JP2003028832A - ガス濃度検出器 - Google Patents

ガス濃度検出器

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JP2003028832A
JP2003028832A JP2001211829A JP2001211829A JP2003028832A JP 2003028832 A JP2003028832 A JP 2003028832A JP 2001211829 A JP2001211829 A JP 2001211829A JP 2001211829 A JP2001211829 A JP 2001211829A JP 2003028832 A JP2003028832 A JP 2003028832A
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gas
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carbon monoxide
electrode
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Nobuharu Katsuki
暢晴 香月
Masato Shoji
理人 東海林
Takashi Ida
隆 伊田
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Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/50Fuel cells

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流量、水素ガス濃度依存性がなく、燃料電池
システムに容易に取付け可能なガス濃度検出器を提供す
る。 【解決手段】 一酸化炭素ガス濃度検出部7aの第2の
集電板2bの孔部13bが開口する面と水素ガス濃度検
出部7bの第4の集電板2dの孔部13dが開口する面
を孔部を有する絶縁性のシール板29を介して接するよ
うに配設し、前記一酸化炭素ガス濃度検出部7aの集電
板に第1の直流電源18aを接続して、前記一酸化炭素
ガス濃度検出部7aの水素イオン輸送作用により被検出
ガス中の一酸化炭素ガス濃度に応じて変化する電流を第
1の電流検出手段19aにて検出し、前記水素ガス濃度
検出部7bの集電板に第2の直流電源18bを接続し
て、前記水素ガス濃度検出部7bの水素イオン輸送作用
により被検出ガス中の水素ガス濃度に応じて変化する電
流を第2の電流検出手段19bにて検出するようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば燃料電池に
用いられる燃料ガス中のガス濃度を検出するガス濃度検
出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、燃料電池の開発が盛んに行われて
おり、最も実用化に近いものとして固体高分子からなる
水素イオン伝導膜を用いた燃料電池がある。これは動作
温度が100℃未満と他方式に比べ低い温度で動作し、
取扱いが容易になるからである。従って家庭用及び自動
車用の燃料電池の本命とされている。
【0003】この燃料電池に供給する燃料ガスとしては
純粋な水素ガスが望ましいが、現在のところ純粋な水素
ガスを供給するためのインフラはほとんど整備されてい
ない。従ってメタノールや都市ガスなどの燃料を改質す
ることによって水素ガスを取り出す方式が検討されてい
る。
【0004】改質装置から出てくる燃料ガスは定常状態
ではほとんどが水素ガスと二酸化炭素ガスであるもの
の、改質装置の起動直後は水素ガスに数パーセントのレ
ベルの一酸化炭素ガスが含まれる。
【0005】この一酸化炭素ガスはたとえ数十ppmレ
ベルのごくわずかな量でも燃料電池の電極を構成する白
金系触媒に吸着(この現象を被毒という)する燃料電池
の起電力を低下させてしまう。従って常に水素ガス中の
一酸化炭素ガスの濃度をモニターし一酸化炭素ガス濃度
が一定値以下になって初めて燃料電池本体に水素ガスを
流すようになっており、改質装置より水素ガスが供給さ
れる燃料電池システムにおいて一酸化炭素ガスの濃度検
出器は必要不可欠である。
【0006】水素ガスを多量に含む燃料ガス中の一酸化
炭素ガスを検出するガス濃度検出器としては再公表特許
WO97/40371号公報に記載されたCOガスセン
サが知られている。
【0007】このCOガスセンサの概略構造を図17に
示す。図17において、COガスセンサ111内には内
部を加湿状態に保つための水112を収容しかつ被検出
ガスを取り込み一酸化炭素ガス濃度測定を行うための部
屋も兼ねるガス採取容器116を有し、その中に検出部
133が設置されている。
【0008】ガス採取容器116の外側には各電極に電
圧を印加する電圧印加装置119が設けられている。C
Oガスセンサ111には被検出ガスを導入するための入
口117と、被検出ガスを排出するための出口118が
設けられている。
【0009】図18は検出部133の構成を示してい
る。検出部133は検出電極113と検出電極113と
対向して配置された対向電極114および参照電極11
5によって高分子固体電解質膜120が積層される構成
である。
【0010】図19は改質ガスを燃料ガスとする燃料電
池システムに前記COガスセンサ111を組込んだ燃料
電池システムの構成図を示している。図19では燃料が
改質装置123で改質ガスに改質される。改質ガスは一
部が分岐されCOガスセンサ111により一酸化炭素ガ
ス濃度が測定される。
【0011】次にこのCOガスセンサによる被検出ガス
中の一酸化炭素ガス濃度測定方法について説明する。こ
のCOガスセンサによる被検出ガス中の一酸化炭素ガス
濃度測定方法はCOガスセンサ111内に被検出ガスを
導入し、被検出ガスを検出部133の検出電極113に
接触させて一酸化炭素ガスの酸化電位に一定時間保持し
た後、一酸化炭素ガスの吸着電位に一定時間保持するこ
とを繰返すパルス法により被検出ガス中の一酸化炭素ガ
ス濃度を測定している。
【0012】パルス法での検量線として汎用検量線、L
angmuir型一酸化炭素ガス吸着の検量線、一定の
電流減少率に達する時間の逆数と一酸化炭素ガス濃度の
関係による検量線、電流減少速度と一酸化炭素ガス濃度
との関係による検量線の4種類を挙げている。
【0013】汎用検量線法につき簡単に説明する。検出
電極113と対向電極114、参照電極115間に一酸
化炭素ガスの酸化電位に相当する電圧を一定時間印加し
た後、一酸化炭素ガスの吸着電位に相当する電圧を一定
時間印加するというサイクルを繰返した時、時間経過に
より応答電流が変化する。
【0014】印加電圧が一酸化炭素ガスの酸化電位から
一酸化炭素ガスの吸着電位に下がった時点から応答電流
は減少し始め、電流減少率に対する一酸化炭素ガス濃度
の検量線を求めて一酸化炭素ガス濃度を決定する。電流
減少率Δθ1は、時間t0とでの電流値I0と時間t1での
電流値I1から(数1)により求めている。
【0015】
【数1】
【0016】一酸化炭素ガスが比較的高濃度で応答電流
の減少の変化が小さい場合、電流減少率は応答電流の減
少の傾きの大きい範囲で測定し(数2)により求めてい
る。
【0017】
【数2】
【0018】一酸化炭素ガス濃度が低濃度域では応答電
流減少量が小さいため一酸化炭素ガス定量の誤差が大き
くなる。このような場合には一酸化炭素ガスの吸着電位
保持時間を長くして応答電流減少量を大きくすることで
定量誤差を小さくしている。
【0019】Langmuir型一酸化炭素ガス吸着の
検量線法では、経過時間(t)と電流初期値〔i(t=
0)〕に対する経過時間(t)における応答電流値の比
の自然対数の関係よりデータを検量線として使用し一酸
化炭素ガス濃度を決定している。
【0020】一酸化炭素ガス濃度が低くても高くても電
流減少初期で一酸化炭素ガス吸着率は小さく、電流変化
はLangmuir型であり(数3)を用いて一酸化炭
素ガス濃度を算出している。
【0021】
【数3】
【0022】一定の電流減少率に達する時間の逆数と一
酸化炭素ガス濃度の関係による検量線法は、電流減少率
がある一定値に達する時間をτとしその逆数と一酸化炭
素ガス濃度の関係よりデータを検量線として使用し一酸
化炭素ガス濃度を決定する。
【0023】(数4)で示される各電流減少率は直線と
なり、電流減少率がある一定値に達する時間τを導入す
ると時間τの逆数(1/τ)は(数5)の関係となり、
この(数5)より一酸化炭素ガス濃度を算出している。
【0024】
【数4】
【0025】
【数5】
【0026】初期電流減少速度と一酸化炭素ガス濃度と
の関係による検量線法は、電流減少初期における電流減
少速度と一酸化炭素ガス濃度の関係よりデータを検量線
として使用し一酸化炭素ガス濃度を決定する。一酸化炭
素ガス分圧が低い領域あるいは電流減少初期では(数
6)の関係が成立し、この(数6)より一酸化炭素ガス
濃度を算出している。
【0027】
【数6】
【0028】
【発明が解決しようとする課題】このCOガスセンサ1
11は図19で示される燃料電池システムにおいて改質
ガスの本流から一部を分岐しCOガスセンサ111に被
検出ガスを取り入れ、図17のガス採取容器116をパ
ージして一酸化炭素ガス濃度測定を行った後に被検出ガ
ス流を本流に戻す構成となっている。従ってCOガスセ
ンサ111の内部に被検出ガスを送り込むためにはガス
採取容器116の入口117と出口118間に圧力差が
なければならない。改質ガス本流の一部にオリフィス等
を設けて圧力差を生じさせるためには配管分岐や配管途
中にオリフィスなどを必要とするのでシステム的に複雑
となり、かつ分岐した分流つまりCOガスセンサ111
に流入するガス量も変動し一酸化炭素ガス濃度測定が正
確に行えない。
【0029】また改質ガスの本流の水素ガス濃度が変動
すると一酸化炭素ガス濃度測定が正確に行えないという
課題が生じていた。
【0030】本発明はこれらの課題を解決するものであ
り、燃料電池システムに容易に取付可能でありそのうえ
濃度測定にガス流量、水素ガス濃度依存性のないガス濃
度検出器を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の請求項1に記載の発明は、水素イオン伝導性
を有する第1の電解質と、この第1の電解質の片面に接
して配置される触媒を有する第1の検出電極と、前記第
1の電解質のもう一方の面に接して配置される触媒を有
する第1の対向電極と、凹部とその凹部に連通し被検出
ガス流にのみ開口する第1の流路を有する第1の集電板
と、孔部とその孔部に連通し第2の流路を有する第2の
集電板とを含み、前記第1の検出電極に前記第1の集電
板の凹部を有する面が接するように配設して被検出流に
のみ開口する第1の空間を形成し、前記第1の対向電極
に前記第2の集電板の孔部が接するように配設してなる
一酸化炭素ガス濃度検出部と、水素イオン伝導性を有す
る第2の電解質と、この第2の電解質の片面に接して配
置される触媒を有する第2の検出電極と、前記第2の電
解質のもう一方の面に接して配置される触媒を有する第
2の対向電極と、凹部とその凹部に連通し被検出ガス流
にのみ開口する第3の流路を有する第3の集電板と、孔
部とその孔部に連通し第4の流路を有する第4の集電板
とを含み、前記第2の検出電極に前記第3の集電板の凹
部を有する面が接するように配設して被検出流にのみ開
口する第2の空間を形成し、前記第2の対向電極に前記
第4の集電板の孔部が接するように配設してなる水素ガ
ス濃度検出部と、前記一酸化炭素ガス濃度検出部の第2
の集電板の孔部が開口する面と前記水素ガス濃度検出部
の第4の集電板の孔部が開口する面を孔部を有する絶縁
性のシール板を介して接するように配設して第3の空間
を形成し、さらに前記第1、第2の集電板に接続された
第1の直流電源と、前記第1の検出電極から前記第1の
対向電極に向かう水素イオン輸送作用により前記第1の
集電板の流路から取り込まれる被検出ガス中の一酸化炭
素ガス濃度に応じて変化する電流を検出する第1の電流
検出手段と、前記第3、第4の集電板に接続された第2
の直流電源と、前記第2の検出電極から前記第2の対向
電極に向かう水素イオン輸送作用により前記第3の集電
板の流路から取り込まれる被検出ガス中の水素ガス濃度
に応じて変化する電流を検出する第2の電流検出手段と
を備えているため、燃料電池システムの改質ガスの本流
に容易に直接取付けることができ、かつ流路に取り込ま
れる被検出ガス量は素子の水素イオン輸送能力に依存し
改質ガス本流の流量に依存しない構成であり、さらには
水素ガス濃度検出部を有し水素ガス濃度依存性を補正で
きる構成であるため、高精度なガス濃度検出ができると
いった作用を有する。
【0032】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、第1の検出電極、第2の検出電極、第
1の対向電極、および、第2の対向電極は触媒が担持さ
れたカーボン粉をカーボンクロス上に固着した構成とし
ているため、触媒へのガスの拡散を妨げずに第1の検出
電極と第1の集電板、第1の対向電極と第2の集電板、
および、第2の検出電極と第3の集電板、第2の対向電
極と第4の集電板を面接触させることができ、良好な出
力安定性が得られるという作用を有する。
【0033】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、第1の直流電源の正極に接続される集
電板に接する第1の検出電極の触媒は一酸化炭素ガスに
極めて被毒されやすい白金および金の合金からなる構成
としたので、ガス濃度検出の応答性がより高速化すると
いう作用を有する。
【0034】請求項4に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、第1の直流電源の負極に接続される集
電板に接する第1の対向電極の触媒、第2の直流電源の
正極、および、負極に接続される集電板に接する第1の
検出電極の触媒、および、第2の対向電極の触媒は一酸
化炭素ガスに極めて被毒されにくい白金およびルテニウ
ムの合金からなる構成としたので、被毒した触媒を素早
く回復できるという作用を有する。
【0035】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、集電板の各々の凹部、孔部および流路
の表面を親水性表面とした構成であるため、周囲温度の
変動や被検出ガス温度の変動により起こる水分の結露に
対しても集電板の流路を通して結露水を排出することが
でき、集電板の凹部、孔部および流路部への結露水の蓄
積を防止できるという作用を有する。
【0036】請求項6に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、被検出ガスの流れが流路の開口部に直
接流れ込むことを防止するためのフィルターを各々の開
口部の周囲に設けた構成としたので、前記開口部に被検
出ガスが直接あたることを防止し、被検出ガスの流量が
変動してもガス濃度検出器の出力が変化しないという作
用を有する。
【0037】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明において、フィルターを多孔体とし第1の流路、
第2の流路、第3の流路、および、第4の流路の開口部
を覆う構成としたので、被検出ガス中の異物などが流路
内へ侵入することを防ぎ、安定した性能が得られるとい
う作用を有する。
【0038】請求項8に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、第2の集電板、および、第4の集電板
の開口部の一方から排出される水素ガスが第1の集電
板、および、第3の集電板の開口部に回り込むことを防
止する第1の隔絶体、および、第2の隔絶体を前記第1
の集電板と第2の集電板の開口部の間と前記第3の集電
板と第4の集電板の開口部の間に夫々設けた構成とした
ので、対向電極にて生成された水素ガスが検出電極側の
ガス流路の開口部に回り込むことを防止し、ガス濃度検
出器の出力変化を抑えるという作用を有する。
【0039】請求項9に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、被検出ガスに接しその温度を検知する
温度センサを備えた構成としたので、被検出ガスの温度
変化による出力値の変動を補正でき、測定精度が向上す
るという作用を有する。
【0040】請求項10に記載の発明は、請求項1に記
載の発明において、被検出ガスに接しその圧力を検知す
る圧力センサを備えた構成としたので、被検出ガスの圧
力変動による出力値の変動を補正でき、測定精度が向上
するという作用を有する。
【0041】請求項11に記載の発明は、請求項1に記
載の発明において、第1の直流電源と第2の直流電源に
より測定電圧を印加した一定時間内の電流値測定と、前
記測定電圧以上でかつ水の分解電位以上のリフレッシュ
電圧を第1の検出電極、および、第2の検出電極の触媒
に印加する触媒リフレッシュを1サイクルとして前記サ
イクルの繰り返しを行い、測定された各々の電流値から
一酸化炭素、および水素ガスの濃度を求める構成とした
ため、リフレッシュにより被毒された触媒が回復するの
で、繰り返し再現性のよい出力が得られるという作用を
有する。
【0042】請求項12に記載の発明は、請求項11に
記載の発明において、測定電圧での電流値検出はリフレ
ッシュ電圧での第1の検出電極、および、第2の検出電
極の触媒リフレッシュを終了して測定電圧を印加し、測
定電圧印加後3秒以降の夫々の電流値から一酸化炭素、
および水素ガスの濃度を求めるようにしたため、安定し
た領域での電流値データの採取ができ、精度良い出力が
得られるという作用を有する。
【0043】請求項13に記載の発明は、請求項1に記
載の発明において、第1の直流電源により印加された測
定電圧での一定時間内の電流値測定および電流変化検出
と、前記測定電圧以上でありかつ水の分解電位以上のリ
フレッシュ電圧を電極の触媒に印加する触媒リフレッシ
ュを1サイクルとして前記サイクルの繰り返しを行い、
測定された電流値および前記電流値の変化から一酸化炭
素ガスの濃度を求めたので、リフレッシュするたびに被
毒された触媒が回復するため、繰り返し再現性のよい出
力が得られるという作用を有する。
【0044】請求項14に記載の発明は、請求項13に
記載の発明において、測定電圧での電流値検出はリフレ
ッシュ電圧での触媒リフレッシュ後2秒以降の電流値を
採取して行い、測定電圧での電流変化検出はリフレッシ
ュ電圧での触媒リフレッシュ後3秒以降の電流値を採取
して一酸化炭素ガスの濃度を求めるようにしたため、安
定した流域での電流値データの採取ができ、精度良い出
力が得られるという作用を有する。
【0045】請求項15に記載の発明は、請求項11ま
たは13に記載の発明において、測定電圧とリフレッシ
ュ電圧を瞬時に切替えるようにしたため、断続的な電圧
の切り替えに比べ電圧切替時の出力変動が低減されると
いう作用を有する。
【0046】請求項16に記載の発明は、請求項11ま
たは13に記載の発明において、リフレッシュ電圧の印
加時間を測定電圧の印加時間より短くしたため、応答性
を速められるという作用を有する。
【0047】請求項17に記載の発明は、請求項11ま
たは13に記載の発明において、起動直後に第1の検出
電極、第1の対向電極、および、第2の検出電極、第2
の対向電極にリフレッシュ電圧を各々既定時間印加した
後、測定を開始する制御を有したため、ガス濃度検出器
の停止中に検出電極、対向電極の触媒に吸着した一酸化
炭素ガスを除去でき、繰り返し再現性のよい出力が得ら
れるという作用を有する。
【0048】請求項18に記載の発明は、請求項11ま
たは13に記載の発明において、測定中、リフレッシュ
電圧を既定のサイクル毎に既定の時間間隔で既定時間、
第1の対向電極、および、第2の対向電極に印加する制
御を有するものとしたので、対向電極の触媒に吸着した
一酸化炭素ガスを除去でき、繰り返し再現性のよい出力
が得られるという作用を有する。
【0049】請求項19に記載の発明は、請求項11に
記載の発明において、第2の直流電源により測定電圧を
印加して測定された電流値とその既定値とを比較するこ
とで水素ガスのガス濃度を求めたため、検出濃度に対し
高濃度か低濃度かを容易にかつ高精度に検出できるとい
う作用を有する。
【0050】請求項20に記載の発明は、請求項11ま
たは13に記載の発明において、第1の直流電源により
測定電圧を印加して測定された電流値と水素ガスの濃度
に対応づけられたその既定値とを比較することで一酸化
炭素ガスの濃度を求めたため、検出濃度に対し高濃度か
低濃度かを容易にかつ高精度に検出できるという作用を
有する。
【0051】請求項21に記載の発明は、請求項19ま
たは20に記載の発明において、第1の直流電源、およ
び、第2の直流電源により測定電圧を印加して測定され
た夫々の電流値が夫々の既定値以上かどうかでオン信号
またはオフ信号を出力する構成としたので、スイッチ的
なガス濃度検出器として容易にかつ高精度に検出できる
という作用を有する。
【0052】請求項22に記載の発明は、請求項20に
記載の発明において、第1の直流電源により測定電圧を
印加して測定された電流値および電流変化速度と水素ガ
ス濃度に対応づけられたそれらの既定値とを比較するこ
とで一酸化炭素ガスの濃度を求める構成としたので、水
素ガス濃度の変動や被検出ガス濃度が測定中に変動する
過渡状態であるかどうかを含め判断することができ、高
精度に一酸化炭素ガスの濃度が検出できるという作用を
有する。
【0053】請求項23に記載の発明は、請求項21に
記載の発明において、測定電圧を印加して測定された電
流値および電流変化速度がそれらの既定値以上かどうか
でオン信号またはオフ信号を出力する構成としたため、
スイッチ的なガス濃度検出器として容易にかつ高精度に
検出できるという作用を有する。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、被検出ガスを水素、およ
び、一酸化炭素ガスとした場合の本発明の実施の形態に
ついて、図1から図12を用いて説明する。
【0055】(実施の形態1)図1は本発明のガス濃度
検出器の実施の形態1の概略構造を説明する被検出ガス
の流れに対し垂直な面の断面図、図2は同検出器の被検
出ガスの流れに対し平行な面の断面図であり、図3は同
検出器における検出部の分解斜視図である。図4は同検
出器の一酸化炭素ガス濃度検出部での水素ガス濃度80
%のベースガス中の各一酸化炭素ガス濃度に応じた1サ
イクル測定時の電流値を示す図であり、図5は図4の横
軸(時間軸)の一部を取りだし拡大した図、図6は同検
出器の一酸化炭素ガス濃度検出部での水素ガス濃度50
%のベースガス中の各一酸化炭素ガス濃度に応じた1サ
イクル測定時の電流値を示す図であり、図7は図6の横
軸(時間軸)の一部を取りだし拡大した図、図8は同検
出器の一酸化炭素ガス濃度検出部での水素ガス濃度80
%、および50%における電流値の一酸化炭素ガス濃度
依存性を示す図、図9は同検出器の水素ガス濃度検出部
での水素ガス濃度80%、および50%における電流値
の水素ガス濃度依存性を示す図、図10は同検出器の制
御フローチャート、図11は同検出器の一酸化炭素ガス
濃度検出部での被検出ガスの各流量に関する電流値を示
す図、図12は同検出器の水素ガス濃度検出部での被検
出ガスの各流量に関する電流値を示す図である。
【0056】図1から図3において、1aは第1検出素
子であり、被検出ガス中の一酸化炭素ガス濃度を検出す
るための第1電解質20aと第1電解質20aの両面に
設けられた第1検出電極21a、第1対向電極22aと
からなる一酸化炭素ガス濃度検出素子である。第1検出
電極21a、第1電解質20a、第1対向電極22aを
2枚のシール用ゴム23、ネジ部を有する出力端子接続
部12と一面に凹部13aとその凹部13aに連通し被
検出ガスに開口する正極側流路14aを有する第1集電
板2a、ネジ部を有する出力端子接続部12と一面に孔
部13bとその孔部13bに連通し被検出ガスに開口す
る負極側流路14bを有する第2集電板2bによって挟
み一酸化炭素ガス濃度検出部7aを形成した。同様に、
1bは第2検出素子であり、被検出ガス中の水素ガス濃
度を検出するための第2電解質20bと第2電解質20
bの両面に設けられた第2検出電極21b、第2対向電
極22bとからなる水素ガス濃度検出素子であり、第2
検出電極21b、第2電解質20b、第2対向電極22
bを2枚のシール用ゴム23、ネジ部を有する出力端子
接続部12と一面に凹部13cとその凹部13cに連通
し被検出ガスに開口する正極側流路14cを有する第3
集電板2c、ネジ部を有する出力端子接続部12と一面
に孔部13dとその孔部13dに連通し被検出ガスに開
口する負極側流路14dを有する第4集電板2dによっ
て挟み水素ガス濃度検出部7bを形成した。つぎに、一
酸化炭素ガス濃度検出部7aの第2集電板2bの孔部1
3bが開口する面と水素ガス濃度検出部7bの第4集電
板2dの孔部13dが開口する面を孔部を有する絶縁性
のシール板29を介して接するように配設して第3の空
間を形成した。さらにこの構成を4枚の絶縁ゴム板3お
よび加圧のためのボルト6が通される2箇所の孔を有す
る2つの第1の加圧板4および2箇所のネジ穴が形成さ
れている2つの第2の加圧板5によって挟み、第1の加
圧板4および第2の加圧板5間をボルト6で締め付け固
定し検出部28を形成した。
【0057】図1において、第1検出電極21aと第1
集電板2aの凹部13aに囲まれた第1の空間と、第1
対向電極22aと第2集電板2bの孔部13bに囲まれ
た第3の空間とは一酸化炭素ガス濃度検出素子1aすな
わち検出電極21a、電解質膜20a、対向電極22a
により空間的に隔離されている。同様に、第2検出電極
21bと第3集電板2cの凹部13cに囲まれた第2の
空間と、第2対向電極22bと第4集電板2dの孔部1
3dに囲まれた第3の空間とは水素ガス濃度検出素子1
bすなわち検出電極21b、電解質膜20b、対向電極
22bにより空間的に隔離されている。
【0058】また第1集電板2aの正極側流路14aの
開口部、第2集電板2bの負極側流路14bの開口部、
第3集電板2cの正極側流路14cの開口部、および、
第4集電板2dの負極側流路14dの開口部を夫々アル
ミナの多孔質からなるフィルター25で覆い、被検出ガ
スの流れが正極側流路14a、および、14c、負極側
流路14b、および、14dの開口部に流れ込むことを
防止しかつ被検出ガス中の異物などが正極側流路14
a、および、14c、負極側流路14b、および、14
dへ侵入するのを防ぐ構成としている。
【0059】ケース8は上部が開口の形状であり、ガス
漏れ防止のためOリング17を装着する溝28と、側面
には被検出ガスの本流に連結される外径12.7mm
(1/2インチ)の一対の管29が設けられている。検
出部7a、7bは椀状の蓋9の内面に絶縁とシールのた
めのゴム板10と蓋9に設けられた4つの孔を介してネ
ジ部15とシール部16を有する4つの接続端子11を
4つの集電板2a、2b、2c、よび、2dの出力端子
接続部12にねじ込み接続かつ固定されている。さらに
この固定された検出部7a、7bはケース8の開口部か
ら内部に挿入され、ケース8の上部の開口部は蓋9およ
びOリング17により封止される。また4つの接続端子
11には2つの外部の第1直流電源18a、第2直流電
源18b、および電流検出手段としての2つの電流計1
9a、19bが接続されている。
【0060】図1の凹部13a、および13cの近傍に
示す上向きの矢印は第1検出電極21a、および、第2
検出電極21bの近傍に取り込まれる被検出ガスの方向
を示し、孔部13b、および、13dの近傍に示す下向
き矢印は第1対向電極22a、および、第2対向電極2
2bで生成される水素ガスの流れの方向を示している。
また、孔部13b、および13dの近傍に示す左向き矢
印は第2対向電極22bで生成される水素ガス量が第1
対向電極22aで生成される水素ガス量より多いために
生じる流れの方向を示している。図2の下部に示す右向
きの大きな矢印はガス検出器における被検出ガスの流れ
を示し、小さな矢印は第1検出電極21aおよび第2検
出電極21bの近傍に取り込まれる被検出ガス、およ
び、第1対向電極22a、第2対向電極22bで生成さ
れる水素ガスの流れの方向を示している。
【0061】図3の検出部28を中心に詳述する。20
aはフッ素系高分子材料からなる直径20mmの水素イ
オン伝導性を有する第1電解質であり、その片面には正
極に接続される第1検出電極21a、もう一方の面には
負極に接続される第1対向電極22aが配置されてお
り、これら第1電解質20a、第1検出電極21a、第
1対向電極22aとで一酸化炭素ガス濃度検出素子1a
を形成する。前記第1検出電極21aは白金と金を合金
化した触媒が担持されたカーボン粉をフッ素系高分子材
料で固着された直径12mmのカーボンクロスからな
る。前記第1対向電極22aは白金とルテニウムを合金
化した触媒が担持されたカーボン粉をフッ素系高分子材
料で固着された直径12mmのカーボンクロスからな
る。同様に、20bはフッ素系高分子材料からなる直径
20mmの水素イオン伝導性を有する第2電解質であ
り、その片面には正極に接続される第2検出電極21
b、もう一方の面には負極に接続される第2対向電極2
2bが配置されており、これら第2電解質20b、第2
検出電極21b、第2対向電極22bとで水素ガス濃度
検出素子1bを形成する。前記第2検出電極21b、お
よび、第2対向電極22bは白金とルテニウムを合金化
した触媒が担持されたカーボン粉をフッ素系高分子材料
で固着された直径12mmのカーボンクロスからなる。
【0062】第1電解質20a、および、第2電解質2
0bの夫々の両面の外周部近くには夫々2枚のシール用
ゴム23が配置されている。この第1電解質20aを第
1検出電極21a、第1対向電極22aおよび2枚のシ
ール用ゴム23によって挟持し、温度を130℃に設定
しホットプレスにより固着した。同様に、第2電解質2
0bを第2検出電極21b、第2対向電極22bおよび
2枚のシール用ゴム23によって挟持し、温度を130
℃に設定しホットプレスにより固着した。
【0063】なお、実施の形態1では第1検出電極21
aの触媒として白金と金の合金、第1対向電極22aの
触媒として白金とルテニウムの合金を用いたが、これは
一酸化炭素ガス濃度検出の性能を最大限に引き出すため
の組み合わせであり、白金または白金と他の貴金属の合
金でも原理的には動作可能である。すなわち第1検出電
極21aの触媒は被毒されやすい材料、第1対向電極2
2aの触媒は被毒されにくい材料であれば、白金と金の
合金や白金とルテニウムの合金に何ら限定されるもので
はない。同様に、第2検出電極21bの触媒、および、
第2対向電極22bの触媒として白金とルテニウムの合
金を用いたが、これは水素ガス濃度検出の性能を最大限
に引き出すための組み合わせであり、白金または白金と
他の貴金属の合金でも原理的には動作可能である。すな
わち第2検出電極21b、および、第2対向電極22b
の触媒は被毒されにくい材料であれば、白金とルテニウ
ムの合金に何ら限定されるものではない。
【0064】図1において、このように構成された一酸
化炭素ガス濃度検出素子1aの片面には深さ4mm、直
径9mmの円柱状の凹部13aとこの凹部13aに連通
し被検出ガスに開口する直径3.5mmの丸穴状の正極
側流路14aと出力端子接続部12を有する一辺30m
m、厚さ7mmの平板状のステンレス鋼製の第1集電板
2a、一酸化炭素ガス濃度検出素子1aのもう一方の面
には深さ4mm、直径9mmの円柱状の凹部と、その凹
部内に直径3.5mmの貫通の孔からなる孔部13bと
この孔部13bに連通し被検出ガスに開口する直径3.
5mmの丸穴状の負極側流路14bと出力端子接続部1
2を有する一辺30mm、厚さ7mmの平板状のステン
レス鋼製の第2集電板2bが配置されている。この第1
集電板2aの正極側流路14aおよび第2集電板2bの
負極側流路14bの開口部には板状の隔絶板24a、2
4bを設け、第1対向電極22aで生成された水素ガス
が正極側流路14aの開口部に回り込むことを防止して
いる。
【0065】同様に、水素ガス濃度検出素子1bの片面
には深さ4mm、直径9mmの円柱状の凹部13cとこ
の凹部13cに連通し被検出ガスに開口する直径3.5
mmの丸穴状の正極側流路14cと出力端子接続部12
を有する一辺30mm、厚さ7mmの平板状のステンレ
ス鋼製の第3集電板2c、水素ガス濃度検出素子1bの
もう一方の面には深さ4mm、直径9mmの円柱状の凹
部と、その凹部内に直径3.5mmの貫通の孔からなる
孔部13dとこの孔部13dに連通し被検出ガスに開口
する直径3.5mmの丸穴状の負極側流路14dと出力
端子接続部12を有する一辺30mm、厚さ7mmの平
板状のステンレス鋼製の第4集電板2dが配置されてい
る。この第3集電板2cの正極側流路14cおよび第4
集電板2dの負極側流路14dの開口部には板状の隔絶
板24c、24dを設け、第2対向電極22bで生成さ
れた水素ガスが正極側流路14cの開口部に回り込むこ
とを防止している。
【0066】また、第2集電板2bの一酸化炭素ガス濃
度検出素子1aに接する面に対向する面に開口する直径
3.5mmの孔部13bと第4集電板2dの水素ガス濃
度検出素子1bに接する面に対向する面に開口する直径
3.5mmの孔部13dは、第2集電板2b、および、
第4集電板2dの孔部13b、13dと同位置に設けら
れた直径3.5mmの孔部を備えるシリコンからなる絶
縁性のシール板29を挟んで配設し一酸化炭素ガス濃度
検出部と水素ガス検出部の共有の空間である第3の空間
を形成した。これは、第2対向電極22bで生成される
水素ガスは第1対向電極22aで生成される水素ガスに
比べ多量であり、その第2対向電極22bで生成される
水素ガスを第1対向電極22a近傍に送り込むことで第
3の空間全体のガス状態を早期に安定化させ起動時間の
短縮化を果たしている。
【0067】さらに第1集電板2aの凹部13a、第2
集電板2bの孔部13b、第3集電板2cの凹部13
c、第4集電板2dの孔部13d、および、正極側流路
14a、負極側流路14b、正極側流路14c、負極側
流路14dの表面はサンドブラストにて梨地状に荒され
て加工されており親水性が良く、温度変動によって発生
する結露水等が容易に排出される。これら第1集電板2
aの凹部13a、第2集電板2bの孔部13b、第3集
電板2cの凹部13c、第4集電板2dの孔部13d、
および、正極側流路14a、負極側流路14b、正極側
流路14c、負極側流路14d以外の表面はシール性や
第1検出電極21a、第1対向電極22a、第2検出電
極21b、第2対向電極22bとの接触性を良好に保つ
ために平均表面粗度が1.6μm以下になるように平滑
に加工されている。
【0068】なお、本実施の形態1においては凹部13
a、13cの形状を円柱型、孔部13b、13dの形状
を2段の円柱型、正極側流路14a、14c、負極側流
路14b、14dを丸孔としたが、その形状や寸法は被
検出ガスを透過させることができるものであれば、これ
に何ら限定されるものではない。
【0069】図1には第1直流電源18a、第2直流電
源18b、および、電流検出手段としての第1電流計1
9a、第2電流計19bから構成された検出回路部も夫
々示されている。第1集電板2a、第2集電板2bに接
続された2つの接続端子11にケーブルを介して第1直
流電源18aが接続されており、2つの接続端子11間
に流れる電流値を検出するため第1直流電源18aと直
列に第1電流計19aが接続されている。同様に、第3
集電板2c、第4集電板2dに接続された2つの接続端
子11にケーブルを介して第2直流電源18bが接続さ
れており、2つの接続端子11間に流れる電流値を検出
するため第2直流電源18bと直列に第2電流計19b
が接続されている。第1電流計19a、第2電流計19
bの出力はマイクロコンピュータ(図示せず)に接続さ
れている。マイクロコンピュータは第1電流計19a、
第2電流計19bが検出した夫々の電流から所定の計算
を行い、一酸化炭素ガス濃度、および、水素濃度を出力
するとともに、第1検出電極21a、第1対向電極22
a、第2検出電極21b、第2対向電極22bの触媒の
リフレッシュを行うために第1直流電源18a、第2直
流電源18bの電圧を連続的に制御する。
【0070】なお、本実施の形態1においては第1電流
計19aや第2電流計19bにより電流値を検出してい
るが、それらのかわりに抵抗を接続しその両端の電圧を
検出してもよい。
【0071】次に、本実施の形態1のガス濃度検出器の
動作を説明する。
【0072】被検出ガスは第1検出電極21aから第1
対向電極22aに向かう水素イオン輸送作用により第1
集電板2aの正極側流路14aから取り込まれ、凹部1
3aに導かれる。凹部13aは第1検出電極21aに接
しているので、被検出ガスが凹部13aに導かれること
により第1検出電極21aを構成するカーボンクロスの
中へまんべんなく拡散し触媒に達する。同様に、被検出
ガスは第2検出電極21bから第2対向電極22bに向
かう水素イオン輸送作用により第3集電板2cの正極側
流路14cから取り込まれ、凹部13cに導かれる。凹
部13cは第2検出電極21bに接しているので、被検
出ガスが凹部13cに導かれることにより第2検出電極
21bを構成するカーボンクロスの中へまんべんなく拡
散し触媒に達する。
【0073】マイクロコンピュータは第1直流電源18
a、第2直流電源18bを制御し、第1集電板2aと第
2集電板2bの間、および、第3集電板2cと第4集電
板2dの間に電圧が印加される。この電圧印加により被
検出ガス中の水素ガスは第1検出電極21a、第2検出
電極21bの触媒上では(化1)、第1対向電極22
a、第2対向電極22bの触媒上では(化2)に示す反
応が起こる。
【0074】
【化1】
【0075】
【化2】
【0076】(化1)に示すように第1検出電極21
a、および、第2検出電極21bで水素ガスの解離反応
が起こり、ここで生じた水素イオン(H+)が第1電解
質膜20a、および、第2電解質膜20bを通って第1
対向電極22a、および、第2対向電極22bに到達
し、そこで(化2)に示すように再び電子(e-)を受
け取り水素ガスを生成する。発生した水素ガスは負極の
第2集電板2bの孔部13b、および、第4集電板2d
の孔部13d等によって形成される第3の空間に充満
し、その後、負極側流路14b、14dを通って被検出
ガスの本流に排出される。すなわち被検出ガスは第1検
出電極21a、および、第2検出電極21bに曝すこと
が必要であるが、第1対向電極22a、および、第2対
向電極22bは曝す必要はない。
【0077】このように水素ガスの存在下では第1検出
電極21a、および、第2検出電極21bで水素ガスの
解離反応が起こるために正極側流路14a、14c内の
圧力は低下し被検出ガスは正極側流路14a、14c内
に吸いこまれる。また第1対向電極22a、および、第
2対向電極22bでは水素ガスを生成し、負極側流路1
4b、14dより水素ガスを吐き出す。従ってこの検出
部7a、7bはいわば一種のポンプの役割を果たし被検
出ガスを含む水素ガスは圧力を加えなくとも正極側流路
14a、14cより吸いこまれる。
【0078】また水素ガスの存在下で一酸化炭素ガス濃
度検出部7aと第1直流電源18aの間、および、水素
ガス濃度検出部7bと第2直流電源18bの間に電気的
な閉回路が形成されて水素イオン伝導度に応じた電流が
流れる。
【0079】一酸化炭素ガス濃度検出部7aでは被検出
ガス中に一酸化炭素ガスが含まれると第1検出電極21
aの白金と金の合金からなる触媒の表面に一酸化炭素ガ
スが吸着し被毒する。その結果、上記(化1)および
(化2)に示す反応が阻害され、一酸化炭素ガス濃度検
出部7aと第1直流電源18a間に流れる電流が減少す
る。この電流値を検出し、マイクロコンピュータで一酸
化炭素ガス濃度に応じた信号を出力している。
【0080】しかしながら上記の動作だけでは一酸化炭
素の濃度を一度計測すると触媒が一酸化炭素を吸着した
ままの状態であるので電流値は減少し、2回目の計測が
できなくなってしまう。したがって一酸化炭素ガス濃度
を連続して計測するには触媒の機能の回復(以降、リフ
レッシュと呼ぶ)を行うことが必要となる。
【0081】また、水素ガス濃度検出部7bでは被検出
ガス中の水素ガスの濃度に応じた電流が流れる。この電
流値を検出し、マイクロコンピュータで水素ガス濃度に
応じた信号を出力している。
【0082】この水素ガス検出部7bの、第2検出電極
21bの白金とルテニウムの合金からなる触媒の表面に
も、白金と金の合金からなる触媒ほど著しいものではな
いものの、一酸化炭素ガスの吸着により被毒し、水素ガ
ス濃度検出部7bと第2直流電源18b間に流れる電流
が徐々に減少し、水素濃度検知精度が低下する。したが
って水素ガス濃度を連続して計測するにも触媒のリフレ
ッシュを行うことが必要となる。
【0083】そこで、本実施の形態1では第1集電板2
aと第2集電板2b、および、第3集電板2cと第4集
電板2dにマイクロコンピュータの制御により測定電圧
とリフレッシュ電圧が既定のサイクル数が交互に途切れ
ることなく連続的に印加されている。このリフレッシュ
電圧を定期的に印加することにより触媒機能は回復す
る。これは(化3)に示すように被検出ガス中の水がリ
フレッシュ電圧の印加と触媒により分解されて酸素が発
生し、(化4)に示すように触媒の表面に吸着した一酸
化炭素と酸素が反応して二酸化炭素ガスとなり一酸化炭
素が触媒の表面から脱離することによる。
【0084】
【化3】
【0085】
【化4】
【0086】(化3)および(化4)において(g)は
気体を、(a)は触媒への吸着をそれぞれ示す。なお、
(化3)、(化4)の反応は触媒が存在するときのみ起
こり、触媒がなければ電圧を印加しても反応は起こらな
い。
【0087】本実施の形態1では第1直流電源18a、
および、第2直流電源18bによって印加される測定電
圧を両者とも0.1V、リフレッシュ電圧も同様に両者
とも測定電圧以上かつ水の分解電位(理論値1.23
V)以上の1.5Vとした。また、測定時間は5秒、リ
フレッシュ時間は2秒とし合計7秒で1サイクルとこれ
も両者同様とした。
【0088】以上の動作で断続的に電流値を検出し、マ
イクロコンピュータで水素ガス濃度、および、一酸化炭
素ガス濃度に応じた信号を出力することができる。
【0089】次にマイクロコンピュータで計算される信
号処理の詳細を説明する。
【0090】まず、第1の評価として、水素ガス濃度8
0%、窒素ガス濃度5%、一酸化炭素ガス濃度1000
0ppm、2000ppm、200ppm、100pp
m、50ppm、20ppm、5ppm、残りを二酸化
炭素ガスとした7種類の模擬被検出ガスを準備し、一酸
化炭素ガス濃度が10000ppmの模擬被検出ガスを
30分間、同じく2000ppmを10分間、200p
pmを10分間、100ppmを10分間、50ppm
を10分間、20ppmを10分間、5ppmを40分
間という順に切り替え、模擬被検出ガスをバブラーにて
加湿し、前記の一酸化炭素ガス検出器のケース8内に導
入し電流値を測定した。
【0091】また、第2の評価として、水素ガス濃度5
0%、窒素ガス濃度5%、一酸化炭素ガス濃度1000
0ppm、2000ppm、200ppm、100pp
m、50ppm、20ppm、5ppm、残りを二酸化
炭素ガスとした7種類の模擬被検出ガスを準備し、第1
の評価と同様に、一酸化炭素ガス濃度が10000pp
mの模擬被検出ガスを30分間、同じく2000ppm
を10分間、200ppmを10分間、100ppmを
10分間、50ppmを10分間、20ppmを10分
間、5ppmを40分間という順に切り替え、模擬被検
出ガスをバブラーにて加湿し、前記の一酸化炭素ガス検
出器のケース8内に導入し電流値を測定した。
【0092】これらの評価は、改質装置の起動直後のガ
ス状態を想定したものである。また、測定時の被検出ガ
スの流量は第1の評価、第2の評価とも毎分100ml
とした。
【0093】なお模擬被検出ガス中の一酸化炭素濃度に
より測定時間を変えているのは、最初は高濃度の一酸化
炭素に曝す時間を多くし、一酸化炭素濃度が減少し5p
pmで定常状態になるという実際の改質装置の起動特性
に合わせているためである。
【0094】図4は第1の評価に関して、第1の電流計
19aで検出された各一酸化炭素ガス濃度における電流
値を示す図、図6は第2の評価に関して、第1の電流計
19aで検出された各一酸化炭素ガス濃度における電流
値を示す図であり、いずれもリフレッシュ後の5秒間の
推移を示す。
【0095】図4および図6より、いずれの場合もリフ
レッシュ直後の測定1秒目や2秒目の電流値は急激に減
少している。これはリフレッシュ電圧(1.5V)から
測定電圧(0.1V)へステップ的に変化させたので、
第1電解質膜20a内に含まれて水素イオンキャリアと
して機能する水分の膜厚方向の分布が変動し、膜厚方向
の分布が安定するのに時間を有することが主な要因であ
ると考えられる。
【0096】したがって、リフレッシュ直後から1〜2
秒間の電流値は不安定でありこの電流値を一酸化炭素ガ
スの濃度演算に用いるのは不適切である。このことは図
4および図6の各一酸化炭素ガス濃度において1秒目、
2秒目の電流値および1秒目と2秒目の電流変化量、2
秒目と3秒目の電流変化量について、その電流値、電流
変化量がともに一酸化炭素ガス濃度に依存しないことか
らも判断できる。
【0097】なお、従来例はリフレッシュ電圧から測定
電圧へ変わるタイミングt=0の電流値をもとにその後
の電流値を用いて一酸化炭素ガス濃度を演算しているた
めその演算値の再現性や、安定性に課題があると想定さ
れるが、本実施の形態1では測定3秒目以降つまり電解
質膜のイオン伝導性が安定した後の電流値を採取してい
るため再現性、安定性のある一酸化炭素ガス濃度測定が
可能となる。
【0098】図5は図4の測定データのうち3秒目から
5秒目の測定値を拡大表示した図、図7は同様に図6の
測定データのうち3秒目から5秒目の測定値を拡大表示
した図である。
【0099】図5および図7において、測定の3秒目、
4秒目、5秒目ではリフレッシュ直後の測定1秒目や2
秒目の電流値のような急激な変動はなくなり比較的安定
な値を示し、その各時間における電流値は一酸化炭素ガ
ス濃度に依存する。これはリフレッシュ直後から測定3
秒目までの3秒間は印加電圧変化に伴い第1電解質膜2
0aの中の水分の膜厚方向の分布が変動するということ
と、第1検出電極21aの触媒に一酸化炭素がそのガス
濃度に応じた量で急激に吸着するという二つの現象が混
在する過渡領域であると考えられる。
【0100】また3秒目以降は第1電解質膜20aの中
の水分の膜厚方向の分布は安定し、過渡領域で触媒に吸
着した一酸化炭素の量に応じた電流値で一旦安定するた
めと考えられる。3秒目以降は比較的安定な電流値が得
られるが、この3秒目以降も触媒への一酸化炭素ガスの
吸着は起こっており徐々に電流値は変動する。ただし、
図6および図7からも明らかなように3秒目以降であれ
ば、電流値採取の時期を一定にすることで濃度判別が可
能となる。ただし測定時間が短くなれば電流値が安定す
るまでの十分な時間がとれないので、リフレッシュ時間
よりも測定時間の方を長くすることにより安定した電流
値を得ることができる。
【0101】しかしながら、図5および図7において、
測定の3秒目、4秒目、5秒目の各時間における電流値
は水素ガス濃度に依存する。従って、正確な一酸化炭素
ガス濃度を検出するためには被検出ガス中の水素ガス濃
度を検出することが不可欠である。
【0102】なお、本実施の形態1ではリフレッシュ時
間2秒、測定時間5秒としたが測定時間を長くし6秒目
以降の電流値を用いてもよいということはいうまでもな
い。
【0103】第1の評価および第2の評価に関し、第1
電流計19aで検出された5秒目の電流値の一酸化炭素
ガス濃度に対する変化を図8に、第2電流計19bで検
出された、各一酸化炭素ガス濃度下における5秒目の電
流値を図9に示す。以降、第1の評価に関し、第1電流
計19aで検出された5秒目の電流値をIc1(5)、
第2電流計19bで検出された5秒目の電流値をIh1
(5)で、第2の評価に関し、第1電流計19aで検出
された5秒目の電流値をIc2(5)、第2電流計19
bで検出された5秒目の電流値をIh2(5)で表す。
【0104】第1の評価に関し、一酸化炭素ガス濃度1
0000ppmでは電流値Ic1(5)は3.5mA、
第2の評価に関しても、一酸化炭素ガス濃度10000
ppmでは電流値Ic2(5)は3.4mAであり低い
電流値を示す。これは一酸化炭素ガス濃度が非常に高い
ため第1検出電極21aの触媒表面に多くの一酸化炭素
が吸着し、触媒の水素イオン化能力が著しく阻害される
ためである。一酸化炭素ガス濃度が低くなるにつれて第
1検出電極21aの触媒表面に吸着する一酸化炭素の量
は減少し、触媒の水素イオン化能力も大きくなり電流値
は増加する。
【0105】一般的に水素ガス中に含まれる一酸化炭素
ガス濃度が20ppm以下であれば燃料電池の動作に影
響を与えないとされており、一酸化炭素ガス濃度が20
ppm以下か否かの判断を行うスイッチ的な検出につい
て具体的に電流値の既定値を決めて検討した。なお、一
酸化炭素ガス濃度が20ppm以上のときはオフ信号
を、20ppm未満のときはオン信号をそれぞれ出力す
ることとした。
【0106】図8より水素ガス濃度80%、一酸化炭素
ガス濃度20ppmの時、電流値Ic1(5)は37m
A、水素ガス濃度50%、一酸化炭素ガス濃度20pp
mの時、電流値Ic2(5)は26mAである。このよ
うに、一酸化炭素ガス濃度が同一であっても被検出ガス
中の水素ガス濃度が低下すると電流値も低下する。水素
ガス濃度に対する電流値の変化は水素ガス濃度50%か
ら80%の間で直線的に変化すると想定され、本実施の
形態1では(数7)に示す式で水素ガス濃度に対する一
酸化炭素ガス濃度20ppm時の電流値を求めることが
できる。この求めた電流値を既定値として一酸化炭素ガ
ス濃度が20ppm以下であるかどうかを判断するガス
濃度検出器を構成した。
【0107】
【数7】
【0108】また、図9より水素ガス濃度80%の時、
電流値Ih1(5)は一酸化炭素ガス濃度が変動しても
殆ど変わらず153mAであり、同様に、水素ガス濃度
50%の時、電流値Ih2(5)は109mAである。
水素ガス濃度50%から80%の間では第2電流計19
bで検出される電流値は直線的に変化すると想定され、
本実施の形態1では(数8)に示す式で検出された電流
値から水素ガス濃度を求めることができる。この得られ
た水素ガス濃度を用いて(数7)から一酸化炭素ガス濃
度20ppm時の既定値を得ることができる。
【0109】
【数8】
【0110】一酸化炭素ガス濃度20ppm以下の判定
としては第1電流計19aで得られた電流値が(数7)
で算出された既定値以上であるときにオン信号を出力す
ることにより一酸化炭素ガス濃度20ppm以下を判断
できた。なお、電流値の既定値には測定5秒目の電流値
を用いて検討したが3秒目、4秒目あるいは5秒目以降
の電流値を用いそれぞれの既定値を決め判断することも
可能である。
【0111】ここで、図10に上記の20ppm以下か
どうかを判断するガス濃度検出器の制御、計算手法をフ
ローチャートとして示す。
【0112】ガス濃度検出器の電源が投入されると、第
1対向電極22aおよび第2対向電極22bに1.5V
のリフレッシュ電圧が印加され(S1)、既定時間とし
て2秒間待ち(S2)、第1対向電極22aおよび第2
対向電極22bの触媒がリフレッシュされる。その後、
第1検出電極21aおよび第2検出電極21bに1.5
Vのリフレッシュ電圧が印加され(S3)、既定時間と
して2秒間待ち(S4)、第1検出電極21aおよび第
2検出電極21bの触媒がリフレッシュされる。燃料電
池制御回路(図示せず)から燃料電池を停止する信号が
発信されているかどうかを調べる(S5)。もし燃料電
池を停止する信号があれば(S5のyes)、第1検出
電極21aおよび第2検出電極21bに印加していた電
圧をオフにし(S6)、ガス濃度検出器の動作を終了す
る。
【0113】燃料電池を停止する信号がなければ(S5
のno)、第1検出電極21aおよび第2検出電極21
bに測定電圧として0.1Vの電圧が印加される(S
7)。その後、既定時間間隔毎に第1電流計19aおよ
び第2電流計19bで検出された電流値をマイクロコン
ピュータのメモリーに取り込む(S8)。本実施の形態
1ではリフレッシュと測定の1サイクルにおいて測定開
始5秒目の各々の電流値をデータとして取り込んだ。こ
れらの電流値データを取り込み(S9のyes)(数
8)および(数7)の式による演算を行い水素ガス濃度
および既定値を算出し、第1電流計19aで検出された
電流値が既定値以下かどうかを比較する(S10)。
【0114】第1電流計19aで検出された電流値が既
定値以上であれば(S10のyes)、オン信号を出力
する(S12)。一方、第1電流計19aで検出された
電流値が既定値以下であれば(S10のno)、オフ信
号を出力する(S11)。この一連の一酸化炭素および
水素ガス濃度判定サイクル終了後、判定サイクルが既定
回数に到達したかどうかを判断し、既定回数未満の場合
S3に戻り新規の一酸化炭素および水素ガス濃度判定サ
イクルに入り、既定回数到達の場合はS1に戻り対向電
極の触媒をリフレッシュした後に新規の一酸化炭素およ
び水素ガス濃度判定サイクルに入る。
【0115】このような動作を繰り返すことにより、た
とえ水素ガス濃度が変動しても高精度に一酸化炭素ガス
濃度が20ppm以下かどうかを判断し、出力すること
ができる。
【0116】なお第1対向電極22a、第2対向電極2
2bはガス濃度検出のために被検出ガスに接触する必要
はなく、測定中は第1対向電極22a、第2対向電極2
2bでは水素ガスが生成されるので第1対向電極22
a、第2対向電極22bのある第3の空間には被検出ガ
スはほとんど入ってこない。しかしながら測定電圧が低
くなり第1対向電極22a、第2対向電極22bで生成
される水素ガスが少なくなると被検出ガスが第1対向電
極22a、第2対向電極22bのある第3の空間に拡散
し、第1対向電極22a、第2対向電極22bの触媒が
被毒することも考えられるため第1対向電極22a、第
2対向電極22bのリフレッシュをしている。
【0117】ここでは一酸化炭素ガス濃度が20ppm
以下かどうかの検出について記載したが、20ppm以
外の濃度についても同様に既定値を設定し、検出するこ
とはもちろん可能で、1つの検出器で複数ポイントの濃
度検出も可能である。
【0118】本実施の形態1では比較的低濃度の一酸化
炭素ガス濃度、および水素ガス濃度を検出するため測定
電位を0.1Vに設定し、さらにフィルター25に用い
たアルミナ多孔質を通気性のよいもので構成した。
【0119】比較的高濃度の一酸化炭素ガス濃度を検出
する場合には第1検出電極21a上に一酸化炭素が一気
に吸着してしまい電流が非常に小さくなる可能性がある
ので、第1検出電極21aの触媒表面への一酸化炭素の
吸着が少なくなるように制御すればよい。例えば測定電
位を高くし若干のリフレッシュ作用を行いつつ一酸化炭
素を吸着させると高濃度の一酸化炭素ガス濃度域におけ
る測定感度は高まる。またフィルター25の通気性を少
々おとす等により正極側流路14aに流入する被検出ガ
ス流量を制限して吸着する一酸化炭素の量を抑えること
により高濃度の一酸化炭素ガスの検出精度は向上する。
【0120】次に本実施の形態1におけるガス濃度検出
器の流量依存性を図11、および図12を用いて説明す
る。図11、および図12では水素ガス濃度80%、窒
素ガス濃度5%、一酸化炭素ガス濃度100ppm、残
りを二酸化炭素ガスとした模擬被検出ガスを毎分100
ml、毎分200mlおよび毎分300mlの流量で前
記ケース8内に各々約5分間供給したときの測定5秒目
の電流値Ic1(5)、およびIh1(5)をそれぞれ
示している。測定条件は前述したものと同様に測定電圧
0.1Vを5秒間、リフレッシュ電圧1.5Vを2秒間
印加し、この7秒間を1サイクルとして測定を繰り返し
て電流値Ic1(5)、およびIh1(5)をプロット
した。図11、および図12より模擬被検出ガスの流量
を毎分100ml、毎分200mlおよび毎分300m
lとしても電流値Ic1(5)、およびIh1(5)の
値はそれぞれ殆ど変動しないことがわかる。
【0121】これは被検出ガスを検出器内部に圧力差を
設けて強制的にフローするタイプと違い、本実施の形態
1のガス濃度検出器は第1集電板2aの正極側流路14
a、および第3集電板2cの正極側流路14cから第1
検出電極21a、および第2検出電極21bの方に吸い
こまれる被検出ガス量は第1検出素子1aの第1検出電
極21aから第1対向電極22aに向かう水素イオン輸
送能力、同様に第2検出素子1bの第2検出電極21b
から第2対向電極22bに向かう水素イオン輸送能力に
依存し被検出ガスの本流の流量に依存しないためであ
る。
【0122】以上の構成、動作により従来例に比べ、被
検出ガス流量や水素ガス濃度に依存せず検出精度の高い
ガス濃度検出器を実現できた。
【0123】(実施の形態2)図13は本発明のガス濃
度検出器の実施の形態2の電流変化速度の一酸化炭素ガ
ス濃度依存性を示す図であり、図14は同検出器の出力
計算および制御フローチャート、図15は同検出器の被
検出ガスの各流量に関する電流変化速度を示す図であ
る。
【0124】本実施の形態2は実施の形態1で述べたガ
ス濃度検出器と構造が同一であるので構造の詳細につい
ての説明は省略する。また同検出器の動作および制御フ
ローチャートに関しても実施の形態1と同一部分に関し
ては詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述
する。
【0125】本実施の形態2の特徴は実施の形態1の一
酸化炭素ガス濃度検出手法に電流値を用いていたことに
加え、電流変化速度を用いて検出精度をさらに向上させ
ている点である。
【0126】実施の形態1の測定手法では電流値を用い
て一酸化炭素ガス濃度を判定しているが、測定している
5秒間の間で被検出ガス中の一酸化炭素ガス濃度が過渡
的に変動した場合はその変動スピードに追従できない場
合がある。そこで電流値に加え電流変化速度による判断
を加えることにより被検出ガスの状態が定常状態か過渡
状態であるかを区別でき、より精度よくガス濃度の検出
が可能となる。
【0127】マイクロコンピュータで計算される信号処
理の詳細を説明する。
【0128】実施の形態1で説明した図5、および図7
の水素ガス濃度80%、および50%の場合において、
測定の3秒目、4秒目および5秒目ではリフレッシュ直
後の1秒目や2秒目の電流値のような急激な変動はなく
なり電流値は徐々に変動していく。一酸化炭素ガス濃度
50ppmをほぼ境にして、一酸化炭素ガス濃度が50
ppmより高いときには3秒目以降電流値はわずかなが
ら減少し、一酸化炭素ガス濃度が50ppmより低いと
きは3秒目以降電流値はわずかながら増加する。
【0129】一酸化炭素ガス濃度が50ppmより低い
場合3秒目から5秒目の間で電流値は緩やかに増加して
いる。これはリフレッシュ電圧1.5Vから測定電圧
0.1Vにステップ状に切り替わった際、追従する電流
がオーバシュートし0.1V本来の電流値よりも少ない
電流値まで一旦低下し、その後徐々に0.1V本来の電
流値に回復することによるものと推測される。
【0130】また50ppmより高い一酸化炭素ガス濃
度では、リフレッシュ電圧から測定電圧に切り替わった
際のオーバシュートした電流が徐々に0.1V本来の電
流値に回復する電流値の増加よりも一酸化炭素ガスの触
媒への吸着による電流低下の影響の方が大きくなり結果
的に電流値は徐々に減少するものと推測される。
【0131】一酸化炭素濃度50ppm以下の場合、測
定時間を5秒より長くすると電流増加は止まり、その後
電流値は緩やかに減少する。これよりリフレッシュ電圧
から測定電圧に切り替わった際にオーバシュートした電
流がおよそ5秒間かかって0.1V本来の電流値に回復
するものと思われる。一酸化炭素ガス濃度が5ppmの
場合、5秒目以降は一酸化炭素の触媒への吸着による電
流値の減少があったので本実施の形態2では高速応答性
の観点から測定時間を5秒間として検討した。
【0132】本実施の形態2では一酸化炭素ガス濃度の
判定に3秒目、5秒目のように電流値が緩やかに増加す
る期間のデータを用いている。この電流値の変動は再現
性があることは確認されており、実施の形態2の構成で
あれば3秒目、4秒目、5秒目の電流値のうち任意の電
流値を用いることができる。
【0133】なお、高速応答を要求しない場合は測定時
間を長くし6秒目以降の電流値を用いても可能である。
【0134】電流値の変化をみるパラメータとして、3
秒目から5秒目の間の平均の電流変化速度CV(傾きに
相当する)を(数9)から計算し求めた。
【0135】
【数9】
【0136】(数9)において、I(3)はリフレッシ
ュ終了測定開始後3秒目の電流値を、I(5)は同5秒
後の電流値をそれぞれ示す。
【0137】このようにして求めた水素ガス濃度80%
の場合の電流変化速度CVの一酸化炭素ガス濃度に対す
る変化を図13に示す。なお、水素ガス濃度50%時の
3秒目から5秒目の間の平均の電流変化速度については
水素ガス濃度80%時の電流変化速度CVとほとんど同
様の値が得られたため割愛した。
【0138】これは、水素ガス濃度が変動しても一酸化
炭素の触媒上への吸着は一酸化炭素ガス濃度が同一であ
ればほぼ同様の速度で起こるためと考えられ、この電流
変化速度については水素ガス濃度依存性は無いと言うこ
とができる。
【0139】従って、水素ガス濃度にかかわらず、以
降、各々の3秒目から5秒目の間の平均の電流変化速度
をCVと呼ぶ。
【0140】一酸化炭素ガス濃度10000ppmでは
CVはほぼ0である。これは一酸化炭素ガス濃度が非常
に高いため検出電極の触媒表面に多くの一酸化炭素が一
気に吸着し、触媒の水素イオン化能力が著しく阻害され
たためである。図5、および図7より一酸化炭素ガス濃
度10000ppmの場合の電流値は3秒目で3.5m
Aまで低下し、その後の4秒目、5秒目での3秒目に対
する変化量は非常に小さい。
【0141】また、一酸化炭素ガス濃度2000ppm
でも同様の理由でCVの絶対値は小さい。しかし200
0ppmより低い一酸化炭素ガス濃度、例えば200p
pmになるとCVは大きく減少し、200ppm以下の
一酸化炭素ガス濃度ではガス濃度の低下に伴いCVは増
加する傾向にあることがわかる。したがって本実施の形
態2におけるCVは200ppm以下の一酸化炭素ガス
濃度の検出に関して有効に使用できる。
【0142】次に上記の方法で具体的に電流値、および
電流変化速度の既定値を決め、一酸化炭素ガス濃度が2
0ppm以下かどうかの判断を行うスイッチ的な検出に
ついて検討した。なお、一酸化炭素ガス濃度が20pp
m以上のときまたは過渡状態の場合はオフ信号を、20
ppm未満のときはオン信号をそれぞれ出力することと
した。
【0143】図8、および図9より測定5秒目の電流値
の既定値を本実施の形態1の(数8)、および(数7)
に示す式で求めた既定値とし、また図13よりCVの既
定値を0.7mA/sとして一酸化炭素ガス濃度が20
ppm以下であるかどうかを判断するガス濃度検出器を
構成した。安定時の20ppm以下の判定としては、C
Vが0.7mA/s以上、かつ測定5秒目の電流値が既
定値以上であるときにオン信号を出力し、これ以外はオ
フ信号を出力する。
【0144】この一酸化炭素ガス濃度が過渡状態である
場合について例を挙げて説明する。
【0145】測定5秒間に一酸化炭素ガス濃度が5pp
mの状態から100ppmの状態へ移行する過渡状態を
想定すると測定5秒目の電流値は初期に5ppmの一酸
化炭素ガスに曝される影響を受けて一酸化炭素濃度10
0ppmでの本来の電流値に到達せず既定値を上回る可
能性がある。ところが測定5秒目の電流値は測定3秒目
の電流値より小さいので(数7)で定義されたCVの値
はマイナスをとり、電流変化速度CVの既定値0.7m
A/sを下回り、オフ信号を出力する。このようにして
一酸化炭素ガス濃度が低い状態から高い状態へ移行する
過渡状態ということがわかる。
【0146】次に測定5秒間に一酸化炭素ガス濃度が1
00ppmから5ppmへ移行する過渡状態を想定する
と、測定5秒目の電流値は測定開始初期に高濃度の一酸
化炭素ガスに曝されているために既定値を下回った場合
はオフ信号が出力される。この時の測定3秒目の電流値
と測定5秒目の電流値については一酸化炭素濃度100
ppmから一酸化炭素濃度5ppmへと変化するので測
定5秒目の電流値は測定3秒目の電流値より大きい値を
とりCVの値は一酸化炭素濃度5ppmで定常的に流れ
ている時のCVの値0.8mA/sよりも大きくなる。
電流値が既定値を下回りかつCV値が既定値を上回る場
合は一酸化炭素ガス濃度が高い状態から低い状態へ移行
する過渡状態を識別できる。
【0147】上記のように電流値と電流変化速度を用い
ることで、一酸化炭素ガス濃度が20ppm以下である
ことを被検出ガス流が過渡状態でも定常状態でも判断で
きた。
【0148】なお、実施の形態2では測定5秒目の電流
値を用いて検討したが3秒目、4秒目および測定5秒目
の電流値以降の電流値やそれらの平均値を用いてそれぞ
れの既定値を決め判断することも可能である。同様にC
Vについても測定3秒目の電流値と測定5秒目の電流値
を用いて計算しているが測定3秒目の電流値および測定
5秒目の電流値以降の電流値を用いてそれぞれの既定値
を決め判断することも可能である。
【0149】上記の20ppm以下かどうかを判断する
ガス濃度検出器の制御、計算手法をフローチャートとし
て図14に示す。
【0150】ガス濃度検出器の電源が投入されると、第
1対向電極22a、および第2対向電極22bに逆電位
である1.5Vのリフレッシュ電圧がそれぞれ印加され
(S1)、既定時間として2秒間待ち(S2)、第1対
向電極22a、および第2対向電極22bの触媒がリフ
レッシュされる。次に第1検出電極21a、および第2
検出電極21bに1.5Vのリフレッシュ電圧がそれぞ
れ印加され(S3)、既定時間として2秒間待ち(S
4)、第1検出電極21a、および第2検出電極21b
の触媒がリフレッシュされる。燃料電池制御回路(図示
せず)から燃料電池を停止する信号が発信されているか
どうかを調べる(S5)。もし燃料電池を停止する信号
があれば(S5のyes)、第1検出電極21a、およ
び第2検出電極21bに印加していた電圧をオフにし
(S6)、ガス濃度検出器の動作を終了する。
【0151】燃料電池を停止する信号がなければ(S5
のno)、第1検出電極21a、および第2検出電極2
1bに測定電圧として0.1Vの電圧がそれぞれ印加さ
れる(S7)。その後、既定時間間隔毎に第1電流計1
9aおよび第2電流計19bで検出された電流値をマイ
クロコンピュータのメモリーに取り込む(S8)。本実
施の形態2では、一酸化炭素ガス濃度検出部7aでのデ
ータの取り込みを測定の3秒目と5秒目、水素ガス濃度
検出部7bでのデータの取り込みを測定の5秒目とし、
リフレッシュ2秒と測定5秒からなる7秒をサイクルと
して1サイクルで合計3つのデータを取り込んだ。
【0152】これらの電流値データの取り込みを完了す
れば(S9のyes)、電流値の既定値を(数8)およ
び(数7)の式に従って行い水素濃度および既定値を算
出する。また、電流変化速度は(数9)式に従って計算
する(S14)。こうして得られた測定5秒目の電流値
および電流変化速度がそれぞれの既定値以下かどうかを
比較する(S10)。ここで両者とも既定値以上であれ
ば(S10のyes)オン信号を出力する(S12)。
【0153】一方、測定5秒目の電流値および電流変化
速度の少なくとも一方が既定値以下であれば(S10の
no)オフ信号を出力する(S11)。本実施の形態2
では一酸化炭素ガス濃度状態が過渡の場合もオフと判断
するようにした。この一連の一酸化炭素ガス濃度判定サ
イクル終了後、判定サイクルが既定回数に到達したかど
うかを判断し、既定回数未満の場合S3に戻り新規の一
酸化炭素ガス濃度判定サイクルに入り、既定回数到達の
場合はS1に戻り第1対向電極22a、および第2対向
電極22bの触媒をリフレッシュした後に新規の一酸化
炭素ガス濃度判定サイクルに入る。
【0154】このような動作を繰り返すことにより、一
酸化炭素ガス濃度が20ppm以下かどうかを出力する
ことができる。
【0155】なお、ここでは一酸化炭素ガス濃度が20
ppm以下の場合の検出方法について記載したが、20
ppm以外の濃度に関しても同様に各々の既定値を設定
すれば検出は可能であり、1つの検出器で多ポイントの
濃度検出も可能である。さらに本実施の形態2では低濃
度の一酸化炭素ガス濃度を検出するため測定電位を上記
のように設定し、さらにフィルター25に用いたアルミ
ナ多孔質を通気性のよいもので構成したが、高濃度の一
酸化炭素ガス濃度を検出する場合は前述のように測定電
位を高くするあるいはフィルター25の通気性を落とす
などすれば、高濃度の一酸化炭素ガス濃度域における感
度は高まり検出精度は向上する。
【0156】本実施の形態2における電流変化速度の流
量依存性を図15を用いて説明する。
【0157】図15では水素ガス濃度80%、窒素ガス
濃度5%、一酸化炭素ガス濃度100ppm、残りを二
酸化炭素ガスとした模擬被検出ガスを100ml毎分、
毎分200mlおよび毎分300mlの流量としケース
8内に各々約300秒間供給したときの測定サイクル3
秒目から5秒目まで平均電流変化速度を示している。測
定手法としては前述と同様に測定電圧の0.1Vを5秒
間、リフレッシュ電圧の1.5Vを2秒間交互に印加
し、測定サイクル中の3秒目から5秒目の間の平均の電
流変化速度を(数9)から求め図中にプロットした。
【0158】図15において模擬被検出ガスの流量を毎
分100ml、毎分200mlおよび毎分300mlと
しても電流変化速度の値は殆ど変動しないことがわか
る。これは被検出ガスをガス濃度検出器内部に圧力差を
設けて強制的にフローさせるタイプと違い、本実施の形
態2のガス濃度検出器は正極側流路14aから取り込ま
れる被検出ガス量は第1検出素子1aの第1検出電極2
1aから第1対向電極22aに向かう水素イオン輸送能
力に依存し、被検出ガスの本流の流量に依存しないため
である。
【0159】以上の構成、動作により従来例に比べ流
量、水素ガス濃度依存性がなく、燃料電池システムの改
質ガス本流に直接に取付け可能なガス濃度検出器を実現
できた。
【0160】(実施の形態3)図16は本発明のガス濃
度検出器の実施の形態3の概略構造を説明する被検出ガ
スの流れに対し平行な面の断面図である。
【0161】本実施の形態3において、実施の形態1お
よび時2と同一構成部分に関しては同一番号を付して詳
細な説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0162】実施の形態1および実施の形態2で説明し
たガス濃度検出器では被検出ガスの温度や圧力の変動に
対してそのガス温度やガス圧力を計測して補正をするこ
とが必要である。
【0163】そこで本実施の形態3では、図16に示す
ように実施の形態1および実施の形態2で述べたガス濃
度検出器のケース8の管部に圧力センサ26を、またフ
ィルター25の近傍にシース型熱電対の温度計27すな
わち熱電対の温度測定部分が金属容器等でカバーされて
いる温度センサ27を設置した。
【0164】次に本実施の形態3のガス濃度検出器の動
作について説明する。
【0165】被検出ガスはケース8の管部に取付けられ
た圧力センサ26によってそのガス圧力が計測され、そ
の出力はマイクロコンピュータに送られる。ガス圧力が
増加すると被検出ガスの組成が一定の場合一酸化炭素ガ
ス濃度検出部7aで得られる電流値は増加し、電流変化
速度は低下する(減少の傾きが大きくなる)。また、同
様に水素ガス濃度検出部7bで得られる電流値も増加す
る。圧力センサ26の出力はマイクロコンピュータにあ
らかじめ記憶されている圧力と補正値の関係のデータテ
ーブルと比較され補正値が決定され、それぞれの電流
値、および電流変化速度は補正される。
【0166】同様にケース8の側面に固定され検出部近
傍のガス温度を測定するように設置された温度センサ2
7にてガス温度を測定し、その出力はマイクロコンピュ
ータに送られる。ガス温度が上昇すると被検出ガスの組
成が一定の場合一酸化炭素ガス濃度検出部7aで得られ
る電流値は増加し、電流変化速度の感度は低下する。ま
た同様に水素ガス濃度検出部7bで得られる電流値も増
加する。温度センサ27の出力はマイクロコンピュータ
にあらかじめ記憶されている温度と補正値の関係のデー
タテーブルと比較され補正値が決定され、それぞれの電
流値および電流変化速度は補正される。
【0167】以上のように補正されたそれぞれの電流値
および電流変化速度を用い、実施の形態1および実施の
形態2に記載のガス濃度判定手法により精度の高い出力
をえることができる。
【0168】なお、被検出ガスをガス濃度検出器内部に
圧力差を設けて強制的に流す従来例に類似した構成で、
改質装置起動直後の被検出ガスに相当する高濃度(1%
とした)の一酸化炭素ガスを含む水素ガスを加湿して導
入し測定した。ガス濃度検出器の電流値は測定サイクル
とともに極端に低下し、リフレッシュ電圧1.5Vを印
加しても電流値がほとんど元に戻らなくなった。
【0169】このように被検出ガスを強制的に流す構成
では応答性の観点から毎分数十ml以上のガスが流れる
が、このような多量の被検出ガスを検出部28に流す
と、高濃度の一酸化炭素ガスが短時間に触媒粒子上の吸
着可能部分に吸着してしまい、いくらリフレッシュ電圧
をかけても被検出ガス中に含まれる水が触媒上で分解で
きる場所がなくなり(化3)、(化4)に示す反応が起
こらなくなったためと考えられる。
【0170】しかし、本実施の形態1、2および3で述
べた構成ではガス濃度検出器のそれぞれの正極側流路1
4a、14cから取り込まれる被検出ガス量は第1検出
電極21aから第1対向電極22aに向かう水素イオン
輸送能力、および第2検出電極21bから第2対向電極
22bに向かう水素イオン輸送能力に依存し、その量は
毎分数mlと非常に少なく、検出器内部に取り込まれる
一酸化炭素ガス量はたとえ高濃度であっても絶対量とし
て少なく、リフレッシュ電圧を印加することで十分測定
可能なレベルまで電流値が復帰することが確認され、高
濃度の一酸化炭素ガスに対してもリフレッシュが可能な
ガス濃度検出器である。
【0171】以上の本実施の形態1、2および3で述べ
た具体的な材料名は、本発明のガス濃度検出器を構成す
る上での一例であり、これらの材料に何ら限定されるも
のではない。また本実施の形態1、2、3は主に一酸化
炭素ガスを検出する検出器として説明したが、本発明は
水素ガス濃度を検出するガス濃度検出器単独として使用
することも可能である。
【0172】以上により、流量、水素ガス濃度依存性が
なく燃料電池システムの改質ガス本流に直接に取付け可
能なガス濃度検出器を実現することができる。また、高
濃度の一酸化炭素ガスが触媒に吸着しても検出機能を回
復することが可能なガス濃度検出器も実現できる。
【0173】
【発明の効果】以上のように本発明は、水素イオン伝導
性を有する第1の電解質と、この第1の電解質の片面に
接して配置される触媒を有する第1の検出電極と、前記
第1の電解質のもう一方の面に接して配置される触媒を
有する第1の対向電極と、凹部とその凹部に連通し被検
出ガス流にのみ開口する第1の流路を有する第1の集電
板と、孔部とその孔部に連通し第2の流路を有する第2
の集電板とを含み、前記第1の検出電極に前記第1の集
電板の凹部を有する面が接するように配設して被検出流
にのみ開口する第1の空間を形成し、前記第1の対向電
極に前記第2の集電板の孔部が接するように配設してな
る一酸化炭素ガス濃度検出部と、水素イオン伝導性を有
する第2の電解質と、この第2の電解質の片面に接して
配置される触媒を有する第2の検出電極と、前記第2の
電解質のもう一方の面に接して配置される触媒を有する
第2の対向電極と、凹部とその凹部に連通し被検出ガス
流にのみ開口する第3の流路を有する第3の集電板と、
孔部とその孔部に連通し第4の流路を有する第4の集電
板とを含み、前記第2の検出電極に前記第3の集電板の
凹部を有する面が接するように配設して被検出流にのみ
開口する第2の空間を形成し、前記第2の対向電極に前
記第4の集電板の孔部が接するように配設してなる水素
ガス濃度検出部と、前記一酸化炭素ガス濃度検出部の第
2の集電板の孔部が開口する面と前記水素ガス濃度検出
部の第4の集電板の孔部が開口する面を孔部を有する絶
縁性のシール板を介して接するように配設して第3の空
間を形成し、さらに前記第1、第2の集電板に接続され
た第1の直流電源と、前記第1の検出電極から前記第1
の対向電極に向かう水素イオン輸送作用により前記第1
の集電板の流路から取り込まれる被検出ガス中の一酸化
炭素ガス濃度に応じて変化する電流を検出する第1の電
流検出手段と、前記第3、第4の集電板に接続された第
2の直流電源と、前記第2の検出電極から前記第2の対
向電極に向かう水素イオン輸送作用により前記第3の集
電板の流路から取り込まれる被検出ガス中の水素ガス濃
度に応じて変化する電流を検出する第2の電流検出手段
とを備えていることにより、流量、水素ガス濃度依存性
がなく、燃料電池システムの改質ガス本流に直接に取付
け可能なガス濃度検出器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス濃度検出器の実施の形態1の概略
構造を説明するための被検出ガスの流れに対し垂直な面
の断面図
【図2】同検出器の被検出ガスの流れに対し平行な面の
断面図
【図3】同検出器における検出部の分解斜視図
【図4】同検出器の一酸化炭素ガス濃度検出部での水素
ガス濃度80%のベースガス中の各一酸化炭素ガス濃度
に応じた1サイクル測定時の電流値を示す図
【図5】図4の一部を取りだし拡大した図
【図6】同検出器の一酸化炭素ガス濃度検出部での水素
ガス濃度50%のベースガス中の各一酸化炭素ガス濃度
に応じた1サイクル測定時の電流値を示す図
【図7】図6の一部を取りだし拡大した図
【図8】同検出器の一酸化炭素ガス濃度検出部での水素
ガス濃度80%、および50%における電流値の一酸化
炭素ガス濃度依存性を示す図
【図9】同検出器の水素ガス濃度検出部での水素ガス濃
度80%、および50%における電流値の水素ガス濃度
依存性を示す図
【図10】同検出器の制御フローチャート
【図11】同検出器の一酸化炭素ガス濃度検出部での被
検出ガスの各流量に関する電流値を示す図
【図12】同検出器の水素ガス濃度検出部での被検出ガ
スの各流量に関する電流値を示す図
【図13】本発明のガス濃度検出器の実施の形態2にお
ける電流変化速度の一酸化炭素ガス濃度依存性を示す図
【図14】同検出器の出力計算および制御フローチャー
【図15】同検出器の被検出ガス各流量による電流変化
速度を示す図
【図16】本発明のガス濃度検出器の実施の形態3の被
検出ガスの流れに対し平行な面の内部概略構造を説明す
る断面図
【図17】従来のCOガスセンサの概略構造図
【図18】従来のCOガスセンサの検出部の概略構造図
【図19】改質ガスを燃料ガスとする燃料電池システム
に従来のCOガスセンサを組込だ燃料電池システム構成
【符号の説明】
1a 第1検出素子 1b 第2検出素子 2a 第1集電板 2b 第2集電板 2c 第3集電板 2d 第4集電板 3 絶縁ゴム板 4 第1の加圧板 5 第2の加圧板 6 ボルト 7a 一酸化炭素ガス濃度検出部 7b 水素ガス濃度検出部 8 ケース 9 蓋 10 ゴム板 11 接続端子 12 出力端子接続部 13a、13c 凹部 13b、13d 孔部 14a、14c 正極側流路 14b、14d 負極側流路 15 ネジ部 16 シール部 17 Oリング 18a 第1直流電源 18b 第2直流電源 19a 第1電流計 19b 第2電流計 20a 第1電解質膜 20b 第2電解質膜 21a 第1検出電極 21b 第2検出電極 22a 第1対向電極 22b 第2対向電極 23 シール用ゴム 24a、24b、24c、24d 隔絶板 25 フィルター 26 圧力センサ 27 温度センサ 28 検出部 29 シール板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊田 隆 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5H027 AA06 KK31

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素イオン伝導性を有する第1の電解質
    と、この第1の電解質の片面に接して配置される触媒を
    有する第1の検出電極と、前記第1の電解質のもう一方
    の面に接して配置される触媒を有する第1の対向電極
    と、凹部とその凹部に連通し被検出ガス流にのみ開口す
    る第1の流路を有する第1の集電板と、孔部とその孔部
    に連通し第2の流路を有する第2の集電板とを含み、前
    記第1の検出電極に前記第1の集電板の凹部を有する面
    が接するように配設して被検出流にのみ開口する第1の
    空間を形成し、前記第1の対向電極に前記第2の集電板
    の孔部が接するように配設してなる一酸化炭素ガス濃度
    検出部と、水素イオン伝導性を有する第2の電解質と、
    この第2の電解質の片面に接して配置される触媒を有す
    る第2の検出電極と、前記第2の電解質のもう一方の面
    に接して配置される触媒を有する第2の対向電極と、凹
    部とその凹部に連通し被検出ガス流にのみ開口する第3
    の流路を有する第3の集電板と、孔部とその孔部に連通
    し第4の流路を有する第4の集電板とを含み、前記第2
    の検出電極に前記第3の集電板の凹部を有する面が接す
    るように配設して被検出流にのみ開口する第2の空間を
    形成し、前記第2の対向電極に前記第4の集電板の孔部
    が接するように配設してなる水素ガス濃度検出部と、前
    記一酸化炭素ガス濃度検出部の第2の集電板の孔部が開
    口する面と前記水素ガス濃度検出部の第4の集電板の孔
    部が開口する面を孔部を有する絶縁性のシール板を介し
    て接するように配設して第3の空間を形成し、さらに前
    記第1、第2の集電板に接続された第1の直流電源と、
    前記第1の検出電極から前記第1の対向電極に向かう水
    素イオン輸送作用により前記第1の集電板の流路から取
    り込まれる被検出ガス中の一酸化炭素ガス濃度に応じて
    変化する電流を検出する第1の電流検出手段と、前記第
    3、第4の集電板に接続された第2の直流電源と、前記
    第2の検出電極から前記第2の対向電極に向かう水素イ
    オン輸送作用により前記第3の集電板の流路から取り込
    まれる被検出ガス中の水素ガス濃度に応じて変化する電
    流を検出する第2の電流検出手段を備えたガス濃度検出
    器。
  2. 【請求項2】 第1の検出電極、第2の検出電極、第1
    の対向電極、および、第2の対向電極は触媒が担持され
    たカーボン粉をカーボンクロス上に固着した構成からな
    る請求項1に記載のガス濃度検出器。
  3. 【請求項3】 第1の直流電源の正極に接続される集電
    板に接する第1の検出電極の触媒は白金および金の合金
    からなる請求項2に記載のガス濃度検出器。
  4. 【請求項4】 第1の直流電源の負極に接続される集電
    板に接する第1の対向電極の触媒、第2の直流電源の正
    極、および、負極に接続される集電板に接する第1の検
    出電極の触媒、および、第2の対向電極の触媒は白金お
    よびルテニウムの合金からなる請求項2に記載のガス濃
    度検出器。
  5. 【請求項5】 集電板の各々の凹部、孔部および流路の
    表面が親水性表面である請求項1に記載のガス濃度検出
    器。
  6. 【請求項6】 被検出ガスの流れが流路の開口部に直接
    流れ込むことを防止するためのフィルターを各々の開口
    部の周囲に設けた請求項1に記載のガス濃度検出器。
  7. 【請求項7】 フィルターは多孔体であり第1の流路、
    第2の流路、第3の流路、および、第4の流路の開口部
    を覆う構成である請求項6に記載のガス濃度検出器。
  8. 【請求項8】 第2の集電板、および、第4の集電板の
    開口部の一方から排出される水素ガスが第1の集電板、
    および、第3の集電板の開口部に回り込むことを防止す
    る第1の隔絶体、および、第2の隔絶体を前記第1の集
    電板と第2の集電板の開口部の間と前記第3の集電板と
    第4の集電板の開口部の間に夫々設けた請求項1に記載
    のガス濃度検出器。
  9. 【請求項9】 被検出ガスに接しその温度を検知する温
    度センサを備えた請求項1に記載のガス濃度検出器。
  10. 【請求項10】 被検出ガスに接しその圧力を検知する
    圧力センサを備えた請求項1に記載のガス濃度検出器。
  11. 【請求項11】 第1の直流電源と第2の直流電源によ
    り測定電圧を印加した一定時間内の電流値測定と、前記
    測定電圧以上でかつ水の分解電位以上のリフレッシュ電
    圧を第1の検出電極、および、第2の検出電極の触媒に
    印加する触媒リフレッシュを1サイクルとし、前記サイ
    クルの繰り返しを行い、測定された各々の電流値から一
    酸化炭素、および水素ガスの濃度を求める請求項1に記
    載のガス濃度検出器。
  12. 【請求項12】 リフレッシュ電圧での触媒リフレッシ
    ュを終了して測定電圧を印加し、測定電圧印加後3秒以
    降の夫々の電流値から一酸化炭素、および水素ガスの濃
    度を求める請求項11に記載のガス濃度検出器。
  13. 【請求項13】 第1の直流電源により印加された測定
    電圧での一定時間内の電流値測定および電流変化検出
    と、前記測定電圧以上でありかつ水の分解電位以上のリ
    フレッシュ電圧を電極の触媒に印加する触媒リフレッシ
    ュを1サイクルとして前記サイクルの繰り返しを行い、
    測定された電流値および前記電流値の変化から一酸化炭
    素ガスの濃度を求める請求項1に記載のガス濃度検出
    器。
  14. 【請求項14】 リフレッシュ電圧での触媒リフレッシ
    ュを終了し測定電圧印加後3秒目以降の電流値を測定
    し、電流変化検出は前記電流値検出より後の電流値を採
    取して一酸化炭素ガスの濃度を求めるようにした請求項
    13に記載のガス濃度検出器。
  15. 【請求項15】 測定電圧とリフレッシュ電圧の切り替
    えを時間間隔をあけず瞬時に切替えるようにした請求項
    11または13に記載のガス濃度検出器。
  16. 【請求項16】 リフレッシュ電圧を印加する時間が測
    定電圧を印加する時間より短くした請求項11または1
    3に記載のガス濃度検出器。
  17. 【請求項17】 起動直後に第1の検出電極、第1の対
    向電極、および、第2の検出電極、第2の対向電極にリ
    フレッシュ電圧を各々既定時間印加した後、測定を開始
    するようにした請求項11または13に記載のガス濃度
    検出器。
  18. 【請求項18】 測定中、リフレッシュ電圧を既定のサ
    イクル毎に既定の時間間隔で既定時間、第1の対向電
    極、および、第2の対向電極に印加する請求項11また
    は13に記載のガス濃度検出器。
  19. 【請求項19】 第2の直流電源により測定電圧を印加
    して測定された電流値とその既定値とを比較することで
    水素ガスの濃度を求める請求項11に記載のガス濃度検
    出器。
  20. 【請求項20】 第1の直流電源により測定電圧を印加
    して測定された電流値と水素ガス濃度に対応づけられた
    その既定値とを比較することで一酸化炭素ガスの濃度を
    求める請求項11または13に記載のガス濃度検出器。
  21. 【請求項21】 第1の直流電源、および、第2の直流
    電源により測定電圧を印加して測定された夫々の電流値
    が夫々の既定値以上かどうかでオン信号またはオフ信号
    を出力する請求項19または20に記載のガス濃度検出
    器。
  22. 【請求項22】 第1の直流電源により測定電圧を印加
    して測定された電流値および電流変化速度と水素ガス濃
    度に対応づけられたそれらの既定値とを比較することで
    一酸化炭素ガスの濃度を求める請求項20に記載のガス
    濃度検出器。
  23. 【請求項23】 測定電圧を印加して測定された電流値
    および電流変化速度がそれらの既定値以上かどうかでオ
    ン信号またはオフ信号を出力する請求項21に記載のガ
    ス濃度検出器。
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