JP2003051138A - 光記録膜とその製造方法、光記録媒体、情報記録再生装置、コンピュータシステム及び映像信号記録再生システム - Google Patents

光記録膜とその製造方法、光記録媒体、情報記録再生装置、コンピュータシステム及び映像信号記録再生システム

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JP2003051138A
JP2003051138A JP2002156354A JP2002156354A JP2003051138A JP 2003051138 A JP2003051138 A JP 2003051138A JP 2002156354 A JP2002156354 A JP 2002156354A JP 2002156354 A JP2002156354 A JP 2002156354A JP 2003051138 A JP2003051138 A JP 2003051138A
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JP2002156354A
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Kazufumi Ogawa
小川  一文
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

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  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】記録層の形成に真空蒸着法を用いず、化学吸着
法により形成した高密度なイレーザブルおよびライトワ
ンス型光記録媒体を低コストで提供する。 【解決手段】化学吸着分子群が基体(1)の表面に共有結
合により化学結合されている単分子層状の光記録膜(2)
であって、前記光記録膜は、偏光が照射される方向に化
学吸着分子の長軸方向が変化する特性を有する。基体
(1)表面には反射膜(5)を形成してもよい。化学吸着分子
は例えばCH3-COO-C6H4-(CH2)6-SiCl3を用いる。この分
子は基材表面の活性水素と脱塩化水素反応を起こし、基
材表面に共有結合により化学結合される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光記録膜とその製
造方法、光記録媒体、情報記録再生装置、コンピュータ
システム及び映像信号記録再生システムに関するもので
ある。
【0002】さらに詳しくは、基体の表面に化学吸着分
子群が結合固定してなる単分子膜状の光記録膜であっ
て、光(偏光又は非偏光)を照射して化学吸着分子の長
軸方向を変化させることにより情報を記録する光記録膜
とその製造方法、光記録媒体、情報記録再生装置、コン
ピュータシステム及び映像信号記録再生システムに関す
るものである。
【0003】
【従来の技術】近年、電子情報量の激増に伴い、低コス
ト大容量の記録媒体の開発が要望されている。特に、低
コストなイレーザブル型記録媒体は、コンピュータの補
助記憶媒体として需要が高い。ところが、現在大容量の
イレーザブル記録媒体の技術として採用されているもの
は、磁気記録方式、光記録方式、光磁気記録方式を用い
たものであり、いずれも記録層の形成に真空蒸着法を用
いているため、製造コストが高いという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記に鑑みな
されたものであり、その目的は、記録層の形成に真空蒸
着を用いない方法で製造でき、かつ高密度で情報を記録
できるイレーザブル型光記録媒体及びライトワンス型光
記録媒体を開発することにより、低コストな光記録媒体
を提供することにある。また、前記光記録媒体に対して
情報の記録再生を行う情報記録再生装置と、前記光記録
媒体及び情報記録再生装置を備えたコンピュータシステ
ムと映像情報記録再生システムとを提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の光記録膜は、化学吸着分子群が基体の表面
に共有結合により化学結合されている単分子層状の光記
録膜であって、前記光記録膜は、偏光が照射される方向
に化学吸着分子の長軸方向が変化する特性を有すること
を特徴とする。前記において、単分子層状とは、分子ど
うしが単独であっても良いし、架橋または重合されてい
てもよい、次に本発明の光記録膜の製造方法は、表面に
活性水素を含む基体と、前記基体の表面と化学結合する
反応基を一端に有し、かつ、分子配向のための偏光が照
射されると前記偏光の偏光方向で決定される特定の方向
に長軸方向が変化する特性を有する化学吸着分子を、非
水系有機溶媒と混合して化学吸着液を調製し、前記化学
吸着液と前記基体とを接触させて、前記基体表面の活性
水素と前記化学吸着分子の反応基との間で低分子脱離反
応を起こさせ、前記基体の表面に化学結合した単分子層
状の光記録膜を形成することを特徴とする。前記におい
て、低分子脱離反応とは、脱ハロゲノ水素反応、脱アル
コール反応(ただし、アルコールの炭素数1〜3)、ま
たは脱イソシアネート反応をいう。
【0006】次に本発明の光記録媒体は、化学吸着分子
群が媒体基体の表面に共有結合により化学結合されてい
る単分子層状の光記録膜を含む光記録媒体であって、前
記光記録膜は、偏光が照射される方向に化学吸着分子の
長軸方向が変化することを特徴とする。
【0007】次に本発明の情報記録再生装置は、化学吸
着分子群が媒体基体の表面に共有結合により化学結合さ
れている単分子層状の光記録膜を含み、前記光記録膜は
偏光が照射される方向に化学吸着分子の長軸方向が変化
する光記録媒体に対して、情報の記録再生を行う情報記
録再生装置であって、情報を電気信号に変換した情報信
号及び動作命令信号の入出力を外部装置との間で行う信
号入出力部と、前記信号入出力部からの情報信号に応じ
て、前記記録層を構成する化学吸着分子の長軸方向を制
御して情報要素を書き込む記録光を射出する記録光射出
部と、前記記録層を構成する化学吸着分子の長軸方向を
変化させない参照光を射出する参照光射出部と、前記参
照光を前記記録層に照射して、情報要素の相違による記
録層を透過した参照光の強度の相違又は偏光成分強度分
布の相違を検知し、かつ、前記検知した結果に応じて所
定の電気信号を前記信号入出力部に出力する情報要素検
知部と、前記光記録媒体の所定の位置に前記記録光と前
記参照光とを選択的に照射させるための位置制御駆動部
と、前記記録光射出部及び前記位置制御駆動部を連動さ
せて行う記録動作と、前記参照光射出部、前記位置制御
駆動部及び前記情報要素検知部を連動させて行う再生動
作とを制御する制御回路部と、を備えることを特徴とす
る。
【0008】次に本発明のコンピュータシステムは、主
メモリーを有する演算処理装置と、補助記憶装置と、入
力装置と、出力装置と、前記各装置間の通信を制御する
通信制御装置とを備え、前記入力装置からの記録命令に
より、前記入力装置からの入力情報は、前記入力情報を
電気信号に変換された記録情報信号として前記演算処理
装置を介して前記補助記憶装置に伝送され、伝送された
記録情報信号に基づき前記補助記憶装置に記録され、前
記入力装置からの再生命令により、前記補助記憶装置に
記録された情報は、前記補助記憶装置から再生情報信号
として読み出され、前記演算処理装置を介して前記出力
装置に伝送され、伝送された再生情報信号に基づき前記
出力装置で再生されるコンピュータシステムにおいて、
前記補助記憶装置は、化学吸着分子群が媒体基体の表面
に共有結合により化学結合されている単分子層状の光記
録膜を含み、前記光記録膜は偏光が照射される方向に化
学吸着分子の長軸方向が変化する光記録媒体に対して、
情報の記録再生を行う装置であり、前記光記録媒体を有
する情報記憶部と、情報を電気信号に変換した情報信号
及び動作命令信号の入出力を外部装置との間で行う信号
入出力部と、前記信号入出力部からの情報信号に応じ
て、前記記録層を構成する化学吸着分子の長軸方向を制
御して情報要素を書き込む記録光を射出する記録光射出
部と、前記記録層を構成する化学吸着分子の長軸方向を
変化させない参照光を射出する参照光射出部と、前記参
照光を前記記録層に照射して、情報要素の相違による記
録層を透過した参照光の強度の相違又は偏光成分強度分
布の相違を検知し、かつ、前記検知した結果に応じて所
定の電気信号を前記信号入出力部に出力する情報要素検
知部と、前記光記録媒体の所定の位置に前記記録光と前
記参照光とを選択的に照射させるための位置制御駆動部
と、前記記録光射出部及び前記位置制御駆動部を連動さ
せて行う記録動作と、前記参照光射出部、前記位置制御
駆動部及び前記情報要素検知部を連動させて行う再生動
作を制御する制御回路部を備えることを特徴とする。
【0009】次に本発明の映像記録再生システムは、映
像信号の入出力を制御する映像信号入出力制御装置と、
映像記憶装置と、映像出力装置と、前記映像信号入出力
制御装置に対して入出力制御命令を発する制御命令入力
装置とを備え、前記制御命令入力装置からの記録命令に
より、外部の映像信号送信元からの映像信号は、前記映
像信号入出力制御装置を介して前記映像記憶装置に伝送
され、伝送された映像信号に基づき映像情報が前記映像
記憶装置に記録され、かつ、前記制御命令入力装置から
の再生命令により、前記映像記憶装置に記録された映像
情報は、再生映像信号として読み出され、前記映像信号
入出力制御装置を介して前記映像出力装置に伝送され、
伝送された再生映像信号に基づき前記映像出力装置で再
生される映像記録再生システムにおいて、前記映像記録
装置は、化学吸着分子群が媒体基体の表面に共有結合に
より化学結合されている単分子層状の光記録膜を含み、
前記光記録膜は偏光が照射される方向に化学吸着分子の
長軸方向が変化する光記録媒体に対して、映像情報の記
録再生を行う情報記録再生装置であって、前記光記録媒
体を有する映像情報記憶部と、映像情報を電気信号に変
換した電気信号及び動作命令信号の入出力を外部装置と
の間で行う信号入出力部と、前記信号入出力部からの情
報信号に応じて、前記記録層を構成する化学吸着分子の
長軸方向を制御して情報要素を書き込む記録光を射出す
る記録光射出部と、前記記録層を構成する化学吸着分子
の長軸方向を変化させない参照光を射出する参照光射出
部と、前記参照光を前記記録層に照射して、情報要素の
相違による記録層を透過した参照光の強度の相違又は偏
光成分強度分布の相違を検知し、かつ、前記検知した結
果に応じて所定の電気信号を前記信号入出力部に出力す
る情報要素検知部と、前記光記録媒体の所定の位置に前
記記録光と前記参照光とを選択的に照射させるための位
置制御駆動部と、前記記録光射出部及び前記位置制御駆
動部を連動させて行う記録動作と、前記参照光射出部、
前記位置制御駆動部及び前記情報要素検知部を連動させ
て行う再生動作を制御する制御回路部を備えることを特
徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明によれば、光記録膜を構成
する化学吸着分子の長軸方向の変化により情報をイレー
ザブル型で記録するイレーザブル型光記録膜を提供でき
る。本光記録膜には、配向用偏光を用いて、配向用偏光
が照射されたことを示す情報や、配向用偏光が照射され
た場所、若しくは照射された偏光の偏光方向を示す情報
等を記録することが可能であり。また、配向用偏光を規
則的に光記録膜に照射して化学吸着分子の長軸方向を制
御することにより、文字や図形等で表現された情報、デ
ジタル化された情報等を記録することが可能である。
【0011】配向用偏光が照射された場合の配向方向
は、光記録膜を構成した化学吸着分子群に固有の方向で
あり、化学吸着分子自体の分子構造及び光記録膜の膜構
造に依存すると考えられる。一般的には、その配向方向
は、配向用偏光の偏光方向とその伝播方向とで形成され
る平面内で、伝播方向と所定の角度をなす方向である。
本発明で用いる化学吸着分子としては、配向用偏光の偏
光方向とその伝播方向とで形成される平面内に配向する
分子でなくともよい。
【0012】本明細書において、「光」は偏光若しくは
非偏光を意味し、更に、「偏光」とは、完全直線偏光、
楕円率の高い完全楕円偏光、又は完全直線偏光若しくは
楕円率の高い完全楕円偏光を含む偏光度(偏光率)の高
い部分偏光を意味し、更にまた、「非偏光」とは、完全
非偏光、又は直線偏光若しくは楕円偏光を含む偏光率の
低い部分偏光を意味する。
【0013】また、本明細書において、「偏光方向」
は、完全直線偏光及び完全直線偏光を含む偏光度の高い
部分偏光(これらを合わせて「直線偏光」と称す)の場
合、その伝播方向(進行方向)を垂線とする平面と完全
直線偏光の電気ベクトルの振動面との交線の方向を意味
し、完全楕円偏光及び完全楕円偏光を含む部分偏光の場
合、その伝播方向を垂線とする平面に射影した完全楕円
偏光の電気ベクトルが描く楕円の主軸方向(長軸方向)
を意味する。
【0014】本発明は、光記録膜を構成する化学吸着分
子の長軸方向の変化により情報を記録するイレーザブル
型光記録膜を提供できる。この光記録膜には、化学吸着
分子に吸収される配向用偏光若しくは非偏光が照射され
たことを示す情報や、配向用偏光若しくは非偏光で照射
された場所又は照射された配向用偏光の偏光方向を示す
情報等を記録することが可能である。また、配向用偏光
若しくは非偏光を規則的に光記録膜に照射して、光記録
膜を構成する化学吸着分子の長軸方向を制御することに
より、文字や図形等で表現された情報やデジタル化され
た情報等を記録することが可能である。
【0015】本発明の光記録分子は、直鎖状線状高分子
であるので、化学吸着分子の分子内ダイポールモーメン
ト(双極子能率)が大きく、情報の記録及び再生の感度
を大きくできる。また、化学吸着分子の基体面と水平な
方向の空間的広がりが小さくなるため、記録膜の分子密
度の高い単分子膜となる。
【0016】前記イレーザブル型光記録膜において、光
記録膜を構成する化学吸着分子が特定の波長の光を吸収
する光吸収性の官能基を有することにより、光吸収性の
官能基が吸収する波長の光を用いて、化学吸着分子の長
軸方向を配向させることができる。あるいは化学吸着分
子の長軸方向をランダムな方向に変化させるために必要
な照射エネルギーを低減することができる。また、光吸
収性官能基の光吸収特性における吸収ピーク波長近傍の
光を用いると、照射エネルギーを更に低減できる。
【0017】前記イレーザブル型光記録膜において、光
吸収性官能基が紫外領域の波長の光を吸収する紫外光吸
収性官能基であることにより、書き込み効率が高く、か
つ、繰り返し再生を行っても容易に配向状態が変化せ
ず、記録保持の耐久性が高いイレーザブル型光記録膜を
提供できる。また、室内での使用及び保管においては、
光記録膜に紫外光が照射される可能性は低く、簡便に取
り扱うことができる。
【0018】前記イレーザブル型光記録膜において、前
記紫外光吸収性官能基がアリール骨格基、アリレン骨格
基又はカルボニル基であることにより、エネルギー密度
の低い光で情報を記録できる光記録膜となる。
【0019】前記光反応性官能基を有する化学吸着分子
群が基体の表面に化学結合してなる単分子層状の光記録
膜であって、前記光記録膜は、前記光反応性官能基に反
応を誘起する反応用の偏光が照射されると前記反応用偏
光の偏光方向及び前記反応用偏光の伝播方向で決定され
る特定の方向に化学吸着分子の長軸方向が変化し、かつ
化学吸着分子の長軸方向が固定される特性を有すること
により、光記録膜を構成する化学吸着分子の長軸方向の
変化により情報を記録するライトワンス型光記録膜を提
供できる。反応用偏光の照射により化学反応した化学吸
着分子の長軸方向は固定されており、元の状態に戻すこ
とはできない。したがって、記録保持の耐久性に優れた
ライトワンス型光記録膜となる。
【0020】前記ライトワンス型光記録膜において、光
反応性官能基が光重合性官能基であり、前記光記録膜を
構成する化学吸着分子の長軸方向は、前記反応用偏光が
照射されると、前記特定の方向に配向し、かつ化学吸着
分子相互の重合又は架橋により前記特定の方向に固定さ
れる。すなわち、反応用偏光の照射により、簡便に光記
録膜を構成する化学吸着分子の長軸方向を固定すること
ができるライトワンス型光記録膜となる。
【0021】前記ライトワンス型光記録膜において、光
重合官能基が紫外領域の波長の光で反応する紫外光重合
性官能基であると、繰り返し再生を行っても容易に化学
吸着分子の長軸方向が変化せず、記録保持の耐久性が高
いライトワンス型光記録膜を提供できる。また、室内で
の使用及び保管において、光記録膜に紫外光が照射され
る可能性は低いので、簡便に取り扱うことができる。
【0022】前記ライトワンス型光記録膜において、紫
外光重合性官能基がカルコン骨格基、シンナモイル骨格
基又はジアセチレン骨格基であると、エネルギー密度の
低い反応用の偏光を用いて光記録が行え、かつ、耐久性
の高い光記録が行えるライトワンス型光記録膜となる。
【0023】前記光記録膜において、光記録膜は前記基
材表面に直接形成されていることにより、安価な光記録
膜を形成できる。
【0024】前記光記録膜において、基材が金属基材、
セラミックス基材、ガラス基材又は合成樹脂基材である
と、安定に保持された光記録膜を提供できる。また、簡
便に取り扱うことができ、様々な用途に適用できる。
【0025】前記光記録膜において、基体が基材とその
上に形成された下地層被膜とからなり、前記光記録膜は
前記下地層被膜の表面に形成されていると、任意の基材
上に形成された光記録膜を提供でき、基材選択の自由度
が増す。
【0026】前記方法によれば、配向用偏光を用いて情
報をイレーザブル型で記録するイレーザブル型光記録膜
を製造でき、基体表面に化学吸着分子を容易に化学結合
させることができる。この膜は、耐剥離性が高いイレー
ザブル型光記録膜である。
【0027】前記方法において、化学吸着分子が特定の
波長の光を吸収する光吸収性の官能基を有すると、エネ
ルギー密度の低い光を用いて記録が行える光記録媒体を
製造できる。
【0028】前記方法において、光吸収性官能基が紫外
領域の波長の光を吸収する紫外光吸収性官能基である
と、書き込みの効率が良く、記録保持の耐久性が高く、
かつ、取り扱いが簡便な光記録膜を製造できる。
【0029】前記方法において、前記紫外光吸収性官能
基としてアリール骨格基、アリレン骨格基又はカルボニ
ル基を有する化学吸着分子を用いると、低エネルギー密
度の光を用いて記録が行え、かつ、記録保持耐久性が高
く、かつ、取り扱いが簡便な光記録膜を製造できる。
【0030】更に、配向用偏光を用いて光記録膜を配向
させることができるため、光記録膜を様々な状態に初期
化でき、利用の幅が広がる。
【0031】前記方法において、前記化学吸着分子に含
まれる光反応性官能基が光重合性官能基であると、反応
用偏光の照射によって、光記録膜を構成する化学吸着分
子の長軸方向を特定の方向に配向させ、かつ重合又は架
橋により配向の固定される光記録膜を製造できる。
【0032】前記方法において、前記光重合性官能基が
紫外領域の波長の光で反応する紫外光重合性官能基であ
ると、書き込みの効率が良く、記録保持の耐久性が高
く、かつ、取り扱いが簡便な光記録膜を製造できる。
【0033】前記方法において、前記紫外光重合性官能
基がカルコン骨格基、シンナモイル骨格基又はジアセチ
レン骨格基であると、低エネルギー密度の光を用いて記
録が行え、記録保持耐久性が高く、かつ取り扱いが簡便
な光記録膜を容易に製造できる。
【0034】前記方法において、前記化学吸着液調製工
程で、前記化学結合する官能基は1〜3個存在してもよ
い。Siは4つの結合基を有するので、基材表面の活性
水素と反応する官能基は1〜3個、光吸収する官能基も
1〜3個存在してもよい。
【0035】ただし、基材表面の活性水素と反応する官
能基Xはハロゲン原子、アルコキシル基又はイソシアネ
ート基から選ばれる。前記の官能基Xがアルコキシル基
の場合は、基材表面の活性水素との間で脱アルコール反
応を起こす。前記の官能基Xがハロゲン原子の場合は、
基材表面の活性水素との間で脱塩化水素反応を起こす。
前記の官能基Xがイソシアネート基の場合は、基材表面
の活性水素との間で脱イソシアネート反応を起こす。こ
のような低分子脱離反応により基材表面に基材表面に共
有結合させた薄膜を当業界では化学吸着膜、またはセル
フアッセンブリング膜(self assembling film)と呼ぶ。
本明細書においては化学吸着膜と呼ぶ。
【0036】前記方法においては、前記化学吸着液調製
工程で、非水系有機溶媒として非水系の有機溶媒を用い
る。これにより、化学吸着分子の加水分解を防ぐことが
できる。
【0037】前記方法においては、前記記録層形成工程
後に、非水系有機溶媒に浸漬して未吸着の前記化学吸着
分子を洗浄除去することが好ましい。これにより、表面
に汚れのない単分子膜を形成でき、光記録膜表面におけ
る乱反射等を低減でき、書き込み精度及び読み出し精度
の高い光記録膜を形成できる。
【0038】前記方法においては、前記記録層形成工程
より前に、前記基体表面に、活性水素を有する官能基を
導入又は補充する前処理をしてもよい。基材表面に活性
水素を有さない又は十分に有さない基材の場合は、予
め、活性水素を含む官能基を導入又は補充すれば、光記
録膜を容易に製造できる。
【0039】前記方法の前処理工程においては、前記基
体の表面にプラズマ処理、コロナ処理又は遠紫外線処理
を施すこともできる。これにより、基体表面に活性水素
を有する官能基を導入できる。
【0040】前記方法においては、前記記録層形成工程
で、前記基体として活性水素を含む官能基を基材表面に
備えた活性水素付き基材を用い、前記活性水素付き基材
の表面に光記録膜を形成してもよい。これにより、化学
吸着分子を媒体基体に化学吸着させることができる。ま
た、基材表面に直接、有機薄膜を成膜するので、製造工
程が簡素化できる。
【0041】前記方法においては、前記記録層形成工程
で、前記基体として、任意の基材上に、活性水素を含む
官能基を表面に有する被膜が設けられた被膜付き基材を
用いて、前記被膜表面に前記光記録膜を形成してもよ
い。これにより、基材の材質に関係なく光記録膜を製造
でき、基材選択の自由度が大きくなる本発明の光記録媒
体によれば、媒体基体上に形成された記録層を構成する
化学吸着分子の長軸方向の変化により情報をイレーザブ
ル型で記録するイレーザブル型光記録媒体を提供でき
る。本記録層には、配向用偏光を用いて、配向用偏光が
照射されたことを示す情報や、配向用偏光で照射された
場所若しくは照射された偏光の偏光方向を示す情報等を
記録することが可能であり、また、配向用の偏光を規則
的に記録層に照射して化学吸着分子の長軸方向を制御す
ることにより、文字や図形等で表現された情報、デジタ
ル化された情報等を記録することが可能である。
【0042】本明細書において、「媒体基体」は、記録
層を形成する下地層全体を意味し、下地層が単層構造
(基板等の基材のみ)であってもよいし、積層構造であ
ってもよい。
【0043】本発明の記録媒体によれば、デジタル化さ
れた情報を記録するイレーザブル型光記録媒体を提供で
きる。媒体基体上の各情報記録単位領域のみに記録層を
有するイレーザブル型光記録媒体であってもよいし、媒
体基体上の全面に記録層を有するイレーザブル型光記録
媒体であってもよい。
【0044】本明細書において、「情報記録単位領域」
は、記録層に含まれる、情報要素を1つ記録する領域を
意味する。したがって、各情報記録単位領域のみに記録
層が形成されている場合には、各情報記録単位領域を認
識できる。しかし、その他の場合、例えば媒体基体の全
面に記録層が形成され、その全面が同一の配向状態にあ
る場合、各情報記録単位領域を認識することはできない
ので、情報記録単位領域は情報要素を書き込む仮想的な
領域である。
【0045】また、本明細書において、「情報要素」
は、情報を最小単位に分割した各単位情報の構成要素で
ある。例えば、情報要素は、0又は1で表現される1ビ
ット情報を単位情報とする従来の2値記録方式におけ
る、0及び1に対応する。したがって、あらゆる情報は
情報要素の配列により表現される。本発明においては、
2値記録方式ばかりでなく、多値記録方式による記録が
可能であり、n値記録方式で記録する場合、互いに異な
るn種の情報要素を用いる。
【0046】本発明の光記録媒体によれば、媒体基体上
に形成された記録層を構成する化学吸着分子の長軸方向
の変化及び固定により情報をライトワンス型で記録する
ライトワンス型光記録媒体を提供できる。反応用偏光の
照射により化学反応した化学吸着分子は化学吸着分子の
長軸方向が固定されているので、記録保持の耐久性に優
れたライトワンス型光記録媒体となる。
【0047】また本発明の光記録媒体によれば、媒体基
体上に形成された記録層を形成する化学吸着分子の長軸
方向の変化及び固定により情報をライトワンス型で記録
する光記録媒体を提供できる。反応用偏光の照射により
化学反応した化学吸着分子は化学吸着分子の長軸方向が
固定されているので、記録保持の耐久性に優れたライト
ワンス型光記録膜となる。また、偏光配向性を有するの
で、配向用偏光を照射して、記録層を構成する化学吸着
分子を配向させることができる。
【0048】前記光記録媒体において、前記媒体基体が
光透過性を有する光透過性媒体基体であると、記録層に
書き込まれた情報を光照射によって読み出す光記録媒体
となる。このとき、記録層と光透過性媒体基体とを透過
した光を測定して書き込まれた情報を特定する。以下、
これを「光透過型の読み出し方法」とも称する。
【0049】前記光記録媒体において、前記光透過性被
膜がシリカ膜又は窒化シリコン膜であると、透明性に優
れた光透過性被膜を備える光記録媒体となる。したがっ
て、光透過性被膜を透過する際の偏光又は非偏光の偏光
成分の変化を低減できる。
【0050】前記光記録媒体において、前記媒体基体が
光反射性を有する光反射性媒体基体であると、記録層に
書き込まれた情報を光照射によって読み出す光記録媒体
となる。このとき、記録層を透過した後、光反射性媒体
基体で反射した光を測定して書き込まれた情報を特定す
る。以下、これを「光反射型の読み出し方法」とも称す
る。
【0051】前記光記録媒体において、光反射膜を構成
する物質として金属アルミニウムを含むと、反射効率の
高い光反射膜を備えた光記録媒体となる。これにより、
精度の高い情報の読み出しが可能となる。
【0052】前記光記録媒体において、媒体基体は、最
表層に光透過性の被膜を備え、かつ、前記光透過性被膜
の表面に前記記録層を備えると、耐剥離性等の耐久性に
優れた記録層を備えた光記録媒体となる。また、光反射
膜表面に形成されている場合においては、光反射膜の酸
化防止等の作用も兼備することとなり、これによっても
結果的に記録層の耐久性が向上する。
【0053】前記光記録媒体において、光透過性被膜を
構成する物質が無機物質であると、光透過性被膜を透過
する際の偏光又は非偏光の偏光成分の変化を低減でき
る。
【0054】前記光記録媒体において、無機物質がシリ
カ又は窒化シリコンであると、透明性に優れた光透過性
被膜を備える光記録媒体となる。
【0055】前記光記録媒体において、記録層が前記光
反射性媒体基体の表裏両面に形成されていると、光記録
媒体あたりの記録容量を2倍にすることができるので、
大容量の光記録媒体を提供できる。
【0056】前記光記録媒体において、前記媒体基体が
ディスク型媒体基体、テープ型媒体基体又はカード型媒
体基体であると、取り扱い易い光記録媒体となる。ま
た、記録層以外、従来の技術を用いて、CD、MO、F
D、カセットテープ等と同様な光記録媒体を提供でき
る。
【0057】前記光記録媒体において、前記媒体基体が
ディスク型媒体基体であり、前記記録層の各情報記録単
位領域が、同心円群状又は渦巻き状に配列していると、
読み出しが容易な光記録媒体、また、読み出しが高速な
光記録媒体となる。
【0058】前記光記録媒体において、前記媒体基体が
テープ型媒体基体又はカード型媒体基体であり、前記記
録層の各情報記録単位領域が、前記媒体基体の長手方向
に対して所定の角度で交叉する平行直線群状に配列して
いると、高密度の記録の記録が可能となる。また、記録
を行う際の機構も簡素化される。
【0059】前記光記録媒体において、前記記録層のす
べての情報記録単位領域が、化学吸着分子の長軸方向の
配向した配向領域に初期化されていると、用途に合わせ
た様々な光記録媒体を提供できる。また、記録再生を行
う際に、誤動作を起こす可能性を低減することもでき
る。
【0060】本実施の形態において、本発明の内容を説
明すると共に望ましい実施の形態を説明する。まず、以
下に説明される各実施の形態を簡単に要約する。
【0061】実施の形態1及び実施の形態2は光記録膜
に関する説明であり、実施の形態1においてはイレーザ
ブル型光記録膜について説明する。また、実施の形態2
においてはライトワンス型光記録膜について説明する。
次に、実施の形態3及び実施の形態4は光記録媒体に関
する説明であり、実施の形態3においてはイレーザブル
型光記録媒体について。また、実施の形態4においては
ライトワンス型光記録媒体について説明する。次に、実
施の形態5及び実施の形態6は記録再生方法に関する説
明であり、実施の形態5においてはイレーザブル型光記
録媒体に対する情報記録再生方法について、また、実施
の形態6においてはライトワンス型光記録媒体に対する
情報記録再生方法について説明する。次に、実施の形態
7〜実施の形態9は情報記録再生装置に関する説明であ
り、実施の形態7においてはイレーザブル型光記録媒体
に対する情報記録再生装置及びライトワンス型光記録媒
体に対する情報記録再生装置の双方に共通な部分につい
て、また、実施の形態8においてはイレーザブル型光記
録媒体に対する情報記録再生装置について、また、実施
の形態9においてはライトワンス型光記録媒体に対する
情報記録再生装置について説明する。
【0062】次に、実施の形態10及び実施の形態11
はコンピュータシステムに関する説明であり、実施の形
態10においてはイレーザブル型光記録媒体に対する情
報記録再生装置を備えたコンピュータシステムについ
て、また、実施の形態11においてはライトワンス型光
記録媒体に対する情報記録再生装置を備えたコンピュー
タシステムについて説明する。
【0063】最後に、実施の形態12及び実施の形態1
3は映像情報記録再生システムに関する説明であり、実
施の形態12においてはイレーザブル型光記録媒体に対
する情報記録再生装置を備えた映像情報記録再生システ
ムについて、また、実施の形態13においてはライトワ
ンス型光記録媒体に対する情報記録再生装置を備えた映
像情報記録再生システムについて説明する。
【0064】(実施の形態1)本実施の形態1において
は、製造方法に基づきイレーザブル型光記録膜(イレー
ザブル型は、消去可能型とも、書き換え可能型とも称さ
れる)について詳述する。
【0065】図1には、本実施の形態1における光記録
膜2の分子レベルまで拡大した断面図を示す。また、図
2には、記録膜形成工程の1例の浸漬方法を説明するた
めの模式図を示す。図2は、基材1上に光反射膜5を形
成した基体を化学吸着液34に浸漬した状態である。
【0066】イレーザブル型光記録媒体の記録層を構成
する化学吸着分子として、配向用の偏光が照射されると
配向用偏光の偏光方向とその伝播方向とで決定される特
有の方向に配向する偏光配向性を有する化学吸着分子、
又は、配向用の偏光が照射されると偏光の偏光方向とそ
の伝播方向で決定される特有の方向に配向し、かつ非偏
光が照射されると配向方向の特定されないランダム方向
に配向する化学吸着分子を用いることができる。偏光配
向性を有する化学吸着分子は、一般的に、非偏光が照射
されるとランダム方向に配向する性質を有するが、この
性質を持たないものであってもよい。
【0067】化学吸着分子が活性水素と化学結合する官
能基を一端に有する分子であると、化学結合した単分子
膜状の記録膜が簡便に形成できる。一般的によく用いら
れる金属基材、セラミックス基材及びガラス基材は最表
面に活性水素を含む官能基を有するので、これらの基材
を用いれば基材に特段の処理を行う必要がないからであ
る。基材表面の活性水素を含む官能基は、−OH基,−
COOH基,−CHO基,−NH2基,>NH基等であ
る。
【0068】前記のような活性水素と化学反応する官能
基を有する化学吸着分子として、シラン系界面活性剤を
用いることができる。例えば、トリハロゲノシラン界面
活性剤、ジハロゲノシラン界面活性剤、モノハロゲノシ
ラン界面活性剤、トリアルコキシノシラン界面活性剤、
ジアルコキシシラン界面活性剤、モノアルコキシシラン
界面活性剤、トリイソシアネートシラン界面活性剤、ジ
イソシアネートシラン界面活性剤、モノイソシアネート
シラン界面活性剤を用いることができる。
【0069】また、化学吸着分子が光吸収性の官能基を
有する分子であると、少ない照射エネルギーで化学吸着
分子の長軸方向を変化させることができる。これによ
り、消費電力を低減することができ、また記録に要する
時間を短縮できる。読み出しに光を用いる場合には、読
み出しに用いる光の波長と書き込みに用いる光の波長と
の差が大きいほど、書き込みの効率及び精度並びに記録
保持精度が高くなるため、光吸収性の官能基としては紫
外光吸収性官能基(紫外領域の波長の光を吸収する官能
基)が好ましい。
【0070】前記の紫外光吸収性官能基として、アリー
ル骨格基、アリーレン骨格基又はカルボニル基等を有す
る化学吸着分子を用いることができる。ここに、アリー
ル骨格基とは、アリール分子の骨格を構成する原子団で
ある。したがって、一価の特性基であってもよいし、二
価の特性基であってもよい。
【0071】化学吸着分子の分子構造としては、化学吸
着分子の長軸の変化性を阻害するものでなければ多少分
岐鎖を有する分子であってもよいが、できるだけ分岐鎖
をもたない線状分子が好ましい。このような化学吸着分
子であれば、分子内ダイポールモーメントが大きいこ
と、及び化学吸着分子の長軸方向が変化する際に隣接す
る化学吸着分子から空間的障害が小さいことにより、光
に対する応答性が向上し、書き込み感度及び精度が向上
する。更に、化学吸着分子の長軸がランダムなランダム
領域においては光透過率の等方性が、化学吸着分子の長
軸が配向した配向領域においては光透過率の異方性が顕
著となり、読み出し精度も向上する。また、空間的障害
が小さいことにより、化学吸着分子の稠密度が高い光記
録膜を形成することができ、これによっても読み出し精
度が向上する。
【0072】前記線状分子として好ましくは、活性水素
と結合する官能基を除き、直鎖状の炭素骨格を有する分
子(以下、直鎖状骨格分子と称す)、直鎖状の炭素骨格
の一部の炭素原子がフェニレン基(−C64−)、カル
ボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−CO−
O−)等の原子団で置換された直線的な骨格を有する分
子(以下、直線状骨格分子と称す)、又はハロゲン原
子、3フッ化炭素(CF 3−)、炭素数1〜25のアル
キル基またはアルキレン基、フェニル基(C65−)等
の置換基を有する直鎖状骨格分子若しくは直線状骨格分
子である。
【0073】化学吸着液調製工程における有機溶媒とし
て非水系の有機溶媒を用いる。非水系の有機溶媒を用い
れば、膜厚均一性に優れた単分子膜状の光記録膜を形成
できる。
【0074】記録膜形成工程における基体と化学吸着液
とを接触させる方法としては、化学吸着液を基体に塗布
する方法、化学吸着液中に浸漬する方法等が適用でき
る。本工程は、相対湿度が30%以下の乾燥雰囲気中、
例えば乾燥空気中、乾燥窒素中又は乾燥ヘリウム中で行
うことが好ましい。
【0075】基材として活性水素を含む官能基を有する
基材を用いれば、光記録膜を簡便に製造できる。特に、
一旦大気と接触した金属基材、セラミックス基材、ガラ
ス基材等であれば、特段の表面処理を施さなくとも、光
記録膜の形成に十分な量の活性水素を含む官能基を表面
に有する。金属基材であれば、水分を含む大気中に露呈
されると表面が自然酸化され、その自然酸化により形成
された酸化物が更に水分子と反応して活性水素を有する
官能基、主に水酸基が導入される。セラミックス基材又
はガラス基材も基材表面の原子と大気中の水分子とが反
応して活性水素を含む官能基が導入される。
【0076】一般的に、表面が親水性の基材であれば多
くの水酸基を有し、その水酸基に含まれる水素原子は活
性水素である。したがって、親水性の基材を用いると簡
便に光記録膜を製造できる。
【0077】合成樹脂基材であれば、表面にプラズマ処
理、コロナ処理又は遠紫外線処理等を施すことにより、
容易に活性水素を含む官能基を導入できる。したがっ
て、活性水素を導入した合成樹脂基材を用いても光記録
膜を製造できる。活性水素を含む官能基を表面に有する
合成樹脂基材であれば、前記のような処理は行わなくと
も光記録膜を製造できる。
【0078】金属基材、セラミックス基材又はガラス基
材であっても、表面に活性水素が存在しない、又は存在
するが十分でない等の場合、表面にプラズマ処理、コロ
ナ処理又は遠紫外線処理等を施すことにより、活性水素
を含む官能基を導入してもよい。
【0079】化学吸着分子を直接表面に化学吸着できな
い基材、又は表面処理を施しても容易に表面を改質でき
ない基材等であれば、活性水素を含む官能基を表面に有
する被膜をコーティングする。このようにすれば、任意
の基材を用いて光記録膜を形成することができ、基材選
択の幅が広がる。
【0080】記録膜形成工程後に、基体上に残留する未
反応の化学吸着分子を洗浄除去することが好ましい。洗
浄除去工程を行うと表面に汚れのない単分子膜を形成で
き、書き込み精度及び読み出し精度の高い光記録膜を形
成できる。また、洗浄工程における有機溶媒としては非
水系の有機溶媒を用いる。
【0081】(実施の形態2)光記録膜を構成する化学
吸着分子として、光反応性官能基を有する化学吸着分子
を用いること以外は、前記実施の形態1と同様にしてラ
イトワンス型光記録膜を製造できる。
【0082】光反応性官能基として、光重合性官能基等
を有する化学吸着分子を用いる。光反応性官能基が光重
合性官能基であれば、反応用の偏光が照射することによ
り、化学吸着分子が特有の方向に配向し、かつ光記録膜
を構成する化学吸着分子相互の重合又は架橋により、配
向方向の固定された状態にすることができる。この光重
合性には、光吸収による熱重合性をも含む。
【0083】読み出し用の参照光の波長と反応用の偏光
の波長との差が大きいほど、書き込みの精度及び記録保
持精度が高くなるため、光反応性官能基としては紫外線
領域の波長の光で反応する官能基が好ましい。更に、書
き込みの効率を向上するためには、光反応性官能基の反
応を誘起する吸収ピーク波長に近い波長の光を用いるこ
とがより好ましい。
【0084】前記紫外線領域の波長の光で重合する官能
基を有する化学吸着分子として、カルコン骨格基、シン
ナモイル骨格基又はジアセチレン骨格基等を有する化学
吸着分子を用いることができる。
【0085】本来、ライトワンス型光記録膜は記録保持
及び繰り返しの再生に対する耐久性が重視されるので、
光照射に対する応答性が低くても、光照射で長軸方向が
変化する化学吸着分子であれば、光記録膜を構成する化
学吸着分子として用いることができる。また、記録速度
を向上させるのであれば、できるだけ分岐鎖をもたない
分子が好ましい。このような分子であれば分子内ダイポ
ールモーメントが大きいため、光に対する応答性が向上
しかつ光透過率異方性が顕著になり、書き込み感度及び
精度、並びに読み出し精度が向上する。更に好ましく
は、実施の形態1と同様に、直鎖状骨格分子、直線状骨
格分子又は置換基を有する直鎖状骨格分子若しくは直線
状骨格分子である。
【0086】化学吸着分子としては、光反応性官能基を
有しかつ基体と化学結合する官能基を一端に有する分子
であればよい。基体と化学結合する官能基が活性水素と
反応する官能基を一端に有する分子であると、化学結合
した単分子膜状の光記録膜が形成できる。このような分
子として光反応性官能基を有するシラン系界面活性剤を
用いることができる。例えば、シラン系界面活性剤とし
ては、実施の形態1と同様に、クロロシラン系界面活性
剤、アルコキシシラン系界面活性剤又はイソシアネート
シラン系界面活性剤が利用できる。
【0087】(実施の形態3)本実施の形態において
は、媒体基体表面に前記実施の形態1のイレーザブル型
光記録膜を記録層として備えたイレーザブル型光記録媒
体について説明する。
【0088】前記実施の形態1で用いた基体の代わり
に、光反射性の媒体基体又は光透過性の媒体基体を用い
ること以外は前記実施の形態1と同様にして、イレーザ
ブル型光記録媒体を製造する。化学吸着分子が活性水素
と反応する官能基を一端に有する分子であると、化学結
合した単分子膜状の記録層が簡便に形成できる。このよ
うな化学吸着分子として、前記クロロシラン系界面活性
剤、前記アルコキシシラン系界面活性剤及び前記イソシ
アネートシラン系界面活性剤等のシラン系界面活性剤を
用いることができる。
【0089】化学吸着分子は、光吸収性の官能基を有す
る分子であることが好ましく、更に好ましくは、紫外光
吸収性官能基を有する分子である。このような化学吸着
分子として、アリール骨格基、アリレン骨格基又はカル
ボニル基等を有する分子を用いることができる。
【0090】また、化学吸着分子としては、配向性を阻
害するものでなければ多少分岐鎖を有する分子であって
もよいが、できるだけ分岐鎖をもたない分子が好まし
い。更に好ましくは、実施の形態1に記載した直鎖状骨
格分子、直線状骨格分子、又は置換基を有する直鎖状骨
格分子若しくは直線状骨格分子を用いる。
【0091】実施の形態1と同様に、化学吸着液調製工
程における有機溶媒として、非水系の有機溶媒を用い
る。また、記録膜形成工程後に媒体基体上に残留する未
反応の化学吸着分子を洗浄除去する洗浄工程を行う。さ
らに、洗浄工程における有機溶媒としては非水系の有機
溶媒を用いる。
【0092】記録層形成工程で媒体基体と化学吸着液と
を接触させる方法としては、化学吸着液を基体に塗布す
る方法、化学吸着液中に浸漬する方法等が適用できる。
媒体基体の両面に記録層を形成する際は、化学吸着液に
浸漬する方法を適用することが好ましい。この方法を適
用すれば、媒体基体の表裏両面に、同時に記録層を形成
することができる。
【0093】以下に、図3A−E及び図4A−Cを参照
しながら、光記録媒体の構造について説明する。
【0094】図3A−Eは、光反射性媒体基体3上に光
記録層2を設けた光記録媒体の構造例を示す断面図であ
り、図3Aは光反射性基材21の表面に直接光記録層2
を形成した光記録媒体を示し、図3Bは基材1上に反射
膜5を形成しその上に光記録層2を形成した光記録媒体
を示し、図3Cは基材1上に光反射膜5及び光透過性被
膜4を形成し、その上に光記録層2を形成した光記録媒
体を示し、図3Dは基材1上に光反射膜5を形成し、そ
のうえに部分的に光記録層2を設けた光記録媒体を示
し、図3Eは基材1上に光反射膜5を形成し、そのうえ
の全面に光記録層2を設けた光記録媒体を示す。
【0095】また図4A−Cは、光透過性媒体基体3上
に光記録層2を設けた光記録媒体の構造例を示す断面図
であり、図4Aは光透過性基材11の上に直接光記録層
2を設けた光記録媒体を示し、図4Bは光透過性基材1
1上に光透過性被膜4を形成し、その上に記録層2を設
けた光記録媒体を示し、図4Cは光透過性基材11の上
に直接光記録層2を部分的に形成した光記録媒体を示
す。
【0096】媒体基体は、形状として、ディスク型媒体
基体、テープ型媒体基体又はカード型媒体基体が好まし
い。ディスク型媒体基体、カード型媒体基体であれば、
基材として金属基材、セラミック基材、ガラス基材等の
剛性に優れる基材が適している。また、テープ型媒体基
体は、合成樹脂基材等の可とう性に優れる基材が適して
いる。
【0097】また、媒体基体は、記録された情報を読み
出す方法が媒体基体透過型であるか又は媒体基体反射型
であるかに応じて、それぞれ光透過性媒体基体又は光反
射性媒体基体に大別される。
【0098】光透過性媒体基体3としてガラス基材等の
光透過性基材11を用い、光透過性基材11表面に記録
層2を形成すれる(図4A)。また、光透過性基材11
上に、光透過性の物質群よりなる光透過性被膜4を形成
し、更に光透過性被膜4表面に記録層2を形成するもの
であってもよい(図4B)。このように光透過性被膜4
を介して記録層2を形成すれば、基材選択の幅が広が
る。また、媒体基体3表面の所定の部位のみに記録層2
を成膜し、情報記録単位領域を形成するものであっても
よい(図4C)。
【0099】光反射性媒体基体3として任意の基材1上
に光反射性の物質群よりなる光反射膜5を備えた媒体基
体3を用い、この光反射性媒体基体3表面に記録層2を
形成すれば反射型光記録媒体が製造できる(図3B)。
光反射膜は反射率の高いものが好ましく、このような光
反射膜5を構成する物質としては、例えば、金属アルミ
ニウムまたは銀を主に含む物質がある。また、平滑性に
優れる物質を用いると、膜厚が均一でかつ表面が平坦な
光反射膜5が形成できる。光反射性かつ平滑性に優れる
物質としてケイ素を数重量%含む金属アルミニウム等を
用いることができる。
【0100】また、光反射性の物質群よりなる光反射性
基材21を用いれば、光反射性基材21表面に単分子膜
状の記録層2を備えた光反射型光記録媒体が製造できる
(図3A)。また、光反射性媒体基体3の所定の部位の
みに記録層2を成膜し、情報記録単位領域を形成するも
のであってもよい(図3D)。
【0101】また、光反射膜5又は光反射性基材21
に、光透過性被膜4を介して記録層2を形成してもよい
(図3C)。このような構成にすると、耐剥離性等の耐
久性の高い光反射膜を備えた光記録媒体となる。
【0102】記録層形成工程後に、光記録媒体に配向用
の光(配向用の偏光又は非偏光)を照射して前記記録層
を構成する化学吸着分子の長軸方向を所定の方向に初期
化することが望ましい。以下に、イレーザブル型光記録
媒体の初期化について説明する。まず、記録層全面を初
期化する場合を図5から図7A−Cを参照して説明す
る。次に、少なくとも情報記録単位領域を含む記録層の
部分領域を初期化する場合を説明する。
【0103】記録層形成工程後の記録層は、化学吸着分
子の長軸方向がランダムな状態(ランダム領域)であ
り、ランダム状態を初期状態とする場合には特に初期化
を行う必要はない。しかし、特定の方向に配向した配向
状態にある情報記録単位領域が形成されていると、使用
に際して誤動作を起こす可能性があるため、非偏光の照
射でランダム状態に変化する記録層を有する光記録媒体
であれば、記録層全面を非偏光で照射して確実にランダ
ム状態にしておくことが望ましい。
【0104】記録層全面を配向状態に初期化する場合に
は、配向用の偏光で記録層2全面を一括照射又はスキャ
ン照射して、記録層2を構成する化学吸着分子を所定の
方向に配向させてもよいし(偏光配向法)、記録層2を
ラビングロール31でラビングするラビング処理を施し
て所定の方向に配向させてもよい(ラビング配向法)。
図5には、光(偏光)配向法を説明するための模式図を
示す。また、図7A−Cは、ラビング配向法を説明する
ための模式図であり、図7Aは媒体基体を1方向にラビ
ング処理する方法を示し、図7Bは媒体基体3を円周方
向にラビング処理する方法を示し、図7Cは均一なラビ
ング密度で媒体基体3を円周方向(半径方向に垂直な方
向)にラビング処理する方法を示す。図7Cにおける母
線の長さr1とラビングロールの半径r2を選択するこ
とにより均一なラビング密度でラビング処理することも
できる。
【0105】また、記録層形成工程において、又は、洗
浄工程を行う場合については洗浄工程において、有機溶
媒32から媒体基体3を取り出す際、有機溶媒32の溶
液面に対して媒体基体3表面を所定の角度、好ましくは
直角に立てた状態で引き上げ、記録層2を構成する化学
吸着分子の長軸方向を配向させてもよい(液切り配向
法)。図6は、液切り配向法を説明するための模式図で
ある。
【0106】前記液切り配向及び/又はラビング配向を
行った後、更に前記偏光配向法を適用して記録層を配向
させると精度よく1軸配向した配向状態に初期化(配向
領域を形成する)することができる。好ましくは、前記
液切り配向法の適用後に、更に前記偏光配向を適用して
記録層を初期化することである。このように初期化すれ
ば、ラビング処理のように媒体基体表面を傷つける可能
性がない点、また、工程が簡素化できる点において優れ
るからである。前記の如く化学吸着分子の長軸方向が1
軸配向した配向状態を情報要素又は情報要素の構成要素
として用いると、精度の高い書き込み及び読み出しが可
能となる。
【0107】次に、情報記録単位領域ごとに配向用の偏
光を照射することで、各情報記録単位領域に含まれる化
学吸着分子の長軸方向が配向した、任意配向状態又は所
定配向状態に初期化(任意配向領域又は所定配向領域を
形成)してもよい。非偏光の照射により化学吸着分子の
長軸方向がランダム方向に変化する特性を有する光記録
媒体であれば、情報記録単位領域ごとに配向用の非偏光
を照射することで、各情報記録単位領域をランダム状態
に初期化(ランダム領域を形成する)することもでき
る。
【0108】以下に、初期化ディスク型光記録媒体、テ
ープ型光記録媒体又はカード型光記録媒体をこのように
初期化する場合について説明する。ただし、非偏光の照
射により化学吸着分子の長軸方向がランダム方向に変化
する特性を有する光記録媒体の情報記録単位領域を、ラ
ンダム状態に初期化する場合については省略する。必要
があれば、配向用の偏光を配向用の非偏光と読み替え、
配向状態、任意配向状態又は所定配向状態をランダム状
態と読み替えればよい。
【0109】ディスク型光記録媒体であれば、図8Aに
示すような同心円群状又は図8Bに示すような渦巻き状
に情報記録単位領域を配列する。この場合の初期化にお
いて、ディスク型光記録媒体を回転させ、かつ、偏光方
向及び伝播方向が固定された配向用の偏光を半径方向に
移動させることにより、各情報記録単位領域を所定配向
状態に初期化することができる。
【0110】また、予め所定のパターンが形成されたフ
ォトマスクを用意しておき、ディスク型光記録媒体を回
転させず、偏光方向及び伝播方向が固定された配向用の
偏光をフォトマスクを介して記録層に照射し、一括して
すべての情報記録単位領域を任意配向状態に初期化して
もよい。更に、偏光子上又は下にフォトマスクを形成し
ておき、配向用の非偏光を偏光子に照射し、偏光子を透
過してなる所定のパターンの配向用の偏光で記録層を照
射することにより、一括して、すべての情報記録単位領
域を任意配向状態に初期化してもよい。
【0111】図9A−Bは、記録層2を部分的に初期化
する方法を説明するための模式的斜視図であり、図9A
は所定のパターンのフォトマスク33を設けた偏光子7
を用いて初期化する方法を示し、図9Bは光照射部位を
順次変化させて初期化する方法を示す。
【0112】前記ディスク型光記録媒体の初期化におい
て、配向用の光を情報記録単位領域ごとに断続的に照射
してもよいし、配向用光で各情報記録単位領域を連続的
に順次照射してもよい。このとき、ディスク型光記録媒
体を連続的に回転させておくのが好ましい。また、ディ
スク型媒体基体表面に略垂直な方向から配向用の非偏光
又は配向用の偏光を媒体基体に照射することが好まし
い。
【0113】図10A−Cはディスク型光記録媒体の初
期化例を示す模式的平面図であり、図10Aは部分的に
所定配向状態に初期化された記録層2を示す、図10B
は全体的に任意配向状態に初期化された記録層を示す。
図10Cは全体的に所定配向状態に初期化された記録層
2を示す。
【0114】テープ型光記録媒体及びカード型光記録媒
体であれば、光記録媒体の長手方向の平行直線群状又は
媒体の長手方向と所定の角度で交叉する平行直線群状に
各情報記録単位領域を配列することが好ましい。図11
A−Eは、テープ型光記録媒体及びテープ型光記録媒体
の記録層における情報記録単位領域の配列例を説明する
ための模式的平面図であり、図11Aは長手方向に1直
線に配列した情報記録単位領域を示し、図11Bは長手
方向と直角な平行直線群状(格子点群状)に配列した情
報記録単位領域を示し、図11Cは軸が長手方向と所定
の角度で斜向する平行直線群状(1軸斜方格子点群状)
に配列した情報記録単位領域を示し、図11Dは軸が長
手方向と第1の所定の角度で斜向する平行直線と、軸が
長手方向と第2の所定の角度で斜向する平行直線とから
なる3角波形群状に配列した情報記録単位領域を示し、
図11Eは軸が長手方向と所定の角度で斜向する平行直
線群状(2軸斜方格子点群状)に配列した情報記録単位
領域を示す模式図である。
【0115】この場合の初期化において、テープ型光記
録媒体又はカード型光記録媒体を長手方向に走行させ、
かつ、光線を媒体の長手方向と垂直な方向に移動させ
て、各情報記録単位領域に偏光方向と伝播方向が固定さ
れた配向用の偏光を照射することにより、各情報記録単
位領域に含まれる化学吸着分子の長軸方向を所定配向状
態に初期化することができる。
【0116】前記のテープ型光記録媒体及びカード型光
記録媒体の初期化において、各情報記録単位領域ごとに
配向用の偏光を断続的に照射して各情報記録単位領域の
初期化を行ってもよいし、連続的に照射した配向用の偏
光で各情報記録単位領域を初期化してもよい。また、テ
ープ型光記録媒体及びカード型光記録媒体を連続的に走
行させておくことが好ましい。更にまた、媒体基体表面
に略垂直な方向から非偏光又は偏光を媒体基体に照射し
て、初期化を行うことが好ましい。
【0117】特に、カード型光記録媒体であれば、カー
ド型光記録媒体を走行させず、光の照射位置を移動させ
ながら、記録層のすべての情報記録単位領域に、偏光方
向及び伝播方向が固定された偏光を照射して、すべての
情報記録単位領域を所定配向状態に初期化してもよい。
また、予め所定のパターンの形成されたフォトマスクを
用意し、このフォトマスクを介して非偏光又は偏光を記
録層に照射することにより、一括してすべての情報記録
単位領域をそれぞれランダム状態又は所定配向状態に初
期化してもよい。
【0118】図12A−Cは、テープ型光記録媒体及び
カード型光記録媒体の初期化例を示す模式的平面図であ
り、図12Aは長手方向を配向方位とする所定配向状態
に部分的に初期化された記録層2を示し、図12Bは長
手方向を配向方位とする所定配向状態に全体的に初期化
された記録層2を示し、図12Cは長手方向と異なる方
位を配向方位とする所定配向状態に部分的に初期化され
た記録層2を示す。
【0119】まず、配向用の光照射による、記録層を構
成する化学吸着分子の応答を説明する。配向用の偏光と
しては、直線偏光がもっとも好ましい。また、楕円偏光
であってもよいが、この場合、楕円率が大きい楕円偏光
を用いることが好ましい。更にまた、直線偏光成分を含
む部分偏光や楕円偏光成分を含む部分偏光であってもよ
いが、偏光率(偏光度とも称される)の高い部分偏光を
用いなければ書き込み及び読み出し精度が低くなる。
【0120】簡略化のため直線偏光を照射する場合につ
いて説明する。配向用の偏光が照射されると、記録層を
構成した化学吸着分子は、一般的には、図13に示すよ
うに、照射された偏光の偏光方向とその伝播方向とで形
成される平面内(以下において「偏光面」とも称する)
で、かつ偏光の伝播方向と所定の角度をなして配向す
る。この所定の角度は、記録層を形成した化学吸着分子
自体に主に依存する特有の角度である。但し、記録層の
分子密度等にも依存すると考えられる。
【0121】また、配向方向は、偏光の伝播方向を挟ん
で対称に、2つの方向のいずれかとなる。下記に説明す
るが、2つの方向それぞれに配向した分子が混在する場
合であっても、読み出しに用いる参照光が参照非偏光で
あればその伝播方向を、また、参照光が参照偏光であれ
ばその偏光方向及び伝播方向を、所定の方向に設定して
入射させることにより、両方の配向方向が区別すること
ができなくなる。つまり、同一の配向状態と見なすこと
ができる。前記したように前記ラビング配向又は液切り
配向を行い1軸配向させておけば、2つの方向に配向す
る状態を回避することができる。
【0122】また、本発明においては、配向用の偏光の
偏光方向及び伝播方向で決定される特定の方向に配向化
学吸着分子であればよいので、配向用の偏光の照射で偏
光面内に配向する化学吸着分子でなくともよい。
【0123】図13では媒体基体をその垂線方向から
(入射角0°)配向用の偏光で照射した場合を示した
が、入射角を大きくするにつれ、隣接する化学吸着分子
や媒体基体との相互作用が大きくなり、配向用偏光の偏
光方向とその伝播方向とで形成される平面内に配向しな
くなったり、前記2つの方向が配向用の偏光の伝播方向
に対して対称でなくなったりする場合がある。
【0124】非偏光としては、完全非偏光ばかりでな
く、楕円率の低い楕円偏光や偏光率の低い部分偏光であ
ってもよい。完全非偏光が照射されると、図14に示す
ように、完全非偏光の伝播方向を回転軸とした円錐体の
錐面上の任意の位置に(ランダム方向に)変化する。し
たがって、化学吸着分子の長軸方向のランダムなランダ
ム状態となる。ここに、ランダム状態とは、媒体基体に
対する化学吸着分子のティルト角は固定されているがそ
の方位が特定されない状態、化学吸着分子のティルト角
もその方位も特定されない状態等を意味する。
【0125】次に、記録層を構成する化学吸着分子の配
向状態の読み出しについて説明する。参照偏光及び参照
非偏光は、化学吸着分子に照射してもその長軸方向を変
化させない光である。記録層を構成した化学吸着分子の
光吸収特性に応じて、参照光の波長や照射強度を決定す
る必要がある。一般的には、所定のエネルギーを化学吸
着分子が吸収しなければ、記録層を構成した化学吸着分
子の長軸方向は変化しない。したがって、光吸収特性に
おいて吸収効率の低い波長を選択すれば、照射強度の選
択幅が大きくできるので好ましい。
【0126】配向状態にある記録層を透過する際の参照
光の偏光成分変化を図15を参照して説明する。図15
A−Bは、記録層を構成する化学吸着分子の配向状態を
説明するための模式図であり、図15Aは傾斜角の異な
る配向状態を示す断面図であり、図15Bは配向方位の
異なる配向状態を示す斜視図である。
【0127】配向状態にある記録層を参照光が透過する
際、参照光の伝播方向を法線とする平面内でその平面に
配向方向を射影した射影配向方向と直交する方向に振動
する偏光成分の透過率が最も高く、前記射影配向方向と
の角度が減少するにつれその角度方向に振動する偏光成
分の透過率は減少し、前記射影配向方向に振動する偏光
成分の透過率が最も低くなる。但し、記録層を構成する
化学吸着分子が旋光性を有する分子、例えば不斉炭素を
有する分子であれば、透過率の最も高い偏光成分の振動
方向と、透過率の最も低い偏光成分の振動方向とは、そ
れぞれ化学吸着分子に特有の角度だけ同一方向に回転す
る方向である。しかし、本発明においては、記録層の膜
厚が極めて薄いため、回転角度(旋光角度)は極めて小
さく、無視できる程度である。
【0128】更に、前記射影配向方向が同一で、射影配
向方向と配向方向とのなす角度が異なるとき、その角度
が大きいほど透過率は高く、その角度が小さくなるほど
透過率は小さくなる。
【0129】前記のようにして製造されたイレーザブル
型光記録媒体は以下のように使用することができる。ま
ず、記録層がランダム状態のイレーザブル型光記録媒体
であれば、偏光が照射された位置や偏光方向を記録する
感光板として使用できる。また同様に、記録層が所定配
向状態のイレーザブル型光記録媒体であれば、非偏光が
照射された位置を記録する感光板として使用できる。使
用後に再度初期化を行うことにより、繰り返し使用でき
る。
【0130】次に、ランダム状態の記録層を備えたイレ
ーザブル型光記録媒体であれば偏光を用いて、又は、第
1の所定配向状態の記録層を備えたイレーザブル型光記
録媒体であれば非偏光若しくは第1の所定配向状態と異
なる第2の所定配向状態に配向状態を変化する偏光を用
いて、それらの光記録媒体に文字や図形等を描くことに
より情報を記録する光記録媒体として利用できる。
【0131】次に、イレーザブル型光記録媒体の記録層
に情報記録単位領域を有する場合、所定の配向用の光を
照射して情報記録単位領域ごとに情報要素を1つ書き込
むことにより、デジタル情報を記録する光記録媒体とし
て使用できる。なお、デジタル情報の記録に関しては下
記の実施の形態5において詳述する。
【0132】(実施の形態4)本実施の形態において
は、媒体基体表面に実施の形態2のライトワンス型光記
録膜を記録層として備えたライトワンス型光記録媒体に
ついて説明する。実施の形態1の基体を用いる代わり
に、光反射性の媒体基体又は光透過性の媒体基体を用い
ること以外は実施の形態1と同様にしてライトワンス型
光記録媒体を製造できる。
【0133】活性水素と反応する官能基を一端に有する
化学吸着分子であると、化学結合した単分子膜状の記録
層が簡便に形成できる。このような化学吸着分子とし
て、実施の形態1に記載した如く、クロロシラン系界面
活性剤、アルコキシシラン系界面活性剤及びイソシアネ
ートシラン系界面活性剤等のシラン系界面活性剤を用い
ることができる。
【0134】また、光反応性官能基を有する化学吸着分
子として、光重合性官能基等を有する分子を用いること
ができる。光反応性官能基が光重合性官能基であれば、
反応用の偏光が照射されることにより、化学吸着分子が
特定の方向に配向し、かつ光記録膜を構成する化学吸着
分子相互の重合又は架橋により、配向方向の固定された
状態にすることができる。この光重合性には光吸収によ
る熱重合性をも含む。
【0135】化学吸着分子としては、配向性を阻害する
ものでなければ多少分岐鎖を有する分子であってもよい
が、できるだけ分岐鎖をもたない分子が好ましい。更に
好ましくは、実施の形態1に記載した如く、直鎖状骨格
分子、直線状骨格分子、又は置換基を有する直鎖状骨格
分子若しくは直線状骨格分子である。
【0136】実施の形態1と同様に、化学吸着液調製工
程における有機溶媒として、非水系の有機溶媒を用い
る。また、記録膜形成工程後に媒体基体上に残留する未
反応の化学吸着分子を洗浄除去する洗浄工程を行う。更
に、洗浄工程における有機溶媒としては非水系の有機溶
媒を用いる。
【0137】記録膜形成工程で基体と化学吸着液とを接
触させる方法としては、化学吸着液を基体に塗布する方
法又は化学吸着液中に浸漬する方法等がある。媒体基体
の両面に記録層を形成する際は、化学吸着液に浸漬する
方法を適用することが好ましい。この方法を適用すれ
ば、媒体基体の表裏両面に、同時に記録層を形成するこ
とができる。
【0138】媒体基体は、形状として、ディスク型媒体
基体、テープ型媒体基体又はカード型基体が好ましい。
ディスク型媒体基体、カード型基体であれば、基材とし
て金属基材、セラミック基材、ガラス基材等の剛性に優
れる基材が適している。また、テープ型媒体基体であれ
ば、合成樹脂基材等の可とう性に優れる基材が適してい
る。
【0139】媒体基体は、記録された情報を読み出す方
法が媒体基体透過型であるか又は媒体基体反射型である
かに応じて、それぞれ光透過性媒体基体又は光反射性媒
体基体に大別される。
【0140】光透過性媒体基体としてガラス基材等の光
透過性基材を用い、光透過性基材表面に記録層を形成す
れば透過型光記録媒体が製造できる。また、光透過性基
材上に、光透過性の物質群よりなる透明被膜を形成し、
更に、透明被膜表面に記録層を形成するものであっても
よい。このように透明被膜を介して記録層を形成すれ
ば、基材選択の幅が広がる。
【0141】光反射性媒体基体として任意の基材上に光
反射性の物質からなる反射膜を備えた媒体基体を用い、
この媒体基体表面に記録層を形成すれば反射型光記録媒
体が製造できる。反射膜は光反射性に優れたものが好ま
しく、このような反射膜を構成する物質としては、例え
ば、金属アルミニウムを主に含む物質を用いることがで
きる。また、平滑性に優れる物質を用いると、膜厚が均
一でかつ表面が平坦な反射膜が形成できる。ケイ素を数
重量%含む金属アルミニウム等を用いることで光反射性
かつ平滑性に優れる反射膜を形成できる。
【0142】また、光反射性の物質からなる光反射性基
材を用いれば、光反射性基材表面に単分子膜状の記録層
を備えた反射型光記録媒体が製造できる。
【0143】また、反射膜又は光反射性基材に、光透過
性の物質よりなる透明被膜を介して記録層を形成しても
よい。このような構成にすると、耐剥離性等の耐久性に
優れる反射膜を備えた光記録媒体となる。また、透明被
膜表面に活性水素を含む官能基を有する又は容易に導入
できる透明被膜であれば、化学吸着分子が容易に化学吸
着しない反射膜であっても、簡便に単分子膜状の記録層
を形成できる。
【0144】記録層形成工程後に、光記録媒体に所定の
光(偏光又は非偏光)を照射して、情報記録単位領域を
構成する化学吸着分子を所定の配向状態に初期化する
と、様々な初期状態のライトワンス型光記録媒体が製造
できる。記録層形成工程後、記録層を構成する化学吸着
分子は配向方向の特定されないランダム状態にある。初
期化を行わずに用いることもできるが、所定の方向に配
向した領域が形成されていると使用に際して不慮の誤動
作を起こす可能性があるため、非偏光の照射によりラン
ダム状態に変化する特性も有する記録層であれば、初期
化工程を行い確実にランダム状態に初期化しておくこと
ができる。以下に、ライトワンス型光記録媒体の初期化
及び初期状態について説明する。
【0145】ライトワンス型光記録媒体のすべての情報
記録単位領域を同一の配向状態にできるのであれば、初
期化工程において、記録層全面を初期化してもよいし、
記録層を部分的に初期化してもよい。配向状態として
は、ランダム状態、配向方向が固定された任意配向状態
又は配向方向が固定された所定配向状態のいずれかの配
向状態が可能である。また、記録層を構成する化学吸着
分子が光配向性を有する分子であれば、配向状態とし
て、更に、配向方向が固定されていない任意配向状態と
配向方向が固定されていない所定配向状態とが可能であ
る。
【0146】また、初期化工程において、記録層表面に
ラビング処理を施して任意配向状態又は所定配向状態に
初期化してもよい。このとき、媒体基体表面が傷つけら
れると乱反射により読み出し精度が低下するので、媒体
基体表面を可能な限り傷つけないように注意する必要が
ある。
【0147】まず、記録層全面を初期化する場合、偏光
方向及び伝播方向が固定された反応用の偏光で記録層全
面を一括照射又はスキャン照射すれば、任意配向固定状
態か所定配向固定状態かに初期化できる。また、偏光配
向性を有する記録層であれば、偏光方向及び伝播方向が
固定された配向用の偏光で記録層全面を一括照射又はス
キャン照射して、任意配向状態か所定配向状態かに初期
化できる。また、非偏光の照射によりランダム状態に変
化する特性も有する記録層であれば、配向用の非偏光で
記録層全面を一括照射又はスキャン照射してランダム状
態に初期化してもよい。
【0148】次に、ディスク型光記録媒体、テープ型光
記録媒体、カード型光記録媒体を例にして、記録層を部
分的に初期化する場合について説明する。
【0149】ディスク型光記録媒体であれば、同心円群
状又は渦巻き状に情報記録単位領域を配列することが好
ましい。この場合の初期化において、ディスク型光記録
媒体を回転させ、かつ、配向用の非偏光、又は偏光方向
及び伝播方向が固定された配向用の偏光若しくは反応用
の偏光を半径方向に移動させることにより、すべての情
報記録単位領域に含まれる化学吸着分子の配向状態をラ
ンダム状態又は所定配向状態若しくは所定配向固定状態
にそれぞれ初期化することができる。
【0150】ディスク型光記録媒体の初期化において、
配向用の非偏光、配向用の偏光又は反応用の偏光を情報
記録単位領域ごとに断続的に照射してもよいし、連続的
な配向用の光で各情報記録単位領域を順次照射してもよ
い。このとき、ディスク型光記録媒体は連続的に回転さ
せておくことが好ましい。また、ディスク型媒体基体表
面に略垂直な方向から配向用の非偏光又は配向用の偏光
を媒体基体に照射することが好ましい。
【0151】また、予め所定のパターンが形成されたフ
ォトマスクを用意しておき、ディスク型光記録媒体を回
転させず、偏光方向及び伝播方向が固定された反応用の
偏光をフォトマスクを介して記録層全面に照射し、一括
してすべての情報記録単位領域を任意配向固定状態に初
期化してもよい。
【0152】更にまた、偏光子上にフォトマスクを形成
しておき、反応用の非偏光を偏光子に入射し、偏光子を
透過してなる反応用の偏光で記録層を照射することによ
り、一括して、すべての情報記録単位領域を任意配向固
定状態に初期化してもよい。
【0153】テープ型光記録媒体及びカード型光記録媒
体であれば、光記録媒体の長手方向の平行直線状又は平
行直線群状に、又は媒体の長手方向と所定の角度で交叉
する平行直線群状に各情報記録単位領域を配列すること
が好ましい。
【0154】この場合の初期化において、テープ型光記
録媒体又はカード型光記録媒体を長手方向に走行させ、
かつ、偏光方向と伝播方向が固定された配向用の偏光又
は反応用の偏光を媒体の長手方向と垂直な方向に移動さ
せることにより、すべての情報記録単位領域に含まれる
化学吸着分子の配向状態を所定配向状態又は所定配向固
定状態に初期化することができる。
【0155】前記のテープ型光記録媒体及びカード型光
記録媒体の初期化において、各情報記録単位領域ごとに
配向用の偏光又は反応用の偏光を断続的に照射すること
により、すべての情報記録単位領域の初期化を行っても
よいし、連続的に照射した配向用の偏光又は反応用の偏
光ですべての情報記録単位領域を初期化してもよい。ま
た、テープ型光記録媒体及びカード型光記録媒体を連続
的に走行させておくことが好ましい。更にまた、媒体基
体表面に略垂直な方向から、配向用の偏光又は反応用の
偏光を媒体基体に照射することが好ましい。
【0156】特に、カード型光記録媒体であれば、カー
ド型光記録媒体を走行させず、光の照射位置を移動させ
ながら、記録層のすべての情報記録単位領域に偏光方向
及び伝播方向が固定された偏光を照射して、すべての情
報記録単位領域をそれぞれ第1の所定配向状態若しくは
第1の所定配向固定状態又は任意配向状態若しくは任意
配向固定状態に初期化してもよい。また、予め所定のパ
ターンの形成されたフォトマスクを用意し、このフォト
マスクを介して偏光を記録層に照射することにより、一
括してすべての情報記録単位領域を初期化してもよい。
【0157】(実施の形態5)本実施の形態5におい
て、イレーザブル型光記録媒体にデジタル情報を記録す
る記録方法及びイレーザブル型光記録媒体に記録された
デジタル情報を読み出す再生方法について説明する。
【0158】イレーザブル型光記録媒体の記録再生方法
は、イレーザブル型光記録媒体の初期状態には依存しな
い。したがって、前記光吸収性官能基に吸収される配向
用の偏光が照射されると前記配向用偏光の偏光方向及び
前記配向用偏光の伝播方向とで決定される特定の方向に
化学吸着分子の長軸方向が変化する偏光配向性を有し、
かつ前記光吸収性官能基に吸収される非偏光が照射され
るとランダム方向に化学吸着分子の長軸方向が変化する
特性を有する場合、どのような初期状態であっても、以
下のすべての記録再生方法が適用できる。但し、偏光配
向性のみを有する記録層であれば、ランダム状態を情報
要素として用いた記録再生方法に適用することはできな
い。
【0159】まず、光記録媒体の記録層を構成する化学
吸着分子の長軸方位と情報要素との相関について説明す
る。情報記録単位領域への情報要素の書き込みは、情報
記録単位領域に含まれる化学吸着分子の長軸方位を全体
的に同一状態に変化させるか、又は、情報記録単位領域
を2分割し、各分割領域に含まれる化学吸着分子の長軸
方向が各々の分割領域内では同一で、かつ、相互の分割
領域では化学吸着分子の長軸方位が異なるように変化さ
せるか、により大きく2つに分類できる。前者では、情
報要素が化学吸着分子の配向方位で特定され、後者で
は、情報要素が、2つの異なる配向状態にある分割領域
の面積比で特定される。
【0160】図16A−Dは、情報要素と記録層を構成
する化学吸着分子の配向状態との相関を説明するための
模式的平面図であり、図16Aは記録層2の各情報記録
単位領域を構成する化学吸着分子の長軸方位を情報要素
とした2値記録の一例を示し、図16Bは記録層2の各
情報記録単位領域を構成する化学吸着分子の長軸方位を
情報要素とした2値記録の一例を示し、図16Cはディ
スク型光記録媒体を用い、記録層2の各情報記録単位領
域を構成する化学吸着分子の長軸方位を情報要素とした
2値記録の一例を示し、図16Dには記録層2の各情報
記録単位領域を構成する2種の化学吸着分子の配向方位
の面積比を情報要素とした3値記録の一例を示す。
【0161】前記情報要素が化学吸着分子の配向状態で
特定される場合の記録において、2種の情報要素を用い
る2値記録方式で情報を記録することも、3種以上の情
報要素を用いる多値記録方式で記録することも可能であ
る。
【0162】2値記録方式であれば、2種の情報要素の
組合せとしては、ランダム状態と任意配向状態との組合
せ、第1の所定配向状態と第1の配向状態以外の任意配
向状態との組合せ、ランダム状態と所定配向状態との組
合せ、又は、第1の所定配向状態と第2の所定配向状態
との組合せが可能である。好ましくは、後者2つの場合
である。
【0163】図17A−Cは、初期状態が全体的にラン
ダム状態である記録層2に対する2値記録を説明するた
めの模式的平面図であり、図17Aは初期状態を示し、
図17Bはランダム状態と所定配向状態とを情報要素と
した2値記録を行った状態を示し、図17Cは第1の所
定配向状態と第2の所定配向状態とを情報要素とした2
値記録を行った状態を示す。
【0164】図18A−Eは、初期状態が全体的に配向
状態である記録層2に対する2値記録の例を説明するた
めの模式的平面図であり、図18Aは初期状態を示し、
図18Bは初期状態(所定配向状態)とランダム状態と
を情報要素とした2値記録を行った状態を示し、図18
Cは初期状態と配向方位の異なる所定配向状態とランダ
ム状態とを情報要素とした2値記録を行った状態を示
し、図18Dは初期状態(所定配向状態)と初期状態と
配向方位の異なる所定配向状態とを情報要素とした2値
記録を行った状態を示し、図18Eは初期状態の配向方
位と異なる第1の所定配向状態と初期状態の配向方位と
異なる第2の所定配向状態とを情報要素とする2値記録
を行った状態を示す。
【0165】図19A−Eは、初期状態が部分的に所定
配向状態である記録層2に対する2値記録の例を説明す
るための模式的平面図であり、図19Aは初期状態を示
し、図19Bは初期状態(所定配向状態)とランダム状
態とを情報要素とした2値記録を行った状態を示し、図
19Cは初期状態と配向方位の異なる所定配向状態とラ
ンダム状態とを情報要素とした2値記録を行った状態を
示し、図19Dは初期状態(所定配向状態)と初期状態
と配向方位の異なる所定配向状態とを情報要素とした2
値記録を行った状態を示し、図19Eは初期状態の配向
方位と異なる第1の所定配向状態と初期状態の配向方位
と異なる第2の所定配向状態とを情報要素とする2値記
録を行った状態を示す。
【0166】多値記録方式としてn値記録方式を例にす
ると、n種の情報要素の組合せとしては、ランダム状態
と第1所定配向状態と第2所定配向状態と・・・と第n
−1所定配向状態との組合せ、又は、第1所定配向状態
と第2所定配向状態と・・・と第n所定配向状態との組
合せが好ましい。
【0167】図20A−Cは、全体的に初期状態がラン
ダム状態である記録層2に対する多値記録の例を説明す
るための模式的平面図であり、図20Aは初期状態を示
し、図20Bは第1の所定配向状態及び第2の所定配向
状態それぞれを情報要素とした3値記録を行った状態を
示し、図20Cは第1の所定配向状態、第2の所定配向
状態及び第3の所定配向状態それぞれを情報要素とした
3値記録を行った状態を示す。
【0168】また、図21A−Eは、全体的に初期状態
が配向状態である記録層2に対する多値記録の例を説明
するための模式的平面図であり、図21Aは初期状態
(第1の所定配向状態)、図21Bはランダム状態及び
第2の所定配向状態それぞれを情報要素とした3値記録
を行った状態を示し、図21Cはランダム状態、第1の
所定配向状態及び第2の所定配向状態それぞれを情報要
素とした3値記録を行った状態を示し、図21Dは初期
状態(第1の所定配向状態)、第2の所定配向状態及び
第3の所定配向状態それぞれを情報要素とした3値記録
を行った状態を示し、図21Eは第1の所定配向状態、
第2の所定配向状態及び第3の所定配向状態それぞれを
情報要素とした3値記録を行った状態を示す。
【0169】また、図22A−Dは、部分的に初期状態
が配向状態である記録層2に対する多値記録の例を説明
するための模式的平面図であり、図22Aは初期状態
(第1の所定配向状態)、図22Bはランダム状態及び
第2の所定配向状態それぞれを情報要素とした3値記録
を行った状態を示し、図22Cはランダム状態、第1の
所定配向状態及び第2の所定配向状態それぞれを情報要
素とした3値記録を行った状態を示し、図22Dは初期
状態(第1の所定配向状態)、第2の所定配向状態及び
第3の所定配向状態それぞれを情報要素とした3値記録
を行った状態を示し、図22Eは第1の所定配向状態、
第2の所定配向状態及び第3の所定配向状態それぞれを
情報要素とした3値記録を行った状態を示す。
【0170】多値記録方式を適用する場合、2m値記録
方式(mは自然数)であれば、2値情報信号から2m値
情報信号への信号変換が簡便となる。更にまた、一般的
に、情報として偶数ビット情報が単位として用いられて
いるので、2m値記録方式(mは自然数)とすることが
好ましい。
【0171】前記の記録における配向状態が互いに異な
る複数の所定配向状態としては、媒体基体に対するティ
ルト角が一定角度に保たれ、傾斜方向のみが互いに異な
る所定配向状態であること、又は、傾斜方向が一定方向
に保たれ、ティルト角のみが異なる所定配向状態である
ことが好ましい。前者は、伝播方向が光記録媒体の基準
方向に対して所定の方向に保たれ、偏光方向のみが互い
に異なる記録偏光を照射することで実現する状態であ
る。このとき、記録偏光の伝播方向を光記録媒体表面と
垂直な方向とすることが好ましい。また、後者は、偏光
方向が光記録媒体の基準方向に保たれ、伝播方向が互い
に異なる記録偏光を照射することで実現する状態であ
る。
【0172】情報の書き込み及び情報の読み出しの簡便
さと精度とを考慮すれば、配向方向が互いに異なる複数
の所定配向状態として、媒体基体に対するティルト角が
一定に保たれ、配向方位のみが互いに異なる所定配向状
態を情報要素とすることがもっとも好ましい。
【0173】前記情報要素が2種の異なる配向状態にあ
る分割領域の面積比で特定される場合の記録において、
2種の配向状態の組合せとしては、ランダム状態と所定
配向状態との組合せ又は第1所定配向状態と第2所定配
向状態との組合せが好ましい。第1の面積比と第2の面
積比を情報要素として用いた2値記録方式、又は、3種
以上の面積比それぞれを情報要素として用いた多値記録
方式を適用した、情報記録が可能である。
【0174】次に、情報の再生方法について説明する。
参照光の照射により情報記録単位領域に書き込まれた情
報要素を特定できる方法であればよく、参照光は情報記
録単位領域ごとに照射してもよいし、複数の情報記録単
位領域を含む領域に照射してもよい。情報記録単位領域
ごとに照射する場合、情報記録単位領域内部に参照光を
集光することが読み出し精度を向上するためには好まし
い。複数の情報記録単位領域を含む領域に照射する場
合、各情報記録単位領域を透過した各々の透過参照光の
強度又はその偏光成分強度分布をそれぞれ特定すれば、
複数の情報記録単位領域の情報要素を同時に特定するこ
ともできる。
【0175】以下に、前記記録における情報要素の組合
せごとに、情報記録単位領域ごとに参照光を照射する場
合の情報再生方法を以下に説明する。
【0176】第1に、ランダム状態と任意配向状態とを
情報要素として用いて記録された情報の再生において
は、情報記録単位領域ごとに参照非偏光を照射し、情報
記録単位領域を透過した透過光の強度を測定することに
より、任意配向の有無で情報要素を特定することができ
る。また、透過光を更に偏光子を介してその強度を透過
軸の方位を変化させて複数測定し、透過光の偏光成分強
度分布に方位依存性がない(ランダム状態である)こと
を検知することにより、ランダムの有無で情報要素を特
定する方法であってもよい。
【0177】第2に、ランダム状態と所定配向状態とを
情報要素とする記録情報の再生において、参照非偏光を
記録層に照射し、その透過光の強度を測定することによ
り、所定配向状態の有無で情報要素を特定することがで
きる。
【0178】また、参照非偏光を記録層に照射し、その
透過光を更に透過軸が所定の方向に設定された偏光子を
介してその光強度を測定することにより、配向方向の相
違で情報要素を精度よく特定できる。このとき、透過軸
の方向は、情報要素の相違による変化が最大となる方向
に設定することが好ましい。
【0179】また、参照偏光を記録層に照射し、その透
過光の強度を測定することにより情報要素を特定でき
る。このとき参照偏光の偏光方向が、前記所定配向状態
に変化させるために用いた記録偏光の偏光方向と同一方
位又は直交する方位であれば、配向方位の相違で情報要
素を精度よく特定でき好ましい。
【0180】また、参照偏光を記録層に照射し、その透
過光を更に偏光子を介してその光強度を測定することに
より、配向方位の相違で情報要素を特定できる。このと
き参照偏光の偏光方向が、前記所定配向状態に変化させ
るために用いた記録偏光の偏光方向と同一方位又は直交
する方位であれば、配向方位の相違で情報要素を精度良
く特定でき好ましい。
【0181】第3に、2種の所定配向状態を情報要素と
して用いて記録された情報の再生において、参照非偏光
を記録層に照射し、透過した透過光を更に偏光子を介し
てその光強度を測定することにより、配向方位の相違で
情報要素を特定できる。ここで、情報要素の特定方法
は、測定された光強度が所定の第1の強度より大きいか
小さいかにより配向方位を検知し情報要素を特定する方
法、測定された光強度が所定の第1の強度範囲にあるか
否かにより配向方位を検知し情報要素を特定する方法、
測定された光強度が所定の第1の光強度より大きいか又
は所定の第2の光強度より小さいかにより配向方位を検
知し情報要素を特定する方法、又は、測定された光強度
が所定の第1の強度範囲にあるか所定の第2の強度範囲
にあるかにより配向方位をそれぞれ検知し情報要素を特
定する信頼性の高い方法であってもよい。
【0182】また、参照偏光を記録層に照射し、透過し
た透過光の強度を測定することにより、配向方位の相違
で情報要素を特定することもできる。ここで、参照偏光
の偏光方向が、2種の所定配向状態のいずれかに変化さ
せるために用いた記録偏光の偏光方向と同一方位又はそ
の記録偏光の偏光方向と直交する方位であれば、情報要
素を精度よく特定することができる。
【0183】また、参照偏光を記録層に照射し、記録層
を透過した透過光を更に偏光子を介してその光強度を測
定することにより、配向方位の相違で情報要素を特定す
ることもできる。また、参照偏光の偏光方向が、2種の
所定配向状態のいずれかに変化させるために用いた記録
偏光の偏光方向と同一方位又はその記録偏光の偏光方向
と直交する方位であれば、情報要素を極めて高い精度で
特定することができる。
【0184】第4に、所定配向状態と、前記所定配向状
態以外の任意配向状態とを情報要素とを情報要素として
用いた記録情報の再生において、参照非偏光を記録層に
照射し、透過した透過光を更に偏光子を介してその光強
度を測定することにより、配向方位の相違で情報要素を
特定できる。ここでの情報要素の特定方法は、測定され
た光強度が所定の強度範囲にあるか否かにより配向方位
を検知し情報要素を特定する方法が可能である。
【0185】第5に、配向方位が異なる3種以上の所定
配向状態を情報要素として記録された情報の再生におい
て、参照非偏光を記録層に照射し、前記記録層を透過し
た透過光の偏光成分強度分布を、偏光子を介して前記偏
光子の透過軸の方向を変化させて複数回測定することに
より、透過光の偏光成分強度分布を検知し、情報要素を
特定することができる。
【0186】また、情報要素に対応づけられた3種以上
の所定配向状態から選択される任意の2つの所定配向状
態の配向方向のいずれに対しても線対称とならない方向
を偏光方向とする参照偏光を用い、参照偏光を記録層に
照射し、透過した透過光の光強度を測定することによ
り、各情報要素を特定できる。ここでの情報要素の特定
方法は、測定された光強度が各情報要素に対応する所定
の強度範囲にあるか否かにより配向方位を検知し情報要
素を特定する方法が可能である。
【0187】第6に、ランダム状態と、配向方位が異な
る複数の所定配向状態を情報要素として記録された情報
の再生において、参照非偏光を記録層に照射し、前記記
録層を透過した透過光の偏光成分強度分布を、偏光子を
介して前記偏光子の透過軸の方向を変化させて複数回測
定することにより、透過光の偏光成分強度分布を検知
し、情報要素を特定することができる。
【0188】また、情報要素に対応づけられた3種以上
の所定配向状態から選択される任意の2つの所定配向状
態の配向方向のいずれに対しても線対称とならない方向
を偏光方向とする参照偏光を用い、参照偏光を記録層に
照射し、透過した透過光の光強度を測定することによ
り、各情報要素を特定できる。ここでの情報要素の特定
方法は、測定された光強度が各情報要素に対応する所定
の強度範囲にあるか否かにより化学吸着分子の長軸方位
(配向方位及びランダム方位)を検知し情報要素を特定
する方法が可能である。
【0189】第7に、情報記録単位領域内のランダム状
態にある第1の分割領域と任意配向状態にある第2の分
割領域との面積分割比が異なる複数種の分割状態を情報
要素とする記録情報の再生において、参照非偏光を記録
層に照射し、記録層を透過した透過光の強度を測定する
ことにより、情報要素を特定することができる。
【0190】第8に、情報記録単位領域内のランダム状
態にある第1の分割領域と所定配向状態にある第2の分
割領域との面積分割比が異なるn種の分割状態(nは2
以上の整数)を情報要素とする記録情報の再生におい
て、参照非偏光を記録層に照射し、記録層を透過した透
過光を更に偏光子を介してその光強度を測定することに
より、情報要素を特定することができる。
【0191】また、参照非偏光を記録層に照射し、その
透過光を更に透過軸が所定の方向に設定された偏光子を
介してその光強度を測定することにより、情報要素を特
定することができる。このとき、偏光子の透過軸の方向
は、情報要素の相違による変化が最大となる方向に設定
することが好ましい。
【0192】また、参照偏光を記録層に照射し、その透
過光の強度を測定することにより情報要素を特定するこ
とができる。このとき、参照偏光の偏光方向が、前記所
定配向状態に変化させるために用いた記録偏光の偏光方
向と同一方位又は直交する方位に設定することが好まし
い。
【0193】また、参照偏光を記録層に照射し、その透
過光を更に偏光子を介してその光強度を測定することに
より、情報要素を特定できる。このとき、参照偏光の偏
光方向が、前記所定配向状態に変化させるために用いた
記録偏光の偏光方向と同一方位又は直交する方位であれ
ば、配向方位の相違で情報要素を更に精度良く特定でき
る。
【0194】第9に、情報記録単位領域内の第1の所定
配向状態にある第1の分割領域と第2の所定配向状態に
ある第2の分割領域との面積分割比が異なる複数種の分
割状態を情報要素とする記録情報の再生において、参照
非偏光を記録層に照射し、透過した透過光を更に偏光子
を介してその光強度を測定することにより、情報要素を
特定できる。
【0195】また、参照偏光を記録層に照射し、記録層
を透過した透過光の強度を測定することにより、情報要
素を特定することもできる。ここで、参照偏光の偏光方
向を、2種の所定配向状態のいずれかに変化させるため
に用いた記録偏光の偏光方向と同一方位又はその記録偏
光の偏光方向と直交する方位に設定することが好まし
い。
【0196】また、参照偏光を記録層に照射し、記録層
を透過した透過光を更に偏光子を介してその光強度を測
定することにより、配向方位の相違で情報要素を特定す
ることもできる。このとき、参照偏光の偏光方向を、2
種の所定配向状態のいずれかに変化させるために用いた
記録偏光の偏光方向と同一方位又はその記録偏光の偏光
方向と直交する方位に設定することが好ましい。
【0197】前記第7及至第9の記録情報の再生方法に
おける情報要素の特定方法としては、所定の第1の強度
範囲、所定の第2の強度範囲、・・・、及び、所定の第
nの強度範囲のいずれの強度範囲にあるかにより情報要
素を特定する方法が好ましい。また、2種の分割状態を
情報要素とする場合は、測定された光強度が所定の強度
より大きいか小さいかにより面積分割比を検知し情報要
素を特定する方法、測定された光強度が所定の第1の強
度範囲にあるか否かにより面積分割比を検知し情報要素
を特定する方法、又は、測定された光強度が所定の第1
の光強度よりも大きいか、第1の光強度より低い所定の
第2の光強度よりも小さいかにより情報要素を特定する
方法であってもよい。
【0198】(実施の形態6)本実施の形態6におい
て、ライトワンス型光記録媒体にデジタル情報を記録す
る記録方法及びライトワンス型光記録媒体に記録された
デジタル情報を読み出す再生方法について説明する。
【0199】前記実施の形態5に記載のイレーザブル型
光記録媒体の場合と異なり、ライトワンス型光記録媒体
の記録方法は、ライトワンス型光記録媒体の初期状態に
依存する。したがって、前記実施の形態4に記載したラ
イトワンス型光記録媒体の初期状態ごとに述べる。本実
施の形態6においても、異なる所定の方向とは配向方位
が異なることを意味する。
【0200】まず、情報要素の書き込みは、前記実施の
形態5と同様に、情報記録単位領域に含まれる化学吸着
分子の配向状態を全体的に同一配向状態に変化させる
か、又は、情報記録単位領域を2分割し、各分割領域に
含まれる化学吸着分子の配向状態が各分割領域内では同
一で、かつ、相互の分割領域では配向状態が異なるよう
に変化させるか、により大きく2つに分類できる。前者
では情報要素が化学吸着分子の配向方位で特定され、2
種の情報要素を用いる2値記録方式又は3種以上の情報
要素を用いる多値記録方式が可能である。また、後者で
は、情報要素が異なる配向状態にある2つの分割領域の
面積比で特定され、2つの分割比を用いた第2の値記録
方式又は3つ以上の情報要素を用いた多値記録方式が可
能である。
【0201】前記実施の形態5との違いは、少なくとも
1種の情報要素が配向の固定された状態でなければなら
ないことである。ランダム状態で配向が固定された状態
を1種の情報要素として用いることは好ましくない。精
度良くランダム状態を維持したまま、記録層を構成する
有機分子相互を重合させることは極めて困難であるから
である。
【0202】第1に、ランダム状態を初期状態とし、か
つ、偏光配向固定性を有する記録層を備えたライトワン
ス型光記録媒体に情報を記録する際の情報要素の組合せ
としては、ランダム状態と任意配向状態又は所定配向状
態との組合せ、ランダム状態と複数の所定配向固定状態
との組合せ、第1所定配向固定状態と第2所定配向固定
状態との組合せ、又は3種以上の所定配向固定状態の組
合せが好ましい。
【0203】第2に、第1の配向方位に配向した所定配
向状態を初期状態とし、かつ、偏光配向固定性を有する
記録層を備えたライトワンス型光記録媒体に情報を記録
する際の情報要素の組合せとしては、初期状態である第
1配向方向に配向した所定配向状態と第1配向方位と異
なる第2配向方位に配向しかつ配向が固定された所定配
向固定状態との組合せ、初期状態の第1配向方位に配向
した所定配向状態と、第1配向方位と異なりかつ互いに
配向方位が異なる複数種の所定配向固定状態との組合
せ、配向方位が初期状態の配向方位と異なる第2配向方
位に配向した第2所定配向固定状態と、第1配向方位及
び第2配向方位と異なる第3配向方位に配向した所定配
向固定状態との組合せ、又は、初期状態である第1配向
状態の配向方位と異なりかつ互いに配向方位が異なる複
数種の所定配向固定状態との組合せが好ましい。
【0204】第3に、初期状態が任意配向状態であり、
偏光配向固定性を有する記録層を備えたライトワンス型
光記録媒体に情報を記録する際の情報要素の組合せとし
ては、第1配向方位に配向した第1所定配向固定状態
と、第1配向方位と異なる第2配向方位に配向した第2
所定配向固定状態との組合せ、又は、初期状態である第
1配向状態の配向方位と異なりかつ互いに配向方位が異
なる複数種の所定配向固定状態との組合せが好ましい。
【0205】第4に、すべての情報記録単位領域が第1
配向方位に配向しかつ配向の固定された第1所定配向固
定状態を初期状態とする記録層を備えたライトワンス型
光記録媒体に情報を記録する際の情報要素の組合せとし
ては、初期状態である第1所定配向固定状態と記録層の
膜構造の破壊によるランダム状態との組合せが可能であ
る。
【0206】第5に、情報記録単位領域ごとに任意配向
方向に配向しかつ配向の固定された任意配向状態を初期
状態とする記録層を備えたライトワンス型光記録媒体に
情報を記録する際の情報要素の組合せとしては、初期状
態である任意配向状態と記録層の膜構造の破壊によるラ
ンダム状態との組合せが可能である。
【0207】次に、記録情報の再生方法について説明す
る。情報要素の特定においては、配向方位が同一方向の
所定配向固定状態と所定配向状態は同一と見なしてよ
い。したがって、前記実施の形態5に記載の再生方法と
同様にして記録情報の再生を行うことができる。
【0208】(実施の形態7)本実施の形態7におい
て、イレーザブル型光記録媒体及びライトワンス型光記
録媒体に情報を記録し再生する情報記録再生装置につい
て説明する。図23は、情報記録再生装置の構成を説明
するためのブロック図である。図23の点線で示したL
1からL5は情報記録再生装置の構成に依存する部分で
あり、光記録媒体のみを駆動するものであれば位置制御
駆動部40から情報記憶部43への制御ラインL3のみ
でよい。また、照射する光のみを移動させるものであれ
ば、位置制御駆動部40から記録光射出部41への制御
ラインL1及び位置制御駆動部40から参照光射出部4
1への制御ラインL2が必要となる。ただし、L1及び
L2、又はL3のいずれか一方は利用されなければなら
ない。可動する偏光子を有する情報要素検知部44を備
えた情報記録再生装置や、参照光の照射に伴い情報要素
検知部44も移動する情報記録再生装置等であれば位置
制御駆動部40から情報要素検知部44への制御ライン
L4が必要となる。情報要素検知部44からの信号は信
号入出力部45へ送られ、必要に応じて外部装置46と
交信し、次に制御回路部47に入力され、ここからの信
号は位置制御駆動部40、記録光照射部41、参照光射
出部42に送られる。
【0209】この情報記録再生装置は光記録媒体を内蔵
するものであってもよいし、光記録媒体が脱着可能なリ
ムーバブル型であってもよい。従来の磁気ディスク、磁
気テープ、FD(フレキシブルディスク)、光磁気ディ
スク及びCD等を用いた情報記録再生装置と比べ、主
に、記録媒体、情報の記録方法及び情報の再生方法が異
なる。本発明に係る情報再生装置の動作方法において
は、概ね、従来の情報記録再生装置の技術を利用するこ
とができる。
【0210】記録媒体として反射型再生の光記録媒体又
は透過型再生の光記録媒体を用いることができる。ま
ず、反射型再生の光記録媒体であれば、図24に示すよ
うに、媒体基体3の記録層2側から記録光及び参照光を
入射させればよい。任意の位置に配置された記録光射出
部及び参照光射出部からの記録光及び参照光を光学系
(光転送系)を用いて導光するものであってもよいが、
一般的に、反射板等により伝播方向を変化させると偏光
方向が変化するので、記録光射出部から光記録媒体に至
る光路及び参照光射出部から光記録媒体に至る光路を直
線的にすることが好ましい。また、媒体基体の光反射膜
5における反射による参照光の偏光成分の変化を低減す
るためには、光記録媒体に対して垂直に参照光を入射さ
せることが好ましい。つまり、光記録媒体の記録層2上
方に記録光射出部及び参照光射出部を設け、記録光及び
参照光を光記録媒体に対して垂直に射出することが好ま
しい。
【0211】このとき、記録層を透過し、更に光反射膜
5で反射した光をビームスプリッターやハーフミラー等
を用いて光センサに導光すればよい。ビームスプリッタ
ーやハーフミラーの反射面の方向を記録方法に応じて最
適化することが記録再生精度を向上させる上で重要であ
る。
【0212】媒体基体の表裏両面に記録層を設けた光記
録媒体を用いる場合であれば、表面記録層用の記録光射
出部及び参照光射出部と、裏面記録層用の記録光射出部
及び参照光射出部を備えることが好ましい。1組の記録
光射出部及び参照光射出部を備え、光学系により表裏両
面の記録層に記録光及び参照光を導光するものであって
もよい。
【0213】次に、透過型再生の光記録媒体であれば、
参照光を光記録媒体の記録層側から入射させてもよい
し、記録層と反対側から入射させてもよい。記録光に関
しても同様である。図25A−Dは、光透過性媒体基体
3を備えた光記録媒体の記録層2に対する、記録項と参
照光の照射方向を示す模式的断面図であり、図25Aは
記録光と参照光とを記録層2上方から照射する場合を示
し、図25Bは記録光を記録層2上方から照射し、参照
光を媒体基体3側から照射する場合を示し、図25Cは
記録光を媒体基体3側から照射し、参照光を記録2層上
方から照射する場合を示し、図25Dは記録光と参照光
とを媒体基体3側から照射する場合を示す。
【0214】前記反射型再生の光記録媒体の場合と同様
に、光記録光射出部から光記録媒体に至る光路及び参照
光射出部から光記録媒体に至る光路を直線的にすること
が好ましい。また媒体基体を透過する際の屈折による参
照光の偏光成分の変化を低減するためには、光記録媒体
に対して垂直に参照光を入射させることが好ましい。
【0215】(実施の形態8)本実施の形態8において
は、イレーザブル型光記録媒体に情報を記録し再生する
情報記録再生装置の好ましい構成例について説明する。
【0216】まず、第1に、ランダム状態及び所定配向
状態を情報要素とする記録再生、又は、ランダム状態の
第1分割領域と所定配向状態を第2分割領域との面積比
を情報要素とする記録再生の場合について、図26A−
Cを用いて説明する。
【0217】記録光射出部としては、2つの記録光用の
非偏光光源と、一方の前記非偏光光源からの出射光の光
路上に配置され、かつ透過軸が所定の方向に設定された
偏光子とを有する記録手段A、又は、1つの記録光用の
非偏光光源と、透過軸が所定の方向に設定された移動自
在な偏光子と、前記偏光子を前記非偏光光源からの出射
光の光路上又は光路外に選択的に配置させる駆動装置と
を有する記録手段B(図26A)を用いることが好まし
い。
【0218】参照光射出手段及び情報要素検知部からな
る再生手段としては、以下の4つ(再生手段A〜D)が
好ましい。
【0219】再生手段Aは、参照光射出部が1つの参照
光用の非偏光光源を有し、かつ、情報要素検知部が光セ
ンサーを有し、参照光射出部からの参照非偏光が前記記
録層を透過してなる光の強度を光センサーで測定し、測
定した結果に基づき所定の電気信号を信号入出力部に出
力する。
【0220】再生手段Bは、参照光射出部に1つの参照
光用の非偏光光源と、前記非偏光光源からの出射光の光
路上に配置され、かつ透過軸が所定の方向に設定された
偏光子とを有し、かつ、情報要素検知部に光センサーを
有し、参照光射出部からの参照偏光が前記記録層を透過
してなる光の強度を光センサーで測定し、前記測定した
結果に基づき所定の電気信号を信号入出力部に出力す
る。
【0221】再生手段Cは、前記参照光射出部に1つの
参照光用の非偏光光源を有し、かつ、前記情報要素検知
手段に光センサーと光センサーに入射する光の光路上に
配置されかつ透過軸が所定の方向に設定された検光子と
を有し、参照光射出部からの参照非偏光が記録層を透過
後、更に前記検光子を透過してなる光の強度を前記光セ
ンサーで測定し、前記測定した結果に基づき所定の電気
信号を信号入出力部に出力する。
【0222】再生手段Dは、前記参照光射出部に1つの
参照光用の非偏光光源と、前記非偏光光源からの出射光
の光路上に配置され、かつ透過軸が所定の方向に設定さ
れた偏光子とを有し、かつ、前記情報要素検知部に光セ
ンサーと、前記光センサーに入射する光の光路上に配置
され、かつ透過軸が所定の方向に設定された検光子とを
有し、参照偏光が記録層の透過後、更に検光子を透過し
た参照光の強度を光センサーで測定し、測定した結果に
基づき所定の電気信号を信号入出力部に出力する。
【0223】前記記録手段A又はBと、前記再生手段B
又はDと、を用いる場合には、記録手段の偏光子と再生
手段の偏光子とを1つの偏光子で兼用することが更に好
ましい。
【0224】また、検光子の透過軸の方向は、記録層か
らの影響がないと仮定し、かつ記録偏光を参照光と同一
経路で検光子に導光したと仮定した場合の仮想的記録偏
光の伝播方向と垂直であり、かつその場合の仮想的記録
偏光の偏光方向と平行又は垂直とすると最も好ましい。
【0225】第2に、第1の所定配向状態及び第2の所
定配向状態を情報要素とする記録再生、又は、第1の所
定配向状態にある第1分割領域と第2の所定配向状態に
ある第2分割領域との面積比を情報要素とする記録再生
の場合について説明する。
【0226】記録光射出部として、1つの参照光用の非
偏光光源と、透過軸が異なる所定の方向に設定された2
つの移動自在な偏光子と、前記2つの偏光子のいずれか
を前記非偏光光源からの出射光の光路上に選択的に設置
させる駆動装置とを有する記録手段C、又は、1つの記
録光用の非偏光光源と、前記偏光光源からの出射光の光
路上に配置された回動自在又は回転自在な偏光子と、前
記偏光子を回動又は回転させる駆動装置とを有する記録
手段D、又は、2つの記録光用の非偏光光源と、前記2
つの非偏光光源からの各出射光の光路上に1つずつ配置
され、透過軸が異なる所定の方向に設定された2つの偏
光子とを有する記録手段Eを用いることが好ましい。
【0227】参照光射出部及び情報要素検知部を備えた
再生手段としては、前記再生手段B〜Dが好ましい。
【0228】前記記録手段Eにおいて、2つの偏光子の
透過軸の方向を互いに直交させておくと精度の高い情報
要素の読み出しが可能となり、更に好ましい。また、前
記記録手段C〜Dのいずれかと、前記再生手段B又はD
とを用いる場合、参照光射出部の偏光子と記録光射出部
の偏光子の1つとを兼用することができる。
【0229】また、検光子の透過軸の方向は、記録層か
らの影響がないと仮定し、かつ記録偏光を参照光と同一
経路で検光子に導光したと仮定した場合の仮想的記録偏
光の伝播方向と垂直であり、かつその場合の仮想的記録
偏光の偏光方向と平行又は垂直とすると最も好ましい。
【0230】第3に、ランダム状態及び複数種の異なる
所定配向状態を情報要素とする多値記録方式を用いた記
録再生の場合について説明する。必要に応じて、図26
〜図28を参照する。
【0231】記録光射出部を備えた記録手段としては、
以下の5つの場合(記録手段F〜J)が好ましく、ま
た、参照光射出部及び情報要素検知部を備えた再生手段
としては、以下の再生手段E〜Iが好ましい。
【0232】記録手段Fは、1つの記録光用の非偏光光
源と、移動自在であり、かつ回動自在又は回転自在であ
る偏光子と、前記偏光子を前記非偏光光源からの出射光
の光路上又は前記光路外に配置させ、かつ前記偏光子を
回動又は回転させる駆動装置とを有する記録光射出部
(図26C)を備える。
【0233】記録手段Gは、1つの記録光用の非偏光光
源と、回動自在又は回転自在な偏光子と、その偏光子を
回動又は回転させる駆動装置とを有し、その偏光子の回
動又は回転に伴い、第1の回転角度範囲では前記非偏光
光源からの出射光が前記偏光子を通過しないこと及び第
2の回転角度範囲では前記偏光子を透過することによ
り、記録非偏光及び偏光方向の異なる複数種の記録偏光
のいずれか1種を選択的に射出する記録光射出部(図2
7A及び図27B)を備える。
【0234】記録手段Hは、2つの記録光用の非偏光光
源と、2つの非偏光光源の一方からの出射光の光路上に
配置された回動自在又は回転自在な偏光子と、その偏光
子を回動又は回転させる駆動装置とを有する記録光射出
部を備える。
【0235】記録手段Iは、1つの記録光用の非偏光光
源と、透過軸が所定の互いに異なる方向に設定された複
数の移動自在な偏光子と、前記複数の偏光子のいずれか
1つを選択的に前記非偏光光源からの出射光の光路上に
配置させる駆動装置とを有する記録光射出部を備える。
【0236】記録手段Jは、3以上の所定数の非偏光光
源と、1つ以外の非偏光光源からの各出射光の光路上に
1つずつ配置され、かつ透過軸が互いに異なる所定の方
向に設定された複数の偏光子とを有する記録光射出部
(図26B)を備える。
【0237】再生手段Eは、参照光射出部に、1つの参
照光用の非偏光光源を有し、かつ、情報要素検知部は、
光センサーと、前記光センサーに入射する光の光路上に
配置された回動自在又は回転自在な偏光子と、前記偏光
子を回動又は回転させる駆動装置とを有し、その偏光子
を回動又は回転させて偏光子の透過軸を所定の方向に順
次変化させることにより、参照光射出部からの参照非偏
光が前記記録層を透過後、更に透過軸の方向の互いに異
なる偏光子を透過してなる各光の強度を逐次測定し、逐
次測定した各強度の比較結果に基づき所定の電気信号を
前記入出力装置に出力する(図28A)。
【0238】再生手段Fは、前記参照光射出部に、1つ
の参照光用の非偏光光源を有し、前記情報要素検知部
に、光センサーと、透過軸が所定の互いに異なる方向に
固定された複数の移動自在な偏光子と、前記複数の偏光
子のいずれか1つを選択的に、前記光センサーに入射す
る光の光路上に配置させる駆動装置とを有し、各情報記
録単位領域ごとに、前記複数の偏光子を前記光路上に順
次配置することにより、前記記録層を透過後、更に前記
各偏光子を透過してなる光の強度を逐次測定し、逐次測
定した各強度の比較結果に基づき所定の電気信号を前記
信号入出力部に出力する(図28B)。
【0239】再生手段Gは、参照光射出部に、1つの参
照光用の非偏光光源を有し、かつ、前記情報要素検知部
に、複数の光センサーと、前記複数の光センサーに入射
する光の光路上に前記複数の光センサー各々に対して1
つずつ配置され、かつ透過軸が所定の互いに異なる方向
に設定された複数の偏光子とを有し、参照光射出部から
の参照非偏光が前記記録層を透過後、更に、それらの複
数の偏光子を透過してなる各光の強度を複数の光センサ
ーで一括測定し、各前記光センサーで測定した強度の比
較結果に基づき所定の電気信号を前記信号入出力部に出
力する(図28C)。
【0240】再生手段Hは、参照光射出部に、1つの参
照光用の非偏光光源と前記非偏光光源からの出射光の光
路上に配置された回動自在又は回転自在な偏光子と、前
記偏光子を回動又は回転させる駆動装置とを有し、前記
偏光子を回動又は回転させて前記偏光子の透過軸の方向
を変化させることにより、偏光方向が異なる複数種の参
照偏光を順次射出し、かつ、前記情報要素検知部に、光
センサーを有し、各情報記録単位領域ごとに、前記参照
光射出部から順次射出される参照光が前記記録層を透過
してなる光の強度を逐次測定し、前記逐次測定した各強
度の比較結果に基づき所定の電気信号を前記信号入出力
部に出力する。
【0241】再生手段Iは、前記参照光射出部に、1つ
の参照光用の非偏光光源と、透過軸が所定の互いに異な
る方向に設定された複数の偏光子と、前記複数の偏光子
のいずれか1つを選択的に、前記非偏光光源からの出射
光の光路上に配置する駆動装置とを有し、前記偏光子を
前記光路上に順次配置することにより、前記非偏光光源
からの出射光が前記各偏光子を透過してなる偏光方向の
互いに異なる複数種の参照偏光を順次射出し、かつ、前
記情報要素検知部に、光センサーを有し、情報記録単位
領域ごとに、前記参照光射出部から順次射出される参照
偏光が前記記録層を透過してなる光の強度を逐次測定
し、前記逐次測定した強度の比較結果に基づき所定の電
気信号を前記信号入出力部に出力する。
【0242】前記記録手段F〜Hのいずれかと、前記再
生手段Hとを用いる場合には、再生手段の偏光子及びそ
の駆動装置を記録手段の偏光子及びその駆動装置で兼用
することができる。また、前記記録手段Iと前記再生手
段Iとを用いる場合には、記録手段に含まれる一組の偏
光子及び駆動装置と再生手段に含まれる一組の偏光子及
び駆動装置とを、記録手段に含まれる一組の偏光子及び
駆動装置で兼用することができる。
【0243】第4に、3種以上の異なる所定配向状態を
情報要素とする多値記録方式を用いた記録再生の場合に
ついて説明する。
【0244】記録光射出部を備えた記録手段としては、
以下の3つの場合(記録手段K〜M)が好ましく、ま
た、参照光射出部及び情報要素検知部を備えた再生手段
としては、前記再生手段E〜Iが好ましい。
【0245】記録手段Kは、1つの記録光用の非偏光光
源と、前記非偏光光源からの出射光の光路上に配置され
た回動自在又は回転自在な偏光子と、前記偏光子を回動
又は回転させる駆動装置とを有する記録光射出部を備え
る。
【0246】記録手段Lは、1つの記録光用の非偏光光
源と、透過軸が互いに異なる方向に設定された複数の移
動自在な偏光子と、前記複数の偏光子のいずれか1つを
選択的に前記非偏光光源からの出射光の光路上に配置さ
せる駆動装置とを有する記録光射出部を備える。
【0247】記録手段Mは、複数の記録光用の非偏光光
源と、各前記非偏光光源に固定され、かつ各前記非偏光
光源からの出射光の光路上に1つずつ配置され、かつ透
過軸が互いに異なる方向に設定された偏光子とを有する
記録光射出部を備える。
【0248】前記記録手段Kと前記再生手段Hとを用い
る場合には、記録手段に含まれる偏光子及びその駆動装
置と再生手段に含まれる偏光子及びその駆動装置とを、
記録手段に含まれる偏光子及び駆動装置で兼用すること
ができる。
【0249】(実施の形態9)本実施の形態9において
は、ライトワンス型光記録媒体に情報を記録し再生する
情報記録再生装置の好ましい構成例について説明する。
なお、本実施の形態9において前記実施の形態8におけ
る記録手段及び再生手段を参照する場合、配向用の記録
光及び配向用の非偏光光源を、反応用の記録光及び反応
用の非偏光光源又は破壊用の記録光及び破壊用の非偏光
光源のいずれか適切な方で読み替える。
【0250】本実施形態におけるライトワンス型情報記
録再生装置は、ライトワンス型光記録媒体を有する情報
記憶部と、情報を電気信号に変換した情報信号及び動作
命令信号の入出力を外部装置との間で行う信号入出力装
置と、信号入出力部からの情報信号に応じて、ライトワ
ンス型光記録媒体の記録層を構成する化学吸着分子の配
向状態を変化させて情報要素を書き込む1種以上の記録
光のいずれかを選択的に射出する記録光射出部と、ライ
トワンス型光記録媒体に記録された情報の再生に用い
る、記録層を構成する化学吸着分子の配向状態を変化さ
せない1種以上の参照光を射出する参照光射出部と、ラ
イトワンス型光記録媒体の所定の位置に記録光と参照光
とを選択的に照射させるための位置制御駆動部と、参照
光射出部から射出された参照光が記録層を透過してなる
光の偏光成分強度分布の相違を検知し、かつ検知した結
果に基づき所定の電気信号を前記信号入出力部に出力す
る情報要素検知部と、前記記録光射出部及び前記位置制
御部を連動させて行う記録動作と、参照光射出部、位置
制御駆動部及び前記情報要素検知部を連動させて行う再
生動作とを制御する制御回路部とを備える。
【0251】ライトワンス型光記録媒体の初期状態とし
ては、ランダム状態、情報要素の書き込まれていない配
向状態若しくは1種の情報要素の書き込まれた方向特定
状態、又は、1種の情報要素の書き込まれた配向状態が
可能である。ここに、1種の情報要素の書き込まれた配
向状態は任意配向状態又は所定配向状態を意味し、1種
の情報要素の書き込まれた配向固定状態は所定配向固定
状態又は任意配向固定状態を意味する。以下に、ライト
ワンス型光記録媒体の初期状態ごとにそれらの情報記録
再生装置の構成を説明する。
【0252】まず第1に、ランダム状態を初期状態とす
るライトワンス型光記録媒体に、ランダム状態と所定配
向固定状態とを情報要素とする記録再生、又は、ランダ
ム状態にある第1分割領域と所定配向固定状態にある第
2分割領域との面積比を情報要素とする記録再生を行う
情報記録再生装置について説明する。
【0253】記録光射出部として、1つの反応用の非偏
光光源と、前記非偏光光源からの出射光の光路上に配置
され、かつ透過軸が所定の方向に設定された1つの偏光
子とを有する記録手段Nを用いることが好ましい。ま
た、参照光射出部及び情報要素検知部を備える再生手段
として、前記実施の形態8に記載の再生手段A〜Dを用
いることが好ましい。
【0254】第2に、ランダム状態を初期状態とするラ
イトワンス型光記録媒体に、第1の所定配向固定状態及
び第2の所定配向固定状態を情報要素とする記録再生、
又は、第1の所定配向固定状態にある第1分割領域と第
2の所定配向固定状態にある第2分割領域との面積比を
情報要素とする記録再生を行う情報記録再生装置につい
て説明する。
【0255】記録光射出部を備える記録手段として、前
記実施の形態8に記載の記録手段C〜Eを用いることが
好ましく、参照光射出部及び情報要素検知部を備える再
生手段として、前記実施の形態8に記載の再生手段A〜
Dを用いることが好ましい。
【0256】第3に、ランダム状態を初期状態とするラ
イトワンス型光記録媒体に、ランダム状態と第1の所定
配向固定状態と第2の所定配向状態とを情報要素とする
3値記録方式で記録再生を行う情報記録再生装置につい
て説明する。
【0257】記録光射出部を備える記録手段として、前
記実施の形態8に記載の記録手段C〜Eを用いることが
好ましく、参照光射出部及び情報要素検知部を備える再
生手段として、前記実施の形態8に記載の再生手段E〜
Iを用いることが好ましい。前記記録手段C及び前記再
生手段Iを用いる場合、又は、前記記録手段D及び前記
再生手段Hを用いる場合には、記録手段に含まれる偏光
子及びその駆動装置と再生手段に含まれる偏光子及びそ
の駆動装置とを、再生手段に含まれる偏光子及びその駆
動装置で兼用することができる。
【0258】第4に、ランダム状態を初期状態とするラ
イトワンス型光記録媒体に、ランダム状態と3種以上の
異なる所定配向固定状態とを情報要素とする多値記録方
式で記録再生、又は、3種以上の異なる所定配向固定状
態を情報要素とする多値記録方式で記録再生を行う情報
記録再生装置について説明する。
【0259】記録光射出部を備える記録手段として、前
記実施の形態8に記載の記録手段F〜Jを用いることが
好ましく、参照光射出部及び情報要素検知部を備える再
生手段として、前記実施の形態8に記載の再生手段E〜
Iを用いることが好ましい。
【0260】前記記録手段Kと前記再生手段Hとを用い
る場合には、記録手段に含まれる偏光子及びその駆動装
置と再生手段に含まれる偏光子及びその駆動装置とを、
記録手段に含まれる偏光子及び駆動装置で兼用すること
ができる。
【0261】第5に、情報要素の書き込まれていない配
向状態を初期状態とするライトワンス型光記録媒体に、
第1の所定配向固定状態と第2の所定配向固定状態とを
情報要素とする記録再生、又は、第1の所定配向固定状
態にある第1分割領域と第2の所定配向固定状態にある
第2分割領域との面積比を情報要素とする記録再生を行
う情報記録再生装置について説明する。
【0262】記録光射出部を備えた記録手段としては、
前記実施の形態8に記載の記録手段C〜Eが好ましく、
参照光射出部及び情報要素検知部を備えた再生手段とし
ては、前記再生手段B〜Dが好ましい。
【0263】前記記録手段C又はEにおいては、2つの
偏光子の透過軸の方向を互いに直交させておくと精度の
高い情報要素の読み出しが可能となり、更に好ましい。
また、また、前記記録手段C〜Dのいずれかと、前記再
生手段B又はDとを用いる場合、参照光射出部の偏光子
と記録光射出部の偏光子の1つとを兼用することができ
る。
【0264】第6に、情報要素の書き込まれていない配
向状態を初期状態とするライトワンス型光記録媒体に、
3種以上の異なる所定配向固定状態を情報要素とする多
値記録方式で、記録再生を行う情報記録再生装置につい
て説明する。
【0265】記録光射出部を備える記録手段として、前
記実施の形態8に記載の記録手段F〜Jを用いることが
好ましく、参照光射出部及び情報要素検知部を備える再
生手段として、前記実施の形態8に記載の再生手段E〜
Iを用いることが好ましい。
【0266】前記記録手段Kと前記再生手段Hとを用い
る場合には、記録手段に含まれる偏光子及びその駆動装
置と再生手段に含まれる偏光子及びその駆動装置とを、
記録手段に含まれる偏光子及び駆動装置で兼用すること
ができる。
【0267】第7に、任意配向状態を初期状態とするラ
イトワンス型光記録媒体に、任意配向状態と所定配向固
定状態とを情報要素とする記録再生を行う情報記録再生
装置について説明する。ただし、所定配向固定状態を形
成する化学吸着分子のティルト角を、任意配向状態を形
成する化学吸着分子のティルト角と異ならせる必要があ
る。
【0268】記録光射出部を備える記録手段としては、
前記記録手段Nが好ましく、参照光射出部及び情報要素
検知部を備える再生手段としては、前記実施の形態8に
記載の再生手段B〜Dが好ましい。再生手段として再生
手段Aを用いてもよいが、この場合、初期状態を形成し
た化学吸着分子と所定配向固定状態を形成した化学吸着
分子とのティルト角(傾斜角)が異なっていなければな
らない。
【0269】第8に、任意配向状態を初期状態とするラ
イトワンス型光記録媒体に、任意配向状態と第1の所定
配向固定状態と第2の所定配向状態とを情報要素とする
3値記録方式で、記録再生を行う情報記録再生装置につ
いて説明する。ただしこの場合も、所定配向固定状態を
形成する化学吸着分子のティルト角を、任意配向状態を
形成する化学吸着分子のティルト角と異ならせる必要が
ある。
【0270】記録光射出部を備える記録手段として、前
記実施の形態8に記載の記録手段F〜Jを用いることが
好ましく、参照光射出部及び情報要素検知部を備える再
生手段として、前記実施の形態8に記載の再生手段E〜
Iを用いることが好ましい。
【0271】第9に、任意配向状態を初期状態とするラ
イトワンス型光記録媒体に、任意配向状態と3種以上の
異なる所定配向固定状態を情報要素とする多値記録方式
で、記録再生を行う情報記録再生装置について説明す
る。ただしこの場合も、所定配向固定状態を形成する化
学吸着分子のティルト角を、任意配向状態を形成する化
学吸着分子のティルト角と異ならせる必要がある。
【0272】記録光射出部を備える記録手段として、前
記実施の形態8に記載の記録手段F〜Jを用いることが
好ましく、参照光射出部及び情報要素検知部を備える再
生手段として、前記実施の形態8に記載の再生手段E〜
Iを用いることが好ましい。
【0273】前記記録手段Kと前記再生手段Hとを用い
る場合には、記録手段に含まれる偏光子及びその駆動装
置と再生手段に含まれる偏光子及びその駆動装置とを、
記録手段に含まれる偏光子及び駆動装置で兼用すること
ができる。
【0274】第10に、所定配向状態を初期状態とする
ライトワンス型光記録媒体に、所定配向状態と所定配向
固定状態とを情報要素とする記録再生、又は、所定配向
状態にある第1分割領域と所定配向固定状態にある第2
分割領域との面積比を情報要素とする記録再生を行う情
報記録再生装置について説明する。
【0275】記録光射出部を備える記録手段としては、
前記記録手段Nが好ましく、参照光射出部及び情報要素
検知部を備える再生手段としては、前記実施の形態8に
記載の再生手段B〜Dが好ましい。再生手段として再生
手段Aを用いてもよいが、この場合、所定配向状態を形
成した化学吸着分子と所定配向固定状態を形成した化学
吸着分子とのティルト角(傾斜角)が異なっていなけれ
ばならない。
【0276】第11に、所定配向状態を初期状態とする
ライトワンス型光記録媒体に、所定配向状態と第1の所
定配向固定状態と第2の所定配向状態とを情報要素とす
る3値記録方式で、記録再生を行う情報記録再生装置に
ついて説明する。
【0277】記録光射出部を備える記録手段として、前
記実施の形態8に記載の記録手段F〜Jを用いることが
好ましく、参照光射出部及び情報要素検知部を備える再
生手段として、前記実施の形態8に記載の再生手段E〜
Iを用いることが好ましい。
【0278】第12に、所定配向状態を初期状態とする
ライトワンス型光記録媒体に、所定配向状態と3種以上
の異なる所定配向固定状態を情報要素とする多値記録方
式で、記録再生を行う情報記録再生装置について説明す
る。
【0279】記録光射出部を備える記録手段として、前
記実施の形態8に記載の記録手段F〜Jを用いることが
好ましく、参照光射出部及び情報要素検知部を備える再
生手段として、前記実施の形態8に記載の再生手段E〜
Iを用いることが好ましい。
【0280】前記記録手段Kと前記再生手段Hとを用い
る場合には、記録手段に含まれる偏光子及びその駆動装
置と再生手段に含まれる偏光子及びその駆動装置とを、
記録手段に含まれる偏光子及び駆動装置で兼用すること
ができる。
【0281】第13に、任意配向固定状態を初期状態と
するライトワンス型光記録媒体に、任意配向固定状態と
記録層の構造破壊によるランダム状態とを情報要素とす
る記録再生を行う情報記録再生装置について説明する。
【0282】記録光射出部として、1つの反応用の非偏
光光源を有する記録手段Oを用いることが好ましい。ま
た、参照光射出部及び情報要素検知部を備える再生手段
として、前記実施の形態8に記載の再生手段A〜Dを用
いることが好ましい。また、構造が破壊された記録層が
偏光配向性を有さない場合、記録手段として前記記録手
段Nを用いることができる。
【0283】第14に、所定配向固定状態を初期状態と
するライトワンス型光記録媒体に、所定配向固定状態と
記録層の構造破壊によるランダム状態とを情報要素とす
る記録再生、又は、所定配向固定状態にある第1分割領
域と記録層の構造破壊によりランダム状態にある第2分
割領域との面積比を情報要素とする記録再生を行う情報
記録再生装置について説明する。
【0284】記録光射出部を備える記録手段としては、
前記記録手段Oが好ましく、また、参照光射出部及び情
報要素検知部を備える再生手段としては、前記実施の形
態8に記載の再生手段A〜Dを用いることが好ましい。
また、構造が破壊された記録層が偏光配向性を有さない
場合、記録手段として前記記録手段Nを用いることがで
きる。
【0285】(実施の形態10)本実施の形態10にお
いては、イレーザブル型光記録媒体を内蔵した情報記録
再生装置(以下、内蔵型情報記憶装置とも称する)、又
は、前記実施の形態3において詳述したイレーザブル型
光記録媒体及びそのイレーザブル型光記録媒体に情報を
記録し再生する情報記録再生装置(以下、リムーバブル
型情報記憶装置とも称する)を補助記憶装置として備え
たコンピュータシステムについて説明する。図29に、
コンピュータシステムの構成を説明するためのブロック
図を示す。
【0286】主メモリーを有する演算処理装置51と、
補助記憶装置53と、入力装置50と、出力装置54及
び各装置間のデータ通信を制御するデータ通信制御装置
52を用いてコンピュータシステムを構築することがで
きる。通常、コンピュータには演算処理装置51及びデ
ータ通信制御装置52を含むので、補助記憶装置53、
入力装置50及び出力装置54をコンピュータと通信可
能な状態に接続すればよい。装置間の通信は、ケーブル
等を用いた通信でもよいし、電波等によるワイヤレス通
信であってもよい。
【0287】入力装置50としてはキーボード、スキャ
ナ、デジタルカメラ、マイク等を利用でき、出力装置5
4としてはモニター、プリンタ、スピーカ等を利用でき
る。また、入力装置と出力装置とを一体化したタッチパ
ネル式の入出力装置であってもよい。補助記憶装置53
に用いるイレーザブル型光記録媒体については、前記実
施の形態3に、内蔵型情報記憶装置及びリムーバブル型
情報記憶装置については前記実施の形態7及び8に詳述
したので、これらの説明は省略する。
【0288】(実施の形態11)映像記憶装置として、
ライトワンス型光記録媒体を内蔵した情報記録再生装
置、又は、前記実施の形態3において詳述したライトワ
ンス型光記録媒体及びそのライトワンス型光記録媒体に
情報を記録し再生する情報記録再生装置を備えること以
外、前記実施の形態10におけるコンピュータシステム
と同様にして、コンピュータシステムを構築できる。
【0289】ライトワンス型光記録媒体を用いる場合、
リムーバブル型情報記憶装置を補助記憶装置として用い
ることが好ましい。
【0290】(実施の形態12)本実施の形態12にお
いては、イレーザブル型光記録媒体を内蔵した映像記録
再生装置(以下、内蔵型映像記憶装置とも称する)、又
は、前記実施の形態3において詳述したイレーザブル型
光記録媒体及びそのイレーザブル型光記録媒体に情報を
記録し再生する情報記録再生装置(以下、リムーバブル
型映像記憶装置とも称する)を映像記憶装置として備え
た映像記録再生システムについて説明する。
【0291】イレーザブル型光記録媒体については前記
実施の形態3に、内蔵型情報記憶装置及びリムーバブル
型情報記憶装置については前記実施の形態7及び8に詳
述したので、これらの説明は省略する。図30に、映像
情報記録再生システムの構成を説明するためのブロック
図を示す。
【0292】映像信号入出力装置62と、映像記憶装置
63と、映像出力装置64及び制御命令入力装置61を
用いて、映像記録再生システムを構築することができ
る。ここで、映像とは静止画及び動画並びに音声を包括
する概念である。
【0293】外部の映像信号送信元等の外部情報源60
からの信号としてはテレビ放送電波、ラジオ放送電波、
衛星放送電波等による無線電波信号であってもよいし、
ケーブルテレビ放送、電話通信等による有線信号であっ
てもよい。出力装置としてはテレビ、モニター、プリン
ター等を利用することができる。
【0294】(実施の形態13)映像記憶装置として、
ライトワンス型光記録媒体を内蔵した情報記録再生装
置、又は、前記実施の形態3において詳述したライトワ
ンス型光記録媒体及びそのライトワンス型光記録媒体に
情報を記録し再生する情報記録再生装置を備えること以
外、前記実施の形態12における映像記録再生システム
と同様にして、コンピュータシステムを構築できる。
【0295】ライトワンス型光記録媒体を用いる場合、
補助記憶装置としてリムーバブル型情報記憶装置を用い
ることが好ましい。
【0296】
【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明の内容を具
体的に説明する。まず、下記に説明する各実施例を簡単
に要約する。
【0297】実施例1及び実施例2は光記録膜に関する
実施例であり、実施例1においてはイレーザブル型光記
録膜について、また実施例2においてはライトワンス型
光記録膜について説明する。
【0298】実施例3及び実施例4は光記録媒体に関す
る実施例であり、実施例3においてはイレーザブル型光
記録媒体について、また、実施例4においてはライトワ
ンス型光記録媒体について説明する。
【0299】実施例5及至実施例10はイレーザブル型
光記録媒体の情報記録再生装置に関する実施例であり、
実施例5においては初期ランダム光記録媒体を用いてラ
ンダム状態と所定配向状態とを情報要素とした2値記録
を行う場合について、また、実施例6においては初期配
向光記録媒体を用いてランダム状態と所定配向状態とを
情報要素とした2値記録を行う場合、また、実施例7に
おいては初期ランダム光記録媒体を用いて第1の所定配
向状態と第2の所定配向状態とを情報要素とした2値記
録を行う場合について、また、実施例8においては初期
所定配向光記録媒体を用いて第1の所定配向状態と第2
の所定配向状態とを情報要素とした2値記録を行う場合
について、また、実施例9においては初期ランダム光記
録媒体を用いて配向方位の互いに異なる3つの所定配向
状態それぞれを情報要素とした多値記録を行う場合につ
いて、また、実施例10においては初期所定配向光記録
媒体を用いて配向方位の互いに異なる3つの所定配向状
態それぞれを情報要素とした多値記録を行う場合につい
て説明する。
【0300】実施例11及至実施例16はライトワンス
型光記録媒体の情報記録再生装置に関する実施例であ
り、実施例11においては初期ランダム光記録媒体を用
いてランダム状態と所定配向固定状態とを情報要素とし
た2値記録を行う場合について、また、実施例12にお
いては初期所定配向固定光記録媒体を用いて、初期状態
である所定配向状態と所定配向固定状態とを情報要素と
した2値記録を行う場合、また、実施例13においては
初期ランダム光記録媒体を用いて、第1の所定配向固定
状態と第2の所定配向固定状態とを情報要素とした2値
記録を行う場合について、また、実施例14においては
初期ランダム光記録媒体を用いて、配向方位の互いに異
なる3つの所定配向固定状態それぞれを情報要素とした
多値記録を行う場合について、また、実施例15におい
ては初期所定配向光記録媒体を用いて、配向方位の互い
に異なる3つの所定配向固定状態それぞれを情報要素と
した多値記録を行う場合について、実施例16において
はラビング配向法を適用して初期化した初期所定配向光
記録媒体を用いて、情報の記録を行う場合について説明
する。
【0301】実施例17及び実施例18は光記録媒体の
情報記録再生装置を補助記憶装置として用いたコンピュ
ータシステムに関する実施例であり、実施例17が光記
録媒体としてイレーザブル型光記録媒体を用いる場合に
ついてであり、実施例18が光記録媒体としてライトワ
ンス型光記録媒体を用いる場合についてである。
【0302】実施例19及び実施例20は光記録媒体の
情報記録再生装置を映像情報記憶装置として用いたコン
ピュータシステムに関する実施例であり、実施例19が
光記録媒体としてイレーザブル型光記録媒体を用いる場
合についてであり、実施例20が光記録媒体としてライ
トワンス型光記録媒体を用いる場合についてである。
【0303】(実施例1)初めに、基材としてディスク
状に加工したガラス基板1を準備し、よく洗浄した後、
2重量%ケイ素(Si)を含むアルミニウム(Al)を
ガラス基板1の表面に真空蒸着して光反射膜5を形成し
た。光反射膜5の厚さは約500nmとした。その後、
湿気を含む空気雰囲気中に露呈することにより、自然酸
化にともなう活性水素を含む官能基を前記光反射膜5の
最表面に導入し、最表面に活性水素を含む官能基を有す
る基体3を作製した。
【0304】次に、化学吸着分子として、基体の活性水
素と化学結合する官能基であるトリクロロシリル基(-Si
Cl3基)を一端に有し、かつ光吸収性官能基である-COOC6
H4-基を有する、CH3-COO-C6H4-(CH2)6-SiCl3で示される
線状のクロロシラン系界面活性剤A(以下、化学吸着化
合物とも称す)を準備した。そして前記クロロシラン系
界面活性剤Aを非水系の溶媒である良く脱水したヘキサ
デカンに1重量%程度の濃度で溶かし、化学吸着液34
を調製した(化学吸着液調製工程)。
【0305】前記化学吸着液34に、乾燥雰囲気中(相
対湿度30%以下)で、基体3を1時間程度浸漬した
(図2)。これにより、前記クロロシラン系界面活性剤
Aを基体3の表面に化学吸着させ、基体3にCH3-COO-C6
H4-(CH2)6-Si(-O-)3のように化学結合した単分子層状の
光記録膜2を成膜した(記録膜形成工程)(図2)。
【0306】その後、化学吸着液34から取り出して、
良く脱水した非水系の有機溶媒であるn−ヘキサン32
で洗浄して、基体3上に残留している未反応のシラン系
界面活性剤を洗浄除去した(洗浄工程)。その後、水分
(湿気)を含む空気中に露呈して光記録膜2が製造でき
た。
【0307】前記一連の工程において、クロロシラン系
界面活性剤Aのトリクロロシリル基と光反射膜5表面の
水酸基(Alは自然酸化して表面にAl23が形成さ
れ、更に空気中の水分子と反応して、−OH基が多数形
成される)が脱塩酸反応して、光反射膜5表面に化学結
合が生成された。さらに、化学吸着後に空気中に露呈す
ると、空気中の水分と反応して化学吸着分子間にシロキ
サン結合が生成され、光反射膜5表面に光吸収性の-COO
C6H4-基を含む単分子膜状の記録層が形成された(図
1)。
【0308】また、炭化水素基(この場合は−CH3
や−(CH2n−基)は撥水性があるため、親水性の基
板に対して−CH3基を前記クロロシラン系界面活性剤
の分子は斜めに立ち上がるように化学吸着された。
【0309】次に、基体3を回転させながら、配向用偏
光の偏光方向を基体の回転方向と略平行にし、集光した
第1の配向用偏光を基体3表面に対して略垂直方向から
ドット状に照射した。光吸収性の官能基である-COOC6H4
-基は、波長が230〜300nmの光を吸収する性質
を有するので、超高圧水銀灯を光源とする254nmの
波長の光を偏光させて用いた。集光した配向用偏光の記
録層2表面での直径(以下、スポット径と称す)は1.
2μm、その強度は500mJ/cm2とした(初期化工程)
(図31A)。
【0310】配向用偏光照射後に、顕微型偏光フーリエ
変換赤外分光器(以下、顕微FT−IRと称す)を用い
てディスク型光記録媒体を表面観察すると、ドットは同
心円状に配列されており、各ドットに含まれる化学吸着
分子6は基体3の回転方向とほぼ平行に配向されていた
(図31B−C)。
【0311】さらに、一旦、第1の配向用偏光が照射さ
れたドットに、伝播方向は同一で偏光方向が異なる第2
の配向用偏光を照射すると、第2の配向用偏光の偏光方
向とほぼ平行に配向することが、顕微FT−IRを用い
た表面観察により、確かめられた。また、第1の配向用
偏光の代わりに配向用非偏光を照射すれば、配向方向が
特定できないランダム状態になることが確かめられた。
【0312】また、記録層を構成した化学吸着分子6の
吸収ピークに合わせた波長の偏光を照射すると、250mJ/
cm2程度の低エネルギーでドットに含まれる化学吸着分
子6の長軸方向を基体3の回転方向とほぼ平行に揃える
ことが可能であった。
【0313】前記トリクロロシリル基の代わりに、アル
コキシシリル基又はイソシアナートシリル基を有するシ
ラン系界面活性剤を用いても、同様の方法でイレーザブ
ル型光記録膜を形成できた。更に詳しくは下記の化学式
に示される化学吸着分子を用いてイレーザブル型光記録
膜を製造できる。 CH3-(CH2)p-Si(CH3)2-(CH2)q-SiCl3(但し、p、qは0
〜10の整数が好ましい。) CH3-COO-(CH2)2-(CF2)n-(CH2)2-SiCl3 (但し、nは7
〜24の整数が好ましい。) C6H5-(CH2)2-(CF2)n-(CH2)2-SiCl3 (但し、nは0〜2
4の整数が好ましい。) N≡C-(CH2)2-(CF2)n-(CH2)2-SiCl3 (但し、nは0〜2
4の整数が好ましい。) SiCl3-(CH2)2-(CF2)n-(CH2)2-SiCl3 (但し、nは1〜
10の整数が好ましい。) X-(CH2)n-Si(OCH3)3 (但し、XはCl,Br,I,F
から選ばれる少なくとも一つのハロゲン原子、nは1〜
24の整数が好ましい。) CH3-(CH2)n-Si(OCH3)3 (但し、nは0〜24の整数が
好ましい。) CH3-(CH2)p-Si(CH3)2-(CH2)q-Si(OCH3)3 (但し、p、
qは0〜10の整数が好ましい。) HOOC-(CH2)2-(CF2)n-(CH2)2-Si(OCH3)3 (但し、nは7
〜24の整数が好ましい。) NH2-(CH2)2-(CF2)n-(CH2)2-Si(OCH3)3 (但し、nは7
〜24の整数が好ましい。) C6H5-(CH2)2-(CF2)n-(CH2)2-Si(NCO)3 (但し、nは0
〜24の整数が好ましい。) N≡C-(CH2)2-(CF2)n-(CH2)2-Si(OC2H5)3(但し、nは0
〜24の整数が好ましい。) X-(CH2)n-SiCl3 (但し、XはCl,Br,I,Fから
選ばれる少なくとも一つのハロゲン原子、nは1〜24
の整数が好ましい。) Br-(CH2)8-SiCl3 CF3-(CH2)8-CO-(CH2)10-SiCl3 CF3-(CH2)5-COO-(CH2)10-SiCl3 CH3-(CH2)8-Si(CH3)2-(CH2)10-SiCl3 CH3-(CH2)5-Si(CH3)2-(CH2)8-SiCl3 CF3-COO-(CH2)14-SiCl3 C6H5-(CH2)8-SiCl3 N≡C-(CH2)2-(CF2)6-(CH2)2-SiCl3 SiCl3-(CH2)2-(CF2)6-(CH2)2-SiCl3 CF3-(CH2)2-(CF2)4-(CH2)2-SiCl3 CF3-(CF2)6-(CH2)2-SiCl3 CF3-(CF2)8-(CH2)2-SiCl3 CH(CF3)2-O-(CH2)15-Si(CH3)2Cl CF3-CF2-(CH2)2-Si(CH3)2-(CH2)15-SiCl3 CF3-(CF2)4-(CH2)2-Si(CH3)2-(CH2)9-SiCl3 CF3-(CF2)7-(CH2)2-Si(CH3)2-(CH2)9-SiCl3 CF3-COO-(CH2)15-Si(CH3)Cl2 CF3-(CF2)5-(CH2)2-SiCl3 CF3-CH2-C*H(CH3)-CH2-O-CO-(CH2)10-SiCl3(但し、C*
光学活性炭素を示す。以下同じ。) CF3-CH2-C*H(CH3)-CH2-O-CO-C6H4-O-CO-C6H4-O-(CH2)5-
SiCl3 SiF(CH3)2-O-Si(CH3)2-O-Si(CH3)2-O-Si(CH3)2Cl CF3-SiO-Si(CH3)2-O-Si(CH3)2-O-Si(CH3)2-O-Si(CH3)2-
O-SiCl3 また、前記洗浄工程で、水を含まない溶媒としてアルキ
ル基を含む炭化水素系のn−ヘキサンを用いたが、これ
以外にも、フッ化炭素基を含む"フレオン113"(3M
社商品名)、塩化炭素基を含むクロロホルム、又は、シ
ロキサン基を含むヘキサメチルジシロキサンを用いて洗
浄することができた。
【0314】(実施例2)光記録膜を構成する化学吸着
分子として、化学反応により基体の活性水素と化学結合
する官能基であるトリクロロシリル基(-SiCl3基)と光反
応性官能基であるカルコン基(C6H5-CH=CH-CO-C6H4-)と
を有するCH3-C6H4-CH=CH-CO-C6H4-O-(CH2)6-SiCl3で示
される線状のクロロシラン系界面活性剤Bを用いること
以外は実施例1と同様にして、単分子層状の光記録膜を
形成した。
【0315】次に、光記録媒体を回転させながら、偏光
方向が基体の回転方向と略平行であり集光した第1の反
応用偏光を基体面に対して略垂直方向からドット状に照
射した。光反応性官能基であるカルコン基(C6H5-CH=CHC
OC6H4-基)は光吸収性において314nmの波長の光に
対して吸収ピークを有するので、313nmの波長であ
る超高圧水銀灯のh線を偏光させた第1の反応用偏光を
用いた。集光した第1の反応用偏光の記録層表面でのス
ポット径は約1.0μmであり、強度は300mJ/cm2
した。
【0316】第1の反応用偏光の照射後に顕微FT−I
Rを用いてディスク型光記録媒体を表面観察すると、ド
ットは同心円状に配列され、各ドットに含まれる化学吸
着分子6は基体の回転方向と略平行な方位に配向されて
いた。
【0317】そこで、一旦、第1の反応用偏光が照射さ
れたドットに、伝播方向を固定し偏光方向のみを変化さ
せた第2の反応用偏光を照射しても第2の反応用偏光の
偏光方向に配向せず、配向方位が固定されていることが
顕微FT−IRを用いた表面観察により確かめられた。
そこでまた、第1の反応用偏光の10倍程度の強度の光
又は偏光を照射すると、光記録膜の膜構造が破壊されて
ランダム状態となった。さらに、化学吸着分子が破壊さ
れランダム状態となったドットに再度第1の光反応用偏
光を照射しても化学吸着分子が配向することはなかっ
た。
【0318】CH3-C6H4-CH=CH-CO-C6H4-O-(CH2)6-SiCl3
以外にも、下記の化合物であれば同様な記録及び再生が
できた。 HC≡C-C≡C-(CH2)n-SiCl3 (但し、nは0〜24の整
数が好ましい。) CH3-C6H4-CH=CH-CO-C6H4-(CH2)2-(CF2)n-(CH2)2-SiCl3
(但し、nは3〜24の整数が好ましい。) CH2=CH-(CH2)2-(CF2)6-(CH2)2-SiCl3 CH3-(CH2)7-C≡C-C≡C-(CH2)10-SiCl3 CF3-C6H4-CH=CH-CO-C6H4-(CH2)2-(CF2)4-(CH2)2-SiCl3 CF3-C6H4-CH=CH-CO-(CH2)2-(CF2)4-(CH2)2-SiCl3 (実施例3)まず、ディスク状に加工したガラス基板を
準備し、よく洗浄した後、2重量%ケイ素(Si)を含
むアルミニウム(Al)をガラス基板1の表面に真空蒸
着して光反射膜を形成した。光反射膜の厚さは約200
nmとした。
【0319】前記のようにして作製した媒体基体3とク
ロロシラン系界面活性剤Aとを用い、前記実施例1と同
様に化学吸着法を適用して、媒体基体3の表面に単分子
膜状の記録層を反応形成した。
【0320】その後、基体を回転させながら、記録偏光
の偏光方向を基体の回転方向と略平行にし、集光した第
1の記録偏光を基体面に対して略垂直方向からドット状
に照射して、フォーマットを行った(初期化工程)(図
31A)。集光した第1の記録偏光の波長は254n
m、記録層表面でのスポット径は1.2μm、強度は5
00mJ/cm2とした。次に、前記ドット内に、波長が
254nm、記録層表面でのスポット径が1.0μm、
強度が500mJ/cm2である記録非偏光を第1の記録偏光
の伝播方向と同一の方向から照射した。
【0321】その後、顕微FT−IRで表面観察する
と、記録非偏光で照射されたドット内の領域はランダム
状態であり、記録非偏光で照射されなかったドット内の
領域は配向状態に変化はなく、フォーマット後と同じ配
向状態であった。更に、第1の記録偏光を再度照射する
と、前記ドットは、フォーマット後と同じ配向状態とな
った。
【0322】また、フォーマットを行ったドットに可視
光領域の波長の参照非偏光又は参照偏光を照射した後、
顕微FT−IRを用いた表面観察を行い、前記ドットの
配向状態が変化していないことを確認した。同様に、フ
ォーマット後に記録非偏光の照射されたドットに対して
更に参照非偏光又は参照偏光を照射しても前記ドットの
配向状態は変化していないことが確認できた。
【0323】前記の様にして作製された5.25インチ
径のイレーザブル型光記録媒体に、スポット径が共に
0.8μmである第1の記録偏光及び第1の記録非偏光
を照射することにより、5ギガバイトの情報を記録でき
た。また、両面に記録層を設けた場合は10ギガバイト
の情報を記録できた。
【0324】本実施例3において、記録層を構成する化
学吸着分子としてシラン系界面活性剤Aを用いた場合を
説明したが、前記実施例1に記載の化学吸着分子を用い
ても前記と同様のイレーザブル型光記録媒体が製造でき
た。また、光吸収性の官能基がアリール骨格基、アリレ
ン骨格基又はカルボニル基を有する化学吸着分子を膜材
料物質として用いると、光感度が向上するため、フォー
マットに要する時間が短縮できた。
【0325】(実施例4)まず、ディスク状に加工した
ガラス基板を準備し、よく洗浄した後、2重量%ケイ素
(Si)を含むアルミニウム(Al)をガラス基板の表
面に真空蒸着して光反射膜を形成した。光反射膜の厚さ
は約200nmとした。前記のようにして作製した媒体
基体3とクロロシラン系界面活性剤Bとを用い、前記実
施例1と同様に化学吸着法を適用して、媒体基体表面に
単分子膜状の記録層を反応形成した。これによりライト
ワンス型光記録媒体が製造できた。
【0326】次に、光記録媒体を回転させながら、偏光
方向が媒体基体の回転方向と略平行であり、波長が36
5nm(超高圧水銀灯のi線)、スポット径が1μm、
強度が400mJ/cm2の第1の反応用記録光を媒体基体面
に対して略垂直方向からドット状に照射してフォーマッ
トを行った。
【0327】その後、顕微FT−IRを用いてライトワ
ンス型光記録媒体を表面観察すると、ドットは同心円群
状に配列し、各記録ドットに含まれる化学吸着分子は媒
体基体の回転方向と略平行な方位に配向されていた。
【0328】更に、前記記録ドットに、偏光方向のみが
第1の反応用記録偏光と異なる第2の反応用記録偏光を
照射しても、配向方位が変化しなかった。更にまた、前
記ドットに強度が4J/cm2の破壊用記録非偏光を照射す
ると、記録層を構成する化学吸着分子の一部が破壊され
てランダム状態となった。
【0329】前記の様にして作製された5.25インチ
径のライトワンス型光記録媒体に、スポット径が共に
0.8μmである第1の記録偏光及び第1の記録非偏光
を照射することにより、5ギガバイトの情報を記録でき
た。また、両面に記録層を設けた場合は10ギガバイト
の情報を記録できた。
【0330】本実施例において、記録層を構成する化学
吸着分子としてシラン系界面活性剤Bを用いた場合を説
明したが、前記実施例2に記載の化学吸着分子を用いて
も同様にライトワンス型光記録媒体が製造できた。ま
た、光反応性官能基がカルコン骨格基、シンナモイル骨
格基又はジアセチレン骨格基であれば、低エネルギー露
光で効率よく重合又は架橋させることができた。
【0331】(実施例5)図32に示すように、実施例
3で作製した記録層2を有するディスク型のイレーザブ
ル型光記録媒体3を、偏光子7と1つの非偏光光源35
と移動自在な偏光板駆動装置とを有する記録光射出部7
4、1つの非偏光光源と有する参照光射出部75、ビー
ムスプリッター9からの光を受ける検光子7’と1つの
光センサー36を有する情報要素検知部76、イレーザ
ブル型光記録媒体3を回転駆動する媒体駆動装置73及
び記録光射出部と参照光射出部とを光記録媒体の半径方
向に移動させる光射出部駆動装置を有する位置制御駆動
回路部72、光記録媒体制御回路部、および信号入出力
部71を備えた情報記録再生装置を作製した。70は外
部記憶装置である。
【0332】本実施例5及び下記の実施例6から実施例
10において、記録光及び参照光としてドット状に集光
した光を用い、記録光の照射されるドット状の領域(以
下、記録ドットと称す)を情報記録単位領域とする。
【0333】ここで、あらかじめ各記録ドットを構成す
る単分子膜状の記録層内の化学吸着分子の配向がランダ
ム状態を初期値としておき、書き込みの際、光記録媒体
を回転させながら、デジタル信号に応じて、254nm
の波長で且つ直径約1.2μmに集光した記録偏光又は
記録非偏光を500mJ/cm2で記録層に照射して、化学吸
着分子が所定配向状態にある記録ドット(所定配向領
域)とランダム状態(ランダム領域)にある記録ドット
を形成した。
【0334】次に、各記録ドットに波長530nmでか
つ直径約1μmに集光した参照光を200mJ/cm2程度照
射し、記録層を透過後、光反射膜で反射される光を光セ
ンサーで読み取って記録ドット内の化学吸着分子の配向
の有無(ランダム状態であるか否か)を確認した。すな
わち、前記ドット内の化学吸着分子が方向特定される配
向状態であるかランダム状態であるかで相違するする光
反射膜で反射された光の強度の違いを検知することで情
報要素を特定した。この情報要素の特定を記録ドットご
とに順次行うことにより情報が再生できた。この際、光
照射の位置合わせ精度誤差及び光センサーの読み取り誤
差を小さくし、すなわち読み取り精度を上げるために
は、読み取り光のスポット径を書き込み光のスポット径
よりも小さくした方が効果が高かった。
【0335】一旦記録された情報を消去する際、記録非
偏光を500mJ/cm2で記録ドットに照射すれば、記録ド
ットを構成する化学吸着分子をランダム状態に変化させ
て初期状態を再現できた。また、再度初期化された記録
ドットに、記録偏光を照射すると書き込みが再度行え
た。すなわち、情報の消去が行えるイレーザブル型の情
報記録再生装置を実現できた。
【0336】また、前記のような情報を消去する過程を
経ず、デジタル信号の応じて記録偏光又は記録非偏光を
記録ドットごとに照射しても、オーバーライト型の書き
換えができた。
【0337】本実施例5で用いたイレーザブル型光記録
媒体の記録層は、記録層を構成する化学吸着分子が媒体
基体表面に共有結合で固定されているため、数千回の読
み書きに対しても剥離又は破壊されなかった。
【0338】前記では、1つの記録光用の非偏光光源と
移動可能な偏光子とを有し、記録偏光と記録非偏光とを
射出する記録光射出部を用いたが、記録偏光用の非偏光
光源と記録非偏光用の非偏光光源を別々に備え、各非偏
光光源をオンオフ制御することにより、記録偏光と記録
非偏光とを射出する記録光射出部を用いた情報記録再生
装置であっても、書き込み、読み出し及び書き換えを行
うことができた。
【0339】また、前記実施例では、1つの参照光用の
非偏光光源を有し、参照非偏光を射出する参照光射出部
を用いたが、1つの参照光用の非偏光光源と前記非偏光
光源からの出射光の光路上に配置され、かつ透過軸が所
定の方向に設定された偏光子とを有し、参照非偏光を射
出する参照光射出部を用いた情報記録再生装置であって
も、書き込み、読み出し及び書き換えを行うことができ
た。
【0340】また、前記実施例では、光センサーを有す
る情報要素検知部を備えた情報記録再生装置を用いた
が、光センサーと光センサーに入射する光の光路上に配
置されかつ透過軸が所定の方向に設定された検光子とを
有する参照光射出部を備えた情報記録再生装置であって
も、書き込み、読み出し及び書き換えを行うことができ
た。
【0341】また、前記実施例では、1つの参照光用の
非偏光光源を有する参照光射出部及び光センサーを有す
る情報要素検知部を備えた情報記録再生装置を用いた
が、1つの参照光用の非偏光光源と偏光子を有し、参照
非偏光を射出する参照光射出部及び光センサーと前記光
センサーに入射する光の光路上に配置されかつ透過軸が
所定の方向に設定された検光子とを有する情報要素検知
部を備えた情報記録再生装置であっても、書き込み、読
み出し及び書き換えを行うことができた。
【0342】更に、情報要素検知部に偏光子を有する情
報記録再生装置において、検光子の透過軸の方向を、前
記記録層からの影響がないと仮定し、かつ前記記録偏光
を前記参照光と同一経路で前記検光子に導光したと仮定
した場合の仮想的記録偏光の伝播方向と垂直であり、か
つその場合の仮想的記録偏光の偏光方向と平行又は垂直
に設定すると最も感度のよい読み出しができた。
【0343】(実施例6)実施例3において作製したイ
レーザブル型光記録媒体にスポット径1.2μmの記録
偏光を450mJ/cm2で記録ドットに照射して、各記録ド
ットを所定配向状態に初期化したイレーザブル型光記録
媒体を備えること以外は、前記実施例5に記載の各情報
記録再生装置と同様の情報記録再生装置を用いて、書き
込み、読み出し及び書き換えを行うことができた。
【0344】また、所定配向状態に初期化する際に液切
り配向処理を行った場合、書き込み及び読み出しの精度
が向上した。また、ラビング処理を行い所定配向状態に
初期化したイレーザブル型光記録媒体を用いた情報記録
再生装置であっても同様の書き込み、読み出し及び書き
換えを行うことができた。
【0345】(実施例7)実施例3で作製したディスク
型のイレーザブル型光記録媒体11を有する情報記憶
部、1つの参照光用の非偏光光源と透過軸が異なる所定
の方向に設定された2つの移動自在な偏光子と2つの移
動自在な偏光子のいずれか1つを選択的に前記非偏光光
源からの出射光の光路上に配置させる駆動装置とを有す
る記録光射出部、1つの参照光用の非偏光光源と前記非
偏光光源からの出射光の光路上に配置されかつ透過軸が
所定の方向に設定された偏光子とを有する参照光射出
部、光センサーを有する情報要素検知部、イレーザブル
型光記録媒体を回転駆動する媒体駆動装置及び記録光射
出部と参照光射出部とを光記録媒体の半径方向に移動さ
せる光射出部駆動装置を有する位置制御駆動回路部、光
記録媒体制御回路部、信号入出力部を備えた情報記録再
生装置を作製した。
【0346】ここで、あらかじめ各記録ドットを構成す
る単分子膜状の記録層内の化学吸着分子の配向がランダ
ム状態を初期値としておき、書き込みの際、光記録媒体
を回転させながら、デジタル信号に応じて、254nm
の波長で且つ直径約1.2μmに集光した、配向方位の
異なる第1の記録偏光又は第2の記録偏光を500mJ/c
m2でスポット状に照射して、化学吸着分子が第1の所定
配向状態にある記録ドットと第2の配向状態にある記録
ドットを形成した。
【0347】次に、各記録ドットに波長530nmでか
つ直径約1μmに集光した参照光を200mJ/cm2程度照
射し、記録層を透過して光反射膜で反射された光を検光
子を介して光センサーで読み取って、記録ドット内の化
学吸着分子の配向方位を確認した。すなわち、前記ドッ
ト内の化学吸着分子が第1の所定配向状態であるか第2
の所定配向状態あるかにより相違する、光反射膜で反射
された光の偏光成分強度分布の違いを検知することで情
報要素を特定した。この情報要素の特定を記録ドットご
とに順次行うことにより情報が再生できた。この際、光
照射の位置合わせ精度誤差及び光センサーの読み取り誤
差を小さくする、すなわち読み取り精度を向上させる、
ためには、読み取り光のスポット径を書き込み光のスポ
ット径よりも小さくした方が効果が高かった。
【0348】一旦記録された情報を消去する際、記録非
偏光を500mJ/cm2で記録ドットに照射すれば、記録ド
ットを構成する化学吸着分子をランダム状態に変化させ
て初期状態を再現できた。また、再度初期化された記録
ドットに、記録偏光を照射すると書き込みが再度行え
た。すなわち、情報の消去が行えるイレーザブル型の情
報記録再生装置を実現できた。
【0349】また、消去する範囲の全ての記録ドットに
第1の記録偏光を照射しても、あるいは第2の記録偏光
照射を照射しても、実質上、情報を消去することができ
た。また、第1の記録偏光及び第2の記録偏光の双方と
偏光方向の異なる記録光を照射して、第1の所定配向状
態又は第2の所定配向状態と配向方位の異なる状態に変
化させても、実質上、情報を消去できたことになる。
【0350】また、前記のような情報を消去する過程を
経ず、デジタル信号の応じて第1の記録偏光又は第2の
記録偏光を記録ドットごとに照射すれば、オーバーライ
ト型の書き換えができた。
【0351】また、第1の記録偏光の偏光方向と第2の
記録偏光の偏光方向とを互いに垂直に設定すれば、感度
及び精度の高い、情報の読み出しが可能であった。
【0352】本実施例6で用いたイレーザブル型光記録
媒体の記録層は、記録層を構成する化学吸着分子が媒体
基体表面に共有結合で固定されており、また、照射され
る偏光の偏光方向に依存するので、数千回の読み書きに
対しても剥離又は破壊されなかった。
【0353】前記では、1つの参照光用の非偏光光源と
透過軸が異なる所定の方向に設定された2つの移動自在
な偏光子と、2つの移動自在な偏光子のいずれか1つを
選択的に非偏光光源からの出射光の光路上に配置させる
駆動装置とを有する記録光射出部を用いたが、第1の記
録偏光用の非偏光光源及び偏光板と第2の記録偏光用の
非偏光光源及び偏光板を別々に備え、各非偏光光源をオ
ンオフ制御することにより、記録偏光と記録非偏光とを
射出する記録光射出部を用いた情報記録再生装置であっ
ても、書き込み、読み出し及び書き換えを行うことがで
きた。
【0354】また、前記実施例では、1つの参照光用の
非偏光光源と前記非偏光光源からの出射光の光路上に配
置されかつ透過軸が所定の方向に設定された偏光子とを
有する参照光射出部、及び、光センサーを備えた情報要
素検知部を用いたが、1つの参照光用の非偏光光源を有
し、参照非偏光を射出する参照光射出部、及び、光セン
サーと、前記光センサーに入射する光の光路上に配置さ
れ、かつ透過軸が所定の方向に設定された検光子とを有
する情報要素検知部を用いた情報記録再生装置であって
も、書き込み、読み出し及び書き換えを行うことができ
た。
【0355】また、前記実施例では、光センサーを有す
る情報要素検知部を用いたが、光センサーと光センサー
に入射する光の光路上に配置されかつ透過軸が所定の方
向に設定された検光子とを有しする参照光射出部を用い
た情報記録再生装置であっても、書き込み、読み出し及
び書き換えを行うことができた。
【0356】また、前記実施例では、光センサーを有す
る情報要素検知部を用いたが、光センサーと前記光セン
サーに入射する光の光路上に配置されかつ透過軸が所定
の方向に設定された検光子とを有する情報要素検知部を
用いた情報記録再生装置であっても、書き込み、読み出
し及び書き換えを行うことができた。
【0357】更に、情報要素検知部に偏光子を有する情
報記録再生装置において、検光子の透過軸の方向を、前
記記録層からの影響がないと仮定し、かつ前記記録偏光
を前記参照光と同一経路で前記検光子に導光したと仮定
した場合の仮想的記録偏光の伝播方向と垂直であり、か
つその場合の仮想的記録偏光の偏光方向と平行又は垂直
に設定すると最も感度の良い読み出しができた。
【0358】(実施例8)実施例3において作製したイ
レーザブル型光記録媒体にスポット径1.2μmの記録
偏光を450mJ/cm2で記録ドットに照射して、各記録ド
ットを所定配向状態に初期化したイレーザブル型光記録
媒体を備えること以外は、前記実施例7に記載の各情報
記録再生装置と同様の情報記録再生装置を用いて、書き
込み、読み出し及び書き換えを行うことができた。
【0359】また、所定配向状態に初期化する際に液切
り配向処理行った場合、書き込み及び読み出しの精度が
向上した。また、ラビング処理を行い所定配向状態に初
期化したイレーザブル型光記録媒体を用いた情報記録再
生装置であっても同様の書き込み、読み出し及び書き換
えを行うことができた。
【0360】(実施例9)実施例3で作製したディスク
型のイレーザブル型光記録媒体11を有する情報記憶
部、1つの記録光用の非偏光光源と移動自在でありかつ
回動自在又は回転自在である偏光子と前記偏光子を前記
非偏光光源からの出射光の光路上又は前記光路外に配置
させかつ前記偏光子を回動又は回転させる駆動装置とを
有する記録光射出部、1つの非偏光光源と有する参照光
射出部、光センサーと前記光センサーに入射する光の光
路上に配置された回動自在又は回転自在な検光子と前記
検光子を回動又は回転させる駆動装置とを有する情報要
素検知部、イレーザブル型光記録媒体を回転駆動する媒
体駆動装置及び記録光射出部と参照光射出部とを光記録
媒体の半径方向に移動させる光射出部駆動装置を有する
位置制御駆動回路部、光記録媒体制御回路部、信号入出
力部を備えた情報記録再生装置を作製した。
【0361】ここで、あらかじめ各記録ドット(情報記
録単位領域)を構成する単分子膜状の記録層内の化学吸
着分子の配向がランダム状態を初期値としておき、書き
込みの際、光記録媒体を回転させ、かつ偏光板を回転さ
せながら、デジタル信号に応じて、偏光方向が0°、4
5°、90°のいずれかであり、かつ波長が254nm
であり、かつスポット径が約1.2μmである記録偏光
を500mJ/cm2で照射し、化学吸着分子の配向方位が0
°の所定配向状態にある記録ドットと配向方向が45°
の所定配向状態にある記録ドットと、配向方向が90°
の所定配向状態にある記録ドットを形成した。つまり、
0°の所定配向状態と45°の所定配向状態と90°の
所定配向状態とを3つの情報要素とする3値記録を行っ
た。
【0362】次に、各記録ドットに、波長530nmで
かつスポット径約1μmに集光した参照光を200mJ/c
m2程度照射し、記録層を透過後、光反射膜で反射される
光を光センサーで読み取って記録ドット内の化学吸着分
子の配向方位を確認した。すなわち、前記ドット内の化
学吸着分子の配向方位で相違する光反射膜で反射された
光の偏光強度分布の違いを検知することで情報要素を特
定した。この情報要素の特定を記録ドットごとに順次行
うことにより情報が再生できた。
【0363】この際、光照射の位置合わせ精度誤差及び
光センサーの読み取り誤差を小さくし、すなわち読み取
り精度を上げるためには、読み取り光のスポット径を書
き込み光のスポット径よりも小さくした方が効果が高か
った。
【0364】一旦記録された情報を消去する際、記録非
偏光を500mJ/cm2で記録ドットに照射すれば、記録ド
ットを構成する化学吸着分子をランダム状態に変化させ
て初期状態を再現できた。また、再度初期化された記録
ドットに、記録偏光を照射すると書き込みが再度行え
た。すなわち、情報の消去が行えるイレーザブル型の情
報記録再生装置を実現できた。
【0365】また、前記のような情報を消去する過程を
経ず、新たなデジタル信号に応じて、第1の記録偏光、
第2の記録偏光又は第3の記録偏光のいずれかを記録ド
ットごとに再度照射すれば、オーバーライト型の書き換
えができた。
【0366】本実施例で用いたイレーザブル型光記録媒
体の記録層は、記録層を構成する化学吸着分子が媒体基
体表面に共有結合で固定されているため、数千回の読み
書きに対しても剥離又は破壊されなかった。
【0367】本実施例において、光センサーと光センサ
ーに入射する光の光路上に配置された回動自在又は回転
自在な検光子と検光子を回動又は回転させる駆動装置と
を有する情報要素検知部を用いたが、光センサーと透過
軸が所定の互いに異なる方向に固定された複数の移動自
在な検光子と複数の検光子のいずれか1つを選択的に前
記光センサーに入射する光の光路上に配置させる駆動装
置とを有する情報要素検知部を用いた情報記録再生装置
であっても、情報の書き込み、読み出し及び書き換えを
同様に行うことができた。
【0368】また、本実施例において、1つの非偏光光
源と有する参照光射出部、及び光センサーと光センサー
に入射する光の光路上に配置された回動自在又は回転自
在な検光子と検光子を回動又は回転させる駆動装置とを
有する情報要素検知部を用いたが、1つの参照光用の非
偏光光源と非偏光光源からの出射光の光路上に配置され
た回動自在又は回転自在な偏光子と偏光子を回動又は回
転させて前記偏光子の透過軸を複数の所定の方向に順次
設定する駆動装置とを有する参照光射出部、及び光セン
サーを有する情報要素検知部を用いた情報記録再生装置
であっても、情報の書き込み、読み出し及び書き換えを
同様に行うことができた。
【0369】更に、記録光射出部の回動自在又は回転自
在な偏光子と参照光射出部の回動自在又は回転自在な偏
光子とを、いずれか一方の回動自在又は回転自在な偏光
子で兼用することにより、小型の情報記録再生装置を作
製できた。
【0370】(実施例10)実施例3において作製した
イレーザブル型光記録媒体にスポット径1.2μmの記
録偏光を450mJ/cm2で記録ドットに照射して、各記録
ドットを所定配向状態に初期化したイレーザブル型光記
録媒体を備えること以外は、前記実施例9に記載の各情
報記録再生装置と同様の情報記録再生装置を用いて、書
き込み、読み出し及び書き換えを行うことができた。
【0371】また、所定配向状態に初期化する際に液切
り配向処理行った場合、書き込み及び読み出しの精度が
向上した。また、ラビング処理を行い所定配向状態に初
期化したイレーザブル型光記録媒体を用いた情報記録再
生装置であっても同様の書き込み、読み出し及び書き換
えを行うことができた。
【0372】(実施例11)実施例4で作製したディス
ク型のライトワンス型光記録媒体11を有する情報記憶
部、1つの非偏光光源と偏光子とを有する記録光射出
部、1つの非偏光光源を有する参照光射出部、1つの光
センサーを有する情報要素検知部、ライトワンス型光記
録媒体を回転駆動する媒体駆動装置及び記録光射出部と
参照光射出部とを光記録媒体の半径方向に移動させる光
射出部駆動装置を有する位置制御駆動部、制御回路部、
信号入出力部を備えた情報記録再生装置を作製した。
【0373】ここで、あらかじめ各記録ドット(情報記
録単位領域)を構成する単分子膜状の記録層内の化学吸
着分子の配向がランダム状態を初期値としておき、書き
込みの際、デジタル信号に応じて、光記録媒体を回転さ
せながら、365nmの波長であり且つ直径約1.2ミ
クロンに集光した反応用の記録偏光を500mJ/cm2で記
録層に照射して、化学吸着分子が所定配向状態にある記
録ドットとランダム状態にある記録ドットを形成した。
【0374】次に、各記録ドットに波長530nmでか
つ直径約1μmに集光した参照光を200mJ/cm2程度照
射し、記録層を透過後、光反射膜で反射される光を光セ
ンサーで読み取って記録ドット内の化学吸着分子の配向
の有無(ランダム状態であるか否か)を確認した。すな
わち、記録ドット内の化学吸着分子が配向方向の特定さ
れる配向状態であるか配向方向の特定されないランダム
状態であるかで相違する、光反射膜で反射された光の強
度の相違を検知することで情報要素を特定した。この情
報要素の特定を記録ドットごとに順次行うことにより情
報が再生できた。この際、光照射の位置合わせ精度誤差
及び光センサーの読み取り誤差を小さくし、すなわち読
み取り精度を上げるためには、読み取り光のスポット径
を書き込み光のスポット径よりも小さくした方が効果が
高かった。
【0375】なお、一旦、反応用の記録偏光の照射によ
り情報要素の書き込まれた記録ドットに、波長が反応用
の記録偏光と同じである非偏光を500mJ/cm2で照射し
ても、記録ドットの配向方向は変化せず、初期状態のラ
ンダム状態を再現できなかった。すなわち、消去の行え
ないライトワンス型の情報記録再生装置を実現できた。
また、偏光方向の異なる第2の反応用の記録偏光を照射
しても、同様に記録ドットの配向方向は変化しなかっ
た。
【0376】本実施例で用いたライトワンス型光記録媒
体の記録層は、記録層を構成する化学吸着分子が媒体基
体表面に共有結合で固定されているため、また、記録ド
ットを構成する化学吸着分子相互が重合又は架橋により
結合しているため、記録保持及び剥離、破壊等に対する
耐久性の点ではイレーザブル型光記録媒体の記録層に比
べ優れており、数万回の読み取りでも劣化しなかった。
【0377】また、本実施例では、1つの参照光用の非
偏光光源を有し、参照非偏光を射出する参照光射出部を
用いたが、1つの参照光用の非偏光光源と前記非偏光光
源からの出射光の光路上に配置され、かつ透過軸が所定
の方向に設定された偏光子とを有し、参照非偏光を射出
する参照光射出部を用いた情報記録再生装置であって
も、書き込み及び読み出しを行うことができた。
【0378】また、本実施例では、光センサーを有する
情報要素検知部を用いたが、光センサーと光センサーに
入射する光の光路上に配置されかつ透過軸が所定の方向
に設定された検光子とを有しする参照光射出部を用いた
情報記録再生装置であっても、書き込み及び読み出しを
行うことができた。
【0379】また、本実施例では、1つの参照光用の非
偏光光源を有する参照光射出部及び光センサーを有する
情報要素検知部を用いたが、1つの参照光用の非偏光光
源と偏光子を有し、参照非偏光を射出する参照光射出部
及び光センサーと前記光センサーに入射する光の光路上
に配置されかつ透過軸が所定の方向に設定された検光子
とを有する情報要素検知部を用いた情報記録再生装置で
あっても、書き込み及び読み出しを行うことができた。
【0380】更に、情報要素検知部に偏光子を有する情
報記録再生装置において、検光子の透過軸の方向を、前
記記録層からの影響がないと仮定し、かつ前記記録偏光
を前記参照光と同一経路で前記検光子に導光したと仮定
した場合の仮想的記録偏光の伝播方向と垂直であり、か
つその場合の仮想的記録偏光の偏光方向と平行又は垂直
に設定すると最も感度のよい読み出しができた。
【0381】(実施例12)実施例4で作製したディス
ク型のライトワンス型光記録媒体11に予め1.2μm
に集光した記録偏光を450mJ/cm2でスポット上に照射
して、各記録ドットを所定配向固定状態に初期化した光
記録媒体を有する情報記憶部、1つの記録光用の非偏光
光源を有する記録光射出部、1つの非偏光光源を有する
参照光射出部、1つの光センサーを有する情報要素検知
部、ライトワンス型光記録媒体を回転駆動する媒体駆動
装置及び記録光射出部と参照光射出部とを光記録媒体の
半径方向に移動させる光射出部駆動装置を有する位置制
御駆動部、制御回路部、信号入出力部を備えた情報記録
再生装置を作製した。
【0382】予め記録ドットを構成する単分子膜状の記
録層内の化学吸着分子の配向状態が所定配向固定状態を
初期値としておき、書き込みの際、デジタル信号で記録
光をオンオフ制御して、スポット径が1.2μmでかつ
波長が313nmの記録非偏光を4mJ/cm2の強エネルギ
ーで記録層に照射して、化学吸着分子がランダム状態に
ある記録ドットと初期配向状態(所定配向固定状態)に
ある記録ドットを形成した。
【0383】次に、各記録ドットに波長530nmでか
つ直径約1μmに集光した参照光を200mJ/cm2程度照
射し、記録層を透過後、光反射膜で反射される光を光セ
ンサーで読み取って記録ドット内の化学吸着分子の配向
の有無(ランダム状態であるか否か)を確認した。すな
わち、前記ドット内の化学吸着分子が方向特定される配
向状態であるかランダム状態であるかで相違するする光
反射膜で反射された光の強度の違いを検知することで情
報要素を特定した。この情報要素の特定を記録ドットご
とに順次行うことにより情報が再生できた。この際、光
照射の位置合わせ精度誤差及び光センサーの読み取り誤
差を小さくし、すなわち読み取り精度を上げるために
は、読み取り光のスポット径を書き込み光のスポット径
よりも小さくした方が効果が高かった。
【0384】なお、この情報記録再生装置では、前記で
書き込みに用いた記録光と照射エネルギーのみ異なる光
(500mJ/cm2)を照射しても、記録ドットを構成する
化学吸着分子の配向状態をランダム状態に変化させるこ
とはできなかった。すなわち、書き込みを行えなかっ
た。一方、記録光が照射されてランダム状態に変化した
記録ドットに、再度、初期化の際に照射した記録偏光を
500mJ/cm2で照射しても、初期状態を再現することは
できなかった。すなわち、消去が行えないライトワンス
型の情報記録再生装置を実現できた。
【0385】このように、ライトワンス型の書き込みが
可能となるのは、光記録媒体の記録層を構成する化学吸
着分子に含まれる光反応性官能基が、初期化における反
応用の偏光の照射により、化学吸着分子の特有の配向方
向への配向と共に、重合又は架橋した結果、化学吸着分
子の配向方向が固定されたためである。なお、この光記
録媒体は記録耐久性がイレーザブル型の光記録媒体に比
べ優れており、数万回の読み取りでも劣化することは無
かった。
【0386】また、前記本実施例では、1つの参照光用
の非偏光光源を有し、参照非偏光を射出する参照光射出
部を用いたが、1つの参照光用の非偏光光源と前記非偏
光光源からの出射光の光路上に配置され、かつ透過軸が
所定の方向に設定された偏光子とを有し、参照非偏光を
射出する参照光射出部を用いた情報記録再生装置であっ
ても、書き込み及び読み出しを行うことができた。
【0387】また、前記本実施例では、光センサーを有
する情報要素検知部を用いたが、光センサーと光センサ
ーに入射する光の光路上に配置されかつ透過軸が所定の
方向に設定された検光子とを有しする参照光射出部を用
いた情報記録再生装置であっても、書き込み及び読み出
しを行うことができた。
【0388】また、前記本実施例では、1つの参照光用
の非偏光光源を有する参照光射出部及び光センサーを有
する情報要素検知部を用いたが、1つの参照光用の非偏
光光源と偏光子を有し、参照非偏光を射出する参照光射
出部及び光センサーと前記光センサーに入射する光の光
路上に配置されかつ透過軸が所定の方向に設定された検
光子とを有する情報要素検知部を用いた情報記録再生装
置であっても、書き込み及び読み出しを行うことができ
た。
【0389】更に、情報要素検知部に偏光子を有する情
報記録再生装置において、検光子の透過軸の方向を、前
記記録層からの影響がないと仮定し、かつ前記記録偏光
を前記参照光と同一経路で前記検光子に導光したと仮定
した場合の仮想的記録偏光の伝播方向と垂直であり、か
つその場合の仮想的記録偏光の偏光方向と平行又は垂直
に設定すると最も感度のよい読み出しができた。
【0390】(実施例13)実施例4で作製したディス
ク型のライトワンス型光記録媒体11を有する情報記憶
部、1つの参照光用の非偏光光源と透過軸が異なる所定
の方向に設定された2つの移動自在な偏光子と2つの移
動自在な偏光子のいずれか1つを選択的に前記非偏光光
源からの出射光の光路上に配置させる駆動装置とを有す
る記録光射出部、1つの参照光用の非偏光光源と前記非
偏光光源からの出射光の光路上に配置されかつ透過軸が
所定の方向に設定された偏光子とを有する参照光射出
部、光センサーを有する情報要素検知部、ライトワンス
型光記録媒体を回転駆動する媒体駆動装置及び記録光射
出部と参照光射出部とを光記録媒体の半径方向に移動さ
せる光射出部駆動装置を有する位置制御駆動回路部、光
記録媒体制御回路部、信号入出力部を備えた情報記録再
生装置を作製した。
【0391】ここで、あらかじめ各記録ドットを構成す
る単分子膜状の記録層内の化学吸着分子の配向がランダ
ム状態を初期値としておき、書き込みの際、光記録媒体
を回転させながら、デジタル信号に応じて、313nm
の波長で且つ直径約1.2ミクロンに集光した、配向方
位の異なる第1の反応用の記録偏光又は第2の反応用の
記録偏光を500mJ/cm2でスポット状に照射して、化学
吸着分子が第1の所定配向固定状態にある記録ドットと
第2の所定配向固定状態にある記録ドットを形成した。
【0392】次に、各記録ドットに波長530nmでか
つ直径約1μmに集光した参照光を200mJ/cm2程度照
射し、記録層を透過して光反射膜で反射された光を検光
子を介して光センサーで読み取って、記録ドット内の化
学吸着分子の配向方位を確認した。すなわち、前記ドッ
ト内の化学吸着分子が第1の所定配向固定状態であるか
第2の所定配向固定状態あるかにより相違する、光反射
膜で反射された光の偏光成分強度分布の違いを検知する
ことで情報要素を特定した。この情報要素の特定を記録
ドットごとに順次行うことにより情報が再生できた。
【0393】この際、光照射の位置合わせ精度誤差及び
光センサーの読み取り誤差を小さくする、すなわち読み
取り精度を向上させる、ためには、参照光のスポット径
を記録光のスポット径よりも小さくした方が効果が高か
った。また、第1の反応用の記録偏光の偏光方向と第2
の反応用の記録偏光の偏光方向とを互いに垂直に設定す
れば、感度及び精度の高い、情報の読み出しが可能であ
った。
【0394】本実施例で用いたライトワンス型光記録媒
体の記録層は、記録層を構成する化学吸着分子が媒体基
体表面に共有結合で固定されているため、また、記録ド
ットを構成する化学吸着分子相互が重合又は架橋により
結合しているため、記録保持及び剥離、破壊等に対する
耐久性の点ではイレーザブル型光記録媒体の記録層に比
べ優れており、数万回の読み取りでも劣化しなかった。
【0395】前記では、1つの記録光用の非偏光光源と
透過軸が異なる所定の方向に設定された2つの移動自在
な偏光子と、2つの移動自在な偏光子のいずれか1つを
選択的に非偏光光源からの出射光の光路上に配置させる
駆動装置とを有する記録光射出部を用いたが、第1の記
録偏光用の非偏光光源及び偏光板と第2の記録偏光用の
非偏光光源及び偏光板を別々に備え、各非偏光光源をオ
ンオフ制御することにより、記録偏光と記録非偏光とを
射出する記録光射出部を用いた情報記録再生装置であっ
ても、書き込み、読み出し及び書き換えを行うことがで
きた。
【0396】また、本実施例では、1つの参照光用の非
偏光光源と前記非偏光光源からの出射光の光路上に配置
されかつ透過軸が所定の方向に設定された偏光子とを有
する参照光射出部、及び、光センサーを備えた情報要素
検知部を用いたが、1つの参照光用の非偏光光源を有
し、参照非偏光を射出する参照光射出部、及び、光セン
サーと、前記光センサーに入射する光の光路上に配置さ
れ、かつ透過軸が所定の方向に設定された検光子とを有
する情報要素検知部を用いた情報記録再生装置であって
も、書き込み、読み出し及び書き換えを行うことができ
た。
【0397】また、本実施例では、光センサーを有する
情報要素検知部を用いたが、光センサーと光センサーに
入射する光の光路上に配置されかつ透過軸が所定の方向
に設定された検光子とを有しする参照光射出部を用いた
情報記録再生装置であっても、書き込み、読み出し及び
書き換えを行うことができた。
【0398】また、本実施例では、光センサーを有する
情報要素検知部を用いたが、光センサーと前記光センサ
ーに入射する光の光路上に配置されかつ透過軸が所定の
方向に設定された検光子とを有する情報要素検知部を用
いた情報記録再生装置であっても、書き込み、読み出し
及び書き換えを行うことができた。
【0399】更に、情報要素検知部に偏光子を有する情
報記録再生装置において、検光子の透過軸の方向を、前
記記録層からの影響がないと仮定し、かつ前記記録偏光
を前記参照光と同一経路で前記検光子に導光したと仮定
した場合の仮想的記録偏光の伝播方向と垂直であり、か
つその場合の仮想的記録偏光の偏光方向と平行又は垂直
に設定すると最も感度の良い読み出しができた。
【0400】(実施例14)実施例4において作製した
ライトワンス型光記録媒体にラビング処理を施して、各
記録ドットを所定配向状態に初期化したライトワンス型
光記録媒体を備えること以外は、前記実施例13に記載
の各情報記録再生装置と同様の情報記録再生装置を用い
て、書き込み、読み出し及び書き換えを行うことができ
た。
【0401】(実施例15)実施例4で作製したディス
ク型のライトワンス型光記録媒体11を有する情報記憶
部、1つの記録光用の非偏光光源と回動自在又は回転自
在である偏光子と前記偏光子を回動又は回転させる駆動
装置とを有する記録光射出部、1つの非偏光光源と有す
る参照光射出部、光センサーと前記光センサーに入射す
る光の光路上に配置された回動自在又は回転自在な検光
子と前記検光子を回動又は回転させる駆動装置とを有す
る情報要素検知部、ライトワンス型光記録媒体を回転駆
動する媒体駆動装置及び記録光射出部と参照光射出部と
を光記録媒体の半径方向に移動させる光射出部駆動装置
を有する位置制御駆動回路部、光記録媒体制御回路部、
信号入出力部を備えた情報記録再生装置を作製した。
【0402】ここで、あらかじめ各記録ドット(情報記
録単位領域)を構成する単分子膜状の記録層内の化学吸
着分子の配向がランダム状態を初期値としておき、書き
込みの際、光記録媒体を回転させ、かつ偏光子を回転さ
せながら、デジタル信号に応じて、偏光方向が0°、4
5°、90°のいずれかであり、かつ波長が254nm
であり、かつスポット径が約1.2μmである記録偏光
を500mJ/cm2で照射し、化学吸着分子の配向方位が0
°の所定配向固定状態にある記録ドットと配向方向が4
5°の所定配向固定状態にある記録ドットと、配向方向
が90°の所定配向固定状態にある記録ドットを形成し
た。つまり、0°の所定配向固定状態と45°の所定配
向固定状態と90°の所定配向固定状態とを3つの情報
要素とする3値記録を行った。
【0403】次に、各記録ドットに、波長530nmで
かつスポット径約1μmに集光した参照光を200mJ/c
m2程度照射し、記録層を透過後、光反射膜で反射される
光を光センサーで読み取って記録ドット内の化学吸着分
子の配向方位を確認した。すなわち、前記ドット内の化
学吸着分子の配向方位で相違する光反射膜で反射された
光の偏光強度分布の違いを検知することで情報要素を特
定した。この情報要素の特定を記録ドットごとに順次行
うことにより情報が再生できた。
【0404】この際、光照射の位置合わせ精度誤差及び
光センサーの読み取り誤差を小さくし、すなわち読み取
り精度を上げるためには、読み取り光のスポット径を書
き込み光のスポット径よりも小さくした方が効果が高か
った。
【0405】本実施例で用いたライトワンス型光記録媒
体の記録層は、記録層を構成する化学吸着分子が媒体基
体表面に共有結合で固定されているため、また、記録ド
ットを構成する化学吸着分子相互が重合又は架橋により
結合しているため、記録保持及び剥離、破壊等に対する
耐久性の点ではイレーザブル型光記録媒体の記録層に比
べ優れており、数万回の読み取りでも劣化しなかった。
【0406】本実施例において、光センサーと光センサ
ーに入射する光の光路上に配置された回動自在又は回転
自在な検光子と検光子を回動又は回転させる駆動装置と
を有する情報要素検知部を用いたが、光センサーと透過
軸が所定の互いに異なる方向に固定された複数の移動自
在な検光子と複数の検光子のいずれか1つを選択的に前
記光センサーに入射する光の光路上に配置させる駆動装
置とを有する情報要素検知部を用いた情報記録再生装置
であっても、情報の書き込み、読み出し及び書き換えを
同様に行うことができた。
【0407】また、本実施例において、1つの非偏光光
源と有する参照光射出部、及び光センサーと光センサー
に入射する光の光路上に配置された回動自在又は回転自
在な検光子と検光子を回動又は回転させる駆動装置とを
有する情報要素検知部を用いたが、1つの参照光用の非
偏光光源と非偏光光源からの出射光の光路上に配置され
た回動自在又は回転自在な偏光子と偏光子を回動又は回
転させて前記偏光子の透過軸を複数の所定の方向に順次
設定する駆動装置とを有する参照光射出部、及び光セン
サーを有する情報要素検知部を用いた情報記録再生装置
であっても、情報の書き込み、読み出し及び書き換えを
同様に行うことができた。
【0408】更に、記録光射出部の回動自在又は回転自
在な偏光子と参照光射出部の回動自在又は回転自在な偏
光子とを、いずれか一方の回動自在又は回転自在な偏光
子で兼用することにより、小型の情報記録再生装置を作
製できた。
【0409】(実施例16)実施例3において作製した
ライトワンス型光記録媒体にラビング処理を施して、各
記録ドットを所定配向状態に初期化したイレーザブル型
光記録媒体を備えること以外は、前記実施例9に記載の
各情報記録再生装置と同様の情報記録再生装置を用い
て、書き込み、読み出し及び書き換えを行うことができ
た。
【0410】(実施例17)主メモリーを有する演算処
理装置と通信制御装置とを備えたパーソナルコンピュー
タと、入力装置としてのキーボードと、出力装置として
のモニターと、補助記憶装置として前記実施例5及至実
施例10において作製した情報記録再生装置を備えたイ
レーサーブル型コンピュータシステムを構築した。
【0411】(実施例18)図33に示すように、主メ
モリーを有する演算処理装置と通信制御装置とを備えた
パーソナルコンピュータと、入力装置としてのキーボー
ド81と、出力装置としてのモニター82と、補助記憶
装置83として前記実施例11及至実施例15において
作製した情報記録再生装置を備えたライトワンス型のコ
ンピュータシステム80を構築した。
【0412】(実施例19)図34に示すように、テレ
ビ放送94からの信号を受け取るテレビチューナーを備
えた映像信号入出力制御装置90と、制御命令入力装置
92と、映像出力装置としてのモニター用テレビ91
と、映像記憶再生装置93として10枚のディスク型記
録媒体を備えること以外は前記実施例5及至実施例10
と同様にして作製した情報記録再生装置とを備えたイレ
ーザブル型の映像情報記録再生システムを構築した。
【0413】このシステムの記憶容量は約100ギガバ
イトであり、約40時間分のテレビ放送を録画できた。
【0414】(実施例20)映像信号入出力制御装置と
してのテレビチューナーと、制御命令入力装置と、映像
出力装置としてのモニターと、映像記憶装置として前記
実施例5及至実施例10において作製した情報記録再生
装置とを備えたライトワンス型の映像情報記録再生シス
テムを構築した。
【0415】このシステムの記憶容量は約100ギガバ
イトであり、約40時間分のテレビ放送を録画できた。
【0416】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、記録層
の形成に真空蒸着法を用いず、化学吸着法で有機薄膜を
形成した高密度なイレーザブル型およびライトワンス型
光記録媒体を低コストで提供することができる。また、
光記録媒体に対して情報の記録再生を行う情報記録再生
装置と、光記録媒体及び情報記録再生装置を備えたコン
ピュータシステムと、映像情報記録再生システムとを提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の分子レベルまで拡大した基
体上に形成された単分子層状の光記録膜の断面図であ
る。
【図2】同、記録膜形成工程の1例を説明するための模
式図である。
【図3】同、光反射性媒体基体上に記録層を設けた光記
録媒体の構造例を示す断面図であり、Aは光反射性基材
を形成した媒体基体の断面図、Bは基材上に光反射膜と
光記録膜を形成した光記録媒体の断面図、Cは基材上に
光反射膜と透明被膜とその上の全面に光記録膜を形成し
た光記録媒体の断面図、Dは基材上に光反射膜を形成し
その上に部分的に記録層を設けた光記録媒体の断面図、
Eは基材上に光反射膜を形成しその上の全面に光記録層
を設けた光記録媒体を示す。
【図4】同、光透過性媒体基体上に記録層を設けた光記
録媒体の構造例を示す断面図であり、Aは光透過性基材
の上に直接光記録膜を形成した光記録媒体の断面図、B
は光透過性基材上に透明被膜を形成し、その上に光記録
膜を形成した光記録媒体の断面図、Cは光透過性基材の
上に直接部分的に光記録層を形成した光記録媒体の断面
図である。
【図5】同、光(偏光)配向法を説明するための模式図
である。
【図6】同、液切り配向法を説明するための模式図であ
る。
【図7】同、ラビング配向法を説明するための模式図で
あり、Aは媒体基体を1方向にラビング処理する方法、
Bは媒体基体を円周方向にラビング処理する方法、Cは
均一なラビング密度で媒体基体を円周方向にラビング処
理する方法を示す。
【図8】同、ディスク型光記録媒体の記録層における情
報記録単位領域の配列例を説明するための模式的平面図
であり、Aは同心円群状に配列した情報記録単位領域を
示す模式的平面図、Bは渦巻き状に配列した情報記録単
位領域を示す模式的平面図である。
【図9】同、記録層を部分的に初期化する方法を説明す
るための模式的斜視図であり、Aは所定のパターンのフ
ォトマスクを設けた偏光子を用いて初期化する方法を示
す模式的斜視図、Bは光照射部位を順次変化させて初期
化する方法を示す模式的斜視図である。
【図10】同、ディスク型光記録媒体の初期化例を示す
模式的平面図であり、Aは部分的に所定配向状態に初期
化された記録層を示す平面図、Bは全体的に任意配向状
態に初期化された記録層を示す平面図、Cは全体的に所
定配向状態に初期化された記録層を示す平面図である。
【図11】同、テープ型光記録媒体及びテープ型光記録
媒体の記録層における情報記録単位領域の配列例を説明
するための模式的平面図であり、Aは長手方向に1直線
に配列した情報記録単位領域を示す模式的平面図、Bは
長手方向と直角な平行直線群状(格子点群状)に配列し
た情報記録単位領域を示す模式図、Cは軸が長手方向と
所定の角度で斜向する平行直線群状(1軸斜方格子点群
状)に配列した情報記録単位領域を示す模式図、Dは軸
が長手方向と第1の所定の角度で斜向する平行直線と、
軸が長手方向と第2の所定の角度で斜向する平行直線と
からなる3角波形群状に配列した情報記録単位領域を示
す模式図、Eは長手方向と所定の角度で斜向する平行直
線群状(2軸斜方格子点群状)に配列した情報記録単位
領域を示す模式図である。
【図12】同、テープ型光記録媒体及びカード型光記録
媒体の初期化例を示す模式的平面図であり、Aは長手方
向を配向方位とする所定配向状態に部分的に初期化され
た記録層を示す模式的平面図、Bは長手方向を配向方位
とする所定配向状態に全体的に初期化された記録層を示
す模式的平面図、Cは長手方向と異なる方位を配向方位
とする所定配向状態に部分的に初期化された記録層を示
す模式的平面図である。
【図13】同、偏光が照射された、記録層を構成する化
学吸着分子の配向状態を説明するための模式的斜視図で
ある。
【図14】同、非偏光が照射された、記録層を構成する
化学吸着分子の配向状態を説明するための模式的斜視図
である。
【図15】同、記録層を構成する化学吸着分子の配向状
態を説明するための模式図であり、Aは傾斜角の異なる
配向状態を示す断面図、Bは配向方位の異なる配向状態
を示す斜視図である。
【図16】同、情報要素と記録層を構成する化学吸着分
子の配向状態との相関を説明するための模式的平面図で
あり、Aは各情報記録単位領域の記録層を構成する化学
吸着分子の配向方位を情報要素とした2値記録の一例、
Bは各情報記録単位領域の記録層を構成する化学吸着分
子の配向方位を情報要素とした2値記録の一例、Cはデ
ィスク型光記録媒体を用い、各情報記録単位領域の記録
層を構成する化学吸着分子の配向方位を情報要素とした
2値記録の一例、Dは各情報記録単位領域の記録層を構
成する化学吸着分子の2種の配向状態の面積比を情報要
素とした3値記録の一例を示す。
【図17】同、初期状態が全体的にランダム状態である
記録層に対する2値記録を説明するための模式的平面図
であり、Aは初期状態を示し、Bはランダム状態と所定
配向状態とを情報要素とした2値記録を行った状態を示
し、Cは第1の所定配向状態と第2の所定配向状態とを
情報要素とした2値記録を行った状態を示す。
【図18】同、初期状態が全体的に配向状態である記録
層に対する2値記録の例を説明するための模式的平面図
であり、Aは初期状態、Bは初期状態(所定配向状態)
とランダム状態とを情報要素とした2値記録を行った状
態、Cは初期状態と配向方位の異なる所定配向状態とラ
ンダム状態とを情報要素とした2値記録を行った状態、
Dは初期状態(所定配向状態)と初期状態と配向方位の
異なる所定配向状態とを情報要素とした2値記録を行っ
た状態、Eは初期状態の配向方位と異なる第1の所定配
向状態と初期状態の配向方位と異なる第2の所定配向状
態とを情報要素とする2値記録を行った状態を示す。
【図19】同、初期状態が部分的に配向状態である記録
層に対する2値記録の例を説明するための模式的平面図
であり、Aは初期状態を示し、Bは初期状態(所定配向
状態)とランダム状態とを情報要素とした2値記録を行
った状態、Cは初期状態と配向方位の異なる所定配向状
態とランダム状態とを情報要素とした2値記録を行った
状態、Dは初期状態(所定配向状態)と初期状態と配向
方位の異なる所定配向状態とを情報要素とした2値記録
を行った状態、Eは初期状態の配向方位と異なる第1の
所定配向状態と初期状態の配向方位と異なる第2の所定
配向状態とを情報要素とする2値記録を行った状態を示
す。
【図20】同、全体的に初期状態がランダム状態である
記録層に対する多値記録の例を説明するための模式的平
面図であり、Aは初期状態を示し、Bは初期状態、第1
の所定配向状態及び第2の所定配向状態それぞれを情報
要素とした3値記録を行った状態、Cは第1の所定配向
状態、第2の所定配向状態及び第3の所定配向状態それ
ぞれを情報要素とした3値記録を行った状態を示す。
【図21】同、全体的に初期状態が配向状態である記録
層に対する多値記録の例を説明するための模式的平面図
であり、Aは初期状態、Bは初期状態(第1の所定配向
状態)、ランダム状態及び第2の所定配向状態それぞれ
を情報要素とした3値記録を行った状態、Cはランダム
状態、第1の所定配向状態及び第2の所定配向状態それ
ぞれを情報要素とした3値記録を行った状態、Dは初期
状態(第1の所定配向状態)、第2の所定配向状態及び
第3の所定配向状態それぞれを情報要素とした3値記録
を行った状態、Eは第1の所定配向状態、第2の所定配
向状態及び第3の所定配向状態それぞれを情報要素とし
た3値記録を行った状態を示す。
【図22】同、部分的に初期状態が配向状態である記録
層に対する多値記録の例を説明するための模式的平面図
であり、Aは初期状態、Bは初期状態(第1の所定配向
状態)、ランダム状態及び第2の所定配向状態それぞれ
を情報要素とした3値記録を行った状態、Cはランダム
状態、第1の所定配向状態及び第2の所定配向状態それ
ぞれを情報要素とした3値記録を行った状態、Dは初期
状態(第1の所定配向状態)、第2の所定配向状態及び
第3の所定配向状態それぞれを情報要素とした3値記録
を行った状態、Eは第1の所定配向状態、第2の所定配
向状態及び第3の所定配向状態それぞれを情報要素とし
た3値記録を行った状態を示す。
【図23】同、情報記録再生装置の構成を説明するため
のブロック図である。
【図24】同、光反射性媒体基体を備えた光記録媒体に
対する、記録光と参照光の照射方向を示す模式的断面図
である。
【図25】同、光透過性媒体基体を備えた光記録媒体の
記録層に対する、記録項と参照光の照射方向を示す模式
的断面図であり、Aは記録光と参照光とを記録層上方か
ら照射する場合、Bは記録光を記録層上方から照射し、
参照光を媒体基体側から照射する場合、Cは記録光を媒
体基体側から照射し、参照光を記録層上方から照射する
場合、Dは記録光と参照光とを媒体基体側から照射する
場合を示す。
【図26】同、光射出部(記録光射出部及び参照光射出
部)の構成例を示す模式的斜視図であり、Aは非偏光及
び1種の偏光を射出する光射出部の斜視図、Bは複数の
移動自在な偏光子を用いて、非偏光及び偏光方向の互い
に異なる複数種の偏光を射出する光射出部の斜視図、C
は移動自在であり、かつ回転自在又は回動自在である偏
光子を用いて、非偏光及び偏光方向の互いに異なる複数
種の偏光を射出する光射出部の斜視図である。
【図27】同、1つの偏光子を用い、その偏光子の回転
又は回動のみにより非偏光及び偏光方向の異なる複数種
の偏光を射出するための、偏光子の構造例及びその利用
方法を説明するための模式的平面図であり、Aは正方形
の偏光子を用いた場合、Bは空孔を有する偏光子を用い
た場合を示す。
【図28】同、情報要素の相違による光の偏光成分強度
分布の相違を検知する情報要素検知部の構成例を示す模
式的斜視図であり、Aは回転自在又は回動自在な偏光子
と光センサーとを有する情報要素検知部、Bは複数の移
動自在な偏光子と光センサーとを有する情報要素検知
部、Cは偏光子を光入射面に備えた光センサーを複数有
する情報要素検知部を示す。
【図29】同、コンピュータシステムの構成を説明する
ためのブロック図である。
【図30】同、映像情報記録再生システムの構成を説明
するためのブロック図である。
【図31】本発明の実施例1を説明するための模式図で
あり、Aは記録信号に応じて書き込みを行う方法を説明
する模式的断面図、Bは書き込みの行われた状態を説明
するための模式的断面図、Cは書き込みの行われた状態
を説明するための模式的平面図である。
【図32】本発明の実施例5におけるイレーザブル型の
情報記録再生装置を説明するための模式図である。
【図33】本発明の実施例18における光記録媒体の情
報記録再生装置を補助記憶装置として用いたコンピュー
タシステムに関するフローチャートである。
【図34】本発明の実施例19における映像情報記録再
生装置に関するフローチャートである。
【符号の説明】
1 基材 2 記録層(光記録膜) 3 媒体基体(基体) 4 透明被膜 5 光反射膜 6 化学吸着分子 7 偏光子 8 検光子 9 ビームスプリッター 11 光透過性基材 21 光反射性基材 31 ラビングロール 32 有機溶媒 33 フォトマスク 34 化学吸着液 35 非偏光光源 36 光センサー 37 空孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D029 JA04 JB18 JB50 KA21 KA22 KA24 NA01 5D090 AA01 AA03 AA04 BB04 BB18 CC01 CC04 DD01 5D121 AA01 EE21 EE28 EE30 GG01

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学吸着分子群が基体の表面に共有結合
    により化学結合されている単分子層状の光記録膜であっ
    て、 前記光記録膜は、偏光が照射される方向に化学吸着分子
    の長軸方向が変化する特性を有することを特徴とする光
    記録膜。
  2. 【請求項2】 さらに、偏光以外の光が照射されると化
    学吸着分子の長軸方向がランダム方向に変化する特性を
    有する請求項1に記載の光記録膜。
  3. 【請求項3】 前記光記録膜を構成する化学吸着分子
    が、直鎖状分子を含む請求項1に記載の光記録膜。
  4. 【請求項4】 前記光記録膜を構成する化学吸着分子
    が、特定の波長の光を吸収する光吸収性の官能基を含む
    請求項1に記載の光記録膜。
  5. 【請求項5】 前記光吸収性官能基が、紫外領域の波長
    の光を吸収する紫外光吸収性官能基である請求項4に記
    載の光記録膜。
  6. 【請求項6】 前記紫外光吸収性官能基が、アリール(a
    ryl)骨格基、アリーレン(arylene)骨格基及びカルボニ
    ル基から選ばれる少なくとも一つの官能基である請求項
    5に記載の光記録膜。
  7. 【請求項7】 前記光記録膜を構成する化学吸着分子
    は、さらにその長軸方向が固定される特性を有する請求
    項1に記載の光記録膜。
  8. 【請求項8】 前記光反応性官能基が光重合性官能基で
    あり、前記光記録膜を構成する化学吸着分子の長軸方向
    は、前記偏光が照射されると、前記特定の方向に配向
    し、かつ化学吸着分子相互の重合又は架橋により前記特
    定の方向に固定される請求項7に記載の光記録膜。
  9. 【請求項9】 前記光重合官能基が紫外領域の波長の光
    で反応する紫外光重合性官能基である請求項8に記載の
    光記録膜。
  10. 【請求項10】 前記紫外光重合性官能基がカルコン(c
    halcone)骨格基、シンナモイル(cinnamoyl)骨格基及び
    ジアセチレン(diacetylene)骨格基から選ばれる少なく
    とも一つの骨格基である請求項9に記載の光記録膜。
  11. 【請求項11】 前記光記録膜は前記基体の表面に直接
    形成されている請求項1に記載の光記録膜。
  12. 【請求項12】 前記基材が金属、セラミックス、ガラ
    ス及び合成樹脂から選ばれる少なくとも一つである請求
    項11に記載の光記録膜。
  13. 【請求項13】 前記基体の表面に下地層被膜が形成さ
    れており、前記光記録膜は前記下地層被膜表面に形成さ
    れている請求項1に記載の光記録膜。
  14. 【請求項14】 表面に活性水素を含む基体と、前記基
    体の表面と化学結合する反応基を一端に有し、かつ、分
    子配向のための偏光が照射されると前記偏光の偏光方向
    で決定される特定の方向に長軸方向が変化する特性を有
    する化学吸着分子を、非水系有機溶媒と混合して化学吸
    着液を調製し、 前記化学吸着液と前記基体とを接触させて、前記基体表
    面の活性水素と前記化学吸着分子の反応基との間で低分
    子脱離反応を起こさせ、前記基体の表面に化学結合した
    単分子層状の光記録膜を形成することを特徴とする光記
    録膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記化学吸着分子は、さらに偏光では
    ない光が照射されると長軸方向がランダム方向に変化す
    る特性を有する請求項14に記載の光記録膜の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 前記化学吸着分子が特定の波長の光を
    吸収する光吸収性の官能基を有する請求項14に記載の
    光記録膜の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記光吸収性官能基が紫外領域の波長
    の光を吸収する紫外光吸収性官能基である請求項16に
    記載の光記録膜の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記紫外光吸収性官能基が、アリール
    骨格基、アリーレン骨格基及びカルボニル基から選ばれ
    る少なくとも一つの官能基である請求項17に記載の光
    記録膜の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記化学吸着分子は、さらに長軸方向
    が固定される特性を有する請求項14に記載の光記録膜
    の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記化学吸着分子は、さらに長軸方向
    が固定される特性、及び、前記光反応性官能基に反応を
    誘起しない配向用の偏光が照射されると前記特定の方向
    に長軸方向が変化し、かつ長軸方向が固定されない特性
    を有する請求項14に記載の光記録膜の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記化学吸着分子に含まれる光反応性
    官能基が光重合性官能基である請求項20に記載の光記
    録膜の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記光重合性官能基が紫外領域の波長
    の光で反応する紫外光重合性官能基である請求項21に
    記載の光記録膜の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記紫外光重合性官能基がカルコン(c
    halcone)骨格基、シンナモイル(cinnamoyl)骨格基及び
    ジアセチレン(diacetylene)骨格基から選ばれる少なく
    とも一つの骨格基である請求項22に記載の光記録膜の
    製造方法。
  24. 【請求項24】 前記化学吸着分子が、前記化学結合す
    る官能基として下記化学式1及至3で表される官能基の
    群から選択される1種の官能基を有する化学吸着分子を
    用いる請求項14に記載の光記録膜の製造方法。 【化1】 【化2】 【化3】 (但し前記化学式1〜3において、Xはハロゲン原子、
    アルコキシル基又はイソシアネート基を表す)
  25. 【請求項25】 前記低分子脱離反応が、脱ハロゲノ水
    素反応、脱アルコール反応及び脱イソシアネート反応か
    ら選ばれる少なくとも一つの反応である請求項14に記
    載の光記録膜の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記低分子脱離反応後に、非水系有機
    溶媒により未反応物質を洗浄除去する請求項14に記載
    の光記録膜の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記化学吸着液と接触させる前に、予
    め前記基体表面に活性水素を含む官能基を導入しておく
    請求項14に記載の光記録膜の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記活性水素の導入を、基体の表面に
    プラズマ処理、コロナ処理、電子線処理及び紫外線処理
    から選ばれる少なくとも一つの処理により行う請求項2
    7に記載の光記録膜の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記基体の表面に、予め活性水素を含
    む官能基を表面に有する下地層被膜を形成しておく請求
    項14に記載の光記録膜の製造方法。
  30. 【請求項30】 化学吸着分子群が媒体基体の表面に共
    有結合により化学結合されている単分子層状の光記録膜
    を含む光記録媒体であって、 前記光記録膜は、請求項1〜13のいずれかに記載の光
    記録膜を備えていることを特徴とする光記録媒体。
  31. 【請求項31】 前記記録膜は、情報を構成する情報要
    素を、化学吸着分子の長軸方向の制御により1つ書き込
    む情報記録単位領域を複数有する請求項30に記載の光
    記録媒体。
  32. 【請求項32】 前記記録膜は、偏光の照射による化学
    吸着分子の長軸方向の制御及び固定により、情報を構成
    する情報要素を1つ書き込め、かつ一旦書き込まれた情
    報要素を異なる情報要素に任意に書き換えることのでき
    ない情報記録単位領域を複数有する請求項30に記載の
    光記録媒体。
  33. 【請求項33】 前記記録膜の前記配向固定領域は、前
    記配向固定構造を破壊する破壊光の照射により破壊さ
    れ、かつ、一旦破壊されると前記配向固定構造を再生で
    きない特性を有する請求項32に記載の光記録媒体。
  34. 【請求項34】 前記配向固定領域が、前記破壊光の照
    射による化学吸着分子の配向の破壊により、情報を構成
    する情報要素を1つ書き込める情報記録単位領域を有す
    る請求項33に記載の光記録媒体。
  35. 【請求項35】 前記媒体基体が光透過性を有する基体
    である請求項30に記載の光記録媒体。
  36. 【請求項36】 前記光透過性基体が、光透過性基材、
    及び光透過性基材とその表面に設けられた光透過性被膜
    とを備えた基体から選ばれる少なくとも一つである請求
    項35に記載の光記録媒体。
  37. 【請求項37】 前記光透過性被膜がシリカ膜及び窒化
    シリコン膜から選ばれる少なくとも一つである請求項3
    6に記載の光記録媒体。
  38. 【請求項38】 前記媒体基体が光反射性を有する光反
    射性媒体基体である請求項30に記載の光記録媒体。
  39. 【請求項39】 前記光反射性媒体基体が、金属アルミ
    ニウム層を含む請求項38に記載の光記録媒体。
  40. 【請求項40】 前記記録層が前記光反射性媒体基体の
    表裏両面に形成されている請求項30に記載の光記録媒
    体。
  41. 【請求項41】 前記媒体基体がディスク型媒体基体、
    テープ型媒体基体及びカード型媒体基体から選ばれる少
    なくとも一つである請求項30に記載の光記録媒体。
  42. 【請求項42】 前記媒体基体がディスク型媒体基体で
    あり、前記記録層の各情報記録単位領域が、同心円群状
    又は渦巻き状に配列している請求項41に記載の光記録
    媒体。
  43. 【請求項43】 前記媒体基体がテープ型媒体基体又は
    カード型媒体基体であり、前記記録層の各情報記録単位
    領域が、前記媒体基体の長手方向に対して所定の角度で
    交叉する平行直線群状に配列している請求項41に記載
    の光記録媒体。
  44. 【請求項44】 前記記録層のすべての情報記録単位領
    域が、化学吸着分子の長軸方向の配向した配向領域に初
    期化されている請求項30に記載の光記録媒体。
  45. 【請求項45】 媒体基体の表面に請求項1〜13のい
    ずれかに記載の光記録膜を備えた光記録媒体に対して、
    情報の記録再生を行う情報記録再生装置であって、 情報を電気信号に変換した情報信号及び動作命令信号の
    入出力を外部装置との間で行う信号入出力部と、 前記信号入出力部からの情報信号に応じて、前記記録層
    を構成する化学吸着分子の長軸方向を制御して情報要素
    を書き込む記録光を射出する記録光射出部と、 前記記録層を構成する化学吸着分子の長軸方向を変化さ
    せない参照光を射出する参照光射出部と、 前記参照光を前記記録層に照射して、情報要素の相違に
    よる記録層を透過した参照光の強度の相違又は偏光成分
    強度分布の相違を検知し、かつ、前記検知した結果に応
    じて所定の電気信号を前記信号入出力部に出力する情報
    要素検知部と、 前記光記録媒体の所定の位置に前記記録光と前記参照光
    とを選択的に照射させるための位置制御駆動部と、 前記記録光射出部及び前記位置制御駆動部を連動させて
    行う記録動作と、前記参照光射出部、前記位置制御駆動
    部及び前記情報要素検知部を連動させて行う再生動作と
    を制御する制御回路部と、を備えることを特徴とする情
    報記録再生装置。
  46. 【請求項46】 主メモリーを有する演算処理装置と、
    補助記憶装置と、入力装置と、出力装置と、前記各装置
    間の通信を制御する通信制御装置とを備え、 前記入力装置からの記録命令により、前記入力装置から
    の入力情報は、前記入力情報を電気信号に変換された記
    録情報信号として前記演算処理装置を介して前記補助記
    憶装置に伝送され、伝送された記録情報信号に基づき前
    記補助記憶装置に記録され、 前記入力装置からの再生命令により、前記補助記憶装置
    に記録された情報は、前記補助記憶装置から再生情報信
    号として読み出され、前記演算処理装置を介して前記出
    力装置に伝送され、伝送された再生情報信号に基づき前
    記出力装置で再生されるコンピュータシステムにおい
    て、 前記補助記憶装置は、媒体基体の表面に請求項1〜13
    のいずれかに記載の光記録膜を備えた光記録媒体に対し
    て、情報の記録再生を行う装置であり、 前記光記録媒体を有する情報記憶部と、 情報を電気信号に変換した情報信号及び動作命令信号の
    入出力を外部装置との間で行う信号入出力部と、 前記信号入出力部からの情報信号に応じて、前記記録層
    を構成する化学吸着分子の長軸方向を制御して情報要素
    を書き込む記録光を射出する記録光射出部と、 前記記録層を構成する化学吸着分子の長軸方向を変化さ
    せない参照光を射出する参照光射出部と、 前記参照光を前記記録層に照射して、情報要素の相違に
    よる記録層を透過した参照光の強度の相違又は偏光成分
    強度分布の相違を検知し、かつ、前記検知した結果に応
    じて所定の電気信号を前記信号入出力部に出力する情報
    要素検知部と、 前記光記録媒体の所定の位置に前記記録光と前記参照光
    とを選択的に照射させるための位置制御駆動部と、 前記記録光射出部及び前記位置制御駆動部を連動させて
    行う記録動作と、前記参照光射出部、前記位置制御駆動
    部及び前記情報要素検知部を連動させて行う再生動作を
    制御する制御回路部を備えることを特徴とするコンピュ
    ータシステム。
  47. 【請求項47】 映像信号の入出力を制御する映像信号
    入出力制御装置と、映像記憶装置と、映像出力装置と、
    前記映像信号入出力制御装置に対して入出力制御命令を
    発する制御命令入力装置とを備え、 前記制御命令入力装置からの記録命令により、外部の映
    像信号送信元からの映像信号は、前記映像信号入出力制
    御装置を介して前記映像記憶装置に伝送され、伝送され
    た映像信号に基づき映像情報が前記映像記憶装置に記録
    され、 かつ、前記制御命令入力装置からの再生命令により、前
    記映像記憶装置に記録された映像情報は、再生映像信号
    として読み出され、前記映像信号入出力制御装置を介し
    て前記映像出力装置に伝送され、伝送された再生映像信
    号に基づき前記映像出力装置で再生される映像記録再生
    システムにおいて、 前記映像記録装置は、媒体基体の表面に請求項1〜13
    のいずれかに記載の光記録膜を備えた光記録媒体に対し
    て、映像情報の記録再生を行う情報記録再生装置であっ
    て、 前記光記録媒体を有する映像情報記憶部と、 映像情報を電気信号に変換した電気信号及び動作命令信
    号の入出力を外部装置との間で行う信号入出力部と、 前記信号入出力部からの情報信号に応じて、前記記録層
    を構成する化学吸着分子の長軸方向を制御して情報要素
    を書き込む記録光を射出する記録光射出部と、 前記記録層を構成する化学吸着分子の長軸方向を変化さ
    せない参照光を射出する参照光射出部と、 前記参照光を前記記録層に照射して、情報要素の相違に
    よる記録層を透過した参照光の強度の相違又は偏光成分
    強度分布の相違を検知し、かつ、前記検知した結果に応
    じて所定の電気信号を前記信号入出力部に出力する情報
    要素検知部と、 前記光記録媒体の所定の位置に前記記録光と前記参照光
    とを選択的に照射させるための位置制御駆動部と、 前記記録光射出部及び前記位置制御駆動部を連動させて
    行う記録動作と、前記参照光射出部、前記位置制御駆動
    部及び前記情報要素検知部を連動させて行う再生動作を
    制御する制御回路部を備えることを特徴とする映像記録
    再生システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012081524A1 (ja) * 2010-12-14 2012-06-21 旭硝子株式会社 含フッ素化合物、コーティング用組成物、撥水層付き基材およびその製造方法

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