JP2003085838A - 光記録媒体の製造方法 - Google Patents

光記録媒体の製造方法

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JP2003085838A
JP2003085838A JP2001280256A JP2001280256A JP2003085838A JP 2003085838 A JP2003085838 A JP 2003085838A JP 2001280256 A JP2001280256 A JP 2001280256A JP 2001280256 A JP2001280256 A JP 2001280256A JP 2003085838 A JP2003085838 A JP 2003085838A
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film
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寛史 ▲高▼▲崎▼
Hiroshi Takasaki
Hideki Ishizaki
秀樹 石▲崎▼
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成膜時における異常放電の発生が防止された
光記録媒体の製造方法を提供する。 【解決手段】 マスク30,40により画定される基板
11上の成膜領域にスパッタリング法により反射膜12
を形成する第1の工程と(ステップS2)、マスク3
0,40により画定される反射膜12上の成膜領域にス
パッタリング法により1または2以上の膜を形成する第
2の工程(ステップS3〜S5)とを備え、マスク3
0,40と反射膜12とが接触していない状態で第2の
工程を行う。これにより、異常放電の発生が効果的に防
止されるので、膜質の劣化が防止され、光記録媒体の品
質を高めることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光記録媒体の製造
方法に関し、特に、反射層上に1または2以上の膜をス
パッタリング法により形成することにより作製されるタ
イプの光記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量のデジタルデータを記録す
るための記録媒体として、CDやDVDに代表される光
ディスクが広く用いられている。一般的な光ディスク
は、光入射面側から、光透過層、記録層、反射層、保護
層の順に各層が積層されてなり、データの読み出しに際
しては、光透過層側からレーザが照射されてその反射光
が検出される。
【0003】図8は、一般的な光ディスクの一種である
DVD−RWの構造を概略的に示す部分断面図である。
【0004】図8に示されるように、DVD−RWは、
厚さが約0.6mmの光透過層1と、厚さが50〜80
nmの第1の誘電体層2と、厚さが約10〜30nmの
記録層3と、厚さが10〜30nmの第2の誘電体層4
と、厚さが約90〜150nmの反射層5と、厚さが約
5μmの保護層6によって構成される。また、ディスク
の中心部分には孔7が設けられている。一般に、光透過
層1はポリカーボネートからなり、第1の誘電体層2は
ZnS−SiOからなり、記録層3はAgInSbT
eGe等の相変化化合物からなり、第2の誘電体層4は
ZnS−SiO からなり、反射層5はアルミニウム合
金からなり、保護層6は紫外線硬化性樹脂からなる。こ
のような構成を有するDVD−RWの作製においては、
まず、スタンパを用いてプリグルーブを有する光透過層
1を射出成形し、次に、光透過層1のうち、プリグルー
ブが形成されている面にスパッタリング法によって第1
の誘電体層2、記録層3、第2の誘電体層4、反射層5
をこの順に成膜する。そして、反射層5の表面に紫外線
硬化性樹脂をスピンコート法により形成することによっ
て、保護層6を形成する。これにより、光透過層1、第
1の誘電体層2、記録層3、第2の誘電体層4、反射層
5及び保護層6からなるDVD−RWが作製される。
【0005】記録層3を構成する相変化化合物は、結晶
相である場合とアモルファス相である場合とで光学定数
が異なっており、これを利用してデジタルデータの記録
を行うことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年における情報技術
の進歩に伴い、記録媒体の一つである光ディスクは高速
化・大容量化の必要に迫られている。光ディスクを高速
化・大容量化するためには、記録・再生レーザの短波長
化や光ディスク用ヘッドの高開口数(Numerica
l Aperture:NA)化を行うことが有効であ
る。
【0007】しかしながら、光ディスク用ヘッドが高N
A化すると、チルトマージンが小さくなるという問題が
生じてしまう。チルトマージンTは、記録・再生レーザ
の波長をλ、記録・再生レーザが入射する透明基体の厚
さをdとすると、次式によって表すことができる。
【0008】
【数1】 式(1)から明らかなように、チルトマージンは光ディ
スク用ヘッドのNAが大きいほど小さくなってしまう。
また、波面収差(コマ収差)が発生する基体の屈折率を
n、傾き角をθとすると、波面収差係数Wは、次式によ
って表すことができる。
【0009】
【数2】 式(1)及び式(2)から明らかなように、チルトマー
ジンを大きくし、且つ、コマ収差の発生を抑えるために
は、記録・再生レーザが入射する透明基体の厚さdを小
さくすればよい。例えば、CD(NA=0.45)に代
表される従来の光ディスクに使用されている基板の厚み
が約1.2mmであるのに対し、DVD(NA=0.
6)においてはこれよりも薄い約0.6mmの厚みの基
板を用いるのはこのためである。
【0010】近年、光ディスクの高速化・大容量化を実
現するために、光ディスク用ヘッドのNAを約0.85
程度まで大きくする提案がなされているが、この場合、
チルトマージンを大きくし、且つ、コマ収差の発生を抑
えるためには、透明基体の厚さとしては約0.1mm程
度まで薄くする必要がある。
【0011】ところが、現在基板の材料として一般的に
用いられているポリカーボネート等を射出成形法を用い
て、膜厚が0.1mm程度となるように薄く成形する
と、十分な機械的強度が確保できなくなるという問題が
生じる。
【0012】これを解決するために、ポリカーボネート
等からなる基板上に、反射層、第2の誘電体層、記録
層、第1の誘電体層及び光透過層をこの順に形成するこ
とにより、透明基体が薄膜化された光ディスクが提案さ
れている。このようなタイプの光ディスクにおいては、
基板の反対側から記録・再生レーザが入射するため、基
板の厚みを十分に厚くすることができる。したがって、
このようなタイプの光ディスクを用いれば、基板の機械
的強度を十分に確保しつつ、高NAの光ディスク用ヘッ
ドを利用することが可能となる。高NAの光ディスク用
ヘッドを利用すると、記録・再生レーザのビームスポッ
トを非常に小さく絞ることができるため、光ディスクの
トラックピッチやグルーブ幅を上述した一般的なDVD
−RWに比べて大幅に狭くすることが可能となる。
【0013】このようなタイプの光ディスクにおいて
も、反射層や誘電体層、記録層等の成膜方法は、基本的
に、従来より用いられているスパッタリング法をそのま
ま用いることが可能であるが、このようなタイプの光デ
ィスクの製造においては、スパッタリング時において膜
表面に異常放電が発生することがあった。このような異
常放電が発生すると膜質が劣化するのみならず、場合に
よっては既に形成された膜が焼き焦がされてしまうこと
もあり、光ディスクの品質を大きく劣化させる原因とな
っていた。
【0014】したがって、本発明の目的は、成膜時にお
ける異常放電の発生が防止された光記録媒体の製造方法
を提供することである。
【0015】また、本発明の他の目的は、反射層上に1
または2以上の膜をスパッタリング法により形成するこ
とにより作製されるタイプの光記録媒体の改良された製
造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者による研究によ
れば、このような異常放電の発生は、スパッタリングマ
スクと反射膜とが接触した状態で成膜を行うことが原因
であることが判明した。本発明は、かかる技術的知見に
基づくものであり、上記目的は、マスクにより画定され
る基板上の成膜領域にスパッタリング法により反射膜を
形成する第1の工程と、前記マスクにより画定される前
記反射膜上の成膜領域にスパッタリング法により1また
は2以上の膜を形成する第2の工程とを備え、前記マス
クと前記反射膜とが接触していない状態で前記第2の工
程を行うことを特徴とする光記録媒体の製造方法によっ
て達成される。
【0017】本発明によれば、マスクと反射膜とが接触
していない状態でスパッタリングを行っていることか
ら、異常放電の発生が効果的に防止される。これによ
り、膜質の劣化が防止され、光記録媒体の品質を高める
ことが可能となる。
【0018】本発明の好ましい実施態様においては、前
記マスクには、ターゲットに対して陰となる部分を形成
する切り込み部が設けられており、これによって前記マ
スクと前記反射膜との接触が防止されている。
【0019】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記切り込み部の幅が0.1〜1.0mmである。
【0020】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記切り込み部の角度が、5〜85度である。
【0021】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記第1の工程及び第2の工程におけるスパッタリ
ングのガス圧を0.1〜1.0Paに設定する。
【0022】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記マスクが、前記成膜領域の内周を画定する内周
マスク及び前記成膜領域の外周を画定する外周マスクか
らなる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明の好ましい実施態様にかか
る方法により製造されるべき光記録媒体10の構造を概
略的に示す部分断面図である。
【0025】図1に示されるように、光記録媒体10
は、厚さが約1.1mmの基板11と、厚さが50〜2
00nmの反射層12と、厚さが10〜30nmの第2
の誘電体層13と、厚さが10〜30nmの記録層14
と、厚さが30〜150nmの第1の誘電体層15と、
厚さが約100μmの光透過層16とによって構成され
る。また、光記録媒体10の中心部分には孔17が設け
られている。基板11はポリカーボネートやポリオレフ
ィン等の樹脂からなり、反射層12は銀を主成分とする
合金からなり、第2の誘電体層13はAlからな
り、記録層14はAgInSbTeGeからなり、第1
の誘電体層15はZnS−SiOからなり、光透過層
16は紫外線硬化性樹脂や、ポリカーボネートやポリオ
レフィン等の樹脂性シートからなる。
【0026】このような構造を有する光記録媒体10か
らのデータの読み出しに際しては、光透過層16側から
例えば約405nmの波長を持つ読み出し用レーザが照
射される。照射された読み出し用レーザは、記録層14
を通って反射膜12によって反射し、再び記録層14を
通って光透過層16を通って戻る。ここで、記録層14
を構成するAgInSbTeGeは相変化化合物であ
り、結晶相である場合とアモルファス相である場合とで
光学定数が異なっていることから、読み出し用レーザの
反射光量を検出することにより、読み出し用レーザが照
射された部分における記録層14が結晶相であるかアモ
ルファス相であるかを判別することができる。記録層1
4が結晶相であるかアモルファス相であるかは、記録さ
れているデジタルデータに対応していることから、これ
を判別することにより、記録されているデジタルデータ
を読み出すことが可能となる。
【0027】一方、光ディスク10へのデータの書き込
みに際しては、光透過層14側から例えば約405nm
の波長を持つ書き込み用レーザが照射され、これにより
当該部分における記録層14の状態が、結晶相及びアモ
ルファス相のいずれか一方とされる。これにより、所望
のデジタルデータを記録層14に記録することが可能と
なる。
【0028】また、記録層14を挟むように設けられた
第2の誘電体層13及び第1の誘電体層15は、記録層
14に対する保護膜として機能する。
【0029】次に、光記録媒体10の製造方法について
説明する。
【0030】図2は、光記録媒体10の製造方法を示す
フローチャートである。上述のとおり、光記録媒体10
の光透過層16は厚さが約100μmと非常に薄く、こ
のため、従来の一般的なDVD−RWとは逆の順序で成
膜が行われる。
【0031】まず、スタンパを用いて、グルーブ幅が約
0.15μm、トラックピッチが約0.3μm、グルー
ブの深さが約20nmであるプリグルーブを有する厚さ
が約1.1mmの基板11を射出成形する(ステップS
1)。
【0032】次に、基板11をプリグルーブが形成され
ている面が露出するように基板ホルダに載置し、さら
に、内周マスク及び外周マスクをセットする。
【0033】図3は、基板ホルダ20、内周マスク30
及び外周マスク40によって基板11が保持された状態
を概略的に示す断面図である。尚、図3においては、図
面の見やすさを考慮して、基板11、内周マスク30及
び外周マスク40と、基板ホルダ20とを分離して示し
ている。
【0034】図3に示されるように、内周マスク30
は、基板11の上面のうち所定の内周部分を覆うととも
に、基板11に設けられた孔17及び基板ホルダ20の
中央部に設けられた凹部21と嵌合することによって、
スパッタリング時における基板11の内周部分への成膜
を妨げるとともに、基板11を基板ホルダ20に固定す
る役割を果たす。また、外周マスク40は、基板11の
上面のうち所定の外周部分を覆うとともに、基板ホルダ
20の外周部に設けられた凹部22と嵌合することによ
って、スパッタリング時における基板11の外周部分へ
の成膜を妨げるとともに、基板11を基板ホルダ20に
固定する役割を果たす。
【0035】図4は、内周マスク30の外形を示す上面
図であり、図5は、図4に示すA−A線に沿った断面図
である。
【0036】図4及び図5に示されるように、内周マス
ク30は、円盤状の本体部31及びその中央部に設けら
れた円柱状の突出部32からなり、本体部31の端部
(外周部)には、切り込み部33が形成されている。特
に限定されるものではないが、本体部31の外径は約4
3mm程度に設定することが好ましく、突出部32の外
径は約15mm程度に設定することが好ましい。本体部
31は、基板11の上面のうち所定の内周部分を覆うこ
とによって当該部分への成膜を妨げ、成膜領域の内周を
画定する役割を果たす。また、突出部32は、基板11
に設けられた孔17を介して基板ホルダ20の中央部に
設けられた凹部21と嵌合することにより、基板11を
基板ホルダ20に固定する役割を果たす。
【0037】切り込み部33は、図5に示されるよう
に、本体部31の端部から距離Liまでの領域をθiの
角度で切り欠いた部分であり、かかる切り込み部33に
より、本体部31の端部と基板11との接触が妨げられ
ている。本実施態様においては、Liを0.1〜1.0
mmに設定することが好ましく、0.1〜0.8mmに
設定することがより好ましい。また、本実施態様におい
ては、θiを5〜85度に設定することが好ましく、1
5〜60度に設定することがより好ましい。本明細書に
おいては、距離Liを切り込み部33の「幅」と呼び、
角度θiを切り込み部33の「角度」と呼ぶ。
【0038】図6は、外周マスク40の外形を示す上面
図であり、図7は、図6に示すB−B線に沿った断面図
である。
【0039】図6及び図7に示されるように、外周マス
ク40は、円環状の本体部41及びその外周部に設けら
れた円環状の突出部42からなり、本体部41の端部
(内周部)には、切り込み部43が形成されている。特
に限定されるものではないが、本体部41の内径は約1
18mm程度に設定することが好ましい。本体部41
は、基板11の上面のうち所定の外周部分を覆うことに
よって当該部分への成膜を妨げ、成膜領域の外周を画定
する役割を果たす。また、突出部42は、基板ホルダ2
0の外周部に設けられた凹部22と嵌合することによっ
て、基板11を基板ホルダ20に固定する役割を果た
す。
【0040】切り込み部43は、図7に示されるよう
に、本体部41の端部から距離Loまでの領域をθoの
角度で切り欠いた部分であり、かかる切り込み部43に
より、本体部41の端部と基板11との接触が妨げられ
ている。本実施態様においては、Loを0.1〜1.0
mmに設定することが好ましく、0.1〜0.8mmに
設定することがより好ましい。また、本実施態様におい
ては、θoを5〜85度に設定することが好ましく、1
5〜60度に設定することがより好ましい。本明細書に
おいては、距離Loを切り込み部43の「幅」と呼び、
角度θoを切り込み部43の「角度」と呼ぶ。
【0041】このような基板ホルダ20、内周マスク3
0及び外周マスク40によって保持された基板11をス
パッタリング装置の第1のチャンバー(図示せず)内に
搬送する。スパッタリング装置の第1のチャンバー内に
は、ターゲットとして銀を主成分とする合金が備えられ
ている。次に、第1のチャンバー内を約1×10−4
a程度の減圧状態とし、次いで第1のチャンバー内にア
ルゴンガスを導入してそのガス圧を0.1〜1.0Pa
に設定した後、ターゲットに直流電圧若しくは高周波電
圧を印加することにより、スパッタリングを行う。これ
により、基板11の上面には、内周マスク30及び外周
マスク40によって覆われた部分を除く全面に、厚さが
50〜200nmの反射層12が形成される(ステップ
S2)。
【0042】かかる成膜においては、基板11の上面の
うち、内周マスク30の切り欠き部33に覆われた部分
及び外周マスク40の切り欠き部43に覆われた部分、
すなわち、ターゲットに対して陰になっている部分にも
僅かに反射膜12が成膜されるが、ガス圧が0.1〜
1.0Paと比較的低く設定されているため、ターゲッ
トより飛び出した成膜材料の直進性が高いとともに、切
り欠き部33及び43が上述した形状及びサイズに設定
されていることから、切り欠き部33及び43への成膜
材料の回り込みは非常に少なくなる。このため、基板1
1の上面のうち、切り欠き部33及び43に覆われた部
分への成膜は僅かであり、その入り口部分において僅か
に成膜されるに過ぎない。したがって、形成される反射
膜12が内周マスク30や外周マスクと接触することは
ない。
【0043】このようにして反射層12の成膜が完了す
ると、基板ホルダ20、内周マスク30及び外周マスク
40によって保持された基板11を第1のチャンバーか
ら第2のチャンバー(図示せず)へ搬送する。スパッタ
リング装置の第2のチャンバー内には、ターゲットとし
てAlが備えられている。次に、第2のチャンバ
ー内を約1×10−4Pa程度の減圧状態とし、次いで
第2のチャンバー内にアルゴンガスを導入してそのガス
圧を0.1〜1.0Paに設定してスパッタリングを行
う。これにより、反射層12の上面には、内周マスク3
0及び外周マスク40によって覆われた部分を除く全面
に、厚さが10〜30nmの第2の誘電体層13が形成
される(ステップS3)。
【0044】かかるスパッタリングは、金属である反射
層12の上面に対して行うものであるが、上述の通り、
かかる反射層12と内周マスク30及び外周マスク40
が接触していないことから、これらが接触している場合
に生じる異常放電の発生が効果的に抑制される。尚、第
2の誘電体層13の形成においても、内周マスク30及
び外周マスク40を用いていることから、反射層12の
上面のうち、切り欠き部33及び43に覆われた部分へ
の成膜は僅かであり、その入り口部分において僅かに成
膜されるに過ぎない。したがって、形成された第2の誘
電体層13が内周マスク30や外周マスクと接触するこ
とはない。
【0045】このようにして第2の誘電体層13の成膜
が完了すると、基板ホルダ20、内周マスク30及び外
周マスク40によって保持された基板11を第2のチャ
ンバーから第3のチャンバー(図示せず)へ搬送する。
スパッタリング装置の第3のチャンバー内には、Ag、
In、Sb、Te及びGeの混合ターゲットが備えられ
ている。次に、第3のチャンバー内を約1×10−4
a程度の減圧状態とし、次いで第3のチャンバー内にア
ルゴンガスを導入してそのガス圧を0.1〜1.0Pa
に設定してスパッタリングを行う。これにより、第2の
誘電体層13の上面には、内周マスク30及び外周マス
ク40によって覆われた部分を除く全面に、厚さが10
〜30nmの記録層14が形成される(ステップS
4)。本工程においても、既に形成された反射層12や
第2の誘電体層と内周マスク30及び外周マスク40が
接触していないことから、異常放電の発生が効果的に抑
制される。
【0046】このようにして記録層14の成膜が完了す
ると、基板ホルダ20、内周マスク30及び外周マスク
40によって保持された基板11を第3のチャンバーか
ら第4のチャンバー(図示せず)へ搬送する。スパッタ
リング装置の第4のチャンバー内には、ZnS及びSi
の混合ターゲットが備えられている。次に、第4の
チャンバー内を約1×10−4Pa程度の減圧状態と
し、次いで第4のチャンバー内にアルゴンガスを導入し
てそのガス圧を0.1〜1.0Paに設定してスパッタ
リングを行う。これにより、記録層14の上面には、内
周マスク30及び外周マスク40によって覆われた部分
を除く全面に、厚さが30〜150nmの第1の誘電体
層15が形成される(ステップS5)。本工程において
も、既に形成された反射層12、第2の誘電体層13及
び記録層14と内周マスク30及び外周マスク40が接
触していないことから、異常放電の発生が効果的に抑制
される。
【0047】このようにして基板11上への反射層1
2、第2の誘電体層13、記録層14及び第1の誘電体
層15の形成が完了すると、これら各層が形成された基
板11をスパッタリング装置の第4のチャンバーから搬
出し、基板ホルダ20、内周マスク30及び外周マスク
40を取り外す。そして、スピンコート法により第1の
誘電体層15の表面に紫外線硬化性樹脂を塗布した後、
紫外線を照射することによって厚さが約100μmの光
透過層16を形成する(ステップS6)。以上により、
光記録媒体10が作製される。尚、光透過層16の形成
については、あらかじめ成形されたポリカーボネートや
ポリオレフィン等の樹脂性シート材を第1の誘電体層1
5の表面に接着することによって行っても構わない。
【0048】このように、本実施態様による光記録媒体
の製造方法においては、切り込み部33を有する内周マ
スク30及び切り込み部43を有する外周マスク40を
用いてスパッタリングを行っていることから、スパッタ
リングにより形成される膜と内周マスク30及び外周マ
スク40との接触が防止される。このため、これらが接
触している場合に生じる異常放電の発生が効果的に抑制
されるので、膜質の劣化が防止され、光記録媒体の品質
を高めることが可能となる。
【0049】尚、切り込み部33、43の幅及び角度
は、スパッタリング時のガス圧を考慮して設定すること
が好ましい。すなわち、スパッタリング時のガス圧を比
較的高く設定する必要がある場合には、切り込み部3
3、43によりターゲットに対して陰となる部分への成
膜材料の回り込みが多くなることから、切り込み部3
3、43の幅をより広くし、角度をより小さくする必要
がある。逆に、スパッタリング時のガス圧を比較的低く
設定する必要がある場合には、切り込み部33、43に
よりターゲットに対して陰となる部分への成膜材料の回
り込みが少なくなることから、切り込み部33、43の
幅をより狭くし、角度をより大きくしても構わない。
【0050】本発明は、以上の実施態様に限定されるこ
となく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種
々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含
されるものであることはいうまでもない。
【0051】例えば、上記実施態様において用いた内周
マスク30には、本体部31の端部から距離Liまでの
領域をθiの角度で切り欠いた切り込み部33が備えら
れ、外周マスク40には、本体部41の端部から距離L
oまでの領域をθoの角度で切り欠いた切り込み部43
が備えられているが、切り込み部の形状としてはこれに
限定されず、ターゲットに対して陰となる部分が被成膜
面に形成され、これによってマスクと反射膜との接触が
妨げられる限り、切り込み部の形状は図9(a)、
(b)に示すような形状であっても構わない。
【0052】また、上記実施態様において示した基板1
1、反射層12、第2の誘電体層13、記録層14、第
1の誘電体層15及び光透過層16の材料は、本発明に
かかる方法により製造される光記録媒体の好ましい一例
であり、これ以外の材料からなる光記録媒体の製造にお
いて本発明を適用することも可能である。
【0053】例えば、上記実施態様においては、反射層
12の材料として銀を主成分とする合金を用いている
が、反射層12の材料としてはこれに限定されず、レー
ザ光に対する反射率が十分高ければ、他の材料、例え
ば、アルミニウムやその合金等をを用いて反射層12を
構成しても構わない。但し、レーザ光に対する反射率、
成膜時における平坦性、並びに、熱伝導性を考慮すれ
ば、銀を主成分とする合金を用いることが最も好まし
い。
【0054】また、上記実施態様においては、第2の誘
電体層13の材料としてAlを用いているが、第
2の誘電体層13の材料としてはこれに限定されず、他
の材料、例えば、ZnS−SiOやSiN等を用いて
第2の誘電体層13を構成しても構わない。SiNを用
いて第2の誘電体層13を構成する場合、ターゲットと
してSiNを用いるか、或いは、ターゲットにSiを用
い放電ガスにNを加えることによりこれらを反応させ
ながら成膜を行う反応性スパッタリングを行えばよい。
【0055】さらに、上記実施態様においては、記録層
14の材料としてAgInSbTeGeを用いている
が、記録層14の材料としてはこれに限定されず、他の
材料、例えば、InSbTeGeやSbTeGe等を用
いて記録層14を構成しても構わない。また、記録層1
4を、複数の材料が積層された多層構造としても構わな
い。
【0056】また、上記実施態様においては、第1の誘
電体層15の材料としてZnS−SiOを用いている
が、第1の誘電体層15の材料としてはこれに限定され
ず、他の材料、例えば、SiN等を用いて第1の誘電体
層15を構成しても構わない。SiNを用いて第1の誘
電体層15を構成する場合、上述のとおり、ターゲット
としてSiNを用いるか、或いは、ターゲットにSiを
用い放電ガスにNを加えることによりこれらを反応さ
せながら成膜を行う反応性スパッタリングを行えばよ
い。さらに、第1の誘電体層15を多層構造としても構
わない。この場合、第1の誘電体層15を、ZnSとS
iOの比率が異なる複数のZnS−SiO膜によっ
て構成しても構わないし、ZnS−SiO膜とこれ以
外の誘電体層からなる多層構造としても構わない。
【0057】さらに、上記実施態様においては、基板1
1の表面に反射層12を直接成膜しているが、これらの
間に誘電体層を介在させても構わない。かかる誘電体層
は、反射層12に対する防湿層として機能するため、作
製される光ディスク10の信頼性を高めることが可能と
なる。このような誘電体層の成膜には、スパッタリング
法を用いることができる。
【0058】また、本実施態様により成膜される基板1
1、反射層12、第2の誘電体層13、記録層14、第
1の誘電体層15及び光透過層16の上記膜厚は本発明
における一例であり、本発明がこれに限定されるもので
はない。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、切り込み部を有するマスクを用いてスパッタリング
を行っていることから、スパッタリングにより形成され
る膜とマスクとの接触が防止される。このため、これら
が接触している場合に生じる異常放電の発生が効果的に
抑制されるので、膜質の劣化が防止され、光記録媒体の
品質を高めることが可能となる。したがって、反射層上
に1または2以上の膜をスパッタリング法により形成す
る工程を有する光記録媒体の製造において、本発明は特
に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施態様にかかる方法により
製造されるべき光記録媒体10の構造を概略的に示す部
分断面図である。
【図2】光記録媒体10の製造方法を示すフローチャー
トである。
【図3】基板ホルダ20、内周マスク30及び外周マス
ク40によって基板11が保持された状態を概略的に示
す断面図である。
【図4】内周マスク30の外形を示す上面図である。
【図5】図4に示すA−A線に沿った断面図である。
【図6】外周マスク40の外形を示す上面図である。
【図7】図6に示すB−B線に沿った断面図である。
【図8】DVD−RWの構造を概略的に示す部分断面図
である。
【図9】(a)、(b)ともに、切り込み部の形状の他
の例を示す略断面図である。
【符号の説明】
1 光透過層 2 第1の誘電体層 3 記録層 4 第2の誘電体層 5 反射層 6 保護層 7 孔 10 光ディスク 11 基板 12 反射層 13 第2の誘電体層 14 記録層 15 第1の誘電体層 16 光透過層 17 孔 20 基板ホルダ 21,22 凹部 30 内周マスク 31 本体部 32 突出部 33 切り込み部 40 外周マスク 41 本体部 42 突出部 43 切り込み部
フロントページの続き Fターム(参考) 4K029 AA11 AA24 BA22 BA41 BA44 BA64 BB02 BC07 BD00 CA05 EA03 GA03 HA01 5D121 AA03 EE03 EE16 EE20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスクにより画定される基板上の成膜領
    域にスパッタリング法により反射膜を形成する第1の工
    程と、前記マスクにより画定される前記反射膜上の成膜
    領域にスパッタリング法により1または2以上の膜を形
    成する第2の工程とを備え、前記マスクと前記反射膜と
    が接触していない状態で前記第2の工程を行うことを特
    徴とする光記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記マスクには、ターゲットに対して陰
    となる部分を形成する切り込み部が設けられており、こ
    れによって前記マスクと前記反射膜との接触が防止され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記切り込み部の幅が0.1〜1.0m
    mであることを特徴とする請求項2に記載の光記録媒体
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記切り込み部の角度が、5〜85度で
    あることを特徴とする請求項2または3に記載の光記録
    媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の工程及び第2の工程における
    スパッタリングのガス圧を0.1〜1.0Paに設定す
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記
    載の光記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記マスクが、前記成膜領域の内周を画
    定する内周マスク及び前記成膜領域の外周を画定する外
    周マスクからなることを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法。
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