JP2003035653A - 墨インキの分散性の評価方法 - Google Patents

墨インキの分散性の評価方法

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JP2003035653A
JP2003035653A JP2001224371A JP2001224371A JP2003035653A JP 2003035653 A JP2003035653 A JP 2003035653A JP 2001224371 A JP2001224371 A JP 2001224371A JP 2001224371 A JP2001224371 A JP 2001224371A JP 2003035653 A JP2003035653 A JP 2003035653A
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ink
dispersibility
solvent
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dispersion
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JP2001224371A
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Masahiko Asada
匡彦 浅田
Nobuhiro Sekine
信博 関根
Noritaka Hirota
憲孝 廣田
Yoko Nunokawa
陽子 布川
Masanori Takahashi
正憲 高橋
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 墨インキの製造工程のどの段階においても用
いることができ、迅速かつ簡単に実施できるカーボンブ
ラックの分散性の評価方法を提供する。 【解決手段】 製造途中または完成品の平版印刷用墨イ
ンキを、溶解性パラメーターが8.4以上10.5以下
である有機溶剤に分散することにより、ワニスまたはカ
ーボンブラックが凝集したりしない分散液が得られる。
該分散液中の粒子の径を測定するか、または該分散液を
遠心分離して、上澄み液の透明性を判定することによ
り、元のインキの分散性を正確に評価することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、墨インキの分散
性の評価方法に関するものである。さらには完成品の分
散性の評価だけでなく、製造工程途中での分散性をも一
貫して行える評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 墨インキの製造は、カーボンブラック
をワニスや助剤、溶剤から成るビヒクル中に分散するこ
とによってなされるが、分散性が悪いと適正な粘度特性
・品質安定性・印刷適性(セット、ミスチング、光沢な
ど)を得ることができない。分散性は簡易的にはグライ
ンドメータによる評価が一般的である。
【0003】グラインドメータによる練和度(粒子がど
の程度細かく分散されているかの度合い)の評価方法は
JIS K5701−1の4.3.2グラインドメータ
に記載されている。本評価方法の要旨は、溝の深さが一
番深いところで25〜100μm、一番浅いところで0
(溝無し)まで直線的に連続して変化しているグライン
ドメータのゲージ盤上の、溝の一番深いところに試料を
置き、スクレーパーを用いてかきとるようにして溝内に
試料の膜を作る。粒子があると、その直径に相当する深
さの溝から粒子がスクレーパーに引っ掛かり、線(ス
ジ)が発生するので粒子の直径が推定できるというもの
である。
【0004】この方法はインキ中に含まれる粗大粒子の
有無の検査方法であり、粒子の直径が10μm以下にま
で分散されていると発生した線の判別が困難なためほと
んど検出することができない。
【0005】実際のインキの分散性は最大の粒子径が1
0μm以下にする程度では品質的に不十分であり、グラ
インドメータで問題のないインキが、実際には分散不良
でトラブルを生じることは往々にして生じている。した
がって、粒子径が10μm以下のレベルでの分散の良否
を見極めるには、インキの粘弾性測定や印刷試験によっ
て評価しなければならない。しかしながら、粘弾性試験
や印刷試験には専用の試験装置や印刷機が必要になり、
手間や時間がかかるため、簡便でかつ正確な分散性の評
価方法が望まれている。
【0006】インキ中の粒子径の測定方法としては、グ
ラビアインキのように粘度の低い分散液の場合には、通
常光散乱による方法や、超音波による方法、遠心沈降に
よる方法などが知られている。しかし例えば平版インキ
のような極めて粘度の高い分散体の場合、そのままでは
これらのいずれの方法でも測定することができない。そ
の理由は次のとおりである。
【0007】近年、測定装置の技術の進歩により測定分
散液の濃度がある程度高くても測定が可能になってきて
はいるが、実際のインキや塗料は顔料などの粒子濃度が
高く、粒子径測定のために希釈をすることが必要なこと
が多い。しかし高濃度のインキを粒子径の測定が可能な
レベルまで大量の溶剤で希釈すると、溶剤の種類によっ
ては顔料やワニスが凝集する、いわゆるソルベントショ
ックを起こすことがある。
【0008】グラビアインキのような、元々溶剤分の多
い粘度の低い分散体の場合には、分散体自体に含まれる
溶剤を希釈溶剤とすれば、希釈によるソルベントショッ
クを避けられる場合が多い。平版インキには一般的に鉱
物油や植物油、あるいは石油系の溶剤が含まれている。
しかし、インキ中の粒子径の測定のためにその石油系溶
剤で平版インキを希釈しても、溶剤とワニスとの相溶性
や、顔料の溶剤への分散性はそれほど高くなく凝集しや
すく、粒子径の測定ができるような分散体を得ることは
難しい。
【0009】故に平版インキのような粘度の高いインキ
でも、その分散性を維持しながら、粒子径を測定装置で
測定しうる分散体に希釈することができる溶剤があれ
ば、カーボンブラックの分散性を迅速かつ簡単に評価す
ることができる。そして、この測定方法が最終インキは
もちろん、製造中間段階の仕掛品の段階においても適用
できれば、工程の最後に至る前に分散状態を確認でき、
分散不良に早期に対処できるというメリットが得られ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、墨インキ
の製造工程のどの段階においても用いることができ、迅
速かつ簡単に実施できるカーボンブラックの分散性の評
価方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】 われわれは上記課題を
解決するため鋭意検討した結果、以下のような方法によ
って、墨インキの製造工程のどの段階においても用いる
ことができ、迅速かつ簡単に行えるカーボンブラックの
分散性の評価方法を見いだすに至った。
【0012】すなわち製造途中または完成品の平版印刷
用墨インキを、溶解性パラメーターが8.4以上10.
5以下である有機溶剤に分散することにより、ワニスま
たはカーボンブラックが凝集したりしない分散液が得ら
れ、該分散液中の粒子の直径を測定することにより、元
のインキの分散性を正確に評価することができる。
【0013】墨インキの主成分はカーボンブラックとワ
ニス等のビヒクルである。墨インキを溶解し安定な分散
液を得るためには、適当な有機溶剤を用いる必要があ
る。例えば平版墨インキに一般的に用いられるワニスは
変性フェノール樹脂ワニス、石油樹脂ワニス、アルキド
樹脂ワニスなどであるが、これらのワニスの溶解性は当
然考慮しなければならない。しかし一方で、ワニスが全
て溶解してしまいカーボンブラックが裸になってしまう
場合は、カーボンブラックの溶剤に対する濡れ性も大き
な問題になる。
【0014】われわれが検討した結果によれば、ワニス
の溶解性と、カーボンブラックの濡れ性とを分散性の評
価のために適切なものにする条件は必ずしも一致してい
ないことがわかった。したがって平版墨インキの分散状
態を維持したまま希釈する最適な溶剤は、溶解性パラメ
ータの値においてある範囲内のものに限られてくること
がわかった。
【0015】すなわち、墨インキの製造途中における仕
掛品または完成品のインキを溶解性パラメーターが8.
4以上10.5以下である有機溶剤に分散することによ
って、墨インキの分散性を良好に維持しながら分散性の
評価にも適した希釈分散液をつくることができることが
わかった。
【0016】さらにその溶剤の中でも、エステル系溶
剤、エーテル系溶剤が特に墨インキの分散性を良好に維
持しながら分散性の評価にも適した希釈分散液をつくる
ことができることがわかった。該希釈分散液の分散性の
評価は通常の粒子径測定装置で求められる。また該分散
液を遠心分離して、上澄み液の透明性を判定することに
よっても評価することもできる。
【0017】ここで言う仕掛品とは製造中間段階のイン
キを指しており、通常最終インキよりもカーボンブラッ
クの含有率が高い場合が多い。仕掛品のインキと最終イ
ンキをカーボンブラックの含有率で区別するならば、仕
掛品はおよそ25%以上、最終インキはおよそ25%未
満である。
【0018】カーボンブラックとワニスの組成が変わる
と、希釈用の溶剤の最適な範囲も多少変わり、仕掛品に
ついては溶解性パラメーターが8.4以上9.6以下で
ある有機溶剤がより好ましい。
【0019】尚、溶解性パラメーターは、(液体のモル
蒸発熱/液体のモル体積)の平方根で定義される値であ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の評価方法において墨イン
キを溶剤に分散する方法としては、特別な分散装置は必
要なく、一定量のインキに一定量の溶剤を加えて、スパ
チュラなどで撹拌することで充分である。インキと溶剤
との配合比はその後の評価に用いる粒子径測定装置の最
適濃度によって決まり、特にインキに対して何倍以上の
溶剤を用いなければいけないなどということはない。
【0021】本発明でインキを希釈するために用いる溶
剤としては溶解性パラメーターが8.4以上10.5以
下である有機溶剤であればよく、例えば酢酸n−ブチル
(8.46)、メチルイソブチルケトン(8.57)、
プロピオン酸エチル(8.74)、酢酸n−プロピル
(8.74)、キシレン(8.80)、エチルベンゼン
(8.80)、トルエン(8.91)、酢酸エチル
(9.10)、ベンゼン(9.15)、クロロホルム
(9.21)、メチルエチルケトン(MEK:9.2
7)、テトラヒドロフラン(THF:9.52)、アセ
トフェノン(9.68)、アセトン(9.77)、シク
ロヘキサノン(9.88)、ジクロロメタン(9.9
3)、1,4−ジオキサン(10.00)、ジアセトン
アルコール(10.18)ブチルセロソルブ(10.2
4)などがあげられる。
【0022】粒子径測定ではなく遠心分離による上澄み
から評価する場合には、インキに対して溶剤の量がおお
むね10倍から30倍くらいが適当である。遠心分離の
速度や時間は溶剤によって異なるが、通常5,000回
転/分以上で、30分から1時間程度であることが望ま
しい。
【0023】遠心分離によって得られた上澄み液の濁度
は通常は目視により透明か不透明かで判定できるが、微
妙な濁度のものについては、濁度計での測定が適当であ
る。例えば墨インキをTHFで10倍に希釈してスパチ
ュラで攪拌した後、15,000回転/分で30分遠心
分離した後の上澄みを、光路長10mmのガラスセルに
入れ透過率を測定し、おおむね透過率が20%以下であ
れば分散性良好と見なすことができる。
【0024】
【実施例】
【表1】
【0025】*1:マイクロトラックUPA(日機装社
製)で測定 *2:THFで10倍希釈し、15,000rpmで30
分間遠心分離 表1に5種類(No.1〜5)の平版印刷用墨インキを
テトラヒドロフラン(THF)で希釈し、分散性を評価
した結果を示す。THFの溶解性パラメータは9.52
である。5種類のインキのうち1,2,3はいずれも分
散性が悪く、ミスチング性不良を起こしているが、グラ
インドメータによる評価だけではそれを正しく判別する
ことができない。しかしTHFで希釈した後の分散液中
のカーボンブラックの粒子径測定や遠心分離後の上澄み
の目視評価により正しく判別することができる。
【0026】グラインドメータは溝の深さが50μm〜
0μmのものを使用する。丸印は目視できる範囲で粗粒
子による筋が見られないことを示す。
【0027】ガラス板流度とはインキの流動性の試験法
の一つであり、旧JIS K5702及びそれを置き換
えた印刷インキ工業連合会の団体規格(2000)「新
聞オフセット輪転インキの試験方法」の4.1.4ガラ
ス板流動計による方法に規定されている。分散性が
(良)であると流度は大きくなり、新聞墨インキでは一
般に200mm/10分以上であれば合格とする。
【0028】また、ミスチング性試験は印刷適性の試験
法の一つであり、印刷機上でローラーからインキの小粒
子が飛散して印刷物等を汚す程度を表している。試験方
法はJIS K5701−1の4.2.3ロータリタッ
クメータによる粘着性の試験において、白紙をローラー
直近に置き、1200rpmで2分間回転した時の白紙
上へのインキの飛散状態を観察する。インキ量は1.3
1ccである。分散粒子の直径は日機装社製マイクロト
ラックで測定する。分散性はTHFで10倍に希釈して
遠心分離を行った後に、上澄みを目視で評価した。
【0029】表1より、分散粒子径の値及び分散液上澄
みの濁度は、最終インキの印刷特性の一つであるミスチ
ング性と高い相関を示すことがわかる。
【0030】
【表2】
【0031】*3:溶解性パラメーター 表2に3種類(No.6〜8)の平版印刷用墨インキの
仕掛品を各種溶剤で希釈し、粒子径を測定した例を示
す。3種類の仕掛品は新聞墨インキの製造工程におい
て、第一次の練肉工程終了後にサンプリングしたもので
あり、いずれもカーボンブラックの含有量が30%以上
と高濃度のものである。シクロヘキサンやアセトンでは
希釈した分散液に凝集が起きて粒子径が粗大になり、ミ
スチングとの相関性が悪く、評価方法としての信頼性が
低い。n−ブタノールはインキを溶解せず使用できな
い。
【0032】
【表3】
【0033】*4:遠心分離の回転数 表3に3種類(No.6〜8)の平版印刷用墨インキの
仕掛品を各種溶剤で希釈し、分散液を遠心分離して上澄
み液の濁度を評価した例を示す。シクロヘキサンでは希
釈した分散液に凝集が起きて、インキの分散性と濁度と
の相関が悪く、インキの評価方法としての信頼性が低
い。
【0034】
【表4】
【0035】*5:THFで10倍希釈し、15,000
rpmで30分遠心分離 表4に3種類(No.9〜11)の平版印刷用墨インキ
をTHF及びその他表に示す溶剤や混合溶剤で希釈し、
粒子径を測定した結果を示す。THFで希釈したものは
分散液を遠心分離して上澄み液の濁度を評価した例であ
る。表4より、トルエン/メタノールの比を6/4とし
て溶解性パラメータが11.06の混合溶剤を用いた場
合には粒子径が大きくなり、凝集が起きていることが推
定される。またインキの分散性との相関も悪い。
【0036】
【発明の効果】本発明の評価方法を用いることにより、
墨インキの製造途中のものおよび製品の分散性の評価を
迅速かつ簡単に行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣田 憲孝 埼玉県さいたま市原山1−22−2 コスモ サ゛ハ゜ークス浦和 (72)発明者 布川 陽子 東京都品川区東大井6−17−3 (72)発明者 高橋 正憲 東京都江東区南砂2−3−2−409 Fターム(参考) 4J037 AA02 CB07 CB10 DD05 4J039 BA04 BE12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製造途中または完成品の平版オフセット
    印刷用墨インキを、溶解性パラメーターが8.4以上1
    0.5以下である有機溶剤に分散し、該分散液中のカー
    ボンブラックの粒子径を測定する、ことよりなる墨イン
    キの分散性の評価方法。
  2. 【請求項2】 製造途中または完成品の平版印刷用墨イ
    ンキを、溶解性パラメーターが8.4以上10.5以下
    である有機溶剤に分散し、該分散液を遠心分離してその
    上澄み液の濁度を測定する、ことよりなる墨インキの分
    散性の評価方法。
  3. 【請求項3】 墨インキを分散する有機溶剤がエステル
    系溶剤またはエーテル系溶剤である請求項1または請求
    項2に記載の分散性の評価方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014197507A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 プライムアースEvエナジー株式会社 水素吸蔵合金粉末の評価方法、ニッケル水素蓄電池の製造方法及びニッケル水素蓄電池
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