JP2002537775A - 糖尿病性腎症を提示する役割を有する遺伝子の同定 - Google Patents

糖尿病性腎症を提示する役割を有する遺伝子の同定

Info

Publication number
JP2002537775A
JP2002537775A JP2000601200A JP2000601200A JP2002537775A JP 2002537775 A JP2002537775 A JP 2002537775A JP 2000601200 A JP2000601200 A JP 2000601200A JP 2000601200 A JP2000601200 A JP 2000601200A JP 2002537775 A JP2002537775 A JP 2002537775A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
glucose
diabetic nephropathy
ctgf
gremlin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000601200A
Other languages
English (en)
Inventor
ブラディ,ヒュー・レドモンド
ゴドサン,キャサリン・メアリー
マーティン,フィニアン・メアリー
マクマホン,ルース・アン
マーフィー,マデリン・アン
Original Assignee
ハイバージェン・リミテッド
ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン,ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド,ダブリン
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ハイバージェン・リミテッド, ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン,ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド,ダブリン filed Critical ハイバージェン・リミテッド
Publication of JP2002537775A publication Critical patent/JP2002537775A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6809Methods for determination or identification of nucleic acids involving differential detection

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 糖尿病性腎症を提示する役割を有する遺伝子を同定する方法には、ディファレンシャルな発現に対して感受性な遺伝子のそのようなディファレンシャルな発現、特に発現の亢進、を引き起こすために十分なグルコース濃度の存在下において、メサンギウム細胞を培養すること、およびそのように誘導した遺伝子を同定すること、を含む。細胞は場合により、機械的緊張(mechanical strain)に供されるかおよび/またはTGF-β1を培養液に対して添加することができる。ディファレンシャルに発現された遺伝子を、抑制サブトラクションハイブリダイゼーションにより同定することができる。この方法により、結果として、糖尿病性腎症を示す役割を有する新規な遺伝子を同定した。この遺伝子を糖尿病性腎症の診断マーカーとしてそして薬物開発プログラムの基礎として、使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は、糖尿病において、より具体的には、糖尿病性腎症の発症および進行
において、役割を果たす遺伝子の特性決定および同定に関し、そしてそのように
特性決定されたおよび/または同定された遺伝子の糖尿病性腎症のための診断マ
ーカーとしての使用および薬物開発プログラムの基礎としての使用に関する。
【0002】 発明の背景 人口の2〜5%が真性糖尿病を発症し、そして糖尿病の20〜30%が糖尿病性腎症
を発症する。後者は、西欧社会では透析あるいは移植が必要な終末期腎不全(E.
S.R.F.)の30%以上の原因となる。糖尿病性腎症の病理学的特徴は、糸球体メサ
ンギウム(glomerular mesangium)中の細胞外マトリックスタンパク質の蓄積に
よる糸球体硬化症である。メサンギウムマトリックスの蓄積は、細胞外マトリッ
クス(ECM)構成要素の合成の増加と分解の減少の両方を反映しており、そして
タンパク質尿、高血圧、そして進行性腎不全の臨床的発症と相関している。高血
糖は、糖尿病性腎症におけるメサンギウム細胞マトリックスの産生に対する主要
な刺激因子である。高血糖がメサンギウム細胞の機能を乱すメカニズムは、未だ
正しく認識される途中であり、そして高い細胞外グルコースレベルの直接的効果
および糸球体の血流動態の変動を介してそして促進されたグリコシル化最終生成
物の作用を介して伝達される間接的効果を含む。
【0003】 高い周囲グルコースの条件下でのメサンギウム細胞の増殖は、高血糖が寄与し
うる糖尿病における、メサンギウムマトリックスの蓄積に関する分子的基礎を検
索するための有用なin vitroモデルを約束する。具体的には、培養したメサンギ
ウム細胞を高グルコースに曝露することにより、IV型コラーゲン、フィブロネク
チン、そしてラミニンなどのECM構成要素、およびin vivoで蓄積される他の生成
物のde novo合成を刺激する(Ayo, S. H., et al (1990) Am.J Pathol. 136, 13
39-1348;Wahab, N.A., et al., (1996) Biochem. J. 316, 985-992;およびAyo
, S.H., et al., (1991) Am. J Physiol. 260, F185-F191)。
【0004】 糖尿病患者における糖尿病性腎症に由来する高い罹病率および死亡率の観点に
おいて、糖尿病性腎症の発症を予防し、あるいはその進行をを阻害または制限す
ることを目的として、糖尿病性腎症のそのような発症および進行に影響を与える
刺激因子を同定することが必要である。
【0005】 発明の開示 本発明は、糖尿病性腎症を提示する役割を有する遺伝子を同定するための方法
であって、ディファレンシャルな発現に対して感受性の遺伝子のそのようなディ
ファレンシャルな発現を誘導するために十分な濃度のグルコースの存在下におい
て培養液中にてメサンギウム細胞を培養すること、そしてそのように誘導された
当該遺伝子を同定すること、を含む方法を提供する。
【0006】 好ましくは、メサンギウム細胞を、亢進制御に対して感受性の遺伝子のそのよ
うな亢進制御を誘導するために十分な濃度のグルコースの存在下にて、培養する
【0007】 さらに好ましくは、グルコース濃度は5 mMより大きい。 5 mMという濃度は、健康なヒト被検体における血漿グルコース濃度(4.2〜6.4
mmol/l)の正常範囲内に収まる。
【0008】 使用したグルコース濃度は、5〜30 mMの範囲内が適している。30 mMの濃度は
、糖尿病性腎症の伝統的な“in vitro”モデルとして選択されたものであり、メ
サンギウム機能に変化を誘導し、ヒトの疾患を模倣する。このレベルはまた、多
くの糖尿病患者のin vivoにおいても見られる。
【0009】 一態様において、メサンギウム細胞を機械的緊張(strain)に供する。 更なる態様において、トランスフォーム成長因子β1(TGF-β1)を培養液中に
添加する。
【0010】 好ましくは、ディファレンシャルに発現される遺伝子を、抑制サブトラクショ
ンハイブリダイゼーション(suppression subtractive hybridisation)により
同定する。
【0011】 抑制サブトラクションハイブリダイゼーション(SSH)とは、実験的刺激因子
に反応してディファレンシャルに発現される遺伝子を同定するための、差し引き
(subtracted)cDNAライブラリの作成を可能にする、抑制的PCRに基づく方法で
ある(Gurskaya, N.G. et al., (1996) Anal. Biochem. 240, 90-97)。SSHは、
標的集団内部のcDNAの相対的優位性を均一化する正常化工程を含むことによる初
期の差し引き方法とは異なる。この修飾は、優位性が低い転写物の発現の増大を
同定する可能性を高めるべきものであり、そしてディファレンシャルディスプレ
イ-PCR(DD-PCR)(Liang, R, and Pardee, A.B. (1992) Science 257, 967-97
)、そしてcDNA-表示差異解析(Hubank, M., and Schatz, D. G., (1994) Nucle
ic Acid Res. 22, 5640-5648)などのディファレンシャルに制御される遺伝子を
同定するためのその他の方法を上回る潜在的な有利を示す。
【0012】 これまでに、われわれはSSHを使用して、in vitroにてヒトメサンギウム細胞
を高細胞外グルコース(本明細書中では、5 mMに対して30 mMとして定義した)
に曝露した場合にディファレンシャルに誘導される150個の遺伝子を同定した。
これらの遺伝子には: (a)糖尿病性腎症におけるメサンギウム細胞活性の既知の制御因子、すなわ
ち、フィブロネクチン、カルデスモン(caldesmon)、トロンボスポンジンそし
てプラスミノーゲン活性化因子阻害因子-l; (b)新規遺伝子;そして (c)高グルコースによる誘導が、以下に示すようには以前は報告されていな
かった遺伝子; が含まれる。
【0013】 後者の中でも顕著なものは、細胞骨格-結合タンパク質、および線維芽細胞マ
トリックス産生のモジュレーターである結合組織成長因子(CTGF)をコードする
遺伝子であった。われわれはまた、ストレプトゾトシン誘導性糖尿病性腎症を有
するラットの糸球体においてCTGF mRNAレベルが亢進することを示した。
【0014】 本発明の一観点において、高浸透圧によるディファレンシャルな発現の可能性
を排除する。 しかしながら、高浸透圧は、糖尿病性腎症の構成要素であり、そしてしたがっ
て、高浸透圧は、高グルコースが疾患の提示において役割を果たす特定の遺伝子
のディファレンシャルな発現を誘導することを介するメカニズムを示す可能性が
ある。
【0015】 たとえば、われわれはマンニトールが高グルコースの場合と比較してin vitro
におけるより低いメサンギウム細胞CTGF発現を誘導し、中心的な刺激因子として
高浸透圧を除外することを示した。
【0016】 高グルコースはまた、トランスフォーム成長因子β1(TGF-β1)の発現を刺激
し、TGF-β1をメサンギウム細胞に添加することにより、CTGFの発現を引き起こ
した。抗-TGF-β1抗体は、高グルコースにより誘導されたCTGFの発現を鈍化させ
た。さらに、これらのデータから、(1)高グルコースは、TGF-β1依存性および
非依存性経路により、メサンギウム細胞のCTGFの発現を刺激し、そして(2)CTG
Fは糖尿病環境においてTGF-β1-駆動性マトリックス産生のメディエーターであ
る可能性がある、ことが示唆される。
【0017】 CTGFは、したがって、糖尿病性糸球体硬化症についての新規抗-硬化性治療の
デザインに対する魅力的な標的である。 メサンギウム細胞により誘導されたCTGFは、ECMタンパク質の合成の増大およ
び糖尿病性腎症におけるメサンギウムの増殖のための潜在的な刺激因子である。
高グルコースがメサンギウム細胞のCTGF、そして実際にTGF-β、のmRNA発現を引
き起こす機構は、いまだわかっていない。高グルコースに反応してCTGFの転写を
引き起こす、可能性のある上流の引き金因子には、ジアシルグリセロール(DAG
)のde novo合成、およびそれに引き続くタンパク質キナーゼC(PKC)の活性化
(DeRubertis, F.R., and Craven, P., (1994) Diabetes 43, 1-8 and Fumo P.,
et al. (1994) Am. J Physiol. 267, F632-F638)、非酵素性グライコ化(glyc
ation)最終産物の活性化(Brownlee, M., et al. (1984) Ann. Intern. Med 10
1, 527-537;およびCohen, M.P., and Zlyadeh, F.N. (1994) Kidney Int. 45,
475-484)、ポリオール経路の活性の増大およびミオイノシトール代謝の障害(G
oldfarb, S., et al. (1991) Diabetes 40, 465-471 1991)、または局所的に生
成されるTGF-β1などの成長因子およびその他のメディエーターの導入を介して
(Sharma K., and Ziyadeh, F.N., (1995) Diabetes 44, 1139-1146)である。
【0018】 TGF-β1は、糖尿病性腎症および他の慢性腎臓疾患における細胞外マトリック
ス蓄積の主要なメディエーターとして関与している。いくつかの研究が、ヒトの
腎臓糸球体および糖尿病の実験モデルにおけるTGF-β1の発現の増大を報告して
いる(Park, I, et al. (1997) Diabetes 46,473-480; Sharma, K., (1996) Dia
betes 45, 522-530)。TGF-β1の中和抗体を短期間投与すると、マトリックス構
成要素をコードするmRNAの過剰発現や糖尿病のSTZマウスモデルにおける糸球体
硬化症を減弱する(Park, I, et al. (1997) Diabetes 46, 473-480)。CTGFは
、線維芽細胞における細胞増殖の刺激や細胞外マトリックスタンパク質の合成な
どのTGF-β1のいくつかの生物学的活性を共有している。この文脈において考え
ると、本明細書中に記載する結果から、TGF-β1は、CTGF合成を誘導することに
より、部分的にメサンギウムのマトリックス産生を促進する可能性があることが
示唆される。TGF-β1は、前炎症性作用、前線維性作用および抗-炎症性作用を含
む複雑な生物学的活性のプロフィールを有している。CTGFを標的化することによ
り、TGF-β1のより好ましい抗炎症性活性を保存したまま、TGF-β1の硬化症誘導
性作用を減弱することが可能になる。
【0019】 本発明の方法により同定された新規の遺伝子を、本明細書中ではCTGF(Increa
sed in High Glucose;高グルコースにおいて増大)およびDHG(Down in High G
lucose;高グルコースにおいて減少)と特定し、そしてそれらは、以下の配列1
、3および4を含む遺伝子に代表される。
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】 および
【0026】
【化6】
【0027】 本発明はまた、上述した配列1〜3、5および6を含有する遺伝子を提供する。 初期の研究において、遺伝子IHG-2を新規なものと推定した。しかしながら、
本明細書の以下に示すように、IHG-2は、グレムリン(gremlin)遺伝子の以前は
未知の部分として同定された。われわれは、メサンギウム細胞のグレムリンmRNA
レベルは高グルコース、サイクル性機械的緊張(cyclic mechanical strain)お
よびTGF-β1によりin vitroで誘導され、そしてグレムリンmRNAレベルは、スト
レプトゾトシン-誘導性糖尿病性腎症を伴うラットの腎皮質においてin vivoで上
昇したことを、見出した。グレムリンの発現は、細胞分化モデルにおいてグレム
リンの標的である、骨形成性タンパク質-2(BMP-2)の誘導と平行して観察され
た。
【0028】 グレムリンは、DANおよびcerberusとともに、システインノットスーパーファ
ミリーに属するタンパク質のメンバーであり、このファミリーは四肢の発生およ
び神経堤細胞分化において重要な働きをしていることが最近示された(Hsu, D.R
., et al. (1998) Mol. Cell. 1, 673-83; Zuniga, A., et al. (1999) Nature
401, 598-602)。糖尿病性腎症の文脈において潜在的な興味としては、グレムリ
ンが神経堤細胞分化のモデルにおいてBMP-2の阻害因子であると推定されること
である。BMP-2は、メサンギウム細胞に対する抗増殖性作用を有することが最近
報告されている。
【0029】 以下の実施例は、(a)IHG-2がグレムリンの一部分であること、(b)グレム
リンが糖尿病性腎症においてin vivoで発現されていること、(c)血糖緊張(st
rain)および機械的緊張(mechanical strain)の両方ともがメサンギウム細胞
のグレムリン発現をin vitroで刺激すること、(d)高グルコースグレムリンを
、部分的に、TGFβ-媒介性経路を通じて誘導すること、そして(e)グレムリン
が、糖尿病性糸球体環境内部でのBMP類の潜在的な内在性のアンタゴニストであ
ること、を示す。
【0030】 本発明は、本発明の方法により同定された遺伝子の以下の使用: 1)糖尿病性腎症の進行および提示のための診断的マーカーとしての使用; 2)糖尿病性腎症の疾患の活性および進行速度の指標としての使用;そして 3)糖尿病性腎症の予防および/または治療における使用のための薬剤の同定
の基礎としての使用; も提供する。
【0031】 このように、本発明により同定された診断的マーカーに基づく糖尿病性腎症の
初期の診断を積極的な治療とともに使用して、糖尿病性腎症の完全な発生を予防
することができることが、認められるだろう。
【0032】 本発明により同定された遺伝子の発現レベルは、疾患の進行の程度と相関して
いる可能性がある。 さらに、本発明により同定された遺伝子は、薬剤開発プログラムにとって新規
の治療的標的を示すことができる。いったん、所定の遺伝子が糖尿病性腎症の病
理生理学的役割を特定されるように確立されれば、新規の治療剤(たとえば、小
分子、組換え阻害因子、そして受容体アンタゴニストなど)の開発を設計して、
これらの遺伝子の発現を阻害し、それにより糖尿病性腎症の発生を予防すること
ができる。
【0033】 本発明により同定された遺伝子を、進行性腎臓硬化症および腎臓瘢痕化の臨床
的指標として、治療に対する進行性糖尿病性腎症の反応についてのガイドとして
、そしてその予防または発生のマーカーとして、使用することができる。
【0034】 本発明により同定された遺伝子についてのマウスノックアウト(k/o)モデル
を作成すること、および糖尿病k/oマウスモデル(たとえばストレプトゾトシン
を用いた処理により)を作成し、そして糖尿病性腎症の発症が阻害、減少または
遅延させることができるか否かについて決定することができる。このように、所
定のノックアウト遺伝子が、糖尿病性腎症の進行および発生において決定的な役
割を有しているかどうかを決定することができる。
【0035】 本発明を以下の実施例によりさらに説明する。 本発明の実施の態様 実施例1 高グルコースによりディファレンシャルに誘導されるメサンギウム
細胞遺伝子の同定 a) 細胞培養およびストレプトゾトシン誘導性糖尿病ラット 初代ヒトメサンギウム細胞を、以前の報告のように培養した(Brady, H.R., e
t al. (1992) Kidney Int. 42, 480-487 and Denton, M.D., et al. (1991) Am.
J Physiol. 261, F1071-F1079)。細胞(継代数7〜11)を、5 mMまたは30 mM D
-グルコースのいずれかを含有する培養液(Clonetics)中で7日間維持した。培
養液をこの期間中に3回交換し、グルコースレベルを所望の範囲内に維持した。
高浸透圧の影響を調節するため、メサンギウム細胞を25 mMマンニトールを添加
した5 mMグルコースを含有する培養液中で培養した。
【0036】 オスMunich-Wistarラット(260〜290 g、Simonsen Laboratories)を、ストレ
プトゾトシン(STZ; Sigma)50 g/kgを用いて、以前に記載されているように(Z
atz, R, et al. (1985). Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82, 5963-5967)、静脈
から処理することにより、糖尿病にした。糖尿病性腎症(DN)の誘導後2〜4ヶ月
の時点で、ラットをペントバルビタール(50 mg/kg)を腹腔内に注射することで
麻酔し、そして右の腎臓を切除し、すぐに秤量した。標準的なふるい法(Brady,
H.R. et al. (1992) and Denton, M.D. et al. (1991)、上述)により、腎皮質
から糸球体を単離した。糸球体の単離は、腎臓を取り出してから20分以内に完了
した。RNA抽出をその後すぐに行った。
【0037】 b)RNA単離 ポリアデニル化RNAを、Microfast Track(Microfast Trackは、商標名)キッ
ト(Invitrogen)を使用して、メサンギウム細胞から単離した。全RNAを、RNAzo
l溶液(TEL-test Inc.)を使用して、糸球体から単離した。
【0038】 c)抑制サブトラクションハイブリダイゼーション(Suppression subtractive
hybridisation;SSH) SSHを、PCR-SELECT cDNAサブトラクションキット(Clontech)を、製造者の指
示に従って、推奨される量の4倍量のドライバーcDNAを2回目のハイブリダイゼー
ションにおいて添加するように改変して使用することにより、行った。開始物質
は、“テスター”として30 mMのD-グルコース中で7日間培養したメサンギウム細
胞のmRNA 2μg、そして、“ドライバー”として5 mM D-グルコース中で7日間培
養したメサンギウム細胞のmRNA 2μg、からなる。30サイクルの第一PCRサイクル
および12サイクルの第二PCRサイクルを行った。
【0039】 d)cDNAのクローニングおよび配列決定 SSHにより作成したPCR産物を、オリジナルなTAクローニングキット(Invitrog
en)を使用して、PCR 2.1ベクター中にサブクローニングした。サブクローニン
グしたcDNAをコロニーPCR増幅を使用して、単離した。配列決定は、自動化ABI 3
70A DNA配列決定システムを使用して行った。配列決定反応はABIプリズム色素タ
ーミネーターサイクル配列決定レディー反応キット(Perkin Elmer)を用いて行
った。得られた配列を、GenBank/EMBLおよび発現配列タグ(EST)データベース
について、BLAST検索を用いて比較した。
【0040】 SSH解析により、30 mMグルコース存在下で7日間増殖させたヒトメサンギウム
細胞の初代培養において、16個のmRNAのディファレンシャルな誘導が示唆された
。ノザンブロットを、標準的なプロトコールにしたがってホルムアルデヒド変性
を用いて行い、そしてPhosphor Imager(Biorad)を用いて定量したノザンブロ
ットにより、表1に示すように、16種のサブクローニングした断片のうち15種の
ディファレンシャルな発現が確認された。
【0041】 表1において、aは、Genbank/EMBLデータベースとの比較に基づく、配列同一性
を示す; bは、ノザンブロットにより同定されたmRNAのサイズ(kb)を推定値を示す;
そして cは、示された条件下で培養された初代ヒトメサンギウム細胞のノザンブロッ
ト解析に基づくそれぞれの遺伝子のディファレンシャルな発現を、5 mMのグルコ
ース存在下で培養した細胞における発現と比較して示す。値は、Phosphor-Imagi
ngにより得られ、そしてグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH
)と比較して、正常化させた(*は、5 mMグルコース+25 mMマンニトールおよび
30 mMグルコースの条件下で培養したメサンギウム細胞中で検出されたが、5 mM
グルコースでは検出されなかった。倍数表示は、5 mMグルコースにおいて見出さ
れる発現の程度と比較した発現の程度である)。
【0042】
【表1】
【0043】 配列解析は、糖尿病性腎症の病因に以前に関与していることが示された、4つ
の遺伝子の誘導を示した:すなわち、フィブロネクチン、カルデスモン(caldes
mon)、PAI-1、およびトロンボスポンジンである。11種の他のcDNA断片のうち、
一つは新規の遺伝子をコードしており、それを本明細書中ではIHG-1と命名し、
そして10種は本発明の以下で記載する、IHG-2を含む既知の遺伝子であり、それ
らの高グルコースによる誘導は以前に報告されていなかった。後者の遺伝子のう
ち顕著なものは、結合組織成長因子(connective tissue growth factor、CTGF
)およびいくつかの細胞骨格結合タンパク質、すなわちプロフィリン、カルデス
モン、アデニルシクラーゼ結合タンパク質(CAP)、アクチン関連タンパク質-3
(ARP-3)、T-プラスチン、およびミオシン制御軽鎖(MRLC)、である。引き続
く研究において、実施例2および3に記載するように、いくつかのモデル系におい
てマトリックス産生の制御因子であるCTGFの誘導に焦点を当てた。複数のアクチ
ン結合タンパク質をコードする遺伝子の顕著なものは注目すべきものであり、最
近の報告によれば、メサンギウム細胞機能不全および糖尿病性腎症における糸球
体高浸透圧の病因において、F-アクチンの脱集合化(disassembly)に関与して
いる(Zhou, X., et al. (1995) Lab. Invest. 73, 372-383 and Zhou, X. Lai,
et al. (1997) Kidney Int. 51, 1797-1808)。プロフィリン発現の誘導は、細
胞ストレス条件下におけるアクチン重合化の制御因子としての役割を考慮すると
、特に興味深い。(Sohn, R.H. and Goldschmidt-Clermont, P.J. (1994) Bioes
says 16, 465-472)。
【0044】 糖尿病環境において、高グルコースレベルは、グルコース特異的作用を通じて
、あるいは細胞外液の浸透圧を増大させることにより、細胞の機能を混乱させて
いる可能性がある。高グルコースによる遺伝子誘導メディエーターとしての高浸
透圧の役割は、30 mMグルコースあるいは25 mMマンニトールを添加した5 mMグル
コースのいずれかの条件下で培養した細胞における、ノザンブロットにより測定
するmRNAレベルを、比較することにより評価した。高グルコースは、CTGF、ミオ
シン制御軽鎖(MRLC)、アクチン関連タンパク質-3(ARP-3)、T-プラスミンお
よび翻訳的に調節されている腫瘍タンパク質(translationally controlled tum
or protein、TCTP)の発現を誘導する際に、高浸透圧よりも効率的であった。高
グルコースおよびマンニトール誘導性高浸透圧は、他の産物についての同等の誘
導を引き起こした。
【0045】 実施例2 高グルコース条件下で培養したメサンギウム細胞におけるCTGFの発
現 a)高周囲グルコースの、ヒトメサンギウム細胞におけるCTGF mRNAレベルに対
する影響 CTGFは、38 kDのシステインリッチな分泌ペプチドであり、いくつかの腎臓外
細胞型におけるECM産生をモジュレートすることが知られている。実施例1におい
て、SSH解析により250 bpのcDNA断片を同定し、それはヒトCTGF cDNAの塩基814
〜1061と同一であった。高グルコース条件下で培養された初代ヒトメサンギウム
細胞におけるCTGF mRNAの発現の誘導は、図1において示すように、ノザンブロッ
トにより調べられた。
【0046】 図1において、レーンは、以下のものを示す: レーン1:5 mMグルコースに曝露したメサンギウム細胞に由来するRNA; レーン2:5 mMグルコースおよび25 mMマンニトールに曝露したメサンギウム細胞
に由来するRNA; レーン3:30 mMグルコースに7日間曝露したメサンギウム細胞に由来するRNA。
【0047】 2.4 kbのバンドを、CTGFプローブとのハイブリダイゼーションにより検出した
。Phosphor Imager定量により判断したCTGF mRNAの相対量を、図2に示す。すべ
ての値を、GAPDHレベルに対して正常化し、そして結果は3回の独立した実験の代
表である。
【0048】 結果は、CTGF mRNAの発現は、30 mMグルコースにおいて培養したメサンギウム
細胞では、5 mMグルコースの場合と比較して、2.5〜3.3倍高かった。 b)CTGFの、メサンギウム細胞マトリックス産生に対する効果 CTGFの亢進制御のマトリックス産生に対する直接的な効果、特にI型およびIV
型コラーゲンとフィブロネクチンに対する効果、を調べるため、メサンギウム細
胞を組換えCTGFタンパク質とともにインキュベートした。
【0049】 メサンギウム細胞を、0.5%ウシ胎児血清(FBS)を添加したRPMI 1640培地中
で24時間血清除去し、その後rhCTGF(8 ng/ml)(Dr. Gary Grotendorstからの
寛大な譲渡による)に対して24時間曝露した(Kreisberg, J. I. and Ayo, S. H
. (1993) Kidney Int. 43, 109-113)。全RNAを抽出し、そして染色体DNAをDNas
e I(Gibco-BRL)を用いて除去した。等量のcDNAを、引き続いて以下のそれぞれ
に対する特異的プライマー、すなわちGAPDH(Gen/EMBL accession no. AJ005371
、センス:ACCACAGTCC ATGCCATCAC(SEQ ID NO: 7);アンチセンス:TCCACCACC
C TGTTGCTGTA(SEQ ID NO: 8))、I型コラーゲン(Gen/EMBL accession no. X5
5525、センス:GGTCTTCCTG GCTTAAAGGG(SEQ ID NO: 9);アンチセンス:GCTGG
TCAGC CCTGTAGAAG(SEQ ID NO: 10))、IV型コラーゲン(Gen/EMBL accession
no. M11315、センス:CCAGGAGTTC CAGGATTTCA(SEQ ID NO: 11);アンチセンス
:TTTTGGTCCC AGAAGGACAC(SEQ ID NO: 12))およびフィブロネクチン(Gen/EM
BL accession no. X02761、センス:CGAAATCACA GCCAGTAG(SEQ ID NO: 13)、
アンチセンス:ATCACATCCA CACGGTAG(SEQ ID NO: 14))、を使用して、PCRに
より増幅した。
【0050】 図3は、10μlのそれぞれのPCR反応物を含有する2%(w/v)アガロースゲルを
、電気泳動後にエチジウム染色したパネルを示す。 図3において、レーンは、以下のものを示す: レーン1:RPM1 1640および0.5%FBS中で培養したメサンギウム細胞由来のRT-P
CR産物; レーン2:rhCTGF(8 ng/ml)に24時間曝露したメサンギウム細胞からのRT-PCR
産物。
【0051】 これらの結果は、rhCTGFがメサンギウム細胞のI型およびIV型コラーゲンそし
てフィブロネクチンを亢進制御することを示す。これらのタンパク質は、糖尿病
性腎症において見られるマトリックスの蓄積の特徴的なものである。
【0052】 CTGFは、CCNファミリーと名づけられた非常に相同性が高いタンパク質の小さ
なファミリー(CTGF/fisp-12、cef10/cyr61およびNovについてのもの)のメンバ
ーである(Bork, P (1993). FEBS Letts. 327, 125-130)。これらのペプチドは
、アミノ酸含量のうち10%以上を構成する38個のシステイン残基が保存されてい
ることを特徴とする。すべてのメンバーが、シグナルペプチドを有し、そしてオ
ーソドックスな分泌経路を介して分泌されているようである(Bradham, D.M., (
1991) J. Cell. Biol. 114, 1285-1294)。糖尿病性腎症の文脈において、周囲
環境中のグルコースの存在下において亢進制御されるCTGFが、その次に細胞外マ
トリックス(ECM)の産生を亢進制御することは興味深いことである。これらの
データから、ECM合成の増大のための刺激因子としてのCTGFの可能性および糖尿
病性腎症におけるメサンギウムの増殖が示される。
【0053】 実施例3 STZ-誘導性糖尿病性腎症を伴うラットの腎皮質および単離された糸
球体における、CTGF発現の亢進 糖尿病性腎症におけるin vivoでのCTGF発現を評価するため、CTGF mRNAレベル
を、STZ-誘導性真性糖尿病を伴うラットの皮質から単離したRNA中で測定した。
この目的のため、ラットCTGFに対するPCRプライマーを、マウスCTGF相同物であ
るfisp12の配列から設計した(Genbank/EMBL accession no. M70642、センス:C
TAAGACCTG TGGAATGGGC(SEQ ID NO: 15);アンチセンス:CTCAAAGATG TCATTGTC
CC C(SEQ ID NO: 16))(Ryseck, R.P., (1991) Cell Growth Differ., 2, 22
5-233)。
【0054】 RT-PCRを、STZ-糖尿病ラットの腎皮質および週齢を適合させた対照の腎皮質か
ら抽出した全RNAに対して行った。マウスCTGF相同物fispl2(塩基783-1123、acc
ession no. M70642)に対して、ラットCTGF転写物の配列は、ヌクレオチドレベ
ルで94%同一(図4)およびアミノ酸レベルで99%同一(図5)であった。2種の
間で相違しているヌクレオチドを、上方の四角で、そして単一の相違するアミノ
酸を太字にて示す。
【0055】 CTGF mRNAの誘導は、STZ-誘導性糖尿病性腎症を伴うラットの腎皮質においてS
TZの投与の後4ヵ月後に観察され、それぞれ図6において示し、そしてデータを示
していないが、同時にメサンギウムの増殖およびタンパク尿も観察された。
【0056】 図6は、10μlのそれぞれのPCR反応物を含有する2%(w/v)アガロースゲルを
、電気泳動した後、エチジウム染色したパネルを示す。CTGFおよびGAPDH mRNAレ
ベルを、糖尿病発生の4ヵ月後に確立した腎症を伴う2匹の糖尿病動物(レーン1
および2)および2匹の週齢を適合させた対照動物(レーン3および4)から精製し
た全RNAにおいて解析した。
【0057】 ディファレンシャルふるい分け法によりSTZ-誘導性糖尿病性腎症を伴うラット
の腎皮質から単離された糸球体から抽出したRNAのRT-PCR解析により、CTGF発現
は、糸球体に局在していた。CTGF mRNAの糸球体でのレベルは、週齢および性別
を適合させた対照と比較することにより、糖尿病後2ヶ月および4ヶ月のそれぞれ
において、2.5倍および1.6倍に増加した。これらの知見の重要性は、ヒト糖尿病
性腎症を含むヒトの腎臓疾患のスクリーニングにおいてCTGFの発現が示されてい
る最近の報告によりさらにサポートされている(Ito, Y., et al. (1998) Kidne
y Int. 53, 853-861)。
【0058】 実施例4 高グルコースよるメサンギウム細胞のCTGF発現の誘導には、TGF-β1
依存性経路および非依存性経路が関与する TGF-β1が、糖尿病性腎症におけるメサンギウムのマトリックス蓄積に対する
刺激因子であることが示された。実施例1に記載した我々の実験モデルにおいて
、高グルコース濃度により、CTGF発現と同様の時間的枠組みにわたり、培養ヒト
メサンギウム細胞におけるTGF-β1 mRNA発現の誘導を引き起こした(データは示
していない)。
【0059】 高グルコースに反応するCTGF発現の刺激因子としてのTGF-β1の役割を評価す
るため、細胞を5 mMグルコースまたは30 mMグルコースのいずれかに加えて、1μ
l/mlの抗-TGF-β1抗体を添加したものにおいて、3回培養液の交換を行って、7日
間インキュベートした。細胞を、RPMI 1640および0.5%FBS中で24時間、血清制
限した。引き続いて、10 ng/ml TGF-β1(Calbiochem)または1μg/mlの中和抗-
TGF-β1ポリクローナル抗体によりあらかじめ吸着した10 ng/ml TGF-β1を24時
間添加した。
【0060】 高グルコースに反応するCTGF発現に対するPKCの役割を、メサンギウム細胞を5
mMグルコース、30 mMグルコース、または30 mMグルコースおよびPKC阻害剤GF 1
02903Xのいずれかの存在下で培養することにより調べた。
【0061】 図7は、ノザンブロットにより解析したCTGF mRNAレベルのオートラジオグラフ
であり、そしてメサンギウム細胞を、抗-TGF-β1中和抗体(1μg/ml)の存在下
(レーン3)および非存在下(レーン2)において、TGF-β1(10 ng/ml)に対し
て24時間曝露した場合に得られた結果を示す。RPMI 1640および0.5%FBSにおい
て24時間培養した細胞を対照として供した(レーン1)。CTGFプローブに対する
ハイブリダイゼーションにより、2.4 kbのバンドを検出した。ブロットをストリ
ップ化し、そしてGAPDHによりプローブした。Phosphor Imager定量によりCTGF m
RNAの相対量を判断した(図8)。値を、GAPDHレベルに対して正常化し、そして
結果は2つの独立した実験の代表である。
【0062】 これらの結果から、TGF-β1は、これらの条件下においてCTGF mRNAの増大の強
力な誘導因子であることが示される。この効果は、図7に示したように、中和抗-
TGF-β1抗体を添加することにより阻害される。
【0063】 図9は、ノザンブロットにより解析したCTGF mRNAレベルのオートラジオグラフ
であり、そしてメサンギウム細胞を、5 mMグルコース(レーン1)、30 mMグルコ
ース(レーン2)、抗-TGF-β1中和抗体(1μg/ml)の存在下の30 mMグルコース
(レーン3)に対して7日間曝露した場合に得られた結果を示す。CTGFプローブに
対するハイブリダイゼーションにより、2.4 kbのバンドを検出した。ブロットを
ストリップ化し、そしてGAPDHによりプローブした。Phosphor Imager定量により
CTGF mRNAの相対量を判断した(図10)。値を、GAPDHレベルに対して正常化した
【0064】 中和抗-TGF-β1抗体は、30 mMグルコースにおいて7日間増殖させたメサンギウ
ム細胞において、グルコース-誘導性のCTGF転写レベルの増大を部分的に減弱さ
せ(図9)、このことから、高グルコースがTGF-β1-依存性経路および非依存性
経路を介して、メサンギウム細胞のCTGF発現を引き起こすことが示唆された。
【0065】 図11は、ノザンブロットにより解析したCTGF mRNAレベルのオートラジオグラ
フであり、そしてメサンギウム細胞を、5 mMグルコース(レーン1)、30 mMグル
コース(レーン2)、PKC阻害剤GF 102903X(10μM)の存在下の30 mMグルコース
(レーン3)に対して4日間曝露した場合に得られた結果を示す。CTGFプローブに
対するハイブリダイゼーションにより、2.4 kbのバンドを検出した。ブロットを
ストリップ化し、そしてGAPDHによりプローブした。Phosphor Imager定量により
CTGF mRNAの相対量を判断した(図12)。値を、GAPDHレベルに対して正常化した
【0066】 PKC阻害剤GF 102903Xは、我々の系においては、TGF-β1-誘導性CTGF発現に対
する効果を何ら有していないが(データは示していない)、この化合物は高グル
コース-誘導性CTGF発現の部分的な阻害を提供した(図11)。
【0067】 CTGFは、線維芽細胞における細胞増殖の刺激および細胞外マトリックスタンパ
ク質合成などのTGF-β1などの生物学的作用のいくつかを共有する。この文脈に
おいて考慮した場合、我々の結果から、TGF-β1は、メサンギウムのマトリック
ス産生を、部分的に、CTGF合成を誘導することにより、促進するであろう、とい
うことが示唆される。TGF-β1は、前-炎症性作用、前-線維形成性作用、および
抗-炎症性作用を含む生物学的活性の複雑なプロフィールを有する。CTGFを標的
とすることにより、より好ましいその抗-炎症性活性を保持したまま、TGF-β1の
硬化症誘導性作用を減弱することができる。
【0068】 実施例5 IHG-2のさらなる特性決定 IHG-2は、実施例1に記載される、高細胞外グルコースによりヒトメサンギウム
細胞中で誘導されるものとして同定された、メサンギウム細胞の遺伝子である。
この遺伝子をさらに特性決定するため、IHG-2をBLASTアルゴリズムを使用して、
dbESTについて検索した。この検索により、ESTAA071138、クローン番号:530117
3'と94%同一であるクローンを同定した。このクローンの5'末端に対する配列
もまたデータベース中に存在し、それにより再び複数のESTを同定した。これら
のESTは、drm/グレムリンとして知られるラットcDNAクローンの3'非翻訳領域(U
TR)と相同性を示した。上述したように、グレムリン/drm、そしてDANおよびcer
berusは、TGFβおよび骨形成性タンパク質(BMP)を含む、システインノットス
ーパーファミリーの構成分子である。第二のEST W48852、クローン番号:324951
3'は、IHG-2 BLASTから同定された。このクローンの5'末端、EST W48619、もま
た、EST AA373348を得たデータベースについて検索された。このクローンは、dr
m 3' UTRとの相同性を示し、オープンリーディングフレーム(ORF)からおよそ5
00 bpである。したがって、IHG-2からdrm/グレムリンの500 bpのORFまでを直接
連結させることが可能であった。したがって、EST AA37348とdrm/グレムリンのO
RFとの間で連結を確立することにより、IHG-2がこの遺伝子の3' UTRの一部であ
ることを確認した。プライマーをORF、IHG-2、そしてESTクローンAA373348を認
識するように設計した。グレムリン/drm遺伝子のスタート部位に相当するプライ
マーとともにIHG-2クローン内部のプライマーを使用する最初のPCRを行うと、お
よそ2.5 kbの予想産物を得た。この産物を、グレムリンのORFの3'末端に相当す
るプライマーとESTクローンAA373348に相当するプライマーを用いてネスト化し
、およそ500 bpの産物を得て、その結果、このESTがヒトdrm/グレムリン遺伝子
のUTR中に存在することを確認した。したがって、IHG-2がdrm/グレムリン遺伝子
の一部であることが見いだされたが、これは以前には知られていなかった(図13
)。
【0069】 実施例6 IHG-2がグレムリンの3'非翻訳領域の一部であることを示すための、
PCRと組み合わせたin-silicoクローニングの使用 実施例5において、我々は、転写物、IHG-2を同定し、この配列はBLASTアルゴ
リズムを使用して特性決定された配列の集積データベースに対して、相同性を示
さなかったことを記載する。
【0070】 バイオインフォマティック解析を以下のようにして行った: データベース検索およびアラインメントは、Basic Local Alignment Search T
ool Algorithm(BLAST)(Altschul, S.F., et al. (1997) Nucleic Acids Res.
25, 3389-3402)を使用して、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI, Be
thesda, Maryland, U.S.A.)において行った。非リダンダント(nr)データベー
スおよび発現配列タグ(EST)データベースを供給源とした。近接する配列を、G
enetics Computer Group Inc.のパッケージ中のプログラムであるFragment Asse
mblyを使用して、作成した。UniBlast(Guffanti, A., and Simon, G., Trends
in Genetics, 14, 293)を使用して、UniGeneデータベース内の相同性クラスタ
ーを同定し、そしてESTに由来するコンセンサス配列を確認した。染色体局在デ
ータは、UniGeneデータベースおよびOnline Mendelian Inheritance in Man(OM
IM)データベースから得た。
【0071】 配列をさらに特性決定するため、IHGの配列をESTデータベースについて検索し
、そこで多数の適合配列を得た。これらの適合配列のそれぞれを、ついでNCBIに
おけるnrデータベースについて検索した。4つのEST、すなわちW52686、N28395、
H80042、およびW47324が、実施例5に記載するラット遺伝子drmの3'UT領域と低い
相同性を示した。この遺伝子のヒト相同物、グレムリンのORFも、データベース
中に存在した。
【0072】 グレムリンのORFとIHG-2との間の関連性を作成するため、連続的なBLAST検索
を使用して、ESTデータベースにおける重複配列を同定した。 しかしながら、ESTデータベース内部の配列を用いて、グレムリンのORFに対し
てIHG-2を直接的に関連付けることはできなかった。したがって、ヒトメサンギ
ウム細胞から単離されたRNAをIHG-2を認識するプライマーを使用して、逆転写し
た。図13に示す領域にわたって、PCR解析を行った。
【0073】 ESTデータベースに由来するBLAST出力のこのグラフ表示において、4 kbの太い
バーは、グレムリン遺伝子の最終産物配列を示している。その他のバーのそれぞ
れは、可能な場合には集合させて連続した配列にしたESTデータベース中の、個
々の配列を示しており、そしてin-silicoクローニングを使用して近接する配列
を作成した方法を示している。ESTのオーバーラップが存在しない領域は、IHG-2
に対する相補的プライマーを使用するヒトメサンギウムmRNAの逆転写により作成
した。PCRは、(矢印により)示された領域にわたって行われ、そして得られた
産物を配列決定し、グレムリンのオープンリーディングフレームおよびIHG-2を
含む、4049 bpの近接するcDNAを作成することができた。
【0074】 ヒトグレムリンcDNAおよびラットdrm cDNAを比較し、図14はラットdrmとヒト
グレムリンとのアラインメントおよびIHG-2に対応する領域とともに、BLASTアル
ゴリズムを使用したグラフ表示を示す。配列相同性は、cDNAのコード領域におい
ては高いことが見出された;しかし、3'UT領域内部では相同な領域はほんの少し
しかなかった。このことから、IHG-2がBLAST検索ではdrmと同一物ではないとさ
れる理由が説明されるが、しかしdrmの適合物、従ってグレムリンが、EST配列を
さらに調べることにより得られた。ラットdrmとヒトグレムリンとの間で相同性
がないのは、おそらくは遺伝子相同物が、種間で同一遺伝子であり続けるために
、遺伝子相同物の3'UT領域に対する選択圧が減少することの結果である。
【0075】 図15は、ヒトメサンギウム細胞のグレムリンの最終的な配列を示し、この図は
、ORFを示しそしてIHG-2(GenBank accession no: AF110137)に対応する領域を
示す。5'および3' UT配列、そしてオープンリーディングフレーム(翻訳を伴う
)を示す。箱囲みした領域は、IHG-2の位置に相当する。提出と同時に、この配
列をESTデータベース中への136個の別個のESTエントリーに適合させた。これら
のエントリーのうち、23.5%は線維芽細胞ライブラリーに由来し;30%は骨組織
ライブラリーに由来し;そして34%は腫瘍関連ライブラリーに由来した。配列を
、UniBlastプログラムを使用して、UniGeneデータベースについて検索した。こ
の結果、4種のUniGeneクラスター、Hs.214148、Hs.40098、Hs.114330、およびHs
.239507を同定した。これらのクラスターのうち2種、Hs.40098、およびHs.23950
7を、15番染色体上のインターバル、D15S118-144およびD15S144-165にそれぞれ
位置付けた。分泌性顆粒神経内分泌タンパク質1およびニコチン性コリン作動性
受容体のαポリペプチドをこれらのクラスターのいずれかの側に位置付け、そし
て15q11-15インターバルに対してより具体的に位置付けた。OMIMデータベースの
解析により、発生途上の前肢芽(limb bud)においてグレムリンの発現を誘導す
ることが最近示されたフォルミン(formin)遺伝子(Zuniga, A., et al. (1999
)、上述)も、このインターバルに局在することが示される。多数の骨端形成不
全を伴う真性糖尿病あるいはWolcott-Rallison症候群は、15q11-12インターバル
に局在している(Stewart, F.J., et aL, (1996) Clin. Genet. 49, 152-5)。
骨端成長板においては、免疫組織化学的研究により、BMP-2およびBMP-4が増殖途
上の軟骨細胞および成熟途上の軟骨細胞において発現されることを示したが、こ
れにより、BMPおよびその受容体が、軟骨内骨化の多数工程カスケードにおける
役割を果たしていることが示唆される(Yazaki, Y., et al., (1998) Anticance
r Res. 18, 2339-44)。グレムリン発現の制御は、Wolcott-Rallison症候群に関
連する疾患状態の両方に関連している可能性がある。
【0076】 実施例7 高グルコースによるin vitroでのメサンギウム細胞グレムリン発現
の誘導およびサイクル性機械的緊張誘導(cyclic mechanical strain induce) A)ヒトメサンギウム細胞の初代培養を、培養液に5%FBSを添加した以外は、
実施例1に記載したように行った。培養物のグルコースによる処理は、実施例1に
記載したように行った。メサンギウム細胞を5 mMグルコースまたは30 mMグルコ
ースのいずれかに対して7日間曝露した。
【0077】 5 mMグルコース(“正常”)または30 mMグルコース(“高い”)のいずれか
の存在下で増殖させたメサンギウム細胞から抽出したRNAに対して、以下にさら
に記載するようなノザンブロット解析を、グレムリンのORFおよびIHG-2プローブ
を用いて行った。図16に示すように、両方のプローブにより、高グルコース条件
下で遺伝子発現が2倍に増加したことが検出された。
【0078】 すべてのそれに引き続くノザン解析は、グレムリンのORFをプローブとして行
った。 ノザンブロットは、ホルムアルデヒド変性を使用して標準的なプロトコルに従
って行い、Phosphor Imager(Biorad)を使用して定量した。ノザン解析のため
のプローブを作成するために使用したPCR産物を、グレムリンのオープンリーデ
ィングフレーム(ORF)に対するプライマー(センス:ATGAGCCGCA CAGCCTACAC(
SEQ ID NO: 17);アンチセンス:TTAATCCAAA TCGATGGATA TGC(SEQ ID NO: 18
))、およびIHG-2に対するプライマー(センス:CTCAGCCTCC TAGCCAAGTC C(SE
Q ID NO: 19);アンチセンス:GTATTGTCCA CATTCTCCAA C(SEQ ID NO: 20))
を使用して増幅した。フィブロネクチンおよびGAPDHプローブは、実施例2に記載
したように作成した。
【0079】 特異的プライマーを使用して、グレムリン/IHG-2(外側センス:ATGAGCCGCA
CAGCCTACAC(SEQ ID NO: 21);外側アンチセンス:GTATTGTCCA CATTCTCCAA C(
SEQ ID NO: 22);内側センス:GAGAGTCACA CGTGTGAAGC(SEQ ID NO: 23);内
側アンチセンス:AGGAGGATGC AAGCACAGG(SEQ ID NO: 24))、BMP-2(外側セン
ス:CGCGGATCCT GCTTCTTAGA CGGACTGCG(SEQ ID NO: 25);外側アンチセンス:
TTTGCTGTAC TAGCGACACC(SEQ ID NO: 26);内側センス:CAAGATGAAC ACAGCTGG
(SEQ ID NO: 27);およびGCTCAGGATA CTCAAGAC(SEQ ID NO: 28))を増幅し
た。RT-PCRは、実施例3に記載したように、報告されたように行った。
【0080】 結果を、図16および17に示す。 図16および17において、レーン1は5 mMグルコースに曝露したメサンギウム細
胞に対応し、レーン2は30 mMグルコースに曝露したメサンギウム細胞に対応する
【0081】 図16は、ノザンブロットにより解析した、IHG-2(1)、グレムリン(2)、フ
ィブロネクチン(3)およびGAPDH(4)mRNAレベルのオートラジオグラフである
。およそ4.4 kbおよび4.6 kbの2種類のバンドを、グレムリンプローブおよびIHG
-2プローブとのハイブリダイゼーションにより検出した。
【0082】 図17は、Phosphor Imager定量により判断した、比mRNAレベルを示す。値は、G
APDHレベルに対して正常化した。結果は、3回の独立した実験の代表値である。 B)糸球体性高血圧は、真性糖尿病における糸球体硬化症の発生の独立した危
険因子である。(Brenner, B.M., et al (1982) N. Engl. J. Med. 30 7, 652-9
)。本発明におけるメサンギウム細胞グレムリン発現に対する、糸球体性高血圧
の作用をモデル化するために、メサンギウム細胞をサイクル性機械的緊張(cycl
ic mechanical strain)条件下で24時間および48時間、FlexercellTMシステム中
で増殖させた。
【0083】 機械的サイクル性緊張(mechanical cyclic stretch)を適用するために、初
代ヒトメサンギウム細胞を、可撓性ベースあるいは剛性ベースのエラスチンコー
ト6穴プレートのいずれかにまいた(Flex IおよびFlex IIプレート、Flex CellT M Int, Hillsborough, NH, USA)。細胞を90%コンフルエントまで増殖させ、そ
の後0.5%ウシ胎児血清(fetal calf serum)を添加したCloneticsTM Mesangial
Basal Medium中で血清を制限した。可撓性プレート上で培養した細胞を、Flexe
rcell Strain Unit FX-2000(FlexercellTM)を使用する、コンピュータ制御の
真空駆動性機械的緊張(mechanical stretch)および弛緩の繰り返しサイクルに
供した。24時間または48時間のいずれかの間、0.5秒間隔(60サイクル/分)で
緊張(stretch)と弛緩を交互に行った。適用した真空により、培養プレートの
外部環(outer annulus)の17%の伸び率が得られた。すべての実験は、加湿イ
ンキュベーター中、37℃および5%CO2において行われた。
【0084】 結果は、糖尿病の発症から14週間後の3匹の糖尿病ラットおよび週齢をあわせ
た3匹の対照から得られた。 使用したモデルは、糖尿病性糸球体硬化症においてin vivoで観察されるもの
と同様な方法で、メサンギウム細胞のマトリックス産生および代謝を混乱させた
。図18および図19に示すように、メサンギウム細胞のグレムリンmRNAレベルは、
フィブロネクチンmRNAレベルの増大と平行して、機械的緊張(mechanical strai
n)条件下、顕著に増大した。
【0085】 図18および19を参照する場合、培養中のメサンギウム細胞を、FlexercellTM
ステムを用いて、静的条件下(レーン1)あるいはサイクル性緊張(cyclic stre
tch)に対して24時間(レーン2)または48時間(レーン3)曝露している間に増
殖させた。
【0086】 図18は、ノザンブロットにより解析した、グレムリン(l)、フィブロネクチ
ン(2)およびGAPDH(3)mRNAのオートラジオグラフである。 図18において、レーンは以下のものを示す: レーン1:静的条件下で培養中で増殖させたメサンギウム細胞; レーン2:サイクル性緊張(cyclic stretch)に24時間曝露している間、培養
中で増殖させたメサンギウム細胞;そして レーン3:サイクル性緊張(cyclic stretch)に48時間曝露している間、培養
中で増殖させたメサンギウム細胞。
【0087】 図19は、Phosphor Imager定量により判断した、比mRNAレベルを示す。値は、G
APDHレベルに対して正常化した。 糖尿病性腎症におけるin vivoでのグレムリン発現を評価するため、対照ラッ
トの腎皮質から単離したRNAおよびストレプトゾトシン(STZ)により真性糖尿病
を誘導した後14週間後の糖尿病ラットから単離したRNAを用いて、グレムリンmRN
Aレベルをノザンブロット解析により測定した。上記に報告したin vitro実験と
同様に、グレムリンmRNAレベルは、糖尿病ラット由来の腎臓において増加し、そ
れとともに糖尿病性腎症のタンパク尿および組織学的事象が現れた(データは示
していない)。
【0088】 9匹のオスの片側腎摘出Munich-Wistarラットを、ストレプトゾトシンを使用し
て糖尿病にし、そしてRNAを実施例3に記載されるように抽出した。 結果を、STZ-糖尿病ラットの腎皮質におけるグレムリンmRNAレベルを示す図20
および21に示す。
【0089】 図20は、STZ-糖尿病ラット(レーン2)および週齢をあわせた対照(レーン1)
の腎皮質における、ノザンブロットにより解析したグレムリンmRNAレベルのオー
トラジオグラフである。およそ4.4kbのバンドを、グレムリンプローブとのハイ
ブリダイゼーションにより検出した。
【0090】 図21は、Phosphor Imager定量により判断した、比mRNAレベルを示す。値は、G
APDHレベルに対して正常化した。 実施例8 高グルコースによるメサンギウム細胞グレムリン発現の制御:TGF-
β1が関与することの事実 上述したように、高周囲グルコース濃度およびサイクル性機械的緊張(cyclic
mechanical strain)の両方により、メサンギウム細胞によるin vitroでのTGF-
β1産生が引き起こされ、そしてTGF-β1は糖尿病の糸球体におけるメサンギウム
のin vivoのマトリクス蓄積に対する主要な刺激因子である可能性がある。高グ
ルコースがグレムリン発現の引き金となるメカニズムを調べるため、初代ヒトメ
サンギウム細胞を、5 mMグルコースあるいは30 mMグルコース中で、抗-TGF-β1
中和抗体(1μg/ml)の存在下および非存在下において増殖させた。グルコース
および抗-TGF-β1を用いる培養物の処理は、それぞれ、実施例1および実施例4に
記載するようにおこなった。TGF-β1のグレムリン発現に対する刺激因子として
の役割を評価するため、細胞をMCDB131および0.5%FBS中で24時間培養して血清
を制限し、引き続いて10 ng/ml TGF-β1により処理した。MCDB131は、メサンギ
ウム細胞の増殖に特化した培養液であり、Cloneticsから購入した。
【0091】 最初の研究から、TGF-β1中和抗体(データは示していない)が、グルコース
で誘導されたグレムリン発現を鈍化することが示され、したがってTGF-β1がグ
レムリン発現を変化させる能力が研究された。結果を図22および23に示す。
【0092】 外来性のヒト組換えTGF-β1(10 ng/ml、24時間)を、血清を制限した(24時
間)メサンギウム細胞に対して添加することも、グレムリンmRNAレベルを増大さ
せ、このことから、高グルコースが、少なくとも一部は、TGF-β1の発現を刺激
するその能力を介して、グレムリンmRNA発現を亢進することが示唆される。まと
めると、これらの知見から、TGF-β1がグレムリン遺伝子発現を誘導することを
介する、新規のオートクラインループの存在が示唆され、そしてそれにより、以
下に示すように、メサンギウム-由来のBMP類の活性を制御している可能性がある
【0093】 高グルコース(30 mM、7日間)に反応するグレムリン発現は、抗-TGF-β1抗体
の存在下で減少することが見いだされた(データは示していない)。TGF-β1の
グレムリン発現のモジュレーターとしての役割をさらに調べるため、メサンギウ
ム細胞をTGF-β1(10 ng/ml)に24時間曝露した(レーン2)。MCDB131および0.5
%FBS中で24時間培養した細胞を、対照として供した(レーン1)。
【0094】 図22は、ノザンブロットにより解析した、グレムリン(1)、フィブロネクチ
ン(2)およびGAPDH(3)mRNAレベルのオートラジオグラフである。 図23は、Phosphor Imager定量により判断した比mRNAレベルを示す。値は、GAP
DHレベルに対して正常化した。
【0095】 実施例9 メサンギウム細胞において、高グルコースストレスはBMP-2を誘導す
るが、BMP-4の発現を誘導しない 上記に示したように、グレムリンはBMP-2およびBMP-4の推定アゴニストである
。具体的には、グレムリンは、BMPとヘテロ二量体を形成し、そしてそれによりB
MPシグナル伝達を活性化(antagonize)することが最近報告された(Hsu, D.R.,
et al. (1998)、上記)。本研究において、メサンギウム細胞のBMP発現の最初
の評価として、RT-PCRを行った。
【0096】 グレムリン発現とBMP発現との間の関係の最初の評価として、5 mMグルコース
または30 mMグルコースのいずれかの条件下において7日間増殖させたメサンギウ
ム細胞から、RNAを単離した。ランダムプライマーを用いた逆転写により、BMP-2
のORFの最初のPCRを行った。この産物は、30サイクルの後にエチジウム染色した
アガロースゲル上では検出できなかったが、これをネスト化(nested)し、446
bpの予想産物を得た。BMP-4およびGAPDH特異的プライマーを用いたPCR解析によ
り、それぞれ378 bpおよび452 bpの予想産物を得た。
【0097】 図24は、4回の独立した実験の代表的反応物を示す。10μLのそれぞれのPCR反
応物を、1%エチジウムブロマイド染色したアガロースゲル上で流した。 5 mMグルコース中で増殖させたメサンギウム細胞中では、BMP-2 mRNAはほとん
どあるいはまったく検出できなかったが、図24に示すように、30 mMグルコース
中で培養した細胞内では、BMP-2発現の顕著な誘導が観察された。
【0098】 これに対して、BMP-4の発現レベルは、比較的不変であった。興味深いことに
、BMP-2はメサンギウム細胞におけるフィブロネクチンの発現をin vitroでは刺
激せず、一方でBMP-2は上皮増殖因子および血小板由来増殖因子により引き起こ
されるメサンギウム細胞の増殖を阻害することが最近示された(Ghosh Choundhu
ry, G., et al, (1999) J. Biol. Chem. 274, 10897-902;Ghosh Choudhury, G.
, et al., (1999) Biochem. Biophys. Res. Commun. 258, 490-6)。我々の結果
は、TGF-β1により刺激されたグレムリンの発現が、この設定におけるメサンギ
ウム細胞の増殖性反応に寄与する可能性があるという可能性を引き出した。グレ
ムリンの細胞増殖に対する影響は複雑なようであるが、しかし細胞型および増殖
刺激因子に依存して顕著に変化しうるものである。上述した前増殖性活性の潜在
性とは対照的に、グレムリン相同物、drmの過剰発現により、ERK媒介性経路によ
る線維芽細胞におけるアポトーシスを誘導し、一方v-mosなどのガン遺伝子によ
り形質転換した細胞では、drm発現の抑制が示される(Topol, L.Z., et al., (1
997) Mol. Cell. Biol. 17, 4801-10)。同様に、別のシステインノットスーパ
ーファミリーのメンバーでdrm/グレムリンと相同性を有する、DANの過剰発現に
より、線維芽細胞がS期に入るのが遅延する(Ozaki, T., et al., (1995) Cance
r Res. 55, 895-900)。
【0099】 まとめると、我々の結果から、DANファミリーメンバーのグレムリンが糖尿病
性腎症においてin vivoで誘導され、そしてグレムリン発現に対する刺激因子と
して、代謝ストレスおよび血行動態ストレスの両方に影響する。
【0100】 高グルコース-誘導性グレムリン発現が、外来性TGF-β1の添加により模倣され
、抗-TGF-β1中和抗体により鈍化され、そしてメサンギウム細胞BMP-2の誘導と
関連して発生する、という知見から、TGF-β1スーパーファミリーメンバーの生
物活性を制限し、そして糖尿病メサンギウム内でのメサンギウム細胞増殖をモジ
ュレートしうる、新規のオートクラインループの存在が示唆される。分泌タンパ
ク質であるDANファミリー、たとえばグレムリンの、TGF-β1スーパーファミリー
メンバーとの機能的な相互作用についてさらに解明することにより、糖尿病性糸
球体硬化症における細胞増殖およびマトリックス産生を混乱させるする、複雑な
多面的分子現象に対して、光を当てる可能性がある。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例2に記載した、ノザンブロットにより解析したCTGFレ
ベルのオートラジオグラフである。
【図2】 図2は、実施例2に記載した、Phosphor Imager定量により判断した
、CTGF mRNAの相対量のグラフである。
【図3】 図3は、実施例2に記載した、エチジウム染色したPCR産物を示す2%
アガロースゲルである。
【図4】 図4は、実施例3に記載した、ラットCTGF転写物およびマウスCTGFホ
モログであるfisp 12のヌクレオチド配列アライメントである。
【図5】 図5は、実施例3に記載した、ラットCTGF転写物およびマウスCTGFホ
モログであるfisp 12のアミノ酸配列アライメントである。
【図6】 図6は、実施例3に記載した、エチジウム染色したPCR産物を示す2%
アガロースゲルである。
【図7】 図7は、実施例4に記載した、ノザンブロットにより解析した、TGF-
β1およびTGF-β1中和抗体の存在下での、CTGFレベルのオートラジオグラフであ
る。
【図8】 図8は、実施例4に記載した、Phosphor Imager定量により判断した
、CTGF mRNAの相対量のグラフである。
【図9】 図9は、実施例4に記載した、ノザンブロットにより解析した、様々
な量のグルコースおよびTGF-β1中和抗体の存在下での、CTGF レベルのオートラ
ジオグラフである。
【図10】 図10は、実施例4に記載した、Phosphor Imager定量により判断し
た、CTGF mRNAの相対量のグラフである。
【図11】 図11は、実施例4に記載した、ノザンブロットにより解析した、
様々な量のグルコースおよびPKC阻害物質GF102903Xの存在下での、CTGFレベルの
オートラジオグラフである。
【図12】 図12は、実施例4に記載した、Phosphor Imager定量により判断し
た、CTGF mRNA相対量のグラフである。
【図13】 図13は、実施例6に記載した、ESTデータベースからのBLAST出力
のグラフ表示である。
【図14】 図14は、実施例6に記載した、BLASTアルゴリズムを使用して比較
した場合の、ヒトグレムリンおよびラットdrmのアライメントのグラフ表示であ
る。
【図15】 図15は、メサンギウム細胞のグレムリンcDNAの配列である。
【図16】 図16は、実施例7に記載した、ノザンブロットにより解析した、I
HG-2、グレムリン、フィブロネクチンおよびGAPDH mRNAレベルのオートラジオグ
ラフである。
【図17】 図17は、実施例7に記載した、Phosphor Imager定量により判断し
た、比mRNAレベルのグラフである。
【図18】 図18は、実施例7に記載した、ノザンブロットにより解析した、
グレムリン、フィブロネクチンおよびGAPDH mRNAのオートラジオグラフである。
【図19】 図19は、実施例7に記載した、Phosphor Imager定量により判断し
た、比mRNAレベルの更なるグラフである。
【図20】 図20は、実施例7に記載した、ノザンブロットにより解析した、S
TZ-糖尿病ラットの腎皮質および年齢をあわせた対照の腎皮質における、グレム
リンmRNAレベルのオートラジオグラフである。
【図21】 図21は、実施例7に記載した、Phosphor Imager定量により判断し
た、比mRNAレベルの更なるグラフである。
【図22】 図22は、実施例8に記載した、ノザンブロットにより解析した、
グレムリン、フィブロネクチンおよびGAPDH mRNAレベルのオートラジオグラフで
ある。
【図23】 図23は、Phosphor Imager定量により判断した、比mRNAレベルの
グラフである。そして
【図24】 図24は、実施例9に記載した、4つの独立した実験の典型的な反応
についてのグラフ表示である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/50 G01N 33/53 M 33/53 33/566 33/566 33/66 A 33/66 C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ブラディ,ヒュー・レドモンド アイルランド国カウンティ・ダブリン,キ リニー,ヴァイオレット・ヒル,“アスペ ン" (72)発明者 ゴドサン,キャサリン・メアリー アイルランド国ダブリン 14,アーディリ ア,イェール 12 (72)発明者 マーティン,フィニアン・メアリー アイルランド国ダブリン 14,ゴウツタウ ン,マウント・アンヴィル・ロード 104 (72)発明者 マクマホン,ルース・アン アイルランド国ダブリン 14,ラスファー ナム,セント・パトリックス・コテッジ 16 (72)発明者 マーフィー,マデリン・アン アイルランド国ダブリン 16,チャーチタ ウン,メドウ・グローブ 53 Fターム(参考) 2G045 AA25 BB20 CB01 DA12 DA13 DA14 DA31 FB02 FB09 JA20 4B024 AA01 AA11 BA80 CA01 CA09 DA03 HA12 HA14 4B063 QA01 QA08 QA19 QQ08 QQ42 QR32 QR44 QR48 QR55 QR77 QS34 QS36 QX02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖尿病性腎症を提示する役割を有する遺伝子を同定するための
    方法であって、ディファレンシャルな発現に対して感受性の遺伝子のそのような
    ディファレンシャルな発現を誘導するために十分な濃度のグルコースの存在下に
    おいて、培養液中にてメサンギウム細胞を培養すること、そしてそのように誘導
    された当該遺伝子を同定すること、を含む、前記方法。
  2. 【請求項2】 亢進制御に対して感受性の遺伝子のそのような亢進制御を誘導
    するために十分な濃度のグルコースの存在下において、メサンギウム細胞を培養
    する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 グルコースの濃度が5 mMより大きい、請求項1または2に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 メサンギウム細胞を機械的緊張(strain)に供する、請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 トランスフォーム成長因子β1(TGF-β1)を培養液中に添加す
    る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ディファレンシャルに発現される遺伝子を、抑制サブトラクシ
    ョンハイブリダイゼーション(suppression subtractive hybridisation)によ
    り同定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 高浸透圧によるディファレンシャルな発現の可能性が排除され
    る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 そのようにディファレンシャルに発現される遺伝子が、 1)SEQ ID NO: 1〜3; 2)SEQ ID NO: 4; 3)SEQ ID NO: 5;および 4)SEQ ID NO: 6; から選択される配列を含む遺伝子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 糖尿病性腎症の進行および提示のための診断マーカーとしての
    、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により同定された遺伝子の使用。
  10. 【請求項10】 糖尿病性腎症の疾患の活性およびその進行速度の指標として
    の、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により同定された遺伝子の使用。
  11. 【請求項11】 糖尿病性腎症の予防および/または治療において使用するた
    めの薬物を同定するための基礎としての、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方
    法により同定された遺伝子の使用。
  12. 【請求項12】 請求項8に記載のSEQ ID NO: 1〜3、5および6のいずれかから
    選択される配列を含有する遺伝子。
JP2000601200A 1999-02-26 2000-02-28 糖尿病性腎症を提示する役割を有する遺伝子の同定 Pending JP2002537775A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
IE990157 1999-02-26
IE990157 1999-02-26
PCT/IE2000/000026 WO2000050637A1 (en) 1999-02-26 2000-02-28 Identification of genes having a role in the presentation of diabetic nephropathy

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002537775A true JP2002537775A (ja) 2002-11-12

Family

ID=11042009

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000601200A Pending JP2002537775A (ja) 1999-02-26 2000-02-28 糖尿病性腎症を提示する役割を有する遺伝子の同定

Country Status (11)

Country Link
US (2) US7052865B1 (ja)
EP (1) EP1157130A1 (ja)
JP (1) JP2002537775A (ja)
CN (1) CN1343259A (ja)
AU (1) AU2936400A (ja)
CA (1) CA2365089A1 (ja)
HK (1) HK1042118A1 (ja)
NO (1) NO20013873L (ja)
NZ (1) NZ514124A (ja)
RU (1) RU2001126061A (ja)
WO (1) WO2000050637A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005108985A1 (ja) * 2004-05-06 2005-11-17 Eisai R & D Management Co., Ltd. 全身性動脈硬化症の判定方法、及び判定試薬

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2001281322A1 (en) * 2000-07-13 2002-01-30 Biogen, Inc. Methods of identifying renal protective factors
JP4255382B2 (ja) * 2001-10-31 2009-04-15 アルコン,インコーポレイテッド 骨形成タンパク質(bmp)、bmpレセプターおよびbmp結合タンパク質ならびに緑内障の診断および処置におけるそれらの使用
WO2005064013A1 (en) * 2003-12-23 2005-07-14 Bart Janssen The use of carnosine metabolism-associated genes to determine genetic predisposition/susceptibility to diabetic nephropathy
US9102983B2 (en) 2008-01-30 2015-08-11 The United States Of America As Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services Single nucleotide polymorphisms associated with renal disease
MX363178B (es) 2012-10-10 2019-03-13 Galectin Therapeutics Inc Compuestos de carbohidratos con funcion de galactosa para el tratamiento de la nefropatia diabetica y de los trastornos asociados.
CN116482386B (zh) * 2023-06-15 2023-09-15 南京羿检医学科技有限公司 检测糖尿病肾病的蛋白标志物及其应用、试剂或试剂盒

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005108985A1 (ja) * 2004-05-06 2005-11-17 Eisai R & D Management Co., Ltd. 全身性動脈硬化症の判定方法、及び判定試薬
JP4762135B2 (ja) * 2004-05-06 2011-08-31 エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 全身性動脈硬化症の検査方法、及び検査試薬

Also Published As

Publication number Publication date
NZ514124A (en) 2001-09-28
WO2000050637A1 (en) 2000-08-31
RU2001126061A (ru) 2003-06-20
NO20013873D0 (no) 2001-08-08
US20050239129A1 (en) 2005-10-27
EP1157130A1 (en) 2001-11-28
NO20013873L (no) 2001-10-24
CA2365089A1 (en) 2000-08-31
AU2936400A (en) 2000-09-14
CN1343259A (zh) 2002-04-03
HK1042118A1 (zh) 2002-08-02
US7052865B1 (en) 2006-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Cheon et al. Immune-responsive gene 1 is a novel target of progesterone receptor and plays a critical role during implantation in the mouse
Gunaratnam et al. Hypoxia inducible factor activates the transforming growth factor-α/epidermal growth factor receptor growth stimulatory pathway in VHL-/-renal cell carcinoma cells
Goss et al. Age-related changes in glial fibrillary acidic protein mRNA in the mouse brain
Muchir et al. Activation of MAPK pathways links LMNA mutations to cardiomyopathy in Emery-Dreifuss muscular dystrophy
Lin et al. Increased expression of extracellular matrix proteins in rapid atrial pacing-induced atrial fibrillation
Serra et al. Gene profiling links SCA1 pathophysiology to glutamate signaling in Purkinje cells of transgenic mice
Sherwin et al. Identification of genes regulated by leukemia-inhibitory factor in the mouse uterus at the time of implantation
Scarlett et al. Regulation of agouti-related protein messenger ribonucleic acid transcription and peptide secretion by acute and chronic inflammation
US20070281299A1 (en) Diagnostic Test For Parkinson's Disease
López-López et al. Overexpression of the immediate-early genes Egr1, Egr2, and Egr3 in two strains of rodents susceptible to audiogenic seizures
Simmons et al. Uterine sensitization-associated gene-1: a novel gene induced within the rat endometrium at the time of uterine receptivity/sensitization for the decidual cell reaction
Suzuki et al. Bikunin target genes in ovarian cancer cells identified by microarray analysis
EP2682481A2 (en) Methods for characterizing and treating cognitive impairment in aging and disease
Draper et al. Differential gene expression between neuropeptide Y expressing neurons of the dorsomedial nucleus of the hypothalamus and the arcuate nucleus: microarray analysis study
US20180010183A1 (en) Methods for characterizing and treating cognitive impairment in aging and disease
US20050239129A1 (en) Identification of genes having a role in the presentation of diabetic nephropathy
CHEN et al. The role of hypertension-related gene in aortic vascular smooth muscle cells from mice and rats
WO2014002007A1 (en) Method of predicting or monitoring response to igf-1r and ir inhibitors using biomarkers
Moll et al. Expression profiling of vitamin D treated primary human keratinocytes
JP2003102485A (ja) 創傷治癒バイオマーカー
Li et al. Sex-specific regulation of spine density and synaptic proteins by G-protein-coupled estrogen receptor (GPER) 1 in developing hippocampus
Sun et al. Differential gene expression in male and female rat lenses undergoing cataract induction by transforming growth factor-β (TGF-β)
Yang et al. Spinal cord genes enriched in rat dorsal horn and induced by noxious stimulation identified by subtraction cloning and differential hybridization
Philip-Couderc et al. Kinetic analysis of cardiac transcriptome regulation during chronic high-fat diet in dogs
US20070026409A1 (en) Nucleic acid and amino acid sequences involved in pain