JP2003004514A - 天秤装置 - Google Patents

天秤装置

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JP2003004514A
JP2003004514A JP2001190786A JP2001190786A JP2003004514A JP 2003004514 A JP2003004514 A JP 2003004514A JP 2001190786 A JP2001190786 A JP 2001190786A JP 2001190786 A JP2001190786 A JP 2001190786A JP 2003004514 A JP2003004514 A JP 2003004514A
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balance
magnet
rotor magnet
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JP2001190786A
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Yoshihiro Takada
義博 高田
Sotofumi Yamada
外史 山田
Takahisa Oji
貴久 大路
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気浮上式の軸受構造を用いた天秤装置にお
いて、天秤ビームを支持する支軸の軸線方向の位置ずれ
をより一層の高精度で無くすようにする。 【解決手段】 試料Sを支持する天秤ビーム4と、天秤
ビーム4を支持する支軸3と、支軸3を磁力により浮か
せた状態で回転可能に支持する軸受2と、支軸3の軸線
方向X0の位置変化を検出する支軸位置センサ14とを
有する天秤装置である。支軸位置センサ14は、軸線X
0上に配置された検知片18と、検知片18の軸線X0
方向の動きを検知する検知装置19a,21aとを有す
る。センサ14を軸線X0上の配置することにより支軸
3の位置検知精度を高め、これにより、支軸3の位置調
整精度を高める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱重量測定(T
G:Thermogravimetry)、熱膨張測定、熱機械分析(T
MA:Thermomechanical analysis)等といった熱分析
に好適に用いられる天秤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、TG測定では、物質の温度を一
定のプログラムに従って変化させながら、その物質の重
量の温度依存性が測定される。また、熱膨張測定では、
物質の温度を一定のプログラムに従って変化させなが
ら、その物質の寸法の温度依存性が測定される。また、
TMA測定では、物質の温度を一定のプログラムに従っ
て変化させると共に非振動的な荷重を加えながら、当該
物質の寸法の変化が測定される。なお、熱膨張測定とT
MA測定との間では、物質に積極的に荷重を加えるか否
かにおいて基本的な相違があるものであり、天秤装置と
しては両者の間で共通のものを使用できると考えられ
る。
【0003】上記のような各種の熱分析において用いら
れる天秤装置として、従来、図5に示すように、ベアリ
ング又はピボット101によって天秤ビーム102を支
える方式の装置が知られている。なお、図5の装置は熱
膨張測定装置又はTMA装置に天秤装置を適用した場合
の例を示しており、符号103は天秤ビーム102の角
度検出装置を示し、符号104は天秤ビーム102の先
端に設けられた検出棒を示し、符号106は試料Sを加
熱するヒータを示している。検出棒104の上端は試料
Sの下面に接触し、試料Sに寸法変化が発生するとき、
その寸法変化が検出棒104を介して天秤ビーム102
に伝えられる。
【0004】また、従来の天秤装置として、図6に示す
ように、一端が機枠107に固定され一対のワイヤ10
8で引っ張ることによって天秤ビーム102を支える方
式の装置が知られている。なお、図6の装置はTG装置
に天秤装置を適用した場合の例を示している。このTG
装置では、磁石111及び電磁コイル112によって天
秤角度調整装置109が構成され、電磁コイル112に
天秤ビーム102の一端が固着され、各天秤ビーム10
2の他端に支持ビーム113が設けられ、各支持ビーム
113の他端に標準物質M及び試料Sが支持される。
【0005】標準物質M及び試料Sはヒータ106によ
って共通に加熱され、その加熱中に、試料Sの物性に応
じて標準物質Mと試料Sとの間に重量差が発生すると、
天秤ビーム102が電磁コイル112と共にワイヤ10
8を中心として重量差に応じた角度だけ回転する。この
回転角度は、電磁コイル112から延びる検知片114
を介して角度検出装置103によって検出される。
【0006】しかしながら、上記ベアリング又はピボッ
ト101を用いた図5の天秤装置では、ベアリング又は
ピボット101において動摩擦と静止摩擦との間に大き
な差が発生し、このため、天秤ビーム102の動きが不
安定であるという問題があった。また、ベアリング又は
ピボット101でグリス、オイル等を用いるのでそれら
の粘性に起因して測定感度が鈍くなるという問題もあっ
た。
【0007】また、ワイヤ108を用いた図6の天秤装
置では、動摩擦と静止摩擦との間にはほとんど差がない
ので、ベアリング等を用いた装置と比べて感度の高い測
定を行うことができるが、クリープや劣化によってワイ
ヤ108に伸びや撓みが発生し、このため、長期間にわ
たって高い感度を維持することが難しいという問題があ
った。また、場合によっては、ワイヤが切れて測定不能
となる場合もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来の天
秤装置における問題点を解消するため、本出願人は、未
だ公知ではないが、特願2000−101600号にお
いて、図7に示すような天秤装置を提案した。この装置
では、試料Sを支持する支持ビーム113aと、標準物
質Mを支持する支持ビーム113bとを天秤ビーム10
2によって支持し、さらに天秤ビーム102を支軸11
6によって支持する。
【0009】また、支軸の適所にロータ磁石117を設
け、それらのロータ磁石117をステータ磁石118に
よって取り囲み、ステータ磁石118は図示しない機枠
に位置不動に固定する。ロータ磁石117とステータ磁
石118とは互いに同極性が対向するように位置設定さ
れ、これにより、支軸116はロータ磁石117とステ
ータ磁石118との間に発生する磁力によって浮かされ
た状態で、支軸116の軸線X0を中心として回転可能
に支持される。
【0010】図7に示す天秤装置では、支軸116従っ
て天秤ビーム102は磁力によって浮かされた状態で支
持されるので、支軸116に発生する摩擦抵抗には動摩
擦又は静止摩擦の区別が無くなり、その値も極めて小さ
くなり、このため、試料Sに生じる微小な重量変化を高
感度で検知できるという格別な効果を得ることができる
ようになった。
【0011】図7に示す天秤装置では、軸方向位置セン
サ119及び軸方向位置調整装置121を用いて支軸1
16の軸線X0方向に関する位置ずれを防止するように
してあるが、より一層の測定精度の向上を図るために
は、支軸116の軸線X0方向の位置ずれ又は振動をよ
り一層少なくすることが要望されていた。
【0012】本発明は、上記の問題点に鑑みて成された
ものであって、磁気浮上式の軸受構造を用いた天秤装置
において、天秤ビームを支持する支軸の軸線方向の位置
ずれをより一層の高精度で無くすことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】(1) 上記の目的を達
成するため、本発明に係る天秤装置は、試料を支持する
天秤ビームと、該天秤ビームを支持する支軸と、該支軸
を磁力により浮かせた状態で回転可能に支持する軸受手
段と、前記支軸の軸線方向の位置変化を検出する支軸位
置センサとを有し、該支軸位置センサは、前記軸線上に
配置された検知片と、該検知片の軸線方向の動きを検知
する検知手段とを有することを特徴とする。
【0014】この構成の天秤装置によれば、検知片が支
軸の軸線上に設けられていて、図7に示す従来装置にお
いて符号119で示すように支軸116から半径方向に
突出した状態で設けられるのではない。検知片が図7の
符号119で示すように支軸116の半径方向に突出し
て設けられると、支軸116が軸線X0を中心として回
転するとき、検知片が支軸116と一体になって動くの
で、その検知片を検知するセンサに対する当該検知片の
位置が変動し、それ故、検知片の検知精度が悪くなるか
もしれない。この現象は検知片の支軸116からの突出
距離が長くなればなる程、顕著に現れると考えられる。
【0015】これに対し、上記構成のように検知片を支
軸の軸線上に配置すれば、支軸が回転する場合でも検知
片のセンサに対する位置にはそれほど大きな変動が発生
せず、それ故、支軸の軸方向の位置ずれを極めて高精度
に検出することが可能である。この結果、磁気浮上式の
軸受構造を用いた天秤装置において、天秤ビームを支持
する支軸の軸線方向の位置ずれをより一層の高精度で無
くすことが可能となる。
【0016】(2) 次に、本発明に係る他の天秤装置
は、上記(1)項に記載した構成の天秤装置において、
前記軸受手段は、前記支軸上に設けられたロータ磁石
と、該ロータ磁石を包囲するステータ磁石とを有し、前
記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間に生じる磁力に
よって前記支軸を浮かせた状態で支持し、前記ステータ
磁石の外周であって前記支軸に作用する重力の方向と反
対側に部分的に磁性材料を設けたことを特徴とする。
【0017】この構成の天秤装置によれば、ステータ磁
石の外周であって重力方向と反対側の領域に部分的に磁
性材料、いわゆるヨークを設けるようにしたので、ロー
タ磁石とステータ磁石との間に発生する磁力の強さが、
その磁性材料が占める面積の割合だけ弱くなる。このた
め、支軸の軸線方向の位置ずれ調整が行い易くなる。ま
た、磁性材料を設けるのは重力方向と反対側の部分であ
って、重力方向に相当する部分には磁性材料を設けない
ので、重力が作用する部分の磁力は弱くなることはな
く、それ故、磁力によって支軸を浮かせる作用が弱くな
ることはない。
【0018】図1に示す磁気浮上方式の天秤装置におい
ては、支軸3の軸線X0方向の位置は、基本的には、ロ
ータ磁石12とステータ磁石13との磁気的な釣り合い
によって決められる。そして、その磁気的な釣り合いが
ずれたときには、釣り合い状態に復帰しようという磁気
的な力が支軸3に対してその軸線X0方向に作用する。
この力は、支軸を軸線方向に飛び出させようとする力と
して該支軸3に作用する。
【0019】ロータ磁石とステータ磁石との間に作用す
る磁力が強い場合には、支軸に作用する上記の飛出し力
が大きいので、支軸の軸線方向の位置ずれを抑えるため
の手段を大掛かりにしなければならない。例えば、支軸
の軸線方向の位置ずれを電磁石の磁力によって抑える場
合には、その電磁石の容量を非常に大きくしなければな
らず、形状も大きくなるし、制御もし難くなるという問
題が考えられる。これに対し、磁性材料によって形成さ
れたヨークを用いるようにした上記構成の天秤装置によ
れば、軸受機能を果たすための磁力はそれ程弱められる
ことなく、しかし支軸に作用する飛出し力は弱めること
ができるので、支軸の軸線方向に関する位置制御を容易
に行うことができるようになる。
【0020】(3) 次に、本発明に係る他の天秤装置
は、上記(1)項又は(2)項に記載した構成の天秤装
置において、前記支軸の軸線方向の位置を調整する支軸
位置調整手段とを有し、該支軸位置調整手段は、前記支
軸に設けられ磁性材料から成る被位置調整体と、通電に
よって制御される磁力を前記被位置調整体に付与する電
磁力付与手段とを有し、前記被位置調整体は前記電磁力
付与手段に対向して頂点が位置するように該電磁力付与
手段に向けて突出する山形状を有することを特徴とす
る。
【0021】上記構成において、「被位置調整体」を構
成する磁性材料は、例えば、鉄等の金属材料を用いるこ
とができる。また、「電磁力付与手段」は、例えば、鉄
等といった磁性材料によって形成された芯部材、すなわ
ちコアのまわりに通電用コイルを巻き回して成る電磁石
を用いることができる。また、「山形状」の具体的な形
状は、円錐形状や、球の一部分の形状や、角錐形状や、
球に近似する凸形状等といった適宜の形状とすることが
できる。
【0022】以上のように、電磁力付与手段によって磁
力を付与される被位置調整体の形状を山形状に設定すれ
ば、その山形状の頂点部分が電磁力付与手段によって最
も強く引かれたり、最も強く押しやられたりするので、
被位置調整体を真っ直ぐに移動させて位置調整を行うこ
とができ、それ故、支軸の軸線方向の位置を極めて高精
度に制御できる。
【0023】(4) 次に、本発明に係る他の天秤装置
は、上記(1)項から(3)項に記載した構成の天秤装
置において、前記軸受手段は、前記支軸上に設けられた
ロータ磁石と、該ロータ磁石を包囲するステータ磁石と
を有し、前記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間に生
じる磁力によって前記支軸を浮かせた状態で支持し、前
記ステータ磁石の磁極中心と前記ロータ磁石の磁極中心
とは互いに前記支軸の軸線方向に関してずれていること
を特徴とする。
【0024】仮に、ステータ磁石の磁極中心と前記ロー
タ磁石の磁極中心とが支軸の軸線方向に関して一致する
ように設定されると、支軸の軸線方向に関する位置ずれ
を制御するときには、支軸を押したり、あるいは引いた
りして位置調整を行わなければならない。支軸の位置調
整を電磁石等を用いて行うものとすれば、上記のように
押したり、あるいは引いたりする動作は、電磁石への通
電の極性をプラスとマイナスとの間で頻繁に切り替えな
ければならず、制御が非常に面倒になる。
【0025】これに対し、本発明のようにステータ磁石
の磁極中心とロータ磁石の磁極中心とを予め支軸の軸線
方向に関してずらせておけば、支軸の軸線方向の位置調
整を行うにあたっては、その支軸の引き付け量を調整し
たり、あるいはその支軸の押しやり量を調整したりする
だけという、一方向の制御だけで足り、それ故、支軸の
軸線方向の位置ずれを簡単に且つ高精度に調整できる。
【0026】(5) 次に、本発明に係る他の天秤装置
は、試料を支持する天秤ビームと、該天秤ビームを支持
する支軸と、該支軸を磁力により浮かせた状態で回転可
能に支持する軸受手段とを有し、該軸受手段は、前記支
軸上に設けられたロータ磁石と、該ロータ磁石を包囲す
るステータ磁石とを有し、前記ロータ磁石と前記ステー
タ磁石との間に生じる磁力によって前記支軸を浮かせた
状態で支持し、前記ステータ磁石の外周であって前記支
軸に作用する重力の方向と反対側に部分的に磁性材料を
設けたことを特徴とする。
【0027】この構成の天秤装置によれば、ステータ磁
石の外周であって重力方向と反対側の領域に部分的に磁
性材料、いわゆるヨークを設けるようにしたので、ロー
タ磁石とステータ磁石との間に発生する磁力の強さが、
その磁性材料が占める面積の割合だけ弱くなる。このた
め、支軸の軸線方向の位置ずれ調整が行い易くなる。ま
た、磁性材料を設けるのは重力方向と反対側の部分であ
って、重力方向に相当する部分には磁性材料を設けない
ので、重力が作用する部分の磁力は弱くなることはな
く、それ故、磁力によって支軸を浮かせる作用が弱くな
ることはない。
【0028】(6) 次に、本発明に係る他の天秤装置
は、上記(5)項に記載した構成の天秤装置において、
前記支軸の軸線方向の位置を調整する支軸位置調整手段
とを有し、該支軸位置調整手段は、前記支軸に設けられ
磁性材料から成る被位置調整体と、通電によって制御さ
れる磁力を前記被位置調整体に付与する電磁力付与手段
とを有し、前記被位置調整体は前記電磁力付与手段に対
向して頂点が位置するように該電磁力付与手段に向けて
突出する山形状を有することを特徴とする。
【0029】この構成の天秤装置によれば、電磁力付与
手段によって磁力を付与される被位置調整体の形状を山
形状に設定したので、その山形状の頂点部分が電磁力付
与手段によって最も強く引かれたり、最も強く押しやら
れたりする。このため、被位置調整体を真っ直ぐに移動
させて位置調整を行うことができ、それ故、支軸の軸線
方向の位置を極めて高精度に制御できる。
【0030】(7) 次に、本発明に係る他の天秤装置
は、上記(5)項又は(6)項に記載した構成の天秤装
置において、前記軸受手段は、前記支軸上に設けられた
ロータ磁石と、該ロータ磁石を包囲するステータ磁石と
を有し、前記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間に生
じる磁力によって前記支軸を浮かせた状態で支持し、前
記ステータ磁石の磁極中心と前記ロータ磁石の磁極中心
とは互いに前記支軸の軸線方向に関してずれていること
を特徴とする。
【0031】この構成の天秤装置によれば、ステータ磁
石の磁極中心とロータ磁石の磁極中心とが予め支軸の軸
線方向に関してずらせて配置されるので、支軸の軸線方
向の位置調整を行うにあたっては、その支軸の引き付け
量を調整したり、あるいはその支軸の押しやり量を調整
したりするだけという、一方向の制御だけで足り、それ
故、支軸の軸線方向の位置ずれを簡単に且つ高精度に調
整できる。
【0032】(8) 次に、本発明に係る他の天秤装置
は、試料を支持する天秤ビームと、該天秤ビームを支持
する支軸と、該支軸を磁力により浮かせた状態で回転可
能に支持する軸受手段と、前記支軸の軸線方向の位置を
調整する支軸位置調整手段とを有し、該支軸位置調整手
段は、前記支軸に設けられ磁性材料から成る被位置調整
体と、通電によって制御される磁力を前記被位置調整体
に付与する電磁力付与手段とを有し、前記被位置調整体
は前記電磁力付与手段に対向して頂点が位置するように
該電磁力付与手段に向けて突出する山形状を有すること
を特徴とする。
【0033】この構成の天秤装置によれば、電磁力付与
手段によって磁力を付与される被位置調整体の形状を山
形状に設定したので、その山形状の頂点部分が電磁力付
与手段によって最も強く引かれたり、最も強く押しやら
れたりする。このため、被位置調整体を真っ直ぐに移動
させて位置調整を行うことができ、それ故、支軸の軸線
方向の位置を極めて高精度に制御できる。
【0034】(9) 次に、本発明に係る他の天秤装置
は、上記(8)項に記載した構成の天秤装置において、
前記軸受手段は、前記支軸上に設けられたロータ磁石
と、該ロータ磁石を包囲するステータ磁石とを有し、前
記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間に生じる磁力に
よって前記支軸を浮かせた状態で支持し、前記ステータ
磁石の磁極中心と前記ロータ磁石の磁極中心とは互いに
前記支軸の軸線方向に関してずれていることを特徴とす
る。
【0035】この構成の天秤装置によれば、ステータ磁
石の磁極中心とロータ磁石の磁極中心とが予め支軸の軸
線方向に関してずらせて配置されるので、支軸の軸線方
向の位置調整を行うにあたっては、その支軸の引き付け
量を調整したり、あるいはその支軸の押しやり量を調整
したりするだけという、一方向の制御だけで足り、それ
故、支軸の軸線方向の位置ずれを簡単に且つ高精度に調
整できる。
【0036】(10) 次に、本発明に係る他の天秤装
置は、試料を支持する天秤ビームと、該天秤ビームを支
持する支軸と、該支軸を磁力により浮かせた状態で回転
可能に支持する軸受手段とを有し、該軸受手段は、前記
支軸上に設けられたロータ磁石と、該ロータ磁石を包囲
するステータ磁石とを有し、前記ロータ磁石と前記ステ
ータ磁石との間に生じる磁力によって前記支軸を浮かせ
た状態で支持し、前記ステータ磁石の磁極中心と前記ロ
ータ磁石の磁極中心とは互いに前記支軸の軸線方向に関
してずれていることを特徴とする。
【0037】この構成の天秤装置によれば、ステータ磁
石の磁極中心とロータ磁石の磁極中心とが予め支軸の軸
線方向に関してずらせて配置されるので、支軸の軸線方
向の位置調整を行うにあたっては、その支軸の引き付け
量を調整したり、あるいはその支軸の押しやり量を調整
したりするだけという、一方向の制御だけで足り、それ
故、支軸の軸線方向の位置ずれを簡単に且つ高精度に調
整できる。
【0038】(11) 次に、本発明に係る天秤装置
は、上記(1)項から(10)項に記載した構成の天秤
装置において、前記天秤ビームの前記支軸を中心とした
回転角度を検出する天秤角度センサと、前記天秤ビーム
の前記支軸を中心とした回転角度を調整する天秤角度調
整手段と、前記天秤角度センサの出力信号に基づいて前
記天秤角度調整手段を作動して前記天秤を回転角度ゼロ
の状態に維持する制御手段とを有することを特徴とす
る。
【0039】この構造の天秤装置は、いわゆる0(ゼ
ロ)メソッド天秤と呼ばれる構造の天秤である。上記
(1)項から(10)項に記載した構造の天秤装置によ
れば、支軸の軸線方向の位置ずれが高精度に抑えられ
て、支軸の軸線方向の振動を確実に抑えることができる
ので、天秤ビームを角度0(ゼロ)の位置に保持する制
御も非常に高精度に行うことができる。
【0040】
【発明の実施の形態】図1は、本発明をTG装置の天秤
機構として適用した場合の実施形態を示している。ここ
に示すTG装置は、機枠1に固定されて位置不動な一対
の軸受2と、これらの軸受2によって軸線X0を中心と
して回転可能に支持された支軸3と、この支軸3に固着
されると共に支軸3を横切るように延びる天秤ビーム4
とを有する。軸線X0は、支軸3の中心を通る軸線であ
る。また、天秤ビーム4は本実施形態の場合、支軸3に
対してほぼ直角に延びる直線状の棒として形成されてい
る。
【0041】ここで、「ほぼ直角」というのは、厳密に
直角な場合を含むことはもとより、厳密には直角ではな
いが熱分析装置の天秤機構としての機能を奏する上で実
用上問題のない程度に直角から傾斜する場合も含む意味
である。
【0042】天秤ビーム4の一方の先端部には支持ビー
ム6aが回転可能に支持され、その支持ビーム6aの上
部に試料ホルダ7aが支持ビーム6aと一体になるよう
に設けられている。試料ホルダ7aの上端には試料容器
8aが載置され、その試料容器8a内に測定対象である
試料Sが収容されている。
【0043】天秤ビーム4の他方の先端部には支持ビー
ム6bが回転可能に支持され、その支持ビーム6bの上
部に試料ホルダ7bが支持ビーム6bと一体になるよう
に設けられている。試料ホルダ7bの上端には試料容器
8bが載置され、その試料容器8b内に標準物質Mが収
容されている。標準物質Mは、少なくとも測定温度範囲
内で熱的に安定な物質、すなわち熱変化があっても物性
変化を示さない物質によって形成される。符号17は、
標準物質Mと試料Sとを共通に昇温させるためのヒータ
を示している。
【0044】一対の支持ビーム6a及び6bの下端はワ
イヤ9によって連結されている。これにより、支持ビー
ム6a、支持ビーム6b、天秤ビーム4及びワイヤ9に
よって、いわゆる平行リンクが構成され、それ故、天秤
ビーム4が支軸3の軸線X0を中心として回転角度変位
するときには、支持ビーム6a及び6bは互いに反対方
向へ平行移動する。この結果、支持ビーム6a及び6b
に設けられた試料ホルダ7a及び7bは天秤ビーム4の
回転角度変位に応じて互いに反対方向へ平行移動する。
例えば、試料ホルダ7aが矢印Aのように図の上方向へ
平行移動するときには、試料ホルダ7bは矢印Aのよう
に図の下方向へ平行移動し、反対に、試料ホルダ7aが
矢印A’のように図の下方向へ平行移動するときには、
試料ホルダ7bは矢印A’のように図の上方向へ平行移
動する。
【0045】なお、実際の熱分析測定の最中において
は、試料Sと標準物質Mとの間に重量差が生じて天秤ビ
ーム4が回転角度変位を生じようとしても、後述する制
御系の働きにより、そのような天秤ビーム4の回転角度
変位はほとんど生じないような制御が行われる。このよ
うな制御を行う天秤構造は、天秤ビーム4が角度変位し
ないという意味で、0(ゼロ)メソッド天秤と呼ばれる
ことがある。
【0046】また、本実施形態では、標準物質Mと試料
Sとの間での重量差を測定する方式の、いわゆる示差型
のTG装置を考えたが、場合によっては標準物質Mを用
いることなく、試料Sに関する絶対的な重量変化を直接
に測定する場合もあり、このような場合には標準物質M
側の支持ビーム6b及びそれに付随する部品は設けなく
ても良い。なお、符号11は天秤ビーム4の平衡をとる
ための重量であるカウンタバランスを示している。
【0047】軸受2は磁気浮上式の軸受であり、支軸3
上に設けられたロータ磁石12と、そのロータ磁石12
を包囲するステータ磁石13とを有する。図2は、図1
の軸受2を側面方向から見た場合の断面構造を示してい
る。また、図3は、図2のIII−III線に従って、
軸受2を正面方向から見た場合の断面構造を示してい
る。
【0048】図2において、ロータ磁石12とステータ
磁石13とは、N磁極及びS磁極に関して同じ磁極が対
向するような相対関係に配置されており、この結果、支
軸3は、ロータ磁石12とステータ磁石13との間で互
いを反発するように発生する磁気力によって、ステータ
磁石13から浮かんだ状態で支持される。このような磁
気浮上式の軸受構造は、ワイヤやベアリング等を用いた
軸受構造のような接触式の軸受構造ではなくて、非接触
式の軸受構造であるので、支軸3に発生する摩擦抵抗に
は動摩擦又は静止摩擦の区別が無くなり、その値も極め
て小さくなる。このため、支軸3から延びる天秤ビーム
4は、試料Sの極めて微小な重量変化に対しても極めて
高感度に反応してその重量変化に対応した大きさの回転
角度変位を生じる。この結果、本実施形態のTG装置で
は、試料Sに発生する極めて微小な重量変化を高精度に
検出できる。
【0049】図1において、支軸3の一方の端部に支軸
軸方向位置センサ14が設けられ、また、支軸3の他方
の端部に支軸軸方向位置調整装置16が設けられる。支
軸軸方向位置センサ14は、支軸3の軸線X0上に設け
られた検知片18と、発光素子19aと、この発光素子
19aからの光を受光できる位置に配置された受光素子
21aとによって構成されている。支軸3が軸線X0方
向に位置変位すると、発光素子19aから出て受光素子
21aに受光される光の光量に変化が生じ、この変化に
応じて受光素子21aの出力信号に変化が生じる。受光
素子21aの出力端子に接続された軸方向位置制御回路
22は、受光素子21aからの出力信号の変化に基づい
て支軸3の軸線X0方向の位置ずれの量を検出する。
【0050】支軸軸方向位置調整装置16は、支軸3の
端部に設けた被位置調整体23と、電磁力付与装置24
とを有し、その電磁力付与装置24は、鉄等といった磁
性材料によって形成されたコア26に通電用コイル27
を巻き回すことによって形成されている。
【0051】上記の軸方向位置制御回路22は、支軸軸
方向位置センサ14内の受光素子21aの出力信号に基
づいて、支軸軸方向位置調整装置16内の通電用コイル
27へ流す電流量を制御して電磁力付与装置24による
被位置調整体23に対する電磁吸引力又は電磁離反力を
調整する。この電磁力の調整により、支軸3は軸線X0
方向に関して常に一定の位置に保持される。そしてその
結果、天秤ビーム4によって支持される試料S及び標準
物質Mを軸線X0方向に関して一定の位置に保持でき
る。
【0052】図1において、支軸3の適所、本実施形態
では支軸軸方向位置センサ14に近い部分の支軸3の所
に天秤角度センサ28が設けられる。また、試料S側の
支持ビーム6aの適所に天秤角度調整装置29が設けら
れる。天秤角度センサ28は、支軸3からその半径方向
に延びる検知片31と、発光素子19bと、この発光素
子19bからの光を受光できる位置に配置された受光素
子21bとによって構成されている。支軸3が軸線X0
を中心として角度変化すると、発光素子19bから出て
受光素子21bに受光される光の光量に変化が生じ、こ
の変化に応じて受光素子21bの出力信号に変化が生じ
る。受光素子21bの出力端子に接続されたTG測定回
路32は、受光素子21bからの出力信号の変化に基づ
いて支軸3の軸線X0まわりの角度ずれの量、すなわち
天秤ビーム4の軸線X0まわりの傾斜角度を検出する。
【0053】天秤角度調整装置29は、支持ビーム6a
の適所に設けた又は支持ビーム6aの適所に着磁した磁
石33と、この磁石33の周囲に設けた電磁コイル34
とを有する。上記のTG測定回路32は、天秤角度セン
サ28内の受光素子21bの出力信号に基づいて、天秤
角度調整装置29内の電磁コイル34へ流す電流量を制
御して磁石33、従って支持ビーム6aを図の上方又は
下方へ必要量だけ移動させ、天秤ビーム4が常に一定状
態、通常は、水平状態を維持するように制御する。
【0054】また、TG測定回路32は、天秤ビーム4
を一定状態に維持するために天秤角度調整装置29へ供
給した通電量に基づいて、天秤ビーム4の回転角度量を
測定する。この天秤ビーム4の回転角度量が、とりもな
おさず標準物質Mと試料Sとの間に生じた重量差を示す
量である。
【0055】図1において、支軸軸方向位置調整装置1
6の近くの支軸3上に支軸上下位置センサ36及び支軸
上下位置調整装置37が設けられる。支軸上下位置セン
サ36は、支軸3から延びる検知片38と、発光素子1
9cと、この発光素子19cからの光を受光できる位置
に配置された受光素子21cとによって構成されてい
る。支軸3が軸線X0方向に対して直角方向に位置変位
すると、発光素子19cから出て受光素子21cに受光
される光の光量に変化が生じ、この変化に応じて受光素
子21cの出力信号に変化が生じる。受光素子21cの
出力端子に接続された上下位置制御回路39は、受光素
子21cからの出力信号の変化に基づいて支軸3の軸線
X0方向と直角方向の位置ずれの量を検出する。
【0056】支軸上下位置調整装置37は、支軸3と一
体な被位置調整体41と、電磁力付与装置42とを有す
る。上記の上下位置制御回路39は、支軸上下位置セン
サ36内の受光素子21cの出力信号に基づいて、支軸
上下位置調整装置37へ流す電流量を制御して電磁力付
与装置42による被位置調整体41に対する電磁吸引力
又は電磁離反力を調整する。この電磁力の調整により、
支軸3は軸線X0方向と直角方向に関して常に一定の位
置に保持される。そしてその結果、天秤ビーム4によっ
て支持される試料S及び標準物質Mの上下方向位置を一
定の位置に保持する。
【0057】本実施形態のTG装置は以上のように構成
されているので、TG測定に際しては、ヒータ17への
通電量を所定のプログラムによって変化させてヒータ1
7の発熱量を変化させて、試料S及び標準物質Mの温度
を希望に応じて変化させる。この温度変化に最中、標準
物質Mは安定していて重量変化が無いが、試料Sはその
物性に応じて所定の温度において物性変化を生じ、その
ときに重量が変化する。
【0058】このように試料Sに重量変化が生じると
き、標準物質Mに対して重量差が発生し、その重量差に
応じて天秤ビーム4が正時計方向又は半時計方向へ回転
角度変位しようとする。このとき、天秤ビーム4の回転
角度は支軸3の回転として天秤角度センサ28によって
検出され、この検出結果に基づいてTG測定回路32に
よって天秤角度調整装置29への通電量が制御され、こ
れにより、天秤ビーム4が常に角度0(ゼロ)の水平位
置に保持される。
【0059】そして、TG測定回路32は天秤角度調整
装置29へ供給する通電量の変化に基づいて天秤ビーム
4の回転角度、従って試料Sの重量変化を演算によって
求める。こうして、試料Sの重量の温度変化に応じた変
化特性が測定される。
【0060】本実施形態のTG装置、特にそれを構成す
る天秤装置では、図1に関連して説明したように、支軸
軸方向位置センサ14内の検知片18が支軸3の軸線X
0上に配置されているので、図7に符号119で示した
支軸軸方向位置センサのように支軸116の半径方向に
突出して設けられる場合に比べて、支軸3が軸線X0の
まわりに回転する場合でも検知片18の受光素子21a
に対する位置にはそれほど大きな変動が発生しない。そ
れ故、支軸3の軸線X0方向の位置ずれを極めて高精度
に検出することが可能となり、その結果、支軸3の軸線
X0方向の位置ずれを支軸軸方向位置調整装置16によ
ってより一層高精度に無くすことが可能となった。
【0061】また、本実施形態では、図2及び図3に示
すように、軸受2を構成するステータ磁石13の外周で
あって支軸3に作用する重力の方向(すなわち、図2及
び図3の下方向)と反対側(すなわち、図2及び図3の
上側)における角度θの部分的範囲内に、磁性材料によ
ってヨーク43を設けた。本実施形態の場合、ヨーク4
3は図3に示すように、ステータ磁石13の反重力方向
B(すなわち、垂直上方)を中心とした±45°、すな
わち全体で90°の角度範囲で部分的に設けられてい
る。また、ステータ磁石13のヨーク43を設けた領域
以外の領域には、真鍮等といった非磁性材料44を配設
した。
【0062】このように支軸3の反重力方向Bに相当す
るステータ磁石13の外周に部分的に磁性材料のヨーク
43を設けると、ロータ磁石12とステータ磁石13と
の間に発生する磁力の強さが、そのヨーク43占める面
積の割合だけ弱くなる。このため、支軸3の軸線X0方
向の位置ずれ調整が行い易くなる。また、ヨーク43を
設けるのは重力方向と反対側の部分であって、重力方向
に相当する部分には磁性材料を設けないので、重力が作
用する部分の磁力は弱くなることはなく、それ故、磁力
によって支軸4を浮かせる作用が弱くなることはない。
【0063】図1に示す磁気浮上方式の天秤装置におい
ては、支軸3の軸線X0方向の位置は、基本的には、ロ
ータ磁石12とステータ磁石13との磁気的な釣り合い
によって決められる。そして、その磁気的な釣り合いが
ずれたときには、釣り合い状態に復帰しようという磁気
的な力が支軸3に対してその軸線X0方向に作用する。
この力は、支軸3を軸線X0方向に飛び出させようとす
る力として該支軸3に作用する。
【0064】ロータ磁石12とステータ磁石13との間
に作用する磁力が強い場合には、支軸3に作用する上記
の飛出し力が大きいので、支軸3の軸線X0方向の位置
ずれを抑えるための手段、本実施形態の場合は支軸軸方
向位置調整装置16を大掛かりにしなければならない。
例えば、電磁力付与装置24の容量を非常に大きくしな
ければならず、形状も大きくなるし、制御もし難くな
る。これに対し、部分的にヨーク43を設けるようにし
た本実施形態の天秤装置によれば、軸受機能を果たすた
めの磁力はそれ程弱めることなく、しかし支軸3に作用
する飛出し力は弱めることができ、それ故、支軸3の軸
線X0方向に関する位置制御を容易に行うことができ
る。
【0065】また、本実施形態の天秤装置では、支軸軸
方向位置調整装置16を構成する被位置調整体23の形
状を、図2に示すように、電磁力付与装置24に対向し
て頂点Pが位置するように突出する山形状に形成してあ
る。図2に示す実施形態では、より具体的には、球の表
面の一部分の形状によって被位置調整体23を形成して
ある。
【0066】このように、電磁力付与装置24によって
磁力を付与される被位置調整体23の形状を山形状に設
定すれば、その山形状の頂点Pが電磁力付与装置24に
よって最も強く引かれたり、最も強く押しやられたりす
るので、被位置調整体23を真っ直ぐに移動させて位置
調整を行うことができる。これにより、支軸3の軸線X
0方向に関する位置の調整を極めて高精度に制御でき
る。
【0067】なお、被位置調整体23に付与する山形状
は、図2に示すような球の表面形状にすることに限られ
ず、図4に示すような円錐形状とすることや、頂点Pを
有するその他の任意の山形状とすることができる。いず
れの場合にも、電磁力付与装置24による電磁力は頂点
Pに集中するので、被位置調整体23及びそれと一体な
支軸3を真っ直ぐに移動させることができる。
【0068】また、本実施形態の天秤装置では、図2に
示すように、軸受2において、ステータ磁石13の磁極
中心Pとロータ磁石12の磁極中心Pとを支軸3の
軸線X0方向に関して距離Dだけずらせて配置させてい
る。本実施形態では、ロータ磁石12が支軸軸方向位置
調整装置16から離れる方向へずれるようにしている
が、これとは反対に、ロータ磁石12が支軸軸方向位置
調整装置16へ近づく方向へずれるように、ずれ量Dを
設定することもできる。
【0069】図2のように、ロータ磁石12が支軸軸方
向位置調整装置16から離れる方向へずれるように、磁
極中心Pと磁極中心Pとを互いにずらせる場合に
は、支軸3には常に電磁力付与装置24へ向かうような
磁力が作用するから、支軸軸方向位置調整装置16は電
磁力付与装置24が被位置調整体23へ常に離反力(す
なわち、図2の左方向へ向かう力)を付与する状態で被
位置調整体23の位置、すなわち支軸3の位置を調整す
る。
【0070】このことは、電磁力付与装置24による電
磁力は常に図の左方向へ向かう一方向に関してのみ制御
すれば足りるということであり、制御方向が左右両方向
へ切り替わるということではないので、電磁力付与装置
24を用いて行われる支軸3の位置制御を簡単に行うこ
とができるということである。
【0071】以上に説明した本実施形態の天秤装置で
は、(a)図1において、支軸軸方向位置センサ14の
検知片18を支軸3の軸線方向X0の軸線上に配置する
こと、(b)図2及び図3において、ステータ磁石13
の外周であって支軸3に作用する重力の方向と反対側に
部分的に磁性材料のヨーク43を設けること、(c)図
2や図4において、支軸軸方向位置調整装置16の被位
置調整体23を山形状に形成すること、(d)図2にお
いて、ステータ磁石13の磁極中心PSとロータ磁石1
2の磁極中心PRとを軸線X0に関してずらすこと、の
各条件がそれぞれ1つづつ採用される場合でも、支軸3
の軸線方向X0に関する位置ずれ及び振動を無くすこと
ができる。しかしながら、それらの各条件を2つ、3つ
又は4つ組み合わせて実現すれば、支軸3の軸線方向X
0に関する位置ずれ及び振動をより一層確実に無くすこ
とができる。
【0072】以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を
説明したが、本発明はその実施形態に限定されるもので
なく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変
できる。
【0073】例えば、図1に示す実施形態では、本発明
に係る天秤装置をTG装置に適用したが、本発明に係る
天秤装置はTG装置以外の熱分析装置、例えば、熱膨張
測定装置やTMA装置等にも適用できる。
【0074】また、図1で採用した天秤装置の構造は、
あくまでも一例であり、支持ビーム6a,6b、試料ホ
ルダ7a,7b、その他の各種部品の形状及び構造は、
図示した形状等に限られず、適宜に改変可能である。
【0075】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1記載の
天秤装置によれば、検知片を支軸の軸線上に配置したの
で、支軸が回転する場合でも検知片のセンサに対する位
置にはそれほど大きな変動が発生せず、それ故、支軸の
軸方向の位置ずれを極めて高精度に検出することが可能
であり、この結果、磁気浮上式の軸受構造を用いた天秤
装置において、天秤ビームを支持する支軸の軸線方向の
位置ずれをより一層の高精度で無くすことが可能とな
る。
【0076】また、請求項5に記載の天秤装置によれ
ば、ステータ磁石の外周であって重力方向と反対側の領
域に部分的に磁性材料、いわゆるヨークを設けるように
したので、ロータ磁石とステータ磁石との間に発生する
磁力の強さが、その磁性材料が占める面積の割合だけ弱
くなり、このため、支軸の軸線方向の位置ずれ調整が行
い易くなり、この結果、磁気浮上式の軸受構造を用いた
天秤装置において、天秤ビームを支持する支軸の軸線方
向の位置ずれをより一層の高精度で無くすことが可能と
なる。なお、磁性材料を設けるのは重力方向と反対側の
部分であって、重力方向に相当する部分には磁性材料を
設けないので、重力が作用する部分の磁力は弱くなるこ
とはなく、それ故、磁力によって支軸を浮かせる作用が
弱くなることはない。
【0077】また、請求項8に記載の天秤装置によれ
ば、電磁力付与手段によって磁力を付与される被位置調
整体の形状を山形状に設定したので、その山形状の頂点
部分が電磁力付与手段によって最も強く引かれたり、最
も強く押しやられたりし、このため、被位置調整体を真
っ直ぐに移動させて位置調整を行うことができ、それ
故、磁気浮上式の軸受構造を用いた天秤装置において、
天秤ビームを支持する支軸の軸線方向の位置ずれをより
一層の高精度で無くすことが可能となる。
【0078】また、請求項10に記載の天秤装置によれ
ば、ステータ磁石の磁極中心とロータ磁石の磁極中心と
が予め支軸の軸線方向に関してずらせて配置されるの
で、支軸の軸線方向の位置調整を行うにあたっては、そ
の支軸の引き付け量を調整したり、あるいはその支軸の
押しやり量を調整したりするだけという、一方向の制御
だけで足り、それ故、磁気浮上式の軸受構造を用いた天
秤装置において、天秤ビームを支持する支軸の軸線方向
の位置ずれをより一層の高精度で無くすことが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る天秤装置を用いた熱分析装置の一
実施形態を一部模式的に示し一部斜視図で示す図であ
る。
【図2】図1の要部である支軸周りの構造を一部破断し
て示す側面図である。
【図3】図2のIII−III線に従った断面図であ
る。
【図4】図2に示す部分の構造の変形例を示す図であ
る。
【図5】従来の天秤装置の一例を示す斜視図である。
【図6】従来の天秤装置の他の一例を示す斜視図であ
る。
【図7】本発明の基礎となる天秤装置の構造を示す斜視
図である。
【符号の説明】
1 機枠 2 軸受 3 支軸 4 天秤ビーム 6a,6b 支持ビーム 7a,7b 試料ホルダ 8a,8b 試料容器 9 ワイヤ 12 ロータ磁石 13 ステータ磁石 14 支軸軸方向位置センサ 16 支軸軸方向位置調整装置 17 ヒータ 18 検知片 19a,19b,19c 発光素子 21a,21b,21c 受光素子 23 被位置調整体 24 電磁力付与装置 26 コア 27 通電用コイル 28 天秤角度センサ 29 天秤角度調整装置 31 検知片 33 磁石 34 電磁コイル 36 支軸上下位置センサ 37 支軸上下位置調整装置 38 検知片 43 ヨーク(磁性材料) 44 非磁性材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 25/20 G01N 25/20 G J Fターム(参考) 2G040 AA02 AB05 AB07 AB12 AB15 CA02 CA16 EC09 ZA01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料を支持する天秤ビームと、該天秤ビ
    ームを支持する支軸と、該支軸を磁力により浮かせた状
    態で回転可能に支持する軸受手段と、前記支軸の軸線方
    向の位置変化を検出する支軸位置センサとを有し、 該支軸位置センサは、前記軸線上に配置された検知片
    と、該検知片の軸線方向の動きを検知する検知手段とを
    有することを特徴とする天秤装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記軸受手段は、前記支軸上に設けられたロータ磁石
    と、該ロータ磁石を包囲するステータ磁石とを有し、前
    記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間に生じる磁力に
    よって前記支軸を浮かせた状態で支持し、 前記ステータ磁石の外周であって前記支軸に作用する重
    力の方向と反対側に部分的に磁性材料を設けたことを特
    徴とする天秤装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、 前記支軸の軸線方向の位置を調整する支軸位置調整手段
    とを有し、 該支軸位置調整手段は、前記支軸に設けられ磁性材料か
    ら成る被位置調整体と、通電によって制御される磁力を
    前記被位置調整体に付与する電磁力付与手段とを有し、
    前記被位置調整体は前記電磁力付与手段に対向して頂点
    が位置するように該電磁力付与手段に向けて突出する山
    形状を有することを特徴とする天秤装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3の少なくともいず
    れか1つにおいて、 前記軸受手段は、前記支軸上に設けられたロータ磁石
    と、該ロータ磁石を包囲するステータ磁石とを有し、前
    記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間に生じる磁力に
    よって前記支軸を浮かせた状態で支持し、 前記ステータ磁石の磁極中心と前記ロータ磁石の磁極中
    心とは互いに前記支軸の軸線方向に関してずれているこ
    とを特徴とする天秤装置。
  5. 【請求項5】 試料を支持する天秤ビームと、該天秤ビ
    ームを支持する支軸と、該支軸を磁力により浮かせた状
    態で回転可能に支持する軸受手段とを有し、 該軸受手段は、前記支軸上に設けられたロータ磁石と、
    該ロータ磁石を包囲するステータ磁石とを有し、前記ロ
    ータ磁石と前記ステータ磁石との間に生じる磁力によっ
    て前記支軸を浮かせた状態で支持し、 前記ステータ磁石の外周であって前記支軸に作用する重
    力の方向と反対側に部分的に磁性材料を設けたことを特
    徴とする天秤装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、 前記支軸の軸線方向の位置を調整する支軸位置調整手段
    とを有し、 該支軸位置調整手段は、前記支軸に設けられ磁性材料か
    ら成る被位置調整体と、通電によって制御される磁力を
    前記被位置調整体に付与する電磁力付与手段とを有し、
    前記被位置調整体は前記電磁力付与手段に対向して頂点
    が位置するように該電磁力付与手段に向けて突出する山
    形状を有することを特徴とする天秤装置。
  7. 【請求項7】 請求項5又は請求項6において、 前記軸受手段は、前記支軸上に設けられたロータ磁石
    と、該ロータ磁石を包囲するステータ磁石とを有し、前
    記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間に生じる磁力に
    よって前記支軸を浮かせた状態で支持し、 前記ステータ磁石の磁極中心と前記ロータ磁石の磁極中
    心とは初期状態で互いに前記支軸の軸線方向に関してず
    れていることを特徴とする天秤装置。
  8. 【請求項8】 試料を支持する天秤ビームと、該天秤ビ
    ームを支持する支軸と、該支軸を磁力により浮かせた状
    態で回転可能に支持する軸受手段と、前記支軸の軸線方
    向の位置を調整する支軸位置調整手段とを有し、 該支軸位置調整手段は、前記支軸に設けられ磁性材料か
    ら成る被位置調整体と、通電によって制御される磁力を
    前記被位置調整体に付与する電磁力付与手段とを有し、
    前記被位置調整体は前記電磁力付与手段に対向して頂点
    が位置するように該電磁力付与手段に向けて突出する山
    形状を有することを特徴とする天秤装置。
  9. 【請求項9】 請求項8において、 前記軸受手段は、前記支軸上に設けられたロータ磁石
    と、該ロータ磁石を包囲するステータ磁石とを有し、前
    記ロータ磁石と前記ステータ磁石との間に生じる磁力に
    よって前記支軸を浮かせた状態で支持し、 前記ステータ磁石の磁極中心と前記ロータ磁石の磁極中
    心とは初期状態で互いに前記支軸の軸線方向に関してず
    れていることを特徴とする天秤装置。
  10. 【請求項10】 試料を支持する天秤ビームと、該天秤
    ビームを支持する支軸と、該支軸を磁力により浮かせた
    状態で回転可能に支持する軸受手段とを有し、 該軸受手段は、前記支軸上に設けられたロータ磁石と、
    該ロータ磁石を包囲するステータ磁石とを有し、前記ロ
    ータ磁石と前記ステータ磁石との間に生じる磁力によっ
    て前記支軸を浮かせた状態で支持し、 前記ステータ磁石の磁極中心と前記ロータ磁石の磁極中
    心とは初期状態で互いに前記支軸の軸線方向に関してず
    れていることを特徴とする天秤装置。
  11. 【請求項11】 請求項1から請求項10の少なくとも
    いずれか1つにおいて、 前記天秤ビームの前記支軸を中心とした回転角度を検出
    する天秤角度センサと、 前記天秤ビームの前記支軸を中心とした回転角度を調整
    する天秤角度調整手段と、 前記天秤角度センサの出力信号に基づいて前記天秤角度
    調整手段を作動して前記天秤を回転角度ゼロの状態に維
    持する制御手段とを有することを特徴とする天秤装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017530348A (ja) * 2014-09-04 2017-10-12 メトラー−トレド ゲーエムベーハー 浮遊秤量パンを有する秤

Cited By (1)

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JP2017530348A (ja) * 2014-09-04 2017-10-12 メトラー−トレド ゲーエムベーハー 浮遊秤量パンを有する秤

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