JP2003020429A - 記録液体 - Google Patents

記録液体

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JP2003020429A
JP2003020429A JP2002115693A JP2002115693A JP2003020429A JP 2003020429 A JP2003020429 A JP 2003020429A JP 2002115693 A JP2002115693 A JP 2002115693A JP 2002115693 A JP2002115693 A JP 2002115693A JP 2003020429 A JP2003020429 A JP 2003020429A
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Japan
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recording
ink
pigment
discharge port
liquid
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Application number
JP2002115693A
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English (en)
Inventor
Takuro Sekiya
卓朗 関谷
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐出部に奥行き部分の距離を有する吐出口で
あるような液体噴射記録装置において、目詰まりが生じ
ないようにする条件を提案することにある。 【解決手段】 液体にその大きさがDp(μm)である
ような微粒子を分散させて記録液体とし、該記録液体を
微細な吐出口4から吐出させ、被記録体に付着させて記
録を行う。前記吐出口4は、流路の端部がそのまま吐出
口となっているか、もしくは、流路の端部に別途吐出口
部を形成した吐出口であり、該吐出口は奥行き部分の距
離t(μm)を有する吐出口であるとき、Dp/t≦
0.01となっている。外側コーナー部分4A1の形状を
r形状(円形状)とした場合、該コーナー部分のだれを
50Dp以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録液体、より詳
細には、液体噴射記録装置に用いて好適な微粒子を分散
させた記録液体に関する。
【0002】
【従来の技術】ノンインパクト記録法は、記録時におけ
る騒音の発生が無視し得る程度に極めて小さいという点
において、最近関心を集めている。その中で、高速記録
が可能であり、しかも所謂普通紙に特別の定着処理を必
要とせずに記録の行える所謂インクジェット記録法は、
極めて有力な記録法であって、これまでにも様々な方式
が提案され改良が加えられて商品化されたものもあれ
ば、現在もなお実用化への努力が続けられているものも
ある。
【0003】このようなインクジェット記録法は、所謂
インクと称される記録液体の小滴(droplet)を飛翔さ
せて記録部材に付着させて記録を行うものであって、こ
の記録液体の小滴の発生法及び発生された記録液体小滴
の飛翔方向を制御するための方法によって、以下のよう
に種々の方式がある。
【0004】例えば、米国特許第3060429号明細
書に開示されているTele type方式のものであって、記
録液体の小滴の発生を静電吸引的に行い、発生した記録
液体小滴を記録信号に応じて電界制御し、記録部材上に
記録液体小滴を選択的に付着させて記録を行う静電吸引
型のものがある。
【0005】また、米国特許第3596275号,米国
特許第3298030号等に開示されているSweet方式
のものであって、連続振動発生法によって帯電量の制御
された記録液体の小滴を発生させ、この発生された帯電
量の制御された小滴を一様の電界が掛けられている偏向
電極間を飛翔させることで、記録部材上に記録を行う連
続流型,荷電制御型のものがある。
【0006】また、他の方式として、例えば、米国特許
第3416153号明細書に開示されているHertz方式
のものであって、吐出口とリング状の帯電電極間に電界
を掛け、連続振動発生法によって記録液体の小滴を発生
霧化させて記録する方式のものがある。即ち、この方式
では、吐出口と帯電電極間に掛ける電界強度を記録信号
に応じて変調することによって小滴の霧化状態を制御
し、記録画像の階調性を出して記録する。
【0007】さらに、他の方式として、例えば、米国特
許第3747120号明細書に開示されているStemme方
式がある。この方式は前記3つの方式とは根本的に原理
が異なるものである。即ち、前記3つの方式は、何れも
吐出口より吐出された記録液体の小滴を飛翔している途
中で電気的に制御し、記録信号を担った小滴を選択的に
記録部材上に付着させて記録を行うのに対して、このSt
emme方式は、記録信号に応じて吐出口より記録液体の小
滴を吐出飛翔させて記録するものである。つまり、Stem
me方式は、記録液体を吐出する吐出口を有する記録ヘッ
ドに付設されているピエゾ振動素子に電気的な記録信号
を印加し、この電気的記録信号をピエゾ振動素子の機械
的振動に変え、該機械的振動に従って前記吐出口より記
録液体の小滴を吐出飛翔させて記録部材に付着させるこ
とで記録を行うもので、いわゆる、ドロップオンデマン
ド型と呼ばれているものである。
【0008】さらに、他の方式として、先に本出願人が
特公昭56−9429号公報において提案した方式があ
る。この方式も記録信号に応じて吐出口より記録液体の
小滴を吐出飛翔させて記録するいわゆるドロップオンデ
マンド型であるが、液室内のインクを加熱してインクの
中で気泡を発生せしめ、その気泡の作用力により吐出口
よりインク滴を吐出させる、いわゆる、バブルインクジ
ェット型と呼ばれているものである。
【0009】上述のように、インクジェット記録法は、
その原理によって様々な方式があるが、共通していえる
ことは所謂インクと称される記録液体の小滴(drople
t)を飛翔させて記録部材に付着させて記録を行う点で
ある。そして、このインクと称される記録液体である
が、水溶性の染料を溶解した記録液体を使用するのが一
般的である。ところが、近年、耐水性や耐光性が重視さ
れるようになり、記録液体の着色剤として堅牢性の強い
顔料がインクジェット記録用として使用されることが期
待されている。
【0010】例えば、印字品位,吐出特性,保存安定
性,定着性等の基本的な課題を満たすインクジェット用
の水性顔料インクとしては、特開平2−255875号
公報,特開平4−334870号公報,特開平4−57
859号公報及び特開平4−57860号公報に記載の
インクが開示されている。
【0011】しかしながら、この顔料は、染料のように
液媒体中に溶解するのではなく、分散しているため、液
媒体中での安定性が悪く、インク中の顔料の凝集,沈
降,分離の発生やノズル部の目詰まりを生じさせるとい
う問題がいまだ解決されていない。
【0012】一方で、近年、インクジェット記録の高画
質化,高精度化がすすみ、使用されるヘッドの吐出口
(ノズル)も、従来はΦ33μm〜Φ34μm(面積で
いうと900μm2程度)から、Φ50μm〜Φ51μ
m(面積でいうと2000μm2程度)のものが一般的
であったが、より微細な吐出口が要求されてきている。
その際、従来のようにインクとして水溶性の染料を溶解
した記録液体を使用するのであれば、染料は液媒体中に
溶解しているので対目詰まり性という問題は対処できて
いた。しかしながら、顔料ベースのインクについては、
より微細な吐出口(例えば、Φ25μm以下、あるいは
開口面積が500μm2未満)となった場合に目詰まり
は深刻な問題である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のごと
き実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、着
色材として微粒子である顔料を分散させた記録液体にお
いて、使用する液体噴射記録ヘッドの吐出部分の形状お
よびディメンションと微粒子径の関係を最適化し、Φ2
5μm以下、あるいは開口面積が500μm2未満であ
るような従来にはない非常に微細な吐出口から顔料を含
有する記録液体を吐出するような場合でも、吐出口に顔
料がたまりにくく、目詰まりがなく、信頼性の高い記録
液体を提供することにある。
【0014】第2の目的は、着色材として微粒子である
顔料を分散させた記録液体において、使用する液体噴射
記録ヘッドの吐出口の奥行き部分の表面粗さと微粒子径
の関係を最適化し、Φ25μm以下、あるいは開口面積
が500μm2未満であるような従来にはない非常に微
細な吐出口から顔料を含有する記録液体を吐出するよう
な場合でも、吐出口に顔料がたまりにくく、目詰まりが
なく、信頼性の高い記録液体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、吐出
口が、流路の端部がそのまま吐出口となっているもしく
は流路の端部に別途吐出口部を形成した吐出口であり、
かつ、該吐出口は開口面積が500μm2未満であると
ともに、その奥行き部分の距離tを有するとともに、前
記吐出口の外側コーナー部分の形状をc形状(面取り形
状)もしくはr形状(円形状)とした吐出口であるよう
な微細な吐出口から記録液体を吐出させ、被記録体に付
着させて記録を行う液体噴射記録ヘッドに使用する記録
液体において、該記録液体は、大きさがDp(μm)で
あるような微粒子を分散させてなる記録液体であるとと
もに、その微粒子の大きさがDp/t≦0.01である
とともに、前記吐出口外側コーナー部分のだれとの関係
において、c50Dp以下もしくはr50Dp以下を満
たすような大きさとしたことを特徴としたものである。
【0016】請求項2の発明は、吐出口が、流路の端部
がそのまま吐出口となっているもしくは流路の端部に別
途吐出口部を形成した吐出口であり、かつ、該吐出口は
開口面積が500μm2未満であるとともに、その奥行
き部分の表面粗さがR(s)であるような吐出口から記
録液体を吐出させ、被記録体に付着させて記録を行う液
体噴射記録ヘッドに使用する記録液体において、該記録
液体は、大きさがDp(μm)であるような微粒子を分
散させてなる記録液体であるとともに、その微粒子の大
きさが0.025<Dp/Rを満たすような大きさとし
たことを特徴したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】最初に、本発明が適用されるイン
クジェットの構成および原理について説明するが、前述
のように、インクジェット記録法には各種の方式があ
る。ここでは、代表例として、バブルインクジェット型
の例で説明するが、いうまでもなく本発明はこの方式に
限定されるものではなく、全てのインクジェット記録法
に適用されるものである。ただし、各種のインクジェッ
ト記録法の中でも、インクを加熱して気泡を発生させる
いわゆるバブルインクジェット記録法は、インクが過酷
な条件にさらされる(ヒートサイクルがある)ため、そ
れにともなう劣化,化学反応の促進,顔料の分散不安定
等の面から他のインクジェット記録法よりも、よりいっ
そう目詰まり等のインクジェットにとって好ましくない
技術課題がある。本発明は、このような過酷な条件にさ
らされるバブルインクジェット記録法にとって、特に好
適に適用されるものである。
【0018】図1は、バブルインクジェット型記録ヘッ
ドの一例を説明するための図で、図1(A)はヘッド斜
視図、図1(B)はヘッドを構成する蓋基板の斜視図、
図1(C)は該蓋基板を裏側から見た斜視図、図1
(D)は発熱体基板の斜視図であり、図中、1は蓋基
板、2は発熱体基板、3は記録液体流入口、4は吐出
口、5は流路、6は液室を形成するための領域、7は個
別(独立)の制御電極、8は共通電極、9は発熱体であ
る。
【0019】図2は、バブルインクジェット方式のイン
クジェットのインク滴吐出の原理を説明するための図
で、図2(A)は吐出口面でインク10と表面張力と外
圧とが平衡状態にある定常状態を示し、図2(B)は発
熱体9が加熱されて、発熱体9の表面温度が急上昇し隣
接インク層に沸騰現象が起きるまで加熱され、微小気泡
11が点在している状態を示す。
【0020】図2(C)は発熱体9の全面で急激に加熱
された隣接インク層が瞬時に気化し、沸騰膜を作り、気
泡11が成長した状態である。この時、吐出口内の圧力
は、気泡の成長した分だけ上昇し、吐出口面での外圧と
のバランスがくずれ、吐出口よりインク柱10′が成長
し始める。
【0021】図2(D)は気泡11が最大に成長した状
態であり、吐出口面より気泡の体積に相当する分のイン
クが押し出される。この時、発熱体9には電流が流れて
いない状態にあり、発熱体9の表面温度は降下しつつあ
る。気泡11の体積の最大値は電気パルス印加のタイミ
ングからやや遅れる。
【0022】図2(E)は気泡11がインクなどにより
冷却されて収縮を開始し始めた状態を示す。インク柱1
0′の先端部では押し出された速度を保ちつつ前進し、
後端部では気泡の収縮に伴って吐出口内圧の減少により
吐出口面から吐出口内へインクが逆流してインク柱1
0′にくびれ10″が生じている。
【0023】図2(F)はさらに気泡11が収縮し、発
熱体9の面にインク10が接し、発熱体面がさらに急激
に冷却される状態にある。吐出口面では、外圧が吐出口
内圧より高い状態になるためメニスカスが大きく吐出口
内に入り込んできている。インク柱の先端部は液滴12
になり、記録紙の方向へ5〜13m/secの速度で飛
翔している。
【0024】図2(G)は吐出口にインクが毛細管現象
により再び供給(リフィル)されて図2(A)の状態に
もどる過程で、気泡は完全に消滅している。
【0025】以上が熱を利用したバブルインクジェット
型記録ヘッドの一般的な構成,原理であるが、前述のよ
うに本発明は、この方式に限定されるものではなく、全
てのインクジェット記録法に適用されるものである。
【0026】本発明は、上述のごときインクジェット記
録法に使用する記録液体(インク)を耐水性や耐光性が
優れた顔料を記録液体の着色剤として使用するものであ
る。しかしながら、この顔料を記録液体の着色剤として
使用した場合、顔料は染料のように液媒体中に溶解する
のではなく、分散しているため、液媒体中での安定性が
悪く、インク中の顔料の凝集,沈降,分離の発生やノズ
ル部の目詰まりを生じさせるという問題がある。とりわ
けノズル部の目詰まりは、インクが噴射しなくなるた
め、インクジェットにとっては致命的問題である。ある
いは目詰まりとはいわないまでも、上記理由により通常
の染料を記録液体の着色剤として使用するインクジェッ
ト記録法に較べてインク滴噴射が難しく、安定したイン
ク滴噴射,高精度のドット位置精度に裏付けられた高画
質記録が困難であるという問題がある。
【0027】本発明は、これを解決するために、インク
を構成する材料ならびにノズル部のディメンション,形
状,性状および使用する顔料粒径ならびにインク中の顔
料含有量などとの関係を鋭意検討したものである。本発
明では顔料インクを前提に考えている。すなわち、記録
液体中の着色剤は、水などの溶媒に溶解している染料で
はなく、顔料である微粒子が分散しているものである。
【0028】本発明に好適に適用される黒色顔料インク
としては、例えば、中性あるいは塩基性のpHを有する
黒色顔料を、第3級アミンの塩あるいは第4級アンモニ
ウム基を有するアクリル酸エステルモノマーあるいはア
クリルアミドモノマーを少なくとも構成成分とする水溶
性高分子を用いて分散処理してなるものであり、他の色
相のインク,例えば、イエロー,マゼンタ及びシアン等
のインクについても、これらの色相の顔料を、カルボキ
シル基あるいはスルホン基を水溶性基として有するアニ
オン系高分子分散剤を用いて分散処理してなるものであ
る。
【0029】なお、ここでいう黒色顔料のpHとは、一
般に、カーボンブラックの物性測定法に用いられている
のと同様に、純水中に顔料を分散させた場合の溶液のp
H値をいう。また、記録に用いる被記録材が普通紙であ
る場合においては、該普通紙に対するインクの界面張力
において、黒色顔料インクの界面張力が、カラーインク
の界面張力よりも高いこと、更には、普通紙に対するイ
ンクの浸透速度において、黒色顔料インクの浸透速度
が、カラーインクの浸透速度よりも遅いことが好まし
い。
【0030】以上のようなインクを用いて普通紙にカラ
ー記録を行うと、定着性よく、濃度も高く、境界滲みの
少ない画像を得ることができる。また、透明性を有する
被記録材に記録を行った場合でも鮮明な投影画像が得ら
れる。そして、いうまでもないが、顔料インクであるた
め、従来の染料インクを用いる場合に較べて、光や水に
対する抵抗性は非常に優れたものとなる。
【0031】本発明で用いられる高分子分散剤は、主と
してビニルモノマーの重合によって得られるものであっ
て、得られる重合体の少なくとも一部を構成するカチオ
ン性モノマーとしては、下記のような第3級アミンモノ
マーの塩及びこれらの第4級化された化合物が挙げられ
る。
【0032】すなわち、N,N−ジメチルアミノエチル
メタクリレート[CH2=C(CH3)-COO-C2H4N(CH3)2]、N,
N−ジメチルアミノエチルアクリレート[CH2=CH-COO-C
2H4N(CH3)2]、N,N−ジメチルアミノプロピルメタク
リレート[CH2=C(CH3)-COO-C3H6N(CH3)2]、N,N−ジ
メチルアミノプロピルアクリレート[CH2=CH-COO-C3H6N
(CH3)2]、N,N−ジメチルアクリルアミド[CH2=CH-C
ON(CH3)2]、N,N−ジメチルメタクリルアミド[CH2=
C(CH3)-CON(CH3)2]、N,N−ジメチルアミノエチルア
クリルアミド[CH2=CH-CONHC2H4N(CH3)2]、N,N−ジ
メチルアミノエチルメタクリルアミド[CH2=C(CH3)-CON
HC2H4N(CH3)2]、N,N−ジメチルアミノプロピルアク
リルアミド[CH2=CH-CONH-C3H6N(CH3)2]、N,N−ジ
メチルアミノプロピルメタクリルアミド[CH2=C(CH3)-C
ONH-C3H6N(CH3)2]等である。
【0033】第3級アミンの場合において、塩を形成す
る化合物としては、塩酸,硫酸,酢酸等が挙げられ、4
級化に用いられる化合物としては、塩化メチル,ジメチ
ル硫酸,ベンジルクロライド,エピクロロヒドリン等が
挙げられる。この中で、塩化メチル,ジメチル硫酸等が
分散剤を調製するうえで好ましい。以上のような第3級
アミンの塩、あるいは第4級アンモニウム化合物は水中
ではカチオンとして振る舞い、中和された条件では酸性
が安定溶解領域である。これらモノマーの共重合体中で
の含有率は20〜60重量%の範囲が好ましい。
【0034】上記高分子分散剤の構成に用いられるその
他のモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート、長鎖のエチレンオキシド鎖を側鎖に有
するアクリル酸エステル等のヒドロキシ基を有するアク
リル酸エステル、スチレン系モノマー等の疎水性モノマ
ー類、及びpH7近傍の水に溶解可能な水溶性モノマー
として、アクリルアミド類,ビニルエーテル類,ビニル
ピロリドン類,ビニルピリジン類,ビニルオキサゾリン
類が挙げられる。疎水性モノマーとしては、スチレン,
スチレン誘導体,ビニルナフタレン,ビニルナフタレン
誘導体,(メタ)アクリル酸のアルキルエステル,アク
リロニトリル等の疎水性モノマーが用いられる。共重合
によって得られる高分子分散剤中において水溶性モノマ
ーは、共重合体を水溶液中で安定に存在させるために1
5〜35重量%の範囲で用い、かつ疎水性モノマーは、
共重合体の顔料に対する分散効果を高めるために20〜
40重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0035】本発明のブラックインクに使用されるカー
ボンブラック顔料(C.I.ピグメントブラック7)として
は、#2600,#2300,#990,#980,#
960,#950,#900,#850,#750,#
650,MCF−88,MA−600,#95,#5
5,#52,#47,#45,#45L,#44,#4
0,#33,#32,#30,#25,#20,#1
0,#5(以上、三菱化学製)、Printex95,Printex
90,Printex85,Printex80,Printex75,Print
ex45,Printex40,PrintexP,Printex60,Print
ex300,Printex30,Printex35,Printex25,P
rintex200,PrintexA,PrintexG,PrintexL6,P
rintexL(以上、デグッサ製)、Raven850,Raven7
80ULTRA,Raven760ULTRA,Raven790
ULTRA,Raven520,Raven500,Raven41
0,Raven420,Raven430,Raven450,Raven4
60,Raven890,Raven1020(以上、コロンビア
製)、Regal 415R,Regal330R,Regal 250
R,Regal 995R,Monarch800,Monarch880,
Monarch900,Monarch460,Monarch280,Monar
ch120(以上、キャボット製)等が挙げられる。
【0036】イエローインクに使用される顔料として
は、C.I.ピグメントイエロー1,C.I.ピグメントイエロ
ー2,C.I.ピグメントイエロー3,C.I.ピグメントイエ
ロー12,C.I.ピグメントイエロー13,C.I.ピグメン
トイエロー14,C.I.ピグメントイエロー16,,C.I.
ピグメントイエロー17,C.I.ピグメントイエロー7
3,C.I.ピグメントイエロー74,C.I.ピグメントイエ
ロー75,C.I.ピグメントイエロー83,C.I.ピグメン
トイエロー93,C.I.ピグメントイエロー95,C.I.ピ
グメントイエロー97,C.I.ピグメントイエロー98,
C.I.ピグメントイエロー114,C.I.ピグメントイエロ
ー128,C.I.ピグメントイエロー129,C.I.ピグメ
ントイエロー151,C.I.ピグメントイエロー154等
が挙げられる。
【0037】マゼンタインクに使用される顔料として
は、C.I.ピグメントレッド5,C.I.ピグメントレッド
7,C.I.ピグメントレッド12,C.I.ピグメントレッド
48(Ca),C.I.ピグメントレッド48(Mn),C.
I.ピグメントレッド57(Ca),C.I.ピグメントレッ
ド57:1,C.I.ピグメントレッド112,C.I.ピグメ
ントレッド123,C.I.ピグメントレッド168,C.I.
ピグメントレッド184,C.I.ピグメントレッド202
等が挙げられる。
【0038】シアンインクに使用される顔料としては、
C.I.ピグメントブルー1,C.I.ピグメントブルー2,C.
I.ピグメントブルー3,C.I.ピグメントブルー15:
3,C.I.ピグメントブルー15:34,C.I.ピグメント
ブルー16,C.I.ピグメントブルー22,C.I.ピグメン
トブルー60,C.I.バットブルー4,C.I.バットブルー
60等が挙げられる。
【0039】以上の他に、レッド,グリーン,ブルーそ
の他の3原色以外の中間色が必要とされる場合には、以
下のような顔料を単独あるいは併用して用いることが好
ましい。例えば、C.I.ピグメントレッド209,C.I.ピ
グメントレッド122,C.I.ピグメントレッド224,
C.I.ピグメントレッド177,C.I.ピグメントレッド1
94,C.I.ピグメントオレンジ43,C.I.バットバイオ
レット3,C.I.ピグメントバイオレット19,C.I.ピグ
メントグリーン36,C.I.ピグメントグリーン7,C.I.
ピグメントバイオレット23,C.I.ピグメントバイオレ
ット37,C.I.ピグメントブルー15:6,C.I.ピグメ
ントブルー209等が挙げられる。
【0040】また、カラーインク中には下記に挙げるよ
うな染料を共存させてもよい。イエローインクに用いら
れる染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー1
1,C.I.アシッドイエロー17,C.I.アシッドイエロー
23,C.I.アシッドイエロー25,C.I.アシッドイエロ
ー29,C.I.アシッドイエロー42,C.I.アシッドイエ
ロー49,C.I.アシッドイエロー61,C.I.アシッドイ
エロー71,C.I.ダイレクトイエロー12,C.I.ダイレ
クトイエロー24,C.I.ダイレクトイエロー26,C.I.
ダイレクトイエロー44,C.I.ダイレクトイエロー8
6,C.I.ダイレクトイエロー87,C.I.ダイレクトイエ
ロー98,C.I.ダイレクトイエロー100,C.I.ダイレ
クトイエロー130,C.I.ダイレクトイエロー142等
が挙げられる。
【0041】マゼンタインクに用いられる染料として
は、C.I.アシッドレッド1,C.I.アシッドレッド6,C.
I.アシッドレッド8,C.I.アシッドレッド32,C.I.ア
シッドレッド35,C.I.アシッドレッド37,C.I.アシ
ッドレッド51,C.I.アシッドレッド52,C.I.アシッ
ドレッド80,C.I.アシッドレッド85,C.I.アシッド
レッド87,C.I.アシッドレッド92,C.I.アシッドレ
ッド94,C.I.アシッドレッド115,C.I.アシッドレ
ッド180,C.I.アシッドレッド254,C.I.アシッド
レッド256,C.I.アシッドレッド289,C.I.アシッ
ドレッド315,C.I.アシッドレッド317,C.I.ダイ
レクトレッド1,C.I.ダイレクトレッド4,C.I.ダイレ
クトレッド13,C.I.ダイレクトレッド17,C.I.ダイ
レクトレッド23,C.I.ダイレクトレッド28,C.I.ダ
イレクトレッド31,C.I.ダイレクトレッド62,C.I.
ダイレクトレッド79,C.I.ダイレクトレッド81,C.
I.ダイレクトレッド83,C.I.ダイレクトレッド89,
C.I.ダイレクトレッド227,C.I.ダイレクトレッド2
40,C.I.ダイレクトレッド242,C.I.ダイレクトレ
ッド243等が挙げられる。
【0042】シアンインクに用いられる染料としては、
C.I.アシッドブルー9,C.I.アシッドブルー22,C.I.
アシッドブルー40,C.I.アシッドブルー59,C.I.ア
シッドブルー93,C.I.アシッドブルー102,C.I.ア
シッドブルー104,C.I.アシッドブルー113,C.I.
アシッドブルー117,C.I.アシッドブルー120,C.
I.アシッドブルー167,C.I.アシッドブルー229,
C.I.アシッドブルー234,C.I.アシッドブルー25
4,C.I.ダイレクトブルー6,C.I.ダイレクトブルー2
2,C.I.ダイレクトブルー25,C.I.ダイレクトブルー
71,C.I.ダイレクトブルー78,C.I.ダイレクトブル
ー86,C.I.ダイレクトブルー90,C.I.ダイレクトブ
ルー106,C.I.ダイレクトブルー199等が挙げられ
る。ただし、これらの染料を共存させる場合も、顔料粒
径ならびにインク中の顔料含有量などは後述する範囲内
に入っている必要がある。
【0043】本発明において、前記したカチオン系水溶
性高分子を分散剤として使用して顔料を分散する際に、
物性面から好ましい顔料としては、等電点が6以上に調
節された顔料、あるいは顔料を特徴づける単純水分散体
のpHが中性あるいは塩基性のpHを有するもの、例え
ば、7以上〜10であるような顔料が分散性の点で好ま
しい。これは顔料とカチオン系水溶性高分子とのイオン
的な相互作用力が強いためと理解されている。
【0044】以上のような材料を用いて顔料の微粒子水
性分散体を得るには、以下のような方法を採用すること
が好ましい。 (1)カーボンブラックの場合:カーボンブラックをカ
チオン分散剤溶液中にてプレミキシング処理を行い、引
き続き高ずり速度の分散装置でミリングし、希釈後、粗
大粒子を除去するために遠心分離処理を行う。その後、
所望のインク処方のための材料を添加し、場合によって
は、エイジング処理を施す。しかる後、最終的に所望の
平均粒径を有する顔料分散体を得るために遠心分離処理
を行う。このようにして作製されるインクのpHは3〜
9の範囲とするのが好ましい。
【0045】(2)その他の色相の顔料の場合:アニオ
ン系分散剤を用いる以外は、基本的にはカーボンブラッ
クと同様である。但し、小粒径にするのが困難な有機顔
料の場合には、顔料合成と同時、あるいは合成途中段階
で界面活性剤処理を行い、顔料粒子の結晶成長を抑制
し、濡れ性を高めた加工顔料を使用することが望まし
い。このようにして作製したインクのpHは5〜10の
範囲とするのが好ましい。カーボン黒色インク及びカラ
ーインク何れの場合でも、その平均粒径は0.02〜1
μmの範囲であることが分散体の安定性上必須であり、
好ましくは、0.03〜0.4μmの範囲である。これは
分散体の安定性という観点からの必須条件であるが、微
細な開口からインクを吐出させるといういわゆるインク
ジェットに必須という観点から、この平均粒径を検討す
ると微細な開口すなわち吐出口での目詰まりを考慮に入
れる必要があるが、これは後述する。なお、良好なイン
クの表面張力は10〜60dyn/cmの範囲である。
【0046】これらのインクを用いて普通紙へ記録する
場合には、記録される文字の鮮明さの点から、黒色顔料
インクは用紙との界面張力が高いことが好ましい。一
方、カラーインクは、カラーインク間の相互拡散による
滲み(カラーブリード)を少なくするために、速い浸透
速度を持つことがよい結果となるので、用紙との界面張
力が低いことが好ましい。このように、黒色インクが酸
性で高い界面張力を持ち、カラーインクが塩基性で低い
界面張力を持っていると、黒色インクが、カラーインク
側に流れ込む傾向が少なくなり、黒色インクとカラーイ
ンクのカラーブリードは事実上全くなくなる。なお、上
記のインクと用紙の界面張力は、例えば、動的濡れ性試
験機として市販されている装置(Wilhelmy法を用いた装
置で、製品名称WET-3000レスカ株式会社製)等によって
測定される量である。界面張力が高いとは、普通紙に対
する接触角が1秒〜数秒の短時間においても、90゜以
上であることを指し、界面張力が低いとは、90゜以下
であることを指している。
【0047】本発明で使用するカラーインクに使用され
る分散剤は、アルカリ可溶性の水溶性脂樹であり、重量
平均分子量は1,000〜30,000であり、好ましく
は3,000〜15,000の範囲である。具体的には、
スチレン,スチレン誘導体,ビニルナフタレン,ビニル
ナフタレン誘導体,アクリル酸のアルキルエステル,メ
タクリル酸のアルキルエステル等の疎水性モノマーと、
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸及びその脂肪族ア
ルコールエステル,アクリル酸,メタクリル酸,マレイ
ン酸,イタコン酸,フマール酸及びそれらの誘導体等の
親水性モノマーからなる共重合体及びそれらの塩等であ
る。共重合体はランダム,ブロック,グラフト等の何れ
の構造を有していてもよく、酸価は100〜430、好
ましくは、130〜360の範囲である。
【0048】本発明に使用される分散剤としては、更
に、ポリビニルアルコール,カルボキシメチルセルロー
ス等の水溶性ポリマー,ナフタレンスルホン酸ホルムア
ルデヒド縮合物,ポリスチレンスルホン酸等の水溶性樹
脂も使用することが可能である。しかし、アルカリ可溶
性の水溶性脂樹の方が分散液の低粘度化が可能で、分散
も容易であるという利点がある。これらの分散剤の使用
量は、選択した顔料と分散剤とを用いて実験的に決定さ
れるが、顔料に吸着せず溶解している樹脂の量は、イン
ク中で4重量%以下であることが好ましい。
【0049】上記分散剤を水系にて用いるには塩基が必
要である。そのために好適な塩基としては、エタノール
アミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,
N−メチルエタノールアミン,N−エチルジエタノール
アミン,2−アミノ−2−メチルプロパノール,2−エ
チル−2−アミノ−1,3−プロパンジオール,2−
(2−アミノエチル)エタノールアミン,トリス(ヒド
ロキシメチル)アミノメタン,アンモニア,ピペリジ
ン,モルフォリン,β−ジヒドロキシエチル尿素等の有
機塩基,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リ
チウム等の無機塩基が挙げられる。最適な塩基種は選択
した顔料及び分散剤の種類によって異なるが不揮発性で
安定、かつ保水性の高いものが好ましい。用いる塩基の
量は基本的には分散剤の酸価から計算される量から、そ
れを中和するに必要な塩基量として夫々用いられる。場
合によっては、酸の当量を上回る量の塩基を用いる場合
がある。それは、分散性向上,インクのpH調整,記録
性能の調整,保湿性の向上等の目的で行う。
【0050】本発明においてインクに用いられる溶剤と
しては、水と混和性がある有機溶剤類である。有機溶剤
としては下記の如く3群に分けることができる。即ち、
保湿性が高く,蒸発しにくく,親水性に優れる第1群の
溶剤、有機性があり疎水性の表面への濡れ性がよく、蒸
発乾燥性もある第2群の溶剤、適度の濡れ性を有し低粘
度の第3群の溶剤(一価アルコール類)である。
【0051】第1群に属する溶媒としては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、トリプロピレングリコール、グリセリン、1,
2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリ
オール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ブ
タンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、ジメチルスルホキシド、ダイアセトンアル
コール、グリセリンモノアリルエーテル、プロピレング
リコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル300、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリ
ドン、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−
ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルフォラン、トリ
メチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペン
チルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコ
ールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレング
リコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール
モノメチルエーテル、β−ジヒドロキシエチルウレア、
ウレア、アセトニルアセトン、ヘンタエリスリトール、
1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
【0052】第2群に属する溶媒としては、ヘキシレン
グリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレン
グリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコー
ルモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジエチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレ
ングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコー
ルジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチ
ルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレング
リコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール
モノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブ
チルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセ
テート、グリセリントリアセテート、エチレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノー
ル、1,2−シクロヘキサンジオール、1−ブタノー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキ
セン−2,5−ジオール、2,3−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオー
ル、2,5−ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0053】第3群に属する溶媒としては、エタノー
ル、n−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキ
シ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラ
ヒドロフルフリルアルコール等が挙げられる。以上のよ
うな水溶性溶媒の総量は、おおむねインク全体に対して
5〜40重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0054】本発明のインクを構成する各水性顔料イン
クには、界面活性剤,pH調整剤,防腐剤等を添加する
ことが可能である。界面活性剤は浸透性の高いカラーイ
ンクの調製,バブルインクジェット方式における発熱ヒ
ーター,吐出ノズル表面への濡れ性の調節等に有益であ
る。材料としては既存の市販品から適宜選択することが
できる。以上のような材料から構成される各インクの物
性をまとめると、黒色インクは、高い表面張力(概略3
0〜60dyn/cm)を有し、一方、カラーインクは
低い表面張力(概略10〜40dyn/cm)を有する
ことが好ましい。
【0055】以上のような、本発明における黒色水性顔
料インクとカラーインクを使用して普通紙に対してカラ
ー記録を行うと、黒の文字等が鮮明であり、画像やグラ
フと黒の文字が隣り合っていても相互滲みがなく夫々明
瞭である。
【0056】本発明のカラーインクを使用する場合、被
記録材としては、一般の普通紙(例えば、上質紙,中質
紙あるいはボンド紙等),コート紙,OHP用のプラス
チックフィルム等の何れでも使用することができる。前
述のように、本発明は全てのインクジェット記録方式に
適用できるが、中でも、熱エネルギーによるインクの発
泡現象によってインクを吐出させるタイプのインクジェ
ット記録方法に使用する場合に特に好適であり、インク
の吐出が極めて安定し、サテライトドットの発生等が生
じないという特徴がある。但し、この場合に熱的な物
性、例えば、比重,熱膨張係数及び熱伝導率等を調整す
る必要が生ずることもある。
【0057】次に、本発明のより特徴的な点について説
明する。前述のように、本発明は、微細な開口からイン
クを吐出させるといういわゆるインクジェット記録方式
に関するものであり、インクジェット記録方式にとっ
て、吐出口部における目詰まりは致命的なものである。
これは染料インクを使用するものより、本発明のよう
に、溶媒中に微粒子を分散させた顔料インクを使用する
ものでは、顔料が染料のように溶解しているわけではな
く分散しているだけなので、より目詰まりが起こりやす
い。さらに、本発明では、従来にはない微細な吐出口
径、例えば、吐出口径がΦ25μm以下(面積でいうな
らば500μm2未満)であるようなインクジェット記
録ヘッドを想定しているので、この目詰まりは大変深刻
な問題である。
【0058】ところで目詰まりとは、微細な開口からイ
ンクが噴射するというインクジェット記録方式の原理そ
のものに由来するものである。つまり、開口が微細であ
るがゆえに生じるものである。よって、その開口すなわ
ち吐出口の各ディメンション,形状,性状と、いわばイ
ンク中の異物とでもいうべき顔料の大きさとには密接な
関係がある。
【0059】本発明は、この点に鑑み、吐出口の各ディ
メンション,形状,性状と顔料粒子の大きさに着目し、
目詰まりの生じにくさとそれらの関係を見い出したもの
である。具体的には、顔料粒子径を変えたインクを調合
し、各ディメンション,形状,性状がわかっているイン
クジェット記録ヘッドを使用し、一定時間インク噴射を
行った後、一定時間放置し、インク噴射を再開し、吐出
口の目詰まりの有無を調べた。その場合、吐出口の完全
閉塞だけではなく、部分的な目詰まりおよびそれに至る
事前の兆候(わずかな目詰まり)も目詰まりとみなして
テストした。
【0060】使用したヘッドは、図1に示したような構
成の熱エネルギーを使用するインクジェット記録方式の
ヘッドである。ただし図1に示したヘッドは、流路の先
端がそのまま吐出口になっているものを示したが、実験
に使用したものは、図3に示すように、この先端に流路
の配列密度と同じ配列密度で形成したノズル21を有す
るノズル板20を設けたものである(なお、図3におい
て、図3(A)は、図1(A)に示したヘッドにノズル
板20を取り付ける前の様子を示す斜視図、図3(B)
は、ノズル板20を取り付けた後の斜視図である)。ま
た、その吐出口(ノズル)の数も、図1,図3に示した
ものは、説明を簡単にするため吐出口が4個しかないも
のであるが、実際に使用したのは吐出口の数が128個
で、その配列密度が400dpiのものである。また、
発熱体の大きさは22μm×90μmで、その抵抗値は
110Ωであり、インク噴射の駆動電圧は24V,駆動
パルス幅は6.5μs,駆動周波数は12kHzとし
た。なお、記録ヘッドは吐出口径をΦ25μmとし、吐
出口部の厚さ(吐出口部の奥行き部分の距離)を変えた
3種類のヘッド(H1〜H3)を用意した(それぞれ吐
出口部の厚さを、t=40μm(H1),50μm(H
2),60μm(H3)とした)。
【0061】使用したインクは、以下のような組成およ
び製法によるものであるが、顔料粒径が0.005〜4
μmまで変えたものを準備し、吐出口径の異なるヘッド
H1〜H3と組み合わせてテストした。また、一定時間
インク噴射を行った後の放置の条件は、温度40℃,湿
度30%の雰囲気中で10時間放置である。
【0062】インクの製法を以下に示す。スチレン/ア
クリル酸/エチルアクリレートからなる、酸価290、
重量平均分子量5,000、ガラス転移温度77℃の共
重合体Pをモノエタノールアミンを用いて溶解した水溶
液を用い、アントラキノン系顔料ピグメントレッド−1
77分散体D1〜D20を作製した。 ・共重合体P水溶液(固形分15重量%) 40部 ・ピグメントレッド−177(クロモフタールレッドA2B, チバガイギー製) 24部 ・ジエチレングリコール 20部 ・イソプロピルアルコール 10部 ・水 130部
【0063】これらの材料をバッチ式縦型サンドミル
(アイメックス製)に仕込み、1mm径のガラスビーズ
をメディアとして充填し、水冷しつつ3時間分散処理を
行った。分散後の液の粘度は30cP,pH=9.8の
粗分散体を得た。この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒
子を除去し、また、遠心分離の条件を種々変えることに
よって顔料の平均粒径を0.005〜4μmまで変えた
分散体D1〜D20を得た。これらの分散体を水,ジエ
チレングリコール,エチレングリコールモノブチルエー
テル(60:25:15重量比)にて希釈し、粘度3c
P,表面張力40dyn/cm,pH=9.5の赤色塩
基性インクジェット用インクR1〜R20を得た。最終
調製物の固形分は約7.5重量%であった。なお、これ
らのインク中の最終的な顔料含有率は5重量%である。
【0064】なお、平均粒径は、動的光散乱法による粒
度分布測定装置ELS−800(大塚電子製)にて測定
を行い、平均量は自己相関関数の初期勾配から得られる
値で示した。これらのインクR1〜R20と上記の吐出
口部の厚さ(吐出口部の奥行き部分の距離)を変えたヘ
ッドを組み合わせて、目詰まりの発生状況を調べた結果
を表1〜表3に記す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】以上の結果より、顔料粒径Dpと吐出口の
奥行き部分の距離(ノズル厚さ)tとは、Dp/t≦
0.01の関係を満足するようにすれば目詰まりのない
安定したインク噴射が得られることがわかる。なお、ヘ
ッドの構成によっては、流路と吐出口(ノズル)が連続
的につながっているような場合もあるが、本発明でいう
ところの吐出口の奥行き部分の距離(ノズル厚さ)tと
は、実質的にノズルを構成する部分の距離,厚さを意味
する。
【0069】次に本発明の他の特徴について説明する。
前述のように、本発明の記録液体中の着色剤は、水など
の解媒に溶解している染料ではなく、顔料である微粒子
が分散しているものである。前述の結果では、このよう
ないわゆる顔料インクであっても、顔料粒径と吐出口の
奥行き部分の距離(ノズル厚さ)との関係をある範囲内
にすれば、目詰まりが生じないことがわかったが、この
ような顔料インクを使って、インク滴噴射を行うには、
目詰まりだけではなく、安定した噴射およびそれによっ
て紙等の被記録体上にインク滴を狙いの位置に高精度に
付着させる必要がある。
【0070】ここでは、目詰まりに多いに関係する吐出
口の奥行き部分の距離(ノズル厚さ)tと吐出口面から
紙等の被記録体までの距離Lの関係について調べた。使
用したへッドは前述のH1〜H3のヘッドであり、吐出
口径がΦ25μmであり、その数が128個で、その配
列密度が400dpiのものである。また、発熱体の大
きさは22μm×90μmで、その抵抗値は110Ωで
あり、インク噴射の駆動電圧は24V,駆動パルス幅は
6.5μs,駆動周波数は12kHzである。
【0071】使用したインクは前述の赤色塩基性インク
ジェットヘッド用インクR5であり、被記録体としては
三菱製紙製マットコートNMを使用し、ヘッドの吐出口
面から被記録体までの距離を変えて印写実験を行い、こ
の被記録体上における画素位置精度を評価することによ
り、高画質記録(高ドット位置精度)が得られるかどう
か評価した。なお、本発明のように吐出口が小さく、か
つ顔料インクを使用し、従来に較べて噴射がしにくいヘ
ッドでは、少しでも良好な条件を見い出すために、重力
作用も影響をおよぼすと考え、鉛直方向に対してほぼ垂
直方向にインク滴を噴射する場合と、ほぼ鉛直方向の2
通りの噴射方向を評価した。その結果を表4に示す。
【0072】
【表4】
【0073】なお、表4において、○は狙いのドット位
置からのズレが1/4ドット以内に入った場合、△は狙
いのドット位置からのズレが1/4ドット以上,1/2
ドット以内に入った場合、×は狙いのドット位置からの
ズレが1/2ドット以上ズレた場合である。なお、1ド
ットの大きさは約Φ60μmである。
【0074】以上の結果より、本発明のように吐出口が
小さく、かつ顔料インクを使用し、従来に較べて噴射が
しにくいヘッドであっても、吐出口から被記録面までの
距離を100t以下とすることにより、安定噴射が行
え、高精度なドット位置精度が得られ高画質記録が実現
することがわかる。とりわけ噴射方向を鉛直方向にし、
重力作用も利用することにより、その効果が増すことも
わかる。
【0075】なお、本発明は、必ずしも完全に鉛直にす
ることに限定されるものではなく、重力作用を利用すれ
ばより効果的であるということをいわんとするものであ
る。よって、本発明を実際に利用する場合には、プリン
タの構成上の制約からその噴射方向を完全に鉛直にでき
なくても、少しでも重力作用が利用できるように下方を
向けて噴射するようになっていればよい。
【0076】次に、本発明のさらに他の特徴について説
明する。前述のように本発明の記録液体中の着色剤は、
水などの溶媒に溶解している染料ではなく、顔料である
微粒子が分散しているものである。しかしながら、この
顔料は、染料のように液媒体中に溶解するのではなく、
分散しているため、液媒体中での安定性が悪く、インク
の顔料の凝集,沈降,分離の発生が生じやすい。とりわ
け、吐出口の形状によっては凝集した顔料がたまりやす
く目詰まりを加速させる場合がある。
【0077】上述のように目詰まり要因を抱える本発明
のような液体噴射記録装置では、信頼性維持回復装置を
必須の構成要件とする。信頼性維持回復装置としては、
吐出口外側面の汚れをゴム,プラスチック,あるいは金
属等のブレードで拭き取ったり、スポンジ等の吸湿部材
で拭き取ったりする構造のものを用いる。いうまでもな
いがヘッドの吐出口部分をキャップすることも必須であ
る。ここで、このような拭き取り構造の具体的機構の一
例をあげる。たとえば、被記録体の前をヘッドが往復運
動して印写を行うようなシリアルプリンタタイプの場合
には、ヘッドを搭載するキャリッジのホームポジション
近傍にブレードやスポンジ等の吸湿部材をヘッドの吐出
口面に接触するように配置しておくことにより、キャリ
ッジの移動による吐出口面とブレードやスポンジ等の吸
湿部材との相対運動によって、拭き取り作業が行われ
る。
【0078】この拭き取り作業において、一番問題とな
るのは、吐出口の外側コーナーのだれである。図4〜図
6は、吐出口の外側コーナー部の様子を示す図で、図4
は外側コーナー部(4A1)の形状がr形状(円形)の
ものを示し、図5は外側コーナー部(4A2)の形状が
c形状(面取り形状)のものを示す。理想的にはこの部
分はだれることなく、図6に示すように、外側コーナー
部(4A3)の形状がシャープなs形状(直角形状)に
なっていることが望ましい。これは信頼性維持回復機構
によって吐出口外側面を拭き取る(ワイピングする)場
合、シャープな形状(図6の4A3部分)になっていれ
ば、吐出口外側面の不要インクをきれいに除去できるの
に対し、外側コーナー部分にだれがあればどうしてもそ
の部分に残ったインクが乾燥固化し、析出した顔料がた
まりやすいことからも明らかである。そしてこの析出し
た顔料が目詰まりの原因を作っている。しかしながら、
吐出口の量産加工上の面から考えると吐出口の外側コー
ナー部分を完全なシャープ形状にしようとするとコスト
高になり、完全にシャープ形状とすることが得策である
とは限らない。
【0079】本発明は、上述のごとき実情に鑑みなされ
たものであり、吐出口の外側コーナー部分のだれをどの
程度までに抑えれば、顔料析出/目詰まりの誘発を防止
できるのかを実験的に明らかにしたものである。具体的
には、吐出口の外側コーナー部分のだれの大きさの異な
るヘッドを用意し、前述と同様の目詰まり試験を行っ
た。すなわち、前述のH2のヘッドをベースに吐出口の
外側コーナー部分のだれの大きさを変えたヘッドを用意
し、また、インクをR5,R7,R9およびR6,R
8,R10を用い、目詰まり試験を行った。吐出口の外
側コーナー部分のだれの大きさは、c形状のものとr形
状のものを用意したが、微小なr形状のものは準備でき
なかったので、c形状で代用した。なお、このようなc
形状もしくはr形状の面取りは、もともと面取りのない
シャープな形状のNi製ノズルを準備しておき、化学エ
ッチング,電解エッチングによって、面取り(だれ)を
形成した。
【0080】その他の条件は前述と同様であり、吐出口
径はΦ25μmであり、その数が128個で、その配列
密度が400dpiのものである。また発熱体の大きさ
は22μm×90μmで、その抵抗値は110Ωであ
り、インク噴射の駆動電圧は24V,駆動パルス幅は
6.5μs,駆動周波数は12kHzである。放置の条
件も同じであるが、今回はゴムブレードで吐出口面を拭
き取った後、放置を行った。結果を表5,表6に示す。
ここで○は目詰まりが発生しなかったもの、△は128
個中1個でも噴射が乱れたもの、×は128個中1個で
も目詰まりが発生したもの(明らかに目詰まりと判別で
きるもの)である。
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】以上の結果より、吐出口より前記微粒子を
分散させた記録液体を分散させた記録液体を吐出するヘ
ッドの吐出口の外側部分を拭き取るようにして信頼性を
確保しようとする場合、吐出口の外側コーナー部分のだ
れ(面取り)が、c形状の場合およびr形状の場合と
も、c50Dp以下もしくはr50Dp以下にすれば、
だれ部に顔料がたまらず、目詰まりが発生しないことが
わかる。
【0084】次に本発明のさらに他の特徴について説明
する。前述のように本発明の記録液体中の着色剤は、水
などの溶媒に溶解している染料ではなく、顔料である微
粒子が分散しているものであるため、液媒体中での安定
性が悪く、インク中の顔料の凝集,沈降,分離の発生が
生じやすい。とりわけ吐出口の性状によっては、凝集し
た顔料がたまりやすく目詰まりを加速させる場合があ
る。具体的には吐出口の表面性状、つまり表面粗さであ
る。特に記録液体が実際に流れるところ、すなわち内壁
部の表面粗さである。
【0085】本発明は、上述のごとき実情に鑑みなされ
たものであり、吐出口内壁部の表面粗さをどの程度にす
れば、顔料析出/目詰まりの誘発を防止できるのかを実
験的に明らかにしたものである。具体的には、吐出口の
内壁部の表面粗さの異なるヘッドを用意し、前述と同様
の目詰まり試験を行った。すなわち前述のH2ヘッドを
ベースに吐出口の内壁部(前述の距離tで示した吐出口
の奥行き部分)の表面粗さRを変えたヘッドを用意し、
またインクをR5,R9,R11を用い、目詰まり試験
を行った。なお、ノズルは厚さt=50μmのSUS3
04に放電加工で吐出口径がΦ25μmになるように加
工したものであり、放電加工の条件を変えて表面粗さR
が0.1s〜5sまで異なるものを準備した。また表面
粗さRはSEM観察により算出したものである。
【0086】その他の条件は前述と同様であり、吐出口
数は、1つのヘッドあたり128個で、その配列密度が
400dpiのものである。また発熱体の大きさは22
μm×90μmで、その抵抗値は110Ωであり、イン
ク噴射の駆動電圧は24V、駆動パルス幅は6.5μ
s、駆動周波数は12kHzである。放置の条件も同じ
である。結果を表7に示す。ここで○は目詰まりが発生
しなかったもの、△は128個中1個でも噴射が乱れた
もの、×は128個中1個でも目詰まりが発生したもの
(明らかに目詰まりと判別できるもの)である。
【0087】
【表7】
【0088】以上の結果より、液体にその大きさがDp
(μm)であるような微粒子を分散させた顔料インクを
微細な吐出口から吐出させ、被記録体に付着させて記録
を行う液体噴射記録装置において、吐出口は奥行き部分
の表面粗さがR(s)であるような場合、0.025<
Dp/Rとなるようにその組み合わせを選べば、目詰ま
りのない信頼性の高いインク滴噴射が得られることがわ
かる。
【0089】次に本発明のさらに他の特徴について説明
する。本発明のようにいわゆる顔料インクを使用する液
体噴射記録装置においては、従来の染料インクのものに
較べて目詰まりに対して大変厳しい条件となるだけでは
なく、従来のような染料インクを使用し、吐出口径も大
きなものに較べて安定したインク滴噴射が難しいという
問題がある。そこで、ここでは本発明のような液体噴射
記録装置のヘッドの駆動方法を検討した。
【0090】使用したへッドは表8に示すH4〜H6の
ヘッドであり、使用インクはR5である。また、参考ヘ
ッドに使用したインクは染料インクであり、その組成
は、グリセリン…18.0%、エチルアルコール…4.7
%、水…75.0%、染料(アシッドレッド35)…2.
3%のものである。
【0091】
【表8】
【0092】これらのヘッドおよびインクを使用し、ヘ
ッドH4〜H6は、インク噴射の駆動電圧は18V〜2
4V、駆動パルス幅は6.5μs、駆動周波数は12k
Hzとして、参考ヘッドはインク噴射の駆動電圧は28
V〜30V、駆動パルス幅は7μs、駆動周波数は3k
Hzとして、安定噴射の条件を調べた。ここでいう安定
とは、良好なインク滴が形成され、ゆらぎのない飛翔が
行われることをいう。結果を表9に示し、表10に参考
例を示す。
【0093】
【表9】
【0094】
【表10】
【0095】以上の結果より、本発明のように従来にな
い微細な吐出口をもつインクジェットヘッドで、顔料イ
ンクを安定して噴射するためには、その飛翔速度が5m
/sより上の速度になるように駆動条件を設定してイン
クに吐出作用力を加える必要があることがわかる。ま
た、従来よりある大きな吐出口径のヘッドで、染料イン
クを使用するものは、多少飛翔速度が遅くても安定であ
ることがわかる。これは、従来よりある大きな吐出口径
のヘッドから吐出されるインク滴は、その質量も大きい
ため、外乱の影響を受けにくいのに対して、本発明のよ
うに、従来にない微細な吐出口径のヘッドから吐出され
るインク滴は、その質量が非常に小さくなるため、外乱
の影響を受けやすくなるので、ある程度速い速度で噴射
を行うようにしないと安定してインク滴噴射ができない
ためと考えられる。なお、この実験はいわゆるバブルイ
ンクジェットヘッドによって行っているが、ピエゾ方式
のヘッドであっても、同様にその飛翔速度が5m/sよ
り上の速度になるように駆動条件を設定してインクに吐
出作用力を加える必要があることはいうまでもない。
【0096】
【発明の効果】請求項1に対応した効果:着色材として
微粒子である顔料を分散させた記録液体において、使用
する液体噴射記録ヘッドの吐出部分の形状およびディメ
ンションと微粒子径の関係を最適化したので、開口面積
が500μm2未満であるような従来にはない非常に微
細な吐出口から顔料を含有する記録液体を吐出するよう
な場合でも、吐出口に顔料がたまりにくく、目詰まりが
なくなり信頼性が向上した。
【0097】請求項2に対応した効果:着色材として微
粒子である顔料を分散させた記録液体において、使用す
る液体噴射記録ヘッドの吐出口の奥行き部分の表面粗さ
と微粒子径の関係を最適化したので、開口面積が500
μm2未満であるような従来にはない非常に微細な吐出
口から顔料を含有する記録液体を吐出するような場合で
も、吐出口に顔料がたまりにくく、目詰まりがなくなり
信頼性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バブルインクジェット型記録ヘッドの一例を
説明するための図である。
【図2】 バブルインクジェット方式のインクジェット
のインク滴吐出の原理を説明するための図である。
【図3】 ノズル板を有するインクジェットヘッドの例
を示す図である。
【図4】 吐出口の外側コーナー部分の吐出部がr形状
(円形状)の場合の例を示す図である。
【図5】 吐出口の外側コーナー部分の吐出部がc形状
(面取り形状)の場合の例を示す図である。
【図6】 吐出口の外側コーナー部分の吐出部がシャー
プな形状(直角形状)の場合の例を示す図である。
【符号の説明】
1…蓋基板、2…発熱体基板、3…記録液体流入口、4
…吐出口、5…流路溝、6…共通液室、7…個別リード
電極、8…共通リード電極、9…発熱体、10…イン
ク、10′…インク柱、11…気泡、12…液滴。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出口が、流路の端部がそのまま吐出口
    となっているもしくは流路の端部に別途吐出口部を形成
    した吐出口であり、かつ、該吐出口は開口面積が500
    μm2未満であるとともに、その奥行き部分の距離tを
    有するとともに、前記吐出口の外側コーナー部分の形状
    をc形状(面取り形状)もしくはr形状(円形状)とし
    た吐出口であるような微細な吐出口から記録液体を吐出
    させ、被記録体に付着させて記録を行う液体噴射記録ヘ
    ッドに使用する記録液体において、該記録液体は、大き
    さがDp(μm)であるような微粒子を分散させてなる
    記録液体であるとともに、その微粒子の大きさがDp/
    t≦0.01であるとともに、前記吐出口外側コーナー
    部分のだれとの関係において、c50Dp以下もしくは
    r50Dp以下を満たすような大きさとしたことを特徴
    とする記録液体。
  2. 【請求項2】 吐出口が、流路の端部がそのまま吐出口
    となっているもしくは流路の端部に別途吐出口部を形成
    した吐出口であり、かつ、該吐出口は開口面積が500
    μm2未満であるとともに、その奥行き部分の表面粗さ
    がR(s)であるような吐出口から記録液体を吐出さ
    せ、被記録体に付着させて記録を行う液体噴射記録ヘッ
    ドに使用する記録液体において、該記録液体は、大きさ
    がDp(μm)であるような微粒子を分散させてなる記
    録液体であるとともに、その微粒子の大きさが0.02
    5<Dp/Rを満たすような大きさとしたことを特徴と
    する記録液体。
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