JP2003071287A - 触媒膜およびその製造方法並びに触媒膜を用いた一酸化炭素の選択的除去方法 - Google Patents

触媒膜およびその製造方法並びに触媒膜を用いた一酸化炭素の選択的除去方法

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JP2003071287A
JP2003071287A JP2001265311A JP2001265311A JP2003071287A JP 2003071287 A JP2003071287 A JP 2003071287A JP 2001265311 A JP2001265311 A JP 2001265311A JP 2001265311 A JP2001265311 A JP 2001265311A JP 2003071287 A JP2003071287 A JP 2003071287A
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alumina
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silica
gas
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Katsumi Kusakabe
克己 草壁
Yasuhisa Hasegawa
泰久 長谷川
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Kyushu TLO Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルコール、低級炭化水素の燃料を水蒸気改
質反応により改質して生成される水素リッチガス中に含
まれる一酸化炭素を、膜分離作用と触媒反応作用を組み
合わせることで、高濃度の一酸化炭素を極めて効率よく
分離・除去することができるとともに、自動車等の狭い
空間にも配設し搭載することの可能な触媒膜を提供する
こと、および簡易な工程により容易に、しかも低コスト
で製造することのできる触媒膜の製造方法を提供するこ
と、並びに改質反応後のCO除去に必要なシフト反応、
酸化反応の2段階からなる複雑なプロセスを、一段構成
の簡単なプロセスにすることにより、エネルギーのロス
を回避できる一酸化炭素の選択的除去方法を提供する。 【解決手段】 多孔質基材2と、該多孔質基材2に形成
した、Pt、Ru、Pd、Ni、Co、Cu、Rh、A
gから選択される1種又は2種以上の金属を担持した多
孔質セラミック膜3と、該多孔質セラミック膜3に形成
した微細孔を有する分離層4と、を有する触媒膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルコール、低級
炭化水素の燃料を水蒸気改質反応により改質して生成さ
れる水素リッチガス中に含まれる一酸化炭素を分離・酸
化除去するための触媒膜およびその製造方法並びに触媒
膜を用いた一酸化炭素の選択的除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、電解質層を挟んで一対の電
極が配置され、一方の電極(アノード)側に水素を含有
する燃料ガスを供給するとともに、他方の電極(カソー
ド)側に酸素を含有する酸化ガスを供給することによ
り、両極間で起きる電気化学反応を利用して起電力を得
るものであり、使用する電解質の種類により分類され
る。近年、燃料電池の中でも特に、電気自動車の駆動源
あるいは民生用発電システムとして、固体高分子型燃料
電池が期待されている。以下、燃料電池で起きる電気化
学反応を示す。 H→2H+2e・・・・(1) 1/2O+2H+2e→HO・・・・(2) H+1/2O→HO・・・・(3) (1)式は燃料電池のアノードにおける反応を示し、
(2)式は燃料電池のカソードにおける反応を示し、
(3)式は電池全体で行われる反応を示す。
【0003】固体高分子型燃料電池の燃料としては、一
般に空気を酸化ガスとして、水素を燃料ガスとして用い
ており、この水素を製造するために、メタノールやメタ
ン等の炭化水素系の燃料を水蒸気改質して生成した改質
ガスを使用している。燃料ガスとして改質ガスを用いる
場合には、触媒機能を低下させる量の一酸化炭素が混在
してしまう。すなわち、燃料ガスが得られる炭化水素系
の燃料、例えばメタノールの水蒸気改質反応は、(4)
式の反応が起こって二酸化炭素を含有する水素ガスが生
成される。 CH3OH+H2O→CO2+3H2 ・・・・(4) CO2+H2→CO+H2O ・・・・(5) 上記の反応が完全に行われるならば一酸化炭素が生じる
ことはないが、実際の反応においては、(5)式の水性
ガス化反応の逆反応が起こるため、燃料ガス中には副生
成物として一酸化炭素が微量に含まれる。例えば、メタ
ンを原料とした場合には約10%のCOを副生する。こ
のため、陰極側で進行する水素の分解反応が阻害されて
燃料電池の性能が低下してしまうおそれがある。すなわ
ち、混在する一酸化炭素が燃料電池に備えられた白金触
媒に吸着して触媒としての機能を低下させることにな
る。固体高分子型燃料電池においては、低温で作動する
ため、燃料ガス中に一酸化炭素が数十ppm程度でも含
まれていると、電極触媒が一酸化炭素によって被毒さ
れ、著しく電池特性が低下する。従って、供給される燃
料ガスである改質ガス中の一酸化炭素濃度を数十ppm
以下に低減する必要がある。
【0004】従来より、一酸化炭素の酸化触媒として
は、Pt/アルミナ、Pt/SiO2、Pt/C、ポプ
カライト、Pd/アルミナ等の触媒系が一般的である
が、その他種々の触媒が開発されている。例えば、米国
特許第5248566号公報には、「水性ガスシフト反
応器の出口ガスに、出口ガス中の一酸化炭素と等モル量
程度の酸素を含む空気を添加したガスをロジウムおよび
ルテニウム担持アルミナ触媒と接触させ、ガス中の水素
を酸化させることなく、一酸化炭素を選択的に酸化する
選択酸化法」が開示されている。また、特公昭39−2
1742号公報には、「水素ガス中の一酸化炭素選択酸
化触媒としては、アンモニア合成に用いられる水素を精
製する用途に、白金、ロジウム、ルテニウム等の貴金属
をアルミナ、シリカ等の金属酸化物に担持した触媒」が
開示されている。また、特開平8−295503号公報
には、「水素を主成分としかつCO2、CO及びO2を含
有する水素ガスを触媒と接触させてCOを選択的に転化
除去する方法において、前記触媒として、酸化チタンに
ルテニウムを担持した触媒を用いる水素ガス中のCOの
除去方法」が開示されている。更に、特開昭53−53
596号公報には、「アンモニア合成用等の改質ガス中
のCOの選択酸化を白金等の貴金属触媒を用いて行い、
導入ガス中の水蒸気含量を調製することにより、触媒性
能の劣化を防止する方法」が開示されている。
【0005】しかしながら、上記従来の触媒およびその
製造方法は、以下のような課題を有する。耐湿度耐性が
十分でなく、反応温度域が低く、また一酸化炭素の酸化
に対する選択性が低いため、改質ガスのような水素が多
量に存在している中の少量の一酸化炭素を1000pp
m以下、好ましくは100ppm以下、更に好ましくは
10ppm以下という低濃度まで低減するためには、同
時に大量の水素も酸化により犠牲にしなければならない
という問題点を有する。すなわち、低濃度では効果的で
あるが、高濃度では水素の酸化によるロスを生じてしま
う。また、水性ガス化反応(シフト反応:CO+H
→CO+H)を組み合わせてCOを低濃度化するこ
とが必要であり、プロセスが複雑になるという問題点を
有する。また、触媒層の温度を低くしなければならず、
このような低い温度を維持するためには大きな冷却装置
を設置する必要があるため、自動車等の狭い空間に搭載
することが困難となり、コンパクト性、コスト等の点で
欠けるという問題点を有する。また、自動車搭載燃料電
池においては、限られた車上空間に搭載するには、でき
る限り小型化し、高い一酸化炭素除去率を示す触媒が必
要となるが、高い一酸化炭素除去率を要求すると触媒が
大きくなり過ぎ、一方、触媒を小さくすると一酸化炭素
除去率が不充分であった。更に、改質ガスに含まれる水
や微量残存する原料および酸素のみを含む模擬ガスに対
しては高い活性を示すが、実際の改質ガスに対しては触
媒活性および選択性において不充分であるという問題点
を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、アル
コール、低級炭化水素の燃料を水蒸気改質反応により改
質して生成される水素リッチガス中に含まれる一酸化炭
素を、膜分離作用と触媒反応作用を組み合わせること
で、高濃度の一酸化炭素を極めて効率よく分離・除去す
ることができるとともに、自動車等の狭い空間にも配設
し搭載することの可能な触媒膜を提供すること、および
簡易な工程により、容易にしかも低コストで触媒膜を製
造することのできる触媒膜の製造方法を提供すること、
並びに改質反応後のCO除去に必要なシフト反応、酸化
反応の2段階からなる複雑なプロセスを、一段構成の簡
単なプロセスにすることにより、エネルギーのロスを回
避し一酸化炭素の効率的な分離・酸化除去を行うことが
可能な一酸化炭素の選択的除去方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、多孔質基材に金属触
媒を担持した多孔質セラミック膜を形成し、更にこの膜
に分離層を形成することにより、膜分離作用と触媒反応
作用が働くことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、以下の[1]〜[1
5]に記載した事項により特定される。 [1]多孔質基材と、該多孔質基材に形成した、Pt、
Ru、Pd、Ni、Co、Cu、Rh、Agから選択さ
れる1種又は2種以上の金属を担持した多孔質セラミッ
ク膜と、該多孔質セラミック膜に形成した微細孔を有す
る分離層と、を有することを特徴とする触媒膜。
【0009】これにより、アルコール、低級炭化水素の
水蒸気改質反応で生成する改質水素中に含有される一酸
化炭素の分離・酸化除去を効率的に行うことができる。
本発明に係る触媒膜は、酸化触媒体としての機能と選択
的ガス透過膜(ガス分離膜)としての機能を併せ持つた
め、膜分離作用と触媒反応作用を働かせることができ、
具体的には、5%COを1段階で濃度約50ppmま
で、10%COを一段階で約10ppm以下まで低減す
ることが可能となる。また、触媒膜の分離層は高いH
/CO分離係数を持つ。すなわち、水素が選択的に透過
することにより、CO濃度が低減する。次に、金属を担
持した触媒層をH、CO、Oの気体混合物が透過す
る間に、COは選択的に酸化され、透過(排出)側のC
O濃度を減らすことができる。また、比較的高いガス透
過流量を維持しつつ、実用的で効率的なCOの酸化・分
離除去を行うことができるとともに、膜の供給側から透
過側にCOが透過するのをさらに効果的に防止すること
ができる。
【0010】更に、改質ガス等の水素リッチな処理対象
ガス中に含まれる千ppm〜数%の一酸化炭素を、水素
を必要以上にロスすることなく、また水蒸気、二酸化炭
素、メタンが共存している状態でも効果的に低減、除去
することができる。すなわち、COの触媒酸化の反応速
度は、CO濃度が数%では速度が低く、さらにCO濃度
を小さくすると反応速度は増加して極大値を示す。した
がって、反応速度を最大とするCO濃度が存在してい
る。本発明ではCO濃度が数%の改質ガスがシリカ層を
透過するだけで、1000ppm以下まで濃度が減少す
るので、触媒層では至適なCO濃度で反応を開始するこ
とができるために、触媒層における反応活性を上げるこ
とができる。そのために反応時間が短縮し、全体として
コンパクトな装置とすることができる。
【0011】[2]多孔質基材がα−アルミナ、シリ
カ、チタニア、ジルコニア、シリカアルミナ、窒化珪
素、炭化珪素、ステンレススチールから選択される少な
くとも1種であることを特徴とする[1]に記載の触媒
膜。
【0012】これにより、多孔質基材は大きな細孔を有
するため、気体透過による抵抗が小さいという効果が得
られ、また、強度安定性に優れるため触媒層をしっかり
支持することができる。また、種々の形態・サイズのガ
ス酸化反応装置(例えば、一酸化炭素除去装置等のCO
分離・除去装置)に適用することができる。
【0013】[3]多孔質セラミック膜がγ−アルミ
ナ、α−アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、シ
リカアルミナ、リン含有アルミナから選択される少なく
とも1種であることを特徴とする[1]又は[2]に記
載の触媒膜。
【0014】これにより、多孔質セラミック膜が大きな
比表面積を有するため、金属の担持が容易であり、金属
を高分散することができる。また、膜表面が平滑で、し
かも細孔径が5〜10nm程度であるため、その面にシ
リカ層を容易に形成することができる。更に、酸化反応
部分が膜であるため、酸化触媒である金属の使用量を従
来の酸化触媒(白金等)を所定容器に充填した形態のリ
アクター(ベットリアクター)に比較して大幅に低減す
ることができる。このため、製造コストの低減を図るこ
とが可能であり経済性に優れる触媒膜を得ることが可能
となる。
【0015】[4]分離層が水素選択透過性を有するこ
とを特徴とする[1]乃至[3]の内いずれか1項に記
載の触媒膜。
【0016】これにより、分離層が水素選択透過性を有
するため、膜透過という簡単な操作でCO濃度を低減で
きる。
【0017】[5]分離層がシリカ、シリカアルミナ、
シリカジルコニア、シリカチタニアから選択される少な
くとも1種であることを特徴とする[1]乃至[4]の
内いずれか1項に記載の触媒膜。
【0018】これにより、従来、水素選択性分離膜とし
てパラジウム系金属膜が使用されてきたため、改質気体
中のCO除去の際、COにより水素透過速度が低下した
り、安定性等に問題があったが、これらの分離層を使用
することで、これらの問題を克服することができる。
【0019】[6]金属の担持量が1.5〜3.5wt
%であることを特徴とする[1]乃至[5]の内いずれ
か1項に記載の触媒膜。
【0020】これにより、多孔質セラミック膜に担持し
た金属の担持量が最適量であるので、各種金属が担持さ
れた多孔質セラミック膜は、CO酸化による高い活性を
有する。また、酸化反応部分が多孔質セラミック膜であ
るため、酸化触媒である金属の使用量を従来の酸化触媒
(白金等)を所定容器に充填した形態のリアクター(ベ
ットリアクター)に比較して大幅に低減することができ
る。このため、製造コストの低減を図ることが可能であ
り経済性に優れる触媒膜を得ることが可能となる。
【0021】[7]多孔質基材の表面に多孔質セラミッ
ク膜を形成する工程と、該形成した多孔質セラミック膜
にPt、Ru、Pd、Ni、Co、Cu、Rh、Agか
ら選択される1種又は2種以上の金属を担持する工程
と、該金属を担持した多孔質セラミック膜に微細孔を有
する分離層を形成する工程と、を有することを特徴とす
る触媒膜の製造方法。
【0022】これにより、極めて簡易な工程により、し
かも低コストでCOの分離・除去に優れる触媒膜を容易
に製造することができ、経済性に優れる。
【0023】[8]多孔質セラミック膜を形成する工
程、及び/又は分離層を形成する工程がゾルゲル法によ
り行われることを特徴とする[7]に記載の触媒膜の製
造方法。
【0024】これにより、ゾルゲル法を用いることによ
り大面積の膜製造が容易に行うことができ、また、均質
なセラミックス形成ができるので、欠陥の少ないセラミ
ック膜を作製することができる。
【0025】[9]多孔質基材がα−アルミナ、シリ
カ、チタニア、ジルコニア、シリカアルミナ、窒化珪
素、炭化珪素、ステンレススチールから選択される少な
くとも1種であることを特徴とする[7]又は[8]に
記載の触媒膜の製造方法。
【0026】これにより、多孔質基材は大きな細孔を有
するため、気体透過による抵抗が小さいという効果が得
られ、また、強度安定性に優れるため触媒層をしっかり
支持することができる。また、種々の形態・サイズのガ
ス酸化反応装置(例えば、一酸化炭素除去装置等のCO
分離・除去装置)に適用することができる。
【0027】[10]多孔質セラミック膜がγ−アルミ
ナ、α−アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、シ
リカアルミナ、リン含有アルミナから選択される少なく
とも1種であることを特徴とする[7]乃至[9]の内
いずれか1項に記載の触媒膜の製造方法。
【0028】これにより、多孔質セラミック膜が大きな
比表面積を有するため、金属の担持が容易であり、金属
を高分散することができる。また、膜表面が平滑で、し
かも細孔径が10nm程度であるため、シリカ層を容易
に形成することができる。更に、酸化反応部分が膜であ
るため、酸化触媒である金属の使用量を従来の酸化触媒
(白金等)を所定容器に充填した形態のリアクター(ベ
ットリアクター)に比較して大幅に低減することができ
る。このため、製造コストの低減を図ることが可能であ
り経済性に優れる触媒膜を得ることが可能となる。
【0029】[11]分離層が水素選択透過性を有する
ことを特徴とする[7]乃至[10]の内いずれか1項
に記載の触媒膜の製造方法。
【0030】これにより、分離層が水素選択透過性を有
するため、膜透過という簡単な操作でCO濃度を低減で
きる。
【0031】[12]分離層がシリカ、シリカアルミ
ナ、シリカジルコニア、シリカチタニアから選択される
少なくとも1種であることを特徴とする[7]乃至[1
1]の内いずれか1項に記載の触媒膜の製造方法。
【0032】これにより、従来、水素選択性分離膜とし
てパラジウム系金属膜が使用されてきたため、改質気体
中のCO除去の際、COにより水素透過速度が低下した
り安定性等に問題があったが、多孔質セラミックス膜を
使用することで、これらの問題を克服することができ
る。
【0033】[13]金属の担持量が1.5〜3.5w
t%であることを特徴とする[7]乃至[12]の内い
ずれか1項に記載の触媒膜の製造方法。
【0034】これにより、多孔質セラミック膜に担持し
た金属の担持量が最適量であるので、各種金属が担持さ
れた多孔質セラミック膜は、CO酸化による高い活性を
有する。また、酸化反応部分が多孔質セラミック膜であ
るため、酸化触媒である金属の使用量を従来の酸化触媒
(白金等)を所定容器に充填した形態のリアクター(ベ
ットリアクター)に比較して大幅に低減することができ
る。このため、製造コストの低減を図ることが可能であ
り経済性に優れる触媒膜を得ることが可能となる。
【0035】[14]水素を主成分とし、一酸化炭素を
含有するガスに酸素を混合した混合ガスを、[1]乃至
[6]の内いずれか1に記載の触媒膜に接触させる工程
と、接触させた混合ガスを該分離層に透過させ水素を選
択的に透過させる工程と、透過させた混合ガスを、該金
属を担持した多孔質セラミック膜で一酸化炭素を選択的
に酸化させる工程と、を有することを特徴とする一酸化
炭素の選択的除去方法。
【0036】これにより、シフト反応、酸化反応の2段
階からなる複雑なプロセスを、一段構成の簡単なプロセ
スにすることにより、エネルギーのロスを回避し一酸化
炭素の効率的な分離・酸化除去を行うことが可能とな
る。すなわち、従来、水蒸気改質反応により発生した一
酸化炭素を二酸化炭素に変えるシフト反応を行うこと
で、CO濃度を約5000ppmまで低減し、さらに残
留したCOを酸化させて約10ppm以下まで濃度を下
げる必要があり、このため改質反応、シフト反応、酸化
反応の3段階からなるプロセスとなっていたが、これを
本発明に係る触媒膜を用いることで、膜分離作用と触媒
反応作用を組み合わせ、5%COを1段階で濃度約50
ppmまでに、10%COを1段階で濃度約10ppm
以下まで低減することが可能となる。
【0037】[15]該接触工程において、混合ガスを
該触媒膜に温度150〜250℃で接触させることを特
徴とする[14]に記載の一酸化炭素の選択的除去方
法。
【0038】これにより、水素の選択透過性と触媒反応
性が増大するため、CO濃度を大幅に減少させることが
できる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る多孔質基材としては、膜の気体の透過特性
を阻害しないために、その表面に形成されるγ−アルミ
ナ層等の多孔質セラミック膜の微細孔よりも大きな細孔
を有するものが好ましい。具体的な多孔質基材として
は、α−アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、シ
リカアルミナ、窒化珪素、炭化珪素、ステンレススチー
ル等から選択される少なくとも1種が挙げられる。例え
ば、サブミクロン(例えば、0.1〜1.0μm)乃至
数μm程度の孔径を有するセラミック系基材(例えば、
α−アルミナ層等)が好適に用いられる。本発明に係る
多孔質基材の形状としては、管状、板状、モノリス状等
の各種形状を有する基材が用いられるが、これらに限定
されるものではない。
【0040】本発明に係る多孔質セラミック膜として
は、γ−アルミナ、α−アルミナ、シリカ、チタニア、
ジルコニア、シリカアルミナ、シリカジルコニア、リン
含有アルミナ、コージェライト、チタン酸アルミニウ
ム、ムライト、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ・ジルコ
ニア等から選択される1種又は2種以上が用いられる
が、これらに限定されるものではない。特に、γ−アル
ミナ膜は、比表面積が大きく、強度が高く、しかも容易
に製造されるので好適である。γ−アルミナ膜として
は、他の結晶形と混在し完全にγ−アルミナの結晶のみ
からできていなくてもよい。本発明に係る多孔質セラミ
ック膜は、比較的耐熱性に優れ、ガス分離能及び触媒能
が所定の温度域、150℃〜300℃、好ましくは20
0℃〜300℃で安定維持されるものが好適である。
【0041】燃料電池用改質ガスから一酸化炭素を酸化
除去する用途に用いる場合、金属触媒を担持する多孔質
セラミック膜としては、微細孔の平均孔径は、2〜50
nm、好ましくは5〜10nmである。ここで、平均孔
径が5nmより小さくなるにつれ、均一な触媒担持が困
難となるという傾向がみられ、10nmより大きくなる
につれ、金属微粒子の合一により触媒比表面積の低下と
いう傾向がみられる。特に、平均孔径が2nmより小さ
いか、50nmより大きいと、これらの傾向が著しくな
る。本発明に係る多孔質セラミック膜および分離膜を形
成する方法としては、気相法及び液相法のいずれでも行
うことができ、気相法としては、例えば真空蒸着法、ス
パッタリング、CVD法等が挙げられ、液相法として
は、例えば液相析出法、ゾルゲル法等が挙げられる。特
に、経済性に優れ大面積の製膜が可能なゾルゲル法が好
適に用いられる。
【0042】本発明に係る多孔質セラミック膜は、ガス
分離膜の製造分野において採用されている種々の方法に
よって製造することが可能である。例えば、γ−アルミ
ナ層をα−アルミナ層等の多孔質基材上に形成する場合
には、粉末にしたアルミニウムイソプロポキシドを80
℃の水に溶かして0.1〜0.6mol/lとし24時
間攪拌し、さらに90℃で1時間攪拌する。解膠のため
に、これにAl/H+比で10となるように硝酸を加
え、90℃で24時間攪拌して、ベーマイトゾルを作製
する。ベーマイトゾルにα−アルミナ層等の多孔質基材
を入れ、数分間浸漬した後、空気中で乾燥する。これを
空気気流中50℃/hの速度で昇温し、750℃で1時
間加熱処理する。これにより、多孔質基材表面にγ-ア
ルミナ膜が形成される。各原料としては、アルミナ源と
しては、アルミニウムブトキシド、オキシ塩化アルミニ
ウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アル
ミニウム等が用いられる。この方法によると、ピンホー
ルや結晶間隙が形成され難く、欠陥のないγ−アルミナ
層を多孔質基材に連続して形成することができる。
【0043】次いで、得られたγ−アルミナ層に酸化触
媒能を有する金属を担持する。金属触媒を担持する方法
としては、特に制限されることなく、任意の方法が用い
られるが、例えば、蒸発乾固法、沈殿法、ゲル化法等が
用いられる。例えば、20〜70mmol/lに調製し
た金属の硝酸水溶液あるいは塩化物水溶液中に、γ−ア
ルミナ層を被覆した多孔質基材を浸漬し、これを室温で
乾燥させた後、300℃で1時間焼成する。本発明に係
る金属触媒は、Pt、Ru、Pd、Ni、Co、Cu、
Rh、Agから選択される1種又は2種以上が用いられ
る。特に、触媒膜による一酸化炭素の選択的酸化にはP
t、Ru、Rhが好適である。また、RuとCoの2種
類を含有させた触媒は、CoがRuの活性を向上させる
作用を有するため好ましい。これらの金属触媒は、それ
ぞれの金属を含む化合物、例えば、酸化物、水酸化物、
硝酸塩、硫酸塩、塩化物、アンモニウム塩等の形で使用
することもできる。本発明に係る金属触媒の担持量は、
1.5〜3.5wt%である。担持量が1.5wt%よ
り少なくなるにつれ、反応速度が低下することにより一
酸化炭素の選択的酸化を十分行うことができなくなる傾
向がみられ、3.5wt%より多くなるにつれ、担体表
面で金属触媒が凝集し活性点は増加しなくなり、比表面
積が小さく有効な活性点は減少するとともに、耐久性が
劣る傾向がみられる。
【0044】本発明に係る分離層は、水素選択透過性を
有することが好適であり、具体的には、シリカ、シリカ
アルミナ、シリカジルコニア、シリカチタニア等が挙げ
られ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0045】本発明に係る触媒膜を用いて一酸化炭素を
選択的に除去する方法において、水素を主成分とし、一
酸化炭素を含有するガスに酸素を混合した混合ガスを触
媒膜に接触させる工程では、温度150〜250℃で接
触させるのが好ましい。ここで、温度が150℃より低
くなるにつれ、一酸化炭素の酸化反応速度が低下する傾
向がみられ、250℃より高くなるにつれ、一酸化炭素
の分離・除去率が低下する傾向がみられる。本発明に係
る触媒膜は、酸化触媒体としての機能と選択的ガス透過
膜(ガス分離膜)としての機能を併せ持つため、一酸化
炭素選択的酸化用のみならず、種々の被処理気体中から
目的とする酸化性ガス分子を酸化したり、分離・除去し
たりすることができる。このため、これら機能を利用し
得る種々の用途に用いられる。例えば、目的のガス成分
を分離・精製するためのガス分離膜(例えば、水素ガス
精製用分離膜)として使用し得る。また、揮発性有機化
合物や一酸化炭素の選択的な酸化除去膜として使用し得
る。また、室内空気中の有害な酸化性ガス分子を除去す
るための膜状エアクリーナーとして使用し得る。また、
自動車の排ガス等から有害なNOxを除去するための膜
状NOx除去材としても使用し得る。
【0046】更に、用途に応じ、種々の形態の容器や装
置に組み込んだ膜反応モジュールとして使用される。例
えば、燃料電池用改質ガス等から一酸化炭素を除去して
水素ガスを精製するのに使用する場合には、典型的には
管状多孔質基材の内壁面もしくはプレート状多孔質基材
の表面に被膜形成されることによって、ガス分離モジュ
ールとして構築され得る。また、そのモジュールを組み
込んだ一酸化炭素除去装置は、燃料電池の水素ガス供給
ライン(改質器と燃料電池モジュールとの間)に配置す
ることができる。従って、本発明によれば、コンパクト
で一酸化炭素除去効率の高い燃料電池システム用一酸化
炭素除去装置(及びそれに使用する膜反応モジュール)
に利用することができる。本発明に係る触媒膜が用いら
れる燃料としては、CH、C、C等のパ
ラフィン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族類、C
、C等のオレフィン類、ガソリン、灯油、軽油
等の混合物あるいはメタノール、エタノール等のアルコ
ール等、ジメチルエーテル等のエーテル等が挙げられ
る。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 図1に示すように、多孔質基材である多孔質α−アルミ
ナ支持管(NOK社製、支持管の長さ=200mm、内
径=1.7mm、外径=2.1mm、空間率=0.3
9、平均細孔径=約150nm;以下、支持管2とい
う。)を用い、その中央部13〜15mmを残して支持
管2の両端外表面をガラス封着剤5(日本電気硝子製、
#GA−4)で被覆した。これは、透過実験及び触媒実
験の際、触媒膜1を透過セルに固定する場合に、両端部
をO−リングを用いてシールするので、その部分につい
ては気体を透過させないためである。また、電気炉内で
温度が一定の場所は中央部だけであるので、気体透過部
分を中央部のみにした。図1は本発明の一実施例におけ
る触媒膜の製造工程図である。
【0048】次に、Yoldas法により、アルミニウ
ムイソプロポキシド、脱イオン水及び硝酸から作製した
ゾルを用いて、多孔質基材表面にγ-アルミナ膜を形成
した。すなわち、粉末にしたアルミニウムイソプロポキ
シドを80℃の水に溶かして0.1〜0.6mol/l
とし24時間攪拌し、さらに90℃で1時間攪拌した。
解膠のために、これにAl/H+比で10となるように
硝酸を加え、90℃で24時間攪拌して、ベーマイトゾ
ルを作製した。このゾル液に上記の支持管2をディップ
コーティングし、室温で乾燥させることにより、表面に
ベーマイト乾燥ゲル層を形成した。これを空気中にて5
0℃/Hの速度で昇温し、750℃で焼成した。この操
作を3回繰り返し、γ−アルミナ膜を作製した。上記で
得られたγ−アルミナ被覆支持管を、それぞれ塩化白金
酸(HPtCl)、塩化ルテニウム(RuC
)、硝酸コバルト(Co(NO)、硝酸ニッ
ケル(Ni(NO)あるいは塩化ロジウム(Rh
Cl)の水溶液に含浸させ、乾燥後、空気中で300
℃にて焼成し、それぞれPt、Ru、Co、Ni、Rh
を担持したγ−アルミナ触媒膜3を作製した。その後、
テトラエチルオルソシリケート(22.5g)と3−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン(2.81
g)のエタノール(30ml)溶液を、60℃で2時間
還流した。次いで、35%塩酸(2.43ml)と水
(0.60ml)のエタノール(33.0ml)水溶液
を調製した。この溶液を上記のシリカ成分を含む溶液に
60℃でゆっくりと滴下して混合した。得られた混合液
を60℃で2時間加熱し、シリカゾルを作製した。上記
で得られたゾル液に、各金属担持のγ−アルミナ触媒膜
被覆支持管をディップコーティングして、室温で空気乾
燥させた後、400℃で焼成した。このようにして、シ
リカ層4が各金属担持のγ−アルミナ触媒膜3表面に形
成された。これにより、最表面に水素選択透過性を示す
シリカ分離層4、中間層として金属触媒を担持したγ−
アルミナ触媒層3、基材としてのα−アルミナ支持管2
からなる触媒膜1が形成された。
【0049】本実施例で得られた触媒膜の構造をFE−
SEM(日立製作所製、S−5200)で解析した。そ
の結果を図2および図3に示す。図2は本発明の一実施
例における触媒膜の断面を示す電子顕微鏡写真である。
図2に示されるように、本実施例で得られた触媒膜は、
その断面からみて3つのゾーンから構成されている。す
なわち、多孔質基材であるα−アルミナ支持管2の外壁
表面に金属触媒が担持されたγ−アルミナ層3が形成さ
れ、このγ−アルミナ層3の表面にシリカ層4が形成さ
れている(図1参照)。図中、Topsurface
は、シリカ層4の表面形態を示している。図3は本発明
の一実施例における触媒膜中の触媒金属の深さ方向濃度
分布図である。本実施例で得られた触媒膜の断面をFE
−SEMで観察した結果、シリカ層の厚みは約200n
mで、γ−アルミナ触媒層の厚みは約700nmであっ
た。また、図3に示されるように、各金属は主に比表面
積の大きなγ−アルミナ層に担持されていることがわか
る。担持量はEDX(Kevex製、Delta−Cl
ass)で決定した。すなわち、γ−アルミナ層の体積
1ml当たりのPt、Ru、Co、NiおよびRhの担
持量はそれぞれ46、23、31、26および24mg
であった。また、γ−アルミナ層のみかけの密度を1.
3mg/mと仮定すると、Pt、Ru、Co、Ni
およびRhの担持率はそれぞれ3.1、1.8、2.
4、2.0および1.8wt%であった。このように構
成される触媒膜を一酸化炭素除去装置(図示せず)の管
に配設させ、一酸化炭素の酸化・除去する方法につい
て、図1および図4を用いて以下説明する。
【0050】図4は本発明の一実施例における触媒膜を
装着させた一酸化炭素除去装置の内部構造を示す模式図
である。上述のように、触媒膜1の支持管2のシリカ膜
4にはガラス封着剤5が施されていないため(図1参
照)、ガス供給側に相当する外管6(支持管2外部)を
流れるガスの一部は、本実施例に係る触媒膜1の細孔を
通過し、ガス透過側に相当する内管7に透過される。H
とCOの混合気体(H/CO=95/5(モル
比))にOを加えた気体を供給ガスとして外管6(支
持管2の外側)の第2ガス供給口10より導入し、触媒
膜1に接触させる。一方、内管7(支持管2の内側)に
透過した気体のスィープガスとしてArを第1ガス供給
口8より導入する。
【0051】これにより、外管6(支持管2の外側)に
供給したHとCOは、シリカ膜4を透過するとき、分
子サイズの小さいHが選択的に透過することにより、
金属を担持したγ-アルミナ膜3に到達するときには、
供給ガスに比べてH濃度が上昇し、CO濃度が減少す
る。また、金属を担持したγ-アルミナ膜3内では、C
Oは金属の触媒作用により選択的に酸化されてCO
なる。また、外部ガス供給源から内管7の第1ガス供給
口8と外管6の第2ガス供給口10それぞれに別個独立
してガスを供給することができるとともに、内管7の第
1ガス排出口9から排出されるガスと外管6の第2ガス
排出口11から排出されるガスとを別々に回収すること
ができる。ここで、第1ガス供給口89および第1ガス
排出口9は内管7に直結し、第2ガス供給口10および
第2ガス排出口11は外管6に連通している。また、内
管7と外管6とにより、二重管構造を構成している。
【0052】実施例2 実施例1で得られた触媒膜のガス透過能力について、H
、NおよびCOの単成分気体あるいはHとCOの
混合気体(H/CO=95/5(モル比))を供給ガ
スとして用い、気体透過率を測定した。すなわち、上記
の供給ガスを触媒膜1の供給側、すなわち支持管2の外
側(外管6)に100ml/minの流量で導入し、一
方、触媒膜1の透過側、すなわち支持管2の内側(内管
7)に透過した気体のスィープガスとしてArを導入し
た。供給側および透過側の出口における気体濃度を熱伝
導度検出器付ガスクロマトグラフ(GC−TCD:Sh
imadzuGC8)で測定した。尚、膜の供給側と透
過側の全圧は1atmとした。気体の透過率は次式で決
定し、透過選択性を透過率比から規定した。 透過率=(単位時間あたりの気体透過モル数)/((膜
面積)×(分圧差)) (単位:molm−2−1Pa−1) 以上の評価試験の結果を図5に示す。図5は本発明の一
実施例における触媒膜の気体透過率を示すグラフであ
る。すなわち、H、NおよびCOの単成分気体ある
いはHとCOの混合気体(H/CO=95/5(モ
ル比))中の150〜250℃でのH、COの透過率
を示す。図5から、2成分気体の場合、200℃におい
てH/COの分離係数が25、175℃においてH
/COの分離係数が54であることがわかる。単成分気
体の透過実験では、Hの透過率はCOの透過率に比べ
て約100倍大きかった。これより、実施例1で作成し
たシリカ膜には、大きな欠陥がみられないことが明らか
となった。
【0053】参考例1 実施例1で得られた触媒膜の各金属触媒の活性評価のた
めに、シリカ分離層を形成せずに、金属を担持したγ―
アルミナ層だけで一酸化炭素の酸化除去を行った。すな
わち、H78.5ml/min、CO1.5ml/m
in、O1ml/minの混合気体の全量を膜の外側
(外管6)から、内側(内管7)へ透過させて、内管7
出口においてCOとHの濃度を測定した。図6は金属
を担持したγ―アルミナ層によるCOの転化率を示すグ
ラフである。図6から、Pt、RuおよびRhが担持さ
れたγ−アルミナ層は、CoやNiが担持されたγ−ア
ルミナ層より、高いCO酸化活性を有することがわか
る。反応温度が高くなるにつれ、CO転化率は増加し、
最大値に達した後、高温領域では副反応である水素の酸
化のために転化率が減少する。Pt、RuおよびRhが
担持されたγ−アルミナ層の転化率が最大値となる温度
は、それぞれ225、200、200℃であった。図7
は金属を担持したγ―アルミナ層のH/COの選択性
を示すグラフである。すなわち、150〜250℃での
Pt、Ru、Rhを担持したγ―アルミナ層のH/C
Oの選択性を示している。図7から明らかなように、H
/COの選択性は、Ru、Rh担持においては175
℃において最も大きく、Pt担持においては225℃に
おいて最も大きいことがわかる。
【0054】実施例3 実施例1で得られた触媒膜の一酸化炭素の酸化活性を評
価した。評価は、透過側膜面における各気体成分の流束
(mol/ms)で行った。すなわち、H、COお
よびOを含む混合気体を、それぞれ95.0、5.
0、0−6.0ml/min(STP)の流量で膜の供
給側、すなわち支持管2の外側(外管7)に導入した。
膜部分における気体濃度変化の影響を無視するために、
本実施例では導入した気体の大部分は供給側出口より排
出された。尚、膜内を移動と同時に酸化反応して透過し
た気体はHeあるいはArでスィープした。透過側、す
なわち支持管2の内側(内管7)の全気体流量は石鹸膜
流量計によって測定した。また、気体濃度は、TCD検
出器を備えたガスクロマトグラフ(GC−TCD:Sh
imadzu,GC−8A)によって分析した。以上の
評価試験の結果を図8に示す。図8は本発明の一実施例
における触媒膜のH、COおよびOの透過側膜面に
おける流束と導入酸素流量との関係を示すグラフであ
る。すなわち、図8はそれぞれ150℃、175℃、2
00℃、225℃および250℃における、H、CO
およびOの触媒膜を透過する流束と酸素流量(供給
量)との関係を示すグラフである。各グラフの横軸は供
給する酸素の流量(ml/min)を示し、各グラフの
縦軸はFluxすなわち、各ガス種の流束(mol/m
・s)を示す。また、各グラフ中の所定位置にある点
線はこの測定系でのCOの検出限界を示す。図8から明
らかなように、Hの流束(透過側のHの濃度)は、
反応(分離)温度が高いほど増加した。この触媒膜は水
素選択透過性であるために、酸素を供給しない条件(酸
素供給量=0)では供給側で50000ppm(5%)
のCO濃度が、膜を透過するだけで610〜2700p
pmまで減少した。供給側にOを供給すると、たとえ
触媒層が700nmの薄さでも膜内でCO(および
)の酸化が起こるので、CO濃度はO流量の増加
とともに減少した。透過側の酸素濃度は、酸素が供給側
に過剰に供給されると増加する。
【0055】図9は透過側のCO濃度とO流量との関
係を示すグラフである。図9より、反応(分離)温度が
高いほどHの選択透過性が増し、しかも触媒反応性も
増大するために、温度が高いほどCO濃度が減少した。
250℃ではO 流量が6.0ml/min(STP)
の条件では、CO濃度が48ppmまで低下した。供給
側のCO濃度を10000ppmとして実験を行うと、
150〜250℃の温度範囲では、シリカ膜による分離
だけで透過側の濃度が100ppm以下まで低下した。
【0056】
【発明の効果】本発明に係る触媒膜によれば、アルコー
ル、低級炭化水素の水蒸気改質反応で生成する改質水素
中に含有される一酸化炭素の分離・酸化除去を効率的に
行うことができるとともに、自動車等の狭い空間にも配
設し、搭載することが可能である。すなわち、本発明に
係る触媒膜は、酸化触媒体としての機能と選択的ガス透
過膜(ガス分離膜)としての機能を併せ持つため、膜分
離作用と触媒反応作用を組み合わせることができ、具体
的には、5%COを1段階で濃度約50ppmまで、更
には10%COを1段階で約10ppm以下に低減する
ことが可能となる。本発明に係る触媒膜の製造方法によ
れば、大面積の膜製造を容易に行うことができるととも
に、膜表面が平滑なためシリカ層を容易に形成すること
ができ、簡易な工程により低コストで触媒膜を製造する
ことができる。本発明に係る一酸化炭素の選択的除去方
法によれば、改質反応後のCO除去に必要なシフト反
応、酸化反応の2段階からなる複雑なプロセスを、一段
構成の簡単なプロセスにすることにより、エネルギーの
ロスを回避し一酸化炭素の効率的な分離・酸化除去を行
うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における触媒膜の製造工程図
である。
【図2】本発明の一本実施例における触媒膜の断面を示
す電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の一本実施例における触媒膜中の触媒金
属の深さ方向濃度分布図である。
【図4】本発明の一実施例における触媒膜を配設させた
一酸化炭素除去装置の内部構造を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施例における触媒膜の気体透過率
を示すグラフである。
【図6】金属を担持したγ―アルミナ層によるCOの転
化率を示すグラフである。
【図7】金属を担持したγ―アルミナ層のH/COの
選択性を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施例における触媒膜のH、CO
およびOの透過側膜面における流束と導入酸素流量と
の関係を示すグラフである。
【図9】透過側のCO濃度とO流量との関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 触媒膜 2 多孔質α−アルミナ支持管 3 γ−アルミナ膜 4 シリカ層 5 ガラス封着剤 6 外管 7 内管 8 第1ガス供給口 9 第1ガス排出口 10 第2ガス供給口 11 第2ガス排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 23/755 C01B 3/38 C01B 3/32 3/58 3/38 C10K 3/04 3/58 B01J 23/74 311M C10K 3/04 321M Fターム(参考) 4D006 GA41 KA31 KB30 MA02 MA09 MB03 MB04 MC03X NA45 NA50 NA62 NA64 PB66 PB67 PC69 PC80 4G040 EB31 EB33 4G069 AA03 AA08 AA12 BA01A BA01B BA02A BA02B BC67A BC67B BC68A BC68B BC70A BC70B BC71A BC71B BC75A BC75B CC26 DA06 EA08 EC17Y FA02 FB08 FB14 FB15 FB23 4H060 AA01 AA04 BB08 BB11 BB33 CC18 DD01 EE03 FF02 FF18 GG02

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質基材と、該多孔質基材に形成し
    た、Pt、Ru、Pd、Ni、Co、Cu、Rh、Ag
    から選択される1種又は2種以上の金属を担持した多孔
    質セラミック膜と、該多孔質セラミック膜に形成した微
    細孔を有する分離層と、を有することを特徴とする触媒
    膜。
  2. 【請求項2】 多孔質基材がα−アルミナ、シリカ、チ
    タニア、ジルコニア、シリカアルミナ、窒化珪素、炭化
    珪素、ステンレススチールから選択される少なくとも1
    種であることを特徴とする請求項1に記載の触媒膜。
  3. 【請求項3】 多孔質セラミック膜がγ−アルミナ、α
    −アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、シリカア
    ルミナ、リン含有アルミナから選択される少なくとも1
    種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒
    膜。
  4. 【請求項4】 分離層が水素選択透過性を有することを
    特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の触
    媒膜。
  5. 【請求項5】 分離層がシリカ、シリカアルミナ、シリ
    カジルコニア、シリカチタニアから選択される少なくと
    も1種であることを特徴とする請求項1乃至4の内いず
    れか1項に記載の触媒膜。
  6. 【請求項6】 金属の担持量が1.5〜3.5wt%で
    あることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1項
    に記載の触媒膜。
  7. 【請求項7】 多孔質基材の表面に多孔質セラミック膜
    を形成する工程と、該形成した多孔質セラミック膜にP
    t、Ru、Pd、Ni、Co、Cu、Rh、Agから選
    択される1種又は2種以上の金属を担持する工程と、該
    金属を担持した多孔質セラミック膜に微細孔を有する分
    離層を形成する工程と、を有することを特徴とする触媒
    膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 多孔質セラミック膜を形成する工程、及
    び/又は分離層を形成する工程がゾルゲル法により行わ
    れることを特徴とする請求項7に記載の触媒膜の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 多孔質基材がα−アルミナ、シリカ、チ
    タニア、ジルコニア、シリカアルミナ、窒化珪素、炭化
    珪素、ステンレススチールから選択される少なくとも1
    種であることを特徴とする請求項7又は8に記載の触媒
    膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 多孔質セラミック膜がγ−アルミナ、
    α−アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、シリカ
    アルミナ、リン含有アルミナから選択される少なくとも
    1種であることを特徴とする請求項7乃至9の内いずれ
    か1項に記載の触媒膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 分離層が水素選択透過性を有すること
    を特徴とする請求項7乃至10の内いずれか1項に記載
    の触媒膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 分離層がシリカ、シリカアルミナ、シ
    リカジルコニア、シリカチタニアから選択される少なく
    とも1種であることを特徴とする請求項7乃至11の内
    いずれか1項に記載の触媒膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 金属の担持量が1.5〜3.5wt%
    であることを特徴とする請求項7乃至12の内いずれか
    1項に記載の触媒膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 水素を主成分とし、一酸化炭素を含有
    するガスに酸素を混合した混合ガスを、請求項1乃至6
    の内いずれか1に記載の触媒膜に接触させる工程と、接
    触させた混合ガスを該分離層に透過させ水素を選択的に
    透過させる工程と、透過させた混合ガスを、該金属を担
    持した多孔質セラミック膜で一酸化炭素を選択的に酸化
    させる工程と、を有することを特徴とする一酸化炭素の
    選択的除去方法。
  15. 【請求項15】 該接触工程において、混合ガスを該触
    媒膜に温度150〜250℃で接触させることを特徴と
    する請求項14に記載の一酸化炭素の選択的除去方法。
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