JP2003089648A - 創傷治療材料及びこれに用いる創傷被覆材 - Google Patents

創傷治療材料及びこれに用いる創傷被覆材

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JP2003089648A JP2002195778A JP2002195778A JP2003089648A JP 2003089648 A JP2003089648 A JP 2003089648A JP 2002195778 A JP2002195778 A JP 2002195778A JP 2002195778 A JP2002195778 A JP 2002195778A JP 2003089648 A JP2003089648 A JP 2003089648A
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Masatoshi Igarashi
正利 五十嵐
Hiroaki Nakamura
博昭 中村
Masakazu Sugiura
正和 杉浦
Sukehito Kurokawa
祐人 黒川
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Alcare Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Alcare Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主に黄色期に見られる創傷治癒課程にも適切
な処置(排泄物の除去、細菌感染治療等)を容易に促す
ことができる創傷治療材料を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 難生分解性材料(A)及び細胞(B)を
有してなることを特徴とする創傷治療材料を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、創傷治療材料及び
これに用いる創傷被覆材に関する。さらに詳しくは、褥
瘡、潰瘍、熱傷等の部位に適用され、かかる部位を保護
し肉芽形成等の治癒を促進することができ、特に感染の
可能性の大きい黄色期の創傷治癒に適する交換可能な創
傷治療材及びこれに用いる創傷被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、細胞を有する創傷治療材料として
は、酸性溶液中のコラーゲンをグルタルアルデヒド等で
架橋し水洗した後に減圧乾燥等を行って得られるコラー
ゲンシートを培養容器に投入し、皮膚由来の線維芽細胞
をコラーゲンシート上又はコラーゲンシート中で培養し
て得られるコラーゲンシートが知られている(特開平9
−47502号公報)。しかしながら、大半が創傷から
の滲出液により崩壊されて形態が失われてしまうタイ
プ、すなわち、生分解性の高い生体癒合タイプであり、
創傷被覆材の成分を創面に残さず必要時除去出来るよう
なものはなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】主に黄色期の慢性潰瘍
には多くの自己融解した蛋白質分解物を含む滲出液や痂
皮の残渣等の排泄物が存在し、また細菌感染等の問題を
併発していることも多い。この場合、従来の創傷治療材
料では、滲出液により創傷治療材料が分解して、その分
解物の一部が治癒進行と共に再生組織と一体化していく
ため、万一感染が発覚すると治癒が進行している場合で
あっても、排泄物や感染部分を掻爬又は切除等の手段に
より除去するしかなく、結果として創傷治癒を大幅に遅
らせるという問題がある。すなわち、本発明は、主に黄
色期に見られる創傷治癒過程にも適切な処置(排泄物の
除去、細菌感染治療等)を容易に促すことができる創傷
治療材料を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の材料を用いる
ことにより上記目的を達成することを見いだし本発明に
到達した。すなわち、本発明の創傷治療材料の特徴は、
難生分解性材料(A)及び細胞(B)を有してなる点に
ある。
【0005】
【発明の実施の形態】難生分解性材料(A)は、細胞培
養での使用時や創傷面への適用時に、培養液や創面に分
散、溶解または吸収されにくいものであればいずれも使
用できるが、細胞培養を阻害したり、人体に悪影響を与
える毒性物質を含むものは使用できない。難生分解性材
料(A)としては、有機高分子化合物及び無機化合物等
が使用できる。
【0006】有機高分子化合物としては、例えば、ポリ
オレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれら
の変性物等)、オレフィン共重合体(エチレン−ビニル
アセテート共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリ
レート共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレー
ト共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体
等)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリル酸、
ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロー
ス、天然繊維(綿、毛、麻及び絹等)及び化学繊維(ビ
スコースレイヨン、キュプラレーヨン、ポリノジック、
アセテート、トリアセテート、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリルニト
リル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ビニリデン及びポリ
ウレタン等)等が用いられる。
【0007】無機化合物としては、例えば、金属(金、
銀、プラチナ、チタン及びニッケル等)及びセラミック
ス(アルミナ、ジルコニア及び窒化アルミニウム等)等
が用いられる。これらのうち、有機高分子化合物が好ま
しく、さらに好ましくはポリオレフィン、ポリウレタ
ン、ポリエステル及びポリアクリル酸、特に好ましくは
ポリウレタンである。
【0008】難生分解性材料(A)は、柔軟性、伸縮
性、適度の水蒸気透過性、菌バリヤー性及び滅菌性を総
合的に考慮して選択されるものである。難分解性材料
(A)が有機高分子化合物の場合、(A)の硬度は、例
えば、50〜90が好ましい。なお、硬度は、JISK
6301−1995、5.2スプリング式硬さ試験(A
形)に準拠して測定される。難分解性材料(A)の透湿
度(g/m、24hr)は、例えば、800〜250
0が好ましい。なお、透湿度は、JISZ0208−1
976(40℃、90%RH)に準拠して測定される。
【0009】難生分解性材料(A)の表面の水に対する
接触角は、25〜130度が好ましく、さらに好ましく
は40〜120度、特に好ましくは60〜110度であ
る。すなわち、この接触角(度)は、25以上が好まし
く、さらに好ましくは40以上、特に好ましくは60以
上であり、また130以下が好ましく、さらに好ましく
は120以下、特に好ましくは110以下である。難生
分解性材料(A)の表面の水に対する接触角は、接触角
計(例えば、協和界面科学株式会社製、CA−S150
型)等を用いて測定することができる。測定条件として
は、測定雰囲気温度:25±1℃、測定雰囲気相対湿
度:65±5%、測定対象温度:25±1℃、液滴の液
量:1.8±2μL、液滴の滴下針:18G、接触角の
読み取り:滴下15±1秒後読み取りである。接触角の
算出方法は、協和界面科学株式会社製CA−Z型の取扱
説明書記載の算出式(接触角=2tan−1(滴下後液
滴の高さ/滴下後液滴の半径))で算出できる。
【0010】難生分解性材料(A)の表面の水に対する
接触角は、難生分解性材料(A)を表面処理してコント
ロールすることができ、例えば、官能基(パーフルオロ
アルキル基、ポリオキシエチレン基、カルボキシル基、
カルボニル基、水酸基及びアミノ基等)の付与するため
の化学的処理、表面に凹凸を作製するための物理的処
理、蛋白質等のブロッキングによる吸着処理等が挙げら
れるが、これらのうち、化学的処理及び吸着処理が好ま
しく、さらに好ましくは蛋白質等のブロッキングによる
吸着処理である。
【0011】化学的処理としては、例えば、SG(So
ilGuard)加工やSR(SoilReleas
e)加工(高分子薬剤入門、藤本武彦監修、三洋化成工
業株式会社発行)、シランカップリング剤処理、オゾン
処理、電子線処理及び酸化剤処理等が利用できる。物理
的処理としては、例えば、ダイヤモンドヤスリ(DT−
101N)で表面を研磨する方法などが利用できる他
に、難生分解性材料(A)の成型時に所望の表面形状に
することができる。吸着処理としては、例えば、難生分
解性材料(A)を蛋白質含有溶液中に浸漬して蛋白質を
吸着させる方法等が利用できる。蛋白質としては、アル
ブミン等の血清由来蛋白質及びカゼイン等の乳由来蛋白
質等が挙げられる。
【0012】難生分解性材料(A)には、細胞接着シグ
ナルを現す最小アミノ酸配列を1分子中に少なくとも1
個有するペプチド(C)を含有させることができる。細
胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配列としては、接
着シグナルとして働くものであればいずれも使用でき、
例えば、病態生理(第9巻、第7号、527〜535
頁、1990年)及び大阪府立母子医療センター雑誌
(第8巻、第1号、58〜66頁、1992年)に記載
されているもの等が用いられる。
【0013】該最小アミノ酸配列の中で、アミノ酸一文
字表記で現わされる、RGD配列、LDV配列、RED
V配列(1)、YIGSR配列(2)、PDSGR配列
(3)、RYVVLPR配列(4)、LGTIPG配列
(5)、RNIAEIIKDI配列(6)、IKVAV
配列(7)、LRE配列、DGEA配列(8)、GVK
GDKGNPGWPGAP配列(9)、GEFYFDL
RLKGDK配列(10)及びHAV配列が好ましく、
さらに好ましくは、RGD配列、YIGSR配列
(2)、IKVAV配列(7)及びHAV配列であり、
特に好ましくはRGD配列である(カッコ内にアミノ酸
配列表の配列番号を記載した。以下同じである。)。
【0014】ペプチド(C)は、前記最小アミノ酸配列
を1分子中に少なくとも1個有すればよいが、1分子中
に2〜50個有するものが好ましく、さらに好ましくは
3〜30個、特に好ましくは1分子中に5〜20個有す
るものである。難生分解性材料(A)に該最小アミノ酸
配列を含有させると、本発明の材料に細胞(B)をより
多く含有させることができるようになる。ペプチド
(C)の数平均分子量(以下Mnと略する。)は、30
0〜3,000,000が好ましく、さらに好ましくは
1,000〜1,000,000、特に好ましくは3,
000〜300,000である。すなわち、このMn
は、300以上が好ましく、さらに好ましくは1,00
0以上、特に好ましくは3,000以上であり、また
3,000,000以下が好ましく、さらに好ましくは
1,000,000以下、特に好ましくは300,00
0以下である。なお、ペプチド(C)のMnは、SDS
−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)
法で、ペプチド(C)を水中で分離し、泳動距離を標準
物質と比較することによって求めるものである。
【0015】ペプチド(C)の製造方法は、例えば、有
機合成法(酵素法、固相合成法及び液相合成法等)、遺
伝子組換え法及び生体物質精製抽出法等によって容易に
製造できる。これらのうち、ペプチド(C)のアミノ酸
配列が自由に設計でき不純物が少ないという観点から、
有機合成法及び遺伝子組換え法が好ましく、さらに好ま
しくはペプチド(C)のアミノ酸配列を容易に設計・製
造できるという観点から、遺伝子組換え法である。
【0016】有機合成法によるペプチド(C1)として
は、例えば、アミノ酸一文字表記で現される、RGDS
配列(11)、GRGDS配列(12)、GRGDSP
配列(13)、RGDSPASSKP配列(14)及び
これらペプチドの一種以上の重合体等が挙げられる。こ
れらのうち好ましいものは、ペプチドの一種以上の重合
体であり、例えば、(RGDS)4配列(15)及び
(RGDS)8配列(16)等が挙げられる。該重合体
の重合度(繰り返し単位の個数)は、2〜50個が好ま
しく、さらに好ましくは3〜30個、特に好ましくは4
〜20個である。有機合成法に関しては、例えば、続生
化学実験講座2、タンパク質の化学(下)(641〜6
94頁、昭和62年5月20日、日本生化学学会編、株
式会社東京化学同人発行)等に記載されている。
【0017】遺伝子組換え法によるペプチド(C2)と
しては、例えば、特表平3−502935号公報中に記
載されているアミノ酸一文字表記で現される、(GAG
AGS)9配列(17)とRGD配列とを有するペプチ
ド、(GAGAGS)9配列(17)とYIGSR配列
(2)とを有するペプチド、(GAP(GPP)4)2
配列(18)とRGD配列とを有するペプチド、(GA
P(GPP)4)2配列(18)とYIGSR配列
(2)とを有するペプチド、(GAGAGS)9配列
(17)とIKVAV配列(7)とを有するペプチド等
が挙げられる。ペプチド(C2)のうち、耐熱性が強く
滅菌し易くするために、アミノ酸一文字表記で表される
GAGAGS配列(19)を1分子中に2個以上有する
ものが好ましく、さらに好ましくは3個以上有するも
の、特に好ましくは5個以上有するものである。遺伝子
組換え法によるペプチド(C2)は、組換え微生物由来
の不純物を含むことがあるため、抗ペプチド抗体を用い
たアフィニティ精製によって精製し、ペプチドの純度を
80重量%以上にすることが好ましく、さらに好ましく
は90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上であ
る。遺伝子組換え法に関しては、例えば、特表平3−5
02935号公報中で例示されている。
【0018】生体物質精製抽出法によるペプチド(C
3)としては、例えば、I型コラーゲン、II型コラー
ゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コ
ラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチ
ン、フィブロイン、フィブリノーゲン、エンタクチン及
びアミロイドP等の蛋白質、並びにこれらの分解物等が
挙げられる。これらの分解物とは、細胞接着シグナルを
現わす最小アミノ酸配列が残存している分解物を意味
し、酵素(コラゲナーゼ等)処理、酸(塩酸等)処理、
アルカリ(水酸化ナトリウム等)処理又は加水分解等の
公知の蛋白質分解方法で得ることができる(例えば、I
型コラーゲンを酵素処理することにより、テロペプチド
を除いた分解物を得ることができる。)。生体物質精製
抽出法に関しては、例えば、特開平4−305600号
公報中で例示されている。
【0019】ペプチド(C)の難生分解性材料(A)へ
の固定化法は特に限定されないが、例えば、難生分解性
材料(A)をペプチド(C)の水溶液に浸漬しペプチド
(C)を難生分解性材料(A)に物理吸着させた後、蒸
留水等でペプチド(C)が固定化された難生分解性材料
(A)を洗浄する方法等が挙げられる。この場合、ペプ
チド(C)水溶液の濃度は、1μg/L〜100g/L
が好ましく、さらに好ましくは5μg/L〜50g/
L、特に好ましくは20μg/L〜20g/Lである。
すなわち、この場合、この濃度は、1μg/L以上が好
ましく、さらに好ましくは5μg/L以上、特に好まし
くは20μg/L以上であり、また100g/L以下が
好ましく、さらに好ましくは50g/L以下、特に好ま
しくは20g/L以下である。
【0020】難生分解性材料(A)の形状としては、創
傷(褥瘡、潰瘍及び熱傷等)の治療に使用できれば特に
制限はないが、例えば、シート状、糸状、ゲル状などが
挙げられ、これらのうち、細胞培養や創傷への適用での
取り扱い易さの点から、シート状が好ましい。シートの
厚さとしては、1μm〜5cmが好ましく、さらに好ま
しくは5μm〜1cm、特に好ましくは15μm〜3m
m、最も好ましくは30〜500μmである。すなわ
ち、この厚さとしては、1μm以上が好ましく、さらに
好ましくは5μm以上、特に好ましくは15μm以上、
最も好ましくは30μm以上であり、また5cm以下が
好ましく、さらに好ましくは1cm以下、特に好ましく
は3mm以下、最も好ましくは500μm以下である。
シート状の形態としては、例えば、フィルム、フォーム
(スポンジ)、不織布、織布及び編み布等が挙げられ
る。これらのうち、フィルム及びフォームが好ましく、
さらに好ましくはフィルムである。不織布、織物及び編
み物の目付量は、特に制限はないが、20〜300g/
が好ましく、さらに好ましくは30〜200g/m
、特に好ましくは50〜100g/mである。すな
わち、これらの目付量(g/m)は、20以上が好ま
しく、さらに好ましくは30以上、特に好ましくは50
以上であり、また300以下が好ましく、さらに好まし
くは200以下、特に好ましくは100以下である。な
お、フィルム及びフォームには微細な孔を全面又は一部
に有していてもよい。該孔の大きさは、空気及び水蒸気
が容易に通過できる程度の大きさが好ましい。
【0021】難生分解性材料(A)は、直接的に創傷面
との相互作用を低減するために、多孔性材料(D)を設
けた構造とすることがより好ましい。難生分解性材料
(A)に多孔性材料(D)を設けた場合、細胞(B)
は、難生分解性材料(A)と多孔性材料(D)との中間
層に存在するか、多孔性材料(D)中に存在するか、難
生分解性材料(A)中に存在することが好ましく、さら
に好ましくは難生分解性材料(A)と多孔性材料(D)
との中間層に存在することである。
【0022】前述の直接的に創傷面との相互作用とは、
創傷に難生分解性材料(A)及び細胞(B)を適用する
うえで、創傷面に難生分解性材料(A)及び細胞(B)
が接触することが望ましくない事象、例えば、難生分解
性材料(A)と創傷面との癒着、創傷面からの廃物等と
細胞(B)の接触、創傷面に存在する感染誘発菌等によ
る細胞(B)への感染等を意味する。望ましくない事象
の中でも、創傷に対する癒着の防止には、本発明の創傷
治療材料を使用することにより、何かしらの創傷治癒に
望ましくない問題(感染・不良肉芽の発生・壊死など)
が生じたときに、本発明の創傷治療材料を問題なく容易
に創傷面より除去し得るので、黄色期〜上皮化とくに黄
色期の褥瘡、潰瘍などの慢性創傷の治療において、その
創傷の状況に関わらず創傷治癒を簡便にすることができ
る。
【0023】多孔性材料(D)は、細胞が産生する生理
活性物質を通過させることができる孔を有するものであ
れば制限なく使用できる。細胞(B)が産生する生理活
性物質としては、細胞が産生するものであれば特に限定
されず、褥瘡会誌(第2巻、第3号、225〜235
頁、2000年)に記載されているMn200以上のペ
プチドや蛋白質等があり、例えば、皮膚由来の細胞が産
生する生理活性物質としては、FGF、PDGF、EG
F、IL−1、TGFβ、コラーゲン、エラスチン、レ
チクリン、フィブロネクチン、テネイシン、ヒアルロン
酸、コンドロイチン硫酸及びデルマタン硫酸等が挙げら
れる。
【0024】多孔性材料(D)としては、特に制限はな
いが、難生分解性材料(A)と同じものが使用でき、こ
れらのうち、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエス
テル、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂及びセルロ
ースが好ましく、さらに好ましくはポリオレフィン、ポ
リウレタン、及びシリコーン樹脂、特に好ましくはポリ
オレフィン、及びシリコーン樹脂である。より好ましく
は、これらの多孔性材料(D)は、水との接触角をコン
トロールする方法等で表面処理されていてもよく、ま
た、創傷面との相互作用や乾燥防止の面から、親水性、
特に吸水性を有する材料{親水(吸水)性材料}により
構成してもよく、上記の多孔性材料(D)と親水(吸
水)性材料とを複合されていてもよい。
【0025】親水(吸水)性材料としては、水分又は滲
出液と親和性(吸水性)を持つものであれば制限なく使
用でき、一般に知られる合成、天然の親水性の高分子等
が使用でき、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリレー
ト、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及び
ポリエチレングリコール等の合成高分子、カルボキシメ
チルセルロース等のセルロース誘導体、並びにアルギン
酸塩、カラギーナン、アガロース、キトサン、ヒアルロ
ン酸塩、ペクチン及びこれらの誘導体等の天然高分子等
が使用できる。なお、親水(吸水)性材料は、創傷から
の水分又は滲出液を保持し、湿潤環境を形成するため、
創傷の乾燥防止、細胞(B)の乾燥防止等に効果的に作
用するものである。また、親水(吸水)性材料は、水、
生理食塩水及び/又は炭素数2〜4のアルコール(例え
ば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチ
ルアルコール、エチレングリコール及びグリセリン等)
等と共に予めゲルを形成させておいてもよい。
【0026】多孔性材料(D)の形状としては、メッシ
ュ状、穴あきのシート状、連続発泡した薄手のフォーム
状及びゲル状等が挙げられる。これらのうち、滲出液の
通過を阻害せず、再生創傷面に取り込まれないという観
点から、メッシュ状、穴あきのシート状及びゲル状が好
ましく、さらに好ましくはメッシュ状及びゲル状であ
る。これらの多孔性材料(D)の開孔面積(mm
は、0.005〜5が好ましく、さらに好ましくは0.
01〜0.5、特に好ましくは0.05〜0.25であ
る。すなわち、(D)の開孔面積は、0.005以上が
好ましく、さらに好ましくは0.01以上、特に好まし
くは0.05以上であり、また5以下が好ましく、さら
に好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.25以下
である。難生分解性材料(A)と多孔性材料(D)との
結合方法は、(A)と(D)とが一体化された状態で創
傷部に適用でき、かつ細胞(B)の働きが阻害されなけ
れば特に限定されず、例えば、接着剤(アクリル接着
剤、エポキシ接着剤、ウレタン接着剤及びシアノアクリ
レート接着剤等)又は粘着剤(アクリル粘着剤、ウレタ
ン粘着剤及びゴム粘着剤等)による結合、及び熱又は超
音波による溶融結合等が適用できる。
【0027】細胞(B)としては、哺乳動物に由来する
細胞であれば使用できるが、好ましくはヒト(Homo
sapiens)由来の細胞、さらに好ましくは皮膚
由来の線維芽細胞、皮膚由来の表皮細胞、幹細胞の分化
で得られる線維芽細胞及び幹細胞の分化で得られる表皮
細胞であり、特に好ましくは皮膚由来の線維芽細胞及び
幹細胞の分化で得られる線維芽細胞である。本発明の創
傷治療材料を適用する個体と細胞(B)の由来との関係
としては、創傷治療材料を適用する個体に対し同種又は
自家の細胞が好ましく、さらに好ましくは創傷治療材料
を適用する個体に対し自家の細胞である。創傷治療材料
を適用する個体に対して異種の細胞を利用すると免疫適
合性不良等の問題が生じやすくなり治癒が遅れる傾向に
ある。
【0028】本発明の創傷治療材料は、難生分解性材料
(A)及び細胞(B)を有していれば特に制限はない
が、細胞(B)が難生分解性材料(A)に固定化又は接
着されていることが好ましい。細胞(B)を固定化する
方法としては、例えば、酵素を担体に固定化する方法
(応用酵素学、27〜35頁、1979年、株式会社講
談社発行)等が利用でき、例えば、細胞(B)を共有結
合、イオン結合又は物理的吸着等で難生分解性材料
(A)に結合する方法や、細胞(B)をフォーム状(ス
ポンジ)等の難生分解性材料(A)に包括させる方法等
が挙げられる。
【0029】細胞(B)を接着する方法としては、常法
により接着することができ、例えば、難生分解性材料
(A)、細胞(B)及び培地等を用いて細胞培養するこ
とで容易に得られる。細胞(B)の含有量は、難生分解
性材料(A)の単位面積当たり、10〜10cell
s/cmが好ましく、さらに好ましくは10〜10
cells/cm、特に好ましくは10〜10
cells/cmである。すなわち、この含有量(c
ells/cm)は、(A)の単位面積当たり、10
以上が好ましく、さらに好ましくは10以上、特に好
ましくは10以上であり、また10以下が好まし
く、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは10
以下である。なお、cellsは細胞(B)の個数を
表し、血球計数板によって容易に測定される。一般に、
細胞(B)の含有量が高いほど、創傷の治癒促進効果が
高くなるが、10cells/cmを越えると治癒
促進効果はほぼ一定に達する。
【0030】細胞(B)を難生分解性材料(A)に接着
させる際の細胞培養に用いられる培地としては、特に限
定されず、細胞培養に使用されるいずれも公知のもの等
が使用でき、例えば、MEM培地、DME培地、ハムF
−12培地、DMEとハムF−12の混合培地、Epi
Life−KG2培地及びEpiLife培地等が挙げ
られる。これらの培地には、細胞増殖因子(IGF、E
GF及びFGF等)、抗菌剤(アンホテリシンB、ゲン
タマイシン、ペニシリン及びストレプトマイシン等)、
血清(ヒト血清、ウシ血清、ウマ血清及びヒツジ血清
等)等公知の添加剤を含有させることができる。
【0031】細胞増殖因子を使用する場合、細胞増殖因
子の濃度は、培地の全容量(細胞増殖因子、抗菌剤及び
血清を含む。以下同様。)当たり、10pg/L〜1,
000μg/Lが好ましく、さらに好ましくは30pg
/L〜300μg/L、特に好ましくは100pg/L
〜100μg/Lである。すなわち、この場合、この濃
度は、培地の全容量当たり、10pg/L以上が好まし
く、さらに好ましくは30pg/L以上、特に好ましく
は100pg/L以上であり、また1,000μg/L
以下が好ましく、さらに好ましくは300μg/L以
下、特に好ましくは100μg/L以下である。抗菌剤
を使用する場合、抗菌剤の濃度は、培地の全容量当た
り、1ng/L〜100g/Lが好ましく、さらに好ま
しくは3ng/L〜30g/L、特に好ましくは10n
g/L〜10g/Lである。すなわち、この場合、抗菌
剤の濃度は、培地の全容量当たり、1ng/L以上が好
ましく、さらに好ましくは3ng/L以上、特に好まし
くは10ng/L以上であり、また100g/L以下が
好ましく、さらに好ましくは30g/L以下、特に好ま
しくは10g/L以下である。血清を使用する場合、血
清の濃度は、ウイルス等の感染症の危険性等の観点か
ら、培地の全容量に基づいて、1×10−6〜50容量
%が好ましく、さらに好ましくは1×10−5〜10容
量%、特に好ましくは1×10−4〜2容量%である。
この場合、血清の濃度(容量%)は、培地の全容量に基
づいて、1×10 以上が好ましく、さらに好ましく
は1×10−5以上、特に好ましくは1×10−4以上
であり、また50以下が好ましく、さらに好ましくは1
0以下、特に好ましくは2以下である。また、血清の動
物種としては、ヒト、馬、牛及び羊等が挙げられる。細
胞培養の温度は、細胞が良好に生育できる温度であれば
特に限定されず、通常15〜45℃程度である。細胞培
養の期間は、細胞が良好に生育できる期間であれば特に
限定されず、通常1〜30日程度である。
【0032】本発明の創傷治療材料は、常法により製造
することができ、例えば、常法により難生分解性材料
(A)を製造し、創傷部位に応じて選択した細胞(B)
を難生分解性材料(A)に常法により固定化又は接着さ
せることにより製造することができる。また、多孔性材
料(D)を設ける場合は、例えば、細胞(B)を難生分
解性材料(A)に固定化又は接着した後、これに多孔性
材料(D)を貼り合わせてもよく、また、(A)と
(D)を張り合わせてから(B)を固定化等してもよ
い。また、本発明の創傷治療材料(A)は、細胞の保存
方法に準じて行うことができ、例えば、液体窒素中又は
超低温フリーザー内(−40〜−120℃)に保存する
ことができる。
【0033】本発明の創傷治療材料は、潰瘍等の慢性創
傷の場合、黄色期から赤色期の創傷への適用が好まし
く、また熱傷や外傷性皮膚欠損症等の急性創傷の場合、
炎症期から肉芽形成期の創傷への適用が好ましい。本発
明の創傷治療材料は、難生分解性材料(A)と細胞
(B)とを有してなるが、多孔性材料(D)を設けた場
合、(A)と(D)とを有してなる創傷被覆材を細胞
(B)のない状態で創傷面へ適用することができる。こ
の場合、創傷より滲出する滲出液中に含まれる浮遊細胞
が本発明の創傷被覆材に接着することにより、良好な創
傷治療効果を発揮する。本発明の創傷被覆材は、潰瘍等
の慢性創傷の場合、黄色期から赤色期の創傷への適用が
好ましく、さらに好ましくは赤色期の創傷への適用であ
る。また、熱傷や外傷性皮膚欠損症等の急性創傷の場
合、創傷治療材料と同様に、炎症期から肉芽形成期の創
傷への適用が好ましい。
【0034】また、本発明の創傷治療材料の創傷面への
適用としては、創傷面に創傷治療材料を被覆できれば
(被覆できる大きさであれば)制限なく適用でき、創傷
部への固定方法としては、例えば、本発明の創傷治療材
料を接着剤若しくは粘着剤付きのカバー、包帯、伸縮自
在メッシュ又は眼帯等を用いて固定してもよく、また直
接縫合又は接着してもよい。本発明の創傷治療材料は、
難生分解性材料(A)が分解し難く体内への難生分解性
材料(A)の溶出が少ないため、人体に対し極めて安全
な創傷治療材料となり、例えば、皮膚、骨、軟骨、筋
肉、血管、神経、腱、靱帯、毛胞組織、粘膜組織、歯周
組織、象牙質、骨髄、網膜、漿膜、胃腸管及び脂肪等の
組織、並びに肺、肝、膵及び腎等の臓器等のあらゆる組
織に適用できる。
【0035】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。 実施例1 ポリウレタンフィルム(日清紡製、商品名:モビロンフ
ィルム、硬度78HS、厚さ30μm)を3cm×4c
mの大きさに切り取ったものをプライマリア60mmφ
(ベクトン・ディッキンソン社製)の底面に投入し、ポ
リウレタンフィルムの四隅をビニールテープで底面に貼
付した後に、クリーンベンチ中でUV照射を8時間行
い、滅菌して難生分解性材料(A1)を得た[接触角:
95度]。次に、牛胎児血清(ギブコBRL社製)を1
0容量%含むMEMダルベッコ液体培地(大日本製薬株
式会社製)の5mLとラット皮膚由来線維芽細胞(AT
CCNO.CRL1213)の20万個とを難生分解性
材料(A1)の入ったプライマリアに投入してフタを閉
め、37℃、CO濃度5容量%のインキュベーター中
に投入し細胞培養を開始し、培地交換は毎日行い、1週
間の細胞培養を行って、本発明の創傷治療材料1を得
た。
【0036】実施例2 特表平3−502935号公報中の実施例記載の方法に
準じて、アミノ酸一文字表記で現される、(GAGAG
S)9配列(17)とRGD配列とを12個含むMn約
11万の遺伝子組換え大腸菌の産生蛋白質”SLPF”
を作製した。次に、SLPFの1mgを4.5M過塩素
酸リチウム水溶液の1mLに溶解し、さらに、NaCl
を0.85重量%で含有するリン酸緩衝液(0.02
M,pH7.2)で20倍希釈し、SLPF水溶液(5
0μg/mL)を作製した。そのSLPF水溶液に、実
施例1で用いたポリウレタンフィルム(3cm×4c
m)と同じものを投入し、25℃で2時間静置し、SL
PFをポリウレタンフィルムに物理吸着させた。その
後、そのポリウレタンフィルムを水溶液から取り出し、
生理食塩水で3回洗浄し余分なSLPFを取り除き、難
生分解性材料(A2)(SLPF結合ポリウレタンフィ
ルム)を得た[接触角:93度]。次に、難生分解性材
料(A1)の代わりに難生分解性材料(A2)を使用し
た以外は実施例1と同様にして、滅菌及びラット皮膚由
来線維芽細胞の細胞培養を行い、本発明の創傷治療材料
2を得た。
【0037】実施例3 多孔性材料(D)として、ポリエチレン製のネット(A
ET社製、商品名DELNET、品番CSD−0707
−25、重量20g/m)を3cm×4cmの大きさ
に切り取り、実施例2で得られた難生分解性材料(A
2)(SLPF結合ポリウレタンフィルム)に、外周よ
り幅約3mmの枠状に熱溶融接着し、本発明の創傷治療
材料3を得た。
【0038】比較例1 難生分解性材料(A1)の代わりに、コラーゲンフィル
ム(株式会社高研製、厚さ約1mm)を3cm×4cm
の大きさに切り取ったものを使用した以外、実施例1と
同様にして、滅菌及びラット皮膚由来線維芽細胞の細胞
培養を行い、比較用の創傷治療材料4を得た。
【0039】比較例2 実施例1で使用した難生分解性材料(A1)をそのまま
比較用の創傷治療材料5とした。
【0040】実施例1〜3及び比較例1〜2で得た創傷
治療材料1〜5を用いて以下の評価を行った。 <細胞接着濃度>創傷治療材料1〜2及び4のそれぞれ
をプライマリアからピンセットで剥がして未使用のプラ
イマリアに移し、0.25重量/容量%のトリプシン溶
液(100mL(25℃)中に0.25gのトリプシン
が溶解されている溶液、商品名:Trypsin−ED
TA、インビトロジェン株式会社製)をそれぞれ5mL
/プライマリアで投入し、5分間静置した後、剥がれた
線維芽細胞の細胞数を血球計数板でそれぞれ測定し、細
胞の濃度を次式から算出した。これらの結果を表1に示
す。 細胞の濃度(cells/cm)=細胞数(cell
s/mL)×5(mL)/12(cm
【0041】<動物実験による創傷治療材料の評価>創
傷治療材料1〜5のそれぞれを未使用のプライマリアに
それぞれ移し、生理食塩水5mLの投入および吸引除去
による洗浄を2回行ったものを以下の評価に使用した。
SDラット(雄、6週令)をネンブタールにて麻酔後、
フェザー剃刀を用いて全身を剃毛し、胸側部から腹側部
にかけて3cm×4cmの全層皮膚欠損創を作った。創
傷治療材料の細胞面が該創面に当てるように貼り付け
し、フィルムドレッシング材で密封した。さらに創面と
の密着性を上げるための非固着性吸収パットを重ね、粘
着性バンデージで体幹部全周を巻き付け固定した。生育
環境は室温24℃、飼料、吸水ともに自由摂取状態とし
た。観察点は3日目として、三日目に創傷治療材料を創
面から取り外し、創傷治療材料と創面との癒合について
観察し、その後、再生組織重量の測定(肉様膜上から剥
離した再生組織部分の重量)を行った。この結果を表2
に示す。また、対象となる再生組織を含む創傷全体を、
再生組織下に存在する筋層と一緒に実験動物より採取
し、固定、パラフィン包埋処理を実施して、組織切片を
作製した。作製された組織切片をヘマトキシリン・エオ
ジン染色(H−E染色)処理し、再生組織を評価した。
この再生組織の写真を図1〜4に示す。なお、創傷被覆
材4は、癒合により組織採取が不可能であった。また、
以下の判定基準により、組織の再生状態を評価した。こ
の結果を表2に示す。 ◎;厚い再生組織、細胞浸潤が多く見られ、再生組織内
のマトリックス産生を多量に認め、多くの再生血管を認
める非常に良好な再生状態。 ○;再生組織の厚みとマトリックス産生についてはやや
貧弱だが、細胞浸潤及び再生血管を認める良好な再生状
態。 △;再生組織、細胞浸潤及び再生血管が乏しく、再生状
態は不良。
【0042】
【表1】
【0043】表1より、実施例1〜2の創傷治療材料1
〜2は、比較例1の創傷治療材料4と比べ、同等以上の
細胞接着濃度を示した。また、実施例2の創傷治療材料
2は実施例1の創傷治療材料1と比べ3倍以上の細胞接
着濃度を示し、ペプチド(C)が難生分解性材料(A)
に含有されることで、細胞接着濃度がさらに高くなるこ
とが分かる。
【0044】
【表2】
【0045】表2より、実施例1〜3の創傷治療材料1
〜3は、比較例1の創傷治療材料4と比べ、創面との癒
合が生じていない。さらに、実施例1〜3の創傷治療材
料1〜3は比較例2の創傷治療材料5と比べ、再生組織
重量が2倍以上を示し且つ良好な組織の再生状態を示し
た。このことより、本発明の創傷治療材料は、創面との
癒合を生じず、且つ、極めて高い創傷治癒効果を示すこ
とが分かる。
【0046】
【発明の効果】本発明の創傷治療材料は、従来のコラー
ゲンフィルムに比べ、同等以上の細胞への接着性を有
し、また、創面との癒合を全く生ずることなく極めて良
好な治癒効果が得られる。そして、本発明の創傷治療材
料は、創傷治療に望ましくない問題(感染、不良肉芽の
発生、壊死等)が生じたとき等に、創傷面から創傷治療
材料のみを容易に除去できる。従って、黄色期〜上皮
化、特に黄色期に見られる創傷治癒課程にも適切な処置
(排泄物の除去、細菌感染治療等)を極めて簡便かつ容
易に促すことができる。
【0047】
【配列表】 <110>アルケア株式会社;ALCARE Co.,Ltd. <110>三洋化成工業株式会社;SANYO CHEMICAL INDUSTR IES,LTD. <120>創傷治療材料及びこれに用いる創傷被覆材 <130>P5673 <150>JP 2001-209958 <151>2001-7-10 <160>19 <210>1 <211>4 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>1 Arg Glu Asp Val 1 <210>2 <211>5 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>2 Tyr Ile Gly Ser Arg 1 5 <210>3 <211>5 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>3 Pro Asp Ser Gly Arg 1 5 <210>4 <211>7 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>4 Arg Tyr Val Val Leu Pro Arg 1 5 <210>5 <211>6 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>5 Leu Gly Thr Ile Pro Gly 1 5 <210>6 <211>10 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>6 Arg Asn Ile Ala Glu Ile Ile Lys Asp Ile 1 5 10 <210>7 <211>5 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>7 Ile Lys Val Ala Val 1 5 <210>8 <211>4 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>8 Asp Gly Glu Ala 1 <210>9 <211>15 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>9 Gly Val Lys Gly Asp Lys Gly Asn Pro Gly Trp Pro Gly Ala Pro 1 5 10 15 <210>10 <211>13 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>10 Gly Glu Phe Tyr Phe Asp Leu Arg Leu Lys Gly Asp Lys 1 5 10 <210>11 <211>4 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>11 Arg Gly Asp Ser 1 <210>12 <211>5 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>12 Gly Arg Gly Asp Ser 1 5 <210>13 <211>6 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>13 Gly Arg Gly Asp Ser Pro 1 5 <210>14 <211>10 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>14 Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ser Lys Pro 1 5 10 <210>15 <211>16 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>15 Arg Gly Asp Ser Arg Gly Asp Ser Arg Gly Asp Ser Arg Gly Asp Ser 1 5 10 15 <210>16 <211>32 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>16 Arg Gly Asp Ser Arg Gly Asp Ser Arg Gly Asp Ser Arg Gly Asp Ser 1 5 10 15 Arg Gly Asp Ser Arg Gly Asp Ser Arg Gly Asp Ser Arg Gly Asp Ser 20 25 30 <210>17 <211>54 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>17 Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala 1 5 10 15 Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala 20 25 30 Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser 35 40 45 Gly Ala Gly Ala Gly Ser 50 <210>18 <211>30 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>18 Gly Ala Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly 1 5 10 15 Ala Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro 20 25 30 <210>19 <211>6 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>19 Gly Ala Gly Ala Gly Ser 1 5
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た本発明の創傷治療材料1を用い
た動物実験における組織切片の顕微鏡写真(倍率36
倍、103mm×137mmの写真として撮影)であ
る。
【図2】実施例2で得た本発明の創傷治療材料2を用い
た動物実験における組織切片の顕微鏡写真(倍率36
倍、103mm×137mmの写真として撮影)であ
る。
【図3】実施例3で得た本発明の創傷治療材料3を用い
た動物実験における組織切片の顕微鏡写真(倍率36
倍、103mm×137mmの写真として撮影)であ
る。
【図4】比較例2で得た創傷治療材料5を用いた動物実
験における組織切片の顕微鏡写真(倍率36倍、、10
3mm×137mmの写真として撮影)である。
フロントページの続き (72)発明者 中村 博昭 東京都墨田区京島1丁目21番10号 アルケ ア株式会社内 (72)発明者 杉浦 正和 京都府京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋化成工業株式会社内 (72)発明者 黒川 祐人 京都府京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋化成工業株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA71 BB31 CC18 CC19 EE41A FF63 4C087 AA01 AA02 AA03 BB48 BB64 CA04 MA05 MA32 MA63 ZA89 ZB22

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難生分解性材料(A)及び細胞(B)を
    有してなることを特徴とする創傷治療材料。
  2. 【請求項2】 細胞(B)が哺乳動物の線維芽細胞及び
    /又は表皮細胞である請求項1記載の創傷治療材料。
  3. 【請求項3】 細胞(B)の含有量が、難生分解性材料
    (A)の単位面積当たり10〜10cells/cm
    である請求項1又は2記載の創傷治療材料。
  4. 【請求項4】 難生分解性材料(A)が細胞接着シグナ
    ルを現す最小アミノ酸配列を1分子中に少なくとも1個
    有するペプチド(C)を含有してなる請求項1〜3のい
    ずれかに記載の創傷治療材料。
  5. 【請求項5】 難生分解性材料(A)の表面の水に対す
    る接触角が60〜110度である請求項1〜4のいずれ
    かに記載の創傷治療材料。
  6. 【請求項6】 さらに多孔性材料(D)を有してなる請
    求項1〜5のいずれかに記載の創傷治療材料。
  7. 【請求項7】 難生分解性材料(A)及び多孔性材料
    (D)を有してなり、請求項6記載の創傷治療材料用で
    ある創傷被覆材。
  8. 【請求項8】 難生分解性材料(A)が細胞接着シグナ
    ルを現す最小アミノ酸配列を1分子中に少なくとも1個
    有するペプチド(C)を含有してなる請求項7記載の創
    傷被覆材。
  9. 【請求項9】 難生分解性材料(A)の表面と水との接
    触角が60〜110度である請求項7又は8記載の創傷
    被覆材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007534727A (ja) * 2004-04-28 2007-11-29 リポテック,エス.アー. 細胞接着を増加させることにより皮膚の弾力を改善させる化粧品の組成物の調整におけるxikvavペプチドの使用

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007534727A (ja) * 2004-04-28 2007-11-29 リポテック,エス.アー. 細胞接着を増加させることにより皮膚の弾力を改善させる化粧品の組成物の調整におけるxikvavペプチドの使用

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