JP2003019201A - 人工呼吸器用呼気弁装置 - Google Patents
人工呼吸器用呼気弁装置Info
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Abstract
呼吸器用呼気弁装置を提供する。 【解決手段】 弁箱4の弁室3内に備わる弁体6は、移
動軸線5方向にフォースモータ17によって往復駆動さ
れ、弁座9に着座および離間し、弁座9に形成される弁
孔8を開閉する。弁箱4の一端部14には、弁孔8に対
向して形成される開口部16を封止するようにベローズ
15が設けられるので、弁体6の駆動に要するフォース
モータ17の容量を小さく抑制することができる。また
フォースモータ17の出力軸38に設けられる第1接続
部材11と弁体6に連なる弁軸7に設けられる第2接続
部材18とは磁力によって接続されるので構成が簡素化
される。
Description
に適用することのできる人工呼吸器用呼気弁装置に関す
る。
呼気の圧力(以後、呼気圧と呼ぶ)を大気圧よりも高い
圧力に調整する場合がある。この圧力は、呼気終末陽圧
Positive End-Expiratory Pressure(以後、PEEP圧
と呼ぶ)と呼ばれる。このように呼気圧をPEEP圧に
保つことは、人工呼吸管理中の肺胞の虚脱防止などに有
用である。このPEEP圧は患者毎に、または患者の状
態によって異なる値に調整される。呼気圧をPEEP圧
に保つためには、人工呼吸器の呼気管路に呼気圧がPE
EP圧未満では大気への通路を閉じ、PEEP圧以上で
は大気への通路を開く呼気弁装置を設けることが必要で
ある。
似した構成が知られており、先行技術がMcGraw
Hill(1994),“Principles and Practice of
Mechanical Ventilation”,p96〜97に開示されて
いる。
て弁座に押付けられ、ばね力は、ばねの基端部に設けら
れるばね力調整具を調整することによってPEEP圧に
応じて手動で調整される。
磁石片を備える弁体と、先端に永久磁石片を装着したボ
ルトとを含んで構成される。弁体は、強磁性片とボルト
の永久磁石片との間の磁気吸引力によって弁座に押付け
られ、磁気吸引力はボルトを伸縮することによってPE
EP圧に応じて手動で調整される。
によって膨張および収縮の可能なダイアフラムが設けら
れる。ダイアフラムは、弁箱との間に空気チャンバを構
成し、空気チャンバに送風機などから送給される空気に
よって膨張し弁座を閉じる。空気チャンバに送給される
空気の圧力は、圧力制御弁などによってPEEP圧に応
じて制御される。
様にダイアフラムが用いられ、ダイアフラムは、電磁力
を利用したフォースモータによって駆動されて弁座を閉
じる。フォースモータによるダイアフラムの弁座に対す
る押付け力は、フォースモータに流される電流値の調整
によってPEEP圧に応じて制御される。
は、以下の問題点がある。第1および第2の先行技術で
は、PEEP圧に応じてばね力調整具またはボルトを手
動で調整しなければならないので、呼気弁装置のPEE
P圧の設定を遠隔操作によって行うことができないとい
う問題がある。またばね力の調整によって呼気弁装置の
開放圧力を設定するとき、ばねは負荷される力の大きさ
に応じて反力が変化するので、開放圧力を超える圧力
(以後、オーバライド圧力と呼ぶ)を負荷しなければ、
開放圧力に対応して呼気弁装置に予め定められた設定流
量を得ることができないという問題がある。
される空気の圧力制御によって呼気弁装置の開放圧力を
設定するので、ばね力の調整による場合と同様にオーバ
ライド圧力の問題がある。また空気チャンバに送給され
る空気の圧力制御によって、呼気弁装置のPEEP圧を
遠隔操作できるけれども、遠隔操作のための電気信号を
発信する装置、電気信号に応答し機械駆動して空気圧に
変換する装置が必要となり、装置の構成が複雑かつ大型
化し装置のコストが増大するという問題がある。
に電磁力を利用したフォースモータを用いるので、PE
EP圧を遠隔操作する問題およびオーバライド圧力の問
題を解決することができる。しかしながら、呼気弁装置
にフォースモータを用いるとき、フォースモータの出力
軸とダイアフラムの駆動軸との接続における軸心合わせ
および機械的接合が困難であるという問題があるけれど
も、その解決技術は開示されていない。また呼気弁寸法
の増大にともない、呼気弁に対応するダイアフラムの寸
法も増大するので、ダイアフラムを駆動するフォースモ
ータの容量を増大しなければならず不所望に呼気弁装置
が大型化するという問題があるけれども、その解決技術
は開示されていない。
ることができ、遠隔操作可能で応答性良く患者の呼気圧
等の空気の排出圧力を調整することができる人工呼吸器
用呼気弁装置を提供することである。
弁室が形成される弁箱と、(b)弁箱内で予め定める移
動方向に延びる移動軸線に沿って往復変位可能に設けら
れる弁体と、(c)弁体に連なって設けられ移動軸線方
向に延びる弁軸と、(d)弁孔が形成され弁体が着座お
よび離間する弁座であって、弁孔には弁軸の設けられる
側から呼気が導かれる弁座と、(e)弁軸の弁体とは反
対側に位置する端部である遊端部に設けられる強磁性材
料から成る第1接続部材と、(f)前記移動軸線の延長
線上に軸線を有し軸線付近の中央部が弁軸に装着され外
縁部が弁箱の一端部に装着されるベローズであって、弁
孔に対向して弁箱の一端部に形成される開口部を封止す
るように設けられるベローズと、(g)移動軸線の延長
線上に軸線を有し弁体および弁軸を前記移動軸線方向に
往復駆動する駆動手段と、(h)駆動手段の軸線上かつ
弁軸の遊端部を臨む位置に設けられ前記第1接続部材を
磁力によって吸着する第2接続部材とを含むことを特徴
とする人工呼吸器用呼気弁装置である。
および弁軸の移動軸線の延長線上に軸線を有し、軸線付
近の中央部が弁軸に装着され外縁部が弁箱の一端部に装
着され、弁孔に対向して弁箱の一端部に形成される開口
部を封止するようにベローズが設けられる。このことに
よって、弁体に負荷される力の一部がベローズに負荷さ
れる力の大きさだけ相殺されるので、小さい容量の駆動
手段によって弁体および弁軸を移動軸線方向に駆動する
ことができる。したがって、大きな容量の駆動手段を設
ける必要がなくなり、装置の小型化を図ることができ
る。
る第1接続部材が設けられ、駆動手段には、駆動手段の
軸線上かつ弁軸の遊端部を臨む位置に第1接続部材を磁
力によって吸着する第2接続部材が設けられる。したが
って、駆動手段と弁軸とは、第1接続部材と第2接続部
材とが磁力で吸着することによって確実に接続されるの
で、接続の信頼性が向上するとともに装置の組立作業が
簡易化される。また第1および第2接続部材の形状を単
純化し、部材寸法精度の許容値も大きくとることができ
るので、部材製作上の工数削減が可能になる。
モータであることを特徴とする。本発明に従えば、駆動
手段はフォースモータである。フォースモータの駆動力
である電磁力は、フォースモータに供給される電流によ
って制御されるので、PEEP圧設定の応答性が良くか
つ遠隔操作が可能になる。またフォースモータは、負荷
される空気の圧力に対応する反力を生じることがないの
で、オーバライド圧力をほぼ零にすることができる。ま
た呼気弁を空気式で開閉する装置のように送風機などを
設ける必要がないので、装置の小型化およびコスト低減
が可能になる。
軸線に垂直な平面に対する投影面積が可変に設けられる
ことを特徴とする。
垂直な平面に対する投影面積が可変に設けられるので、
フォースモータの容量に応じてベローズの前記投影面積
を設定することができる。このことによって、装置の設
計上におけるフォースモータ選択の許容範囲が広くな
る。
材は、永久磁石片であることを特徴とする。
は、永久磁石片である。このように安価な永久磁石片に
よって、駆動手段と弁体および弁軸との確実な接続を実
現することができるので、コスト低減が可能になる。
用呼気弁装置と、患者に吸気を吐出逆止弁を介して供給
する空気ポンプと、患者の口または鼻の少なくとも一方
に装着される装着部材と、空気ポンプの吐出逆止弁と装
着部材とを接続し、患者に空気ポンプからの吸気を導く
吸気管路と、吸気管路の途中位置から分岐し、先端部に
人工呼吸器用呼気弁装置を設け、人工呼吸器用呼気弁装
置に患者の呼気を導く呼気管路と、吸気期間中は人工呼
吸器用呼気弁装置の弁孔を閉じるように制御する制御手
段とを含むことを特徴とする人工呼吸器である。
吸気管路は空気ポンプと患者の装着部材とを接続し、呼
気管路は吸気管路の途中から分岐し、呼気管路の先端部
には人工呼吸器用呼気弁装置が設けられる。吸気期間
中、制御手段によって人工呼吸器用呼気弁装置の弁孔が
閉じるように、すなわち人工呼吸器用呼気弁装置の開放
圧力が吸気圧以上になるように制御されるので、吸気の
人工呼吸器用呼気弁装置からの排出が防止される。この
ことによって、患者に充分に吸気を供給することができ
る。また吸気管路または呼気管路に異常圧力負荷防止用
の開閉弁を別途設ける必要がなくなり、装置の構成を簡
素化することが可能になる。
る人工呼吸器用呼気弁装置1の構成を簡略化して示す概
略断面図である。この人工呼吸器用呼気弁装置1(以
後、呼気弁装置と略称する)は、人工呼吸期間中、患者
の呼気圧を大気圧よりも高いPEEP圧に調整する。P
EEP圧は、患者毎または患者の状態によって異なる予
め定める値に設定される。
る弁箱4と、弁箱4内で予め定める移動方向に延びる移
動軸線5方向に往復変位可能に設けられる弁体6と、弁
体6に連なって設けられ移動軸線5方向に延びる弁軸7
と、弁孔8が形成され弁体6が着座および離間する弁座
9であって、弁孔8には弁軸7の設けられる側から呼気
が導かれる弁座9と、弁軸7の弁体6とは反対側に位置
する端部である遊端部10に設けられる強磁性材料から
成る第1接続部材11と、前記移動軸線5の延長線上に
軸線を有し軸線付近の中央部12が弁軸7に装着され外
縁部13が弁箱4の一端部14に装着されるベローズ1
5であって、弁孔8に対向して弁箱4の一端部14に形
成される開口部16を封止するように設けられるベロー
ズ15と、移動軸線5の延長線上に軸線19を有し弁体
6および弁軸7を移動軸線5方向に往復駆動する駆動手
段17と、駆動手段17の軸線上かつ弁軸7の遊端部1
0を臨む位置に設けられ前記第1接続部材11を磁力に
よって吸着する第2接続部材18とを含む。
状の形状を有する。弁箱4内には、弁室3が移動軸線5
と同軸に形成される。弁室3の軸線方向の一端部には、
前記弁箱4の一端部14に形成される開口部16が存在
し、他端部には弁体6が着座および離間する弁座9が設
けられる。弁座9には、直径d1を有する弁孔8が移動
軸線5の延長線上に軸線を有するように形成される。ま
た弁箱4の底部24には、底部24に連なり弁箱4の内
方に向って垂直に突出して弁体案内部25が形成され
る。弁体案内部25は、移動軸線5の延長線上に軸線を
有する。
導入口20は、移動軸線5と垂直な方向の軸線を有し弁
室3に連通するように弁箱4の側面に形成される。また
患者の呼気を呼気弁装置1から排出する呼気排出口21
は、移動軸線5と垂直な方向の軸線を有し、弁体6に関
して弁座9の反対側かつ弁箱4の他端部22付近の側面
に形成される。弁箱4には、弁孔8に関して弁室3とは
反対側に出口空間23が形成される。これによって、呼
気導入口20は弁箱4の外部と弁室3とを連通し、弁孔
8は弁室3と出口空間23とを連通し、呼気排出口22
は出口空間23と外部とを連通する。
呈する円筒部26と円筒部26の他端部から半径方向外
方に突出するフランジ部27とから成る。弁体6の円筒
部26に形成される凹所28に前記弁体案内部25が挿
入され、弁体6は、弁体案内部25に案内されて移動軸
線5に沿って往復変位し、弁座9に着座および離間す
る。
て弁体案内部25と反対側に移動軸線5方向に延びる弁
軸7は、本実施の形態では弁体6と一体に形成される。
弁軸7の遊端部10には、第1接続部材11が設けら
れ、第1接続部材11の弁体6寄りの位置には接続案内
部材29が設けられる。第1接続部材11は、強磁性材
料である永久磁石から成る部材であり、以後第1接続部
材11を第1永久磁石片11と呼ぶ。接続案内部材29
は、合成樹脂製の断面形状が略C字を有する部材であ
る。接続案内部材29および第1永久磁石片11は、弁
軸7の遊端部10に螺合によって装着されてもよく、ま
た接着剤によって接着固定されてもよい。
性を有する材料から成り、前述のように移動軸線5の延
長線上に軸線を有し、その軸線方向に伸縮することがで
きる。弁軸7には、一対の第1装着部材31a,31b
が遊端部10付近において接続案内部材29の弁体6寄
りに設けられる。第1装着部材31a,31bは、たと
えばアルミニウム合金からなる薄い環状の部材であり、
ベローズ15の中央部12を挟圧して弁軸7に装着す
る。また弁箱4の一端部14の内周に形成される切欠き
部33には、一対の第2装着部材32a,32bが着脱
可能に設けられる。第2装着部材32a,32bは、た
とえばアルミニウム合金から成り、内径d2を有する薄
い環状の部材であり、ベローズ15の外縁部13を挟圧
して弁箱4の一端部14に装着する。
第1装着部材31a,31bに挟圧されて弁軸7に装着
され、外縁部13が第2装着部材32a,32bによっ
て挟圧されて弁箱4の一端部14に装着され、弁箱4の
一端部14に形成される開口部16を封止する。種々の
内径d2の第2装着部材32a,32bを準備し、適宜
選択して使用することによって、ベローズ15の軸線に
垂直な断面に対する投影面積を可変に設けることができ
る。また第2装着部材32a,32bの内径d2は、ベ
ローズ15を軸線に垂直な平面に投影した円の直径に同
一であるので、以後d2をベローズ15の直径と略称す
る。
移動軸線5の延長線上に軸線19を有し、弁箱4の一端
部14に臨んで設けられる。フォースモータ17は、軸
線19まわりに導線が巻きまわされたコイル36と、駆
動用永久磁石片37と、出力軸38とを含む。軸線19
と同一軸線を有し直円筒状に形成されたコイル36は、
他端部がコイル保持部材39によって保持される。コイ
ル保持部材39は、金属製の薄い円板状部材であり、軸
線19と同軸に設けられる。出力軸38は、金属製の円
柱状部材であり、コイル保持部材39に軸線19と同軸
に設けられる。なおコイル36には、導線40が連な
り、導線40は後述する駆動アンプ57に接続される。
とえばN極)を有する磁石部材41と、他方の磁極(た
とえばS極)を有するもう1つの磁石部材42と、これ
らの磁石部材41,42の軸線19方向の一端部で連結
する連結片43とを含む。磁石部材41,42は直円筒
状であり、磁石部材41がもう1つの磁石部材42の半
径方向外方に間隔をあけて同心円状に配置される。これ
らの磁石部材41,42の間の空間44には、半径方向
に磁界が形成され、前記コイル36はこの磁界内に存在
する。
他端部において、連結部材45を介して弁箱4に装着さ
れる。連結部材45は、他端部において半径方向外方に
突出したフランジ部を有する略円筒状の金属製部材であ
る。また連結部材45は、弁箱4の一端部14に形成さ
れる切欠き部33に設けられる第2装着部材32a,3
2bを弁箱4との間で挟圧し、第2装着部材32a,3
2bおよび第2装着部材32a,32bに外縁部13が
挟圧されているベローズ15の弁箱4への装着を確実に
する。
2接続部材18が設けられる。第2接続部材18は、永
久磁石片から成る部材であり、以後第2接続部材18を
第2永久磁石片と呼ぶ。第1永久磁石片11と第2永久
磁石片18とは、その極性が互いに吸引する向きになる
ように、たとえば第1永久磁石片11のN極に対向し
て、第2永久磁石片18のS極が位置するようにそれぞ
れ設けられるので、第2永久磁石片18は、前記接続案
内部材29に案内されて第1永久磁石片11を磁力によ
って吸着し、第1および第2永久磁石片11,18が接
続される。このことによって、第1および第2永久磁石
片11,18がそれぞれ設けられる出力軸38と弁軸7
とが連結されるので、フォースモータ17の駆動力を弁
軸7および弁体6に伝達することができる。
および弁体6とは、第1および第2永久磁石片11,1
8が磁力で互いに吸着することによって確実に接続され
るので、接続の信頼性が向上するとともに装置の組立作
業が簡易化される。また第1および第2接続部材11,
18の形状が単純化され、部材寸法精度の許容値も大き
くとることができるので、部材製作上の工数削減が可能
になる。さらに第1および第2接続部材11,18は、
ともに安価な永久磁石片によって実現されるので、コス
ト低減が可能になる。
電流が供給されることによって、コイル36には軸線1
9方向の電磁力が、フレミングの左手の法則に従って発
生し、フォースモータ17の出力軸38に前述のように
して連結される弁軸7および弁体6が、弁体案内部25
に案内されて移動軸線5方向に往復変位される。このこ
とによって、弁体6が、弁座9に着座または離間する。
ベローズ15は、弁軸7および弁体6の往復変位にとも
なって移動軸線5方向に伸縮する。さらにベローズ15
は、呼気導入口20から弁室3内に導入された呼気の圧
力に応じて伸縮することができる。
も高い圧力に調整されるので、弁室3内は大気圧よりも
圧力が高い。すなわち、弁体6は弁室3内の呼気圧によ
って、移動軸線5方向に弁箱4の底部24に向う方向
(以後、便宜上この方向を下方と呼ぶ)に力を受ける状
態にある。したがって、フォースモータ17は、この弁
体6が呼気圧によって受ける下方に向う力に抗して、弁
軸7および弁体6を移動軸線5に沿ってベローズ15に
向う方向(以後、便宜上この方向を上方と呼ぶ)に変位
させなければならない。本実施の形態では、前述のよう
に弁箱4の一端部14に形成される開口部16にベロー
ズ15が装着される。ベローズ15は、弁室3内の呼気
圧によって上方に向う力を受けて伸長することができる
ので、ベローズ15が装着される弁軸7さらに弁軸7に
連なる弁体6を上方に変位させる働きをする。すなわ
ち、弁箱4の開口部16にベローズ15を設けることに
よって、弁室3内の呼気圧に起因し、弁体6が下方に向
って受ける力の一部を、ベローズ15が上方に向って受
ける力で相殺することができる。
力を無視するという仮定のもとに、弁体6を弁座9に着
座、すなわち弁体6を移動軸線5方向の上方に向って変
位させ弁孔8を閉じるために必要なフォースモータ17
の力F1を求める。呼気導入口20から弁室3内に導入
された呼気圧をPeとすると、前記力F1は式(1)に
よって与えられる。 F1=Pe・π(d12−d22)/4 …(1) ここで、d1:弁孔8の直径 d2:ベローズ15の直径
いない場合、弁孔を閉じるために必要なフォースモータ
の力F2は式(2)によって与えられる。 F2=Pe・πd12/4 …(2)
る力の一部が、ベローズ15に負荷される力(=Pe・
πd22/4)の大きさだけ相殺される。このことによ
って、同一寸法の弁体6が使用される場合、ベローズ1
5を設けることによって、小さい容量のフォースモータ
17によって弁体6を移動軸線5方向に駆動することが
可能となり、装置の小型化を図ることができる。またベ
ローズ15は、移動軸線5に垂直な平面に対する投影面
積が可変に設けられるので、準備されるフォースモータ
17の容量に応じてベローズ15の前記投影面積を設定
することができる。このことによって、装置の設計上に
おけるフォースモータ17選択の許容範囲が広くなる。
工呼吸器2の全体構成を示す系統図である。人工呼吸器
2は、呼気弁装置1と、患者に吸気を吐出逆止弁51を
介して供給する空気ポンプ52と、患者の口または鼻の
少なくとも一方に装着される装着部材53と、空気ポン
プ52の吐出逆止弁51と装着部材53とを接続し、患
者に空気ポンプ52からの吸気を導く吸気管路54と、
吸気管路54の途中位置から分岐し、先端部に呼気弁装
置1を設け、呼気弁装置1に患者の呼気を導く呼気管路
55と、吸気期間中は呼気弁装置1の弁孔8を閉じるよ
うに制御する制御手段56と、制御手段56の出力に応
答しフォースモータ17に駆動電力を供給する駆動アン
プ57とを含む。
ベローズ58を備える。ポンプベローズ58は、たとえ
ばゴムなどの材料からなり、可撓性を有し軸線59方向
に伸縮可能である。ポンプベローズ58の軸線方向一端
部には、剛性の取付部材60が固定され、軸線方向他端
部には基体61が連結される。取付部材60は、円板状
の形状を有しており、軸線59方向に移動可能である。
基体61は取付部材60に対向し、図示しない基台上に
設けられる軌道部材62の固定位置に設けられる。これ
によって、ポンプベローズ58と取付部材60と基体6
1とによって囲まれる第1空間63が形成される。基体
61の第1空間63を臨む位置には、給気逆止弁64と
前記吐出逆止弁51とがそれぞれ設けられる。
ポンプ駆動手段65が設けられる。ポンプ駆動手段65
はねじ機構を備え、ねじ機構はボールねじ66から成
る。ボールねじ66は、ポンプベローズ58の外方に設
けられ前記軸線59方向に延びるねじ部材67と、ボー
ルナット68とを備える。ねじ部材67とボールナット
68とは、ボールねじ溝に装着されたボールを介して螺
合する。ねじ部材67の他端部は、軌道部材62の他端
部に備わる第1端板69に取付けられた軸受によって回
転自在に支持される。ねじ部材67の一端部は、軌道部
材62の一端部に備わる第2端板70に取付けられた軸
受によって回転自在に支持される。ねじ部材67の一端
部は、第2端板70を貫通して突出し、突出部にはプー
リ71が取付けられる。ボールナット68は、支持部材
72を介して取付部材60と連結されている。前記基台
上には、駆動源である電動機73が設けられる。電動機
73の機軸にはプーリ74が取付けられており、ねじ部
材67のプーリ71と機軸のプーリ74との間には、伝
動手段である伝動ベルト75が張架されている。
動機73を駆動すると、その回転運動は伝動ベルト74
を介してねじ部材67に伝えられ、ねじ部材67を回転
駆動する。ねじ部材67の回転運動はボールナット68
の直線運動に変換され、ボールナット68を回転方向に
応じてねじ部材67の一端部側または他端部側に移動さ
せる。ボールナット68を移動させると、ボールナット
68に支持部材72を介して連結されている取付部材6
0が移動する。取付部材60が移動することによって、
ポンプベローズ58がねじ部材67の回転運動に対応す
る方向に移動して伸縮する。
間63内の圧力が低下するので、給気逆止弁64が開き
吐出逆止弁51が閉じ、空気入口フィルタ76を通過し
給気口79を経て空気導入口77から第1空間63内に
空気が吸入される。ポンプベローズ58が縮退すると、
第1空間63内の圧力が増大するので、給気逆止弁64
が閉じ吐出逆止弁51が開き、空気排出口78から吸気
管路54へ空気が供給される。なお空気排出口78と前
記吐出逆止弁51との間には、吐出される空気の圧力検
出口であるポンプ圧検出口80が設けられる。
止弁51と装着部材53とを接続する管路であり、外部
の空気を第1空間63を介して患者に導く。吸気管路5
4には、吸気側流量計84、第1流量差圧検出口81
a,81bおよび吸気フィルタ82が設けられている。
なお、吸気側流量計84は省略される構成であってもよ
い。呼気管路55は、装着部材53と呼気弁装置1とを
接続する管路であり、患者の呼気を呼気弁装置1に導
く。呼気管路55には、呼気フィルタ83が設けられて
いる。呼気弁装置1の呼気の流れ方向下流側には、呼気
弁装置1と人工呼吸器2の外部への開口部である排気口
87とを接続する排気管路88が設けられる。排気管路
88には、呼気側流量計89および第2差圧流量検出口
90a,90bが設けられる。なお第2差圧流量検出口
90a,90bは省略される構成であってもよい。
への分岐は、分岐部材85によって実現され、吸気管路
54は呼気管路55と装着部材53とに連通される。分
岐部材85と装着部材53との間には、患者の気道圧検
出センサ86が設けられ、気道圧検出センサ86の検出
出力は、制御手段56に入力される。なお気道圧検出セ
ンサ86は、吸気管路54の吐出逆止弁51と分岐部材
85との間の適切な位置に設けられる構成であってもよ
い。
1の設定圧力を説明するチャートである。人工呼吸器に
は、吸気管路54または呼気管路55のいずれかにおい
て、患者の吸気期間に患者の肺に異常圧力が負荷される
ことを防止するために、異常圧力負荷防止弁、いわゆる
安全弁であるリリーフ弁が設けられる。本実施の形態の
呼気弁装置1にはリリーフ弁の機能が備えられ、吸気期
間において患者の肺に異常圧力が負荷されることを防止
するために、呼気弁装置1の弁孔8を開くべく設定され
る圧力(以後、リリーフ設定圧力Prと呼ぶ)が、患者
毎にまたは患者の状態により異なって定められる。
〜t2では、ポンプベローズ58が縮退する方向にあ
り、第1空間63内の圧力が高くなるので、給気逆止弁
64が閉じ吐出逆止弁51が開かれる。このことによっ
て、外部の空気が、吸気管路54および装着部材53を
介して患者に吸気として供給される。吸気期間では、気
道圧検出センサ86によって検出される患者の気道圧力
Pawは、増加する傾向にあり、また増加後は一定値の
状態にある。吸気期間では、この気道圧検出センサ86
の検出出力に応答し、制御回路56が駆動アンプ57の
出力値を制御し、呼気弁装置1の弁孔8を開く設定圧力
が、増加後の一定値を示す状態の気道圧力Pawよりも
圧力ΔP1だけ高いリリーフ設定圧力Prに設定され
る。
プベローズ58が伸長する方向にあり、第1空間63内
の圧力が低くなるので、吐出逆止弁51が閉じ給気逆止
弁64が開かれる。このことによって、外部の空気が、
給気逆止弁64および空気導入口77を通って第1空間
63に導入される。また患者の呼気が、呼気管路55を
介して呼気弁装置1の弁室3内に導入される。呼気期間
では、患者の気道圧力Pawが減少に転じ、また減少後
は大気圧Paよりも高いPEEP圧Ppに等しい状態に
ある。呼気期間では、この気道圧検出センサ86の検出
出力に応答し、制御回路56が駆動アンプ57の出力値
を制御し、呼気弁装置1の弁孔8を開く設定圧力が、P
EEP圧Ppに設定される。したがって、呼気期間のう
ち気道圧力PawがPEEP圧力Pp以上である時刻t
2〜t5の期間では、呼気弁装置1の弁孔8が開かれ
て、患者の呼気は、人工呼吸器2の排気管路88を介し
て排気口87から排出される。患者の気道圧力がPEE
P圧Ppと等しい時刻t5〜t3の期間では、呼気弁装
置1の弁孔8は閉じられ、患者の呼気圧がPEEP圧P
pに保たれる。時刻t3〜t4の吸気期間および時刻t
4以降は、前述の時刻t1〜t2の吸気期間および時刻
t2〜t3の呼気期間の設定および動作が繰返される。
圧力Prが、吸気期間における患者の気道圧力Paw以
上になるように制御されるので、吸気が呼気弁装置1か
ら排出されることを防止でき、患者に充分に吸気を供給
することができる。また患者の気道圧力Pawがリリー
フ設定圧力Pr以上になるとき、呼気弁装置1の弁孔8
が開かれ、吸気の一部が弁孔8を通じて排気されるの
で、吸気管路54または呼気管路55に患者の肺に対す
る異常圧力負荷防止用の開閉弁を別途設ける必要がなく
なり、装置の構成を簡素化することが可能になる。
駆動に使用されるフォースモータ17は、負荷される空
気の圧力に対応する反力を生じることがないので、オー
バライド圧力をほぼ零にすることができる。図4はフォ
ースモータ17使用時におけるリリーフ設定圧力Pr1
と定格流量Q1との関係を示す図であり、図5はばね部
材使用時におけるリリーフ設定圧力Pr2と定格流量Q
2との関係を示す図である。
呼気弁装置では、弁体がばね力によって弁座に押付けら
れて着座し、弁体に負荷される空気圧によって弁体が弁
座から離間し弁孔が開く。図5に示す第5ライン91
が、弁孔を開くリリーフ圧力Pと空気のリリーフ流量Q
との関係を表す。PEEP圧設定手段がばね部材である
とき、弁室内の空気圧がリリーフ設定圧力Pr2に達す
ると弁孔が開くけれども、弁孔の開度が充分ではなく弁
孔を流過する空気の流量は定格流量Q2に達しない。ば
ね部材は、負荷される空気の圧力に対して反力を生じる
ので、定格流量を流過させるに足る弁孔開度に達するた
めには、リリーフ設定圧力Pr2を超える空気圧力を負
荷しなければならない、すなわちオーバライド圧力ΔP
2が必要とされる。
して使用する呼気弁装置1では、弁体6はフォースモー
タ17の電磁力によって弁座9に着座し、弁体6に負荷
される空気圧によって弁体6が弁座9から離間し弁孔8
が開く。図4に示す第2〜第5ライン92,93,9
4,95は、弁孔8を開放するリリーフ圧力Pとリリー
フ流量Qとの関係を4通りのリリーフ設定圧力の場合に
ついて表す。フォースモータ17は、負荷される空気の
圧力に対して反力を生じることがないので、第1〜第4
ライン92,93,94,95いずれのリリーフ設定圧
力Pr1の場合においても、リリーフ設定圧力Pr1に
対応する空気圧が弁体6に負荷されることによって、弁
孔8の開度が定格流量Q1を流過させることのできる予
め定められた状態に達する。すなわちオーバライド圧力
をほぼ零にすることができる。さらにフォースモータ1
7の駆動力である電磁力は、フォースモータ17に備わ
るコイル36に供給される電流によって制御されるの
で、PEEP圧設定およびリリーフ圧設定を応答性良く
遠隔操作することが可能になり、患者毎また患者の状態
に応じて行うPEEP圧Ppおよびリリーフ圧Prの設
定が容易になる。
駆動手段17はフォースモータであるけれども、これに
限定されることなく、駆動手段17は負荷される空気圧
に対して反力を生じることがなく電流または電圧によっ
て駆動力の制御が可能なものであればよい。また弁体6
は、合成樹脂製であるけれども、これに限定されること
なく、アルミニウムおよび砲金などの非磁性体金属、ま
たプラスチックなどであってもよい。また第1および第
2接続部材11,18は、永久磁石片であるけれども、
これに限定されることなく、たとえば第1接続部材11
が鉄またはニッケルなどの強磁性材料からなり、第2接
続部材18のみが永久磁石片からなる構成であってもよ
い。
体および弁軸の移動軸線の延長線上に軸線を有し、軸線
付近の中央部が弁軸に装着され外縁部が弁箱の一端部に
装着され、弁孔に対向して弁箱の一端部に形成される開
口部を封止するようにベローズが設けられる。このこと
によって、弁体に負荷される力の一部がベローズに負荷
される力の大きさだけ相殺されるので、小さい容量の駆
動手段によって弁体および弁軸を移動軸線方向に駆動す
ることができる。したがって、大きな容量の駆動手段を
設ける必要がなくなり、装置の小型化を図ることができ
る。
る第1接続部材が設けられ、駆動手段には、駆動手段の
軸線上かつ弁軸の遊端部を臨む位置に第1接続部材を磁
力によって吸着する第2接続部材が設けられる。したが
って、駆動手段と弁軸とは、第1接続部材と第2接続部
材とが磁力で吸着することによって確実に接続されるの
で、接続の信頼性が向上するとともに装置の組立作業が
簡易化される。また第1および第2接続部材の形状を単
純化し、部材寸法精度の許容値も大きくとることができ
るので、部材製作上の工数削減が可能になる。
モータである。フォースモータの駆動力である電磁力
は、フォースモータに供給される電流によって制御され
るので、PEEP圧設定の遠隔操作が可能になる。また
フォースモータは、負荷される空気の圧力に対応する反
力を生じることがないので、オーバライド圧力をほぼ零
にすることができる。また呼気弁を空気式で開閉する装
置のように送風機などを設ける必要がないので、装置の
小型化およびコスト低減が可能になる。
線に垂直な平面に対する投影面積が可変に設けられるの
で、フォースモータの容量に応じてベローズの前記投影
面積を設定することができる。このことによって、装置
の設計上におけるフォースモータ選択の許容範囲が広く
なる。
部材は、永久磁石片である。このように安価な永久磁石
片によって、駆動手段と弁体および弁軸との確実な接続
を実現することができるので、コスト低減が可能にな
る。
プと患者の装着部材とを接続し、呼気管路は吸気管路の
途中から分岐し、呼気管路の先端部には人工呼吸器用呼
気弁装置が設けられる。吸気期間中、制御手段によって
人工呼吸器用呼気弁装置の弁孔が閉じるように、すなわ
ち人工呼吸器用呼気弁装置の開放圧力が吸気圧以上にな
るように制御されるので、吸気の人工呼吸器用呼気弁装
置からの排出が防止される。このことによって、患者に
充分に吸気を供給することができる。また吸気管路また
は呼気管路に異常圧力負荷防止用の開閉弁を別途設ける
必要がなくなり、装置の構成を簡素化することが可能に
なる。
弁装置1の構成を簡略化して示す概略断面図である。
の全体構成を示す系統図である。
を説明するチャートである。
定圧力Pr1と定格流量Q1との関係を示す図である。
2と定格流量Q2との関係を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 (a)内方に弁室が形成される弁箱と、 (b)弁箱内で予め定める移動方向に延びる移動軸線方
向に往復変位可能に設けられる弁体と、 (c)弁体に連なって設けられ移動軸線に沿って延びる
弁軸と、 (d)弁孔が形成され弁体が着座および離間する弁座で
あって、弁孔には弁軸の設けられる側から呼気が導かれ
る弁座と、 (e)弁軸の弁体とは反対側に位置する端部である遊端
部に設けられる強磁性材料から成る第1接続部材と、 (f)前記移動軸線の延長線上に軸線を有し軸線付近の
中央部が弁軸に装着され外縁部が弁箱の一端部に装着さ
れるベローズであって、弁孔に対向して弁箱の一端部に
形成される開口部を封止するように設けられるベローズ
と、 (g)移動軸線の延長線上に軸線を有し弁体および弁軸
を前記移動軸線方向に往復駆動する駆動手段と、 (h)駆動手段の軸線上かつ弁軸の遊端部を臨む位置に
設けられ前記第1接続部材を磁力によって吸着する第2
接続部材とを含むことを特徴とする人工呼吸器用呼気弁
装置。 - 【請求項2】 前記駆動手段は、 フォースモータであることを特徴とする請求項1記載の
人工呼吸器用呼気弁装置。 - 【請求項3】 前記ベローズは、 前記移動軸線に垂直な平面に対する投影面積が可変に設
けられることを特徴とする請求項1または2記載の人工
呼吸器用呼気弁装置。 - 【請求項4】 前記第1および第2接続部材は、 永久磁石片であることを特徴とする請求項1〜3のいず
れかに記載の人工呼吸器用呼気弁装置。 - 【請求項5】 前記いずれか1つに記載の人工呼吸器用
呼気弁装置と、 患者に吸気を吐出逆止弁を介して供給する空気ポンプ
と、 患者の口または鼻の少なくとも一方に装着される装着部
材と、 空気ポンプの吐出逆止弁と装着部材とを接続し、患者に
空気ポンプからの吸気を導く吸気管路と、 吸気管路の途中位置から分岐し、先端部に人工呼吸器用
呼気弁装置を設け、人工呼吸器用呼気弁装置に患者の呼
気を導く呼気管路と、 吸気期間中は人工呼吸器用呼気弁装置の弁孔を閉じるよ
うに制御する制御手段とを含むことを特徴とする人工呼
吸器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001206208A JP4116269B2 (ja) | 2001-07-06 | 2001-07-06 | 人工呼吸器用呼気弁装置および人工呼吸器 |
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- 2001-07-06 JP JP2001206208A patent/JP4116269B2/ja not_active Expired - Fee Related
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