JP2003039662A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JP2003039662A
JP2003039662A JP2001228772A JP2001228772A JP2003039662A JP 2003039662 A JP2003039662 A JP 2003039662A JP 2001228772 A JP2001228772 A JP 2001228772A JP 2001228772 A JP2001228772 A JP 2001228772A JP 2003039662 A JP2003039662 A JP 2003039662A
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JP
Japan
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heating resistor
ink
top plate
protective film
head
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Application number
JP2001228772A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Michihiro
利昭 道廣
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】歪みの少ない良好な画像を記録することがで
き、且つ高速記録に対応した信頼性の高いインクジェッ
トヘッドを提供する。 【解決手段】発熱抵抗体3と一対の電極4とを被着した
ヘッド基板1と、インク吐出孔7を有する天板6とを、
間に所定の間隙を形成するように配設するとともに、前
記ヘッド基板1−天板6間の間隙にインク8を充填した
インクジェットヘッドにおいて、前記発熱抵抗体3をT
xSiOy(1.30≦x≦1.70、1.20≦y≦
1.95)により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録紙にインク滴
を所定パターンに付着させて画像を形成するインクジェ
ットヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、記録紙に画像を形成するため
の記録デバイスとしてインクジェットヘッドが用いられ
ている。
【0003】インクジェットヘッドの記録方式には、イ
ンク滴を記録紙に向けて吐出させるのに発熱抵抗体の発
する熱エネルギーを利用するものや圧電素子の変形を利
用するもの,更には電磁波の照射に伴って発生する熱を
利用するもの等があり、これらの中でも発熱抵抗体の熱
エネルギーを利用するタイプのものは、発熱抵抗体のパ
ターニングが容易である上に、小さな面積の発熱抵抗体
であっても比較的大きな熱エネルギーを発生させること
ができることから、高密度記録への対応に適したものと
して注目されている。
【0004】かかる従来のインクジェットヘッドとして
は、ベースプレートの上面に、多数の発熱抵抗体及び該
発熱抵抗体の両端に接続される一対の電極を被着してな
るヘッド基板と、前記発熱抵抗体に1対1に対応した多
数のインク吐出孔を有する天板とを、間に所定の間隙を
形成するように配設するとともに、前記ヘッド基板−天
板間の間隙にインクを充填した構造を有しており、前記
天板の外表面に沿って記録紙を搬送しながら、前記発熱
抵抗体を外部からの画像データに基づいて個々に選択的
に発熱させ、この熱エネルギーによってインク中に気泡
を発生させるとともに、該発生した気泡による圧力でも
ってインクの一部を天板のインク吐出孔より外部に吐出
させ、これを記録紙の所定の位置に付着させることによ
って所定の画像が記録される。
【0005】尚、前記多数の発熱抵抗体は、Ta2Nや
TaAl,TaSi,HfB2の電気抵抗材料が一般的
に用いられており、かかる発熱抵抗体に印加される電力
パルスとしては、パルス幅10μsec〜12μse
c、電力値0.33W〜0.40Wのものが使用されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、駆動
周期0.1msec以下の高速記録の要求に対応すべ
く、インク中に気泡を素早く発生させてインク滴を外部
へ吐出させることが求められており、かかる要求を満た
すためには、発熱抵抗体に従来よりもパルス幅が短く、
大きな電力パルス(パルス幅0.5μsec〜2.0μ
sec、電力値1.60〜4.10W)を印加して発熱
抵抗体を短時間で高温(500℃〜800℃)に発熱さ
せることが必要である。
【0007】しかしながら、上述した従来のインクジェ
ットヘッドにおいては、発熱抵抗体がTa2NやTaA
l等により形成されていることから、発熱抵抗体に大き
な電力パルスを繰り返し印加しながらインクジェットヘ
ッドを使用すると、発熱抵抗体の結晶化が生じて抵抗値
が大きく低下し、発熱抵抗体を所望する温度で発熱させ
ることができなくなってしまう。その結果、インク滴の
吐出速度にバラツキを生じ、インク滴を所望する位置に
着弾させることができなくなり、記録紙に形成される画
像に歪み等の印画不良を発生するという欠点を有してい
た。
【0008】また、発熱抵抗体を形成するTa2NやT
aAl等は機械的強度が乏しく、発熱抵抗体を長時間に
わたって繰り返し発熱させると、インク中で発生した気
泡が消滅する際の衝撃によって割れ等の破損を生じるこ
とが多いという欠点も有していた。
【0009】本発明は上記欠点に鑑み案出されたもの
で、その目的は歪みの少ない良好な画像を記録すること
ができ、且つ高速記録に対応した信頼性の高いインクジ
ェットヘッドを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
ヘッドは、ベースプレートの上面に、発熱抵抗体と一対
の電極とを被着したヘッド基板と、天板とを、間に所定
の間隙を形成するように配設するとともに、前記ヘッド
基板−天板間の間隙にインクを充填し、前記発熱抵抗体
に対応するインク吐出孔を設けたインクジェットヘッド
において、前記発熱抵抗体がTaxSiOy(1.30≦
x≦1.70、1.20≦y≦1.95)から成ること
を特徴とするものである。
【0011】また、本発明のインクジェットヘッドは、
発熱抵抗体と一対の電極とを被着したヘッド基板と天板
とを、間にインク吐出孔を有するノズル部材を介して配
設するとともに、前記ヘッド基板−天板間の間隙にイン
クを充填したインクジェットヘッドにおいて、前記発熱
抵抗体がTaxSiOy(1.30≦x≦1.70、1.
20≦y≦1.95)から成ることを特徴とするもので
ある。
【0012】更に、本発明のインクジェットヘッドは、
前記発熱抵抗体が、酸素を0.5原子%以上含む無機質
化合物からなる保護膜で被覆されていることを特徴とす
るものである。
【0013】また更に、本発明のインクジェットヘッド
は、前記保護膜を形成する無機質化合物がSiONであ
ることを特徴とするものである。
【0014】更にまた、本発明のインクジェットヘッド
は、前記保護膜中の酸素含有量が発熱抵抗体側に向かっ
て漸次大きく成してあることを特徴とするものである。
【0015】また更に、本発明のインクジェットヘッド
は、前記一対の電極がアルミニウムから成り、発熱抵抗
体との界面近傍にシリコンを0.01原子%〜0.1原
子%含んでいることを特徴とするものである。
【0016】本発明のインクジェットヘッドによれば、
前記発熱抵抗体をTaxSiOy(1.30≦x≦1.7
0、1.20≦y≦1.95)により形成したことか
ら、駆動周期0.1msec以下の高速記録を行うべ
く、発熱抵抗体に大きな電力パルスを短時間で繰り返し
印加したとしても、発熱抵抗体の結晶化を有効に防止
し、発熱抵抗体の抵抗値を略一定に保つことができる。
従って、発熱抵抗体を所望する温度で発熱させることが
でき、インク滴の吐出速度が初期の状態より略一定に保
たれ、インク滴を所望する位置に着弾させて歪みの少な
い良好な画像が得られる。
【0017】しかもこの場合、TaxSiOy(1.30
≦x≦1.70、1.20≦y≦1.95)から成る発
熱抵抗体の機械的強度は高いため、発熱抵抗体を長時間
にわたり繰り返し発熱させても、インク中で発生した気
泡が消滅する際の衝撃によって割れ等の破損が生じるこ
とが有効に防止され、インクジェットヘッドの信頼性向
上に供することもできる。
【0018】また、本発明のインクジェットヘッドによ
れば、発熱抵抗体を、酸素を0.5原子%以上含む無機
質化合物からなる保護膜で被覆することにより、保護膜
中の酸素と発熱抵抗体中のシリコンとを強固に結合させ
て、発熱抵抗体に対する保護膜の密着強度を高めること
ができる。
【0019】更に、上記保護膜の酸素含有量を発熱抵抗
体側に向かって漸次大きく成すことにより、保護膜中の
酸素が発熱抵抗体近傍に数多く分布するため、発熱抵抗
体中のシリコンと保護膜中の酸素とがより強固に結合し
やすくなり、保護膜の密着強度を更に高めることができ
る。
【0020】また更に、本発明のインクジェットヘッド
によれば、前記一対の電極をアルミニウムにより形成
し、発熱抵抗体との界面近傍にシリコンを0.01原子
%〜0.1原子%含んでいることから、上記界面近傍で
シリコンとアルミニウムとが結合し、一対の電極を発熱
抵抗体に対して強固に被着させておくことができる。従
って、インク中の気泡消滅時の衝撃が発熱抵抗体に印加
されたとしても、一対の電極が発熱抵抗体より剥がれる
といった不具合を有効に防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づい
て詳細に説明する。図1は、本発明の一形態に係るイン
クジェットヘッドの断面図であり、同図に示すインクジ
ェットヘッドは、大略的にヘッド基板1と天板6とを間
に所定の間隙を形成するように略平行に配設するととも
に、両者間にできる間隙にインク8を充填して構成され
ている。
【0022】前記ヘッド基板1は、アルミナセラミック
ス等の電気絶縁性材料や単結晶シリコン等の半導体材
料、Fe−Ni合金等の金属材料から成るベースプレー
ト2をベースとし、その上面で発熱抵抗体3や一対の電
極4等を支持するようになっている。
【0023】前記ベースプレート2は、アルミナセラミ
ックス等の電気絶縁性材料により長方形状に形成されて
おり、その上面には発熱抵抗体3、一対の電極4等が被
着され、これらを支持する支持母材として機能する。
【0024】尚、前記ベースプレート2は、例えばアル
ミナセラミックスから成る場合、アルミナ、シリカ、マ
グネシア等のセラミックス原料粉末に適当な有機溶剤、
溶媒を添加・混合して泥漿状に成すとともに、これを従
来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等を
採用することによってセラミックグリーンシートを得、
しかる後、該セラミックグリーンシートを所定形状に打
ち抜いた上、高温で焼成することによって製作される。
【0025】また前記ベースプレート2の上面には、そ
の長手方向にわたって多数の発熱抵抗体3が直線状に配
列されている。
【0026】前記発熱抵抗体3は、例えば600dpi
(dot per inch)の密度で直線状に配列されており、そ
の各々が電気抵抗材料から成っているため、各発熱抵抗
体3の両端に接続される一対の電極4を介して外部から
所定の電源電力(パルス幅0.5μsec〜2.0μs
ec、電力値1.6W〜4.1W)が印加されるとジュ
ール発熱を起こし、インク8中に気泡Aを発生するのに
必要な所定の温度(500℃〜800℃)となる。
【0027】このような発熱抵抗体3は、TaxSiOy
の組成を有しており、Si(シリコン)に対するTa
(タンタル)の割合x及びSiに対するO(酸素)の割
合yをそれぞれ1.30≦x≦1.70、1.20≦y
≦1.95の範囲に調整されているため、駆動周期0.
1msec以下の高速記録を行うべく、発熱抵抗体3に
大きな電力パルスを繰り返し印加したとしても、発熱抵
抗体3の結晶化が有効に防止され、発熱抵抗体3の抵抗
値を略一定に保つことができる。従って、発熱抵抗体3
を所望する温度で発熱させることができ、インク滴iの
吐出速度が初期の状態より略一定に保たれ、インク滴i
を所望する位置に着弾させて歪みの少ない良好な画像を
記録することが可能となる。
【0028】しかもこの場合、TaxSiOy(1.30
≦x≦1.70、1.20≦y≦1.95)からなる発
熱抵抗体3の機械的強度は高いため、発熱抵抗体3を長
時間にわたって繰り返し発熱させても、インク8中で発
生した気泡Aが消滅する際の衝撃によって割れ等の破損
を生じることが有効に防止され、インクジェットヘッド
の信頼性向上に供することができる。
【0029】ここで、前記発熱抵抗体3をTaxSiOy
(1.30≦x≦1.70、1.20≦y≦1.95)
により形成するのは、xをx<1.30に設定すると、
発熱抵抗体3の機械的強度が不足し、インク8中の気泡
消滅時の衝撃でもって発熱抵抗体3が破損するという欠
点を誘発し、またx、yを1.30≦x≦1.70、
1.20≦y≦1.95を逸脱した範囲に設定すると、
大きな電力パルスを印加しながらインクジェットヘッド
を長期にわたって使用した場合、発熱抵抗体3の結晶化
が生じて抵抗値が大きく低下してしまい、インク滴iの
吐出速度にバラツキを発生するという欠点を誘発する。
従って、発熱抵抗体をTaxSiOy(1.30≦x≦
1.70、1.20≦y≦1.95)により形成してお
くことが重要である。
【0030】尚、前記発熱抵抗体3は、例えばTa1.50
SiO1.50により形成される場合、タンタル(Ta),
タンタルシリサイド(TaSi2)及び二酸化珪素(S
iO2)の粉末を1:1:1のモル比で混合し、この混
合体を焼結してTa1.50SiO 1.50の組成を成すターゲ
ットを形成した後、このターゲットとベースプレート2
とをスパッタリング装置のチャンバー内の所定位置に配
置させ、該チャンバー内にアルゴンガスを注入しながら
ターゲットとベースプレート2との間に所定の電力を印
加することにより、ターゲットの一部をスパッタリング
してベースプレート2上にTa1.50SiO1.50膜を被着
させ、しかる後、この膜を従来周知のフォトリソグラフ
ィー技術及びエッチング技術を採用することにより所定
パターンに加工することにより形成される。
【0031】また、前記発熱抵抗体3に接続される一対
の電極4は、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金
属により所定パターンを成すように被着・形成されてお
り、外部電気回路より供給される電源電力を発熱抵抗体
3に供給する作用を為す。
【0032】ここで、一対の電極4をアルミニウムによ
り形成し、発熱抵抗体3との界面近傍(界面より20Å
〜100Å電極4側の領域)に、シリコンを0.01原
子%〜0.1原子%含ませておけば、この領域でシリコ
ンとアルミニウムとが結合し、一対の電極4を発熱抵抗
体3に対して強固に被着させておくことができる。従っ
て、インク8中に発生した気泡Aが消滅する際に生じる
衝撃が発熱抵抗体3に印加されたとしても、一対の電極
4が発熱抵抗体3より剥がれるといった不具合を有効に
防止できる。
【0033】このとき、発熱抵抗体3との界面近傍に含
まれるシリコンを0.01原子%より小さく設定する
と、アルミニウムと結合するシリコンの数が少なすぎる
ため、一対の電極4を発熱抵抗体3に対して強固に被着
させておくことができず、一方、発熱抵抗体3との界面
近傍に含まれるシリコンを0.1原子%より大きく設定
すると、上記界面近傍でシリコンの数が過剰となるた
め、この部分の電気抵抗が極めて大きくなり、インクジ
ェットヘッドの消費電力が大となってしまう。従って、
一対の電極4をアルミニウムにより形成し、発熱抵抗体
3との界面近傍に、シリコンを0.01原子%〜0.1
原子%含ませておくことが好ましい。
【0034】尚、前記一対の電極4は、従来周知の薄膜
手法、具体的にはスパッタリング、フォトリソグラフィ
ー技術及びエッチング技術等によって、ベースプレート
2の上面にそれぞれ所定厚み、所定パターンに被着させ
ることにより0.1μm〜0.8μmの厚みに形成され
る。また、発熱抵抗体3との界面近傍にシリコンを0.
01原子%〜0.1原子%含ませるには、発熱抵抗体3
及び一対の電極4を形成した後、これらを380℃〜5
50℃の温度で120秒〜600秒加熱して発熱抵抗体
3中のシリコンを電極4に所定の量、拡散させればよ
い。
【0035】更に、前記発熱抵抗体3には、これらを被
覆するようにして保護膜5が形成されている。
【0036】前記保護膜5は、例えばSi34やSiO
N等の緻密な無機質化合物により形成されており、発熱
抵抗体3等をインク中の水分の接触による腐食から保護
する作用を為している。
【0037】ここで、保護膜5を、SiON等のような
酸素を0.5原子%以上含む無機質化合物により形成し
ておけば、発熱抵抗体3中のシリコンと保護膜5中の酸
素とが強固に結合され、保護膜5の発熱抵抗体3に対す
る密着強度を高めることができる。
【0038】更にこの場合、前記保護膜5の酸素含有量
を発熱抵抗体3側に向かって漸次大きく成しておけば、
保護膜5中の酸素が発熱抵抗体近傍に数多く分布するた
め、発熱抵抗体3中のシリコンと保護膜5中の酸素とが
より強固に結合しやすくなり、保護膜5の密着強度を更
に高めることができる。
【0039】尚、前記保護膜5は、例えばSiONから
成る場合、発熱抵抗体3等の上面に従来周知のスパッタ
リング等によって所定の厚みに被着・形成される。ま
た、保護膜5中の酸素含有量を発熱抵抗体3に向かって
漸次大きくするには、スパッタリングにより成膜する場
合、スパッタリング装置のチャンバー内に注入される酸
素ガスの濃度を漸次小さくしながら保護膜5をスパッタ
リングにて成膜すればよい。
【0040】一方、前記天板6は、前記ヘッド基板1上
に、間に所定の間隙(例えば20μm〜300μm)を
形成するようにして略平行に配設される。
【0041】前記天板6は、発熱抵抗体3と1対1に対
応する略円形状のインク吐出孔7を多数有しており、こ
れらのインク吐出孔7が前記発熱抵抗体3の真上に位置
するようにしてスペーサを介してヘッド基板1上に固定
される。
【0042】また、前記多数のインク吐出孔7は、各々
が直径10μm〜100μmの大きさに設定されてお
り、インクジェットヘッドの記録動作時、発熱抵抗体3
の発熱に伴いインク8中に気泡Aが発生すると、この気
泡発生時の圧力でもってインク滴iをインク吐出孔7よ
り記録紙Mに向けて吐出するようになっている。
【0043】尚、前記天板6は、モリブデン等の金属や
アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料あるいは感光
性樹脂から成り、例えばモリブデンから成る場合、モリ
ブデンのインゴット(塊)を従来周知の金属加工法によ
って所定厚みの板体と成し、得られた板体に従来周知の
レーザー加工によってインク吐出孔7を厚み方向に穿設
することにより製作され、得られた天板6をヘッド基板
1上にスペーサを介して載置することで固定される。
【0044】そして、ヘッド基板1−天板6間に形成さ
れる隙間にはインク8が充填される。
【0045】前記インク8としては、例えば顔料タイプ
の水性インクや水性染料インク等が使用され、該インク
8は図示しないインクタンクからヘッド基板1−天板6
間に供給され、前述した発熱抵抗体3の発熱に伴う熱エ
ネルギーによってインク8中に気泡Aが発生すると、該
気泡Aによる圧力でもってインク8の一部がインク滴i
となってインク吐出孔7より外部に吐出される。
【0046】かくして上述したインクジェットヘッド
は、記録紙Mを天板6の上面に沿ってインク吐出孔7上
に搬送しながら、多数の発熱抵抗体3を外部からの画像
データに基づいて個々に選択的に発熱させ、この熱エネ
ルギーによって発熱抵抗体3上に気泡Aを発生させると
ともに、該発生した気泡Aによる圧力でもってインク8
の一部を天板6のインク吐出孔7より外部に吐出させ、
吐出したインク滴iを記録紙Mに付着させることによっ
て所定の画像が記録される。
【0047】尚、本発明は、上述の形態に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変
更、改良等が可能である。
【0048】例えば、上述の実施形態においては、イン
ク吐出孔7を天板6に設け、インク吐出孔7を発熱抵抗
体3の真上に配置させるようにしたが、これに代えて、
インク吐出孔7を発熱抵抗体3に対してずらして配置さ
せるようにしても良いし、或いは、図2に示すような、
インク滴iをヘッド基板1のエッジより吐出させるエッ
ジシュータータイプのインクジェットヘッドに本発明を
適用するにあたり、インク吐出孔7’を天板6には設け
ず、ヘッド基板1の一端側で天板6’と直交する方向に
配設されるノズル部材9に穿設するようにしても構わな
い。
【0049】また、上述の実施形態において、発熱抵抗
体3をスパッタリングにてベースプレート2上に被着さ
せる際に、ベースプレート2を200℃〜500℃に加
熱しておくと、ベースプレート2と発熱抵抗体3との密
着性を向上させることができる。従って、発熱抵抗体3
をスパッタリングにてベースプレート2上に被着させる
際に、ベースプレート2を200℃〜500℃に加熱し
ておくことが好ましい。
【0050】更に、上述の実施形態において、ベースプ
レート2上に発熱抵抗体3の発熱を制御するドライバー
ICを搭載するようにしても良いことは言うまでもな
い。
【0051】(実験例)次に、本発明の作用効果を実験
例に基づき説明する。
【0052】まず、発熱抵抗体3中のSiに対するTa
の割合x及びSiに対するOの割合yを少しずつ変化さ
せて43個のインクジェットヘッドサンプル(サンプル
No.1〜No.43)を作成し、このサンプルについて抵抗値
変化率ΔR/Rを測定するとともに、測定中における発
熱抵抗体3の破損の有無及び測定後のサンプルを用いて
記録紙Mに記録した画像の歪みの有無を調べた。抵抗値
変化率ΔR/Rとは、画像記録前の発熱抵抗体3の抵抗
値をΩ1、発熱抵抗体3に所定の電力パルス(パルス幅
0.6μsec、電力値2.6W)を10kHzの周波
数で1.0×108回印加した後の抵抗値をΩ2とする
と、(Ω1−Ω2)/Ω1×100(%)で表される数値
のことをいう。尚、この実験に用いた全てのインクジェ
ットヘッドサンプルは、発熱抵抗体3のサイズが25μ
m×25μm、厚みが0.06μmのものを使用した。
以上のような実験を行った結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】この表1によれば、発熱抵抗体3を、Ta
xSiOy(1.30≦x≦1.70、1.20≦y≦
1.95)により形成したNo.8〜No.12,No.15〜No.19,N
o.21〜No.25,No.27〜No.31,No.33〜No.37のインクジェ
ットヘッドについては、発熱抵抗体3の破損は発生して
おらず、更には、抵抗値変化率ΔR/Rが0%〜−5%
の範囲に収まっており、その大きさが小さいため、記録
紙Mに形成される画像に歪みがなく、良好な画像が得ら
れていることがわかる。
【0055】特に、発熱抵抗体3を、TaxSiO
y(1.40≦x≦1.60、1.30≦y≦1.7
0)により形成したNo.16〜No.18,No.22〜No.24,No.28
〜No.30のインクジェットヘッドについては、抵抗値変
化率ΔR/Rが0%〜−2%の範囲に収まっており、そ
の大きさが極めて小さいため、所定の電力パルスを1.
5×10 8回以上繰り返し印加しても、発熱抵抗体3の
破損及び歪みのない画像が得られている。従って、発熱
抵抗体3を、TaxSiOy(1.40≦x≦1.60、
1.30≦y≦1.70)により形成することが特に好
ましいことがわかる。
【0056】一方、TaxSiOy(1.30≦x≦1.
70、1.20≦y≦1.95)の範囲を逸脱したイン
クジェットヘッド、即ち、xがx<1.30の範囲であ
るNo.1〜No.5のインクジェットヘッドについては、電力
パルスを1.0×108回発熱抵抗体3に印加する前
に、発熱抵抗体3が破損してしまい、インクジェットヘ
ッドを使用することが不可となっている。
【0057】また、TaxSiOy(1.30≦x≦1.
70、1.20≦y≦1.95)の範囲を逸脱している
No.6,No.7,No.13,No.14,No.20,No.26,No.32,No.38〜No.
43のインクジェットヘッドについては、発熱抵抗体3は
破損していないものの、抵抗値変化率ΔR/Rが−10
%以下と極めて小さいため、画像に歪みが発生してお
り、良好な画像が得られていない。
【0058】以上の結果から、歪みの少ない良好な画像
を得るには、発熱抵抗体3をTaxSiOy(1.30≦
x≦1.70、1.20≦y≦1.95)により形成し
ておけば良いことがわかり、特に、発熱抵抗体3をTa
xSiOy(1.40≦x≦1.60、1.30≦y≦
1.70)により形成することが好ましいことがわか
る。
【0059】
【発明の効果】本発明のインクジェットヘッドによれ
ば、前記発熱抵抗体をTaxSiOy(1.30≦x≦
1.70、1.20≦y≦1.95)により形成したこ
とから、駆動周期0.1msec以下の高速記録を行う
べく、発熱抵抗体に大きな電力パルスを短時間で繰り返
し印加したとしても、発熱抵抗体の結晶化を有効に防止
し、発熱抵抗体の抵抗値を略一定に保つことができる。
従って、発熱抵抗体を所望する温度で発熱させることが
でき、インク滴の吐出速度が初期の状態より略一定に保
たれ、インク滴を所望する位置に着弾させて歪みの少な
い良好な画像が得られる。
【0060】しかもこの場合、TaxSiOy(1.30
≦x≦1.70、1.20≦y≦1.95)から成る発
熱抵抗体の機械的強度は高いため、発熱抵抗体を長時間
にわたり繰り返し発熱させても、インク中で発生した気
泡が消滅する際の衝撃によって割れ等の破損が生じるこ
とが有効に防止され、インクジェットヘッドの信頼性向
上に供することもできる。
【0061】また、本発明のインクジェットヘッドによ
れば、発熱抵抗体を、酸素を0.5原子%以上含む無機
質化合物からなる保護膜で被覆することにより、保護膜
中の酸素と発熱抵抗体中のシリコンとを強固に結合させ
て、発熱抵抗体に対する保護膜の密着強度を高めること
ができる。
【0062】更に、上記保護膜の酸素含有量を発熱抵抗
体側に向かって漸次大きく成すことにより、保護膜中の
酸素が発熱抵抗体近傍に数多く分布するため、発熱抵抗
体中のシリコンと保護膜中の酸素とがより強固に結合し
やすくなり、保護膜の密着強度を更に高めることができ
る。
【0063】また更に、本発明のインクジェットヘッド
によれば、前記一対の電極をアルミニウムにより形成
し、発熱抵抗体との界面近傍にシリコンを0.01原子
%〜0.1原子%含んでいることから、上記界面近傍で
シリコンとアルミニウムとが結合し、一対の電極を発熱
抵抗体に対して強固に被着させておくことができる。従
って、インク中の気泡消滅時の衝撃が発熱抵抗体に印加
されたとしても、一対の電極が発熱抵抗体より剥がれる
といった不具合を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態に係るインクジェットヘッドの
断面図である。
【図2】本発明の他の形態に係るインクジェットヘッド
の断面図である。
【符号の説明】
1・・・ヘッド基板、2・・・ベースプレート、3・・
・発熱抵抗体、4・・・一対の電極、5・・・保護膜、
6,6’・・・天板、7,7’・・・インク吐出孔、8
・・・インク、9・・・ノズル部材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発熱抵抗体と一対の電極とを被着したヘッ
    ド基板と、インク吐出孔を有する天板とを、間に所定の
    間隙を形成するように配設するとともに、前記ヘッド基
    板−天板間の間隙にインクを充填したインクジェットヘ
    ッドにおいて、前記発熱抵抗体がTaxSiOy(1.3
    0≦x≦1.70、1.20≦y≦1.95)から成る
    ことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】発熱抵抗体と一対の電極とを被着したヘッ
    ド基板と天板とを、間にインク吐出孔を有するノズル部
    材を介して配設するとともに、前記ヘッド基板−天板間
    の間隙にインクを充填したインクジェットヘッドにおい
    て、前記発熱抵抗体がTaxSiOy(1.30≦x≦
    1.70、1.20≦y≦1.95)から成ることを特
    徴とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】前記発熱抵抗体が、酸素を0.5原子%以
    上含む無機質化合物からなる保護膜で被覆されているこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインク
    ジェットヘッド。
  4. 【請求項4】前記保護膜を形成する無機質化合物がSi
    ONであることを特徴とする請求項3に記載のインクジ
    ェットヘッド。
  5. 【請求項5】前記保護膜中の酸素含有量が発熱抵抗体側
    に向かって漸次大きく成してあることを特徴とする請求
    項3または請求項4に記載のインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】前記一対の電極がアルミニウムから成り、
    発熱抵抗体との界面近傍にシリコンを0.01原子%〜
    0.1原子%含んでいることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載のインクジェットヘッド。
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