JP2002538820A - ミクロクローンのクローニングされていないcDNAライブラリーの作製および使用 - Google Patents

ミクロクローンのクローニングされていないcDNAライブラリーの作製および使用

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JP2002538820A JP2000605730A JP2000605730A JP2002538820A JP 2002538820 A JP2002538820 A JP 2002538820A JP 2000605730 A JP2000605730 A JP 2000605730A JP 2000605730 A JP2000605730 A JP 2000605730A JP 2002538820 A JP2002538820 A JP 2002538820A
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デニス エイ. ステインドラー,
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Abstract

(57)【要約】 ヒトミクロクローン由来のcDNAライブラリーの時間的に並べられたパネルの、調製、特徴付け、および利用のための方法が記載される。インビトロで形態発生の分化を受ける各ミクロクローンは、個別の遺伝子発現において異なる。ミクロクローンの発生段階が決定され、そしてミクロクローンの遺伝子発現パターンが、時間的に並べられ、そして発現プロフィールおよび時間的スペクトルに配列される。異なる神経ミクロクローンより産生したcDNAの直接的比較は、新規のRNA転写物の同定を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (1.0 発明の背景) 米国政府は、NIH/NINDS第NS29225号を通じて、本件出願にお
いて権利を有する。
【0002】 (1.1 発明の分野) 本発明は、分子生物学の分野に関し、そして具体的には、時間的に並べられた
幹細胞/前駆細胞由来の遺伝子発現産物のパネルを作製するためのミクロクロー
ンcDNA組成物および方法に関する。
【0003】 (1.2 関連する技術の記載) 成熟した哺乳動物の脳における神経発生は、数年の間、議論の対象の問題とな
っている。成体ラットの嗅覚および海馬系における持続的な神経発生の存在を支
持する、Allen(1912)および他者(Altman、1969a;19
69b)の研究にもかかわらず、これらは、高度に特異的なケースであり、決し
て成体中枢神経系における神経形成(neuropoiesis)という概念を
支持しないと考えられた。成体ラットの脳の推定される幹細胞の集団のインビト
ロにおける増殖(ReynoldsおよびWeiss、1992;Richar
dsら、1992)は、神経形成(neuropoiesis)を示唆する;そ
して後者の研究は、上衣下方帯(subependymal zone)、上衣
、および海馬(近年「脳髄(brain marrow)」という一語に融合さ
れた領域(Steindlerら、1996))としての幹細胞/前駆細胞の供
給源を確立した(Johanssonら、1999;Erikssonら、19
98;Kukekovら、1999)。
【0004】 細胞外マトリクス(ECM)および他の発生調節される分子は、成体マウスお
よびヒト前脳の持続性の神経原性領域(上衣下方帯(SEZ)(Scheffl
erら、1999))を規定する。室周SEZ、ならびに上衣層は、「脳髄(b
rain marrow)」と称される。なぜなら、造血性の骨髄(支持細胞お
よび発生学的に調節される分子によって囲まれる幹細胞および前駆細胞の中心核
は、多様な幹細胞/前駆細胞を生じ得る)との類似性のためである(Stein
dlerら、1996)。「幹/前駆」は、所定の組織の全ての細胞を生じ得る
増殖性の細胞の完全なスペクトルを記載するために使用される(Scheffl
erら、1999)。発生中ならびに成熟したげっ歯類の前脳のにおける推定さ
れる幹細胞の初期の研究において、ニューロン前駆体および神経膠前駆体が、増
殖因子(上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子(すなわち、EGFおよびFG
F)を含む(ReynoldsおよびWeiss、1996;Grittiら、
1996))の存在下において単離された。
【0005】 神経堤、胎児神経系および胚性神経系由来の多能性前駆体の単離および特徴付
けのための培養方法が充分確立されている(Calofら、1998)、さらに
成体マウス前脳由来のインビトロにおけるニューロスフェアの産生およびデノボ
産生されたニューロン(ReynoldsおよびWeiss、1992;Ric
hardsら、1992)は、成熟したCNS内における多能性幹細胞/多能性
前駆細胞の最初の確信させる記載を示した。成体脳における有糸分裂活性の最初
に実証された観察(Allen、1912)から80年経っており、そして現在
、幹細胞の全ての特徴を有するような成体CNSにおける増殖性の祖先について
の強力な証拠が存在する。
【0006】 脳ニューロスフェア核と、造血性骨髄との類似性が、成体脳由来の幹細胞/前
駆細胞が多能性であるという驚くべき知見によって確認されている(全身性の移
植後に、骨髄に進んだ後に、血液細胞を生じる(Bjornsonら、1999
))。
【0007】 幹細胞/前駆細胞は、クローン化されたコロニー様の単位として、または「ニ
ューロスフェア」としてのみ研究され得るので(Schefflerら、199
9)、発現された分子ならびにその増殖および分化に影響する因子を同定するた
めに、これらの細胞を単離する方法が必要とされている。ニューロスフェアの研
究は、ニューロスフェアの集団の遺伝子分析に焦点をあてている。これは明らか
に、個々のニューロスフェアを破壊することの困難さのためである。ニューロス
フェアの機械的または化学的破壊から有意な量の物質を得ることにおける困難さ
もまた存在し、そして個々のクローン内の遺伝子物質より得られる情報の量は限
定されている。
【0008】 cDNAライブラリーおよび差引き方法を使用して、酵母のような種における
遺伝子発現を時間的に並べているが、神経遺伝子発現については、なされていな
い。以前の研究では、「...遺伝子発現のパターンにおける類似性に従って遺
伝子を配列する標準的な統計アルゴリズム...」を使用してDNAマイクロア
レイハイブリダイゼーションからの遺伝子発現のクラスター分析を記載している
。この方法は、公知の類似の機能に従って遺伝子をクラスターにグループ化する
ために、主に使用される(例えば、出芽酵母であるSaccharomyces
cerevisiaeにおける研究の場合、ならびにヒトにおける場合(Ei
senら、1998))。
【0009】 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)が、これらの独特の構造に関連
した、細胞表現型関連分子および増殖因子関連分子の確認のために、ニューロス
フェアの集団に適用されている(ArsenijevicおよびWeiss、1
998)。しかし、近年強調されるように、「克服される必要がある、培養中の
これらの細胞の増殖に関連する基本的な技術的問題もまた存在する。具体的には
、ヒト胚性幹細胞株および胚性生殖細胞株(ES/EG)の細胞のクラスターを
、生存可能な単一の細胞に分離することにおける報告された困難性が問題である
。特にジーンターゲッティング実験について...」(KellerおよびSn
odgrass、1999)。従って、これらの幹細胞によって生成された細胞
構造(ニューロスフェアに類似する)は、遺伝子発見の研究において類似の障害
を引き起こす。
【0010】 現在、特異的細胞プロセスを受けている細胞からcDNAライブラリーを生成
する方法は、そのプロセスの間の特異的な段階での器官または組織から細胞を単
離することに依存する。神経発生の研究のために、cDNAライブラリーは、胚
性の脳の発生の種々の段階での胚性脳の神経細胞から単離されなけばならない。
例えば、11日齢の胚マウス脳から単離されたcDNAライブラリーを、17日
齢胚の脳から得られたcDNAライブラリーと比較し得る。同様に、腫瘍形成を
研究するために、cDNAライブラリーを、腫瘍発生の種々の段階において腫瘍
細胞から単離しなければならない。
【0011】 しかし、これらの方法が遺伝子発現パターンの片鱗を提供する一方で、これら
は非常に限定されている。例えば、組織からcDNAを単離するために選択され
る特定の時点は、組織それ自体の発生によって限定される。胚性の脳が7日目ま
で可視的でないならば、胚性の脳の発生の最も初期の可能な片鱗は、組織からの
細胞が可視的でありそして単離され得る7日目において取得され得る。このこと
は、遺伝子発現パターンが分析され得ない時間のギャップを残す。たとえ組織が
可視的であっても、無数の発生段階における特定の組織からのcDNAライブラ
リーの単離の仕事は、怖じ気付かせるものであり、そして大量の種々の発生段階
の特異的組織を必要とする。
【0012】 現在のcDNAライブラリー生成戦略は、まさにRNAが抽出される時点での
、所定の細胞集団内に存在する遺伝子転写物の調査に依存する。これらの方法は
、定常的な遺伝子発現の研究においては有用であるが、特定の細胞プロセス間に
生じる動的な遺伝子発現の時間的なプロフィールを提供しない。
【0013】 Eisenら(1998)は、「...遺伝子発現のパターンにおける類似性
に従って遺伝子を配列する標準的な統計アルゴリズム...」を使用するDNA
マイクロアレイハイブリダイゼーションからの、遺伝子発現についてのクラスタ
ー分析を記載する。この方法は、出芽酵母であるSaccharomyces
cerevisiae、ならびにヒトにおける公知の類似の機能に従ってクラス
ター内の遺伝子をグループ化するために、主に使用される。このアプローチを、
新規の遺伝子の発現の分析のために使用し得る;しかし、研究中の遺伝子の機能
の知識を必要とする。
【0014】 現在の方法の別の限定的局面は、単離された系を使用しないことである。この
ことは、どの遺伝子(複数および単数)の発現パターンが、どの組織型の一部で
あるのかを決定するにおいて、問題を生じる。例えば、胚性脳は、ニューロンお
よび非ニューロン組織の両方を含有する。従って、胚性脳から単離されたcDN
Aライブラリーにおける特定の遺伝子が神経発生に関連するのか、または非神経
組織の発生に関連するのか決定することは、不可能である。
【0015】 単一細胞PCRTM法は、同定された単一の脳細胞における遺伝子発現の研究に
おいて有用であることが証明されている(Van Gelderら、1990;
Eberwineら、1992)。この方法は、限定されたcDNAの量に由来
する、RNAの増幅された不均一集団の産生に依存する。規定された単一の細胞
由来のRNAが、プライマー、ヌクレオチドおよび酵素の単一細胞中へのマイク
ロインジェクション後に増幅される。アンチセンスRNAが増幅され、そして増
幅の第2ラウンドにおいて、より多くの最初の物質を生成する。増幅されたRN
Aを使用して、cDNAライブラリーおよび/またはプローブを生成する。この
方法は、発現ライブラリーを生成するために、単一細胞の分子研究/遺伝的研究
のために使用されている;しかし、RNA集団の増幅は、RNA分解によって生
じるRNAフラグメントの増幅の顕著な量という危険を生じる。従って、不完全
な遺伝子プロフィールは、不完全なものであり得、従って、研究する細胞発生の
段階に存在する遺伝子を代表しないかもしれない。
【0016】 1.3 先行技術における欠損 現在利用可能な方法はいずれも、幹細胞/前駆細胞から始まりかつ分化細胞を
通じて進行する発達の無限の段階における遺伝子発現パターンを決定するために
使用し得る単離された系を提供しない。
【0017】 成体哺乳動物(ヒトを含む)の脳の不変の神経発生の最近の発見に関して、神
経幹細胞増殖、分化に関する新たな遺伝子および因子、ならびにこのような細胞
増殖カスケードに関する遺伝子の発現パターンを同定する必要性がある。同様に
、正常な細胞プロセスにおける(特に、神経細胞に特異的なヒト遺伝子に関する
ような傷害および障害において)劇的な遺伝子発現パターンの決定に使用するた
めに利用可能なcDNAプールのパネルは存在しない。
【0018】 従って、種々の細胞プロセスにおける劇的な遺伝子発現パターンを決定し、そ
して細胞成熟の発達段階に関する新しい遺伝子を同定するために使用され得るc
DNAプールのミクロパネルアレイの開発の必要性がある。
【0019】 2.0 発明の要旨 本発明は、単一の幹細胞/前駆細胞由来の単離された系に示されるニューロス
フェアクローンの新規な一時的アレイのパネルの提供による、前述のいくつかの
欠損に関する。幹細胞/前駆細胞は子孫細胞を惹起して、cDNAが単離され得
るものからミクロクローンを提供する。これらのミクロクローンからのcDNA
単離は、ミクロクローンの発達のいずれの段階の間でも生じ得る。ミクロクロー
ンの発達の段階およびミクロクローンの型が決定され得るので、異なるミクロク
ローンからのcDNAライブラリーが、比較され得る。異なる発達段階における
ミクロクローンからの遺伝子発現パターンは、比較され得、そして、一時的に提
供され得る。
【0020】 1つの局面における発明は、増殖する幹細胞および初期前駆細胞のミクロクロ
ーンからのcDNAライブラリーを作製かつ使用する方法に関する。cDNAが
ミクロクローン発達の任意の段階におけるこれらのミクロクローンから単離され
得るので、作製されたライブラリーは、遺伝子発現パターンを一時的に提示させ
得る。さらに、表現型的に異なるか、もしくは遺伝子型的に異なるミクロクロー
ン、または一組のミクロクローンから単離されたcDNAライブラリーから発現
される遺伝子の比較は、新しい遺伝子を同定するために使用され得、そして異な
るミクロクローン集団の間で遺伝子発現パターンを比較するために使用され得る
。さらに、ミクロクローンが腫瘍細胞由来の場合、開示される方法は、腫瘍特異
的遺伝子および腫瘍特異的遺伝子発現パターンを発見かつ同定するために使用さ
れ得る。この情報は、ミクロスフィアが由来する腫瘍を有する患者の診断、予知
、および処置の戦略を援助する。
【0021】 神経組織および非神経組織由来のミクロクローンからのcDNAを比較して、
神経組織と非神経組織との間の差示的な遺伝子発現を示し得る。傷害した脳細胞
由来のミクロクローンからのcDNAライブラリーは、脳の発達、傷害および再
生に関する遺伝子を同定する傷害していない脳細胞から単離されたcDNAライ
ブラリーと比較され得る。
【0022】 さらに、遺伝子型(例えば、変異、トランスジェニック、野生型)において変
化する幹細胞/前駆細胞からのcDNAライブラリーは、異なる細胞型の間での
遺伝子発現の相関に有用である。薬剤の存在および非存在における遺伝子発現の
パターンの変化を分析することによって、神経発達における薬剤効果が決定され
得る。
【0023】 本発明のなおさらに別の局面は、神経遺伝の間の遺伝子発現の一時的なパター
ン化のためのアルゴリズム方を含む。異なる条件下でのニューロスフィア細胞の
培養の間に、ニューロスフィアは、インビボにおいて発達する脳で観察されるミ
ラー細胞(mirror cell)の増殖および分化の種々の段階を通じて分
化する。神経幹細胞/前駆細胞の異なるクローンからのcDNAライブラリーの
パネルの作製は、神経および神経膠の増殖および分化の間の遺伝子発現の一時的
な提示を可能にする。
【0024】 本発明の別の重要な局面は、神経遺伝に関するインビボモデルの提供である。
インビトロでの実例は、遺伝子分析および発見についてのこれらの「ミクロ系」
の作製および簡単なサンプリングを支持する。このようなモデルは、インビトロ
での分化するニューロスフェアの使用によって達成される神経遺伝の間の遺伝子
発見のためのモデルを作製するために、巨大組織収集物および胚性脳組織の文字
通り瞬間瞬間のサンプリングからのcDNAライブラリーの作製と、従来から平
行していた。本発明は、初期細胞発達および幹細胞/前駆細胞からの成熟の連続
するスペクトルを示すミクロクローンのパネルを提供することによって、このよ
うな退屈かつ時間を浪費する組織サンプリングの必要性を克服する。
【0025】 本発明の実施において、細胞のミクロクローンは、迅速かつ確実なcDNA合
成および増幅を提供する薬剤に曝露される。ミクロクローンは、特定の既定され
た培養条件下で作製される。これらのミクロクローンは、ミクロクローンにおい
て要約されるような発達する遺伝子発現を示す神経遺伝の異なる段階を示す多能
な細胞を含む。ミクロクローンの多能な細胞は発達し、そしてインビトロにおい
て時間をかけて神経および神経膠の異なる型に分化する。従って、この多能な細
胞は、インビボにおける神経遺伝のプロセスを表す遺伝子発現における一時的な
変異についてのモデルとして使用され得る。
【0026】 この方法は、中枢神経系からの幹細胞、前駆細胞(precusor cel
l and progenitor cell)の単離および特徴付けを容易に
する培養技術(懸濁培養、半個体培地ならびに抗接着基質ならびに細胞−細胞間
相互作用および細胞−基質間相互作用を干渉する因子を用いる)を利用する(K
ukekovら、1999)。単一および別の幹細胞/前駆細胞由来の異なる細
胞クローンを産生するためのこのような培養手段を使用して、これらのクローン
から遺伝物質が容易に単離される。遺伝子発現のパターンは、比較され得、そし
て重要なことに、一時的に配置され得る。この方法は、新しい遺伝子の発見のた
めの新規な系を提供する。新しい遺伝子の発見は、ヒトおよび他の哺乳動物のゲ
ノム分析、ならびに新しい因子および試薬の発達および作製に関連する。新しい
因子および試薬は、幹細胞の生物学ならびに神経学的障害、外傷性の傷害、神経
変性疾患および脳腫瘍についての最終的な細胞置換治療のための神経生涯(ne
uropoiesis)を増大する。
【0027】 本発明の別の局面は、ミクロアレイの調製である。cDNAフラグメントから
のミクロアレイは、神経細胞および神経膠細胞のような表現系を規定する莫大な
遺伝子、ならびにホメオボックス、基本的へリックス−ループ−へリックス、転
写因子、アポトーシス遺伝子、および非アポトーシス遺伝子を含む発生段階の遺
伝子についてのスクリーニングを容易にする。このようなフラグメント分析は、
現在遺伝子/タンパク質発現に関する遺伝子の発見およびスクリーニングに使用
される酵母2ハイブリッドシステムの先例を提示する。
【0028】 発生段階プロファイルを含むモノクローナル性パネルはさらに、本発明を包含
する。cDNAは、単一のニューロスフィアから産生され得る。単一脳資料解離
からのニューロスフィアの多様性は、一時的なプロファイリング手段に従う神経
遺伝子発現の機能的な配置のためのモデル系を提供する。新しい遺伝子は、分化
の異なる状態にある一時的に近接する(close(neighbor))ニュ
ーロスフィアの交雑比較(cross−comparison)の結果としてこ
れらの方法を使用して発見され得る。多くのクローンおよびライブラリーの大ス
ケール分析の可能性は、96ウェルマイクロタイター形式にこれらの方法論の適
合によって現在可能である。開示されるcDNAパネルは、多くの遺伝子発見の
ためのミクロアレイを作製するために使用され得る。この形式は、高スループッ
ト(例えば、DNAチップ、自動化またはロボット化アッセイ系および読み取り
機の使用)分析に修正可能である。
【0029】 本発明の特定の局面において、細胞成熟の異なる段階に関する新規遺伝子は、
種々の神経学的障害(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンティン
グトン病または脳腫瘍)を有する患者から単離された脳から同定され得る。この
方法は、疾患の原因に関連する遺伝子発現の段階およびパターンを同定するため
に使用され得る。
【0030】 本発明は、種々の改変および代替形態について可能であるが、本発明の特定の
実施形態は、図面の例によって示されており、そして本明細書中に詳細に記載さ
れている。しかし、本明細書中の特定の実施形態の説明は、開示される特定の形
式に本発明を制限しないことが意図されるが、逆に、本発明は、添付の特許請求
の範囲によって定義されるような本発明の精神および範囲内にある全ての改変、
等価物、および代替物を包含すべきことが理解されるはずである。 (4.0 発明の詳細な説明) 初めて、発生遺伝子の時間的スペクトルによって示される神経発生の詳細なプ
ロフィールを作製することが可能になった。脳の幹/前駆細胞を起源とするクロ
ーンは、神経形態発生として公知の哺乳動物脳の発生の異なる段階を示す。増殖
および分化の異なる段階での複数のニューロスフェア由来のcDNAライブラリ
ーのパネルは、神経細胞分裂、増殖、成長、分化、および生存/死のみに関与す
る全ての遺伝子の転写物を含む。このクローニングプロセスは、任意の非神経細
胞(例えば、血管組織または結合組織に関連する細胞)の単離、成長および増殖
を回避し、そしてインビボでの神経形態発生遺伝子発現を総括する、インビトロ
での時間的に調節される遺伝子発現を同定する。これらのパネルは、神経発生の
プロセスに関与する、(a)連続的な神経の増殖(神経発生)に関与する新規遺
伝子;および(b)遺伝子発現における変動の時間的プロフィール(既知の遺伝
子のスイッチのオンおよびオフを含む)の同定を可能にする。
【0031】 新規の反復アルゴリズムの適用とともに、個々のニューロスフェアcDNAラ
イブラリー生成は、同様の遺伝子機能に基づくクラスター化とは異なっている、
時間的に順番付けられる配列に基づいて、単一の脳クローン中での遺伝子発現を
特徴付けし、そして順番付ける。神経遺伝子の探索は、特定の段階の成熟の組織
試料全体からのライブラリーの作製に依存し、そして種々の細胞型(非神経細胞
、血管−結合組織に関連する細胞を含む)を含むので、遺伝子分析のためのマイ
クロシステムとしてニューロスフェアを使用する本明細書に記載されるアプロー
チは、発生的に多様なcDNAライブラリーの取得のために高度に制御されたイ
ンビトロパラダイムである。これは、系(すなわち、脳)が複雑すぎて遺伝子探
索研究を開始することができないとかつては考えられた遺伝子分析のための全く
新しいアプローチを示す。
【0032】 (4.1 神経発生) 最近の研究により、成人ヒト脳中のクローン原性幹/前駆細胞の存在がインビ
トロでクローン(ニューロスフェア)を形成し得ることが確立された(Kuke
kovら、1999)。このことは、インビボでの成体ヒト脳中の神経発生を支
持する(Erikssonら、1998)。この研究はまた、成体ヒト脳中の2
つの供給源(SEZおよび海馬)由来の多能性幹/前駆細胞の起源を追跡し、そ
して両方の構造からのニューロスフェア内の一般的な遺伝子発現を見出した。
【0033】 神経新生細胞の多能性および自己再生能力は、造血細胞と同様の様式でこれら
の細胞を分類するために必要とされる少数のマーカーにもかかわらず、注目の的
になった。ニューロスフェアのサブセットは、異なるマーカーを発現すると考え
られる。なぜなら、造血供給源および他の胚供給源由来の幹細胞は、異なる糖質
を認識する段階特異的な胚性抗原(SSEA)抗体で免疫標識され得るからであ
る(Thomsonら、1998;Shamblottら、1998)。培養さ
れた胚体(embryoid body)の免疫表現型分析は、胚細胞系列の発
生と関連した「細胞表面マーカーディスプレイのプログラムされた配列」を示す
(LingおよびLeben、1997)。
【0034】 異なる分子発現の同様のパターンは、インビトロでのニューロスフェア増殖お
よび成熟を伴うことが示されている。これらの構造内の細胞/分子相互作用への
洞察を提供するニューロスフェア構造の他の局面は、神経細胞の発生中の新規遺
伝子の出現に関連する。各ニューロスフェアは、その成熟または進化の特定の段
階において幹/前駆細胞から生じる潜在的に異なるクローン単位を示すことが実
証されている。各ニューロスフェアは、神経発生の異なる存在段階の間に始まり
得た細胞のクローン増殖を示すと考えられる。ニューロスフェアの異種集団(K
ukekovら、1997)は、分化の種種雑多な段階における細胞の混合物か
ら構成され得る。
【0035】 (4.2 細胞マーカー) 造血細胞および神経新生細胞のマーカーは、幹/前駆細胞の運命および増殖の
分子の基礎に関連する。ニューロスフェアの比較研究は、例えば、ES細胞の研
究に使用される多数の同じ免疫マーカー(例えば、SSEA−1,3,4;アル
カリホスファターゼ、TRA−1−60、TRA−1−81)についてスクリー
ニングすることによって行われ得る(Thomsonら、1998;Shamb
lottら、1998)。別のアプローチは、他の始原細胞および系(Dros
ophilaの幹細胞を含む)における運命マーカーであると考えられる限定数
の遺伝子(Doeら、1998)、および神経運命付けに対して各々の外胚葉(
ecodermal)運命付けの間に発現される遺伝子(例えば、noggin
、Xnr)(ChangおよびHemmati−Brivanlou、1998
)を分析することである。
【0036】 一方、ニューロスフェア自体は、遺伝子探索研究を開始する出発点を提供する
。なぜなら、最も始原の造血(例えば、CD34、幹細胞因子)および神経新生
(特定の細胞骨格タンパク質(例えば、ネスチン)(McKay、1997)、
テナスシンおよびPax−6(Kukekovら、1999)幹前駆細胞のうち
いくつかによって発現されるマーカーおよび遺伝子は、その後の遺伝子および分
子分析についてこれらの細胞を単離するために使用され得る。例えば、細胞表面
マーカーPSA−NCAMを使用して、Raoおよび共同研究者(Mayer−
Proschelら、1997)は、ニューロン拘束前駆細胞を単離するために
パンニング方法を使用し、そしてこのようなアプローチを使用して、CNS細胞
の特定の集団の運命付けおよび成熟に関与する遺伝子をプロフィール付けするこ
とが可能である。
【0037】 (4.3 インビトロ神経発生モデル) 本発明者らは、新規遺伝子を同定するために単離されたマイクロシステムとし
てインビトロ成熟/分化の異なる段階において個々のニューロスフェアを使用し
た。これらのニューロスフェアは、成体マウス脳の分離物、およびヒト生検試料
から得られ(Kukekovら、1999)、そして培養における発生のそれら
の異なる段階のために、成熟しているニューロスフェアの連続性は、インビボで
全てのCNS細胞型を生成する単離された胚マトリクス域のモデルとして観察さ
れ得る。従って、分化しているニューロスフェアのプロフィールからのcDNA
ライブラリーのパネルは、インビボでの神経発生中にみられるような細胞増殖お
よび運命決定を担う遺伝子の転写物の全セットを含む。さらに、驚くべきほどに
延長された死後の期間(例えば、5日までも)で、剖検試料からニューロスフェ
アを生成することが可能だからである(Laywellら、1999)。cDN
Aライブラリーのパネルは、神経学的に稀な異常な幹/前駆細胞(例えば、パー
キンソン病、アルツハイマー病およびハンチントン病のような神経変性疾患、な
らびに腫瘍に由来する疾患)から作製され得る。
【0038】 (4.4 ミクロクローンのcDNAプール) 本明細書に記載される本発明の方法の技術は、mRNAのミクロクローンから
、相補的なデオキシリボ核酸(cDNA)のプールを作製する手順に基づく。こ
こで「cDNAプール」は、クローニングされていないcDNAライブラリーと
して定義され得る。この系において、ミクロクローンは、培養で作製された幾何
学的構造であり、ここで全ての子孫は、単一の幹/前駆細胞の子孫である(Re
ynoldsおよびWeiss、1992;ReynoldsおよびWeiss
、1996;Kuukekovら、1997)。本発明に従って作製されたcD
NAライブラリーは、ミクロクローンの比較を可能にし、ここで各々のミクロク
ローンは、哺乳動物脳の発生の異なる段階を示す。この方法は、非神経組織にも
同様に適用され得る。
【0039】 (4.5 ミクロクローン) ミクロクローンは、ミクロクローン中の全ての細胞が単一の始祖または前身細
胞の子孫である種々の細胞型から作製され得る、単離された系である。神経幹/
前駆細胞由来のミクロクローンは、ニューロスフェアともいわれるクローン構造
である。異なる条件下でのそれらの増殖の間に、ニューロスフェア細胞は、イン
ビボでの脳の発生中にみられるような細胞の成長および分化を反映する段階を通
じて分化を経る。これらの脳細胞ミクロクローンの解剖学的および分子超微細構
造分析は、それらのインビトロでの培養中に有意な変化を受ける神経の形態型の
多様な集団を明らかにし、そしてこれらの変化は、異なる細胞相互作用および分
子相互作用を反映する(Kukekovら、1999)。従って、脳細胞ミクロ
クローンは、神経発生の単離された微細モデルとして観察され得る。同様に、ミ
クロクローン中の全ての細胞が単一の前身腫瘍細胞の子孫である腫瘍細胞ミクロ
クローンもまた、作製され得る。
【0040】 (4.6 cDNAライブラリーの時間的順番付け) これらのミクロクローンからのcDNAライブラリーは、cDNAライブラリ
ーが得られたミクロクローンに基づいて時間的な順番で配置される。マイクロク
ローナルcDNAプールが作製され、そして任意の公知の遺伝子の発現に従って
配置される。例えば、cDNAプールは、発生遺伝子または癌原遺伝子を含むが
これらに限定されない遺伝子の発現に従って配置され得る。従って、遺伝子の順
番付けられたアレイを構成する、クローニングされていないcDNAライブラリ
ーの作製は、発生または分化の任意の段階での任意の組織に由来する所定のミク
ロクローン中に存在する転写物の恒久的な(perpetual)分析に受け入
れられ得る。例えば、神経発生の初期段階を示す脳細胞ミクロクローンは、初期
神経発生中に発現された遺伝子を含むcDNAライブラリーを生じる。神経発生
の後期段階を示す脳細胞ミクロクローンは、後期段階の間に発現される遺伝子を
含むcDNAライブラリーを生じる。これらの種々の段階での脳細胞ミクロクロ
ーン由来のcDNAを単離することによって、これらのライブラリー内の遺伝子
は、それらが神経形態発生の異なる段階で発現される時期に従って配置され得る
【0041】 (4.7 差示的な遺伝子発現パネル) 発生の全段階においてミクロクローンから、解像力によって誘導されるcDN
Aライブラリのパネルは、天然の細胞の増殖、成長、分化、生存、および死に含
まれる発生に関与する全遺伝子の転写を含む。従って、cDNAライブラリーの
このようなパネルは、神経発生のプロセスに関与する、新しい遺伝子の発見に使
用され得る。これらのパネルをまた使用して、神経発生のプロセスに関与する、
新規な遺伝子および公知の遺伝子の両方のスイッチオンおよびオフに導く一連の
事象を分析する。正常の脳細胞から誘導されるミクロクローンから単離されるc
DNAを、異常の脳細胞から誘導されるミクロクローンから単離されるcDNA
を比較する場合、これらの2つのミクロクローン集団間の差示的な遺伝子発現パ
ターンの分析により、遺伝子が同定され、そして活性化の経路は、正常および異
常な脳発現および脳機能に関与する。
【0042】 種々の差示的な方法を使用して、任意の2つのcDNAプールの比較が、実施
され得る。この方法としては、例えば、提示差示分析(RDA)、抑制差引きハ
イブリダイゼーション(SSH)、および酵素分解減算(EDS)だが、これら
に限定されない。従って、1種のミクロクローンウイルスに特異的である、転写
または転写のフラグメントが、発見され得る。この比較方法または差示的方法は
、公知の配列データを調査および比較するために、新しく発見された遺伝子フラ
グメントをシークエンスする機会を提供する。
【0043】 (4.8 マイクロアレイの分類) 特に脳のクローンにおいて多様なクローンのプロセスをスクリーニングする反
復性遺伝子もまた、本発明内で意図される。配列または配列のフラグメントを産
生させた後、プライマーを産生させ、そして総cDNAプールを特定の遺伝子、
または遺伝子フラグメントの存在についてスクリーニングする。次いで、これは
、特定のミクロクローンによる遺伝子発現の時間的パターンの再構築を可能にす
る。nがパネルに含まれるミクロクローンまたはプールの数である場合、このプ
ロセスは、n−1回につき1反復性様式で進む。これは、任意の所与のマイクロ
プレートの成熟または分化の範囲を連続的に再構築するために、ミクロクローン
を繰り返しスクリーニングに供する。
【0044】 マイクロアレイにおける遺伝子の分類に続いて、公知または未知の遺伝子のフ
ラグメントは、特定の細胞プロセスの正確な時間により確実に影響を与える目的
で再構築され得る。例えば、特定のセットの脳細胞のミクロクローンの分類は、
神経発生に対する時間的遺伝子発現パターンに導く。次いで、これらの遺伝子ま
たは遺伝子フラグメントは、例えば、DNAチップのような任意の数の市販のア
レイに注がれ得る。マーカー遺伝子の規定の集団は、連続する遺伝子の発見の研
究のために識別する第1方法として使用され得る。使用される方法および一連の
遺伝子マーカーは、特定のミクロクローン集団または選択される集団に基づいて
選択される。アレイの部分集団は、cDNAのプールがニューロンのマーカーお
よび神経膠マーカーの両方で明らかとなる場所に存在する。
【0045】 マイクロアレイ分析に続いて、特定の遺伝子または遺伝子フラグメントを使用
して、インサイチュハイブリダイゼーションおよびインサイチュRT−PCR研
究のためにオリゴヌクレオチドおよびリボプローブを産生し、遺伝子発現の存在
を確認し、そして同定されたミクロクローン内でのこの発現の細胞源を同定し得
る。これは、二重標識免疫細胞化学を含む他の方法と結び付けて使用され得る。
【0046】 マイクロアレイは、遺伝子の分類、特に無数に番号付けされ得る神経遺伝子に
対して有用である。この方法はまた、発生遺伝子、発癌性遺伝子、胚幹細胞遺伝
子、および始原生殖細胞に含まれる非神経組織の研究に対しても同様に適用され
得る。
【0047】 (4.9 遺伝子の単離および特徴付け) 一旦、cDNAライブラリーが、ミクロクローンから産生されると、発現した
遺伝子が特徴付けされる。cDNAの産生に続いて、一方で、発現された配列タ
グ(EST)(Polymeropoulosら、1992)が使用され得る。
他方で、遺伝子DNAのイントロンによって妨害されないような染色体領域を構
築するために、コンピュータプログラムを使用して、これらのESTの染色体部
分を迅速に確保するための手順が展開される。次いで、PCRおよびオリゴヌク
レオチドプライマーを使用して、体細胞性の細胞ハイブリッド染色体パネルから
DNAテンプレートを使用することによって、このような領域を増幅し得る。次
いで、cDNAの染色体配列を構築して、続いて特定のパネルで増幅させた産物
の分離について分析する。無数のESTを、不偏性様式で焦点をクローンに当て
ることによってヒトの脳のcDNAクローンを発生させ、次いで異なる発生段階
で脳の転写活性のプロフィールを発生させることで研究し得る(Adamsら、
1993)。
【0048】 対応する遺伝子の定量発現測定のために、cDNAのマイクロアレイは、ガラ
スまたはナイロン上に、高速ロボットプリンティング(robotic pri
nting)を用いて調製され得る(Schenaら、1995)。ほとんどの
ヒト遺伝子、またはさらに全ヒト遺伝子の代表的な配列を有するマイクロアレイ
は、単一反応で、全ヒトゲノムの発現分析を可能にする(Schenaら、19
98)。このような情報は、ゲノムDNAクローンをマッピングおよび多型現象
を調査するために使用され得る。標識化プローブは、相補的結合を構築し、それ
故、多数のパラレル遺伝子発現を分析するために使用される。DNAのサンプル
をPCRによって増幅し、そして蛍光標識を挿入し、そしてマイクロアレイとハ
イブリダイズさせる(Ramsay、1998)。多数のDNA配列の分析は、
光ファイバーバイオセンサアレイを使用して達成され得(Fergusonら、
1996)、これは、定量分析のためのポテンシャルを含む。定量分析は、比色
検出およびコンピュータアシストイメージ分析(computer−assis
ted image analysis)(Chenら、1998)を使用して
実施され得る。これらのDNAチップ技術は、以前はニューロスフィアには適用
されなかった。このニューロスフィアは、所望の方法によって得られるcDNA
と結びつけて使用され得る。
【0049】 どちらの方法も、脳細胞のクローン(ニューロスフィア)に適用されてこなか
った。異なる遺伝子発現の同定は、両方の方法の目的であり、そしてこのような
差示的または差引き的な方法(例えば、提示差示分析、RNA、またはcDNA
)は、任意のマイクロアレイアプローチと結び付けられ得る(Welfordら
、1998) 本発明のcDNAマイクロアレイ方法は異なるが、2つの異なる脳クローンに
またがる遺伝子発現に違いを決定するために、差示的表示と差引き方法とが比較
される。むしろ開示の方法を使用して、クローンにまたがる明確な発現遺伝子を
確認して、そして遺伝子発見の確認のために後にシークエンスし得る新規な転写
物を単離する。
【0050】 mRNAとのcDNAの差引きハイブリダイゼーションまたはcDNAライブ
ラリーの差引きハイブリダイゼーションに依存することによって、発生する神経
細胞の発生および成熟の基礎をなす、メッセージの特徴と関連する技術的な注意
点が存在する。この提示差示分析(RDA)(Lisitsynら、1993:
HubankおよびSchatz、1994)は、差引きが増幅と結び付けられ
るRDAプロセスに依存する多くの技術的問題を克服する方法である。差示的表
示が、全ての代表的なmRNA種からのフラグメントの増幅に依存する場合、R
DAは、2つの異なる集団に存在するフラグメントを減算し、そしてこの差のみ
を残す。このことは、cDNAマイクロアレイを用いて使用するための有利なな
方法である。差示的に発現された遺伝子の豊富なライブラリーを構築することに
よって、反復性プロセスを脳細胞のマイクロアレイに適用して、無数の遺伝子フ
ラグメントの同時スクリーニングのための迅速でかつ信頼のある方法を提供する
。酵素分解減算(EDS)(Zengら、1994)および抑制差引きハイブリ
ダイゼーション(SSH)(Diatchenkoら、1996)を含む、他の
差示的方法はまた、脳のニューロスフェアからのマイクロアレイの差示的遺伝子
発生研究のために使用され得る。
【0051】 (4.10 分離された脳由来のマウスニューロスフェア) Kukekovら(1997)に記載されるプロトコルを使用して、2つのタ
イプの神経球を、ニューロンおよび神経膠の両方を生じる成体マウスニューロス
フェアから単離した。光顕微鏡および電子顕微鏡の両方の研究により、新規(I
型)の増殖性ニューロスフェアおよび十分に特徴付けられた(II型)増殖性ニ
ューロスフェアに存在する細胞型が同定された。異なる形態学および生化学の細
胞を有する前者のI型(ネスチン(nestin)陰性)および後者のII型ニ
ューロスフェアの両方と共に、ニューロスフェアの発達の連続が明らかになる。
【0052】 I型ニューロスフェアは、懸濁培地中に自然に現れる。これらのニューロスフ
ェアは、経時的に大きく明るくなるフェーズダークの球体である。EMは、I型
ニューロスフェアが、死んだ細胞由来の細片であり得る綿状材料のコアを時折取
り巻く小さく、密に並んだ細胞の環、ならびに細胞外マトリクスからなることを
示す。I型細胞は、小胞体、ゴルジ装置、濃染体、およびミトコンドリアを含む
多くの小器官を有する。I型ニューロスフェアの前者の形態は、鋭く連続した外
縁により特徴付けられる。逆に、後者のI型ニューロスフェアは、しばしば、ニ
ューロスフェアから突出し始めている細胞と共に、不連続な外縁を示す。I型ニ
ューロスフェアは、プラスチック被覆培養基またはラミニン被覆培養基のいずれ
にも容易に結合しない。
【0053】 これらが培地に現れた直後に、I型ニューロスフェアは星状細胞GFAP、推
定神経幹細胞の中間フィラメントタンパク質、ネスチン、ニューロンのβ−II
Iチューブリン、およびL1を含む細胞特異的マーカーに対して免疫陰性である
;しかし、これらのニューロスフェアは、示されるように、核をPIで陽性標識
することによって、生細胞を含む。インビトロで約2週間後、I型ニューロスフ
ェアのいくつかの細胞はネスチンに対して免疫陽性になるが、GFAPおよびβ
−IIIチューブリンに対しては免疫陰性のままである。時間が経つと、I型ニ
ューロスフェアからII型ニューロスフェアへの変換が示された(Kukeko
vら、1997)。
【0054】 II型ニューロスフェアの前者の形態は、それらが大きく、フェーズブライト
の細胞を含むこと以外は、I型ニューロスフェアと類似しており、そして後者の
II型ニューロスフェアにおいてより明らかになる、より明確な細胞突出を有す
るより不連続な外縁を有する。II型ニューロスフェアのEMは、II型ニュー
ロスフェアの細胞質がI型より電子密度が小さいこと以外は、I型細胞より分化
されているような細胞を示す。II型ニューロスフェアは、プラスチック培養基
およびラミニン培養基に容易に結合する。結合した後、細胞はニューロスフェア
から移動し、そして突起を仕上げ始める。I型およびII型ニューロスフェアは
また、全脳に加えて単離された成体SEZの分離により、または新生児脳から生
成され得る。
【0055】 II型ニューロスフェアは、ネスチン、GFAP、およびβ−IIIチューブ
リンに対して免疫陽性である(Kukekovら、1997の図2Eおよび図2
F)。プラスチック被覆培養基およびラミニン被覆培養基にプレートされた場合
、II型ニューロスフェアは容易に結合し、そしてニューロスフェアから移動す
る多くの突起を有する細胞を産生して、GFAP、ネスチン、L1およびβ−I
IIチューブリンを含む種々の細胞特異的マーカーに対して免疫陽性である細胞
の単層を形成する。I型およびII型ニューロスフェア、およびこれらのニュー
ロスフェア由来のユーロンは、増殖性である(これらは、BrdUを取り込む)
。最終的に、ニューロスフェアは、さらに延長した死後間隔(PMI)(例えば
、140時間)で、成体マウス脳組織から生成され得ることが示された(Lay
wellら、1999)。
【0056】 (4.11 ヒトニューロスフェア) I型およびII型ニューロスフェアは、成人ヒト側頭葉(難治性癲癇のために
実施される側頭葉切断による生検標本)から生成された。光顕微鏡免疫細胞学お
よびEM研究は、成体マウスに見られる特徴と共通した多くの特徴を有するニュ
ーロスフェアおよび細胞型を示す。ニューロスフェア細胞はまた、テネイシンに
対して免疫陽性のようであり(Kukekovら、1999の図3を参照のこと
)、これはインビボにおけるSEZ吻遊走経路内の推定成熟星状細胞による濃E
CM発現に加えて、ニューロスフェアの未熟細胞はまた、それらの増殖および分
化に影響し得るECMタンパク質を発現することを示唆している。
【0057】 (4.12 クローンニューロスフェアのRT−PCR) 前駆体、発達、神経膠およびニューロン表現型マーカーの存在は、前者のI型
〜後者のII型ニューロスフェアの単一および集団に関連している。Kukek
ovら(1999)は、記載されるように(Suslovら、2000)、マウ
スまたはヒト脳組織から発生した単一および複数のニューロスフェア由来のRT
−PCR産物を報告した。適切な塩基対数に対応するバンドは、テネイシン、ネ
スチン(未熟細胞の存在、またはおそらく反応性星状細胞における中間フィラメ
ントの存在に関連する(Linら、1995))の存在を示す。GFAP、ニュ
ーロン特異的エノラーゼ、およびPax転写因子遺伝子発現は、ニューロスフェ
アにおいて観察される。
【0058】 これは、SEZ遊走経路中の成熟星状細胞において示されたが(Thomas
ら、1996)、SEZ幹/前駆体細胞によるテネイシンの合成および発現を提
供する第1の証拠である。対ボックス遺伝子、Paxファミリーは、インビボで
、異なる時間で、発達中の脳の異なる部分において発現されることが示された(
StoykovaおよびGruss、1994)。このファミリーは、個々のク
ローンの成熟の電位差状態の標準マーカーとして有用である。
【0059】 初期型I−後期型IIのニューロスフェアでのRT−PCRにより、これらの
ニューロスフェアを、位相差顕微鏡的な形態学(例えば、暗相 対 明相)、サ
イズ、および培養時間に基づいて最初にグループ化して、大半の未熟ニューロス
フェア形態 対 成熟ニューロスフェア形態について最初にスクリーニングし得
、そして同じ型のいくつかのニューロスフェアにおいて見られるように、1つの
ニューロスフェアにおいて同じ転写物がいくつか発現されていることが示される
。例えば、最も「成熟した」ニューロスフェアのいくつかは、種々のニューロン
マーカーについて異質性を示すが、最初期のニューロスフェアのいくつかは、ネ
スチンについての転写物を明らかにしない。いくつかは、チロシンヒドロキシラ
ーゼ(GluR6ではなくGluR5)を発現し、そしていくつかはChATを
発現する。これは、異なる成熟状態を示すニューロスフェアにおいて、異なる前
駆体およびニューロン/神経膠の前駆細胞を識別する方法、あるいは異なる型の
幹細胞/前駆細胞から生じたニューロスフェアを識別する方法に関する有用性を
支持する。幹/前駆体または異なる神経原性帯(neurogenic zon
e)由来のクローンにおけるこれらの遺伝子の発現における差異は、一方に対し
て他方のクローンの集団によって発現されるさらなる遺伝子をさらに特徴付ける
ための本発明の方法の用途を実証する。
【0060】 (4.13 核酸セグメント) 本発明はまた、この開示された方法によって単離および同定された遺伝子のア
ミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を提供す
る。開示されたヌクレオチド配列およびそれによってコードされるタンパク質の
フラグメントおよび改変体もまた、本発明によって包含される。「フラグメント
」とは、ヌクレオチド配列の一部、またはアミノ酸配列の一部、従って、それら
によってコードされるタンパク質を意図する。ヌクレオチド配列のフラグメント
は、ネイティブなタンパク質の生物学的活性を保持するタンパク質フラグメント
をコードし得る。ヌクレオチド配列のフラグメントは、少なくとも約20ヌクレ
オチド、約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチドから、ヌクレオチド配列全
体までの範囲であり得る。
【0061】 タンパク質の生物学的に活性な部分をコードするヌクレオチド配列のフラグメ
ントは、本発明の全長タンパク質において存在するアミノ酸の少なくとも15、
25、30、50、100、150、200、250、300、350、400
、450、500、600、700、800もしくは1000個連続したアミノ
酸、またはそのアミノ酸の総数までをコードする。PCRTMプライマーについて
のハイブリダイゼーションプローブとして有用なヌクレオチド配列のフラグメン
トは、一般的に、タンパク質の生物学的に活性な部分をコードする必要はない。
【0062】 ヌクレオチド配列のフラグメントは、タンパク質の生物学的に活性な部分をコ
ードし得るか、またはヌクレオチド配列のフラグメントは、以下に開示される方
法を使用して、ハイブリダイゼーションプローブまたはPCRTMプライマーとし
て用いられ得るフラグメントであり得る。タンパク質の生物学的に活性な部分は
、本発明の1つのヌクレオチド配列の一部を単離すること、そのタンパク質のコ
ードされる部分を発現させること(例えば、インビトロでの組換え発現により)
、そしてそのタンパク質のコードされる部分の活性を評価することによって、調
製され得る。ヌクレオチド配列のフラグメントである核酸分子は、少なくとも約
16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約21個、約22個、約2
3個、約24個、約25個、約26個、約27個、約28個、約29個、および
約30個程の連続したヌクレオチドを含む。わずかにより長い配列としては、少
なくとも約31個、約32個、約33個、約34個、約35個、約36個、約3
7個、約38個、約39個、約40個、約41個、約42個、約43個、約44
個、約45個、約46個、約47個、約48個、約49個、または約50個程度
連続したヌクレオチドを含む配列が挙げられる。さらにより長い配列としては、
少なくとも約51個、約52個、約53個、約54個、約55個、約56個、約
57個、約58個、約59個、約60個、約61個、約62個、約63個、約6
4個、約65個、約66個、約67個、約68個、約69個、約70個程度連続
したヌクレオチドを含む配列が挙げられる。その程度からなおより長い連続した
核酸配列を含む、さらにより長いセグメントを同定することが所望される場合、
約75、約80、約85、約90、約95、約100、約125、約150、約
175、約200、約225、約250、約275、約300、約325、約3
50、約375、約400、約425、約450、約500、約550、約60
0、約650、約700、約750、約800、約850程度のヌクレオチドを
含むポリヌクレオチド、そしてヌクレオチド配列において本発明のヌクレオチド
の数を含めてその数までを含むポリヌクレオチドさえも調製し得る。
【0063】 「改変体」とは、実質的に類似の配列を意図する。ヌクレオチド配列について
、保存的改変体は、遺伝コードの縮重が理由で、タンパク質の指定されたアミノ
酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。一般的に、本発明のヌクレオチド
配列改変体は、その個々のネイティブなヌクレオチド配列に対して、少なくとも
40%、50%、60%、70%、一般的には80%、好ましくは90%、95
%、98%の配列同一性を有する。
【0064】 「改変体」タンパク質とは、ネイティブなタンパク質のN末端および/または
C末端への1以上のアミノ酸の欠失(いわゆる、短縮化(truncation
))または付加;ネイティブなタンパク質における1以上の部位での1以上のア
ミノ酸の欠失または付加;あるいは、ネイティブなタンパク質における1以上の
部位での1以上のアミノ酸の置換によって、ネイティブなタンパク質から誘導さ
れるタンパク質を意図する。このような改変体は、例えば、遺伝的多型または人
為的操作から生じ得る。このような操作の方法は、当該分野において一般的に公
知である。
【0065】 これらのヌクレオチド配列は、他の相同な配列を単離するために使用され得る
。核酸配列のハイブリダイゼーションのための方法は、当該分野で容易に利用可
能である。他の配列を得るために、ポリペプチド配列全体またはその部分が、対
応するコード配列およびメッセンジャーRNAに特異的にハイブリダイズし得る
プローブとして使用され得る。種々の条件下で特異的なハイブリダイゼーション
を達成するために、このようなプローブは、独特でありかつ、好ましくは約10
ヌクレオチド長、そして最も好ましくは少なくとも約20ヌクレオチド長である
配列を含む。このようなプローブを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTM )の周知のプロセスによって、目的のタンパク質コード配列を増幅し得る。この
技術は、さらなるコード配列を単離するために、またはコード配列の存在を決定
するための診断的アッセイとして、使用され得る。
【0066】 このような技術としては、以下が挙げられる:プレーティングされたDNAラ
イブラリー(プラークまたはコロニーのいずれか)のハイブリダイゼーションス
クリーニング(Sambrookら、1989)、およびアミノ酸配列間で保存
された配列ドメインに対応するオリゴヌクレオチドプライマーを使用するPCR TM による増幅(Innisら、1990)。
【0067】 このような配列のハイブリダイゼーションは、低減されたストリンジェンシー
条件下、中程度のストリンジェンシー条件下、または高いストリンジェンシー条
件下においてさえも(例えば、それぞれ、37℃での、5×デンハルト溶液、0
.5%SDSおよび1×SSPEを伴う35〜40%ホルムアミドの洗浄ストリ
ンジェンシーによって代表される条件;42℃での、5×デンハルト溶液、0.
5%SDSおよび1×SSPEを伴う40〜45%ホルムアミドの洗浄ストリン
ジェンシーによって代表される条件;ならびに、42℃での、5×デンハルト溶
液、0.5%SDSおよび1×SSPEを伴う50%ホルムアミドの洗浄ストリ
ンジェンシーによって代表される条件)、本明細書中に開示されるタンパク質を
コードするDNAに対して、標準的ハイブリダイゼーションアッセイにおいて実
施され得る(Sambrookら、1989)。一般的に、本明細書中に開示さ
れるようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列および本明細書中に
開示されるポリヌクレオチド配列の1つ以上にハイブリダイズするポリヌクレオ
チド配列は、開示された配列と少なくとも50%相同性、70%相同性、そして
85%以上さえも相同性である。すなわち、配列の配列類似性は、少なくとも約
50%、約70%、そして約85%さえも配列類似性を共有する範囲であり得る
【0068】 比較のために配列を整列する方法は、当該分野において周知である。比較のた
めの配列の最適整列を、以下によって実施し得る:Smithら(1981)ら
の局所的相同性アルゴリズムによって;Needlemanら(1970)の相
同性アラインメントアルゴリズムによって;Pearsonら(1988)の類
似性方法についての検索によって;以下を含むが、それらに限定されない、これ
らのアルゴリズムのコンピューターインプリメンテーションによって(Inte
lligenetics、Mountain View、California
によるPC/GeneプログラムのCLUSTAL;Wisconsin Ge
netics Software Package、Genetics Com
puter Group(GCG)、575 Science Drive、M
adison、Wisconsin、USAのGAP、BESTFIT、BLA
ST、FASTA、およびTFASTA;CLUSTALプログラムは、Hig
ginsら(1988);Higginsら(1989);Corpetら(1
988);Huangら(1992)、およびPersonら(1994)によ
って十分に記載されており;好ましいコンピューター整列方法としてはまた、B
LASTP、BLASTNおよびBLASTXアルゴリズム(Altschul
ら、1990)が挙げられる。整列はまた、目視および手動の補正によって実施
される。
【0069】 本明細書中で使用される場合、「配列同一性」または「同一性」は、2つの核
酸配列またはポリペプチド配列の状況では、特定の比較ウィンドウにわたって最
大一致のために整列される場合に、その2つの配列において同一である残基を参
照する。タンパク質を参照して配列同一性のパーセンテージが用いられる場合、
同一でない残基位置はしばしば、保存的アミノ酸置換(ここでアミノ酸残基は、
類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基につ
いて置換され、それにより、その分子の機能的特性を変化させない)によって異
なることが理解される。保存的置換で配列が異なる場合、配列同一性のパーセン
テージは、置換の保存的性質を補正するために上方に調整され得る。このような
保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有すると
いわれる。このような調整をなす手段は、当業者に周知である。代表的に、これ
は、全長ではなく部分的なミスマッチとして保存的置換をスコア付けし、それに
よって配列同一性パーセンテージを上昇させることを包含する。従って、例えば
、同一のアミノ酸がスコア1を与えられ、そして非保存的置換がスコア0を与え
られる場合、保存的置換は、0と1との間のスコアを与えられる。保存的置換の
スコア付けは、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenet
ics、Mountain View、CA)においてインプリメントされてい
るように、算出される。
【0070】 本明細書中で使用される場合、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィ
ンドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較することによって決定され
る値を意味し、ここでこの比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分
は、2つの配列の最適な整列のために、参照配列(これは、付加も欠失も含まな
い)と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセン
テージは、両方の配列において同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位
置の数を決定して、一致した位置数を算出する工程、その一致した位置数を、比
較ウィンドウにおける位置の総数で除算する工程、そしてこの結果に100を乗
算して配列同一性のパーセンテージを得る工程によって算出される。
【0071】 用語ポリヌクレオチド配列の「実質的同一性」は、ポリヌクレオチドが、標準
的なパラメーターを用いて、記載されたアルゴリズムプログラムのうちの1つを
用いて参照配列と比較して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、
より好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%の配
列同一性を有する配列を含むことを意味する。当業者は、これらの値が、適切に
調整されて、コドンの縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレームの配置など
を考慮して、2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応す
る同一性を決定し得ることを認識する。これらの目的でのアミノ酸配列の実質的
同一性は通常、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、80%、
90%および最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を意味する。
【0072】 ヌクレオチド配列が実質的に同一である別の指標は、2つの分子が、ストリン
ジェントな条件下で互いにハイブリダイズするか否かである。一般に、ストリン
ジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHにおいて、特定の配列につ
いての熱融点(Tm)よりも約5℃〜約20℃低いように選択される。Tmは、標
的配列のうちの50%が、完全に一致したプローブにハイブリダイズする(規定
されたイオン強度およびpH下での)温度である。代表的に、ストリンジェント
な条件のハイブリダイゼーションは、塩濃度がpH7にて約0.02Mであり、
かつ温度が少なくとも約50℃、約55℃、またはさらに約60℃などである洗
浄条件によって例示される。しかし、ストリンジェントな条件下で互いにハイブ
リダイズしない核酸は、コードするポリペプチドが実質的に同一である場合、依
然として実質的に同一である。このことは、例えば、核酸のコピーが、遺伝暗号
によって許容される最大のコドン縮重を用いて作製される場合に生じ得る。2つ
の核酸配列が実質的に同一である1つの指標は、第1の核酸によってコードされ
るポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に
交叉反応性である場合である。
【0073】 用語「実質的に同一」は、ペプチドの文脈では、ペプチドが、参照配列に対し
て少なくとも70%の配列同一性、好ましくは指定された比較ウィンドウについ
て参照配列に対して80%、より好ましくは85%、最も好ましくは少なくとも
90%または95%の配列同一性を有する配列を含むことを示す。好ましくは、
最適の整列は、Needlemanら(1970)の相同性整列アルゴリズムを
用いて行われる。2つのペプチド配列が実質的に同一である指標は、1つのペプ
チドが、第2のペプチドに対して惹起された抗体と免疫学的に反応性であること
である。従って、ペプチドは、例えば、2つのペプチドが保存的置換のみによっ
て異なる場合、第2のペプチドに対して実質的に同一である。「実質的に類似」
であるペプチドは、同一でない残基位置が、保存的アミノ酸変化によって異なり
得ることを除いて、上記のような配列を共有する。
【0074】 タンパク質は、アミノ酸の置換、欠失、短縮および挿入を含む種々の方法で変
更され得る。このような操作のための方法は一般に、当該分野で公知である。例
えば、タンパク質のアミノ酸配列改変体は、DNAにおける変異によって調製さ
れ得る。変異誘発およびヌクレオチド配列変更のための方法は、当該分野で周知
である(Kunkel,1985;Kunkelら,1987;米国特許第4,
873,192号;WalkerおよびGaadtra,1983)。
【0075】 本発明の遺伝子およびヌクレオチド配列が、天然に存在する配列ならびに変異
体形態の両方を包含することが意図される。同様に、本発明のタンパク質は、天
然に存在するタンパク質、ならびにそれらの改変体および改変形態の両方を包含
する。このような改変体は、活性を保有し続ける。明らかに、改変体をコードす
るDNAにおいて作製される変異は、配列をリーディングフレームの外に配置し
てはならず、好ましくは、二次mRNA構造を生成し得る相補領域を作製しない
(例えば、その全体が本明細書中に参考として特に援用される、欧州特許出願公
開第75,444号を参照のこと)。
【0076】 (4.14 発現ベクター) 誘導性プロモーターに作動的に連結された少なくとも1つのポリヌクレオチド
を含む発現ベクターは、開示された方法によって単離された核酸配列から容易に
構築され得る。従って、1つの実施形態では、発現ベクターは、遺伝子を発現す
るプロモーターに連結された、単離されそして精製されたDNA分子であり、こ
のコード領域は、転写終結領域に作動可能に連結されており、それによてt、こ
のプロモーターは、コード領域の転写を駆動する。
【0077】 本明細書中で使用される場合、用語「作動的に連結される」とは、プロモータ
ーが、その機能的RNAの転写がそのプロモーターによって制御および調節され
るように、機能的RNAをコードする核酸領域に連結されていることを意味する
。機能的RNAをコードする核酸領域に対してプロモーターを作動的に連結する
ための手段は、当該分野で周知である。
【0078】 発現ベクターの選択および最終的にどのプロモーターに対してポリペプチドコ
ード領域を作動的に連結するかの選択は、所望される機能的特性(例えば、タン
パク質発現の位置およびタイミング)ならびに形質転換される宿主細胞に直接依
存する。これらは、組換えDNA分子を構築する分野において固有の、周知の制
限である。しかし、本発明の実施において有用なベクターは、作動的に連結され
た機能的RNAの発現を指向し得る。
【0079】 RNAポリメラーゼは、ポリアデニル化が生じる部位を通してコードDNA配
列を転写する。代表的に、ポリアデニル化部位の数百塩基対下流に位置するDN
A配列は、転写を終結するように作用する。これらのDNA配列は、本明細書中
で、転写終結領域と呼ばれる。これらの領域は、転写されたメッセンジャーRN
A(mRNA)の効率的なポリアデニル化のために必要とされる。
【0080】 種々の方法が、相補的付着末端または平滑末端を介してベクターにDNAを作
動可能に連結するために開発されている。例えば、相補的ホモポリマートラクト
(tract)が、挿入されるDNAセグメントおよびベクターDNAに付加さ
れ得る。次いで、そのベクターおよびDNAセグメントが、その相補的ホモポリ
マーテール間の水素結合によって結合されて、組換えDNA分子が形成される。
【0081】 (4.15 ハイブリダイゼーションプローブおよびプライマーとしての、D
NAセグメント) 別の局面において、本発明により提供されるDNA配列情報によって、本明細
書中に開示される選択されたポリヌクレオチドの遺伝子配列に特異的にハイブリ
ダイズする能力を有する、比較的短いDNA(またはRNA)配列の調製が可能
である。そのプローブは、所定のサンプル中の相補的配列の存在を検出するため
の種々のアッセイにおいて、そして遺伝子をコードする新規な種または属の同定
において、使用され得る。
【0082】 特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーを使用することが有
利である。そのようなプライマーの配列は、開示された核酸セグメントの規定さ
れたセグメントを、PCRTM技術を使用してサンプルから検出、増幅、または変
異することにおける使用のために、本発明のポリヌクレオチドを使用して設計さ
れる。本発明に従って特定の利点を提供するために、ハイブリダイゼーション研
究またはアッセイに使用される好ましい核酸配列は、少なくとも約31〜50長
程度のヌクレオチドのストレッチに相補的な配列を含む。少なくとも31ヌクレ
オチド長の大きさは、そのフラグメントが、安定および選択的の両方である二重
鎖分子を形成するに十分な長さであることを確実にするのを補助する。しかし、
ハイブリッドの安定性および選択性を増加させ、それにより得られる特定のハイ
ブリッド分子の質および程度を改善するために、長さ31塩基より長いストレッ
チにわたる相補的配列を有する分子が、一般的に好ましい。一般的には、約31
〜約40または50ヌクレオチド程度の(あるいは所望ならばもっと長い)遺伝
子相補的ストレッチを有する核酸分子を設計することが、好ましい。そのような
フラグメントは、例えば、化学的手段によりそのフラグメントを直接合成するこ
とによってか、核酸再生成技術(例えば、米国特許番号4,683,195およ
び同4,683,202(各々その全体が本明細書中に参考として特に援用され
る)のPCRTM技術の適用によってか、あるいは適切なインサートおよび適切な
制限部位を含む組換えプラスミドから選択されたDNAフラグメントを切り出す
ことによって、容易に調製され得る。
【0083】 基礎となるテンプレートにハイブリダイズされる変異プライマー鎖を使用して
変異体を調製することを望む場合、または関連する遺伝子の配列、機能的等価物
などを単離することを探求する場合、よりストリンジェントでないハイブリダイ
ゼーション条件が、そのヘテロ二重鎖の形成を可能にするために代表的には必要
とされる。これらの状況において、約0.15M塩〜約0.9M塩、約20℃〜
約55℃の範囲の温度のような条件を使用することが、望ましくあり得る。それ
により、交差ハイブリダイズする種が、コントロールハイブリダイゼーションに
対してポジティブにハイブリダイズするシグナルとして容易に同定され得る。い
かなる場合においても、漸増量のホルムアミドの添加によって、条件がよりスト
リンジェントにされ得ることが一般的に理解される。この漸増量のホルムアミド
の添加は、温度の増加と同じ様式で、そのハイブリッド二重鎖を不安定化するよ
うに作用する。従って、ハイブリダイゼーション条件は、容易に操作され得、従
ってそれは一般的に、所望の結果に依存する選り抜きの方法である。
【0084】 本発明の機能的RNAの発現を指示することにおける使用に加えて、本明細書
中で意図される核酸配列はまた、他の種々の用途を有する。例えば、それらはま
た、核酸ハイブリダイゼーション実施形態における、プローブまたはプライマー
としての有用性を有する。このように、21ヌクレオチド長の連続DNAセグメ
ントと同じ配列を有すかまたはその21ヌクレオチド長の連続DNAセグメント
相補的である、少なくとも21ヌクレオチド長の連続配列からなる配列領域を含
む核酸セグメントが、特に有用性を見出されることが、意図される。より長い連
続同一配列またはより長い連続相補的配列(例えば、約20、21、22、23
、24ヌクレオチド長など、30、31、32、33、34ヌクレオチド長など
、40、41、42、43、44ヌクレオチド長など、50、51、52、53
、54ヌクレオチド長など、100、200、500ヌクレオチド長など(中間
の長さすべてを含み、そして全長配列までそして全長配列を含む)の連続同一配
列または連続相補的配列)もまた、特定の実施形態において有用である。
【0085】 変異種プライマー、合成遺伝子配列、遺伝子融合物および/またはプライマー
の調製のための配列情報の使用を含む、他の用途もまた、意図される。
【0086】 約14ヌクレオチド長程度のハイブリダイゼーションプローブの使用によって
、安定および選択的両方である二重鎖分子の形成が可能である。しかし、そのハ
イブリッドの安定性および選択性を増加させ、それにより得られる特定のハイブ
リッド分子の質および程度を改善するために、約15、16、17、18、19
、または20塩基以上の長さのストレッチにわたる連続相補的配列を有する分子
が、一般的には好ましい。所望の場合に、約21、22、23、24、25、2
6、27、28、29、または30個以上連続する長さのヌクレオチドの遺伝子
相補的ストレッチを有する核酸分子を設計することが、一般的に好ましい。
【0087】 フラグメントはまた、他の技術によって、例えば、機械的せん断によってか、
または制限酵素切断によって、得られ得る。小さい核酸セグメントまたはフラグ
メントは、例えば、自動オリゴヌクレオチド合成機を使用して商業的に実施され
るように、化学的手段によってそのフラグメントを直接合成することによって容
易に調製され得る。また、フラグメントは、核酸再生成技術(例えば、米国特許
番号4,683,195および同4,683,202(各々本明細書中に参考と
して援用される)のPCRTM技術)の適用によって、組換え産生のために組換え
ベクターに選択された配列を導入することによって、そして分子生物学の当業者
に一般的に公知の他の組換えDNA技術によって、得られ得る。
【0088】 したがって、本発明のヌクレオチド配列は、DNAフラグメントの相補的伸展
を有する二重鎖分子を選択的に形成するその能力のために使用され得る。想像さ
れる適用に依存して、標的配列に対するプローブの選択性の変化する程度を達成
するために、ハイブリダイゼーションの条件の変化の使用が所望され得る。高い
選択性が必要とされる適用のために、代表的にはハイブリッドを形成するための
比較的ストリンジェントな条件の使用(例えば、約0.02M〜約0.15Mの
NaClで、約50℃〜約70℃の温度によって提供される、比較的低い塩およ
び/または高温の条件を選択する)が所望される。このような選択的条件は、存
在する場合、プローブとテンプレートまたは標的ストランドとの間の不一致をほ
とんど許容せず、そして特定のDNAセグメントの単離のために特に適切である
。ハイブリダイゼーションを介するDNAセグメントの検出は、当業者に周知で
あり、そして米国特許第4,965,188号および米国特許第5,176,9
95号(この各々は本明細書中に参考として援用される)の教示は、ハイブリダ
イゼーション分析の方法の例示である。Maloyら、1994;Segal
1976;ProkopおよびBajpai、1991;ならびにKuby、1
994の原文において見出されるような教示は、特に適切である。
【0089】 一般に、本明細書中に記載されるハイブリダイゼーションプローブが、溶液ハ
イブリダイゼーションにおける試薬として、ならびに固相を使用する実施形態に
おける試薬としての両方で有用であることが想像される。固相に関する実施形態
において、試験DNA(またはRNA)は、選択されたマトリックスまたは表面
に吸収されるか、またはさもなければ付着される。次いで、この固定された一本
鎖核酸は、所望の条件下で、選択されたプローブと共に特定のハイブリダイゼー
ションに供される。この選択された条件は、特に必要とされる特定の基準に基づ
く環境に依存する(例えば、G+Cの含有量、標的核酸の型、核酸の供給源、ハ
イブリダイゼーションプローブの大きさなどに依存する)。非特異的結合プロー
ブ分子を除去するために、ハイブリダイズした表面を洗浄した後、特異的ハイブ
リダイゼーションは、標識の手段によって検出されるか、またはさらに定量化さ
れる。
【0090】 (4.16 生物学的機能的な均等物) 本発明のタンパク質特異的な遺伝子、プロモーター、遺伝子構築物、プラスミ
ド、および/またはポリペプチドの構造における改変および変化がなされ得、そ
して所望の生物学的に活性な特徴を有する機能的分子をさらに得る。以下は、均
等物、またはさらに改良された第二世代分子を作製するための、タンパク質のア
ミノ酸の変化に基づく考察である。このアミノ酸の変化は、表1に示されるコド
ンに従うDNA配列のコドンの変化によって達成され得る。
【0091】
【表1】 例えば、あるアミノ酸は、例えば抗体の抗原結合領域または基質分子の結合部
位のような構造との相互作用性結合能力を顕著に喪失することなく、タンパク質
構造中で他のアミノ酸と置換され得る。タンパク質の生物学的機能的活性を規定
するのは、そのタンパク質の相互作用性能力および性質であるので、特定のアミ
ノ酸配列置換が、タンパク質配列(およびもちろんその基礎をなすDNAコード
配列)においてなされ得、そしてそれにもかかわらず、同様な特性を有するタン
パク質を入手し得る。種々の変更が、開示された組成のペプチド配列またはその
ペプチドをコードする対応するDNA配列において、その生物学的な有用性も活
性も顕著に喪失することなく、なされ得ることは本発明が企図するところである
【0092】 そのような変更において、アミノ酸のハイドロパシー指数が考慮され得る。タ
ンパク質に相互作用性の生物学的機能を付与することにおけるハイドロパシーア
ミノ酸指数の重要性は、当該分野において一般に理解されている(Kyteおよ
びDoolittle,1982,本明細書に参考として援用する)。アミノ酸
の相対的ハイドロパシー特徴が、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、この
二次構造が次にそのタンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、
DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定するということは受け入れられて
いる。
【0093】 各アミノ酸には、その疎水性および電荷の特徴に基づいてハイドロパシー指数
が割り当てられている(KyteおよびDoolittle,1982)。これ
らは、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8)
;フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオ
ニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン
(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(
−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(
−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラ
ギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)である
【0094】 あるアミノ酸が、同様なハイドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ
酸により置換され得、そして依然として同様な生物学的活性を有するタンパク質
を入手し得る(すなわち、生物学的機能上等価なタンパク質を依然として入手し
得る)ことは、当該分野において公知である。そのような変更において、ハイド
ロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、ハイドロパシー指数
が±1位内のアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてハイドロパシー指数が±0
.5以内のアミノ酸がより特に好ましい。
【0095】 同様なアミノ酸の置換が、親水性に基づいて効率的になされ得ることもまた当
該分野において理解される。米国特許第4,554,101号(特に、本明細書
に参考として援用される)は、隣接するアミノ酸の親水性によって支配される、
タンパク質の最大局所平均親水性が、そのタンパク質の生物学的特性と相関する
と述べている。
【0096】 米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミ
ノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0)
;アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(
+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(
0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.
5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.
3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8)
;チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−
3.4)。
【0097】 アミノ酸は同様な親水性値を有する別のアミノ酸に置換され得、そして依然と
して生物学的に等価なタンパク質、特に免疫学的に等価なタンパク質を入手し得
ることが理解される。このような変更において、親水性値が±2以内であるアミ
ノ酸の置換が好ましく、親水性値が±1位内のアミノ酸の置換が特に好ましく、
そして親水性値が±0.5以内のアミノ酸がより特に好ましい。
【0098】 上記のように、したがってアミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖置換基の相
対的類似性(例えば、疎水性、親水性、電荷、サイズなど)に基づく。前述の特
徴のいくつかを考慮する代表的な置換は、当該分野において周知であり、そして
以下を包含する:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸
;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、
ロイシンおよびイソロイシン。
【0099】 (4.17 mRNAに標的化されたアンチセンスオリゴヌクレオチド) アンチセンス組成物は、宿主細胞において、タンパク質コード遺伝子配列の発
現を負に調節するように用いられ得る。遺伝子情報のフローの最終結果は、タン
パク質の合成である。DNAがポリメラーゼによりメッセンジャーRNAに転写
され、そしてリボソーム上で翻訳されて折り畳まれた機能性タンパク質を生じる
。したがって、非常に複雑な反応セットのこの簡潔な記載からでさえ、タンパク
質合成が阻害され得る経路に沿っていくつかの工程が存在することが明らかであ
る。タンパク質をコードするネイティブのDNAセグメントは、すべてのそのよ
うな哺乳動物DNA鎖のように、2つの鎖を有している:水素結合によりくっつ
いているセンス鎖およびアンチセンス鎖。タンパク質をコードするメッセンジャ
ーRNAは、DNAのチミジンがウリジンに置換されていることを除いて、セン
スDNA鎖と同じヌクレオチド配列を有する。したがって、アンチセンスヌクレ
オチド配列は、そのポリペプチドをコードするmRNAと結合し、そしてそのタ
ンパク質の生成を阻害する。
【0100】 アンチセンスオリゴヌクレオチドをmRNAに結合させるような標的化は、タ
ンパク質合成を抑制する1つの方法である。例えば、ポリガラクツロナーゼおよ
びムスカリン2型アセチルコリンレセプターの合成は、それらのそれぞれのmR
NA配列に向けられたアンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害される(米
国特許第5,739,119号および米国特許第5,759,829号、米国特
許第5,801,154号;米国特許第5,789,573号;米国特許第5,
718,709号;および米国特許第5,610,288号、特に、それぞれ本
明細書中にその全体を参考として援用する)。
【0101】 例示的な実施形態において、標的遺伝子または翻訳されたmRNAを認識しそ
して結合し、その結果デオキシリボ核酸(DNA)の転写またはメッセンジャー
リボ核酸(mRNA)の翻訳を停止および/または阻害し得る相補的核酸配列で
あるアンチセンスオリゴヌクレオチドが調製され得る。これらのオリゴヌクレオ
チドは、通常には特定のmRNAを発現する宿種内で、このmRNAの発現を減
少させるかまたは阻害するように発現され得る。したがって、オリゴヌクレオチ
ドは、適切に形質転換された宿主細胞において、ポリペプチドのレベルを減少さ
せるために有用であり得る。
【0102】 オリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸、リボ核酸、またはペプチド−核酸
を含み得る。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも9個
、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個
、または少なくとも14個から全長連続配列までの配列(全長連続配列を含む)
を含む。より長いアンチセンス分子が必要な場合、少なくとも15個、少なくと
も16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または少
なくとも20個から全長連続配列までの配列(全長連続配列を含む)を含むオリ
ゴヌクレオチドを用い得る。このようなアンチセンス分子は、より長い連続ヌク
レオチド配列(例えば、約21、約22、約23、約24、約26、約27、約
28、約29または約30程度の連続ヌクレオチドを含むもの)さえ含み得る。
【0103】 (4.18 定義) 本発明に従うと、核酸配列は、DNA(ゲノムDNAまたはゲノム外DNAを
含むがこれらに限定されない)、遺伝子、RNA(mRNAおよびtRNAを含
むがこれらに限定されない)、ヌクレオシド、およびネイティブな供給源から得
られたか、化学合成されたか、改変されたか、またはそうでなければ、ヒトの手
によって調製されたかのいずれかである適切な核酸セグメント、を含むがこれら
に限定されない。以下の用語および句は、以下に示される意味を有する。
【0104】 a、an:長期存続している特許法の条約に従うと、用語「a」および「an
」は、本出願(特許請求の範囲を含む)に使用される場合、「1以上」を示す。
【0105】 発現:ポリペプチドを生成するために、コーディングDNA分子(例えば、構
造遺伝子)が受ける細胞内プロセス(転写および翻訳を含む)の組合せ。
【0106】 プロモーター:構造遺伝子についての発現制御エレメントを提供し、そしてR
NAポリメラーゼが特異的に結合し、かつその遺伝子のRNA合成(転写)を開
始する、DNA配列またはDNA配列の群の認識部位。
【0107】 構造遺伝子:ポリペプチドを産生するために発現される遺伝子。
【0108】 形質転換:外因性DNAが染色体に組み込まれるかまたは自律的に複製し得る
細胞中に、外因性DNA配列(例えば、ベクター、組換えDNA分子)を、導入
するプロセス。
【0109】 形質転換細胞:細胞のDNAが、外因性DNAのその細胞中への導入によって
変更されている、細胞。
【0110】 ベクター:宿主細部中で複製し得るDNA分子、および/または結合したセグ
メントの複製をもたらすように、別のDNAセグメントが、作動可能に連結され
得るDNA分子。プラスミドは、例示的なベクターである。
【0111】 本発明の例示的実施形態が、以下に記載される。明らかにする目的にて、実際
の実行の特徴すべてが、本明細書中に記載されるとは限らない。このような実際
の実施形態のいずれかの開発において、実行に特異的な多数の決断が、特定の目
的を達成するためになされなければならないことが、当然理解される。さらに、
このような開発の努力が、複雑でありかつ時間がかかり得るが、それにも拘らず
、本開示の恩恵を有する当業者にとっては、慣用的仕事であることが、理解され
る。
【0112】 (5.0 実施例) 以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含まれる。以下の実
施例に開示される技術が、本発明の実施において十分に機能するように本発明者
により発見された技術を示すこと、従って、その実施のための好ましい様式を構
成すると見なされ得ることが、当業者により理解されるべきである。しかし、当
業者は、本開示を考慮して、多くの変更が、開示される特定の実施形態において
なされ得、そしてなお本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、類似の結果また
は同様の結果を入手し得ることを、理解すべきである。
【0113】 成体のマウスおよびヒトの脳から多様な幹細胞/前駆体細胞の集団を単離しそ
してそれらをインビトロで増殖するための方法;ならびに個々のクローンまたは
ニューロスフェアからcDNAライブラリーを作製する方法が、開発されている
。ニューロスフェアに類似する異なるコロニー様構造を生成する広範な他の(例
えば、造血)幹細胞/前駆体細胞を単離および培養するための培養アプローチ(
Schefferら、1999)を使用して、単一の組織分離物から多数のニュ
ーロスフェアを構成的に産生することが可能である。これらのニューロスフェア
は、互いに形態学的および生化学的に異なり、それにより、一定スペクトルまた
は範囲の差示的段階を示し、ならびに異なる幹細胞/前駆体細胞に由来する。
【0114】 (5.1.0 実施例1−ミクロクローンの調製) (5.1.1 1型クローン) 成体ICRまたはトランスジェニックマウスまたは変異体マウス、あるいはヒ
ト側頭葉由来の生検標本(てんかん手術用)、あるいは死後有意な(少なくとも
1日の)間隔の脳標本を、分離物のための組織供給源として使用した。脳を、以
下のように分離および培養した。取り出した脳組織を、かみそりの刃で切り刻み
、そして氷冷DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、種々の供給元から市販さ
れている)および抗生物質−抗真菌物質製品(Sigma Chemical
Co.カタログ番号A5955(ICOX、St.Louis、MO);Gib
co Brl、Grand Island、NY)の混合物中で洗浄した。脳片
を、0.25%トリプシンおよびEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)を含
むビーカーに移し、そして磁気攪拌プレート上で15分間混合し、プラスチック
ピペットで粉砕し、滅菌ガーゼを通して濾過し、そして15mlチューブに収集
し、1200rpmで5分間遠心分離した。細胞を、DMEM/FI2培地+N
I補充物(種々の供給元から入手可能な、標準的組織培養培地)+5% FBS
(ウシ胎仔血清)中に再懸濁し、そして非接着基質(ポリ2−ヒドロキシエチル
メタクリレートでコートした、組織培養プラスチック;Sigma Chemi
cals)上に高密度でプレーティングすることによって、懸濁培養物にて増殖
させた。遠心分離および新鮮な培地中での再懸濁によって、細胞に3〜4日後と
に給餌した。
【0115】 I型細胞を培養するための塩基性培地は、以下の成分を含む:インシュリン(
5μg/mL)、プトレシン(100μM)、プロゲステロン(20μm)、亜
セレン酸ナトリウム(30μM)、下垂体抽出物(20μg/mL)、トランス
フェリン(transferring)(100μg/mL)、およびDNEM
/FI2培地中の5%ウシ胎仔血清(FCS)。
【0116】 I型細胞は、非接着性基質(例えば、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト)を含む懸濁培養物中にのみ現れる。いくつかのII型細胞もまた、これらの
培養物中に存在する。
【0117】 (5.1.2 II型クローン) II型クローンは、I型クローンと同様に、成体ICRマウス、トランスジェ
ニックマウスもしくは変異マウス、またはヒト側頭葉(てんかん手術のため)由
来の生検試料から得た。さらに、II型クローンはまた、成体ヒト脳、および動
物が4℃に保たれた場合に長い死亡後の間隔を有する死亡した動物から生成した
【0118】 脳は、I型クローンの生成について先に記載されるように分離し、培養した。
手短には、取り出した脳組織をミンスし、洗浄し、そして0.25%トリプシン
およびEDTAを含むビーカーに移した。マグネティックスターラープレートで
15分間混合した後、培養物をプラスチックピペットで倍散し、滅菌ガーゼを通
して濾過し、遠心分離し、そしてDMEM/F12培地+NI補充、+5%FB
S、+20μg/mL下垂体抽出物(Gibco)中に再懸濁し、そして高密度
で非接着性基質にプレートすることによって懸濁培養物中で増殖させた。
【0119】 細胞を、I型細胞について上記で記載したようにプレートし、そしてフィード
した。しかし、上記の塩基性培地(インシュリン(5μg/mL)、プトレシン
(100μM)、プロゲステロン(20μm)、亜セレン酸ナトリウム(30μ
M)、下垂体抽出物(20μg/mL)、トランスフェリン(transger
ring)(100μg/mL)、およびDNEM/FI2培地中の5%ウシ胎
仔血清(FCS)を含む)はまた、10ng/mLの塩基性線維芽細胞成長因子
(bFGF)、および10ng/mLの上皮成長因子(EGF)を含む。重要な
ことには、この培養培地はさらに、ジスルフィド結合を減少させる接触制限因子
として100μMメルカプトエタノールを含む(Herington,1986
)。培養物は、10〜14日間、高密度な細片を含んだ。次いで、10〜14日
後、メルカプトエタノールをこの培地から除去した。II型クローンは、これら
の培養物中に存在した。いくつかのIII型クローンもまた存在した。
【0120】 (5.1.3 III型クローン) I型クローンおよびII型クローンと同様に、III型クローンは、成体IC
Rマウス、トランスジェニックマウスもしくは変異マウス、またはヒト側頭葉由
来の生検試料から得られたか、あるいは成体ヒト脳または動物が4℃に保たれた
場合は、長い死亡後の間隔を有する死亡した動物から得られた。脳供給源を分離
し、そして細胞を、接触阻害因子なし、または接触阻害因子(例えば、メルカプ
トエタノール)ありのいずれかの、上記の懸濁培養物中で増殖させた。III型
細胞を培養するための塩基性培地は、II型細胞を培養するために使用した培地
と同じであり;すなわち、その培地は、インシュリン(5μg/mL)、プトレ
シン(100μM)、プロゲステロン(20μm)、亜セレン酸ナトリウム(3
0μM)、下垂体抽出物(20μg/mL)、トランスフェリン(transg
erring)(100μg/mL)、10ng/mLの塩基性線維芽細胞成長
因子(bFGF)、10ng/mLの上皮成長因子(EGF)、およびDNEM
/FI2培地中の5%ウシ胎仔血清(FCS)を含んだ。細胞を、遠心分離によ
り3〜4日ごとにフィードし、そして新しい培地中に再懸濁させた。接触制限因
子の除去後、5〜7日後に、II型クローンおよびIII型クローンの両方が現
れた。II型クローンは、接触制限因子の非存在下での連続的な培養の際に、最
終的にIII型クローンに進化した。
【0121】 単に接触阻害因子を除去することで、細胞−細胞接触を促進することにより、
分化が促進される。しかし、III型クローンのニューロンまたは神経膠への分
化はまた、他のさらなる因子(β−線維芽細胞成長因子、上皮成長因子のような
成長因子、または塩基性III型培養培地中に存在する下垂体抽出物に含まれる
因子を含む)によって促進される。他の成長因子(例えば、脳由来の神経栄養性
因子(BDNF)、神経膠由来の神経栄養性因子(GDNF)、NT3、および
毛様体神経栄養性因子(CNTF)はまた、幹/前駆細胞の分化を促進し得る。
【0122】 以下の表は、異なる幹/前駆細胞型を得るための、種々の方法を要約する:
【0123】
【表2】 位相差顕微鏡試験を使用して、培養したニューロスフェアを、成熟度(分化)
の全体の指標に関連する4つのカテゴリーにまず分類した;初期I型(小さい、
段階的に暗い(phase−dark)スフェア)、後期I型(大きい、段階的
に暗い〜段階的に明るいスフェア)、初期II型(中間サイズ、段階的に明るい
スフェア)、後期II型またはIII型(大きい、段階的に明るいスフェア)。
代表的なニューロスフェアは、従来の共焦点顕微鏡分析(Kukekovら、1
997;kukekovら、1999)を用いる、単一標識および二重標識プロ
トコルにおける使用のための、幹/前駆体、未成熟ニューロンおよび神経膠の存
在の確認についての標準的な免疫蛍光分析のために、培養された。免疫検出のた
めの抗体としては、以下が挙げられる:中間径フィラメントタンパク質、ネスチ
ン(nestin)(幹/前駆体および未成熟神経細胞中に存在)、および反応
性アストロサイト(Mckay,1997);モノクロナール抗体(Devel
opmental Hybridoma Bank,Iowa City,Io
wa);ビメンチン、未成熟アストロサイト中間径フィラメントタンパク質(D
evelopmental Hybridoma Bank);アストロサイト
中間タンパク質、神経膠線維状酸性タンパク質(GFAP);稀突起膠細胞(例
えば、02A前駆体)を認識するA2B5;未成熟稀突起膠細胞を認識する04
抗体(Developmental Hybridoma Bank);若いニ
ューロン(neutron)成熟ニューロン上のL1接着分子に対する抗体(K
ukekovら、1999の図3Hを参照のこと);ならびにニューロンのβ−
IIIチューブリンアイソフォーム(モノクロナール抗体、Sigma,St.
Louis,MO)。
【0124】 図1は、cDNAプールおよびミクロアレイ産生ための供給源として使用した
個々の成体ヒト脳ミクロクローンの、光学顕微鏡写真および電子顕微鏡写真を示
す。図中の挿入図は、単一の成体脳ミクロクローンの、逆光学顕微鏡をとおして
位相光学を用いた、顕微鏡写真である。この光学顕微鏡写真は、輪状の構造に密
接に密集した、多くの細胞型を示す。このようなミクロクローンに存在する数千
個までの細胞が存在し、これらの細胞は、ミクロクローンの多分化能を示す異な
る形態を示す。
【0125】 (5.2.0 実施例2:cDNAライブラリーの調製) RNA調製物の収量および品質を最大化するために、特定の出発材料について
適切な方法を開発した。少量のmRNAを、PCRの感度と逆転写を用いたcD
NAの特異的生成とを組み合わせることによって測定し得る。しかし、インタク
トなRNAの抽出に必要な時間は、しばしば、RT−PCR手順自体に関与する
時間を超過し、そしていくらかのRNAの損失を生じ得る。RNA単離なしにR
T−PCRを利用する確立されたプロトコルがいくつか存在する(Klebeら
、1996)。
【0126】 各脳細胞ミクロクローンは、幹細胞、前駆体細胞および子孫細胞を含み、これ
らは、ニューロン、星状細胞および稀突起膠細胞を生じる。これらの細胞は、非
常に密な細胞外マトリクス中に包埋されている(Kukekovら、1997)
。これらのマトリクスは、物質の損失無しに従来の方法を用いて破壊することが
困難である。RNA単離を伴わないRT−PCRを利用する多数のプロトコルが
報告されており、そしてこれらのアプローチに伴う利点および欠点が議論されて
いる(Suslovら、2000)。他方で、超音波を使用した異なる供給源か
らのRNAの放出のためのいくつかの方法が記載されているが、これらのすべて
は、RNA単離のためのさらなる工程を含んでいる。改善されたプロトコルにお
いて、両方のアプローチの利点が組み合わせられた。価値のあるヒト脳検体から
のニューロスフェアの生成が困難であり得、時間がかかり得、そしてこれらの大
多数のクローンを常に得るとは限らないことから、以下の実施例に記載される改
変は、mRNA抽出なしに単一のニューロスフェアからmRNAを単離および検
出するための迅速で、信頼性が高く、かつ、高感度の方法を提供するように開発
された。
【0127】 (5.2.1 ミクロクローンからのcDNAプール) RT−PCRアッセイを、RNA単離に関与する時間のかかる手順を除去する
ことによってストリームライン化した。操作を、1つの管において実施し、そし
て増幅したcDNAを少数の細胞から利用可能なRNAから生成した。ニューロ
スフェアにおける種々の遺伝子についてのmRNA転写物、およびニューロスフ
ェアにおける単一の細胞さえもの検出を、極少量の超音波処理物を用いて可能に
した。
【0128】 各ニューロスフェアは、新規に生成されたニューロン、星状細胞および稀突起
膠細胞を生じ得る少なくとも50〜400幹細胞/子孫細胞を含み、そしてこれ
らの細胞は、極度に密な細胞外マトリクス中に包埋される(Kukekovら、
1997;Kukekovら、1999)。これらは、物質を欠失することなく
、従来の方法によってニューロスフェアを破壊することを困難にする。
【0129】 単一のニューロスフェア(多細胞性の球状構造として位相顕微鏡において同定
された)は、各々、フィルターチップつきマイクロピペットを用いて0.5μl
の容量で収集された。次いで、単一のニューロスフェアを、10μlの、5μl
のRNアーゼインヒビター(Gibco BRL/Life Technolo
gies, Gaithersburg, MD)を含み、RNアーゼを含まな
い水へと移した。ニューロスフェアを、5秒間、パワー4、チューン2でMic
rotip Sonicator (Kontes, Vineland, N
J)を用いて液体表面に緩和に接触させることによって超音波処理した。その管
は、超音波処理の前および後で氷上に維持した。温度を、超音波処理中、デジタ
ルミニ温度計HH81(Omega Engineerging Inc.,S
tamford、CT)を用いて試験管中で測定した。超音波処理のための最適
な時間範囲を、4〜10秒間へと定めた。なぜなら、温度は、10秒間で55℃
まで上昇したからである。RNAが完全に放出されることを確実にするために4
秒未満使用することは薦められない。しかし、10秒を超えるものも薦められな
い。なぜなら、より長い時間は、RNアーゼインヒビター活性を減少させるから
である。多数のサンプルで作業するとき、その超音波処理マイクロチップは、一
連の溶液(1M HCI, 1M NaOH, 1M Tris−HCI, p
H 7.5,氷上で二連蒸留した H20)中でリンスして、交叉汚染を避け、
そしてそのマイクロチップを冷却すべきだからである。ニューロスフェアを、0
.5mlの管へと移した。そしてその管を液体窒素中で瞬間(snap)凍結し
、次いで37℃の水浴中で融解する。この手順を3回繰り返した。
【0130】 (5.2.3 cDNAの第一鎖の合成) SMART cDNA合成技術 (CLONTECH)をcDNAの第一鎖の
合成のためにいくつかの改変とともに用いた。改変されたオリゴ(dT)プライ
マー(SDS)を用いて、Clonetechにより記載される一般的な手順を
用いてこの第一鎖合成反応をプライム刺激した。得られた全長の一本鎖cDNA
は、そのmRNAの完全な5’末端およびSMARTオリゴヌクレオチドに対し
て相補的な配列を含んでいた。SMARTアンカー配列およびポリA配列は、S
MART PCRTMプライマーを用いた末端対末端のcDNA増幅のための汎用
プライミング部位として機能した。SMARTアンカー配列がPCRTMに必要で
あることから、不完全RT活性から生じ、ゲノムDNAおよびポリA RNAか
ら転写されたcDNAを混入する、未熟に終結したcDNAは、指数関数的には
増幅しない。
【0131】 各反応のために、2μlの10μMのSDSプライマーおよび2μlの10μ
MのSDSオリゴヌクレオチドを10μlの単一ニューロスフェア超音波処理物
に添加した。この管を、2分間72℃でインキュベートし、次いで氷上で冷却し
た。次いでこの産物を、2つの管中で7μlのアリコートへと分割した。この第
一の鎖の緩衝液(Gibco BRL)(25mM Tris−HCI、 pH
8.3;37.5mM KCI;1.5mM MgCl2)、1mM dNT
P (CLONTECH)、3mM MgC12(Sigma),5U RNア
ーゼインヒビター(Gibco BRL)を、各管に加えた(すべての濃度は最
終濃度である)。反応の総容量は、各管中で2μlであった。両方の管は、42
℃で5分間インキュベートした。次いで、1μlのSuperscript (
Gibco BRL)を加え、そして管を42℃でさらに1時間インキュベート
した。
【0132】 両方の管からの内容物を、100μlの1×TEを添加したときに新たな管へ
と移し、そして70℃で15分間インキュベートした。
【0133】 第一鎖のcDNAプールを用いて、Advantage 2 PCRTM En
zyme System (CLONTECH) および SMART PCR TM プライマーを使用してLD(長距離)増幅を行った。この反応混合物を、以
下のとおりに調製した:1×緩衝液(40mM トリシン−KOH (pH 9
.2)、15 mM KOAc、3.5mM Mg(OAc)2, 3.75μ
g/ml BSA、0.005% Tween−20(登録商標)、0.005
% Nonidet−P40(登録商標)); 0.5mM dNTP、0.5
mM SMART PCRプライマー、ならびに1×Advantage 2
Polymerase。MJR PCR装置を用いて、以下のパラメーターを用
いて増幅した:95℃で1分間;(95℃で15秒環、65℃で30秒間)を1
8−26サイクル、68℃で6分間。サイクル数は、各ニューロスフェアについ
て個々に最適化した。
【0134】 これらの手順の使用は、RNA単離に関与する時間のかかる手順を除去するこ
とによってRT−PCRアッセイをストリームライン化する。すべての操作を、
1つの管中で行った。そして、増幅したcDNAを、少数の細胞から入手可能な
すべてのRNAから生成した。さらに、このRNAは、高度の純度を有していた
。種々の遺伝子について、極少量の超音波処理物を用いて、ニューロスフェアか
ら、またはニューロスフェア内の単一細胞からでさえ、mRNA転写物を検出す
ることが可能であった。
【0135】 (5.2.4 サブトラクティブライブラリー調製物) 2つのcDNAライブラリーを順方向および逆方向のサブトラクション(su
btraction)に用いた。順方向のサブトラクションについて、第一のラ
イブラリーはテスター(tester)であって、そして第二のものはドライバ
ー(driver)であった。逆方向のサブトラクションについて、第二のcD
NAライブラリーはテスターであって、そして第一のものがドライバーであった
。テスターおよびドライバーのcDNAは、RsaIで消化した。RsaIは、
4塩基切断制限酵素であって、平滑末端を生じる。次いで、テスターcDNAを
2つの等量のアリコートへと再分割し、そして各アリコートを、異なるcDNA
アダプターへと連結した。このアダプターは、同一の配列のストレッチを有して
、一旦切断された末端が充填されるとPCRTMプライマーのアニーリングを可能
にする。
【0136】 次いで、2つのハイブリダイゼーションを行った。まず、過剰のドライバーを
テスターの各サンプルへと加えた。次いで、このサンプルを熱変性し、そしてア
ニールさせた。第二のハイブリダイゼーションにおいて、2つのプライマーハイ
ブリダイゼーションサンプルを、変性することなくともに混合し、そして新鮮に
変性させたドライバーcDNAを加える。DNAポリメラーゼによって末端を充
填させた後、差示的に発現されたテスター配列は、その5’末端および3’末端
におけるネスティドプライマーにつうて異なるアニーリング部位を有した。次い
で、分子の集団全体をPCRTMにかけて所望の差示的に発現される配列を増幅し
た。次に、二次PCRTM増幅をネスティドプライマーを用いて行って、任意の背
景PCRTM産物を減少させ、そして差示的に発現される配列についての集団を富
化した。
【0137】 サブトラクティブライブラリーの調製前に、ある集団の全長cDNAライブラ
リーをハウスキーピング遺伝子、細胞表現型遺伝子、および発生段階遺伝子の代
表的なセットの発現についてスクリーニングし、そしてニューロスフェアの「成
熟」の程度に従って配置した(表3および表4を参照のこと)。表4に記載され
るように、2つの隣接するライブラリーを、サブトラクションのために選択した
。これらのライブラリーを、SMARTアプローチを用いて増幅し、そしてこれ
は、各ニューロスフェアについて24サイクルを用いて、10管を用いたLD増
幅のための100μlのテンプレートを生成した。2つの管を、さらなる適用の
ために維持し、そして8管をサブトラクションのために使用した。テスターおよ
びドライバーのcDNAを、1/10容量の酢酸ナトリウムおよび2.5容量の
エタノールおよび20μgのDNアーゼ処置したtRNA(Gibco BRL
)を用いてエタノール沈降させた。このテンプレートを、Amicon−10濃
縮器を製造業者の指示に従って用いて精製することによって濃縮した。cDNA
を、60ユニットのRsaI(New England Biolabs,Be
verly,MA)による37℃での一晩の消化に供した。この消化混合物を精
製し、そしてAmicon−10濃縮器で濃縮した。テスターcDNAを、2つ
のアリコートへと再分割し、そして2000ユニットのリガーゼ(New En
gland Biolabs)を用いて10μlの容量中で16℃で20時間異
なるアダプターと連結した。このサンプルを、72℃で5分間加熱してそのリガ
ーゼを不活化した。第一のハイブリダイゼーションを4μlの容量中で40×過
剰のドライバーを用いて行った。そのサンプルに、1滴の鉱油を重層し、そして
これを、1.5分間98℃でサーマルサイクラー中でインキュベートし、そして
次いで10時間68℃でインキュベートした。
【0138】 第二のハイブリダイゼーションについて、第一のハイブリダイゼーションから
の異なるアダプターを有する2つのサンプルを、ともに混合し、そして新鮮な1
0×過剰のドライバーcDNAを添加した。この反応管を、68℃で一晩インキ
ュベートし、次いで−20℃で維持した。PCRTM増幅のために、Advant
age 2 PCRTM Enzyme System(CLONTECH)を使
用した。このテンプレートを20倍に希釈し、そして1μlを、PCRTM Pr
imer1(10μM)を用いた増幅のために用いた。次いで、30サイクルの
サーマルサイクリングを行った。
【0139】 第二の増幅について、第一のLD PCRTMからの1μlのテンプレートを以
下の2つのプライマーとともに使用した:ネスティドPCRTMプライマー1(1
0μM)およびネスティドPCRTMプライマー2R(10μM)で15サイクル
。この産物をT/Aクローニングベクター中へと挿入した。細菌を形質転換し、
そして96の陽性クローンをさらなる分析のために選択した。クローンを、差示
的転写物としてのcDNA挿入物の存在について試験し、そして配列決定した。
配列決定の結果を、GenBankに存在する公知の配列と比較し、そして反復
アルゴリズムの底に示されるように(図4)、所定の集団からのcDNAのすべ
てをスクリーニングした。さらなる反復を行った。図4を参照のこと。
【0140】 特定の神経芽表現型および神経表現型のマーカーであるGFAP、ネスティン
、およびテナシンの予備的研究におけるのmRNA発現の検出(Kukekov
ら、1997; Steindlerら、1998)は、Touch Down
(TD)−PCRを用いて「ネスティド」プライマーを用いた。ネスティドプ
ライマーを用いて非特異的増幅を除去した。ぷらいまーを、プログラムOlig
o5.1を用いて作製し、そしてGibco,Life Technologi
es(Gaithersburg, NM)から入手した。
【0141】 次いで、PCR産物を分析した。エチジウムブロミドを含む2%アガロースゲ
ルを用いて、種々の細胞表現型および発生遺伝子についての個体対成体脳ミクロ
クローンからの遺伝子転写物を可視化した。cDNAライブラリー生成の後、個
体のミクロクローンからのcDNAを、次の分析のために凍結保存した。これら
を使用して、ガラス支持体またはナイロン支持体における次のプレートに従うマ
イクロアレイを開発した。
【0142】 (5.3.0:実施例3−マイクロアレイパネル) マイクロアレイを、cDNAフラグメントを用いて作製し得る。そして、これ
らのフラグメントは、多数の遺伝子のスクリーニングを可能にする(潜在的に1
ミクロクローンあたり数千〜数十万(thousands)まで)。これは、個
体のミクロクローンの細胞表現型ならびに発生状態および分化状態を規定する。
【0143】 脳組織を記載されるように解離し、そしてメチルセルロース上へプレートした
(Kukekovら、1997; Kukekovら、1999)。cDNA
ライブラリーをニューロスフェアから調製し、そして以下に記載するような反復
アルゴリズムに従って試験した。このアルゴリズムは、個々のニューロスフェア
からのcDNAライブラリーが各ニューロスフェアの成熟の状態に従ってパネル
へと配置されることを可能にする。
【0144】 cDNAライブラリーの隣接対の比較は、隣接するニューロスフェアの間の遺
伝子発現の相違を反映する差示的転写物の認識を生じる。次いで、これらの転写
物(代表的なcDNAフラグメントを含む)を、DNAマイクロアレイとして異
なるマイクロチップ上へとプレートし得る。これらのマイクロアレイは、神経発
生の間の異なる遺伝子の発現の連続的発現を反映するように作製される。本発明
者らは、そのマイクロアレイにおけるハイブリダイゼーションの後、任意のcD
NAライブラリーのスクリーニングのために使用され得ることを意図する。
【0145】 マイクロアレイ生成の後に、遺伝子転写物を無作為パターンでプレートし、そ
してアレイを順序づける(order)するためにアルゴリズムを用いて繰り返
しスクリーニングし、そして機能的に有意な様式で遺伝子発現を決定する。発生
遺伝子発現および細胞表現型遺伝子発現のこの規定されたパターンは、単一の発
生的に異なるミクロクローン内で発現する。本発明者らは、個々の異なるミクロ
クローン内の遺伝子発現のパターンが確認され得、かつオリゴヌクレオチドプロ
ーブまたはリボプローブ(riboprobe)の生成後に、ミクロクローン自
体に対する分析およびインサイチュハイブリダイゼーションまたはRT−PCR
インサイチュハイブリダイゼーションにおけるそれらの適用に拡張され得ること
を意図する。
【0146】 図2は、cDNAマイクロアレイプールの神経遺伝子発見のための方法および
適用についてのフローチャートを示す。脳組織を解離し、そして上記のようにメ
チルセルロースにプレートした。cDNAプールをミクロクローンから調製し、
そして図4に示した反復アルゴリズムに従って試験した。このアルゴリズムを使
用して、個々のミクロクローン由来のcDNAプールを各ミクロクローンの成熟
状態に従ったパネルに配置するために必要な情報を提供する。各パネル由来のc
DNAプールの隣接する対の比較は、異なる転写物の認識を生じ、これは、隣接
するマイクロスフェア間の遺伝子発現における差異を反映する。これらの転写物
は、DNAマイクロアレイとして、異なるマイクロチップ上にプレートされた場
合の代表的なcDNAフラグメントを含む。これらのマイクロアレイを作製して
、神経発生の間の異なる遺伝子の逐次的発現を反映させる。それらを、マイクロ
アレイに対するハイブリダイゼーションの後に、任意のcDNAライブラリーの
スクリーニングのためにに使用し得る。
【0147】 (5.3.1:時間経過順の(temporal)マイクロチップアレイ) マイクロチップアレイアプローチを、cDNAライブラリーの進行中のスクリ
ーニングから生成し得る。しかし、本発明のミクロクローンcDNAプールのパ
ネルから作製したアレイは、これまでに記載されたアレイとは全く異なる。脳細
胞ミクロクローンに由来するcDNAライブラリーのパネルは、神経発生に関与
する全ての遺伝子のみなず、遺伝子発現の時間経過順パターンのプロフィールま
でも含む。他の記載されたアレイは、一次元であり;それらは、この時間経過順
の情報を含まない。従って、既存のアレイと本発明より提供されたアレイとの間
の差異は、一枚のスナップ写真と映画との間の差異に似ている。記載されたパネ
ルおよび方法は、遺伝子発現に対する逐次的な情報を提供する。ハイスループッ
ト分析を任意の所定のアレイに存在する遺伝子の配列および遺伝子の時間経過順
発現パターンに適用し得る。
【0148】 (5.3.2:脳ミクロクローン由来の遺伝子転写物比較) マイクロアレイを種々の脳ミクロクローンから作製し得る。図3は、単一ミク
ロクローン(図A〜F) 対 マルチプルミクロクローン(図G〜J)から生成
したRT−PCR産物の代表的なサンプルを示す。アガロースゲルの顕微鏡写真
は、個々の脳ミクロクローンおよび脳ミクロクローンの集団において発現した種
々の神経マーカー、神経膠マーカーおよび発生マーカーについての遺伝子転写物
の存在を示す。レーンA〜J(図3)のいずれの側も、DNAラダーである。転
写物は、以下のとおりである:A:β−アクチン;B:GFAP;C:テネイシ
ン(ネスト化(nested)プライマー);D:ネスチン(nestin)(
ネスト化プライマー);E:神経フィラメント−m;F:HuD(ニューロンお
よびニューロン前駆体マーカー);G:β−アクチン;H:テネイシン;I:G
FAP(ネスト化プライマー)、およびJ:ネスチン(ネスト化プライマー)。
【0149】 単一のミクロクローンは、ミクロクローンの集団によっても発現される遺伝子
の組合わせを発現する。以前の研究により、ニューロスフェアの集団からの遺伝
子発現が報告された;いまや、個々のミクロクローンにおける特異的遺伝子発現
を検出する能力が初めて実証された。
【0150】 ミクロクローンの集団に対して個々のミクロクローンを比較することに加えて
、個々の異なるミクロクローン由来の2つ以上のcDNAライブラリーもまた比
較し得る。この型の比較は、これらのミクロクローン間の差示的な転写物(例え
ば、全長cDNA、または差示的に発現された遺伝子の産物であるcDNAフラ
グメント)の同定をもたらす。
【0151】 (5.4.1:実施例4−cDNAプールの時間経過順配置) 本発明は、抑制差し引きハイブリダイゼーション(suppressive
substractive hybridization)(SSH)を利用し
て、クローンにまたがる異なる遺伝子発現パターンを確認し、そして新規の転写
物を同定する。ミクロクローンにまたがって変化する遺伝子発現を用いて、遺伝
子発現における時間経過順の変動を決定し得る。他の差示的方法としては、酵素
分解差し引き(enzymatic degrading subtracti
on)(EDS,Zengら、1994)および代表的な差示的分析(RDA)
が挙げられ、これらの方法はまた、マイクロアレイの差示的遺伝子発現研究にお
いて有用である。開示されたパネルのアレイおよび方法を使用することにより、
脳細胞の異なる集団内またはそれにまたがる遺伝子発現における変化を特徴付け
ることが可能である。
【0152】 反復プロセス(図4を参照のこと)と組合わせたマイクロアレイの使用は、数
千の遺伝子フラグメントの同時スクリーニングのための迅速かつ信頼性のある方
法を提供する。
【0153】 (5.4.2遺伝子発現の反復的な順序付け) cDNAプールの順序付られた配置を作製するために使用されるアルゴリズム
の概略的な図が図4に示される。このアルゴリズムの適用は、任意の順序付けの
機能様式(「i=1」)で配置されないcDNAプールのパネルで始まる。第1
工程は、別の転写物の存在または非存在を決定するために、差示的な分析を使用
して、第1の対のプールを比較する工程である。差示的な転写物が見出されない
場合、次の対のプールの比較が開始する。例えば、第2のプールは、「i=1」
を「i=i+1」に置き換え、「mi」および「mi+1」(mは特定のプールであ
る)を導くアルゴリズムの最初に戻すことによって第3のプールと比較される。
【0154】 差示的転写物が見出される場合、それらは配列決定され、そしてその配列を、
Data Bank内の公開された配列と比較する。これらの配列が公知の配列
に属する場合、これらはData Bankからの名称をつけられる。これらが
新規の配列である場合、プライマーがこれらの配列に対して作製され、どのプー
ルにおいてこれらの遺伝子が発現されたかを決定するために、これらのプライマ
ーを使用してこのパネルでスクリーニングがなされる。次いで、パネル内のプー
ルの順序が、クラスター分析アルゴリズム(CLUSTER、SAS Mult
ivariate Statistics Package)を使用して特定の
遺伝子転写物の最初の出現に従って配置される。一旦、発現のこの配列的/時間
的順序内に配置されると、プールは、再び、同じアルゴリズム(「start」
)に供され得る。このアルゴリズムは、「i」が特定のパネルのプールの数(「
i=imax」)およびスクリーニングの「end」に等しくなるまで、反復的に
繰り返される。この収率は、神経形態発生の最初期の段階からほとんど成熟する
までの神経発生の任意の所定の段階に間に存在する差示的な転写物である。神経
形成の異なる段階(例えば、未分化な幹細胞/前駆体細胞から最終的に差示的な
細胞への進行)において、遺伝子の差示カスケード(クラスター)が発現される
【0155】 図4において、段階1(「i=1」)は、最初期の幹細胞/前駆体細胞を表し
、そして中間段階は、それらの成熟の異なる段階での前駆体を表す。段階「n」
(「i=imax」)は、ニューロンまたは神経膠を含む、最終的に分化した細胞
モルフォタイプを表す。
【0156】 それぞれのニューロスフェアが単一の幹細胞(またはSFC)から生じると推
定される(Schefflerら、1999)。幹細胞増殖の間、これらは、非
対称な分裂を行い、1つのコピーの「母」細胞ならびに少しの多能性前駆体細胞
の発生を生じる。前駆体細胞は、細胞間シグナリングおよび増殖培地からの外因
性のシグナルが原因で、それらの「親」よりも制限された子孫を産生する。この
プロセスは、数回繰り返され、それぞれのときに、より「成熟した」モルフォタ
イプを産生し、結果的に、最終的に分化した細胞を産生する。従って、各ニュー
ロスフェアは、幹細胞から、発生の種々の段階のより制限された前駆体細胞に、
そしてある場合には、最終的に分化した細胞に渡る範囲の細胞混合物からなる。
図4は、ニューロスフェアの成熟のプロセスの間の遺伝子発現のパターンの図式
化である。
【0157】 図4において、段階1は、発生の最初期段階におけるニューロスフェアの遺伝
子発現を表し、再び、幹細胞のみからなる。段階2(「順序の再配列」の後の第
2の反復(ここで、1つが「i=1」に戻る))およびニューロスフェア成熟の
差示的段階の間の代表的な遺伝子発現パターン。このモデルに従って、非同期増
殖および細胞の分化に起因して、ニューロスフェアの集団は、ほとんど未成熟か
ら最終的に分化した細胞(例えば、ニューロンおよび神経膠)の範囲の多様なタ
イプのニューロスフェアを含まなければならない。この仮説を試験するために、
ヒトニューロスフィアの30サンプルを、単一の集団からランダムに選択し、c
DNAライブラリーを各ニューロスフェアから調製し、そしてそれぞれをRT−
PCRTMによる多数の差示的マーカーの発現のために分析した。分析の結果を表
3に示す。
【0158】
【表3】 表3は、ハウスキーピング遺伝子、細胞表現型遺伝子および発生遺伝子の代表
的なセットに対する30ヒトニューロスフェアcDNAライブラリーのスクリー
ニングからの結果を示す(この実施例において9個の異なる遺伝子:b−アクチ
ン、b−2−ミクログロブリン、ハウスキーピング遺伝子;NSE、ニューロン
特異的エノラーゼ、ニューロン表現型マーカー;Pax−6、発生のマーカーと
して使用される1対のボックス遺伝子;テネイシン(tenascin)、神経
発達の間に発現される細胞外マトリックスタンパク質;GFAP、神経膠原線維
酸性タンパク質、細胞骨格中間フィラメントタンパク質、アストロサイトの表現
型マーカー;NF−M、神経フィラメント−M、ニューロンの細胞骨格マーカー
;ネスチン(nestin)、神経膠および幹/前駆体細胞の中間フィラメント
マーカー;およびMAP2、微小管関連タンパク質2、ニューロンの細胞骨格マ
ーカー)。このパネルにおけるcDNAライブラリーは、代表的ニューロスフェ
アの大きさおよび推定の成熟度(逆相顕微鏡を使用して決定されるような、初期
タイプIから後期タイプIIまたはタイプIII)に従って配置される。
【0159】 このアルゴリズムは、いかなる規則的な機能的な様式においても配置されない
cDNAライブラリーのパネルで開始する。(反復1):このアルゴリズムの第
一段階において、1および2の番号を有するcDNAライブラリーを、差示的な
転写物に関して比較する(「i=1」)。差示的な転写物が何も見出されない場
合には、次の対のライブラリーの比較を開始する;すなわち、第二のものと第三
のものとを比較し、そして「i=1」を「i=i+1」で置換してこのアルゴリ
ズムの始めに戻り、「mi」および「mi+1」(ここで、「m」は特定のライブラ
リーである)に導く。差示的な転写物が見出される場合には、これらをベクター
にクローニングし、細菌を形質転換し、精製した転写物を配列決定し、そして配
列を、データベースEMBL、GenBank PDPおよびSWISSPRO
Tにおいて公開された配列と、BlastN/Xソフトウェアパッケージを用い
て比較する。比較後、これらの配列が公知の遺伝子に属する場合には、これらを
Data Bankからそのように名付ける。転写物がData Bank中に
見出されない場合には、これらは新たな遺伝子発見の候補であり、さらに研究し
得る。
【0160】 このアルゴリズムのこの工程において発見される差示的な転写物は、各転写物
に対して合成されたプライマーを用いるRT−PCRTMによるか、またはドット
プロッティングによる、cDNAパネルのスクリーニングのために使用される。
このスクリーニングの結果に従って、このパネル内のcDNAライブラリーの順
序を、クラスター分析の任意の公知のアルゴリズムを用いる、階層的クラスター
分析手順により、再配置する。一旦、発現の連続的/時間的順序で再配置される
と、このパネルは(反復2)に供され得、ここで、同じ工程が、再配置されたパ
ネルにおいて実行される。このアルゴリズムは、i=imaxまで反復を繰り返す
。ここで、imaxは、このパネル内のcDNAライブラリーの数に等しい。この
アルゴリズムは、ニューロスフェアの代表的なセットにおいて発現される全ての
遺伝子が発見され、そして全てのcDNAライブラリーがそれらの「成熟度」に
従って配置されるような様式で、設計され、これは、ニューロスフェア分化の間
の遺伝子発現の配列を明瞭にする(神経原性モデル)。
【0161】 表3からのcDNAライブラリーのパネルをモデルとして使用して、ニューロ
スフェア「成熟度」の程度に従うパネルの再配置に対するクラスター分析の適用
可能性を試験した。CLUSTER手順(SAS Multivariate
Statistics Package)を、階層的分析のために使用した。こ
の結果を表4に示す。
【0162】
【表4】 表4は、9の異なる遺伝子の出現に従って再配置した、表3に示すものと同じ
ニューロスフェアパネルを示す。このパネルに存在するニューロスフェアの多様
性は、この表の左側(ここに、9の遺伝子がいずれも発現されないニューロスフ
ェアの例が存在する)からこの表の右側(ここに、9の遺伝子全てが発現したニ
ューロスフェアの例が存在する)への転写発現の変動により反映される。実験デ
ータから、ニューロン遺伝子が、胚形成の間に神経膠遺伝子の前に生じることが
、一般に仮定される(Levittら、1981:Jacobson、1978
)。この表は、神経膠原線維酸性タンパク質(GFAP)のような神経膠マーカ
ーまたは神経フィラメントおよび微小管関連タンパク質2(NF−MおよびMA
P−2)のような神経マーカーの発現を実証する。神経の発達の間の遺伝子発現
のスペクトルは、推定上の最も未熟なニューロスフェアと、最も分化したニュー
ロフェアとの間の差示的な遺伝子発現の出現により、この特定のパネルにおいて
反映される。
【0163】 (5.5.0 実施例5−個々のクローンにおける差示的な遺伝子発現) 異なるヒト脳前駆細胞由来の個々のクローンを調製した。それぞれのセットの
ハウスキーピング遺伝子、細胞表現型遺伝子、および発達遺伝子についてのヒト
ミクロクローンcDNAパネルのスクリーニングの結果を、表3および4に示す
。この実施例において、9の異なる遺伝子(β−アクチン、β−2−ミクログロ
ブリン、ハウスキーピング遺伝子、NSE(ニューロン特異的エノラーゼ(ニュ
ーロン表現型マーカー))、PAX−6(発達のマーカーとして使用される、対
ボックス遺伝子)、テネイシン(神経の発達の間に発現される細胞外マトリック
スタンパク質)、GFAP(神経膠原線維酸性タンパク質(星状細胞の細胞骨格
の中間フィラメント表現型マーカー))、NF−M(神経フィラメント−M(ニ
ューロンの細胞骨格のマーカー))、ネスチン(nestin)(神経膠および
前駆細胞の中間フィラメントマーカー)およびMAP2(微小管関連タンパク質
2(ニューロンの細胞骨格表現型マーカー))を含む)がスクリーニングされる
【0164】 この実施例において、30のミクロクローンを、cDNAプールの調製のため
に使用した。このパネルにおけるプールを、本発明のファージ顕微鏡により決定
されるように、ミクロクローンの大きさおよびフェーズ暗さまたは明度に従って
、配置した。
【0165】 (5.5.1 ミクロクローンcDNAプールの秩序化) 表4に示すミクロクローンパネルを、9の異なる遺伝子の出現に従って、再配
置した。このパネルに存在するミクロクローンの多様性は、表4の左側(ここに
、9の遺伝子がいずれも発現されないミクロクローンの例が存在する)から表4
の右側(ここに、9の遺伝子が全て発現したミクロクローンの例が存在する)へ
の転写発現の変動により反映される。独立した実験データからの一般的な仮定は
、ニューロン遺伝子が、胚形成の間に神経膠遺伝子の前に生じることである(L
evittら、1981:Jacobson、1978)。表4は、ニューロン
マーカーであるニューロン特異的エノラーゼ(NSE)の発現を実証することに
より、この仮定を確認する。神経発達の間の遺伝子発現のスペクトルは、最も早
期のミクロクローンと最も後期のミクロクローンとの間の差示的遺伝子発現の出
現により、この特定のパネルに反映される。
【0166】 (5.6.0 実施例6−クローン集団における発達遺伝子およびアポトーシ
ス遺伝子の発現) 正常なヒト幹/前駆細胞および腫瘍細胞の、クローン集団の遺伝子発現プロフ
ィールを比較した。初期の幹細胞および早期の前駆細胞は、血液学的かつリンパ
増殖性の新形成を開始し得る。脳腫瘍もまた、これらの前駆細胞を含むという事
象により、阻害される。
【0167】 幹細胞および腫瘍細胞を、個々のミクロクローンとして単離した。cDNAを
、これらのクローンから、ならびにクローン混合物から産生した。RT−PCR
を使用して、早期の脳の発達およびアポトーシスに関連する遺伝子の発現を比較
した。
【0168】 腫瘍または腫瘍細胞の起源を区別することに加えて、腫瘍における時間的な遺
伝子発現パターンの知識は、これらの腫瘍が由来する患者の診断、予後および処
置ストラテジーにおいて有用である。例えば、種々の段階における腫瘍細胞由来
のミクロクローンからのcDNAは、遺伝子発現の時間的な秩序化を、これらの
腫瘍段階の関数として導く。従って、特定の腫瘍由来のミクロクローンが特定の
遺伝子発現に関して分析される場合には、この腫瘍の発達段階が決定される。腫
瘍発達の段階(すなわち、例えば、早期または後期)の知識は、その腫瘍が由来
する患者の予後および潜在的な処置プロトコルを決定する際に役立つ。
【0169】 単離された腫瘍ミクロクローン由来のcDNAライブラリーを比較することは
、腫瘍発生のプロセスの間に発現される遺伝子を同定するため、および新たな抗
腫瘍薬物の発見のために、有用である。さらに、腫瘍細胞由来のミクロクローン
の使用は、腫瘍分類のための新たなアプローチを導く。クローニングされた任意
の細胞の分化胎生期発育不全発達は、遺伝子が現れそして消えて、その細胞の発
達の段階を区別するので、連続である。従って、腫瘍は、これらの表現型または
微視的プロフィールよりむしろ、これらの遺伝プロフィールにより規定され得る
【0170】 異なる原発性神経膠腫由来の集団は、正常なヒト脳幹細胞および前駆細胞の遺
伝子発現に類似する、遺伝子発現の個別のプロフィールを示した。ポリオルニチ
ン/ラミニンを被覆したカバーガラス上にプレートした神経膠腫瘍クローンの二
重免疫染色は、ニューロン(β−IIIチューブリン)系統および神経膠(GF
AP)系統の両方を示した。このことは、個別のクローン内に存在する形態型の
多様性を確認する。これらのデータは、ヒト脳の初期の幹細胞または前駆細胞が
、神経膠腫新生物形質転換に関与し得ることを示す。
【0171】 (5.7.0 実施例7−個々のミクロクローンからの転写物を用いるインサ
イチュハイブリダイゼーション) cDNAライブラリーは、ミクロクローンの個々または集団から得られ得る。
RT−PCRを、相補的な転写物を生成するために行った。次いで、これらの転
写物を用いて、特定の遺伝子の発現を局在させるために、組織または組織フラグ
メントに戻し得る。
【0172】 例えば、cDNAライブラリーは、脳細胞ミクロクローンから作製され得る。
RT−PCRを、特定の遺伝子について、相補的な転写物を生成させるために、
このライブラリーにおいて行う。次いで、この相補的な転写物を、脳組織または
脳組織フラグメントにハイブリダイズさせて、脳の別個の領域に発現を局在させ
る。他の方法(例えば、免疫標識)と組み合わせて、転写物を用いて、細胞の特
定の集団に、この遺伝子の発現を局在させ得る。この方法は、ミクロクローン性
非クローン化(microclonal uncloned)cDNAライブラ
リーから単離した特定の転写物を発現する、脳組織内の特定の脳細胞の同定を導
く。
【0173】 (5.8.0 実施例8−新規遺伝子の単離) クローン#9および#25(表3)を、以前に記載した差引き的な手順に供し
た。差引きハイブリダイゼーション(SSHを用いる)の産物を、T/Aクロー
ニングベクターに挿入し、細菌をエレクトロポレーションを用いて形質転換し、
そして100を超えるクローンを、さらなる分析のために得た。これらのクロー
ンの96個を、96個の選択したクローンの各々についてPCRを使用する挿入
物増幅を用いる詳細な分析のために選択し、そして最後に、96−ドットcDN
Aアレイをさらなるスクリーニングのために調製した。
【0174】 偽陽性を回避するために、96−ドットcDNAアレイを、順方向差引きプロ
ーブ、および逆方向差引きプローブの両方とハイブリダイズさせた。6個のクロ
ーンを、さらなる詳細な分析のために選択した。ノーザンブロット分析は、行う
必要がなかった。なぜならば、これは、マイクログラム量の幹細胞/前駆細胞−
特異的mRNAを必要とするからである。フラグメントのDNA配列分析を行い
、そして検索をまた、データベース(EMBL、GenBank PDP、およ
びSWISS−PROT)で既報告の既に公知の配列に対する選択したフラグメ
ントの相同性について、BlastN/Xソフトウェアパッケージを用いて、行
った(表5)。
【0175】 (表5 抑制差引きハイブリダイゼーション(SSH)フラグメントの概要)
【0176】
【表5】 (5.8.1 クローンの記述) クローンA4は、human cytochrome oxidase su
bunit 1(これは、全ての好気性生物におけるエネルギー変換に不可欠で
ある)と同一であることを示した。
【0177】 クローンA11は、human calcyclin−binding pr
otein(CacyBP)(これは、ヒトおよびマウスの脳およびEhrli
ch腹水腫瘍(EAT)細胞において同定され、そして主にこれらで発現される
)と同一であることを示した。CacyBPは、カルサイクリンのように、脳に
存在するので、これらの2つのタンパク質の相互作用は、神経組織におけるカル
シウムシグナル伝達経路に関与し得る。
【0178】 クローンC6は、データベースで既報告の既知の配列に対して、有意な相同性
を有さなかった。
【0179】 クローンC9は、データベースで既報告の既知の配列に対して、有意な相同性
を有さなかった。
【0180】 クローンC10は、3’ untranslated region of
stromelysin(結合組織のタンパク質の分解の原因であるヒトメタロ
プロテイナーゼ(MMP))に強い相同性を有した。この作用を通じて、これら
は、成長、発生、および組織修復において重要な役割を果たす。最近の研究はま
た、MMPを癌に用いると、局所的な腫瘍侵襲および腫瘍転移の両方を促進する
ことを示唆する。
【0181】 クローンE11は、強い相同性を有さないが、Myc−type,「heli
x−loop−helix」dimerization domain sig
natureを示す。このmyc遺伝子は、細胞分化および細胞増殖における役
割を果たすと考えられてる。
【0182】 クローンF4は、以下に対する相同性を示した:
【0183】
【化1】 このタンパク質は、カルシウム誘導イオンチャンネル制御、およびMAPキナー
ゼシグナル伝達経路の活性化に関与する。これは、カルシウムフラックスを増加
する神経ペプチド活性化レセプターまたは神経伝達物質の間の重要なシグナル伝
達中間体、およびニューロンの活性を調節する下流シグナルを提示し得る。
【0184】
【化2】 これは、spalt major(salm)遺伝子によりコードされる転写因
子である。これは、Drosophilaの胚発生の間に発現される。このタン
パク質は、デカペンタプレジック(decapentaplegic)(dpp
)ストライプ(stripe)の中心ある、広いくさび(broad wedg
e)において見出され、そしてDppシグナル伝達の1つの標的である。
【0185】
【化3】 Human intercellular adhesion molecul
e−3(ICAM)−3またはCDw50分化抗原は、造血細胞により発現され
、そしてこれまでに、試験された他の細胞によっては発現されない。免疫化学的
研究、機能的研究、およびタンパク質配列決定研究は、このタンパク質が、免疫
応答において重要な役割をおそらく果たすことを示した。
【0186】 この方法を用いて、発生/分化の異なる段階でのニューロスフェアの差示的ス
クリーニングを行い得、そしてこのような差示的スクリーニングは、2つのニュ
ーロスフェア(これは、未知の遺伝子および既知の遺伝子を差示的に発現する)
の間の潜在的な差示的遺伝子発現を開示し得る。1組のライブラリーからのスク
リーニングの最初の組では、単一の差引きから、新規の遺伝子が同定され得る。
これは、神経形成および神経細胞分化に重要であるようである。
【0187】 (6.0 参考文献) 以下の参考文献は、これらが、本明細書中に示されるものに対して、模範的な
手順または他の補足を提供するという点で、本明細書中で参考として援用される
【0188】
【表6】
【0189】
【表7】
【0190】
【表8】 以下の図面は、本発明の一部を形成し、そして本発明の特定の局面をさらに実
証するために含まれる。本発明は、本明細書中に示される特定の実施形態の詳細
な説明と組み合わせて、添付の図面をとともに以下の説明を参照することによっ
てより良好に理解され得、ここで同様の参照番号は、同様の要素を識別する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ミクロクローンの顕微鏡写真であり、この図における挿入図は、1つ
の生体脳ミクロクローンの顕微鏡写真(スケール目盛り=20μm)である。
【図2】 神経遺伝子探索のためのcDNAマイクロアレイプールの方法および適用につ
いてのフローチャートである。
【図3】 図3は、複数のミクロクローンに対する1つのミクロクローンからのRT−P
CRの例示的なサンプル(複数の脳ミクロクローンに対する個々のミクロクロー
ンの種々のニューロンマーカー、神経膠マーカーおよび発生マーカーについての
遺伝子転写物の存在を示すゲルの顕微鏡写真)である;種々の前駆体(例えば、
ネスチン(nestin)、細胞外マトリクス(例えば、テナスシン(tena
scin)、ニューロン(例えば、MAP−2、神経フィラメント)、神経膠(
例えば、GFAP)遺伝子マーカーを調べるニューロスフェアの集団と比較した
個々からのRT−PCRTM産物を、示す。異なる発生マーカーおよび細胞特異的
マーカーについての転写物を示す成体ニュロースフェアからのRT−PCRTM
ニューロスフェアの1つ(A〜F)および集団(G〜J)からのRT−PCRTM 。DNAラダーは、A〜Jのいずれかの側にある。A(β−アクチン);B(G
FAP);C(テナスシン)(ネスト型プライマー);D(ネスチン)(ネスト
型プライマー);E(神経フィラメント−m);F(HuD)(ニューロンおよ
びニューロン前駆体マーカー);G(β−アクチン);H(テナスシン);I(
GFAP)(ネスト型プライマー);およびJ(ネスチン)(ネスト型プライマ
ー)。
【図4】 図4は、比較分析を行うために使用される反復アルゴリズムの図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ススロフ, オレグ エヌ. アメリカ合衆国 テネシー 38163, メ ンフィス, リンク ビルディング 532, モンロー 855, メンフィス, ザ ユニバーシティ オブ テネシー, デパ ートメント オブ アナトミー アンド ニューロバイオロジー (72)発明者 ステインドラー, デニス エイ. アメリカ合衆国 テネシー 38163, メ ンフィス, リンク ビルディング 532, モンロー 855, メンフィス, ザ ユニバーシティ オブ テネシー, デパ ートメント オブ アナトミー アンド ニューロバイオロジー (72)発明者 クケコフ, バレリー ジー. アメリカ合衆国 テネシー 38017, メ ンフィス, 1/2 ジャクソン 1824, ニューロステム, インコーポレイテッ ド Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 BA80 CA03 CA04 CA12 HA20 4B065 AA93Y BD50 CA46 CA60

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 神経原性スペクトルを作成するための、多能性神経幹細胞/
    多能性神経前駆細胞の使用であって、以下: 培養した正常な脳の幹細胞/正常な脳の前駆細胞、または罹患した脳の幹細胞
    /罹患した脳の前駆細胞から単一のニューロスフェアを単離する工程; 該ニューロスフェアを破壊してmRNAを放出させる工程; mRNAの第一鎖合成によってcDNAを作製する工程; 該第一鎖合成cDNAを増幅する工程; 該増幅された第一鎖合成cDNA産物を、神経膠表現型およびニューロン表現
    型を分類するための表現型マーカーについて分析する工程; 該増幅産物から調製したcDNAライブラリーを、ニューロン細胞の成熟の状
    態に従って配列する工程; 増幅されたcDNAライブラリーの選択された対を差引き的に比較して、差示
    的な転写物を同定する工程; 神経発生プロフィールを反映する神経発生の遺伝子転写物発現の時間的スペク
    トルを構築する工程、 を包含する使用。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法によって作成された、時間的な遺伝子
    転写物神経発生プロフィール。
  3. 【請求項3】 ニューロスフェアミクロクローンのライブラリーから単離さ
    れた複数の特徴付けされたクローンを含有する時間的な神経形態発生プロフィー
    ルであって、ここで細胞分化の間に各クローンから発現される少なくとも1つの
    神経発生表現型細胞マーカーが、最初に出現した時間に対する発現された表現型
    細胞マーカーの量の順番で配列される場合に、神経発生を表す、プロフィール。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のプロフィールであって、ここで前記表現型
    細胞マーカーが、β−アクチン、GFAP、テネイシン、ネスチン、MAP−2
    神経フィラメント、神経フィラメント−mおよびHuDからなる群から選択され
    るニューロン細胞系列マーカーまたは神経膠細胞系列マーカーである、プロフィ
    ール。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のプロフィールであって、ここで前記特徴付
    けされたクローンが、I型、II型またはIII型神経多能性細胞を含む、プロ
    フィール。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の時間的な神経発生プロフィールによって示
    される、クローンの集団。
  7. 【請求項7】 ニューロスフェアから培養された初期I型細胞由来である、
    請求項6に記載のクローン。
  8. 【請求項8】 ニューロスフェアから培養された後期I型細胞由来である、
    請求項6に記載のクローン。
  9. 【請求項9】 ニューロスフェアから培養されたII型細胞由来である、請
    求項6に記載のクローン。
  10. 【請求項10】 ニューロスフェアから培養されたIII型細胞由来である
    、請求項9に記載のクローン。
  11. 【請求項11】 単一の神経幹細胞ニューロスフェア/神経前駆細胞ニュー
    ロスフェアから得られるミクロクローンのライブラリーであって、ここで該ライ
    ブラリーは、クローンの集団を含有し、ここで該クローンの各々は、該クローン
    のゲノム内に、該ニューロスフェアの発生段階に時間的に関連するポリペプチド
    をコードする単離可能なポリヌクレオチドセグメントを含む、ライブラリー。
  12. 【請求項12】 多能性神経幹細胞/多能性神経前駆細胞の発生遺伝子転写
    物の時間的アレイを含む遺伝子転写物スペクトルであって、ここで該スペクトル
    は、以下: 神経幹細胞/神経前駆細胞を培養して、ニューロスフェアを産生する工程; 該ニューロスフェアを破壊して、該ニューロスフェアを含有する第1の選択さ
    れた細胞のRNAを増幅する工程; 該増幅されたRNAからcDNAライブラリーを調製する工程; 異なる第2の選択された細胞のcDNAライブラリーから選択されたクローン
    由来のRNA転写物を差引き的に比較して、神経発生の同定された発生段階に関
    連する転写物を同定する工程; 該転写物を配列して、表現型としての神経細胞発生と関連付けて、該第2の選
    択された細胞について発生遺伝子転写物スペクトルを得る工程、 の工程によって調製される、スペクトル。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載のプロフィールであって、ここで、前記
    神経幹細胞/神経前駆細胞が、初期I型の多能性幹細胞/多能性前駆細胞を包含
    するニューロスフェアを産生する条件下で培養される、プロフィール。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載の方法であって、ここで、前記神経幹細
    胞/神経前駆細胞が、後期II型の多能性幹細胞/多能性前駆細胞を包含するニ
    ューロスフェアまたはミクロクローンを産生する条件下で培養される、方法。
  15. 【請求項15】 請求項12に記載のプロフィールであって、ここで、前記
    神経幹細胞/神経前駆細胞が、初期II型または後期II型の多能性幹細胞/多
    能性前駆細胞を包含するニューロスフェアを産生する条件下で培養される、プロ
    フィール。
  16. 【請求項16】 請求項12に記載のプロフィールであって、ここで、前記
    神経幹細胞/神経前駆細胞が、初期III型の多能性幹細胞/多能性前駆細胞を
    包含するニューロスフェアを産生する条件下で培養される、プロフィール。
  17. 【請求項17】 請求項12に記載のプロフィールであって、ここで、前記
    時間的アレイが、少なくとも1つの選択された発生遺伝子を産生するクローンの
    反復する配列によって得られる、プロフィール。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のプロフィールであって、ここで、前記
    発生遺伝子がノッチ/デルタ遺伝子およびbHLH遺伝子からなる群から選択さ
    れる、プロフィール。
  19. 【請求項19】 ヒトニューロスフェアより得られる多能性I型神経幹細胞
    /多能性I型神経前駆細胞の初期発生に関連する遺伝子転写物の集団であって、
    該転写物は、以下: 初期発生I型神経幹細胞/初期発生I型神経前駆細胞のみにおける発現;およ
    び ハウスキーピング遺伝子転写物、表現型遺伝子転写物および発生の遺伝子転写
    物とは異なる、 ことによって特徴付けられる、集団。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の遺伝子転写物の集団であって、ここで
    前記発生遺伝子転写物は、β−アクチン、β−ミクログロブリン、ニューロン特
    異的エノラーゼ、Pax−6、テネイシン、神経膠線維性酸性タンパク質、神経
    フィラメント−M、ネスチンおよび微小管結合蛋白2からなるタンパク質の群か
    ら選択される、集団。
  21. 【請求項21】 請求項19に記載の遺伝子転写物の集団であって、ここで
    前記発生遺伝子転写物は、ビメンチン、02A前駆タンパク質、L1接着タンパ
    ク質、A2B5、およびβ−IIIチューブリンからなる群から選択される、集
    団。
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