JP2003084311A - 液晶素子、及び該液晶素子を備えた表示装置 - Google Patents

液晶素子、及び該液晶素子を備えた表示装置

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JP2003084311A
JP2003084311A JP2001280450A JP2001280450A JP2003084311A JP 2003084311 A JP2003084311 A JP 2003084311A JP 2001280450 A JP2001280450 A JP 2001280450A JP 2001280450 A JP2001280450 A JP 2001280450A JP 2003084311 A JP2003084311 A JP 2003084311A
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polymer
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Toshihiko Takeda
俊彦 武田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】駆動電圧が大きくなることを防止する。 【解決手段】所定間隙を開けた状態に一対の基板1a,
1bを配置し、各基板1a,1bには電極3a,3bを
形成する。そして、それらの基板1a,1bの間隙には
複合体2を配置する。ここで、複合体2は、高分子組成
物と液晶組成物とカイラル剤によって構成するが、高分
子組成物は水酸基を有するようにし、“カイラル剤の重
量/液晶組成物の重量”の値は0.11より大きく0.
39より小さくなるように設定している。このため液晶
はメモリー性を発現し、しかも、駆動電圧を小さく抑え
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶を用いた表示
素子、光シャッター等の液晶素子、及び該液晶素子を備
えた表示装置に関し、特にメモリーを有する表示素子、
表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、消費電力が少なく携帯に適した表
示素子として、偏光板やバックライトを必要としない反
射型液晶表示素子が注目されている。
【0003】このような反射型液晶表示素子の一つとし
て、液晶組成物とカイラル剤と高分子組成物からなる複
合体を用い、電気的にスイッチングすることにより2つ
の状態(例えば透明状態と散乱状態)を選択的に現出
し、かつ、電圧印加を休止してもその状態が保持される
もの(双安定型のメモリー性を有するもの)が、特開平
7─43690号公報、特開平7−140447号公
報、特開平8−188776号公報、特開平10−28
7873号公報、及びUSP5384067号公報にて
提案されている。以下、それらについて説明する。
【0004】特開平7─43690号に開示されている
液晶素子は、高分子中にコレステリック液晶を分散させ
た組成物を電極間に挟持することで構成されていて、前
記組成物に低周波または直流の電界を印加(実施例では
直流印加のみしか記載されていない)することに基き透
明状態を現出し、前記組成物に高周波電界を印加するこ
とに基き選択反射状態(特定の光を反射する状態)を現
出するようになっている。そして、これらの2状態(透
明状態と選択反射状態)は、前記低周波、直流、高周波
の電界印加を解除しても保持されるようになっている
(メモリー性)。なお、前記コレステリック液晶は、負
の誘電異方性を示すネマチック液晶値にカイラル剤を添
加して作成されている。また、前記高分子は、チオール
系の重合性モノマーの重合体である。
【0005】特開平7−140447号に開示されてい
る液晶素子は、カイラル剤と2色性色素とを含有した液
晶と、高分子材料からなる複合体を電極間に挟持するこ
とで構成されていて、電極間に印加する電圧値を変化さ
せる事により明状態と暗状態を選択的に現出するように
なっている。そして、これらの2状態(明状態と暗状
態)は、電圧を解除しても保持されるようになっている
(メモリー性)。なお、前記高分子材料は、ビフェニル
ジアクリレートの重合体である。また、重合時には、液
晶とビフェニルジアクリレートとの混合物を素子電極間
に充填し、電界を印加した状態で重合を行う(以下、こ
の重合方法を電界印加重合と呼ぶ事にする)。
【0006】特開平8−188776号に開示されてい
る液晶素子は、芳香環を含むコレステリック液晶と高分
子からなる複合体を電極間に挟持することで構成されて
いて、電極間に印加する電圧値を変化させる事により選
択反射状態と白濁状態を選択的に現出するようになって
いる。そして、これらの2状態(選択反射状態と白濁状
態)は、電圧を解除しても保持されるようになっている
(メモリー性)。なお、前記高分子は、モノマー主鎖中
に芳香環数と炭素数の比が所定の範囲にある重合性モノ
マーの重合体である。
【0007】特開平10−287873号に開示されて
いる液晶素子は、液晶組成物(コレステリック相を示す
二周波駆動液晶中に高分子材料を分散させた液晶組成
物)を電極間に挟持することで構成されている。前記コ
レステリック相を示す二周波駆動液晶は、ネマチック相
を示す二周波駆動液晶にカイラル剤を添加して形成され
たものであって、印加する電界周波数の大きさを変化さ
せる事により、誘電異方性の符合が異なり(例えば低周
波電界の印加により誘電異方性が正の値を示し、高周波
電界の印加により誘電異方性が負の値を示す)、透明状
態或いは選択反射状態を現出するようになっている。そ
して、これらの2状態(透明状態と選択反射状態)は、
電圧を解除しても保持されるようになっている(メモリ
ー性)。なお、前記高分子材料は、液晶との類似構造
(ビフェニルやフェニルエステル等)を有する重合性モ
ノマー(例えばビナフトールアクリレート)の重合体で
ある。
【0008】また、USP5384067号に開示され
ている液晶素子は、液晶組成物とカイラル剤と高分子組
成物からなる複合体を電極間に挟持することで構成され
ていて、電極間に印加する電圧値を変化させる事により
選択反射状態と散乱状態を選択的に現出するようになっ
ている。そして、これらの2状態(選択反射状態と散乱
状態)は、電圧を解除しても保持されるようになってい
る(メモリー性)。なお、前記高分子組成物は、4,
4’−bisacryloyl biphenylの重
合体である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術に関する液晶素子には、次の様な問題点があっ
た。
【0010】(問題点1)上記従来技術に開示されてい
る液晶素子は、駆動電圧が大きい(ほぼ50V以上)と
いう問題点があった。
【0011】例えば、特開平7─43690号公報で開
示されている液晶素子では、前記2状態(透明状態と選
択反射状態)を形成するために必要な電圧値は100V
であった。しかも透明状態の形成には、直流の100V
が必要であり、液晶を変性させる問題点もあった。
【0012】特開平7─140447号公報で開示され
ている液晶素子では、メモリー性を有する前記2状態
(明状態と暗状態)のうち、前記暗状態の形成に必要な
電圧値は45Vであった。
【0013】特開平8−188776号公報に開示され
ている液晶素子では、メモリー性を有する前記2状態
(選択反射状態と白濁状態)のうち、前記選択反射状態
の形成に必要な電圧値は60V以上であった。
【0014】特開平10─287873号公報に開示さ
れている液晶素子では、メモリー性を有する前記2状態
(選択反射状態と透明状態)のうち、前記選択反射状態
の形成に必要な電圧値は50Vであった。
【0015】USP5384067号公報に開示されて
いる液晶素子では、メモリー性を有する前記2状態(選
択反射状態と散乱状態)のうち、前記選択反射状態の形
成に必要な電圧値は50Vであった。
【0016】(問題点2)特開平7−140447号公
報に開示されている液晶素子は、十分な散乱状態を形成
できず、表示コントラストが小さいという問題点があっ
た。この原因は、前記電界印加重合にあると推測され
る。この重合時、液晶は電界により配向させられてい
る。実施例では、前記明状態形成信号に対応する電界強
度を印加している。この状態で重合を行うと、得られる
重合体と液晶との界面には、前記明状態に対応する液晶
配向を保持しやすい微細構造が形成される。即ち、重合
体中に前記明状態を安定化しやすい構造が形成されてい
る。このため、液晶素子に前記暗状態形成用の信号を印
加しても、十分な反射率を有する暗状態が形成できない
と考えられる。
【0017】そこで、本発明は、駆動電圧が大きい等の
問題を防止する液晶素子、及び該液晶素子を備えた表示
装置を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は上記事情を考慮
してなされたものであり、所定間隙を開けた状態に配置
された一対の基板と、一対の電極と、液晶組成物とカイ
ラル剤と高分子組成物とから構成されている複合体を備
え、これら一対の電極を介して前記複合体に電圧が印加
されることにより駆動される液晶素子において、前記高
分子組成物は水酸基を有し、かつ、“前記カイラル剤の
重量/前記液晶組成物の重量”の値は0.11より大き
く0.39より小さい、ことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図1及び図2を参照して、
本発明の実施の形態について説明する。
【0020】本実施の形態に係る液晶素子Pは、図1に
示すように、所定間隙を開けた状態に配置された一対の
基板1a,1bを備えており、これら一対の基板1a,
1bの間隙には複合体2が配置されている。また、該複
合体2は一対の電極3a,3b間に配置されていて、こ
れら一対の電極3a,3bを介して前記複合体2に電圧
が印加されることにより駆動されるように構成されてい
る。
【0021】ところで、本実施の形態における複合体2
は、液晶組成物とカイラル剤と高分子組成物とから構成
されている。このうち、高分子組成物は水酸基を有し、
前記液晶組成物と前記カイラル剤との重量比(すなわ
ち、前記カイラル剤の重量/前記液晶組成物の重量)は
0.11より大きく0.39より小さくなるように設定
されている。
【0022】この場合、 0.11<(前記カイラル剤の重量/前記液晶組成物の
重量)<0.26 にすると良い。
【0023】なお、複合体中における液晶組成物及びカ
イラル剤の混合物の濃度は30wt%から99wt%の
範囲にすると良い。
【0024】ところで、上述した高分子組成物として
は、 末端が自由端である側鎖を有する高分子鎖同士の架
橋体から構成されたものや、 前記架橋体(末端が自由端である側鎖を有する高分
子鎖同士の架橋体)と該架橋体に架橋していない高分子
鎖とから構成されたものや、 互いに架橋されていない少なくとも2種類の高分子
鎖から構成されたもの、を挙げることができる。
【0025】このうち、上記の架橋体から構成される
高分子組成物は、単官能性組成物と多官能性組成物の他
に、少なくとも前記液晶組成物と前記カイラル剤との共
存状態で、該単官能性組成物と該多官能性組成物を重合
する事により形成することができる。
【0026】ここで、前記架橋体の原料となる前記単官
能性組成物を構成する単官能性化合物は、光重合可能な
材料であれば広く種類を問わず用いることができる。例
えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキ
シブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)モノアクリ
レート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、フェ
ノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフル
フリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
モノメタクリレート(例えば、日本油脂製のブレンマー
PEシリーズ)、ポリエチレングリコールモノ(メタ)
アクリレート等をあげることができる。あるいは、グル
コース残基を有するグリコシルオキシエチルメタクリレ
ート(例えば、日本精化製のGEMA)も使用可能であ
る。また、本発明では、液晶性を示すモノアクリレート
(例えば、大日本インキ化学工業製のUVキュアラブル
液晶UCL−001−K1)も使用可能である。これら
の単官能性化合物の中から1種もしくは2種以上混合し
て、前記単官能性組成物として用いることができる。
【0027】なお、前記単官能性化合物は糖残基を有す
るものであると良く、例えば上述のようなグルコース残
基を有するものであると良い。
【0028】一方、前記架橋体の原料となる前記多官能
性組成物を構成する多官能性化合物は、前記単官能性化
合物と結合可能な官能基を備えた材料であることを特徴
とする。多官能性化合物の1種である2官能性化合物と
して、例えば、ビスフェノール−AEO変性ジアクリレ
ート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、トリプ
ロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリト
ールジアクリレートモノステアレート、ポリエチレング
リコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ
アクリレート、1,4ブタンジオールジアクリレート、
1,6ヘキサンジオールジアクリレート、Kayara
d R167、HX220、HX620、R684(い
ずれも日本化薬製)等をあげることができる。3官能性
化合物、さらにはそれ以上の多官能性化合物としては、
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロ
ールプロパントリエトキシアクリレート、変性グリセリ
ントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリ
レート、変性トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリ
メチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリ
スリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチ
ル)イソシアヌレートアクリレート、ジペンタエリスリ
トールカプロラクタム変性アクリレート(日本化薬製
「商品名:DPCA−20,30,60,120」)等
をあげることができる。これらの多官能性化合物の中か
ら1種もしくは2種以上混合して、前記多官能性組成物
として用いることができる。
【0029】本発明では、前記架橋体の原料となる前記
単官能性組成物と前記多官能性組成物は、それぞれ下式
を満たす単官能性化合物と多官能性化合物を含む事が好
ましい。 (式1) 0<(前記単官能性化合物分子の長さ)/(前記多官能性
化合物分子の長さ)<2
【0030】その理由は、(前記単官能性化合物分子の
長さ)/(前記多官能性化合物分子の長さ)の大きさが
適正範囲外にある場合、液晶素子の表示のメモリー性が
低下する場合があるからである。
【0031】更に、上式を満たす前記単官能性化合物及
び前記多官能性化合物は、水酸基を有する事が好まし
い。上式を満たす水酸基を含有する化合物の組み合わせ
として、上記2−ヒドロキシエチルアクリレートと上記
Kayarad R167をあげる事ができる。この場
合、上式に示した比の大きさは、約0.4である。
【0032】また、上記の「前記架橋体と該架橋体に
架橋していない高分子鎖から構成される高分子組成物」
は、前記架橋体を形成可能な前記単官能性組成物と前記
多官能性組成物と、少なくとも1種類の高分子鎖の他
に、前記液晶組成物と前記カイラル剤との共存状態で、
前記単官能性組成物と前記多官能性組成物との重合によ
り形成することができる。
【0033】前記架橋体と架橋していない高分子鎖は、
水酸基を有していれば特に制限はない。例えば、ポリビ
ニルアルコール(PVA)や多糖及び多糖誘導体をあげ
る事ができる。
【0034】さらに、上記の「互いに架橋されていな
い少なくとも2種類の高分子鎖から構成される高分子組
成物」は、少なくとも1種類の高分子鎖と少なくとも1
種類の単官能性組成物の他に、前記液晶組成物と前記カ
イラル剤との共存状態で、該単官能性組成物の重合によ
り形成することができる。
【0035】前記高分子鎖と前記単官能性組成物が水酸
基を有する、ようにすると良い。
【0036】互いに架橋されていない少なくとも2種類
の高分子鎖の原料となる単官能性組成物は、前記架橋体
の原料となる単官能性組成物を使用する事が可能であ
る。単官能性組成物を構成する単官能性化合物は、水酸
基を有している事が好ましい。単官能性化合物の一例と
して、ポリエチレングリコールモノメタアクリレート
(例えば、日本油脂製のブレンマーPE90)をあげる
事ができる。前記互いに架橋されていない少なくとも2
種類の高分子鎖の原料となる高分子鎖は、水酸基を有し
ていれば特に制限はない。例えば、ポリビニルアルコー
ル(PVA)や多糖及び多糖誘導体をあげる事ができ
る。
【0037】本発明に関する上記カイラル剤の種類には
原則として制約はない。例えば、メルク社製のCB1
5、 C15、S−811、 R−1011、CN等の
カイラル剤をあげる事ができる。また、本発明ではカイ
ラル剤として、1種類のみならず、2種類以上のカイラ
ル剤の混合物を併用しても構わない。
【0038】また、本発明に関する上記液晶組成物とし
て、ネマチック相やコレステリック相を示す低分子液晶
をあげる事ができる。誘電率異方性の符号に制限はな
い。この様な液晶として、メルク社製のMLC−622
5−000やBL009をあげる事ができる。MLC−
6225−000とBL009は、誘電率異方性の符合
が正のネマチック相を示す液晶である。
【0039】本発明では、正負両方の誘電率異方性の値
を示す事が可能な低分子液晶を使用する事が可能であ
る。この様な性質を有する液晶は、二周波駆動液晶とし
て知られている。二周波駆動液晶は、液晶に印加する電
界の周波数の大きさを変化させる事により、液晶の誘電
異方性を正の値あるいは負の値にする事ができる。例え
ば、チッソ社製の2周波駆動液晶混合物DF01XX
は、該液晶に印加する電界の周波数が5kHz以下であ
れば、誘電異方性は正の値を示す。一方、印加する電界
の周波数が10kHz以上であれば、誘電異方性は負の
値を示す。また、上記二周波駆動液晶は2種類以上の低
分子液晶化合物からなる混合物であっても構わない。該
低分子液晶化合物として、2、3−ジシアノ−4−ペン
チルオキシフェニル−4−(トランス−4−エチルシク
ロヘキシル)ベンゾアート、2、3−ジシアノ−4−エ
トキシフェニル−4−(トランス−4−ペンチルシクロ
ヘキシル)ベンゾアート、2、3−ジシアノ−4−エト
キシフェニル−4−(トランス−4−ブチルシクロヘキ
シル)ベンゾアート、4−シアノフェニル−4‘−ペン
チル−4−ビフェニルカルボキシラート等をあげる事が
できる。
【0040】ところで、前記複合体を形成するために行
う前記光重合の重合温度は、前記液晶組成物の等方相転
移温度以上である事が好ましい。また、この光重合を行
うに際しては、液晶組成物等の他に重合開始剤を添加し
ておくと良い。光重合開始剤としては、例えば、1−ヒ
ドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギ
ー社製「イルガキュア184」)、ベンジルジメチルケ
タール(同「イルガキュア651」)等を挙げることが
できる。
【0041】本発明に関する基板の種類は特に制限はな
い。例えば、ガラス基板や、プラスチック基板等の透明
基板を用いることができる。
【0042】電極3a,3bとしてはITO等の透明電
極を用いると良い。
【0043】基板1aと基板1bとの間には符号4で示
すようなスペーサを配置して、その基板間隙を規定する
ようにしても良い。基板と基板との間隙寸法は、1〜2
0μmの範囲に設定すれば良い。
【0044】また、上述した液晶素子Pと、該液晶素子
の電極3a,3bに電圧を印加する電圧印加手段5と、
からなる表示装置を構成し、前記液晶素子に種々の画像
を表示させると良い。
【0045】また、一方、本発明に関する電極表面及び
前記基板表面は、液晶に関する垂直配向処理あるいは水
平配向処理等等の配向処層を施していても構わない。垂
直配向処理は、セチルトリメチルアンモニウムブロマイ
ド、オクタデシルエトキシシラン等を用い、気相吸着・
浸漬・スピンコート等の方法により行う事ができる。水
平配向処理は、ポリイミド、ポリビニルアルコール等か
らなる薄膜を電極上に設け、該薄膜をラビングする事に
より形成する事ができる。また、必要がなければ配向処
理を施さなくても構わない。
【0046】上述のようにして形成された複合体2は透
明状態及び散乱状態の2つの状態をそれぞれ現出させる
ことができる。なお、このような透明状態から散乱状態
への移行、或いは散乱状態から透明状態への移行は電圧
を印加することによって達成されるが(詳細は後述)、
本発明における複合体2はメモリー性を有していて、電
圧(後述する第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧)の印
加を休止した場合には透明状態なら透明状態、散乱状態
なら散乱状態を保持するようになっている。
【0047】図2(a) は、散乱状態にある液晶素子に印
加した駆動電圧の大きさ(V)と、駆動電圧印加を解除
した後の液晶素子の光透過性(T)との関係(以下、V
−T特性とする)を示した模式図であるが、同図に示す
V1が「しきい値電圧」であって、 ・ しきい値電圧V1以下の電圧を印加しても透明状態
には移行せずに散乱状態のままであり、 ・ しきい値電圧V1以上の電圧を印加すると散乱状態
から透明状態に移行し、 ・ 印加電圧が大きくなるに従って光透過性(T)が増
加し、 ・ 電圧Von以上の電圧を印加した場合には光透過性
(T)はほぼ一定値を示す(最大透明状態)、 ようになる。
【0048】いま、前記電極間に第1の駆動電圧を印加
する事により、散乱状態にある前記複合体を透明状態に
移行させることができる。
【0049】図2(b) は、透明状態にある液晶素子に印
加した駆動電圧の大きさ(V)と、駆動電圧印加を解除
した後の液晶素子の光透過性(T)との関係(V−T特
性)を示す模式図であるが、同図に示すVth,V2が
「しきい値電圧」であって、 ・ Vth以下あるいはV2以上の電圧を印加しても散乱
状態には移行せずに透明状態のままであり、 ・ Vth〜V2の間の電圧を印加すると透明状態から光
透過性は減少し、特に印加電圧がVoff近傍の場合には
光透過性が最小となる(散乱状態)。
【0050】いま、前記電極間に第2の駆動電圧を印加
する事により、透明状態にある前記複合体を散乱状態に
移行させることができる。
【0051】つまり、本実施の形態においては、散乱状
態から最大透明状態に移行させる場合には図2(a) にて
Vonで示す電圧(第1の駆動電圧)を印加し、透明状態
から散乱状態に移行させる場合には図2(b) にてVoff
で示す電圧(第2の駆動電圧)を印加する。ここで、本
発明においてVonは35V以下であるが、Voffの電圧
値はVonの電圧値よりも小さくなる。つまり、本実施の
形態によれば、散乱状態から透明状態に移行させる場
合、透明状態から散乱状態に移行させる場合のいずれで
あっても駆動電圧は35V以下となり、従来の駆動電圧
(50V以上)よりも小さくなる。
【0052】ところで、上述のように駆動電圧(透明状
態から散乱状態に移行させるための電圧Von、及び散乱
状態から透明状態に移行させるための電圧Voff)を従
来よりも小さくできるのは、(真偽の程は不明ではある
ものの)本発明者らは、液晶組成物中におけるカイラル
剤濃度(=カイラル剤の重量/液晶組成物の重量)と高
分子組成物にその原因があると推測している。
【0053】カイラル剤濃度は、上述した従来例(すな
わち、特開平7─43690号公報及び特開平7−14
0447号公報に開示された液晶素子を除いたものであ
って、特開平8−188776号公報、特開平10−2
87873号公報、USP5384067号にて開示さ
れた液晶素子)では、それぞれ0.47、0.39、
0.66であるのに対し、本発明では0.11〜0.3
9であり、本発明の方が従来のものより小さい。
【0054】一方、散乱状態にある液晶を透明状態に移
行させるには、第1の駆動電圧Vonを印加することによ
ってカイラル剤に起因する液晶の捩れを解いてやる必要
があるが、一般的に、その電圧値(捩れをほどくために
必要な電圧値)は液晶組成物中におけるカイラル剤濃度
に比例して大きくなる傾向にある。ここで、カイラル剤
濃度は、上述のように本発明の方が従来のものより小さ
いため、電圧値Vonの大きさも、本発明の方が従来のも
のよりも小さくなる。
【0055】そして、この電圧値Vonは、上述したよう
に駆動電圧の最大値であることから、駆動電圧全体(透
明状態から散乱状態に移行させるための電圧Von、及び
散乱状態から透明状態に移行させるための電圧Voff)
は従来のものより小さくなる。
【0056】以下、カイラル剤濃度が従来よりも本発明
の方が小さくなる理由を説明する。
【0057】従来の液晶素子においては、高分子組成物
として、 ・ 単官能性モノマーのみを重合する事により形成した
ものや、 ・ 2官能性モノマーのみを重合する事により形成した
もの、 を使用しているため、カイラル剤濃度を下げた場合に
は、メモリー性を有する2状態を形成できない、あるい
は形成し難くなるが、本発明においては、高分子組成物
として、単官能性モノマーと2官能性モノマーとを重合
させた架橋体などを使用するため、カイラル剤濃度を小
さくしてもメモリー性を有する2状態を形成できるから
と考えられる。
【0058】なお、本発明において、カイラル剤濃度
(カイラル剤の重量/液晶組成物の重量)の値が適正範
囲外になると、メモリー性を有する2状態の形成ができ
ない場合があった(下記比較例1、2参照)。
【0059】なお、本発明の場合、高分子組成物を2官
能性モノマーのみ、あるいは単官能性モノマーのみから
形成した場合、上記先行技術とは異なる問題が発生する
事がある。例えば、2官能性モノマーのみから高分子組
成物を作成した場合、メモリー性を有する2状態を形成
し難くなるという問題が発生する事がある(比較例3参
照)。一方、単官能性モノマーのみから高分子組成物を
形成した場合、メモリー性を有する2状態間遷移に要す
る時間が長くなるという問題が発生する事がある(比較
例4参照)。したがって、高分子組成物は上述のように ・ 末端が自由端である側鎖を有する高分子鎖同士の架
橋体から構成されたもの、 ・ 前記架橋体(末端が自由端である側鎖を有する高分
子鎖同士の架橋体)と該架橋体に架橋していない高分子
鎖とから構成されたもの、 ・ 互いに架橋されていない少なくとも2種類の高分子
鎖から構成されたもの、とすることが好ましい。
【0060】一方、従来例であっても特開平7─140
447号公報に記載されたものは、カイラル剤濃度が小
さい(0.11)にもかかわらず駆動電圧は本実施の形
態のものより大きくなっており(45V)、上述した理
屈(すなわち、カイラル剤濃度が小さければ駆動電圧も
小さくなるという理屈)には適合していない。このよう
に駆動電圧が大きいのは、使用している高分子に原因が
あると考えられる。上記従来例のカイラル剤濃度は本発
明のカイラル剤濃度より小さい。それにもかかわらずメ
モリー性を有するのは、前記電界印加重合により高分子
組成物を形成しているためと推測される。
【0061】更に、本発明がカイラル剤濃度を低くして
もメモリー性を有する2状態を発現できるのは、本発明
に関する高分子組成物が水酸基を含有しているためと推
測している。本発明では、水酸基を含有しない高分子組
成物を使用した場合、メモリー性を有する2状態を形成
しにくくなった(下記比較例5参照)。
【0062】水酸基の効果の一つとして水素結合を示す
事ができる。水酸基は液晶分子内のシアノ基との間で水
素結合を形成できるので、透明状態に対応する液晶分子
配向の崩壊を抑制している可能性がある。なお、水酸基
の効果は、このような水素結合に限定されるものではな
く、例えば、高分子組成物表面の液晶に対する濡れ性な
どにも影響している事が考えられる。
【0063】一方、前記複合体中における高分子組成物
の形態もメモリー性発現に寄与しているものと推測して
いる。例えば、高分子組成物に形成された微細な隙間が
寄与している可能性がある。しかし、上述した様に、本
発明では前記複合体中における高分子組成物濃度の制限
は、前記液晶組成物中におけるカイラル剤濃度の制限よ
りも小さい。即ち、前記高分子組成物濃度は大きくても
低くても、メモリー性を有する2状態を発現する事が可
能である。高分子組成物の形態は、前記高分子組成物濃
度により変化する可能性がある。従って、メモリー性発
現に効果的な高分子組成物の形態の制限は、前記高分子
組成物濃度と同様に、小さいものと考えられる。
【0064】さて、図2(a)、図2(b)に示した様
に、本発明に関する液晶素子のV−T特性には、しきい
値電圧が存在する。この性質を利用すれば、公知の単純
マトリックス駆動により、複数の画素部を有する液晶素
子及び該素子を用いた表示装置に所望のパターンを表示
させる事が可能である。
【0065】次に、本実施の形態の効果について説明す
る。
【0066】本実施の形態によれば、駆動電圧(第1の
駆動電圧及び第2の駆動電圧)は35V以下であって従
来よりも小さいため消費電力を低減できる。
【0067】また、駆動電圧を図3に示すような交番電
圧とした場合には、液晶の変性を回避することができ
る。
【0068】さらに、電場印加重合を行う事なく液晶素
子を構成する高分子を形成しても、表示のメモリー性を
維持でき、コントラスト低下を防止できる。
【0069】
【実施例】以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説
明する。
【0070】(実施例1)本実施例では、グリコシルオ
キシエチルメタクリレート(商品名GEMA、日本精化
製)(399重量部)とKayarad R167(3
15重量部)と1、6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト(76重量部)からなる混合物を高分子前駆体とし
た。
【0071】次に、該高分子前駆体120重量部と、二
周波駆動液晶(DF01XX、チッソ社製、等方相転移
温度=106.5℃)309重量部と、カイラル剤CB
15(メルク社製)54重量部と、光重合開始剤(イル
ガキュア184、チバガイギー社製)5重量部とを混合
した。該混合物は液状であり、以下、混合溶液1と呼ぶ
事にする。なお、混合溶液1の場合、(カイラル剤の重
量)/(液晶組成物の重量)≒0.17である。
【0072】混合溶液1を、表面温度が120℃に維持
されているホットプレート上に設置しておいた液晶セル
の中空部に注入した。なお、該液晶セルは、ITO電極
(大きさ=1cm×1cm)3a,3bを設けた一対の
ガラス基板1a,1bを7μmのスペーサー4を介して
対向配置させた構造をしている。また、液晶セルの中空
部に面しているガラス基板表面及びITO電極表面は、
セチルトリメチルアンモニウムブロマイドによる垂直配
向処理が施されている。
【0073】ホットプレート温度を120℃に維持した
状態で、液晶セルに強度0.3mW/cmの紫外線を
7分間照射した。紫外線照射により前記高分子前駆体は
重合し、前記中空部内に高分子と液晶組成物とカイラル
剤からなる複合体2を形成した。紫外線照射を停止した
後、ホットプレートの加熱も停止した。その後、液晶セ
ルをホットプレート上に設置した状態で、セル温度が2
7℃になるまで冷却し、液晶素子を作製した。
【0074】上述のようにして作製した液晶素子を27
℃の温度に保ち、電圧印加手段5によって電極3a,3
bに図3に示すような矩形状交番電圧を印加して駆動し
た。
【0075】まず、V=35Vの交番電圧1を印加し
たところ(信号印加時間=100msec)、液晶素子
は透明状態(光透過率=95%)を示した。なお、液晶
セルの中空部が空の状態での光透過率を100%とし
た。そして、この交番電圧1の印加を中止しても、液晶
素子は透明状態(光透過率=80%)を維持していた。
【0076】引き続き、V=15Vの交番電圧2を印
加したところ(信号印加時間=100msec)、液晶
素子は散乱状態(光透過率=23%)を示した。そし
て、この交番電圧2の印加を中止しても、液晶素子は散
乱状態(光透過率=22%)を維持していた。
【0077】更に液晶素子に交番電圧1及び交番電圧2
を交互に印加(信号印加時間=100msec)する事
により、メモリー性を有する透明状態(信号印加解除後
の光透過率=80%)と散乱状態(信号印加解除後の光
透過率=22%)を交互に形成する事ができた(図4参
照)。
【0078】なお、散乱状態の液晶素子に関するV−T
特性を調べたところ、しきい値電圧V1は20Vであっ
た。そして、駆動電圧Vが20Vより大きくなるにつ
れ、液晶素子の光透過性Tは増加した。そして、駆動電
圧Vが35V(=Von)以上の場合、光透過性に変化は
観察されなかった。つまり、駆動電圧35Vで、液晶素
子は最大光透過性を示していた。一方、透明状態の液晶
素子に関するV−T特性を調べたところ、駆動電圧Vが
15V近傍で、液晶素子の光透過性は最小(散乱状態)
を示した。また、本実施例の素子を、透明状態及び散乱
状態を示す表示装置に用いる事ができた。
【0079】次に、本実施例では、上記カイラル剤(C
B15)と上記液晶組成物(DF01XX)との混合比
のみを変化させた液晶素子を5種類作成した。各素子の
(カイラル剤の重量)/(液晶組成物の重量)の大きさ
は、0.12、0.15、0.25、0.30、0.3
5である。
【0080】これら5種類の素子に対する上記交番電圧
1と上記交番電圧2の印加解除後の光透過率を評価し
た。その結果、(カイラル剤の重量)/(液晶組成物の
重量)が、0.12、0.15、0.25の場合、上記
混合溶液1を使用して作成した素子と同程度の透明状態
と散乱状態が形成できた。即ち、交番電圧1の印加を解
除したところ、光透過率80%の透明状態を示してい
た。交番電圧2の印加を解除したところ、光透過率22
%の散乱状態を示していた。これに対して、(カイラル
剤の重量)/(液晶組成物の重量)が、0.30、0.
35の場合、上記混合溶液1を使用して作成した素子が
示す透明状態よりも光透過率が小さかった。即ち、交番
電圧1の印加を解除したところ、光透過率78%の透明
状態を示していた。一方、交番電圧2の印加を解除した
ところ、光透過率23%の散乱状態を示していた。
【0081】(実施例2)本実施例では、図5に示す液
晶素子、すなわち、基板1bの裏面に黒色層10を設け
た液晶素子を作製した。その他の構成は実施例1と同じ
とした。
【0082】得られた液晶素子の電極間に実施例1と同
様に交番電圧1を印加したところ、複合体2は光透過状
態となって、基板1aの側から観察した液晶素子は黒色
(黒色層10による黒色)を呈した。そして、この交番
電圧1の印加を中止しても、液晶素子は黒色を維持して
いた。
【0083】引き続き、実施例1と同様に交番電圧2を
印加したところ、液晶素子は散乱状態を示した。そし
て、この交番電圧2の印加を中止しても、液晶素子は散
乱状態を維持していた。
【0084】更に液晶素子に交番電圧1及び交番電圧2
を交互に印加(信号印加時間=100msec)する事
により、メモリー性を有する透明状態と散乱状態を交互
に形成する事ができた。
【0085】(実施例3)本実施例では、電極を、図6
に符号13a,13bで示すようなストライプ状とし、
直交するように配置した。なお、これらの電極13a,
13bは、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)
にて形成し、電極幅を3mmとし、電極間間隙を1mm
とし、本数を8本ずつとした。これらの電極13a,1
3bにより、本実施例の液晶セルには、(8×8)個の
画素部が形成されている。セル裏面には、実施例2で示
した様な黒色層10を設けた。図6(a)において、X
1〜X8は、一方の基板に設けられたストライプ電極で
ある。Y1〜Y8は、もう一方の基板に設けられたスト
ライプ電極である。なお、基板間隔は7μmとし、各電
極表面にはセチルトリメチルアンモニウムブロマイドに
よる垂直配向処理を施した。
【0086】本実施例では、前記液晶セルを120℃に
維持したホットプレート上に載置し、セル中空部に実施
例1で使用した混合溶液1を注入した。ホットプレート
温度を維持した状態で、セルに強度0.3mW/cm
の紫外線を7分間照射した。紫外線照射により前記中空
部内に高分子と液晶組成物からなる複合体を形成した。
紫外線照射を停止した後、ホットプレートの加熱も停止
した。その後、液晶セルをホットプレート上に設置した
状態で、セル温度が27℃になるまで冷却した。
【0087】上述のようにして作製した液晶素子を27
℃の温度に保ち、電極Y1〜Y8を走査電極とし、電極
X1〜X8を信号電極として単純マトリクス駆動を行っ
た。つまり、全ての走査電極(Y1〜Y8)を接地し、
全ての信号電極(X1〜X8)には上述した交番電圧1
(信号印加時間=100msec)を印加した。該印加
によって液晶素子は黒色を呈し、その印加を中止しても
黒色を維持していた。
【0088】次に所望の画素を散乱状態にする事によ
り、図6(b) に示すように、文字“X”の書き込みを行
った。先ず、走査電極Y1を接地し、信号電極X2〜X
7に上記交番電圧2を印加した(信号印加時間=100
msec)。信号印加を解除しても、走査電極Y1と信
号電極X2〜X7との交差部に対応する画素は、散乱状
態を維持していた。また、走査電極Y1と信号電極X
1、X8との交差部に対応する画素は、黒色を維持して
いた。また、非選択走査電極はフロート状態とし、非選
択走査電極上の全ての画素は黒色状態を維持していた。
【0089】次に、走査電極Y2を接地し、信号電極X
1、X8、X3〜X6に上記交番電圧2を印加した(信
号印加時間=100msec)。信号印加を解除して
も、走査電極Y2と信号電極X1、X8、X3〜X6と
の交差部に対応する画素は散乱状態を維持していた。ま
た、走査電極Y2と信号電極X2、X7との交差部に対
応する画素は、黒色を維持していた。
【0090】同様の書き込みを走査電極Y3からY7に
関して行う事により、文字“X”を書き込む事ができ
た。その結果を模式的に図6(b)に示す。また、本実
施例の素子を、2次元パターンを示す表示装置に用いる
事ができた。
【0091】(実施例4)本実施例では、実施例3で作
成した液晶セル(図6(a)、図6(b)参照)を用い
た。このセルに対する単純マトリックス駆動により、文
字“X”の書き込みを行った。
【0092】本実施例では、選択走査電極上の画素の中
で、黒色状態に移行させたい画素には、前記交番電圧1
が印加された状態になるようにした(実施例2参照)。
一方、選択走査電極上の画素の中で、散乱状態に移行さ
せたい画素には、前記交番電圧2が印加された状態にな
るようにした(実施例2参照)。これに対して、非選択
走査電極上の画素には、図3におけるVの大きさが前
記図2(b)のVth以下である矩形波が印加された状態
になるようにした。このような交番電圧の印加が解除さ
れた画素は、交番電圧印加前と同じ状態を示す(図2
(a)、図2(b)参照)。本実施例の液晶素子では、
Vthの大きさは13Vであった。
【0093】先ず、全ての走査電極(Y1〜Y8)を接
地し、全ての信号電極(X1〜X8)に上記交番電圧1
を印加した。該信号の印加を解除しても、全ての画素は
黒色状態を維持していた。
【0094】次に、走査電極Y1を選択走査電極とし、
信号電極と走査電極に下記交番電圧を印加した。
【0095】信号電極X1、X8に印加した電気信号=
前記交番電圧1(図3におけるVが35Vの矩形
波)。
【0096】信号電極X2〜X7に印加した電気信号=
前記交番電圧2(図3におけるVが15Vの矩形
波)。
【0097】走査電極Y1に印加した電気信号=図3に
おけるVが0Vの矩形波(走査電極Y1は接地し
た)。
【0098】走査電極Y2〜Y8に印加した電気信号=
図3におけるVが25V(前記交番電圧1の波高値3
5Vと前記交番電圧2の波高値15Vとの平均値に対
応)の矩形波。
【0099】上記信号を印加すると、走査電極Y1と信
号電極X1とX8との交点に対応する2個の画素には、
前記交番電圧1が印加された状態となる。この信号印加
が解除されると、該2個の画素は、黒色状態を示す事に
なる(実施例2参照)。実際、上記信号印加を解除した
ところ、走査電極Y1と信号電極X1とX8の交点に対
応する2個の画素は、黒色状態を示していた。
【0100】一方、走査電極Y1と信号電極X2〜X7
との交点に対応する6個の画素には、前記交番電圧2が
印加された事になる。この信号印加が解除されると、該
6個の画素は、散乱状態を示す事になる(実施例2参
照)。実際、上記信号印加を解除したところ、走査電極
Y1と信号電極X2〜X7の交点に対応する6個の画素
は、散乱状態を示していた。
【0101】これに対して、非走査電極である走査電極
Y2〜Y8上に存在する画素には、図3におけるV
大きさが10の矩形波が印加される事になる。前述した
ように、本実施例の液晶セルのVthは13であるので、
上記信号印加の前後で、非選択走査電極上の画素の状態
は変化しない。実際、上記信号印加を解除したところ、
非走査電極上の全ての画素は、黒色状態を維持してい
た。
【0102】次に、走査電極Y2を選択走査電極とし、
信号電極と走査電極に下記電気信号を印加した。
【0103】信号電極X2、X7に印加した電気信号=
前記交番電圧1。
【0104】信号電極X1、X8、X3〜X6に印加し
た電気信号=前記交番電圧2。
【0105】走査電極Y2に印加した電気信号=図3に
おけるVが0Vの矩形波(走査電極Y2は接地し
た)。
【0106】走査電極Y1、Y3〜Y8に印加した電気
信号=図3におけるVが25Vの矩形波。
【0107】上記信号印加を解除したところ、走査電極
Y2と信号電極X2、X7との交点に対応する2個の画
素は、黒色状態を示していた。走査電極Y2と信号電極
X1、X8,X3〜X6との交点に対応する6個の画素
は、散乱状態を示していた。一方、非選択走査電極であ
る走査電極Y1及び走査電極Y3〜Y8上の画素の状態
は、変化していなかった。即ち、走査電極Y1と信号電
極X1、X8との交点に対応する2個の画素と、走査電
極Y3〜Y8上の画素は、黒色状態を維持していた。ま
た、走査電極Y1と信号電極X2〜X7との交点に対応
する6個の画素は、白色状態を維持していた。
【0108】同様の書き込みを走査電極Y3からY7に
関して行う事により、文字“X”を書き込む事ができ
た。また、本実施例の素子を、2次元パターンを示す表
示装置に用いる事ができた。
【0109】(実施例5)本実施例では、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート(50重量部)とKayarad
R167(40重量部)と1、6−ヘキサンジオール
ジアクリレート(10重量部)からなる混合物を高分子
前駆体とした。
【0110】次に、該高分子前駆体26重量部と、二周
波駆動液晶(DF01XX、チッソ社製、等方相転移温
度=106.5℃)181重量部と、カイラル剤CB1
5(メルク社製)37重量部と、光重合開始剤(イルガ
キュア184、チバガイギー社製)3重量部とを混合し
た。該混合物は液状であり、以下、混合溶液2と呼ぶ事
にする。なお、混合溶液2の場合、(カイラル剤の重
量)/(液晶組成物の重量)≒0.20である。
【0111】混合溶液2を、表面温度が115℃に維持
されているホットプレート上に設置しておいた液晶セル
の中空部に注入した。なお、該液晶セルは、ITO電極
(大きさ=1cm×1cm)3a,3bを設けた一対の
ガラス基板1a,1bを7μmのスペーサー4を介して
対向配置させた構造をしている。また、液晶セルの中空
部に面しているガラス基板表面及びITO電極表面は、
セチルトリメチルアンモニウムブロマイドによる垂直配
向処理が施されている。
【0112】ホットプレート温度を115℃に維持した
状態で、液晶セルに強度0.3mW/cmの紫外線を
7分間照射した。紫外線照射により前記高分子前駆体は
重合し、前記中空部内に高分子と液晶組成物とカイラル
剤からなる複合体2を形成した。紫外線照射を停止した
後、ホットプレートの加熱も停止した。その後、液晶セ
ルをホットプレート上に設置した状態で、セル温度が2
7℃になるまで冷却し、液晶素子を作製した。
【0113】上述のようにして作製した液晶素子を27
℃の温度に保ち、電極3a,3bに図3に示すような矩
形状交番電圧を印加して駆動した。
【0114】まず、V=35Vの交番電圧3を印加し
たところ(信号印加時間=100msec)、液晶素子
は透明状態(光透過率=95%)を示した。なお、液晶
セルの中空部が空の状態での光透過率を100%とし
た。そして、この交番電圧3の印加を中止しても、液晶
素子は透明状態(光透過率=79%)を維持していた。
【0115】引き続き、V=18Vの交番電圧4を印
加したところ(信号印加時間=100msec)、液晶
素子は散乱状態(光透過率=24%)を示した。そし
て、この交番電圧4の印加を中止しても、液晶素子は散
乱状態(光透過率=23%)を維持していた。
【0116】更に液晶素子に交番電圧3及び交番電圧4
を交互に印加(信号印加時間=100msec)する事
により、メモリー性を有する透明状態(信号印加解除後
の光透過率=79%)と散乱状態(信号印加解除後の光
透過率=23%)を交互に形成する事ができた。
【0117】なお、散乱状態の液晶素子に関するV−T
特性を調べたところ、しきい値電圧V1は25Vであっ
た。そして、駆動電圧Vが25Vより大きくなるにつ
れ、液晶素子の光透過性Tは増加した。そして、駆動電
圧Vが35V(=Von)以上の場合、光透過性に変化は
観察されなかった。即ち、駆動電圧35Vで、液晶素子
は最大光透過性を示していた。一方、透明状態の液晶素
子に関するV−T特性を調べたところ、駆動電圧Vが1
8V近傍で、液晶素子の光透過性は最小(散乱状態)を
示した。また、本実施例の素子を、透明状態及び散乱状
態を示す表示装置に用いる事ができた。
【0118】(実施例6)本実施例では、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート(50重量部)とKayarad
R167(40重量部)と1、6−ヘキサンジオール
ジアクリレート(10重量部)からなる混合物を高分子
前駆体とした。
【0119】次に、該高分子前駆体61重量部と、二周
波駆動液晶(M06あるいはDF01XX、チッソ社
製、等方相転移温度=106.5℃)404重量部と、
ポリビニルアルコール(PVA)10量部と、カイラル
剤CB15(メルク社製)71重量部と、光重合開始剤
(イルガキュア184、チバガイギー社製)5重量部と
を混合した。該混合物は液状であり、以下、混合溶液3
と呼ぶ事にする。なお、混合溶液3の場合、(カイラル
剤の重量)/(液晶組成物の重量)≒0.18である。
【0120】混合溶液3を、表面温度が115℃に維持
されているホットプレート上に設置しておいた液晶セル
の中空部に注入した。なお、該液晶セルは、ITO電極
(大きさ=1cm×1cm)3a,3bを設けた一対の
ガラス基板1a,1bを7μmのスペーサー4を介して
対向配置させた構造をしている。また、液晶セルの中空
部に面しているガラス基板表面及びITO電極表面は、
セチルトリメチルアンモニウムブロマイドによる垂直配
向処理が施されている。
【0121】ホットプレート温度を115℃に維持した
状態で、液晶セルに強度0.3mW/cmの紫外線を
7分間照射した。紫外線照射により前記高分子前駆体は
重合し、前記中空部内に高分子と液晶組成物とカイラル
剤からなる複合体2を形成した。紫外線照射を停止した
後、ホットプレートの加熱も停止した。その後、液晶セ
ルをホットプレート上に設置した状態で、セル温度が2
7℃になるまで冷却し、液晶素子を作製した。
【0122】上述のようにして作製した液晶素子を27
℃の温度に保ち、電極3a,3bに図3に示すような矩
形状交番電圧を印加して駆動した。
【0123】まず、V=30Vの交番電圧5を印加し
たところ(信号印加時間=100msec)、液晶素子
は透明状態(光透過率=95%)を示した。なお、液晶
セルの中空部が空の状態での光透過率を100%とし
た。そして、この交番電圧5の印加を中止しても、液晶
素子は透明状態(光透過率=80%)を維持していた。
【0124】引き続き、V=15Vの交番電圧6を印
加したところ(信号印加時間=100msec)、液晶
素子は散乱状態(光透過率=24%)を示した。そし
て、この交番電圧6の印加を中止しても、液晶素子は散
乱状態(光透過率=23%)を維持していた。
【0125】更に液晶素子に交番電圧5及び交番電圧6
を交互に印加(信号印加時間=100msec)する事
により、メモリー性を有する透明状態(信号印加解除後
の光透過率=80%)と散乱状態(信号印加解除後の光
透過率=23%)を交互に形成する事ができた。
【0126】なお、散乱状態の液晶素子に関するV−T
特性を調べたところ、しきい値電圧V1は20Vであっ
た。そして、駆動電圧Vが20Vより大きくなるにつ
れ、液晶素子の光透過性Tは増加した。そして、駆動電
圧が30V(=Von)以上の場合、光透過性に変化は観
察されなかった。即ち、駆動電圧30Vで、液晶素子は
最大光透過性を示していた。一方、透明状態の液晶素子
に関するV−T特性を調べたところ、駆動電圧Vが15
V近傍で、液晶素子の光透過性は最小(散乱状態)を示
した。また、本実施例の素子を、透明状態及び散乱状態
を示す表示装置に用いる事ができた。
【0127】(実施例7)本実施例では、ポリエチレン
グリコールモノメタクリレート(商品名PE90、日本
油脂株式会社製)82重量部と、ポリビニルアルコール
(PVA)9重量部と、ネマチック液晶(商品名MLC
−6225−000 、メルク社製)338重量部と、
カイラル剤(商品名CB15、メルク社製)69重量部
と、光重合開始剤(商品名イルガキュア184、チバガ
イギー社製)5重量部とを混合した。該混合物を混合溶
液4と呼ぶ事にする。なお、混合溶液4の場合、(カイ
ラル剤の重量)/(液晶組成物の重量)≒0.20であ
る。
【0128】混合溶液4を、表面温度が115℃に維持
されているホットプレート上に設置しておいた液晶セル
の中空部に注入した。なお、該液晶セルは、ITO電極
(大きさ=1cm×1cm)3a,3bを設けた一対の
ガラス基板1a,1bを7μmのスペーサー4を介して
対向配置させた構造をしている。また、液晶セルの中空
部に面しているガラス基板表面及びITO電極表面は、
セチルトリメチルアンモニウムブロマイドによる垂直配
向処理が施されている。
【0129】ホットプレート温度を115℃に維持した
状態で、液晶セルに強度0.3mW/cmの紫外線を
7分間照射した。紫外線照射により前記高分子前駆体は
重合し、前記中空部内に高分子と液晶組成物とカイラル
剤からなる複合体2を形成した。紫外線照射を停止した
後、ホットプレートの加熱も停止した。その後、液晶セ
ルをホットプレート上に設置した状態で、セル温度が2
7℃になるまで冷却した。
【0130】上述のようにして作製した液晶素子を27
℃の温度に保ち、電極3a,3bに図3に示すような矩
形状交番電圧を印加して駆動した。
【0131】まず、V=22Vの交番電圧7を印加し
たところ(信号印加時間=100msec)、液晶素子
は透明状態(光透過率=95%)を示した。なお、液晶
セルの中空部が空の状態での光透過率を100%とし
た。そして、この交番電圧7の印加を中止しても、液晶
素子は透明状態(光透過率=86%)を維持していた。
【0132】引き続き、V=15Vの交番電圧8を印
加したところ(信号印加時間=100msec)、液晶
素子は散乱状態(光透過率=24%)を示した。そし
て、この交番電圧8の印加を中止しても、液晶素子は散
乱状態(光透過率=23%)を維持していた。
【0133】更に液晶素子に交番電圧7及び交番電圧8
を交互に印加(信号印加時間=100msec)する事
により、メモリー性を有する透明状態(信号印加解除後
の光透過率=86%)と散乱状態(信号印加解除後の光
透過率=23%)を交互に形成する事ができた。
【0134】なお、散乱状態の液晶素子に関するV−T
特性を調べたところ、しきい値電圧V1は16Vであっ
た。そして、駆動電圧Vが16Vより大きくなるにつ
れ、液晶素子の光透過性Tは増加した。そして、駆動電
圧が22V(=Von)以上の場合、光透過性に変化は観
察されなかった。即ち、駆動電圧22Vで、液晶素子は
最大光透過性を示していた。一方、透明状態の液晶素子
に関するV−T特性を調べたところ、駆動電圧Vが15
V近傍で、液晶素子の光透過性は最小(散乱状態)を示
した。また、本実施例の素子を、透明状態及び散乱状態
を示す表示装置に用いる事ができた。
【0135】(比較例1)本比較例では、実施例1、
4、5、6におけるカイラル剤濃度(カイラル剤の重量
/液晶組成物の重量)を適正範囲よりも大きい0.5と
して液晶素子を4つ作製した。その他の構成や条件は各
実施例と同じにした。実施例1、4、5、6に対応する
液晶素子を、それぞれ、素子1、2、3、4と呼ぶ事に
する。
【0136】得られた4つの液晶素子は、散乱状態を示
していた(素子1〜4の光透過率は、それぞれ、23
%、24%、24%、25%であった)。各素子への交
番電圧1の印加を解除したところ、全素子が透明メモリ
ー状態を示した(素子1〜4の光透過率は、それぞれ、
79%、77%、78%、83%であった)。次に、素
子1、3、4には前記交番電圧2を、素子2には前記交
番電圧4を印加した。交番電圧印加を解除したところ、
各素子は交番電圧印加前と同じ光透過率の透明メモリー
状態を示していた。更に、本比較例では、透明メモリー
状態にある素子1〜4に印加する交番電圧の波高(図3
に示したVの大きさ)を変化させた(ただしV<3
5)。しかしながら、素子の光透過率は変化せず、透明
メモリー状態のままであった。この様に、本比較例で
は、メモリー性を有する2状態を形成できなかった。
【0137】(比較例2)本比較例では、実施例1、
4、5、6におけるカイラル剤濃度(カイラル剤の重量
/液晶組成物の重量)を適正範囲よりも小さい0.05
として液晶素子を4つ作製した。その他の構成や条件は
各実施例と同じにした。実施例1、4、5、6に対応す
る液晶素子を、それぞれ、素子7,8,9,10と呼ぶ
事にする。
【0138】得られた4つの液晶素子は、散乱状態を示
していた(素子7〜10の光透過率は、それぞれ、22
%、23%、24%、24%であった)。各素子への前
記交番電圧1の印加を解除したところ、全素子が透明メ
モリー状態を示した(素子7〜10の光透過率は、それ
ぞれ、81%、78%、79%、83%であった)。次
に、素子7,9,10には前記交番電圧2を、素子8に
は前記交番電圧4を印加した。各交番電圧の印加を解除
したところ、各液晶素子は交番電圧印加前と同じ光透過
率の透明メモリー状態を示していた。更に、本比較例で
は、透明メモリー状態にある素子7〜10に印加する交
番電圧の波高(図3に示したVの大きさ)を変化させ
た(ただしV<35)。しかしながら、素子の光透過
率は変化せず、透明メモリー状態のままであった。この
様に、本比較例では、メモリー性を有する2状態を形成
できなかった。
【0139】(比較例3)本比較例では、高分子前駆体
を全てKayarad R167にした以外は実施例1
と同じである。即ち、本比較例では、高分子組成物を2
官能性モノマーのみから形成した。
【0140】得られた液晶素子に、前記交番電圧1を印
加(信号印加時間=100msec)した。電圧印加
中、液晶素子は透明状態(光透過率=95%)を示して
いた。なお、液晶セルの中空部が空の状態での光透過率
を100%とした。信号印加を解除しても、液晶素子は
透明状態(光透過率=82%)を維持していた。次に、
液晶素子の電極間に前記交番電圧2を印加した(信号印
加時間=100msec)。該信号印加を解除したとこ
ろ、液晶素子は透明状態に近い光透過率(77%)を示
していた。この様に本比較例では、実施例1のような散
乱メモリー状態を形成できなかった。
【0141】(比較例4)本比較例では、高分子前駆体
を全てポリエチレングリコールモノメタクリレート(商
品名PE90、日本油脂株式会社製)にした以外は、実
施例1と同じである。即ち、本比較例では、高分子組成
物を単官能性モノマーのみから作成した。得られた液晶
素子に、前記交番電圧1を印加(信号印加時間=100
msec)した。電圧印加中、液晶素子は透明状態(光
透過率=95%)を示していた。なお、液晶セルの中空
部が空の状態での光透過率を100%とした。信号印加
を解除した直後、液晶素子の光透過率は22%であり、
散乱状態を示していた。その後、液晶素子の光透過率は
徐々に増加し、前記交番電圧印加を解除してから15秒
後には、光透過率81%の透明状態を示していた。
【0142】次に、液晶素子の電極間に前記交番電圧2
を印加した(信号印加時間=100msec)。信号印
加中、液晶素子は白色の散乱状態(光透過率=23%)
を示していた。信号印加を解除しても、液晶素子は散乱
状態(光透過率=22%)を維持していた。この様に本
比較例では、透明メモリー状態の形成必要な時間が、実
施例1の場合よりも、極めて長くなった。
【0143】(比較例5)本比較例では、グリコシルオ
キシエチルメタクリレートをn−ブチルメタクリレート
に置換し、Kayarad R167を1、6−ヘキサ
ンジオールジアクリレートに置換した以外は、実施例1
と同じである。即ち、本比較例に関する高分子組成物
は、水酸基を含まない単官能性モノマーと2官能性モノ
マーから形成した。
【0144】得られた液晶素子は散乱状態(光透過率=
23%)を示していた。この散乱状態にある液晶素子素
子への前記交番電圧1の印加を解除したところ、液晶素
子は散乱状態(光透過率=23%)を示していた。図3
におけるVの大きさを80Vにした交番電圧を印加し
ても、交番電圧の印加を解除すると液処素子は散乱状態
(光透過率=23%)にもどった。
【0145】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
従来よりも駆動電圧を低減できる。また駆動電圧は従来
よりも小さいため消費電力を低減できる。
【0146】また、電場印加重合を行う事なく液晶素子
を構成する高分子を形成しても、表示のメモリー性を維
持でき、コントラスト低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶素子の一実施の形態を示す断
面図。
【図2】駆動電圧の大きさと液晶素子の光透過性との関
係を示す模式図。
【図3】液晶素子に印加する駆動電圧を示す波形図。
【図4】液晶素子の光透過率の変化を示す図。
【図5】本発明に係る液晶素子の他の実施の形態を示す
断面図。
【図6】電極の形状を説明するための平面図。
【符号の説明】
1a,1b 基板 2 複合体 3a,3b 電極 5 電圧印加手段 P 液晶素子

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定間隙を開けた状態に配置された一対
    の基板と、一対の電極と、液晶組成物とカイラル剤と高
    分子組成物とから構成されている複合体を備え、これら
    一対の電極を介して前記複合体に電圧が印加されること
    により駆動される液晶素子において、 前記高分子組成物は水酸基を有し、かつ、 “前記カイラル剤の重量/前記液晶組成物の重量”の値
    は0.11より大きく0.39より小さい、 ことを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 “前記カイラル剤の重量/前記液晶組成
    物の重量”の値は0.11より大きく0.26より小さ
    い、 ことを特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 前記高分子組成物は、末端が自由端であ
    る側鎖を有する高分子鎖同士の架橋体から構成されてい
    る、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記高分子組成物は、末端が自由端であ
    る側鎖を有する高分子鎖同士の架橋体と、該架橋体に架
    橋していない高分子鎖から構成されている、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】 前記高分子組成物は、互いに架橋されて
    いない少なくとも2種類の高分子鎖から構成されてい
    る、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 前記架橋体は、単官能性組成物と多官能
    性組成物との重合体であって、該単官能性組成物と該多
    官能性組成物はそれぞれ単官能性化合物と多官能性化合
    物を含み、かつ、0<(前記単官能性化合物分子の長さ)
    /(前記多官能性化合物分子の長さ)<2を満足する、 ことを特徴とする請求項3又は4に記載の液晶素子。
  7. 【請求項7】 前記単官能性化合物及び前記多官能性化
    合物が水酸基を有する、 ことを特徴とする請求項6に記載の液晶素子。
  8. 【請求項8】 前記単官能性化合物が糖残基を有する、 ことを特徴とする請求項7に記載の液晶素子。
  9. 【請求項9】 前記糖残基がグルコース残基である、 ことを特徴とする請求項8に記載の液晶素子。
  10. 【請求項10】 前記多官能性組成物が2官能性組成物
    である、 ことを特徴とする請求項6に記載の液晶素子。
  11. 【請求項11】 前記架橋体は、前記単官能性組成物と
    前記多官能性組成物の他に、前記液晶組成物と前記カイ
    ラル剤との共存状態で、前記単官能性組成物と前記多官
    能性組成物との重合により形成する、ことを特徴とする
    請求項3に記載の液晶素子。
  12. 【請求項12】 前記架橋体と該架橋体に架橋していな
    い高分子鎖は、前記単官能性組成物と前記多官能性組成
    物と、少なくとも1種類の高分子鎖の他に、前記液晶組
    成物と前記カイラル剤との共存状態で、前記単官能性組
    成物と前記多官能性組成物との重合により形成する、こ
    とを特徴とする請求項4に記載の液晶素子。
  13. 【請求項13】 前記互いに架橋されていない少なくと
    も2種類の高分子鎖は、少なくとも1種類の高分子鎖と
    少なくとも1種類の単官能性組成物の他に、前記液晶組
    成物と前記カイラル剤との共存状態で、該単官能性組成
    物の重合により形成する、ことを特徴とする請求項5に
    記載の液晶素子。
  14. 【請求項14】 前記高分子鎖と前記単官能性組成物
    が、水酸基を有する、ことを特徴とする請求項12又は
    13に記載の液晶素子。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至14のいずれか1項に記
    載の液晶素子と、該液晶素子の電極に電圧を印加する電
    圧印加手段と、を備え、前記液晶素子に種々の画像を表
    示してなる表示装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017531831A (ja) * 2014-10-21 2017-10-26 ロリク アーゲーRolic Ag ポリマー含有散乱型垂直配置液晶素子

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