JP2003003033A - アクリル樹脂組成物およびそのフィルム - Google Patents

アクリル樹脂組成物およびそのフィルム

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JP2003003033A JP2001183901A JP2001183901A JP2003003033A JP 2003003033 A JP2003003033 A JP 2003003033A JP 2001183901 A JP2001183901 A JP 2001183901A JP 2001183901 A JP2001183901 A JP 2001183901A JP 2003003033 A JP2003003033 A JP 2003003033A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カレンダー加工性が良好であり、かつポリ塩
化ビニル樹脂の代替材料として優れた性質を有するアク
リル樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 メタクリル酸メチルとアクリル酸アルキ
ルとからなる共重合体Aと、メタクリル酸メチルとアク
リル酸アルキルとスチレンとからなる共重合体Bとから
なるアクリル樹脂組成物のメルトフローレイト(230
℃、37.3N)を15以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来にない柔軟な
風合いをもち、焼却時におけるダイオキシン発生の問題
もなく、環境ホルモンとして疑いのある物質を含まな
い、ポリ塩化ビニル(PVC;poly(vinyl chloride))
樹脂用のカレンダー加工設備をそのまま用いてカレンダ
ー加工することができるアクリル樹脂組成物、および、
折り曲げ時に白化せず、柔軟に曲面に追従し、耐候性、
耐衝撃性、透明性、着色性、印刷性、接着性に優れてお
り、ポリ塩化ビニル樹脂フィルムと同様の用途および方
法で使用することができる、アクリル樹脂組成物のフィ
ルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護の観点から、ポリ塩化ビ
ニル樹脂から非塩素化材料への代替が求められてきてい
る。そして、この代替材料としては、特に経済性や安全
性を考慮してポリエチレンやポリプロピレン、オレフィ
ン熱可塑性エラストマー(TPO;thermoplastic elas
tmer olefin )等のポリオレフィン樹脂が有力視されて
いる。しかし、このポリオレフィン樹脂はフィルムの透
明性、耐候性においてポリ塩化ビニル樹脂に及ばないた
め、ポリ塩化ビニル樹脂の代替材料としての性能は十分
ではない。
【0003】そこで、上記ポリ塩化ビニル樹脂の代替材
料に要求される透明性および耐候性に優れた材料とし
て、アクリル樹脂があげられる。このアクリル樹脂は、
機械的特性および化学的性質に優れており、その透明
性、耐候性および硬度の高さから、照明カバー、屋外用
の看板等の様々な分野において、古くから有機ガラスと
して使用されている。また、アクリル樹脂は人体に悪影
響を及ぼす物質を含まない安全性の高い材料であるた
め、医療器具としても広く使用されているものである。
【0004】上記したように、ポリ塩化ビニル樹脂は焼
却時にダイオキシンが発生するおそれがあるという理由
で忌避されつつあるため、アクリル樹脂は硬質ポリ塩化
ビニル樹脂の代替材料として近年注目を集めている。
【0005】しかし、アクリル樹脂そのものは、非常に
硬いため硬質ポリ塩化ビニル樹脂の代替材料としては適
しているが、フィルム状に加工すると割れやすく伸びも
少ないという問題点がある。このため、一部の製品とし
て、厚物シート用のゴム成分を含むアクリル樹脂はあっ
たが、厚みが0.2mm(200μm)以下のフィルム
に加工すると白化し、柔軟性に乏しいものとなるため、
軟質ポリ塩化ビニル樹脂のような風合いをもつアクリル
樹脂のフィルムは存在しない。
【0006】ここで、アクリル樹脂の一般的な成型方法
としては射出成型、押し出し成型、加圧成型などがあ
り、また、シートの成型方法としては、Tダイを用いる
キャスト成型や押し出し成型が従来より用いられてい
る。この押し出し成型は、ひとつの製品を連続して生産
する場合は品質が安定するため、コストパフオーマンス
の点で優れており大量連続生産に適した成型方法であ
る。
【0007】しかし、押し出し成型は安定して製品の取
れる定常状態になるまでに長時間を要するため、定常状
態になるまでの材料と時間のロスが非常に大きいという
問題がある。したがって、例えば、頻繁に段替えを行う
必要のある多品種を少量生産する製品の分野や、化粧材
のように、色調の再現性の要求が厳しく、仕上がりを見
ながら運転条件を調整するような製品の分野において
は、非経済的で資源浪費性の高い製造方法となる。
【0008】一方、Tダイを用いる押し出し成型以外の
シート成型方法として、樹脂を熱ロールにより圧延して
シートを作るカレンダー加工がある。このカレンダー加
工には、押し出しラミネート、押し出し延伸、インフレ
ーション加工等の他の成型方法に比較して、段替えが容
易であり材料ロスも少なく、また運転中の条件変更が比
較的容易であるという利点がある。
【0009】すなわち、カレンダー加工は、多品種を少
量生産する製品、カラーバリエーションが必要で色調再
現性の要求が厳しい製品(成型品)を短時間で生産する
必要がある場合に利用価値の高い製造方法である。この
ため、従来より、ポリ塩化ビニル樹脂を材料とする建
材、マーキングフィルム等の分野においては、カレンダ
ー加工による成型方法が用いられている。
【0010】このような背景から、ポリ塩化ビニル樹脂
の代替材料が求められている近年の動向において、ひと
つの主要な要求としてカレンダー加工が可能な、ポリ塩
化ビニル樹脂の代替材料が求められている。さらに、既
存設備の有効利用の観点から、現在用いられている塩化
ビニル樹脂のカレンダー加工設備をそのまま用いること
ができるものが望まれている。
【0011】ここで、一般にポリ塩化ビニル樹脂は、高
温においては熱分解による品質の低下が著しいため、カ
レンダー加工の温度は通常200℃以下とされる。した
がって、ポリ塩化ビニル樹脂用のカレンダー加工設備の
能力は200℃が上限である場合が多い。このため、ポ
リ塩化樹脂用のカレンダー加工設備をそのまま用いるた
めには、代替材料は200℃以下においてカレンダー加
工が可能なものである必要がある。
【0012】また、特に近年においては、ポリ塩化ビニ
ル樹脂の代替材料により成型された、性能の高い、屋内
外用の合板、鋼板、壁紙等の化粧材、ステッカー、マー
キングフィルム、粘着テープ、看板装飾用印刷ベースフ
ィルム、およびこれらのトップ保護フィルムが望まれて
いる。このような用途に用いられるフィルムは、通常、
その厚みが0.5mm以下である必要があり、更に適度
な柔軟性、伸び、弾性、強度を有することも要求され
る。また、ポリ塩化ビニル樹脂フィルムと同様に、フィ
ルムの2次加工時における加工性、印刷性、および粘着
・接着に対する適性が良好であることも必要である。
【0013】アクリル樹脂を含んでなるフィルムとして
は、特開2000−154263号公報に熱可塑性重合
体およびゴム含有重合体からなるアクリル樹脂組成物を
カレンダー加工によりフィルム化してなるラミネート用
アクリル樹脂フィルムが開示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
アクリル樹脂をカレンダー加工により成型することによ
っては、厚みが厚く剛性の高いシートしか製造できない
ため、適度な柔軟性、伸び、弾性、強度を有し、加工
性、印刷性、および粘着・接着に対する適性が良好な厚
みが0.5mm以下のフィルムを成型することができな
いという問題点がある。
【0015】さらに、150〜200℃の範囲内の温度
では、一般に、溶融したアクリル樹脂の粘度(溶融粘
度)が高すぎるため、カレンダーロールによって溶融し
たアクリル樹脂を十分に混練することができず、バンク
の回転が悪くなることによりフィルムにフローマークが
発生し、均質な薄いフィルムが得られないという問題点
もある。
【0016】ここで、上記したように、ポリ塩化ビニル
樹脂用のカレンダー加工設備は一般にその能力の上限が
200℃であり、この温度範囲内では溶融したアクリル
樹脂の粘度、溶融時の張力、伸び(延伸性)がカレンダ
ー加工に適したものとならない。このため、ポリ塩化ビ
ニル樹脂用のカレンダー加工設備を用いてアクリル樹脂
を加工することができないという問題点もある。
【0017】上記したように、カレンダー加工性には樹
脂の粘度が大きく影響するが、上記公報にはアクリル樹
脂組成物の粘度についての記載がなされていないない。
このため、このアクリル樹脂組成物をカレンダー加工し
て均質な薄いフィルムを成型することはできない。
【0018】以上のように、ポリ塩化ビニル樹脂用のカ
レンダー加工装置を用いてフィルムを形成することがで
きるカレンダー加工性に優れるアクリル樹脂は存在して
おらず、また、ポリ塩化ビニル樹脂のような柔軟な風合
いをもち、平滑、均質で透明性が高く、かつ折り曲げ時
に白化のおきないアクリル樹脂フィルムは存在していな
い。
【0019】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、その目的は、ポリ塩化ビニル樹脂の代
替材料に要求される性能を満足する、ポリ塩化ビニル樹
脂用のカレンダー加工設備を用いてカレンダー加工する
ことができるアクリル樹脂組成物を提供すること、およ
びこのアクリル樹脂組成物よりなる、塩化ビニル樹脂の
ような柔軟な風合いをもち、平滑性、均質性、透明性、
耐折り曲げ白化性に優れるフィルムを提供することであ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明のアクリル樹脂組
成物は、上記の課題を解決するために、メタクリル酸メ
チルとアクリル酸アルキルとからなる共重合体Aと、メ
タクリル酸メチルとアクリル酸アルキルとスチレンとか
らなる共重合体Bと、からなり、メルトフローレイト
(230℃、37.3N)が15以下であることを特徴
としている。
【0021】上記の発明により、ポリ塩化ビニル樹脂の
代替材料として使用可能なアクリル樹脂組成物を提供す
ることができる。すなわち、ポリ塩化ビニル樹脂用のカ
レンダー加工設備を用いて、塩化ビニル樹脂のような柔
軟な風合いをもち、透明性、耐折り曲げ白化性に優れる
フィルムを成型することができるアクリル樹脂組成物を
提供することが可能となる。
【0022】従来、メタクリル酸メチルとアクリル酸ア
ルキルとの共重合体Aのみを用いてフィルムを成型する
と、その硬度が高すぎるためフィルムが伸びず、非常に
割れやすいものとなり、また、カレンダー加工による成
型では、溶融時における伸びが少ないために引き取り中
に割れてしまうという問題があった。
【0023】これに対し、本発明のアクリル樹脂組成物
は、メタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルとからな
る硬度の高い共重合体Aに、メタクリル酸メチルとアク
リル酸アルキルとスチレンとからなるアクリル樹脂のゴ
ム成分である共重合体Bを配合してなる、メルトフロー
レイト(230℃、37.3N)が15以下のものであ
る。
【0024】すなわち、本発明のアクリル樹脂組成物
は、硬度の高い共重合体A(メタクリル酸メチル・アク
リル酸アルキル共重合体)にアクリル樹脂のゴム成分で
ある共重合体B(メタクリル酸メチル・アクリル酸アル
キル・スチレン共重合体)をブレンド(配合)している
ため、その柔軟性が向上する。これにより、溶融時のア
クリル樹脂組成物の伸びが良くなるため、成型の際の加
工性が向上し、この結果フィルムの外観が良くなる。ま
た、アクリル樹脂組成物は柔軟性が良好であるため、該
組成物により成型されたフィルムはフィルム折り曲げ時
の白化が抑えられたものとなる。
【0025】また、カレンダー加工によりフィルムを成
型するためには、アクリル樹脂組成物の粘度をカレンダ
ー加工に適したものとする必要がある。そこで、本発明
のアクリル樹脂組成物は、そのメルトフローレイト(2
30℃、37.3N)を15以下としている。これによ
り、従来のポリ塩化ビニル樹脂用のカレンダー加工設備
の能力の範囲内である150℃〜200℃におけるアク
リル樹脂組成物の粘度をカレンダー加工に適した粘度と
することができる。すなわち、上記アクリル樹脂組成物
のメルトフローレイト(230℃、37.3N)を15
以下とすることにより、ポリ塩化ビニル樹脂用のカレン
ダー加工設備を用いてカレンダー加工を行う際に、上記
アクリル樹脂組成物の粘度が低すぎて溶融フィルムがド
ローダウンし、カレンダーロールからフィルムを引き取
ることが不可能となる事態を防止することができる。
【0026】これにより、従来のポリ塩化ビニル樹脂用
のカレンダー加工設備をそのまま使用することができる
アクリル樹脂組成物を提供することができる。したがっ
て、ポリ塩化ビニルの代替材料として用いることができ
る優れた性質を有するアクリル樹脂組成物、すなわち、
従来のポリ塩化ビニル樹脂用のカレンダー加工設備を用
いたカレンダー加工により、平滑、均質で透明性が高
く、折り曲げ時の白化が抑えられた、外観の良いフィル
ムを成型することができるアクリル樹脂組成物を提供す
ることができる。
【0027】ここで、メルトフローレイト(MFR;me
lt flow rate)とは、JIS(JISK6370-4-2 )に規定
された測定方法にしたがって、特定の試験条件のもとで
一定時間内に押し出される熱可塑性材料の量をいう。本
発明においては、230℃、37.7Nの条件のもとで
メルトフローレイトの測定を行った。
【0028】上記アクリル樹脂組成物は、上記共重合体
Aと上記共重合体Bとの合計100重量部に対して50
重量部以下の可塑剤をさらに含むことがより好ましい。
【0029】これにより、アクリル樹脂組成物の柔軟性
が向上するため、その風合いをポリ塩化ビニル樹脂によ
り近づけることができる。すなわち、カレンダー加工に
よるフィルム化において、バンクの回転性およびアクリ
ル樹脂組成物の溶融時の伸びが向上するため、得られた
フィルムの外観が良くなる。
【0030】また、上記可塑剤の配合量を上記共重合体
Aと上記共重合体Bとの合計100重量部に対して50
重量部以下とすることにより、上記フィルムを高温高湿
条件下で保存した場合においてもフィルム表面にブルー
ムやブリードが発生することが防がれるため、良好な外
観の表面を維持することができる。
【0031】したがって、さらに外観が良好であり、か
つ高温高湿条件下においてもその外観が変化しないフィ
ルムの材料として用いられるアクリル樹脂組成物を提供
することができる。
【0032】また、上記可塑剤はポリエステル系可塑剤
またはアクリル系可塑剤であることがさらに好ましい。
【0033】上記ポリエステル系可塑剤およびアクリル
系可塑剤は、いずれも環境ホルモンの疑いが無いもので
あるため、可塑剤を配合することによる環境への影響を
確実に防止することができる。
【0034】また、上記ポリエステルの可塑剤が、一般
式(1)
【0035】
【化2】
【0036】(式中、Rはn−オクチル基、イソノニル
基、2−エチルヘキシル基を表し、nは2〜4の整数を
表す)で表されるアジピン酸系ポリエステルであること
がより好ましい。
【0037】本発明のフィルムは、上記の課題を解決す
るために、上記のアクリル樹脂組成物をカレンダー加工
してなることを特徴としている。
【0038】上記アクリル樹脂組成物は、柔軟性が高く
かつカレンダー加工性の良いものである。このため、上
記アクリル樹脂組成物をカレンダー加工することによ
り、適度な柔軟性、伸び、弾性、強度を有し、加工性、
印刷性、および粘着・接着に対する適性が良好なフィル
ムを提供することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明のアクリル樹脂組成物は、
メタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルとからなる共
重合体Aと、メタクリル酸メチルとアクリル酸アルキル
とスチレンとからなる共重合体Bと、からなり、メルト
フローレイト(230℃、37.3N)が15以下であ
るものである。以下に、本発明のアクリル樹脂組成物の
好適な実施の形態について説明する。
【0040】上記共重合体Aは、メタクリル酸メチルと
アクリル酸アルキルとを共重合させることにより得られ
るものであり、これらを共重合する方法としては、例え
ば、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等が挙げ
られる。また、重合の際には、必要に応じて、連鎖移動
剤、その他の重合助剤を使用してもよい。連鎖移動剤と
しては従来より知られている各種のものを使用すること
ができ、特にメルカプタン類が好ましい。
【0041】共重合体Aを構成するアクリル酸アルキル
としては、特に限定されないが、アルキル部分の炭素数
が大きいものが好ましく、具体的には、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、
アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができ、
これらは1種または2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。アルキル部分の炭素数が大きいアクリル酸
アルキルを用いることにより、上記アクリル樹脂組成物
の柔軟性をより良好なものにすることができる。
【0042】共重合体Bは、メタクリル酸メチルとアク
リル酸アルキルとスチレンとを共重合させて得られるも
のであり、これらを共重合する方法としては、例えば、
懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等が挙げられ
る。重合の際には、必要に応じて、連鎖移動剤、その他
の重合助剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては従来
より知られている各種のものを使用することができ、特
にメルカプタン類が好ましい。
【0043】共重合体Bを構成するアクリル酸アルキル
としては、上記した共重合体Aを構成するアクリル酸ア
ルキルと同様のものを用いることができる。
【0044】上記アクリル樹脂組成物をポリ塩化ビニル
樹脂の代替材料として用いるためには、従来のポリ塩化
ビニル樹脂用の設備をそのまま使用して上記アクリル樹
脂組成物を加工することができることが好ましい。ここ
で、ポリ塩化ビニル樹脂は高温においては熱分解による
品質の低下が著しいため、ポリ塩化ビニル樹脂用の設備
の能力は、一般に200℃を上限とするものが多い。こ
のため、上記アクリル樹脂組成物のカレンダー加工設備
としてポリ塩化ビニル樹脂用のものをそのまま用いるた
めには、200℃以下の温度範囲におけるアクリル樹脂
組成物のカレンダー加工性が良好であることが必要とな
る。
【0045】また、カレンダー加工においては、カレン
ダー加工を行う樹脂の溶融状態における粘度が、その混
練効率およびバンクの回転に影響する。このため、カレ
ンダー加工によって均質な薄いフィルムを得るために
は、アクリル樹脂組成物の粘度が重要となる。
【0046】そこで、上記アクリル樹脂組成物は、メル
トフローレイト(230℃、37.3N)を15以下と
している。このため、150℃〜200℃の範囲内にお
ける溶融状態のアクリル樹脂組成物の粘度を、混練効率
が良くかつバンクの回転を良好なものにすることができ
る。したがって、ポリ塩化ビニル樹脂用のカレンダー加
工設備を用いて上記アクリル樹脂組成物をカレンダー加
工することにより、均質な薄いフィルムを得ることがで
きる。
【0047】また、上記アクリル樹脂組成物は、メルト
フローレイト(230℃、37.3N)が1〜15の範
囲内であることが好ましい。メルトフローレイトを1以
上とすることにより、ポリ塩化ビニル樹脂用のカレンダ
ー加工設備を用いてカレンダー加工をする際に、上記ア
クリル樹脂組成物の粘度が高すぎることによりカレンダ
ー加工性が低下することを防止できる。
【0048】すなわち、本発明のアクリル樹脂組成物
は、150℃〜200℃の範囲内における溶融状態の粘
度が、混練効率が良くかつバンクの回転を良好にする粘
度となるため、ポリ塩化ビニル樹脂用のカレンダー加工
設備を用いて、平滑、均質で透明性の高い、かつ折り曲
げ時に白化のおきないフィルムを成型することが可能な
アクリル樹脂組成物を提供することができる。
【0049】また、上記アクリル樹脂組成物は、さらに
可塑剤を含むことが好ましい。上記アクリル樹脂組成物
に可塑剤を配合することにより、その柔軟性をさらに向
上させることができる。これにより、上記アクリル樹脂
により成型されたフィルムの耐折り曲げ白化性がより向
上する。さらにカレンダー加工時のバンクの回転性、お
よび溶融時の上記アクリル樹脂の伸びが向上するため、
表面形状が良好な外観性の良いフィルムを提供すること
ができる。
【0050】上記可塑剤の配合量は、上記アクリル樹脂
組成物中の共重合体Aと共重合体Bとの合計100重量
部に対して、1〜50重量部の範囲内であり、5〜30
重量部の範囲内であることが好ましい。上記可塑剤の量
を上記の範囲内とすることにより、可塑剤配合による柔
軟性向上効果を得ることができ、かつ、上記アクリル樹
脂組成物により成型されたフィルムの高温高圧条件下に
おける、耐ブルーム・ブリード性を良好にすることがで
きる。
【0051】上記可塑剤としては、環境ホルモンの疑い
のないポリエステル系可塑剤またはアクリル系可塑剤を
用いることがより好ましい。これにより、より安全性が
高く、環境への影響も少ないアクリル樹脂組成物を提供
することができる。
【0052】上記ポリエステル系可塑剤としては、例え
ば、アジピン酸、マゼライン酸、セバチン酸、フタル酸
等の二塩基性酸と、グリコール、グリセリン類および一
塩基酸等とのポリマー等が用いられる。具体的には、ジ
ブチルフタレート、ジペンチルフタレート、ジオクチル
フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルラウリル
フタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジル
フタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等が挙
げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて使
用することができる。
【0053】また、上記ポリエステル系可塑剤として
は、特に、以下の一般式(1)で表されるアジピン酸系
ポリエステルが好ましい。下記の一般式(1)で表され
るアジピン酸系ポリエステルはアクリル樹脂組成物との
相溶性が良好であるため、アクリル樹脂組成物の柔軟性
を効果的に向上させることができる。
【0054】
【化3】
【0055】(式中、Rはn−オクチル基、イソノニル
基、2−エチルヘキシル基を表し、nは2〜4の整数を
表す)。
【0056】上記アクリル系可塑剤とは、アクリル化合
物のうち可塑剤として用いられるものをいう。また、ア
クリル系可塑剤は、1種または2種以上を組み合わせて
使用することができる。
【0057】上記アクリル樹脂組成物は、上記した共重
合体Aと共重合体Bとを含有してなり、必要に応じてさ
らに可塑剤を含んでなるものであるが、必要に応じてさ
らに、一般的な配合剤、例えば、安定剤、滑剤、加工助
剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収
剤、抗菌剤、艶消し剤等を配合することができる。
【0058】本発明のフィルムは、上記アクリル樹脂組
成物をカレンダー加工することにより得られるものであ
る。上記カレンダー加工に用いられるカレンダー形式
は、特に限定されないが、例えば、逆L型、Z型、直立
2本型、L型、傾斜3本型等が挙げられる。
【0059】上記アクリル樹脂組成物は、上記したよう
にその柔軟性およびカレンダー加工性が良好であるた
め、該アクリル樹脂をカレンダー加工することにより、
ポリ塩化ビニル樹脂のような柔軟な風合いをもち、平
滑、均質で透明性の高い、かつ折り曲げ時に白化のおき
ないフィルムを成型することができる。さらに、該フィ
ルムは、焼却時にダイオキシンが発生せず、かつ適度な
柔軟性、伸び、弾性、強度を有し、2次加工時における
加工性、印刷性、および粘着・接着に対する適性が良好
なものである。
【0060】また、カレンダー加工における上記アクリ
ル樹脂組成物の温度は、150℃〜200℃の範囲内で
あることが好ましく、170℃〜195℃の範囲内であ
ることがより好ましい。カレンダー加工における上記ア
クリル樹脂組成物の温度を上記範囲内とすることによ
り、カレンダー加工時における、上記アクリル樹脂組成
物の混練効率およびバンクの回転を良好にすることが可
能となる。このため、均質なフィルムが得られ、また、
一般にその上限温度が200℃であるポリ塩化ビニル樹
脂用のカレンダー加工設備を用いてカレンダー加工を行
うことができる。
【0061】すなわち、上記フィルムはポリ塩化ビニル
樹脂製フィルムの代替品に要求される性質を満足するも
のであり、屋内外用の合板、鋼板、壁紙等の化粧材、ス
テッカー、マーキングフィルム、粘着テープ、看板装飾
用印刷ベースフィルム、およびこれらのトップ保護フィ
ルムとしての用途等に非常に有用である。
【0062】
【実施例】以下に実施例および比較例を掲げて本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定
されるものではない。
【0063】〔実施例1〕共重合体A(メタクリル酸メ
チル・アクリル酸アルキル共重合体)として、クラレ
(株)製パラペットHR−A(商品名)90重量部、お
よび共重合体B(メタクリル酸メチル・アクリル酸アル
キル・スチレン共重合体)として、三菱レイヨン(株)
製メタブレンW341(商品名)10重量部を有してな
るアクリル樹脂組成物(MFR(230℃、37.3
N)=1)に、酸化防止剤1重量部(日本油脂(株)製
アンチオクス10(商品名))、安定剤0.4重量部
(堺化学(株)製Ca−ST(商品名)0.2重量部、
堺化学(株)製Zn−ST(商品名)0.2重量部)、
滑剤1重量部(旭電化(株)製LS−5(商品名))、
紫外線吸収剤0.5重量部(住友化学(株)製バイオソ
ープ583(商品名))を加えてバンバリーミキサーで
溶融混練後、カレンダー加工設備本体の各ロールを通
し、厚みが0.08mmのフィルムを作製した。このと
き上記成分よりなるアクリル樹脂組成物の温度(材料温
度)が150℃から200℃の範囲内となるように、カ
レンダー加工設備本体の各ロールの温度を設定した。そ
の際に、カレンダー加工の状態、およびカレンダー加工
により得られたフィルムを、下記の評価方法・基準によ
り評価した。このカレンダー加工性の評価、およびフィ
ルムの評価により、アクリル樹脂組成物のポリ塩化ビニ
ル樹脂の代替材料としての可能性について判断した。
【0064】〔評価方法・評価基準〕アクリル樹脂組成
物のカレンダー加工性および得られたフィルムの評価方
法、基準について以下に説明する。
【0065】〔滑性(ロールヘの樹脂の密着性)〕ロー
ルに樹脂がべたつかずに綺麗に剥がれてフィルム化可能
なものを○と評価し、べたついて引き剥がしが困難なも
のを×と評価した。
【0066】〔バンクの回転性〕カレンダーロール間に
ある樹脂のバンクが、ロールの回転にあわせて綺麗に回
るものを○と評価し、バンクが綺麗に回らずスリップや
凸凹が発生するものを×と評価した。
【0067】〔ロールヘのプレートアウト〕カレンダー
ロールに溶融樹脂から可塑剤や添加剤が噴出して(プレ
ートアウト)ロール表面が曇るものを×と評価し、プレ
ートアウトがおきないものを○と評価した。
【0068】〔溶融フィルムの延伸性(カレンダーロー
ルからテイクオフロール間)〕100〜300%の延伸
を行うことにより、フィルム全体が均一になりネッキン
グがおきないものを○と評価し、フィルムの厚みが均一
にならないものや、溶融した樹脂の張力が低すぎてドロ
ーダウンしたものや、ネッキングの起きたものを×と評
価した。
【0069】〔フィルムの表面性〕フィルムの表面が平
滑でフローマークの発生がないかどうかを目視により判
断し、表面が平滑で良好なものを○と評価し、表面が荒
れたりフローマークが発生したものを×と評価した。
【0070】〔巻き取り時のフィルムの割れ〕フィルム
巻き取りの際に割れるものを×と評価し、割れずに巻き
取ることができるものを○と評価した。
【0071】〔カレンダー加工性〕カレンダー加工性を
総合的に判断し、カレンダー加工性が良好なものを○と
評価し、良好でないものを×と評価した。具体的には、
上記滑性、バンクの回転性、ロールヘのプレートアウ
ト、溶融フィルムの延伸性、フィルムの表面性および巻
き取り時のフィルムの割れの全てについて○と評価され
たものをカレンダー加工性が良好と評価し、これらのう
ちいずれかひとつでも×と評価されたものをカレンダー
加工性が良好でないと評価した。
【0072】〔フィルムの耐折曲げ性〕カレンダー加工
により得られたフィルムを、180°折り曲げた際のフ
ィルムの白化を目視により判断し、白化しないものを○
と評価し、白化するものを×と評価した。
【0073】〔フィルムの耐ブルーム・ブリード性〕得
られたフィルムを温度70℃、湿度95%RHの高温高
湿槽中に1週間放置した後における、フィルム表面のブ
ルーム、ブリードの発生の有無を目視により判断し、こ
れらが発生しないものを○、発生するものを×と評価し
た。
【0074】〔実施例2〕実施例1のアクリル樹脂組成
物を、共重合体Aと共重合体Bとのブレンド(MFR
(230℃、37.3N)=4)である住友化学(株)
製スミペックスHT03Y(商品名)100重量部と
し、ポリエステル系可塑剤として大日本インキ化学工業
(株)製ポリサイザーW−1040−EL(商品名)5
重量部をさらに配合したこと以外は実施例1と同様にし
て行った。
【0075】〔実施例3〕実施例1のアクリル樹脂組成
物を、共重合体Aと共重合体Bとのブレンド(MFR
(230℃、37.3N)=14)である住友化学
(株)製スミペックスHT50Y(商品名)100重量
部とし、ポリエステル系可塑剤として大日本インキ化学
工業(株)製ポリサイザーW−2300−EL(商品
名)20重量部をさらに配合したこと以外は実施例1と
同様にして行った。
【0076】〔実施例4〕実施例1のアクリル樹脂組成
物を、共重合体Aとして住友化学(株)製スミペックス
LG2(商品名)90重量部と、共重合体Bとして三菱
レイヨン(株)製メタブレンW341(商品名)10重
量部とを配合してなるアクリル樹脂組成物(MFR(2
30℃、37.3N)=14)とし、ポリエステル系可
塑剤として大日本インキ化学工業(株)製ポリサイザー
W−4010−EL(商品名)50重量部をさらに配合
したこと以外は実施例1と同様にして行った。
【0077】〔実施例5〕実施例1のアクリル樹脂組成
物を、共重合体Aと共重合体Bとのブレンド(MFR
(230℃、37.3N)=4)である住友化学(株)
製スミペックスHT53X(商品名)100重量部と
し、アクリル系可塑剤として東亜合成(株)製ARUF
ON UP−1000(商品名)10重量部をさらに配
合したこと以外は実施例1と同様にして行った。
【0078】〔実施例6〕実施例1のアクリル樹脂組成
物を、共重合体Aと共重合体Bとのブレンド(MFR
(230℃、37.3N)=1.2)であるクラレ
(株)製パラペットGR−F(商品名)100重量部と
し、アクリル系可塑剤として東亜合成(株)製ARUF
ON UPl000(商品名)50重量部をさらに配合
したこと以外は実施例1と同様にして行った。
【0079】〔比較例1〕実施例1のアクリル樹脂組成
物を、共重合体A(MFR(230℃、37.3N)=
2)である住友化学(株)製スミペックスMH(商品
名)100重量部としたこと、および耐ブルーム・ブリ
ード性を評価するためのシートを200℃で電熱プレス
により作製したこと以外は実施例1と同様にして行っ
た。
【0080】なお、比較例2〜4はいずれもカレンダー
加工によりシートを成型することができなかったため、
比較例1と同様にシートの作製は200℃で電熱プレス
により行った。
【0081】〔比較例2〕実施例1のアクリル樹脂組成
物を、共重合体Aと共重合体Bとのブレンド(MFR
(230℃、37.3N)=24)である住友化学
(株)製スミペックスHT20Y(商品名)100重量
部としたこと以外は実施例1と同様にして行った。
【0082】〔比較例3〕実施例1のアクリル樹脂組成
物を、共重合体A(MFR(230℃、37.3N)=
21)である住友化学(株)製スミペックスLG21
(商品名)100重量部としたこと以外は実施例1と同
様にして行った。
【0083】〔比較例4〕実施例1のアクリル樹脂組成
物を、共重合体Aとしての住友化学(株)製スミペック
スLG21(商品名)90重量部と、共重合体Bとして
の三菱レイヨン(株)製メタブレンW341(商品名)
10重量部とからなるアクリル樹脂組成物(MFR(2
30℃、37.3N)=19)とし、ポリエステル系可
塑剤として大日本インキ化学工業(株)製ポリサイザー
W−1040−EL(商品名)10重量部をさらに用い
たこと以外は実施例1と同様にして行った。
【0084】実施例および比較例について評価した結果
を、それぞれ表1、表2に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】表1に示すように、共重合体Aと共重合体
Bとからなり、メルトフローレイト(230℃、37.
3N)が15以下である実施例1〜6のアクリル樹脂組
成物は、いずれもカレンダー加工性が良好であった。ま
た、実施例1〜6のアクリル樹脂組成物をカレンダー加
工して得られたフィルムは、耐折り曲げ白化性、および
耐ブルーム・ブリード性に優れるものであった。すなわ
ち、本実施例1〜6のアクリル樹脂組成物は、いずれも
カレンダー加工に適しており、かつカレンダー加工によ
り、ポリ塩化ビニル樹脂製フィルムの代替品として好適
な、品質が良好なフィルムを成型できることが分かる。
【0088】これに対し、表2に示すように、比較例1
〜4のアクリル樹脂組成物は、いずれもカレンダー加工
性が悪く、カレンダー加工によるフィルムの成型ができ
ないものであった。
【0089】比較例1より、メルトフローレイトが15
以下であっても、アクリル樹脂組成物が共重合体Aのみ
からなる場合は巻き取り時に割れが生じるため、カレン
ダー加工によりフィルムを成型できないことが分かる。
さらに、比較例2〜4より、メルトフローレイトが15
よりも大きいアクリル樹脂組成物は、共重合体Aのみか
らなるものであるか共重合体Aと共重合体Bとからなる
ものであるかに関わらず、カレンダー加工によってフィ
ルムを成型することはできないことが分かる。
【0090】また、上記アクリル樹脂組成物は、その温
度が150℃〜200℃の範囲内でカレンダー加工する
ことができるため、ポリ塩化ビニル樹脂用のカレンダー
加工設備をそのまま用いることができるものである。
【0091】以上より、共重合体Aと共重合体Bとから
なり、かつメルトフローレイトが15以下のアクリル樹
脂組成物はカレンダー加工性が良好であり、かつ、カレ
ンダー加工によって良好な品質のフィルムが得られるこ
とが分かる。すなわち、上記構成のアクリル樹脂組成物
は、ポリ塩化ビニル樹脂の代替材料として好適な材料で
あり、該アクリル系樹脂組成物をカレンダー加工するこ
とにより、ポリ塩化ビニル樹脂製フィルムの代替品に要
求される性質を満足するフィルムを提供することができ
る。
【0092】
【発明の効果】本発明のアクリル樹脂組成物は、以上の
ように、メタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルとか
らなる共重合体Aと、メタクリル酸メチルとアクリル酸
アルキルとスチレンとからなる共重合体Bと、からな
り、メルトフローレイト(230℃、37.3N)が1
5以下である構成である。
【0093】それゆえ、従来のポリ塩化ビニル樹脂用の
カレンダー加工設備を用いたカレンダー加工により、折
り曲げ時の白化が抑えられた、外観の良い、薄いフィル
ムを成型できる、ポリ塩化ビニルの代替材料として優れ
た性質を有するアクリル樹脂組成物を提供できるという
効果を奏する。
【0094】上記アクリル樹脂組成物は、上記共重合体
Aと上記共重合体Bとの合計100重量部に対して50
重量部以下の可塑剤をさらに含むことがより好ましい。
【0095】これにより、アクリル樹脂組成物の柔軟性
が更に向上するため、その風合いをポリ塩化ビニル樹脂
により近づけることができる。したがって、さらに外観
の良いフィルムを成型することが可能であるアクリル樹
脂組成物を提供できるという効果を奏する。
【0096】また、上記可塑剤はポリエステル系可塑剤
またはアクリル系可塑剤であることがさらに好ましい。
【0097】上記ポリエステル系可塑剤およびアクリル
系可塑剤は、いずれも環境ホルモンの疑いの無い可塑剤
であるため、可塑剤の配合による環境への影響を確実に
防止することができるという効果を奏する。
【0098】また、上記ポリエステルの可塑剤が、一般
式(1)
【0099】
【化4】
【0100】(式中、Rはn−オクチル基、イソノニル
基、2−エチルヘキシル基を表し、nは2〜4の整数を
表す)で表されるアジピン酸系ポリエステルであること
がより好ましい。
【0101】本発明のフィルムは、以上のように、上記
アクリル樹脂組成物をカレンダー加工してなる構成であ
る。
【0102】それゆえ、適度な柔軟性、伸び、弾性、強
度を有し、加工性、印刷性、および粘着・接着に対する
適性が良好な、ポリ塩化ビニル樹脂フィルムの代替品と
して有用なフィルムを提供できるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA22X AA31 AA33 AA33X AA43 AA44 AA45 AA88 AE04 BB04 BC01 4J002 BC07X BG00Y BG03W BG03X CF00Y CF03Y CF04Y FD02Y GG02 GL00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタクリル酸メチルとアクリル酸アルキル
    とからなる共重合体Aと、 メタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルとスチレンと
    からなる共重合体Bと、からなり、 メルトフローレイト(230℃、37.3N)が15以
    下であることを特徴とするアクリル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】上記共重合体Aと上記共重合体Bとの合計
    100重量部に対して50重量部以下の可塑剤をさらに
    含むことを特徴とする請求項1に記載のアクリル樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】上記可塑剤がポリエステル系可塑剤である
    ことを特徴とする請求項2に記載のアクリル樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】上記ポリエステル系可塑剤が、一般式
    (1) 【化1】 (式中、Rはn−オクチル基、イソノニル基、2−エチ
    ルヘキシル基を表し、nは2〜4の整数を表す)で表さ
    れるアジピン酸系ポリエステルであることを特徴とする
    請求項3に記載のアクリル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】上記可塑剤がアクリル系可塑剤であること
    を特徴とする請求項2に記載のアクリル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載のアク
    リル樹脂組成物をカレンダー加工してなることを特徴と
    するフィルム。
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