JP2003003513A - 連続壁造成用溝掘削装置及び掘削方法 - Google Patents

連続壁造成用溝掘削装置及び掘削方法

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JP2003003513A
JP2003003513A JP2001190753A JP2001190753A JP2003003513A JP 2003003513 A JP2003003513 A JP 2003003513A JP 2001190753 A JP2001190753 A JP 2001190753A JP 2001190753 A JP2001190753 A JP 2001190753A JP 2003003513 A JP2003003513 A JP 2003003513A
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groove
continuous wall
excavation
water
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JP2001190753A
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Ryosuke Arai
良祐 荒井
Fumio Kinoshita
文男 木下
Hiroaki Kondo
博明 近藤
Yuji Nakajima
雄治 中島
Mamoru Hamano
衛 濱野
Tomoaki Shimano
知明 嶌野
Toshihiko Yamamoto
稔彦 山本
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Kobelco Construction Machinery Co Ltd
Sanwa Kizai Co Ltd
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Kobelco Construction Machinery Co Ltd
Sanwa Kizai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水底の地盤の掘削が可能となる連続壁造成用
溝掘削装置及び掘削方法を提供すること。 【解決手段】 本掘削装置1は、掘削刃2aにより海底
地盤100に連続壁造成用の溝Gを掘削するチェーン式
カッター2と、海面101上に浮遊する台船200に設
置される掘削装置本体3と、チェーン式カッター2を海
底地盤102の表面付近で支持しながら同カッター2に
よる掘削反力を、掘削装置本体3に伝達する支持手段4
とを具備している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤に連続壁を造
成するための連続溝を掘削する連続壁造成用溝掘削装置
及び掘削方法に関するものであって、特に海底地盤の掘
削に好適である。
【0002】
【従来の技術】従来、連続壁造成用溝を掘削するための
装置として、掘削する地盤上を走行可能な走行台車に連
結式カッターを垂直にして直接取り付け、このカッター
を地盤に挿入した状態で、同カッターを回転させながら
水平方向に移動させることにより、地盤に一定幅の溝を
連続して掘削するものが公知であり、この連続溝にセメ
ントミルク等の固化材を注入・固化させて連続壁が造成
される(特開平5-280043号,特開平5-280044号,特開20
00-226863号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来装置
では、掘削地盤よりも高位置に掘削装置本体が設置され
る場合、連結式カッターの長さが非常に長くなり、その
分だけ同カッターの駆動力も大きくなってしまうといっ
た問題があった。
【0004】また、上記従来装置による連続壁造成用溝
の掘削は地上からの工事に限定されており、水底工事、
例えば港湾内での海底の地盤に連続壁用溝を掘削するた
めに使用することはできないといった問題もあった。
【0005】すなわち、上記従来装置を、かりに台船に
搭載して、カッター長を海底の地盤に到達する長さとし
たとする。
【0006】この場合、長尺のカッターが台船上と海底
の地盤との間を周回し、例えば掻き下げ掘削を行うと、
連続溝の掘削側に大量の海水が流入するため、固化材の
混練状態に影響を及ぼす。また、掘削側と反対側では、
排泥や固化材が海中に拡散されるため、海中汚染の問題
がある。一方、掻き上げ掘削を行うとしても、上記と同
様の結果となる。したがって、従来装置をそのまま海底
工事に使用することはできなかった。
【0007】本発明は、このような従来の技術における
課題を解決するために、掘削地盤よりも高位置に掘削装
置本体が設置される場合でもカッター長が長くなるのを
抑え、さらに水底の地盤の掘削をも可能となる連続壁造
成用溝掘削装置及び掘削方法を提供することを目的とす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第1の発明は、掘削刃により地盤に連続壁造成用の溝
を掘削する連続溝掘削手段と、掘削地盤からよりも高位
置に設置される掘削装置本体と、上記連続溝掘削手段を
掘削地盤と掘削装置本体との間で支持しながら同連続溝
掘削手段による掘削反力を、上記掘削装置本体に伝達す
る支持手段とを具備することを特徴とする連続壁造成用
溝掘削装置である。
【0009】上記構成によれば、掘削刃により地盤に連
続壁造成用の溝を掘削する連続溝掘削手段が、掘削地盤
よりも高位置に設置される掘削装置本体から、掘削地盤
と掘削装置本体との間で支持されながら、同連続溝掘削
手段による掘削反力が、上記掘削装置本体に伝達される
ので、この連続溝掘削手段の到達長さは支持位置までの
長さで済み、その分だけ駆動力も少なくて済む。
【0010】また、請求項1記載の連続壁造成用溝掘削
装置において、掘削装置本体に支持手段としての支持ポ
ストが取り付けられ、この支持ポストが連続溝掘削手段
としての連結式カッターのカッターポストに連結される
とともに、支持ポストに連結式カッターに駆動力を伝達
する伝達機構が設けられたこととすれば(請求項2)、
駆動装置を掘削装置本体側に備えたまま、連結式カッタ
ーへの動力伝達がスムーズになされる。
【0011】また、請求項2記載の連続壁造成用溝掘削
装置において、伝達機構として、エンドレスチェーンを
備えたチェーン伝達機構が支持ポストに設けられたこと
とすれば(請求項3)、駆動装置を掘削装置本体側に備
えたまま、連結式カッターへの動力伝達がよりスムーズ
になされる。
【0012】また、請求項2又は3記載の連続壁造成用
溝掘削装置において、支持ポストに水平方向の押圧力を
加えて、連結式カッターに水平移動力を作用させるとき
に、支持ポストの下端部とカッターポストの上端部とが
相対回転不可能となるように連結されていることとすれ
ば(請求項4)、連結式カッターの水平移動がスムーズ
になされる。ところで、カッターの掘削性能上、その角
度は若干下部先行状態で掘削するのが好ましい。そこ
で、カッターポストの傾斜角度を検出する傾斜角度検出
手段と、この検出角度に応じて支持ポストに加える上記
押圧力と押圧方向を制御する押圧制御手段とを設けたこ
ととすれば、連結式カッターを最適な角度に保持して掘
削がなされる。
【0013】また、請求項1〜4のいずれかに記載の連
続溝造成用溝掘削装置において、掘削地盤が水底地盤で
あり、支持手段は、水上に設置される掘削装置本体から
上記連結式カッターを水底面付近で支持するものである
こととすれば(請求項5)、水中掘削が可能となる。そ
して、この連結式カッターは、ほとんど水底の地盤内で
周回するので、例えば掻き下げ掘削を行うとしても、連
続溝の掘削側と反対側から、被掘削物等が水中に拡散さ
れることが少なくなり、水中汚染の問題が解消される。
一方、掻き上げ掘削を行うとしても、上記と同様の結果
となる。
【0014】また、請求項5記載の連続壁造成用溝掘削
装置において、連結式カッターの水底面上に突出した部
分を覆うカバー部を設けたこととすれば(請求項6)、
連続溝の掘削側に大量の水が流入するのが防止され、固
化材の混練状態が維持されるとともに、被掘削物等が水
中に拡散されるのが防止され、水中汚濁のおそれが少な
くなる。このカバー部は、掘削刃で水底の地盤を掻き下
げ掘削する方向にチェーン式カッターを回転させたとき
に、被掘削物を掘削側に案内する円弧状に形成されてい
ることとすれば、被掘削物等が掘削側に回収されるの
で、水中に拡散されるのがより一層効果的に防止され、
水中汚濁のおそれが殆どなくなる。
【0015】また、請求項6記載の連続壁造成用溝掘削
装置において、カバー部は、下端周縁が水底面上に被さ
るように形成されたスカート部を有することとすれば
(請求項7)、連続溝の掘削側に大量の水が流入するの
が確実に防止され、固化材の混練状態が維持されるとと
もに、被掘削物等が水中に拡散されるのが確実に防止さ
れ、水中汚濁のおそれがより少なくなる。
【0016】また、請求項6又は7記載の連続壁造成用
溝掘削装置において、カバー部に、掘削時の前進方向の
水底面上を平らに均すスクレーパを設けたこととすれば
(請求項8)、このスクレーパにより、水底面上の岩や
ごみ、又は、隣接して地盤改良を繰り返し行う場合の体
積改良地盤などを押し退けながら掘削が行われるので、
カバー部の破損が防止され、また、この掘削時にスカー
ト部が押し上げられて、カバー部内に水が多量に進入す
ることによる地盤改良の品質低下が防止される。
【0017】また、請求項6〜8のいずれかに記載の連
続壁造成用溝掘削装置において、連続壁造成用溝に固化
材を注入する固化材注入管を備え、この固化材注入管の
吐出口を、カバー部の内側に開放したこととすれば(請
求項9)、固化材が効率よく被掘削物に混入されて、固
化が行われる溝後部に順次に送り込まれる。
【0018】また、請求項5〜9のいずれかに記載の連
続壁造成用溝掘削装置において、掘削装置本体は、水底
地盤に到達可能な脚部を有しこの脚部で掘削時の反力を
受ける台船に搭載されていることとすれば(請求項1
0)、連結式カッターが水平移動させられるときの反力
が台船で受け止められるので、掘削装置本体による同カ
ッターの水平移動が容易となる。
【0019】また、請求項10記載の連続壁造成用溝掘
削装置において、掘削装置本体は、連結式カッターを水
面の上下運動方向に移動自在に支持する高さ調整機構を
備えたこととすれば(請求項11)、水面が上下運動す
る場合でも、連結式カッターへの影響が少なくなるの
で、スムーズな掘削がなされる。
【0020】また、請求項11記載の連続壁造成用溝掘
削装置において、高さ調整機構は、水面の上下運動を検
出する水面検出手段と、支持ポストの上端部付近を伸縮
自在に保持するシリンダと、水面の上下運動の検出量に
応じてシリンダの伸縮動作を制御する上下運動制御手段
とを設けたこととすれば(請求項12)、水面の上下運
動に応じてシリンダが伸縮動作されるので、連結式カッ
ターへの影響が殆どなくなり、よりスムーズな掘削がな
される。
【0021】第2の発明は、掘削刃により水底地盤に連
続壁造成用の溝を掘削する連続溝掘削手段を、水上に設
置される掘削装置本体から水底面付近で支持しながら、
同連続溝掘削手段による掘削反力を、上記掘削装置本体
に伝達することを特徴とする連続壁造成用溝掘削方法で
ある。
【0022】上記構成によれば、掘削刃により水底地盤
に連続壁造成用の溝を掘削する連続溝掘削手段が、水上
に設置される掘削装置本体から水底面付近で支持されな
がら、同連続溝掘削手段による掘削反力が、上記掘削装
置本体に伝達されるので、水中掘削が可能となる。そし
て、この連続溝掘削手段は、ほとんど水底の地盤内で周
回するので、例えば掻き下げ掘削を行うとしても、連続
溝の掘削側と反対側から、被掘削物等が水中に拡散され
ることが少なくなり、水中汚染の問題が解消される。一
方、掻き上げ掘削を行うとしても、上記と同様の結果と
なる。
【0023】また、請求項13記載の連続壁造成用溝掘
削方法において、掘削刃で水底地盤を掻き下げ掘削する
方向に連続溝掘削手段としての連結式カッターを回転さ
せながら、連続壁造成用溝の上方から固化材を注入しつ
つ、上記掘削を行うこととすれば(請求項14)、固化
材が効率よく被掘削物等に混入されて、固化が行われる
溝後部に順次に送り込まれる。
【0024】また、請求項14記載の連続壁造成用溝掘
削方法において、固化材は、少なくともセメント系固化
材と水との混合物からなり、この混合物に含まれるセメ
ント系固化材の水に対する重量比を約60%以下とした
こととすれば(請求項15)、水中での良好な固化状態
が得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施の形態に係
る連続壁造成用溝掘削装置の全体構成を示す側面図であ
る。なお、本掘削装置による掘削方向は、同図中の紙面
に向かって垂直方向である。以下、例えば港湾施設建設
現場で本掘削装置を用いて海底地盤を掘削する場合につ
いて説明するが、ここでは、連続溝掘削手段の一例とし
て連結式カッターであるチェーン式カッターの例を用い
て説明する。
【0026】図1に示すように、本掘削装置1は、掘削
刃2aにより海底地盤100に連続壁造成用の溝Gを掘
削するチェーン式カッター2と、海面101上に浮遊す
る台船200上に設置される掘削装置本体3と、チェー
ン式カッター2を水中102で支持しながら同カッター
2による掘削反力を、掘削装置本体3に伝達する支持手
段4とを具備してなっている。上記チェーン式カッター
2は、掘削刃2aを備えたエンドレスチェーン25がカ
ッターポスト21の上下端部に設けられたスプロケット
23,24間に掛け渡されているものである。なお、図
1において、海底地盤100と船台200とは一本の脚
部201により連結されているが、通常は複数本の脚部
201が備えられている。
【0027】図2は掘削装置本体の正面図であるが、同
図において、掘削装置本体3は、例えば船台200上に
敷設された2条の平行レール(図略)上を転動する車輪
31,31(正面側のみ図示)で水平移動できるように
なっている。この掘削装置本体3の正面には支持部材3
2が固定されており、この支持部材32に支持手段4と
しての支持ポスト41が取り付けられている。なお、図
中の33はスプロケット43の保護カバーである。
【0028】この支持ポスト41が、チェーン式カッタ
ー2のカッターポスト21に連結されるとともに、支持
ポスト41経由でチェーン式カッター2に駆動力を伝達
する伝達機構が設けられている。ここでは、伝達機構と
して、支持ポスト41の上端部に回転自在に取り付けら
れ、図略のモータによって回転駆動されるスプロケット
43と後述するスプロケット45との間に掛け渡される
エンドレスチェーン44を備えたチェーン伝達機構が支
持ポスト41に設けられている。
【0029】そして、支持ポスト41に図略の押圧シリ
ンダで水平方向の押圧力Fを加えて、チェーン式カッタ
ー2に水平移動力を作用させるときに、支持ポスト41
の下端部とカッターポスト21の上端部とが相対回転不
可能となるように連結されている。
【0030】図3は支持ポストとカッターポストとの連
結部分の要部を断面で示す説明図であって、(a)は側
面図、(b)は正面図である。
【0031】この連結部分50では、支持ポスト41の
下端部とカッターポスト21の上端部が、左右に設けら
れた箱状の連結部材51,52に溶接等によって固定さ
れており、これにより支持ポスト41とカッターポスト
21とは相対回転不可能となっている。連結部材51,
52の間隔は掘削刃2aの周回運動を妨げないように、
掘削刃2aの最大幅よりも若干広目にとっている。
【0032】また、連結部材51,52の上下には、ス
プロケット45,23がそれぞれ軸支されている。連結
部材52の内部には、例えば3つのスプールギヤからな
るギヤ列53,54,55が収容されており、駆動ギヤ
53がスプロケット45からの回転力を受けて回転し、
この駆動ギヤ53の回転を受けて中間ギヤ54を介して
従動ギヤ55が回転し、さらにこの従動ギア55の回転
力を受けてスプロケット23が回転する構成となってい
る。そして、スプロケット23とスプロケット24との
間にはエンドレスチェーン25が掛け渡されており、こ
のエンドレスチェーン25に掘削刃2aが所定の間隔で
取り付けられている。
【0033】この連結部分50の適所には、カッターポ
スト21の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段として
の歪み計(図略)が取り付けられており、この検出信号
をフィードバックして設定値と比較することにより、支
持ポスト41に加える上記押圧シリンダによる押圧力と
押圧方向を逐次制御する、押圧制御手段としてのコント
ローラ34を掘削装置本体3内に設けている。
【0034】この連結部分50には、さらに、チェーン
式カッター2の海底地盤100上に突出した部分を覆う
カバー部56を設けている。カバー部56は、掘削刃2
aの周回運動を妨げない高さと奥行きで、掘削溝Gより
も若干広い幅の各寸法を有するとともに、掘削刃2aで
海底地盤100を掻き下げ掘削する方向にチェーン式カ
ッター2を回転させたときに、排泥等の被掘削物を掘削
側に案内するように正面視で円弧状に形成されている。
そして、カバー部56の下端には、その周縁が海底地盤
100上に被さるように形成されたスカート部57を有
している。このスカート部57は、可撓性を有し、海底
面の凹凸に応じて適当に変形することで、カバー部56
とともに連続溝Gの掘削側(図(b)中の右側)への海
水の流入を制限するものである。
【0035】また、カバー部56には、これを使用して
掘削を行う際の前進方向に堆積した土砂でカバー機能が
損なわれないように、海底面上を平らに均すスクレーパ
58が設けられている。スクレーパ58は、先端部が鋭
角となったドーザ58aを備え、このドーザ58aとカ
バー部58とがリンク機構58bで連結されている。そ
して、チェーン式カッター2の進行方向によって、カバ
ー部56のスカート部57前方の使用位置とスカート部
57上方の格納位置とで切換可能に構成されている。
【0036】このスクレーパ58により、海底面上の岩
やゴミ等が押し退けられる。又は、隣接して地盤改良を
繰り返し行う場合には、先に施工済みの隣接する海底面
上にセメントにより固化された改良地盤が盛り上がって
堆積している場合などがあり、この海底面上の堆積改良
地盤を押し退けながら掘削が行われる。よって、カバー
部56の破損を防止できる他、この掘削時にスカート部
57が押し上げられて、カバー部56内に海水が多量に
進入することによる、ミルクセメントの濃度低下によっ
て、地盤改良の品質が低下することをも防止できる。な
お、スクレーパ56のドーザ58aを上記使用位置と格
納位置とに切り換える方法としては、ドーザ58aをワ
イヤロープで吊り下げて、そのワイヤ操作によることと
してもよい。
【0037】また、本掘削装置1は、船台200上に別
途搭載した固化材供給装置300から、掘削装置本体3
と支持ポスト41とを経由して導設され、連続溝Gにセ
メントミルク等の固化材を注入する固化材注入管42を
備えており、この固化材注入管42の吐出口42aを、
カバー部56内側の上記掘削側に開放している。
【0038】なお、固化材として、本実施形態では、セ
メントと水と、このセメントと水との混合を促進するベ
ントナイト等の少量の混和材とが所定の量で調合された
セメントミルクが用いられている。この他、海水の成分
により適宜、他の混和材を加えて施工が行われる。
【0039】台船200は、いわゆるスパッドと呼ばれ
る鋭い先端を持ち、海底地盤100に到達可能な脚部2
01を有し、この脚部201の先端を海底地盤100に
挿入することで、掘削時の反力を受けるようになってい
る。また、この脚部201は、台船200を上下に貫通
しており、この貫通部202内における脚部201のジ
ャッキアップ或いはダウンによって、台船200に対す
る海面101の大きな潮位変化を吸収するようになって
いる。
【0040】一方、掘削装置本体3は、チェーン式カッ
ター2を海面101の潮位変化以外の波浪による微小な
上下運動方向に対し移動自在に支持する高さ調整機構を
備えている。この高さ調整機構は、台船200の適所に
設置され、海面101の上下運動を検出する水面検出手
段としての水位センサ(図略)と、支持ポスト41の上
端部付近を伸縮自在に保持するシリンダ61とを備え、
海面101の上下運動の検出量に応じてこのシリンダ6
1の伸縮動作を制御する、上下運動制御手段としてのコ
ントローラ35を掘削装置本体3内に設けている。な
お、コントローラ34,35は、例えばPI又はPID
コントローラであるが、この代わりにパーソナルコンピ
ュータを使用することとしてもよい。
【0041】図5は本切削装置による海底地盤の切削動
作の一例を示す説明図であって、(a)は正面断面図、
(b)は平面図である。以下、説明する。
【0042】まず、本掘削装置1の掘削装置本体3等を
搭載した台船200を船舶等で曳航していって掘削位置
に位置決めし、その位置で脚部201を海底地盤100
に挿入する。ついで、掘削装置本体3からチェーン式カ
ッタ2と支持手段4とを所定の掘削深さになるまで、チ
ェーン式カッター2の掘削刃2aで海底地盤100を掘
削しながら各ポスト等を継ぎ足すことにより順次に延長
していく。そして、所定の掘削深さになると、図5
(a),(b)に示すように、カバー部56が海底地盤
100上を覆うようになり、この状態で、通常は掻き下
げ掘削を行うようにチェーン式カッター2を図中の矢印
方向に回転させて掘削刃2aによる掘削を行う。具体的
には、掘削装置本体3側で保護カバー33ごと支持ポス
ト41を水平方向に押圧して、その先につながるチェー
ン式カッター2に水平方向の掘削力を作用させながら、
掘削装置本体3を台船200のレール上で水平移動を開
始させる。その際、支持ポスト41とカッターポスト2
1との連結部分50に取り付けた歪み計からの信号を受
けたコントローラ34は、チェーン式カッター2の下端
部が若干下部先行状態となるように、支持ポスト41の
押圧力と押圧方向を制御する。例えば上記押圧シリンダ
を上下に2段に設けておき、その押圧力を上下で異なる
ようにすればよい。この制御により、良好な掘削状態が
得られる。
【0043】この連続溝Gが掘削されると同時に、船台
200に搭載した固化体供給装置300から、固化体注
入管42を介してセメントミルクが上記カバー部56内
の掘削側(図(a),(b)中の右側)に注入される。
セメントミルクは、上述したように、少なくともセメン
ト等のセメント系固化材と水との混合物であり、この混
合物に含まれるセメント系固化材の水に対する重量比を
約60%(すなわち、固化体供給装置300によるミル
クセメントの供給限界)以下としている。
【0044】すると、掘削側では、このセメントミルク
と掘削によって生じた土砂(原土)が混合され、その混
合物であるソイルセメントが掘削された連続溝G内に順
次送り込まれ、ここで固化してソイルセメント壁が形成
される。一方、掘削側と反対側(図(a),(b)中の
左側)では、原土或いはソイルセメントの一部が、チェ
ーン式カッター2の掘削刃2aとともに上昇していき、
カバー部56の内側で掘削側に案内され、ここで掘削刃
2aの周回運動につれて下降する。
【0045】なお、掘削中には、海面101が波浪によ
り上下運動するが、水位センサからの信号を受けたコン
トローラ35が掘削装置本体3に装備したシリンダ61
の伸縮量を制御して、この上下運動によるチェーン式カ
ッター2の掘削への影響をなくすことができる。ただ
し、大きな潮位変化については、この上下運動と比べて
緩慢なものであるので、船台200の貫通穴202に貫
通する脚部201の上記ジャッキアップ或いはダウンに
よる挿抜調整によりこれを吸収させることができる。
【0046】また、一般的に海底地盤掘削を行う場合、
予め掘削海底面に相当量の敷砂を堆積させてから海底地
盤掘削を行うことが多い。このような場合には、掘削海
底面上に敷砂を掘削刃2aで土砂中へ搬送することとな
り、地盤改良対象土の粘性を低下させて、土砂粒子配合
を改善させることができる。
【0047】以上のように、本掘削装置1によれば、掘
削刃2aにより海底地盤100に連続壁造成用の溝Gを
掘削するチェーン式カッター2が、海面101上に設置
される掘削装置本体3から水底面付近で支持されなが
ら、同カッター2による掘削反力が、掘削装置本体3に
伝達されるので、このカッター2は海底地盤100に挿
入される長さで済み、これに伴い、その駆動力も少なく
て済む。したがって、製造コストの低減と、ランニング
コストの低減とを図ることができる。また、この場合、
同カッター2は、ほとんど海底地盤100内で周回する
ので、通常の掻き下げ掘削を行っても、連続溝Gの掘削
側と反対側から、排泥や固化材等が海中に拡散されるこ
とが少なくなり、海中汚染の問題が解消される。一方、
水底掘削においては、掻き上げ掘削を行うことはほとん
どないと考えられるが、たとえそのような場合でも、掘
削方向に応じた構成とすることにより、上記と同様の作
用効果を得ることは可能である。
【0048】なお、上記実施形態では、海底地盤の掘削
について説明したが、本発明の掘削装置の適用範囲はこ
れに限られず、地上高所からの地盤掘削であってもよ
い。また水底地盤であれば、例えば湖底や川底等の他の
水底であっても同様に適用することができる。ただし、
地上の地盤の場合はもちろんのこと、水底であっても湖
底等の場合であれば、沿岸から掘削地点があまり離間し
ていないことから、必ずしも台船200上に掘削装置本
体3を搭載する必要はなく、掘削装置本体3を例えば沿
岸を移動可能なクローラ式の走行台車等に搭載すること
で足りる。また、湖底掘削等で、水位変化が少ない場合
には、高さ調整機構は省略することもできる。
【0049】また、上記実施形態では、支持ポスト41
側の伝達機構としてエンドレスチェーンを用いている
が、ベルト等他の伝達機構であってもよい。また、支持
ポスト41とカッターポスト21との連結部分50での
伝達機構についても、ギヤ列に限られず、例えばチェー
ン等を使用することもできる。さらには、支持ポスト4
1や連結部分50側にはチェーン等を一切設けず、水中
モータ等のアクチュエータをチェーン式カッター2に直
接装着することとしてもよい。特に、地上からの地盤掘
削の場合には、水中汚染のおそれもないので、強力な油
圧アクチュエータを使用することができて便宜である。
【0050】
【発明の効果】以上の説明のとおり、第1の発明によれ
ば、連続溝掘削手段の到達長さは支持位置までの長さで
済み、その分だけ駆動力も少なくて済むので、製造コス
トとランニングコストの低減を図ることができる。
【0051】また、請求項2の発明によれば、駆動装置
を掘削装置本体側に備えたまま、連結式カッターへの動
力伝達をスムーズに行うことができる。
【0052】また、請求項3記載の発明によれば、駆動
装置を掘削装置本体側に備えたまま、連結式カッターへ
の動力伝達をよりスムーズに行うことができる。
【0053】また、請求項4記載の発明によれば、連結
式カッターの水平移動をスムーズに行うことができる。
その際、連結式カッターを若干下部先行状態として掘削
することにより、その掘削性能を向上させることもでき
る。
【0054】また、請求項5記載の発明によれば、水中
掘削が可能となる。そして、この連結式カッターは、ほ
とんど水底の地盤内で周回するので、例えば掻き下げ掘
削を行うとしても、連続溝の掘削側と反対側から、被掘
削物等が水中に拡散されることが少なくなり、水中汚染
の問題が解消される。一方、掻き上げ掘削を行うとして
も、上記と同様の結果となる。
【0055】また、請求項6記載の発明によれば、連続
溝の掘削側に大量の水が流入するのが防止され、固化材
の混練状態が維持されるとともに、被掘削物等が水中に
拡散されるのが防止され、水中汚濁のおそれが少なくな
る。このカバー部は、掘削刃で水底の地盤を掻き下げ掘
削する方向にチェーン式カッターを回転させたときに、
被掘削物を掘削側に案内する円弧状に形成されているこ
ととすれば、被掘削物等が掘削側に回収されるので、水
中に拡散されるのがより一層効果的に防止され、水中汚
濁のおそれが殆どなくなる。
【0056】また、請求項7記載の発明によれば、連続
溝の掘削側に大量の水が流入するのを確実に防止し、固
化材の混練状態を維持するとともに、被掘削物等が水中
に拡散されるのを確実に防止して、水中汚濁のおそれを
より少なくすることができる。
【0057】また、請求項8記載の発明によれば、スク
レーパにより、水底面上の岩やごみ、又は、隣接して地
盤改良を繰り返し行う場合の体積改良地盤などを押し退
けながら掘削を行うことができるので、カバー部の破損
を防止し、また、この掘削時にスカート部が押し上げら
れて、カバー部内に水が多量に進入することによる地盤
改良の品質低下をも防止することができる。
【0058】また、請求項9記載の発明によれば、固化
材を効率よく被掘削物に混入させて、固化が行われる溝
後部に順次に送り込むことができる。
【0059】また、請求項10記載の発明によれば、連
結式カッターが水平移動するときの反力を台船で受け止
めることができるので、掘削装置本体による同カッター
の水平移動を容易に行うことができる。
【0060】また、請求項11記載の発明によれば、水
面が上下運動する場合でも、連結式カッターへの影響が
少なくなるので、スムーズな掘削を行うことができる。
【0061】また、請求項12記載の発明によれば、水
面の上下運動に応じてシリンダが伸縮動作するので、連
結式カッターへの影響が殆どなくなり、よりスムーズな
掘削を行うことができる。
【0062】第2の発明によれば、水中掘削が可能とな
る。そして、この連続溝掘削手段は、ほとんど水底の地
盤内で周回することとなるので、例えば掻き下げ掘削を
行うとしても、連続溝の掘削側と反対側から、被掘削物
等が水中に拡散されることが少なくなり、水中汚染の問
題が解消される。一方、掻き上げ掘削を行うとしても、
上記と同様の結果となる。
【0063】また、請求項14記載の発明によれば、固
化材を効率よく被掘削物等に混入して、固化が行われる
溝後部に順次に送り込むことができる。
【0064】また、請求項15記載の発明によれば、水
中での良好な固化状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る連続壁造成用溝の
掘削装置の全体構成を示す側面図である。
【図2】図1における掘削装置本体の正面図である。
【図3】図1における連結部分の要部の断面を示す説明
図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図4】図1における高さ調整機構の概念図である。
【図5】本掘削装置の動作の説明図であって、(a)は
正面断面図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
1 本掘削装置 2 チェーン式カッター(連続溝掘削手段、連結式カッ
ター) 2a 掘削刃 21 カッターポスト 3 掘削装置本体 34,35 コントローラ(押圧制御手段、上下運動制
御手段) 4 支持手段 41 支持ポスト 42 固化材注入管 42a 固化材注入管の吐出口 50 連結部分 56 カバー部 57 スカート部 58 スクレーパ 61 シリンダ 100 海底地盤 101 海面 102 海中 200 台船 201 脚部 G 連続溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木下 文男 東京都中央区日本橋1丁目3番13号 コベ ルコ建機株式会社東京本社内 (72)発明者 近藤 博明 東京都中央区日本橋1丁目3番13号 コベ ルコ建機株式会社東京本社内 (72)発明者 中島 雄治 東京都中央区日本橋1丁目3番13号 コベ ルコ建機株式会社東京本社内 (72)発明者 濱野 衛 千葉県千葉市花見川区天戸町1293 三和機 材株式会社千葉工場内 (72)発明者 嶌野 知明 千葉県千葉市花見川区天戸町1293 三和機 材株式会社千葉工場内 (72)発明者 山本 稔彦 千葉県千葉市花見川区天戸町1293 三和機 材株式会社千葉工場内 Fターム(参考) 2D049 GA15 GB01 GC01

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 掘削刃により地盤に連続壁造成用の溝を
    掘削する連続溝掘削手段と、掘削地盤からよりも高位置
    に設置される掘削装置本体と、上記連続溝掘削手段を掘
    削地盤と掘削装置本体との間で支持しながら同連続溝掘
    削手段による掘削反力を、上記掘削装置本体に伝達する
    支持手段とを具備することを特徴とする連続壁造成用溝
    掘削装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の連続壁造成用溝掘削装置
    において、掘削装置本体に支持手段としての支持ポスト
    が取り付けられ、この支持ポストが連続溝掘削手段とし
    ての連結式カッターのカッターポストに連結されるとと
    もに、支持ポストに連結式カッターに駆動力を伝達する
    伝達機構が設けられたことを特徴とする連続壁造成用溝
    掘削装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の連続壁造成用溝掘削装置
    において、伝達機構として、エンドレスチェーンを備え
    たチェーン伝達機構が支持ポストに設けられたことを特
    徴とする連続壁造成用溝掘削装置。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の連続壁造成用溝掘
    削装置において、支持ポストに水平方向の押圧力を加え
    て、連結式カッターに水平移動力を作用させるときに、
    支持ポストの下端部とカッターポストの上端部とが相対
    回転不可能となるように連結されていることを特徴とす
    る連続壁造成用溝掘削装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の連続溝
    造成用溝掘削装置において、掘削地盤が水底地盤であ
    り、支持手段は、水上に設置される掘削装置本体から上
    記連結式カッターを水底面付近で支持するものであるこ
    とを特徴とする連続壁造成用溝掘削装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の連続壁造成用溝掘削装置
    において、連結式カッターの水底面上に突出した部分を
    覆うカバー部を設けたことを特徴とする連続壁造成用溝
    掘削装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の連続壁造成用溝掘削装置
    において、カバー部は、下端周縁が水底面上に被さるよ
    うに形成されたスカート部を有することを特徴とする連
    続壁造成用溝掘削装置。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7記載の連続壁造成用溝掘
    削装置において、カバー部に、掘削時の前進方向の水底
    面上を平らに均すスクレーパを設けたことを特徴とする
    連続壁造成用溝掘削装置。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8のいずれかに記載の連続壁
    造成用溝掘削装置において、連続壁造成用溝に固化材を
    注入する固化材注入管を備え、この固化材注入管の吐出
    口を、カバー部の内側に開放したことを特徴とする連続
    壁造成用溝掘削装置。
  10. 【請求項10】 請求項5〜9のいずれかに記載の連続
    壁造成用溝掘削装置において、掘削装置本体は、水底地
    盤に到達可能な脚部を有しこの脚部で掘削時の反力を受
    ける台船に搭載されていることを特徴とする連続壁造成
    用溝掘削装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の連続壁造成用溝掘削
    装置において、掘削装置本体は、連結式カッターを水面
    の上下運動方向に移動自在に支持する高さ調整機構を備
    えたことを特徴とする連続壁造成用溝掘削装置。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の連続壁造成用溝掘削
    装置において、高さ調整機構は、水面の上下運動を検出
    する水面検出手段と、支持ポストの上端部付近を伸縮自
    在に保持するシリンダと、水面の上下運動の検出量に応
    じてシリンダの伸縮動作を制御する上下運動制御手段と
    を設けたことを特徴とする連続壁造成用溝掘削装置。
  13. 【請求項13】 掘削刃により水底地盤に連続壁造成用
    の溝を掘削する連続溝掘削手段を、水上に設置される掘
    削装置本体から水底面付近で支持しながら、同連続溝掘
    削手段による掘削反力を、上記掘削装置本体に伝達する
    ことを特徴とする連続壁造成用溝掘削方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の連続壁造成用溝掘削
    方法において、掘削刃で水底地盤を掻き下げ掘削する方
    向に連続溝掘削手段としての連結式カッターを回転させ
    ながら、連続壁造成用溝の上方から固化材を注入しつ
    つ、上記掘削を行うことを特徴とする連続壁造成用溝掘
    削方法。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の連続壁造成用溝掘削
    方法において、固化材は、少なくともセメント系固化材
    と水との混合物からなり、この混合物に含まれるセメン
    ト系固化材の水に対する重量比を約60%以下としたこ
    とを特徴とする連続壁造成用溝掘削方法。
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CN111576606A (zh) * 2020-05-20 2020-08-25 高彩真 一种水利用管道清淤设备
CN111576606B (zh) * 2020-05-20 2021-04-06 宁夏昊盛伟业建设工程有限公司 一种水利用管道清淤设备

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