JP2002539266A - 細菌接着を阻止するためのフコシル化シアリル化n−アセチルラクトサミン炭水化物構造物の使用 - Google Patents

細菌接着を阻止するためのフコシル化シアリル化n−アセチルラクトサミン炭水化物構造物の使用

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JP2002539266A JP2000606247A JP2000606247A JP2002539266A JP 2002539266 A JP2002539266 A JP 2002539266A JP 2000606247 A JP2000606247 A JP 2000606247A JP 2000606247 A JP2000606247 A JP 2000606247A JP 2002539266 A JP2002539266 A JP 2002539266A
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Abstract

(57)【要約】 シアリル-Lewis 抗原炭水化物構造物などフコシル化シアリル化 N-アセチルラクトサミン炭水化物構造物、例えば、シアリル-Lewis x 特に二量または反復のシアリル-Lewis x を、ヒト消化器粘膜でのヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pyloriまたは関連病原菌によるヒト感染の病態を治療または予防するための医薬組成物の製造において使用できる。さらにこの病態は、シアリル-Lewis 抗原炭水化物構造物などのフコシル化シアリル化 N-アセチルラクトサミン炭水化物構造物または対応の抗体を必要とする患者に投与することで処置できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、ヒト消化器粘膜におけるヘリコバクター・ピロリ Helicobacter py
lori または関連微生物によるヒト感染の病態を治療または予防するための医薬
組成物の製造においてシアリル-Lewis抗原炭水化物構造物などの少なくとも1つ
のフコシル化シアリル化 N-アセチルラクトサミン炭水化物構造物を使用するこ
とに関する。また、かかる病態を、シアリル-Lewis抗原炭水化物構造物などのフ
コシル化シアリル化 N-アセチルラクトサミン炭水化物構造物を使用して処置す
る方法に関する。
【0002】 (発明の背景) H. pylori、ヒト胃の特異的病原菌は、慢性活性胃炎および十二指腸潰瘍にお
いて原因菌として生じる。この慢性感染は、ヒトにおける最も普通の形態の癌で
ある胃癌の発生に関係する (総説、M. J. Blaser. Sci. Amer. 2, 92, 1996)。H
. pylori は、粘膜性上皮細胞および胃上皮を覆う粘膜層に接着することにより
集落となる。 この接着性は、胃管腔の強度の酸性および胃空虚化などの力によ
る胃からの排除から細菌を保護する。 病因についての現在の主な考え方による
と、菌の繁殖および疾患のためには接着性が重要である。上皮細胞表面の特殊な
炭水化物および粘膜被覆上のムチン分子を認識する付着分子を発現する。
【0003】 以前に、フコシル化血液群抗原Lewis b および H-1 がH. pylori のヒト上皮
細胞への接着をインシトゥin situで仲介することが報告されている (T. Boren
et al., Science 1993, 262, 1892)。フコシル化血液群抗原 H-1 および Lewis
b は典型的には、ABO血液群系のO型である赤血球で見られ、上皮細胞表面でも発
現される。組織-血液群抗原と十二指腸潰瘍の発生との相関関係は、O型の個体に
十二指腸潰瘍が非常に多いという発見( Aird et al. 1954. Br Med J, 315)以
来、注目されてきた。受容体としてのLewis b および H-1 抗原に対する H. pyl
ori の特異性でもって、AおよびB血液型の個体で H. pylori 受容体のレベルが
低下しているので、O血液型の個体で十二指腸潰瘍が非常に多いことを説明でき
よう (T. Boren and P. Falk, Science (letter),1994, 264, 1387., T. Boren
and P. Falk (1994) Scientific American, Science & Medicine, Sept/Oct. 28
-37)。
【0004】 本発明の課題は、細菌接着、特にヒトにおける優位の病原菌であるH. pylori
のヒト胃粘膜への接着、に関与する臨床的に有意の効果的な物質を発見すること
にある。さらなる課題は、H. pylori 感染の治療および予防についての新しいか
つ効率的な方法を使用できるようにすることである。
【0005】 (発明の要旨) 本発明は上記の課題を、請求項に従い、シアリル-Lewis x 構造物などのフコ
シル化シアリル化N-アセチルラクトサミン・グリココンジュゲートの新規な使用
および処置方法により解決する。
【0006】 (図面についての説明) 本発明を、実施例および図面を参照して下記に詳しく説明する。 図 1 および図 7A、B は、細菌のヒト胃粘膜への接着および阻害についてのアッ
セイ:H. pylori (CCUG 17875 および babA1A2- -変異体) の受容体特異性につ
いてのインシトゥ接着分析を示す。細菌をLewis b コンジュゲートともに濃度10
μg/ml で、またはシアリル-Lewis コンジュゲートとともに濃度20μg/ml で
、前インキュベートした。 (A) エマトキシリン/エオシンで着色したヒト胃粘膜
のセクション、(B、C) それぞれ、ヒト胃上皮に結合している非阻害H. pylori b
abA1A2- 変異体およびCCUG 17875、(D、E) それぞれについての、Lewis b 抗原-
ネオグリココンジュゲート、および(F、G) それぞれについての、シアリル-Lewi
s x 抗原-ネオグリココンジュゲート。
【0007】 図 1A-1Fについては、中程度の炎症細胞浸潤で生検 no.12 (図 7A) を用いた
。図 7Bについては、炎症浸潤なく、babA1A2-変異体の受容体をほとんど欠く生
検no. 9を使用した。
【0008】 細菌結合の低下についての評価は、2つの独立の阻害実験における10の別個
の場での接着細胞数を数えた( 200X 倍)。細菌がグリココンジュゲートともにイ
ンキュベートされていない対照を100% 結合とした。
【0009】 図 2 および7C は、マウス胃粘膜への細菌のインシトゥ接着および阻害アッセ
イを示す。 H. pylori. CCUG 17875 およびbabA1A2- -変異体の受容体特異性に
ついてのインシトゥ接着の分析。 (A) ヘマトトキシン/エオシンで着色したマウ
ス胃粘膜のセクション。それぞれ、(B、C) 非形質転換胃組織上の非阻害H. pylo
ri babA1A2-変異体およびCCUG 17875。(D、E) "Lewis b マウス"トランスジェニ
ック胃組織。 (F、G) シアリル-Lewis x ネオグリココンジュゲートでの "Lewis
b mouse" トランスジェニック胃組織の阻害実験。図1に記載のイオン濃度。
【0010】 図 7Cについて、実験系は上記の通りであり、細菌結合の低下についての評価
は、2つの独立の阻害実験における10の別個の場での接着細胞数を数えた( 20
0X 倍)。細菌がグリココンジュゲートともにインキュベートされていない対照を
100% 結合とした。
【0011】 図 3 は、H. pylori のHPTLC分離シアリル化グリコリピドとの結合についての
分析結果を示す。Helicobacter pylori、およびシアリル-Lewis x およびシアリ
ル-Lewis a に対するモノクローナル抗体の、薄層クロマトグラフィー上のグリ
コスフィンゴリピドとの結合。グリコスフィンゴリピドを分離し、 (A) アニス
アルデヒドで視覚化した。二重クロマトグラフィー物を、モノクローナル (B)
抗シアリル-Lewis x、(C) 抗シアリル-Lewis aおよび放射標識H. pylori 、(D)
株 CCUG 17875、(E) BabA1A2 変異体株、 (F) 株 CCUG 17874でインキュベート
した。オートラジオグラフィは12 時間であった。各レーンは下記を含有する。 1、子ウシ脳の酸グリコスフィンゴリピド、 40 μg; 2、ヒト中性顆粒球の酸グリコスフィンゴリピド、40μg; 3、脱シアリル化後のヒト中性顆粒球の酸グリコスフィンゴリピド、 40μg; 4、ヒト胆汁嚢腺癌の酸グリコスフィンゴリピド、40μg; 5、脱シアリル化後のヒト胆汁嚢腺癌の酸グリコスフィンゴリピド、40μg; 6、ヒト胆汁嚢腺癌から分離の NeuAcα3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3
)GlcNAcβ3Galβ4Glcβ1Cer、1μg; 7、ヒト胆汁嚢腺癌から分離の NeuAcα3Galβ3(Fucα4)GlcNAcβ3Galβ4Glcβ1-
Cer (シアリル-Lewis a ヘキサグリコシルセラミド) 、4μg; 8、 NeuAcα3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3Galβ4Glcβ1Cer (シアリル-Lewis x ヘ
キサグリコシルセラミド)、4 μg; 9、ヒト小腸のFucα2Galβ3(Fucα4)GlcNAcβ3Galβ4Glcβ1Cer (Lewis b-6 ヘ
キサグリコシルセラミド) 、4μg。
【0012】 図 4 は、溶性シアリル化コンジュゲートによる H. pylori 受容体の特異性に
ついての特徴解明を示す。H. pylori 株(参照、Bacterial Strains and Growth
Conditions)を125I-標識ネオグリココンジュゲートともにインキュベートした (
参照、実験プロトコール: ネオグリココンジュゲート受容体による放射免疫分
析)。縦棒は、左から右へ、シアリル-alfa2.6ラクトース-、シアリル-alfa2.3ラ
クトース-、シアリル-Lewis a-、シアリル-Lewis x-、Lewis b-、合成シアリル-
Lewis x- シアリル-アセチルラクトサミン、後の両者は 3 炭素または14 炭素 (
伸張された/親水性) スペーサーを有し、これらはアルブミンに結合している。
最後は、組織-血液群抗原 Lewis y (合成されたペンタサッカライド) (V. Behar
and S.J. Danishefsky, Angew. Chem. Int. Ed. Engl, 1994, 33, no. 14, 146
8.) であり、これらをネオグリココンジュゲートとして分析した。
【0013】 図5は、ヒト胆汁嚢癌から単離されたH. pylori-結合 ガングリオシド につい
ての陰イオンFAB 質量スペクトルを示す。m/z 2174 での分子イオン (M-H)
は、1 NeuAc、2フコース、2 N-アセチルヘキサミン、4ヘキソースおよびd1
8:1-16:0を有するグリコスフィンゴリピドを表示する。m/z 2174からの一連のフ
ラグメントイオンは、末端の炭水化物単位の連続消去から得られ、m/z 2028 (M-
Fuc-H+), m/z 1882 (M-NeuAc-H+)、m/z 1720 (M-NeuAc-Hex-H+)、m/z 157
4 (M-NeuAc-Hex-Fuc-H+)、m/z 1371 (M-NeuAc-Hex-Fuc-HexNAc-H+)、m/z 12
09 (M-NeuAc-Hex-Fuc-HexNAc-Hex-H+)、m/z 1063 (M-NeuAc-Hex-Fuc-HexNAc-H
ex-Fuc-H+), m/z 860 (M-NeuAc-Hex-Fuc-HexNAc-Hex-Fuc-HexNAc-H+)、m/z
698 (M-NeuAc-Hex-Fuc-HexNAc-Hex-Fuc-HexNAc-Hex-H+)、m/z 536 (M-NeuAc-H
ex-Fuc-HexNAc-Hex-Fuc-HexNAc-Hex-Hex-H+)で見出される。すなわち、グリコ
スフィンゴリピドは、スペクトル上の式に示すように、NeuAcHex(Fuc)HexNAcHex
(Fuc)HexNAcHexHex 配列を有していた。
【0014】 図 6 は、ELISAにおける非固定化ネオグリココンジュゲートへのH. pylori接
着を示す。シアリル-Lewis a-PAA、シアリル-Lewis x-PAA、3'-HSO3-Lewis a-PA
A、 3'-HSO3-Lewis x-PAA、すなわち、ポリアクリルアミド骨格に結合した合成
シアリル化または硫酸化Lewis 抗原を一連稀釈1μg、100ng、10 ngでストレプ
タビジン被覆ミクロタイター・プレート (ELISA)に加えた。CCUG 17875 (75) お
よびbabA1A2 二重変異体 (DM) を一連標識A-FのELISA に加えた。接着細菌を H.
pylori CCUG 17875に対するポリクローナルウサギ抗血清により検出した。ホー
スラディッシュ・ペルオキシダーゼの産物をマクロタイター・プレート読取器で
定量した。
【0015】 図 7A、B、Cは、図 1および図 2を参照。
【0016】 図 8は、細菌結合インシトゥの抗体阻害を示す。H. pylori CCUG 17875 (75)
および babA1A2-変異体 (DM)を、Lewis b 抗原 (Lab)またはシアリル-Lewis x (
sia-Lex)抗原に対するモノクロナール抗体で前処理した組織セクション上に置
き、インシトゥ接着により分析した。 各値は、10の異なる場についての接着細
菌の平均数±SEMである。2種の異なる株 (CCUG17875 babA1/babA2-変異体) と
対照 (DM-kon、75-kon)との比較をWilcoxon/Student T検定、非パラメータ検定
で行った。P値が0,05以下を有意とした。
【0017】 下記の表を詳細な説明に付加する。 表 1は、図3からの結果の要約を示す。 表 2は、薄層クロマトグラフィーでのヘリコバクター・ピロリのグリコスフィ
ンゴリピドとの結合結果の要約である。 表 3は、この試験で使用されたグリココンジュゲートを表す。
【0018】 (詳細な説明) 本発明者は、驚くべきことに今回、新規の宿主組織炭水化物受容体を同定し、
受容体の特異性および親和性を位置つけ、さらに、組織炎症のレベルに高度に関
連する新規の受容体の存在を発見した。このことは炎症性消化器粘膜における新
規の H. pylori 受容体の増加を示唆する。よって、請求項に従って特異的炭水
化物構造物および治療の新方法を開示する。本明細書において、H. pylori によ
る消化器感染に関連する病態は、慢性的活性胃炎、胃潰瘍, 十二指腸潰瘍、胃腺
肉腫、胃リンパ種を含む。
【0019】 相互作用の微生物部分、すなわち対応する組織-血液群抗原結合 H. pylori 付
着因子、すなわち BabA 付着因子を解明および同定するために、親和性精製と架
橋付着を組み合わせて、新規技術; 受容体活性指向親和性タグ法:Receptor Act
ivity Directed Affinity Tagging (ReTagging)が開発され、付着因子の同定お
よび精製(および続く単離/配列決定)が Lewis b 抗原受容体によって可能となっ
た (D. Ilver and T. Boren et al., Science 279,373,1998)。単離した babA-
付着因子遺伝子の正しい同定を確認するために、babA-ノックアウト変異体、す
なわち babA 付着因子遺伝子を欠く変異が構築された。この変異体は Lewis b
抗原受容体について結合活性を欠き、単離の babA-付着因子遺伝子の正しい同定
を確認できた。この試験は、BabA 付着因子が関連および類似の外膜遺伝子のフ
ァミリーに属しているので、重要であり、さらに2つの単離体、 babA 付着因子
遺伝子の同一対立遺伝子が発見された(しかし、1つの対立遺伝子のみが機能的
付着因子タンパク質として発現されることがわかった)。これらの結果も公表さ
れた(IlverBoren et al., Science 279,373,1998)。特異的受容体-付着因子が
仲介する H. pylori の胃上皮組織への接着は、H. pylori 有害因子の効果的な
運搬に重要な役割を演じると言われる。この因子は、宿主組織に直接的に障害を
与え、炎症性応答を誘発して自己免疫反応を起こし、蓄積的に潰瘍疾患の発生を
導く。
【0020】 上記の babA ノックアウト変異体は、Lewis b 抗原結合性を欠くので非常に興
味深い。なぜなら、この変異体は、インシトゥ接着実験でヒト胃上皮系に、すな
わちヒト(生検)胃粘膜の組織-組織セクションに激しくなお結合する。これらの
結果は、最適の組織標的化のための、相補性の付着因子-受容体相互作用の活性
化を示唆する。
【0021】 従って、本発明者は、ヒト消化器粘膜におけるヘリコバクター・ピロリ Heli
cobacter pylori または関連微生物によるヒト感染の病態を治療または予防する
ための医薬組成物の製造においてシアリル-Lewis 抗原炭水化物構造物などの少
なくとも1つのフコシル化シアリル化 N-アセチルラクトサミン炭水化物構造物
を使用することを開示する。特に、該使用において、シアリル-Lewis 抗原炭水
化物構造物が H. pyloriの表面に存在する付着因子に結合し得る。
【0022】 フコシル化シアリル化 N-アセチルラクトサミン構造物は、Lewis x、Galβ1.4 (Fucalfal.3)G1cNAcβ1-R ( R はタンパク質または他の炭水化物構造物)などの
alfa(2,3)シアル酸置換ラクトサミノグルカンを含有する受容体を改変し得るalf
a3フコシルトランスフェラーゼ活性の発現によりつくる。Lewis x 抗原は、共通
のトリサッカライド構造物であって、このシアリル化構造物のコアを形成し、シ
アリルLewis x、すなわち NeuAcα2.3Ga.βl.4(Fucalfal)GlcNAc-R となる。他
の可能な構造物は、ジフコシル化シアリル Lewis x、長いポリフコシル化ポリラ
クトサミノグリカンまたは類似の誘導体である。コア鎖中のフコース残基の数が
親和性に影響を与え、受容体-リガンド複合体/相互作用の安定化を助けることが
示唆される。さらに興味深いのは、株 CCUG 17874 および変異株にほとんど平行
な結合パターンがシアリル-Lewis x に対するモノクローナル抗体で得られたこ
とである(図 3、B)。最適受容体は一層の複合体タイプであり得る。このことは
、HPTLCオーバレイ分析における高度の親和性受容体の性質を表すグリコリピド
のバンドを緩やかに移行せしめることから示唆される(レーン 2 および 4)。
【0023】 H. pylori-結合および抗シアリル-Lewis x-反応性グリコスフィンゴリピドを
ヒト胆汁嚢腺癌から単離し(図 3、レーン 6)、陰性イオン FAB 質量分析および1 H NMR でスフィンゴシンおよび非ヒドロキシ 16:0 脂肪酸を有する NeuAcHex (F
uc) HexNAcHex (Fuc) HexNAcHexHex として解明した(図 5)。 抗シアリル-Lewi
s x-結合活性からすると、 NeuAcα3Galβ4(Fucα3)-GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)G
lcNAcβ3Galβ4Glcβ1Cer 化合物が示唆され、すなわち、ヒト結腸腺癌で以前に
発表された反復 Lewis x コアを有するガングリオシドである。(Fukushi, Y., N
udelman, E., Levery, S.B., Hakomori, S.-i., and Rauvala, H. (1984) , Nov
el flucolipids accumulating in human adenocarcinoma III. A hybridoma ant
ibody (FH6) defining a human cancer-associated difucoganglioside (VINe
uAcVIIIFuc2nLc), J. Biol. Chem. 259, 10511-10517)。このように、
この 結合活性化合物は反復 Lewis x コアを有するガングリオシド であった (
図 5)。
【0024】 シアリル-Lewis ヘキサグリコシルセラミドとの結合はほとんど得られなかっ
たが (図 3、レーン 7)、CCUG 17874 株、BabA2 変異体、BabA1A2 変異体のシア
リル-Lewis x ヘキサグリコシルセラミドとの弱い結合が時に観察された (レー
ン 8) 。しかし、この結合は 2 nmolを要したのに対し、NeuAcα3Galβ4(Fucα3
)-GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3Galβ4Glcβ1Cer は約 1 pmolであった。
【0025】 親和性の明白な相違からして、単量体シアリル-Lewis x ガングリオシドが細
菌結合に要する特性を表示し、二量体または反復形が末端のシアル酸エピトープ
の表示に最適である。
【0026】 この段階での問題は、結合活性の増加が反復 Lewis x エレメントに依存的か
、または、結合エピトープの最適曝露を与える長い炭水化物によるのかである。
このことは、モノクローナル抗シアリル-Lewis x 抗体について発表されている(
Muething, J., Spanbroek, R., Peter-Katalinic, J., Hanisch, F.-G., Hanski
, C., Hasegawa, A., Unland, F., Lehmann, J., Tschesche, H., and Egge, H.
(1996), Isolation and structural characterisation of fucosylated gangl
iosides with liner poly-N-acetyllactoamineyl chains from human granulocy
tes. Glycobiology 6, 147-156)。
【0027】 さらに本発明は、ヒト胃粘膜の H. pylori 感染による病態を治療および/ま
たは予防する方法に関する。該方法は、有効量のシアリルLewis 抗原炭水化物構
造物を必要とするヒト患者に投与することを含む。
【0028】. シアリルLewis 抗原炭水化物構造物は、シアリルLewis x およびシアリルLewi
s a および構造物的に関連する炭水化物から選ばれる抗原である。好ましい実施
態様において、実施例に示すように、シアリル-Lewis 抗原炭水化物構造物は、
二量体または反復のシアリルLewis 抗原炭水化物構造物であり、例えば、二量体
シアリル-Lewis x およびシアリル-Lewis a および特に反復 シアリル-Lewis x
型構造物から選ばれる抗原である。
【0029】 他の実施態様において、実施例に示すように、細菌接着は、シアリル-Lewis
構造物に対する抗体により影響され得る。適切な抗体の製造は、モノクローナル
またはポリクローナルのいずれについても当業者に周知である。
【0030】 シアリル-Lewis 抗原または対応する抗体を主要活性物質またはいくつかの活
性物質の1つとして含む医薬組成物を、消化器管投与用の他の組成物と同様に通
常の方法でつくることができる。患者に投与するための適当な医薬運搬体は当業
者に知られている。
【0031】 該医薬組成物は、好ましくは経口、非経口または直腸経由で投与し得る。医薬
組成物を患者に服用形態で与えることができ、これは、デンプン、糖、脂肪、ワ
ックスなどの適当な成分を含み、さらに香料、色素、崩壊剤、結合剤、分散剤な
どを含み得る。医薬組成物を胃チューブ、鼻胃チューブ、鼻十二指腸チューブを
介して、胃または十二指腸に局所的に分配できる。適当な投与形態には、水性懸
濁液などの液体や、錠剤、カプセル、坐剤などの固体がある。
【0032】 非経口投与には、シアリル-Lewis x 型炭水化物構造物または対応の抗体を無
菌水または生理食塩水に溶解または懸濁し得る。腸内投与には、炭水化物を不活
性の担体に組込み、錠剤やカプセルなどにつくる。
【0033】 あるいは、この炭水化物または対応の抗体をリポソームまたはミクロスフェア
/ミクロ粒子で投与できる。患者に投与のためのリポソームおよびミクロスフェ
アを製造する方法は、当業者に既知であって、必要に応じて、例えば、pHや温度
などにより消化器管中の持続的放出または特定の場所での放出を得るように改変
できる。
【0034】 シアリル-Lewis 抗原または対応の抗体の用量は、投与経路の選定、処置する
特定の病態、その重篤度、処置が予防か治療か、患者の年齢および体重によって
変ってくる。各例の最適量を見つけることは、この分野の医師の通常の業務であ
る。重要なのは、非経口などで投与したときに、炭水化物が活性なことである。
必要な量は、インビトロ・アッセイでの H. pylori 細菌の阻害に要する濃度お
よび炭水化物のクレアランス速度に基づく。用量はまた、1以上の炭水化物が投
与されるかどうかに依存する。相乗効果が、炭水化物の組合せ、抗生物質などの
他の医薬、多重形の天然リガンドまたはその誘導体とで見られる。H. pyloriの
親和性および/または結合性を増加するために用いる。 本発明を下記の非限定的実施例で示す。
【0035】 実施例 実験手法 細菌株と成長条件 H. pylori 株 CCUG17875および CCUG 17874 (Australian) をCCUG, Goeteborg
, Swedenから入手した。株MO19 (US) は以前に報告されている(T. Boren, P. Fa
lk, K. A. Roth, G. Larson, and S. Normark, Science. 262, 1892 (1993))。
株 26695 は最近にゲノム配列が決定された (J-F. Tomb et al., Nature 388, 5
39 (1997))。babA2-変異体の分子構築および Lewis b 抗原結合特性は最近発表
された (D. Ilver, et al., Science, 279, 373 (1998))。 91 H. pylori 新鮮
臨床単離体のパネル はUppsala, Swedenの大学病院から得た。細胞を37oCで10 %
CO および5% O (T. Boren, P. Falk, K. A. Roth, G. Larson, and S. Nor
mark, Science. 262, 1892(1993))で、 2 日間、最適な Le b 抗原結合活性の
ために生育した。
【0036】 細菌のインシトゥ接着および阻害アッセイ 細菌のインシトゥ接着アッセイ(図 1 および 図 2)は、発表されている (P. F
alk et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90, 2035 (1993))。ヒト胃サン
プルをBarnes-Jewish 病院/Washington 大学の消化器科(St. Louis)から得た
。細菌をフルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)(Sigma, St. Louis)で標
識した。細菌懸濁液をブロッキング緩衝液中に0.15 OD600 まで稀釈し、200μL
を分取して、1時間室温でインキュベートし、 6x5min水洗した ( Falk, P., Bor
en, T., Haslam, D., Caparon M.G. (1994);Bacterial Adhesion and Tissue C
olonization Assays Methods Cell Biology, 45, 165-192; Boren T., Wadstroe
m T., Normark S., Gordon. J. I., and. Falk P. G. (1997) Methods for the
Identification of H. pylori Host Receptors. Meth. Molecular Medicine,
8, 205-224)。細菌のヒト胃への接着をインシトゥで阻害するグリココンジュゲ
ートの能力を、Lewis b コンジュゲートで濃度10μg/mL およびシアリル-Lewis
コンジュゲートで濃度20μgmLにおいて分析した。細菌結合の低下を、200X 倍
率で接着細菌数を数えて評価した (図 7 A、B、C)。各値は10の異なる場での平
均値± SEM である。グリココンジュゲートで前処理しなかった対照を100% 結合
とした。
【0037】 細菌のインシトゥ接着および阻害試験についての統計的解析;2種の異なる細菌
株(CCUG 17875 および二重変異体 (DM)) と対照との比較を、Wilcoxon/Student
T検定非パラメーター試験で行った。0,05以下のP値を有意値とした。値£0,001(
***); 値 £0,01 (**); 値 < 0,05 (*)。
【0038】 グリコスフィンゴリピド受容体の製造、精製、同定 グリコスフィンゴリピドを単離し、記載のように(Karlsson, K.-A. (1987)、
質量分析、1H NMR、変質試験で特性を解明した。細菌およびウイルスなどの試験
用の受容体全解析のために全非酸グリコリピドをつくった。Methods Enzymol. 1
38, 212-220。H. pylori-結合グリコスフィンゴリピドをヒト胆汁嚢腺癌から、
反復クロマトグラフィーのケイ酸カラムで陰性グリコスフィンゴリピド・フラク
ションまたはそのアセチル化誘導体につき単離した。弱酸加水分解のために、グ
リコスフィンゴリピドを 1% (v/v) 酢酸中で1時間100℃でインキュベートした
【0039】 陰イオン FAB 質量スペクトルをJEOL SX-102A 質量分析計 (JEOL, Tokyo, Jap
an)で記録した。マトリックスとしてトリエタノールアミンおよび増幅電圧 -10
kVを用いて、イオンを6 keV キセノン原子衝撃によりつくった。
【0040】 単離したグリコスフィンゴリピドに対する H. pylori 結合の解析 H. pylori の培養および35S標識の概要については発表されている (Angstroem
, J., Teneberg, S., Abul Milh, M,. Larsson, T., Leonardsson, I., Olsson
, B.-M., Oelwegard Halvarsson, M., Danielsson, D., and Karlsson, K.-A. (
1998).The lactosylceramide 結合 specificity of Helicobacter pylori. Gly
cobiology 8, 297-309.)。グリコスフィンゴリピドの混合物 (20-40 μg/レーン
) または純化合物 (0.002-4 μg/レーン) を、アルミニウム・バック・シリカゲ
ル 60 HPTLC プレート (Merck)で、溶媒系としてクロロホルム:メタノール:水
の60:35:8 (v/v/v) を用いて単離した。化学検出をアニスアルデヒドで行った (
Waldi, D. (1962) Spruehreagentien fuer die duennschicht-chromatographie.
In Duennschicht-Chromatographie, E. Stahl ed. (Berlin: Springer-Verlag)
pp. 496-51)。
【0041】 薄層クロマトグラフィーでの放射標識 H. pylori のグリコスフィンゴリピド
に対する結合を上記 (Angstroem et al., 1998) のように、リン酸緩衝液 (PBS)
に稀釈の細菌懸濁液を用い、pH 7.3、1x108 CFU/mlで行った。懸濁液の比活性は
、100 H. pylori につき約 1 CPM であった。モノクローナル抗体の結合を記載
のように行った (Magnani, J.L., Brockhaus, M., Smith, D.F., Ginsburg, V.,
Blaszczyk, M., Mitchell, K.F., Steplewski, Z., and Koprowski, H. (1981)
. A monosialoganglioside is a monoclonal antibody-defined antigen of col
on-carcinoma. Science 212, 55-56)。抗シアリル-Lewis x モノクローナル抗体
(クローン KM-93) はSeikagaku Corp., Tokyo, Japan から、抗シアリル-Lewis
a モノクローナル抗体 (CA 19-9) はSignet Laboratories, Inc., Dedham, MA
02026, USAから得た。
【0042】 ネオグリココンジュゲート受容体での放射免疫分析 ネオグリココンジュゲートの製造に使用するシアリル-alfa2.3ラクトース-、
シアリル-alfa2.6ラクトース-、シアリル-Lewis a-および Lewis b- オリゴサッ
カライド 抗原をHPLCで精製し、NMR分光法で構造的に同定し特性を解明した。95
% 以上の純度であった。これらのコンジュゲートはアルブミンに、炭水化物に接
着したAPD (アセチルフェニレンジアミン) スペーサーでもって還元性活力によ
って接着しており、オリゴサッカライドの末端還元モノサッカライド単位が還元
されて、アミノアルジトール、 IsoSep AB, Tullinge, Sweden として存在する(
T. Boren, P. Falk, K. A. Roth, G. Larson, and S. Normark, Science. 262,
1892 (1993), P. D. Rye, Nature Biotechnology 2, 155 (1996))。合成された
シアリル-Lewis x- tetraサッカライド抗原はアルブミンに、MPE (メルカプトプ
ロピオニル-アミノエチル) -スペーサー、IsoSep ABでもって結合していた。合
成されたシアリル-Lewis x- tetraサッカライドおよび シアリル-アセチルラク
トサミンは、両者とも 3 炭素または14 炭素(伸張/親水性) スペーサーでもって
、アルブミンに結合しており、Dextra Laboratories, Reading, UKから得た。 R
IA (図 4) は(P. Falk, T. Boren, D. Haslam, M. G. Caparon, Meth. Cell Bio
l. 45, 161 (1994))に従い小さい改変をして実施した。グルココンジュゲートを
クロラミンT法により 125I標識した。1 ml の細菌 (A600= OD 0.10)を 400 n
g の 125I標識コンジュゲート (受容体基質の過剰)とともに 30 分間、リン酸緩
衝液 (PBS)、0.5 % アルブミン、0.05 % ツイン-20 (BB緩衝液)中でインキュベ
ートした。遠心分離後、細菌ペレットに結合した125I活性をγシンチレーション
計数により測定した。結合試験は再現性があり3回行った。さらに、株内の結合
活性は安定であった。
【0043】 bab-変異体の構築 babA 欠損をつくるために、baba2 上流配列を含むbabAをF2 (正)およびR39 (
逆)プライマーにより増幅し、pBluescript SK (Stratagene, La Jolla)でクロー
ン化した。ベクターをR41およびF38で線状にした。camR遺伝子 (Y. Wang and D.
E. Taylor, Gene 94, 23 (1990))をフラグメントの間に連結した。株CCUG17875
をCamRについての選択で形質転換した。H. pylori 形質転換体について125I標識
Le bグリココンジュゲートとの結合を解析し、camR遺伝子および次いで変異複写
体の位置をPCRによりプライマーR11と併せて上流プライマー F2 (babA2)または
F44 (babA1)でもって解析した。
【0044】 非活性babA1対立遺伝子のbabA2-変異体への導入により、babA1A2二重変異体を
構築した。両二重対立遺伝子を選択するために、第2抵抗性マーカーKanRを第2
babA対立遺伝子に導入した。
【0045】 使用のプライマーは下記のとおり: F2:CTTAAATATCTCCCTATCCC; R39: CAAATACACGCTATAGAGCC; R41: GCGAGCCTAAAGTTAATGA; F38: ACGTGGCGAACTTCCAATTC; F44: CAGTCAAGCCCAAAGCTATGC; R11: CGATTTGATAGCCTACGCTTGTG
【0046】 ELISAにおける固定化ネオグリココンジュゲートとのH. pylori 接着 (図 6) シアリル-Lewis a-PAA、シアリル-Lewis x-PAA、3'-HSO3-Lewis a-PAA、3'-HS
O3-Lewis x-PAA、すなわちポリアクリルアミド骨格に結合した合成のシアリル化
または硫酸化 Lewis 抗原をSyntesome GmbH, Munchen, Germanyから得た。この
コンジュゲートを90μl 1% BSA PBS 0.05% ツイン中の稀釈系1μg、100ng、10
ngでストレプタビジン被覆ミクロタイター(ELISA)プレート(Roche Diagnostics
Scandinavia AB, Bromma, Sweden)に加えた。室温での1時間インキュベーション
後、プレートを1夜 4℃で, 300μl 1% BSA PBS 0.05% ツイン中の500ng ビオチ
ニル化アルブミンでブロックした。CCUG 17875およびbabA1A2 二重変異体を血液
寒天プレート上での43時間のインキュベーション後に収集し(参照、Bacterial S
trains and Growth Conditions)、1% BSAのPBS 0.05%ツインで洗い、次いで1% B
SAのPBS 0.05%ツインに再懸濁した。最終OD600 を0.5/ ml (5*106 CFU/ ml)に設
定した。150 μl細菌を各ウエルに加えた。プレートを1時間 室温でインキュベ
ートし、次いで300μl PBS 0.05% ツインで3回洗った。接着細菌をポリクローナ
ル化ウサギ抗血清により稀釈1:3000で検出した。これはニュージランドウサギの
ホルマリン固定細菌株 CCUG 17875 に対する(Agrisera AB, Vaennaesby, Sweden
)。この抗体を1% BSAのPBS 0.05% ツイン中で30分間室温でインキュベートした
。150 μlの懸濁液をウエルに1 時間室温で加えた。同じ操作をHRPに結合の第2
抗ウサギ抗体 (DAKO、ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン-HRP)について稀釈1:1000で
、300μl PBS 0.05% ツインの3回洗浄後に行った。3回の300μl PBS 0.05% ツ
イン最終洗浄後, 100 μl ペルオキシダーゼ基質 (3.5 mM H2O2 および 2.2 mM
o-フェニレンジアミン塩酸塩の0.05 M クエン酸ナトリウムホスファターゼ緩衝
液、pH 5.0)を加えた。5 分後、反応の停止のために25 μl 4 M H2SO4.を加えた
。ホースラジッシュ・ペルオキシダーゼ反応の産物をミクロタイター・プレート
リーダーにより490 nmで定量した。
【0047】 インシトゥ細菌結合の抗体阻害 H. pylori CCUG 17875 および babA1A2- -変異体を、モノクロナール抗体で前
処置した組織セクションに重ね、インシトゥ接着により分析した。胃組織セクシ
ョンを、 抗Lewis b モノクローナル抗体、Immucor, Inc. Norcross, GAまたは
抗シアリル-Lewis xモノクローナル抗体(クローン KM-93), Seikagaku Corp., T
okyo, Japanで稀釈1:100xで1時間予めインキュベートした。H. pylori をODA600
=0,2に合わせた (P. Falk et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90, 2035
(1993))。過剰の細菌細胞を(BB)ブロック緩衝液で6x5分間洗浄で除去した。細菌
結合の低下を200X倍率で接着細菌数を数えて評価した(図 8)。.各値は10の異な
る場での平均値± SEM である。グリココンジュゲートで前処理しなかった対照
を100% 結合とした。
【0048】 細菌のインシトゥ接着および阻害試験についての統計的解析;2種の異なる細菌
株(CCUG 17875 および babA1A2二重変異体 (DM)) と対照との比較を、Wilcoxon/
Student T検定非パラメーター試験で行った。0,05以下のP値を有意値とした。値
£0,001(***); 値£0,01 (**); 値 < 0,05 (*)。
【0049】 結果 1. H. pylori babA-変異体がLewis b 抗原に非依存性胃組織に接着する 株 CCUG 17875のbabA-変異体を、表現型作用のないbabA1対立遺伝子の不活化
によるか、Lewis b 抗原結合性の付随喪失を有するbabA2 対立遺伝子の不活化に
よって以前につくられていた。後者の結果は、BabA-タンパク質のLewis b 抗原
結合付着因子としての結果を支持する (D. Ilver et al., Science 279, 373 (1
998))。本シリーズの実験では、babA2 変異体について結合性をインシトゥ接着
アッセイで分析した。インシトゥ結合活性はCCUG 17875 野生型株に比して約50%
であった (接着細菌細胞の数による)。変異体の結合パターンは、H. pylori CCU
G 17875野生型 (wt)細菌の結合パターンに最も類似のようであった( データは表
示しない)。babA対立遺伝子間の組換えにより不活動な babA1 対立遺伝子をbabA
2-対立遺伝子中に移動せしめるので (CamR カセットによる)、babA1/babA2-(a K
anR/CamR)-変異体が構築された。ここで両babA-対立遺伝子が組換えにより不活
化された。しかし、babA1/babA2-変異体によるインシトゥ結合活性は、CCUG 178
75野生型株に比してなお約50% であった(図 7A、接着細菌細胞数による)。babA1
/babA2-変異体の結合パターンは、H. pylori CCUG 17875野生型 (wt)細菌の結合
パターンに最も類似のようであった (図 1 B、C)。表面粘膜細胞との結合は、Le
wis b 抗原などのフコシル化組織-血液群抗原により仲介されることが前に示さ
れている (T. Boren et al. Science 1993, 262, 1892)。H. pylori wt-株の低
濃度 (10μg/mL)溶性Lewis b 抗原(IsoSep AB, Tullinge, Sweden)での前インキ
ュベーションにより、結合のほとんどすべての阻害(80% 低下)が起きる(図 1E
および図 7A)。一方、babA1/babA2-変異体の表面粘膜細胞との結合は、溶性Lewi
s b 抗原により阻害され得ないので (図 1D)、ba babA1/babA2-変異体株が相補
性結合/接着性の発現およびその後の明らかに別個の受容体の認識を誘発すると
おもわれる。
【0050】 2. H. pylori babA1/babA2-変異体の接着が胃粘膜でalfa1,3/4 フコシルトラン
スフェラーゼに依存的である H. pylori 野生型およびbabA1/babA2-変異体によるインシトゥ接着実験に、マ
ウスの組織学的組織セクション(FVB/N)およびさらにトランスジェニック"Lewis
b マウス" 胃粘膜を用いた。"Lewis b マウス"はマウス胃粘膜でalfa 1,3/4 フ
コシルトランスフェラーゼ (alfa1,3/4 FT)を発現し、小窩および表面粘膜の細
胞における(他方) ヒト特異的 Lewis b 抗原の発現を生じる (P.G. Falk et al.
, (1995) PNAS, 92, 1515).。以前のデータ (P.G. Falk et al, (1995) PNAS, 9
2, 1515)と同様に、H. pylori wt-細菌は正常な胃粘膜にインシトゥであまり結
合しない。一方“Lewis b mouse" 胃粘膜、すなわち表面粘膜細胞との結合は十
分である (図 2 C、E)。 新しい結果によると、babA1/babA2-変異体細菌は非常
によく似た行動をする。すなわち、表面粘膜細胞に対する健常の "Lewis b マウ
ス" 胃粘膜に誘導された十分な結合がある (図 2 D)。一方、babA1/babA2-変異
体の非トランスジェニックマウスとの結合は弱く、ほとんど上層に限られ、保護
粘膜におけるムチンに対するようである (図 2 B)。これらの結果からすると、b
abA1/babA2-変異体に利用される受容体は、"Lewis b マウス"のヒト特異的フコ
シルトランスフェラーゼ活性力により加えられた追加のalfa-1.3/4-フコース残
基に依存する。
【0051】 3. babA1/babA2-変異体がヒト特異的シアリル化グリコスフィンゴリピドすなわ
ちガングリオシドについて親和性を示す babA1/babA2-変異体についての可能性ある受容体構造物の選択を、独立の源お
よび組織由来のMS特性グリコリピドのよく解明されたパネルについての接着実験
により行った。H. pylori およびモノクローナル抗体のグリコスフィンゴリピド
との結合の評価に薄層クロマトグラフィー結合アッセイ (J. Angstroem et al.,
Glycobiology 8, 297 (1998); J. M. McKibbin et al., J. Biol. Chem. 257,
755 (1982))を用いた。すなわち、グリコリピドをHPTLCプレートで分離し、H. p
ylori CCUG 17875 野生型細胞およびbabA1/babA2-変異体 をプレート上に置き、
放射細菌細胞の結合を検出した (参照、Experimental procedures)。4種の H. p
ylori 株を試験した。CCUG 17874はグリコスフィンゴリピドに、シアル酸に依存
的に結合するが、Le エピトープを認識しない (D. Ilver et al., Science 27
9, 373 (1998); Miller-Podraza, H., Abul Milh, M., Teneberg, S., and Karl
sson, K.-A. (1997) Binding of Helicobacter pylori to sialic acid-contain
ing glycolipids of various origins separated on thin-layer chromatograms
. Infect. Immun. 65, 2480- 2482); Lewis b-結合株 CCUG 17875はシアル酸結
合能を欠く (Ilver et al., 1998; Miller-Podraza et al., 1997);babA2-変異
体およびbabA1A2-変異体。図 3 からの結果を表 1にまとめる。
【0052】 babA2 変異体およびbabA1A2 変異体は親株 CCUG 17875と2点において相違し
ていた。17875 株と異なり、babA2 変異体およびbabA1A2 変異体は、Lewis b-6
グリコスフィンゴリピド、すなわちbabA-変異体の予測の挙動を認識しなかった(
図 3E、レーン 9)。代わりに、他の結合能が生じて、これらの変異体株の、ヒト
好中顆粒球およびヒト胆汁嚢腺癌の遅移行性酸グリコスフィンゴリピドとの結合
により表示される (図 3E、レーン 2 および 4)。その状態は、株 CCUG 17874で
得られる結合パターンと識別できない。babA2 変異体、babA1A2 変異体、CCUG 1
7874の結合は、緩和な酸加水分解によるシアル酸の除去で無くなり (参照、Expe
rimental protocol) (図 3, レーン3 および5)、シアリル化構造物の結合過程へ
の関与を表す。しかし、子ウシ脳のガングリオ系ガングリオシドは得られなかっ
た (レーン 1、および表 1、Nos. 1-4)ことから、シアル酸の存在自体が細菌結
合の支持に十分でないので、完全受容体エピトープについて追加の構造物の関与
が考えられる。
【0053】 結論として、babA1A2 変異体による特異的結合は、顆粒球などのヒト由来のシ
アリル化(酸性)グリコリピドに限定された。一方、H. pylori wt-株による結合
およびさらにbabA1A2 変異体による結合は脱シアリル化後または非ヒト由来のシ
アリル化グリコリピドについて検出されなかった。
【0054】 ヒト中性顆粒球のガングリオシドは特徴が完全に解明されている (Fukuda, M.
N., Dell, A., Oates, J.E., Wu, P., Klock, J. C., and Fukuda, M. (1985).
Structures of glycosphingolipids isolated from human granulocytes. J. Bi
ol. Chem. 260, 1067-1082; Stroud, M.R., Handa, K., Salyan, M.E.K., Ito,
K., Levery, S.B., Hakomori, S.-i., Reinhold, B.B., and Reinhold, V.N. (1
996a). Monosialogangliosides of human myelogenous leukemia HL60 cells an
d normal human leukocytes. 1. Separation of E-selectin binding from non-
binding gangliosides, and absence of sialosyl-Lewis x having tetraosyl t
o octaosyl core. Biochemistry 35, 758-769; Stroud, M.R., Handa, K., Saly
an, M.E.K., Ito, K., Levery, S.B., Hakomori, S.-i., Reinhold, B.B., and
Reinhold, V.N. (1996b). Monosialogangliosides of human myelogenous leuke
mia HL60 cells and normal human leukocytes. 2. Characterisation of E-sel
ectin binding fractions, and structural requirements for physiological b
inding to E-selectin. Biochemistry 35, 770-778; Muthing, J., Spanbroek,
R., Peter-Katalinic, J., Hanisch, F.-G., Hanski, C., Hasegawa, A., Unlan
d, F., Lehmann, J., Tschesche, H., and Egge, H. (1996). Isolation and st
ructural characterisation of fucosylated gangliosides with linear poly-N
-acetylactosamineyl chains from human granulocytes. Glycobiology 6, 147-
156)。主な構成要素はGM3 ガングリオシドおよびシアリルネオラクトテトラオシ
ルセラミドである。大きい方のガングリオシドは反復 N-アセチルラクトサミン
単位に基づき、多くの場合GlcNAcの3位に連結したFuc(alfa)-残基を保持する。
さらに、NeuAcは、ネオラクト-テトラオシルセラミドの末端Gal末端に連結したa
lfa3- またはalfa6-であり得て、そして反復 N-アセチルラクトサミン単位を有
する長いグリコスフィンゴリピドである。 フコース残基で置換された反復 N-ア
セチルアセトサミン・コアを有するガングリオサイドはヒト腺癌において発表さ
れている (Hakomori, S.-i. (1989) General concept of tumour-associated ca
rbohydrate antigens: their chemical, physical and enzymatic basis. In Ga
ngliosides and Cancer, H.F. Oettgen, ed. (New York: VCH Publishers) pp.
57-68)。
【0055】 インシトゥ 接着および阻害の試験は、HPTLCオーバレイ細胞アッセイと合わせ
て、babA1A2 変異体受容体がシアリル化され、さらにalfa-1.3/4-フコース残基
に依存性であり、すなわち、周知のセレクチン受容体および腫瘍マーカー、シア
リル-Lewis x およびシアリル-Lewis a-抗原に非常に類似していることを示唆し
ている (J. Sakamoto et al., Cancer Res., 49, 745 (1989)., Takada et al.,
Cancer Res., 53, 354 (1993), Amado et al., Gastroenterology, 114, 462,
1998)。しかし、HPTLC オーバレイ試験において、精製シアリル-Lewis a グリ
コリピドとの結合はほとんど検出されなかった。
【0056】 4. シアリル化受容体についてH. pylori の受容体特異性、親和性、優位性 詳細な受容体の特異性を放射標識半合成グリコタンパク質(すなわち、ネオグ
リココンジュゲート)に対する結合試験により解析した 。このタンパク質はヒト
血清アルブミンに結合した天然/精製または合成のシアリル化オリゴサッカライ
ドからつくった(図 4)。興味深いことに、結合試験によると、BabA2 変異体およ
びbabA1A2 変異体の両方についてシアリル-Lewis Xの、H. pylori CCUG 17875お
よびCCUG 17874野生型細菌による結合を示した。野生型による結合が変異体に比
して約30%低かったこと(図 4)は、対応付着因子発現の調節減少あるいは表示ま
たは結合活性における立体障害のいずれかを意味する。さらに、アルブミンコア
に連結した14 炭素スペーサーを有するalfa2.3ラクトースアミンがかなり効果的
な結合を表すが、短い 3炭素スペーサーにより連結された等価の構造物では結合
が非常に低下している。長いスペーサーにより結合が改善されることは、細菌付
着因子との最適の相互作用のために正しい受容体の提示における立体的柔軟性が
重要なことを示唆する。弱い結合は、関連シアリル-alfa2.3ラクトース-、シア
リル-alfa2.6ラクトース-、シアリル-Lewis a- 抗原によっても示される。
【0057】 しかしながら、末端の alfa 2.3連結のシアル酸残基は受容体活性に非常に重
要である。密接に関連したLewis y 提示抗原での結合試験で、なんらの結合活性
を検出しなかった (図 4)。これは、受容体エピトープの正しい形成のためのシ
アリル末端の関与を示す。
【0058】 図 4 に、接着性のいくつかの組み合わせを例示する。CCUG 17875 株は次いで
Lewis b 抗原およびシアリル-Lewis x 抗原との相互作用の能力を有し、一方、
CCUG 17874 株 (他の臨床野生型単離体およびさらに型株)はシアリル-Lewis x
抗原結合に制限される。すなわち、babA2 変異体およびbabA1A2 変異体に類似で
ある。興味深いことに、MO19 株およびHP 26695 株 (TIGR-instituteによりゲノ
ム的に配列決定された) (J-F. Tomb et al., Nature 388, 539 (1997)) の両方
は両結合能を欠いている。
【0059】 同じ発明者によるSE 9901007-6に発表されている親和性についての初期の決定
は、Scatchard 親和性分析にあまり適していないシアリル-Lewis X 抗原を含ん
でいた。それで、本発明者は、優先権年の間に、Scatchardにしたがってシアリ
ル化コンジュゲートについてbabA1A2-変異体の親和性を分析した (参照、表 2)
(Scatchard, A.G. (1949). The attractions of proteins for small molecules
and ions. Ann. N.Y. Acad. Sci. 51, 660-672.)。babA1A2-変異体は、 シアリ
ル-Lewis x 抗原について高度の親和性 1x108M-1 を示した。反復シアリル-Lewi
s x 抗原を合成したところ、高度の親和性 2x108M-1を有した。反復シアリル-Le
wis x 抗原コンジュゲートのオリゴサッカライド部分をラクトースからの酵素的
合成を、適当なグリコシルトランスフェラーゼおよびヌクレオチド糖を用いて行
った (M Barstrom, M Bengtsson, O Blixt, and T Norberg: "New lipophilic d
erivatives of reducing oligosaccharides and their use in enzymatic react
ions: efficient synthesis of sialyl lewis a and sialyl dimeric lewis x g
lycoconjugates", Submitted to Carbohydrate Res., 2000)。
【0060】 ヒト血清アルブミンとの結合をイソチオシアネートの方法で行った (E Kallin
, H Lonn, T. Norberg: "New derivatization and separation procedures for
reducing oligosaccharides", Glycoconjugate J. 3, (1986) 311-319)。平均
置換度は11 ヘプタン/HSA 分子を得た。MALDI-TOF 質量分光法による。一方、シ
アリル(alfa)2,3ラクトースすなわちフコースを欠く等価のコア構造物は、20倍
低い親和性1x107M-1を示した。babA1A2-変異体について、シアリル-Lewis x コ
ンジュゲートについての1000 結合部位に近接がみられ、すなわちLewis b 抗原
受容体について結合部位数が類似であった (Ilver, D., Arnqvist, A., Oegren,
J., Frick, I.M., Kersulyte, D., Incecik, E.T., Berg, D.E., Covacci, A.,
Engstrand, L. and Boren, T. (1998) Helicobacter pylori adhesin binding
fucosylated histo-blood group antigens revealed by retagging. Science 27
9, 373-377)。
【0061】 細菌結合部位形成についてのシアル酸残基の重要性を調べるために、シアリル
酸をalfa1,2 フコース残基で置換したジフコシル化 Lewis y ペンタサッカライ
ド抗原 (表 3) (Behar, V. and Danishefsky, S.J. (1994) A highly convergen
t synthesis of the Lewis y blood group determinant in conjugatable form,
Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33, 1468-1470)およびシアリル-alfa 2,6 ラク
トースコンジュゲートを分析した。しかし、これらはなんらの結合活性を表さな
かった (データは示さない)。結果を組み合せると、H. pylori決定受容体のシア
リル-Lewis x 型の形成における決定的構成要素として反復 Le x 抗原と併せて
alfa 2,3 連結シアル酸残基が厳密に必須である。
【0062】 シアリル-Lewis x 抗原結合活性の優位性を91のスエーデン臨床 H. pylori 単
離体で調べた。44%すなわち40単離体がネオグリココンジュゲート抗原に結合し
た。いずれの参照株 (図 4A)もいずれの91臨床単離体も関連 Lewis y penta サ
ッカライド抗原に結合しなかった (データは示さない)。これらの結果は、天然
臨床単離体における新しいシアリル化Lewis x 受容体の優位性の証拠となる。さ
らに、91 株の内14株すなわち15%が、シアリル-Lewis a 抗原に対する結合を示
す。シアリル-Lewis a 抗原との相互作用は、確立された腫瘍抗原としてのシア
リル-Lewis a を考慮すると(特に、可能なカルチノーゲンとしてのH. pylori と
の関連)、非常に興味深い。細胞形質転換の場合、シアリル-Lewis a, H. pylori
mなどの腫瘍マーカーの出現は、追加の受容体候補を利用可能にできよう。
【0063】 5. 高度親和性 H. pylori ガングリオシド受容体の製造および同定 本発明の対象は、フコシル化ネオラクト級ガングリオシドに関している。フコ
シル化シアリル化ラクトサミン構造物を、 Lewis x, Galβ1.4(Fucalfa1.3)-Glc
NAcβ1-R (R はタンパク質 または他の炭水化物の構造物)などのalfa(2,3) シア
ル酸置換ラクトサミングリカンを含有する受容体を修飾し得るalfa1,3/(4) フコ
シルトランスフェラーゼ活性の発現によりつくった。Lewis x 抗原は共通のトリ
サッカライド構造物であり、このシアリル化構造物のコアを形成し、シアリル-L
ewis x、すなわち NeuAcalfa2.3Ga.β1.4(Fucalfa1)GlcNAc-Rとなる。他の可能
な構造物は、ジフコシル化シアリル Lewis x、長いポリフコシル化ポリアクトサ
ミネオグリカン、または類似の誘導体であり得る。 コア鎖におけるフコース残
基の数は親和性に影響を与えて、受容体-リガンド複合体/相互作用の安定に寄与
することがある。さらに興味が増すのは、結合パターンが株CCUG 17874のパター
ンに平行しており、変異体株をシアリル-Lewis x に対するモノクローナル抗体
で得た(図 3、B)。最適受容体はさらに複合の型であり、HPTLCオーバレイ分析に
おける高度な受容体の性質を表示するグリコリピド・バンドを一層遅く移行する
ことから示唆される (レーン 2 および 4)。
【0064】 H. pylori-結合および抗シアリル-Lewis x-反応性グリコスフィンゴリピドを
ヒト胆汁嚢腺癌から単離し(図.3、レーン 6)、陰性イオンFAB質量分析および 1H
NMRによりスフィンゴシンおよび非ヒドロキシ16:0脂肪酸を有する NeuAcHex(Fu
c)HexNAcHex-(Fuc)HexNAcHexHex として特徴を解明した(図 5)。抗シアリル-Lew
is x-結合活性でもって、NeuAcα3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3-Galβ4(Fucα3)Glc
NAcβ3Galβ4Glcβ1Cer 化合物、すなわち反復 Lewis x コアを有するガングリ
オシドを示唆した。これはヒト結腸腺癌において記載されているものである (Fu
kushi, Y., Nudelman, E., Levery, S.B., Hakomori, S.-i., and Rauvala, H.
(1984). Novel fucolipids accumulating in human adenocarcinoma. III. A hy
bridoma antibody (FH6) defining a human cancer-associated difucoganglios
ide (VINeuAcVIIIFuc2nLc). J. Biol. Chem. 259, 10511-10517)。
結合活性化合物は反復 Lewis x コアを有するガングリオシドであった (図 5)。
【0065】 シアリル-Lewis a ヘキサグリコシルセラミドに対する結合がほとんど得られ
なかったが (図 3、レーン 7)、CCUG 17874 株、BabA2 変異体、BabA1A2 変異体
の、シアリル-Lewis x ヘキサグリコシルセラミドに対する弱い結合が時に観測
された (レーン 8)。しかし、この結合は2 nmolを要し、一方、NeuAcα3Galβ4(
Fucα3)GlcNAcβ3-Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3Galβ4Glcβ1Cerの検出レベルは約1
pmolであった。
【0066】 親和性についての明白な相違は、単量体シアリル-Lewis x ガングリオシドが
細菌結合に要する特性を有するのに対し、二量体または反復型が末端シアル酸エ
ピトープの提示に最適であることに因する。
【0067】 この段階での疑問は、結合活性の増加が反復 Lewis x エレメントに依存する
のか、または, 結合エピトープの最適曝露をもたらす長い炭水化物鎖によるのか
である。モノクローナル抗シアリル-Lewis x 抗体について前に発表されている
(Muething, J., Spanbroek, R., Peter-Katalinic, J., Hanisch, F.-G., Hansk
i, C., Hasegawa, A., Unland, F., Lehmann, J., Tschesche, H., and Egge, H
. (1996). Isolation and structural characterisation of fucosylated gangl
iosides with linear poly-N-acetyllactosamineyl chains from human granulo
cytes. Glycobiology 6, 147-156)。
【0068】 6. ELISAにおけるシアリル化受容体についての H. pylori の受容体特異性 H. pylori 野生型細菌が溶性シアリル-Lewis x 抗原に対する結合を示し(図 4
)、HPTLC結合アッセイによる解析の結合パターンと対照的であるので(図 3)、野
生型株におけるなどのBabA-付着因子の存在が固相すなわちインビボ細胞表面に
おけるシアリル-Lewis x 抗原に対する結合を立体的に干渉し得る複雑な状態が
存在するのかもしれない。
【0069】 ELISAアッセイを構築して、固定化したシアリル化または硫酸化Lewis x 抗原
に対する細菌結合を分析した。この試験で、Lewis b 抗原を対照として使用した
。興味深いことに、babA1A2 変異体は、野生型株よりも固定化シアリル化受容体
に効果的に結合し、すなわち、 HPTLC結合分析から得た結果に類似した。一方、
野生型株によるLewis b 抗原に対する結合は、最も効果的であり、次いでbabA1
A2 変異体で完全に失われた。溶性と固定化とのシリアル化構造物についての結
合結果における顕著な相違は、胃粘膜層(上皮細胞を内層する)におけるムチン分
子との相互作用がCCUG 17875 野生型の結合挙動と和合的であり得る状態、一方
、細胞表面固定化または表示の受容体がbabA1A2 変異体に限定されるかもしれな
い状態を示唆する。これは、株 CCUG 17874の結合パターンに最も類似しており
、局所的グリコシル化パターンおよびシアリル化受容体との効果的結合における
変化に適応するために、下方調整または相変動によりBabA-付着因子の欠失があ
る(図3)。これらの分析において、シアリル-Lewis a 抗原との弱い相互作用が
株 CCUG 17875により検出される。結合の相違は、シアリル-Lewis x 抗原に比し
て100倍近く低い。さらに、Lewis x/a 抗原の硫酸化誘導体は、効果的なセレク
チン受容体として発表されている(C.T. Yuen et al., J. Biol. Chem., 269, 15
98, (1994); Brandley et al., Glycobiology, 3, 663 (1993)。3'HSOLewis a
- および 3'HSOLewis x - 抗原コンジュゲートはELISAで細菌結合について解
析した。しかし、バックグランドに結合を検出しなかったことは、セレクチンタ
ンパク質の受容体/炭水化物結合ドメインに比して、受容体エピトープにおける
末端alfa2.3 連結シアル酸の厳密な必要性を示唆した(図 6)。
【0070】 7. H. pylori babA1/babA2-変異体の接着がシアリル-Lewis x 抗原により阻害さ
れる ヒト胃粘膜による(図 1 B、C)、およびさらに形質転換 "Lewis b" マウス胃粘
膜による(図2 D、E)インシトゥ接着試験において観測される babA1/babA2-変異
体がシアリル-Lewis x 抗原に依存的であることを示すために (図 3、4、5、6)
、本発明者は、インシトゥ接着阻害試験を行った。溶性Lewis B ネオグリココン
ジュゲート(図 1、D、E)での以前の阻害実験と同様に、H. pylori 野生型株 (CC
UG 17875) およびbabA1/babA2-変異体細菌をシアリル-Lewis x コンジュゲート
とともに前インキュベートし、ヒト胃粘膜および"Lewis b" マウス胃粘膜につい
てインシトゥ細菌結合を分析した。最も興味があったのは、ヒト (図 1F and 7A
) および"Lewis b"マウス (図 2F および 7C) 胃粘膜におけるbabA-変異体細菌(
95% 低下)によりほとんど完全に防止された結合のシアリル-Lewis x での阻害試
験であった。一方、H. pylori 野生型細菌のヒト胃粘膜Lewis x 阻害試験では、
結合が低下しなかった。(図 1Gおよび 7A)。
【0071】 しかし、約35%の僅かの結合低下が "Lewis b" マウス胃粘膜に対するH. pylor
i 野生型細菌で観測された (図 2G および 7C)。この実験によると、変異体はシ
アリル-Lewis x 抗原さらに他のヒト特異的抗原に特異的な付着因子タンパク質
の結合性を機能的に低下した。ヒト組織とトランスジェニック組織との結合パタ
ーンにおける僅かな相違からして、発現Lewis b とシアリル-Lewis x 抗原の比
率は、ヒト胃粘膜に比してかなり相違すると思われる。"Lewis b" マウスのヒト
化グリコシル化パターンは、末端切除ラット腸脂肪酸遺伝子プロモーター(Fabpi
)により駆動される (P.G. Falk et al, (1995) PNAS, 92, 1515)。一方、ヒト胃
粘膜/宿主のグリコシル化パターンは、慢性炎症過程により生じた因子、サイト
カインなどにより形成され調節され、および信号分子を調節する細胞識別および
さらにサイトカインなどの炎症刺激による相違が最も期待されるようである。
【0072】 8. babA1/babA2-変異体細菌についての受容体エピトープはシアリル-Lewis x 抗
原に対するモノクローナル抗体により認識される 溶性受容体コンジュゲートでの阻害結果によると、babA1/babA2-変異体による
大部分の結合は、シアリル-Lewis x 抗原により仲介される。しかし、HPTLC-結
合分析の結果(図3)によると、高分子量で反復/二量体の可能性あるシアリル-Le
wis x 誘導体はモノクローナル抗体によりあまり認識されない。本発明者は、イ
ンシトゥでヒト胃粘膜への細菌接着の阻害に対する作用を、シアリル-Lewis x,
抗原 および Lewis b 抗原に対するモノクローナル抗体により分析した(図8)。
シアリル-Lewis x Mab による組織の前インキュベーションは、babA1/babA2-変
異体による結合を 40% 低下し、野生型株による結合は顕著な低下がなかった (
図8)。比較すると、Lewis b 抗原 MAbは 野生型株による結合の 78% 低下があり
、一方、babA1/babA2-変異体株の接着は影響を受けなかった。結合の40 % 低下
は明らかに効果的であり、モノクローナルシアリル-Lewis x 抗体がbabA1/babA2
-変異体に比してより制限された結合特異性を表すことを示唆する。これらの結
果はHPTLC-結合結果に類似する (図 3)。二量体シアリル-Lewis x グリコリピド
/抗原が単量体の短い炭水化物構造物に比して高い受容体親和性を表す。
【0073】 9. 胃粘膜のbabA1/babA2-変異体についてのシアリル-Lewis x 抗原および受容体
の発現 シアリル-Lewis x 抗原は、正常の臨床単離体により利用される結合特異性を
有し、上記のLewis b 抗原受容体に最も高度の相補性を有するようである。両受
容体はalfa-1.3/4-フコシル化されており、ヒト(霊長類)特異的抗原と定義され
る。H. pylori受容体の唯一のalfa-1.3/4-フコシル化は、H. pylori をヒト(霊
長類) 特異的病原体として説明し得る。フコシル化血液群関連抗原の2つの基間
における末端置換の相違は、グリコシル化の上皮発現パターンにおける明白な相
違に関するので、非常に興味深い。しかし、正常な成人の胃はシアリル化構造物
が低いと考えられ、H. pylori としてのシアリル-Lewis x 抗原が存在すると、
すべて明白でなくなるであろう。しかし、シアリル化レベルの増加は、炎症/ま
たは悪性形質転換の状態、すなわち慢性H. pylori 感染過程に関する状態に最も
しばしば関連する。
【0074】 胃炎症とH. pylori シアリル-Lewis x 抗原受容体の発現との可能な関係を調
べるために、本発明者は 20 個体から胃ピンチ生検(すなわち、非常に小さい生
検)をスクリーンした。10 個体のピンチ生検インシトゥにおいてbabA1/babA2-
変異体によるシアリルLewis x依存性結合をほとんど見出せず、7 個体で低い散
発的な結合があり、3 個体の生検で優れた結合があった。しかし、これらのピン
チ生検を患者の日常的スクリーニングから得て、その大部分の患者で重篤な症状
は無かった。3 つの高結合ピンチ生検のうち一つを図 1 および図7Aの試験に選
択した。6の上記のピンチ生検を"炎症細胞浸潤"について評価した。babA1/babA2
-変異体の低または中程度の結合を与える4 セクションで "低炎症細胞浸潤"であ
り、生検 9のインシトゥ接着分析により示される (図 7B)。babA1/babA2-変異体
による結合が非常に低下した。一方、babA1/babA2-変異体より優れた結合を与え
る2つの生検は"中程度の炎症細胞浸潤"であった。これを生検no.12により例示す
る (図 7A)。これらの結果は、炎症応答の胃組織/レベルにおけるbabA1/babA2-
変異体による結合と炎症細胞浸潤の程度との相関を示唆する。
【0075】 これらの結果を基にして、いつどこでシアリル-Lewis x 受容体が生じるかを
はっきりさすことは、もちろん非常に難しい。しかし、本発明者は、この受容体
が慢性萎縮性胃炎の際、同時的に粘膜層が薄くなったときに生じ、酸性環境を避
けるために細菌が細胞に固く接着するのに好都合であろうことを示唆する。
【0076】 この結果に基づき、Lewis b 抗原で仲介された接着によりH. pylori が表面上
皮被覆/胃小窩領域に標的とされる。慢性感染および炎症過程において、シアリ
ル化レベルの上方調節により上皮が応答する。この事象/過程は、胃小窩領域に
おいて、第2受容体レベルすなわち微生物付着過程についての蓄積的または2段
階メカニズム、およびシアリル-Lewis x 抗原に対する接着を提供する。接着に
ついての 2段階依存性メカニズムは、表面粘膜への最初の標的化がLewis b 抗原
により仲介され、ついでシアリル化グリコリピドで密接な接触がなされると、微
生物にとって非常に重要である。
【0077】 段階的な接着メカニズムは、微生物にとって極めて有用なようであり、接着を
促進するために、感染過程の開始により細胞受容体発現の第2レベルを誘導でき
る。このメカニズムは、慢性炎症過程の際に微生物を少し移動した環境的適所に
導き、炎症過程を酸消化性疾患および/または悪性形質転換にさらに進展さすよ
うである。他の可能な説明は、PMN-細胞/顆粒球などのシアリル炎症細胞との最
初の相互作用を回避することである。中性球とのレシチン仲介相互作用が酸化性
反応の突発を活性化することは発表されている (D. Danielsson, et al., Scand
-J-Gastroenterol, 1994, 29, 2, 128-32)。このメカニズムの受容体はまだ同定
されていないが、ヒト顆粒球がシアリル-Lewis x 抗原によるセレクチン相互作
用/接着研究のモデル細胞として使用されることを考えると、顆粒球との反応性
相互作用がシアリル-Lewis x 抗原/受容体との相互作用により誘発される可能性
が非常に高い。
【0078】 多くの本実験結果および理解は、前に本発明者が明らかにしたbabA1A2-"二重"
変異体 (DM)によりつくられた結合結果による。二重変異体はすべてのLewis b
抗原結合性を欠くので、胃小窩領域でのシアリル-Lewis x 抗原による特異的結
合を表示できるのであろう。BabA 付着因子(すなわち、野生型)の存在は、なん
らかの立体的干渉をして、シアリル-Lewis x 抗原 インシトゥによる結合を防ぐ
ようである。これは、HPLTCプレート上のシアリル化受容体についての固相およ
びELISAにおける結合試験の本結果から明らかである。
【0079】 本発明者は、驚くべきシアリル-Lewis x 抗原依存性結合モードを胃組織炎症
応答の結果として、明らかにした。このような信号化は、H. pylori 慢性感染サ
イクルにとって要の事象であり、酸消化性疾患/胃癌の慢性炎症応答および進展
を支持する。
【0080】 本発明は、好ましい実施態様について記載し、本発明者に現時点で最上の態様
を構成するものであるが、当業者に自明である種々の変更および修飾を、請求項
に規定した範囲から逸脱せずに、行うことが当然できる。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図 1 は、ヒト胃粘膜への細菌の接着および阻害についてのアッ
セイを示す。
【図2】 図 2 は、マウス胃粘膜への細菌のインシトゥ接着および阻害ア
ッセイを示す。
【図3】 図 3 は、H. pylori のHPTLC分離シアリル化グリコリピドとの結
合についての分析結果を示す。
【図4】 図 4 は、溶性シアリル化コンジュゲートによる H. pylori 受容
体の特異性についての特徴解明を示す。
【図5】 図 5 は、ヒト胆汁嚢癌から単離されたH. pylori-結合 ガングリ
オシド についての陰イオンFAB 質量スペクトルを示す。
【図6】 図 6 は、ELISAにおける非固定化ネオグリココンジュゲートへの
H. pylori接着を示す。
【図7】 図 7は、ヒトおよびマウス胃粘膜への細菌の接着および阻害につ
いてのアッセイを示す。
【図8】 図 8は、細菌結合インシトゥの抗体阻害を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/02 A61P 31/02 35/00 35/00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 カール−アンデッシュ・カールソン スウェーデン、エス−411 43イェーテボ リ、ニルソンスバリィ37番 (72)発明者 スサン・テネバリィ スウェーデン、エス−430 63ヒンドス、 ペーエル1639、アンドヴィケン Fターム(参考) 4C085 AA02 AA13 BA20 BB24 4C086 AA01 AA02 EA25 MA01 MA04 NA14 ZA66 ZA68 ZB11 ZB21 ZB26 ZB31 ZB35 ZC02

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト消化器粘膜のヘリコバクター・ピロリ Helicobacter py
    loriによるヒト感染の病態を治療または予防するための医薬組成物の製造におけ
    るフコシル化シアリル化 N-アセチルラクトサミン炭水化物構造物および/または
    シアリル-Lewis 抗原炭水化物構造物の使用。
  2. 【請求項2】 シアリル-Lewis抗原炭水化物構造物が、H. pylori.の表面に
    存在する付着因子に結合し得る、請求項1の使用。
  3. 【請求項3】 シアリル-Lewis 抗原炭水化物構造物が、ヒト消化器粘膜の
    組織学的セクションの上皮細胞へのH. pylori の接着を阻害または実質的に低下
    せしめ得る、請求項1または2の使用。
  4. 【請求項4】 シアリル-Lewis 抗原が、シアリル-Lewis x およびシアリル
    -Lewis a から選択される、請求項1−3の使用。
  5. 【請求項5】 シアリル-Lewis 抗原が二量または反復のシアリル-Lewis x
    および二量または反復のシアリル-Lewis a から選択される、請求項1−3の使
    用。
  6. 【請求項6】 H. pylori による消化器感染の病態が、胃炎、慢性活性胃炎
    、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃腺癌、胃リンパ腫を含む、請求項1−5の使用。
  7. 【請求項7】 シアリル-Lewis 抗原炭水化物構造物が不活性基質に、好ま
    しくは消化器管での長時間放出のために結合している、請求項1−6の使用。
  8. 【請求項8】 ヒト胃粘膜の H. pylori による感染に因する疾患を治療お
    よび/または予防する方法であって、その必要とする患者に有効量のシアリル-Le
    wis 抗原炭水化物構造物などのフコシル化 N-アセチルラクトサミン炭水化物構
    造物を投与することを含む方法。
  9. 【請求項9】 シアリル-Lewis 抗原炭水化物構造物が、H. pylori.の表面
    に存在する付着因子に結合し得る、請求項8の方法。
  10. 【請求項10】 シアリル-Lewis 抗原炭水化物構造物が、ヒト消化器粘膜
    の組織学的セクションの上皮細胞へのH. pylori tの接着を阻害または実質的に
    低下せしめ得る、請求項8または9の使用。
  11. 【請求項11】 シアリル-Lewis 抗原が、シアリル-Lewis x およびシアリ
    ル-Lewis a から選択される、請求項8−10の使用。
  12. 【請求項12】 シアリル-Lewis 抗原が二量または反復のシアリル-Lewis
    x および二量または反復のシアリル-Lewis a から選択される、請求項8−10
    の使用。
  13. 【請求項13】 H. pylori の接着を阻害するための、フコシル化シアリル
    化 N-アセチルラクトサミン構造物および/またはシアリル-Lewis x 炭水化物構
    造物に対する抗体の使用。
  14. 【請求項14】 ヒト胃粘膜の H. pylori による感染に因する疾患を治療
    および/または予防する方法であって、その必要とする患者に有効量のシアリル-
    Lewis x 炭水化物構造物などのフコシル化 N-アセチルラクトサミン炭水化物構
    造物に対する抗体を投与することを含む方法。
JP2000606247A 1999-03-19 2000-03-16 細菌接着を阻止するためのフコシル化シアリル化n−アセチルラクトサミン炭水化物構造物の使用 Pending JP2002539266A (ja)

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