JP2003029000A - 電子線照射装置における酸素濃度低減時間短縮方法および電子線照射装置 - Google Patents

電子線照射装置における酸素濃度低減時間短縮方法および電子線照射装置

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JP2003029000A
JP2003029000A JP2001215233A JP2001215233A JP2003029000A JP 2003029000 A JP2003029000 A JP 2003029000A JP 2001215233 A JP2001215233 A JP 2001215233A JP 2001215233 A JP2001215233 A JP 2001215233A JP 2003029000 A JP2003029000 A JP 2003029000A
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electron beam
conveyor
oxygen
vibration
oxygen concentration
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Kenji Kato
健治 加藤
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Nissin High Voltage Co Ltd
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Nissin High Voltage Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子線照射装置の搬送機構へ窒素を導入して
酸素濃度を所定濃度以下へ低減するための時間(酸素濃
度低減時間)を短縮すること。 【解決手段】 電子線発生部と振動コンベヤと昇降保持
装置と振動コンベヤの継ぎ目に設けた柔軟被覆材とより
なる電子線照射装置の昇降保持装置を作動させ振動コン
ベヤを3回以上昇・下降させるようにして帆布や隅部に
残留する酸素を強制的に追い出して酸素低減を促進し、
酸素低減にかかっていた時間を短縮させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、粉粒体を回転さ
せながら電子線を照射するための電子線照射装置におい
て酸素濃度を下げるための時間を著しく短縮でき装置の
利用効率を高揚する機構と方法に関する。電子線照射装
置は、真空中で熱電子を発生させ加速電圧を与えて加速
し照射窓の窓箔を通して大気中に取り出して被処理物に
照射する装置である。高電圧電源、フィラメント、真空
チャンバ、搬送機構、X線遮蔽機構、照射窓などがあ
る。
【0002】電子線照射装置には二つのタイプがあっ
て、高電圧で大型のものはビームを走査する走査型とい
う。低電圧で小型のものはビーム非走査でありフィラメ
ントの実効面積を広くすることによって広い面積のビー
ムを発生する。これは非走査型あるいはエリア型と呼ば
れる。
【0003】電子線照射装置の用途は多様である。電線
被覆、ゴム被覆などの高分子架橋、印刷物、塗膜のキュ
ア、医療用機器部材の殺菌などに用いられる。
【0004】真空中で熱電子を発生させるものが真空チ
ャンバ、電源、フィラメントなどである。熱電子を加速
するために走査型の場合は多段の電極を設ける。エリア
型の場合加速電圧は500keV以下であるのでフィラ
メントと照射窓の間で加速する。照射窓は真空と大気を
区切る窓であって照射窓の内部は真空、外部は大気圧で
ある。窓箔はTi箔やアルミ箔であるが大気圧が掛かる
から大きい張力が発生している。電子線が窓箔を通過す
るときにジュール熱損失を受けるが、その分の熱が窓箔
に移動し窓箔が加熱される。そのままでは張力と熱によ
って破断する。そこで水冷、風冷によって窓箔を冷却す
るようになっている。
【0005】搬送機構というのは、被処理物を入口から
入れ照射窓下を経由して出口へ送るための機構である。
無端周回コンベヤが用いられることが多い。電子線が被
処理物やコンベヤに当たると熱とX線を発生する。X線
は危険であるから照射部分の周囲を鉄の板などで厳重に
包囲する必要がある。そのためにも搬送機構が不可欠に
なる。入口から出口にいたるコンベヤの道筋は平坦でな
く上下動を繰り返しており強いX線が外部へ出ないよう
になっている。
【0006】X線が酸素に当たるとオゾンを生成する。
オゾンは危険なガスであるし被処理物に匂いが付いたり
して望ましくない。それで大気中にある被処理物をその
まま電子線処理するのではなくて、窒素ガスによって空
気を置換した状態で電子線照射を行うようにしている。
搬送経路にガス出口とガス入口を設け、ガス入口から窒
素ガス(Arガスのこともある)を吹き込み空気を置換
する。酸素濃度がある規定値より低下してから電子線照
射を開始する。空気を窒素置換するのは従来の電子線照
射装置でも行われてきたことである。
【0007】
【従来の技術】有形定型固体が被処理物の場合は無端周
回コンベヤであってよいのであるが、最近電子線照射装
置の用途が広がり被処理物の種類も広がりつつある。本
出願人によって穀物の殺菌処理にも電子線照射装置を用
いる試みが行われている。穀物の場合皮の部分だけに電
子線をあてて殺菌すれば良いのである。それも全面に当
てる必要がある。
【0008】そのために穀物を貫通するような高いエネ
ルギーの電子線を当てるというのが一つのあり方であ
る。高いエネルギーの電子線だから穀物の上側から中を
通り裏面側へ突き抜ける。その場合搬送機構は無端周回
コンベヤであって良い。それは穀物の全体を殺菌でき
る。しかしそのような内部を貫通する電子線処理は被処
理物を食品とした場合、風味を殺ぎ好ましいものではな
い、ということが分かってきた。
【0009】それより穀物を回転、転動、旋回させて、
穀物粒の全表面に低エネルギーの電子線を当てる方が良
い。内部にまで電子線が入らないから風味低下・変質な
どの恐れがない。しかし従来から利用されたきた無端周
回コンベヤでは穀物を回転させることはできない。
【0010】本発明者らは風力や振動などによって穀粒
を反転・回転・旋回・転動させる機構を考案した。多様
な候補が挙げられたが穀物の全周面に薄くまんべんなく
電子線を当てるのは難しい。
【0011】そのようなものとして唯一実現できている
のは振動コンベヤを使うものである。金属薄板よりなる
振動板を斜め上下に振動させて粒体を飛び上がらせなが
ら前進させるようにしている。振動板は水平であっても
非対称性振動によって粒体を一方向へ進めることができ
る。これを使うと麦のように細かい穀物粒体を舞い上げ
回転させながら搬送できる。だから電子線を全面に薄く
照射するようにできる。振動コンベヤは公知であって様
々な様式のものがある。粉粒体を突き上げ舞い上げ転が
し押し進めてゆく事ができる。無端周回コンベヤに代え
て電子線照射装置の搬送機構として採用することによっ
て穀物の殺菌処理に電子線照射装置を有効利用する端緒
を開くことができよう。
【0012】しかしそのままではなかなか振動コンベヤ
を電子線照射装置の搬送機構に用いるのは難しい。振動
コンベヤの原動機構によって異なるが、ここで問題にす
るのは起動時と停止時に異常振幅を生ずるものである。
偏心した弾み車をモータによって回転させることによっ
て斜め上下振動を生成するような原動機構の場合、起動
時と停止時に振動板が異常に大きく動く。定常状態では
上下方向振幅は3mm〜4mmで一定であるが、停止時
には30mm〜40mmもの異常振幅をもって振動する
ようになる。起動時にも異常があって20mm〜30m
mもの大きい振幅をもって動き始める。
【0013】停止・起動時の異常振幅は原因がいまだハ
ッキリしない。それも原動機構によるのであって、どの
ような振動コンベヤでも起こるというものではないよう
である。或いは共振によるものではないかと思われる。
振動板が斜め上下動をするため、スプリングによって弾
性的に支持され、偏心弾み車を持つモータで振動を与え
られる。交流モータであるから、振動数は商用周波数
(60Hz、50Hz)か、その約数である。スプリン
グのバネ定数を振動板質量で割った値の平方根が固有角
振動数を与える。固有振動数が定常振動数より低い場
合、停止時・起動時に共振周波数を通るので異常な振幅
が起こるのではないか?と思われる。振動板はかなり重
くスプリングが弱いとそういう事もあろう。
【0014】起動時、停止時のほんの一時的な異常振幅
である。例えば起動の時間が5秒、それに続く定常運転
が1日〜1週間、最後の停止の時間が15秒〜20秒と
いった配分である。これは連続して1日〜1週間運転す
る場合であり、起動、停止というのは全体から見ればほ
んの一瞬である。
【0015】停止、起動時の異常振幅を見込んで照射窓
と振動コンベヤ面の距離を決めるというのが一つの可能
性であろう。異常振幅が最大40mmだとすると、照射
窓と振動コンベヤ面を40mm以上離隔するということ
である。しかし電子線は空気中で空気分子と衝突して減
衰する。空気中での飛程(エアパスという)はできるだ
け短くすべきである。それは電子線照射装置の鉄則であ
る。定常状態で、振動コンベヤ振幅が3mm〜4mmに
過ぎないのに、40mm以上も距離をとるというのは無
駄である。
【0016】そこで振動コンベヤに昇降装置を取り付け
て、起動時と停止時には振動コンベヤトラフ(振動板)
を下げ(L位置という)、定常運転時にはトラフを上げ
る(H位置という)ようにしたものを本発明者らが発明
した。
【0017】(1) 特願2000−13640「電子線
照射装置」 これは穀物の電子線処理のため振動コンベヤを用いてお
り穀物粒が振動によって飛び上がり舞い上がり回転して
全周面に電子線が当たるようになっている。またエアシ
リンダ、油圧シリンダなどによって振動板を昇降するよ
うにしている。起動時には振動板を下げ異常振動によっ
ても照射窓に振動板や穀物が接触しないようにし、定常
時には振動板を上げて電子線のエアパスを短くし、停止
時には振動板を下げ異常振動があっても照射窓窓箔に振
動板、穀物が接触しないようにする。
【0018】(1)の装置は従来の電子線照射装置と異な
り振動コンベヤを用いるので固定部と振動部の結合に特
別の工夫が必要である。両者を固結してしまうと振動コ
ンベヤが振動できない。(1)の明細書には明記していな
いが、固定部(投入ホッパ、排出ホッパ、照射窓)と、
振動部(振動トラフ)の間の継ぎ目には帆布を巻いて覆
うようにしている。振動トラフ側の筒と、ホッパ側の筒
を内外同心に組み合わせ外側をひだひだのある筒状の帆
布によって覆う。帆布はひだひだの余裕があり繰り返し
伸縮可能である。
【0019】固定部は静止し振動コンベヤはしきりと上
下斜めに振動しているが帆布が柔軟に対応して隙間や裂
け目なく常に内外の空間を仕切ることができる。従来の
電子線照射装置の場合と異なるのは振動コンベヤを使う
ということと可動の継ぎ目をひだひだの帆布によって覆
ったということである。
【0020】先述のように、空気中でX線が発生すると
オゾンが生じるので、これを避けるため空気を窒素置換
しなければならない。従来の電子線照射装置はひだひだ
のある帆布によって継ぎ目を囲むというような構造でな
いから窒素置換に時間がかからない。短時間で窒素置換
できる。窒素置換してから被処理物に電子線を照射す
る。
【0021】振動コンベヤを搬送機構に用いた先述の装
置は、帆布によって可動継ぎ目を覆うという構造から窒
素置換に時間がかかるということがわかった。帆布は折
り重なっており奥行きがある空間を含むので空気が隙間
に含まれ易い。単に窒素ガスを流しただけでは容易に空
気を窒素置換できない。それでかなり長い間窒素を流し
て空気を排除しなければならない。それは窒素ガスを無
駄に消費することになる。これは新しい装置の新たな欠
点である。
【0022】振動コンベヤをもつ電子線照射装置の運転
の手順を述べる。初めコンベヤは低い位置にある(L位
置という。例えば照射窓より50mm下方にある)。 1.振動コンベヤスタート 2.照射部へNガス導入開始 3.昇降保持装置上昇 4.酸素濃度が低減するまで待つ 5.酸素濃度が低減した後、電子照射開始 6.被処理物が投入され、処理開始
【0023】1の工程では、最下位置にある(50mm
下にある)振動コンベヤを起動する。異常に大きい振幅
で動き始める。被処理物は流さない。空で振動させる。
異常振幅はすぐに消える。すぐにの工程になり、窒素
ガス導入管から窒素ガス(N )を導入する。空気出口
は特別にないが被処理物入口、被処理物出口から空気が
排除される。異常振動が終わっているから昇降保持装置
によって振動コンベヤを持ち上げる(H位置という:工
程3)。
【0024】出口または入口あるいは装置内部で酸素濃
度を測定し酸素濃度が所定閾値(O )以下になるまで
待つ(工程4)。帆布にまとわりついた空気がなかなか
抜けないからここでの待ち時間Tが長くなる。酸素濃
度Oが閾値以下になる(O≦O)と、電子線を発生さ
せる(工程5)。そして被処理物である穀物を被処理物
入口から投入し始める(工程6)。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】被処理物の品質劣化を
避けるため、窒素を装置内に吹き込み酸素を排除し照射
雰囲気をNに置換する。トラフ内の特にコーナー部
や、昇降吸収用の帆布製継ぎ手に酸素が滞留する。ため
にN置換に時間が掛かる。従って、生産からみて非効
率的であり、この間(待ち時間;T)に使用されるN
ガスが無駄となっている。Nガスを節約する必要が
ある。酸素を除去する窒素置換をより迅速に行うことが
望まれる。
【0026】酸素がコーナー部に滞留しやすいというの
は箱型のトラフを含む振動コンベヤを用いているからで
ある。通常の無端周回コンベヤの場合コーナー部ができ
ないから窒素置換は容易であった。
【0027】さらに帆布製継ぎ手に酸素が滞留するとい
うのはまさしく振動コンベヤを用いることによって発生
した難点である。ひだを多く取った帆布製継ぎ手の隙間
に酸素が付着して窒素を流したぐらいでは簡単に取れな
いのである。
【0028】酸素が閾値以下になる(O≦O)までに
流れた窒素は処理に役立っていない。窒素置換の時間が
長いと高価な窒素を浪費することになる。なんとか窒素
置換の時間Tを短縮しなければならない。振動コンベ
ヤを有する電子線照射装置において、窒素置換時間を短
縮できる方法と装置を提供するのが本発明の目的であ
る。
【0029】
【課題を解決するための手段】(1)特願2000−13
4640は停止時、起動時に振動コンベヤが異常振動を
するので、起動時と停止時にはトラフ(振動コンベヤの
本体)を下げ、定常時にはトラフを上げてエアパス(a
ir path)を短くする装置を提案する。トラフを
持ち上げたり下げたりするために昇降保持装置を新たに
設けている。
【0030】本来は、昇降保持装置は起動時・停止時の
異常振幅の問題を解決するためのものであった。昇降保
持装置は、起動時・停止時に照射窓よりトラフを30m
m〜50mm離し(L位置)、定常時はトラフを照射窓
の下10mm程度にまで接近した高さで保持する(H位
置)ものである。
【0031】本発明は、この昇降保持装置を有効に利用
して酸素を有効に排除し窒素置換時間Tを短縮するも
のである。本発明は、窒素ガスを導入しつつ振動コンベ
ヤを昇降可能に保持する昇降保持装置を少なくとも3回
(L→H→L→H)以上動作させる、というものであ
る。
【0032】振動コンベヤは初めL位置にあるが、これ
を一度上げるだけでなくて(L→H;工程3)、さらに
下げまた上げる、あるはこれを繰り返すようにする。た
とえばL→H→L→Hというようにする。あるいはL→
H→L→H→L→Hとする。またはL→H→L→H→L
→H→L→Hというようにする。
【0033】昇降の繰り返しは幾らでも良い。一般式は L→(H→L)→H (n=1、2、3、…) (1) によって示すことができる。
【0034】このような昇降動作によって、酸素が排除
され窒素置換時間が短縮されるということが分かった。
もともと異常振動によって照射窓にトラフが衝突するの
をさけ定常時にエアパスを短くするため昇降保持装置を
設けたのであるが別の効果が発見されたということであ
る。
【0035】振動コンベヤのトラフは大面積をもつ。大
気圧下でトラフが上下に動くと装置全体に強いガス流れ
を引き起こす。これが付着酸素を剥取り滞留酸素を引き
出す。振動コンベヤを上げ下げすると帆布が変形し気体
の流れが発生し帆布に滞留した酸素が剥取られる。コー
ナー部に滞留した酸素もコンベヤの上下動にともなう空
気流れによって動き入口、出口から排除される。このよ
うなトラフ上下動によって引き起こされる旺盛な擾乱空
気流によって酸素を排除し、窒素置換時間を縮減する。
が短縮化され窒素量をおおいに節減することができ
る。昇降保持装置のもたらす意外な作用であった。
【0036】
【発明の実施の形態】昇降保持装置の上昇・下降に伴う
広範囲の気流によってトラフ内の帆布製継ぎ手部に滞留
していた酸素が強制的に排出され短時間で酸素濃度の低
減をすることが可能になる。図面によって本発明の電子
線照射装置を説明する。図1は本発明の電子線照射装置
の概略構成図である。
【0037】これはエリア型の電子線照射装置であって
低エネルギーの電子線(数百keV以下)を発生するの
に適している。穀物の表面だけに薄く電子線を照射する
のが目的であるから加速エネルギーは100keV程度
である。それでエリア型を用いる。電子線発生部は真空
に保持される。フィラメント1、それを囲む円筒形のシ
ールド2、それらを包囲する真空チャンバ3などよりな
る。図には現れないが加速電源、フィラメント電源など
があり、負にバイアスされたフィラメントから熱電子が
出るようになっている。真空チャンバ3の下側開口部が
照射窓4である。照射窓4には大気と真空を区切るため
の窓箔5が張ってある。熱電子は下向きに加速され窓箔
5を突き抜けて大気中へ出る。照射窓の直下を横切るよ
うに搬送機構としての振動コンベヤが設けてある。
【0038】振動コンベヤは金属板を折り曲げて筒状に
したトラフ6と、トラフ6を斜め上下に振動させる振動
源7と、振動を可能にするスプリング8、スプリング8
を垂直に保持する足11、足11を支持するベース板1
0などを含む。振動源7は斜め上下振動を発生するもの
なら何でもよいのであるが、ここでは交流モータによっ
て偏心ホイールを回転させることによって振動を発生さ
せている。振動方向14が斜め前を向いているからトラ
フは水平であっても粒状の被処理物は舞い上がり回転し
ながら前進してゆく。足11の一部に昇降保持装置9が
設けられる。これは例えば100mm×100mm×1
00mm程度の箱型のエアシリンダである。圧縮空気配
管12、13がエアシリンダに接続されており圧縮空気
の送給の方向を切り換えることによってエアシリンダを
延ばしたり縮めたりすることができる。これによってト
ラフ6を上昇下降できる。
【0039】トラフ6へNガスを導入するためのN
ガス導入ポート16が電子線照射部より下流側に設けら
れる。酸素を排除し窒素雰囲気で電子線を照射するため
に窒素ガスは搬送機構を逆流するようになっている。逆
流した窒素ガスは被処理物入口から排出される。電子線
照射部直前での雰囲気を検出するために電子線照射部直
前に照射部ガスサンプリングポート18が設けられる。
サンプリングポンプ19によって照射部ガスサンプリン
グポート18から雰囲気ガスが引き出される。酸素濃度
計20によって雰囲気ガスの酸素濃度を測定する。酸素
濃度が閾値以下になるまで電子線照射できないが、酸素
濃度計20によって酸素濃度が閾値以下(O≦O)に
なったかどうかを求めることができる。
【0040】固定部材である垂直の被処理物入口21
は、可動部材であるトラフ流入端22に差し込まれてい
る。継ぎ目は塞ぐ必要があるが固定的に包囲できない。
そこでひだのある帆布製継ぎ手15(柔軟被覆材)によ
って継ぎ手部分を囲んでいる。帆布製継ぎ手15はこの
実施例では帆布を使っているが、ウレタンやゴムなどの
柔軟被覆材を使用してもよい。
【0041】可動部材であるトラフ流出端23は固定部
材である垂直の被処理物出口24に上から差し込まれて
いる。継ぎ目の周囲を筒状の帆布製継ぎ手15が囲んで
いる。
【0042】固定部材である電子線照射装置の照射窓4
は、振動部材であるトラフ中間開口部25に差し込まれ
る。継ぎ目は変動するからこれも筒状の余裕をもったひ
だのある大きい帆布15によって取り巻かれている。
【0043】トラフ6は筒状の空間であるが3つの開口
部がある。開口部は固定部材とつながっているが振動を
さまたげないため継ぎ手は帆布でゆるく覆われるのであ
る。帆布継ぎ手に空気が入り込み、Nガスを吹き込ん
でも酸素が残留して酸素濃度がなかなか下がらない。
【0044】しかし圧縮空気配管12、13に交互に空
気を送給して昇降保持装置9を上げ下げすると酸素濃度
は急激に減少する。トラフ6の昇降によって広範囲に擾
乱空気流が生じ、これが酸素を剥取るのである。だから
酸素濃度が急減し短時間で閾値以下の濃度になる(O≦
)。そうなると電子線照射を開始し、被処理物を投
入し処理を開始する。以後は定常状態になる。トラフと
照射窓の距離は短く(H位置に)する。穀物の殺菌処理
が終わると、昇降保持装置9によってトラフ6を引き下
げる(L位置)。振動コンベヤが異常振動して停止す
る。
【0045】
【実施例】図1の振動コンベヤを搬送装置としてもつ電
子線照射装置において工程1のように起動時にL→Hの
動きをしただけの場合(従来例)と、トラフを9回上下
動させた場合(本発明)での酸素濃度の時間変化を測定
した。その結果を図2に示す。初めの酸素濃度は空気中
での酸素濃度に等しいから200000ppmである
が、ここで用いる酸素濃度計では計れない。基準の酸素
濃度はO=500ppmである。
【0046】ここで用いる酸素濃度計の測定上限は10
000ppmである。10000ppmにプロットされ
た点の値は10000ppm以上である。初めの酸素濃
度は200000ppmだが、ここでは10000pp
mと表示される。
【0047】 [A.試験条件] 振動コンベヤ運転条件: 振動数20Hz、振幅1.5mm Nガス流量 : 40m/hr 目標酸素濃度、時間 : 500ppm以下、20分以内 (従来例では到達できなかった) 昇降装置変位量 : 50mm(上昇時、下降時共)
【0048】[B.試験方法]装置構成は図1に示すと
おりである。先ほど述べた運転の手順に比べて昇降保持
装置の複数回の上下動を追加している。
【0049】 1.振動コンベヤスタート 2.照射部へNガス導入開始 3.昇降保持装置上昇(昇降保持装置上昇を1回のみ行
ったものが従来例である。) 4.昇降保持装置下降 5.昇降保持装置上昇
【0050】工程3、4、5を繰り返し行ったものが本
実施例である。酸素濃度計20によって電子線照射部の
直前でのガス中(大気圧)での酸素濃度を測定した。
【0051】その結果を図2に示す。横軸はNガス導
入開始からの時間(分)である。縦軸は酸素濃度で対数
表示している。×の点が従来法(1)であり、L→Hの上
昇運動を1回しただけのものである。○が9回の昇降を
する実施例の測定結果である。
【0052】[C.従来例の方法(×;(1))]図2で
上向きの矢印によって振動コンベヤの上昇運動(L→
H)を、下向きの矢印によって振動コンベヤの下降運動
(H→L)を示す。 (1)異常振動は数秒持続するだけで1分以内に終了す
る。Nガス導入後t=2分30秒でトラフを持ち上げ
る。これは従来例でも本発明でも共通である。相違する
のはその後もトラフを下げたり上げたりすることであ
る。t=15分までO=10000ppmである。これ
は200000ppmから10000ppmの間を漸減
しているということである。t=20分でもO=900
0ppmである。30分でもO=7000ppmであ
る。20分以内に500ppm(O)以下になるとい
う要求を満足できない。
【0053】[D.本発明の方法(○)]図2で上向き
の矢印によって振動コンベヤの上昇運動(L→H)を、
下向きの矢印によって振動コンベヤの下降運動(H→
L)を示す。
【0054】(1)Nガス導入後t=2分30秒でト
ラフを持ち上げるがこれは従来例でも本発明でも共通で
ある。 (2)t=5分でトラフを下げる。するとそれまで10
000ppm以上であったのに酸素濃度が急減し、6分
後には110ppmに下がる。帆布の纏付き酸素やコー
ナー部酸素が取れるからである。 (3)t=6分でトラフを上げる。酸素濃度は急増し、
7分には10000ppmになる。これも厳密に100
00というのではなくてそれ以上ということである。照
射窓・中間開口部を包む帆布から酸素が出てくるためで
ある。 (4)t=7分でトラフを下げる。酸素濃度は急減し、
8分には70ppmに減少する。帆布の纏付き酸素やコ
ーナー部酸素が取れるからである。 (5)t=8でトラフを上げる。酸素濃度は急増し、9
分には7000ppmに上がる。これも照射窓・中間開
口部を包む帆布から酸素が出てくるためである。
【0055】(6)t=9分でトラフを下げる。酸素濃
度は急減し、10分には50ppmに減少する。帆布の
纏付き酸素やコーナー部酸素が取れるからである。 (7)t=10分でトラフを上げる。酸素濃度は急増
し、13分には2500ppmに上がる。これも照射窓
・中間開口部を包む帆布、入口側の帆布から酸素が出て
くるためである。 (8)t=13分でトラフを下げる。酸素濃度は急減
し、14分には40ppmに減少する。帆布の纏付き酸
素やコーナー部酸素が取れるからである。 (9)t=14分でトラフを上げる。酸素濃度は急増
し、15分には1000ppmに上がる。これも照射窓
・中間開口部を包む帆布、入口側の帆布から酸素が出て
くるためである。
【0056】以後振動コンベヤはH位置を保つようにす
る。従来法ではt=15分でも10000ppm以上で
あったが、本発明のように9回の昇降(8回の余分の昇
降)によってt=15分で1000ppmに下がってい
る。つまり1/10以上の差が生じている。
【0057】実施例の場合t=18分で700ppmに
下がる。15分から18分の3分で1000ppmから
700ppmに下がっている。
【0058】t=20分では500ppmに下がり、t
>20でO<O=500ppmとなっている。だから
t=20分で500ppmまでに下げるという所定の目
的を達成することができたのである。
【0059】このあと電子線照射を開始し、麦などの穀
物を被処理物として被処理物入口21から投入し殺菌処
理することができる。定常運転時は、トラフは照射窓に
接近したH位置にある。
【0060】t=20分での従来例と実施例を比較する
と、従来例ではO=9000ppm、実施例でO=50
0ppmである。従来例の場合もこれ以後も漸減してゆ
くが、閾値を500ppmとすると、それに到達するま
で2時間以上かかる。
【0061】窒素ガスの送給量を40m/hrとして
いるが、これが同一ならば無限大時間後の平衡における
酸素濃度は従来例でも実施例でも同一である。しかし平
衡に到達するまでの時間が違う。
【0062】実施例では20分でOに達し、従来例は
2時間かかるのであるから、100分の相違がある。4
0m/hrの窒素ガス送給なので67mの窒素ガス
を節減することができる。
【0063】この実施例では昇降の回数を9回としてい
るが、これは窒素送給量が40m/hrでO=50
0ppmとし、T=20分としているからである。よ
り緩やかな条件であれば昇降回数をもっと少なくするこ
ともできる。L→Hへ遷移するから昇降回数は奇数でな
ければならない。従来例は1回であるが、3回以上であ
ればそれなりの効果がある。
【0064】
【発明の効果】大気圧下で大面積のトラフが上下に動く
と装置全体に強いガス流れを引き起こす。これが付着酸
素を剥取り滞留酸素を引き出す。振動コンベヤを上げ下
げすると帆布が変形し気体の流れが発生し帆布に滞留し
た酸素が剥取られる。コーナー部に滞留した酸素もコン
ベヤの上下動にともなう空気流れによって動き、入口、
出口から排除される。このようなトラフ上下動によって
引き起こされる旺盛な擾乱空気流によって酸素を排除
し、窒素置換時間を縮減する。Tが短縮化され窒素量
をおおいに節減することができる。
【0065】酸素濃度低減に要する時間が短縮されるの
で、生産効率を上げることができる。また従来無駄とな
っていたNガスを生産に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動コンベヤを搬送装置として用い振動コンベ
ヤを昇降保持できる機構を備えた電子線照射装置の構成
図。
【図2】トラフ1回上昇だけの従来例とトラフ9回昇降
の実施例において、昇降のタイミンングと、照射窓直前
の位置での酸素濃度の時間変化の計測結果を示すグラ
フ。横軸は窒素ガス導入時よりの時間(分)。縦軸は、
酸素濃度を対数表示したものである。×は従来例、○は
実施例の計測値を示す。
【符号の説明】
1 フィラメント 2 シールド 3 真空チャンバ 4 照射窓 5 窓箔 6 トラフ 7 振動源 8 スプリング 9 昇降装置 10 ベース板 11 足 12 圧縮空気配管 13 圧縮空気配管 14 振動方向 15 帆布製継ぎ手 16 Nガス導入ポート 17 Nガス流量調整バルブ 18 照射部ガスサンプリングポート 19 サンプリングポンプ 20 酸素濃度計 21 被処理物入口 22 トラフ流入端 23 トラフ流出端 24 被処理物出口 25 トラフ中間開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G21K 5/04 G21K 5/04 E // A23L 3/26 A23L 3/26

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子線を生ずる電子線発生部と、粉粒体を
    搬送する振動コンベヤと、振動コンベヤを昇降可能に保
    持する昇降保持装置とを含む電子線照射装置において、
    昇降保持装置を少なくとも3回以上動作させ振動コンベ
    ヤを3回以上昇降させることを特徴とする電子線照射装
    置における酸素濃度低減時間短縮方法。
  2. 【請求項2】電子線を生ずる電子線発生部と、粉粒体を
    搬送する振動コンベヤと、振動コンベヤを昇降可能に保
    持する昇降保持装置と、振動コンベヤの中央開口部と電
    子線発生部の照射窓の継ぎ手に設けた柔軟被覆材と、振
    動コンベヤの流入端と被処理物入口の継ぎ手に設けた柔
    軟被覆材と、振動コンベヤの流出端と被処理物出口の継
    ぎ手に設けた柔軟被覆材とを含み、起動時に振動コンベ
    ヤを昇降保持装置によって3回以上昇降させ、停止時に
    振動コンベヤを下げるようにしたことを特徴とする電子
    線照射装置。
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US10589251B2 (en) 2012-10-10 2020-03-17 Xyleco, Inc. Equipment protecting enclosures

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