JP2003049162A - 有機フォトリフラクティブ素子用材料、アモルファス膜、及び有機フォトリフラクティブ素子 - Google Patents
有機フォトリフラクティブ素子用材料、アモルファス膜、及び有機フォトリフラクティブ素子Info
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- JP2003049162A JP2003049162A JP2001235222A JP2001235222A JP2003049162A JP 2003049162 A JP2003049162 A JP 2003049162A JP 2001235222 A JP2001235222 A JP 2001235222A JP 2001235222 A JP2001235222 A JP 2001235222A JP 2003049162 A JP2003049162 A JP 2003049162A
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- Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ポーリング処理や高電圧印加を行なうことな
く、大きなPR効果を奏することのできる、新規な有機
PR素子用材料、これを用いたアモルファス膜、及びこ
のアモルファス膜を用いた低コストの有機PR素子を提
供する。 【解決手段】 一般式 【化1】 (式中、R1〜R24はH又は炭素鎖が1〜6の直鎖あ
るいは分岐状アルキル基を表す)で示される化合物と、
電子受容性化合物と、非線形光学物質とが共存して構成
された、有機フォトリフラクティブ(PR)素子用材料
を、ガラス基板1上で加熱融解させる。その後、別のガ
ラス基板2で融解した前記有機PR素子用材料を挟んで
冷却し、前記有機PR素子用材料からなるアモルファス
膜3を形成し、有機PR素子5を得る。
く、大きなPR効果を奏することのできる、新規な有機
PR素子用材料、これを用いたアモルファス膜、及びこ
のアモルファス膜を用いた低コストの有機PR素子を提
供する。 【解決手段】 一般式 【化1】 (式中、R1〜R24はH又は炭素鎖が1〜6の直鎖あ
るいは分岐状アルキル基を表す)で示される化合物と、
電子受容性化合物と、非線形光学物質とが共存して構成
された、有機フォトリフラクティブ(PR)素子用材料
を、ガラス基板1上で加熱融解させる。その後、別のガ
ラス基板2で融解した前記有機PR素子用材料を挟んで
冷却し、前記有機PR素子用材料からなるアモルファス
膜3を形成し、有機PR素子5を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機フォトリフラ
クティブ素子用材料、この材料を用いるアモルファス
膜、及び有機フォトリフラクティブ素子に関する。
クティブ素子用材料、この材料を用いるアモルファス
膜、及び有機フォトリフラクティブ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】フォトリフラクティブ効果(以下、「P
R効果」と略す場合がある)を用いた有機フォトリフラ
クティブ素子(以下、「有機PR素子」と略す場合があ
る)は、ホログラフィーなどの表示・記録素子への応用
が期待されている。このような有機PR素子の実用化の
ためには、大きなPR効果を有すること、低電圧で駆動
できること、耐久性に優れることなどが要求される。
R効果」と略す場合がある)を用いた有機フォトリフラ
クティブ素子(以下、「有機PR素子」と略す場合があ
る)は、ホログラフィーなどの表示・記録素子への応用
が期待されている。このような有機PR素子の実用化の
ためには、大きなPR効果を有すること、低電圧で駆動
できること、耐久性に優れることなどが要求される。
【0003】これまで、有機PR素子を構成すべく有機
フォトリフラクティブ材料(以下、「有機PR材料」と
略す場合がある)に対しては種々の報告例がある。しか
しながら、従来の有機PR材料は、これを実際の有機P
R素子内に用いる際には、薄膜化した後ポーリング処理
を行なうことによって配向させる必要がある。また、有
機PR素子を駆動させるに際しては、2,000〜1
0,000Vの高電圧を印加する必要がある。
フォトリフラクティブ材料(以下、「有機PR材料」と
略す場合がある)に対しては種々の報告例がある。しか
しながら、従来の有機PR材料は、これを実際の有機P
R素子内に用いる際には、薄膜化した後ポーリング処理
を行なうことによって配向させる必要がある。また、有
機PR素子を駆動させるに際しては、2,000〜1
0,000Vの高電圧を印加する必要がある。
【0004】このような高電圧印加は、有機PR素子に
対して絶縁破壊をもたらし、前記有機PR素子を長時間
安定して作動させることができないという問題があっ
た。また、高電圧印加は近年の省エネルギー化の要請に
も反する。また、前記高電圧印加のための外部電源が必
要となることから、有機PR素子を含む装置全体の小型
化も困難になる。
対して絶縁破壊をもたらし、前記有機PR素子を長時間
安定して作動させることができないという問題があっ
た。また、高電圧印加は近年の省エネルギー化の要請に
も反する。また、前記高電圧印加のための外部電源が必
要となることから、有機PR素子を含む装置全体の小型
化も困難になる。
【0005】本発明は、ポーリング処理や高電圧印加を
行なうことなく、大きなPR効果を奏することのでき
る、新規な有機PR素子用材料、これを用いたアモルフ
ァス膜、及びこのアモルファス膜を用いた低コストの有
機PR素子を提供することを目的とする。
行なうことなく、大きなPR効果を奏することのでき
る、新規な有機PR素子用材料、これを用いたアモルフ
ァス膜、及びこのアモルファス膜を用いた低コストの有
機PR素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は、一般式
本発明は、一般式
【化7】
(式中、R1〜R24はH又は炭素鎖が1〜6の直鎖あ
るいは分岐状アルキル基を表す)で示される化合物と、
電子受容性化合物と、非線形光学物質とが共存して構成
された、有機フォトリフラクティブ素子用材料に関す
る。
るいは分岐状アルキル基を表す)で示される化合物と、
電子受容性化合物と、非線形光学物質とが共存して構成
された、有機フォトリフラクティブ素子用材料に関す
る。
【0007】本発明者らは、ポーリング処理や高電圧印
加を行なうことなく、大きなPR効果を奏することので
きる、新規な有機PR素子用材料を開発すべく鋭意検討
した。そして、この検討の過程において、一般式
加を行なうことなく、大きなPR効果を奏することので
きる、新規な有機PR素子用材料を開発すべく鋭意検討
した。そして、この検討の過程において、一般式
【化8】
(式中、R1〜R24はH又は炭素鎖が1〜6の直鎖あ
るいは分岐状アルキル基を表す)で示される化合物の合
成に成功した。さらに、この化合物をスピンコート法、
蒸着法、又は加熱融解して得られる融液を冷却するなど
して、所定の基板又は下地層上に成膜することにより、
容易にアモルファス化できることを見出した。
るいは分岐状アルキル基を表す)で示される化合物の合
成に成功した。さらに、この化合物をスピンコート法、
蒸着法、又は加熱融解して得られる融液を冷却するなど
して、所定の基板又は下地層上に成膜することにより、
容易にアモルファス化できることを見出した。
【0008】また、前記化合物からなるアモルファス膜
は、優れた電荷輸送層として機能することを発見し、前
記化合物が優れた電荷輸送性ホスト材料であることを見
出した。したがって、前記化合物に対して所定の電子受
容性化合物及び非線形光学物質を加えた材料を作製すれ
ば、優れた有機PR素子が得られることを想到し、本発
明をするに至ったものである。
は、優れた電荷輸送層として機能することを発見し、前
記化合物が優れた電荷輸送性ホスト材料であることを見
出した。したがって、前記化合物に対して所定の電子受
容性化合物及び非線形光学物質を加えた材料を作製すれ
ば、優れた有機PR素子が得られることを想到し、本発
明をするに至ったものである。
【0009】すなわち、電荷輸送性ホスト材料と電子受
容性化合物との間で形成される電荷移動錯体に光を照射
することによって、容易に電荷が発生する。さらに、電
荷輸送性ホスト材料が有する優れた電荷輸送特性に基づ
き、電荷は容易に移動することができるため、内部電界
が容易に形成される。したがって、このような材料から
有機PR素子を作製した場合は、ポーリング処理や高電
圧を印加しなくとも大きなPR効果を奏するようにな
る。したがって、電圧印加のための外部電源や高価なI
TO基板などを用いる必要がないため、有機PR素子の
低コスト化をも達成することができる。
容性化合物との間で形成される電荷移動錯体に光を照射
することによって、容易に電荷が発生する。さらに、電
荷輸送性ホスト材料が有する優れた電荷輸送特性に基づ
き、電荷は容易に移動することができるため、内部電界
が容易に形成される。したがって、このような材料から
有機PR素子を作製した場合は、ポーリング処理や高電
圧を印加しなくとも大きなPR効果を奏するようにな
る。したがって、電圧印加のための外部電源や高価なI
TO基板などを用いる必要がないため、有機PR素子の
低コスト化をも達成することができる。
【0010】なお、化学式7及び8で示される前記化合
物は、ガラス転位温度が約150℃であり、熱的に極め
て安定である。したがって、この化合物から作製された
上記アモルファス膜は、電子受容性化合物及び非線形光
学物質を含んでいる場合においても非常に安定であり、
室温以上において良好なアモルファス状態を呈する。
物は、ガラス転位温度が約150℃であり、熱的に極め
て安定である。したがって、この化合物から作製された
上記アモルファス膜は、電子受容性化合物及び非線形光
学物質を含んでいる場合においても非常に安定であり、
室温以上において良好なアモルファス状態を呈する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を発明の実施の形態
に基づいて詳細に説明する。本発明の有機PR素子用材
料において、電荷輸送性ホスト材料として機能する化合
物は、化学式9で示される。そして、化学式10で示さ
れるような、化学式9におけるR1〜R24を総てHと
した化合物である、4,4’,4’’-トリ(N-カルバゾリ
ル)トリフェニルアミンを用いることが好ましい。
に基づいて詳細に説明する。本発明の有機PR素子用材
料において、電荷輸送性ホスト材料として機能する化合
物は、化学式9で示される。そして、化学式10で示さ
れるような、化学式9におけるR1〜R24を総てHと
した化合物である、4,4’,4’’-トリ(N-カルバゾリ
ル)トリフェニルアミンを用いることが好ましい。
【0012】
【化9】
【0013】
【化10】
【0014】上記4,4’,4’’-トリ(N-カルバゾリル)
トリフェニルアミンは、例えば、トリス(4-ヨードフェ
ニル)アミンとカルバゾールとを、K2CO3粉末、C
u粉末及び18-クラウン-6の存在下、180℃で8時間
加熱する。その後、生成物をトルエンで抽出し、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー及び溶媒(トルエン、ヘ
キサン、又はこれらの混合物)からの再結晶させること
によって得ることができる。
トリフェニルアミンは、例えば、トリス(4-ヨードフェ
ニル)アミンとカルバゾールとを、K2CO3粉末、C
u粉末及び18-クラウン-6の存在下、180℃で8時間
加熱する。その後、生成物をトルエンで抽出し、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー及び溶媒(トルエン、ヘ
キサン、又はこれらの混合物)からの再結晶させること
によって得ることができる。
【0015】また、電子受容性化合物としては、上記電
荷輸送性ホスト材料と電荷移動錯体を形成するものであ
れば特には限定されない。しかしながら、2,4,7-トリニ
トロ-9-フルオレン又はC60を用いることが好まし
い。これらの一般式は、それぞれ化学式11及び12で
示される。
荷輸送性ホスト材料と電荷移動錯体を形成するものであ
れば特には限定されない。しかしながら、2,4,7-トリニ
トロ-9-フルオレン又はC60を用いることが好まし
い。これらの一般式は、それぞれ化学式11及び12で
示される。
【0016】
【化11】
【0017】
【化12】
【0018】また、非線形光学物質は大きなPR効果を
奏するべく、良好な非線形光学性を呈するものであれば
特には限定されない。しかしながら、電荷輸送性ホスト
材料として上述した4,4’,4’’-トリ(N-カルバゾリ
ル)トリフェニルアミンを用い、電子受容性化合物とし
て上述した2,4,7-トリニトロ-9-フルオレン又はC60
を用いる場合は、2,5-ジメチル-4-(p-ニトロフェニルア
ゾ)アニソールを用いることが好ましい。この化合物の
一般式は化学式13で表される。
奏するべく、良好な非線形光学性を呈するものであれば
特には限定されない。しかしながら、電荷輸送性ホスト
材料として上述した4,4’,4’’-トリ(N-カルバゾリ
ル)トリフェニルアミンを用い、電子受容性化合物とし
て上述した2,4,7-トリニトロ-9-フルオレン又はC60
を用いる場合は、2,5-ジメチル-4-(p-ニトロフェニルア
ゾ)アニソールを用いることが好ましい。この化合物の
一般式は化学式13で表される。
【0019】
【化13】
【0020】本発明の有機PR素子用材料は、上述した
電荷輸送性ホスト材料、電子受容性化合物、及び非線形
光学物質を混合し、共存させることによって得る。具体
的には、以下に示すように有機PR素子を構成するアモ
ルファス膜を作製する際に共存させる。
電荷輸送性ホスト材料、電子受容性化合物、及び非線形
光学物質を混合し、共存させることによって得る。具体
的には、以下に示すように有機PR素子を構成するアモ
ルファス膜を作製する際に共存させる。
【0021】図1は、本発明の有機PR素子の基本構成
を示す図である。図1に示す有機PR素子5において
は、本発明の有機PR素子用材料からなるアモルファス
膜3が、例えばガラスなどから構成される基板1及び2
で保持されている。
を示す図である。図1に示す有機PR素子5において
は、本発明の有機PR素子用材料からなるアモルファス
膜3が、例えばガラスなどから構成される基板1及び2
で保持されている。
【0022】上記有機PR素子5は、例えば以下のよう
にして作製する。最初に、上述した電荷輸送性ホスト材
料物質、電子受容性化合物、及び非線形光学物質を、例
えばトルエンなどの溶媒に溶解させる。その後、前記溶
媒を除去することにより、固体状の有機PR素子用材料
を得る。次いで、この有機PR素子用材料をガラス基板
1上で加熱・融解させた後、別のガラス基板2で前記融
解した有機PR素子用材料を挟むようにして圧着し、冷
却する。この結果、ガラス基板1及び2間において、前
記有機PR素子用材料からなるアモルファス膜3が形成
される。
にして作製する。最初に、上述した電荷輸送性ホスト材
料物質、電子受容性化合物、及び非線形光学物質を、例
えばトルエンなどの溶媒に溶解させる。その後、前記溶
媒を除去することにより、固体状の有機PR素子用材料
を得る。次いで、この有機PR素子用材料をガラス基板
1上で加熱・融解させた後、別のガラス基板2で前記融
解した有機PR素子用材料を挟むようにして圧着し、冷
却する。この結果、ガラス基板1及び2間において、前
記有機PR素子用材料からなるアモルファス膜3が形成
される。
【0023】このアモルファス膜3は、前述したよう
に、電荷輸送性ホスト材料物質の高ガラス転移温度に起
因して熱的に極めて安定であるため、室温以上において
アモルファス状態を維持する。
に、電荷輸送性ホスト材料物質の高ガラス転移温度に起
因して熱的に極めて安定であるため、室温以上において
アモルファス状態を維持する。
【0024】
【実施例】本実施例においては図1に示す構成の有機P
R素子5を作製し、そのPR効果の評価を実施した。
R素子5を作製し、そのPR効果の評価を実施した。
【0025】(有機PR素子の作製)最初に、4,4’,
4’’-トリ(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン、2,
4,7-トリニトロ-9-フルオレン、及び2,5-ジメチル-4-(p
-ニトロフェニルアゾ)アニソールを、それぞれ49重量
%、1重量%、及び50重量%の割合でトルエンに溶解
した後、トルエンを除去することにより、固体状の有機
PR素子用材料を得た。その後、この有機PR素子用材
料をガラス基板1上で200℃に加熱し、融解させた。
その後、融解した前記有機PR素子用材料をガラス基板
2で挟み込み自然冷却することにより、厚さ80μmの
アモルファス膜3を得、有機PR素子5を作製した。
4’’-トリ(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン、2,
4,7-トリニトロ-9-フルオレン、及び2,5-ジメチル-4-(p
-ニトロフェニルアゾ)アニソールを、それぞれ49重量
%、1重量%、及び50重量%の割合でトルエンに溶解
した後、トルエンを除去することにより、固体状の有機
PR素子用材料を得た。その後、この有機PR素子用材
料をガラス基板1上で200℃に加熱し、融解させた。
その後、融解した前記有機PR素子用材料をガラス基板
2で挟み込み自然冷却することにより、厚さ80μmの
アモルファス膜3を得、有機PR素子5を作製した。
【0026】(有機PR素子の評価)以上にようにして
得た有機PR素子5のPR効果を、可干渉性He−Ne
レーザ(波長633nm)の光源を用い、この光源から
発せられたビームを分離して得た二光波を用いる二光波
混合法により評価した。
得た有機PR素子5のPR効果を、可干渉性He−Ne
レーザ(波長633nm)の光源を用い、この光源から
発せられたビームを分離して得た二光波を用いる二光波
混合法により評価した。
【0027】図2は、二光波混合法による、有機PR素
子5からの透過光強度変化を示すグラフである。測定開
始より約100秒の間は、ビーム2のみを有機PR素子
5に照射し、その後、100秒〜800秒の間において
はビーム2に加えてビーム1を照射し、二光波を混合さ
せた。そして、800秒経過後においては再びビーム2
のみを照射するようにした。
子5からの透過光強度変化を示すグラフである。測定開
始より約100秒の間は、ビーム2のみを有機PR素子
5に照射し、その後、100秒〜800秒の間において
はビーム2に加えてビーム1を照射し、二光波を混合さ
せた。そして、800秒経過後においては再びビーム2
のみを照射するようにした。
【0028】測定開始より100秒までは、ビーム2に
対応した光強度が観測されるが、100秒〜800秒の
間においては、ビーム1に対応した光強度が増大するの
に対し、ビーム2に対応した光強度は減少する。このよ
うな非対称なエネルギー移動は、入射光の干渉パターン
と、この干渉パターンに対応して有機PR素子5内に形
成された回折格子との間で位相がシフトしていることを
示している。この位相シフトはPR効果に特有のもので
あり、本実施例において得た有機PR素子5は、ポーリ
ング処理や高電圧印加を行なわない場合においても、P
R効果を示すことが確認された。
対応した光強度が観測されるが、100秒〜800秒の
間においては、ビーム1に対応した光強度が増大するの
に対し、ビーム2に対応した光強度は減少する。このよ
うな非対称なエネルギー移動は、入射光の干渉パターン
と、この干渉パターンに対応して有機PR素子5内に形
成された回折格子との間で位相がシフトしていることを
示している。この位相シフトはPR効果に特有のもので
あり、本実施例において得た有機PR素子5は、ポーリ
ング処理や高電圧印加を行なわない場合においても、P
R効果を示すことが確認された。
【0029】また、800秒経過後においては、ビーム
1に対応した光強度は減少し、ビーム2に対応した光強
度は、ビーム1を照射する前の光強度に回復する。した
がって、照射する光の状態をを適宜制御することによ
り、同様なPR効果を繰り返し可逆的に得ることができ
る。さらに、結合利得係数は74cm−1であり、有機
PR素子としては比較的大きな値を示すことが判明し
た。
1に対応した光強度は減少し、ビーム2に対応した光強
度は、ビーム1を照射する前の光強度に回復する。した
がって、照射する光の状態をを適宜制御することによ
り、同様なPR効果を繰り返し可逆的に得ることができ
る。さらに、結合利得係数は74cm−1であり、有機
PR素子としては比較的大きな値を示すことが判明し
た。
【0030】図3は、本実施例によって得られた有機P
R素子5を格子ベクトルに沿って一定速度で移動させた
時の透過光強度の変化を示すグラフである。なお、移動
速度は10μm/secとした。ビーム1に相当する透
過光強度とビーム2に相当する透過光強度とが等しくな
る時間周期Tより、有機PR素子5内に形成された回折
格子幅は約1.7μmであることが判明した。
R素子5を格子ベクトルに沿って一定速度で移動させた
時の透過光強度の変化を示すグラフである。なお、移動
速度は10μm/secとした。ビーム1に相当する透
過光強度とビーム2に相当する透過光強度とが等しくな
る時間周期Tより、有機PR素子5内に形成された回折
格子幅は約1.7μmであることが判明した。
【0031】また、ビーム1の移動開始後の最大透過光
強度(位相差90度)が、移動開始前(0秒以前)のビ
ーム1の透過光強度とほぼ等しくなっている。同様に、
ビーム2の移動開始後の最小透過光強度(位相差90
度)が、移動開始前(0秒以前)のビーム1の透過光強
度とほぼ等しくなっている。したがって、干渉パターン
と回折格子との位相シフトは約90度であることが分か
る。
強度(位相差90度)が、移動開始前(0秒以前)のビ
ーム1の透過光強度とほぼ等しくなっている。同様に、
ビーム2の移動開始後の最小透過光強度(位相差90
度)が、移動開始前(0秒以前)のビーム1の透過光強
度とほぼ等しくなっている。したがって、干渉パターン
と回折格子との位相シフトは約90度であることが分か
る。
【0032】以上、具体例を挙げながら発明の実施の形
態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は
上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸
脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能であ
る。
態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は
上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸
脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能であ
る。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ポーリング処理や高電圧印加を行なうことなく、大きな
PR効果を奏することのできる、新規な有機PR素子用
材料、これを用いたアモルファス膜を提供することがで
きる。したがって、有機PR素子の作製が容易になると
ともに、高電圧印加による絶縁破壊を防止できるため、
長時間安定して動作させることができ、省エネルギーの
要請に合致した有機PR素子を提供することができる。
ポーリング処理や高電圧印加を行なうことなく、大きな
PR効果を奏することのできる、新規な有機PR素子用
材料、これを用いたアモルファス膜を提供することがで
きる。したがって、有機PR素子の作製が容易になると
ともに、高電圧印加による絶縁破壊を防止できるため、
長時間安定して動作させることができ、省エネルギーの
要請に合致した有機PR素子を提供することができる。
【0034】また、外部電源やITO基板などを用いる
必要がないため、有機PR素子の低コスト化を図ること
ができるとともに、前記有機PR素子を含む装置全体を
小型化することができる。
必要がないため、有機PR素子の低コスト化を図ること
ができるとともに、前記有機PR素子を含む装置全体を
小型化することができる。
【図1】 本発明の有機PR素子の基本構成を示す図で
ある。
ある。
【図2】 二光波混合法による、本発明の有機PR素子
からの透過光強度変化を示すグラフである。
からの透過光強度変化を示すグラフである。
【図3】 本発明の有機PR素子を格子ベクトルに沿っ
て一定速度で移動させた時の透過光強度の変化を示すグ
ラフである。
て一定速度で移動させた時の透過光強度の変化を示すグ
ラフである。
1、2 ガラス基板
3 アモルファス膜
5 有機PR素子
Claims (13)
- 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、R1〜R24はH又は炭素鎖が1〜6の直鎖あ
るいは分岐状アルキル基を表す)で示される化合物と、
電子受容性化合物と、非線形光学物質とが共存して構成
された、有機フォトリフラクティブ素子用材料。 - 【請求項2】 一般式 【化2】 で示される化合物と、電子受容性化合物と、非線形光学
物質とが共存して構成された、請求項1に記載の有機フ
ォトリフラクティブ素子用材料。 - 【請求項3】 前記電子受容性化合物は、2,4,7-トリニ
トロ-9-フルオレンであることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の有機フォトリフラクティブ素子用材料。 - 【請求項4】 前記電子受容性化合物は、C60である
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機フォト
リフラクティブ素子用材料。 - 【請求項5】 前記非線形光学物質は、2,5-ジメチル-4
-(p-ニトロフェニルアゾ)アニソールであることを特徴
とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の有機フォト
リフラクティブ素子用材料。 - 【請求項6】 一般式 【化3】 (式中、R1〜R24はH又は炭素鎖が1〜6の直鎖あ
るいは分岐状アルキル基を表す)で示されることを特徴
とする、有機フォトリフラクティブ素子用材料。 - 【請求項7】 一般式 【化4】 で示されることを特徴とする、請求項6に記載の有機フ
ォトリフラクティブ素子用材料。 - 【請求項8】 一般式 【化5】 (式中、R1〜R24はH又は炭素鎖が1〜6の直鎖あ
るいは分岐状アルキル基を表す)で示される化合物と、
電子受容性化合物と、非線形光学物質とが共存し、室温
以上においてアモルファス状を呈することを特徴とす
る、アモルファス膜。 - 【請求項9】 一般式 【化6】 で示される化合物と、電子受容性化合物と、非線形光学
物質とが共存し、室温以上においてアモルファス状を呈
することを特徴とする、請求項8に記載のアモルファス
膜。 - 【請求項10】 前記電子受容性化合物は、2,4,7-トリ
ニトロ-9-フルオレンであることを特徴とする、請求項
8又は9に記載のアモルファス膜。 - 【請求項11】 前記電子受容性化合物は、C60であ
ることを特徴とする、請求項8又は9に記載のアモルフ
ァス膜。 - 【請求項12】 前記非線形光学物質は、2,5-ジメチル
-4-(p-ニトロフェニルアゾ)アニソールであることを特
徴とする、請求項8〜11のいずれか一に記載のアモル
ファス膜。 - 【請求項13】 請求項8〜12のいずれか一に記載の
アモルファス膜を具えることを特徴とする、有機フォト
リフラクティブ素子。
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