JP2003082082A - メソポーラス物質を用いたポリエステルの製造方法 - Google Patents

メソポーラス物質を用いたポリエステルの製造方法

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JP2003082082A
JP2003082082A JP2001278336A JP2001278336A JP2003082082A JP 2003082082 A JP2003082082 A JP 2003082082A JP 2001278336 A JP2001278336 A JP 2001278336A JP 2001278336 A JP2001278336 A JP 2001278336A JP 2003082082 A JP2003082082 A JP 2003082082A
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mesoporous
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mesoporous substance
film
substance
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Takashi Ochi
隆志 越智
Keisuke Honda
圭介 本田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、アンチモン触媒に起因する問題点を
解決し、さらに効率的なポリエステルの製造方法を提供
するものである。 【解決手段】メソポーラス物質の存在下で重縮合反応さ
せることを特徴とするポリエステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル重縮
合をアンチモン触媒の欠点がなく、生産性良く行うもの
である。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは、その優れた性質のゆえ
に、繊維用、フィルム用、ボトル用をはじめ広く種々の
分野で用いられている。なかでもポリエチレンテレフタ
レ−ト(PET)は機械的強度、化学特性、寸法安定性な
どに優れ、最も汎用的に使用されている。
【0003】一般に、PETはテレフタル酸またはそのエ
ステル形成性誘導体とエチレングリコールをエステル化
し、さらにそれを重縮合することにより得ているが、重
縮合触媒として三酸化アンチモン(Sb2O3)のようなア
ンチモン触媒が使用されている。アンチモン触媒は重合
活性、得られるポリマーの耐熱性のバランスに優れてお
り、長らくPET重縮合触媒として広く用いられてきた
が、アンチモン触媒は以下のような好ましくない点を有
している。
【0004】例えば、アンチモン触媒を使用して得られ
たポリエステルを溶融紡糸して繊維化するときに、アン
チモン触媒の残さが口金孔周りに堆積すること(口金汚
れ)が知られている。この堆積が進行するとフィラメン
トに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が
生じ、生産効率を低下させる要因となっていた。また、
ポリマー中のアンチモン触媒残さは比較的大きな粒子状
となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの
濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム
破れの原因になるなどの好ましくない特性を有してい
る。
【0005】このため、非アンチモン触媒としてチタン
テトラブトキサイド(Ti(BuO)4、TBT)やチタンテトラ
イソプロポキサイド(Ti(i-PrO)4、TPT)といったチタ
ン系の触媒が注目されている。しかし、チタン触媒は重
合活性に優れているものの、得られるポリマーの耐熱性
が悪く、黄味が強い色調となったり、カルボキシ末端基
が増加する等、得られるポリマーの品質に問題があっ
た。
【0006】ところで、重縮合プロセスに注目すると、
テレフタル酸を使用した、いわゆる直接重合法は、原料
コストの点での有利性から広く実施されている。しかし
ながら、直接重合法によるポリエステルの製造方法は、
テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応
において、以下に述べるような幾つかの好ましくない特
性を有している。
【0007】例えば、エステル化反応速度を経済的な領
域にまで速くするためには、モル比R(エチレングリコ
ール/テレフタル酸)を高くする必要があるが、モル比
Rを高くするとエチレングリコールの脱水縮合物である
ジエチレングリコールが多量に生成し、最終的に得られ
るポリエチレンテレフタレートの品質が低下する。一
方、ジエチレングリコール増加の問題を解消するため
に、モル比Rを下げ加圧して反応温度を高くし、反応速
度を速める方法が提案されている。しかし、モル比Rを
下げると固体のテレフタル酸とエチレングリコールの混
合物からなる高粘度のスラリーを取り扱う必要が生じ、
反応初期の流動性が阻害され、反応の円滑な進行に支障
をきたすとともに、局部的なテレフタル酸の過熱等によ
る着色等の問題が生じる。
【0008】一方、ジメチルテレフタレートを使用した
場合、テレフタル酸に見られる品質の低下は軽減される
ものの、原料コストでの不利を解消するためには、エス
テル交換反応をより効率的に進行せしめる技術が必要と
なる。
【0009】上記のような背景から、最終的に得られる
ポリエチレンテレフタレートの品質を維持したまま、重
縮合反応をより効率的に進行せしめる技術が求められて
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アン
チモン触媒に起因する問題点を解決し、さらに効率的な
ポリエステルの製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、メソポーラス物質の存在下で重縮合反応させること
を特徴とするポリエステルの製造方法により達成され
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルはジカルボ
ン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールとから
合成されるポリマーであって、繊維、フィルム、ボトル
等の成形品として用いることが可能なものであれば特に
限定はない。
【0013】このようなポリエステルとして具体的に
は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチ
レン-2,6-ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレ
ン-1,2-ビス(2-クロロフェノキシ)エタン-4,4'-ジカ
ルボキシレートなどが挙げられる。本発明は、なかでも
最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレー
トまたは主としてポリエチレンテレフタレートからなる
ポリエステル共重合体において好適である。
【0014】また、これらのポリエステルを得るのに用
いるジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体として
は、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸等の
芳香族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体等、
アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びそ
のエステル形成性誘導体等、シクロヘキサンジカルボン
酸等の脂環式ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導
体等が挙げられる。また、ジオールとしては、エチレン
グリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙
げられる。
【0015】また、共重合ポリエステルの場合には、上
記以外の成分としてp-(β-オキシエトキシ)安息香
酸、乳酸等のオキシカルボン酸及びそのエステル形成性
誘導体等が共重合されていてもよい。
【0016】本発明で言うメソポーラス物質とは、例え
ばメソポーラスシリカのように平均細孔径がnmオーダー
で、かつ均一な細孔径を有するものであり、X線回折で
低角側にピークが認められるのである。メソポーラスシ
リカは、細孔径が均一であることが非晶質シリカのよう
な従来のシリカと異なるものである。1992年にモービル
(J.Am.Chem.Soc.,vol.114,10834(1992).)、1993年に
豊田中研(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.680(1993).)によ
り独立に報告された新規なシリカであり、均一なハニカ
ム構造(図1)を有するMCM-41、FSM-16等が代表的な例
である。本発明で言うメソポーラス物質はメソポーラス
シリカのみには限定されず、アルミニウムやチタン等の
異種金属や有機物を一部に含むメソポーラスシリカ誘導
体でも、アルミニウムやチタン等の金属酸化物およびそ
れらの誘導体、さらにこれらが複合されているものでも
良い。
【0017】本発明では、重縮合用触媒をメソポーラス
物質に担持させたり、メソポーラス物質の骨格に組み込
むことが好ましい。触媒をメソポーラス物質に担持させ
る方法としては、例えば昇華を利用する方法や溶液を利
用する方法を用いることができる。例えば、Sb2O3を担
持したメソポーラス物質は、150℃程度の高温でSb2O3
エチレングリコール溶液を調整し、それにメソポーラス
物質を加え、その後エチレングリコールを除去すること
により得ることができる。また、TPTを担持したメソポ
ーラス物質はTPTのイソプロパノール溶液、TBTを担持し
たメソポーラス物質はTBTのブタノール溶液を調整し、
それにメソポーラス物質を加え、その後、溶媒を除去す
ることにより得ることができる。重縮合用触媒はメソポ
ーラス物質の細孔内にほとんどが担持されるのである
が、これにより、例えばSb2O3やそれが還元されたアン
チモン金属がポリマーからブリードすることを大幅に抑
制でき、アンチモン触媒の残さが紡糸中やフィルムのキ
ャスト時に口金吐出孔周りに堆積することを大幅に低減
できるメリットがある。また、チタン触媒がメソポーラ
ス物質の細孔内に担持されると、チタン触媒が生成した
ポリエステルと接触することがほとんど無いため、チタ
ン触媒に起因するポリマーの熱分解を大幅に低減し、ポ
リマー品質を良好に保つことができるメリットがある。
また、担持させる触媒は、アルミニウム触媒等、他の金
属イオンをベースとしたものでももちろん良い。
【0018】一方、触媒をメソポーラス物質の骨格に触
媒を組み込む場合は、例えばメソポーラス物質の原料に
触媒能を有する金属イオンを混在させる方法を用いるこ
とができる。触媒能を有する金属イオンとしては特に限
定は無いが、例えばアルミニウムイオンやチタンイオン
を使用することができる。例えばチタンイオンをメソポ
ーラス物質骨格に組み込む場合は、テトラエチルオルト
シリケート(TEOS)とテトラエチルオルトチタネート
(TEOT)を所望のモル比で混合してメソポーラス物質を
合成すれば良い。本発明で用いるメソポーラス物質は、
比表面積を1000m2/g以上と従来のシリカよりもはるかに
大きく、しかも表面積の90%以上を細孔内面積とするこ
とも可能であるため、チタンイオンのほとんどを細孔内
に存在させることができる。このため、チタンイオンが
生成したポリエステルと接触することがほとんど無く、
チタンイオンに起因するポリマー熱分解を大幅に低減
し、ポリマー品質を良好に保つことができるメリットが
ある。
【0019】特にチタン触媒やチタンイオンはエステル
化触媒にも重合触媒にもなり得るため、メソポーラス物
質に担持させるにしても組み込むにしても好ましい。
【0020】メソポーラス物質の細孔径は1〜10nmであ
ると、触媒を担持しても細孔内に反応のための充分なス
ペースが確保され反応がスムースに進行し好ましい。細
孔径は、より好ましくは2〜5nmである。
【0021】メソポーラス物質の比表面積は1000m2/g以
上であると、メソポーラス物質に担持したり骨格に組み
込んだ触媒と反応原料の接触面積が大きなるため、反応
効率が向上し好ましい。
【0022】メソポーラス物質の凝集径に特に制限は無
いが、生成したポリエステル中にメソポーラス物質が含
まれる場合は、0.01〜1μmの凝集径であると、メソポー
ラス物質の分散性が良いため、引き続き行われる紡糸や
製膜等のポリエステル成形加工工程での工程安定性が向
上し好ましい。
【0023】ところで、メソポーラス物質は以上説明し
たような触媒としてだけではなく、反応により生成する
副生成物を系外に選択的に透過分離できる能力も有する
ため、エステル化反応、エステル交換反応あるいは重縮
合反応を促進する能力も有している。このため、本発明
は、例えばエステル化工程および/または重縮合工程に
用いる反応器の少なくとも一部がメソポーラス物質で構
成された装置を用いて実施することもできる。
【0024】これは、エステル化工程においてもメリッ
トがある。例えば、該工程に用いる反応器の内部の任意
の位置にメソポーラス物質を膜状に形成しておき、ジカ
ルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールと
の混合物および/またはジカルボン酸またはそのエステ
ル形成性誘導体とジオールとの反応物を接触せしめ、か
つそのメソポーラス物質膜を通してエステル化反応の副
生成物である水あるいは1価アルコールを該メソポーラ
ス物質膜の片側から反対側に選択的に透過せしめること
で、エステル化反応あるいはエステル交換反応の平衡反
応を促進させることができる。
【0025】また、重縮合工程においては、該工程に用
いる反応器の内部の任意の位置にメソポーラス物質を膜
状に形成しておき、ジカルボン酸またはそのエステル形
成性誘導体とジオールとの反応物である低重合体を接触
せしめ、かつそのメソポーラス物質膜を通して重縮合反
応の副生成物を該メソポーラス物質膜の片側から反対側
に選択的に透過せしめることで重縮合反応を促進させる
ことができる。
【0026】メソポーラス物質の作用をより効果的に発
揮させるためには、メソポーラス物質と反応物の接触面
積をより高めることが好ましく、そのためにはメソポー
ラス物質は粒状や膜状であることが好ましいが、反応装
置の少なくとも一部を形成させるためには、メソポーラ
ス物質を膜状とすることが好ましい。膜状の形態として
は、例えば平板型、管状、モノリス、ハニカム型等を挙
げることができ、より好ましくは管状である。
【0027】メソポーラス物質膜を通して副生成物を除
去する場合、効率的かつ選択的に副生成物を透過せしめ
るためには、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘
導体とジオールとの混合物および/またはジカルボン酸
またはそのエステル形成性誘導体とジオールとの反応物
である低重合体とメソポーラス物質膜を接触させ、メソ
ポーラス物質膜の反対側(接触していない側)を減圧す
る方法あるいはスイープガスを流して透過した副生物を
連続的に除去する方法等が有効であるため、例えばメソ
ポーラス物質膜を管状にし、その内部に反応物を流通さ
せ、外側を減圧下におく、あるいは、メソポーラス物質
膜管の外側に反応物を流し、管の内側を減圧にして、副
生成物を管の外側から内側へと透過させる等の方法が好
ましい。特に、メソポーラス物質膜からなる中空の管を
多数束ねたものを反応物の供給口と排出口を有する大き
な反応器に納めて、管の外側に反応物を流通せしめ、管
の内側を減圧にして、副生成物を管の外側から内側へ透
過させる方法は、反応物に対してメソポーラス物質膜の
透過面積が高くとれるため好ましい。モノリス、ハニカ
ムの場合は、内側に反応物を流通せしめ、外側を減圧に
する方が反応物と膜の接触面積が大きくなるので好まし
い。
【0028】このメソポーラス物質膜は、メソポーラス
物質のみから成る膜あるいは支持体にメソポーラス物質
をコーティングした膜でもよい。メソポーラス物質膜
を、反応副生物の透過に使用する場合、充分な透過量を
得るために、メソポーラス物質膜は薄くする必要があ
る。しかし、薄くすると膜の強度は低くなるため、支持
体にコーティングする方が強度の点で好ましい。メソポ
ーラス物質膜の支持体の材質は特に限定されないが、金
属、ガラス、セラミックス、窒化物、テフロン(登録商
標)等の材質が可能でる。ポリエステルの製造に関する
既存設備での耐久性の観点から、金属、セラミックスを
支持体としてメソポーラス物質膜を形成せしめることが
好ましい。メソポーラス物質膜と親和性が良く、熱膨張
率が近いという点では、セラミックスが特に好ましく、
更にコスト的観点から、アルミナやムライト等が特に好
ましく用いられる。
【0029】また、メソポーラス物質膜の調整方法は特
に限定されないが、例えばJ. Mater.Chem.,vol8,1783(1
998).記載のようにスピンコーティングしたり、J.Poly
m.Sci.:PartA:Polym.Chem.,vol38,4821(2000).記載のよ
うに基盤上に析出させる方法を使用することができる。
【0030】本発明は、バッチ式重合、連続重合のいず
れのプロセスにおいても適用可能である。すなわち、メ
ソポーラス物質は、エステル化反応槽、重縮合反応槽あ
るいはそれらの中間槽のどこに用いられていても良く、
さらに、エステル化反応槽と重縮合反応槽および/また
は二つ以上のエステル化反応槽の各反応槽を繋ぐ反応物
移液配管の少なくとも一部にメソポーラス物質膜を有す
る充填物を用いる方法、あるいは、各反応槽、エステル
化反応槽と重縮合反応槽および/または二つ以上のエス
テル化反応槽の各反応槽を繋ぐ反応物移液配管等の壁
面、撹拌翼の表面等にメソポーラス物質膜を形成せしめ
る方法等が挙げられるが特に限定はされない。
【0031】また、本発明での重縮合反応の方法は、従
来公知のいずれの方法を適用しても良く、例えば、反応
物を昇温するとともに減圧して脱離してくるジオール成
分及びその他の副生物等を除去しながら所定の重合度ま
で高める方法や、反応系を減圧にする代わりに不活性ガ
スを吹き込み、重合度を高める方法等を適用することが
できる。
【0032】また、本発明においては必要に応じて公知
の化合物、例えば各種のリン化合物等の着色防止剤や粒
子等を添加、含有しても良い。
【0033】このように、少なくとも一部にメソポーラ
ス物質を含む重縮合装置を利用して得られたポリエステ
ルは、反応が極めて短時間にて生成せしめることがで
き、かつ重縮合触媒がポリエステル系中に残存していな
いか、若しくは極めて少量であるため、色調及び耐熱性
に優れているのである。
【0034】
【実施例】参考例1(MPS-1の合成) 乾燥重量で50gのカネマイト結晶を0.1Mのn−ヘキサデ
シルトリメチルアンモウニウムクロライド水溶液1000ml
に分散させ、70℃で3時間攪拌した。加熱初期のpHは12.
3であった。その後2Nの塩酸を加えpHを8.5まで下げた。
そして3時間攪拌した後、室温まで放冷した。これを濾
過し、固形生成物を1000mlのイオン交換水に分散させ、
再度濾過を行った。この分散攪拌/濾過を5回行い、固
形物を60℃で乾燥した。これを500℃で6時間焼成するこ
とにより、メソポーラスシリカを得た。これをMPS-1と
呼ぶ。このMPS-1はX線回折により低角側にピークが観測
され、規則的な周期構造を有しており均一な細孔が形成
されていることが確認された。また、チッソガス吸着法
から求めた平均細孔径は3.1nm、比表面積は1100m2/g、
平均凝集径は0.5μmであった。
【0035】参考例2(MPS-2の合成) n−オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド3.
13gとイオン交換水300g、6NのNaOH水溶液15gの混合液を
0℃で攪拌しながら、1,2−ビス(トリメトキシシリ
ル)エタン20.3g加え、3時間攪拌した。室温で14時間静
置後、さらに13時間攪拌し、さらに室温で14時間静置
後、さらに7時間攪拌した。そして、固形物を濾過、イ
オン交換水で洗浄後、風乾した。これをエタノール/塩
酸混合溶媒を用いて鋳型に用いたn−オクタデシルトリ
メチルアンモニウムを除去した後、5回イオン交換水で
水洗し、150℃で減圧乾燥を24時間行い、有機基を含有
したメソポーラスシリカ誘導体を得た。これをMPS-2と
呼ぶ。このMPS-2はX線回折により低角側にピークが観測
され、規則的な周期構造を有しており均一な細孔が形成
されていることが確認された。また、チッソガス吸着法
から求めた平均細孔径は3.8nm、比表面積は1450m2/g、
平均凝集径は0.5μmであった。
【0036】参考例3(MPS-3の合成) テトラエチルオルトシリケート(TEOS)とテトラエチル
オルトチタネート(TEOT)をモル比1:0.08で混合して1
5分間攪拌後、TEOSに対しモル比0.68のデシルアミンを
添加した。この混合溶液を10分間攪拌後、0.5N塩酸水溶
液を添加して生成した懸濁液をさらに24時間攪拌した。
これを遠心分離し固形分を収集後、50℃で2日間乾燥し
た。そして、500℃で2時間焼成し、Tiを5.1mol%含有し
たメソポーラスシリカを得た。これをMPS-3と呼ぶ。こ
のMPS-3はX線回折により低角側にピークが観測され、規
則的な周期構造を有しており均一な細孔が形成されてい
ることが確認された。また、チッソガス吸着法から求め
た平均細孔径は3.1nm、比表面積は1050m2/g、平均凝集
径は0.6μmであった。
【0037】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法
で測定した。
【0038】A.ポリマー中の金属含有量 蛍光X線により求めた。
【0039】B.ポリマーの固有粘度[η] オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
【0040】C.ポリマーのカルボキシ末端基量 Mauriceらの方法[Anal.Chim.Acta,vol22,363(1960).]
によった。
【0041】D.ポリマーの色調 スガ試験機(株)社製の色差計(SMカラーコンピュータ
型式SM-3)を用いて、ハンター値(b値)として測定し
た。
【0042】E.メソポーラス物質の平均細孔径 メソポーラス物質に液体窒素温度(-196℃)でチッソガ
スを導入し、その吸着量を求める。導入するチッソガス
の圧力を徐々に増加させ、各平衡圧力に対するチッソガ
スの吸着量をプロットすることにより、等温吸着曲線を
描く。そして、ケルビン式を利用し平均細孔径を求め
た。
【0043】F.メソポーラス物質の比表面積 Eで測定したチッソガスの等温吸着曲線にBET法を適
用し、BET比表面積を求めた。
【0044】G.メソポーラス物質の凝集径 メソポーラス物質を水またはアルコールに分散させ、HO
RIBA社製粒径分析装置LA-700を用いて体積平均粒径を凝
集径として求めた。
【0045】実施例1〜4 MPS-1、MPS-2にSb2O3またはチタン触媒を10重量%担持さ
せた触媒担持メソポーラスシリカを調整した(表1)。
高純度テレフタル酸とエチレングリコールから常法に従
って製造した、触媒を含有しない重合体を250℃で溶融
し重縮合反応器内に仕込んだ。これに、先に調製した触
媒担持メソポーラスシリカまたはMPS-3を含有するエチ
レングリコール液を最終的に得られるPET中でのアンチ
モンまたはチタン原子量が50ppmとなるように添加し、
また、酢酸コバルト4水和物をコバルト原子の含有量が
15ppmとなるように添加した。その後、低重合体を30rpm
で攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇
温するとともに、圧力を2.66×102 Paまで減圧した。最
終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。
所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし
常圧に戻し重縮合反応を停止した。この時の重縮合時間
は表1に示す。その後、冷水にストランド状に吐出、直
ちにカッティングしてPETのペレットを得た。
【0046】得られたポリマーの品質は表1に示すが、
固有粘度は0.67、カルボキシ末端基量20〜23当量/t、ポ
リマーの色調は、b=3.0〜4.5と良好であった。また蛍
光X線で分析し、アンチモンまたはチタン原子成分含有
量が50ppmであることを確認した。このように重合反応
性、ポリマー特性とも良好であった。
【0047】このペレットを乾燥した後、エクストルー
ダ型紡糸機に供給し、紡糸温度295℃で溶融紡糸した。
このときフィルターとして絶対濾過精度15μmの金属不
織布を使用し、口金は0.3mmφの丸孔を用いた。口金か
ら吐出した糸を冷却固化し、給油した後、引き取り速度
3000m/分で引き取った。この未延伸糸を延伸温度90℃で
延伸倍率1.8倍で延伸した後、140℃で熱処理し延伸糸を
得た。溶融紡糸および延伸工程に問題は認められず、成
形加工性の良好なポリマーであった。さらに、濾圧上昇
や口金汚れも比較例2に比べるとわずかなものであっ
た。
【0048】比較例1 触媒担持メソポーラスシリカの代わりにTPTを最終的に
得られるPET中でのアンチモンまたはチタン原子量が50p
pmとなるように添加した以外は実施例1と同様に重縮合
反応を行いPETのペレットを得た。これのポリマー品質
を表1に示すがb=30.4、カルボキシ末端基量=100当
量/tと色調、耐熱性とも不良のものであった。
【0049】比較例2 TPTの代わりにSb2O3を用いたこと以外は、比較例1と同
様に重縮合反応を行いPETのペレットを得た。このペレ
ットを実施例1と同様に溶融紡糸を行ったが、濾圧上昇
や口金汚れが顕著となった。
【0050】
【表1】 実施例5 J.Polym.Sci.:PartA:Polym.Chem.,vol38,4821(2000).記
載の方法を応用し、多孔質のαーアルミナ管(外径2.8m
m、内径1.9mm、長さ200mm、平均細孔径0.15〜0.17μm)
上にMPS-3を析出させた。
【0051】該MPS-3膜を有したα−アルミナ管をS/Wa
=1/10(S=用いるゼオライト膜の総表面積(cm2 )、W
a=仕込みの低重合体の合計量(g))となるように、多
数束ねたものを反応物の供給口と排出口を有する大きな
反応器に納めて、該反応器内に、高純度テレフタル酸と
エチレングリコールから常法に従って製造した、触媒を
含有しないエステル化反応率97%の低重合体を流通せし
め、管の内側を2.66×102 Paまで減圧にして、副生成物
を管の外側から内側へ透過させることで、反応率99%の
低重合体を得た。
【0052】この低重合体を引き続き250℃で溶融し、
該溶融物に、先に調製したをMPS-3のエチレングリコー
ル液を最終的に得られるPET中でのチタン原子量が100pp
mとなるように添加し、また、酢酸コバルト4水和物を
コバルト原子の含有量が20ppmとなるように添加した。
その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250
℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を2.66
×102 Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時
間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点
で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し
た。この時の重縮合時間は2時間10分であった。その
後、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングし
てポリエチレンテレフタレートのペレットを得た。
【0053】得られたポリマーの固有粘度は0.67、カル
ボキシ末端基量28当量/t、ポリマーの色調は、b=4.8
であった。また蛍光X線で分析し、チタン原子成分含有
量が100ppmであることを確認した。このように重合反応
性、ポリマー特性とも良好なPETのペレットを得た。
【0054】このペレットを実施例1と同様に溶融紡
糸、延伸したが、工程に問題は認められず、成形加工性
の良好なポリマーであった。さらに、濾圧上昇や口金汚
れも比較例2に比べるとわずかなものであった。
【0055】実施例6〜8 重縮合反応においてMPS-3を添加する代わりにメソポー
ラス物質膜を重縮合反応槽にも設置し、さらに膜の形
態、反応物に対するメソポーラス物質膜の透過面積、メ
ソポーラス物質の担持触媒を変更して実施例5と同様に
ポリマーを重合した。ただし、実施例8はエステル化反
応槽にはメソポーラス物質膜を設置しなかった。得られ
たポリマーの物性は表2に示したが、実施例6〜8では
実施例1〜5および比較例1、2に比べ重縮合反応時間
が短くなり、ポリマー物性も良好であった。さらに、こ
れを実施例1と同様に溶融紡糸、延伸を行ったが、工程
に問題は認められず、成形加工性は良好であった。さら
に、濾圧上昇や口金汚れも比較例2に比べるとわずかな
ものであった。
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本発明により、従来のポリエステル重縮
合プロセスで問題となっていた、アンチモン触媒の問題
を解決し、しかも効率的な重縮合反応を達成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メソポーラスシリカの代表的な構造を示す図で
ある

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メソポーラス物質の存在下で重縮合反応さ
    せることを特徴とするポリエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】メソポーラス物質に触媒が担持されている
    ことを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】メソポーラス物質の骨格内に触媒能を有す
    る物質が組み込まれていることを特徴とする請求項1記
    載のポリエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】メソポーラス物質が膜化されていることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエス
    テルの製造方法。
  5. 【請求項5】ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘
    導体とジオールとのエステル化反応あるいはエステル交
    換反応、および重縮合反応によりポリエステルを製造す
    るに際して、エステル化工程および/または重縮合工程
    に用いる反応器の少なくとも一部がメソポーラス物質膜
    からなり、その膜の片側に、ジカルボン酸またはそのエ
    ステル形成性誘導体とジオールとの混合物および/また
    はジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオ
    ールとの反応物を接触させ、かつそのメソポーラス物質
    膜を通して反応副生物を膜の反対側に選択的に透過せし
    めることを特徴とするポリエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘
    導体とジオールとの混合物および/またはジカルボン酸
    またはそのエステル形成性誘導体とジオールとの反応物
    を管状メソポーラス物質膜に接触させ、かつそのメソポ
    ーラス物質膜を通して反応副生物が管状メソポーラス物
    質の外側から内側、または内側から外側に選択的に透過
    することを特徴とする請求項5記載のポリエステルの製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106378188A (zh) * 2016-08-25 2017-02-08 中国科学院广州能源研究所 一种聚合物/介孔硅复合材料负载Cu‑Fe‑Co基催化剂、其制备方法及其应用

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CN106378188A (zh) * 2016-08-25 2017-02-08 中国科学院广州能源研究所 一种聚合物/介孔硅复合材料负载Cu‑Fe‑Co基催化剂、其制备方法及其应用

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