JP2003049686A - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射量制御装置

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JP2003049686A
JP2003049686A JP2001240773A JP2001240773A JP2003049686A JP 2003049686 A JP2003049686 A JP 2003049686A JP 2001240773 A JP2001240773 A JP 2001240773A JP 2001240773 A JP2001240773 A JP 2001240773A JP 2003049686 A JP2003049686 A JP 2003049686A
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fuel
pressure
fuel injection
fuel tank
internal pressure
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JP2001240773A
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Akinori Osanai
昭憲 長内
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リターンレス燃料システムの燃料噴射量を正
確に制御する。 【解決手段】 燃料タンク11内にプレッシャレギュレ
ータ75を配置し、燃料ポンプ70から燃料供給配管7
1を介して内燃機関100の燃料噴射弁101に圧送さ
れる燃料の圧力を、燃料タンク内圧に対して一定の差圧
を維持するように制御する。機関の電子制御ユニット
(ECU)30は、機関運転状態に応じて燃料噴射弁か
らの燃料噴射時間を設定するとともに、圧力センサ33
で検出した燃料タンク内圧に応じて燃料噴射時間を補正
する。これにより、燃料タンク内圧が変動した場合も燃
料噴射弁から噴射される燃料量が正確に制御されるよう
になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の燃料噴
射制御装置に関し、詳細には燃料圧力を調整するプレッ
シャレギュレータを燃料タンク内に配置したリターンレ
ス燃料システムを備えた内燃機関の燃料噴射制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】燃料タンク内の燃料を燃料ポンプで加圧
して燃料噴射弁から内燃機関の吸気ポートに噴射する燃
料噴射装置では、燃料噴射弁からの燃料噴射量は機関負
荷、回転数などの機関運転状態に応じて精密に制御され
る。一般に、燃料噴射弁からの燃料噴射量は、燃料噴射
弁への燃料供給圧力と吸気管(吸気ポート)圧力との差
圧と燃料噴射弁の開弁時間(燃料噴射時間)との関数に
なる。
【0003】そこで、従来、燃料噴射弁への燃料供給圧
力を吸気管圧力に応じて制御し、噴射弁への燃料供給圧
力と吸気管圧力との差圧が常に一定になるように調整す
る燃料圧力制御が行われている。燃料供給圧力と吸気管
圧力との差圧を常に一定に維持することにより、燃料噴
射弁からの燃料噴射量は機関運転状態(吸気管圧力)に
かかわらず燃料噴射時間のみの関数となる。従って、燃
料噴射弁の噴射時間のみを機関運転状態に応じて制御す
ることにより、制御の複雑化を生じることなく精密な燃
料噴射量制御可能となる。
【0004】上記のような燃料噴射装置では、燃料供給
圧力を吸気管圧力から一定の差圧が生じるように制御す
るために、燃料ポンプから燃料噴射弁に加圧燃料を供給
する燃料供給配管上にプレッシャレギュレータが配置さ
れる。プレッシャレギュレータは、ダイヤフラムなどの
感圧部を備え、このダイヤフラムの一方の面に吸気管圧
力を導き、他方の面に燃料供給配管内の燃料油圧力を導
入する構成とされ、燃料圧力と吸気管圧力との差圧が所
定値を越えるとダイヤフラムが差圧により変位して、燃
料供給配管内の燃料をリターン配管を通じて燃料タンク
に戻すようにさされている。
【0005】ところが、このように燃料供給圧力と吸気
管圧力との差圧を一定に調整するプレッシャレギュレー
タを用いる場合には問題が生じる場合がある。この種の
プレッシャレギュレータには吸気管圧力を導入する必要
があるため、通常、プレッシャレギュレータは燃料供給
配管の機関本体近傍に配置される。しかし、プレッシャ
レギュレータには燃料を燃料タンクに戻すリターン配管
を接続する必要がある。このため、プレッシャレギュレ
ータを機関本体近傍に配置すると、プレッシャレギュレ
ータから燃料タンクまでリターン配管を引回す必要が生
じ、配管経路や他の機器との干渉などの問題が生じる。
【0006】また、プレッシャレギュレータからリター
ン配管を通じて燃料タンクに戻される燃料は、機関本体
近傍を通過しているため温度が上昇している。このた
め、リターン燃料を燃料タンクに戻すと燃料タンク内の
燃料温度が徐々に上昇するようになる。燃料タンク内の
燃料温度が上昇すると燃料の飽和蒸気圧が上昇し、タン
ク内に発生する燃料蒸気量が増大するため、大気に燃料
蒸気が放散しやすくなる問題が生じる。
【0007】そこで、プレッシャレギュレータを燃料タ
ンク内に配置して、燃料供給配管の入口部分でリターン
燃料をタンク内に放出するようにしたリターンレス燃料
システムが考案されている。リターンレス燃料システム
では、プレッシャレギュレータが燃料タンク内に配置さ
れるためリターン燃料配管を機関本体近傍から燃料タン
クまで設置する必要がなくなり構成が簡素になる利点が
ある。また、リターンレスシステムでは、リターン燃料
が燃料供給配管入口部分から取出されるため、機関本体
近傍通過によるリターン燃料の温度上昇がなくなり、リ
ターン燃料によるタンク内燃料温度の上昇が防止され
る。
【0008】この種のリターンレス燃料システムの例と
しては、例えば特開平7−180630号公報に記載さ
れたものがある。同公報の燃料システムは、燃料タンク
内に配置された燃料ポンプと、燃料ポンプからの加圧燃
料を燃料噴射弁に供給する燃料供給配管との接続部にダ
イヤフラム受圧部を有するプレッシャレギュレータを配
置した構成とされる。プレッシャレギュレータのダイヤ
フラム受圧部の一方の側には燃料タンク内圧が作用し、
他方には燃料供給配管内の燃料圧力が作用しており、燃
料供給配管内の燃料圧力が燃料タンク内圧より一定差圧
以上高くなった場合に燃料供給配管内の燃料がタンク内
に放出される。すなわち、同公報のリターンレス燃料シ
ステムでは、燃料供給圧力と燃料タンク内圧との差圧が
一定になるようにプレッシャレギュレータにより制御さ
れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平7−180
630号のリターンレス燃料システムでは、プレッシャ
レギュレータを燃料タンク内に配置してリターン燃料を
リターン配管を用いずに直接燃料タンク内に戻すように
したことにより、リターン配管を廃止するとともに、タ
ンク内燃料ベーパの増大を防止することが可能になって
いる。しかし、上記公報の装置ではプレッシャレギュレ
ータを燃料タンク内に配置しているため、燃料供給圧力
が燃料タンク内圧との差圧が一定になるように制御され
る問題がある。
【0010】通常、燃料タンク内圧は大幅には変動しな
いものの、外気温度の変化による燃料蒸気発生量の変化
などによりタンク内圧が緩やかに変化する。ところが、
上記公報のリターンレス燃料システムでは、燃料供給圧
力と燃料タンク内圧との差圧が常に一定に制御されてし
まうため、燃料噴射弁への燃料供給圧力がタンク内圧と
ともに変化する場合が生じる。前述したように、燃料噴
射弁からの燃料噴射量は燃料噴射時間が同一であっても
燃料供給圧力(正確には燃料供給圧力と吸気管圧力との
差圧)が変化すると変化してしまう。このため、燃料タ
ンク内圧に応じて燃料供給圧力が変化すると、機関運転
状態に応じて精密に燃料噴射量を制御することができな
くなる問題が生じる。
【0011】実際には、通常、燃料噴射弁からの燃料噴
射量は機関排気系に設けた空燃比センサ出力に基づいて
フィードバック制御されており、機関空燃比が常に目標
値になるように燃料噴射量が補正されている。このた
め、外気温の変化などにより燃料供給圧力が多少変動し
ても空燃比フィードバック制御が実行されている限り燃
料噴射量が大きく変動することはない。
【0012】しかし、燃料タンク内圧は外気温変化によ
る緩やかな変動以外にも機関運転状況によって大きく変
化する場合がある。例えば、燃料タンクにはタンク内の
燃料蒸気が大気に放散されるのを防止するために、燃料
蒸気を吸着するキャニスタが設けられている。キャニス
タは燃料タンクとベーパ配管で接続されており、給油時
等に大量の燃料蒸気が発生した場合にキャニスタ内に収
納した活性炭等の吸着剤にタンク内の燃料蒸気を吸着さ
せ、燃料蒸気の大気放散を防止するものである。
【0013】しかし、機関運転中には、吸着剤の燃料蒸
気での飽和を防止するためにキャニスタのパージが行わ
れる。パージ実行時には、キャニスタは機関吸気通路と
接続されキャニスタ内には吸気通路の負圧が作用する。
この負圧はキャニスタとベーパ配管で接続された燃料タ
ンク内にも導入されるため、パージ実行時には燃料タン
ク内圧は負圧になる。
【0014】このため、機関運転中にパージが開始され
ると燃料タンク内圧は比較的急激に低下し、それに応じ
て燃料供給圧力も大きく変化するようになる。このよう
に、燃料供給圧力が急激かつ大幅に変化すると空燃比フ
ィードバック制御実行中であっても、燃料噴射量が変動
してしまい、機関運転空燃比の変動による排気性状の悪
化や機関出力の変動が生じるようになる。
【0015】この問題は、リターンレス燃料システムに
おいても従来と同様に燃料供給圧力を吸気管圧力との差
圧が一定になるように制御すれば一応解決することがで
きる。しかし、そのためにはプレッシャレギュレータの
受圧部まで吸気管圧力を導入する必要が生じ、吸気管と
プレッシャレギュレータの受圧部とを導圧管で接続する
必要が生じてしまい、リターン配管を設置した場合と同
様に配管経路や他の機器との干渉が生じる問題がある。
【0016】本発明は上記問題に鑑み、燃料タンク内に
プレッシャレギュレータを配置するリターンレス燃料シ
ステムを有する機関において、パージ等による燃料タン
ク内圧変動により機関燃料噴射量が影響を受けることを
防止可能な内燃機関の燃料噴射制御装置を提供すること
を目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内燃機関の燃料噴射弁に燃料タンクから加圧燃
料を供給する燃料供給配管と、前記燃料タンク内に配置
され、前記燃料供給配管内の燃料圧力と前記燃料タンク
内圧との差が一定になるように前記燃料供給配管内の燃
料圧力を調整するプレッシャレギュレータと、機関運転
状態に基づいて、前記燃料噴射弁からの燃料噴射時間を
設定する燃料噴射量設定手段と、燃料タンク内圧を検出
する圧力検出手段と、前記圧力検出手段により検出され
たタンク内圧に基づいて、前記燃料噴射量設定手段によ
り設定された燃料噴射時間を補正する補正手段と、前記
補正後の燃料噴射時間で前記燃料噴射弁からの燃料噴射
を実施する燃料噴射制御手段と、を備えた内燃機関の燃
料噴射制御装置が提供される。
【0018】すなわち、請求項1の発明ではプレッシャ
レギュレータは燃料供給圧力を燃料タンク内圧との差圧
が一定になるように制御するため、燃料噴射弁への燃料
供給圧力は燃料タンク内圧に応じて変化する。しかし、
本発明では圧力検出手段により検出したタンク内圧に応
じて燃料噴射弁の噴射時間を補正することにより、燃料
供給圧力の変化により燃料噴射量が変動することを防止
している。
【0019】例えば、パージ実行などにより燃料タンク
内圧が低下して燃料供給圧力が低下すると、燃料噴射時
間が同一であれば燃料噴射量も低下するため機関の運転
に影響が生じる。本発明では、圧力検出手段により燃料
タンク内圧の低下が検出されると、補正手段が燃料タン
ク内圧の低下(燃料供給圧力の低下)に応じて燃料噴射
時間を増大させる。これにより、燃料タンク内圧が低下
した場合でも燃料噴射量は同一に維持されるようにな
る。
【0020】請求項2に記載の発明によれば、前記圧力
検出手段は、機関吸気管圧力を含む機関運転状態を表す
パラメータに基づいて前記燃料タンク内圧を間接的に検
出する、請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置
が提供される。
【0021】すなわち、請求項2の発明では圧力検出手
段として圧力センサ等を用いて直接燃料タンク内圧を検
出する代りに、機関運転状態を表すパラメータに基づい
て燃料タンク内圧を間接的に検出(推定)する。例え
ば、燃料タンクはキャニスタを介して吸気管に接続され
ているためパージ実行時には燃料タンク内圧は吸気管圧
力に対応した値になる。このため、吸気管圧力に基づい
て燃料タンク内圧を推定することが可能となる。また、
吸気管圧力についても吸気圧センサを用いて直接検出す
るようにしても良いが、他の機関運転状態を表すパラメ
ータ(例えば、機関回転数、吸入空気量等)に基づいて
間接的に検出(推定)することも可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の
実施形態について説明する。図1は本発明を自動車用燃
料タンクに適用した実施例の概略構成を示す図である。
図1において、100は内燃機関本体、1は内燃機関1
00の吸気通路、3は吸気通路1に配置されたエアクリ
ーナを示す。吸気通路1には運転者のアクセルペダル
(図示せず)の操作に応じた開度をとるスロットル弁6
が設けられている。
【0023】図1に11で示すのは機関の燃料タンクで
ある。タンク11内の燃料油はフュエルポンプ70によ
り昇圧され、フィード配管(燃料供給配管)71を介し
て機関100の各気筒の燃料噴射弁101に圧送され
る。
【0024】本実施形態では、フィード配管71のタン
ク11内部分にはプレッシャレギュレータ75が設けら
れている。プレッシャレギュレータ75は公知の形式の
ダイヤフラム式圧力調整器であり、フィード配管71内
の燃料圧力がタンク11内圧より一定圧力だけ高くなる
ように、フュエルポンプ70からフィード配管71に圧
送された加圧燃料の余剰分をタンク11内に戻す機能を
有している。図1に75aで示すのは、プレッシャレギ
ュレータ75から余剰燃料をタンク内燃料液面下に放出
するリターンパイプである。
【0025】図1に示すように、プレッシャレギュレー
タ75は燃料タンク11内に配置され、フィード配管7
1入口部分から余剰燃料を直接燃料タンク内に戻す構成
とされているため、機関100近傍からリターン配管を
燃料タンクまで配設する必要がなくなるとともに、リタ
ーンパイプ75aからは機関により加熱されない低温の
燃料がタンク内液面に戻されるようになり、タンク内燃
料の温度上昇が防止される。
【0026】燃料タンク11には、燃料タンク内液面上
部空間の圧力を検出する圧力センサ33が設けられてい
る。タンク11の上部には、後述するキャニスタ10に
タンク11内の燃料油液面上部空間を接続するブリーザ
ー配管13が接続されている。
【0027】ブリーザー配管13とタンク11との接続
部には、それぞれフロート弁からなるCOV(CUT
OFF VALVE)132とROV(ROLL OV
ERVALVE)133とが設けられている。ROV1
33は、給油時の液面上昇により閉弁し、ブリーザ配管
13と燃料タンク11との接続を遮断する。また、RO
V133は、車両転倒時等にブリーザ配管13とタンク
11との接続部を閉鎖し、ブリーザー配管13を介して
大量の燃料油が外部に洩れることを防止する機能を有し
ている。
【0028】COV132はROV133と並列に配置
されており、ROV133より更に液面が上昇したとき
にブリーザ配管13とタンク11との連通を遮断する。
COV132は、給油時の液面上昇時にはROV133
閉弁後も開弁してタンク11とブリーザ配管13とを連
通するが、車両旋回による液面の動揺によりCOV13
2位置まで液面が到達したような場合、及び車両転倒時
等には閉弁し、燃料油がブリーザー配管13に侵入する
ことを防止する機能を有する。
【0029】図1に10で示すのは燃料タンク内の燃料
ベーパを吸着するキャニスタである。キャニスタ10
は、内部に燃料ベーパを吸着する活性炭等の吸着剤50
を収納し、ベントバルブ131を介してブリーザ配管1
3に接続されている。ベントバルブ131は、燃料タン
ク11内圧が大気圧よりわずかに高くなると開弁し、ブ
リーザー配管13を通してタンク11内の蒸発燃料を含
む空気をキャニスタ10に流すようにされている。
【0030】キャニスタ10は、更に、パージ配管14
により吸気通路1と接続されており、パージ配管14と
吸気通路1との接続部にはパージ制御弁15が設けられ
ている。パージ制御弁15はソレノイドアクチュエータ
などの適宜な形式のアクチュエータを備え、後述する電
子制御ユニット(ECU)30からの信号により開弁
し、キャニスタ10と吸気通路1とを連通する。
【0031】また、キャニスタ10は、CCV(CAN
ISTER CLOSURE VALVE)17を介し
て大気連通管18と接続されている。大気連通管はタン
ク11の給油口近傍に開口しており、大気連通管18上
にはエアフィルタ19が設けられている。エアフィルタ
19はパージ実行時に大気連通管18からキャニスタ1
0内に流入する空気中の異物を除去するものである。C
CV17は、ソレノイドアクチュエータなどの適宜な形
式のアクチュエータを備え、ECU30からの制御信号
に応じて大気連通管18とキャニスタ11との連通を遮
断するものである。
【0032】図2は、本実施形態のベントバルブ131
の構造を模式的に示す図である。本実施形態のベントバ
ルブ131は、キャニスタ10側に連通するキャニスタ
側通路131aと、ブリーザ配管13を介して燃料タン
ク11に連通するタンク側通路131bと、キャニスタ
側通路131aの開口を閉鎖するダイヤフラム弁131
cとを有している。ダイヤフラム弁131cの一方の側
には背圧室131dが形成されており、背圧室131d
内圧はダイヤフラム弁131cをキャニスタ側通路13
1aの開口を閉鎖する方向に押圧している。
【0033】また、背圧室131d内にはダイヤフラム
弁131をキャニスタ側通路131aの開口を閉鎖する
方向に付勢するスプリング131eが設けられている。
ダイヤフラム弁131cの背圧室131dの反対側の面
には、ブリーザ配管13を通じて燃料タンク内圧が作用
している。更に、キャニスタ側通路131aとタンク側
通路131bとを隔てる隔壁には小径の連通孔131f
が開口している。
【0034】機関停止中等のように吸気通路1にパージ
ガスを供給できない状態では、パージ制御弁15は閉弁
され、キャニスタ10のCCV17は開弁状態に保持さ
れる。この場合には、キャニスタ10はCCV17によ
り大気に連通しており、キャニスタ10内圧は大気圧と
なる。この状態では、燃料タンク内圧の変動は主に外気
温の変化によるタンク内燃料の蒸気圧の変化によるもの
となるため、タンク内圧の変動は比較的緩やかなものと
なる。また、ベントバルブ131のキャニスタ側通路1
31aとタンク側通路131bとは小径の連通孔131
fにより連通しているため、燃料タンク内圧は略大気圧
に保たれる。
【0035】次に、この状態で給油が行われると燃料タ
ンク内の液面上昇により燃料タンク11の液面上部空間
の圧力が上昇する。燃料タンク11内圧がベントバルブ
131の背圧室131d内圧(大気圧)より一定値以上
高くなると、ダイヤフラム131cはタンク11内圧に
押されスプリング131eの付勢力に抗して背圧室13
1d側に変位する。これにより、ベントバルブ131の
キャニスタ側通路131aの開口が解放され、キャニス
タ側通路131aとタンク側通路131bとが連通す
る。
【0036】これにより、燃料タンク11の液面上部空
間からブリーザ配管13を介して燃料蒸気と空気との混
合気がキャニスタ10内に流入し、キャニスタ10内の
吸着剤50を通過してCCV17から大気連通管18に
流入する。混合気中の燃料ベーパは吸着剤50を通過時
に吸着剤に吸着されるため、大気連通管18からはキャ
ニスタ10内の吸着剤50により燃料蒸気を除去された
後の空気のみが放出されるようになる。従って、給油時
の燃料ベーパの大気放出が防止されるとともに、燃料タ
ンク11内圧が上昇して給油が困難になることが防止さ
れる。
【0037】吸着剤50に吸着された燃料ベーパ量が増
大すると吸着剤50が燃料ベーパで飽和してしまい、そ
れ以上蒸発を吸着できなくなるため、本実施形態では機
関運転中にパージを行い吸着剤50から吸着した燃料ベ
ーパを脱離(パージ)させる。キャニスタ10のパージ
は、機関100の運転中にCCV17とパージ制御弁1
5との両方を開弁し、空気をキャニスタ10内に導入す
ることにより行う。すなわち、通常の機関では機関運転
中、吸気通路1のスロットル弁6下流側には負圧が発生
しているため、機関運転中にパージ制御弁15を開弁す
るとキャニスタ10内にはパージ配管14を介して吸気
通路1の負圧が作用し、キャニスタ内圧は大気圧より低
くなる。
【0038】このため、パージ制御弁15が開弁する
と、CCV17を介して、大気連通管18からフィルタ
19により異物を除去された清浄な空気がキャニスタ1
0内に流入する。この空気はキャニスタ10内の吸着剤
50を通過時に燃料ベーパを吸着剤から離脱させ、燃料
ベーパと空気との混合ガス(パージガス)となってパー
ジ配管14からパージ制御弁15を通って機関吸気通路
1に流入する。これにより、パージガスは吸着剤50か
らパージされて機関燃焼室で燃焼し、吸着剤50が燃料
ベーパで飽和することが防止される。
【0039】図1に30で示すのは、機関の電子制御ユ
ニット(ECU)である。ECU30は、ROM(リー
ドオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモ
リ)、CPU(マイクロプロセッサ)及び入出力ポート
を互いに双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロ
コンピュータからなり、機関運転中にパージ制御弁15
とCCV17を制御して前述したキャニスタ10のパー
ジを行う。また、本実施形態ではECU30は機関10
0の燃料噴射量を機関運転状態に応じて設定するととも
に、設定した燃料噴射量が得られるように、圧力センサ
33で検出した燃料タンク内圧に応じて燃料噴射弁10
1の燃料噴射時間を補正する噴射時間補正操作を行う。
【0040】上記制御のため、ECU30の出力ポート
は図示しない駆動回路を介して機関100の燃料噴射弁
101に接続され、燃料噴射弁の燃料噴射時間を制御し
ている他、後述するパージ制御弁15のアクチュエー
タ、CCV17のアクチュエータにそれぞれ接続され、
これらの弁の作動を制御している。また、ECU30の
入力ポートには、機関の回転数、吸気管圧力、機関吸入
空気量、機関冷却水温度等を表す信号が、それぞれ図示
しないセンサから入力されている他、圧力センサ33か
ら燃料タンク11内圧を表す信号が入力されている。
【0041】一般に、燃料噴射弁を有する機関では燃料
噴射弁からの燃料噴射量は以下の式を用いて算出され
る。 TAU=(GA/NE)×K×FAF×KF …(A)
【0042】ここで、TAUは燃料噴射量、GAは機関
の吸入空気量、NEは回転数を表している。(GA/N
E)は機関1回転当りに機関に吸入される空気量であり
機関負荷を表すパラメータとして使用される。また、
(A)式において、Kは換算係数、FAFは空燃比フィ
ードバック制御により算出されるフィードバック補正係
数、KFは機関運転状態に基づいて設定される補正係数
である。
【0043】通常、TAUは実際には燃料噴射弁の噴射
時間で表される。すなわち、前述したように燃料噴射弁
からの燃料噴射量は燃料噴射弁への燃料供給圧力(燃料
圧力)と機関吸気管圧力との差圧と燃料噴射時間との関
数になっている。従来の燃料供給システムでは、フィー
ド配管71内の燃料圧力は機関近傍に配置したプレッシ
ャレギュレータにより、燃料圧力と吸気管圧力との差圧
が一定になるように制御されていた。これにより、燃料
噴射弁から単位時間当りに噴射される燃料量は常に一定
値になり、燃料噴射量は常に燃料噴射弁の噴射時間に正
確に比例するらようになる。従って、この場合には燃料
噴射量を燃料噴射時間のみで表すことが可能となるた
め、(A)式では燃料噴射量の代りに実際に燃料噴射弁
の制御に用いる燃料噴射時間を直接算出するようにして
いるのである。
【0044】上記(A)式の換算係数Kは、機関1回転
当りの吸入空気量(m3/rev)を燃料噴射弁の燃料
噴射時間(msec)に換算するための係数であり、プ
レッシャレギュレータの設定差圧(燃料圧力と吸気管圧
力との差圧の設定値)と燃料噴射弁の特性により定まる
一定値である。Kの値は、燃料噴射弁から(GA/N
E)×K(msec)だけの時間燃料噴射を行った場合
に、機関に吸入された(GA/NE)の量の吸気から目
標空燃比(ここでは、理論空燃比)の混合気を形成する
だけの量の燃料が噴射弁から供給されるように予め設定
されている。また、KFは機関の運転状態に応じて設定
される補正係数であり、例えば機関始動時の燃料噴射量
増量などのために用いられる。
【0045】フィードバック補正係数FAFは、機関排
気通路に設けられた排気空燃比センサ出力に基づいて算
出される補正係数である。すなわち、TAUの値を(G
A/NE)×Kに設定すれば本来排気空燃比は理論空燃
比になるはずであるが、実際には燃料噴射系統の各機器
の特性のずれやばらつきにより排気空燃比はかならずし
も理論空燃比にならない場合ががある。このため、排気
空燃比センサにより実際の機関空燃比(排気空燃比)を
検出し、この排気空燃比が目標空燃比(理論空燃比)に
なるように燃料噴射時間TAUを補正することにより、
常に目標空燃比で機関が運転されるようになる。
【0046】ところが、上記(A)式による燃料噴射量
の設定を図1のリターンレス燃料システムに適用すると
問題が生じる場合がある。図1のように、プレッシャレ
ギュレータ75が燃料タンク11内に配置され、フィー
ド配管71内の燃料圧力を燃料タンク11内圧との差圧
が一定になるように制御する場合には、燃料圧力と吸気
管圧力との差圧は一定にならない。また、燃料圧力自体
も燃料タンク内圧に応じて変化するため、上記(A)式
のように、燃料圧力と吸気管圧力との差圧が一定に制御
されていることを前提とした燃料噴射量の算出式を用い
て燃料噴射量を設定すると、燃料噴射時間が同一であっ
ても燃料噴射量は燃料タンク内圧に応じて変化すること
になり、機関空燃比を目標空燃比に維持することができ
なくなる問題が生じる。
【0047】実際には、燃料噴射量は排気空燃比センサ
出力に基づくフィードバック補正係数FAFにより補正
されているため、多少の燃料圧力変動が生じても燃料噴
射時間TAUはFAFにより排気空燃比(機関運転空燃
比)が目標空燃比に一致するように補正されるため大き
な影響は生じない。しかし、燃料タンク内圧が比較的急
激かつ大幅に変化したような場合には、空燃比フィード
バック制御が燃料圧力の変動に追いつかず一時的に機関
空燃比が大幅に目標空燃比からずれる場合が生じ、機関
排気性状の悪化や出力の変動が生じる場合がある。
【0048】例えば、前述したキャニスタ10のパージ
操作が行われると燃料タンク11内圧は比較的急激に低
下するようになる。図2で説明したように、ベントバル
ブ131には、キャニスタ側通路131aとタンク側通
路131bとを連通する小径の連通孔131fが設けら
れている。前述したように、キャニスタ10のパージ実
行時以外は、この連通孔131fにより燃料タンク11
内圧は大気圧に維持されており、大きな内圧変動は生じ
ない。
【0049】ところが、キャニスタ10のパージ操作が
行われると、キャニスタ10のCCV17は閉弁され、
パージ制御弁15が開弁されるためキャニスタ10には
パージ配管14を介して吸気通路1の負圧が導入され
る。この負圧は、ベントバルブ131の連通孔131f
を介して燃料タンク11内に伝達されるため、パージ開
始とともに燃料タンク内圧は比較的急激に低下し負圧に
なってしまう。
【0050】このため、キャニスタ10のパージが実行
されると、プレッシャレギュレータ75によりフィード
配管71内の燃料圧力が燃料タンク内圧に応じて調整さ
れて比較的急激に低下するようになり、空燃比フィード
バック制御を実行していても燃料噴射量が大幅に変化す
る事態が生じるのである。
【0051】本実施形態では、以下に説明する方法でキ
ャニスタのパージ等による燃料タンク内圧の変化が、燃
料噴射量に影響を与えることを防止している。
【0052】(1)第1の実施形態 本発明の第1の実施形態では、燃料タンク11に設けた
圧力センサ33出力により直接検出した燃料タンク内圧
に基づいて燃料噴射時間TAUを補正することにより、
燃料タンク内圧変化による燃料噴射量の変動を防止す
る。本実施形態では、前述した(A)式に代えて、以下
の(B)式により燃料噴射量を算出する。
【0053】 TAU=(GA/NE)×K×FAF×KF×KPM×KPT …(B) ここで、GA、NE、K、FAF及びKFは、それぞれ
機関吸入空気量、回転数、換算係数、フィードバック補
正係数及び機関運転状態に応じて設定される補正係数を
表しており、前述の(A)式と同一のものである。すな
わち、(B)式では、前述の(A)式で算出される燃料
噴射時間に更に補正係数KPMとKPTとを乗じている
点が(A)式と相違している。ここで、KPMは吸気圧
補正係数、KPTは燃料タンク内圧補正係数である。
【0054】前述のように、(A)式により算出される
燃料噴射時間は燃料圧力と吸気管圧力との差圧が一定値
に制御されている場合の燃料噴射時間である。これに対
して、本実施形態では燃料圧力は燃料タンク内圧との差
圧が一定になるように制御されるため、燃料圧力と吸気
管圧力との差圧は一定にならず、吸気管圧力と燃料タン
ク内圧とのそれぞれの変化に応じて変動する。
【0055】従って、(A)式で算出された燃料噴射時
間を用いて燃料噴射を行うと燃料噴射量が吸気管圧力と
燃料タンク内圧との変化に応じて変動する問題が生じ
る。そこで、本実施形態では(A)式で算出された燃料
噴射時間を吸気圧補正係数KPMと燃料タンク内圧補正
係数KPTとを用いて補正することにより、吸気管圧力
と燃料タンク内圧とが変化した場合でも、燃料噴射量が
(A)式で算出された(燃料圧力を吸気管圧力との差圧
が一定値になるように制御した場合の)燃料噴射量と同
一になるように燃料噴射時間を調整するようにしてい
る。
【0056】本実施形態では、燃料圧力をある一定の標
準圧力に制御した場合を基準として燃料噴射時間を補正
する。前述のように、(A)式で算出される燃料噴射時
間は燃料圧力と吸気管圧力との差圧が一定に維持されて
いる場合の燃料噴射時間である。一方、燃料圧力をある
一定の標準圧力に維持した場合には、吸気管圧力が低く
なるほど燃料圧力と吸気管圧力との差圧が大きくなるた
め、同一の燃料噴射時間であっても吸気管圧力が低くな
るほど燃料噴射量は増大する。このため、燃料噴射量を
同一に維持するためには、(A)式で算出された燃料噴
射時間を吸気管圧力が低くなるほど短く補正する必要が
ある。
【0057】吸気圧補正係数KPMは、上記補正を行う
ための補正係数であり吸気管圧力PMに基づいて設定さ
れる。補正係数KPMを乗じることにより、燃料圧力が
標準圧力に維持されている場合に、燃料圧力が吸気管圧
力と一定の差圧に調整されている条件で算出された
(A)式の燃料噴射時間で噴射される量と同一の量の燃
料を噴射するために必要とされる燃料噴射時間が算出さ
れるようになる。
【0058】図3は、吸気圧補正係数KPMと吸気管圧
力PMとの関係の一例を示す図である。一般に、吸気圧
補正係数KPMの値は燃料噴射弁の特性によって異なっ
てくるため実際の燃料噴射弁を用いた実験により設定す
ることが好ましいが、KPMの値は、図3に示すように
吸気管圧力PMが低くなるほど小さな値になる。
【0059】吸気圧補正係数KPMを乗じることによ
り、(A)式で算出された燃料噴射時間は燃料圧力が一
定の標準圧力に維持されている場合に同一量のねを噴射
するのに必要な燃料噴射時間に補正される。しかし、本
実施形態では、燃料圧力は一定ではなく燃料タンク内圧
に応じて変化する。そこで、本実施形態では吸気圧補正
係数KPMにより補正された燃料噴射時間を、更に燃料
タンク内圧補正係数KPTに基づいて補正している。
【0060】例えば、実際の燃料圧力が標準圧力より低
くなると、燃料噴射時間が同一に維持されていても燃料
噴射量は減少する。このため、実際の燃料圧力が標準圧
力より低い場合には、上記(A)式とKPMとで算出さ
れた燃料噴射時間を増大させなければ同一の燃料噴射量
を維持できない。
【0061】燃料タンク内圧補正係数KPTは、この補
正を行うためのものであり燃料タンク内圧PTに基づい
て設定される。KPTを乗じることにより、燃料圧力が
上記標準圧力になっていることを前提に算出された燃料
噴射時間((A)式と吸気圧補正係数KPMとで算出さ
れる燃料噴射時間)を、実際の燃料圧力(燃料タンク内
圧)に合わせて補正することが可能となる。
【0062】図4は、燃料タンク内圧補正係数KPTと
燃料タンク内圧PTとの関係の一例を示す図である。燃
料タンク内圧補正係数KPTの値は、プレッシャレギュ
レータ75の設定差圧、燃料噴射弁の特性などにより異
なってくるため実際のプレッシャレギュレータと燃料噴
射弁とを用いた実験により設定することが好ましい。一
般には、図4に示すようKPTの値は燃料タンク内圧が
低くなるほど大きな値に設定される。また、本実施形態
では燃料タンク内圧PTが大気圧のときにKPTの値が
1になるように前述の標準圧力が設定されている。
【0063】本実施形態では、ECU30は機関100
のクランク軸一定回転角毎に燃料噴射時間を算出する。
この際、ECU30はまず、図示しない吸気管圧力セン
サから吸気管圧力PMを、また圧力センサ33から現在
の燃料タンク内圧PTを、それぞれ読込み、読込んだP
MとPTとの値に基づいて、それぞれECU30のRO
Mに記憶した図3、図4の関係に基づいて、吸気圧補正
係数KPMと燃料タンク内圧補正係数KPTとを算出す
る。
【0064】そして、別途読込んだ吸入空気量GA、機
関回転数NE、フィードバック補正係数FAF及び運転
状態に基づいて設定される補正係数KFとを用いて、以
下の(B)式に基づいて各燃料噴射弁からの燃料噴射時
間を算出する。 TAU=(GA/NE)×K×FAF×KF×KPM×KPT …(B)
【0065】これにより、図1のリターンレス燃料シス
テムにおいて、パージ等による燃料タンク内圧変動が生
じた場合でも正確に燃料噴射量を適切な値に制御するこ
とが可能となる。なお、本実施形態では吸気管圧力PM
を吸気管圧力センサを設けて直接検出しているが、例え
ば、機関吸入空気量と機関回転数、吸気管圧力の3つは
互いに相関関係があり、上記3つの機関運転パラメータ
のうち2つが決定されれば残りの1つも定まるようにな
る。従って、吸気管圧力PMをセンサを用いて直接検出
することなく、エアフローメータで検出した機関吸入空
気量GAと機関回転数NEとを用いて算出することも可
能である。
【0066】(2)第2の実施形態 次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実
施形態においても、第1の実施形態と同様前述の(B)
式に基づいて燃料噴射時間を補正するが、第1の実施形
態では、燃料タンク内圧補正係数KPTを圧力センサ3
3を用いて直接検出した燃料タンク内圧に基づいて算出
しているのに対して、本実施形態では燃料タンク内圧を
直接検出することなく、他の機関運転状態を表すパラメ
ータから算出(推定)する点が第1の実施形態と相違し
ている。
【0067】前述したように、パージが実行されていな
いときには燃料タンク内圧は略大気圧となるため燃料タ
ンク内圧補正係数KPTは1になる。一方、パージが実
行されると、吸気管1に生じた負圧は、パージ制御弁1
5とキャニスタ10及びベントバルブ131の連通孔1
31fを介して燃料タンク11内に伝達される。このう
ち、キャニスタ10(及びパージ通路14)、及び連通
孔131f(及びブリーザ配管13)の通気抵抗はシス
テムが定まれば変化することはない。一方、吸気管圧力
とパージ制御弁15開度とは機関運転状態に応じて変化
する。このため、パージ実行時の燃料タンク内圧は、吸
気管負圧とパージ制御弁開度とにより定まるようにな
る。
【0068】本実施形態では、予めパージ制御弁15を
全開としたときの吸気管圧力PMと、そのときの燃料タ
ンク内圧PT1との関係を実際のパージシステムを用い
て実験により求めてある。図5は、パージ制御弁15を
全開に保持したときの燃料タンク内圧PT1(絶対圧)
と吸気管圧力(絶対圧力)PMとの関係を示している。
【0069】図5において、吸気管圧力PM(絶対圧
力)は図の横軸右側になるほど小さくなるように(すな
わち負圧が大きくなるように)表してある。図5に示す
ように、燃料タンク内圧PT1はPMが小さいほど(す
なわち、吸気管内大きくなるほど)低下する。上述のよ
うに、図5の関係から求まる燃料タンク内圧PT1はパ
ージ制御弁15が全開に保持された場合の燃料タンク内
圧であるが、パージ制御弁15開度が全開でない場合の
燃料タンク内圧は、PT1とパージ制御弁開度(パーセ
ント)との積で近似することができる。
【0070】また、本実施形態のパージ制御弁15は、
ソレノイドアクチュエータを備えており、ソレノイドア
クチュエータの駆動パルスがオンのときに開弁し、オフ
のときに閉弁する構成とされており、駆動パルスの1周
期の時間にに占めるオン時間の割合(デューティ比)D
Rが通常の制御弁でいう弁開度に相当する。すなわち、
デューティ比DR=1はパージ制御弁全開に、DR=0
はパージ制御弁全閉にそれぞれ相当している。
【0071】そこで、本実施形態では、ECU30は図
4を用いて燃料タンク内圧補正係数KPTを算出するた
めの燃料タンク内圧PTを、一定時間毎に以下の(C)
式により算出している。 PT=PTi-1+(PT1×DR)/NM ……(C)
【0072】ここで、PTi-1は前回算出した燃料タン
ク内圧、NMは重み付係数(いわゆる「なまし係
数」)、PT1は図5に基づいて吸気管圧力PMから求
めた燃料タンク内圧、DRはパージ制御弁15のデュー
ティ比である。すなわち、現在の燃料タンク内圧は前回
算出した燃料タンク内圧PTi-1と現在の吸気管圧力と
パージ制御弁開度から求まる燃料タンク内圧(PT1×
DR)との、重み付係数NMを用いた加重平均として算
出される。
【0073】ここで、現在の燃料タンク内圧として(P
T1×DR)を用いずに、前回算出した燃料タンク内圧
と(PT1×DR)との加重平均を用いるのは、(PT
1×DR)で算出される燃料タンク内圧は、充分に時間
が経過して燃料タンク内圧が平衡状態に到達したときの
圧力であるため、吸気管圧力やパージ制御弁開度変化後
直ちには燃料タンク内圧は(PT1×DR)にはなら
ず、徐々に変化するためである。
【0074】また、なまし係数NMは一定値としてもよ
いが、本実施形態では、燃料タンク内の燃料量に応じて
なまし係数NMを設定している。図6は、燃料タンク内
の燃料量QFに応じたなまし係数NMの設定の一例を示
す図である。図6では、燃料タンク内燃料量QFが多く
なるほどなまし係数NMの値は小さく設定するようにし
ている。これは、燃料タンク内の液面上部空間容積は、
燃料量が多いほど小さくなるため、吸気圧力やパージ制
御弁開度が変化した場合に短い時間でタンク内圧が平衡
に到達する(すなわちタンク内圧が短時間で(PT1×
DR)になる)ことを考慮したものである。
【0075】本実施形態では、ECU30はパージ実行
中は吸気管圧力PMに基づいて、図6の関係から燃料タ
ンク内の平衡圧力PT1を求め、更にパージ制御弁開度
(デューティ比)DRとPT1とを用いて、上述の
(C)式から現在の燃料タンク内圧PTを算出する。そ
して、算出したPTを用いて、図4の関係から燃料タン
ク内圧補正係数KPTを求め、(B)式により燃料噴射
時間を算出する。また、パージが実行されていない場合
には、燃料タンク内圧補正係数KPTの値は1に設定さ
れる。
【0076】本実施形態によれば、図1のリターンレス
燃料システムにおいて、燃料タンク内圧を直接検出する
圧力センサを用いることなく、パージ等による燃料タン
ク内圧変動が生じた場合にも正確に燃料噴射量を適切な
値に制御することが可能となる。
【0077】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、燃料圧
力を燃料タンク内圧に対して一定の差圧を生じるように
制御する場合にも、燃料タンク内圧の変動により燃料噴
射量が影響を受けることを防止し正確に燃料噴射量を制
御することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した実施形態
の概略構成を示す図である。
【図2】図1の実施形態のベントバルブの概略構成を説
明する図である。
【図3】吸気圧補正係数KPMと吸気管圧力PMとの関
係の一例を示す図である。
【図4】燃料タンク内圧補正係数KPTと燃料タンク内
圧PTとの関係の一例を示す図である。
【図5】パージ制御弁全開時の燃料タンク内圧と吸気管
圧力との関係の一例を示す図である。
【図6】燃料タンク内燃料量に応じたなまし係数の設定
例を説明する図である。
【符号の説明】
10…キャニスタ 11…燃料タンク 30…電子制御ユニット(ECU) 33…圧力センサ 70…燃料ポンプ 71…燃料供給配管 75…プレッシャレギュレータ 100…内燃機関本体 101…燃料噴射弁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の燃料噴射弁に燃料タンクから
    加圧燃料を供給する燃料供給配管と、 前記燃料タンク内に配置され、前記燃料供給配管内の燃
    料圧力と前記燃料タンク内圧との差が一定になるように
    前記燃料供給配管内の燃料圧力を調整するプレッシャレ
    ギュレータと、 機関運転状態に基づいて、前記燃料噴射弁からの燃料噴
    射時間を設定する燃料噴射量設定手段と、 燃料タンク内圧を検出する圧力検出手段と、 前記圧力検出手段により検出されたタンク内圧に基づい
    て、前記燃料噴射量設定手段により設定された燃料噴射
    時間を補正する補正手段と、 前記補正後の燃料噴射時間で前記燃料噴射弁からの燃料
    噴射を実施する燃料噴射制御手段と、 を備えた内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 【請求項2】 前記圧力検出手段は、機関吸気管圧力を
    含む機関運転状態を表すパラメータに基づいて前記燃料
    タンク内圧を間接的に検出する、請求項1に記載の内燃
    機関の燃料噴射制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7484500B2 (en) 2006-03-30 2009-02-03 Honda Motor Co., Ltd. Fuel vapor treatment apparatus
CN102644519A (zh) * 2011-02-18 2012-08-22 株式会社电装 用于内燃引擎的燃料喷射系统
WO2015033466A1 (ja) * 2013-09-09 2015-03-12 日産自動車株式会社 エンジンの燃料噴射制御装置及びエンジンの燃料噴射制御方法

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