JP2002540614A - 低ノイズ変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 変圧器は、変圧流体を収容するタンクと、前記タンク内で且つタンクから離間して、前記変圧流体中に配置される、変圧コア及び半組立巻線と、前記タンク内の変圧流体中に配置され、電磁動作中にコア及び半組立の振動によって形成される圧力波を減少するために、変圧流体の容積を変化させる作動手段とを備えている。前記作動手段は少なくとも１つのセルを備え、このセルは、本体と、低圧ガスを維持することができるシールされた容器を実現するために前記本体に動作可能に接続された波形膜と、前記シールされた容器の内側に配置され、前記波形膜に強固に接続された操作手段とを有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、変圧器に係り、特に、低ノイズレベルを得ることができる特定の構
造及び幾何学的形状を有する手段を備えた変圧器に関する。

【０００２】 一般に、変圧器が、変圧流体（すなわち、鉱油）を収容するタンクと、変圧コ
ア及び半組立巻線とを備えていることは良く知られている。変圧コア及び半組立
巻線は、一般に、変圧流体中に配置されるとともに、変圧器のタンクから離間し
ている。

【０００３】 また、変圧器からのノイズが、特に変圧器が市街地に取り付けられている場合
に、公益産業や公益事業会社において問題となることも良く知られている。

【０００４】 変圧器内のノイズが、電磁動作中にコア及び半組立巻線の振動によって形成さ
れ、また、電磁動作中に形成される熱をタンクから周辺雰囲気へと引き出すため
に使用される冷却換気装置によって形成されることを当業者は知っている。冷却
換気装置からのノイズは、低ノイズのブレードを有する低速で大径の換気装置を
設計することにより有効に低減できるが、従来技術において知られた解決策が複
数の欠点によって影響されることを考えると、コア及び半組立巻線の振動からの
ノイズの低減は、依然として課題となっている。

【０００５】 従来技術における大抵の手法は、コアのノイズを低減するという消極的な解決
策を検討することに方向付けられている。

【０００６】 公知の手法は、コアの振動を回避するために変圧器のコアに質量を加えること
である。しかしながら、この手法は、変圧器のコアの断面積を非常に大きくして
しまい、重量増及びコスト増を招く。

【０００７】 他の手法は、変圧器のタンクの内側に受動装置を用いることを検討している。
これらの装置は、伸縮性を有する材料（すなわち、ゴム）によって形成される積
層体から成る。これらの受動装置は、変圧器のタンク内に配置されると、コア及
び半組立巻線の振動によって形成される変圧流体の圧力波を吸収する制振部材と
して作用する。この手法の主な欠点は、これらの装置が特定の振幅及び周波数を
有する流体圧力波を吸収するためだけに設計されているという事実に起因してい
る。そのような圧力波の周波数及び振幅の振動が、例えば変圧器の動作状態の変
化に起因して生じた場合、これらの装置の制振作用が効を奏さなくなる虞がある
。

【０００８】 ノイズを低減するための作動装置の使用は、例えば、米国特許第５，７２６，
６１７号明細書に開示されている。

【０００９】 前記特許においては、変圧器タンクの内側に配置されるダイナミック圧力可変
装置が考慮されている。例えば液圧アクチュエータ、ポンプ、他の類似の装置に
よって構成される前記手段は、作動コア及び半組立巻線によって形成される圧力
波を低減するために、変圧流体の圧力をダイナミックに変化させる。変圧タンク
とコア及び半組立巻線との間に配置される動作制振装置も開示されている。その
機能は、コア及び半組立巻線の振動をダイナミックに制振することである。振動
センサ及び前記作動装置のコントローラは、タンクの内側もしくは外側に配置さ
れている。

【００１０】 しかしながら、前述した特許に開示された解決策は、前記作動装置の構造に特
別の注意が払われていないことを考えると、実施することが困難である。実際に
、液圧アクチュエータ、ポンプ、類似の他の装置を作動させるためには、かなり
の量のエネルギーが必要である。

【００１１】 また、そのような装置のサイズは決して小さくないため、僅かな数の装置しか
タンクの内側に配置することができない。この事実は、最適とは言い難いノイズ
の打ち消しが、ダイナミック圧力可変装置の特定の位置に依存していることを意
味している。また、前記液圧アクチュエータや類似の装置を装着するためには、
複雑な組立作業が必要である。また、変圧器のコアとタンクとの間に前記制振装
置を装着する場合にも、複雑な組立作業が必要である。

【００１２】 本発明の目的は、特にコア及び半組立巻線からのノイズを打ち消すことができ
る装置の製造コストもしくは組み立てコストの大きな増大を招くことなく、前述
した問題を解消することができる変圧器を提供することである。

【００１３】 また、本発明の更なる目的は、コア及び半組立巻線によって形成されるノイズ
を低減するために、変圧器タンクの内側の変圧流体の容積を変化させることがで
き且つタンクの内面の内側に極めて簡単に配置することができる複数の作動装置
を使用する変圧器を提供することである。

【００１４】 また、本発明の他の目的は、変圧器の動作状態に応じて簡単に制御できる複数
の動作装置を備えた変圧器を提供することである。

【００１５】 これらの目的及び以下に明らかとなる他の目的を達成するために、本発明は、 変圧流体を収容するタンクと、 前記タンク内で且つタンクから離間して、前記変圧流体中に配置される、変圧
コア及び半組立巻線と、 前記タンク内の変圧流体中に配置され、電磁動作中にコア及び半組立巻線の振
動によって形成される圧力波を減少するために、変圧流体の容積を変化させる作
動手段と、 を備えた変圧器を提供する。

【００１６】 本発明に係る変圧器において、前記作動手段は少なくとも１つのセルを備え、
このセルは、 本体と、低圧ガスを維持することができるシールされた容器を実現するために
前記本体に動作可能に接続された波形膜と、 前記シールされた容器の内側に配置され、前記波形膜に強固に接続された操作
手段と、 を有していることを特徴とする。

【００１７】 以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。

【００１８】 図１には、本発明に係る変圧器の一実施形態の概略図が示されている。

【００１９】 本発明に係る変圧器は、鉱油等の変圧流体２が収容されているタンク１を備え
ている。変圧コア及び半組立巻線は、参照符号３で示されており、前記タンク内
で且つタンクから離間して、前記変圧流体中に配置されている。図１に概略的に
示されるように、変圧器の電磁動作中に、コア及び半組立巻線３の振動によって
圧力波４が形成される。少なくとも１つのセル５から成る作動手段は、変圧流体
２の容積を調整して圧力波４を減少するために設けられている。

【００２０】 図２及び図３には、セル５の可能な構造に関する２つの異なる概略図が示され
ている。

【００２１】 セル５は、シールされた容器を実現するために波形膜２１が動作可能に接続さ
れて成る本体２０として構成されている。膜２１の波の形状及び数は、必要に応
じて、当業者によって容易に設計可能である。好ましくは、本体２０及び膜２１
は、ステンレススチールによって形成され、縁部を溶接することができる。

【００２２】 他の実施形態において、全てのセル５には、伸縮手段２３が設けられている。
この伸縮手段２３は、柔軟なスプリングであることが望ましく、本体２０と波形
膜２１との間、好ましくはセル５の中央領域２２に動作可能に接続されている。
伸縮手段２３は、中央領域２２を本体２０の平面に対して平行に維持する機能を
有している。

【００２３】 セル５の内側には複数の操作手段２４が設けられている。これらの操作手段は
、波形膜２１に強固に接続されており、中央領域２２に近接して配置されること
が望ましい。図２及び図３に示される好ましい実施形態において、操作手段２４
は、複数の圧電スタック装置２５によって実現される。また、セル５には、低圧
ガス２８を内側に封入するために必要な弁２６（この弁は０．１ｂａｒを可能に
する）と、操作手段２４に駆動信号を供給するために必要な電気接続部２７とが
有利に設けられている。

【００２４】 低圧ガスは、本体２０上の波形膜２１を部分的に急冷する。膜２１の完全な急
冷は、操作手段２４の存在によって防止される。複数のセル５をタンク１の内側
に有利に配置することができ、また、タンク１の外側に配置された制御手段６に
複数のセル５を有利に接続することができる。当業者であれば、圧力波４を最も
効果的に減少させるために、タンクの内側における動作セルのレイアウトを容易
に選択して最適化することができる。また、圧力波４を検知するための検知手段
７が設けられている。これらの検知手段は、例えばタンクの内側に配置される圧
力変換器８や、圧力波４によって形成されるタンク１の振動を検知するためにタ
ンク１の外側に配置された振動変換器９であっても良い１又は複数の変換器を備
えている（図１）。検知手段７は制御手段６に接続されている。この接続は電気
的な接続であることが望ましいが、ここでは、「接続」なる用語が広い意味で使
用される。したがって、無線接続（例えば無線通信）やケーブル接続（例えば光
ケーブル）といった他の種類の接続を設けることも可能である。

【００２５】 好ましい実施形態において、制御手段６は、プログラム式デジタルコンピュー
タ等のフィードバックコントローラから成る。

【００２６】 前述した全ての図面には、変圧器のノイズを低減する動作が示されている。

【００２７】 圧力波４は検知手段７によって検知され、検知手段７は、圧力波４の振幅及び
周波数を示す入力信号１００を、制御手段６に送信する。

【００２８】 制御手段６は、適当なソフトウェアプログラムを使用して、入力信号１００を
解析するとともに、各セル５内に設けられた操作手段２４を駆動するための出力
信号１０１を送信する。

【００２９】 また、制御手段６と操作手段２４との間の接続は、前述したように、広範な手
法によって成される。

【００３０】 操作手段２４は、波形膜２１を動作させて振動させ、図１に参照符号４０で示
される圧力波を形成し、変圧流体の容積を変化させることができる。そのような
流体容積の変化は、圧力波４の振幅及び周波数に比例し、コア及び半組立巻線の
ノイズを非常に効果的に低減する。

【００３１】 変圧器の動作状態が変化すると、それに応じて、膜２１の振動モードも変化す
る。これは、常に圧力波４の大きさを最小限に抑えるように操作する制御手段６
の作用によるものである。前述したように、最も適したレイアウトを考慮すると
、変圧器タンク１の内側に複数のセル５を配置することができる。本発明の好ま
しい実施形態においては、タンクの異なる場所に対応する異なるセル群を独立に
動作させることができる。実際には、ある瞬間に、セル群が配置されているタン
ク領域に影響を及ぼす圧力波の振幅及び周波数に密接に関連して、各セル群を駆
動させることができる。この機能モードは、変圧器のノイズを非常に効果的に低
減することができる。

【００３２】 本発明は、比較的簡単且つ安価に実現できることを証明した。実際に、全ての
セル５は、簡単に製造でき且つサイズが非常に小さい構造を特徴としている。操
作手段２４として圧電素子を使用することにより、全てのセル５を、単独で、あ
るいは、他のセルと平行して簡単に制御できる。これは、比較的多数のセルを使
用できることを意味している。また、各セル５の操作手段２４を駆動するために
比較的低い電圧信号を使用できれば、多数のセルを使用することができる。

【００３３】 本発明の前述した好ましい実施形態の説明は、例示の目的で与えられたもので
ある。前記実施形態の説明は、本発明を網羅するものでもなく、また、開示され
た形態そのものに限定することを意図したものでもない。前述した教示内容を考
慮すれば、様々な修正及び変形を成すことができることは言うまでもない。

【００３４】 実際に、当業者であれば、ここに開示された発明の範囲内で多くの変形を成す
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る変圧器の実施形態の概略図。

【図２】 本発明に係る変圧器内に設けられた作動セルの実施形態の断面図。

【図３】 本発明に係る変圧器内に設けられた作動セルの実施形態の平面図。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フランコ、モリコニ イタリー国サン、ドナート、ミラネーゼ、 ビア、アルド、モロー、１／ベー Ｆターム(参考） 5E059 AA04 BB04 BB17

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 変圧流体を収容するタンクと、 前記タンク内で且つタンクから離間して、前記変圧流体中に配置される、変圧
   コア及び半組立巻線と、 前記タンク内の変圧流体中に配置され、電磁動作中にコア及び半組立巻線の振
   動によって形成される圧力波を減少するために、前記変圧流体の容積を変化させ
   る作動手段と、 を備えた変圧器において、 前記作動手段は少なくとも１つのセルを備え、このセルは、 本体と、低圧ガスを維持することができるシールされた容器を実現するために
   前記本体に動作可能に接続された波形膜と、 前記シールされた容器の内側に配置され、前記波形膜に強固に接続された操作
   手段と、 を備えたことを特徴とする変圧器。
2. 【請求項２】 前記セルの内側に配置され、前記波形膜及び前記本体に動作可能に接続された
   伸縮手段を備えていることを特徴とする請求項１に記載の変圧器。
3. 【請求項３】 前記操作手段が１つ又は複数の圧電スタック素子を備えたことを特徴とする請
   求項１又は請求項２に記載の変圧器。
4. 【請求項４】 前記操作手段は、前記タンクの外側に配置された制御手段に接続されているこ
   とを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載の変圧器。
5. 【請求項５】 前記制御手段は、電磁動作中に前記コア及び半組立巻線の振動によって形成さ
   れる圧力波を検知し且つ前記圧力波の振幅及び周波数を示す信号を前記制御手段
   に送信する検知手段に接続されていることを特徴とする請求項４に記載の変圧器
   。
6. 【請求項６】 前記検知手段は、前記変圧器のタンクの内側に配置されていることを特徴とす
   る請求項５に記載の変圧器。
7. 【請求項７】 前記検知手段は、前記変圧器のタンクの外側に配置されていることを特徴とす
   る請求項５に記載の変圧器。
8. 【請求項８】 前記検知手段は、前記圧力波によって形成される前記タンクの振動を検知する
   １つ又は複数の変換器を備えたことを特徴とする請求項７に記載の変圧器。
9. 【請求項９】 前記検知手段は、１つ又は複数の圧力変換器を備えていることを特徴とする請
   求項６に記載の変圧器。
10. 【請求項１０】 請求項１ないし請求項９のいずれか１項に記載された変圧器の電磁動作中に前
    記コア及び半組立巻線の振動によって形成される圧力波を低減するための方法に
    おいて、 電磁動作中に前記変圧器コア及び半組立巻線の振動によって形成される圧力波
    を検知するステップと、 前記圧力波の振幅及び周波数を示す信号を前記制御手段に送信するステップと
    、 前記検知手段によって送信された信号を解析して、前記各セル内に設けられた
    前記操作手段を駆動するための信号を送信するステップと、 前記各セルの波形膜を振動させることによって、前記変圧流体の容積を調整で
    きるように振幅及び周波数が変化する変圧流体圧力波を形成するステップと、 を備えることを特徴とする方法。
11. 【請求項１１】 流体中に配置されるとともに、振幅及び周波数が変化する流体圧力波を形成す
    ることによって、流体の容積を調整する作動装置において、 本体と、低圧ガスを内側で維持することができるシールされた容器を実現する
    ために前記本体に動作可能に接続された波形膜と、 前記シールされた容器の内側に配置され、前記波形膜に強固に接続された作動
    手段と、 を備えたことを特徴とする作動装置。