JP2003065325A - 軸受装置 - Google Patents
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- JP2003065325A JP2003065325A JP2001260293A JP2001260293A JP2003065325A JP 2003065325 A JP2003065325 A JP 2003065325A JP 2001260293 A JP2001260293 A JP 2001260293A JP 2001260293 A JP2001260293 A JP 2001260293A JP 2003065325 A JP2003065325 A JP 2003065325A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】動摩擦トルクの低減要求を満足し得る軸受装置
を提供することである。 【解決手段】冠形保持器を組込んだ玉軸受1を、軸6に
固定して備え、その玉軸受1は、初期接触角を5°以上
とし、かつ保持器ポケット開口側5aの内輪2と保持器
ポケット反開口側5bの外輪3に予圧を付与した。
を提供することである。 【解決手段】冠形保持器を組込んだ玉軸受1を、軸6に
固定して備え、その玉軸受1は、初期接触角を5°以上
とし、かつ保持器ポケット開口側5aの内輪2と保持器
ポケット反開口側5bの外輪3に予圧を付与した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばモータ軸の
支持に用いられる軸受装置の動摩擦トルクの低減に関す
るものである。
支持に用いられる軸受装置の動摩擦トルクの低減に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】各種回転部分を支持するために、例えば
特開平10−159855号公報等に記載されているよ
うな玉軸受を広く使用している(図7参照)。この玉軸
受は内周面に外輪軌道を有する外輪3と、外周面に内輪
軌道を有する内輪2と、これら外輪3と内輪2の間に相
対回転自在に配置された冠形保持器5と、この冠形保持
器5に設けた複数のポケット5d内にそれぞれ転動自在
に保持された玉4を備えて成る。上記外輪3の両端部内
周面にはそれぞれ円環状のシールド板9の外周縁9aを
係止し、両シールド板9,9によって上記玉設置部分に
存在するグリースが外部に漏洩したり、あるいは外部に
浮遊する塵埃がこの設置部分に侵入したりするのを防止
している。そして上述した通り、複数個の玉4は保持器
5により転動自在に保持されており、この保持器5とし
ては、例えば図6に示すような冠形保持器と呼ばれるも
のが従来から使用されている。この保持器5には玉4を
転動自在に保持するために玉4と同数の球状凹面のポケ
ット5dを持ち、球状凹面の曲率半径は上記玉4の曲率
半径よりも僅かに大きくしている。尚、この軸受を各種
回転装置の支持に使用する場合には、二つの軸受1,1
を組み合わせて使用するのが一般的である。また、これ
ら軸受を高速回転条件で用いる場合には、軸受内の機械
的滑りを抑制するために玉と軌道面の接する、接触角を
小さくすることが有効であるとされていた。
特開平10−159855号公報等に記載されているよ
うな玉軸受を広く使用している(図7参照)。この玉軸
受は内周面に外輪軌道を有する外輪3と、外周面に内輪
軌道を有する内輪2と、これら外輪3と内輪2の間に相
対回転自在に配置された冠形保持器5と、この冠形保持
器5に設けた複数のポケット5d内にそれぞれ転動自在
に保持された玉4を備えて成る。上記外輪3の両端部内
周面にはそれぞれ円環状のシールド板9の外周縁9aを
係止し、両シールド板9,9によって上記玉設置部分に
存在するグリースが外部に漏洩したり、あるいは外部に
浮遊する塵埃がこの設置部分に侵入したりするのを防止
している。そして上述した通り、複数個の玉4は保持器
5により転動自在に保持されており、この保持器5とし
ては、例えば図6に示すような冠形保持器と呼ばれるも
のが従来から使用されている。この保持器5には玉4を
転動自在に保持するために玉4と同数の球状凹面のポケ
ット5dを持ち、球状凹面の曲率半径は上記玉4の曲率
半径よりも僅かに大きくしている。尚、この軸受を各種
回転装置の支持に使用する場合には、二つの軸受1,1
を組み合わせて使用するのが一般的である。また、これ
ら軸受を高速回転条件で用いる場合には、軸受内の機械
的滑りを抑制するために玉と軌道面の接する、接触角を
小さくすることが有効であるとされていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
各種回転装置の回転速度が上がるにつれて、動摩擦トル
クの低減に対する要求が大きくなってきているが、前記
したように接触角を小さくすることだけでは、軸受の高
速回転化に伴う動摩擦トルクの抑制には充分ではない。
すなわち、高速回転により、軸受内のグリースの流動が
多くなるため、特に遠心力によって外輪内径側に移動し
たグリースが保持器外径部との間で攪拌されることで攪
拌あるいは剪断抵抗が大きくなり、結果的に動摩擦トル
クが大きくなるという欠点があった。本発明は従来技術
の有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、
その目的とするところは、動摩擦トルクの低減要求を満
足し得る軸受装置を提供することである。
各種回転装置の回転速度が上がるにつれて、動摩擦トル
クの低減に対する要求が大きくなってきているが、前記
したように接触角を小さくすることだけでは、軸受の高
速回転化に伴う動摩擦トルクの抑制には充分ではない。
すなわち、高速回転により、軸受内のグリースの流動が
多くなるため、特に遠心力によって外輪内径側に移動し
たグリースが保持器外径部との間で攪拌されることで攪
拌あるいは剪断抵抗が大きくなり、結果的に動摩擦トル
クが大きくなるという欠点があった。本発明は従来技術
の有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、
その目的とするところは、動摩擦トルクの低減要求を満
足し得る軸受装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に本発明がなした技術的手段は、内周面に外輪軌道を有
する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら
外輪と内輪の間に相対回転自在に配置された冠形保持器
と、この冠形保持器に設けた複数のポケット内にそれぞ
れ転動自在に保持された玉を備えた玉軸受を軸に固定し
てなる軸受装置において、玉と軌道面の接する初期接触
角を5°以上とし、かつ保持器ポケット開口側の内輪と
保持器ポケット反開口側の外輪に予圧を付与したことで
ある。また、軸に二個の軸受を固定するものである場
合、二個の軸受における各保持器は、夫々のポケット反
開口側同士が向き合うように組み込まれている。また
は、夫々のポケット開口側同士が向き合うように組み込
まれている。また、軸受の両端に密封板を設け、軸方向
一端面と軸方向他端面との間に、保持器組込み方向を判
別可能とする差異を設けることもできる。
に本発明がなした技術的手段は、内周面に外輪軌道を有
する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら
外輪と内輪の間に相対回転自在に配置された冠形保持器
と、この冠形保持器に設けた複数のポケット内にそれぞ
れ転動自在に保持された玉を備えた玉軸受を軸に固定し
てなる軸受装置において、玉と軌道面の接する初期接触
角を5°以上とし、かつ保持器ポケット開口側の内輪と
保持器ポケット反開口側の外輪に予圧を付与したことで
ある。また、軸に二個の軸受を固定するものである場
合、二個の軸受における各保持器は、夫々のポケット反
開口側同士が向き合うように組み込まれている。また
は、夫々のポケット開口側同士が向き合うように組み込
まれている。また、軸受の両端に密封板を設け、軸方向
一端面と軸方向他端面との間に、保持器組込み方向を判
別可能とする差異を設けることもできる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明軸受装置の一実施形
態を図に基づいて説明する。なお、本実施形態は本発明
の一実施形態にすぎず何等これに限定されるものではな
い。
態を図に基づいて説明する。なお、本実施形態は本発明
の一実施形態にすぎず何等これに限定されるものではな
い。
【0006】図1は本発明の第一実施形態を示してい
る。この装置は二個の転がり玉軸受1,1を、各軸受
1,1の内輪2,2をシャフト(軸)6の外周に固定して
備えると共に予圧が付与されて組み合わされている。転
がり玉軸受1は、内周面に外輪軌道3aを有する外輪3
と、外周面に内輪軌道2aを有する内輪2と、これら外
輪3と内輪2の間に相対回転自在に配置された冠形保持
器5と、この冠形保持器5に設けた複数のポケット5d
内にそれぞれ転動自在に保持された玉4を備えてなる。
上記外輪3の両端部内周面にはそれぞれ円環状の密封板
(本実施形態ではシールド板)9の外周縁9aを係止
し、両シールド板9,9によって上記玉設置部分に存在
するグリースが外部に漏洩したり、あるいは外部に浮遊
する塵埃がこの設置部分に侵入したりするのを防止して
いる。なお、密封板9の構成については特に限定解釈さ
れず、本発明の範囲内で設計変更可能であり、また必要
に応じて備えることが出来る。また、製品の輸送時にお
ける耐揺動性の向上を図るべく、軸受1に封入される潤
滑剤は溝封入(内輪軌道2a、外輪軌道3aへの封入)
とする。冠形保持器5は、例えば図6に示すように、円
環状の主部5cと、該主部5cの軸方向片面に設けられ
た複数のポケット5dとを備え、該ポケット5dが主部
5cの軸方向片面に互いに間隔をあけて配置された一対
の爪(弾性片ともいう)5e同士の間に設けられてい
る。
る。この装置は二個の転がり玉軸受1,1を、各軸受
1,1の内輪2,2をシャフト(軸)6の外周に固定して
備えると共に予圧が付与されて組み合わされている。転
がり玉軸受1は、内周面に外輪軌道3aを有する外輪3
と、外周面に内輪軌道2aを有する内輪2と、これら外
輪3と内輪2の間に相対回転自在に配置された冠形保持
器5と、この冠形保持器5に設けた複数のポケット5d
内にそれぞれ転動自在に保持された玉4を備えてなる。
上記外輪3の両端部内周面にはそれぞれ円環状の密封板
(本実施形態ではシールド板)9の外周縁9aを係止
し、両シールド板9,9によって上記玉設置部分に存在
するグリースが外部に漏洩したり、あるいは外部に浮遊
する塵埃がこの設置部分に侵入したりするのを防止して
いる。なお、密封板9の構成については特に限定解釈さ
れず、本発明の範囲内で設計変更可能であり、また必要
に応じて備えることが出来る。また、製品の輸送時にお
ける耐揺動性の向上を図るべく、軸受1に封入される潤
滑剤は溝封入(内輪軌道2a、外輪軌道3aへの封入)
とする。冠形保持器5は、例えば図6に示すように、円
環状の主部5cと、該主部5cの軸方向片面に設けられ
た複数のポケット5dとを備え、該ポケット5dが主部
5cの軸方向片面に互いに間隔をあけて配置された一対
の爪(弾性片ともいう)5e同士の間に設けられてい
る。
【0007】上述の通り、転がり玉軸受としては特に限
定されず一般的な構成を採っているが、本実施形態で
は、二個の軸受1,1における各保持器5,5のポケッ
ト反開口側5b,5bが向かい合うように配設されてい
る点、および保持器ポケット開口側5a,5aに位置す
る内輪端面2b,2bと保持器ポケット反開口側5b,
5bに位置する外輪端面3b,3bに予圧が付与されて
いる点、玉と軌道面の接する初期接触角を15°として
いる点に特徴的な構成がある。すなわち本実施形態で
は、軸受1,1の外輪3,3間には間座7が配されてお
り、保持器ポケット開口側5a,5aに位置する内輪端
面2b,2bに予圧Fa0を付与することで、外輪端面
3b,3bには保持器ポケット反開口側5b,5bから
予圧が付与され、そして初期接触角を15°としている
(図1・図4(a)参照)。この初期接触角は、後述す
る実験結果に示すように5°以上であればよいが、30
°以内とするのが好ましい。内輪2、外輪3、玉4、密
封板(シール又はシールド)9の構造や軸受のすきま等
は特に限定解釈されず任意であるため詳細な説明は省略
する。また、予圧を付与する方法やその量も特に限定さ
れず、適宜最適な量を設定すれば良く限定されない。こ
のような冠形保持器5を組み込んだ玉軸受1において、
保持器ポケット開口側5aに位置する内輪端面2bと保
持器ポケット反開口側5bに位置する外輪端面3bに予
圧を付与し、かつ初期接触角を5°以上とすることによ
って動摩擦トルクが低くその変動も少ない軸受装置が設
計可能となる。
定されず一般的な構成を採っているが、本実施形態で
は、二個の軸受1,1における各保持器5,5のポケッ
ト反開口側5b,5bが向かい合うように配設されてい
る点、および保持器ポケット開口側5a,5aに位置す
る内輪端面2b,2bと保持器ポケット反開口側5b,
5bに位置する外輪端面3b,3bに予圧が付与されて
いる点、玉と軌道面の接する初期接触角を15°として
いる点に特徴的な構成がある。すなわち本実施形態で
は、軸受1,1の外輪3,3間には間座7が配されてお
り、保持器ポケット開口側5a,5aに位置する内輪端
面2b,2bに予圧Fa0を付与することで、外輪端面
3b,3bには保持器ポケット反開口側5b,5bから
予圧が付与され、そして初期接触角を15°としている
(図1・図4(a)参照)。この初期接触角は、後述す
る実験結果に示すように5°以上であればよいが、30
°以内とするのが好ましい。内輪2、外輪3、玉4、密
封板(シール又はシールド)9の構造や軸受のすきま等
は特に限定解釈されず任意であるため詳細な説明は省略
する。また、予圧を付与する方法やその量も特に限定さ
れず、適宜最適な量を設定すれば良く限定されない。こ
のような冠形保持器5を組み込んだ玉軸受1において、
保持器ポケット開口側5aに位置する内輪端面2bと保
持器ポケット反開口側5bに位置する外輪端面3bに予
圧を付与し、かつ初期接触角を5°以上とすることによ
って動摩擦トルクが低くその変動も少ない軸受装置が設
計可能となる。
【0008】図2は本発明軸受装置の第二実施形態を示
す。本実施形態では二個の軸受1,1における各保持器
5,5のポケット開口側5a,5aが向かい合うように
配設されている点、および保持器ポケット開口側5a,
5aに位置する内輪端面2c,2cと保持器ポケット反
開口側5b,5bに位置する外輪端面3c,3cに予圧
が付与されている点が第一実施形態と相違する特徴的な
構成要素である。初期接触角は第一実施形態と同様に1
5°とする。本実施形態によれば、軸受1,1の内輪
2,2間には間座7を配し、保持器ポケット反開口側5
b,5bから外輪3,3に予圧Fa0を付与すること
で、内輪2,2には保持器ポケット開口側5a,5aか
ら予圧が付与される(図2参照)。なお、予圧付与の方
向や方法、また、保持器5のポケット径寸法に関しては
第一実施形態と同様であり、その他、内輪2、外輪3、
玉4、密封板9などのその他の構造は、および本装置に
よる作用効果は、上述した第一実施形態と同様であるた
め第一実施形態を援用して詳細な説明は省略する。
す。本実施形態では二個の軸受1,1における各保持器
5,5のポケット開口側5a,5aが向かい合うように
配設されている点、および保持器ポケット開口側5a,
5aに位置する内輪端面2c,2cと保持器ポケット反
開口側5b,5bに位置する外輪端面3c,3cに予圧
が付与されている点が第一実施形態と相違する特徴的な
構成要素である。初期接触角は第一実施形態と同様に1
5°とする。本実施形態によれば、軸受1,1の内輪
2,2間には間座7を配し、保持器ポケット反開口側5
b,5bから外輪3,3に予圧Fa0を付与すること
で、内輪2,2には保持器ポケット開口側5a,5aか
ら予圧が付与される(図2参照)。なお、予圧付与の方
向や方法、また、保持器5のポケット径寸法に関しては
第一実施形態と同様であり、その他、内輪2、外輪3、
玉4、密封板9などのその他の構造は、および本装置に
よる作用効果は、上述した第一実施形態と同様であるた
め第一実施形態を援用して詳細な説明は省略する。
【0009】ここで、本発明の効果を確認するために行
った実験について説明する。 軸 受:内径5mm、外径13mm、幅4mm(JIS695
相当) 回転数:10000min−1 予 圧:20N 時 間:回転始動5分後の動摩擦トルク値を測定 実験は、軸受のすきまを変えることで初期接触角を5°
〜30°に変化させた場合について、予圧方向を変え、
動摩擦トルクを測定した。
った実験について説明する。 軸 受:内径5mm、外径13mm、幅4mm(JIS695
相当) 回転数:10000min−1 予 圧:20N 時 間:回転始動5分後の動摩擦トルク値を測定 実験は、軸受のすきまを変えることで初期接触角を5°
〜30°に変化させた場合について、予圧方向を変え、
動摩擦トルクを測定した。
【0010】図3に比較試験の結果を示す。なお、図3
中で表した予圧方向A,Bについて、その概略図をそれ
ぞれ図4(a),(b)に示す。「A方向予圧」とは、
図1,2に示した本実施形態のように、内輪2の保持器
ポケット開口側5aと外輪3の保持器ポケット反開口側
5bから付与される予圧をいい、「B方向予圧」とは、
これとは逆に、内輪2の保持器ポケット反開口側5bと
外輪3の保持器ポケット開口側5aから付与される予圧
をいう。この結果から、B方向に予圧を付与した場合に
は、初期接触角が小さくなるに従い、動摩擦トルクが減
少することが判る。逆に、A方向に予圧を付与した場合
には初期接触角が10°程度までは動摩擦トルクがB方
向に予圧を付与した場合に比べ非常に小さくなるが、こ
の値を境にして急激に動摩擦トルクが増大し、B方向予
圧と同程度になることが判る。5°以下では、A方向予
圧の場合とB方向予圧の場合とで差がなくなる。すなわ
ち、初期接触角5°以上、好ましくは動摩擦トルクが充
分に低い値となる7°程度以上とし、かつ予圧方向を図
1、図2で表した方向(A方向)とするのが良い。尚、
本試験では初期接触角を最大で30°までとしている
が、初期接触角が大きすぎると玉が軌道面を乗り上げる
荷重が低下して軸受本来の機能を損ってしまう恐れが生
じるため、予圧荷重が大きい場合や予圧以外にアキシア
ル方向外力が加わることが想定される場合には、玉が軌
道面を乗り上げる角度を超えない範囲にする必要があ
る。例えば、本試験に用いたJIS695相当の軸受の
場合には初期接触角を20°以下にするのが良い。
中で表した予圧方向A,Bについて、その概略図をそれ
ぞれ図4(a),(b)に示す。「A方向予圧」とは、
図1,2に示した本実施形態のように、内輪2の保持器
ポケット開口側5aと外輪3の保持器ポケット反開口側
5bから付与される予圧をいい、「B方向予圧」とは、
これとは逆に、内輪2の保持器ポケット反開口側5bと
外輪3の保持器ポケット開口側5aから付与される予圧
をいう。この結果から、B方向に予圧を付与した場合に
は、初期接触角が小さくなるに従い、動摩擦トルクが減
少することが判る。逆に、A方向に予圧を付与した場合
には初期接触角が10°程度までは動摩擦トルクがB方
向に予圧を付与した場合に比べ非常に小さくなるが、こ
の値を境にして急激に動摩擦トルクが増大し、B方向予
圧と同程度になることが判る。5°以下では、A方向予
圧の場合とB方向予圧の場合とで差がなくなる。すなわ
ち、初期接触角5°以上、好ましくは動摩擦トルクが充
分に低い値となる7°程度以上とし、かつ予圧方向を図
1、図2で表した方向(A方向)とするのが良い。尚、
本試験では初期接触角を最大で30°までとしている
が、初期接触角が大きすぎると玉が軌道面を乗り上げる
荷重が低下して軸受本来の機能を損ってしまう恐れが生
じるため、予圧荷重が大きい場合や予圧以外にアキシア
ル方向外力が加わることが想定される場合には、玉が軌
道面を乗り上げる角度を超えない範囲にする必要があ
る。例えば、本試験に用いたJIS695相当の軸受の
場合には初期接触角を20°以下にするのが良い。
【0011】また、各実施形態では玉軸受二個の組合せ
としているが、組合せの個数は二個に限定されるもので
なく、玉軸受一個でも同様の効果が得られ、二個を超え
る場合も同様である。
としているが、組合せの個数は二個に限定されるもので
なく、玉軸受一個でも同様の効果が得られ、二個を超え
る場合も同様である。
【0012】さらに、本発明は予圧方向と保持器装置の
方向性が重要な構成に成るが、軸受両端面に予め密封板
9が装着されている場合には保持器5の方向性が外観か
らは判別できない。そのため、保持器5の装着方向が判
るように、図5に示すように、軸方向(図5(a)の左
右方向)の一端面1aと他端面1bとの間に、上記保持
器5の組込み方向を判別可能とする形態(差異)を設け
ている。
方向性が重要な構成に成るが、軸受両端面に予め密封板
9が装着されている場合には保持器5の方向性が外観か
らは判別できない。そのため、保持器5の装着方向が判
るように、図5に示すように、軸方向(図5(a)の左
右方向)の一端面1aと他端面1bとの間に、上記保持
器5の組込み方向を判別可能とする形態(差異)を設け
ている。
【0013】この様に両端面1a,1b同士の間に差異
を設けるには、例えば次の構成が代表例として挙げられ
る。図5に示す様に、内輪2と外輪3の一方又は双方の
片端面2b,3bにのみ保持器組込み方向を示すマーク
10,10を付する事が考えられる。このマーク10,
10は、例えば図5(b)に示すように保持器ポケット
開口側5aの軸受内輪端面2bと外輪端面3bに付す
る。このように保持器ポケット開口側5aの軸受内輪端
面2bと外輪端面3bにマーク10,10を付すること
で、該マーク10,10の付されている端面が保持器ポ
ケット開口側5aを示すこととなる。なお、このマーク
10は、図示例とは逆に、保持器5のポケット反開口側
5bの軸受内輪端面2cと外輪端面3cに付することも
でき、このようにすることで、保持器5の組込み開始位
置側を示すこととなり、必然的にマークのない端面側が
保持器ポケット開口側5aであることが確認できる。マ
ーク10の一例として図5に示した×印は単なる例示に
すぎずこれに限定されるものではなく、任意に選択可能
である。マーク10は、刻設してもよく、また平面状・
突状に設けるものとしてもよく、さらにその数量・位置
も任意である。また、マーク10は、いずれか一方の密
封板9に設けることも出来る。
を設けるには、例えば次の構成が代表例として挙げられ
る。図5に示す様に、内輪2と外輪3の一方又は双方の
片端面2b,3bにのみ保持器組込み方向を示すマーク
10,10を付する事が考えられる。このマーク10,
10は、例えば図5(b)に示すように保持器ポケット
開口側5aの軸受内輪端面2bと外輪端面3bに付す
る。このように保持器ポケット開口側5aの軸受内輪端
面2bと外輪端面3bにマーク10,10を付すること
で、該マーク10,10の付されている端面が保持器ポ
ケット開口側5aを示すこととなる。なお、このマーク
10は、図示例とは逆に、保持器5のポケット反開口側
5bの軸受内輪端面2cと外輪端面3cに付することも
でき、このようにすることで、保持器5の組込み開始位
置側を示すこととなり、必然的にマークのない端面側が
保持器ポケット開口側5aであることが確認できる。マ
ーク10の一例として図5に示した×印は単なる例示に
すぎずこれに限定されるものではなく、任意に選択可能
である。マーク10は、刻設してもよく、また平面状・
突状に設けるものとしてもよく、さらにその数量・位置
も任意である。また、マーク10は、いずれか一方の密
封板9に設けることも出来る。
【0014】また、密封板9,9の色彩を、材質等を変
えることにより軸受一端側と他端側とで変える事によっ
ても、保持器5の組込み方向を外観で判別自在とするこ
ともできる。例えば、双方の密封板9,9の色や模様を
変えたり、また、一方の密封板を合成樹脂やゴム製と
し、他方の密封板を鋼材とすることでも判別可能であ
る。また、合成樹脂製とする場合、透明の材質を用いれ
ば密封板を透かして保持器の組込み方向が確認できる。
また、上述のように密封板9を軸受1の両端に装着する
のではなく、密封板9を軸受端面のいずれか一方にのみ
装着するものとすれば、保持器5の組込み方向を外観か
ら判別可能とすることもできる。すなわち、保持器5の
ポケット反開口側5bに位置する軸受端面若しくは保持
器5のポケット開口側5aに位置する軸受端面にのみ密
封板9を装着するものとすれば、密封板9装着側が保持
器ポケット開口側5a(若しくは保持器ポケット反開口
側5b)となり、保持器5の組込み方向が容易に判別可
能となる。更に、上記内輪2と外輪3の一方又は双方の
軸方向端縁部に切り欠き等の凹凸を形成して差異を設け
る事としても保持器組込み方向の判別が可能である。こ
れによれば、モータ軸に軸受を組み付ける為の自動機
が、上記切り欠き等の凹凸により保持器5の組込み方向
を判別しつつ、所定方向に組み付ける様に構成する事も
できる。
えることにより軸受一端側と他端側とで変える事によっ
ても、保持器5の組込み方向を外観で判別自在とするこ
ともできる。例えば、双方の密封板9,9の色や模様を
変えたり、また、一方の密封板を合成樹脂やゴム製と
し、他方の密封板を鋼材とすることでも判別可能であ
る。また、合成樹脂製とする場合、透明の材質を用いれ
ば密封板を透かして保持器の組込み方向が確認できる。
また、上述のように密封板9を軸受1の両端に装着する
のではなく、密封板9を軸受端面のいずれか一方にのみ
装着するものとすれば、保持器5の組込み方向を外観か
ら判別可能とすることもできる。すなわち、保持器5の
ポケット反開口側5bに位置する軸受端面若しくは保持
器5のポケット開口側5aに位置する軸受端面にのみ密
封板9を装着するものとすれば、密封板9装着側が保持
器ポケット開口側5a(若しくは保持器ポケット反開口
側5b)となり、保持器5の組込み方向が容易に判別可
能となる。更に、上記内輪2と外輪3の一方又は双方の
軸方向端縁部に切り欠き等の凹凸を形成して差異を設け
る事としても保持器組込み方向の判別が可能である。こ
れによれば、モータ軸に軸受を組み付ける為の自動機
が、上記切り欠き等の凹凸により保持器5の組込み方向
を判別しつつ、所定方向に組み付ける様に構成する事も
できる。
【0015】シール付転がり軸受の製造過程で、保持器
組込み方向に応じて上記両端面同士の間に差異を設ける
事は、特に面倒な作業を行なう事なく、容易且つ確実に
行なえる。上述の様に構成されるシール付玉軸受の場合
には、保持器組込み方向が外観から簡易かつ確実に判別
可能であるため、保持器組込み方向に応じてそれぞれの
軸受の組み付け方向の規制を確実に行なえる。上述の転
がり軸受1構成を採用すれば、軸受1の密封板9や軌道
輪(内輪2・外輪3)に、保持器5の組込み方向が外観
から判別できるように判別のための種々の差異を設けた
ため、例えば両端1a,1bに密封板9,9を装着した
軸受であっても、容易に外観から保持器5の方向性を知
ることができる。従って、簡単かつ確実に保持器ポケッ
ト開口側5aの内輪2に予圧Fa0を付与させることが
できるため、回転トルクやその変動、回転に同期しない
振動を低減させることが可能となる。
組込み方向に応じて上記両端面同士の間に差異を設ける
事は、特に面倒な作業を行なう事なく、容易且つ確実に
行なえる。上述の様に構成されるシール付玉軸受の場合
には、保持器組込み方向が外観から簡易かつ確実に判別
可能であるため、保持器組込み方向に応じてそれぞれの
軸受の組み付け方向の規制を確実に行なえる。上述の転
がり軸受1構成を採用すれば、軸受1の密封板9や軌道
輪(内輪2・外輪3)に、保持器5の組込み方向が外観
から判別できるように判別のための種々の差異を設けた
ため、例えば両端1a,1bに密封板9,9を装着した
軸受であっても、容易に外観から保持器5の方向性を知
ることができる。従って、簡単かつ確実に保持器ポケッ
ト開口側5aの内輪2に予圧Fa0を付与させることが
できるため、回転トルクやその変動、回転に同期しない
振動を低減させることが可能となる。
【0016】例えば図1の軸受装置によれば、図5に示
したマーク10が、図1において、軸方向上側の軸受1
にあっては内輪2と外輪3の一端面(図にて上方の端
面)2b,3cに、そして下側の軸受1にあっては内輪
2と外輪3の一端面(図にて下方の端面)2b,3cに
それぞれ付され、マーク10,10同士が対向していな
い状態で組み合わされている。また、図2の軸受装置に
よれば、図5に示したマーク10が、図2において、軸
方向上側の軸受1にあっては内輪2と外輪3の一端面
(図にて下方の端面)2c,3bに、そして下側の軸受
1にあっては内輪2と外輪3の一端面(図にて上方の端
面)2c,3bにそれぞれ付され、マーク10,10同
士が対向している状態で組み合わされている。
したマーク10が、図1において、軸方向上側の軸受1
にあっては内輪2と外輪3の一端面(図にて上方の端
面)2b,3cに、そして下側の軸受1にあっては内輪
2と外輪3の一端面(図にて下方の端面)2b,3cに
それぞれ付され、マーク10,10同士が対向していな
い状態で組み合わされている。また、図2の軸受装置に
よれば、図5に示したマーク10が、図2において、軸
方向上側の軸受1にあっては内輪2と外輪3の一端面
(図にて下方の端面)2c,3bに、そして下側の軸受
1にあっては内輪2と外輪3の一端面(図にて上方の端
面)2c,3bにそれぞれ付され、マーク10,10同
士が対向している状態で組み合わされている。
【0017】
【発明の効果】軸受装置の回転に伴い、軸受中のグリー
スに流動が生じるが、軸受に予圧荷重を付与すると、そ
の流れは軸方向左右で不均等になる。つまり、グリース
は玉と内輪あるいは外輪との反接触点側に集まることが
判っているが、本発明によると、保持器ポケット開口側
の内輪と保持器ポケット反開口側の外輪に予圧を付与
し、更に初期接触角を5°以上としたため、流動したグ
リースが空間容積の小さい保持器背面側の外輪内径側に
堆積しずらいため、保持器背面側外径との間で攪拌に伴
う抵抗が生じずらい。そのため、この軸受装置の動摩擦
トルクの増大を防止できる。
スに流動が生じるが、軸受に予圧荷重を付与すると、そ
の流れは軸方向左右で不均等になる。つまり、グリース
は玉と内輪あるいは外輪との反接触点側に集まることが
判っているが、本発明によると、保持器ポケット開口側
の内輪と保持器ポケット反開口側の外輪に予圧を付与
し、更に初期接触角を5°以上としたため、流動したグ
リースが空間容積の小さい保持器背面側の外輪内径側に
堆積しずらいため、保持器背面側外径との間で攪拌に伴
う抵抗が生じずらい。そのため、この軸受装置の動摩擦
トルクの増大を防止できる。
【図1】本発明軸受装置の第一実施形態を示す概略断面
図。
図。
【図2】第二実施形態を示す概略断面図。
【図3】本発明の効果を示した実験結果のグラフ。
【図4】予圧方向を示す概略図で、(a)はA方向予
圧、(b)はB方向予圧の場合を示す。
圧、(b)はB方向予圧の場合を示す。
【図5】保持器の組込み方向を判別可能とする差異を設
けた図で、(a)は概略断面図、(b)は正面図。
けた図で、(a)は概略断面図、(b)は正面図。
【図6】冠形保持器の斜視図。
【図7】従来技術の断面図。
1:玉軸受
2:内輪
3:外輪
4:玉
5:冠形保持器
6:軸
9:密封板
10:マーク
Claims (4)
- 【請求項1】内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面
に内輪軌道を有する内輪と、これら外輪と内輪の間に相
対回転自在に配置された冠形保持器と、この冠形保持器
に設けた複数のポケット内にそれぞれ転動自在に保持さ
れた玉を備えた玉軸受を軸に固定してなる軸受装置にお
いて、玉と軌道面の接する初期接触角を5°以上とし、
かつ保持器ポケット開口側の内輪と保持器ポケット反開
口側の外輪に予圧を付与したことを特徴とする軸受装
置。 - 【請求項2】軸に二個の玉軸受を固定してなり、該二個
の玉軸受における各保持器は、夫々のポケット反開口側
同士が向き合うように組み込まれていることを特徴とす
る請求項1に記載の軸受装置。 - 【請求項3】軸に二個の玉軸受を固定してなり、該二個
の玉軸受における各保持器は、夫々のポケット開口側同
士が向き合うように組み込まれていることを特徴とする
請求項1に記載の軸受装置。 - 【請求項4】玉軸受の両端に密封板を設け、軸方向一端
面と軸方向他端面との間に、保持器組込み方向を判別可
能とする差異を設けたことを特徴とする請求項1乃至3
のいずれかに記載の軸受装置。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001260293A JP2003065325A (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | 軸受装置 |
US10/190,837 US6896415B2 (en) | 2001-07-10 | 2002-07-09 | Rolling bearing and bearing apparatus |
CNB021409080A CN1215269C (zh) | 2001-07-10 | 2002-07-10 | 轴承装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001260293A JP2003065325A (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | 軸受装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003065325A true JP2003065325A (ja) | 2003-03-05 |
Family
ID=19087519
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001260293A Pending JP2003065325A (ja) | 2001-07-10 | 2001-08-29 | 軸受装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003065325A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013174339A (ja) * | 2012-02-27 | 2013-09-05 | Seiko Instruments Inc | 転がり軸受、軸受装置、情報記録再生装置及び転がり軸受の製造方法 |
-
2001
- 2001-08-29 JP JP2001260293A patent/JP2003065325A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013174339A (ja) * | 2012-02-27 | 2013-09-05 | Seiko Instruments Inc | 転がり軸受、軸受装置、情報記録再生装置及び転がり軸受の製造方法 |
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