JP2003081198A - クランプバンド拘束装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のクランプバンド拘束装置は、クランプ
バンド外面に連結されたコイルバネと爪で拘束していた
ので、クランプバンドが高速で運動する場合爪で跳ね返
され２度打ちが起き、連結部の損傷又は宇宙機への衝撃
発生が生じる不具合があった。本発明はこのような不具
合を解消できる装置の提供を課題とする。 【解決手段】 本発明のクランプバンド拘束装置は、分
離体を宇宙機に連結しているクランプバンドが、解放さ
れ連結部周辺への放出時運動エネルギーを発散させ運動
を停止させる拘束装置を連結部周辺機器と干渉を起こさ
ない位置に設けた。これにより、連結部の締結力が増大
し連結部周辺への放出時クランプバンドが高速運動して
も、連結部周辺機器と干渉しない所定位置に拘束でき、
２度打ちによる連結部の損傷、宇宙機への衝撃発生を防
止でき、信頼性が高められる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、飛行中に固縛、連
結している分離体を分離時までボルトで締め付け弾性力
で固縛しておくクランプバンドが、分離時のボルト切断
等の解放による弾性力で連結部（分離部）から外方へ離
脱したとき、連結部側方に拘束するために設けられてい
る拘束装置により跳ね返されて連結部、若しくは分離体
を連結している宇宙機機体に衝突し、これらの損傷又は
衝撃力を発生させるのを確実に防止するためのクランプ
バンド拘束装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】地上から打ち上げられ、宇宙空間でミッ
ションを達成する衛星等の宇宙機においては、ミッショ
ン達成に必要とするペイロードを宇宙空間に効率よく移
送するために、軽量化が大前提となる。このため、地上
から打ち上げられた宇宙機は、用済みになったロケット
エンジン、タンク等の機器又は連結部材等を次々と機外
へ投棄し、地表に落下させて飛行中の軽量化を図るよう
にしている。例えば、地上から打ち上げられ宇宙空間に
到達した衛星等の宇宙機は、用済みになった最終段のロ
ケットエンジン等を切離し、宇宙ゴミとならないように
地表に落下させ、又は落下時の空力加熱で燃焼させて、
最も軽量化された状態で宇宙空間を航行し、長期のミッ
ションに耐えられるようにしている。

【０００３】図６は、このように用済みになったとき、
宇宙機から切離し機外へ投棄できるようにしたロケット
エンジン等を、宇宙機に連結している連結部を示す図で
ある。切離し時までは、図に示すように、宇宙機１０側
の中心軸に近い所に同軸状に固定されたフランジ６と、
フランジ６と同径にされロケットエンジン側の中心軸に
近い部分に同軸状に固定されたフランジ７とは、端面を
対向して配置されて結合され、宇宙機１０とフランジ７
を固着したロケットエンジンとは一体となって飛行す
る。

【０００４】即ち、フランジ６とフランジ７との結合部
外周に突設された突起部に嵌合して、両フランジ６、７
を結合する嵌合部３１と、嵌合部３１をフランジ６とフ
ランジ７との結合部外周に略等ピッチに配置し、半割り
状の両端の結合部を連結しているボルト４を、約１トン
もの力で締め付けることにより生じる弾性歪みによっ
て、両フランジ６、７の外周面に沿って変形し、両フラ
ンジ６、７を結合する約５ｍｍ幅の板状のストラップ３
２とからなるクランプバンド３によって、宇宙機１０と
ロケットエンジンとは、それぞれ端部が連結され一体化
されるようにしている。

【０００５】そして、所定の高度まで宇宙機１０を移送
し、用済みになったロケットエンジンを宇宙機１０から
切り離す場合には、宇宙機１０若しくは地上の管制セン
タから伝達される切離信号により、導爆線５１を介して
火工品５が点火され、この火工品５の爆発力によりフラ
ンジ６とフランジ７との両端を結合しているボルト４が
切断されることによって、弾性歪みを起こし両フランジ
６、７の外周面に沿って巻回され、両フランジ６、７を
結合している半割り状のクランプバンド３が、締め付け
力の解除で弾性変形することにより、両フランジ６、７
の外周面から離脱してフランジ６とフランジ７との結合
力が解除され、ロケットエンジンを宇宙機１０から離脱
させることができる。

【０００６】また、ロケットエンジン側のフランジ７近
傍の外板内側には支台が内側に向けて突設されており、
この支台に一端が連結され他端がフランジ６の接合側の
面に当接するように機体軸方向に配設されて、フランジ
６とフランジ７とを離脱させる方向に付勢するスプリン
グ８が介装されており、フランジ６とフランジ７との結
合力が解除されたときには、このスプリング８が伸張し
て、フランジ６とフランジ７との離脱力を付勢して、結
合時の姿勢を保持したままの離脱がスムーズに行なわれ
るようにしている。

【０００７】さらに、ロケットエンジン側のフランジ７
近傍の外板外側にはキャッチャ１が突設されており、こ
のキャッチャ１の側部には、クランプバンド３のストラ
ップ３２外周面と係合して、ボルト４の結合力が解除さ
れたときクランプバンド３を径方向に付勢すると共に、
付勢されて外方へ飛びだそうとするクランプバンド３を
ロケットエンジン側に連結するコイルバネ２が設けら
れ、またキャッチャ１の先端には結合部の周方向に等ピ
ッチに爪９が配設され、キャッチャ１先端から機体軸方
向に延設されている。

【０００８】この爪９とコイルバネ２により、径方向に
付勢され飛び出してきたクランプバンド３を挟み込み把
持することにより、クランプバンド３の径方向外側又は
内側への飛び出し又は跳ね返りによる部材の損傷を防止
するとともに、径方向に付勢され外方へ飛び出すクラン
プバンド３を回収し、放出による宇宙ゴミの発生を防止
するようにしている。

【０００９】即ち、前述したように、フランジ６とフラ
ンジ７との結合は宇宙機１０側の中心軸に近い所で行な
うようにしており、しかも、衛星１０からは部材、例え
ば、発電パネル、アンテナ、観測器材等がクランプバン
ド３の飛び出して来る半径方向の外側に張り出して設け
られているために、これらのクランプバンド３の径方向
外側への飛び出し量を約５０ｍｍ以内に規制して、クラ
ンプバンド３との衝突によるこれらの部材の損傷を防止
し、さらには飛び出しを規制する爪９により径方向内側
へ跳ね返されて、両フランジ６、７の結合部を損傷さ
せ、又は宇宙機１０へ衝撃力を発生させるのを防止する
とともに、クランプバンド３の宇宙空間への放出による
宇宙空間の汚染を防止するようにしている。

【００１０】このように、従来から使用されているクラ
ンプバンド拘束装置では、クランプバンド３を締結して
いるボルト４を火工品５により切断することによる、締
付け時にクランプバンド３のストラップ３２に発生して
いる弾性歪みの解放により、クランプバンド３はフラン
ジ６、フランジ７に対し半径方向に離脱し、スプリング
８の付勢力によりフランジ６、フランジ７をスムーズに
分離させることができ、また、解放され半径方向に運動
するクランプバンド３は、キャッチャ１より機軸方向に
突出させた爪９により運動が拘束され、コイルバネ２の
弾性力によりクランプバンド３を爪９に押さえつけた状
態にし、クランプバンド３の半径方向外側及び内側への
運動を拘束して、宇宙機１０から突出して設けられてい
る部材の損傷を防止でき、宇宙ゴミの発生を防止できる
とともに、爪９により跳ね返されるクランプバンド３の
衝突による、フランジ６、フランジ７の損傷及び宇宙機
１０に与える衝撃を防止することはできる。

【００１１】しかしながら、近年、衛星等の大型化によ
って、連結部を大径化する必要が生じ、フランジ６、フ
ランジ７とを連結する半割り状のクランプバンド３を締
め付けるボルト４の締結力を増大させる必要が生じてき
ている。このボルト４の締結力を増大させようとする
と、締結時のクランプバンド３の弾性歪みが大きくな
り、火工品５作動後に解放される弾性力の増大によっ
て、クランプバンド３の半径方向の飛び出し速度が増大
し、爪９で跳ね返され再びフランジ６とフランジ７との
連結部に向うクランプバンド３の慣性力が、コイルバネ
２の弾性力を上回るようになり、爪９とコイルバネ２に
よるクランプバンド３の拘束ができなくなり、結果とし
てクランプバンド３がフランジ６、フランジ７に再度衝
突する、所謂、２度打ちするようになり、フランジ６、
フランジ７の損傷及び宇宙機１０に与える衝撃が大きく
なるという不具合があり、この解消が要求されている。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、近年の宇宙
機の大型化に伴い、分離時の連結を行なうボルトの締結
力を増大させたために生じる、分離時まで分離部を連結
しているクランプバンドの２度打ちにより、連結部を締
結しているフランジの損傷又は宇宙機に損傷又は衝撃を
与える不具合を解消するために、クランプバンドを締め
付けているボルトが火工品により切断されることによ
り、解放され半径方向外側に運動するクランプバンド
を、宇宙機より突出された部材と干渉しない程度に離れ
た位置で確実に拘束して、宇宙機より外側へ突出させて
いる部材の損傷を防止し、又はクランプバンドが宇宙ゴ
ミになるのを防止し、さらには、クランプバンドの跳ね
返りによる半径方向内側への運動を防止して、２度打ち
による連結部の損傷又は宇宙機に発生する衝撃を防止で
きるクランプバンド拘束装置を提供することを課題とす
る。

【００１３】

【課題を解決するための手段】このため、本発明のクラ
ンプバンド拘束装置は、次の手段とした。飛行中に分離
する分離体を固縛して宇宙機に連結しているクランプバ
ンドが、固縛状態から解放されて連結部周辺半径方向に
飛び出したとき、クランプバンドの保有する運動エネル
ギーを発散させ、運動を停止させる拘束装置を、連結部
周辺に対向させ連結部周辺機器と干渉を起こさない位置
に設けるものとした。

【００１４】また、本発明のクランプバンド拘束装置の
拘束装置は、連結部周辺に放出されるクランプバンドを
収容し、若しくは吸着して運動エネルギーを発散させ運
動を停止させて保持するケース若しくは電磁石からなる
ものとした。

【００１５】さらに、本発明のクランプバンド拘束装置
の保持装置は、連結部周辺に放出されるクランプバンド
との衝突時に生じる変形により運動エネルギーを吸収し
て、クランプバンドの運動エネルギーを発散させる緩衝
材からなるものとした。

【００１６】これにより、本発明のクランプバンド拘束
装置は、宇宙機若しくは分離体が大型化し連結部が大径
化して、連結部の締結力が増大するために、分離体の分
離時に締結力が解除され連結時の弾性歪の解放により、
その反力で連結部周辺に放出されるクランプバンドの慣
性力が大きくなり、クランプバンドが高速で連結部周辺
を半径方向外側又は内側に向けて運動するようなことが
あっても、連結部周辺機器と干渉を起こさない所定位置
で確実に拘束することができ、クランプバンドとの衝突
による連結部周辺機器の損傷又は宇宙ゴミの発生並びに
クランプバンドの２度打ちによる連結部の損傷又は宇宙
機への衝撃発生を防止することができ、分離体分離後の
宇宙機のミッション達成を信頼性の高いものにすること
ができる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明のクランプバンド拘
束装置の実施の一形態を図面にもとづき説明する。な
お、図において図６に示す部材と同一若しくは類似の部
材には同一符号を付して説明は省略する。図１は、本発
明のクランプバンド拘束装置の実施の第１形態を示す縦
断面図である。

【００１８】図に示すように、本実施の形態のクランプ
バンド拘束装置は、フランジ７近傍の外板外側から外方
に突設されたキャッチャ１の先端から機体軸方向に延設
されている爪９の内周面には、フランジ６とフランジ７
との連結部に向けて開口させた開口部１２ａを有するケ
ース１２が、その背面をボルト等により固着されて取り
付けられている。

【００１９】また、クランプバンド３を構成するストラ
ップ３２の外側面には、その先端１１ａが開口部１２ａ
と対応するように配置され、基端部がストラップ３２外
側面に固着され、フック１１が設置されている。このフ
ック１１とケース１２によりクランプバンド３を拘束す
る拘束装置が構成され、図６において説明したように、
火工品５の作動後に生じるクランプバンド３の半径方向
外側への運動により、ケース１２とフック１１とをラッ
チさせ、クランプバンド３を拘束するようにしたもので
ある。

【００２０】本実施の形態のクランプバンド拘束装置
は、上述の構成にされフック１１の先端１１ａが尖って
いる形状を有し、開口部１２ａと対向して配置されてい
ることにより、火工品５の作動後に生じるクランプバン
ド３の半径方向外側への運動に伴い、ケース１２の開口
部１２ａを押し広げつつケース１２内に進入し、その
後、爪９との衝突によりクランプバンド３の運動が反転
した場合は、フック１１の後端に形成された係合部１１
ｂが開口部１２ａを形成しているケース１２前面と掛か
り合い、フック１１をケース１２内に保持して、拘束
し、それ以上クランプバンド３が半径方向内側に運動し
てフランジ６，７に２度打ちすることを防止することが
できる。

【００２１】即ち、本実施の形態のクランプバンド３拘
束装置によれば、クランプバンド３を締め付けているボ
ルト４が火工品５により切断され解放されて、連結部の
半径方向外側に向けて飛び出して行くクランプバンド３
を、フランジ６が連結されている宇宙機１０より突出さ
せて設けている部材と干渉しない程度に離れた位置で、
爪９に固着されたケース内にフック１１を拘束すること
により、宇宙機１０より外側に突出させている部材と衝
突し損傷させるのを防止し、又はクランプバンド３が宇
宙空間に放出され宇宙ゴミになるのを防止できると共
に、爪９との衝突によるクランプバンド３の半径方向内
側への運動を阻止することにより、クランプバンド３の
２度打ちによる連結部の損傷、宇宙機１０の損傷及び宇
宙機１０への衝撃力の発生を防止することができる。

【００２２】次に、図２は本発明のクランプバンド拘束
装置の実施の第２形態を示す縦断面図である。

【００２３】図に示すように、本実施の形態のクランプ
バンド拘束装置は、フランジ７近傍の外板外側から外方
に突設されたキャッチャ１の先端から機体軸方向に延設
されている爪９の内周面には、フランジ６とフランジ７
との連結部に対向する側を全面開口させたケース１３
が、その背面側をボルト等により爪９に固着されて取り
付けられている。また、フランジ６とフランジ７とを連
結状態にしているクランプバンド３の後端側側面には、
ラッチ１４とスプリング１５とからなり、ケース１３の
開口を閉鎖する閉鎖手段が設けられている。

【００２４】即ち、連結状態にしているクランプバンド
３のストラップ３２の側面に先端面を当接させてラッチ
１４を機体軸方向に配置し、ラッチ１４の後方にラッチ
１４を機体軸方向に押し出すスプリング１５を配置した
状態で閉鎖手段をセットしておき、火工品５の作動後に
生じるクランプバンド３の半径方向外側への運動時に
は、ラッチ１４が単に接触しているだけのクランプバン
ド３はラッチ１４先端面を通過し、クランプバンド３の
ラッチ１４先端面を通過と同時にスプリング１５伸張に
よりラッチ１４が機体軸前方へ押し出され、ケース１３
に収容されたときには、スプリング１５の伸張で機体軸
方向に押し出されたラッチ１４がケース１３の蓋として
開口を閉鎖することにより、クランプバンド３をケース
１３内に収容して拘束し、２度打ちを防止することがで
きる。

【００２５】即ち、本実施の形態のクランプバンド拘束
装置は、上述の構成にされ、火工品５作動前の状態にお
いてラッチ１４はスプリング１５の弾性力を受けるもの
のクランプバンド３によって、機体軸方向の移動は拘束
されているが、火工品５作動後においてクランプバンド
３が半径方向に移動すると、ラッチ１４の機体軸方向の
移動拘束が解けてスプリング１５の弾性力によりラッチ
１４機体軸方向に突出し、クランプバンド３がケース１
３とラッチ１４により形成される閉空間に拘束されフラ
ンジ６、７への２度打ちを防止することができる。

【００２６】本実施の形態のクランプバンド拘束装置も
実施の第１形態のクランプバンド拘束装置と同様にクラ
ンプバンド３を締め付けているボルト４が火工品５によ
り切断され解放されて、連結部の半径方向外側に向けて
飛び出して行くクランプバンド３を、宇宙機より突出さ
せて設けている部材と干渉しない程度に離れた位置で、
ケース１３内に拘束することにより、宇宙機１０より突
出させている部材と衝突し損傷させるのを防止し、又は
宇宙ゴミになるのを防止できると共に、半径方向内側へ
の運動を阻止でき、クランプバンド３の２度打ちによる
連結部の損傷、宇宙機１０の損傷及び宇宙機１０への衝
撃力の発生を防止することができる。

【００２７】次に、図３は本発明のクランプバンド拘束
装置の実施の第３形態を示す縦断面図である。図に示す
ように、本実施の形態のクランプバンド拘束装置は、フ
ランジ７近傍の外板外側から外方に突設されたキャッチ
ャ１の先端部に一端部が連結されて機体軸方向に延設さ
れ、フランジ６とフランジ７との連結しているクランプ
バンド３全体を包囲すると共に、クランプバンド３の装
着位置に対向する部分に傾斜面１６ａを設けたケース１
６からなる拘束装置を設けている。

【００２８】このような構成にすることにより、火工品
５の作動により半径方向外側に向けて運動するクランプ
バンド３はケース１６の傾斜面１６ａに衝突した後機軸
方向後側に運動の方向が変換されてケース１６内に収容
されるので、前述した実施の形態のクランプバンド拘束
装置と同様に、従来装置で生じていたフランジ６、７へ
の２度打ち等の不具合を防止することができる。なお、
機軸方向後方へ運動方向が変換されたクランプバンド３
は、キャッチャ１の側面に衝突するが、この時の衝撃力
は宇宙機１０には伝達されず、しかも、ロケットエンジ
ンを分離する方向に均等に作用するので分離速度を高め
る効果もある。

【００２９】次に、図４は本発明のクランプバンド拘束
装置の実施の第４形態を示す縦断面図である。図に示す
ように、本実施の形態のクランプバンド拘束装置は、フ
ランジ７近傍の外板外側から外方に突設されたキャッチ
ャ１の先端から連結部外側に向けて機体軸方向に延設し
た爪９の内周側に緩衝材１７を設けたものからなる拘束
装置を設けている。

【００３０】このような構成にすることにより、火工品
５の作動により半径方向外側に向けて運動するクランプ
バンド３は、緩衝材１７に衝突しこれを変形させる際
に、クランプバンド３の運動エネルギーは緩衝材１７の
熱エネルギーに変換され、結果としてクランプバンド３
の運動を止めてフランジ６、７への２度打ち等を防止
し、従来のクランプバンド拘束装置で生じることのあっ
た不具合を解消することができる。

【００３１】次に、図５は本発明のクランプバンド拘束
装置の実施の第５形態を示す縦断面図である。図に示す
ように、本実施の形態のクランプバンド拘束装置は、フ
ランジ７近傍の外板外側から外方に突設されたキャッチ
ャ１の先端から連結部外側に向けて機体軸方向に延設し
た爪９の内周側に電磁石１９を設けたものからなる拘束
装置を設けている。

【００３２】このような構成にすることにより、火工品
５の作動と同時に電磁石１９を作動させることにより半
径方向外側に向けて運動するクランプバンド３は、電磁
石１９に吸着されクランプバンド３の運動を止めて、フ
ランジ６、７への２度打ち等を防止し、従来のクランプ
バンド拘束装置で生じることのあった不具合を解消する
ことができる。

【００３３】以上、本発明のクランプバンド拘束装置の
５つの実施の形態を説明したが、何れの実施の形態のク
ランプバンド拘束装置も、従来のクランプバンド３を用
いる宇宙機１０の結合・分離機構に対して付加的な機構
であるので、クランプバンド３の装着及び、火工品５作
動直後におけるクランプバンド３のフランジ６、７から
の離脱挙動に影響を与えることなく、しかも、大型化の
ために連結部が大径化し、ボルト４の締結力が増大して
も、火工品５作動後に解放されるクランプバンド３の弾
性力が増大して、解放時のクランプバンド３の半径方向
速度が増大しても、連結部周辺の機器を損傷させること
なく確実に拘束することができ、クランプバンド３の２
度打ち等に伴う不具合を解消することができ、分離後の
宇宙機１０のミッションを確実なものにすることがで
き、信頼性を向上させることができる。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のクランプ
バンド拘束装置は、飛行中に分離する分離体を固縛して
宇宙機に連結しているクランプバンドが、固縛状態から
解放され連結部周辺に放出されたとき、保有運動エネル
ギーを発散させ、運動を停止させる拘束装置を対向させ
て連結部周辺機器と干渉を起こさない位置に設けた。

【００３５】また、拘束装置は、連結部周辺に放出され
るクランプバンドを収容し、または吸着して運動エネル
ギーを発散させ運動を停止させ、保持するケース若しく
は電磁石とした。

【００３６】さらに、拘束装置は、連結部周辺に放出さ
れるクランプバンドとの衝突時の運動エネルギーを吸収
し、クランプバンドの運動エネルギーを発散させる緩衝
材とした。

【００３７】これにより、本発明のクランプバンド拘束
装置は、連結部の締結力が増大し連結部周辺に放出され
るクランプバンドが高速で運動しても、クランプバンド
を連結部周辺機器と干渉を起こさない所定位置に拘束で
き、クランプバンドとの衝突による連結部周辺機器の損
傷、又は宇宙ゴミの発生、並びにクランプバンドの２度
打ちによる連結部の損傷、又は宇宙機への衝撃発生を防
止することができ、信頼性の高いものにできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のクランプバンド拘束装置の実施の第１
形態を示す縦断面図、

【図２】本発明のクランプバンド拘束装置の実施の第２
形態を示す縦断面図、

【図３】本発明のクランプバンド拘束装置の実施の第３
形態を示す縦断面図、

【図４】本発明のクランプバンド拘束装置の実施の第４
形態を示す縦断面図、

【図５】本発明のクランプバンド拘束装置の実施の第５
形態を示す縦断面図、

【図６】従来のクランプバンド拘束装置を示す図で、図
６（ａ）は分離体連結部の横断面図、図６（ｂ）は図６
（ａ）の矢視Ａ−Ａにおける縦断面図である。

【符号の説明】

１ キャッチャ ２ コイルバネ ３ クランプバンド ３１ 嵌合部 ３２ ストラップ ４ ボルト ５ 火工品 ５１ 導爆線 ６ フランジ ７ フランジ ８ スプリング ９ 爪 １０ 宇宙機 １１ フック １１ａ 先端部 １１ｂ 係合部 １２ ケース １２ａ 開口部 １３ ケース １４ ラッチ １５ スプリング １６ ケース １６ａ 傾斜面 １７ 緩衝材 １９ 電磁石

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 飛行中に分離させる分離体を宇宙機に固
   縛、連結しているクランプバンドが、固縛状態から解放
   され連結部周辺に放出されたとき、連結部周辺に配置さ
   れた周辺機器若しくは前記宇宙機に衝突して損傷、若し
   くは衝撃力の発生を防止するためのクランプバンド拘束
   装置において、連結部周辺に放出され運動する前記クラ
   ンプバンドの運動エネルギーを発散させる拘束装置を、
   連結部に対向させ前記周辺機器若しくは前記宇宙機と干
   渉を起こさない位置に設けたことを特徴とするクランプ
   バンド拘束装置。
2. 【請求項２】 前記拘束装置が、連結部周辺に放出され
   る前記クランプバンドを収納し、若しくは吸着して、運
   動エネルギーを発散させ保持するケース若しくは電磁石
   であることを特徴とする請求項１のクランプバンド拘束
   装置。
3. 【請求項３】 前記拘束装置が、連結部周辺に放出され
   る前記クランプバンドとの衝突時の運動エネルギーを変
   形により吸収して、運動エネルギーを発散させる緩衝材
   であることを特徴とする請求項１のクランプバンド拘束
   装置。