JP2003016664A - 光ヘッド装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生装置ならびに情報記録再生方法および厚みムラ検出方法 - Google Patents

光ヘッド装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生装置ならびに情報記録再生方法および厚みムラ検出方法

Info

Publication number
JP2003016664A
JP2003016664A JP2001199979A JP2001199979A JP2003016664A JP 2003016664 A JP2003016664 A JP 2003016664A JP 2001199979 A JP2001199979 A JP 2001199979A JP 2001199979 A JP2001199979 A JP 2001199979A JP 2003016664 A JP2003016664 A JP 2003016664A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
defocus
objective lens
detection system
thickness unevenness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001199979A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Ando
秀夫 安東
Sumitaka Maruyama
純孝 丸山
Katsuo Iwata
勝雄 岩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2001199979A priority Critical patent/JP2003016664A/ja
Publication of JP2003016664A publication Critical patent/JP2003016664A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Head (AREA)
  • Moving Of The Head For Recording And Reproducing By Optical Means (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】対物レンズを介して記録層に集光される光が記
録層と対物レンズとの間に位置される透明樹脂層の厚み
ムラの影響を受けない光ヘッド装置およびその光ヘッド
装置を用いた情報記録再生装置ならびに情報記録再生方
法および厚みムラ検出方法を提供する。 【解決手段】この発明の光ディスク装置1は、対物レン
ズ4の焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出系102と、記
録媒体2の対物レンズに最も近接して設けられる透明樹
脂層3aの厚みのムラを検出する厚みムラ検出系103
と、厚みムラ検出系により検出された透明樹脂層の厚み
の変化に基づいて、対物レンズに入射される光の結像特
性を変化させる厚みムラ補正機構101とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、透明な基板また
は透明な保護層と、光反射層または記録層の単層もしく
は複数層を有する情報記憶媒体に、光を透明な基板また
は透明な保護層の側から光反射層または記録層上に集光
させ、その集束光の反射光ないし透過光を利用して光反
射層または記録層上に記録された情報を再生可能で、も
しくは情報記録媒体に情報を記録可能な光ヘッド装置お
よびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生装置ならび
に情報記録再生方法および厚みムラ検出方法に係り、特
に、 1.透明な基板または透明な保護層の厚みムラに起因す
る集束光の歪みすなわち球面収差の影響、または複数層
配置された光反射層/記録層の集束光の層間移動により
生じる集束光の歪みすなわち球面収差の状況を検出する
球面収差検出方法単体の改良もしくは、光反射層/記録
層と集束光との間の位置ずれにより生じる焦点ぼけの検
出方法と前記球面収差検出方法との組み合わせ方法の改
良、および 2.焦点ぼけ補正と球面収差補正を、同時にかつ安定に
実行するための焦点ぼけ補正制御方法と球面収差補正制
御方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】特開2000−171346号公報に
は、ナイフエッジ法により焦点ぼけ検出を行う焦点ぼけ
検出系を持ち、対物レンズの焦点ぼけを検出するととも
に、単一の光検出器7を用いて、球面収差量すなわち透
明な記録媒体の基板の厚みムラを検出する例が示されて
いる。
【0003】上述した公報に検出光学系では、光軸中心
を含んで集光スポットを2分割するホログラム2によ
り、中心から半分抜き出された光を、光軸中心に近い光
2aと光軸中心から遠い光2bとに分離し、合焦時にお
ける光磁気ディスク6に対する結像位置に配置された2
分割検出器7aと7bおよび7cと7dの分割境界線上
で、分離された光軸中心に近い光2aの集光スポットと
P1と光軸中心から遠い光2bの集光スポットP2を、
それぞれ検出している。
【0004】信号検出法としては、 i)それぞれ、対を形成する2分割検出器のどちらか一
方(7aと7bあるいは7cと7d)の検出信号の差分
を検出して焦点ぼけ検出信号とする、 ii)それぞれ、対を形成する2分割検出器(7aと7b
および7cと7d)の検出信号の差分値間の差を算出
し、球面収差量を検出する、ことが示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開2000
−171346では、第5頁右欄の段落[0036]に
記載されているように、「光軸中心に近い光2a」もし
くは「光軸中心から遠い光2b」を用いて、フォーカス
誤差(焦点ぼけ)を検出している。
【0006】しかしながら、同公報の第9頁左欄の段落
[0093]に記載されているように、「集光光学系1
0の周縁部の光ビームである第2光ビーム2bは、球面
収差の影響を受け易く、焦点位置を精密に調整し難い」
と言う問題点があることが述べられている。従って、上
述した公報では、「光軸に近い側の光2a」を用いて焦
点誤差を調整することになるが、その場合、フォーカス
誤差(焦点ぼけ)検出の検出感度が大幅に低下する問題
がある。
【0007】すなわち、「光軸に近い側の光2a」を用
いてフォーカス誤差(焦点ぼけ)を検出する場合、検出
感度が低いため、正確な焦点ぼけ補正の制御が困難であ
る。還元すると、特開2000−171346に開示さ
れた方法では、高い精度で、しかも安定に焦点ぼけ(フ
ォーカス誤差)を検出することは困難である。
【0008】このことは、記録密度がDVDタイプの光
ディスクに比較して数倍である片面で2層に記録可能な
光ディスクにおいては、情報の記録および再生が困難と
する問題を引き起こす。
【0009】この発明の目的は、対物レンズを介して記
録層に集光される光が記録層と対物レンズとの間に位置
される透明樹脂層の厚みムラの影響を受けない光ヘッド
装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生装置
ならびに情報記録再生方法および厚みムラ検出方法を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、上述した問
題点に基づきなされたもので、所定の波長の光を供給す
る光源と、この光源からの光を記録媒体の記録層に集光
する対物レンズと、この対物レンズを、光軸方向および
前記記録媒体に予め形成されている案内溝または信号マ
ーク列を横切る方向に移動させる対物レンズ移動機構
と、前記対物レンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出
系と、前記記録媒体の前記対物レンズに最も近接して設
けられる透明樹脂層の厚みのムラを検出する厚みムラ検
出系と、この厚みムラ検出系により検出された前記記録
媒体の前記透明樹脂層の厚みの変化に基づいて、前記光
源から前記対物レンズに入射される光の結像特性を変化
させる厚みムラ補正機構と、を有することを特徴とする
光ヘッド装置を提供するものである。
【0011】また、この発明は、所定の波長の光を供給
する光源と、この光源からの光を記録媒体の記録層に集
光する対物レンズと、この対物レンズを、光軸方向およ
び前記記録媒体に予め形成されている案内溝または信号
マーク列を横切る方向に移動させる対物レンズ移動機構
と、前記対物レンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出
系と、前記記録媒体の前記対物レンズに最も近接して設
けられる透明樹脂層の厚みのムラを検出する厚みムラ検
出系と、この厚みムラ検出系により検出された前記記録
媒体の前記透明樹脂層の厚みの変化に基づいて、前記光
源から前記対物レンズに入射される光の結像特性を変化
させる厚みムラ補正機構と、を有することを特徴とする
光ヘッド装置を有し、前記焦点ぼけ検出系により検出さ
れた焦点ぼけ検出信号を用いて前記対物レンズの焦点ぼ
け補正制御を行うとともに、焦点ぼけ補正制御時におけ
る前記厚みムラ検出系により検出される前記厚みムラ検
出信号を用いて、前記透明樹脂層の厚みムラを検出する
ことを特徴とする光ヘッド装置を提供するものである。
【0012】さらに、この発明は、所定の波長の光を供
給する光源と、この光源からの光を記録媒体の記録層に
集光する対物レンズと、この対物レンズを、光軸方向お
よび前記記録媒体に予め形成されている案内溝または信
号マーク列を横切る方向に移動させる対物レンズ移動機
構と、前記対物レンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検
出系と、前記記録媒体の前記対物レンズに最も近接して
設けられる透明樹脂層の厚みのムラを検出する厚みムラ
検出系と、この厚みムラ検出系により検出された前記記
録媒体の前記透明樹脂層の厚みの変化に基づいて、前記
光源から前記対物レンズに入射される光の結像特性を変
化させる厚みムラ補正機構と、を有することを特徴とす
る光ヘッド装置を有し、前記焦点ぼけ検出系により検出
された焦点ぼけ検出信号を用いて、前記対物レンズの焦
点ぼけ補正制御を行うとともに、焦点ぼけ補正制御時に
おける前記厚みムラ検出系により検出される前記厚みム
ラ検出信号を用いて、前記透明樹脂層の厚みムラを検出
することを特徴とする情報記録媒体の透明樹脂層の厚み
ムラ検出方法を提供するものである。
【0013】またさらに、この発明は、所定の波長の光
を供給する光源と、この光源からの光を記録媒体の記録
層に集光する対物レンズと、この対物レンズを、光軸方
向および前記記録媒体に予め形成されている案内溝また
は信号マーク列を横切る方向に移動させる対物レンズ移
動機構と、前記対物レンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼ
け検出系と、前記記録媒体の前記対物レンズに最も近接
して設けられる透明樹脂層の厚みのムラを検出する厚み
ムラ検出系と、この厚みムラ検出系により検出された前
記記録媒体の前記透明樹脂層の厚みの変化に基づいて、
前記光源から前記対物レンズに入射される光の結像特性
を変化させる厚みムラ補正機構と、を有することを特徴
とする光ヘッド装置を有し、前記焦点ぼけ検出系により
検出された焦点ぼけ検出信号を用いて、前記対物レンズ
の焦点ぼけ補正制御を行うとともに、焦点ぼけ補正制御
時における前記厚みムラ検出系により検出される前記厚
みムラ検出信号を用いて、前記透明樹脂層の厚みムラを
検出し、前記透明樹脂層の厚みムラの影響を除去しなが
ら前記対物レンズの焦点ぼけの影響を除去し、前記記録
媒体の記録層に記録されている情報を再生し、もしくは
前記記録媒体に情報を記録する情報記録再生装置を提供
するものである。
【0014】さらにまた、この発明は、所定の波長の光
を供給する光源と、この光源からの光を記録媒体の記録
層に集光する対物レンズと、この対物レンズを、光軸方
向および前記記録媒体に予め形成されている案内溝また
は信号マーク列を横切る方向に移動させる対物レンズ移
動機構と、前記対物レンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼ
け検出系と、前記記録媒体の前記対物レンズに最も近接
して設けられる透明樹脂層の厚みのムラを検出する厚み
ムラ検出系と、この厚みムラ検出系により検出された前
記記録媒体の前記透明樹脂層の厚みの変化に基づいて、
前記光源から前記対物レンズに入射される光の結像特性
を変化させる厚みムラ補正機構と、を有することを特徴
とする光ヘッド装置を有し、前記焦点ぼけ検出系により
検出された焦点ぼけ検出信号を用いて、前記透明樹脂層
の厚みムラを検出し、前記透明樹脂層の厚みムラの影響
を除去しながら前記対物レンズの焦点ぼけの影響を除去
し、前記記録媒体の記録層に記録されている情報を再生
し、もしくは前記記録媒体に情報を記録する情報記録再
生方法を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について、詳細に説明する。
【0016】図1は、この発明の光ヘッド装置およびそ
の光ヘッド装置が組み込まれる情報記録再生装置の基本
構造を説明する概略図である。
【0017】図1に示される通り、この発明の光ヘッド
装置およびその光ヘッド装置が組み込まれる情報記録再
生装置1は、所定の波長のレーザ光を出射するレーザ素
子2、レーザ素子2から出射されたレーザ光を、情報記
録媒体、たとえば片面に2層の記録層が設けられ、高密
度記録の可能な光ディスク3の任意の記録層に集光する
対物レンズ4および光ディスク3の任意の記録層と対物
レンズ4との間の距離が対物レンズ4に固有の焦点距離
に一致するように、対物レンズ4の位置を変化させる焦
点ぼけ補正用コイル5等からなる。
【0018】レーザ素子2と対物レンズ4との間には、
光ディスク3のレーザ光が入射する側に設けられる表面
カバー層3aの厚みムラ(球面収差)の影響を補正する
厚みムラ(球面収差)補正機構101が設けられてい
る。
【0019】厚みムラ(球面収差)補正機構101は、
光ディスク3とレーザ素子2との間に設けられ、レーザ
素子2から光ディスク3に向かうレーザ光と光ディスク
3の任意の記録層で反射されたレーザ光を分離するビー
ムスプリッタ6で分離された光ディスク3の任意の記録
面で反射されたレーザ光から、対物レンズ4の位置のず
れである焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出系102が検
出する焦点ぼけ成分に含まれる光ディスク3のカバー層
3aの厚みムラ(球面収差)の成分を取り出す厚みムラ
(球面収差)検出系103により検出された厚みムラ成
分に基づいて、対物レンズ4に入射されるレーザ光の状
態を、厚みムラ(球面収差)哀異場合の状態に近づける
ものである。なお、焦点ぼけ検出系102により検出さ
れた焦点ぼけに対応して、焦点ぼけ補正回路105によ
り、対物レンズ4の位置が独立に制御される。
【0020】図1に示すように、厚みムラ検出(球面収
差検出)の原理では、焦点ぼけ補正が完全に行われた状
態(合焦時)にのみ、厚みムラ検出(球面収差検出)信
号が得られる。このことは、非常に高い精度で焦点ぼけ
を検出する必要があることを示し、その要求を満足する
ため、レーザ光のスポット断面の全てを用いて、焦点ぼ
けを検出する(但し、焦点ぼけの検出に、ナイフエッジ
法を用いる場合には、最も検出精度が高く安定する光軸
中心近傍を含む直線で分割して抜き出した半分の検出光
を用いて焦点ぼけ検出を行う)ことで、レーザ光が多量
の球面収差成分を含んでいる場合でも、非常に安定に、
しかも精度良く、焦点ぼけを検出可能にしている。
【0021】図2は、図1に示した光ヘッド装置および
その光ヘッド装置を有する情報記録再生装置(以下、光
ディスク装置と称する)の構成の一例を、より具体的に
説明する概略図である。
【0022】図2に示すように、情報記録媒体すなわち
光ディスク3の任意の記録層に情報を記録し、光ディス
ク3から情報を再生する光ディスク装置10は、光ディ
スク3の所定の情報記録層3dまたは3bに、光源であ
るレーザ装置11からのレーザ光12を照射し、光ディ
スク3の任意の情報記録層3dまたは3bで反射された
レーザ光12´を受光して、光ディスク3に記録されて
いる情報を再生する。また、光ディスク3に情報を記録
する際には、光ディスク3の任意の情報記録層に、記録
すべきデータ(情報)に基づいて、レーザ装置11に供
給されるレーザ駆動電流の大きさが変化されることによ
り発光強度(光強度)が断続的に変化されたレーザ光
が、照射される。なお、光ディスク3への情報の記録お
よび光ディスク3からの情報の再生については、後段に
詳細に説明する。また、図示しないが、光ディスク3の
情報記録層3dおよび3bには、情報が記録される際の
ガイドとなる案内溝または既に記録された情報である信
号マーク列が形成されていることはいうまでもない。
【0023】図2に示した光ディスク装置10におい
て、レーザ装置11から出射されたレーザ光12は、コ
リメートレンズ13によりコリメートされて、偏向ビー
ムスプリッタ14に入射され、光ディスク3に向けてそ
のまま通過する。偏向ビームスプリッタ14を通過した
レーザ光12は、λ/4板15、厚みムラ補正用凹レン
ズ16および厚みムラ補正用凸レンズ17を順に通過し
て、対物レンズ19に案内される。なお、厚みムラ補正
用凸レンズ17は、厚みムラ補正用凸レンズ駆動コイル
18により、光軸方向に、移動可能に形成されている。
また、対物レンズ19は、焦点ぼけ補正用コイル(フォ
ーカスコイル)20およびトラックずれ補正用コイル
(トラックコイル)21により、光軸方向および光ディ
スク3に予め形成されている図示しないトラック(案内
溝)または信号マーク列を横切る方向のそれぞれの方向
に、独立して移動可能に形成されている。
【0024】対物レンズ19に案内されたレーザ光12
は、対物レンズ19により所定の集束性が与えられ、光
ディスク3の所定の記録層に集光される。なお、光ディ
スク(情報記録媒体)3は、基板3eの一方の面に、基
板3eに近接して設けられる(基板寄り)記録層または
光反射層3d、レーザ光12の波長に透明なスペース層
3c,基板3eおよび基板寄り記録層または光反射層3
dから離れた(カバー層寄り)記録層または光反射層3
b,および透明保護層(光照射側カバー層)3aが順に
積層されたものである。
【0025】対物レンズ19により光ディスク3の任意
の記録層(または光反射層)3dと3bのいずれか一方
に集光されたレーザ光12は、情報の記録時には、記録
層の相の特性を変化させ、集光された記録層に記録マー
ク(ピット)を形成する一方で、僅かに生じた反射レー
ザ光12´が対物レンズ19に戻される。一方、情報の
再生時には、記録層の状態に応じて光強度が変化され
て、再生レーザ光(反射レーザ光)12´対物レンズ1
9に戻される。なお、再生レーザ光12´および反射レ
ーザ光12´のそれぞれは、以下に説明する信号再生系
では、実質的に同様に取り扱われるので、以降、再生レ
ーザ光12´として説明を続ける。
【0026】対物レンズ19に戻された再生レーザ光1
2は、厚みムラ補正用凸レンズ17、厚みムラ補正用凹
レンズ16およびλ/4板15を通って、偏光ビームス
プリッタ14に戻され、偏光ビームスプリッタ14によ
り、レーザ装置11から対物レンズ19(光ディスク
3)へ向かうレーザ光12と分離される。
【0027】偏光ビームスプリッタ14によりレーザ光
12から分離された再生レーザ光12´は、ハーフプリ
ズム22により、概ね1/2ずつに分離される。
【0028】分離された一方の再生レーザ光12´は、
球面レンズ23で所定の集束性が与えられた後、引き続
いて設けられるシリンドリカルレンズ24により、光軸
に直交する方向(レーザ光12´の断面)に関して、所
定の結像特性が与えられて、焦点ぼけおよびトラックず
れの検出に用いられる第1の光検出器25の受光面に結
像される。なお、第1の光検出器25は、光軸を通り互
いに直交する2直線により分割された4つの受光領域2
5a,25b,25cおよび25dを有する4分割検出
器である。また、図1においては、受光面のパターンを
説明するため、分離された再生レーザ光12´が結像さ
れた状態を平面方向とした参考図を一体に表示してい
る。
【0029】分離された残りの再生レーザ光12´は、
所定の回折パターンが形成されているホログラム素子2
6および球面収差の検出を容易とするための増感用フィ
ルタ27を順に通過され、球面レンズ28により所定の
集束性が与えられて、第2の光検出器29の受光面に結
像される。なお、第2の光検出器29は、光軸と直交す
る任意の一方向に、ホログラム素子26を通過した0次
光と±1次光とを受光可能に、3つの受光領域29a,
29bおよび29cが直列に配置された検出器である。
また、図1においては、受光面のパターンを説明するた
め、分離された再生レーザ光12´が結像された状態を
平面方向とした参考図を一体に表示している。
【0030】なお、球面レンズ23とシリンドリカルレ
ンズ24と第1の光検出器25からなる光学系部分が図
1における焦点ぼけ検出系102に対応し、ホログラム
素子26と球面収差検出用の増感フィルタ27と球面レ
ンズ28と第2の光検出器29からなる光学系部分が図
1に示した厚みムラ(球面収差)検出系103に対応し
ている。
【0031】また、厚みムラ補正用凹レンズ16と厚み
ムラ補正用凸レンズ17と厚みムラ補正凸レンズ駆動コ
イル18からなる光学系部分が図1の厚みムラ(球面収
差)補正機構101に対応し、厚みムラ補正凸レンズ駆
動コイル18に、図1で説明した球面収差補正回路10
4から、所定の大きさおよび極性の電流が供給されるこ
とで、厚みムラ補正用凸レンズ17が移動されて厚みム
ラ補正用凸レンズ17と厚みムラ補正用凹レンズ16と
の間の距離が変化され、球面収差(光ディスク3のカバ
ー層3aの厚みムラ)の影響を補正することができる。
【0032】第1の光検出器(焦点ぼけおよびトラック
ずれ検出用)25に結像された再生レーザ光12´は、
4つの受光領域25a,25b,25cおよび25dの
それぞれにより、照射されたレーザ光12´の光強度に
対応した電気信号(電流)に変換され、それぞれの受光
領域に接続されているプリアンプ41(25a対応)、
42(25b対応)、43(25c対応)および44
(25d対応)により、電圧値に変換される。
【0033】各プリアンプ41ないし44の出力は、プ
リアンプ41の出力と43の出力とを加算する加算器7
1、プリアンプ42の出力と44の出力とを加算する加
算器72、プリアンプ42の出力と43の出力とを加算
する加算器73、プリアンプ41の出力と44の出力と
を加算する加算器74のそれぞれに入力される。
【0034】加算器71の出力と加算器72の出力は、
対物レンズ19の焦点ぼけの補正に利用される焦点ぼけ
補正用コイル20に供給されるべき焦点ぼけ制御信号を
生成するために減算器81で減算され、ゲイン・帯域設
定回路82で、所定のレベルに増幅(希に減衰)された
のち所定の帯域が設定され、位相補償回路83で位相が
補償されたのちスイッチ84により、所定のタイミング
で、加算器85に出力される。
【0035】加算器85に供給された(ゲインと帯域が
設定され、位相補償された)信号は、基準電圧発生部8
6から供給される基準電圧と加算され、増幅器87によ
り所定の大きさに増幅されて、スイッチ84により設定
されるタイミングで、フォーカスコイル20に供給され
る。
【0036】加算器73の出力と加算器74の出力は、
対物レンズ19のトラックずれ補正のために、トラック
すれ補正用コイル21に供給されるべきトラックずれ制
御信号を生成するために、減算器75で減算され、ゲイ
ン・帯域設定回路76で、所定のレベルに増幅(希に減
衰)されたのち所定の帯域が設定され、位相補償回路7
7で位相が補償されたのち、増幅器78により、所定の
大きさに増幅されて、トラックコイル21に供給され
る。
【0037】なお、加算器73の出力と加算器74の出
力は、再生信号を得るために、さらに加算器91で加算
され、再生信号処理回路92に供給される。
【0038】第2の光検出器(球面収差(カバー層の厚
みムラ)検出用)29に結像された再生レーザ光12´
は、0次光を受光する受光領域29aおよび±1次光を
受光する29b,29cのそれぞれにより、照射された
レーザ光12´の光強度に対応した電気信号(電流)に
変換され、それぞれの受光領域に接続されているプリア
ンプ31(29b対応)、32(29a対応)および3
3(29c対応)により、電圧値に変換される。
【0039】プリアンプ31の出力とプリアンプ33の
出力は、それぞれ減算器50と加算する加算器51に供
給され、±0次光により得られた電圧信号の差信号と和
信号とが生成される。
【0040】減算器50により得られた差信号は、ゲイ
ン・帯域設定回路52により所定のゲインに増幅(希に
減衰)されたのち所定の帯域が設定され、位相補償回路
53で位相が補償されたのちスイッチ54により、所定
のタイミングで、加算器55に出力される。
【0041】加算器55に供給された(ゲインと帯域が
設定され、位相補償された)差信号は、基準電圧発生部
56から供給される基準電圧と加算され、増幅器57に
より所定の大きさに増幅されて、スイッチ54により設
定されるタイミングで、厚みムラ補正用凸レンズ駆動コ
イル18に供給される。
【0042】加算器51により得られた和信号は、和信
号が±1次光に基づく強度を有することにより、和信号
と比較可能とするためにプリアンプ32からの出力が減
衰器58で所定のレベルに減衰された0次光が光電変換
された信号と、比較器59で比較される。この比較器5
9の出力は、記録層間異常飛び検出信号(後述)60と
して利用される。
【0043】次に、図3を用いて、光ディスク(情報記
録媒体)3の(カバー層寄り)記録層3bにレーザ光1
2が集光している状態で、透明保護層3aの厚みが変化
した時に生じる現象について説明する。
【0044】対物レンズ19は、透明保護層(カバー
層)3aの厚みが理想の厚みの時に、最も集光(最小錯
乱円がカバー層の深度に一致)するように設計されてい
る。
【0045】透明保護層3aの厚みが理想時より薄くな
ると球面収差が発生し、図3に示すように、対物レンズ
19の外側を通過するレーザ光12は、内側を通過する
レーザ光12よりも光軸方向の手前側に集光する。従っ
て、最小錯乱円の位置(光軸方向でレーザ光12のスポ
ット断面における光強度(中心強度)が最も大きくなる
位置)は、球面収差がない時に比較してδだけ手前に移
動する。逆に、透明保護層3aの厚みが理想時より厚く
なると、最小錯乱円の位置は、図3とは逆の方向(光軸
方向の奥側)に移動する。
【0046】なお、透明保護層3aの厚みが変化する時
だけでなく、対物レンズ19の(基板寄り)記録層3d
と(カバー層寄り)層3bとの層間(3d−3b間)の
移動時に、例えば(カバー層寄り)記録層3bに集光し
ている状態で球面収差が0になるように対物レンズ19
の位置を補正した後、レーザ光12のスポットを(基板
寄り)記録層3dに移動させた時も、同様な現象が起き
る。
【0047】透明保護層3aの厚みの変化量が理想時に
対して比較的小さい場合には、理想時からの厚みの変化
量と図3に示した移動距離δは、近似的に比例関係と見
なすことができる。
【0048】本発明は、上述の最小錯乱円の移動距離δ
とその方向を検出して、透明保護層3aの厚みの変化に
伴って発生する球面収差量もしくはレーザ光12のスポ
ット断面(集光スポット)が記録層3b,3d間を移動
された際に生じる球面収差量を、高速に検出するもので
ある。
【0049】すなわち、本発明は、球面収差が発生した
時に生じる光軸方向での最小錯乱円位置(中心強度が最
大となる位置)のずれを利用して、球面収差量と球面収
差の方向を検出することを特徴とする。なお、特開20
00−171346等に示される従来技術においては、
従来の問題点の欄で前にで説明したように、検出光の一
部のみを用いて焦点ぼけ検出を行うために、焦点ぼけ検
出精度が低下し、焦点ぼけ検出が不安定になる。
【0050】図2に示した通り、本発明では、再生レー
ザ光12´の全てを第1の光検出器25で受光し、再生
レーザ光12´の全てを焦点ぼけ検出に利用するので、
再生レーザ光12´に球面収差成分が多量に含まれたと
しても、安定かつ精度良く、焦点ぼけを検出できる。
【0051】また、図2に示したように、ホログラム素
子26を用い、再生レーザ光12´の光軸に沿った方向
の回折光が集光される位置を、所定量シフトしたので、
球面レンズ28を通過して所定の集束性が与えられた再
生レーザ光12´は、ホログラム素子26の働きによ
り、+1次の回折光は、第2の光検出器29の受光面の
後方に、−1次の回折光は、第2の光検出器29の受光
面の前方に、それぞれ、集光される。換言すると、第2
の光検出器29は、ホログラム素子26を通った0次光
が集光される位置であって、ホログラム素子26により
生成された±1次光が光軸に沿った方向で集光される際
に、再生レーザ光12´が集光される位置から見て対照
的となる位置に、配置されている。これにより、第2の
光検出器29に結像された再生レーザ光12´の0次光
がサイズの小さな集光スポット12aとして、+1次光
および−1次光が0次光によるスポット12aよりもサ
イズの大きなスポット12b,12cとして、それぞれ
第2の光検出器29の受光面の所定の位置に結像され
る。
【0052】図2に示すように、第2の光検出器29内
の光検出セル29a,29bおよび29cにより、それ
ぞれの光検出セルに照射された0次光スポット12a,
±1次光スポット12b,12cの光量が検出される。
また、±1次光スポット12b,12cを検出するため
の光検出セル29bおよび29cは、それぞれ、光スポ
ット12b,12cの中心部のみを検出可能で、それぞ
れの光スポット12b,12cの中心の光強度を検出す
るものである。なお、情報記憶媒体3のトラック方向
(円周方向)が第2の光検出器29に投影される方向
は、図2における紙面の上下方向であり、光検出セル2
9b,29cの長手方向をトラック方向と直交させるこ
とにより、情報記憶媒体上3の図示しないプリグルーブ
で反射された光に含まれる回折パターンの影響を受けに
くくしている。
【0053】より詳細には、球面収差を検出する具体的
な方法として、レーザ光12の光軸に沿った方向での異
なる2ヶ所(以下に説明する図4のA点とB点)におい
て、ホログラム素子26を用いて2つに分離したレーザ
光12の一部である2つの光スポット(±1次光スポッ
ト)12b,12cのそれぞれの中心強度、または光ス
ポット12bおよび光スポット12cのそれぞれの輝度
分布の状態、または光スポット12bと12cのそれぞ
れのスポットサイズの少なくとも1つを比較することを
特徴とする。すなわち、±1次光スポット12bと12
cの中心強度、輝度分布あるいはスポットサイズのいず
れかを比較することにより、透明保護層(カバー層)3
aの厚みムラに起因する球面収差の大きさ(量)と球面
収差方向を検出している。
【0054】図4は、検出光学系の光軸に沿った方向に
おいて、球面レンズ28による集束位置すなわち最小錯
乱円の移動が生じた際の最小錯乱円の移動位置と対応す
る各位置でのレーザ光12の光スポットの光強度の変化
を説明する概略図である。
【0055】図4において、「0」の位置が球面収差が
ない状態の0次光に対する第2の光検出器29の0次光
検出セル29aの位置を、「A」の位置が+1次光に対
する光検出セル29bの位置を、「B」が−1次光に対
する光検出セル29cの位置を、それぞれ、示してい
る。
【0056】図4から明らかなように、球面収差がない
状態すなわち曲線αでは、「A」の位置と「B」の位置
のそれぞれで、±1次光の中心強度が一致するが、曲線
βに示すように、わずかに球面収差が発生した場合に
は、「B」の位置での中心強度が「A」の位置の中心強
度よりも大きくなる。この中心強度の差が減算器50に
より求められる。
【0057】なお、球面レンズ28の焦点が、例えばカ
バー層寄りの記録層3bに合わせられている状態で、例
えば外乱等の影響により、レーザ光12のスポットが記
録層3dへずれるような大きな変化が生じる(記録層間
の異常飛びが発生する)と、曲線γに示すように、球面
収差の大きさが大幅に増大されるので、「A」の位置お
よび「B」の位置の双方で、検出光量が大幅に低下す
る。
【0058】すなわち、記録層間の異常飛びが発生した
場合には、第2の光検出器29の光検出セル29b,2
9cで検出される光量の合計が大幅に低下するので、図
2に示した加算器51の出力信号が大きく低下する。一
方、光検出セル29aに照射されるレーザ光12aの光
量低下は、記録層間の異常飛びが発生したとしても、わ
ずかであるため、減衰器58の出力信号は、それほど変
化しない。そのため、両者の差異を、比較器59により
検出することで、記録層3d−3b間異常飛び検出信号
60を得ることができる。
【0059】次に、ホログラム素子26を用いて生成さ
せる±1次光の光軸に沿った方向での移動量(図4にお
ける距離A0と距離B0)の最適な範囲について説明す
る。
【0060】始めに、図5を用いて、検出特性を検討す
る場合の検討モデルについて説明する。
【0061】図2において、レーザ装置11から出射し
たレーザ光12は、図5の左側に示すように、コリメー
トレンズ13と対物レンズ19を通過して、光ディスク
3のカバー層寄り記録層3bあるいは基板寄り記録層3
d上に集光される。一方、光ディスクのカバー層寄り記
録層3bまたは基板寄り記録層3dで反射された再生レ
ーザ光12´は、図5の右側に示すように、対物レンズ
19および球面レンズ28を順に通過して所定の結像特
性が与えられて、第2の光検出器29上に照射される。
【0062】検出系の横倍率をMとすると、記録層に向
かうレーザ光12に作用する対物レンズ19と反射され
たレーザ光12´に作用する球面レンズ28との間でレ
ーザ光の光路が平行光状態である場合には、横倍率M
は、球面レンズ28の焦点距離と対物レンズ19の焦点
距離の比率で与えられる。また、同じ光学系で、縦倍率
は、Mで与えられる。
【0063】図3を用いて前に説明したように、透明保
護層3aに厚みムラδtが発生すると、光ディスク3の
記録層3bまたは3d上に対物レンズ19により集束さ
れるレーザ光12の最小錯乱円の位置は、δだけずれ
る。しかし、記録層3bまたは3dで反射された後に対
物レンズ19に戻される検出用レーザ光12は、もう一
度透明保護層3aの厚みムラδtの影響を受ける。従っ
て、第2の光検出器29に結像されるレーザ光12´の
最小錯乱円の位置ずれ量ζは、対物レンズ19と光ディ
スク3との間の往復分の2倍に縦倍率を掛けた値とし
て、 ζ=4Mδ (1) で示される。
【0064】対物レンズ19の開口数をNA、透明保護
層3aの屈折率をn、焦点ぼけ量をδzとすると、焦点
ぼけ量δzと透明保護層3aの厚みムラ発生時のデフォ
ーカス係数ω20および球面収差係数ω40は、(2)
式および(3)に示すように、
【数1】 および
【数2】 で与えられる。
【0065】ここで、(2)式のδzの値を(1)のδ
に代入すると、 ζ=8ω20(M/NA) (4) が得られる。
【0066】また、レーザ光12の波長をλとしたと
き、焦点ぼけ量δzに対応した球面収差係数ω20の値
に対するレーザ光12のスポット中心強度の変化は、H.
Andoet. al. : Jpn J. Appl. Phys. Vol. 32 (1993) P
t. 1, No. 11B p. 5272に記載されている(10)式
(ここでは、識別のため(M10)式と表記する)で、
η=0と置いたときの式、
【数3】 k=2π/λ (6) で表される。
【0067】ここで、σは、σは、図5の左側である送
光系で、対物レンズ19に入射するレーザ光12の断面
強度分布をガウス分布と仮定した時に、中心に対してe
−2となる場所でのレーザ光12のスポット直径の値と
対物レンズ19の直径との比率(A/W値:Aは開口の
大きさ、Wはスポット径を表す)を意味している。
【0068】図6は、(5)式の計算結果を示すグラフ
である。
【0069】図6から明らかなように、焦点ぼけ量(デ
フォーカス量)δzに対応した収差係数ω20に対する
中心強度の変化が激しい領域は、中心強度が0.2から
0.8の範囲となる。
【0070】中心強度が0.2になる焦点ぼけ量δzに
対応したデフォーカス係数(収差係数)ω20は、σ=
0の時に、0.64λ、σ=0.8の時に、0.65と
なる。一方、中心強度が0.8になる焦点ぼけ量δzに
対応したデフォーカス(収差)係数ω20は、σ=0の
時およびσ=0.8の時のいずれも0.26λとなる。
【0071】従って、(4)式を利用すると、対物レン
ズ19によるレーザ光12の集光点から第2の光検出器
29までの距離(図4におけるAOの距離とBOの距
離)の最適な範囲は、 ζ ≦ 5.2λ(M/NA) (7) および ζ ≧ 2.1λ(M/NA) (8) で与えられる。
【0072】上述した通り、本発明の透明保護層3aの
厚みムラ検出(球面収差の検出)の原理は、透明保護層
3aの厚みムラを検出するための検出光学系とは別に、
焦点ぼけ検出光学系(図1で、球面レンズ23とシリン
ドリカルレンズ24と第1の光検出器25で構成される
部分)を用意し、焦点ぼけ補正制御が実施された状態
(合焦時)の厚みムラ検出系(球面収差の検出系)の検
出信号を利用して、厚みムラ(球面収差)に起因する出
力を補正することを特徴としている。
【0073】次に、図2に示した球面収差の検出のため
の増感用フィルタの構造と増感原理について説明する。
【0074】球面収差検出の増感用フィルタ27は、再
生レーザ光12´の断面を少なくとも2つに分割〔光の
光路断面で領域分割することを“波面分割”と一般に呼
んでいる〕し、波面分割した光の一部に対して、 i)透過光量、または ii)位相特性 のいずれか一方あるいは両方を変化させて、球面収差を
検出する際の実際の感度を増感するものである。このよ
うに、増感用フィルタ27を用いることで、球面収差検
出特性を増感させることは、今まで説明した本発明の考
案内容とは別の独立した発明内容(本発明の独自の特
徴)を意味している。
【0075】以下、増感の原理について、詳細に説明す
る。
【0076】図3を用いて前に説明した通り、球面収差
が発生すると、対物レンズ19に戻された再生レーザ光
12´の断面スポットは、光軸中心(光軸を含む所定半
径の領域)の成分よりも外側を通過する成分が、内側す
なわち光軸を含む領域を通過する成分よりも、手前側に
集光する(図7(a)に、図7(b)との比較を容易と
するためにもう一度表示している)。この現象を利用し
て、図7(b)に示すように、対物レンズ19に入射す
る再生レーザ光12´の断面スポットのうちの光軸中心
から半径rまでを遮光すると、最小錯乱円の位置が、δ
からεまで移動する。
【0077】本発明は、最小錯乱円の位置が図7(a)
および図7(b)から理解される通り、δからεまで移
動(増加)する量を利用して、球面収差を検出する際の
検出特性を増感するものである。
【0078】最も球面収差検出が増加するrの条件を、
特性解析により検討するため、前に説明した図5との比
較が容易な図8を計算モデルに用いる。
【0079】例えば、図2に示した光ディスク装置10
において、図5に示すように、透明保護層3aの厚みが
δtだけ変化することで、レーザ光12が対物レンズ1
9と記録層3dとの間を往復されることで、2δtに相
当する球面収差が発生する。
【0080】その後、検出光学系の球面レンズ28に入
射する手前で球面収差検出の増感用フィルタ27を通過
し、レーザ光12の特性が一部変化される。
【0081】この球面収差が発生する場所とレーザ光1
2の特性が変化される部分を、図8に示すように、レー
ザ光12が対物レンズ19に入射する直前部分に集中さ
せ、球面収差がありしかも増感フィルタとして機能する
「疑似球面収差発生+増感用フィルタ機能付加素子12
7」を考える。
【0082】図8において、レーザ光12が「疑似球面
収差発生+増感用フィルタ機能付加素子127」を通過
した以降は、透明保護層3aの厚みは、理想状態を維持
するとし、光ディスク3内の集光スポット特性を、横倍
率Mの検出光学系で拡大すると、図5に示した第2の光
検出器29の検出特性と、解析用の計算モデルである図
8の第2の光検出器129での検出特性は、一致する。
なお、図8に示すモデルの拡大特性(倍率)は、(1)
式により、容易に換算できる。
【0083】図7では、対物レンズ19へ入射するレー
ザ光に対して、光軸中心から半径rの位置まで遮光した
増感用フィルタの例を示したが、図8では、「疑似球面
収差発生+増感用フィルタ機能付加素子127」の増感
部の特性として、対物レンズ19への入射するレーザ光
に対して、半径bと半径aの円周を境界領域として、同
心円状に3領域に波面分割し、半径bと半径aに囲まれ
たリング領域部分のみに対して透過光量の減衰と位相変
化を与えた場合の中心強度が最大となる場所の位置εの
変化を解析する。
【0084】半径bと半径aに囲まれたリング領域部分
のみに対して透過光量の減衰と位相変化を与える光学素
子を光学の特定分野でアポタイザと呼んでいるので、図
8に示した「疑似球面収差発生+増感用フィルタ機能付
加素子127」における球面収差検出の増感用フィルタ
として機能する部分を、以降「アポタイザ」と呼んで説
明する。
【0085】また、以下の計算において引用される(A
−1)式から(A−15)式は、H. Ando : Jpn. J. App
l. Phys. Vol. 38 (1999) Pt.1 No. 2A p. 764のAppend
ix Aに記載されている各式を引用した式であるから、後
段に開示するのみとし、導出のための詳細な説明は、省
略する。
【0086】対物レンズ19の瞳面上の座標を(X,
Y)とし、光ディスク3上の集光面での座標を(x,
y)と定義する。集光スポットの複素振幅分布G(x,
y)は、対物レンズ19の瞳面の瞳関数g(X,Y)に
対するフーリエ変換の関係にあるので、Pを、対物レ
ンズ19の瞳面上でのフーリエ積分の範囲を示し、αを
規格化定数とし、fを対物レンズ19の焦点距離、NA
を対物レンズ19の開口数とすると、レーザ光12の波
長がλで示されるとき、 G(x,y) = αF{g(X,Y)}P0 (2−1) と記述できる。 対物レンズ19へ入射するレーザ光の
強度分布をガウス分布として近似し、X軸方向のA/W
値を、σx(=(A/W))、Y軸方向におけるA/
W値を、σy(=(A/W))とし、対物レンズ19
のレンズシフトによる中心強度のずれ量をXとする
と、
【数4】 で表すことができる。但し、(2−2)式では、X
を、X ≒0と近似できる程度に十分小さいと見な
している。
【0087】上述した直交座標系表示を、 r=(X+Y1/2/(fNA) (2−3) φ=tan−1(Y/X) (2−4) ρ=NA(X+Y1/2/λ (2−5) φ=tan−1(y/x) (2−6) を用いて極座標系に変換すると、
【数5】 および、
【数6】 となる。
【0088】ここで、
【数7】 を用いると、(2−2)式は、
【数8】 と変形される。
【0089】上述した条件に、さらに波面収差ω(r,
φ)が生じた時の対物レンズ19の瞳面の瞳関数は、
(2−10)式に対して、
【数9】 k = 2π/λ (2−12) と定式化される。
【0090】なお、光ディスク光学系では、波面収差ω
(r,φ)を多項式展開して、4次以下の項までを考え
るとき、球面収差ωsを、 デフォーカスωdを、 ωd(r,φ)=ω20 (2−14) として、検討の対象とすることが好ましい。
【0091】上述した(2−13)式において、Qは、移
動定理において、中心強度が最大になる最適値を意味し
ている。また、同(2−13)式において、Rは、位相項
であり、中心強度に影響は及ぼさないが集光スポットの
複素振幅分布における実部と虚部との配合比に影響を与
える。
【0092】極座標系におけるフーリエ変換は、ヘンケ
ルの変換式が適用され、(2−1)式に対して、 と表記される。
【0093】(2−11)式を、
【数10】 と変形し、(2−16)式を(2−15)式に代入すると共
に集光スポット振幅分布Gt(ρ,φ)を、 Go(ρ,φ):従来光学系の無収差時の集光スポット
振幅分布、および Gw(ρ,φ):従来光学系の集光スポット振幅分布に
及ぼす収差項、とし、 Gt(ρ,φ) =Go(ρ,φ)+Gw(ρ,φ) (2−17) と表現すると、
【数11】 および、
【数12】 となる。
【0094】また、(2−19)式のe
−ikω(r,φ)に対して、オイラーの公式
【数13】 を適用すると、(2−19)式は、
【数14】 と変形される。
【0095】なお、σ,σ,ΔOLのそれぞれの値が
1より小さな値(1>σ,1>σ,1>ΔOL)を取
る時には、(2−18)式および(2−19)式に対して、
【数15】 の近似式を適用し、さらに、σとΔOLの値が1より
も充分小さくなる時(1>σ,1>ΔOL)は、
【数16】 と見なして計算を行う。
【0096】また、波面収差ω(r,φ)の値が1より
充分小さい時(1>kω)は、(2−19)式に対し、
【数17】 を適用して近似する。
【0097】アポタイザのリング領域の内周半径値をb
(図7(b)の「r」に対応)、外周半径値をa(図7
(a)の「1」に対応)とし、リング領域内の複素透過
振幅値をTで表すとき、Tの値の設定条件を変えること
で、任意の形状(タイプ)のアポタイザを得ることがで
きる。
【0098】すなわち、 (A):Tが、T=0であれば、“完全遮光形のアポタ
イザ”が、 (B):Tが、T=−1であれば、λ/2だけ位相がシ
フトした“位相形アポタイザ”が、 (C):Tが、1 > T > 0であれば、透過光量
を低下させる“光量減衰形アポタイザ”が、 (D):Tが、T=teiθであれば、“一般的な位相
シフトと光量減衰を同時に発生させるアポタイザ”が、
それぞれ、定義される。
【0099】アポタイザのリング領域を通過した光が形
成する光ディスク記録面上での集光スポットの複素振幅
分布Ganl(ρ,φ)は、(2−18)式と同様にヘン
ケル変換により求まるが、対物レンズ19の瞳面上での
積分範囲がリング領域Pan 内に限られる。
【0100】すなわち、
【数18】 で定義される。
【0101】さらに、バビネットの定理に従えば、リン
グ状のアポタイザを通過した光による集光スポットの複
素振幅分布Gt(ρ,φ)は、(2−18)式と(3−
1)式から、 により示される。
【0102】また、収差が発生した場合には、(2−1
7)に対応する式は、Go(ρ,φ)を、従来の光学系
の無収差時の集光スポットの振幅分布、およびGanl
(ρ,φ)を、アポタイザのリング領域を通過した光が
無収差時に形成する集光スポット振幅分布とするとき、 で表すことができる。
【0103】集光スポット特性に大きな影響を及ぼす重
要なパラメーターとしてピーク効率ηを、
【数19】 と定義すると、(3−4)式は、アポタイザの有無にお
ける集光スポットの中心強度比を意味する。
【0104】また、他の重要なパラメータとして、リン
グ領域の中央部分の半径cを、
【数20】 で定義する。
【0105】なお、無収差時の集光スポット中心強度を
「1」に規格化する。
【0106】すなわち、 と設定する。
【0107】(3−6)式を(3−4)式に代入する
と、
【数21】 が得られる。
【0108】(2−18)式において、σとΔOLの値
が1より充分に小さい場合(1>σ ,ΔOL)には、
(A−1)式と(A−13)式より、
【数22】 が得られるので、(3−7)式と(3−8)式から規格
化定数αが、
【数23】 により求められる。
【0109】また、別の条件として、σ,σ,ΔOL
の全てが比較的小さな値を取る場合には、(A−5)
式、(A−7)式、(A−8)式および(A−13)式か
ら、
【数24】 と近似される。
【0110】従って、(3−9)式は、
【数25】 と変形される。
【0111】(3−11)式を(2−18)式に代入する
と、(A−13)式から、
【数26】 が導き出される。
【0112】この(3−12)式は、Mmν(ρ)は、
(A−5)式で定義されるベッセル関数を含む積分定義
式を意味する。
【0113】さらに、(3−1)式に(2−22)式と
(3−11)式および(A−14)式を適用すると、
【数27】 が得られる。
【0114】(3−13)式において、一般的な位相シフ
トと光量減衰とを同時に発生させるアポタイザを使用し
た場合には、Tは、複素数(T=teiθ)を取る。
【0115】ここで、 を定義し、複素数Tに対して(2−20)式と同様に、オ
イラーの公式を適用すると、(3−13)式は、
【数28】 と変形される。
【0116】特に、ρ=0の位置(集光スポット中心振
幅位置)では、(3−7)式、(3−15)式および(A
−1)式から、
【数29】 となるので、(3−16)式を(3−6)式に代入する
と、ηに関する関係式、
【数30】 が得られる。
【0117】特別な場合として、Tが実数である場合に
は、(3−6)式と(3−16)式から、
【数31】 が導かれる。
【0118】この(3−18)式を(3−13)式に代入す
ると、近似式
【数32】 が得られる。
【0119】なお、(3−12)式と(3−19)式は、σ
とΔOLが1より十分に小さい(1≫σ,1≫Δ
OL)ときは、
【数33】 および、
【数34】 と変形できる。
【0120】球面収差とデフォーカスが同時に発生した
場合の波面収差は、(2−13)式と(2−14)式から、 となる。
【0121】ここで、 とすると、(10−1)式は、 ωs(r,φ) =ω40+ω20+ω00 (10−3) と変形できる。
【0122】(2−10)式において、σとΔOLがと
もに1より充分に小さな値(1>σ ,1>ΔOL)を
取る場合、(3−9)式と(10−3)式を(2−11)式
に代入し、(A−13)式を用いることで、
【数35】
【数36】 および
【数37】 が得られる。
【0123】また、位相シフトと光量減衰を同時に発生
させるアポタイザを使用した場合には、(2−19)式な
いし(2−21)式、(3−1)式、(3−9)式、(10−
3)式および(A−14)式を用いて、
【数38】
【数39】 および、
【数40】 を得ることができる。
【0124】本発明の説明では、(2−13)式に示した
「Q」の値を、ω40とσが比較的小さな値を取る条件
の下で算出する。また、ここでは、(2−16)式に示し
た瞳関数おいて、σ≒0、ΔOL≒0と見なす。
【0125】さらに、以下に詳細に説明するが、位相項
Rは、中心強度に影響を及ぼさないので、ここでは、R
=0.0と置く。
【0126】(10−4)式ないし(10−9)式に、(2
−23)式、(2−24)式および(3−11)式のそれぞれ
を近似した式に(3−14)式を適用すると、(10−5)
式、(10−6)式、(10−8)および(10−9)式は、
【数41】
【数42】
【数43】 および
【数44】 と近似される。
【0127】ここで、
【数45】
【数46】 と置くことで、
【数47】 と変形して得られた(10−16)式に、(3−14)式、
(3−16)式、(10−4)式、(10−7)式、(10−1
0)式ないし(10−13)式のそれぞれを代入し、(3−1
7)式を適用すると、
【数48】
【数49】
【数50】 および
【数51】 が得られる。
【0128】一方、(10−17)式から、「SA >
0」の条件下で|Gt(0,φ)|が最大値を取ると
きのω20の値は、一意的に求まり、
【数52】 となる。
【0129】特に、kω40=0のときは、(10−21)
式は、 kω20=−S/2S (10−22) となる。
【0130】アポタイザのリング領域を通過した光に、
角度θの位相差が生じた場合には、(10−22)式で求ま
る焦点位置をずらした場所ω20で、集光スポットの中
心強度が最大となる。この現象に対する詳細な考察は、
後段に説明する。
【0131】アポタイザの形態として、Tが実数(遮光
形または光量減衰形もしくは位相をλ/2だけシフトさ
せる位相形アポタイザ)である場合には、sinθ≒0と
なるので、(3−18)式、(10−2)式、(10−18)
式、(10−19)式および(10−21)式の関係を利用する
と、(2−13)式のQの値は、
【数53】 および
【数54】 で表すことができる。
【0132】(10−23)式ないし(10−25)式から、球
面収差が発生している時の中心強度が最大になるデフォ
ーカス位置を示すQの値は、球面収差量に依存しないこ
とが分かる。
【0133】(10−23)式ないし(10−25)式から計算
したcとσが変化した時のQの値の変化を図9に示す。
【0134】図9からも明らかなように、Qの値は、実
質的に「1」もしくはその近傍の値をとなる。
【0135】図9から分かるように、アポタイザ使用時
には、σ=0.7の条件下では、c > 0.67と0.
44 > cの位置で、従来光学系(η=100%)と
比べてQの値が大きくなり、0.67 > c > 0.
44では、わずかに小さくなる。
【0136】また、この傾向は、ピーク効率ηが小さく
なるに従って、顕著に現れてくる。なお、σ=0.0の
条件下では、c > 0.70と0.45 > cの範囲
で、従来光学系(η=100%)と比べてQの値が大き
くなり、0.70 > c > 0.45では、わずかに
小さくなる。
【0137】従って、どのような条件下でも、 c ≦ 0.44 (9) の位置では、Qの値が大きくなり、 0.45 ≦ c ≦ 0.67 (10) の位置で、Qの値が小さくなる。
【0138】ω40は、球面収差量に対応し、(2)式
が示すように、ω20は、球面収差発生時の情報記憶媒
体3内での中心強度最大位置のずれ量δzを示してい
る。
【0139】従って、Qの値が従来(η=1の時)と比
べて大きくなっている条件下で球面収差検出感度が増加
し、増感用フィルタの効果が現れることを示している。
【0140】なお、(3−5)式に示すように、cは、
リング領域の中央部の半径であり、b=0の場合もある
ので、図7(b)に示したような所定の半径(r)の開
口を有する球面収差検出の増感用フィルタ127の増感
用特性を発揮するための必要条件は、 r≦0.44×2=0.88 r≦0.88 (11) となる。
【0141】以上をまとめると、図2に示した光ディス
ク装置10において、球面収差を検出する際に用いる増
感用フィルタ27の具体的な形状は、再生レーザ光12
´のスポット断面半径を「1」とした時に、上記(11)
式を満たす範囲内でレーザ光12´の光量を減衰でき
る、レーザ光12´の位相特性を変化できる、もしくは
レーザ光12´の光量を減衰するとともに位相特性を変
化させることのできる形状である。
【0142】球面収差検出の増感用フィルタ27は、全
体がガラスまたは透明プラスチックの所定の厚さの透明
な板で形成され、レーザ光12´の光量を変化させる方
法として、NDフィルタと呼ばれるゼラチンまたは金属
あるいは無機材料からなる透過光量減衰膜が、部分的す
なわち(11)式を満たす範囲に、形成されたものであ
る。
【0143】なお、位相特性を変化する方法としては、
等の透明無機膜を、上記透明な板上の(11)式
を満足する範囲に形成して、局所的な凹凸を形成するこ
とが一般的である。この方法によれば、球面収差検出の
増感用フィルタ27の厚みを局所的に変化させ、透過す
るレーザ光12´のスポット断面内で、部分的に位相の
変化をひき起こすことで、レーザ光12´に対する感度
を高めたと同じ結果が得られる。
【0144】ところで、図2に示した光ディスク装置
(図1に示した光ヘッドおよびその光ヘッドを有する情
報記録再生装置)の特徴は、高精度で、信頼性の高い焦
点ぼけ検出系102(図1)を用いて焦点ぼけ補正回路
105(図1)を動作させて、光ディスク3のカバー層
3aの厚みのムラに起因して球面収差が発生した場合で
あっても、安定に、焦点ぼけ補正を実行させて、常に合
焦状況を確保した状態で波面収差検出系104(図1)
により、光ディスク3のカバー層(透明保護層)3aの
厚みムラ、もしくは基板寄り記録層3dまたはカバー層
寄り記録層3bのいづれか一方にレーザ光を集光させる
時に生じる球面収差の状態を検出して球面収差補正機構
101(図1)を駆動させて、厚みムラ(球面収差)の
補正を行うことである。
【0145】しかし、例えば図2を例に説明すると、球
面収差を補正する目的で、厚みムラ補正用凸レンズ17
を移動させると、送光系のレーザ光12は、厚みムラ補
正用凸レンズ17を通過して対物レンズ19に入る直前
の状態では、厚みムラ補正用凸レンズ17を移動させる
前には平行光だった状態に対して、発散光または収束光
に変化する。一方、対物レンズ19によりレーザ光12
に与えられる集束性は一定であるから、結果として、光
ディスク3に集光されるレーザ光12の集束位置が変化
することになる。
【0146】なお、図2に示した光ディスク装置10に
おいて、焦点ぼけ検出・補正制御回路系111では、光
ディスク3の記録層3dまたは記録層3bに、上記集光
位置が一致するように制御が働くので、厚みムラ検出・
補正制御回路系114が動作されて球面収差補正が行わ
れると同時に焦点ぼけ検出・補正制御回路系111に影
響が生じる。このように、厚みムラ検出・補正制御回路
系114と焦点ぼけ検出・補正制御回路系111との間
で互いに干渉(クロストーク)が生じるため、「焦点ぼ
け補正制御」と「厚みムラ補正制御」の双方が、非常に
不安定になる。
【0147】この問題を低減させるために、本発明で
は、焦点ぼけ補正制御と厚みムラ補正制御の応答速度を
変化させて、両者間の干渉(クロストーク)を低減して
いる。
【0148】図10は、焦点ぼけ補正制御回路と厚みム
ラ補正制御回路のそれぞれの周波数特性(伝達関数)を
比較するグラフである。
【0149】図10に示されるように、本発明では、焦
点ぼけ補正制御回路と厚みムラ補正制御回路のそれぞれ
の周波数特性(伝達関数)のDCレベルのサーボゲイン
を、焦点ぼけ補正制御回路のDCゲインGofが、厚みム
ラ補正制御回路のDCゲインGotよりも大幅に大きく設
定している。また、補正制御が適用可能な限界を示すゲ
イン1倍時の応答周波数である遮断周波数(cut off fr
equensy)についても、焦点ぼけ補正制御回路の遮断周
波数fcfが厚みムラ補正制御回路の遮断周波数fctより
も大きい状態すなわち、 fcf ≧ fct (12) に設定している。
【0150】なお、(12)式に示した設定は、具体的に
は、図2に示した光ディスク装置10においては、ゲイ
ン・帯域設定回路58とゲイン・帯域設定回路83によ
り容易に設定される。すなわち、図示しないが個々のゲ
イン・帯域設定回路58とゲイン・帯域設定回路83に
は、多くの場合、例えば抵抗比調整等によりリニアアン
プのゲインが調整可能であるから、DCゲインGofとG
otの値を、それぞれ独立に設定できる。
【0151】また、対物レンズ19の駆動機構(焦点ぼ
け補正用コイル20とトラックずれ補正用コイル21)
の構造と厚みムラ補正用凸レンズ17の駆動機構(厚み
ムラ補正用コイル18)の構造から、DCゲインGofと
Gotとを設定したことに依存して決定される遮断周波数
fcfとfctとを、一意的に定めることは可能である。な
お、遮断周波数fcfとfctは、図示しないが、例えば図
2に示した光ディスク装置10において、ゲイン・帯域
設定回路58とゲイン・帯域設定回路83に、コンデン
サと抵抗の組で構成されるローパスフィルタを配置し
て、より積極的に遮断周波数fcfとfctを設定してもよ
い。
【0152】上述したように、焦点ぼけ補正制御回路と
厚みムラ補正制御回路のそれぞれの周波数特性(伝達関
数)のDCレベルのサーボゲインを、焦点ぼけ補正制御
回路のDCゲインGofが、厚みムラ補正制御回路のDC
ゲインGotに比較して大幅に大きく設定したことにより
得られる効果について説明する。
【0153】例えば、図2に示した光ディスク装置10
において、光ディスク3のカバー層3aの厚みが急に変
化した場合あるいは対物レンズ19が合焦状態にあった
記録層が3bから3dへ、もしくは3dから3bに集光
点が移動した場合、厚みムラ検出・補正制御回路系11
4が動作して、厚みムラ補正用凸レンズ17が所定の方
向へ所定量(距離)移動される。
【0154】しかし、厚みムラ補正制御回路系114の
遮断周波数fctが焦点ぼけ補正制御回路系111の遮断
周波数fcfに比較して充分低いため、厚みムラ補正用凸
レンズ17は、ゆっくり移動する。一方、焦点ぼけ補正
制御回路111の遮断周波数fcfは、厚みムラ補正制御
回路系114の遮断周波数fctに比較して、数倍高いの
で、ゆっくりした厚みムラ補正用凸レンズ17の移動に
比較して、高速で対物レンズ19の位置が調整される。
【0155】これにより、厚みムラ補正用凸レンズ17
が移動されている間であっても、常に、高い精度で、対
物レンズ19の合焦状態が保持される。
【0156】なお、確認実験の結果、上述した効果が得
られるためには、焦点ぼけ補正制御回路の遮断周波数f
cfは、厚みムラ補正制御回路の遮断周波数fctに比較し
て、最低でも2倍は必要で有り、有る程度補正制御を安
定化させるには、10倍以上が望ましい。
【0157】つまり、最低条件として、 fcf ≧ 2fct (13) の条件が必要で、望ましくは、 fcf ≧ 10fct (14) であれば、一層、厚みムラ補正の効果が高められる。
【0158】図11は、図2に示した光ディスク装置1
0(図1に示した光ヘッドおよびその光ヘッドを用いた
情報記録再生装置)における焦点ぼけ検出信号の特性と
厚みムラ検出信号の特性を説明する概略図である。
【0159】図11(a)は、横軸が光ディスク3に対
する対物レンズ19の相対的位置に対する焦点ぼけ検出
信号で、縦軸が、例えば図2に示した減算器81の出力
信号を示している。光ディスク3は、例えば図2に示し
た通り、基板3eの一方の面に順に積層された第2(基
板寄り)記録層3dと、第1(カバー層寄り)記録層3
bとを有するから、焦点ぼけ検出信号は、記録層3d位
置と記録層3b位置の2ヶ所で、「0クロス(信号レベ
ルが基準レベルを通過)」する。
【0160】図11(b)は、横軸が光ディスク3に対
する対物レンズ19の相対的位置に対する焦点ぼけ検出
信号を示し、縦軸が、第1の光検出器25の光検出セル
25a,25b,25cおよび25dに照射される再生
レーザ光12´のトータル光量の変化、例えば図2にお
ける加算器75の出力信号を示している。加算器75か
ら出力される和信号のレベルは、記録層3d位置の近傍
と記録層3b位置の近傍で極大値を取り、それ以外の位
置すなわち対物レンズ19の位置がずれて、いずれの記
録層にも合焦状態にない場合には、第1の光検出器25
の個々の光検出セル25a,25b,25cおよび25
dに結像される再生レーザ光12´のスポットサイズは
大きくなるものの各光検出セル25a,25b,25c
および25dから大きくはみ出すために、大幅に低下す
る。
【0161】図11(c)および図11(e)は、横軸
が、厚みムラ補正用凸レンズ17の移動量を示し、縦軸
が厚みムラ補正用凸レンズ17の位置に対する厚みムラ
検出信号の変化を示している。また、図11(d)およ
び図11(f)は、横軸が、厚みムラ補正用凸レンズ1
7の移動量を示し、縦軸が厚みムラ検出用の検出セル
(例えば図2に示した第2の光検出器29の検出領域
(検出セル)29bと29c)に照射される±1次光の
和の変化を表している。なお、図11(c)および図1
1(d)は、(基板寄りの)記録層3dの近傍で球面収
差が補正された状態(レーザ光12´の集光スポットが
記録層3d近傍にある時に球面収差量が少ない状態)
を、図11(e)と図11(f)は、(カバー層寄り
の)記録層3b近傍で球面収差が補正された状態(レー
ザ光12´の集光スポットが記録層3b近傍にいる時に
球面収差量が少ない状態)を、それぞれ、表している。
【0162】例えば、光ディスク3の(基板寄りの)記
録層3dまたはその近傍にレーザ光12が集光され、そ
の合焦状態に合わせて球面収差が補正されている場合に
は、図11(c)および図11(d)に示したような検
出特性が得られる。
【0163】なお、図11(c)および図11(d)に
示すような検出信号が得られている状態からレーザ光1
2の集光位置を(カバー層寄りの)記録層3bに移動さ
せると、焦点ぼけ検出の差信号と和信号は、図11
(a)および図11(b)で説明したように変化した
後、(カバー層寄りの)記録層3bの位置で焦点ぼけ検
出・補正制御がかかる。
【0164】また、この発明においては、(12)式ない
し(14)式に示した通り、対物レンズ19の焦点ぼけ補
正が、厚みムラ補正用凸レンズ17による厚みムラ補正
に比較して、2〜10倍の速度で実行されるので、レー
ザ光12の集光位置が、記録層3d位置から記録層3b
位置に(もしくは記録層3bから記録層3dに)移動さ
せた直後から、高速で合焦状態が確保される。それに対
して、(12)式ないし(14)式から明らかなように、厚
みムラ補正制御については、応答速度を焦点ぼけ補正に
比較して10〜2倍に遅らせているため、レーザ光12
が集光される位置を、例えば記録層3d位置から記録層
3b位置に移動させた直後は、厚みムラ補正(球面収差
補正)が不十分であり、従って、球面収差検出用の第2
の光検出器29の各検出セル29bおよび29cに結像
された±1次光スポットのスポットサイズが非常に大き
くなり(輝度が低下して)、厚みムラ検出用の差信号
(図11(c))の信号振幅と和信号(図11(d))
の信号振幅が小さくなるので、(12)式ないし(14)式
に示した本発明の特徴を生かして外乱振動などにより起
因して、レーザ光12の集光位置が記録層3d位置から
記録層3b位置に(もしくは記録層3bから記録層3d
に)突然変化するような、記録層間異常飛びを検出する
ことが可能となる。
【0165】すなわち、焦点ぼけ検出用の差信号と和信
号は、前に説明したように、図11(a)および図11
(b)に示す特性を有するから、記録層間異常飛びによ
り、レーザ光12が集光される位置が突然変化したとし
ても、和信号レベルは、記録層3bの近傍で、図11
(b)に示すLfc以上の大きさを維持できる。また、記
録層3dの近傍で厚みムラ(球面収差)補正が実行され
ていたとしても、図11(d)に示すように厚みムラ検
出用の和信号(例えば図2の加算器51の出力信号)レ
ベルが、Lth以上の大きさを有している。
【0166】従って、その直後にレーザ光12集光位置
が記録層3bの近傍に移動すると、(12)式ないし(1
4)式に示した理由から、厚みムラ検出・補正制御回路
系114は追従できず、球面収差検出用レーザ光12
b,12cのスポットが球面収差検出用検出セル29b
および29cから大きくはみ出してしまい、厚みムラ検
出用の和信号(例えば図2に示す加算器51の出力信
号)レベルが、Lth(図11(d))を大きく下回わる
ので、厚みムラ検出用の和信号のレベルが、Lth以上か
否か、図2に示した比較器57の出力で判定すること
で、記録層間異常飛び検出信号60を得ることができ
る。
【0167】以下、図12ないし図16を用いて、図2
に示した光ディスク装置の応用例または変形例を説明す
る。なお、図2(および図1)に示したと類似した構成
には同じ符号を附して詳細な説明を省略する。また、図
2に示した光ディスク装置の構成に関し、図1に示した
光ヘッド装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録
再生装置の構成と対比したが、図12に示す光ディスク
装置においても同様の関係があることはいうまでもな
い。
【0168】図12に示す光ディスク装置210は、図
2により前に説明した光ディスク装置10に用いたホロ
グラム素子26を取り除いて、球面レンズ28と第2の
光検出器29(図2の光ディスク装置10)との間に、
ハーフミラー201を配置したことを特徴としている。
また、ハーフミラー201を用いたことにより、第2の
光検出器229に向かう再生レーザ光12´が分割され
るので、第3の光検出器230が追加されている(図2
と同様、光検出器229と230については、光学系の
配置と受光面に結像されたスポットの両方が便宜的に示
されている)。
【0169】なお、第2の光検出器229および第3の
光検出器230のそれぞれは、再生レーザ光12´が球
面レンズ28により与えられた集束性により集束される
際に形成する最小錯乱円の手前と奥の所定の位置(最小
錯乱円の中心から概ね等しい位置)に設けられる。ま
た、最小錯乱円の中心から第2の光検出器229までの
距離および第3の光検出器230までの距離について
は、前に説明した(7)式および(8)式に従って定義
されている。
【0170】図12に示した光ディスク装置210で
は、球面レンズ28の光軸に沿って結像される再生レー
ザ光12´を検出するために必要な光検出セルおよびそ
の出力の処理に利用されるプリアンプならびに高価なホ
ログラム素子が省略可能である。但し、図2に示した光
ディスク装置10と同様に、記録層間異常飛びを検出可
能とするために、再生信号検出系113の加算器91の
出力を分岐して減衰器58により所定レベルまで減衰し
た再生信号を、比較器59に入力している。
【0171】図13に示す光ディスク装置310は、図
2により前に説明した光ディスク装置10の焦点ぼけ検
出系に、ナイフエッジ法を用いた例である。なお、図1
3に示す光ディスク装置310では、ホログラム素子3
01にナイフエッジ法に対応可能な回折パターンすなわ
ち平面方向の模式図から明らかなように、ナイフエッジ
として機能する遮光部301aと±1次光スポットを生
成する回折パターン301b(301c)とを、光軸中
心を含む直線で区分して与えている。また、図13に示
す光ディスク装置310の構成は、ホログラム素子30
1のパターンのない部分(ホログラム素子301がない
状態と等価であり、実際には、遮光部301aの境界
部)と球面レンズ28と第2の光検出器329の中央の
2つの光検出セル329aおよび329dとにより定義
される光学系が図1に示した光ヘッド装置およびその光
ヘッド装置を有する情報記録再生装置における焦点ぼけ
検出系111に対応し、ホログラム素子301の回折パ
ターン部分301b(301c)と球面レンズ28と第
2の光検出器329の残りの2つの光検出セル329b
および329cとにより定義される光学系が同厚みムラ
(球面収差)検出系114に対応する。但し、一部の光
学部品を兼用したものの、球面収差検出系114と焦点
ぼけ検出系111については、独立に設けている。
【0172】図13に示した光ディスク装置310で
は、ホログラム素子301を用いたことで、単一の球面
レンズ28と単一の光検出器329のみで球面収差検出
系114と焦点ぼけ検出系111とを兼用させて、光ヘ
ッド装置の大きさを低減し、さらに軽量としたことを特
徴とする。なお、焦点ぼけ検出系111を、球面収差検
出系114と兼用したことにより、ハーフプリズム22
で分割された再生レーザ光12´の他の一方は、トラッ
クずれの検出のみを分担することになり、第1の光検出
器325も2分割で済む。それに伴って、信号処理回路
(トラックずれ検出・補正制御回路系112)で用いる
プリアンプの数が低減されている。
【0173】また、図13に示した光ディスク装置31
0では、ナイフエッジ法において最も検出精度が高く安
定する光軸中心近傍を含む直線で分割して抜き出した半
分の検出光12aを用いて焦点ぼけを検出する構成とし
たので、焦点ぼけ検出の精度を向上できるのみならず、
最も高い検出信頼性を確保している。
【0174】図14に示す光ディスク装置410では、
図13に示した光ディスク装置310とと同様に、焦点
ぼけ検出法としてナイフエッジ法を採用し、±1次光ス
ポットを生成するためのホログラム素子401のホログ
ラムパターンに、図2に示した光ディスク装置10で用
いた増感フィルタと同様に機能する球面収差検出の増感
用フィルタに類似したパターンを用いて、増感処理を施
している。
【0175】図14に示す光ディスク装置410では、
ホログラム素子401は、401a,401b,401
cの3領域に分割された構造を有し、領域401cを通
過するレーザ光12cのみを用いて球面収差を検出する
ことを特徴とする。なお、領域401bと領域401c
の境界線の半径値rは、(11)式を満足するように設定
されているので、球面収差の検出に対して増感されてお
り、この増感分の信号を検出して球面収差検出に利用し
ている。また、対応する光検出器429の検出領域も、
0次光(中心部分)が結像される429a,429dと
±1次光(外郭部分)が結像されるされる429b,4
29cとに区分されている。なお、中間部分すなわちレ
ーザ12により形成されるスポットのうちの中心部分と
外郭部分との間に定義されるスポット12bは、この例
では利用しない。
【0176】図14に示した光ディスク装置410にお
いては、図13に示した光ディスク装置310と同様
に、ナイフエッジ法において最も検出精度が高く安定す
る光軸中心近傍を含む直線で分割して抜き出した半分の
検出光12aを用いて焦点ぼけを検出する構成としたの
で、焦点ぼけ検出の精度を向上できるのみならず、最も
高い検出信頼性を確保している。
【0177】図15に示す光ディスク装置510は、図
14に示した光ディスク装置410を、さらに改良した
もので、ホログラム素子501は、第1ないし第5の5
つの領域すなわち領域501a,501b(内側),
(2つめの)501b(外側),501cおよび501
dを有し、領域501bを通過するレーザ光12bと領
域501cを通過するレーザ光12cを用いて球面収差
を検出することを特徴としている。また、領域501c
と領域501aとの間の境界線の半径は、図14または
図13に示した光ディスク装置と同様に、(11)式を満
足するもので、球面収差を増感することができる。な
お、対応する光検出器529の検出領域も、0次光(中
心部分)が結像される529a,529dと±1次光
(外郭部分)が結像されるされる529b,529cと
に区分されている。また、中間部分すなわちレーザ12
により形成されるスポットのうちの中心部分と外郭部分
との間に定義されるスポット12aと12dの一部は、
この例では利用しない。
【0178】また、ホログラム素子501に関し、(1
0)式に示した範囲の検出光特性を変化させる(光量減
衰または/および位相変化)場合には、球面収差を検出
する際の感度が逆に低下することを上述したが、図15
に示した光ディスク装置510においては、逆にこの特
性を積極的に活用している。すなわち、光検出器520
上で検出感度が増加されているレーザ光12cと、逆に
検出感度が低下しているレーザ光12bとを組み合わせ
ることで、球面収差を検出する際の感度を、一層向上さ
せることができる。
【0179】ところで、図14に示した光ディスク装置
410と図15に示した光ディスク装置510に用いら
れるホログラム素子401および501では、回折パタ
ーン内のデューティを、50%としている。すなわち、
0次回折光成分を0(回折せずにそのまま直進する透過
光の光量比が0)になるように設計してある。また、同
時に、ホログラム素子401および501の構造をブレ
ーズ格子と同様に機能するようなブレーズ化(回折部分
が傾斜を持ち、特定方向へ回折し易くさせる構造)し
て、回折光のほとんどが+1次回折光になるように(す
なわち−1次回折光の光量比率がほとんど0になるよう
に)工夫してある。さらに、回折縞の中心位置をずらし
て、+1次回折光の光軸中心を、光検出セル429b
(529b)と429c(529c)との間の境界線上
もしくは光検出セル429a(529a)と429d
(529d)との間の境界線上に投射させるようにパタ
ーンを最適化している。
【0180】このことは、図7(b)を用いて前に説明
した通り、対物レンズ19に入射するレーザ光12の光
軸中心から半径rまでの部分を遮光(または透過光量を
減衰あるいは位相変化)すると、合焦時の中心強度の最
大位置(最小錯乱円)が、εだけずれることを利用し、
このεの位置を、発光点と見なした場合、εから発光し
た光は、光ディスク3の記録層3bあるいは3dで反射
されて再び対物レンズ19に戻された後に収束光となる
ことを利用して、その収束光を、図8の右側に示した検
出光学系に入射させると、第2の光検出器29の近傍で
の集光点のずれ量ζが、(1)式のδをεに置き換えた
値と等しくなることを示している。
【0181】従って、この収束光を、従来の焦点ぼけ検
出用光学系で検出すると、擬似的な焦点ぼけ検出信号が
得られる。このように、図8に示す光学系モデルにおい
て、擬似球面収差発生+増感用フィルタ機能付加素子2
6で擬似的に球面収差を発生させると共にレーザ光12
の光軸中心から半径rまでの部分を遮光(または透過光
量減衰あるいは位相変化)すると、合焦時であるにも関
わらず、光ディスク3の記録層3bまたは3dの手前ε
の所で中心強度が最大となり(この位置が擬似的な発光
点と見なされ)、図8の右側の検出光学系を経た後には
第2の光検出器29上では擬似的な焦点ぼけ信号が検出
される。
【0182】以上の理由から、光ディスク3の透明保護
層(カバー層)3aの厚みのムラにより球面収差が発生
した場合、第1の検出光学系(焦点ぼけ検出系)を用い
て、正確に焦点ぼけ補正を行い、同時に第2の検出光学
系(球面収差検出系)により光軸中心から半径rまでの
部分を遮光(または透過光量減衰あるいは位相変化)さ
せた後に、従来の既存の焦点ぼけ検出光学系で、信号検
出をすると、擬似的な焦点ぼけ検出信号の形で球面収差
量を検出できる。その現象を利用して球面収差検出系を
構成した例を図16に示す。
【0183】図16に示す光ディスク装置610は、球
面収差検出用に、一般的な焦点ぼけ検出法として知られ
ている非点収差法を利用している。すなわち図16に示
すようにホログラム素子601は、第1および第2の領
域601bと601cの2領域に分割されるとともに、
各領域の回折縞の中心がずらされることで、領域601
cで回折した+1次回折光の光軸中心が、光検出器62
5の第5ないし第8の光検出セル625e,625f,
625gおよび625hに囲まれた中心位置に結像され
るように定義されている。なお、ホログラム素子601
の2つの領域601bと601cは、図15(または図
14)に説明したホログラム素子501(401)と同
様に、それぞれ、ブレーズ格子と同様に機能するような
ブレーズ化(回折部分が傾斜を持ち、特定方向へ回折し
易くさせる構造)されているので、+1次回折光強度
は、−1次光回折光強度よりもはるかに大きくなる。従
って、各回折光強度の比率は、0次回折光強度、+1次
回折光強度、−1次光強度、+2次光強度、−2次光強
度の順に、1:1:0:0:0となる。
【0184】なお、ホログラム素子601の中央部分を
通過した0次回折光(直進透過光)は、球面レンズ23
とシリンドリカルレンズ24を通過して、光検出器62
5の光検出セル625aないし625d上に照射され、
広く非点収差法と呼ばれている焦点ぼけ検出方法により
焦点ぼけ量を検出し、焦点ぼけ検出・補正制御回路系1
11により焦点ぼけ補正用コイル20に電流を流して対
物レンズ19の位置を移動させて焦点ぼけ補正を行う。
【0185】また、ホログラム素子601の第1の領域
601bと第2の領域601cとの間の境界線(境界
円)の半径rは、前に説明した(11)式を満足するよう
に、設定されている。従って、光ディスク3上の記録層
3bあるいは3dに常に焦点を合わせた状態でホログラ
ム素子601の領域601cで回折した+1次回折光
は、球面収差検出感度が増感されて、あたかも図5に示
したモデルにおいて、図7(b)で説明したように集光
位置がδからεへ増加し、その増加量が検出光学系上
で、(1)式に示すように、さらに拡大される。このよ
うに、球面収差の位置(最小錯乱円の位置)のδからε
への変化の差分に応じて、光検出セル625e,625
f,625gおよび625hに照射されるレーザ光12
cは、擬似的焦点ぼけ量を発生させる。その結果、光検
出器625上に投影されるレーザ光12cのパターン
は、図16(光検出セル625e,625f,625g
および625h)に示した通り、(光検出セル625
a,625b,625cおよび625dに結像されたよ
うな)完全な円形を保持した環状の形状から、楕円形の
環状になる。
【0186】このパターン変化を、厚みムラ検出・補正
制御回路系114で信号処理した後、厚みムラ(球面収
差)量に換算し、厚みムラ補正用凸レンズ駆動コイル1
8に対応する電流を流して厚みムラ補正用凸レンズ17
を所定の方向に、所定量移動させることで、光ディスク
3のカバー層3aの厚みムラにより発生する球面収差の
影響を除去することができる。また、図16に示した光
ディスク装置610も、図1に示した光ヘッド装置およ
びその光ヘッド装置を用いた情報記録再生装置と同様の
構成であることは、いうまでもない。なお、球面収差検
出系114と焦点ぼけ検出系111は、兼用であるが、
球面収差検出系114で用いられるレーザ光と焦点ぼけ
検出系111で用いられるレーザ光とは、ホログラム素
子601で完全に分離されているので、光学的には、ク
ロストークのない独立系と見なすことができる。
【0187】以下に、図2に示した光ディスク装置10
に組み込まれるホログラム素子26を用いた波面分割の
ためのホログラム素子の領域分割に用いた数式(A−
1)〜(A−15)を示す。
【0188】A1)ベッセル関数の定義とベッセル関数
を含む展開 ベッセル関数は、
【数55】 と定義される。
【0189】(A−1)式より、
【数56】 が導かれる。
【0190】上述したベッセル関数は、
【数57】 に示す特性を有するから、(A−3)式から、
【数58】 が得られる。
【0191】従って、
【数59】 が得られる。
【0192】(A−1)式を(A−5)式に代入する
と、
【数60】 と置き換えられる。
【0193】(A−6)式から、
【数61】
【数62】 および
【数63】 が得られる。
【0194】なお、g(r,φ)をヘンケル変換する
と、
【数64】 および
【数65】 となる。
【0195】g(r,φ)が、
【数66】 の構造を有するとき、(A−10)式は、
【数67】 となる。
【0196】(A−13)式は、(A−12)式を(A−1
1)式に代入し、(A−4)式を用いることで、(A−1
3)式が、b≦r≦aおよびb≒aの条件下で、
【数68】 および、
【数69】 と定義される。
【0197】また、以下に示す、
【数70】 は、上述した(5)式を導くために用いられる。
【0198】以上説明したように、この発明の光ディス
ク装置の光ヘッド装置は、所定の波長の光を供給する光
源と、光源からの光を記録媒体の記録層に集光する対物
レンズと、対物レンズを、光軸方向および記録媒体に予
め形成されている案内溝または信号マーク列を横切る方
向に移動させる対物レンズ移動機構と、対物レンズの焦
点ぼけを検出する焦点ぼけ検出系と、記録媒体の対物レ
ンズに最も近接して設けられる透明樹脂層の厚みのムラ
を検出する厚みムラ検出系と、厚みムラ検出系により検
出された記録媒体の透明樹脂層の厚みの変化に基づい
て、光源から対物レンズに入射される光の結像特性を変
化させる厚みムラ補正機構と、を有することから、焦点
ぼけ検出系により検出された焦点ぼけ検出信号を用いて
対物レンズの焦点ぼけ補正制御を行うとともに、焦点ぼ
け補正制御時における厚みムラ検出系により検出される
厚みムラ検出信号を用いて、透明樹脂層の厚みムラを検
出することができるので、透明樹脂層に厚みムラが生じ
た場合であっても、集束光の歪みすなわち球面収差の影
響を除去して、高い記録密度で情報を記録可能な収束光
を提供できる。
【0199】また、この発明は、所定の波長の光を供給
する光源と、光源からの光を記録媒体の記録層に集光す
る対物レンズと、対物レンズを、光軸方向および記録媒
体に予め形成されている案内溝または信号マーク列を横
切る方向に移動させる対物レンズ移動機構と、対物レン
ズの焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出系と、記録媒体の
対物レンズに最も近接して設けられる透明樹脂層の厚み
のムラを検出する厚みムラ検出系と、厚みムラ検出系に
より検出された記録媒体の透明樹脂層の厚みの変化に基
づいて、光源から前記対物レンズに入射される光の結像
特性を変化させる厚みムラ補正機構と、を有することを
特徴とする光ヘッド装置を有し、焦点ぼけ検出系により
検出された焦点ぼけ検出信号を用いて、対物レンズの焦
点ぼけ補正制御を行うとともに、焦点ぼけ補正制御時に
おける厚みムラ検出系により検出される厚みムラ検出信
号を用いて、透明樹脂層の厚みムラを検出することを特
徴とする情報記録媒体の透明樹脂層の厚みムラを検出で
きるので、透明樹脂層に厚みムラが生じた場合であって
も、集束光の歪みすなわち球面収差の影響を除去して、
高い記録密度で情報を記録できる。
【0200】さらに、この発明は、所定の波長の光を供
給する光源と、光源からの光を記録媒体の記録層に集光
する対物レンズと、対物レンズを、光軸方向および記録
媒体に予め形成されている案内溝または信号マーク列を
横切る方向に移動させる対物レンズ移動機構と、対物レ
ンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出系と、記録媒体
の前記対物レンズに最も近接して設けられる透明樹脂層
の厚みのムラを検出する厚みムラ検出系と、厚みムラ検
出系により検出された記録媒体の透明樹脂層の厚みの変
化に基づいて、光源から対物レンズに入射される光の結
像特性を変化させる厚みムラ補正機構と、を有すること
を特徴とする光ヘッド装置を有し、焦点ぼけ検出系によ
り検出された焦点ぼけ検出信号を用いて、対物レンズの
焦点ぼけ補正制御を行うとともに、焦点ぼけ補正制御時
における厚みムラ検出系により検出される厚みムラ検出
信号を用いて、透明樹脂層の厚みムラを検出し、透明樹
脂層の厚みムラの影響を除去しながら対物レンズの焦点
ぼけの影響を除去し、記録媒体の記録層に記録されてい
る情報を再生し、もしくは記録媒体に情報を記録するこ
とのできる情報記録再生装置を達成できる。
【0201】またさらに、厚みムラ検出系は、検出対象
である光のスポット断面半径を1とした時、r≦0.8
8を満たす範囲内で前記光の光量を減衰させ、あるいは
光の位相特性を変化させ、もしくは、光の光量を減衰さ
せるとともにその位相を変化させる光学素子を含むの
で、高い検出感度で、記録媒体の透明樹脂層の厚みムラ
を検出でき、それにより、高い記録密度での情報の記録
を可能とする。
【0202】さらにまた、厚みムラ補正機構の応答周波
数(遮断周波数)を、対物レンズの焦点ぼけの影響を除
去する焦点ぼけ補正制御系の応答周波数(遮断周波数)
よりも、低く設定したので、焦点ぼけ検出系と厚みムラ
検出系との間に生じるクロストーク(干渉)の影響を受
けない安定な厚みムラの検出が可能な情報記録再生装置
が得られる。
【0203】なお、この発明は上記各実施の形態に限定
されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸
脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。
【0204】また、各実施の形態は可能な限り適宜組み
合わせて実施されてもよく、その場合組み合わせによる
効果が得られる。
【0205】さらに、上記実施の形態には種々な段階の
発明が含まれており、この出願で開示される複数の構成
要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出
され得る。たとえば、実施の形態に示される全構成要件
から1または複数の構成要件が削除されても、この発明
の効果のうち少なくとも1つが得られるときは、この構
成要件が削除された構成が発明として抽出され得るもの
である。
【0206】なお、従来技術である特開2000−17
1346では、第8頁の右欄の段落[0082]に示さ
れるように、 SA=(S3−S4)−(S1−S2)×K で球面収差を検出するとの記載があり、一方で、焦点ぼ
け検出は、同第7頁の右欄の段落[0067]に示され
るように、 FES=S1−S2 で算出しており、明らかに、球面収差検出系の一部を焦
点ぼけ検出系でも利用しており、本願の図1に示すよう
に、厚みムラ(球面収差)補正機構101と焦点ぼけ検
出系102とを、分離させ、独立した構成させている本
発明の特徴とは異なっている。
【0207】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の光ディ
スク装置の光ヘッド装置によれば、光ディスクの対物レ
ンズ側に位置される透明樹脂層の厚みムラを正確に検出
することができるので、透明樹脂層に厚みムラが生じた
場合であっても、集束光の歪みすなわち球面収差の影響
を除去して、高い記録密度で情報を記録可能な収束光を
提供できる。
【0208】また、この発明によれば、光ディスクの対
物レンズ側に位置される透明樹脂層に厚みムラが生じた
場合であっても、集束光の歪みすなわち球面収差の影響
を除去して、高い記録密度で情報を記録できる。
【0209】さらに、この発明によれば、光ディスクの
対物レンズ側に位置される透明樹脂層の厚みムラを検出
し、透明樹脂層の厚みムラの影響を除去しながら対物レ
ンズの焦点ぼけの影響を除去し、記録媒体の記録層に記
録されている情報を再生し、もしくは記録媒体に情報を
記録することのできる情報記録再生装置が得られる。
【0210】またさらに、厚みムラ検出系は、検出対象
である光のスポット断面半径を1とした時、r≦0.8
8を満たす範囲内で前記光の光量を減衰させ、あるいは
光の位相特性を変化させ、もしくは、光の光量を減衰さ
せるとともにその位相を変化させる光学素子を含むの
で、高い検出感度で、記録媒体の透明樹脂層の厚みムラ
を検出でき、それにより、高い記録密度での情報の記録
を可能とする。
【0211】さらにまた、厚みムラ補正機構の応答周波
数(遮断周波数)を、対物レンズの焦点ぼけの影響を除
去する焦点ぼけ補正制御系の応答周波数(遮断周波数)
よりも、低く設定したので、焦点ぼけ検出系と厚みムラ
検出系との間に生じるクロストーク(干渉)の影響を受
けない安定な厚みムラの検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光ヘッド装置およびその光ヘッド装
置が組み込まれる情報記録再生装置の基本構造を説明す
る概略図。
【図2】図1に示した光ヘッド装置およびその光ヘッド
装置を有する情報記録再生装置(以下、光ディスク装置
と称する)の構成の一例を、より具体的に説明する概略
図。
【図3】図2に示した光ディスク装置において、光ディ
スク(情報記録媒体)のカバー層寄り記録層にレーザ光
が集光している状態で、対物レンズ寄りの透明保護層の
厚みが変化した時に生じる現象すなわち球面収差による
最小錯乱円のずれの発生を説明する概略図。
【図4】図2に示した光ディスク装置において、検出光
学系の光軸に沿った方向の球面レンズによる集束位置す
なわち最小錯乱円の移動が生じた際の最小錯乱円の移動
位置と対応する各位置でのレーザ光の光スポットの光強
度の変化を説明する概略図。
【図5】図4に示した距離A0と距離B0の最適な範囲
を定義するためのホログラム素子により生成される±1
次光の光軸に沿った方向での移動量およびその検出特性
を説明する概略図。
【図6】(5)式の計算結果を示すグラフ。
【図7】図3を用いて説明した球面収差の発生を増大す
ることによる検出感度の向上が可能な原理を説明する概
略図。
【図8】図4に示した距離A0と距離B0の最適な範囲
を定義するためのホログラム素子により生成される±1
次光の光軸に沿った方向での移動量およびその検出特性
を提供可能な原理を説明する概略図。
【図9】(10−23)式ないし(10−25)式から計算した
cとσが変化した時のQの値の変化を示すグラフ。
【図10】焦点ぼけ補正制御回路と厚みムラ補正制御回
路のそれぞれの周波数特性(伝達関数)を比較するグラ
フ。
【図11】図2に示した光ディスク装置10(図1に示
した光ヘッドおよびその光ヘッドを用いた情報記録再生
装置)における焦点ぼけ検出信号の特性と厚みムラ検出
信号の特性を説明する概略図。
【図12】図2に示した光ディスク装置の別の実施の形
態を説明する概略断面図。
【図13】図2に示した光ディスク装置のさらに別の実
施の形態を説明する概略断面図。
【図14】図2に示した光ディスク装置のまたさらに別
の実施の形態を説明する概略断面図。
【図15】図2に示した光ディスク装置のさらにまた別
の実施の形態を説明する概略断面図。
【図16】図2に示した光ディスク装置のまたさらに別
の実施の形態を説明する概略断面図。
【符号の説明】
1 ・・・光ディスク装置(情報記録再生装置)、 2 ・・・レーザ素子(光源)、 3 ・・・光ディスク(情報記録媒体)、 3a・・・対物レンズ側カバー層(透明樹脂層)、 3b・・・対物レンズ寄り記録層または反射層、 3c・・・スペース層、 3d・・・基板寄り記録層または反射層、 3e・・・基板、 4 ・・・対物レンズ、 5 ・・・焦点ぼけ補正用コイル、 6 ・・・ビームスプリッタ、 10 ・・・光ディスク装置、 11 ・・・レーザ素子、 12 ・・・レーザ光、 12´・・・再生(反射)レーザ光、 13 ・・・コリメートレンズ、 14 ・・・偏向ビームスプリッタ、 15 ・・・λ/4板、 16 ・・・厚みムラ補正用凹レンズ、 17 ・・・厚みムラ補正用凸レンズ、 18 ・・・厚みムラ補正用凸レンズ駆動コイル1、 19 ・・・対物レンズ、 20 ・・・焦点ぼけ補正用コイル(フォーカスコイ
ル)、 21 ・・・トラックずれ補正用コイル(トラックコイ
ル)、 22 ・・・ハーフプリズム、 23 ・・・球面レンズ、 24 ・・・シリンドリカルレンズ、 25 ・・・第1の光検出器(焦点ぼけ検出用)、 26 ・・・ホログラム素子、 27 ・・・増感用フィルタ、 28 ・・・球面レンズ、 29 ・・・第2の光検出器(厚みムラ検出用)、 101 ・・・厚みムラ(球面収差)補正機構、 102 ・・・焦点ぼけ検出系、 103 ・・・厚みムラ(球面収差)検出系、 104 ・・・球面収差補正回路、 105 ・・・焦点ぼけ補正回路、 111 ・・・焦点ぼけ検出・補正制御回路系、 114 ・・・厚みムラ検出・補正制御回路系、 127 ・・・疑似球面収差発生+増感用フィルタ機能
付加素子、 129 ・・・光検出器、 201 ・・・ハーフミラー、 229 ・・・第2の光検出器、 230 ・・・第3の光検出器、 325 ・・・第2の光検出器(2分割)、 401 ・・・(ナイフエッジパターン付き)ホログラ
ム素子、 429 ・・・第2の光検出器、 501 ・・・(ブレーズ格子状)ホログラム素子、 529 ・・・第2の光検出器、 601 ・・・(複合型)ホログラム素子、 625 ・・・光検出器(複合型)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩田 勝雄 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町事業所内 Fターム(参考) 5D117 AA02 DD10 DD16 FF03 GG01 GG02 HH02 HH09 HH10 KK05 KK13 5D118 AA16 BA01 BB01 BB02 CA23 CD02 DA40 DC04 5D119 AA11 AA22 BA01 BB01 BB03 BB13 EA03 EA10 EB02 EB09 EC01 JA09 JA24 JA43 JA58 JA63 KA18

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の波長の光を供給する光源と、 この光源からの光を記録媒体の記録層に集光する対物レ
    ンズと、 この対物レンズを、光軸方向および前記記録媒体に予め
    形成されている案内溝または信号マーク列を横切る方向
    に移動させる対物レンズ移動機構と、 前記対物レンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出系
    と、 前記記録媒体の前記対物レンズに最も近接して設けられ
    る透明樹脂層の厚みのムラを検出する厚みムラ検出系
    と、 この厚みムラ検出系により検出された前記記録媒体の前
    記透明樹脂層の厚みの変化に基づいて、前記光源から前
    記対物レンズに入射される光の結像特性を変化させる厚
    みムラ補正機構と、を有することを特徴とする光ヘッド
    装置。
  2. 【請求項2】前記厚みムラ検出系は、前記焦点ぼけ検出
    系により検出された焦点ぼけに基づいて焦点ぼけ補正が
    行われている間に、光軸方向での中心強度最大位置の変
    化を検出して前記記録媒体の前記透明保護層の厚みムラ
    を検出することを特徴とする請求項1記載の光ヘッド装
    置。
  3. 【請求項3】前記厚みムラ検出系は、前記焦点ぼけ検出
    系により検出された焦点ぼけに基づいて焦点ぼけ補正が
    行われている間に、光軸方向での中心強度最大位置の変
    化を検出して前記記録媒体の前記透明保護層の厚みムラ
    を検出するための光学系を、さらに有することを特徴と
    する請求項1記載の光ヘッド装置。
  4. 【請求項4】所定の波長の光を供給する光源と、 この光源からの光を記録媒体の記録層に集光する対物レ
    ンズと、 この対物レンズを、光軸方向および前記記録媒体に予め
    形成されている案内溝または信号マーク列を横切る方向
    に移動させる対物レンズ移動機構と、 前記対物レンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出系
    と、 前記記録媒体の前記対物レンズに最も近接して設けられ
    る透明樹脂層の厚みのムラを検出する厚みムラ検出系
    と、 この厚みムラ検出系により検出された前記記録媒体の前
    記透明樹脂層の厚みの変化に基づいて、前記光源から前
    記対物レンズに入射される光の結像特性を変化させる厚
    みムラ補正機構と、を有することを特徴とする光ヘッド
    装置を有し、前記焦点ぼけ検出系により検出された焦点
    ぼけ検出信号を用いて前記対物レンズの焦点ぼけ補正制
    御を行うとともに、焦点ぼけ補正制御時における前記厚
    みムラ検出系により検出される前記厚みムラ検出信号を
    用いて、前記透明樹脂層の厚みムラを検出することを特
    徴とする光ヘッド装置。
  5. 【請求項5】前記厚みムラ検出系は、前記焦点ぼけ検出
    系により検出された焦点ぼけに基づいて焦点ぼけ補正が
    行われている間に、光軸方向での中心強度最大位置の変
    化を検出して前記記録媒体の前記透明保護層の厚みムラ
    を検出することを特徴とする請求項4記載の光ヘッド装
    置。
  6. 【請求項6】前記厚みムラ検出系は、前記焦点ぼけ検出
    系により検出された焦点ぼけに基づいて焦点ぼけ補正が
    行われている間に、光軸方向での中心強度最大位置の変
    化を検出して前記記録媒体の前記透明保護層の厚みムラ
    を検出するための光学系を、さらに有することを特徴と
    する請求項4記載の光ヘッド装置。
  7. 【請求項7】所定の波長の光を供給する光源と、 この光源からの光を記録媒体の記録層に集光する対物レ
    ンズと、 この対物レンズを、光軸方向および前記記録媒体に予め
    形成されている案内溝または信号マーク列を横切る方向
    に移動させる対物レンズ移動機構と、 前記対物レンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出系
    と、 前記記録媒体の前記対物レンズに最も近接して設けられ
    る透明樹脂層の厚みのムラを検出する厚みムラ検出系
    と、 この厚みムラ検出系により検出された前記記録媒体の前
    記透明樹脂層の厚みの変化に基づいて、前記光源から前
    記対物レンズに入射される光の結像特性を変化させる厚
    みムラ補正機構と、を有することを特徴とする光ヘッド
    装置を有し、前記焦点ぼけ検出系により検出された焦点
    ぼけ検出信号を用いて、前記対物レンズの焦点ぼけ補正
    制御を行うとともに、焦点ぼけ補正制御時における前記
    厚みムラ検出系により検出される前記厚みムラ検出信号
    を用いて、前記透明樹脂層の厚みムラを検出することを
    特徴とする情報記録媒体の透明樹脂層の厚みムラ検出方
    法。
  8. 【請求項8】前記厚みムラ検出系は、前記焦点ぼけ検出
    系により検出された焦点ぼけに基づいて焦点ぼけ補正が
    行われている間に、光軸方向での中心強度最大位置の変
    化を検出して前記記録媒体の前記透明保護層の厚みムラ
    を検出することを特徴とする請求項7記載の厚みムラ検
    出方法。
  9. 【請求項9】前記厚みムラ検出系は、前記焦点ぼけ検出
    系により検出された焦点ぼけに基づいて焦点ぼけ補正が
    行われている間に、光軸方向での中心強度最大位置の変
    化を検出して前記記録媒体の前記透明保護層の厚みムラ
    を検出するための光学系を、さらに有することを特徴と
    する請求項7記載の厚みムラ検出方法。
  10. 【請求項10】所定の波長の光を供給する光源と、 この光源からの光を記録媒体の記録層に集光する対物レ
    ンズと、 この対物レンズを、光軸方向および前記記録媒体に予め
    形成されている案内溝または信号マーク列を横切る方向
    に移動させる対物レンズ移動機構と、 前記対物レンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出系
    と、 前記記録媒体の前記対物レンズに最も近接して設けられ
    る透明樹脂層の厚みのムラを検出する厚みムラ検出系
    と、 この厚みムラ検出系により検出された前記記録媒体の前
    記透明樹脂層の厚みの変化に基づいて、前記光源から前
    記対物レンズに入射される光の結像特性を変化させる厚
    みムラ補正機構と、を有することを特徴とする光ヘッド
    装置を有し、前記焦点ぼけ検出系により検出された焦点
    ぼけ検出信号を用いて、前記対物レンズの焦点ぼけ補正
    制御を行うとともに、焦点ぼけ補正制御時における前記
    厚みムラ検出系により検出される前記厚みムラ検出信号
    を用いて、前記透明樹脂層の厚みムラを検出し、前記透
    明樹脂層の厚みムラの影響を除去しながら前記対物レン
    ズの焦点ぼけの影響を除去し、前記記録媒体の記録層に
    記録されている情報を再生し、もしくは前記記録媒体に
    情報を記録する情報記録再生装置。
  11. 【請求項11】前記厚みムラ検出系は、前記焦点ぼけ検
    出系により検出された焦点ぼけに基づいて焦点ぼけ補正
    が行われている間に、光軸方向での中心強度最大位置の
    変化を検出して前記記録媒体の前記透明保護層の厚みム
    ラを検出することを特徴とする請求項10記載の情報記
    録再生装置。
  12. 【請求項12】前記厚みムラ検出系は、前記焦点ぼけ検
    出系により検出された焦点ぼけに基づいて焦点ぼけ補正
    が行われている間に、光軸方向での中心強度最大位置の
    変化を検出して前記記録媒体の前記透明保護層の厚みム
    ラを検出するための光学系を、さらに有することを特徴
    とする請求項11記載の情報記録再生装置。
  13. 【請求項13】前記厚みムラ補正機構の応答周波数(遮
    断周波数)を、前記対物レンズの焦点ぼけの影響を除去
    する焦点ぼけ補正制御系の応答周波数(遮断周波数)よ
    りも、低く設定したことを特徴とする請求項10ないし
    12のいずれかに記載の情報記録再生装置。
  14. 【請求項14】前記厚みムラ検出系は、検出対象である
    光のスポット断面半径を1とした時、r≦0.88を満
    たす範囲内で前記光の光量を減衰させ、あるいは前記光
    の位相特性を変化させ、もしくは、前記光の光量を減衰
    させるとともにその位相を変化させる光学素子を含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の光ヘッド装置。
  15. 【請求項15】前記厚みムラ検出系は、検出対象である
    光のスポット断面半径を1とした時、r≦0.88を満
    たす範囲内で前記光の光量を減衰させ、あるいは前記光
    の位相特性を変化させ、もしくは、前記光の光量を減衰
    させるとともにその位相を変化させる光学素子を含むこ
    とを特徴とする請求項4記載の光ヘッド装置。
  16. 【請求項16】前記厚みムラ検出系は、検出対象である
    光のスポット断面半径を1とした時、r≦0.88を満
    たす範囲内で前記光の光量を減衰させ、あるいは前記光
    の位相特性を変化させ、もしくは、前記光の光量を減衰
    させるとともにその位相を変化させる光学素子を含むこ
    とを特徴とする請求項7記載の透明樹脂層の厚みムラ検
    出方法。
  17. 【請求項17】前記厚みムラ検出系は、検出対象である
    光のスポット断面半径を1とした時、r≦0.88を満
    たす範囲内で前記光の光量を減衰させ、あるいは前記光
    の位相特性を変化させ、もしくは、前記光の光量を減衰
    させるとともにその位相を変化させる光学素子を含むこ
    とを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載
    の情報記録再生装置。
  18. 【請求項18】所定の波長の光を供給する光源と、 この光源からの光を記録媒体の記録層に集光する対物レ
    ンズと、 この対物レンズを、光軸方向および前記記録媒体に予め
    形成されている案内溝または信号マーク列を横切る方向
    に移動させる対物レンズ移動機構と、 前記対物レンズの焦点ぼけを検出する焦点ぼけ検出系
    と、 前記記録媒体の前記対物レンズに最も近接して設けられ
    る透明樹脂層の厚みのムラを検出する厚みムラ検出系
    と、 この厚みムラ検出系により検出された前記記録媒体の前
    記透明樹脂層の厚みの変化に基づいて、前記光源から前
    記対物レンズに入射される光の結像特性を変化させる厚
    みムラ補正機構と、を有することを特徴とする光ヘッド
    装置を有し、前記焦点ぼけ検出系により検出された焦点
    ぼけ検出信号を用いて、前記透明樹脂層の厚みムラを検
    出し、前記透明樹脂層の厚みムラの影響を除去しながら
    前記対物レンズの焦点ぼけの影響を除去し、前記記録媒
    体の記録層に記録されている情報を再生し、もしくは前
    記記録媒体に情報を記録する情報記録再生方法。
  19. 【請求項19】前記厚みムラ検出系は、前記焦点ぼけ検
    出系により検出された焦点ぼけに基づいて焦点ぼけ補正
    が行われている間に、光軸方向での中心強度最大位置の
    変化を検出して前記記録媒体の前記透明保護層の厚みム
    ラを検出することを特徴とする請求項18記載の情報記
    録再生方法。
  20. 【請求項20】前記厚みムラ検出系は、前記焦点ぼけ検
    出系により検出された焦点ぼけに基づいて焦点ぼけ補正
    が行われている間に、光軸方向での中心強度最大位置の
    変化を検出して前記記録媒体の前記透明保護層の厚みム
    ラを検出するための光学系を、さらに有することを特徴
    とする請求項18記載の情報記録再生方法。
JP2001199979A 2001-06-29 2001-06-29 光ヘッド装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生装置ならびに情報記録再生方法および厚みムラ検出方法 Pending JP2003016664A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001199979A JP2003016664A (ja) 2001-06-29 2001-06-29 光ヘッド装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生装置ならびに情報記録再生方法および厚みムラ検出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001199979A JP2003016664A (ja) 2001-06-29 2001-06-29 光ヘッド装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生装置ならびに情報記録再生方法および厚みムラ検出方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004265992A Division JP4213645B2 (ja) 2004-09-13 2004-09-13 光ヘッド装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003016664A true JP2003016664A (ja) 2003-01-17

Family

ID=19037180

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001199979A Pending JP2003016664A (ja) 2001-06-29 2001-06-29 光ヘッド装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生装置ならびに情報記録再生方法および厚みムラ検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003016664A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008152009A (ja) * 2006-12-18 2008-07-03 Fujitsu Ltd ホログラム記録再生装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008152009A (ja) * 2006-12-18 2008-07-03 Fujitsu Ltd ホログラム記録再生装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7460448B2 (en) Optical pick-up head, optical information apparatus, and optical information reproducing method
US7746736B2 (en) Optical head and optical disk device capable of detecting spherical aberration
JP2003045042A (ja) 情報記録媒体の厚みムラ補正方法および厚みムラ補正方法を用いた情報記録再生装置
JPH10500526A (ja) 記録媒体を光学的に走査する装置
KR100418006B1 (ko) 수차 검출 장치, 수차 검출 방법 및 광 픽업 장치
JP2000076665A (ja) 光ピックアップ装置
KR100441366B1 (ko) 초점 위치 어긋남 검출 방법 및 광 픽업 장치
JP2007207381A (ja) 光学的情報記録再生装置
JP2001307349A (ja) 光ディスク装置
JP4318622B2 (ja) 光ピックアップ装置
JP2005135539A (ja) 光ヘッドおよびそれを用いた光学的情報記録再生装置
JP2002170256A (ja) 光ヘッド装置、記録及び/又は再生装置並びに記録及び/又は再生方法
JP4213645B2 (ja) 光ヘッド装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生方法
JP2003016664A (ja) 光ヘッド装置およびその光ヘッド装置を用いた情報記録再生装置ならびに情報記録再生方法および厚みムラ検出方法
JP4716724B2 (ja) 光ピックアップ装置
JP2004185758A (ja) 光ピックアップ装置およびその製造方法
JP2002367197A (ja) 光ディスク装置及び光ディスク装置の制御方法
JP2000163796A (ja) マルチビーム光ピックアップ装置及びフォーカス制御方法
JP3658092B2 (ja) 光ピックアップヘッド装置、光情報処理装置及び光ピックアップヘッド装置の組立調整方法
US20040135062A1 (en) Focus error detecting device and optical pickup device having the same
JPH05307760A (ja) 光ピックアップ
JP4462298B2 (ja) 光ヘッドおよび光ディスク装置
KR100657297B1 (ko) 래디얼 틸트 검출 방법 및 이를 실현할 수 있는 광 기록및/또는 재생기기
JP2004079123A (ja) 光ディスク装置
US20070097810A1 (en) Optical head unit and optical disc apparatus

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040713

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040913

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20051004