JP2003054500A - 航空機ジェットエンジン用の緊締具の着脱装置 - Google Patents

航空機ジェットエンジン用の緊締具の着脱装置

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JP2003054500A
JP2003054500A JP2001245504A JP2001245504A JP2003054500A JP 2003054500 A JP2003054500 A JP 2003054500A JP 2001245504 A JP2001245504 A JP 2001245504A JP 2001245504 A JP2001245504 A JP 2001245504A JP 2003054500 A JP2003054500 A JP 2003054500A
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Masaru Nakamura
優 中村
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All Nippon Airways Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ジェットエンジンのオーバホール作業におい
て、ジェットエンジンの高圧コンプレッサーの構成品で
あるスプールを緊締具で固定する場合に、緊締具の視認
性が悪く、アクセスが困難な緊締具の締め付け作業が含
まれる問題があった。 【解決手段】縁を有するベース部と案内板と主軸筒と着
脱機構部と、該主軸筒に取り付けられる位置決めプレー
トとを備え、該位置決めプレートが該案内面と該縁に沿
って移動し、その移動した後に該着脱機構部が移動して
緊締具のヘッドに嵌合して緊締具を締め付けることを特
徴とする着脱装置により解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、航空機用ジェッ
トエンジンの高圧コンプレッサ部ロータを構成する部材
であるスプールとディスクとを結合するための緊締具の
ナットを締付けまたは弛めるナットの締結または着脱を
容易に行うための着脱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】航空機のジェットエンジンの代表である
ターボファンエンジン(以下、「エンジン」と呼ぶ)を
構成単位で大きく分けると、ファン部,高圧コンプレッ
サー部、燃焼室、高圧タービン部、低圧タービン部、ノ
ズル部とに分類される。エンジン動作時にはファン部か
らエアーを導入し、高圧コンプレッサーで圧縮し、燃焼
室で燃料を燃焼して燃焼ガスを発生して膨張させて高圧
タービンおよび低圧タービンで推力を発生させノズル部
分で膨張した燃焼ガスをさらに絞ることでより大きな推
力を発生させる仕組みである。上記構成単位の一つであ
る高圧コンプレッサー部はファン部から導入されたエア
ーの流路となるダクト部と、該ダクト部でエアーを圧縮
するためのロータ部とから構成される。ここで、ロータ
部について図2を参照して説明する。ロータ部は一般に
ロータ部回転中心となるシャフト56と、シャフト56
に固定される円筒状のロータ本体部50と、該ロータ本
体部50の中心軸に垂直な面を円周上に沿ってロータ本
体部50の外面に取り付けられる翼列(たとえば、代表
例として翼列61)とを有している。この翼列は軸方向
に向かって複数個の翼列(たとえば、翼列61乃至翼列
67)が配置されている。翼列の数はエンジンの型式に
よって異なるが、たとえばGeneral Electric社製CF6
型エンジンでは合計14の翼列を有している(以下、C
F6型エンジンを代表例として説明する)。翼列中の翼
は、一つ一つが独立した構造となっていて、各翼は端部
に括れを有している。一方、ロータ本体部50には周上
に該括れと係合可能な溝を有していて、各翼の括れ部は
該溝に嵌め込まれてロータ本体部50に固定され翼列を
構成している。翼列はエアー流の上流から下流に向かっ
て1番から14番まで付番されている。ロータ本体部5
0は、さらに、1番翼列61が配置される第一段ディス
ク51と、2番翼列62が配置される第二段ディスク5
2と、3番翼列63から9番翼列64までの翼列が配置
される第三段−第九段スプール53(本明細書中では3
−9スプールとよぶ)と、10番翼列65が配置される
第十段ディスク54と、11番翼列66から14番翼列
67の翼列が配置される第十一段−第十四段スプール5
5(11−14スプールとよぶ。)の4つの部分から構
成される。なお、異なる型式のエンジンでは11−14
スプールはリアシャフト部68と一体の構造として構成
されるものもある。
【0003】第一段ディスク51は3−9スプール53
と対向するフランジ51aを備えている。また3−9ス
プール53は一端に第一段ディスク51と対向するフラ
ンジ53a(本明細書中では「前方フランジ」と呼ぶ)
と他端に11−14スプールと対向するフランジ53b
(本明細書中では「後方フランジ」と呼ぶ)を備えてい
る。11−14スプール55は3−9スプール53と対
向するフランジ55aを備えている。3−9スプール5
3において、前方フランジ53aと後方フランジ53b
との間の距離は約60cmである。また、フランジ51
aと前方フランジ53aおよび後方フランジ53bとフ
ランジ55aにはそれぞれを組み合わせて固定するため
のボルト取付け用の貫通孔たるボルト穴を有している。
これらのボルト穴は、フランジ51a,前方フランジ5
3a,後方フランジ53bおよびフランジ55aにおい
て、シャフト56の中心軸を中心とする円周に沿って均
等に配置されている。また、第二段ディスク52はフラ
ンジ51aと前方フランジ53aのボルト穴列と対応す
る位置にボルト穴列を有し、第十段ディスク54は後方
フランジ53bとフランジ55aのボルト穴列と対応す
る位置にボルト穴列を有している。ボルト穴はたとえば
後方フランジ53bとフランジ55aについては全周で
60個である。第一段ディスク51と3−9スプール5
3は、フランジ51aと前方フランジ53aとの間に第
二段ディスク52を挟む状態にしてボルト57とナット
58とで締結することにより固定される。3−9スプー
ル53と11−14スプール55は、後方フランジ53
bとフランジ55aとの間に第十段ディスク54を挟む
状態にしてボルト59を第十段ディスク54側からボル
ト穴を通して3−9スプール53側からナット60で締
めつけることにより固定される。第一段ディスク51,
第二段ディスク52,3−9スプール53,第十段ディ
スク54および11−14スプール55をこのように固
定することにより、ロータ本体部50が組みあがる。
【0004】第一段ディスク51,3−9スプール5
3,および11−14スプール55は薄肉円筒状の部材
で両端に開口を有している。また、第一段ディスク5
1,3−9スプール53および11−14スプール55
において、翼列が取り付けられる円周部の内面には補強
を目的とするリブ(たとえばリブ70)が配置されてい
る。これらのリブは外面に配置される翼列に対応する位
置の内面の全周にわたってスプールの内側に向かって長
く張り出すように配置されている。また、第二段ディス
ク52および第十段ディスク54はこれらのリブのより
もさらに中心軸に向かって延びていてシャフト56にま
で達している。
【0005】これらのエンジンはある一定期間ごとのメ
インテナンスとしてのオーバホールを行う必要が有る。
この際には前記の単位に分解して各部品のオーバホール
を行い、その後再組立が行われる。たとえば、以下の手
順である。まず各翼が外され、続いてボルト57とナッ
ト58を緩めて隣接する第一段ディスク51および第二
段ディスク52とを分離し、ボルト59およびナット6
0を緩めて第十段ディスク54と11−14スプール5
5とを分離する。オーバホール後に3−9スプール53
を組立てる場合には、これと逆に行う。すなわち、11
−14スプール55と3−9スプール53の後方フラン
ジ53bの間に第十段ディスク54を挟んで11−14
スプール55側からボルト59を差込み3−9スプール
53側からナット60をボルト59に係合させてナット
60を締め付けて固定する。同様にボルト57とナット
58を締めて第一段ディスク51および第二段ディスク
52とを固定し、その後各翼を取りつける。
【0006】しかし、3−9スプール53と第十段ディ
スク54とを組立てる場合には、以下の理由で前方フラ
ンジ53a側から行わなければならない。すなわち、前
記の通り、第十段ディスク54はシャフト56に達する
程度まで内側に広がっているのでシャフト56を取り除
いた状態でも、内部にはシャフト56直径程度の開口し
か有しない。従って、ナット60とボルト59の締付け
作業においてナット60をボルト59に嵌めあわせるた
めには、ナット60を第十段ディスク54の開口からデ
ィスク内面に沿ってディスク円周部のボルト59まで運
ばなければならないが、第十段ディスク54の陰となっ
て当該部分は視認できない上に、また作業者の手ではボ
ルト59までは届きづらい。従って、この着脱作業は後
方フランジ53b側から行うことは不可能であり、他の
開口である前方フランジ53a側の開口から行わなわざ
るを得ない。
【0007】しかし、前方フランジ53a側の開口から
ナット60をボルト59に嵌める場合であっても次の問
題がある。前方フランジ53a側の開口から約60cm
も離れた距離でナットをボルト59の螺子部にアクセス
するのは作業上不便であり、危険である。ボルト59の
螺子部は第二ディスク54と隣接する3−9スプール5
3内のリブ70に隠れていて前方フランジ53aの開口
側から視認することが出来ない。
【0008】従って、3−9スプール53と第十段ディ
スク54とを組立てにおいてこの問題を克服する為に、
視認することなく手探りで感覚的に、または鏡を利用し
て間接的に視認しながらナット60をボルト59に嵌め
たのち手締めで仮締めし、その後、長い棒の先に直交す
る方向に先端にラチェットボックスがついた締め付け部
を有するL字型工具を前方フランジ53a側の開口から
挿入して該主軸棒を回転させることによりナット60を
回転し規定トルク(前記エンジンの場合は240kg・
cm)まで締め付けることが必要となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の方
法では、以下の問題があった。小さい開口部で作業をす
る必要が有る為、作業は一人でしか行えず作業効率が非
常に悪かった。 (2)さらに、ボルト59をまったく視認することなく
手探りで、または鏡を使って間接的に視認するのみでナ
ットを手締めにより仮締めせざるを得ず、熟練した高度
な技能が要求されることとなった。たとえば、不自然な
姿勢で行うと緩められたナット60がスプール内部に落
ちるとそれ取り出すのが困難となった。上記のようにボ
ルト59の視認が困難な上、約60cmも離れた作業上
不便な距離までところにあるボルト59にナット60を
嵌め込むには作業者は片腕を前方フランジ53aの開口
部側から3−9スプール53内に突っ込むといった腰に
大きな負担がかかる不自然な姿勢で作業を行わなければ
ならず、安全上の問題があった。前記L字型の工具を使
うにしても、スプール内にはリブが広がっている為、L
字型工具の棒を回転させるにしても該棒が該リブに衝突
しない程度のストロークしか得ることが出来ず長い作業
時間を必要としていた。また、高度な技能が必要となる
ことにより、この作業自体が作業経験に大きく左右され
る結果となって作業者によって作業時間に変動が生じて
作業工数にばらつきが生じることとなった。
【課題を解決するための手段】
【0010】本願は、航空機ジェットエンジンのコンプ
レッサーのロータの一部を構成し、前方フランジと後方
フランジと中心軸とを有するスプールの該後方フランジ
上に配置される緊締具のナットの着脱装置であって、該
着脱装置は、該中心軸に沿って延びるスライドレール
と、該中心軸に垂直な方向に延在するガイド縁を有する
ベース部と、該中心軸に沿って長く延び、該スライドレ
ールに従って移動可能な位置決めプレートを一端に備え
る第一主軸筒と、該中心軸に沿って長く延びる棒と、該
ナットと嵌合して該ヘッドを回転させ得る環と該環に該
棒の回転力を伝達する伝達手段とを有する着脱機構部
と、該位置決めプレートが該スライドレールに従って移
動することにより該中心軸に沿って該着脱機構部が第一
距離だけ移動し、該位置決めプレートが該ガイド縁に沿
って移動することにより該着脱機構部が該中心軸と垂直
な方向に第二距離だけ移動し、該回動手段により該棒を
回転させると該伝達手段によって該環が該ナットを回転
し、該ナットが螺嵌されながら進むに従って該棒が該第
一主軸筒に従って突出して該着脱機構部が第三距離だけ
移動することを特徴とする着脱装置を提供する。この発
明により、視認性が悪く、アクセス対象の箇所が遠く作
業が困難である為に、不自然な体勢を余儀なくされた
り、作業効率の悪さが解決できる。本願発明の着脱装置
はさらに、該中心軸を中心とする円周から構成される第
一の側面と、該中心軸を中心とする円周上に配置される
複数の窪みとを備え、該前方フランジ上に固定される環
状板と、該環状板に向かって突出可能に付勢され該窪み
に嵌り得る突起と、該中心軸と垂直方向に延在するガイ
ド縁とを有し、該第一の側面に従って回転するベース部
を備え、該ベース部が該第一の側面に従って回転し、該
突起が任意の位置の窪みに嵌った際に該着脱機構部が任
意のナットの方向を向くことを特徴とする該着脱装置を
提供する。この発明により、着脱機構部を複数のボルト
の方向にを容易に向けることができ、複数のボルトを一
連の作業で着脱することができる。
【0011】
【実施例】(実施例1)図1を参照して実施例1の着脱
装置を説明する。図1は本発明の着脱装置である。この
着脱装置1は前記3−9スプール53と第十段ディスク
54とを固定するための緊締具たるボルト59およびナ
ット60とを用いて固定するために、該後方フランジ5
3b上に突き出たボルト59の螺子部にナット60を前
方フランジ53a側から締付けまたは緩めるための着脱
装置1であって、特にナット60を締め付けるべきボル
ト59の位置に着脱機構部34を適正に配置し着脱作業
を行うために用いられる。この着脱装置1は固定部10
と回転部20と並進部30を備え、これらが組み合って
一の着脱装置1を構成している。
【0012】固定部10は環状板11と、環状板11を
前方フランジ53aに固定する為の固定具13とを備え
ている。環状板11は3−9スプール53の中心軸を中
心とする円周から構成される第一の側面と、互いに平行
な表面11aおよび裏面11bとを有している。ここ
で、表面11aと裏面11bとは該中心軸とほぼ垂直な
面である。環状板11は相当の重量が負荷されても撓ま
ないように十分な剛性が確保されるような肉圧と強度を
有する材料で出来ている。環状板11の中央部には該中
心を中心とした前記外周と同心円上の穴12の列を有し
ている。環状板11は裏面11bが前方フランジ53a
に当接するように前方フランジ53a上に載置されてい
る。
【0013】図3および図4は環状板11がいかに前方
フランジ53aの上に載置されているかを示している。
図3は環状板11が前方フランジ53aに載置されてい
る状態を横方向から見た図であり、一方図4は環状板1
1が前方フランジ53aに載置されている状態を上方向
から見た図である。図3および図4に示したように、環
状板11は裏面11bと前方フランジ53aの内面との
両方に当接する面を有する固定具13を備えている。固
定具13が取り付けられている環状板11の裏面11b
は螺子孔を有し、一方環状板11の裏面11bに当接す
る固定具13の面にはボルトを貫通させる孔を有してい
る。ボルトを固定具13の該孔に貫通させ、環状板11
の該螺子部に螺嵌すると固定具13は、前方フランジ5
3aを挟持して環状板11に対して固定される。環状板
11はこれにより前方フランジ53aを傷付けることな
く前方フランジ53aに固定される。
【0014】図4に示すように、環状板11の表面11
aには該中心軸を中心とする円周上に配置される窪み1
4が複数からなる列を有する。3−9スプール53の後
方フランジ53bには前記の通り全周にわたって合計6
0個のボルト59用の貫通孔(以下、ボルト穴)が開け
られている。このボルト穴と対応するように同じく合計
で60個の窪み14が設けられている。任意の窪み14
aとその窪み14aの隣の窪み14bとのなす中心角は
該ボルト穴列において対応する一のボルト穴とその隣の
ボルト穴とのなす中心角に等しく、また3−9スプール
53の中心軸を含みかつ一のボルト穴の中心を通る任意
の面にはかならず一の窪み14が含まれている位置関係
となっている。この窪み14とボルト穴との関係は全て
の窪み14について適用される。なお、一般的に、ボル
ト穴は全周にわたって均等に配分されている。従って、
本実施例のように合計で60個のボルト穴が設けられて
いる場合には任意のボルト穴とそのボルト穴の隣にある
他のボルト穴とのなす中心角はほぼ6度であり、この時
任意の窪み14aとその窪み14aの隣にある窪み14
bとのなす角度はほぼ6度ということになる。
【0015】環状板11は3−9スプール53の中心軸
を中心とした円周から構成される第一の側面たる側面1
1cを有している。ここで、3−9スプール53の「中
心軸を中心とした円周から構成される」とは、側面11
cの前記中心軸に垂直な任意の断面における外周が3−
9スプール53の中心軸を中心とした円周となっている
ことを意味する。たとえば、円筒の周面または円錐の周
面である。なお、本実施例では側面11cは該中心軸に
対して垂直な面で考えたときに、側面11cの断面の径
は表面11aで最も大きく裏面11bで最も小さくなる
ような形状としている。すなわち断面で見れば、図3に
示すように鉛直方向下向きにしぼんだ傾斜面として構成
している。
【0016】次に、回転部20について説明する。回転
部20はベース部21と案内部24とからなっている。
ベース部21は互いにほぼ平行な表面21aと裏面21
bとを備え、環状板11の直径に沿って環状板11上に
載置可能な程度の長辺と短辺を有する長い板状部材であ
る。裏面21bは3−9スプール53の中心軸にほぼ垂
直な面であって、環状板11の表面11aと当接可能で
ある。裏面21bは裏面21bから3−9スプール側に
延びるガイド部21c,ガイド部21d,縁21eおよ
び縁21fとを備えている。ガイド部21cとガイド部
21dはほぼ環状板11の厚さの部材であって、環状板
11の外周側にあたるベース部21の短辺側の裏面21
bに3−9スプール53側に突出するように取り付けら
れている。ガイド部21cとガイド部21dの内側面は
環状板11の側面11cにほぼ対応する形状となってい
る。なお、本明細書中ではガイド部21cは着脱しよう
とする緊締具のある側のベース部の辺のガイド部を意味
し、ガイド部21dはガイド部21cと反対のベース部
の辺のガイド部を意味するものとしてガイド部21cと
ガイド部21dを区別する。縁21eと縁21fは環状
板11の内周側に沿ってベース部21の短辺側の裏面2
1bから3−9スプール53側に延びる突起状の側部で
ある。従って、ガイド部21cおよび縁21eと、ガイ
ド部21dおよび縁21fとのそれぞれは環状板11の
内外周の側面をレールとして内外周の側面にほぼ当接し
ながら摺動し、ベース部21が環状板11の中心まわり
に回転可能となる。
【0017】案内部24は、案内板A25と案内板B2
6と案内板C27とを備え、これらはベース部21の表
面21a上のガイド部21d側に取り付けられている。
案内板A25と案内板B26と案内板C27のそれぞれ
は3−9スプール53の中心軸線に沿って垂直に延びる
案内面25a,案内面25b,案内面25cとを備えて
いる。ベース部21の中央には表面と裏面とを貫通する
穴22を有している。穴22の一辺の少なくとも一方は
3−9スプール53の中心軸から任意のナット60の方
向に長く延びるガイド縁22aを形成している。本実施
例の場合は、穴22は長辺と短辺とを有する矩形形状の
穴22である。該長辺の側面をガイド縁22aとし、該
短辺は該長辺と垂直としている。また、特に本実施例の
場合はガイド縁22aは中心軸と垂直に環状板の直径に
沿って延びるガイド縁22aとしている。なお、ガイド
縁22aは3−9スプール53の中心軸から任意のナッ
ト60のヘッドの方向に長く延びる限りガイド縁22a
としての同様の効果を生じる。また、本実施例では別の
ガイド縁22bをも備えている。本実施例のガイド縁2
2bも同じく中心軸と垂直に環状板の直径に沿って延び
るガイド縁であって、ガイド縁22aより若干幅が小さ
い。これは、後述する位置決めプレート31を粗い精度
でガイド縁22aに沿って移動させた後、高い精度で最
終的に位置決めプレート31を固定するためである。
【0018】案内板A25はガイド部21d側のベース
部21から3−9スプールの中心軸そって伸びるように
配置されている。案内板B26と案内板C27もガイド
部21d側のベース部21から3−9スプールの中心軸
沿って鉛直方向に伸びるように案内板A25に対し垂直
に配置されている。ここで、案内板A25,案内板B2
6および案内板C27のうち、穴22の側の面を案内面
25a,案内面25bおよび案内面25cと呼ぶ。案内
板A25,案内板B26および案内板C27は、穴22
の周から一定の間隔で穴22のガイド縁22aから一定
の幅をもって配置されている。 案内板A25と案内板
B26と案内板C27との上部には案内板A25と案内
板B26と案内板C27とにつながる上板29が取り付
けられて、これらぞれぞれの案内のねじれ等の変形を抑
制するようになっている。案内面25aには位置決めプ
レート31を昇降させるために、案内面25aにそって
鉛直方向に延びるようにスライドレール25bが配置さ
れている。
【0019】ベース部21の裏面21bには裏面21b
から環状板11に向かって突出するように付勢された突
起が取り付けられている。本実施例では、該突起はボー
ル28で構成されているが、摺動可能な棒状のピンでも
同様の効果を奏する。すなわち、ベース部21の裏面に
21bにはボール28が嵌入可能な大きさの穴を備えて
いて、該穴の奥にスプリング(不図示)が配置されてい
る。ボール28は該スプリングにより、裏面21bから
環状板11方向に突出する方向、すなわち窪み14の方
向に向かって突出するように付勢されている。3−9ス
プール53の中心軸(すなわち、ベース部21が回転す
る際のほぼ回転中心)からボール28の位置までの距離
は、3−9スプール53の中心軸(すなわち、環状板1
1の中心)から窪み14の列がなす円周の半径とほぼ同
じである。また、ボール28はベース部21の裏面の3
−9スプール53の中心軸を通る線上に配置されてい
る。ボール28は窪み14の箇所でスプリング(不図
示)に押されて下降して窪み14に嵌まり、窪み14と
ナット60のヘッドの位置は対応しているので着脱機構
部34が該ヘッド部の方向を向くようにベース部21が
位置決めされる。次にたとえば窪み14aにおいてボー
ル28が嵌まっている状態からベース部21を回転させ
ると、ボール28は窪み14aからせり上がり、次の窪
み14bに嵌まってベース部21を位置決めする。この
状態で着脱機構部34は締付けるべきまたは弛めるべき
ナット60の方向を向く。
【0020】次に並進部30について説明する。並進部
30は位置決めプレート31と接続部材たる第一主軸筒
32および第二主軸筒33と着脱機構部34とから構成
される。位置決めプレート31は、第二の側面として、
案内板A25とほぼ平行で案内面25aと当接可能な側
面31aと、案内板B26とほぼ平行で案内面B26と
当接可能な側面31bと、案内板C27とほぼ平行で案
内面C27と当接可能な側面31cとを備えている。位
置決めプレート31は、さらに、第三の側面として、3
−9スプール53の中心軸に垂直な方向とほぼ平行に延
びるガイド縁22aとほぼ平行で当接可能な側面31d
と31eとを有している。位置決めプレート31は側面
31dと側面31eに面外方向に延びる鍔31fおよび
31gを有している。鍔31fの側面が側面31bであ
り、鍔31gの側面が31cとなっている。上面側の幅
31bと31cとの幅は案内面26aと案内面27aと
の面間の距離にほぼ等しく、側面31dと側面31eと
の幅は穴22の幅にほぼ等しくなるように設定されてい
る。位置決めプレート31はスライドレール25bに従
って3−9スプール53の中心軸に沿って鉛直方向に移
動可能である。従って、位置決めプレート31は昇降の
際には側面31bと側面31cとが案内面26および2
7に当接しながら水平方向の位置の調節をしながらこれ
らの面に従って移動し、最終的に側面31dおよび側面
31eが穴22に嵌まるとともに、鍔31fおよび鍔3
1gが穴22のガイド縁22aと案内板B26および案
内板C27との間に設けられた一定の幅の部分のベース
部21に当接して移動を完了する。さらにその後、位置
決めプレート31は穴22のガイド縁22aに側面31
dまたは31eが当接しながらガイド縁22aに沿って
移動可能である。なお、鍔31fおよび鍔31gが当接
するのはベース部21の一部に限られない。たとえば、
いずれかの案内面に何らかの突起を設け、鍔31fおよ
び鍔31gがそこに引っかかるように当接しても同じ効
果を奏することが出来る。
【0021】第一主軸筒32と第二主軸筒33は共に内
部が中空な長い筒状体である。第二主軸筒33の外径は
第一主軸筒32の内径より小さく、また第二主軸筒33
の長さは第一主軸筒32の長さよりも長い。第一主軸筒
32の一端は第一主軸筒32が3−9スプール53の中
心軸に沿って平行となるように位置決めプレート31の
下面側に取り付けられている。第二主軸筒33は第一主
軸筒32の内部を貫通するように収納されていて、第一
主軸筒32の内面に沿って第二主軸筒33内を摺動可能
である。第二主軸筒33の内側には第二主軸筒33の内
径より外径が若干細く、かつ第二主軸筒33の軸に沿っ
て真っ直ぐに長く延びる棒35が第一主軸筒32および
第二主軸筒33の両者を貫通するように取り付けられ
る。棒35は着脱機構部34の伝達手段に回転力を付与
するものとして機能する。第一主軸筒32の位置に当た
る位置決めプレート31には上面から下面まで第二主軸
筒33と棒35とが貫通する大きさの貫通穴が設けられ
ていて、第二主軸筒33の一端33aと棒35の一端3
5aはこの貫通穴を貫通して上面31から突出してい
る。第二主軸筒33の一端33aには棒35の中心軸に
沿って棒35に回転力を伝達すべくを棒35を回転させ
るための回動手段たるハンドル41が取り付けられてい
る。本実施例の場合のハンドル41は、一端が棒35と
嵌合しそこからの中心軸に垂直方向に延びるアームから
なるハンドル41である。ハンドル41,棒35および
第二主軸筒33は第一主軸筒32に対して移動可能な状
態で保持されている。ハンドル41と、棒35と、第二
主軸筒33は常に自重により下降しようとする力が作用
するので、下降を防ぐ為にストッパー45がハンドル4
1付近に設けられている。ストッパー45は、位置決め
プレート31に一端が回転自由に固定され、鉛直に立て
ることと、倒すことが可能である。ストッパー45を鉛
直に立てた状態ではストッパー45はハンドル41のア
ームの部分を支えてハンドル41,棒35および第二主
軸筒33の移動を阻止する一方、ストッパー45を倒し
たときには、ストッパー45はハンドル41,棒35お
よび第二主軸筒33の移動を妨げないように回避できる
ようになっている。着脱機構部34は、3−9スプール
53の中心軸にそってほぼ垂直に突き出して延びる形状
であって、一端34aが第二主軸筒33の他端33bに
取り付けられている。着脱機構部34の内部には、環3
8と、伝達手段とが収められている。伝達手段は第一の
歯列と、第一歯車36と、第二歯車37と第二の歯列と
を備えている。第一の歯列の歯は棒35の外周に刻まれ
た歯車の歯の列(不図示)であって第一歯車36と係合
する歯車の歯であるか、または図1に示すように棒35
の端部に取り付けられる第一歯車36の歯車の列であっ
てもよい。図1に示す本実施例では後者としている。一
方、第二の歯列とは環38の外周に刻まれた伝達手段た
る歯車の歯の列である。環38の内側にはナット60に
嵌合可能であって、ナット60の六角形の各角に嵌合し
たときに各角に引っかかってナット60を回転するため
の各角に合致する切り込みが刻まれている。従って、図
1に示す本実施例の場合は、第一歯車36の第一の歯列
と第二歯車37の歯車の歯の列が係合し、第二歯車37
と環38の第二の歯列が係合している。着脱機構部34
の下面の環38の付近は後方フランジ53bの内側面に
当接可能な平らな面を有している。
【0022】位置決めプレート31はベース部21の上
方の上板29に設けられている穴を通るワイヤ39でバ
ランサ(不図示)に吊り下げられている。該穴はワイヤ
が上板29の穴壁に当たることなく3−9スプール53
の中心軸に沿って真っ直ぐに張るような位置に配置され
ている。バランサは並進部30全体の重量とバランスを
とり、大きな力を必要とせず、容易な昇降を可能として
いる。
【0023】位置決めプレート31は、最も上昇したと
きに、着脱機構部34はベース部21に近づく位置(収
納位置と呼ぶ)に収まっている。収納位置は着脱機構部
34が完全にベース部21よりも上方であってもよく、
またはベース部34よりも下面であっても良い。着脱装
置1を3−9スプール53に取り付けたときに着脱機構
部34が待避できる位置である。一方、最も下降したと
きには位置決めプレート31がベース部21に当接す
る。位置決めプレート31が最も上昇した位置と最も下
降した位置との間の移動距離を本明細書では第一距離と
定義する。すなわち、着脱機構部34の位置で第一距離
の終点を定義すれば、着脱機構部34の該収納位置から
着脱機構部34の上面が後方フランジ53bの隣のリブ
70と後方フランジ53bとの間に位置するまでの中心
軸に沿った距離である。位置決めプレート31は、位置
決めプレート31はベース部21に当接した後に着脱し
ようとするナット60の方向に穴22のガイド縁22a
に側面31dまたは31eが当接しながらガイド縁22
aに沿って移動する。この移動距離を第二距離とする。
第二距離の終点位置は環38を3−9スプール53の中
心に沿って移動した結果、環38を鉛直方向に下降させ
るとナット60にちょうど嵌合可能となるような位置、
すなわち環38がナット60の3−9スプールの中心軸
に沿った方向(鉛直方向)真上となる位置である。従っ
て、ベース部21の穴22は第二距離だけ移動したとき
に位置決めプレート31は穴22の縁に当接して停止す
るように大きさが決定されている。たとえば、本実施例
の場合は矩形の穴22を想定しており、穴22の短辺側
の縁に位置決めプレート31が当接して停止した際に第
二距離だけ移動した状態になっている。さらに、ハンド
ル41は第二主軸筒33と棒35と共に3−9スプール
53の中心軸方向に沿って第三距離だけ移動可能となっ
ている。第三距離は、ほぼ、第一距離の終端からリング
部38がナット60に嵌合したナット60がボルトと完
全に着脱を完了するまでの中心軸に沿った方向の距離で
あって、ほぼ、該後方フランジに隣接するリブの内側に
該着脱機構部の上面が接触しない程度に近接する位置か
ら該後方フランジに該着脱機構部の下面がほぼ接触する
程度の位置までの距離である。この距離は、ハンドル4
1,棒35および第二主軸筒33が第一主軸筒32に対
して自重により下降して移動する距離、すなわち環38
がナット60を締付けた際にナット60がボルト59の
螺刻に従って移動するのとともに下降する距離にあた
る。
【0024】次に、この着脱装置1をいかに用いてナッ
ト60の締付けを行うかについて説明する。まず、3−
9スプール53の中心軸が鉛直方向に向くようにを後方
フランジ53b側を下側にして設置する。続いて環状板
11を3−9スプール53の前方フランジ53aの表面
に載置し、固定具13で前方フランジ53aの裏面から
前方フランジ53aを挟持して環状板11を固定する。
続いて、着脱機構部34が目的のナット60の方向とな
るようにベース部21を回転させ、その方向でボール2
8が窪み14aに嵌まるように調整して割出し作業を行
う。ボール28が窪み14aに嵌まった後には、着脱機
構部34の環38にナット60を嵌める。図5は割出し
作業の終了後の着脱装置1の動作を示した図である。割
り出し作業を終了した段階の着脱装置1は収納位置、す
なわち図5における並進部30aとして表された位置に
有る。続いて位置決めプレート31をベース部21に当
接するまで下降させて、並進部30bとして表される状
態にする。位置決めプレート31がベース部21に当接
した位置では、着脱機構部34は第一距離80だけの移
動を完了して着脱機構部34aの位置、すなわち水平位
置がリブ70の下となる位置まで降りている。その後、
位置決めプレート31をベース部21の穴22の縁にそ
って移動させて位置決めプレート31が穴22の縁に当
接して移動不能になるまで位置決めプレート31を移動
させる。この状態は並進部30cとして表される状態で
ある。ここでは着脱機構部34は第二距離81の移動を
完了して環38がナット60の真上に配置される。ここ
でストッパー45を倒してハンドル41を下降させる。
すると、棒35と第二主軸筒33が下降を開始してナッ
ト60がボルト59の螺子部に嵌るまで着脱機構部34
が下降する。しかし、この段階ではハンドル41,棒3
5,第二主軸筒33および着脱機構部34はナット60
がボルト59に阻まれて第三距離の完了位置までは進ま
ない。ここでハンドル41を回転させると、棒35が回
転し、第一歯車36、第二歯車37、および環38が回
転してナット60がボルト59に螺嵌されながら締め付
けられる。ナット60がボルト59に螺嵌されながら進
むことにより着脱機構部34は第三距離82だけの移動
を行う。最終的にはハンドル41部分にトルクレンチを
嵌めて規定トルクまで締め付けてナット60のトルク管
理をおこなう。なお、ナット60の規定締め付けトルク
はほぼ210lb・in(約240kg・cm)である
が、ハンドル41までには第一歯車36,第二歯車37
および環38を介しているので環38において前記規定
締め付けトルクがかかるようなハンドル部におけるトル
ク換算を行っておく必要が有る。ハンドル41,棒35
および第二主軸筒33と共に進みナット60がボルト5
9に完全に着脱された段階で第三距離82の移動が完了
する。この状態では着脱機構部34bで表される位置と
なる。
【0025】なお、伝達手段において、棒に第一の歯列
を備える方法としては、棒35の端部に取り付けられる
第一の歯列をもつ第一歯車36を取り付ける方法と、棒
35の他端35bの外周部に第一の歯列を直接刻設する
ことで第一歯車36の代替とする方法とがある。さら
に、後者の場合は棒35の他端35bの外周部に第一の
歯列を直接刻設して第一の歯車36と異なる歯車を構成
した上で該第一の歯列を第一歯車36の歯車の歯と係合
させて、棒35と環38との間に2つの歯車またはそれ
以上の個数の歯車を配置しても同じ効果を奏する。
【0026】ナット60の締め付けが完了したら、ハン
ドル41を上げて第二主軸筒33を収納して着脱機構部
34をナット60から離す。ここで、ハンドル41をス
トッパー45にかけて止める。続いて位置決めプレート
31を案内板A 25側に移動させた後、位置決めプレ
ート31を上昇させて着脱機構部34を元の位置に収納
する。その後、前記と同じ手順でベース部21のボール
28が窪み14aから脱して次の窪み14bに嵌まるま
で回転させる。ボール28が窪み14bに嵌まった段階
で、前記の手順を繰り返して全てのナット60を締め付
ける。
【0027】なお、前記はナット60をボルト59に締
結する場合であるが、ナット60をボルト59から緩め
て外す場合は上記の締め付け手順と逆の手順を行うこと
で実行することができる。すなわち、前記の手順で環3
8がナット60に嵌まるまで位置決めプレート31を移
動させる。続いてハンドル41を回転させると、ハンド
ル41の回転が棒35に伝わって、環38がナット60
が緩められボルト59の螺子部にそって上昇する。これ
により、着脱機構部34、棒35,第二主軸筒33がハ
ンドル41と共に持ち上げられるように移動して、第三
距離だけの移動を完了する。続いて、位置決めプレート
31が案内板A25に当接するまで位置決めプレート3
1を穴22に沿って後退させる。案内板A25に従って
位置決めプレート31を収納位置まで上昇させるとナッ
ト60を取り外しをすることができる。位置決めプレー
ト31には、位置決めプレート31を収納位置に固定す
るための固定ネジ42が用意されている。固定ネジ42
は先端に螺子部を有し、位置決めプレート31から案内
板A25の面に対してほぼ垂直に突き出る長い棒であ
る。一方、収納位置において固定ネジ42の先端の位置
と対応する案内板A 25の面には螺刻がされた孔が備
えられていて、位置決めプレート31を収納位置に待避
させている際には位置決めプレート31は固定ネジ42
で案内板A 25に固定される。
【0028】(実施例2)以上、実施例1を説明した
が、着脱装置1は以下のようにすることもできる。たと
えば位置決めプレートの移動において、実施例1では第
一距離と第二距離、第三距離のそれぞれの移動を別々の
異なるプロセスで実現しているが、これらを組み合わせ
て図6に示すような実施例2とすることができる。すな
わち、実施例1ではベース部21の表面21aは一の面
を形成しているが、実施例2においては表面21aが傾
斜23を有している。傾斜23は最高点と最下点との高
さの差が第三距離に対応している。このような傾斜23
を設けることにより、位置決めプレート31がこの傾斜
23に従って移動すれば、位置決めプレート31が第二
距離の移動を行うと共にと第一主軸筒32および第二主
軸筒33とを下降させる第三距離の移動とを同時に実行
できる。さらに、図6では傾斜23を穴22に対応する
表面21aの全体にわたって設けているが、表面21a
のうちナット60側に部分的に設けることもできる。こ
の場合は、位置決めプレート31が第二距離の移動のみ
を行った際、その移動の後半部分おいて位置決めプレー
ト31が第三距離の移動を同時に実行することになる。
逆に案内板A25, 案内板B26および案内板C27
側にあたる表面21aに傾斜23を設けることもでき
る。この場合は、位置決めプレート31が第一距離の移
動を行った際、その移動の後半部分おいて位置決めプレ
ート31が第二距離の移動の前半を同時に実行すること
になる。これらのように、ベース部21に傾斜23を設
けることにより、同様な効果を奏することができる。す
なわち、実施例1のように第一距離の移動のプロセス
と、第二距離の移動のプロセスと、第三距離の移動のプ
ロセスとを別々に行う必要は無く、これらの移動のプロ
セスを組み合わせても同じ効果を奏することが出来る。
傾斜23はこのプロセスを組み合わせる働きをする。
【0029】(実施例3)さらに傾斜23の最下点との
高さを第一距離の移動の完了する高さとし、傾斜23の
勾配を任意に設ければ第一距離の移動と第二距離の移動
とを実施例2と同じ原理で組み合わせることができる。
この場合に勾配の度合いは第一距離に対する第二距離の
割合を意味する。すなわち、このような傾斜23を設け
ることにより、位置決めプレート31がこの傾斜23に
従って移動して、第一距離の移動の後半において第二距
離の移動をも行うこととなる。
【0030】(実施例4)実施例1乃至3において、着
脱機構部34には伝達手段としての歯車の組合せが利用
されているが歯車を利用しない実施例4とすることがで
きる。すなわち、実施例4では歯車の代わりに環状構造
物たるベルト43またはチェーンを利用する。図7は実
施例4を示した図である。棒35の他端35bには、円
盤44が取付けられている。円盤44は、円盤44の中
心が棒35の中心軸と合致し、かつ円盤44の面が棒3
5の中心軸に垂直となるように取り付けられている。一
方環38は実施例1乃至3と同じように、着脱機構部34
の先端に設けられている。環38の外周と円盤44との
間に環状のベルト43の内部に環38の外周と円盤44
の外周とが掛けられていて、円盤44を回転するとベル
ト43が回転して環38を回転させる。従って、実施例
1乃至3と同じようにハンドル41で棒35を回転させ
ると環38がナットを回転させる。なお、円盤44の代
わりに棒35にベルト43を直接かけても同じ効果を奏
する。
【0031】なお、本実施例ではエンジンの型式に合せ
て3−9スプールについて示したが、翼列の段数につい
ては第三段から第九段に限定されるものではない。翼列
が取付け可能なディスク部を複数集めた集合体であって
ロータの一部を構成する限りスプールに含まれ、本発明
の適用が可能である。また、第一主軸筒32および第二
主軸筒33は必ずしも3−9スプール53の中心軸の方
向と同じでなくてもよい。該中心軸と交差し、第一距離
と、第二距離と、第三距離との移動を行うことが出来る
限り、斜めに傾いていても同じ効果をうることができ
る。また、実施例1乃至4において、第一主軸筒32お
よび第二主軸筒33を使用せずに棒35により着脱機構
部34を位置決めプレート31から一定の距離をもって
離間するように保持しても同様の効果を奏する。また、
実施例1乃至4において、3−9スプール53の中心軸
を含みかつ一のボルト穴の中心を通る任意の面には必ず
一の窪み14が含まれ、一方ベース部21のボール28
は3−9スプール53の中心軸を通る線上に配置されて
いる位置関係としているが、必ずしもその必要はない。
つまり、任意の窪み14aとその隣の窪み14bとのな
す中心角と該ボルト穴列において対応する一のボルト穴
とその隣のボルト穴とのなす中心角とを等しくし、該着
脱機構部34の先端の方向とボール28のなす角と同じ
角度だけ各窪みの位置を対応するヘッドの位置から同じ
方向にずらせば同様の効果を奏する。また、実施例1乃
至4において、第二主軸筒33と棒35とが第一主軸筒
32に沿って第三距離の移動を行うこととしているが、
ベース部21の厚さを十分に確保して、穴22の側面に
沿って位置決めプレート31が更なる移動をすることに
よって第三距離の移動を行うとしても良い。すなわち、
穴22の側面を中心軸に沿ってのびる面として位置決め
プレート31が第二距離の移動を完了した後に穴22の
側面に沿って移動すれば着脱機構部34も中心軸に沿っ
て移動し、実施例1乃至4と同様の効果を奏する。ま
た、実施例1乃至4において、位置決めプレート31の
移動の際、位置決めプレート31は案内板A25,案内
板B26および案内板C27と、またはガイド縁22a
に当接することで移動の基準としているが、ボールベア
リング等の摺動装置を介して案内板A25,案内板B2
6および案内板C27と、またはガイド縁22aに当接
させてもよい。これらの基準面と位置決めプレート31
との位置関係がずれなければ同様の効果を奏する。ま
た、伝達手段の歯車の個数は棒35の回転が環38に伝
わる限り実施例1乃至3に示した個数に限定されない。
また、実施例1乃至4では、ハンドル41の回転力を棒
35が伝達手段である第一の歯列に伝達しているが、モ
ータのような駆動手段を第一歯車36に取り付けて遠隔
操作で該モータを駆動する方法をとっても同様の効果を
奏する。
【発明の効果】
【0032】本発明の装置では、各構成部分が3−9ス
プール53の中心軸を基準として移動するので、沢山の
ナットに対しても全く同じ安定した画一的なプロセスに
より着脱作業を行うことが出来る。特に、主軸筒をリブ
に衝突しないように3−9スプール53の中央部で該中
心軸に沿って下降させた後に3−9スプール53の内壁
方向に移動させることにより、視認不能な箇所である後
方フランジとそれに隣接するリブとの間のボルトの着脱
作業を単純に行うことができる。さらに、回転部および
固定部を組み合わせることにより、装置の単純な動きの
組み合わせにより複数のボルトを一連の作業で実施でき
る。すなわち、作業対象となるボルトまたはナットが視
認できない状態でも、規格に基づきばらつきのない作業
を達成できる。また作業者も、良好な姿勢を保ってこれ
らの作業を行うことが出来て安全である。従って、従前
よりも効率的な作業が可能となる。たとえば、従前、3
−9スプール53の合計60本のナット60を緩める際
には作業時間を約2時間以上必要としていたのに対し、
本願装置を使用することにより作業時間が45分から1
時間程度で済むようになった。また、合計60本のナッ
ト60を締め付ける際には従前2時間以上を必要として
いたのに対し、本願装置を使用することで一時間以内で
作業が終了するようなった。すなわち、約半分の時間で
ばらつきのない作業を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の装置を示したである。
【図2】本願発明の装置を利用する3−9スプール部分
の断面図である。
【図3】環状板とベース部とを3−9スプールの上に載
置した状態を示した断面図である。
【図4】環状板とベース部とを3−9スプールの上に載
置した状態を示した上面図である。
【図5】本願発明の装置の作動の仕方を示した図であ
る。
【図6】本願発明の実施例2に用いられるベース部を示
したものである。
【図7】本願発明の実施例4に用いられる着脱機構部を
示したものである。
【符号の説明】
1 着脱装置 10 固定部 11 環状板 14 窪み 20 回転部 21 ベース部 25,26,27 案内板 30 並進部 31 位置決めプレート 32 第一主軸筒 33 第二主軸筒 34 着脱機構部 35 棒 36 第一歯車 38 環 41 ハンドル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】航空機ジェットエンジンのコンプレッサー
    のロータの一部を構成し、前方フランジと後方フランジ
    と中心軸とを有するスプールの該後方フランジ上に配置
    される緊締具のナットの着脱装置であって、該着脱装置
    は、 該中心軸を中心とする円周から構成される第一の側面
    と、該中心軸を中心とする円周上に配置される複数の窪
    みとを備え、該前方フランジ上に固定される環状板と、 該環状板に向かって突出可能に付勢され該窪みに嵌り得
    る突起と、該中心軸と垂直方向に延在するガイド縁とを
    有し、該第一の側面に従って回転可能なベース部と、 該中心軸に沿って長く延びるスライドレールと、 該スライドレールに従って該中心軸に沿って移動可能な
    位置決めプレートを一端に備える第一主軸筒と、 該第一主軸筒に沿って摺動可能に該第一主軸筒内に配置
    される第二主軸筒と、 回動手段を備え、該第二主軸筒内に配置され、該第二主
    軸筒と共に移動可能な棒と、 該ナットに嵌合して該ナットを回転せしめる環と、該環
    に該棒の回転力を伝達する伝達手段とを有し、該第二主
    軸筒の一端に取り付けられる着脱機構部とを備え、 該ベース部が該第一の側面に従って回転し、該突起が任
    意の位置の窪みに嵌った際に該着脱機構部が任意のナッ
    トの方向を向き、 該位置決めプレートが該スライドレールに従って移動す
    ることにより該着脱機構部が該中心軸に沿って第一距離
    だけ移動し、 該位置決めプレートが該ガイド縁に従って移動すること
    により該着脱機構部が該中心軸に垂直に第二距離だけ移
    動し、 該回動手段により該棒を回転させると該伝達手段によっ
    て該環が前記任意のナットを回転し、前記任意のナット
    が螺嵌されながら進むに従って該棒と該第二主軸筒が該
    第一主軸筒に従って突出して該着脱機構部が第三距離だ
    け移動することを特徴とする着脱装置。
  2. 【請求項2】航空機ジェットエンジンのコンプレッサー
    のロータの一部を構成し、前方フランジと後方フランジ
    と中心軸とを有するスプールの該後方フランジ上に配置
    される緊締具のナットの着脱装置であって、該着脱装置
    は、 該中心軸に沿って延びるスライドレールと、 該中心軸に垂直な方向に延在するガイド縁を有するベー
    ス部と、 該中心軸に沿って長く延び、該スライドレールに従って
    移動可能な位置決めプレートを一端に備える第一主軸筒
    と、 該中心軸に沿って長く延び、該第一主軸筒を該第中心軸
    に沿って可動に支持する棒と、 該ナットと嵌合して該ナットを回転させ得る環と該棒の
    回転力を該環に伝達する伝達手段とを有する着脱機構部
    と、 該位置決めプレートが該スライドレールに従って移動す
    ることにより該中心軸に沿って該着脱機構部が第一距離
    だけ移動し、 該位置決めプレートが該ガイド縁に沿って移動すること
    により該着脱機構部が該中心軸と垂直な方向に第二距離
    だけ移動し、 該回動手段により該棒を回転させると該伝達手段によっ
    て該環が該ナットを回転し、該ナットが螺嵌されながら
    進むに従って該棒が該第一主軸筒に従って突出して該着
    脱機構部が第三距離だけ移動することを特徴とする着脱
    装置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の着脱装置であって、該着
    脱装置は、 該中心軸を中心とする円周から構成される第一の側面
    と、該中心軸を中心とする円周上に配置される複数の窪
    みとを備え、該前方フランジ上に固定される環状板をさ
    らに備え、 該ベース部はさらに環状板に向かって突出可能に付勢さ
    れ該窪みに嵌り得る突起を有し、該第一の側面に従って
    回転可能であって、 該ベース部が該第一の側面に従って回転し、該突起が任
    意の位置の窪みに嵌った際に該着脱機構部が任意のナッ
    トの方向を向くことを特徴とする着脱装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3に記載の着脱装置であっ
    て、該伝達手段は、 該棒に設けられる第一の歯列と、 該環の外周部に設けられる第二の歯列とを備えることを
    特徴とする該着脱装置。
  5. 【請求項5】請求項1乃至3に記載の着脱装置であっ
    て、 該伝達手段は該棒と該環との外周にかけられた環状構造
    物を備えていることを特徴とする該着脱装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110203397A (zh) * 2019-06-10 2019-09-06 华南农业大学 基于无人机搭载的可拆分式高空固定作业平台及作业回收方法

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