100nm
〜1μmであることが好ましい。なお、上記基板が反射
率の高い材料からなる場合、第1金属電極は必ずしも用
いなくともよい。
【0046】第1透明電極31Aは、本発明の透明導電
膜からなるものであり、その表面には、100nm〜1
μmの凹凸が形成されている。また、第1透明電極31
Aの膜厚には、特に制限はないが、透光性と電気的特性
との兼ね合いから、100nm〜5μmであることが好
ましい。なお、上部にシリコン系の光電変換層32を形
成する場合、耐還元性に優れる酸化亜鉛系透明導電材料
からなる第1透明電極31Aを用いることが好適であ
る。
【0047】上記光電変換層32は、前記第2実施形態
で説明したものと同様のものを用いることができる。上
記第2透明電極31Bは、第1透明電極31Aと同様、
本発明の透明導電膜からなるものを用いてもよく、その
他の透明導電膜からなるものを用いてもよい。また、そ
の膜厚としては、100nm〜5μm程度の範囲が好ま
しく、この範囲において、透過スペクトルの極大値をと
る波長と、光電変換層32の分光感度が最大値となる波
長とを一致させるように膜厚を決定することが好まし
い。
【0048】上記第2金属電極33Bの材料としては、
電気的特性に優れるとともに、可視光域での反射率が高
いものが好ましく、例えば、銀、アルミニウム、チタン
等を用いることができる。
【0049】以上のように構成されたサブストレート構
造の太陽電池3は、次のように製造される。まず、基板
30を洗浄後、30〜350℃に加熱し、蒸着源である
純銀等の純金属に対して電子ビームを照射、溶融して、
第1金属電極33Aを100nm〜1μm程度の膜厚に
なるように積層する(電子ビーム蒸着法)。
【0050】その後、第1金属電極33A上に、第1実
施形態と同様の方法により透明導電膜を形成し、第1透
明電極31Aを積層し、続いて、この第1透明電極31
A上に、第2実施形態と同様の方法により電気的性質が
n型、i型、p型の微結晶シリコン薄膜からなる光電変
換層32を積層する。続いて、前記第2実施形態と同様
の条件で、光電変換層32上にITOをスパッタリング
法で積層し、第2透明電極31Bを形成する。
【0051】最後に、第1金属電極33Aと同様の条件
で、第2透明電極31B上に第2金属電極33Bを形成
する。この場合、金属マスクで金属の堆積領域を限定す
ることで、部分的に第2金属電極33Bを形成する。
【0052】[第4実施形態]図4には、本発明の第4
実施形態に係る光電変換素子である有機太陽電池4が示
されている。有機太陽電池4は、基板40に、透明電極
41、表面に色素45Aが吸着された酸化チタン等から
なる半導体層45、有機ポリシラン等からなる伝導層4
6、および金属電極43をこの順に積層されて構成され
ている。また、照射光44は、太陽電池特性測定時の疑
似太陽光を示すものである。
【0053】ここで、基板40の材質としては、前記第
3実施形態と同様のものを用いることができる。上記透
明電極41には、本発明の透明導電膜が用いられてい
る。また、その膜厚は、特に限定はないが、200nm
〜2μmであることが好ましい。上記色素45Aには、
半導体層45表面に吸着可能な有機材料等が用いられ
る。金属電極43は、前記各実施形態の金属電極と同様
の材質からなるものである。なお、半導体層45、伝導
層46、金属電極43の膜厚は、特に限定されるもので
はなく、必要とする太陽電池4の性能等に応じて適宜設
定することができる。
【0054】以上のように構成された有機太陽電池4
は、次のように製造される。まず、基板40を洗浄後、
第1実施形態と同様の方法により、透明導電膜を積層
し、透明電極41を形成する。次に、酸化チタン粒子等
の有機溶媒懸濁液を、透明電極41上にドクターブレー
ド等を用いて膜厚5〜20μmで塗布し、70〜150
℃で0.1〜1時間予備乾燥させた後、さらに電気炉等
で380〜550℃で0.3〜3時間焼成し、半導体層
45を形成する。
【0055】また、これとは別に調製した有機材料等か
らなる色素45Aをエタノール等の有機溶媒に0.00
01〜0.005mol/Lの濃度になるように溶解さ
せた溶液を調製し、この溶液を50〜100℃に加温す
る。加温した溶液に、先に透明電極41および半導体層
45を形成した基板40を0.5〜2時間浸漬し、半導
体層45を形成する酸化チタン等の粒子表面に色素45
Aを吸着させ、乾燥させる。
【0056】続いて、有機ポリシランをトルエン等の有
機溶媒に溶かした溶液を、半導体層45上に塗布、乾燥
し、伝導層46を形成する。最後に、伝導層46上に金
等の金属を蒸着法で積層し、金属電極43を形成する。
【0057】なお、本発明は、上記各実施形態に限定さ
れるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での
変形、改良は、本発明に含まれるものである。例えば、
前記第1実施形態において、透明導電膜1は、2層の触
媒層11A,Bおよび2層の透明導電層12A,Bを交
互に積層してなるものであったが、これに限られず、そ
れぞれ3層以上の触媒層および透明導電層を交互に積層
するものでもよい。また、透明導電膜1を製造する際
に、電気的特性の向上を図るために加熱処理を施してい
たが、該処理を行わなくとも十分な電気的特性が得られ
る場合には、省略することもできる。さらに、触媒層1
1A,Bの形成に、センシタイジング−アクチベーティ
ング法を用いていたが、これに限定されず、キャタリス
ト−アクセレレーター法等のその他の方法を用いること
もできる。
【0058】上記第2〜4実施形態では、本発明の透明
導電膜を用いてなる光電変換素子として、スーパースト
レート型太陽電池2、サブストレート型太陽電池3、有
機太陽電池4に単接合型太陽電池を採用していたが、こ
れに限定されず、複数の光電変換層(例えば、pin型
光電変換層)を有しているタンデム型太陽電池に用いる
ことができ、この場合、前記第2〜4実施形態のよう
に、透明電極を、電流収集を行う入射光側または裏面側
に用いるだけでなく、各光電変換層の間に挿入すること
もできる。その他、本発明を実施する際の具体的な構造
および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内でそ
の他の構造、形状等としてもよい。
【0059】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明
をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制
限されるものではない。
【0060】[1]透明導電膜 [実施例1]基板10として無アルカリガラス(705
9ガラス、コーニング社製)を用い、該基板10を、ア
サヒクリーナーC−4000(上村工業(株)製)の5
0g/L水溶液に、50℃で5分間浸漬し、表面脱脂お
よび表面調製を行った。このようにして表面調製した基
板10を、25℃の水で15秒間洗浄した。
【0061】次に、2価の錫イオンを含有するセンシタ
イザーS−10X(上村工業(株)製)100ml/L
水溶液および塩酸(35wt%)35ml/L水溶液か
らなるセンシタイジング溶液を20℃に保ち、この溶液
中に、上記基板10を1分間浸漬した。このセンシタイ
ジング処理後、基板10を25℃の純水で15秒間洗浄
した。さらに、パラジウムイオンを含有するアクチベー
ターA−10X(上村工業(株)製)100ml/L水
溶液を20℃に保ち、この溶液中に基板10を1分間浸
漬し、パラジウムからなる第1触媒層11Aを形成した
(Sn−Pd:2液法)。形成後、25℃の水で15秒
間洗浄した。
【0062】その後、0.1mol/Lの硝酸亜鉛・6
水和物と、0.01mol/Lのジメチルアミンボラン
(DMAB)からなる水溶液をpH6.3、68℃に調
整し、この溶液中に第1触媒層11Aを形成した基板1
0を25分間浸漬し、酸化亜鉛からなる第1透明導電層
12Aを形成した。ここで、得られた第1透明導電層1
2Aの平均膜厚は100nmであった。第1透明導電層
12Aの形成後、前述のアクチベーターA−10X(1
00ml/L)水溶液にKClを0.1ml/Lの濃度
となるように添加し、温度を20℃に保ち、この溶液中
に基板10を1分間浸漬することで、第2触媒層11B
を形成した。得られた第2触媒層11Bを構成する触媒
の平均粒子径は、約10nmであった。
【0063】さらに、第1透明導電層12Aを形成した
のと同じ溶液中に、基板10を1時間浸漬し、平均膜厚
400nmの酸化亜鉛からなる第2透明導電層12Bを
形成した後、窒素雰囲気下、470℃で20分間焼成
し、透明導電膜1を得た。
【0064】[実施例2]アクチベーターA−10X
に、塩酸(35wt%)水溶液3mlを加えたアクチベ
ーター溶液を用い、第2透明導電層12Bの析出時間
を、400nmの平均膜厚の第2透明導電層12Bが得
られるまでの時間に調節した以外は、実施例1と同様に
して、透明導電膜1を得た。
【0065】[実施例3]アクチベーターA−10X
に、塩酸(35wt%)水溶液5mlを加えたアクチベ
ーター溶液を用い、第2透明導電層12Bの析出時間
を、400nmの平均膜厚の第2透明導電層12Bが得
られるまでの時間に調節した以外は、実施例1と同様に
して、透明導電膜1を得た。
【0066】[実施例4]アクチベーターA−10X
に、塩酸(35wt%)水溶液10mlを加えたアクチ
ベーター溶液を用い、第2透明導電層12Bの析出時間
を、400nmの平均膜厚の第2透明導電層12Bが得
られるまでの時間に調節した以外は、実施例1と同様に
して、透明導電膜1を得た。
【0067】[実施例5]キャタリストアクセレレータ
ー法によって、パラジウムからなる第1触媒層11Aを
形成した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜1
を得た。第1触媒層11Aの形成法を以下に説明する。
まず、スルカップPED−104(上村工業(株)製)
270g/L水溶液からなるプレディップ溶液を20℃
に保ち、この溶液中に基板10を2分間浸漬した。プレ
ディップ処理後、スルカップAT−105(上村工業
(株)製)30ml/L水溶液およびスルカップPED
−104(上村工業(株)製)270g/L水溶液から
なるキャタリスト溶液を30℃に保ち、この溶液中に基
板10を10分間浸漬した後、25℃の水で15秒間洗
浄した後、30℃に保ったスルカップAL−106(上
村工業(株)製)200ml/L水溶液からなるアクセ
レレーター溶液中に基板10を3分間浸漬し、パラジウ
ムからなる第1触媒層11Aを形成した。
【0068】[実施例6]第1透明導電層12Aおよび
第2透明導電層12Bの形成を以下の条件により行った
以外は、実施例1と同様にして酸化インジウム系の透明
導電膜1を得た。 第1透明導電層の形成条件 0.05mol/Lの硝酸インジウム水溶液、および
0.05mol/Lのトリメチルアミンボラン(TMA
B)水溶液からなる溶液を、pH3.1、58℃に調整
し、この溶液中に、第1触媒層11Aが形成された基板
10を30分間浸漬し、膜厚約43nmの酸化インジウ
ムからなる第1透明導電層12Aを形成した。 第2透明導電層の形成条件 第1透明導電層12Aの形成に用いた溶液に、第2触媒
層11Bが形成された基板10を2.5時間浸漬し、膜
厚約500nmの酸化インジウムからなる第2透明導電
層12Bを形成した。
【0069】[比較例1]図6に、この比較例に用いた
透明導電膜5を示す。透明導電膜5は、基板50上に積
層された触媒層51および透明導電層52を備えて構成
されている。基板50としては、実施例1と同様のもの
を使用し、表面処理も実施例1と同様に行った。次に、
センシタイザーS−10X(100ml/L)水溶液お
よびHCl(35wt%)35ml/L水溶液からなる
センシタイジング溶液に、表面処理した基板50を、2
0℃で1分間浸漬した。
【0070】続いて、銀イオンを主として含有するアク
チベーターMSA−27(上村工業(株)製)500m
l/L水溶液を、20℃に保ち、この溶液中に基板50
を1分間浸漬した後、25℃の水で15秒間洗浄した。
さらに、アクチベーターA−10X(100ml/L)
水溶液を、20℃に保ち、この溶液中に基板50を1分
間浸漬し、銀とパラジウムを含有する触媒層51を形成
した(Sn−Ag−Pb:3液法)後、25℃の水で1
5秒間洗浄した。触媒層51形成後、析出時間を2.2
時間とした以外は、実施例1の第1透明導電層12Aと
全て同じ条件で、膜厚500nmの透明導電層52を形
成し、最後に実施例1と同様の条件で焼成を行い透明導
電膜5を得た。
【0071】上記実施例1〜6で得られた透明導電膜1
について、第1触媒層11A、第1透明導電層12A、
透明導電膜1の各表面凹凸の最大高低差、および比較例
1の透明導電膜5、触媒層51、透明導電層52の各表
面凹凸の最大高低差を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1〜6,比較例1で得られた透明導電膜
1,5の比抵抗および実施例1〜6の第1透明導電層1
2Aの比抵抗を測定した結果を併せて表1に示す。な
お、表面凹凸の最大高低差は、原子間力顕微鏡を用いて
測定した結果であるが、この値は、走査型顕微鏡や透過
型顕微鏡の断面観察からでも算出することが可能であ
る。また、比抵抗値は、4探針法から測定したシート抵
抗と、表面粗さ計によって測定した膜厚(予めウェット
エッチングで作製した膜に段差を形成した)を乗じた計
算値である。
【0072】
【表1】
【0073】表1に示されるように、第1触媒層の表面
凹凸の最大高低差を大きくするには、Sn−Pdの2液
法を用いた方が、Sn−Ag−Pdの3液法を用いるよ
りも有利であり、しかも、2液法で溶液組成を調製する
ことによって、凹凸の最大高低差を細かく制御できるこ
とがわかる。また、キャタリストアクセレレーター法を
用いても、表面凹凸の最大高低差の大きな透明導電膜が
得られていることがわかる(実施例5)。
【0074】さらに、第1触媒層の上部に積層される第
1透明導電層の表面凹凸の最大高低差は、第1触媒層の
表面凹凸の最大高低差の約10〜20倍程度の大きさと
なっており、透明導電層表面に適切な凹凸を形成するた
めには、触媒層の表面凹凸の制御が有効であることがわ
かる。また、透明導電膜の表面凹凸の最大高低差は、第
1透明導電層の最大高低差を反映していることがわか
る。なお、第1触媒層および第1透明導電層の形成を繰
り返すことで、表面凹凸の最大高低差をさらに大きくす
ることも可能である。一方、比抵抗の結果を見ると、第
1透明導電層の比抵抗よりも、透明導電膜の比抵抗の方
が小さくなっており、第2透明導電層が膜全体の電気的
特性を大きく向上させていることがわかる。
【0075】[実施例7〜11]第2触媒層11B形成
時のKClの添加濃度を表2のようにした以外は、実施
例1と同様にして透明導電膜1を得た。
【0076】[比較例2]第2触媒層11B形成時のK
Clの添加濃度を表2のようにした以外は、実施例1と
同様にして透明導電膜を得た。
【0077】上記実施例7〜11、比較例2で得られた
透明導電膜について、第2触媒層を構成する触媒の平均
粒子径、表面凹凸の最大高低差、および比抵抗を測定し
た。結果を表2に示す。なお、実施例10の条件では、
第2触媒層11Bの作用が弱く、膜厚が100nmで飽
和したため、この膜厚で測定した値を記載している。上
記最大高低差および比抵抗の測定は、上記と同様の方法
で行い、平均粒子径の測定は、透過型顕微鏡又は走査型
顕微鏡の断面観察を実施し、それぞれの粒子の最大径の
大きさの50個平均を求めた値である。
【0078】
【表2】
【0079】表2に示されるように、KClの濃度を大
きくしていくにつれて、第2触媒層を構成する触媒の平
均粒子径が小さくなっていくことがわかる。そして、
0.5mol/L(平均粒子径3nm)を超えたあたり
から、析出膜厚が飽和する現象が認められ、比較例2
(12mol/L,0.9nm)では、析出が起こらな
くなっていることがわかる。一方、0.01mol/L
(30nm)未満では、電気的特性が急激に低下してい
くことがわかる。したがって、電気的特性に優れた透明
導電膜を得るためには、第2触媒層を構成する触媒の平
均粒子径を1〜30nm、特に3〜20nmとすること
が好適であることがわかる。
【0080】[2]スーパーストレート型太陽電池 [実施例12]前記第2実施形態に示したスーパースト
レート型太陽電池2を以下の方法により作製した。基板
20として、無アルカリガラス(7059ガラス、コー
ニング社製)を用い、この基板20上に前記実施例3と
同様の手法により、透明導電膜を積層し、第1透明電極
21Aを形成した。続いて、第1透明電極21Aを形成
した基板20上に電気的性質がp型、i型、n型の微結
晶シリコン薄膜からなる光電変換層22をプラズマCV
D装置を用いて連続形成した。具体的には、上記基板2
0を220℃の所定温度に加熱した後、基板20とカソ
ードとの間に高周波電力を印加し、プラズマを発生させ
ることにより微結晶シリコン薄膜からなる光電変換層2
2を形成した。具体的な光電変換層22の形成パラメー
タを表3に示す。
【0081】
【表3】
【0082】続いて、光電変換層22を形成した基板2
0を220℃に加熱し、酸素とアルゴンとの流量をそれ
ぞれ1.4cm3/min、250cm3/minに制御
しつつ、基板20とカソードとの間に450VのDCバ
イアスを印加し、光電変換層22上にITOをスパッタ
リングすることで、第2透明電極21Bを形成した。最
後に、第2透明電極21Bを形成した基板20を180
℃に加熱し、蒸着源である純銀に対して、電子ビームを
照射し、溶融させ、第2透明電極21B上に500nm
の銀膜を積層し、金属電極23を形成し、スーパースト
レート型太陽電池2を得た。
【0083】得られた太陽電池2にAM−1.5(10
0mW/cm2)の光24を基板20側から照射し、太
陽電池特性を測定した。結果を表4に示す。なお、短絡
電流密度、開放電圧、曲線因子、変換効率は、日本工業
規格(JIS)C8934のアモルファス太陽電池セル
出力測定方法に基づき測定を実施したものである。短絡
電流密度は、この規格の短絡電流(ISC)を作製した
太陽電池のセル面積(非発電領域を含む)で除したもの
である。
【0084】[比較例3]上記比較例1の透明導電膜を
第1透明電極として用いた以外は、実施例12と同様に
してスーパーストレート型太陽電池を作製した。得られ
た太陽電池に実施例12と同様の光を照射し、太陽電池
特性を測定した。結果を表4に併せて示す。
【0085】
【表4】
【0086】表4に示されるように、実施例12の太陽
電池は、本発明の透明導電膜、すなわち、光閉じ込め効
果に優れた低抵抗の透明導電膜を第1透明電極に用いて
いるから、比較例3の太陽電池よりも、短絡電流密度等
の各種太陽電池特性に優れていることがわかる。なお、
表4に示してはいないが、上述した実施例1,2,4〜
11の透明導電膜を用いた太陽電池においても、本比較
結果と同様の傾向が得られている。
【0087】[3]サブストレート型太陽電池 [実施例13]前記第3実施形態に示したサブストレー
ト型太陽電池3を以下の方法により作製した。基板30
として、無アルカリガラス(7059ガラス、コーニン
グ社製)を用いた。この基板30を洗浄後、180℃に
加熱、保持した状態で、蒸着源である純銀に対して電子
ビームを照射し、溶融させ、基板30表面に膜厚300
nmの銀膜を積層し、第1金属電極33Aを形成した。
【0088】続いて、上記実施例3と同様の条件で透明
導電膜1を第1金属電極33A上に積層し、第1透明電
極31Aを形成した。次に、上記表6と同一の条件を用
い、第1透明電極31A上に微結晶シリコン薄膜を積層
し、光電変換層32を形成した。なお、p型、i型、n
型の形成順序については、実施例12と逆にし、n型、
i型、p型とした。さらに、光電変換層32を形成した
基板30を200℃に加熱し、酸素とアルゴンとの流量
をそれぞれ1.4cm3/min、250cm3/min
に制御しつつ、基板30とカソードとの間に450Vの
DCバイアスを印加し、光電変換層32上にITOをス
パッタリングすることで、第2透明電極31Bを形成し
た。
【0089】最後に、第1金属電極33Aと同一の条件
を用いて第2金属電極33Bを形成し、サブストレート
型太陽電池3を得た。この際、金属マスクで銀の堆積領
域を限定することで、第2金属電極33Bを第2透明電
極31B上に選択的に形成した。得られた太陽電池3に
AM−1.5(100mW/cm2)の光34を照射
し、太陽電池特性を測定した。結果を表5に示す。な
お、各評価項目の測定法は実施例12と同様である。
【0090】[比較例4]上記比較例1の透明導電膜を
第1透明電極として用いた以外は、実施例13と同様に
してサブストレート型太陽電池を作製した。得られた太
陽電池に実施例13と同様の光を照射し、太陽電池特性
を測定した。結果を表5に併せて示す。
【0091】
【表5】
【0092】表5に示されるように、実施例13の太陽
電池は、本発明の透明導電膜、すなわち、光閉じ込め効
果に優れた低抵抗の透明導電膜を第1透明電極に用いて
いるから、比較例4の太陽電池よりも、短絡電流密度等
の各種太陽電池特性に優れていることがわかる。なお、
表5に示してはいないが、上述した実施例1,2,4〜
11の透明導電膜を用いた太陽電池においても、本比較
結果と同様の傾向が得られている。
【0093】[4]有機太陽電池 [実施例14]前記第4実施形態に示した有機太陽電池
4を以下の方法により作製した。基板40として無アル
カリガラス(7059ガラス、コーニング社製)を用
い、実施例3と同様の条件で透明導電膜を基板40上に
積層し、透明電極41を形成した。なお、透明電極41
の表面凹凸の最大高低差は実施例3と同様であった。次
に、市販の酸化チタン粒子(テイカ(株)製、平均粒子
径30nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル20mlとを、硬質ガラスビーズを使用して
ペイントシェイカーにより6時間分散させることによっ
て酸化チタン懸濁液を調製し、この懸濁液をドクターブ
レードを用いて透明電極41上に塗布した。塗布後、1
00℃で30分間予備乾燥し、続いて電気炉中で500
℃、40分間焼成することで、膜厚9μm程度の酸化チ
タンからなる半導体層45を形成した。
【0094】これとは別に、色素45Aとして、ルテニ
ウム(4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジ
ン)2(NCS)2をエタノールに、濃度5×10-4mo
l/Lとなるように溶解させた。この溶液を60℃に加
熱、保持し、上述の半導体層45を形成した基板40を
60分間浸漬し、酸化チタンの表面に色素45Aを吸着
させた後、自然乾燥させた。
【0095】この後、フェニルメチルポリシラン(重量
平均分子量110,000)のトルエン溶液(5重量
%)を、半導体層45上に塗布し、減圧乾燥して伝導層
46を形成した。最後に、伝導層46上に、蒸着法によ
り金膜を積層して金属電極43を形成し、有機太陽電池
4を得た。このようにして作製した有機太陽電池4に、
AM−1.5(100mW/cm 2)の光44を照射
し、太陽電池特性を測定したところ、変換効率は3.5
%であった。なお、測定法は、上記実施例12と同様で
ある。
【0096】[比較例5]上記比較例1の透明導電膜を
透明電極として用いた以外は、実施例14と同様にして
有機太陽電池を作製した。得られた太陽電池に実施例1
4と同様の光を照射し、太陽電池特性を測定したとこ
ろ、変換効率は3.3%と、実施例14より低い値であ
った。この差は、主として短絡電流密度の差(比較例5
では実施例14の91%の値)から生じるものであり、
実施例14の透明電極41が発揮する光閉じ込め効果に
起因するものである。
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、基板上に形成された2
層以上の触媒層および2層以上の透明導電層をそれぞれ
有し、触媒層および透明導電層が交互に形成されるとと
もに、表面凹凸の最大高低差が100nm〜1μmの範
囲である透明導電膜であるから、高い電気的特性を有す
るとともに、優れた光閉じ込め効果を発揮するので、光
電変換素子に好適に利用でき、高い変換効率を有する種
々の太陽電池を得ることができる。また、本発明の透明
導電膜は、無電解めっき法によって形成することができ
るから、製造コストの低減化を図ることができ、その結
果、該透明導電膜を用いた光電変換素子(太陽電池)を
低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る透明導電膜を示す
断面概略図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るスーパーストレー
ト型太陽電池を示す断面概略図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るサブストレート型
太陽電池を示す断面概略図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る有機太陽電池を示
す断面概略図である。
【図5】太陽電池の変換効率と透明電極の表面における
凹凸の最大高低差との相関関係を示すグラフである。
【図6】比較例に係る透明導電膜の断面概略図である。
【符号の説明】
1 透明導電膜 2,3,4 太陽電池(光電変換素子) 10,20,30,40 基板 11A 第1触媒層(触媒層) 11B 第2触媒層(触媒層) 12A 第1透明導電層(透明導電層) 12A’ 第1透明導電層上の凹凸 12B 第2透明導電層(透明導電層) 13 表面凹凸 21A,31A 第1透明電極 21B,31B 第2透明電極 22,32 光電変換層 23,43 金属電極 33A 第1金属電極 33B 第2金属電極 24,34,44 照射光 41 透明電極 45 半導体層 45A 色素 46 伝導層 H 最大高低差
フロントページの続き (72)発明者 早川 尚志 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 西條 義司 大阪府枚方市出口1丁目5番1号 上村工 業株式会社中央研究所内 (72)発明者 田邉 克久 大阪府枚方市出口1丁目5番1号 上村工 業株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 5F051 AA04 BA16 CB27 FA02 FA19 GA03 5G307 FA01 FB01 FC10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された2層以上の触媒層お
    よび2層以上の透明導電層をそれぞれ有し、 前記触媒層および透明導電層が交互に形成されるととも
    に、表面凹凸の最大高低差が100nm〜1μmの範囲
    であることを特徴とする透明導電膜。
  2. 【請求項2】 前記最大高低差が前記透明導電層のいず
    れか1層の表面凹凸の最大高低差を反映していることを
    特徴とする請求項1記載の透明導電膜。
  3. 【請求項3】 前記触媒層のいずれか1層は、膜厚方向
    の最大厚みと最小厚みとの差が7〜70nmの範囲であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の透明導電
    膜。
  4. 【請求項4】 前記触媒層のいずれか1層は、平均粒子
    径が1〜30nmの触媒粒子からなることを特徴とする
    請求項3記載の透明導電膜。
  5. 【請求項5】 前記触媒層がパラジウム元素を含むこと
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の透明
    導電膜。
  6. 【請求項6】 前記透明導電層が無電解めっき法で形成
    されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項
    記載の透明導電膜。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
    透明導電膜を用いてなることを特徴とする光電変換素
    子。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007042494A (ja) * 2005-08-04 2007-02-15 Fujikura Ltd 作用極及びその製造方法、並びに太陽電池及びその製造方法
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KR101145362B1 (ko) 2011-08-23 2012-05-14 주식회사 나우테크 투명전극용 기판의 제조방법

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