JP2003039559A - 導電ローラ及びその製造方法 - Google Patents

導電ローラ及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬さを損なうことなく、均一な抵抗値を有
し、電子写真装置等に用いた場合には良好な画像が得ら
れる導電ローラを得る。 【解決手段】 筒状導電性多孔体11の外周面にプラス
チック製の導電性チューブ21が装着された導電ローラ
10において、前記筒状導電性多孔体11の外周面と導
電性チューブ21の内周面間で導電性粒子とラテックス
と水溶性高分子とを含有する導電性ラテックス配合液が
乾燥され、該導電性ラテックス配合液の乾燥物14によ
って、前記筒状導電性多孔体11と導電性チューブ21
が接着一体化している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、導電ローラ及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、帯電、現像および転写ローラ
などの電子写真装置等に用いられるローラとしては、エ
チレンプロピレンゴム(EPDM)、アクリロニトリル
ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(C
R)、エピクロルヒドリンゴム(CHR)、シリコーン
ゴム、ポリウレタンエラストマなどを材料として形成さ
れたソリッド(無発泡)あるいは多孔体からなる弾性体
を、金属シャフトに取り付けてローラ形状(円筒形状)
に成形したものが用いられている。特に多孔体はソリッ
ドよりも硬度が低いため、好ましいものである。
【0003】さらに、前記弾性体単層では、電子写真装
置等に用いられるローラとして、適度な電気抵抗、電気
的リーク防止、弾性体材料から感光体への汚染物質のブ
リード防止、耐摩耗性またはトナー等に対する非粘着性
等に関する機能が不十分なため、それらの機能を向上さ
せるため、前記弾性体とは異なる材質の表面層を、ロー
ルコーティング、バーコーティング、スプレー等のコー
ティング工法により前記弾性体表面に形成することが行
われている。
【0004】また、前記コーティング工法によって弾性
体上に良好な表面層を形成するには、下地となる弾性体
層の表面に空孔が存在しないこと、コーティング溶液の
溶媒によって弾性体が膨潤等を起こして外径変化や変形
を起こさないことが必要である。そのため、前記弾性体
としてソリッド(無発泡体)を使用したり、表面に気泡
が存在しない、いわゆるスキン構造の多孔体を使用した
り、表面に存在する気泡を無溶剤の液状エラストマ等で
目止めをした多孔体を使用したりしなければならず、そ
れらの場合には多孔体をそのまま用いる場合に比べて硬
度が高いものになるので、次のような不具合を生じる。
すなわち、ローラの硬度が高くなると、感光ドラムや画
像記録用紙に対するローラのニップ量が小さくなり、ひ
どい場合には記録用紙とローラとの間に局部的に隙間が
発生し、現像や転写に必要な電気的な作用を果たせなく
なる。なお、この不具合の発生を防ぐためにローラによ
る感光ドラムや画像記録用紙に対する当接力を高める
と、感光ドラムやトナーに無理な力が働いて、感光ドラ
ムやローラ自体の劣化を促進させたり、ローラに永久歪
みを生じさせたりし、それらによって逆にニップ量が不
安定になったり、局部的な非接触状態を生じたりする。
【0005】さらに前記コーティング工法に伴う問題を
解決するため、あらかじめ成形したプラスチック製の導
電性チューブを、該チューブよりもわずか大径の円筒形
状に成形した導電性多孔体に単に被せることにより積層
化したローラが知られており、前記チューブの材質、抵
抗値、形状や性状、あるいは多孔体の密度、硬度や抵抗
率などに関する特定が、特開平3−59682号公報、
特開平11−125952号公報、特開平11−125
956号公報、特開2000−7990号公報、特開2
000−75601号公報に示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者が検
討したところ、前記チューブを多孔体に単に被せること
によって積層化したローラにあっては、ローラの各部で
抵抗値が異なっていて抵抗値の均一性が劣るのみなら
ず、測定毎に抵抗値が変化する問題があり、また、前記
積層ローラを帯電ローラとして使用した場合、チューブ
と多孔体間の界面、すなわちチューブの内側で放電を生
じ、充分な性能を発揮できないことが判明した。さら
に、これらの問題は、前記多孔体が、通常の軟質ウレタ
ンフォームのように硬度が低く、しかも前記多孔体に被
せられる前には該多孔体の外径よりも小とされるチュー
ブの内径が、前記多孔体の外径に近いほど、起こりやす
いことも判明した。
【0007】そこで、この発明は前記の点に鑑み、硬さ
を損なうことなく、均一な抵抗値が得られる導電ローラ
及びその製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、筒状
導電性多孔体の外周面にプラスチック製の導電性チュー
ブが装着された導電ローラにおいて、前記筒状導電性多
孔体の外周面と導電性チューブの内周面間で導電性粒子
とラテックスと水溶性高分子とを含有する導電性ラテッ
クス配合液が乾燥され、該導電性ラテックス配合液の乾
燥物によって、前記筒状導電性多孔体と導電性チューブ
が接着一体化していることを特徴とする。
【0009】請求項2の発明は、請求項1における水溶
性高分子が分子量1,000〜5,000,000、ラ
テックスの固形分と水溶性高分子の固形分の重量比が1
0:90〜95:5であることを特徴とする。
【0010】請求項3の発明は、筒状導電性多孔体の外
周面にプラスチック製の導電性チューブが装着された導
電ローラの製造に際し、前記筒状導電性多孔体の外周面
及び導電性チューブの内周面の少なくとも一方に、導電
性粒子とラテックスと水溶性高分子とを含有する導電性
ラテックス配合液を付着させ、前記筒状導電性性多孔体
の外周面に導電性チューブを被せた後、乾燥させること
を特徴とする。
【0011】請求項4の発明は、請求項3における水溶
性高分子が分子量1,000〜5,000,000、ラ
テックスの固形分と水溶性高分子の固形分の重量比が1
0:90〜95:5であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施形態について
説明する。図1はこの発明の一実施例に係る導電ローラ
の斜視図、図2は製造方法の一例を示す工程図である。
【0013】図1に示すこの発明の一実施例からなる導
電ローラ10は、筒状導電性多孔体11の外周面に導電
性チューブ21が装着されたものからなり、この例では
前記筒状導電性多孔体11の中心にシャフト31が挿通
されている。
【0014】前記筒状導電性多孔体11は、この導電ロ
ーラ10の本体ともなるものであって、導電性の付与さ
れた弾性多孔体が研削等によって所要サイズ(径及び長
さ)の筒状に加工されたもの、あるいは導電性を有しな
い弾性多孔体が筒状に加工された後に導電性の付与され
たものなどが用いられる。前記弾性多孔体としては、種
々のものが用いられる。例として、エチレン−プロピレ
ン系ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブ
タジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピ
クロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポ
リウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、
ポリアミドエラストマー、ポリ塩化ビニルエラストマー
などが挙げられる。また、前記弾性多孔体に導電性を付
与する方法としては、種々の方法がある。例えば、導電
性粒子が含まれる導電性溶液を前記弾性多孔体に含浸さ
せた後乾燥させることにより導電性粒子を弾性多孔体内
に付着固定したり、弾性多孔体の原料にカーボンブラッ
ク等の導電性物質を添加して弾性多孔体を製造する方法
などがある。前記導電性溶液としては、ラテックスに導
電性粒子を分散させたものを挙げることができる。な
お、この筒状導電性多孔体11の抵抗値は、10 2〜1
8Ω(後述の図3に示した電気抵抗測定方法利用によ
る)が好ましい。
【0015】前記弾性多孔体の製造は弾性多孔体の種類
に応じた公知の方法、例えばガス発泡、機械発泡、反応
ガス発泡等により行われる。ガス発泡は、ゴムの製造に
広く用いられる方法であって、熱分解により気体を発生
する発泡剤を原料に配合しておき、未加硫の状態で発泡
させて成形する方法である。また機械発泡は、ポリウレ
タンエラストマー等の製造に用いられる方法であって、
ポリウレタンの液状エラストマーや塩化ビニルのオルガ
ノゾルあるいはゴムラテックス等に攪拌等の機械的手段
で気体を混合して小径気泡に分散させ、硬化させる方法
である。反応ガス発泡は、ポリウレタンやシリコーンエ
ラストマー等の製造に用いられる方法であって、活性官
能基との反応により炭酸ガスや水素などの気体を反応さ
せることで発泡させる方法である。その他、水等の溶媒
に溶解するフィラーを原料に充填して成形した後、フィ
ラーを溶出させて多孔体を得る方法もある。
【0016】導電性チューブ21は、プラスチック製か
らなり、前記導電性弾性多孔体11よりも抵抗値が大き
いもの、特には前記導電性多孔体11の抵抗値よりも1
0〜105程度大きいものが好ましい。この導電性チュ
ーブ21の製造は、カーボンブラック、金属、導電性金
属酸化物、導電性高分子などを分散し導電性を調整した
プラスチックコンパウンドを、溶融押し出し法などの、
従来の一般的なプラスチック成形加工法を利用して行わ
れる。
【0017】前記導電性チューブ21を構成するプラス
チックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、FEP(4フッ化エ
チレン・六フッ化プロピレン共重合体)、PFA(4フ
ッ化エチレンペルフォルオロアルコキシビニルエ−テ
ル)、ETFE(4フッ化エチレン・エチレン共重合
体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカー
ボネート、ポリスチレン、ABS、ポリウレタンなどを
用いることができる。
【0018】前記導電性チューブ21の厚みは、厚すぎ
ると下地となる前記筒状導電性多孔体11の弾性を反映
できなくなってニップ量を大きくできず、著しい場合に
は記録用紙に対して局所的に不接触点を生じてしまう。
その結果、例えば、帯電ローラとして用いる場合には均
一な帯電が行われないことになる。逆に薄すぎる場合に
は、前記筒状導電性多孔体11の表面のセル(気孔)形
状が画像に現れてしまうことになる。そのため、導電性
チューブ21の厚みは、導電性チューブ21の弾性率に
も依存するが、通常25〜250μmが好ましい。
【0019】前記導電性チューブ21の内径は、前記筒
状導電性多孔体11外周への未装着時における寸法を筒
状導電性多孔体11の外径よりもわずかに小(通常0.
1〜0.3mm小)とするのが好ましい。そのようにす
れば、前記導電性チューブを径方向に拡大させながら筒
状導電性多孔体11の外周に被せることにより、導電性
チューブを弛みなく筒状導電性多孔体11に装着するこ
とができる。
【0020】前記筒状導電性多孔体11と導電性チュー
ブ21は、前記筒状導電性多孔体11の外周面と導電性
チューブ21の内周面間で乾燥された導電性ラテックス
配合液の乾燥物14によって接着一体化されている。前
記乾燥前の導電性ラテックス配合液は、導電性粒子とラ
テックスと水溶性高分子とを含有する混合物である。
【0021】導電性粒子は、カーボンブラックやグラフ
ァイトなどの炭素質粒子、銀やニッケルなどの金属粉、
酸化スズや酸化チタンあるいは酸化亜鉛などの導電性金
属酸化物の単体、あるいは硫酸バリウムなどの絶縁性微
粒子を芯体にして前記導電性金属酸化物を湿式的に被覆
したもの、導電性金属炭化物、導電性金属窒化物、導電
性金属ホウ化物などから選ばれる1種又は複数種類の組
み合わせで用いられる。なお、コスト面からはカーボン
ブラックが好ましく、他方、導電性制御のしやすさから
は導電性金属酸化物が好ましい。カーボンブラックと導
電性金属酸化物の併用がコストと導電性制御の容易さを
両立できるため、より好ましい。
【0022】ラテックスは、高分子が持つ親水基や添加
する界面活性剤により、高分子相の微少な粒子が水中に
分散した状態で安定に存在している。このラテックスと
しては、天然ゴムラテックス、ブタジエンゴムラテック
ス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニ
トリル−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴム
ラテックス、アクリルゴムラテックス、ポリウレタンゴ
ムラテックス、ポリエステルゴムラテックス、フッ素ゴ
ムラテックス、シリコーンゴムラテックスなどが利用で
きる。
【0023】水溶性高分子は、分子鎖が水に会合して単
分子として水中に存在できるものであり、ポリエチレン
イミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイド、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレン誘導体、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、ビスコース、メチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、可溶性でんぷん、カルボキシメチルでんぷ
ん、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴ
ム、ガゼインなど、分子量1,000〜5,000,0
00のものを使用できる。
【0024】また、前記ラテックスの固形分と水溶性高
分子の固形分との重量比は、10:90〜95:5、よ
り好ましくは50:50〜90:10である。ラテック
スの固形分が少なすぎると導電ローラ10の抵抗ばらつ
きの低減効果が少なくなり、逆に多すぎると導電性チュ
ーブ21と筒状導電性多孔体11との接着性が低下し、
導電性チューブ21が部分的な剥離を生じて抵抗のばら
つきが大きくなる。なお、前記導電性ラテックス配合液
には、後述する付着作業を容易にするため、適量の水が
さらに添加されることもある。また、無機塩や有機塩な
どのイオン性物質を、導電性ラテックス配合液が不安定
にならない程度に少量添加してもよい。
【0025】前記導電性ラテックス配合液は、前記導電
性チューブ21が装着される前の筒状導電性多孔体11
の外周面及び導電性チューブ21の内周面の少なくとも
一方に付着され、次いで導電性チューブ21が筒状導電
性多孔体11の外周面に装着された後乾燥されることに
よって、筒状導電性多孔体11外周面と導電性チューブ
21の内周面間で前記導電性ラテックス配合液の乾燥物
14となり、筒状導電性多孔体11と導電性チューブ2
1を接着一体化する。前記導電性ラテックス配合液の付
着量は、筒状導電性多孔体11のサイズにもよるが、外
径6〜20mm、長さ220〜320mmの筒状導電性
多孔体11において0.1〜10g程度となるように
し、塗膜の乾燥後の体積抵抗率については102〜108
Ωcm(JIS K 6911:1995準拠)程度が
好ましい。また、乾燥温度は通常60〜100℃程度と
される。
【0026】前記シャフト31は、この導電ローラ10
を電子写真式印刷装置等に取り付ける際の取付軸及び使
用時の回転軸とされるものであり、前記筒状導電性多孔
体11の中心に長手方向に沿って形成されたシャフト挿
通孔12に挿通され、当該シャフト31の外周面に塗布
された接着剤により筒状導電性多孔体11に固着され
る。前記シャフト31の材質は、ステンレス等の金属が
強度及び導電性の面から好ましい。なお、この導電ロー
ラ10が装着される装置によっては、シャフト31が不
要とされることもあり、その場合には、前記シャフト挿
通孔12が形成されないこともある。
【0027】次に前記導電ローラ10の製造方法の一例
を図2の工程図を用いて示す。この製造例では、導電性
多孔体形成工程、シャフト一体化工程、研削工程、導電
性ラテックス配合液付着工程、導電性チューブ被着工
程、乾燥工程とからなる。
【0028】導電性多孔体形成工程では、導電性が付与
されてシャフト挿通孔の形成されたた所要サイズの弾性
多孔体を形成する。例えば、目的とする前記筒状導電性
多孔体11よりもサイズの大きい弾性多孔体に導電性溶
液を含浸させ、その後乾燥させることにより、あるいは
予め導電性物質を添加した弾性多孔体原料を用いて発泡
成形する等により導電性多孔体を形成する。
【0029】シャフト一体化工程では、図1に示したシ
ャフト31を前記導電性多孔体に挿入し一体化する。そ
の際、前記導電性多孔体には、予め図1に示したような
シャフト挿通孔12が形成され、接着剤を塗布したシャ
フト31が前記シャフト挿通孔12に挿通される。ま
た、使用する導電性多孔体が導電ローラを複数本形成で
きる大きさの場合には、形成可能な導電ローラの本数に
応じた数のシャフトが導電性多孔体に挿通されると共
に、前記導電性多孔体がシャフトの挿通後あるいは挿通
前に、各導電ローラと対応するサイズに裁断される。
【0030】研削工程では、前記導電性多孔体の外周
を、研削装置で所要サイズの円筒形に研削し、図1に示
した筒状導電性多孔体11を形成する。その際、前記シ
ャフト31を回転装置に取り付け、前記導電性多孔体の
表面に切削工具を当てながら導電性多孔体を回転させれ
ば、研削を容易に行うことができる。
【0031】導電性ラテックス配合液付着工程では、前
記導電性ラテックス配合液を筒状導電性多孔体11の外
周面に付着させる。前記導電性ラテックス配合液の付着
は、前記筒状導電性多孔体11を導電性ラテックス配合
液に浸漬することにより、あるいはスプレー等で塗布す
ることにより行われる。特にスプレーにより前記筒状導
電性多孔体に塗布する方法は、筒状導電性多孔体外周面
に対する導電性ラテックス配合液の付着量を調整し易い
ため、好ましい方法である。
【0032】導電性チューブ被着工程では、前記筒状導
電性多孔体11の外周面に塗布された導電性ラテックス
配合液の乾燥前に、前記筒状導電性多孔体11の外周面
に図1の導電性チューブ21が被せられる。その際、前
記導電性チューブ21の内径を筒状導電性多孔体11の
外径より僅かに小とし、前記導電性チューブ21を外方
へ拡げながら筒状導電性多孔体11の外周面に装着する
のが、作業性及び導電性チューブ21と筒状導電性多孔
体11との密着性の点で好ましい。なお、前記導電性チ
ューブ21を外方へ拡げて装着する方法としては、適宜
の方法を用いることができるが、一例として、吸引孔が
形成された内管の外側に外管が嵌まって内管と外管間が
真空吸引路となった二重管を用い、前記内管の吸引孔を
介して導電性チューブを内管内周面に吸引して拡径さ
せ、その状態で導電性チューブ内に前記筒状導電性多孔
体を挿入し、その後に導線性チューブの吸引を停止する
方法を挙げることができる。
【0033】乾燥工程では、前記導電性チューブ21の
被着により筒状導電性多孔体11の外周面と導電性チュ
ーブ21の内周面間に介在することになった前記導電性
ラテックス配合液を乾燥し、それによって形成される導
電性ラテックス配合液の乾燥物により前記導電性チュー
ブ21を筒状導電性多孔体11の外周面に接着固定す
る。前記乾燥は、乾燥炉を用いるのが簡単である。ま
た、乾燥温度は適宜とされるが、通常60〜100℃の
範囲が好ましい。
【0034】
【実施例】・実際例1 アクリルラテックス(商品名:AE336、JSR
(株)製)100重量部に、不揮発分約38%のカーボ
ンブラック分散液50重量部と純水50重量部を配合し
た導電性溶液を、中心に径7mmのシャフト挿通孔を形
成した18×505×350mmのポリエステル系ウレ
タンフォーム(商品名:MF−50、(株)イノアック
コーポレーション製)に、約1500g/m2のウェッ
ト付着量となるように絞りローラで含浸させ、120℃
で120分乾燥させてブロック状の導電性多孔体を形成
した。このようにして得られた前記導電性多孔体のシャ
フト挿通孔に、ホットメルト接着剤を厚さ20μm程度
に塗布した外径8mm、長さ330mmのステンレス製
シャフトを挿通し、シャフトを接着させた後、前記シャ
フトを回転装置に取り付けて導電性多孔体を回転させな
がら研削装置で導電性多孔体の表面を研削し、外径1
4.2mm、ローラ面長316mmの筒状導電性多孔体
を形成した。
【0035】また、アクリルラテックス(商品名:AE
336、JSR(株)製)100重量部に、不揮発分約
38%のカーボンブラック分散液50重量部と、水溶性
高分子として分子量2,000のポリエチレングリコー
ル(三洋化成(株)製)5重量部と、純水50重量部を
配合して導電性ラテックス配合液を調製した。この導電
性ラテックス配合液におけるラテックスの固形分と水溶
性高分子の固形分との重量比は、9:1である。前記導
電性ラテックス配合液を、前記筒状導電性多孔体の外周
面に付着量が1.8gとなるようにスプレーで塗布し、
直ちに厚み150μm、内径13.9mmの導電性チュ
ーブを筒状導電性多孔体の外周面に被せ、70℃で30
分間熱風循環乾燥炉により処理し、前記導電性チューブ
を筒状導電性多孔体を接着し導電ローラを得た。前記導
電性チューブは、ポリアミド12に導電性カーボンブラ
ック(商品名:TB#4501、東海カーボン(株)
製)を重量比100:20で配合した原料から形成した
ものである。前記導電ローラを熱風循環乾燥炉で170
℃、6時間処理した後に残留水分量を重量変化量から見
積もったところ、1.0gであった。このようにして得
られる実施例1の導電ローラを20本形成した。
【0036】・実施例2 実施例1と同様にしてシャフトの接着した外径14.2
mmの筒状導電性多孔体を形成した。また、実施例1と
同じアクリル系ラテックス100重量部に不揮発分約3
8%のカーボンブラック分散液75重量部と、水溶性高
分子として分子量約10,000のポリアクリル酸ナト
リウム(商品名:A7100,東亜合成(株)製)10
重量部と、純水50重量部を配合して導電性ラテックス
配合液を調製した。この導電性ラテックス配合液におけ
るラテックスの固形分と水溶性高分子の固形分との重量
比は、9:2である。前記導電性ラテックス配合液を、
前記筒状導電性多孔体の外周面に付着量が5.0gとな
るようにスプレーで塗布し、直ちに厚み150μm、内
径13.9mmの導電性チューブを筒状導電性多孔体の
外周面に被せ、70℃で30分間熱風循環乾燥炉により
処理し、前記導電性チューブを筒状導電性多孔体に接着
し導電ローラを得た。前記導電性チューブは、ポリアミ
ド12に導電性カーボンブラック(商品名:TB#45
01、東海カーボン(株)製)と導電性酸化スズ(商品
名:SN−100P、石原産業(株)製)を重量比10
0:10:10で配合した原料から形成したものであ
る。前記導電ローラを熱風循環乾燥炉で170℃、6時
間処理した後に残留水分量を重量変化量から見積もった
ところ、2.5gであった。このようにして得られる実
施例2の導電ローラを20本形成した。
【0037】・比較例1 実施例1において、導電性ラテックス配合液をスプレー
塗布することなく導電性チューブを筒状導電性多孔体の
外周面に被せて比較例1の導電ローラを形成した。な
お、この比較例1の導電ローラも20本形成した。
【0038】・比較例2 実施例1において、導電性ラテックス配合液に水溶性高
分子として分子量2,000のポリエチレングリコール
5重量部を添加しなかった点を除き、実施例1と同様に
して比較例2の導電ローラを20本形成した。
【0039】前記各実施例及び比較例の導電ローラ各1
本について、ローラ表面の位置の違いによる抵抗値のば
らつきを評価するため、電気抵抗の測定を行った。前記
電気抵抗の測定は、具体的には図3に示すように、縦3
20mm、横230mmの絶縁性平滑板S表面全面に真
鍮(しんちゅう)製電極Pを設けた電極板を用い、前記
電極Pと接触するように各導電ローラを電極P上に載置
し、該導電ローラの両端におもりW等により50gの荷
重をかけ、前記導電ローラの導電性シャフトと電極Pの
間に、図示しない電源装置により直流電圧100Vを印
加し、その状態で導電ローラを10°ずつ回転させ、そ
の都度導電ローラと電極P間の電流を電流計で測定し、
その電流測定値から計算される各抵抗値を得た。このよ
うにして各導電ローラごとに得た各36個の抵抗値につ
いて計算した平均値と、標準偏差を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】また、前記各実施例及び比較例毎に導電ロ
ーラ間における抵抗値のばらつきを評価するため、前記
と同様の方法で各実施例及び比較例における各20本の
導電ローラについて、それぞれ36個の電気抵抗を測定
して各導電ローラ毎に平均値を計算し、これにより得ら
れた各ローラ毎の平均値に対し、各実施例及び比較例毎
の20本についてさらに平均値と標準偏差を求めた。そ
の結果を表2に示す。
【0042】
【表2】 また、前記各実施例及び比較例毎に各20本の導電ロー
ラを、10℃、15%RHの低温低湿環境下に500時
間放置し、上記と同様にして各20本の導電ローラにつ
いて、それぞれ36個の電気抵抗を測定して各導電ロー
ラ毎に平均値を計算し、これにより得られた各ローラ毎
の平均値に対し、各実施例及び比較例毎の20本につい
てさらに平均値と標準偏差を求めた。その結果を表3に
示す。
【0043】
【表3】
【0044】また、前記実施例1及び実施例2の導電ロ
ーラのそれぞれ5本を市販のカラーレーザープリンタ
(DocuColor1250CP、富士ゼロックス社
製)の現像ローラとして使用し、記録紙に画像を転写す
る現像処理を行った。その結果、実施例1及び2の導電
ローラ全てにおいて、良好な画像が得られた。
【0045】
【発明の効果】上記のように、この発明の導電ローラ及
びその製造方法によれば、筒状導電性多孔体と導電性チ
ューブを良好に接着一体化でき、硬さを損なうことなく
均一な抵抗値を有する導電ローラが得られる。かかる導
電ローラは電子写真装置等の産業分野において極めて有
益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る導電ローラの斜視図
である。
【図2】この発明における製造方法の一例を示す工程図
である。
【図3】表面抵抗率の測定方法概略を示す図である。
【符号の説明】
10:導電ローラ 11:筒状導電性多孔体 12:シャフト挿通孔 14:導電性ラテックス配合液の乾燥物 21:導電性チューブ 31:シャフト
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/16 103 G03G 15/16 103 // B29L 31:32 B29L 31:32 (72)発明者 富田 充彦 愛知県名古屋市熱田区千年一丁目16番30号 株式会社イノアックコーポレーション船 方事業所内 (72)発明者 恩田 裕司 愛知県名古屋市熱田区千年一丁目16番30号 株式会社イノアックコーポレーション船 方事業所内 Fターム(参考) 2H071 BA43 DA06 DA08 DA09 2H077 AC04 AD06 AD14 FA11 FA22 FA25 2H200 HB45 HB46 JA25 JA26 MA03 MA08 MB06 3J103 AA02 AA14 AA32 AA51 BA41 EA03 EA07 FA18 GA02 GA57 HA04 HA20 4F211 AB13 AD17 AE03 AG03 AG20 AH04 TA03 TC11 TD11 TN52 TN58

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状導電性多孔体の外周面にプラスチッ
    ク製の導電性チューブが装着された導電ローラにおい
    て、 前記筒状導電性多孔体の外周面と導電性チューブの内周
    面間で導電性粒子とラテックスと水溶性高分子とを含有
    する導電性ラテックス配合液が乾燥され、該導電性ラテ
    ックス配合液の乾燥物によって、前記筒状導電性多孔体
    と導電性チューブが接着一体化していることを特徴とす
    る導電ローラ。
  2. 【請求項2】 水溶性高分子が分子量1,000〜5,
    000,000、ラテックスの固形分と水溶性高分子の
    固形分の重量比が10:90〜95:5であることを特
    徴とする請求項1に記載の導電ローラ。
  3. 【請求項3】 筒状導電性多孔体の外周面にプラスチッ
    ク製の導電性チューブが装着された導電ローラの製造に
    際し、 前記筒状導電性多孔体の外周面及び導電性チューブの内
    周面の少なくとも一方に、導電性粒子とラテックスと水
    溶性高分子とを含有する導電性ラテックス配合液を付着
    させ、 前記筒状導電性性多孔体の外周面に導電性チューブを被
    せた後、乾燥させることを特徴とする導電ローラの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 水溶性高分子が分子量1,000〜5,
    000,000、ラテックスの固形分と水溶性高分子の
    固形分の重量比が10:90〜95:5であることを特
    徴とする請求項3に記載の導電ローラの製造方法。
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