JP2003058149A - 周波数解析方法および音響信号の符号化方法 - Google Patents
周波数解析方法および音響信号の符号化方法Info
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Abstract
る場合であっても、正確にその信号成分を抽出すること
ができ、さらには、精度の高い符号化を行うことが可能
な周波数解析方法および音響信号の符号化方法を提供す
る。 【解決手段】 音響信号に対して単位区間を設定して区
間信号の抽出を行い(S1)、区間信号に対して短時間
フーリエ変換を用いて、微細な間隔で設定された各周波
数に対応する調和信号との相関演算を行う(S2)。相
関演算の結果、ピークとなる微細周波数を選出し(S
3)、選出されたピーク周波数に対応する調和信号に限
って区間信号との相関を、一般化調和解析の手法により
求め、求めた相関値、および対応するピーク周波数に最
も近い標準周波数の組を周波数成分として抽出する(S
4)。
Description
オ、テレビ)、通信メディア(CS映像・音声配信、イ
ンターネット音楽配信、通信カラオケ)、パッケージメ
ディア(CD、MD、カセット、ビデオ、LD、CD−
ROM、ゲームカセット、携帯音楽プレーヤ向け固体メ
モリ媒体)などで提供する各種オーディオコンテンツの
制作、並びに、音楽演奏録音信号から楽譜出版、通信カ
ラオケ配信用MIDIデータ、演奏ガイド機能付き電子
楽器向け自動演奏データ、携帯電話・PHS・ポケベル
などの着信メロディデータを自動的に作成する自動採譜
技術に関する。
その構成要素として複数の周期信号が含まれている。こ
のため、与えられた時系列信号にどのような周期信号が
含まれているかを解析する手法は、古くから知られてい
る。例えば、フーリエ解析は、与えられた時系列信号に
含まれる周波数成分を解析するための方法として広く利
用されている。
れば、音響信号を符号化することも可能である。コンピ
ュータの普及により、原音となるアナログ音響信号を所
定のサンプリング周波数でサンプリングし、各サンプリ
ング時の信号強度を量子化してデジタルデータとして取
り込むことが容易にできるようになってきており、こう
して取り込んだデジタルデータに対してフーリエ解析な
どの手法を適用し、原音信号に含まれていた周波数成分
を抽出すれば、各周波数成分を示す符号によって原音信
号の符号化が可能になる。
うという発想から生まれたMIDI(Musical Instrume
nt Digital Interface)規格も、パーソナルコンピュー
タの普及とともに盛んに利用されるようになってきてい
る。このMIDI規格による符号データ(以下、MID
Iデータという)は、基本的には、楽器のどの鍵盤キー
を、どの程度の強さで弾いたか、という楽器演奏の操作
を記述したデータであり、このMIDIデータ自身に
は、実際の音の波形は含まれていない。そのため、実際
の音を再生する場合には、楽器音の波形を記憶したMI
DI音源が別途必要になるが、その符号化効率の高さが
注目を集めており、MIDI規格による符号化および復
号化の技術は、現在、パーソナルコンピュータを用いて
楽器演奏、楽器練習、作曲などを行うソフトウェアに広
く採り入れられている。
に対して、所定の手法で解析を行うことにより、その構
成要素となる周期信号を抽出し、抽出した周期信号をM
IDIデータを用いて符号化しようとする提案がなされ
ている。例えば、特開平10−247099号公報、特
開平11−73199号公報、特開平11−73200
号公報、特開平11−95753号公報、特開2000
−99009号公報、特開2000−99092号公
報、特開2000−99093号公報、特開2000−
261322号公報、特開2001−5450号公報、
特開2001−148633号公報には、任意の時系列
信号について、構成要素となる周波数を解析し、その解
析結果からMIDIデータを作成することができる種々
の方法が提案されている。
との相関を求める際に、音階で特定される標準周波数よ
り細かい間隔で微細周波数を設定し、この微細周波数に
対応した周期関数を用いて行っている。音響信号として
再生可能とするためには、標準周波数に対応して符号化
する必要があるので、具体的には、相関値が高い微細周
波数を求め、その相関値をその微細周波数に最も近い標
準周波数の値として符号化している。この際、相関値が
高い微細周波数が隣接する標準周波数間の境界付近に存
在する場合には、他の信号成分による影響を受けるもの
と判断し、符号化対象として抽出しない処理を行ってい
る。
ように隣接する標準周波数間の境界付近に相関値の大き
い微細周波数が存在した場合に、その微細周波数を抽出
しないようにすると、実際に境界部分に信号成分が存在
していたとしても削除してしまうことになり、逆にこの
微細周波数を抽出するようにすると、他の信号成分によ
る影響であって実際には存在していなくても抽出してし
まうことになるという問題が生じている。
波数間の境界付近に信号成分が存在する場合であって
も、正確にその信号成分を抽出することができ、さらに
は、精度の高い符号化を行うことが可能な周波数解析方
法および音響信号の符号化方法を提供することを課題と
する。
め、本発明では、時系列信号から所定の標準周波数に対
応した信号成分を分離するための周波数解析方法とし
て、前記標準周波数の間隔よりも微細な間隔で複数の微
細周波数を設定し、各微細周波数に対応する複数の調和
信号集合を準備する調和信号準備段階と、前記各標準周
波数に対応する相関値を格納するための主相関配列と、
各微細周波数に対応する相関値を格納するための微細相
関配列を準備する配列準備段階と、前記時系列信号に所
定の長さの単位区間を設定し、区間信号を抽出するため
の区間信号抽出段階と、前記全ての調和信号と前記区間
信号との相関を演算して、各微細周波数に対応する相関
値を算出し、前記微細相関配列に算出された相関値を設
定する相関演算段階と、前記微細相関配列中の相関配列
より周囲の微細周波数における相関値に比べ局所的にピ
ークとなる微細周波数を複数抽出するピーク周波数選出
段階と、前記各ピークとなる微細周波数に対応する調和
信号と前記区間信号との相関を再度演算し、前記微細周
波数の最近傍の標準周波数に対応する主相関配列に設定
し、前記再度算出された相関値と調和信号との積で生成
される含有信号を前記区間信号から減じ、差分信号を新
たに区間信号とすることにより区間信号を更新する処理
を抽出された全てのピークに対して順次行って主相関配
列の値を決定するスペクトル算出段階を有することを特
徴とする。
隔で微細周波数を設定し、各微細周波数の区間信号に対
する相関を求め、相関値が局所的にピークとなっている
微細周波数(以下、ピーク周波数という)を複数選出
し、選出された複数のピーク周波数と区間信号との相関
を一般化調和解析の手法により求め、算出した相関値を
対応するピーク周波数に最も近い標準周波数の相関値と
して、抽出すべき周波数成分を決定するようにしたの
で、隣接する標準周波数間の境界付近に位置する微細周
波数がピークとなる場合であっても、正確に周波数成分
を抽出することが可能となる。
図面を参照して詳細に説明する。
波数解析方法および音響信号符号化方法の基本原理を述
べておく。この基本原理は、前掲の各公報に開示されて
いるので、ここではその概要のみを簡単に述べることに
する。
てアナログ音響信号が与えられたものとする。図1の例
では、横軸に時間t、縦軸に振幅(強度)をとって、こ
の音響信号を示している。ここでは、まずこのアナログ
音響信号を、デジタルの音響データとして取り込む処理
を行う。これは、従来の一般的なPCMの手法を用い、
所定のサンプリング周波数でこのアナログ音響信号をサ
ンプリングし、振幅を所定の量子化ビット数を用いてデ
ジタルデータに変換する処理を行えば良い。ここでは、
説明の便宜上、PCMの手法でデジタル化した音響デー
タの波形も図1(a)のアナログ音響信号と同一の波形
で示すことにする。
間軸上に、複数の単位区間を設定する。図1(a)に示
す例では、時間軸t上に等間隔に6つの時刻t1〜t6
が定義され、これら各時刻を始点および終点とする5つ
の単位区間d1〜d5が設定されている。図1の例で
は、全て同一の区間長をもった単位区間が時間軸上で重
複せずに設定されているが、隣接する単位区間が時間軸
上で部分的に重なり合うような区間設定を行ってもかま
わない。
区間ごとの音響信号(以下、区間信号と呼ぶことにす
る)について、それぞれ代表周波数を選出する。各区間
信号には、通常、様々な周波数成分が含まれているが、
例えば、その中で成分の強度割合の大きな周波数成分を
代表周波数として選出すれば良い。ここで、代表周波数
とはいわゆる基本周波数が一般的であるが、音声のフォ
ルマント周波数などの倍音周波数や、ノイズ音源のピー
ク周波数も代表周波数として扱うことがある。代表周波
数は1つだけ選出しても良いが、音響信号によっては複
数の代表周波数を選出した方が、より精度の高い符号化
が可能になる。図1(b)には、個々の単位区間ごとに
それぞれ3つの代表周波数を選出し、1つの代表周波数
を1つの代表符号(図では便宜上、音符として示してあ
る)として符号化した例が示されている。ここでは、代
表符号(音符)を収容するために3つのトラックT1,
T2,T3が設けられているが、これは個々の単位区間
ごとに選出された3つずつの代表符号を、それぞれ異な
るトラックに収容するためである。
代表符号n(d1,1),n(d1,2),n(d1,
3)は、それぞれトラックT1,T2,T3に収容され
ている。ここで、各符号n(d1,1),n(d1,
2),n(d1,3)は、MIDI符号におけるノート
ナンバーを示す符号である。MIDI符号におけるノー
トナンバーは、0〜127までの128通りの値をと
り、それぞれピアノの鍵盤の1つのキーを示すことにな
る。具体的には、例えば、代表周波数として440Hz
が選出された場合、この周波数はノートナンバーn=6
9(ピアノの鍵盤中央の「ラ音(A3音)」に対応)に
相当するので、代表符号としては、n=69が選出され
ることになる。もっとも、図1(b)は、上述の方法に
よって得られる代表符号を音符の形式で示した概念図で
あり、実際には、各音符にはそれぞれ強度に関するデー
タも付加されている。例えば、トラックT1には、ノー
トナンバーn(d1,1),n(d2,1)・・・なる
音高を示すデータとともに、e(d1,1),e(d
2,1)・・・なる強度を示すデータが収容されること
になる。この強度を示すデータは、各代表周波数の成分
が、元の区間信号にどの程度の度合いで含まれていたか
によって決定される。具体的には、各代表周波数をもっ
た周期関数の区間信号に対する相関値に基づいて強度を
示すデータが決定されることになる。また、図1(b)
に示す概念図では、音符の横方向の位置によって、個々
の単位区間の時間軸上での位置が示されているが、実際
には、この時間軸上での位置を正確に数値として示すデ
ータが各音符に付加されていることになる。
しもMIDI形式を採用する必要はないが、この種の符
号化形式としてはMIDI形式が最も普及しているた
め、実用上はMIDI形式の符号データを用いるのが好
ましい。MIDI形式では、「ノートオン」データもし
くは「ノートオフ」データが、「デルタタイム」データ
を介在させながら存在する。「ノートオン」データは、
特定のノートナンバーNとベロシティーVを指定して特
定の音の演奏開始を指示するデータであり、「ノートオ
フ」データは、特定のノートナンバーNとベロシティー
Vを指定して特定の音の演奏終了を指示するデータであ
る。また、「デルタタイム」データは、所定の時間間隔
を示すデータである。ベロシティーVは、例えば、ピア
ノの鍵盤などを押し下げる速度(ノートオン時のベロシ
ティー)および鍵盤から指を離す速度(ノートオフ時の
ベロシティー)を示すパラメータであり、特定の音の演
奏開始操作もしくは演奏終了操作の強さを示すことにな
る。
について、代表符号としてJ個のノートナンバーn(d
i,1),n(di,2),・・・,n(di,J)が
得られ、このそれぞれについて強度e(di,1),e
(di,2),・・・,e(di,J)が得られる。そ
こで、次のような手法により、MIDI形式の符号デー
タを作成することができる。まず、「ノートオン」デー
タもしくは「ノートオフ」データの中で記述するノート
ナンバーNとしては、得られたノートナンバーn(d
i,1),n(di,2),・・・,n(di,J)を
そのまま用いれば良い。一方、「ノートオン」データも
しくは「ノートオフ」データの中で記述するベロシティ
ーVとしては、得られた強度e(di,1),e(d
i,2),・・・,e(di,J)を所定の方法で規格
化した値を用いれば良い。また、「デルタタイム」デー
タは、各単位区間の長さに応じて設定すれば良い。
方法)上述した基本原理の基づく方法では、区間信号に
対して、1つまたは複数の代表周波数が選出され、この
代表周波数をもった周期信号によって、当該区間信号が
表現されることになる。ここで、選出される代表周波数
は、文字どおり、当該単位区間内の信号成分を代表する
周波数である。この代表周波数を選出する具体的な方法
には、後述するように、短時間フーリエ変換を利用する
方法と、一般化調和解析の手法を利用する方法とがあ
る。いずれの方法も、基本的な考え方は同じであり、あ
らかじめ周波数の異なる複数の周期関数を用意してお
き、これら複数の周期関数の中から、当該単位区間内の
区間信号に対する相関が高い周期関数を見つけ出し、こ
の相関の高い周期関数の周波数を代表周波数として選出
する、という手法を採ることになる。すなわち、代表周
波数を選出する際には、あらかじめ用意された複数の周
期関数と、単位区間内の区間信号との相関を求める演算
を行うことになる。そこで、ここでは、周期関数との相
関を求める具体的な方法を述べておく。
三角関数が用意されているものとする。これらの三角関
数は、同一周波数をもった正弦関数と余弦関数との対か
ら構成されており、128通りの標準周波数f(0)〜
f(127)のそれぞれについて、正弦関数および余弦
関数の対が定義されていることになる。ここでは、同一
の周波数をもった正弦関数および余弦関数からなる一対
の関数を、当該周波数についての周期関数として定義す
ることにする。すなわち、ある特定の周波数についての
周期関数は、一対の正弦関数および余弦関数によって構
成されることになる。このように、一対の正弦関数と余
弦関数とにより周期関数を定義するのは、信号に対する
周期関数の相関値を求める際に、相関値が位相の影響を
受ける事を考慮するためである。なお、図2に示す各三
角関数内の変数Fおよびkは、区間信号Xについてのサ
ンプリング周波数Fおよびサンプル番号kに相当する変
数である。例えば、周波数f(0)についての正弦波
は、sin(2πf(0)k/F)で示され、任意のサ
ンプル番号kを与えると、区間信号を構成する第k番目
のサンプルと同一時間位置における周期関数の振幅値が
得られる。
(0)〜f(127)を図3に示すような式で定義した
例を示すことにする。すなわち、第n番目(0≦n≦1
27)の標準周波数f(n)は、以下に示す〔数式1〕
で定義されることになる。
ておくと、最終的にMIDIデータを用いた符号化を行
う際に便利である。なぜなら、このような定義によって
設定される128通りの標準周波数f(0)〜f(12
7)は、等比級数をなす周波数値をとることになり、M
IDIデータで利用されるノートナンバーに対応した周
波数になるからである。したがって、図2に示す128
通りの標準周波数f(0)〜f(127)は、対数尺度
で示した周波数軸上に等間隔(MIDIにおける半音単
位)に設定した周波数ということになる。
周期関数の相関の求め方について、具体的な説明を行
う。例えば、図4に示すように、ある単位区間dについ
て区間信号Xが与えられていたとする。ここでは、区間
長Lをもった単位区間dについて、サンプリング周波数
Fでサンプリングが行なわれており、全部でw個のサン
プル値が得られているものとし、サンプル番号を図示の
ように、0,1,2,3,・・・,k,・・・,w−
2,w−1とする(白丸で示す第w番目のサンプルは、
右に隣接する次の単位区間の先頭に含まれるサンプルと
する)。この場合、任意のサンプル番号kについては、
X(k)なる振幅値がデジタルデータとして与えられて
いることになる。短時間フーリエ変換においては、X
(k)に対して各サンプルごとに中央の重みが1に近
く、両端の重みが0に近くなるような窓関数W(k)を
乗ずることが通常である。すなわち、X(k)×W
(k)をX(k)と扱って以下のような相関計算を行う
もので、窓関数の形状としては余弦波形状のハミング窓
が一般に用いられている。ここで、wは以下の記述にお
いても定数のような記載をしているが、一般にはnの値
に応じて変化させ、区間長Lを超えない範囲で最大とな
るF/f(n)の整数倍の値に設定することが望まし
い。
の標準周波数f(n)をもった正弦関数Rnとの相関値
を求める原理を示す。両者の相関値A(n)は、図5の
第1の演算式によって定義することができる。ここで、
X(k)は、図4に示すように、区間信号Xにおけるサ
ンプル番号kの振幅値であり、sin(2πf(n)k
/F)は、時間軸上での同位置における正弦関数Rnの
振幅値である。この第1の演算式は、単位区間d内の全
サンプル番号k=0〜w−1の次元について、それぞれ
区間信号Xの振幅値と正弦関数Rnの振幅ベクトルの内
積を求める式ということができる。
Xと、第n番目の標準周波数f(n)をもった余弦関数
との相関値を求める式であり、両者の相関値はB(n)
で与えられる。なお、相関値A(n)を求めるための第
1の演算式も、相関値B(n)を求めるための第2の演
算式も、最終的に2/wが乗ぜられているが、これは相
関値を規格化するためのものでり、前述のとおりwはn
に依存して変化させるのが一般的であるため、この係数
もnに依存する変数である。
標準周期関数との相関実効値は、図5の第3の演算式に
示すように、正弦関数との相関値A(n)と余弦関数と
の相関値B(n)との二乗和平方根値E(n)によって
示すことができる。この相関実効値の大きな標準周期関
数の周波数を代表周波数として選出すれば、この代表周
波数を用いて区間信号Xを符号化することができる。
準以上の大きさとなる1つまたは複数の標準周波数を代
表周波数として選出すれば良い。なお、ここで「相関値
E(n)が所定の基準以上の大きさとなる」という選出
条件は、例えば、何らかの閾値を設定しておき、相関値
E(n)がこの閾値を超えるような標準周波数f(n)
をすべて代表周波数として選出する、という絶対的な選
出条件を設定しても良いが、例えば、相関値E(n)の
大きさの順にQ番目までを選出する、というような相対
的な選出条件を設定しても良い。
本発明に係る音響信号の符号化を行う際に有用な一般化
調和解析の手法について説明する。既に説明したよう
に、音響信号を符号化する場合、個々の単位区間内の区
間信号について、相関値の高いいくつかの代表周波数を
選出することになる。一般化調和解析は、より高い精度
で代表周波数の選出を可能にする手法であり、その基本
原理は次の通りである。
て、信号S(j)なるものが存在するとする。ここで、
jは後述するように、繰り返し処理のためのパラメータ
である(j=1〜J)。まず、この信号S(j)に対し
て、図2に示すような128通りの周期関数すべてにつ
いての相関値を求める。そして、最大の相関値が得られ
た1つの周期関数の周波数を代表周波数として選出し、
当該代表周波数をもった周期関数を要素関数として抽出
する。続いて、図6(b)に示すような含有信号G
(j)を定義する。この含有信号G(j)は、抽出され
た要素関数に、その振幅として、当該要素関数の信号S
(j)に対する相関値を乗じることにより得られる信号
である。例えば、周期関数として図2に示すように、一
対の正弦関数と余弦関数とを用い、周波数f(n)が代
表周波数として選出された場合、振幅A(n)をもった
正弦関数A(n)sin(2πf(n)k/F)と、振
幅B(n)をもった余弦関数B(n)cos(2πf
(n)k/F)との和からなる信号が含有信号G(j)
ということになる(図6(b)では、図示の便宜上、一
方の関数しか示していない)。ここで、A(n),B
(n)は、図5の式で得られる規格化された相関値であ
るから、結局、含有信号G(j)は、信号S(j)内に
含まれている周波数f(n)をもった信号成分というこ
とができる。
ら、信号S(j)から含有信号G(j)を減じることに
より、差分信号S(j+1)を求める。図6(c)は、
このようにして求まった差分信号S(j+1)を示して
いる。この差分信号S(j+1)は、もとの信号S
(j)の中から、周波数f(n)をもった信号成分を取
り去った残りの信号成分からなる信号ということができ
る。そこで、パラメータjを1だけ増加させることによ
り、この差分信号S(j+1)を新たな信号S(j)と
して取り扱い、同様の処理を、パラメータjをj=1〜
Jまで1ずつ増やしながらJ回繰り返し実行すれば、J
個の代表周波数を選出することができる。
るJ個の含有信号G(1)〜G(J)は、もとの区間信
号Xの構成要素となる信号であり、もとの区間信号Xを
符号化する場合には、これらJ個の含有信号の周波数を
示す情報および振幅(強度)を示す情報を符号データと
して用いるようにすれば良い。尚、Jは代表周波数の個
数であると説明してきたが、標準周波数f(n)の個数
と同一すなわちJ=128であってもよく、周波数スペ
クトルを求める目的においてはそのように行うのが通例
である。
いて、各周波数に対する強度値の集合である周波数群が
得られることになる。このようにして所定数の周波数群
が選出されたら、この周波数群の各周波数に対応する
「音の高さを示す情報」、選出された各周波数の信号強
度に対応する「音の強さを示す情報」、当該単位区間の
始点に対応する「音の発音開始時刻を示す情報」、当該
単位区間に後続する単位区間の始点に対応する「音の発
音終了時刻を示す情報」、の4つの情報を含む所定数の
符号データを作成すれば、当該単位区間内の区間信号X
を所定数の符号データにより符号化することができる。
符号データとして、MIDIデータを作成するのであれ
ば、「音の高さを示す情報」としてノートナンバーを用
い、「音の強さを示す情報」としてベロシティーを用
い、「音の発音開始時刻を示す情報」としてノートオン
時刻を用い、「音の発音終了時刻を示す情報」としてノ
ートオフ時刻を用いるようにすれば良い。
音響信号の符号化方法)以下、本発明に係る周波数解析
方法および音響信号の符号化方法について説明してい
く。上述のように、従来の手法では、微細周波数に対す
る相関値を求め、各標準周波数の範囲において、最大の
相関値を当該標準周波数の相関値としている。例えば、
原音響信号のスペクトルが図7(a)に示すような状態
となるものを考えてみる。なお、図7において、横軸は
周波数、縦軸は強度値もしくは相関値である。図7
(a)においては、ノートナンバーnの範囲(標準周波
数f(n)の範囲)に含まれる音と、ノートナンバーn
+1の範囲に含まれる音が発せられていることになる。
これを短時間フーリエ変換の手法により、各微細周波数
についての相関を求めると、図7(b)に示すようにな
る。図7(b)においては、各標準周波数間を13に分
割した間隔で微細周波数が設定されている。従来の符号
化では、ここで各ノートナンバーの範囲内において、最
大の相関値となるものを抽出する。この際、各ノートナ
ンバーの範囲において、境界部分に存在するものは、他
の信号成分の影響であるとみなして抽出しないようにし
ている。そのため、図7(c)に示すようにノートナン
バーnからは最大の相関値が抽出されるが、ノートナン
バーn+1からは抽出されないことになる。
ーの範囲において最大の相関値を抽出するのではなく、
ピークとなる相関値を抽出するようにする。ピークとな
る相関値とは、自身の両側の微細周波数の相関値が自身
よりも小さくなっているものをいう。ピークとなる相関
値を抽出した場合には、それ自身がピークであるために
他の信号成分の影響を受けているということは考えにく
い。そのため、ノートナンバーの範囲の境界部分に存在
していても抽出するものとする。したがって、図7
(b)に示したような相関値の集合から図7(d)に示
すような信号成分が抽出されることになる。
ものを考えてみる。図8(a)に示すような2つの音が
発せられたとすると、短時間フーリエ変換の手法によ
り、図8(b)に示すような各微細周波数に対応する相
関値が得られる。従来の手法では、図8(c)に示すよ
うに、ノートナンバーnからは抽出されるが、ノートナ
ンバーn+1からは抽出されないということになるが、
本発明によれば、図8(d)に示すようにそれぞれのノ
ートナンバーに対応した周波数成分が抽出されることに
なる。
て、音響信号を符号化する場合を例にとって、図9に示
すフローチャートを用いて説明する。まず、時系列の音
響信号に対して単位区間を設定して区間信号の抽出を行
う(ステップS1)。これは、上記(基本原理)の項に
おいて、図1を用いて説明したように、所定の長さの単
位区間が設定され、抽出が行われる。
備された調和信号との相関を算出する(ステップS
2)。この調和信号とは、上記(周期関数との相関を求
める具体的な方法)の項で説明した周期関数と同じもの
である。ただし、図2の例では、ノートナンバーに対応
した128個の標準周波数を設定したが、本発明では、
各標準周波数間に等比級数の間隔で12個の微細周波数
を設定し、全部で128×13個の調和信号を用意す
る。例えば、隣接する標準周波数f(n)とf(n+
1)間では、f(n+1/13)〜f(n+12/1
3)の12個の微細周波数が設定されることになる。こ
のステップS2においては、区間信号と128×13個
の調和信号との相関を短時間フーリエ変換の手法により
求める。この結果、128×13個の各微細周波数に対
応する相関値が得られる。この相関値は、あらかじめ準
備された微細相関配列に格納される。
クとなる微細周波数(以下、ピーク周波数という)を選
出する(ステップS3)。具体的には、算出された12
8×13個の相関値を基に、隣接する両側の微細周波数
の相関値よりも、自身の相関値が大きくなっている微細
周波数を選出する。
る調和信号と、区間信号との相関を一般化調和解析の手
法により求める(ステップS4)。具体的には、上記
(一般化調和解析の手法)の項で説明したのと同様に、
まず、選出されたピーク周波数のうち、相関値が最大の
ものに対応する調和信号と区間信号S(1)(=X)と
の相関を求める。続いて、このときの調和信号に、その
振幅として算出された相関値を乗じることにより得られ
る信号を含有信号G(1)とし、この含有信号G(1)
を区間信号S(1)から減じることにより差分信号S
(2)を得る。次に、ステップS3において選出された
ピーク周波数のうち、区間信号Xとの相関値が2番目に
大きいピーク周波数の調和信号と、差分信号S(2)と
の相関を求め、含有信号G(2)を区間信号から減じる
ことにより差分信号S(3)を得る。このようにして、
一般化調和解析の手法により、選出された全てのピーク
周波数の相関値を求めていく。このピーク周波数は、微
細周波数に対応しているため、符号化の際には、ノート
ナンバーに対応した標準周波数に戻す必要がある。その
ため、算出された相関値を、ピーク周波数に最も近い標
準周波数に対応する相関値として、主相関配列に設定す
る。これにより、標準周波数とその相関値の組が複数得
られることになり、この標準周波数をノートナンバーと
し、相関値をベロシティとすることにより、MIDI規
格の符号化データが得られる。
より、音響信号全体の符号化が可能となる。なお、単位
区間については、図1に示したように、前の単位区間の
終了時刻と後の単位区間の開始時刻が同一となるように
設定されるのは、まれであり、前の単位区間と後の単位
区間が重なるように設定されることの方が多い。
上記ステップS3・S4においては、1回だけピーク周
波数を選出し、選出された各ピーク周波数について一般
化調和解析の手法により相関値を算出したが、同様の処
理を再度行うことにより解析精度および符号化精度を高
めることができる。このような場合について、以下説明
する。上記ステップS4のように区間信号Xから含有信
号を減じる処理を繰り返し行っていくことにより、異な
った区間信号X’が得られることになる。この区間信号
X’に対してステップS2〜ステップS4の処理を繰り
返す。
ては、既に主相関配列に相関値が格納された標準周波数
に該当するものは除かれる。例えば、標準周波数f
(n)に対応する相関値が主相関配列に設定されている
場合には、微細周波数f(n−6/13)〜f(n+6
/13)は、区間信号X’との相関算出の対象から外さ
れる。残った微細周波数に対応する調和信号と区間信号
X’との相関を短時間フーリエ変換の手法により求めら
れ、算出された相関値は微細相関配列に格納される。
た相関値に基づいて再びピーク周波数を選出した後、ス
テップS4において、選出された各ピーク周波数と区間
信号X’との相関を求めた後、算出された相関値を主相
関配列に設定する。
回でも繰り返すことが可能であるが、音響信号の符号化
処理を行う場合には、2回程度で十分である。2回行う
と、MIDI規格で同時発音可能な64音程度は抽出で
きるためである。
数成分の決定)上記ステップS4における標準周波数の
決定および相関値の算出は、ピーク周波数の近傍にある
標準周波数を、算出された相関値に対応するものとして
決定した。これは、1つの標準周波数の範囲に含まれる
ピーク周波数が1つだけである場合には問題ないが、1
つの標準周波数の範囲に含まれるピーク周波数が複数あ
る場合には、そのどちらを選ぶかが問題となる。そのた
め、後者の場合には、1つの標準周波数に含まれるピー
ク周波数のうち、短時間フーリエ変換による相関値が最
大のものだけをピーク周波数として選出し、一般化調和
解析の手法により区間信号Xとの相関を求めるようにす
る。
な周波数成分の抽出処理および抽出した周波数成分の符
号化は各単位区間ごとに行われるが、上述のように単位
区間の設定は固定ではなく、状況に応じて変更すること
が可能である。このとき、1つの単位区間の長さをどの
ように設定するかは、解析結果に大きな影響を与える重
要な問題である。すなわち、区間長を短く設定すればす
るほど、時間分解能が向上するため、音声信号(ボーカ
ル信号)などの周波数変化を解析するには好都合である
が、逆に、周波数分解能は低下するため、解析精度は低
下するという問題が生じることになる。そこで従来は、
1つの単位区間の中に、解析に最も都合が良いと思われ
るサンプル数(例えば、1024サンプル)が含まれる
ように、標準的な区間長をあらかじめ定めておき、この
固定の区間長に基づいて時間軸を機械的に区切ってゆく
という方法を採るのが一般的であった。
に設定するという方法では、解析対象となる時系列信号
がどのような信号であるかに関わらず、常に一義的な区
間設定が行われることになるため、単位区間の境界部分
において不連続性が生じるおそれがある。すなわち、隣
接する単位区間についての周波数解析の結果に大きな差
が生じてしまうことがある。一般に、得られた周波数解
析の結果を、スペクトルのグラフとして観察するために
利用するような場合には、単位区間の境界において解析
結果に差が生じていても、大きな問題にはならない。と
ころが、音響信号に対する解析結果を利用して、原音響
信号に対応する符号データを作成するような場合、境界
部分における不連続性は大きな問題となる。このような
方法で符号化されたデータに基づいて、原音響信号を再
生しようとすると、単位区間の境界において、音程の急
激な変動が生じたり、音とびが生じたりすることにな
る。
ために、時間軸上において単位区間を部分的に重複させ
て設定する方法も提案されているが、この場合も重複さ
せる量が固定であるため、本来重複させる必要のない箇
所まで重複して処理することになり、無駄な演算処理が
増加するという問題が生じることになる。本発明では、
時系列信号を解析する際に、単位区間の境界において、
音の連続性を保つと共に、単位区間の重複を最小限に抑
えるようにした単位区間の設定についても工夫を行って
いるので、以下に説明する。
における短時間フーリエ変換により得られた相関値を利
用することにより単位区間の設定を行うようにしたこと
を特徴としている。具体的には、ある単位区間において
周波数成分の抽出を行う際に、ステップS2において最
初に得られる微細相関配列の値を、区間決定のために用
いる直前相関配列にコピーしておく。そして、ステップ
S2〜ステップS4の処理を所定の回数だけ行って、1
つの単位区間において抽出すべき周波数成分を決定した
後、次の単位区間の位置を設定する。本発明において
は、単位区間は固定長であるため、単位区間の開始位置
が定まれば、単位区間が決定する。従って本発明におい
ては、前の単位区間の開始位置から後の単位区間の開始
位置までの送り幅を定めることにより、後の単位区間が
決定されることになる。
これから位置を決定する単位区間の類似度を求める(ス
テップS6)。具体的には、ピーク周波数選出のため
に、ステップS2で行った短時間フーリエ変換の結果得
られた微細相関配列の値を利用して以下の〔数式2〕に
より算出する。
/{ΣkSdn-1(k) 2}1/ 2
定しようとしている単位区間dnの区間信号に対する微
細周波数kの相関値であり、Sdn-1(k)は、直前の単位
区間dn-1の区間信号に対する微細周波数kの相関値で
ある。ただし、kは周波数そのものを示すものではな
く、ノートナンバーnに対応する標準周波数を13分割
した値で表現され、k=−6 〜 127×13+6の
値をとる。類似度SMの値が大きい程両区間信号は類似
していることになる。
る。類似度SMが閾値2より小さい場合は(ステップS
7)、設定されている送り幅を半分にする(ステップS
8)。送り幅を半分にした位置に仮単位区間の設定をし
直し(ステップS1)、新たな仮単位区間の区間信号と
調和信号との相関を求める(ステップS2)。ステップ
S1、S2およびステップS6〜S8の処理は、類似度
SMが閾値2以上となるまで繰り返される。すなわち、
閾値2以上となるまで、後の単位区間を前の単位区間と
重複させる範囲を大きくしていくことになる。
度SMと閾値1との比較を行う。類似度が閾値1未満で
ある場合は、仮単位区間を単位区間として確定し、ピー
ク位置の選出処理へ進む(ステップS3)。類似度が閾
値1以上である場合は、送り幅を2倍に設定する(ステ
ップS10)と共に、仮単位区間を単位区間として確定
し、ピーク位置の選出処理へ進む(ステップS3)。こ
こで、2倍に変更された送り幅は、次の単位区間の送り
幅として利用されることになる。単位区間の確定後は、
ステップS3、S4の処理は同様に行われ、抽出周波数
成分が決定される。なお、当然のことながら、上記2つ
の閾値は、閾値1>閾値2の関係を満たすものとなって
いる。
ら、この時点で設定されている送り幅だけ移動した位置
を開始位置として(ステップS5)、仮単位区間を設定
する(ステップS1)。このとき、通常はあらかじめ設
定されている標準送り幅が利用され、ステップS10に
より送り幅が2倍に設定されている場合には、標準送り
幅の2倍を送り幅とする。
示す具体的な例を用いて説明する。図10(a)は、時
系列の音響信号を示す図である。図10(b)に示すよ
うに音響信号の先頭位置から固定長の単位区間d1が設
定され、ステップS2からステップS4の処理が行われ
ることにより、抽出周波数が決定される。次の単位区間
d2の設定にあたっては、ステップS5において、あら
かじめ設定されている標準送り幅だけ後に送られて仮設
定される。本実施形態では、標準送り幅を固定長dの1
/2としている。よって、単位区間d1の先頭からd/
2だけずれた位置が単位区間d2の先頭となるように単
位区間d2が仮設定される。このとき仮設定された単位
区間d2の状態を図10(c)に示す。
れた単位区間d2の位置の音響信号を区間信号として抽
出し、この区間信号との相関をステップS2の手法によ
り求める。続いてステップS6において上記〔数式2〕
に示した類似度を算出する。算出した類似度が閾値2未
満である場合、すなわち、両区間信号があまり似ていな
い場合は、ステップS8に進んで送り幅が1/2にされ
る。ここでは、d/2に設定されているので、d/4に
設定されるということになる。この場合、ステップS1
に戻って、単位区間d1の先頭からd/4だけずれた位
置が単位区間d2の先頭となるように単位区間d2が仮
設定し直される。このとき仮設定された単位区間d2の
状態を図10(d)に示す。単位区間d2が仮設定し直
されると、再びステップS2、ステップS6の処理が繰
り返される。さらに、ステップS7において、類似度が
閾値2未満である場合は、ステップS8において送り幅
がd/8に設定され、ステップS1に戻って単位区間d
1の先頭からd/8だけずれた位置が単位区間d2の先
頭となるように単位区間d2が仮設定し直される。この
とき仮設定された単位区間d2の状態を図10(e)に
示す。
示すように、先行する単位区間d1と後続の単位区間d
2における区間信号の類似度が閾値2以上となるまで、
単位区間d2は単位区間d1との重複区間を増やしてい
くことになる。ただし、このままだと、単位区間d1と
単位区間d2が果てしなく近付いてしまう可能性がある
ので、送り幅の最小距離をあらかじめ設定しておき、送
り幅が最小距離以下となった場合は、その時点で仮設定
されている単位区間を正式な単位区間として確定し、ス
テップS3の処理に進むようにする。
された単位区間d2の区間信号の類似度が閾値2以上で
閾値1未満となった場合には、仮設定されている単位区
間d2を確定して、ステップS3以降の処理を行う。ま
た、類似度が閾値1以上となった場合も、仮設定されて
いる単位区間d2が確定されて、ステップS3以降の処
理が行われることになるが、この場合、送り幅を2倍に
設定する処理も平行して行う。そして、単位区間d2に
ついての抽出周波数成分が決定された後、ステップS5
において、単位区間の先頭から2倍に設定された送り幅
だけ移動した位置を単位区間d3の先頭位置とする。例
えば、単位区間d2が図10(c)に示すような位置で
確定された場合、単位区間d3は、図10(f)に示す
位置に仮設定されることになる。
明したが、上記周波数解析方法および符号化方法は、コ
ンピュータ等で実行されることは当然である。具体的に
は、図9のフローチャートに示したようなステップを上
記手順で実行するためのプログラムをコンピュータに搭
載しておく。そして、音響信号等の時系列信号をPCM
方式等でデジタル化した後、コンピュータに取り込み、
ステップS1〜ステップS10の処理を行った後、抽出
した周波数成分もしくはMIDI形式等の符号データを
デジタルデータとしてコンピュータより出力する。出力
された符号データは、例えば、MIDIデータの場合、
MIDIシーケンサ、MIDI音源を用いて音声として
再生される。
時系列信号から所定の標準周波数に対応した信号成分を
分離するための周波数解析方法として、前記時系列信号
に所定の長さの単位区間を設定して区間信号を抽出し、
前記全ての調和信号と前記区間信号との相関を演算して
各微細周波数に対応する相関値を算出し、前記算出され
た相関値に対応する微細周波数のうち、周囲の微細周波
数における相関値に比べ局所的にピークとなる微細周波
数を複数抽出するピーク周波数選出段階と、前記各ピー
クとなる微細周波数に対応する調和信号と前記区間信号
との相関を再度演算し、前記微細周波数の最近傍の標準
周波数に対応する相関値として設定し、前記再度算出さ
れた相関値と調和信号との積で生成される含有信号を前
記区間信号から減じ、差分信号を新たに区間信号とする
ことにより区間信号を更新する処理を抽出された全ての
ピークに対して順次行って標準周波数に対応する相関値
を決定するようにしたので、隣接する標準周波数間の境
界付近に位置する微細周波数がピークとなる場合であっ
ても、正確に周波数成分を抽出することが可能となると
いう効果を奏する。さらに、抽出された周波数成分をM
IDI等の形式に符号化することにより、原音響信号を
忠実に再現することが可能な符号データの作成が可能と
なる。
号化方法の基本原理を示す図である。
ある。
トナンバーnとの関係式を示す図である。
手法を示す図である。
図である。
る。
第1の例を示す図である。
第2の例を示す図である。
号化方法のフローチャートである。
Claims (7)
- 【請求項1】時系列信号から所定の標準周波数に対応し
た信号成分を分離するための周波数解析方法であって、 前記標準周波数の間隔よりも微細な間隔で複数の微細周
波数を設定し、各微細周波数に対応する複数の調和信号
集合を準備する調和信号準備段階と、 前記各標準周波数に対応する相関値を格納するための主
相関配列と、各微細周波数に対応する相関値を格納する
ための微細相関配列を準備する配列準備段階と、 前記時系列信号に所定の長さの単位区間を設定し、区間
信号を抽出するための区間信号抽出段階と、 前記全ての調和信号と前記区間信号との相関を演算し
て、各微細周波数に対応する相関値を算出し、前記微細
相関配列に算出された相関値を設定する相関演算段階
と、 前記微細相関配列中の相関配列より周囲の微細周波数に
おける相関値に比べ局所的にピークとなる微細周波数を
複数抽出するピーク周波数選出段階と、 前記各ピークとなる微細周波数に対応する調和信号と前
記区間信号との相関を再度演算し、前記微細周波数の最
近傍の標準周波数に対応する主相関配列に設定し、前記
再度算出された相関値と調和信号との積で生成される含
有信号を前記区間信号から減じ、差分信号を新たに区間
信号とすることにより区間信号を更新する処理を抽出さ
れた全てのピークに対して順次行って主相関配列の値を
決定するスペクトル算出段階と、 を有することを特徴とする周波数解析方法。 - 【請求項2】前記相関演算段階、前記ピーク周波数選出
段階、および前記スペクトル算出段階を複数回実行する
ようにしていることを特徴とする請求項1に記載の周波
数解析方法。 - 【請求項3】さらに、類似度算出段階を有し、 前記配列準備段階が、直前の単位区間において得られた
微細相関配列を保持するための区間決定用相関配列を準
備し、 前記類似度算出段階が、直前の単位区間における微細相
関配列の値を複写して得られる区間決定用相関配列の値
と、仮設定された現単位区間における微細相関配列の値
の類似度を算出し、当該類似度に基づいて単位区間の送
り幅を決定するものであり、 前記区間信号抽出段階は、前記決定された送り幅に基づ
く位置に設定される単位区間から区間信号を抽出するも
のであるものであることを特徴とする請求項1に記載の
周波数解析方法。 - 【請求項4】前記類似度算出段階により算出される類似
度が所定値より低い場合には送り幅を小さくなるように
設定するものであることを特徴とする請求項3に記載の
周波数解析方法。 - 【請求項5】前記スペクトル算出段階は、1つの標準周
波数が最近傍となる複数の微細周波数がピークとして選
出された場合に、そのうち最大の相関値を有する微細周
波数についてのみ、区間信号との相関を求めるようにす
るものであることを特徴とする請求項1に記載の周波数
解析方法。 - 【請求項6】前記時系列信号は音響信号であって、 前記スペクトル算出段階によって選出された標準周波数
に対応する音の高さ情報と、相関値に対応する音の強さ
情報と、各単位区間の開始点に対応する音の発音開始時
刻と、各単位区間の終了点に対応する音の発音終了時刻
からなる4つの情報に所定の変換を施して符号データを
生成する符号化段階をさらに有することを特徴とする請
求項1から請求項5のいずれかに記載の音響信号の符号
化方法。 - 【請求項7】コンピュータに、前記標準周波数の間隔よ
りも微細な間隔で複数の微細周波数を設定して各微細周
波数に対応する複数の調和信号集合を準備する調和信号
準備段階、前記各標準周波数に対応する相関値を格納す
るための主相関配列と各微細周波数に対応する相関値を
格納するための微細相関配列を準備する配列準備段階、
前記時系列信号に所定の長さの単位区間を設定して区間
信号を抽出するための区間信号抽出段階、前記全ての調
和信号と前記区間信号との相関を演算して、各微細周波
数に対応する相関値を算出し、前記微細相関配列に算出
された相関値を設定する相関演算段階、前記微細相関配
列中の相関配列より周囲の微細周波数における相関値に
比べ局所的にピークとなる微細周波数を複数抽出するピ
ーク周波数選出段階、前記各ピークとなる微細周波数に
対応する調和信号と前記区間信号との相関を再度演算
し、前記微細周波数の最近傍の標準周波数に対応する主
相関配列に設定し、前記再度算出された相関値と調和信
号との積で生成される含有信号を前記区間信号から減
じ、差分信号を新たに区間信号とすることにより区間信
号を更新する処理を抽出された全てのピークに対して順
次行って主相関配列の値を決定するスペクトル算出段
階、を実行させるためのプログラム。
Priority Applications (1)
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