JP2002537000A - トウモロコシアデノシンデアミナーゼcDNAおよびその使用 - Google Patents

トウモロコシアデノシンデアミナーゼcDNAおよびその使用

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JP2002537000A
JP2002537000A JP2000601173A JP2000601173A JP2002537000A JP 2002537000 A JP2002537000 A JP 2002537000A JP 2000601173 A JP2000601173 A JP 2000601173A JP 2000601173 A JP2000601173 A JP 2000601173A JP 2002537000 A JP2002537000 A JP 2002537000A
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プラモッド ビー. マハジャン,
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    • C12N9/78Hydrolases (3) acting on carbon to nitrogen bonds other than peptide bonds (3.5)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、単離されたトウモロコシADAの核酸およびそれらのコードするタンパク質を提供する。本発明は、植物のトウモロコシADA濃度および/または組成を変更することに関する方法および組成物を提供する。本発明はさらに、組換え発現カセット、宿主細胞、トランスジェニック植物および抗体組成物を提供する。好ましい実施形態では、本発明の植物は、単子葉植物または双子葉植物であり、より好ましくはトウモロコシ、ダイズ、ヒマワリ、ソルガム、カノーラ、コムギ、アルファルファ、ワタ、イネ、オオムギおよびキビからなる群より選択される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、一般に、植物分子生物学に関する。より詳細には、本発明は、植物
におけるそれらの発現を調節するための核酸および方法に関する。より詳細には
、本発明は、アデノシンデアミナーゼのような機能を有するポリペプチドをコー
ドする核酸に関する。
【0002】 (発明の背景) アデノシンデアミナーゼ(本明細書中以下でADAと略す;EC3.5.4.
4.)は、アデノシンおよび2’デオキシアデノシンの、対応するイノシン誘導
体への不可逆的な脱アミノを触媒する。この酵素は、プリン代謝のために不可欠
である。ADA欠損は、重症複合型免疫不全(すなわち遺伝障害であるSCID
)を生じる。DNA合成との干渉をもたらす基質の累積は、ADA欠損において
生じる損傷の基礎となる(Giblett,E.、Annals of the
New York Academy of Sciences、NY Aca
d.Sci.、New York 451:1−8、1985)。ADAのレベ
ルはまた、種々の白血病、リンパ腫、AIDS、および貧血において影響を受け
る(Adenosine Deaminase in Disorders o
f Purine Metabolism and in Immune De
ficiency、George L.Tritsch編、Annals of
the New York Academy of Sciences 第4
51巻、New York Acad.of Sci.、New York、N
Y、1985)。その結果として、ADAは、哺乳動物系において詳細に研究さ
れた(Daddona,PEおよびKelley,WN Mol.Cell.B
iochem.29:91−101、1980;Wilson,DKら、Sci
ence 252:1278−1284、1991;Hirschhorn,R
.Pediatric Res.33(増補):35−41、1993;Mar
kert,ML Immunodeficiency 5,141−157,1
994;Morgan RAおよびAnderson,WF Ann Rev.
Biochem.62:191−217、1993;Vega,MA Bioc
him.Biophys.Acta 1138:253−260、1992)。
ADAはまた、無脊椎動物、細菌および真菌において研究された(Schomb
urg,D.およびSalzmann,M.、The Enzyme Hand
book 第4巻、Springer Verlag、Berlin、1991
)。しかし、ADA活性は、オオムギ、キュウリ、アーティチョーク、ルピナス
のような植物において、または17の異なる植物種からの趣旨においては検出さ
れなかった。植物はADAを含まないことさえ言及されている(Dancer
JEら、Plant Physiol.114:119−129、1997)。
従って、ADA遺伝子は、多細胞植物においては存在しないか、または厳格な発
達制御のもとでのみ発現されるということが、一般に容認される(Pelche
r,L.米国特許第5474929号、1993)。ADA発現の厳格な制御は
、ADA発現が細胞特異的な様式および発達制御された様式の両方で支配される
ことが見出された、マウス組織において示された(Chinsky JMら、D
ifferentiation 42:172−183、1990)。
【0003】 本発明のトウモロコシADA遺伝子は、多細胞植物に存在することが報告され
た最初のADA遺伝子である。トウモロコシADAの存在は、多くの利点を提供
する。トウモロコシADAは、形質転換実験における選択マーカーとして有用で
ある。形質転換した植物または植物細胞の選択において使用するために現在入手
可能な遺伝子の大部分は、抗生物質耐性遺伝子または除草剤耐性遺伝子のいずれ
かである。さらなる選択マーカー遺伝子に対する必要性が存在する。タバコ葉外
植片の成長は、2’−デオキシアデノシンおよびデオキシアデノシンのアナログ
により阻害されることが示された(Pelcher,L.米国特許第54749
29号、1993)。マウス細胞株由来のADA遺伝子で形質転換されたタバコ
細胞は、デオキシアデノシンのアナログを含む培地において増殖することが示さ
れた(Pelcher,L.米国特許第5474929号、1993)。従って
、ADA遺伝子は、形質転換された植物細胞の選択において有用であることが示
された。
【0004】 本発明により提供されるトウモロコシADA cDNA配列は、3’未翻訳領
域を含む。これらの領域は、トウモロコシ集団のRFLPマップにおけるトウモ
ロコシADA遺伝子の遺伝子座をマッピングするために使用され得る、遺伝子特
異的プローブを作製する際に使用するために、適切である。本発明は、ADA遺
伝子の選択マーカーとしての使用、3’未翻訳領域の遺伝子特異的プローブとし
ての使用、ならびに他の利点を提供する。
【0005】 (発明の要旨) 一般に、トウモロコシADAに関する核酸およびタンパク質を提供することが
、本発明の目的である。1):本発明のタンパク質の抗原性フラグメント、2)
:本発明の核酸を含むトランスジェニック植物、3):本発明の核酸の発現をト
ランスジェニック植物において調節するための方法を提供することが、本発明の
目的である。
【0006】 従って、1つの局面において、本発明は、(a)本発明のポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドに対して特定の配列同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)(a)のポリヌクレオチドに対して相補的であるポリヌクレオチド;およ
び(c)(a)または(b)のポリヌクレオチド由来の特定の数の連続するヌク
レオチド含むポリヌクレオチド、からなる群から選択されたメンバーを含む単離
された核酸に関する。その単離された核酸は、DNAであり得る。
【0007】 別の局面において、本発明は、プロモーターに作動可能に連結した、本発明の
核酸を含む組換え発現カセットに関する。
【0008】 別の局面において、本発明は、上記の組換え発現カセットが導入された宿主細
胞に関する。
【0009】 さらなる局面において、本発明は、本発明の単離された核酸によってコードさ
れる特定の数の連続するアミノ酸を有するポリペプチドを含む単離されたタンパ
ク質に関する。
【0010】 別の局面において、本発明は、ストリンジェントな条件下で、本発明のポリヌ
クレオチドまたはこれらの相補体に選択的にハイブリダイズする特定の長さのヌ
クレオチド長のポリヌクレオチドを含む単離された核酸に関する。
【0011】 別の局面において、本発明は、前出にて言及したライブラリーから増幅された
核酸を含む組換え発現カセットに関し、ここで、その核酸は、プロモーターに作
動可能に連結している。いくつかの実施形態において、本発明は、この組換え発
現カセットでトランスフェクトされた宿主細胞に関する。いくつかの実施形態に
おいて、本発明は、この宿主細胞から産生された本発明のタンパク質に関する。
【0012】 なお別の局面において、本発明は、本発明の任意の単離された核酸に作動可能
に連結された植物プロモーターを含む組換え発現カセットを含むトランスジェニ
ック植物に関する。
【0013】 (定義) 単位、接頭語、および記号は、SIで容認された形態で示され得る。特に示さ
れない限り、核酸は、左から右へ、5’から3’の方向に、アミノ酸配列は、左
から右へ、アミノからカルボキシの方向に、それぞれ記載される。数値の範囲は
、その範囲を規定する数を含み、そして規定された範囲内の各整数を含む。アミ
ノ酸は、本明細書中において、IUPAC−IUB Biochemical
Nomenclature Commissionによって推奨された、それら
の一般に公知の3文字記号または1文字記号のいずれかによって、言及され得る
。ヌクレオチドも同様に、それらの一般に受容された1文字コードによって言及
され得る。以下に規定されるその用語は、明細書全体を参照することによって、
より十分に規定される。
【0014】 「増幅された」により、核酸配列の複数のコピーまたはその核酸配列に相補的
な複数のコピーの、その核酸配列の少なくとも1つを鋳型として使用しての、構
築を意味する。増幅系には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)系、リガーゼ連鎖
反応(LCR)系、核酸配列に基づく増幅(NASBA、Cangene、Mi
ssissauga、Ontario)、Q−Beta複製系、転写に基づく増
幅系(TAS)、および鎖置換増幅(SDA)が含まれる。例えば、Diagn
ostic Molecular Microbiology:Princip
les and Applications、D.H.Persingら、編、
American Society for Microbiology,Wa
shington,D.C.(1993)を参照のこと。増幅の産物は、アンプ
リコンと命名される。
【0015】 用語「抗体」には、抗体の抗原結合形態(例えば、Fab、F(ab)2)に
対する参照が含まれる。用語「抗体」は、頻繁に、分析物(抗原)を特異的に結
合し、そしてそれを認識する免疫グロブリン遺伝子(単数もしくは複数)または
そのフラグメントによって実質的にコードされたポリペプチドをいう。しかし、
種々の抗体フラグメントが、インタクトな抗体の消化に関して規定され得るが、
当業者は、このようなフラグメントが、デノボで、化学的に、もしくは組換えD
NA法を使用してのいずれかで、合成され得ることを理解する。従って、用語抗
体はまた、本明細書で使用される場合、単鎖Fv、キメラ抗体のような抗体フラ
グメント(すなわち、異なる種由来の定常領域および可変領域を含む)、ヒト化
抗体(すなわち、すなわち非ヒトの供給源由来の相補性決定領域(CDR)を含
む)、および異種結合体抗体(例えば、二重特異的抗体)を含む。
【0016】 用語「抗原」には、抗体が生成され得、そして/または抗体がそれに対して特
異的に免疫反応性である物質への参照が含まれる。抗原内の特異的な免疫反応性
部位は、エピトープまたは抗原決定基として公知である。これらのエピトープは
、ポリマー性組成物中のモノマー(例えば、タンパク質中のアミノ酸)の直線状
の配列であり得るか、またはより複雑な二次構造もしくは三次構造からなり得る
かもしくは含み得る。当業者は、全ての免疫原(すなわち、免疫応答を惹起し得
る物質)が抗原であることを認識する;しかし、いくつかの抗原(例えば、ハプ
テン)は、免疫原ではなく、キャリア分子に結合させることによって免疫原性に
され得る。特定の抗原と免疫的に反応性の抗体は、インビボで、または組換え法
(例えば、ファージもしくは類似のベクター中の組換え抗体のライブラリーの選
択)によって、生成され得る。例えば、Huseら、Science 246:
1275−1281(1989);およびWardら、Nature 341:
544−546(1989);ならびにVaughanら、Nature Bi
otech.14:309−314(1996)を参照のこと。
【0017】 本明細書中で使用される場合、「アンチセンス方向」は、アンチセンス鎖が転
写される方向でプロモーターに作動可能に連結される二重鎖ポリヌクレオチド配
列への参照を含む。アンチセンス鎖は、内因性の転写産物の翻訳がしばしば阻害
されるように内因性の転写産物に対して十分に相補的である。
【0018】 本明細書中で使用される場合、「染色体領域」は、それが含むDNAの直線状
セグメントへの参照によって測定され得る染色体の長さへの参照を含む。この染
色体領域は、2つの独特なDNA配列(すなわち、マーカー)への参照によって
規定され得る。
【0019】 用語「保存的に改変された改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に
ついて適用する。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体は、その
アミノ酸配列の同一の改変体または保存的に改変された改変体をコードする核酸
をいう。遺伝子コードの縮重に起因して、機能的に同一な多数の核酸が、所定の
任意のタンパク質をコードする。例えば、コドン、GCA、GCC、GCGおよ
びGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。従って、アラニンがコドン
によって特定されるあらゆる位置において、コドンは、コードされるポリペプチ
ドを変更することなく、記載される対応するコドンのいずれかに変更され得る。
このような核酸の変異は、「非表現型変異」であり、そして保存的に改変された
変異の1つの種を示す。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配
列はまた、遺伝コードの参照により、核酸のあらゆる可能な非表現型変異を記載
する。当業者は、核酸中の各コドン(通常、メチオニンについての唯一のコドン
であるAUG;およびトリプトファンについての唯一のコドンであるUGGを除
く)が機能的に同一の分子を生じるように改変され得ることを理解する。従って
、本発明のポリペプチドをコードする核酸の各非表現型変異は、記載される各ポ
リペプチド配列に内在し、そして本発明の範囲内である。
【0020】 アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされる配列中の単一のアミノ酸また
は小さな割合のアミノ酸を変更、付加または欠失する核酸、ペプチド、ポリペプ
チドまたはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加が、「保存的に
改変された改変体」であることを理解する。ここで、その変更により、化学的に
類似のアミノ酸でのアミノ酸の置換を生じる。従って、1〜15個からなる整数
の群から選択される任意の数のアミノ酸残基が、このように変更され得る。従っ
て、例えば、1、2、3、4、5、7、または10個の変更がなされ得る。保存
的に改変された改変体は、代表的に、それらが由来する改変されていないポリペ
プチド配列と類似の生物学的活性を提供する。例えば、基質特異性、酵素活性、
またはリガンド/レセプター結合は、一般に、そのネイティブ基質について、ネ
イティブタンパク質の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、8
0%、または90%である。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換の表
は、当該分野で周知である。
【0021】 以下の6つの群は、各々、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む: 1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T); 2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E); 3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q); 4)アルギニン(R)、リジン(K); 5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
および 6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。 Creighton(1984)Proteins W.H.Freeman
and Companyもまた、参照のこと。
【0022】 特定の核酸に関して「コードする」または「コードされる」とは、特定のタン
パク質への翻訳についての情報を包含することを意味する。タンパク質をコード
する核酸は、その核酸の翻訳領域に非翻訳配列(例えば、イントロン)を含み得
るか、またはそのような介在する非翻訳配列を欠失し得る(例えば、cDNAに
おけるように)。タンパク質がコードされるもととなる情報は、コドンの使用に
よって特定される。代表的に、アミノ酸配列は、「普遍(ユニバーサル)」遺伝
コードを使用して核酸によってコードされる。しかし、普遍コードの改変体(例
えば、何らの植物、動物、および真菌のミトコンドリア、細菌Mycoplas
ma capricolum、または繊毛Macronucleusに存在する
もの)は、この核酸がこれらの中で発現される場合に使用され得る。
【0023】 核酸が合成的に調製または変更される場合、核酸が発現される、目的の宿主の
既知のコドン選択(codon preference)を利用し得る。例えば
、本発明の核酸配列は、単子葉植物種および双子葉植物種の両方において発現さ
れ得るが、コドンの選択は異なることが示されている(Murrayら、Nuc
l.Acids Res.17:477〜498(1989))ので、配列は、
単子葉または双子葉の特定のコドン選択およびGC含量選択を考慮して改変され
得る。従って、特定のアミノ酸についてのトウモロコシの好ましいコドンは、ト
ウモロコシ由来の既知の遺伝子配列に由来し得る。トウモロコシ植物由来の28
個の遺伝子についてのトウモロコシコドンの用法は、Murrayら(前出)の
表4に列挙される。
【0024】 本明細書中で使用される場合、特定のポリヌクレオチドまたはそのコードする
タンパク質を参照しての「全長配列」は、特定のタンパク質のネイティブ(非合
成)形態、内因性形態、生物学的に活性な形態の全アミノ酸配列を有することを
意味する。配列が全長であるか否かを決定するための方法は、当該分野で周知で
あり、ノーザンブロットまたはウエスタンブロット、プライマー伸長、S1保護
、およびリボヌクレアーゼ保護のような例示的な技術が挙げられる。例えば、P
lant Molecular Biology:A Laboratory
Manual,Clark編、Springer−Verlag,Berlin
(1997)を参照のこと。公知の全長相同(オルソロガス(ortholog
ous)および/またはパラロガス(paralogous))配列の比較はま
た、本発明の全長配列を同定するために使用され得る。さらに、代表的に、mR
NAの5’および3’非翻訳領域に存在するコンセンサス配列は、ポリヌクレオ
チドの全長としての同定を補助する。例えば、コンセンサス配列、ANNNN UG G(ここで、下線を付したコドンは、N末端メチオニンを表す)は、ポリヌ
クレオチドが完全な5’末端を有するか否かを決定することを補助する。3’末
端におけるコンセンサス配列(例えば、ポリアデニル化配列)は、ポリヌクレオ
チドが完全な3’末端を有するか否かを決定することを補助する。
【0025】 本明細書中で使用される場合、核酸を参照しての「異種(の)」は、外来種か
ら生じる核酸、または同一種から生じる場合、意図的なヒトの介入によって、比
較におけるそのネイティブ形態および/または遺伝子座から実質的に改変される
核酸である。例えば、異種構造的遺伝子に作動可能に連結されるプロモーターは
、構造的遺伝子の由来する種とは異なる種由来であり、または、同一種由来であ
る場合には、1つまたは両方がそれらの元々の形態から実質的に改変されている
。異種タンパク質は、外来種に由来し得、または同じ種に由来する場合には、意
図的なヒトの介入によってその元々の形態から実質的に改変されている。
【0026】 「宿主細胞」は、ベクターを含み、そしてそのベクターの複製および/または
発現を支持する細胞を意味する。宿主細胞は、E.coliのような原核生物細
胞、または酵母細胞、昆虫細胞、両生類細胞、もしくは哺乳動物細胞のような真
核生物細胞であり得る。好ましくは、宿主細胞は、単子葉植物細胞または双子葉
植物細胞である。特に好ましい単子葉宿主細胞は、トウモロコシ宿主細胞である
【0027】 用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、互いに選択的にハイブリダイズさ
れる2つの一本鎖核酸配列によって形成される二重鎖核酸構造への参照を含む。
【0028】 「免疫学的に反応性の条件」または「免疫反応性条件」とは、特定のエピトー
プに対して反応性の抗体が、特定のエピトープを含む反応混合物においてその抗
体が実質的に他の全てのエピトープに結合するよりも検出可能に大きい程度(例
えば、バックグラウンドの少なくとも2倍)でそのエピトープに結合する条件を
意味する。免疫学的に反応性の条件は、抗体結合反応の形式に依存し、そして代
表的に、これらは免疫アッセイプロトコルに利用されるものである。免疫アッセ
イ形式および条件の説明については、HarlowおよびLane,Antib
odies,A Laboratory Manual,Cold Sprin
g Harbor Publications,New York(1988)
を参照のこと。
【0029】 細胞への核酸の挿入の状況における、用語「導入される」は、「トランスフェ
クション」または「形質転換」または「形質導入」を意味し、そして核酸の原核
生物細胞または真核生物細胞への取込みへの参照を含む。ここで、この核酸は、
その細胞のゲノム(例えば、染色体、プラスミド、プラスチドまたはミトコンド
リアDNA)へ取込まれ得るか、自律複製レプリコンへ変換され得るか、または
一過性に発現され得る(例えば、トランスフェクトされたmRNA)。
【0030】 用語「単離された(した)」は、核酸またはタンパク質のような物質をいい、
これらの物質は:(1)その天然に存在する環境において見出されるように、そ
れに通常付随するかまたはそれと相互作用する成分を実質的または本質的に含ま
ない。その単離された物質は、必要に応じて、その天然環境においてその物質と
ともに見出されない物質を含む。;あるいは(2)その物質がその天然環境にあ
る場合、その物質は、意図的なヒトの介入によって合成的に(非天然的に)組成
物に変更され、そして/またはその環境において見出される物質についてネイテ
ィブでない細胞中の位置(例えば、ゲノムまたは非細胞のオルガネラ)に配置さ
れる。その合成物質を生じるためのこの変更は、その天然状態内の、またはそこ
から除去された物質において実施され得る。例えば、天然に存在する核酸は、そ
の起源である細胞内で実施されるヒトの介在によって、変更される場合か、また
は変更されたDNAから転写される場合に、単離された核酸となる。例えば、C
ompounds and Methods for Site Direct
ed Mutagenesis in Eukaryotic Cells、K
miec、米国特許第5,565,350号;In Vivo Homolog
ous Sequence Targeting in Eukaryotic
Cells;Zarlingら、PCT/US93/03868を参照のこと
。同様に、天然に存在する核酸(例えば、プロモーター)は、その核酸に対して
ネイティブでないゲノムの遺伝子座に、天然に存在しない手段によって導入され
る場合に、単離されたことになる。本明細書中で定義される「単離された(した
)」核酸はまた、「異種」核酸としてもいわれる。
【0031】 特に示されない限り、用語「トウモロコシADA核酸」とは、本発明の核酸で
あり、そしてトウモロコシADAポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレ
オチド(「トウモロコシADAポリヌクレオチド」)を意味する。「トウモロコ
シADA遺伝子」とは、本発明の遺伝子であり、そして全長トウモロコシADA
ポリヌクレオチドの異種ゲノム形態を参照する。
【0032】 本明細書中で使用される場合、特定のマーカーに関して、「〜によって規定さ
れ、そして〜を含む染色体領域内に局在した」とは、示されるマーカーによって
規定され、そしてそのマーカーを含む染色体の連続する長さへの参照を含む。
【0033】 本明細書中で使用される場合、「マーカー」は、染色体上の独特の位置を同定
するために役立つ染色体上の遺伝子座への参照を含む。「多型性マーカー」は、
複数の形態(対立遺伝子)で現れるマーカーへの参照を含み、その結果,そのマ
ーカーの異なる形態は、それらが同種の対において存在する場合,従われるべき
その対において各々の染色体の伝達を可能にする。遺伝子型は、1つまたは複数
のマーカーの使用によって規定され得る。
【0034】 本明細書中で使用される場合、「核酸」は、一本鎖形態または二本鎖形態のい
ずれかにおけるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのポリマーへ
の参照を含み、そして特に限定されない限り、この用語は,天然に存在するヌク
レオチド(例えば、ペプチド核酸)と類似の様式で一本鎖核酸にハイブリダイズ
する点で、天然のヌクレオチドの本質的な性質を有する公知のアナログを含む。
【0035】 「核酸ライブラリー」とは、特定の生物のゲノムの転写された画分全体を含み
、そして実質的にそれを代表する単離されたDNAまたはRNA分子の収集物を
意味する。例示的な核酸ライブラリー(例えば、ゲノムライブラリーおよびcD
NAライブラリー)の構築は,標準的な分子生物学の参考文献(例えば、Ber
gerおよびKimmel,Guide to Molecular Clon
ing Techniques,Methods in Enzymology
、第152巻、Academic Press,Inc.,San Diego
,CA(Berger);Sambrookら,Molecular Clon
ing−A Laboratory Manual、第2版、第1〜3巻(19
89);ならびにCurrent Protocols in Molecul
ar Biology,F.M.Ausubelら編,Current Pro
tocols、Greene Publishing Associates,
Inc.とJohn Wiley & Sons,Inc.との共同事業(19
94))において教示される。
【0036】 本明細書中で使用される場合、「作動可能に連結された」は、プロモーターと
第2の配列との間の機能的連結への参照を含む。ここで、そのプロモーター配列
は、第2の配列に対応するDNA配列の転写を開始し、そして媒介する。一般に
、作動可能に連結された、は、連結される核酸配列が隣接し、そして2つのタン
パク質コード領域を連結することが必要であれば、隣接し、かつ同じリーディン
グフレーム中にあることを意味する。
【0037】 本明細書中で使用される場合、用語「植物」は、植物全体、植物器官(例えば
、葉、茎、根など)、種子、および植物細胞、それらの子孫に対する言及を含む
。本明細書中で使用される場合、植物細胞としては、種子、培養懸濁物、胚、分
裂組織領域、カルス組織、葉、根、シュート、配偶体、胞子体、花粉、および小
胞子が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の方法に使用され得る植物の
科は一般に、単子葉植物および双子葉植物の両方を含めて、形質転換技術を施す
ことのできる限り広い科の高等植物である。特に好ましい植物は、Zea ma
ysである。
【0038】 本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボポリヌ
クレオチド、リボポリヌクレオチド、またはストリンジェントなハイブリダイゼ
ーション条件下で、天然に存在するヌクレオチドと実質的に同じヌクレオチド配
列に対しハイブリダイズし、および/もしくは、天然に存在するヌクレオチドと
同じアミノ酸への翻訳を許容するという点で天然リボヌクレオチドの本質的性質
を保有するそれらのアナログに対する言及を含む。ポリヌクレオチドは、ネイテ
ィブまたは異種の構造遺伝子または調節遺伝子の全長または部分配列であり得る
。別に示されない限り、この用語は、指定した配列およびその相補配列に対する
言及を含む。従って、安定性についてまたは他の理由について改変された骨格を
有するDNAまたはRNAは、この用語が本明細書中で意図するような「ポリヌ
クレオチド」である。さらに、ほんの2つの例を挙げると、イノシンのような異
常な塩基またはトリチル化塩基のような改変塩基を含むDNAまたはRNAは、
この用語が本明細書中で使用されるようなポリヌクレオチドである。当業者に対
して公知な多くの有用な目的を与えるDNAおよびRNAに対して、多種多様の
改変が行なわれていることは認識される。本明細書中で使用されるような用語ポ
リヌクレオチドは、このような化学的、酵素的、または代謝的に改変された形態
のポリヌクレオチド、ならびにウイルスおよび細胞(とりわけ、単純細胞および
複雑細胞を含む)に特有な化学形態のDNAおよびRNAを包含する。
【0039】 用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中で
アミノ酸残基のポリマーを言及するのに交換可能に使用される。この用語は、1
つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学アナ
ログであるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用
される。天然に存在するアミノ酸のそのようなアナログの本質的な性質は、タン
パク質の中に組み込まれたとき、そのタンパク質が、同じであるがすべて天然に
存在するアミノ酸からなるタンパク質に対して惹起される抗体に対して特異的に
反応性であることである。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパ
ク質」はまた、以下を含むがこれらに制限されない改変を含む:グリコシル化、
脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、ヒドロキシル化お
よびADP−リボシル化。周知かつ上記のように、ポリペプチドが必ずしも完全
に直鎖状でないことが認識される。例えば、ポリペプチドは、ユビキチン化の結
果として分岐し得、そしてポリペプチドは、一般的には翻訳後事象(天然のプロ
セシング事象および自然には生じない人為的操作によって引き起こされた事象を
含む)の結果として、分岐を伴うかまたは伴わない環状であり得る。環状ポリペ
プチド、分岐ポリペプチド、および分岐した環状ポリペプチドは、非翻訳自然プ
ロセスおよび完全合成的な方法によっても合成され得る。さらに、本発明は、本
発明のタンパク質のメチオニン含有アミノ末端改変体およびメチオニンのないア
ミノ末端改変体の両方の使用を意図する。
【0040】 本明細書中で使用される場合、「プロモーター」は、転写の開始から上流にあ
り、そして転写を開始するためのRNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の認
識および結合に関与するDNA領域に対する言及を含む。「植物プロモーター」
は、起源が植物細胞ではなくても、植物細胞の中で転写の開始が可能なプロモー
ターである。例示的な植物プロモーターとしては、以下から得られる植物プロモ
ーターが挙げられるがこれらに制限されない:植物、植物ウイルス、およびAg
robacteriumまたはRhizobiumのような、植物細胞の中で発
現する遺伝子を含む細菌。発生制御下にあるプロモーターの例としては、特定の
組織(例えば、葉、根、または種子)中で優先的に転写を開始するプロモーター
が挙げられる。そのようなプロモーターは、「組織優先的」と言及される。転写
を特定の組織中のみで開始するプロモーターは、「組織特異的」と言及される。
「細胞型」特異的プロモーターは、1つ以上の器官中の特定の細胞型(例えば、
根または葉の維管束細胞)において発現を主に駆動する。「誘導性」または「セ
制御」プロモーターは、環境的な制御下にあるプロモーターである。誘導性プロ
モーターによる転写をもたらし得る環境条件の例としては、嫌気的条件または光
の存在が挙げられる。組織特異的、組織優先的、細胞型特異的および誘導性プロ
モーターは、「非構成的」プロモーターのクラスを構成する。「構成的」プロモ
ーターは、ほとんどの環境条件下で活性であるプロモーターである。
【0041】 用語「トウモロコシADAポリペプチド」は、本発明のポリペプチドであり、
そしてグリコシル化形態または非グリコシル化形態の1つ以上のアミノ酸配列を
いう。この用語はまた、そのフラグメント、改変体、ホモログ、対立遺伝子また
は前駆体(例えば、プレプロタンパク質またはプロタンパク質)を含む。「トウ
モロコシADAタンパク質」は、本発明のタンパク質であり、そしてトウモロコ
シADAポリペプチドを包含する。
【0042】 本明細書中で使用される場合「組換え体」は、異種核酸の導入によって改変さ
れた細胞もしくはベクターまたはそのように改変された細胞に由来する細胞に対
する言及を含む。従って、例えば、組換え細胞は、ネイティブ(非組換え体)形
態の細胞中で同一の形態で見出されない遺伝子を発現するか、または他の場合に
は異常に発現されるか、過少発現されるか、もしくは全く発現されないネイティ
ブ遺伝子を意図的な人為的介入の結果として発現する。本明細書中で使用される
場合用語「組換え体」は、意図的な人的介入なしに起こる変化のような、天然に
存在する事象(例えば、自然変異、自然形質転換/形質導入/転移)による細胞
またはベクターの変更は含まない。
【0043】 本明細書中で使用される場合「組換え発現カセット」は、宿主細胞中で特定の
核酸の転写を可能にする一連の特異的核酸エレメントを有する、組換え的または
合成的に生成された、核酸構築物である。組換え発現カセットは、プラスミド、
染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルスまたは核酸フラグ
メント中に組み込まれ得る。代表的に、発現ベクターの組換え発現カセット部分
は、他の配列の中でも、転写されるべき核酸、およびプロモーターを含む。
【0044】 用語「残基」または「アミノ酸残基」または「アミノ酸」は、タンパク質、ポ
リペプチド、またはペプチド(集合的に「タンパク質」)中に組み込まれるアミ
ノ酸を言及するために、本明細書中では交換可能に使用される。アミノ酸は、天
然に存在するアミノ酸であり得、そして特に限定されない限り、天然に存在する
アミノ酸と類似の様式で機能し得る天然アミノ酸の非天然アナログを含み得る。
【0045】 用語「選択的にハイブリダイズする」は、ストリンジェントなハイブリダイゼ
ーション条件下における、非標的核酸配列に対するハイブリダイゼーションより
も検出可能に高い程度(例えば、バックグラウンドの少なくとも2倍を超える)
および非標的核酸の実質的排除までの特定の核酸標的配列に対する核酸配列のハ
イブリダイゼーションに対する言及を含む。選択的にハイブリダイズする配列は
、代表的に互いに少なくとも約80%の配列同一性、好ましくは90%配列同一
性、そして最も好ましくは100%の配列同一性(すなわち相補的)を有する。
【0046】 用語「特異的に反応性」は、抗体とその抗体の抗原結合部位によって認識され
るエピトープを有するタンパク質との間の結合反応に対する言及を含む。この結
合反応は、タンパク質および他の生物学的物質(biologics)からなる
不均質集団の存在の中に、認識されるエピトープを有するタンパク質が存在する
ことの決定因である。従って、指定された免疫アッセイ条件下で、特定の抗体は
、サンプル中に存在しエピトープを欠く他の実質的にすべての分析物に対してよ
りも、実質的に高い程度(例えば、バックグラウンドの少なくとも2倍を超える
)で、認識されるエピトープを有する分析物に結合する。
【0047】 そのような条件下での抗体に対する特異的結合は、ある特定のタンパク質につ
いての特異性に対して選択された抗体を必要とし得る。例えば、本発明のポリペ
プチドに対して惹起された抗体は、本発明のポリペプチドと特異的に反応する抗
体を獲得するために選択され得る。免疫原として使用されるタンパク質は、ネイ
ティブなコンフォメーションであり得、もしくは直鎖状のエピトープを与えるた
めに変性され得る。
【0048】 多様な免疫アッセイ形式は、特定のタンパク質(または他の分析物)と特異的
に反応する抗体の選択に用いられ得る。例えば、固相ELISA免疫アッセイは
、あるタンパク質と特異的に免疫反応性なモノクローナル抗体を選択するために
慣用的に使用される。選択的な反応性の決定に使用され得る免疫アッセイ形式お
よび条件の記載については以下を参照のこと:HarlowおよびLane、A
ntibodies、A Laboratory Manual,Cold S
pring Harbor Publications、New York(1
988)。
【0049】 用語「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼ
ーション条件」は、他の配列よりも検出可能に高い程度(例えば、バックグラウ
ンドの少なくとも2倍を超える)まで、プローブが標的配列にハイブリダイズす
る条件に対する言及を含む。ストリンジェントな条件は、配列依存的でありそし
て異なる状況において異なる。ハイブリダイゼーション条件および/または洗浄
条件のストリンジェンシーを制御することによって、プローブに対して100%
相補的である標的配列が同定され得る(相同プロービング)。あるいは、ストリ
ンジェントな条件は、配列中のいくつかのミスマッチを許容するために調整され
得、ゆえにより低い程度の類似性が検出される(非相同プロービング)。一般的
に、プローブは約1000ヌクレオチド長未満であり、好ましくは500ヌクレ
オチド長未満である。
【0050】 代表的に、ストリンジェントな条件は、塩濃度が約1.5M Naイオン未満
であり、代表的には約0.01〜1.0M Naイオン濃度(もしくは他の塩)
で、pHは7.0〜8.3、そして温度は、短いプローブ(例えば、10〜50
ヌクレオチド)については少なくとも約30℃、そして長いプローブ(例えば、
50より長いヌクレオチド)については少なくとも約60℃である条件である。
ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によっても
達成され得る。例示的な低ストリンジェンシー条件としては、30〜35%ホル
ムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液
を用いた37℃におけるハイブリダイゼーション、そして50〜55℃における
1×〜2× SSC(20×SSC=3.0M NaCl/0.3M クエン酸
三ナトリウム)中の洗浄が挙げられる。例示的な中程度のストリンジェンシー条
件としては、40〜45%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中の37
℃におけるハイブリダイゼーション、そして55〜60℃における0.5×〜1
× SSC中の洗浄が挙げられる。例示的な高ストリンジェンシー条件としては
、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中の37℃におけるハイブ
リダイゼーション、そして60〜65℃における0.1× SSC中の洗浄が挙
げられる。
【0051】 特異性は、代表的にハイブリダイゼーション後の洗浄の関数であり、その重要
な因子は最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA−DNAハイブリ
ッドについて、Tmは、MeinkothおよびWahl、Anal.Bioc
hem.,138:267〜284(1984)の方程式から概算され得、その
式は:Tm=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.6
1(%form)−500/Lであり;ここでMは一価陽イオンのモル濃度であ
り、%GCはDNA中のグアノシンヌクレオチドおよびシトシンヌクレオチドの
百分率であり、%formはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの百
分率であり、そしてLは塩基対中のハイブリッドの長さである。Tmは、(規定
したイオン強度およびpHの下で)50%の相補的標的配列が、完全に一致した
プローブとハイブリダイズする温度である。Tmは、1%のミスマッチあたり約
1℃減少し;従って、Tm、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件は
、所望の同一性の配列とハイブリダイズするように調整され得る。例えば、≧9
0%同一性を有する配列が求められる場合、Tmは10℃低下され得る。一般的
に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHにおける特定の配
列およびその相補体についての熱融点(thermal melting po
int)(Tm)より約5℃低いように選択される。しかしながら、苛酷にスト
リンジェントな条件は、熱融点(Tm)より1、2、3または4℃低いハイブリ
ダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得;中程度にストリンジェントな条
件は、熱融点(Tm)より6、7、8、9、または10℃低いハイブリダイゼー
ションおよび/または洗浄を利用し得;低いストリンジェンシー条件は、熱融点
(Tm)より11、12、13、14、15または20℃低いハイブリダイゼー
ションおよび/または洗浄を利用し得る。この方程式、ハイブリダイゼーション
および洗浄組成、ならびに所望のTmを使用して、当業者は、ハイブリダイゼー
ションおよび/または洗浄溶液のストリンジェンシーのバリエーションが本質的
に記載されることを理解する。所望の程度のミスマッチが、45℃(水溶液)ま
たは32℃(ホルムアミド溶液)より低いTmをもたらす場合、SSC濃度を上
げるのが好ましく、その結果、より高い温度が使用され得る。核酸のハイブリダ
イゼーションに対する広範なガイドは以下に見出される:Tijssen、La
boratory Techniques in Biochemistry
and Molecular Biology−−Hybridization
with Nucleic Acid Probes、第I部、第2章「Ov
erview of principles of hybridizatio
n and the strategy of nucleic acid p
robe assays」、Elsevier、 New York(1993
);およびCurrent Protocols in Molecular
Biology、第2章、Ausubelら編、Greene Publish
ing and Wiley−Interscience、New York(
1995)。
【0052】 本明細書で使用される場合、「トランスジェニック植物」は、そのゲノムの中
に異種のポリヌクレオチドを含有する植物に対する言及を含む。一般的に、異種
のポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが、連続した世代に伝えられるよ
うにゲノムの中に安定に組み込まれる。異種のポリヌクレオチドは、単独で、ま
たは組換え発現カセットの一部としてゲノム中に組み込まれ得る。「トランスジ
ェニック」は本明細書中で、遺伝子型が、異種核酸の存在によって変更されてい
る、任意の細胞、細胞株、カルス、組織、植物の一部または植物を含むように使
用される。トランスジェニックとしては、初めにそのように変更されたトランス
ジェニック、および初めのトランスジェニックから有性交雑または無性繁殖によ
って作製されたトランスジェニックが挙げられる。本明細書中で使用される場合
、用語「トランスジェニック」は、従来の植物育種方法または天然に存在する事
象(例えば、ランダム交雑受精、非組換えウイルス感染、非組換え細菌形質転換
、非組換え転移もしくは自然変異によるゲノム(染色体または染色体外)の変化
は含まない。
【0053】 本明細書中で使用される場合、「ベクター」は、宿主細胞のトランスフェクシ
ョンに使用される核酸であって、その中にポリヌクレオチドが挿入され得る核酸
に対する言及を含む。ベクターは、しばしばレプリコンである。発現ベクターは
、発現ベクターに挿入された核酸の転写を許容する。
【0054】 以下の用語は、2以上の核酸またはポリヌクレオチドの間の配列の関係を記載
するために使用される:(a)「参照配列」、(b)「比較ウィンドウ」、(c
)「配列同一性」、(d)「配列同一性の百分率」、および(e)「実質的な同
一性」。
【0055】 (a)本明細書中で使用される場合、「参照配列」は、配列比較の基礎として
用いられる規定された配列である。参照配列は、指定した配列のサブセットまた
は全体であり得る:例えば、全長cDNAもしくは遺伝子配列のセグメント、ま
たは完全cDNAもしくは遺伝子配列。
【0056】 (b)本明細書中で使用される場合、「比較ウィンドウ」の意味は、ポリヌク
レオチド配列の連続しかつ指定されたセグメントに対する言及を含み、ここでこ
のポリヌクレオチド配列は参照配列と比較され得、そしてここで比較ウインドウ
中のポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適な整列のために参照配列
(これは付加も欠失も含まない)と比較して付加または欠失(すなわち、ギャッ
プ)を含み得る。一般的に、比較ウィンドウは、少なくとも20の連続したヌク
レオチド長であり、そして必要に応じて30、40、50、100またはより長
くであり得る。当業者は、ポリヌクレオチド配列中にギャップを含むことによる
、参考配列に対する高い類似性を避けるために、ギャップペナルティーが代表的
に導入されそして一致の数から差し引かれることを理解する。
【0057】 比較のための配列整列の方法は、当該分野で周知である。比較に最適な配列整
列は、以下によって行なわれ得る:SmithおよびWaterman、Adv
.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズム;
NeedlemanおよびWunsch、J.Mol.Biol.48:443
(1970)の相同性整列アルゴリズム;PearsonおよびLipman、
Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444(1988)の類似性
方法についての検索;以下に挙げられるこれらに限定されないアルゴリズムのコ
ンピューター化された実施:Intelligenetics、Mountai
n View,CaliforniaによるPC/Geneプログラム中のCL
USTAL;Wisconsin Genetics Software Pa
ckage、Genetics Computer Group(GCG)、5
75 Science Dr.、Madison、Wisconsin、USA
中の、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA
;CLUSTALプログラムは、HigginsおよびSharp、Gene
73:237−244(1988);HigginsおよびSharp、CAB
IOS 5:151−153(1989);Corpetら、Nucleic
Acids Research 16:10881−90(1988);Hua
ngら、Computer Applications in the Bio
sciences 8:155−65(1992);およびPearsonら、
Methods in Molecular Biology 24:307−
331(1994)によってよく記載される。
【0058】 データベース類似性検索に使用され得るBLASTファミリーのプログラムと
しては、以下が挙げられる:ヌクレオチドデーターベース配列に対するヌクレオ
チド照会配列についてのBLASTN;タンパク質データーベース配列に対する
ヌクレオチド照会配列についてのBLASTX;タンパク質データーベース配列
に対するタンパク質照会配列についてのBLASTP;ヌクレオチドデーターベ
ース配列に対するタンパク質照会配列についてのTBLASTN;およびヌクレ
オチドデーターベース配列に対するヌクレオチド照会配列についてのTBLAS
TX。Current Protocols in Molecular Bi
ology、第19章、Ausubelら編、Greene Publishi
ng and Wiley−Interscience、New York(1
995)を参照のこと。
【0059】 BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、公的に入手可能である(例
えば、National Center for Biotechnology
Information(http://www.ncbi.nlm.nih
.gov/)を通して)。このアルゴリズムは、照会配列中の長さWの短いワー
ドを同定することにより高スコアの配列対(HSP)を最初に同定することを含
み、これは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列される場合、何れか
の正の値の閾値スコアTと一致するかまたはTを満たすかのどちらかである。T
は、隣接ワードスコア閾値として言及される。これら初期隣接ワードヒットは、
それらを含む、より長いHSPを見出す探索の開始に対する種として作用する。
それから累積整列スコアが増加し得る限り、ワードヒットは、各配列に添って両
方の方向に伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメー
ターM(一対の一致した残基に対するリワード(reward)スコア;常に>
0)およびN(ミスマッチ残基に対するペナルティースコア;常に<0)を用い
て計算される。アミノ酸配列については、得点付け行列は、累積スコアを計算す
るために用いられる。各方向へのワードヒットの伸長は、以下の場合停止される
:累積整列スコアがその最大達成値から量X減少した場合;1以上の負の得点付
け残基整列の蓄積によって累積スコアがゼロ以下になる場合;またはどちらかの
配列の末端に到達した場合。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およ
びXは、整列の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオ
チド配列について)は、11のワード長(W)、10の期待値(E)、100の
カットオフ、M=5、N=−4、および両鎖の比較をデフォルトとして使用する
。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、3のワード長(W)、1
0の期待値(E)、およびBLOSUM62得点付け行列をデフォルトとして使
用する(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)。
【0060】 パーセント配列同一性を計算することに加えて、BLASTアルゴリズムは、
2配列間の類似性の統計的分析も実施する(例えば、KarlinおよびAlt
schul(1993)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 9
0:5873−5877を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって与え
られる類似性の1つの尺度は、最小和確率(P(N))であり、これは2つのヌ
クレオチドまたはアミノ酸の配列の間の一致が偶然起こる確率の指標を与える。
【0061】 BLAST検索は、タンパク質がランダム配列としてモデル化され得ると仮定
する。しかし、多くの実際のタンパク質は、ランダムでない配列の領域を含み、
これはホモポリマーの区域、短期反復、または1つ以上のアミノ酸が豊富な領域
であり得る。このように複雑性が低い領域は、たとえそのタンパク質の他の領域
が全く異なるとしても、関係のないタンパク質の間で整列され得る。多くの低複
雑性フィルタープログラムは、このような複雑性が低い整列を減らすために用い
られ得る。例えば、SEG(WootenおよびFederhen、Compu
t.Chem.、17:149−163(1993))およびXNU(Clav
erieおよびStates、Comput.Chem.、17:191−20
1(1993)低複雑性フィルターは、単独で、または組み合わせて用いられ得
る。
【0062】 GAPは、一致数を極大化しかつギャップ数を極小化する2つの完全配列の整
列を見出すためにNeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Bio
l.48:443−453、1970)のアルゴリズムを使用する。GAPは全
ての可能な整列およびギャップの位置を考慮し、そして最大数の一致塩基および
最少のギャップを有する整列を作成する。これは、一致塩基を単位にしたギャッ
プ作成ペナルティーおよびギャップ伸長ペナルティーの供給を可能にする。GA
Pは、その挿入する各ギャップに対する一致のギャップ作成ペナルティー数の利
益を得なければならない。ゼロより大きいギャップ伸長ペナルティーが選択され
た場合、さらに、GAPは、(ギャップの長さ)×(ギャップ伸長ペナルティー
)という挿入された各ギャップについて利益を得なければならない。ギャップ作
成ペナルティーのデフォルト値およびギャップ伸長ペナルティーのデフォルト値
は、タンパク質配列についてのWisconsin Genetics Sof
tware Packageの第10版中ではそれぞれ8および2である。ヌク
レオチド配列については、ギャップ伸長ペナルティーのデフォルトは3であるが
、ギャップ作成ペナルティーのデフォルトは50である。ギャップ作成ペナルテ
ィーおよびギャップ伸長ペナルティーは、0〜200からなる整数の群より選択
される整数として表現され得る。従って、例えば、ギャップ作成ペナルティーお
よびギャップ伸長ペナルティーは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、
55、60、65以上であり得る。
【0063】 GAPは、最良の整列のファミリーの1つのメンバーを表す。このファミリー
には多くのメンバーが存在し得るが、他のどのメンバーもより良い品質を有さな
い。GAPは、整列についてのメリットの4つの数字を表示する:品質、割合、
同一性、および類似性。品質は、配列を整列させるために最大化された測定基準
である。割合は、より短いセグメント中の塩基数で割った品質である。パーセン
ト同一性は、実際に一致した記号のパーセントである。パーセント類似性は、類
似する記号のパーセントである。ギャップの向かいの記号は無視される。類似性
は、一対の記号に対する得点行列値が、類似性の閾値である0.50以上である
場合、得点付けされる。Wisconsin Genetics Softwa
re Packageの第10版中で使用される得点付け行列は、BLOSUM
62である(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)。
【0064】 他に明記しない限り、本明細書中で与えられる配列の同一性/類似性値は、デ
フォルトパラメーターを用いたBLAST2.0プログラムのパッケージ(Al
tschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−34
02、1997;Altschulら、J.Mol.Bio.215:403−
410、1990)を用いて得られる値、またはデフォルトパラメーターを用い
たGAPプログラム(Wisconsin Genetics Softwar
e Package、Genetics Computer Group(GC
G)、575 Science Dr.、Madison、Wisconsin
、USAを参照のこと)を用いて得られる値を言及する。
【0065】 (c)本明細書中で使用される場合、2つの核酸またはポリペプチドの配列の
状況で、「配列同一性」または「同一性」は、指定された比較ウインドウについ
て最大一致となるように整列化された場合に同一である、2つの配列中の残基に
対する言及を含む。配列同一性のパーセンテージがタンパク質に関連して使用さ
れる場合、同一でない残基の位置は、しばしば保存的アミノ酸置換によって異な
ることが認識され、ここでアミノ酸残基は、類似の化学的特性(例えば、電荷ま
たは疎水性)を有する他のアミノ酸残基について置換され、そしてそれゆえ分子
の機能的特性を変化させない。配列が保存的置換によって異なる場合には、パー
セント配列同一性は、置換の保存的性質に対し補正すために上向きに調整され得
る。そのような保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」または「類似
性」を有すると言われる。この調整を行うための手段は、当業者に対して周知で
ある。代表的に、これは、全体のミスマッチよりはむしろ部分的なミスマッチと
して保存的置換を得点付けすることを含み、それによって配列同一性のパーセン
テージが増加する。従って、例えば、同一のアミノ酸に得点1が与えられ、かつ
非保存的置換に得点ゼロが与えられるとき、保存的置換にはゼロと1との間の得
点が与えられる。保存的置換の得点付けは、例えば、MeyersおよびMil
ler、Computer Applic.Biol.Sci.、4:11−1
7(1988)のアルゴリズムに従って、例えばPC/GENE(Intell
igenetics、Mountain View、California、U
SA)プログラム中で実行されるように計算される。
【0066】 (d)本明細書中で使用される場合「配列同一性のパーセンテージ」は、比較
ウィンドウについて2つの最適に整列された配列の比較によって決定される値を
意味し、ここで、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配
列の最適なアラインメントに対して、参照配列(これは付加または欠失を含まな
い)と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテ
ージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両配列中で生じて一致した位置の
数を得る位置の数を決定し、一致した位置の数を比較ウインドウ中の合計位置数
で割り、そしてその結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得るこ
とによって計算される。
【0067】 (e)(i)ポリヌクレオチド配列の用語「実質的な同一性」は、ポリヌクレ
オチドが、標準的なパラメーターを用いて記載されるアラインメントプログラム
の内の1つを用いて、参照配列と比較して少なくとも70%配列同一性、好まし
くは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましく
は少なくとも95%を有する配列を含むことを意味する。当業者は、コドン縮重
、アミノ酸類似性、リーディングフレームの位置決定などを考慮することによっ
て、2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性
を決定するためにこれらの値が適切に調整され得ることを認識する。これらの目
的のために、アミノ酸配列の実質的同一性は、通常は、少なくとも60%、より
好ましくは少なくとも70%、80%、90%、そして最も好ましくは少なくと
も95%の配列同一性を意味する。
【0068】 ヌクレオチド配列が実質的に同一である別の指標は、2つの分子がストリンジ
ェントな条件下で互いにハイブリダイズするかどうかである。しかし、ストリン
ジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸は、その核酸がコードする
ポリペプチドが実質的に同一である場合、それでもなお実質的に同一である。こ
れは、例えば、核酸のコピーが遺伝コードによって許容される最大コドン縮重を
用いて作製される場合に起こり得る。2つの核酸配列が実質的に同一である1つ
の指標は、1番目の核酸がコードするポリペプチドが、2番目の核酸によってコ
ードされるポリペプチドと免疫学的に交叉反応性であることである。
【0069】 (e)(ii)ペプチドの状況における用語「実質的同一性」は、ペプチドが
、指定した比較ウィンドウについて参照配列に対して少なくとも70%配列同一
性、参照配列に対して好ましくは80%、より好ましくは85%、最も好ましく
は少なくとも90%または95%配列同一性を有する配列を含有することを示す
。必要に応じて、最適なアラインメントは、NeedlemanおよびWuns
ch、J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメン
トアルゴリズムを用いて行なわれる。2つのペプチド配列が実質的に同じである
という指標は、1つ目のペプチドが2番目のペプチドに対して惹起された抗体と
免疫学的に反応性であることである。従って、例えば、2つのペプチドが保守的
な置換によってのみ異なる場合には、ペプチドは2番目のペプチドと実質的に同
一である。「実質的類似」であるペプチドは、同一でない残基の位置が保存的ア
ミノ酸変化によって異なり得る以外、上記に述べたような配列を共有する。
【0070】 (発明の詳細な説明) (概要) 本発明は、とりわけ、植物中の本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド
のレベルを調節する(すなわち、増加または減少させる)ための組成物および方
法を提供する。特に、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、組換え
操作されていない植物に特徴的でない、例えば、発生段階において、組織中で、
および/または量で、時間的にかまたは空間的に発現され得る。従って、植物の
形質転換における選択マーカーのような例示的な適用において有用性を提供する
【0071】 本発明はまた、遺伝子転写物の検出、定量、または、単離におけるプローブま
たは増幅プライマーとして使用するための本発明の遺伝子に対して十分な長さお
よび相補性のポリヌクレオチドを含む、単離された核酸を提供する。例えば、本
発明の単離された核酸は、所望のトランスジェニック植物についてのスクリーニ
ングにおけるmRNAレベルの欠乏を検出する際にプローブとして、遺伝子中の
変異(例えば、置換、欠失、または付加)を検出するのために、発現のアップレ
ギュレーションまたは化合物のスクリーニングアッセイにおける酵素活性の変化
のモニタリングのために、遺伝子の任意の数の対立遺伝子改変体(多型性)、オ
ルソログ(ortholog)、パラログ(paralog)の検出のために、
または真核生物細胞における部位特異的変異誘発のために、使用され得る(例え
ば米国特許第5,565,350号を参照のこと)。本発明の単離された核酸は
また、それらのコードされたポリペプチドの組換え発現のために、または抗体の
調製および/もしくはスクリーニングにおける免疫原として使用するために、使
用され得る。本発明の単離された核酸はまた、宿主細胞、組織、または植物中の
本発明の一つ以上の遺伝子のセンス抑制またはアンチセンス抑制の使用に用いら
れ得る。本発明の単離された核酸に対して、結合、インターカレート、切断、お
よび/または架橋する化学薬剤の付着はまた、転写または翻訳の調節に使用され
得る。
【0072】 本発明はまた、本発明のポリペプチド(例えば、プレプロ酵素、プロ酵素、ま
たは酵素)を含む単離されたタンパク質を提供する。本発明はまた、本発明のポ
リペプチド由来の少なくとも一つのエピトープを含むタンパク質を提供する。本
発明のタンパク質は、酵素機能の酵素アゴニストもしくは酵素アンタゴニストの
アッセイにおいて、または本発明のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を得
るための免疫原もしくは抗原としての使用のために用いられ得る。そのような抗
体は、発現レベルのアッセイにおいて発現ライブラリー由来の本発明の核酸の同
定および/もしくは単離のために、他の種由来の相同ポリペプチドの同定のため
に、または本発明のポリペプチドの精製のために使用され得る。
【0073】 本発明の単離された核酸およびタンパク質は、広範囲の植物種、特に、Hor
deum、Secale、Triticum、Sorghum(例えば、S.b
icolor)およびZea(例えば、Z.mays)を含むGraminea
e科の種のような単子葉植物に渡って使用され得る。本発明の単離された核酸お
よびタンパク質はまた、以下の属由来の種に使用され得る:Cucurbita
、Rosa、Vitis、Juglans、Fragaria、Lotus、M
edicago、Onobrychis、Trifolium、Trigone
lla、Vigna、Citrus、Linum、Geranium、Mani
hot、Daucus、Arabidopsis、Brassica、Raph
anus、Sinapis、Atropa、Capsicum、Datura、
Hyoscyamus、Lycopersicon、Nicotiana、So
lanum、Petunia、Digitalis、Majorana、Cia
horium、Helianthus、Lactuca、Bromus、Asp
aragus、Antirrhinum、Heterocallis、Neme
sis、Pelargonium、Panieum、Pennisetum、R
anunculus、Senecio、Salpiglossis、Cucum
is、Browaalia、Glycine、Pisum、Phaseolus
、Lolium、Oryza、およびAvena。
【0074】 (核酸) 本発明は、とりわけ、本発明のポリヌクレオチドを含む、RNA、DNAなら
びにそれらのアナログおよび/またはキメラの単離された核酸を提供する。
【0075】 本発明のポリヌクレオチドは、以下を含む: (a)配列番号2、4、および6のポリペプチド、ならびにそれらの保存的に
改変された改変体および多型性の改変体をコードするポリヌクレオチド(配列番
号1、3、5の例示的なポリヌクレオチドを含む);本発明のヌクレオチド配列
はまた、割り当て登録番号207056、207057、および207058と
してAmerican Type Culture Collection(A
TCC)に寄託されたプラスミド中に含まれるようなトウモロコシADA遺伝子
配列を含む。
【0076】 (b)配列番号1、3および5、ならびにATCC寄託割り当て登録番号20
7056、207057、および207058に含まれるような配列からなる群
より選択されるポリヌクレオチド中の遺伝子座に対して、ストリンジェントな条
件下において選択的にハイブリダイズするプライマー対を使用した、Zea m
ays核酸ライブラリー由来の増幅産物であるポリヌクレオチド;ここで、この
ポリヌクレオチドは、配列番号1、3、および5からなる群より選択されるポリ
ヌクレオチドに対する実質的な配列同一性を有する;または、ATCC寄託割り
当て登録番号207056、207057、および207058に含まれるよう
な配列。
【0077】 (c)(a)または(b)のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする
ポリヌクレオチド; (d)(a)、(b)、または(c)のポリヌクレオチドとの指定された配列
同一性を有するポリヌクレオチド; (e)プロトタイプポリペプチド由来の指定された数の連続したアミノ酸を有
するタンパク質をコードするポリヌクレオチドであって、ここで、このタンパク
質は、このタンパク質の提示によって誘発された抗血清により特異的に認識され
、そして、ここでこのタンパク質は、このタンパク質に十分に免疫吸着された抗
血清に対して検出可能に免疫反応しないポリヌクレオチド; (f)(a)、(b)、(c)、(d)または(e)のポリヌクレオチドの相
補的な配列;ならびに (g)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)のポリヌクレオ
チド由来の少なくとも特定の数の連続したヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチ
ド。
【0078】 配列番号1、3、および5のポリヌクレオチドは、American Typ
e Culture Collection(ATCC)に、1999年1月1
9日に寄託され、そして、それぞれ登録番号207056、207057、およ
び207058を割り当てられたプラスミドに含まれる。American T
ype Culture Collectionは、10801 Univer
sity Blvd.,Manassas,VA 20110−2209に位置
する。
【0079】 ATCC受託物は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペス
ト条約の約定の下で、維持される。受託物は、当業者への便宜として提供され、
そして米国特許法第112条の下で寄託が要求されるという承認ではない。寄託
された配列、およびその配列によりコードされるポリペプチドは、本明細書に参
考として、そして本出願における記載について何らかの矛盾(例えば、配列決定
の誤り)がある場合の統制手段として、採用される。
【0080】 (A.本発明のポリペプチド、またはその保存的に改変された改変体もしくは
多型性改変体をコードするポリヌクレオチド) 上記(a)に記載されたように、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む
単離された核酸を提供し、ここで、このポリヌクレオチドは、本発明のポリペプ
チド、または、その保存的に改変された改変体もしくは多型性改変体をコードす
る。従って、本発明は、配列番号1、3、および5のポリヌクレオチド、ならび
にATCC寄託割り当て登録番号207056、207057、および2070
58に含まれるような配列、ならびに、配列番号2、4、6のポリペプチドをコ
ードするポルヌクレオチドのサイレントバリエーションを含む。本発明はさらに
、配列番号2、4、6のポリペプチドの保存的に改変された改変体をコードする
ポリヌクレオチドを含む単離された核酸を提供する。保存的に改変された改変体
は、非改変体ポリペプチドに対して免疫反応性の抗体を生成または選択するため
に使用され得る。加えて、本発明はさらに、ポリペプチド/ポリヌクレオチドの
一つ以上の対立遺伝子(多型性)改変体をコードするポリヌクレオチドを含む単
離された核酸を提供する。多型性の改変体は、例えば、作物の改良のためのマー
カー補助的選択方法において染色体領域の分離を追跡するために、頻繁に使用さ
れる。
【0081】 (B.Zea mays核酸ライブラリーから増幅されたポリヌクレオチド) 上記(b)に示されたように、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む単
離された核酸を提供する、ここでこのポリヌクレオチドは、Zea mays核
酸ライブラリーから増幅される。Zea mays系統B73、PHRE1、A
632、BMS−P2#10、W23、およびMo17は既知であり、そして公
に入手可能である。他の公に既知であり、そして入手可能なトウモロコシ系統は
、Maize Genetics Cooperation(Urbana,I
L)より、得られ得る。核酸ライブラリーは、cDNAライブラリー、ゲノムラ
イブラリー、または、概してイントロンプロセシングの任意の段階における核転
写物より構築されたライブラリーであり得る。cDNAライブラリーは、相対的
に稀なcDNAの提示を増加させるために基準化され得る。任意の実施形態では
、cDNAライブラリーは、全長cDNA合成方法を使用して構築される。その
ような方法の例としては、Oligo−Capping(Maruyama,K
.およびSugano,S.Gene 138:171−174,1994)、
Biotinylated CAP Trapper(Carninci,P.
,Kvan,C.ら,Genomics 37:327−336,1996)、
およびCAP Retention Procedure(Edery,E.,
Chu,L.L.ら,Molecular and Cellular Bi
ology 15:3363−3371,1995)が挙げられる。cDNA合
成はしばしば、RNA二次構造の形成を防ぐために、50℃〜55℃において触
媒される。これらの温度において比較的安定である逆転写酵素の例は、Supe
rScriptII Reverse Transcriptase(Life
Technologies,Inc.)、AMV Reverse Tran
scriptase(Boehringer Mannheim)、およびRe
troAmp Reverse Transcriptase(Epicent
re)である。急速に増殖する組織、または急速に分裂する細胞は、好ましくは
mRNA源として使用される。
【0082】 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドの部分配列を提供する。種々の部分
配列は、本発明のポリヌクレオチド中の少なくとも2つの部位に、または本発明
のポリヌクレオチドに隣接し、そしてこれを含む核酸中の2つの部位に、または
本発明のポリヌクレオチド中の1つの部位および本発明のポリヌクレオチドを含
む核酸中の1つの部位にストリンジェントな条件下において選択的にハイブリダ
イズするプライマーを使用して得られ得る。プライマーは、本発明のポリヌクレ
オチドに対してストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハ
イブリダイズするように選択される。概して、プライマーは、それらが増幅する
標的核酸の部分配列に対して相補的である。当業者が理解するように、プライマ
ー対が選択的にハイブリダイズする部位は、所望される増幅条件下で単一の連続
した核酸が形成され得るように選択される。
【0083】 任意の実施形態では、プライマーは、それらが本発明のポリヌクレオチドのカ
ルボキシ末端またはアミノ末端のアミノ酸残基(すなわち、それぞれ、3’末端
をコードする領域および5’末端をコードする領域)をコードするコドンを含む
標的核酸中の配列(またはそれの相補体)に対してストリンジェントな条件下で
選択的にハイブリダイズするように構築される。これらの実施形態において任意
に、プライマーは、cDNA標的の増幅産物がそのcDNAのコード領域からな
るように本発明の標的ポリヌクレオチドのコード領域内全体に選択的にハイブリ
ダイズするように構築される。プライマーのヌクレオチド長は、少なくとも15
から50までからなる整数の群より選択される。従って、プライマーは、少なく
とも15、18、20、25、30、35、40、または50のヌクレオチド長
であり得る。当業者は、長くしたプライマー配列が、標的配列に対する結合特異
性(すなわち、アニーリング)を増加させるために使用され得ると認識する。プ
ライマーの5’末端のアニーリングしない配列(「テイル」)は、例えば、アン
プリコンの末端にクローニング部位を導入するために付加され得る。
【0084】 増幅産物は、当業者に周知の、そして以下に記載のような発現系を使用して翻
訳され得る。得られる翻訳産物は、例えば、適切な触媒活性(例えば、特異的活
性および/または基質特異性)についてアッセイすることによって、または、本
発明のポリペプチドに対して特異的な一つ以上の直鎖状エピトープの存在を確認
することによって本発明のポリペプチドであると確認され得る。PCR由来の鋳
型からのタンパク質合成の方法は、当該分野において公知であり、そして市販さ
れている。例えば、Amersham Life Sciences,Inc.
の1997年カタログ、354頁を参照のこと。
【0085】 ベクター挿入物の5’末端および/または3’末端を得るための方法は、当該
分野において周知である。例えば、Frohman,M.A.,PCR Pro
tocols:A Guide to Methods and Applic
ations,M.A.Innis,D.H.Gelfand,J.J.Sni
nsky,T.J.White編(Academic Press,Inc.,
San Diego),28−38頁(1990)に記載されたような、RAC
E(Rapid Amplification of Complementa
ry Ends)を参照のこと;米国特許第5,470,722号およびCur
rent Protocols in Molecular Biology,
Unit 15.6,Ausubelら編、Greene Publishin
g and Wiley−Interscience,New York(19
95);FrohmanおよびMartin,Techniques 1:16
5(1989)もまた参照のこと。
【0086】 (C.(A)または(B)のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする
ポリヌクレオチド) 上記の(c)に示したように、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む単
離された核酸を提供し、ここで、このポリヌクレオチドは、選択的なハイブリダ
イゼーション条件下で、上で議論したように段落(A)または(B)のポリヌク
レオチドに選択的にハイブリダイズする。従って、この実施形態のポリヌクレオ
チドは、(A)または(B)のポリヌクレオチドを含んでいる核酸を単離、検出
、および/または定量するために使用され得る。例えば、本発明のポリヌクレオ
チドは、寄託されたライブラリーにおいて、部分または全長のクローンを同定、
単離、または増幅するために使用され得る。いくつかの実施形態において、その
ポリヌクレオチドは、双子葉植物または単子葉植物の核酸ライブラリーから単離
されたゲノム配列もしくはcDNA配列であるか、さもなければそのようなライ
ブラリー由来のcDNAに相補的である。単子葉植物および双子葉植物の例示的
な種としては、トウモロコシ、カノーラ、ダイズ、ワタ、コムギ、ソルガム、ヒ
マワリ、オートムギ、サトウキビ、キビ、オオムギ、およびイネが挙げられるが
、これらに限定されない。必要に応じて、cDNAライブラリーは、少なくとも
80%の全長の配列、好ましくは、少なくとも85%または90%の全長配列、
そしてより好ましくは、少なくとも95%の全長配列を含む。cDNAライブラ
リーは、稀な配列の提示を増加させるために正規化され得る。低いストリンジェ
ンシーのハイブリダイゼーション条件は代表的に、排他的にではないが、相補的
な配列に対して低下した配列同一性を有する配列と共に用られる。中程度および
高いストリンジェンシー条件は、より同一性が高い配列のために必要に応じて使
用され得る。低いストリンジェンシー条件は、約70%配列同一性を有する配列
の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし得、そしてオーソロガス配列または
パラロガス配列を同定するために使用され得る。
【0087】 (D.(A)、(B)または(C)のポリヌクレオチドとの特定の配列同一性
を有するポリヌクレオチド) 上記(d)で示したように、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む単離
された核酸を提供し、ここで、このポリヌクレオチドは、上記の段落(A)、(
B)または(C)において上で開示したようなポリヌクレオチドに対してヌクレ
オチドレベルで指定された同一性を有する。参照配列に対する同一性のパーセン
テージは、少なくとも60%であり、そして最も近い整数に切上げて、60から
99までからなる整数の群から選択される整数として表され得る。従って、例え
ば、参照配列に対する同一性のパーセンテージは、少なくとも70%、75%、
80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、
89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、
98%、または99%であり得る。
【0088】 必要に応じて、この実施形態のポリヌクレオチドは、段落(A)、(B)また
は(C)のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドとエピトープを共
有するポリペプチドをコードする。従って、これらのポリヌクレオチドは、(A
)、(B)または(C)のポリヌクレオチドによりコードされる第2のポリペプ
チドに特異的に反応性な抗体を含む抗血清の産生を誘発する第1のポリペプチド
をコードする。しかし、抗血清を、第1のポリペプチドと完全に免疫吸着したと
き、第1のポリペプチドは、それ自体に対して惹起される抗血清に結合しない。
それ故、この実施形態のポリヌクレオチドは、例えば、(A)、(B)もしくは
(C)のポリヌクレオチドを含む核酸の発現ライブラリーのスクリーニングにお
いて使用するための抗体を産生するために、または(A)、(B)もしくは(C
)のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの精製もしくは免疫アッ
セイのために使用され得る。この実施形態のポリヌクレオチドは、本発明のポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドへの選択的なハイブリダイゼーションの
ために使用され得る核酸配列を含む。
【0089】 抗血清への特異的な結合についてポリペプチドをスクリーニングすることは、
ペプチドディスプレイライブラリーを使用して、好都合に達成され得る。この方
法は、所望する機能または構造を有する個々のメンバーについて、ペプチドの大
きな収集物をスクリーニングする工程を含む。ペプチドディスプレイライブラリ
ーの抗体スクリーニングは、当該分野で周知である。そのディスプレイされたペ
プチド配列は、3から5000またはそれよりも多いアミノ酸長、頻繁に5から
100アミノ酸長、そしてしばしば約8から15アミノ酸長であり得る。ペプチ
ドライブラリーを産生するための、直接的な化学合成方法に加えて、いくつかの
組換えDNA法が記載されている。あるタイプは、バクテリオファージまたは細
胞の表面でのペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージまたは
細胞は、ディスプレイされた特定のペプチド配列をコードするヌクレオチド配列
を含む。このような方法は、PCT特許公開番号91/17271号、同第91
/18980号、同第91/19818号および同第93/08278号に記載
されている。ペプチドのライブラリーを作成するための他の系は、インビトロ化
学合成および組換え方法の両方の局面を有する。PCT特許公開番号第92/0
5258号、第92/14843号および同第96/19256号を参照のこと
。米国特許番号第5,658,754号;および同第5,643,768号もま
た参照のこと。ペプチドディスプレイライブラリー、ベクターおよびスクリーニ
ングキットは、Invitrogen(Carlsbad,CA)のような供給
業により市販されている。
【0090】 E.プロトタイプポリペプチド由来の部分配列を有し、そしてプロトタイプポ
リペプチドに対して交差反応性であるタンパク質をコードするポリヌクレオチド 上記のように、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む単離された核酸を
提供し、ここで、そのポリヌクレオチドは、上記に提供されるような本発明のプ
ロトタイプポリペプチド由来の連続するアミノ酸の部分配列を有するタンパク質
をコードする。プロトタイプポリペプチド由来の連続するアミノ酸の長さは、少
なくとも10からそのプロトタイプ配列内のアミノ酸の数からなる整数の群から
選択される。従って、例えば、そのポリヌクレオチドは、プロトタイプポリペプ
チドからの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、また
は50の連続するアミノ酸を有する部分配列を有するポリペプチドをコードし得
る。さらに、本実施形態のポリヌクレオチドによってコードされるこのような部
分配列の数は、1〜20からなる群から選択される任意の整数(例えば、2、3
、4、または5)であり得る。その部分配列は、1からその配列内のヌクレオチ
ドの数までのヌクレオチドの任意の整数(例えば、少なくとも5、10、15、
25、50、100、または200ヌクレオチド)によって分離され得る。
【0091】 この実施形態のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質は、免疫源
として提示される場合、上記(a)または(b)のポリヌクレオチドによってコ
ードされるポリペプチドのような、しかし、これらに限定されないプロトタイプ
ポリペプチドに特異的に結合するポリクローナル抗体の産生を誘発する。一般に
、しかし、この実施形態のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質は
、その抗血清がプロトタイプポリペプチドに充分に免疫吸着されている場合、こ
のプロトタイプポリペプチドに対して惹起された抗血清に結合しない。抗体結合
特異性/親和性を作製するためおよびアッセイするための方法は、当該分野で周
知である。例示的な免疫アッセイ形式には、ELISA、競合イムノアッセイ、
ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロット、間接的免疫蛍光アッセイなどが含
まれる。
【0092】 好ましいアッセイ方法には、プロトタイプポリペプチドに対して惹起された充
分に免疫吸着され、かつプールされた抗血清が、そのタンパク質を試験するため
に競合結合アッセイにおいて使用され得る。抗血清のそのプロトタイプポリペプ
チドに対する結合の50%を阻害するのに必要とされるプロトタイプポリペプチ
ドの濃度が決定される。結合を阻害するために要求されるそのタンパク質の量が
、プロトタイプタンパク質の量の二倍未満である場合、そのタンパク質は、その
免疫原に対して惹起された抗血清に特異的に結合すると言われる。従って、本発
明のタンパク質は、対立遺伝子改変体、保存的に改変された改変体、およびプロ
トタイプポリペプチドに対するわずかな組換え修飾を包含する。
【0093】 本発明のポリヌクレオチドは、必要に応じて、本発明の全長非グリコシル化ポ
リペプチドの分子量の20%以内のその非グリコシル化タンパク質としての分子
量を有するタンパク質をコードする。分子量は、容易に、還元条件下でSDS−
PAGEによって決定され得る。必要に応じて、その分子量は、本発明の全長ポ
リペプチドの15%以内であり、より好ましくは、10%もしくは15%以内、
そして最も好ましくは、本発明の全長ポリペプチドの3%、2%、または1%以
内である。
【0094】 必要に応じて、この実施形態のポリヌクレオチドは、本発明の天然の、内因性
の全長ポリペプチドを含む細胞抽出物の少なくとも50%、60%、80%、ま
たは90%の特定の酵素活性を有するタンパク質をコードする。さらに、この実
施形態のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質は、必要に応じて、
天然の内因性の全長タンパク質と実質的に類似の親和性定数(Km)および/ま
たは触媒活性(すなわち、微視的速度定数、kcat)を有する。当業者は、kcat /Km値が競合する基質に対する特異性を決定し、そしてしばしばその特異性定
数として言及されることを認識する。この実施形態のタンパク質は、そのポリペ
プチドの内因性基質を使用して決定された本発明の全長ポリペプチドの少なくと
も10%のkcat/Km値を有し得る。必要に応じて、kcat/Km値は、本発明の
全長ポリペプチドのkcat/Km値の少なくとも20%、30%、40%、50%
、そして最も好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%、または
95%である。kcat、Km、およびkcat/Kmの決定は、当業者に周知の任意の
数の手段によって決定され得る。例えば、開始速度(すなわち、反応の最初の5
%以下)は、迅速な混合およびサンプリングの技術(例えば、連続流、ストップ
ドフロー、または迅速クエンチング技術)、フラッシュ光分解、または緩和法(
例えば、温度ジャンプ)を、分光光度法、分光蛍光分析、核磁気共鳴、または放
射能手順のような例示的な測定の方法と組み合わせて、使用して決定され得る。
動力学的な値は、Lineweaver−BurkまたはEadie−Hofs
teeプロットを使用して、都合良く得られる。
【0095】 F.(A)〜(E)のポリヌクレオチドに対する相補的ポリヌクレオチド 上記(f)に示されるように、本発明は、上記段落A〜Eのポリヌクレオチド
に相補的なポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを包含する単離された
核酸を提供する。当業者は、セクション(A)から(E)のポリヌクレオチドと
その長さの全体にわたって相補的な配列塩基対(すなわち、その全体の長さにわ
たって100%の配列同一性を有する)を認識する。相補的な塩基は、二本鎖核
酸において水素結合を介して結合する。例えば、以下の塩基対は、相補的である
:グアニンおよびシトシン;アデニンおよびチミン;なぜならアデニンおよびウ
ラシル。
【0096】 G.(A)から(F)のポリヌクレオチドの部分配列であるポリヌクレオチド 上記(g)に示されるように、本発明は、上記のセクション(A)から(F)
のポリヌクレオチドからの少なくとも15の連続する塩基を包含するポリヌクレ
オチドを包含する単離された核酸を提供する。そのポリヌクレオチドの長さは、
少なくとも15から、そのポリヌクレオチドがその部分配列である核酸配列の長
さまでからなる群から選択される整数として与えられる。従って、例えば、本発
明のポリヌクレオチドは、(A)から(F)のポリヌクレオチドからの、少なく
とも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、7
0、75、80、90、100、150、または200の連続するヌクレオチド
長を含むポリヌクレオチドを包含する。必要に応じて、この実施形態のポリヌク
レオチドによってコードされるこのような部分配列の数は、1〜20からなる群
から選択される任意の整数(例えば、2、3、4、または5)であり得る。その
部分配列は、1から、少なくとも5、10、15、25、50、100、または
200ヌクレオチドのような配列におけるヌクレオチドの数の、ヌクレオチドの
任意の整数によって分離され得る。
【0097】 本発明の部分配列は、それが由来する配列の構造的な特徴を包含し得る。ある
いは、部分配列は、それが由来したより大きな配列の特定の構造的特徴を欠き得
る。例えば、上記(a)に提供されるプロトタイプポリペプチド配列に共通する
少なくとも1つの直線状のエピトープを有するポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチドからの部分配列は、そのプロトタイプ配列に共通するエピトープをコ
ードし得る。あるいは、部分配列は、そのプロトタイプに共通するエピトープを
コードしないかもしれないが、例えば、それが由来した配列との核酸ハイブリダ
イゼーションによって、より大きな配列を単離するために使用され得る。部分配
列は、核酸に結合し、インターカレートし、切断し、および/または架橋するそ
の部分配列化合物に導入することによって、遺伝子発現を調節または検出するた
めに使用され得る。例示的な化合物には、アクリジン、ソラレン、フェナントロ
リン、ナフトキノン、ダウノマイシン、またはクロロエチルアミノアリール結合
体が含まれる。
【0098】 核酸の構築 本発明の単離された核酸は、(a)標準的な組換え法、(b)合成技術、また
はそれらの組み合わせを使用して作製され得る。いくつかの実施形態において、
本発明のポリヌクレオチドは、クローニングされ、増幅され、またはそうでなけ
れば、単子葉植物から構築される。好ましい実施形態において、単子葉植物は、
Zea maysである。
【0099】 核酸は、都合良く、本発明のポリヌクレオチドに加えて、配列を含み得る。例
えば、1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を包含するマルチクローニング部
位は、核酸中に挿入され得、ポリヌクレオチドの単離を補助し得る。また、翻訳
可能な配列は、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離を補助するために挿
入され得る。例えば、ヘキサヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を
精製するための都合良い手段を提供する。本発明のポリヌクレオチドは、本発明
のポリヌクレオチドの発現のために、クローニングおよび/または発現のために
、ベクター、アダプター、またはリンカーに結合され得る。さらなる配列は、ク
ローニングおよび/または発現におけるそれらの機能を最適化するために、その
ポリヌクレオチドの単離を補助するために、またはそのポリヌクレオチドの細胞
への導入を改善するために、このようなクローニングおよび/または発現配列に
付加され得る。代表的には、本発明のポリヌクレオチドの長さのよりも短い本発
明の核酸の長さは、20キロベース対よりも短く、しばしば、15kbよりも短
く、そして頻繁に、10kbよりも短い。クローニングベクター、発現ベクター
、アダプタ、およびリンカーの使用は、周知であり、そして広範に当該分野にお
いて記載されている。種々の核酸の記載については、例えば、Stratage
ne Cloning Systes,Catalogs 1995,1996
,1997(La Jolla,CA);およびAmersham Life
Scieces,Inc.Catalog ’97(Arlington He
ights,IL)を参照のこと。
【0100】 A.核酸の構築のための組換え法 本発明の単離された核酸組成物(例えば、RNA、cDNA、ゲノムDNA、
またはこれらのハイブリッド)は、当該分野で公知の任意の数のクローニング方
法論を使用して、植物の生物学的供給源から得られ得る。いくつかの実施形態に
おいて、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本発明のポリヌ
クレオチドに選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブは、cD
NAまたはゲノムDNAライブラリーにおいて、所望の配列を同定するために使
用され得る。RNAの単離、cDNAライブラリーおよびゲノムDNAライブラ
リーの構築が当業者に周知である一方、以下は、利用される方法のいくつかを強
調する。
【0101】 A1.mRNA単離および精製 植物細胞からの総RNAは、ミトコンドリアRNA、葉緑体RNA、rRNA
、tRNA、hnRNAおよびmRNAのような核酸を包含する。総RNA調製
物は、代表的には、細胞の溶解、および細胞小器官およびタンパク質の除去、続
いて、核酸の沈降を包含する。植物細胞からの総RNAの抽出は、種々の手段に
より達成され得る。頻繁に、抽出緩衝液は、強力な界面活性剤(例えば、SDS
)および有機変性剤(例えば、グアニジンイソチオシアネート、グアニジンHC
lまたはフェノール)を含む。総RNAの単離の後、poly(A)+mRNA
は、代表的には、オリゴ(dT)セルロースを使用して、残りのRNAから精製
される。例示的な総RNAおよびmRNA単離プロトコルは、Plant Mo
lecular Biology:A Laboratory Manual,
Clark,編、Springer−Verlag,Berlin(1997
);およびCurrent Protocols in Molecular
Biology,Ausubel編、Greene Publishing a
nd Wiley−Interscience,New York(1995)
に記載される。総RNAおよびmRNA単離キットは、Stratagene(
LaJolla,CA)、Clonetech(Palo Alto,CA)、
Pharmacia(Piscataway,NJ)および5’−3’(Pao
li Inc.,PA)のような供給業者から市販されている。米国特許第5,
614,391号;および同第5,459,253号を参照のこと。mRNAは
、サイズ範囲が約0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、または3.0kb
の集団へと画分化され得る。これらの画分の各々について合成されたcDNAは
、ベクターを挿入する前に、そのmRNAと同じサイズ範囲へとサイズ選択され
得る。この方法は、不完全な逆転写mRNAによって形成された短縮されたcD
NAを排除するのを助ける。
【0102】 A2.cDNAライブラリーの構築 cDNAライブラリーの構築は、一般に、5つの工程を包含する。第1に、最
初の鎖cDNA合成が、poly(dT)プライマーまたはランダムヘキサヌク
レオチドを使用して、poly(A)+mRNAテンプレートから開始される。
第2に、得られるRNA−DNAハイブリッドは、代表的には、RNAse H
およびDNAポリメラーゼI(またはクレノウフラグメント)の組み合わせによ
って、二本鎖cDNAに変換される。第3に、二本鎖cDNAの末端は、アダプ
ターに連結される。アダプターの連結は、クローニングのための粘着性の末端を
生成し得る。第4に、二本鎖cDNAのサイズ選択は、過剰のアダプターおよび
プライマーフラグメントを排除し、そしてmRNAの分解または逆転写酵素の完
全な第一鎖の合成ミスに起因する部分cDNA分子を排除する。第5に、cDN
Aは、クローニングベクターに連結され、パッケージングされる。cDNA合成
プロトコルは、当業者に周知であり、そして以下のような標準的な参考文献に記
載されている:Plant Molecular Biology:A Lab
oratory Manual,Clark編、Springer−Verla
g,Berlin(1997);およびCurrent Protocols
in Molecular Biology,Ausubelら、編、Gree
ne Publishing and Wiley−Interscience
,New York(1995)。cDNA合成キットは、Stratagen
eまたはPharmaciaのような種々の市販の供給業者から入手可能である
【0103】 cDNA合成プロトコルの数は、記載されており、これは、実質的に純粋な全
長cDNAライブラリーを提供する。実質的に純粋な全長cDNAライブラリー
は、インサートを含有するクローンのなかの少なくとも90%、そしてより好ま
しくは少なくとも93%または95%の全長インサートを包含するように構築さ
れる。このようなライブラリー中のインサートの長さは、0〜8、9、10、1
1、12、13、またはそれより多いキロベースの対であり得る。これらのサイ
ズのインサートを収容するベクターは、当該分野で公知であり、そして市販され
ている。例えば、StratageneのラムダZAP Express(0〜
12kbのクローニング能力を有するcDNAクローニングベクター)を参照の
こと。
【0104】 95%より大きい純粋な全長cDNAライブラリーを構築する例示的な方法は
、Carninciら、Genomics,37:327−336(1996)
によって記載されている。そのプロトコルにおいて、真核生物mRNAのキャッ
プ構造は、ビオチンで化学的に標識されている。ストレプトアビジンで被覆した
磁気ビーズを使用することにより、全長の第一鎖cDNA/mRNAハイブリッ
ドのみが、RNaseI処理の後に選択的に回収される。この方法は、開始mR
NA集団のバイアスされていないものを表示する高収量のライブラリーを提供す
る。全長ライブラリーを生成する他の方法は、当該分野で公知である。例えば、
Ederyら、Mol.Cell Biol.,15(6):3363−337
1(1995);およびPCT出願WO96/34981を参照のこと。
【0105】 A3.規格化またはサブトラクトされたcDNAライブラリー 非規格化cDNAライブラリーは、それが作製された組織のmRNA集団をあ
らわす。単独のクローンよりも、高度に発現された遺伝子に由来するクローンの
ほうが数が多いので、それらの単離は労力を要するものであり得る。cDNAラ
イブラリーの規格化は、各クローンがより等しく表されるライブラリーを作製す
るプロセスである。
【0106】 cDNAライブラリーを規格化するアプローチの数は、当該分野で公知である
。1つのアプローチは、ゲノムDNAにハイブリダイズすることに基づく。得ら
れる規格化されたライブラリー中の各ハイブリダイズされたcDNAの頻度は、
ゲノムDNA中の各対応する遺伝子の頻度に比例する。別のアプローチは、動力
学に基づく。cDNAの再アニーリングが二次の動力学に従う場合、よりめずら
しい種は、より迅速ではなくアニーリングし、そしてcDNAの残りの一本鎖画
分は、ハイブリダイゼーションの経過の間、進行的により規格化される。任意の
種のcDNAの特異的な損失は、その豊富さにかかわらず、任意のCot値で生
じない。規格化したライブラリーの構築は、Ko,Nucl.Acids.Re
s.,18(19):5705−5711(1990);Patanjaliら
、Proc.Natl.Acad.U.S.A.,88:1943−1947(
1991);米国特許第5,482,685号および同第5,637,685号
に記載されている。Soaresらによって記載される例示的な方法において、
規格化は、4桁の範囲からわずか1桁の狭い範囲まで、クローンの豊富さを減少
させる。Proc.Natl.Acad.U.S.A.,91:9228−92
32(1994)。
【0107】 サブトラクトされたcDNAライブラリーは、豊富さのより低いcDNA種の
比率を増大させる別の手段である。この手順において、mRNAの1つのプール
から調製されたcDNAは、ハイブリダイゼーションによりmRNAの第2のプ
ールに存在する配列を枯渇する。cDNA:mRNAハイブリッドは除去され、
そして残りのハイブリダイズされていないcDNAプールが、そのプールに対し
て独特の配列に対して富化される。Footeら、Plant Molecul
ar Biology:A Laboratory Manual,Clark
編、Springer−Verlag,Berlin(1997);Khoおよ
びZarbl,Technique,3(2):58−63(1991);Si
veおよびSt.John,Nucl.Acids Res.,16(22):
10937(1988);Current Protocols in Mol
ecular Biology,Ausubelら、編、Greene Pub
lishing and Wiley−Interscience,New Y
ork(1995);およびSwaroopら、Nucl.Acids Res
.,19)8):1954(1991)を参照のこと。cDNAサブトラクショ
ンキットは、市販されている。例えば、PCR−Select(Clontec
h,Palo Alto,CA)を参照のこと。
【0108】 A4.ゲノムライブラリーの構築 ゲノムライブラリーを構築するために、ゲノムDNAの大きなセグメントを、
ランダムフラグメント化によって、例えば、制限エンドヌクレアーゼを使用して
、作製し、そしてベクターDNAに連結して、適切なベクターにパッケージング
され得るコンカテマーを形成する。これらの目的を達成するための方法論および
核酸配列を評価するための配列決定法は、当該分野で周知である。適切な分子生
物学的技術の例および当業者を多くの構築、クローニング、およびスクリーニン
グ方法に導くのに充分な説明は、Sambrookら,Molecular C
loning:A Laboratory Mannual,第2版、Cold
Spring Harbor Laboratory、1〜3巻(1989)
、Methods in Enzymology,Vol.152:Guide
to Molecular Cloning Technique,Berg
erおよびKimmel、編、San Diego:Academic Pre
ss,Inc.,(1987),Current Protocols in
Molecular Biology,Ausubel編、Greene Pu
blishing and Wiley−Interscience,New
York(1995);Plant Molecular Biology:A
Laboratory Mannual,Clark,編、Springer
−Verlag,Berlin(1997)に見出される。ゲノムライブラリー
の構築のためのキットもまた、市販されている。
【0109】 A5.核酸スクリーニングおよび単離法 cDNAまたはゲノムライブラリーは、本明細書に開示されるような本発明の
ポリヌクレオチドの配列に基づいたプローブを使用してスクリーニングされ得る
。プローブは、ゲノムDNAまたはcDNA配列を用いてハイブリダイズし、同
じかまたは異なる植物種における相同な遺伝子を単離するために使用され得る。
当業者は、ハイブリダイゼーションの種々の程度のストリンジェンシーが、アッ
セイにおいて利用され得ること;およびハイブリダイゼーションまたは洗浄培地
のいずれかが、ストリンジェントであり得ることを理解する。ハイブリダイゼー
ションの条件がよりストリンジェントになるにつれ、二重鎖の形成が生じるため
には、プローブと標的との間により大きな程度の相補性が存在しなければならな
い。ストリンジェントの程度は、温度、イオン強度、pHおよび部分的に変性性
の溶媒(例えば、ホルムアミド)の存在によって制御され得る。例えば、ハイブ
リダイゼーションのストリンジェンシーは、0%〜50%の範囲内でホルムアミ
ドの濃度を操作することによって、反応溶液の極性を変化させることによって、
都合良く、変化される。検出可能な結合のために要求される相補性(配列同一性
)の程度は、ハイブリダイゼーション培地および/または洗浄培地のストリンジ
ェンシーに従って、変化する。相補性の程度は、至適には、100パーセントで
あるが、しかし、プローブおよびプライマーにおけるわずかな配列の変動は、ハ
イブリダイゼーションおよび/または洗浄培地のストリンジェンシーを減少させ
ることによって補償され得ることが理解されるべきである。
【0110】 目的の核酸はまた、増幅技術を使用して核酸サンプルから増幅され得る。例え
ば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、本発明のポリヌクレオチドの配列
、およびゲノムDNAまたはcDNAライブラリーから直接由来する関連遺伝子
を増幅させるために使用され得る。PCRおよびその他のインビトロ増幅法はま
た、例えば、発現されるべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングす
るため、所望のmRNAのサンプル中での存在を検出するためのプローブとして
使用するための核酸を作製するため、核酸配列決定のため、またはその他の目的
のために有用であり得る。インビトロ増幅法によって当業者を導くために充分な
技術の例は、Berger,Sambrook,およびAusebel、ならび
にMullisら、米国特許第4,683,202号(1987);およびPC
R Protocols A Guide to Methods and A
pplications,Innisら、編、Academic Press
Inc.,San Diego,CA(1990)に見出される。ゲノムPCR
増幅のための市販のキットは、当該分野で公知である。例えば、Advanta
ge−GC Genomic PCR Kit(Clontech)を参照のこ
と。T4遺伝子32タンパク質(Boehringer Mannheim)は
、長いPCR産物の収量を改善させるために使用され得る。
【0111】 PCRに基づくスクリーニング方法はまた、記載されている。Wilfing
erらは、PCRに基づく方法を記載する。そこでは、最も長いcDNAが、第
1の工程で同定され、その結果、不完全なクローンが、研究から排除され得る。
BioTechniques,22(3):481−486(1997)。その
方法において、プライマー対は、所望のcDNAのセンス鎖の5’末端にアニー
リングする1つのプライマーおよびベクターに対する他のプライマーを用いて合
成される。クローンは、プールされて、大規模スクリーニングされる。この手順
により、可能な限り最も長いクローンが、候補クローンのなかから同定される。
さらに、PCR産物は、所望のcDNAの存在の診断としてのみ使用され、そし
てPCR産物自体を利用しない。このような方法は、上記の全長cDNA構築物
方法と組み合わせて特に効果的である。
【0112】 B.核酸を構築するための合成法 本発明の単離された核酸もまた、Narangら、Meth.Enzymol
.68:90−99(1979)のホスホジエステラーゼ法;Brawnら、M
eh.Enzymol.68:109−151(1979)のホスホジエステル
法;Beaucageら、Tetra.Lett.22:1859−1862(
1981)のジエチルホスホルアミダイト法;BeaucageおよびCaut
hrs,Tetra.Letts.22(20):1859−1862(198
1)によって記載される固相ホスホルアミダイトトリエステル法(例えば、Ne
edham−VanDevanterら、Nucleic Acids Res
.,12:6159−6168(1984)に記載されるような、例えば、自動
合成機を使用する);ならびに米国特許第4,458,066号の固相支持体法
、のような方法による、直接化学合成によって調製され得る。化学合成は、一般
に、一本鎖オリゴヌクレオチドを産生する。これは、相補的配列とのハイブリダ
イゼーションによって、または一本鎖をテンプレートとして使用するDNAポリ
メラーゼとのポリマー形成によって、二本鎖DNAに変換され得る。当業者は、
DNAの化学合成が、約100以下の塩基の配列に最も良く利用され、より長い
配列は、より短い配列の連結によって得られ得ることを認識する。
【0113】 組換え発現カセット 本発明は、さらに、本発明の核酸を含む発現カセットを提供する。本発明の所
望のポリヌクレオチドをコードする核酸配列(例えば、本発明の全長ポリペプチ
ドをコードするcDNAまたはゲノムDNA)は、所望の宿主細胞に導入され得
る組換え発現カセットを構築するために導入され得る。組換え発現カセットは、
代表的には、意図される宿主細胞(例えば、形質転換された植物の組織)におい
てポリヌクレオチドの転写を指向する転写開始調節配列に作動可能に連結した本
発明のポリヌクレオチドを包含する。
【0114】 例えば、植物発現ベクターは、(1)5’および3’調節配列の転写制御下で
クローン化した植物遺伝子、および(2)優勢選択マーカーを含み得る。このよ
うな植物発現ベクターはまた、所望であれば、プロモーター調節領域(例えば、
誘導性または構成性の、環境的にまたは発達的に調節された、または細胞特異的
もしくは組織特異的/選択的発現を付与するもの)、転写開始部位、リボソーム
結合部位、RNAプロセシングシグナル、転写終結部位、および/またはポリア
デニル化シグナルを含有し得る。
【0115】 再生植物の全ての組織において本発明のポリヌクレオチドの発現を指向する植
物プロモーターフラグメントが、利用され得る。このようなプロモーターは、本
明細書において、「構成性」プロモーターとして言及され、そして最も環境的な
条件下および発達または細胞分化の状態で活性である。構成性プロモーターの例
には、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35S転写開始領域、Agr
obacterium tumefaciensのT−DNA由来の1’または
2’プロモーター、ユビキチン1プロモーター、Smasプロモーター、桂皮ア
ルコールデヒドロゲナーゼプロモーター(米国特許第5,683,439号)、
Nosプロモーター、pEmuプロモーター、rubiscoプロモーター、G
RP1−8プロモーター、および当業者に公知の種々の植物遺伝子からの他の転
写開始領域が含まれる。1つの例示的なプロモーターは、胚または胚性カルス(
特に、トウモロコシ)において本発明の発現を駆動するために使用され得るユビ
キチンプロモーターである。
【0116】 あるいは、植物プロモーターは、特定の組織において本発明のポリヌクレオチ
ドの発現を指向し得るか、またはさもなければ、より正確な環境的制御下もしく
は発達的制御下であり得る。このようなプロモーターは、本発明において「誘導
性」プロモーターと呼ばれる。誘導性プロモーターによって転写をもたらし得る
環境条件には、病原攻撃、無酸素条件、または光の存在が含まれる。誘導性プロ
モーターの例は、低酸素または低温ストレスによって誘導性であるAdh1プロ
モーター、熱ストレスによって誘導性のHsp70プロモーター、および光によ
って誘導されるPPDKプロモーターである。
【0117】 発生制御下にあるプロモーターの例としては、特定の組織(例えば、葉、根、
果実、種子、または花)においてのみ、またはこれらの組織において優先的に、
転写を開始するプロモーターが、挙げられる。例示的プロモーターとしては、葯
特異的プロモーター5126(米国特許第5,689,049号および第5,6
89,051号)、glob−1プロモーター、およびγ−ゼインプロモーター
が、挙げられる。プロモーターの作動はまた、ゲノム中のその位置に依存しても
変化し得る。従って、誘導性プロモーターは、特定の位置にて、完全にかまたは
部分的に、構成的になり得る。
【0118】 異種プロモーターおよび非異種(すなわち、内因性)プロモーターの両方が、
本発明の核酸の発現を指向するために使用され得る。これらのプロモーターはま
た、例えば、所望の組織において本発明のタンパク質の濃度および/または組成
を、減少、増加、または変化させるようにアンチセンス核酸の発現を駆動するた
めの組換え発現カセットにおいても、使用され得る。従って、いくつかの実施形
態において、この核酸構築物は、本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結さ
れた、植物細胞(例えば、Zea mays)において機能的なプロモーターを
含む。これらの実施形態において有用なプロモーターは、本発明のポリペプチド
の発現を駆動する内因性プロモーターを含む。
【0119】 いくつかの実施形態において、プロモーターエレメントまたはエンハンサーエ
レメントとして作用する単離された核酸が、本発明のポリヌクレオチドの発現を
アップレギュレートまたはダウンレギュレートするように、非異種形態の本発明
のポリヌクレオチドの適切な位置(一般的には上流)に導入され得る。例えば、
内因性プロモーターが、変異、欠失、および/または置換によってインビボで変
化され得るか(Kmiec、米国特許第5,565,350;Zarlingら
、PCT/US93/03868を参照のこと)、または単離されたプロモータ
ーが、本発明の遺伝子から適切な方向および距離に、この遺伝子の発現を制御す
るように植物細胞に導入され得る。遺伝子発現は、植物細胞において本発明のポ
リペプチドの総濃度を変化させ、そして/またはその組成を変化させるように、
植物生長に適切な条件下で調節され得る。従って、本発明は、ネイティブの内因
性(すなわち、非異種)形態の本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結され
た、異種プロモーターおよび/またはエンハンサーを作製するための、組成物お
よび方法を提供する。
【0120】 例えば、組織型、細胞型、発生段階、および/または環境条件に関して、特定
の発現パターンを有するプロモーターを同定するための方法は、当該分野で周知
である。例えば、The Maize Handbook、第114〜115章
、FreelingおよびWalbot編、Springer、New Yor
k(1994);Corn and Corn Improvement、第3
版、第6章、Sprague and Dudley編、American S
ociety of Agronomy、Madison、Wisconsin
(1988)を参照のこと。プロモーター単離法における代表的工程は、標的組
織においていくらかの程度の特異性で発現される遺伝子産物の同定である。方法
論の範囲の中にあるのは、以下である:cDNAライブラリーに対するディファ
レンシャルハイブリダイゼーション;差し引きハイブリダイゼーション;ディフ
ァレンシャル2次元タンパク質ゲル電気泳動;DNAプローブアレイ;および標
的組織においていくらかの特異性を伴って発現されることが既知のタンパク質の
単離。このような方法は、当業者に周知である。プロモーターを同定するための
市販の製品(例えば、Clontech(Palo Alto、CA)のUni
versal Genome Walker Kit)は、当該分野で公知であ
る。
【0121】 タンパク質に基づく方法について、同定されたタンパク質の少なくとも一部の
アミノ酸配列を得ること、次いでそのタンパク質配列を、標的組織から調製され
たライブラリーからゲノムDNAを直接同定するかまたは好ましくはcDNAク
ローンを同定するかのいずれかのためのプローブとして使用され得る核酸を調製
するための基礎として使用することが有用である。一旦このようなcDNAクロ
ーンが同定されると、その配列は、望ましい遺伝子の転写物の5’末端の配列を
同定するために使用され得る。ディファレンシャルハイブリダイゼーション、差
し引きハイブリダイゼーション、差し引きハイブリダイゼーションおよびディフ
ァレンシャルディスプレイについて、標的組織において濃縮されていると同定さ
れた核酸配列は、所望の遺伝子の転写物の5’末端の配列を同定するために使用
される。一旦このような配列が同定されると、タンパク質配列または核酸配列の
いずれかから開始して、その遺伝子転写物由来であると同定されたこれらの配列
のいずれかが、標的生物から調製されたゲノムライブラリーをスクリーンするた
めに使用され得る。この転写開始部位を同定および確認するための方法は、当該
分野で周知である。
【0122】 特定の環境条件またはストレス下で、または特定の組織にて、または特定の発
生段階で、発現されるプロモーターを単離するプロセスにおいて、所望の環境下
でか、所望の組織でか、または所望の段階で、発現される多数の遺伝子が同定さ
れる。さらなる分析によって、その植物の他の1つ以上の組織における特定の遺
伝子各々の発現が明らかになる。所望の組織または条件で活性を有するが他のど
の通常の組織でも活性を有さない、プロモーターが、同定され得る。
【0123】 そのプロモーター配列を同定するために、本明細書中に記載されるクローンの
5’部分が、プロモーター配列の特徴である配列について分析される。例えば、
プロモーター配列エレメントは、TATAボックスコンセンサス配列(TATA
AT)を含み、この配列は、転写開始部位の約20〜40塩基対上流に位置する
、通常5〜10bpのATリッチなストレッチである。このTATAボックスの
同定は、当該分野で周知である。例えば、このエレメントの位置を推定するため
の1つの方法は、標準的RNAマッピング技術(例えば、プライマー伸長法、S
1分析、および/またはリボヌクレアーゼプロテクション法)を使用して、転写
開始部位を同定することである。このATリッチな配列の存在を確認するために
、構造−機能分析が、実施され得、この分析は、推定領域の変異誘発および連結
された下流のレポーター遺伝子の発現に対するこの変異の効果の定量化を含む。
例えば、The Maize Handbook、第114章、Freelin
gおよびWalbot編、Springer、New York(1994)を
参照のこと。
【0124】 植物において、このTATAボックスからさらに上流、−80〜−100位に
、トリヌクレオチドG(またはT)NGを囲む一連のアデニンを有する、プロモ
ーターエレメント(すなわち、CAATボックス)が代表的には存在する。J.
Messingら、Genetic Engineering in Plan
ts、Kosage、MeredithおよびHollaender編、221
〜227頁、1983。トウモロコシにおいて、十分に保存されたCAATボッ
クスは存在しないが、いくつかの短い、TATAボックスの上流の保存されたタ
ンパク質結合モチーフが存在する。これらは、光調節、嫌気性誘導、モルモン調
節、またはアントシアニン生合成に関与するトランス作用性転写因子のモチーフ
を、各遺伝子について適切なように、含む。
【0125】 一旦プロモーター配列および/または遺伝子配列が既知となると、適切な大き
さの領域が、転写開始部位または翻訳開始部位の5’側にあるゲノムDNAから
選択され、次いでこのような配列が、コード配列に連結される。この転写開始部
位が融合点として使用される場合、多数の可能な5’非翻訳領域のいずれかが、
この転写開始部位と部分的コード配列との間で使用され得る。特定のプロモータ
ーの3’末端の翻訳開始部位が使用される場合、次いでこの翻訳開始部位はコー
ド配列のメチオニン開始コドンに直接連結される。
【0126】 ポリペプチドの発現が所望される場合、ポリヌクレオチドコード領域の3’末
端にポリアデニル化領域を含むことが一般に所望され得る。このポリアデニル化
領域は、天然の遺伝子、種々の他の植物遺伝子、またはT−DNAに由来し得る
。付加されるべき3’末端配列は、例えば、ノパリンシンターゼ遺伝子もしくは
オクトピンシンターゼ遺伝子、または別の植物遺伝子、あるいはそれほど好まし
くないが他の任意の真核生物遺伝子に、由来し得る。
【0127】 イントロン配列は、部分的コード配列の5’非翻訳領域またはコード配列に付
加されて、細胞質ゾルに蓄積する成熟メッセージの量を増加させ得る。スプライ
ス可能なイントロンを植物および動物の両方の発現構築物において転写単位で含
めることは、mRNAレベルおよびタンパク質レベルの両方で1000倍まで遺
伝子発現を増加させることが示されている。BuchmanおよびBerg,M
ol.Cell Biol.8:4395−4405(1988);Calli
sら,Genes Dev.1:1183−1200(1987)。遺伝子発現
のこのようなイントロン増強は代表的に、転写単位の5’末端付近に置かれた場
合、最大である。トウモロコシのイントロンAdh1−Sイントロン1、2およ
び6、ならびにBronze−1イントロンの使用は、当該分野で公知である。
一般に、The Maize Handbook,第116章,Freelin
gおよびWalbot編,Springer,New York(1994)を
参照のこと。
【0128】 本発明のポリヌクレオチド由来の配列を含むベクターは代表的に、植物細胞に
対して選択可能な表現型を付与するマーカー遺伝子を含む。通常、選択可能なマ
ーカー遺伝子は、抗生物質抵抗性をコードし、適切な遺伝子としては、抗生物質
スペクチノマイシンに対する抵抗性をコードする遺伝子(例えば、aada遺伝
子)、ストレプトマイシン抵抗性をコードするストレプトマイシンホスホトラン
スフェラーゼ(SPT)遺伝子、カナマイシン抵抗性またはジェネティシン抵抗
性をコードするネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子、
ハイグロマイシン抵抗性をコードするハイグロマイシンホスホトランスフェラー
ゼ(HPT)遺伝子、アセトラクテートシンターゼ(ALS)の作用を阻害する
ように作用する除草剤(特にスルホニルウレア型除草剤)に対する抵抗性をコー
ドする遺伝子(例えば、このような抵抗性をもたらす変異(特にS4変異および
/またはHra変異)を含むアセトラクテートシンターゼ(ALS)遺伝子)、
グルタミンシンターゼの作用を阻害するように作用する除草剤(例えば、ホスフ
ィノトリシンまたはバスタ(basta))に対する抵抗性をコードする遺伝子
(例えば、bar遺伝子)、または当該分野で公知の他のこのような遺伝子が挙
げられる。bar遺伝子は、除草剤バスタに対する抵抗性をコードし、nptI
I遺伝子は、抗生物質カナマイシンおよびジェネティシンに対する抵抗性をコー
ドし、そしてALS遺伝子は除草剤クロルスルフロン(chlorsulfur
on)に対する抵抗性をコードする。
【0129】 高等植物における遺伝子の発現に有用な代表的なベクターは、当該分野で周知
であり、そしてRogersら,Meth.in Enzymol.,153:
253−277(1987)によって記載されるAgrobacterium
tumefaciensの腫瘍誘導性(Ti)プラスミドに由来するベクターを
含む。これらのベクターは、形質転換に際し、ベクターがベクターDNAの一部
を宿主植物のゲノムに組み込むので、植物組み込みベクターである。本明細書中
で有用な例示的なA.tumefaciensベクターは、Schardlら,
Gene,61:1−11(1987)およびBergerら,Proc.Na
tl.Acad.Sci.U.S.A.,86:8402−8406(1989
)のプラスミドpKYLX6およびpKYLX7である。本明細書中の別の有用
なベクターは、Clontech Laboratories,Inc.(Pa
lo Alto,CA)から入手可能である、プラスミドpBI101.2であ
る。
【0130】 本発明のポリヌクレオチドは、所望により、センスまたはアンチセンスのいず
れの方向でも発現され得る。センスまたはアンチセンスのいずれかの方向での遺
伝子発現の制御が、観察可能な植物の特徴に直接的な影響を有し得ることが理解
される。アンチセンス技術は、植物における遺伝子発現のために便利に用いられ
得る。これを達成するために、所望の遺伝子由来の核酸セグメントは、クローニ
ングされ、そしてこのアンチセンス鎖のRNAが転写されるように、プロモータ
ーに作動可能に連結される。次いで、この構築物が植物中に形質転換され、そし
てアンチセンス鎖のRNAが生成される。植物細胞では、アンチセンスRNAが
、目的の酵素をコードするmRNAの蓄積を防止することにより、遺伝子発現を
阻害することが示されている(例えば、Sheehyら,Proc.Nat’l
.Acad.Sci.(USA)85:8805−8809(1988);およ
びHiattら,米国特許第4,801,340号を参照のこと)。
【0131】 別の抑制方法は、センス抑制である。センス方向に構成された核酸の導入は、
標的遺伝子の転写をブロックする有効な手段であることが示されている。内在性
遺伝子の発現を調節するためのこの方法の使用の例については、Napoliら
,The Plant Cell 2:279−289(1990)および米国
特許第5,034,323号を参照のこと。
【0132】 触媒性RNA分子すなわちリボザイムをまた用いて、植物遺伝子の発現を阻害
し得る。事実上任意の標的RNAと特異的に対合し、そして特定の位置でホスホ
ジエステル骨格を切断し、それにより、標的RNAを機能的に不活化するリボザ
イムを設計することが可能である。この切断を実施する際に、リボザイムは、そ
れ自体は変更されず、従って、再生利用し得そして他の分子を切断し得、その他
の分子を真の酵素とする。アンチセンスRNA内にリボザイム配列を含むことは
、RNA切断活性をそのアンチセンスRNAに付与し、それにより構築物の活性
を増大させる。標的RNA特異的リボザイムの設計および使用は、Haselo
ffら,Nature 334:585−591(1988)に記載される。
【0133】 種々の架橋剤、アルキル化剤および本発明のポリヌクレオチド上のペンダント
基のようなラジカル生成種を用いて、核酸を結合、標識、検出および/または切
断し得る。例えば、Vlassov,V.V.ら,Nucleic Acids
Res(1986)14:4065−4076は、標的配列に対して相補的な
ヌクレオチドのアルキル化誘導体との一本鎖DNAフラグメントの共有結合を記
載する。同じグループによる類似の研究の報告は、Knorre,D.G.ら,
Biochimie(1985)67:785−789による報告である。Iv
ersonおよびDervanはまた、切断を活性化し得る、改変されたヌクレ
オチドの取り込みによって媒介される一本鎖DNAの配列特異的切断を示した(
J Am Chem Soc(1987)109:1241−1243)。Me
yer,R.B.ら,J Am Chem Soc(1989)111:851
7−8519は、一本鎖標的ヌクレオチド配列に対して相補的なアルキル化剤を
用いて、標的ヌクレオチドに対する共有結合的架橋をもたらす。ソラレンによっ
て媒介される一本鎖オリゴヌクレオチドに対する光活性化された架橋は、Lee
,B.L.ら,Biochemistry(1988)27:3197−320
3によって開示された。三重らせん形成プローブにおける架橋の使用はまた、H
omeら,J Am Chem Soc(1990)112:2435−243
7により開示された。一本鎖オリゴヌクレオチドに対して架橋するためのアルキ
ル化剤としてのN4,N4−エタノシトシン(N4,N4−ethanocyt
osine)の使用はまた、WebbおよびMatteucci,J Am C
hem Soc(1986)108:2764−2765;Nucleic A
cids Res(1986)14:7661−7674;Feteritzら
,J.Am.Chem.Soc.113:4000(1991)によって記載さ
れている。核酸を結合し、検出し、標識し、そして/または切断する種々の化合
物が、当該分野において公知である。例えば、米国特許第5,543,507号
;同第5,672,593号;同第5,484,908号;同第5,256,6
48号;および同第5,681,941号を参照のこと。
【0134】 (タンパク質) 本発明の単離されたタンパク質は、上記でより十分に考察したように、本発明
のポリヌクレオチドのいずれか1つによってコードされる少なくとも10アミノ
酸を有するポリペプチド、またはその保存的に改変された改変体であるポリペプ
チドを含む。本発明のタンパク質またはその改変体は、本発明のポリペプチド由
来の任意の数の連続したアミノ酸残基を含み得、ここで、その数は、10から本
発明の全長ポリペプチドにおける残基の数までからなる整数の群より選択される
。必要に応じて、連続したアミノ酸のこの部分配列は、少なくとも15、20、
25、30、35または40アミノ酸長であり、しばしば少なくとも50、60
、70、80または90アミノ酸長である。さらに、このような部分配列の数は
、1〜20からなる群より選択される任意の整数(例えば、2、3、4または5
)であり得る。
【0135】 本発明はさらに、本発明のポリペプチドとの特定の配列同一性を有するポリペ
プチドを含むタンパク質を提供する。配列同一性の百分率は、50〜99からな
る群より選択される整数である。例示的な配列同一性の値としては、60%、6
5%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、8
6%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、9
5%、96%、97%、98%および99%が挙げられる。配列同一性は、例え
ば、GAPアルゴリズムまたはBLASTアルゴリズムを使用して、決定され得
る。
【0136】 当業者が認識するように、本発明は、触媒的に活性な本発明のポリペプチド(
すなわち、酵素)を含む。触媒的に活性なポリペプチドは、ネイティブな(非合
成の)内在性ポリペプチドの比活性の少なくとも20%、30%または40%、
そして好ましくは少なくとも50%、60%または70%、そして最も好ましく
は少なくとも80%、90%または95%の比活性を有する。さらに、基質特異
性(kcat/Km)は、必要に応じて、ネイティブな(非合成の)内在性ポリペプ
チドに実質的に類似する。代表的に、Kmは、ネイティブな(非合成の)内在性
ポリペプチドのKmの少なくとも30%、40%または50%であり;そしてよ
り好ましくは少なくとも60%、70%、80%または90%である。酵素活性
および基質特異性(kcat/Km)の尺度をアッセイおよび定量する方法は、当業
者に周知である。
【0137】 一般に、本発明のタンパク質は、免疫原として提示される場合、本発明のポリ
ペプチドに対して特異的に反応性の抗体の産生を惹起する。さらに、本発明のタ
ンパク質は、同じポリペプチドで十分に免疫吸着した、本発明のポリペプチドに
対して惹起された抗血清に対して結合しない。結合を決定するための免疫アッセ
イは、当業者に周知である。好ましい免疫アッセイは、以下で考察されるような
競合免疫アッセイである。従って、本発明のタンパク質は、免疫アッセイまたは
タンパク質精製技術のような例示的な用途のために、本発明のタンパク質に対し
て免疫反応性である抗体を構築するための免疫原として用いられ得る。
【0138】 (宿主細胞におけるタンパク質の発現) 本発明の核酸を用いて、本発明のタンパク質を、組換え操作された細胞(例え
ば、細菌、酵母、昆虫、哺乳動物または好ましくは植物の細胞)において発現し
得る。この細胞は、(例えば、量、組成、位置および/または時間について)非
天然の条件でこのタンパク質を生成する。なぜなら、これらは、ヒトの介入によ
ってそうするように遺伝的に変更されているからである。
【0139】 当業者は、本発明のタンパク質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発
現系を良く知っていることが期待される。原核生物または真核生物におけるタン
パク質の発現について公知の種々の方法を詳細に記載する試みは行わない。
【0140】 手短にまとめると、本発明のタンパク質をコードする単離された核酸の発現は
代表的に、例えば、DNAまたはcDNAをプロモーター(これは構成性または
誘導性のいずれかである)に作動可能に連結し、続いて発現ベクターに組み込む
ことにより達成される。ベクターは、原核生物または真核生物のいずれかでの複
製および組み込みに適切であり得る。代表的な発現ベクターは、転写および翻訳
のターミネーター、開始配列および本発明のタンパク質をコードするDNAの発
現調節に有用なプロモーターを含む。クローニングされた遺伝子の高レベルの発
現を得るために、少なくとも、転写を指向する強力なプロモーター、翻訳開始の
ためのリボソーム結合部位、および転写/翻訳ターミネーターを含む発現ベクタ
ーを構築することが所望され得る。当業者は、生物学的活性を低下させずに、本
発明のタンパク質に対して改変が行われ得ることを認識する。いくつかの改変は
、標的分子のクローニング、発現または融合タンパク質への組み込みを容易にす
るために行われ得る。このような改変は当業者に周知であり、そして例えば、開
始部位を提供するためにアミノ末端に付加されたメチオニン、または便利に配置
された精製配列を作製するためにいずれかの末端に配置されたさらなるアミノ酸
(例えば、ポリHis)を含む。制限部位または終結コドンもまた、導入され得
る。
【0141】 (A.原核生物における発現) 原核生物細胞は、発現のための宿主として用いられ得る。原核生物は最も頻繁
には、E.coliの種々の株によって代表される;しかし、他の微生物株もま
た用いられ得る。本明細書中で、転写開始のためのプロモーターを(必要に応じ
てオペレーターとともに)リボソーム結合部位配列と一緒に含むと定義される通
常用いられる原核生物制御配列は、βラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラ
クトース(lac)プロモーター系(Changら,Nature 198:1
056(1977))、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goedd
elら,Nucleic Acids Res.8:4057(1980))な
らびにλ由来のPLプロモーターおよびN遺伝子リボソーム結合部位(Shim
atakeら,Nature 292:128(1981))のような通常用い
られるプロモーターを含む。選択マーカーを、E.coli中にトランスフェク
トされるDNAベクターに含めることもまた有用である。このようなマーカーの
例としては、アンピシリン、テトラサイクリンまたはクロラムフェニコールに対
する耐性を指定する遺伝子が挙げられる。
【0142】 このベクターは、適切な宿主細胞への導入を可能にするように選択される。細
菌ベクターは代表的に、プラスミドまたはファージゲノム起源のものである。適
切な細菌細胞を、ファージベクター粒子で感染させるか、または裸のファージベ
クターDNAでトランスフェクトさせる。プラスミドベクターを用いる場合、細
菌細胞は、プラスミドベクターDNAでトランスフェクトされる。本発明のタン
パク質を発現させるための発現系は、Bacillus sp.およびSalm
onella(Palvaら,Gene 22:229−235(1983);
Mosbachら,Nature 302:543−545(1983))を用
いて利用可能である。
【0143】 (B.真核生物における発現) 酵母、昆虫細胞株、植物および哺乳動物の細胞のような種々の真核生物発現系
は、当業者に公知である。以下で手短に説明するように、本発明のポリヌクレオ
チドは、これらの真核生物系において発現され得る。いくつかの実施形態では、
形質転換/トランスフェクトした植物細胞は、以下で考察するように、本発明の
タンパク質の生成のための発現系として用いられる。
【0144】 酵母における異種タンパク質の合成は周知である。Sherman,F.ら,
Methods in Yeast Genetics,Cold Sprin
g Harbor Laboratory(1982)は、酵母においてタンパ
ク質を生成するために利用可能な種々の方法を記載する、十分に認識された研究
である。真核生物タンパク質の生成のための2つの広範に利用される酵母は、S
accharomyces cerevisiaeおよびPichia pas
torisである。SaccharomycesおよびPichiaにおける発
現のためのベクター、株およびプロトコルは当該分野で公知であり、そして商業
的供給業者(例えば、Invitrogen)から入手可能である。適切なベク
ターは通常、発現制御配列(例えば、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたはア
ルコールオキシダーゼを含む、プロモーター)および所望により複製起点、終結
配列などを有する。
【0145】 本発明のタンパク質は、一旦発現されると、細胞を溶解し、そして標準的なタ
ンパク質単離技術を溶解産物に適用することによって酵母から単離され得る。精
製プロセスのモニタリングは、ウェスタンブロット技術または他の標準的な免疫
アッセイ技術の放射免疫アッセイを用いることにより達成され得る。
【0146】 本発明のタンパク質をコードする配列はまた、例えば、哺乳動物、昆虫または
植物起源の細胞培養物をトランスフェクトする際の使用のために種々の発現ベク
ターに連結され得る。ペプチドの生成に有用な細胞培養物の例は、哺乳動物細胞
である。哺乳動物細胞系はしばしば、細胞の単層の形態であるが、哺乳動物細胞
懸濁物もまた使用され得る。インタクトなタンパク質を発現し得る多数の適切な
宿主細胞株が、当該分野で開発されており、そしてHEK293細胞株、BHK
21細胞株およびCHO細胞株を含む。これらの細胞についての発現ベクターは
、発現制御配列(例えば、複製起点、プロモーター(例えば、CMVプロモータ
ー、HSV tkプロモーターまたはpgk(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プ
ロモーター)、エンハンサー(Queenら,Immunol.Rev.89:
49(1986)))、ならびに必要なプロセシング情報部位(例えば、リボソ
ーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40
ラージT AgポリA付加部位)および転写ターミネーター配列)を含み得る。
本発明のタンパク質の生成のために有用な他の動物細胞は、例えば、Ameri
can Type Culture Collectionから入手可能である
【0147】 昆虫細胞において本発明のタンパク質を発現するための適切なベクターは通常
、SF9バキュロウイルスに由来する。適切な昆虫細胞株としては、カ幼虫、カ
イコ、ヨトウムシ、蛾およびDrosophila細胞株(例えば、Schne
ider細胞株(Schneider,J.Embryol.Exp.Morp
hol.27:353−365(1987)を参照のこと))が挙げられる。
【0148】 酵母については、より高等な動物または植物の宿主細胞を用いる場合、ポリア
デニル化配列または転写ターミネーター配列が、代表的に、ベクターに組み込ま
れる。ターミネーター配列の例は、ウシ成長ホルモン遺伝子由来のポリアデニル
化配列である。転写物の正確なスプライシングのための配列もまた含まれ得る。
スプライシング配列の例は、SV40由来のVP1イントロンである(Spra
gueら,J.Virol.45:773−781(1983))。さらに、宿
主細胞における複製を制御するための遺伝子配列が、ウシパピローマウイルス型
ベクター中に見出されるベクターのようなベクターに組み込まれ得る。Save
ria−Campo,M.,Bovine Papilloma Virus
DNA a Eukaryotic Cloning Vector,DNA
Cloning 第II巻 a Practical Approach,D.
M.Glover編,IRL Press,Arlington,Virgin
ia 213−238頁(1985)。
【0149】 (細胞のトランスフェクション/形質転換) 形質転換/トランスフェクションの方法は、本発明には重大ではない;形質転
換またはトランスフェクションの種々の方法が、現在利用可能である。作物また
は他の宿主細胞を形質転換するために、より新しい方法が利用可能である場合、
これらは直接適用され得る。従って、宿主細胞のゲノムへDNA配列を挿入し、
この配列の転写および/または翻訳を得てこの生物体における表現型の変化をも
たらすための広い多様性の方法が、開発された。従って、効率的な形質転換/ト
ランスフェクションを提供する任意の方法が、用いられ得る。
【0150】 (A.植物形質転換) 本発明の所望のポリヌクレオチドをコードするDNA配列(例えば、全長のタ
ンパク質をコードするcDNA配列またはゲノム配列)は、所望の植物へ導入さ
れ得る組換え発現カセットを構築するのに用いられる。
【0151】 本発明の単離された核酸は、当該分野において公知の技術によって植物へ導入
され得る。一般に、上述に記載されるような組換え発現カセットおよび植物細胞
の形質転換に適切な組換え発現カセットが、調製される。次いで、本発明の単離
された核酸は、形質転換に使用され得る。このようにして、遺伝的に改変された
植物、植物細胞、植物組織、種子などが得られ得る。形質転換プロトコールは、
形質転換の標的とされる植物細胞の型(単子葉植物または双子葉植物)に依存し
て変化し得る。植物細胞を形質転換する適切な方法としては、以下が挙げられる
:微量注入(Crosswayら(1986)Biotechniques 4
:320−334)、エレクトロポレーション(Riggsら(1986)Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 83:5602−5606)、A
grobacterium媒介形質転換(例えば、Zhaoら、米国特許第5,
981,840号;Hincheeら(1988)Biotechnology
6:915−921を参照のこと)、直接的遺伝子導入(direct ge
ne transfer)(Paszkowskiら(1984)EMBO J
.3:2717−2722)、および弾道粒子加速(ballistic pa
rticle acceleration)(例えば、Sanfordら、米国
特許4,945,050号;Tomesら「Direct DNA Trans
fer into Intact Plant Cells via Micr
oprojectile Bombardment」GamborgおよびPh
illips(編)Plant Cell,Tissue and Organ
Culture:Fundamental Methods,Springe
r−Verlag,Berlin(1995);およびMcCabeら(198
8)Biotechnology 6:923−926)を参照のこと)。また
、Weissingerら(1988)Annual Rev.Genet.2
2:421−477;Sanfordら(1987)Particulate
Science and Technology 5:27−37(タマネギ)
;Christouら(1988)Plant Phisiol.87:671
−674(ダイズ);McCabeら(1988)Bio/Technolog
y 6:923−926(ダイズ);Dattaら(1990)Biotech
nology 8:736−740(イネ);Kleinら(1988)Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 85:4305−4309(トウモ
ロコシ);Kleinら(1988)Biotechnology 6:559
−563(トウモロコシ);Tomesら、「Direct DNA Tran
sfer into Intact Plant Cells Via Mic
roprojectile Bombardment」GamborgおよびP
hillips(編)Plant Cell,Tissue and Orga
n Culture:Fundamental Methods,Spring
er−Verlag,Berlin(1995)(トウモロコシ);Klein
ら(1988)Plant Physiol.91:440−444(トウモロ
コシ)Frommら(1990)Biotechnology 8:833−8
39(トウモロコシ);Hooykaas−Van Slogterenおよび
Hooykaas(1984)Nature(London)311:763−
764;Bytebierら(1987)Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 84:5354−5349(ユリ);De Wetら(1985)
The Experimental Manipulation of Ovu
le Tissues G.P.Chapmanら(編)、197−209頁
Longman,NY(花粉);Kaepplerら(1990)Plant
Cell Reports 9:415−418;ならびにKaepplerら
(1992)Theor.Appl.Genet.84:560−566(ウイ
スカー(whisker)媒介形質転換);D’Halluinら(1992)
Plant Cell 4:1495−1505(エレクトロポレーション);
Llら(1993)Plant Cell Reports 12:250−2
55ならびにChristouおよびFord(1995)Annals of
Botany 75:745−750(Agrobacterium tum
efaciensを介するトウモロコシ);(これらの全ては、本明細書中に参
考として援用される)を参照のこと。
【0152】 形質転換された細胞を、従来の方法に従って植物中で生長させ得る。例えば、
McCormickら(1986)Plant Cell Reports,5
:81−84を参照のこと。次いでこれらの植物を、生長させ得、そして同じ形
質転換された系統または異なる系統のいずれかで受粉させ得、そして同定された
所望の表現型特性を有するハイブリッドが生じる。その対象の表現型特性が安定
に維持されそして遺伝されることを保証するために、2世代以上を生長させ得、
次いで所望の表現型または他の特性が達成されたことを保証するために種子が収
集される。
【0153】 (B.原核生物、下等真核生物、および動物細胞のトランスフェクション) 動物および下等真核生物(例えば、酵母)宿主細胞は、種々の手段によるトラ
ンスフェクションにコンピテントであるかまたはコンピテントにされる。動物細
胞へDNAを導入するいくつかの周知の方法が、存在する。これらは、以下を含
む:リン酸カルシウム沈殿、DNAを含む細菌プロトプラストとのレシピエント
細胞の融合、DNAを含むリポソームでのレシピエント細胞の処理、DEAEデ
キストラン、エレクトロポレーション、バイオリスティック(biolisti
cs)、および細胞への直接的なDNAの微量注入。トランスフェクトされた細
胞は、当該分野において周知の手段によって培養される。Kuchler,R.
J.、Biochemical Methods in Cell Cultu
re and Virology、Dowden、Hutchinson an
d Ross、Inc.(1977)。
【0154】 (タンパク質の合成) 本発明のタンパク質は、非細胞性合成法を用いて構築され得る。約50アミノ
酸未満の長さのタンパク質の固相合成は、不溶性支持体へのこの配列のC末端ア
ミノ酸の結合、引き続いてこの配列中の残りのアミノ酸の連続付加によって達成
され得る。固相合成のための技術は、以下によって記載される:Baranyお
よびMerrifield、Solid−Phase Peptide Syn
thesis、3−284頁 The Peptides:Analysis,
Synthesis,Biology.第2巻:Special Method
s in Peptide Synthesis,Part A.;Merri
fieldら、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2156(19
63)、およびStewartら、Solid Phase Peptide
Synthesis、第2版、Pierce Chem.Co.,Rockfo
rd,Ill.(1984)。より長いタンパク質は、より短いフラグメントの
アミノ末端およびカルボキシ末端の縮合によって合成され得る。カルボキシ末端
の活性化によってペプチド結合を形成する方法(例えば、カップリング試薬N,
N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(N,N’−dicycylohexy
lcarbodiimide)の使用による)は、当業者に公知である。
【0155】 (タンパク質の精製) 本発明のタンパク質は、当業者に周知の標準技術によって精製され得る。本発
明の組換え的に産生されたタンパク質は、直接的に発現され得るかまたは融合タ
ンパク質として発現され得る。組換えタンパク質は、細胞溶解(例えば、超音波
処理、フレンチプレス)およびアフィニティクロマトグラフィーの組合せによっ
て精製される。融合産物に関して、適切なタンパク質分解酵素を用いた融合タン
パク質の引き続く切断は、所望の組換えタンパク質を遊離させる。
【0156】 本発明のタンパク質、組換え体または合成物は、界面活性剤可溶化、硫酸アン
モニウムのような物質での選択的沈殿、カラムクロマトグラフィー、免疫精製法
などを含む当該分野において周知の標準技術によってかなりの純度まで精製され
得る。例えば、R.Scopes、Protein Purification
:Principles and Practice、Springer−Ve
rlag:New York(1982);Deutscher、Guide
to Protein Purification、Academic Pre
ss(1990)を参照のこと。例えば、抗体は、本明細書中に記載されるよう
なタンパク質に対して惹起され得る。E.coliからの精製は、米国特許第4
,511,503号に記載される手順に従って達成され得る。次いでタンパク質
は、このタンパク質を発現する細胞より単離され得、そしてさらに本明細書中に
記載されるような標準タンパク質化学技術によって精製され得る。発現タンパク
質の検出は、当該分野において公知の方法によって達成され、そして例えば、ラ
ジオイムノアッセイ、ウエスタンブロッティング技術または免疫沈降法を含む。
【0157】 (トランスジェニック植物の再生) 植物発現ベクターによって形質転換された植物細胞は、例えば、標準植物組織
培養技術によって単一細胞、カルス組織または葉ディスクより再生され得る。ほ
とんど任意の植物由来の種々の細胞、組織、および器官が、植物全体を再生する
ように首尾よく培養され得ることは当該分野において周知である。培養されたプ
ロトプラスト由来の植物再生物は、以下に記載される:Evansら、Prot
oplasts Isolation and Culture、Handbo
ok of Plant Cell Culture、Macmillilan
Publishing Company、New York、124−176
頁(1983);およびBinding、Regeneration of P
lants、Plant Protoplasts、CRC Press、Bo
ca Raton、21−73頁(1985)。
【0158】 Agrobacteriumによって導入される外来遺伝子を含む植物の葉外
植片からの再生は、Horschら、Science、227:1229−12
31(1985)によって記載されるように達成され得る。この手順において、
形質転換体を、選択薬剤の存在下およびFraleyら、Proc.Natl.
Acad.Sci.(U.S.A.)、80:4803(1983)によって記
載されるように形質転換された植物種においてシュートの再生を誘導する培地中
で生長させる。この手順は、代表的に2〜4週間以内にシュートを生じ、そして
これらの形質転換のシュートは、次いで細菌の増殖を防ぐ選択薬剤および抗生物
質を含む適切な根誘導培地(root−inducing medium)に移
植される。本発明のトランスジェニック植物は、稔性または不稔性であり得る。
【0159】 再生物はまた、植物カルス、外植片、器官、またはその一部より入手し得る。
このような再生技術は、Kleeら、Ann.Rev.of Plant Ph
ys.38:467−486(1987)に一般的に記載される。単一植物プロ
トプラストまたは種々の外植片のいずれか由来の植物の再生は、当該分野におい
て周知である。例えば、Methods for Plant Molecul
ar Biology、A.WeissbachおよびH.Weissbach
編、Academic Press、Inc.、San Diego、Cali
f.(1988)を参照のこと。この再生および成長プロセスは、形質転換体細
胞およびシュートの選択、形質転換体シュートの発根ならびに土壌中での小植物
の成長の工程を含む。トウモロコシの細胞培養および再生に関して、一般的に以
下を参照のこと:The Maize Handbook、Freelingお
よびWalbot編、Springer、New York(1994);Co
rn and Corn Improvement、第3版、Spragueお
よびDudley編、American Society of Agrono
my、Madison、Wisconsin(1988)。
【0160】 当業者は、組換え発現カセットがトランスジェニック植物に安定して組み込ま
れかつ作動可能であることが確認されたあと、有性交雑によって他の植物へ導入
され得ることを認識する。任意の多数の標準育種技術は、交雑される種に依存し
て用いられ得る。
【0161】 栄養繁殖される作物において、成熟トランスジェニック植物は、挿し木を行う
ことによってかまたは組織培養技術によって多数の同一植物を産生するために繁
殖され得る。望ましいトランスジェニックの選択が行われ、そして新しい品種が
得られ、そして商業的な使用のために栄養繁殖される。種子繁殖される作物にお
いて、成熟トランスジェニック植物は、ホモ接合性近交系植物を産生するために
自家交雑され得る。近交系植物は、新しく導入された異種核酸を含む種子を産生
する。これらの種子を生長させて、選択された表現型を生じる植物を産生し得る
【0162】 再生された植物から得られる部分(例えば、花、種子、葉、枝、果実など)は
、本発明に含まれる。ただし、これらの部分は、本発明の単離された核酸を含む
細胞を含む。再生植物の子孫および改変体、ならびに変異体もまた、本発明の範
囲内に含まれる。ただし、これらの部分は、導入された核酸配列を含む。
【0163】 選択可能なマーカーを発現するトランスジェニック植物は、例えば、標準イム
ノブロット技術およびDNA検出技術によって、本発明の核酸の伝達のためにス
クリーニングされ得る。トランスジェニック系統はまた代表的に、異種核酸の発
現レベルについて評価される。RNAレベルでの発現は、発現陽性植物を同定お
よび定量するのに最初に決定され得る。RNA分析のための標準技術が用いられ
得、そして異種RNA鋳型のみを増幅するように設計されたオリゴヌクレオチド
プライマーを用いるPCR増幅アッセイおよび異種核酸特異的プローブを用いる
溶液ハイブリダイゼーションアッセイを含む。次いでこのRNA陽性植物は、本
発明の特異的な反応性の抗体を用いるウエスタンイムノブロット分析によってタ
ンパク質発現について分析され得る。さらに、標準プロトコルによるインサイチ
ュハイブリダイゼーションおよび免疫細胞化学は、トランスジェニック組織内の
発現の部位を局在化するために、それぞれ異種核酸特異的なポリヌクレオチドプ
ローブおよび抗体を用いて行われ得る。一般的に、多数のトランスジェニック系
統は、最も適切な発現プロフィールを伴う植物を同定および選択するために、組
み込まれた核酸について通常スクリーニングされる。
【0164】 好ましい実施形態は、付加された異種核酸に関してホモ接合性であるトランス
ジェニック植物である;すなわち、2つの付加された核酸配列を含むトランスジ
ェニック植物であって、1つの遺伝子が、染色体対の各々の染色体上の同一の遺
伝子座に存在するトランスジェニック植物である。ホモ接合性トランスジェニッ
ク植物は、単一の付加された異種核酸を含むヘテロ接合性トランスジェニック植
物を有性交配(自家受粉)し、産生された種子のいくつかを出芽させ、そしてコ
ントロール植物(すなわち、ネイティブな、非トランスジェニック)と比べて、
本発明のポリヌクレオチドの変化した発現について、産生された得られた植物を
分析することによって得られ得る。親植物への戻し交配および非トランスジェニ
ック植物との異系交雑もまた、意図される。
【0165】 (ポリペプチドレベルおよび/またはポリペプチド組成の調節) 本発明はさらに、植物またはその一部における本発明のポリペプチドの濃度ま
たは組成を調節する(すなわち、増加させるかまたは減少させる)ための方法を
提供する。調節は、植物中の濃度および/または組成(すなわち、本発明のポリ
ペプチドの比率)を増加させるかまたは減少させることによって達成され得る。
この方法は、以下の工程を含む:形質転換された植物細胞を得るための上述のよ
うな本発明のポリヌクレオチドを含む組換え発現カセットを用いて植物細胞に導
入する工程;植物細胞成長条件下において形質転換植物細胞を培養させる工程;
ならびに植物中または植物部分中の濃度および/または組成を調節するのに十分
な時間にわたって、植物中に本発明のポリヌクレオチドの発現を誘導または抑制
する工程。
【0166】 いくつかの実施形態において、植物中の本発明のポリペプチドの含量および/
または組成は、遺伝子発現を上方制御または下方制御するために、遺伝子のプロ
モーターをインビボまたはインビトロで変化させることによって調節され得る。
いくつかの実施形態において、本発明のネイティブな遺伝子のコード領域は、こ
のコードされた酵素の活性を減少させるための置換、付加、挿入または欠失を介
して変えられ得る。例えば、Kmiec、米国特許第5,565,350号;Z
arlingら、PCT/US93/03868を参照のこと。そしていくつか
の実施形態において、プロモーター配列を含む単離された核酸(例えば,ベクタ
ー)は、植物細胞内へトランスフェクトされる。引き続いて、本発明のポリヌク
レオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む植物細胞は、当業者に公知
の手段(例えば、サザンブロット、DNA配列決定、またはこのプロモーターお
よびこの遺伝子に特異的なプライマーを用い、そしてこの遺伝子から産生される
アンプリコンを検出するPCR分析であるが、これらに限定されない)によって
選択される。上記の実施形態によって変更または改変された植物または植物の部
分を、植物中の本発明のポリペプチドの濃度および/または組成を調節するのに
十分な時間にわたって、植物形成条件下において生長させる。植物形成条件は、
当該分野において周知であり、そして前出に、手短に議論される。
【0167】 通常、濃度または組成は、上記の組換え発現カセットを欠く、ネイティブコン
トロール植物、植物部分、または細胞と比べて少なくとも5%、10%、20%
、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%増加または
減少される。本発明における調節は、発生の所望の段階まで植物を生長させる間
および/または生長に引き続いて生じ得る。時間的なおよび/または特定の組織
中の核酸発現の調節は、例えば、前出においてより詳細に議論されるように、セ
ンス配向性またはアンチセンス配向性における本発明のポリヌクレオチドに作動
可能に連結された適切なプロモーターを用いることによって制御され得る。本発
明のポリヌクレオチドの発現の誘導もまた、誘導化合物の有効量の外来性の投与
によって制御され得る。誘導可能なプロモーターおよびこれらのプロモーターか
らの発現を活性化する誘導化合物は、当該分野において周知である。好ましい実
施形態において、本発明のポリペプチドは、単子葉植物、特にトウモロコシにお
いて調節される。
【0168】 (分子マーカー) 本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む植物を遺伝子型決定(genot
yping)する方法を提供する。必要に応じて、植物は単子葉植物(例えば、
トウモロコシまたはソルガム)である。遺伝子型決定は、染色体対のホモログを
識別する手段を提供し、そして植物の集団における分離個体を識別するために使
用され得る。分子マーカー方法は、系統発生研究のため、作物品種間の遺伝的関
係を特徴付けるため、交雑または体細胞ハイブリッドを同定するため、単一遺伝
子形質をもたらす染色体セグメントを位置付けるため、マップに基づいたクロー
ニングのため、そして量的遺伝の研究のために使用され得る。例えば、Plan
t Molecular Biology:A Laboratory Man
ual、第7章、Clark編、Springer−Verlag、Berli
n(1997)を参照のこと。分子マーカー方法については、一般的に、And
rew H.Paterson 1996(第2章)Genome Mappi
ng in Plants(Andrew H.Paterson編)(Aca
demic Press/R.G.Landis Company、Austi
n、Texas、第7〜21頁)によるThe DNA Revolution
を参照のこと。
【0169】 本発明における遺伝子型決定の特定の方法は、制限断片長多型(RFLP)の
ような(しかし、これに限定されない)、かなり多数の分子マーカー分析技術を
使用し得る。RFLPは、ヌクレオチド配列のにより引き起こされるDNA制限
フラグメント間の対立遺伝子差異の産物である。当業者に周知のように、RFL
Pは代表的に、ゲノムDNAの抽出および制限酵素での消化によって検出される
。一般的に、生じたフラグメントをサイズに従って分離し、そしてプローブ(単
一コピーのプローブが好ましい)でハイブリダイズさせる。相同染色体由来の制
限フラグメントが示される。対立遺伝子間のフラグメントのサイズにおける差異
がRFLPを表す。従って、本発明はさらに、本発明の遺伝子または核酸ならび
にこれらの遺伝子または核酸に遺伝的に連鎖した染色体配列の分離を、RFLP
分析のような技術を使用して追跡するための手段を提供する。連鎖した染色体配
列は、本発明の遺伝子の50センチモルガン(cM)以内、しばしば40cM以
内または30cM以内、好ましくは20cM以内または10cM以内、より好ま
しくは5cM以内、3cM以内、2cM以内、または1cM以内に存在する。
【0170】 本発明では、植物の核ゲノムの分子マーカーマッピングのために使用される核
酸プローブは、選択的ハイブリダイゼーション条件下で、本発明のポリヌクレオ
チドをコードする遺伝子に選択的にハイブリダイズする。好ましい実施形態では
、プローブを、本発明のポリヌクレオチドから選択する。代表的に、これらのプ
ローブは、cDNAプローブまたは制限酵素処理(例えば、Pst I)ゲノム
クローンである。プローブの長さは、前出においてより詳細に考察されているが
、代表的には、少なくとも15塩基の長さ、より好ましくは少なくとも20、2
5、30、35、40、または50塩基の長さである。しかし、一般的に、プロ
ーブは約1キロ塩基未満の長さである。好ましくは、プローブは、半数体染色体
の相補体における固有の遺伝子座にハイブリダイズする、単一コピーのプローブ
である。RFLPマッピングに使用されるいくつかの例示的な制限酵素は、Ec
oRI、EcoRv、およびSstIである。本明細書中で使用される場合、用
語「制限酵素」は、特定のヌクレオチド配列を認識し、そして単独または別の組
成物との組み合わせにおいて、その特定のヌクレオチド配列を切断する組成物へ
の参照を含む。
【0171】 RFLPを検出する方法は、以下の工程を包含する:(a)植物のゲノムDN
Aを制限酵素で消化する工程;(b)選択的ハイブリダイゼーション条件下で、
このゲノムDNAの中の本発明のポリヌクレオチドの配列に、核酸プローブをハ
イブリダイズさせる工程;(c)そこからRFLPを検出する工程。本発明のポ
リヌクレオチドの多型性(対立遺伝子)改変体を識別する他の方法は、当業者に
周知の分子マーカー技術を使用することにより得、これには以下のような技術が
含まれる:1)一本鎖コンホメーション分析(SSCA);2)変性剤濃度勾配
ゲル電気泳動(DGGE);3)RNaseプロテクションアッセイ;4)対立
遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO);5)ヌクレオチドのミスマッチを
認識するタンパク質(例えば、E.coliのmutSタンパク質)の使用;お
よび6)対立遺伝子特異的PCR。2つの相補的DNA鎖の間のミスマッチ検出
に基づく他のアプローチとしては、クランプ型(clamped)変性ゲル電気
泳動(CDGE);ヘテロ二重鎖分析(HA);および化学的ミスマッチ切断(
CMC)が挙げられる。従って、本発明はさらに、ストリンジェントなハイブリ
ダイゼーション条件下で、本発明のポリヌクレオチドを含むことが疑われるサン
プルと核酸プローブとを接触させる工程を包含する、遺伝子型決定方法を提供す
る。一般的に、サンプルは植物サンプルである;好ましくは、本発明のトウモロ
コシのポリヌクレオチド(例えば、遺伝子、mRNA)を含むことが疑われるサ
ンプルである。核酸プローブは、ストリンジェントな条件下で、多型性マーカー
を含む本発明のポリヌクレオチドの部分配列に選択的にハイブリダイズする。核
酸プローブの多型性マーカー核酸配列への選択的ハイブリダイゼーションは、ハ
イブリダイゼーション複合体を産出する。ハイブリダイゼーション複合体の検出
は、サンプルにおけるその多型性マーカーの存在を示す。好ましい実施形態では
、核酸プローブは、本発明のポリヌクレオチドを含む。
【0172】 (UTRおよびコドンの優先度(preference)) 一般的に、翻訳効率は、RNAの5’非コード領域または非翻訳領域(5’U
TR)における特定の配列エレメントによって調節されることが見出された。正
の配列モチーフとしては、翻訳開始コンセンサス配列(Kozak、Nucle
ic Acids Res.15:8125(1987))および7−メチルグ
アノシンキャップ構造(Drummondら、Nucleic Acids R
es.13:7375(1985))が挙げられる。負のエレメントとしては、
安定な分子内5’UTRステムループ(stem−loop)構造(Muesi
ngら、Cell 48:691(1987))およびAUG配列または5’U
TRにおいて適切なAUGの後ろの短いオープンリーディングフレーム(Koz
ak、前出、Raoら、Mol.and Cell.Biol.8:284(1
988))が挙げられる。従って、本発明は、異種コード配列の翻訳の調節のた
めの5’および/または3’UTR領域を提供する。
【0173】 さらに、本発明のポリヌクレオチドのポリペプチドコードセグメントを改変し
て、コドン使用頻度を変更し得る。変更したコドン使用頻度を使用して、所望の
宿主における発現のために、翻訳効率を変更し得および/またはコード配列を最
適化し得、例えば、トウモロコシにおける発現のために、異種配列におけるコド
ン使用頻度を最適化し得る。本発明のポリヌクレオチドのコード領域におけるコ
ドン使用頻度を、市販のソフトウェアパッケージ(例えば、Universit
y of Wisconsin Genetics Computer Gro
upから入手可能な「Codon Preference」(Devereau
xら、Nucleic Acids.Res.12:387−395(1984
)を参照のこと)またはMacVector4.1(Eastman Koda
k Co.、New Haven、Conn.))を使用して、統計的に解析し
得る。従って、本発明は、本発明の少なくとも1つのポリヌクレオチドのコード
領域に特徴的なコドン使用頻度を提供する。コドン使用頻度を決定するために使
用され得るポリヌクレオチドの数は、1から本明細書中に提供されるような本発
明のポリヌクレオチドの数までの任意の整数であり得る。必要に応じて、ポリヌ
クレオチドは全長配列である。統計解析のための例示的な配列数は、少なくとも
1、5、10、20、50、または100であり得る。
【0174】 (配列シャッフリング) 本発明は、本発明のポリヌクレオチドを使用した配列シャッフリングの方法、
およびそれから生じる組成物を提供する。配列シャッフリングは、PCT公開番
号WO97/20078に記載される。Zhang,J.−H.ら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 94:4504−4509(1997)
もまた参照のこと。一般的に、配列シャッフリングは、選択またはスクリーニン
グされ得る所望の特徴を有するポリヌクレオチドのライブラリーを生成するため
の手段を提供する。組換えポリヌクレオチドのライブラリーは、実質的な配列同
一性を有し、かつインビトロまたはインビボで相同的に組換えされ得る配列領域
を含む、関連した配列のポリヌクレオチドの集団から生成される。配列を組換え
たポリヌクレオチドの集団は、所望されるかまたは有利な特徴を保有するポリヌ
クレオチドの部分集団を含み、そしてこれは、適切な選択方法またはスクリーニ
ング方法により選択され得る。特徴は、スクリーニング系において選択または検
出され得る任意の特性または属性であり得、そして以下の特性を含み得る:コー
ドされるタンパク質、転写エレメント、転写、RNAプロセシング、RNA安定
性、クロマチンのコンホメーション、翻訳、または遺伝子もしくは導入遺伝子の
他の発現特性を制御する配列、複製エレメント、タンパク質結合エレメントなど
(例えば、選択可能または検出可能な特性を付与する任意の特徴)。いくつかの
実施形態では、選択された特徴は、本明細書中で提供されるような、野生型タン
パク質に対するKmの減少および/またはKcatの増加である。他の実施形態では
、配列シャッフリングから生成されるタンパク質またはポリヌクレオチドは、シ
ャッフリングされてない野生型ポリヌクレオチドよりも高いリガンド結合親和性
を有する。このような特性における増加は、野生型の値の少なくとも110%、
120%、130%、140%、または少なくとも150%であり得る。
【0175】 (一般配列およびコンセンサス配列) 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドはさらに、以下を含む:(a)
本発明の、それぞれ、少なくとも2つの相同なポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドの一般配列;および(b)本発明の、それぞれ、少なくとも3つの相同なポ
リヌクレオチドまたはポリペプチドのコンセンサス配列。本発明の一般配列は、
それぞれ、一般的なポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列によって取り
囲まれる各種のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含む。アミノ酸または核
酸のコンセンサス配列を有するポリヌクレオチドによって取り囲まれる個々の種
を使用して、他の種、属、科、目、綱、門、または界におけるホモログをスクリ
ーニングするための抗体を産生し得るか、または核酸プローブもしくはプライマ
ーを生成し得る。例えば、Zea maysの遺伝子ファミリー由来のコンセン
サス配列を有するポリヌクレオチドを使用して、コムギ、イネ、またはソルガム
のような他のGramineae種に対する抗体または核酸プローブもしくはプ
ライマーを生成し得る。あるいは、オーソロガス遺伝子から生成されたコンセン
サス配列を有するポリヌクレオチドを使用して、他の分類群のオーソログ(or
tholog)を同定または単離し得る。代表的に、コンセンサス配列を有する
ポリヌクレオチドは、少なくとも9、10、15、20、25、30、または4
0アミノ酸の長さ、または20、30、40、50、100、または150ヌク
レオチドの長さである。当業者が知るように、整列された配列間で異なるが、上
記で考察したような同じ保存的置換の群由来であるアミノ酸について、保存的ア
ミノ酸置換が使用され得る。必要に応じて、1または2を超えない保存的アミノ
酸が、コンセンサス配列の各10アミノ酸長に対して置換される。
【0176】 コンセンサス配列または一般配列の作製のために使用される類似の配列として
は、本明細書中に提供されるような、同一遺伝子、オーソロガス配列、またはパ
ラロガス配列の任意の数および組み合わせの対立遺伝子改変体が挙げられる。必
要に応じて、コンセンサス配列または一般配列を作成する際に使用される類似の
配列を、BLASTアルゴリズムの最小和確率(P(N))を使用して同定する
。配列解析ソフトウェアの種々の供給業者は、Current Protoco
ls in Molecular Biology、F.M.Ausubelら
編、Current Protocols(Greene Publishin
g Associates,Inc.とJohn Wiley&Sons,In
c.との間の合併会社)(補遺30)の第7章に列挙される。参照核酸に対する
試験核酸の比較において最小和確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01
未満または約0.001未満、そして最も好ましくは約0.0001未満または
約0.00001未満である場合、ポリヌクレオチド配列を、参照配列に対して
類似するとみなす。類似のポリヌクレオチドを整列し得、そして多数の商業的供
給業者(例えば、Genetics Computer Group(Madi
son、WI)のPILEUPソフトウェア、Vector NTI(Nort
h Bethesda、MD)のALIGNX、またはGenecode(An
n Arbor、MI)のSEQUENCHER)から入手可能な複数配列整列
ソフトウェアを使用して、コンセンサス配列または一般配列を作成し得る。都合
よく、このようなソフトウェアのデフォルトのパラメーターを使用して、コンセ
ンサス配列または一般配列を作成し得る。
【0177】 (酵素活性または発現を調節する化合物についてのアッセイ) 本発明はまた、本発明の触媒的に活性なポリペプチドに結合し(例えば、基質
)、および/またはその酵素活性を増加もしくは減少(すなわち、調節)する化
合物を同定する手段を提供する。本方法は、酵素に結合するかまたは酵素活性を
調節する能力が決定されるべき化合物と、本発明のポリペプチドを接触させる工
程を包含する。使用されるポリペプチドは、本発明のネイティブな全長ポリペプ
チド(例えば、酵素)の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%または
40%、より好ましくは少なくとも50%または60%、そして最も好ましくは
少なくとも70%または80%の比活性を有する。一般的に、ポリペプチドは、
化合物の効果を決定するに十分な範囲(代表的に、約1nM〜10μM)で存在
する。同様に、化合物は、約1nM〜10μMの濃度で存在する。当業者は、酵
素濃度、リガンド濃度(すなわち、基質、生成物、インヒビター、アクチベータ
ー)、pH、イオン強度、および温度のような因子を制御して、有用な反応速度
データを得、そしてポリペプチドに結合するかまたはポリペプチド活性を調節す
る化合物の存在または非存在を決定することを理解する。酵素反応速度を測定す
る方法は、当該分野において周知である。例えば、Segel、Biochem
ical Calculations、第2版、John Wiley and
Sons、New York(1976)を参照のこと。
【0178】 (選択可能マーカーとしてのトウモロコシアデノシンデアミナーゼの使用) 本発明は、形質転換株の選択のための方法として、すなわち、選択可能マーカ
ーとして使用され得る。プロモーターに作動可能に連結され、次いで上記の任意
の方法によって植物細胞に形質転換されたトウモロコシアデノシンデアミナーゼ
遺伝子は、アデノシンデアミナーゼを発現する。植物細胞が、培地中でデオキシ
アデノシンまたはアナログの存在下に置かれた場合、形質転換細胞のみが増殖す
る。デオキシアデノシンアナログの例は、2−デオキシアデノシン、コルジセピ
ン(3−デオキシアデノシン)、ara−A(9−B−D−アラビノフラノシル
アデニン)、xyl−A(9−B−D−キシロフラノシルアデニン)、2,6−
ジアミノプリンリボシド、6−クロロプリンリボシド、6−メトキシプリンリボ
シド、および2’,3’−ジデオキシアデノシン、ならびに2−クロロアデノシ
ンである(Agarwal RP,Pharmacol.Ther.,17:3
99〜429,1982;Pelcher,L.米国特許第5474929,1
993を参照のこと)。デオキシアデノシンまたはアナログの存在下における植
物細胞の増殖は、トウモロコシアデノシンデアミナーゼについてコードし、従っ
て基質を脱アミノ化し解毒するコード配列を発現するように形質転換された植物
細胞の生存を支持する。トウモロコシアデノシンデアミナーゼカセットが、目的
の別の遺伝子と同時形質転換され、次いでデオキシアデノシンまたはアナログの
存在下に置かれた場合、本発明は、目的の遺伝子を含む植物細胞のみの選択を可
能にする。過去において、抗菌耐性遺伝子が、選択可能なマーカーとして使用さ
れている。抗菌遺伝子を使用する消費者および環境保護主義者による現在の関心
、およびこの使用に起因して生じる耐性微生物の可能性を考えると、本発明のよ
うな非抗菌耐性の選択可能マーカー系は、この非常に重要な必要性を満たす。
【0179】 本発明を、理解の明確化の目的で、例示および例として幾分詳細に記載してい
るが、特定の変化および改変が、添付の特許請求の範囲の範囲内で実施され得る
ことは明らかである。
【0180】 (実施例1) 本実施例は、cDNAライブラリーの構築を記載する。
【0181】 (総RNAの単離) 配列番号1のRNAを、B73トウモロコシ株の2つの実由来の未成熟の実組
織から単離した。特許のPioneer Hi−Bred Int’l Inc
.近交系の苗条培地、PHRE1(米国特許第5,416,254号)(これは
、273N培地(Appendix)上に保持される)は、配列番号3のRNA
の供給源であった。配列番号5のライブラリを調製するために使用したポリA
RNAを、後期減数分裂から有糸分裂1の細胞学的段階にあり、小胞子組織を含
むことが決定された4房のA632株から調製した。総RNAを、Chomcz
ynskiおよびSacchi(Chomczynski,P.およびSacc
hi,N.、Anal.Biochem.162、156(1987))によっ
て記載されるグアニジンイソチオシアネート/酸−フェノール手順の改変版を使
用して、TRIzol試薬(Life Technology Inc.Gai
thersburg、MD)を用いてトウモロコシ組織から単離した。簡潔には
、植物組織サンプルを、TRIZOL試薬の添加の前に液体窒素中で粉砕し、次
いで、乳鉢および乳棒でさらにホモジナイズした。水相および有機相の分離のた
めに、遠心分離前にクロロホルムの添加を実施した。総RNAを、水相からのイ
ソプロピルアルコールでの沈澱によって回収した。
【0182】 (ポリ(A)+RNAの単離) 総RNAからのポリ(A)+RNAの選択を、POLYATTRACTシステ
ム(Promega Corporation.Madison、WI)を使用
して実施した。簡潔には、ビオチン化オリゴ(dT)プライマーを使用して、m
RNAの3’ポリ(A)テイル(tail)にハイブリダイズした。常磁性粒子
に結合したストレプトアビジンおよび磁気分離スタンドを使用して、ハイブリッ
ドを捕捉した。mRNAを高ストリンジェントな条件で洗浄し、そしてRNas
eを含まない脱イオン水によって溶出した。
【0183】 (cDNAライブラリーの構築) cDNA合成を実施し、そしてSUPERSCRIPT Plasmid S
ystem(Life Technology Inc.Gaithersbu
rg、MD)を使用して、単方向性cDNAライブラリーを構築した。cDNA
の第1鎖を、NotI部位を含むオリゴ(dT)プライマーをプライミングする
ことによって合成した。反応を、SUPERSCRIPT Reverse T
ranscriptase IIによって、45℃で触媒した。cDNAの第2
鎖を、α−32P−dCTPで標識し、そして反応物の一部を、アガロースゲル電
気泳動により分析してcDNAのサイズを決定した。500塩基対未満のcDN
A分子および連結されていないアダプターを、Sephacryl−S400ク
ロマトグラフィーによって取り除いた。選択されたcDNA分子を、pSPOR
T1ベクター中に、NotI部位とSalI部位との間で連結した。
【0184】 (実施例2) 本実施例は、cDNA配列決定およびライブラリーの差引きを記載する。
【0185】 (配列決定テンプレートの調製) 個々のコロニーを拾い上げ、そしてM13正方向プライマーおよびM13逆方
向プライマーを用いるPCRによってか、またはプラスミド単離によってかのい
ずれかでDNAを調製した。すべてのcDNAクローンを、M13逆方向プライ
マーを使用して、配列決定した。
【0186】 (Q−bot差引き手順) 差引き手順に供したcDNAライブラリーを、1プレートあたり約3,000
コロニーの密度で、22×22cm2の寒天プレート上にプレートした。このプ
レートを、37℃のインキュベーター内で12〜24時間インキュベートした。
コロニーを、ロボット型コロニー拾い上げ機Q−bot(GENETIX Li
mited)によって、384ウェルプレート中に拾い上げた。これらのプレー
トを、37℃で一晩インキュベートした。
【0187】 一旦、十分なコロニーが拾い上げられると、Q−botを用いて、それらを2
2×22cm2のナイロンメンブレン上に固定した。各メンブレンは、9,21
6コロニーまたは36,864コロニーを含んでいた。これらのメンブレンを、
適切な抗生物質を有する寒天プレート上に配置した。このプレートを、37℃で
一晩インキュベートした。
【0188】 2日目にコロニーを回収した後、これらのフィルターを変性溶液で予め湿らせ
た濾紙上に4分間配置し、次いで、沸騰水浴の上面でさらに4分間インキュベー
トした。次いで、このフィルターを中和溶液で予め湿らせた濾紙上に4分間配置
した。乾燥濾紙上にこのフィルターを1分間配置することによって過剰な溶液を
取り除いた後、このフィルターのコロニー側をProteinase K溶液中
に配置し、37℃で40〜50分間インキュベートした。このフィルターを乾燥
濾紙上に配置して、一晩で乾燥させた。次いで、UV光処理によって、DNAを
ナイロンメンブレンに架橋した。
【0189】 コロニーハイブリダイゼーションを、Sambrook,J.、Fritsc
h,E.F.およびManiatis,T.(Molecular Cloni
ng:A Laboratory Manual、第2版)によって記載される
ように実施した。以下のプローブを、コロニーハイブリダイゼーションにおいて
使用した: 1.大半の重複したクローンを除去するための、ライブラリーを作製したのと同
じ組織に由来する第1鎖cDNA、 2.以前の配列決定データに基づいた、同じライブラリー由来の48〜192の
大半の重複したcDNAクローン、 3.トウモロコシ配列データベース全体における192の大半の重複したcDN
Aクローン、 4.ポリAテイルを含むが、cDNAを含まないクローンを除く、配列番号3に
列挙されるSal−A20オリゴヌクレオチド、 5.rRNA由来のcDNAクローン。
【0190】 オートラジオグラフィの画像をコンピューターで走査し、そして各コロニーの
シグナル強度および非放射性コロニーの所在(cold colony add
ress)を分析した。384ウェルプレートから96ウェルプレートへの、コ
ールドコロニーの再配置を、Q−botを使用して実施した。
【0191】 (実施例3) 本実施例は、コンピューター相同性検索からの遺伝子の同定を記載する。
【0192】 遺伝子の正体を、BLASTの「nr」データベース(すべての非重複性Ge
nBank CDS翻訳産物、3次元構造Brookhaven Protei
n Data Bank由来の配列、SWISS−PROTタンパク質配列デー
タベース、EMBL、およびDDBJデータベースの最新の主要な公開物、を含
む)に含まれる配列に対する類似性について、デフォルトパラメーターの下でB
LAST(Basic Local Alignment Search To
ol;Altschul,S.F.ら(1990)、J.Mol.Biol.2
15:403−410;www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAS
T/もまた参照のこと)検索を実行して、決定した。cDNA配列を、BLAS
TNアルゴリズムを用いて、「nr」データベース中に含まれる公的に利用可能
なすべてのDNA配列に対する類似性について分析した。DNA配列をすべての
読み取り枠で翻訳し、そしてNCBIにより提供されるBLASTXアルゴリズ
ム(Gish,W.およびStates,D.J.Nature Geneti
cs 3:266−272(1993))を使用して、「nr」データベース中
に含まれる公的に利用可能なすべてのタンパク質配列に対する類似性を比較した
。いくつかの場合では、DNAの重複するセグメントを含む2つ以上のクローン
由来の配列決定データを、連続したDNA配列を構築するために使用した。
【0193】 (実施例4) 本実施例は、トウモロコシADAタンパク質配列を例示し、そして金属イオン
(Z++)の結合に関与するアミノ酸の保存、ならびに触媒部位残基の保存を記載
する。
【0194】
【表1】 強調した残基(マウスADAおいてZn++原子の配位に関与することが示された
;Wilson DKら、Science 252:1278〜1284、19
91を参照のこと)は、トウモロコシ酵素中に保存される。下線部のアミノ酸は
、原核生物および真核生物のADA中に保存される。
【0195】
【表2】 上記の実施例を、本発明を例示するために提供するが、本発明の範囲を制限す
るためではない。本発明の他の改変は当業者に容易に明らかであり、そして添付
の特許請求の範囲に包含される。本明細書中に引用されるすべての刊行物、特許
、および特許出願を、本明細書中で参考として援用する。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 15/00 ZNAA 9/78 5/00 C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD05 CA06 CA17 CA19 CB03 CD03 CD07 CD10 4B024 AA01 AA08 BA11 CA04 CA09 CA12 HA14 HA17 4B050 CC03 DD03 LL01 LL03 4B065 AA88Y AB01 CA31 CA44 CA46

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離された植物アデノシンデアミナーゼ(ADA)ポリヌク
    レオチドであって、以下: (a)配列番号1、3および5からなる群より選択されるポリヌクレオチドと
    少なくとも80%の配列同一性を有するポリヌクレオチドであって、ここで該配
    列同一性パーセントは、各参照配列のコード領域全体に基づき、そしてデフォル
    トパラメータの下でGAPアルゴリズムによって計算される、ポリヌクレオチド
    ; (b)配列番号2、4および6からなる群より選択されるポリペプチドをコー
    ドするポリヌクレオチド; (c)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1、3
    および5からなる群より選択されるポリヌクレオチド内の遺伝子座に対して選択
    的にハイブリダイズするプライマーを用いて、Zea mays核酸ライブラリ
    ーから増幅されたポリヌクレオチド; (d)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件および0.1×SSC
    中での60℃での洗浄下で、配列番号1、3および5からなる群より選択される
    ポリヌクレオチドに対して選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド; (e)配列番号1、3および5からなる群より選択されるポリヌクレオチド;
    ならびに (f)(a)、(b)、(c)、(d)または(e)のポリヌクレオチドに対
    して相補的であるポリヌクレオチド、 からなる群より選択されるメンバーを含む、核酸。
  2. 【請求項2】 センスまたはアンチセンスの配向で、プロモーターに作動可
    能に連結された請求項1に記載のメンバーを含む、組換え発現カセット。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の組換え発現カセットを含む、細菌、酵母ま
    たは植物宿主細胞。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の組換え発現カセットを含む、トランスジェ
    ニック植物。
  5. 【請求項5】 前記植物が単子葉植物である、請求項4に記載のトランスジ
    ェニック植物。
  6. 【請求項6】 前記植物が双子葉植物である、請求項4に記載のトランスジ
    ェニック植物。
  7. 【請求項7】 前記植物が、トウモロコシ、ダイズ、ヒマワリ、ソルガム、
    カノーラ、コムギ、アルファルファ、ワタ、イネ、オオムギおよびキビからなる
    群より選択される、請求項4に記載のトランスジェニック植物。
  8. 【請求項8】 請求項4に記載のトランスジェニック植物由来のトランスジ
    ェニック種子。
  9. 【請求項9】 植物においてアデノシンデアミナーゼのレベルを調節する方
    法であって、以下: (a)プロモーターに作動可能に連結された請求項1に記載のアデノシンデア
    ミナーゼポリヌクレオチドを含む組換え発現カセットを植物細胞に導入する工程
    ; (b)植物細胞が増殖する条件下で該植物細胞を培養する工程; (c)形質転換された遺伝子型を保有する植物を再生する工程;および (d)該ポリヌクレオチドの発現を、該植物におけるアデノシンデアミナーゼ
    のレベルを調節するに十分な時間にわたって誘導する工程、 を包含する、方法。
  10. 【請求項10】 前記植物がトウモロコシである、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 植物の形質転換方法であって、該方法は、以下: (a)デオキシアデノシン、2’−デオキシアデノシン、またはそれらのアナ
    ログによって、成長阻害に対して感受性の植物種の細胞に、作動可能に連結され
    た成分を含むDNA構築物、該食物細胞において機能的なプロモーター、該デオ
    キシアデノシン、2’−デオキシアデノシン、またはそれらのアナログを解毒し
    得る請求項1に記載のアデノシンデアミナーゼをコードするDNA配列、および
    該植物細胞において機能的な転写終結領域を、導入する工程: (b)該デオキシアデノシン、2’−デオキシアデノシン、またはそれらのア
    ナログを含む植物成長培地中で該植物細胞を培養し、そして該デオキシアデノシ
    ン、2’−デオキシアデノシン、またはそれらのアナログに対して耐性を示す形
    質転換された植物細胞を選択する工程、 を包含する、方法。
  12. 【請求項12】 単離された植物アデノシンデアミナーゼ(ADA)タンパ
    ク質であって、以下: (a)配列番号2および4からなる群より選択されるポリペプチド由来の少な
    くとも20の連続したアミノ酸のポリペプチド; (b)配列番号2および4からなる群より選択されるポリペプチド; (c)配列番号2および4からなる群より選択されるポリペプチドに対して少
    なくとも80%の配列同一性を有し、かつ該ポリペプチドと共通の少なくとも1
    つの直鎖状エピトープを保有するポリペプチドであって、ここで該同一性パーセ
    ントが、デフォルトパラメータの下でGAPアルゴリズムによって決定される、
    ポリペプチド;ならびに (d)請求項1に記載のメンバーによってコードされる少なくとも1つのポリ
    ペプチド、 からなる群より選択されるメンバーを含む、タンパク質。
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