JP2003034554A - 光学機器の設けられた車両用曲げガラス板 - Google Patents

光学機器の設けられた車両用曲げガラス板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両用曲げガラス板に反射防止膜を施した場
合でも、光学機器の性能が低下しないような光学機器が
設けられた車両用曲げガラス板の提供を目的とする。 【解決手段】 ガラス板の主表面上に前記ガラス板に少
なくとも光を照射する機能を有する光学機器が設けられ
た車両用曲げガラス板において、前記ガラス板の前記光
学機器が設けられている部分のガラス面を除く主表面上
には、前記光を吸収する層を含む複数の層からなる反射
防止膜が形成されており、前記光学機器が設けられてい
る部分のガラス面上には、直接的にシリカを主成分とす
る膜が形成されていることを特徴とする光学機器が設け
られた車両用曲げガラス板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも光を照
射する機能を有する光学機器の設けられた車両用曲げガ
ラス板に関する。特に、レインセンサなどの光学機器を
備えたガラス板において、さらに反射防止膜が設けられ
ているガラス板に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、ガラス板およびガラス物品の表面
に、スパッタリング法、蒸着法、ロールコート法等の様
々な手法により、反射膜、反射防止膜、着色膜、撥水膜
等の機能性薄膜が形成されている。
【0003】なかでもゾル−ゲル法を用いたロールコー
ト法、ディップコート法、スプレー法等のウェットコー
ティング法は、真空装置を必要とするスパッタリング法
や蒸着法に比べ、設備費および生産性においても優れた
手法であり、広い分野にて取り入れられている。
【0004】特にロールコート法は大面積での連続生産
が可能であり、自動車などの車両用曲げガラスのコーテ
ィング方法として優れた手法である。
【0005】本出願人も、ゾル−ゲル法を自動車窓に適
する反射防止ガラス板に適用し、特開平11−2925
68号、特開2000−177381、特開2000−
256040や特開2000−256042などの出願
を行っている。
【0006】ところで近年、乗用車等において、情報化
や安全性が重視されてきている。情報化を行うためにI
TSなどの通信用の光学機器が、また安全性を高めるた
めに光学式のレインセンサなどの光学機器が多く搭載さ
れるようになってきている。
【0007】さらにウインドシールドガラスにおいて、
ダッシュボードが写り込むと、前方が見にくくなる畏れ
がある。これを防ぐために、ウインドシールドガラス板
の車内側表面に反射防止膜を設けるとよい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】例えば、反射防止ガラ
スとしたウインドシールドガラスにおいて、さらに上述
した光学機器を採用しようとすると、以下のような不具
合の発生が考えられる。すなわち、ガラス表面にコート
されている反射防止膜が、その機能性により光学機器の
性能を低下させることである。
【0009】基本的に反射防止膜は、光学薄膜における
光の干渉を利用して反射を防止するものである。このよ
うな反射防止膜は、入射する光をできるだけ反射しない
ようにして、透過する光を増加させるようにしたもので
ある。後述するような多層膜からなる反射防止膜では、
必ず相対的に低屈折率層から高屈折率層への光の入射が
存在することになる。透明基板の裏面における反射も考
慮すると、低屈折率層から高屈折率層への光の入射は、
2回以上存在することになる。
【0010】光学式レインセンサのように、ガラス裏面
の反射を利用して雨滴の付着を検出する方式では、この
ような反射防止膜が存在すると、屈折率の異なる界面
で、反射ロスが発生してしまう。この反射ロスによっ
て、受光素子の出力が低下してしまう。
【0011】反射防止膜とは、透明基板の裏面反射も考
慮し、光が入射する側へ反射する光を低減させるもので
ある。したがって、透明基板の裏面反射を利用するよう
な光学機器と、反射防止膜が形成された透明基板と組み
合わせた場合、反射光が減少してしまい、結果として光
学機器の性能を低下させることになる。
【0012】とりわけ、ウインドシールドガラスに適用
される反射防止膜では、ダッシュボードの写り込みを防
ぐために、斜め入射の光による反射を抑える努力がなさ
れている。このため、裏面反射を利用するような光学機
器では、特にその性能が低下してしまうことになる。
【0013】そこで、光学機器の性能と反射防止膜の性
能の両立が必要である。そのためには、光学機器の設置
する場所に対応する反射防止膜を一部分除去する、ある
いは一部分形成しないようにするとよい。
【0014】ところで、車両用窓ガラス板の場合、多く
の場合曲げ加工が施されて用いられている。ガラス板表
面において部分的に反射防止膜の形成されていない箇所
が存在すると、ガラス板の曲げ加工の際に加熱した場
合、膜応力の影響で、ガラス板の曲がり方に違いが発生
してしまい、結果として光学的歪みが発生してしまうこ
とがある。
【0015】そこで本発明は、上述したような不具合を
解決するために、車両用曲げガラス板に反射防止膜を設
けた場合でも、光学機器の性能が低下しないような車両
用曲げガラス板の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明は請求項1の発明として、ガラス板の主
表面上に前記ガラス板に少なくとも光を照射する機能を
有する光学機器の設けられた車両用曲げガラス板におい
て、前記光学機器の設けられている部分を除く前記ガラ
ス板の主表面上には、少なくとも2層からなる反射防止
膜が形成されており、前記光学機器が設けられる部分に
は、直接的にシリカを主成分とする層が形成されている
ことを特徴とする光学機器が設けられた車両用曲げガラ
ス板である。
【0017】請求項2の発明として、前記反射防止膜
は、前記ガラス板より高い屈折率を有する第1層と、該
第1層上に設けられ前記ガラス板より低い屈折率を有す
る第2層の2層構成からなる請求項1に記載の光学機器
の設けられた車両用曲げガラス板である。
【0018】請求項3の発明として、前記第2層はシリ
カを主成分とする請求項2に記載の光学機器の設けられ
た車両用曲げガラス板である。
【0019】請求項4の発明として、前記第1層の屈折
率(n1)が1.65〜2.20でかつ膜厚が110〜1
50nmであり、第2層の屈折率(n2)が1.37〜
1.49でかつ膜厚が81〜100nmである請求項2
に記載の光学機器の設けられた車両用曲げガラス板であ
る。
【0020】請求項5の発明として、前記第1層の屈折
率(n1)が1.67〜1.8であり、前記第2層の屈
折率(n2)が1.40〜1.47である請求項4に記
載の光学機器の設けられた車両用曲げガラス板である。
【0021】請求項6の発明として、前記光学機器の設
けられる部分に形成されたシリカを主成分とする層と前
記第2層が、一体に形成されている請求項2に記載の光
学機器の設けられた車両用曲げガラス板である。
【0022】請求項7の発明として、前記第1層および
前記第2層は、ゾル−ゲル法により形成されたものであ
る請求項4に記載の光学機器の設けられた車両用曲げガ
ラス板である。
【0023】請求項8の発明として、前記光学機器は、
光学式雨滴検出装置である請求項1に記載の光学機器の
設けられた車両用曲げガラス板である。
【0024】本発明では、光学機器を取り付ける部分に
は反射防止膜を形成しないようにし、さらに当該部分に
は直接的にシリカを主成分とする膜を形成するようにし
た。
【0025】このようにすると、反射防止膜が部分的に
形成されていない場合でも、曲げ工程における加熱によ
って、膜応力の影響でガラス板に光学的歪みが発生する
ことが少なくなる。
【0026】なお本明細書において、シリカを主成分と
する膜とは、50質量%以上の二酸化珪素(SiO2
を含む膜を意味する。
【0027】また本明細書において、屈折率は波長55
0nmの光にて測定した値である。さらに膜厚は物理膜
厚である。
【0028】
【発明の実施の形態】まず車両用曲げガラス板、特にウ
インドシールドガラスの用途に好ましく適用される反射
防止膜について説明する。
【0029】一般に透明基板に形成される反射防止膜
は、その層の数によりいくつかのグループに分けられ
る。すなわち、単層構成、2層構成、3層構成、多層構
成である。
【0030】まず単層構成の反射防止膜は、例えば透明
基板としてガラス板上に、該ガラス板の屈折率より低い
屈折率の膜を形成している。実用的な低屈折率材料とし
ては、MgF2やSiO2が挙げられる。
【0031】このような単層構成では、反射防止の効果
が十分でないので、ガラス板の屈折率より高い屈折率層
と低い屈折率層の2層を組み合わせた2層構成の反射防
止膜が用いられている。
【0032】さらに2層構成でも、反射防止の効果が十
分でない場合は、低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層
からなる3層構成としたり、さらに4層以上の構成から
なる反射防止膜も用いられる。
【0033】なおいずれにせよ、反射防止膜の最上層に
は、透明基板の屈折率より低い屈折率層を形成すること
になる。例えば、ガラス板に対する低屈折率材料は、上
述したMgF2やSiO2のみが実用的である。しかしM
gF2では、耐久性や耐候性に乏しく、またガラス板の
曲げ工程における加熱には耐えられないので、このよう
な用途に適用可能な材料はSiO2のみとなる。
【0034】ここで、車両用の曲げガラス板への反射防
止膜を適用する場合を考えると、膜厚の均一性などか
ら、平板の状態で反射防止膜を形成し、その後加熱して
ガラス板を曲げるのが好ましい。
【0035】比較的簡単な膜構成で、反射防止の効果が
大きな2層構成の反射防止膜において、低屈折率材料で
あるn2=1.46のSiO2に組み合わせられる高屈折率材
料の屈折率を算出してみる。n1とn2の関係は、ガラス
の屈折率(=1.52)をng、空気の屈折率(=1.0)をn3とす
ると、次式で与えられる。
【数1】n1=[(n22×ng/n01/2 この式からn1を求めると、n1=1.80となる。
【0036】また車両用のガラス板に適用することを考
慮すると、大面積への適用が可能で設備的にも簡便なゾ
ル−ゲル法による成膜が好適である。ゾル−ゲル法にて
成膜可能な単一材料において、n1=1.80付近の屈折率を
有する適当な材料はない。そこでいずれもゾル−ゲル法
にて成膜可能な、n=2.2のTiO2とn=1.46のSiO2
とを混合した層を適用することが考えられる。さらにn
=1.95のZrO2や、CeO2、Bi23などを含ませ
て、高屈折率層を形成してもよい。
【0037】また低屈折率材料であるSiO2層も、ゾ
ル−ゲル法にて形成されるとよい。さらに多孔質状の膜
として、見かけ上の屈折率を下げてもよい。また低屈折
率の無機微粒子を混入させて、屈折率を下げてもよい。
第2層の屈折率を下げると、反射防止の効果が大きくな
る。なお第2層はシリカを主成分とするが、B23やA
23を含ませてもよい。
【0038】この2層構成の反射防止膜において、第1
層の屈折率(n1)を1.65〜2.20でかつ膜厚
(d1)を110〜150nmとし、第2層の屈折率
(n2)を1.37〜1.49でかつ膜厚(d2)を81
〜100nmとすることが好ましい。
【0039】さらに第1層の屈折率(n1)を1.67
〜1.8とし、前記第2層の屈折率(n2)を1.40
〜1.47とすることがより好ましい。
【0040】2層構成の反射防止膜をこのような構成に
すると、車両用ガラス板、特にウインドシールドガラス
に適用した場合に重要となる、斜めからの光に対する反
射防止効果に優れている。
【0041】さらに、光学機器の設けられる部分に形成
されるシリカを主成分とする層も、ゾル−ゲル法にて成
膜されるとよい。
【0042】(塗布溶液の調整)まず、反射防止膜を形
成するための塗布溶液の調整について説明する。エチル
シリケート40(コルコート社製) 500gを、エチ
ルセロソルブ410gおよび0.1mol/Lの塩酸 90gに
て加水分解し、さらに撹拌して、溶液Aを調整した。つ
ぎに、チタニウムテトライソプロポキシド 65.5g
とアセチルアセトン64.1gとを混合し、溶液Bを調
整した。
【0043】この溶液Aと溶液Bを1:1の割合で混合
し、さらにエチルセロソルブ溶媒にて適宜希釈して、塗
布溶液Cを調整した。さらに溶液Aを、エチルセロソル
ブ溶媒にて適宜希釈し調整したものを、塗布溶液Dとし
た。
【0044】(実施例1)まず、調整された塗布溶液C
を、所定の寸法に切断され洗浄されたフロート法による
ソーダライム珪酸塩ガラス板上に、ロールコート法にて
塗布した。このとき、光学機器を取り付ける場所には塗
布されないように、フレキソ版の当該場所表面は、切り
欠きを設けておいた。
【0045】この塗布されたガラス板を、約300℃に
て乾燥した。次に、このガラス板の全面に、塗布溶液D
を、同様にロールコート法にて塗布し、約300℃にて
乾燥した。この結果、塗布溶液Dは光学機器を取り付け
る場所も含め、ガラス板の主表面全面に塗布された。
【0046】このガラス板を620〜630℃にて焼成
し、さらに自動車用ガラスとして曲げ成形を行った。曲
げ成形は、前記ガラス板と、同様の形状に加工された別
のガラス板を積み重ねて自重曲げ型上に載せ、加熱炉内
にて自重により行った。
【0047】このように、1層目には屈折率n1=約
1.74、膜厚d1=約130nm、2層目には屈折率
2=約1.44、膜厚d2=約90nmの2層構成の反
射防止膜が形成されたガラス板を得た。
【0048】この反射防止膜付きガラス板を車内側に、
前記別のガラス板を車外側として、さらに中間膜である
PVB膜を用いて、通常の合わせ工程を経て、自動車用
反射防止膜付き曲げガラス板であるウインドシールド用
合わせガラス板を得た。
【0049】この実施例では、光学機器を取り付ける部
分に直接的に形成するシリカを主成分とする膜を、2層
構成の反射防止膜の上層と兼用するようにし、一体的に
形成した。この結果、工程を簡略化することができる。
【0050】なお、反射防止膜を形成した面が車内側と
なるようにしており、車外側用ガラス板には、このよう
な処理はしていない。
【0051】光学機器が設けられている部分のガラス面
上に、少なくとも直接的にシリカを主成分とする膜が形
成されていると、ガラス板の主表面に反射防止膜が形成
されていても、ガラス板の曲げ工程で、膜応力の影響が
小さくなるので、光学的歪みも無視できる程度となる。
【0052】上述の自動車用反射防止膜付き曲げガラス
板において、前記1層目を形成していない部分に、光学
機器であるレインセンサのモジュールを取り付けて、光
学機器の設けられた車両用曲げガラス板を得た。光学機
器を取り付けた部分の断面の様子を図1に示した。
【0053】図1において、ガラス板1の表面には、高
屈折率層21と低屈折率層22からなる低反射膜2が設
けられている。さらにガラス板1において、例えばレイ
ンセンサなどの光学機器3を設ける領域には、高屈折率
層21が形成されておらず、低屈折率層22が直接形成
されている。
【0054】こうして得られた自動車用反射防止膜付き
曲げガラス板は、自動車用安全ガラス基準を満足してお
り、特に光学機器を設置する部分での像の歪みもなく、
優れた光学特性を示した。また前記ガラス板の主表面
は、反射防止機能を有しており、ダッシュボードの写り
込みもなく、運転者に良好な視界を提供できる。
【0055】この自動車用反射防止膜付き曲げガラス板
において、光学機器を取り付ける場所の光学スペクトル
を測定し、センサへの出力の影響を確認した。なお、こ
の場合の光学機器は、700nmの波長の光を使用する
レインセンサとした。
【0056】実施例1のガラス板に対して、一例として
45°の角度で光が入射したときの界面におけるロスだ
けを考慮した透過率を算出したところ、約99.8%で
あった。
【0057】実施例1では、検知面である車外側用ガラ
ス板において、2回反射するような設計としているの
で、低屈折率層から高屈折率層への界面は4つ存在す
る。つまりセンサの出力変化は、この透過率の4乗で減
少してしまうことなる。実施例1における反射光の減少
量は約0.8%であり、これは無視できるほど小さいも
のであった。
【0058】(実施例2)実施例2は、実施例1におい
て溶液Cを塗布しなかった箇所に、低屈折率用を形成す
る前に溶液Dを塗布し、さらにガラス表面全面に溶液D
を塗布したものである(図2参照)。
【0059】図2において、光学機器3を設ける領域に
は、高屈折率層21を形成しない代わりに低屈折率層2
3が形成され、さらに低屈折率層22が形成されてい
る。なお、高屈折率層21の膜厚と低屈折率層23のそ
れは、実質的に同じにすることが好ましい。
【0060】このような構成とすると、ガラス板の曲げ
加工の際に発生する膜応力の影響をほとんどなくすこと
ができる。その結果、光学的歪みが発生せず、好ましい
形態である。
【0061】(比較例1)実施例1と同様の塗布溶液を
用いて、自動車用反射防止膜付き曲げガラス板を作製し
た。ただし、塗布溶液Dを用いて2層目を塗布するとき
も、光学機器を取り付ける場所には、1層目の塗布と同
様に、溶液を塗布しないようにした。つまりこの比較例
1では、光学機器を取り付ける領域には、全く反射防止
膜が形成されていない(図3参照)。
【0062】このようにして得た自動車用反射防止膜付
き曲げガラス板を通じて、格子模様を観察した。その観
察結果の様子を模式的に図4に示す。図より明らかなよ
うに、反射防止膜を形成した部分と形成しなかった部分
の境界において、曲げ加工の際に光学的な歪みが発生し
ていた。このように、比較例1で得たガラス板では、透
視像がゆがんでおり、自動車用ガラスとしての基準を満
足したものではなかった。
【0063】(比較例2)実施例1と同様の塗布溶液を
用いて、自動車用反射防止膜付き曲げガラス板を作製し
た。ただし、実施例1とは異なり、光学機器を取り付け
る場所にも、主表面と同様の、2層からなる反射防止膜
を形成した。
【0064】このようにして得られた反射防止膜付き曲
げガラス板に対して、光学機器を取り付ける場所におい
て、実施例1と同様に界面におけるロスだけを考慮した
透過率を算出したところ、約97%であった。つまり、
比較例2における反射光の減少量は約11.5%であ
り、大きな信号ロスを生じていた。
【0065】以上の説明は、ゾル−ゲル法による塗布溶
液をロールコート法にてコーティングした例であった。
しかし本発明において、コーティング方法はロールコー
ト法に限られることなく、ディップコート法、スパッタ
リング法、蒸着法を機能性薄膜の形成に適用することが
できる。
【0066】また上述の実施例では、反射防止膜は2層
構成を例に説明したが、これに限られることなく、3層
構成以上の反射防止膜についても同様に本発明を適用す
ることができる。ただし、多層構成になればなるほど工
程が増えるので、2層構成の反射防止膜が反射防止性能
と製造コストのバランスに優れている。
【0067】3層構成以上の反射防止膜においても、光
学機器を設ける場所では、最上層となる層以外は形成し
ないで、低屈折率層である最上層のみを、ガラス板の主
表面全面に形成するようにするればよい。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による光学
機器の設けられた車両用曲げガラス板では、光学機器の
設けられる部分のガラス面上に、直接的にシリカを主成
分とする膜を形成することで、曲げ加工の際の膜応力の
影響を緩和することができる。
【0069】また車両用曲げガラス板の主表面には、反
射防止性能を持たせながら、光を照射する機能を有する
光学機器の性能低下を防ぐことができる。
【0070】また、光学機器の設けられる部分に形成さ
れたシリカを主成分とする層と、2層構成の反射防止膜
における第2層を、一体に形成することによって、工程
を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光学機器の設けられた車両用曲げ
ガラス板の断面構成を示す図である。
【図2】実施例2に示した車両用曲げガラス板の断面構
成を示す図である。
【図3】比較例1に示した車両用曲げガラス板の断面構
成を示す図である。
【図4】比較例1に示した車両用曲げガラス板における
透視歪みの様子を示す模式図である。
【符号の説明】
1:ガラス板、2:低反射膜、21:高屈折率層(Si
2+TiO2)、22、23:低屈折率層(Si
2)、3:光学機器(レインセンサ)、4:光学機器
を設ける領域、5:格子模様、

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス板の主表面上に、前記ガラス板に
    少なくとも光を照射する機能を有する光学機器の設けら
    れた車両用曲げガラス板において、 前記光学機器の設けられている部分を除く前記ガラス板
    の主表面上には、少なくとも2層からなる反射防止膜が
    形成されており、 前記光学機器が設けられる部分には、直接的にシリカを
    主成分とする層が形成されていることを特徴とする光学
    機器が設けられた車両用曲げガラス板。
  2. 【請求項2】 前記反射防止膜は、前記ガラス板より高
    い屈折率を有する第1層と、該第1層上に設けられ前記
    ガラス板より低い屈折率を有する第2層の2層構成から
    なる請求項1に記載の光学機器の設けられた車両用曲げ
    ガラス板。
  3. 【請求項3】 前記第2層はシリカを主成分とする請求
    項2に記載の光学機器の設けられた車両用曲げガラス
    板。
  4. 【請求項4】 前記第1層の屈折率(n1)が1.65〜
    2.20でかつ膜厚が110〜150nmであり、第2
    層の屈折率(n2)が1.37〜1.49でかつ膜厚が
    81〜100nmである請求項2に記載の光学機器の設
    けられた車両用曲げガラス板。
  5. 【請求項5】 前記第1層の屈折率(n1)が1.67
    〜1.8であり、前記第2層の屈折率(n2)が1.4
    0〜1.47である請求項4に記載の光学機器の設けら
    れた車両用曲げガラス板。
  6. 【請求項6】 前記光学機器の設けられる部分に形成さ
    れたシリカを主成分とする層と前記第2層が、一体に形
    成されている請求項2に記載の光学機器の設けられた車
    両用曲げガラス板。
  7. 【請求項7】 前記第1層および前記第2層は、ゾル−
    ゲル法により形成されたものである請求項4に記載の光
    学機器の設けられた車両用曲げガラス板。
  8. 【請求項8】 前記光学機器は、光学式雨滴検出装置で
    ある請求項1に記載の光学機器の設けられた車両用曲げ
    ガラス板。
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