JP2003034942A - マンホール用蓋のスライド式ロック機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】蓋に働く繰り返し荷重や微小振動などの外的要
因により係合力が低減するおそれのないマンホール用蓋
のロック機構を提供する。 【解決手段】本発明に係るスライド式ロック機構は、マ
ンホール(1)の出入り口(2)の内壁面(3)に設けられた固
定係止部(4)と協働して蓋(5)の係脱をなすもので、支持
体(6)及び係止機構(7)を有する。該支持体は該係止機構
の支持用で、該蓋の裏面(51)にかつ該蓋の外周部分に貫
設された操作孔(52)に臨んで配設される。該係止機構は
該支持体に定位置で揺動自在に支持された偏心ピン(71)
と、該支持体に支持され該偏心ピンと係合してその係止
部(72)が該マンホールの該固定係止部との係合位置に臨
出自在の摺動子(73)を有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、送電線の地中化工
事などの目的で地中に設けられる溝のマンホール用蓋に
関し、特にそのマンホール用蓋のロック機構に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】近年、街の景観向上、電柱を減らすこと
による歩道の安全確保等を目的とした送電線の地中化工
事が実施されるようになってきている。通常、送電線の
地中化は、地中に設けられた溝の内部に配線することで
実施される。このとき、溝の開口部は配線作業後に塞が
れることになるが、工事終了後も維持補修のための溝内
部への人の出入りが必要となる。そこで、溝の開口部に
はマンホールが設けられ、このマンホールの開口が蓋に
より塞がれることになる。そして、このマンホール用蓋
は、自身が溝内部に落下しないようにその周縁部がマン
ホールの開口周縁部に係合するように設置されるととも
に、その裏面には開口から外れないためのロック機構が
設けられる。なお、ロック機構は、何らかの理由により
発生した溝内部での爆発により蓋が吹き飛んで周囲の人
や物へ被害を与えることを防止するためのもである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のロック
機構は、蓋の裏面に突設されたＬ字型の鋼材とマンホー
ル壁面に設けられた突設部とを係合させるのみの構造で
あった。そのため、例えば蓋上面を通過する車輌等によ
り、蓋に鉛直方向の繰り返し荷重がかかると上記鋼材は
Ｌ字の角部が広がる方向に変形し、時間の経過に伴い充
分な係合力を得ることができなくなるという問題があっ
た。また、上記鋼材は、蓋体に対して回動自在にされて
おり、作業員等が溝内部へ入るために蓋を外す際には鋼
材を回動させ上記突設部との係合を解除できるようにな
っているが、蓋に微小振動が加えられると鋼材が少しず
つ回動し、時間の経過に伴い係合が解除されてしまうお
それがあった。

【０００４】そこで、本発明の目的は、蓋に働く繰り返
し荷重や微小振動などの外的要因により係合力が低減す
るおそれのないマンホール用蓋のロック機構を提供する
ことにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明にかかるマンホー
ル用蓋のスライド式ロック機構は、マンホールの出入り
口の内壁面に設けられた固定係止部と協働して蓋の係脱
をなすもので、支持体及び係止機構を有し、該支持体は
該係止機構の支持用で、該蓋の裏面にかつ該蓋の外周部
分に貫設された操作孔に臨んで配設され、該係止機構は
該支持体に定位置で揺動自在に支持された偏心ピンと、
該支持体に支持され該偏心ピンと係合してその係止部が
該マンホールの該固定係止部との係合位置に臨出自在の
摺動子を有していることを特徴とする。

【０００６】このスライド式ロック機構によれば、マン
ホールの固定係止部と係合する係止機構とこの係止機構
を支持する支持体とを別体にしたので、係止部分と支持
部分とが一体に形成されていた従来のものと比較し、支
持体の形状や材質等の選択の自由度を広げることができ
る。そのため、支持体に強度を持たせ、繰り返し荷重の
変形等に帰因する係合力の減少を防止することができ
る。また、係止機構と固定係止部とを係合させる摺動子
は偏心ピンと係合して係止部が固定係止部との係合位置
に臨出されるようになっているので、蓋に微小振動が働
く場合でも、その微小振動は摺動子に対する偏心ピンの
振動で吸収される。そのため、微小振動で摺動子が動い
て係合が解除されるおそれがない。更に、係止機構と固
定係止部の係合した状態及び係合が解除された状態は、
偏心ピンを揺動させるだけで切り換えることができる。
しかも、支持体は操作孔に臨んで配置されているので、
偏心ピンの操作は操作孔を通して外部から行うことがで
きる。そのため、マンホールの開放が必要な場合には外
から係止機構の係合を解除して容易に蓋を外すことがで
きるとともに、作業が終了した際は蓋をした後外側から
係止機構を容易に係合状態に戻すことができる。

【０００７】該支持体は該摺動子を案内する箱部と、該
偏心ピンをアームを介して支持する基軸を回転自在に支
持する軸孔を備えた蓋部と、該箱部と該蓋部を該蓋に取
付ける取付具を有していてもよい。この場合、摺動子は
箱部に案内されその摺動が円滑に行われるとともに、偏
心ピンの操作が基軸の回転だけで行われるようになるの
で、係止機構の操作性を向上させることができる。

【０００８】該箱部は相対する側壁に該摺動子の案内溝
が形成され、底壁に該案内溝からずれた位置に該取付具
の挿通孔が穿たれていてもよい。この場合、摺動子は案
内溝の間に架設され、箱部の長手方向と直交して摺動す
る。このときの摺動子の動きは相対する案内溝によって
規制されるので、軌道からずれることが無く、より円滑
な摺動が可能となる。

【０００９】該蓋部は該箱部の該挿通孔に相対して挿通
孔が穿たれ、かつ該案内溝に臨出する該アーム用のスト
ッパーを備えていてもよい。この場合、ストッパーはア
ームの動きを規制して過度の移動による誤操作を防止す
る役割を果たすとともに、蓋部の鉛直方向の力に対する
強度を高める効果をもたらす。そのため、蓋に鉛直方向
の繰り返し荷重がかかって支持体が鉛直方向に上下動し
た場合に、摺動子の係止部を下げる方向に働く繰り返し
荷重に帰因する蓋部の変形を防止することができる。

【００１０】該基軸は一端に異形頭を備え、かつ該異形
頭と該アームの間で該蓋部の該軸孔を貫通していてもよ
い。この場合、基軸は専用工具以外の工具での回動が困
難となり、いたずら等の不正目的で無関係者が係止機構
を容易に解除できないようにすることができる。また、
異形頭の形状を例えば三角形などとして回動させた角度
を確認できるようにしておけば、係止機構の状態を把握
して係合状態になっているかどうかを容易に確認するこ
とができる。

【００１１】該摺動子は側方へ突出する耳片を有し、該
耳片に該偏心ピンの係合孔が穿たれていてもよい。この
場合、偏心ピンと係合する位置を適宜調整することがで
き、設計の自由度を広げることができる。

【００１２】該操作孔は内部にねじを備え、該蓋の表面
側の開口を塞ぐ螺栓が螺合自在となっていてもよい。こ
の場合、螺栓で開口を塞ぎ、無関係者による係止機構の
不正な解除の防止効果を更に高めることができる。

【００１３】該螺栓の操作側の端部は異形ナットに形成
されていてもよい。この場合、螺栓は専用工具以外の工
具での開放が困難となり、無関係者による係止機構の不
正な解除の防止効果を更に高めることができる。

【００１４】

【発明実施の形態】図１〜５に、本発明にかかるマンホ
ール用蓋のスライド式ロック機構の具体例を示す。図１
は同ロック機構の概観を示す斜視図である。図２は同ロ
ック機構の箱部を除き蓋部の一部を切り欠いて示す斜視
図である。図３は同ロック機構の係合が解除された状態
を示す斜視図である。図４は同ロック機構の分解斜視図
である。図５は同ロック機構の使用状態を示す断面図で
ある。

【００１５】このスライド式ロック機構は、マンホール
１の出入り口２の内壁面３に設けられた固定係止部４と
協働して蓋５の係脱をなすもので、支持体６及び係止機
構７を有している。支持体６は係止機構７の支持用で、
蓋５の裏面５１にかつ蓋５の外周部分に貫設された操作
孔５２に臨んで配設されている。係止機構７は、支持体
６に定位置で揺動自在に支持された偏心ピン７１と、こ
の偏心ピン７１と係合してその係止部７２が前記固定係
止部４との係合位置に臨出自在の摺動子７３を有してい
る。

【００１６】このスライド式ロック機構によれば、マン
ホール１の固定係止部４と係合する係止機構７と係止機
構７を支持する支持体６とを別体にしたので、係止部分
と支持部分とが一体に形成されていた従来のものと比較
し、支持体６の形状や材質等の選択の自由度を広げるこ
とができる。そのため、支持体６に強度を持たせ、繰り
返し荷重の変形等に帰因する係合力の減少を防止するこ
とができる。また、係止機構７と固定係止部４とを係合
させる摺動子７３は偏心ピン７１と係合して係止部７２
が固定係止部４との係合位置に臨出されるようになって
いるので、蓋５に微小振動が働く場合でも、その微小振
動は摺動子７３に対する偏心ピン７１の振動で吸収され
る。そのため、微小振動で摺動子７３が動いて係合が解
除されるおそれがない。更に、係止機構７と固定係止部
４の係合した状態及び係合が解除された状態は、偏心ピ
ン７１を揺動させるだけで切り換えることができる。し
かも、支持体６は操作孔５２に臨んで配置されているの
で、偏心ピン７１の操作は操作孔５２を通して外部から
行うことができる。そのため、マンホール１の開放が必
要な場合には外から係止機構７の係合を解除して容易に
蓋を外すことができるとともに、作業が終了した際は蓋
５をした後外側から係止機構７を容易に係合状態に戻す
ことができる

【００１７】支持体６は摺動子７３を案内する箱部６１
と、偏心ピン７１をアーム７４を介して支持する基軸７
５を回転自在に支持する軸孔６２を備えた蓋部６３と、
箱部６１と蓋部６３を蓋５に取付ける取付具６４を有し
ている。こうすると、摺動子７３は箱部６１に案内され
その摺動が円滑に行われるとともに、偏心ピン７１の操
作が基軸７５の回転だけで行われるようになるので、係
止機構７の操作性を向上させることができる。

【００１８】箱部６１は相対する側壁６５に摺動子７３
の案内溝６６が形成され、底壁６７に案内溝６６からず
れた位置に取付具６４の挿通孔６８が穿たれている。こ
うすると、摺動子７３は案内溝６６の間に架設され、箱
部６１の長手方向と直交して摺動する。このときの摺動
子７３の動きは相対する案内溝６６によって規制される
ので、軌道からずれることが無く、より円滑な摺動が可
能となる。

【００１９】蓋部５は箱部６１の挿通孔６８に相対して
挿通孔６９が穿たれ、かつ案内溝６６に臨出するアーム
７４用のストッパー７０を備えている。この場合、スト
ッパー７０はアーム７４の動きを規制して過度の移動に
よる誤操作を防止する役割を果たすとともに、蓋部６３
の鉛直方向の力に対する強度を高める効果をもたらす。
そのため、蓋５に鉛直方向の繰り返し荷重がかかって支
持体６が鉛直方向に上下動した場合に、摺動子７３の係
止部７２を下げる方向に働く繰り返し荷重に帰因する蓋
部６３の変形を防止することができる。

【００２０】基軸７５は一端に異形頭７６を備え、かつ
異形頭７６とアーム７４の間で蓋部６３の軸孔６２を貫
通している。こうすると、基軸７５は専用工具以外の工
具での回動が困難となり、いたずら等の不正目的で無関
係者が係止機構７を容易に解除できないようにすること
ができる。また、異形頭７６の形状は三角形となってい
るので、その頂角の配置により、係止機構７の状態を把
握して係合状態になっているかどうかを容易に確認する
ことができる。なお、異形頭の形状は、回動させた角度
の確認ができるものであればに特に制限はなく、適宜そ
の他の形状としてもよい。

【００２１】摺動子７３は側方へ突出する耳片７７を有
し、耳片７７に偏心ピン７１の係合孔７８が穿たれてい
る。こうすると、偏心ピン７１と係合する位置を適宜調
整することができ、設計の自由度を広げることができ
る。

【００２２】操作孔５２は内部にねじ５３を備え、蓋５
の表面５４側の開口５５を塞ぐ螺栓５６が螺合自在とな
っている。こうすると、螺栓５６で開口５５を塞ぎ、無
関係者による係止機構７の不正な解除の防止効果を更に
高めることができる。

【００２３】螺栓５６の操作側の端部は異形ナット５７
に形成されている。こうすると、螺栓５６は専用工具以
外の工具での開放が困難となり、無関係者による係止機
構の不正な解除の防止効果を更に高めることができる。

【００２４】なお、図面で、９１はワッシャー、９３は
アンカーボルト、９４はマンホール１の固定用ナットで
ある。

【００２５】

【発明の効果】本発明によれば、係止部分と支持部分と
が一体に形成されていた従来のものと比較し、支持体の
形状や材質等の選択の自由度を広げることができる。そ
のため、支持体に強度を持たせ、繰り返し荷重の変形等
に帰因する係合力の減少を防止することができる。ま
た、蓋に働く微小振動は摺動子に対する偏心ピンの振動
で吸収される。そのため、微小振動で摺動子が動いて係
合が解除されるおそれがない。更に、マンホールの開放
が必要な場合には外から係止機構の係合を解除して容易
に蓋を外すことができるとともに、作業が終了した際は
蓋をした後外側から係止機構を容易に係合状態に戻すこ
とができる。

【００２６】請求項２によれば、摺動子は箱部に案内さ
れその摺動が円滑に行われるとともに、偏心ピンの操作
が基軸の回転だけで行われるようになるので、係止機構
の操作性を向上させることができる。

【００２７】請求項３によれば、摺動子の動きは相対す
る案内溝によって規制されるので、軌道からずれること
が無く、より円滑な摺動が可能となる。

【００２８】請求項４によれば、蓋に鉛直方向の繰り返
し荷重がかかって支持体が鉛直方向に上下動した場合
に、摺動子の係止部を下げる方向に働く繰り返し荷重に
帰因する蓋部の変形を防止することができる。

【００２９】請求項５によれば、基軸は専用工具以外の
工具での回動が困難となり、いたずら等の不正目的で無
関係者が係止機構を容易に解除できないようにすること
ができる。また、係止機構の状態を把握して係合状態に
なっているかどうかを容易に確認することができる。

【００３０】請求項６によれば、偏心ピンと係合する位
置を適宜調整することができ、設計の自由度を広げるこ
とができる。

【００３１】請求項７によれば、螺栓で開口を塞ぎ、無
関係者による係止機構の不正な解除の防止効果を更に高
めることができる。

【００３２】請求項８によれば、螺栓は専用工具以外の
工具での開放が困難となり、無関係者による係止機構の
不正な解除の防止効果を更に高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかるマンホール用蓋のスライド式ロ
ック機構の具体例を示す斜視図である。

【図２】同ロック機構の箱部を除き蓋部の一部を切り欠
いて示す斜視図である。

【図３】同ロック機構の係合が解除された状態を示す斜
視図である。

【図４】同ロック機構の分解斜視図である。

【図５】同ロック機構の使用状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１ マンホール ２ 出入り口 ３ 内壁面 ４ 係止部 ５ 蓋 ６ 支持体 ７ 係止機構 ５１ 裏面 ５２ 操作孔 ５３ ねじ ５４ 表面 ５５ 開口 ５６ 螺栓 ５７ 異形ナット ６１ 箱部 ６２ 軸孔 ６３ 蓋部 ６４ 取付具 ６５ 側壁 ６６ 案内溝 ６７ 底壁 ６８、６９ 挿通孔 ７０ ストッパー ７１ 偏心ピン ７２ 係止部 ７３ 摺動子 ７４ アーム ７５ 基軸 ７６ 異形頭 ７７ 耳偏 ７８ 係合孔

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 マンホール(1)の出入り口(2)の内壁面
   (3)に設けられた固定係止部(4)と協働して蓋(5)の係脱
   をなすもので、支持体(6)及び係止機構(7)を有し、 該支持体(6)は該係止機構(7)の支持用で、該蓋(5)の裏
   面(51)にかつ該蓋(5)の外周部分に貫設された操作孔(5
   2)に臨んで配設され、 該係止機構(7)は該支持体(6)に定位置で揺動自在に支持
   された偏心ピン(71)と、該支持体(6)に支持され該偏心
   ピン(71)と係合してその係止部(72)が該マンホール(1)
   の該固定係止部(4)との係合位置に臨出自在の摺動子(7
   3)を有していることを特徴とするマンホール用蓋のスラ
   イド式ロック機構。
2. 【請求項２】 該支持体(6)は該摺動子(73)を案内する
   箱部(61)と、該偏心ピン(71)をアーム(74)を介して支持
   する基軸(75)を回転自在に支持する軸孔(62)を備えた蓋
   部(63)と、該箱部(61)と該蓋部(63)を該蓋(5)に取付け
   る取付具(64)を有している請求項１に記載のマンホール
   用蓋のスライド式ロック機構。
3. 【請求項３】 該箱部(61)は相対する側壁(65)に該摺動
   子(73)の案内溝(66)が形成され、底壁(67)に該案内溝(6
   6)からずれた位置に該取付具(64)の挿通孔(68)が穿たれ
   ている請求項２に記載のマンホール用蓋のスライド式ロ
   ック機構。
4. 【請求項４】 該蓋部(63)は該箱部(61)の該挿通孔(68)
   に相対して挿通孔(69)が穿たれ、かつ該案内溝(66)に臨
   出する該アーム(74)用のストッパー(70)を備えている請
   求項２に記載のマンホール用蓋のスライド式ロック機
   構。
5. 【請求項５】 該基軸(75)は一端に異形頭(76)を備え、
   かつ該異形頭(76)と該アーム(74)の間で該蓋部(63)の該
   軸孔(62)を貫通している請求項２に記載のマンホール用
   蓋のスライド式ロック機構。
6. 【請求項６】 該摺動子(73)は側方へ突出する耳片(77)
   を有し、該耳片(77)に該偏心ピン(71)の係合孔(78)が穿
   たれている請求項２に記載のマンホール用蓋のスライド
   式ロック機構。
7. 【請求項７】 該操作孔(52)は内部にねじ(53)を備え、
   該蓋(5)の表面(54)側の開口(55)を塞ぐ螺栓(56)が螺合
   自在となっている請求項１に記載のマンホール用蓋のス
   ライド式ロック機構。
8. 【請求項８】 該螺栓(56)の操作側の端部は異形ナット
   (57)に形成されている請求項７に記載のマンホール用蓋
   のスライド式ロック機構。