JP2002533402A - 癌を処置するためおよび樹状細胞の走化性を媒介するための方法 - Google Patents

癌を処置するためおよび樹状細胞の走化性を媒介するための方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、哺乳動物被験体において、癌または過剰増殖性障害を処置する方法を提供する。この方法は、被験体に治療的有効量のSLCを投与する工程を包含する。本発明の方法において有用であるSLCは、SLCポリペプチド、SLC改変体およびSLCフラグメントならびに関連のSLC核酸を含む。さらに、本発明は、哺乳動物において樹状細胞の機能を調節する方法を提供する。この方法は、哺乳動物に治療的有効量のSLC薬剤を投与する工程を含む。このような方法を用いて、哺乳動物における免疫応答、特に一次免疫応答を上昇または減少させ得る。この方法は、移植拒絶の予防および自己免疫疾患の処置において特に有用である。あるいは、この方法を用いて、免疫応答を高め得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、癌および過剰増殖性細胞増殖の処置ならびに免疫応答の調節に有用
なケモカインに関する。
【0002】 (発明の背景) ケモカインは、30を超える小さな(8〜12kDa)、共通の構造的特徴を
有するヘパリン結合サイトカインの一群を構成し、これらは、炎症および免疫応
答の部位への白血球遊走を媒介する。さらに、いくつかのケモカインは、造血の
調節、血管新生、アポトーシスの抑制、およびHIV−1吸収のような他の生物
学的活性を有することが示されている。大半のケモカインは、4個の保存された
システイン残基を含み、そしてそれらの保存されたシステイン残基の位置に基づ
いて、4つの主要なサブファミリー(CXC、CC、C、およびCX3C)に分
類される。CCケモカインでは、2個のアミノ末端システイン残基が隣接する。
CCケモカインは、一般的に、種々の選択性を伴って、単球、好酸球、好塩基球
、および/またはリンパ球に対して走化性である。
【0003】 二次リンパ系ケモカイン(SLC)と称される新規なヒトCCケモカイン(6
Ckine、Exodus−2および胸腺由来化学誘引物質4(TCA4)とし
てもまた公知)が、近年同定された。SLCは、構造、染色体局在性、組織発現
のパターン、およびレセプター使用(usage)において、他の大半のCCケ
モカインとは異なる。他のCCケモカインとは対照的に、SLCは、リンパ球に
対して走化性である(未刺激のT細胞に対して優先的な活性を有する)が、単球
または好中球に対しては走化性ではないことが報告された。Nagiraら(1
997)J.Biol.Chem.272:19518−19524;およびG
unnら(1998)Proc Natl Acad Sci USA 95:
258。さらに、SLCは、血管新生のラット角膜ミクロポケット(micro
pocket)モデルにおいて、血管新生抑制(angiostatic)活性
を有することが、近年示された。Sotoら(1998)Proc Natl
Acad Sci USA 95:8205。SLCは主に、リンパ節、パイア
ー斑、垂、脾臓、および複数の器官のリンパ内皮のようなリンパ系組織において
、そしてまた、HEV内皮細胞において、発現される。SLCは、二次リンパ系
器官(例えば、パイアー斑およびリンパ節)へのリンパ球の補充において主要な
役割を果たすと仮定されている。Pachynskiら(1998)J.Imm
unol.161:952−956を参照のこと。
【0004】 癌および過剰増殖性障害の処置のためのサイトカインの種々の適用が、試みら
れている。例えば、サイトカイン遺伝子(例えば、IL−2またはGM−CSF
)でトランスフェクトされた自己腫瘍細胞の導入は、腫瘍に対して防御的なT細
胞応答を誘導した。しかし、本発明の前に、癌の処置においてSLCを使用する
試みは存在していない。
【0005】 1つの局面では、本明細書中に記載される本発明は、癌および過剰増殖性障害
の処置において、サイトカインSLCを使用する新規な方法に関する。
【0006】 別の局面では、本発明の方法は、一次免疫応答の調節における、SLCの新規
な使用に関する。すべての免疫応答は複雑であり、そしていくつかの細胞型が関
与する、複雑に調節された一連の事象である。これは、抗原が身体内に侵入し、
そして抗原提示細胞(APC)と呼ばれる特殊化されたクラスの細胞に遭遇した
場合に誘発される。これらのAPCは、微量の抗原を捕捉し、そして抗原特異的
ヘルパーTリンパ球によって認識され得る形態でそれを提示する。ヘルパーT(
H)細胞は活性化され、次いで、他のクラスのリンパ球(例えば、B細胞また
は細胞傷害性T細胞)の活性化を促進する。次いで、活性化されたリンパ球が増
殖し、そしてそれらの特異的なエフェクター機能(これは、多くの場合において
、抗原を首尾良く活性化または排除する)を実行する。このプロセスの各段階で
、リンパ球およびAPCは、直接的な接触を通してか、または活性化分子である
調節性サイトカインを分泌することによって互いに連絡し、そして他の細胞を通
して間接的に連絡し得る。
【0007】 APCと抗原特異的TH細胞との間の接触もまた、APCに対して効果を有す
る。最も重要な効果の1つは、APCが、インターロイキン−1(IL−1)と
呼ばれるサイトカインの放出を開始させ得るということである。IL−1は、ク
ラスII MHCタンパク質および種々の接着分子の表面発現を増加させ、それ
によってTH細胞の結合を強化し、そして抗原提示を増強させる。TH細胞は活性
化されて、サイトカインならびに他の増殖因子および分化因子を放出する。
【0008】 用語「抗原提示細胞(APC)」は、クラスII MHC分子を構成的に発現
し、そして刺激性抗原をTH細胞に提示する細胞をいう。APCとして機能する
、3つの主要なクラスの細胞が存在する。これらのクラスは、マクロファージ、
樹状細胞、およびB細胞である。樹状細胞は、抗原提示細胞のなかで最も強力で
あり、そして一次免疫応答の開始に不可欠であると考えられている(Lanza
vecchia(1993)Science 260:937;およびGrab
beら(1995)Immunol Today 16:117)。
【0009】 樹状細胞(DC)は、T細胞依存性免疫応答を刺激する専門的抗原提示細胞で
ある(Banchereauら(1998)Nature 392、6673:
245;Hart,D.N.J.(1997)Blood 90、9:3245
)。このプロセスは、末梢におけるDCによる抗原の捕捉およびプロセシング、
リンパ管を介した局所的リンパ節へのそれらの遊走、ならびにT細胞へのプロセ
スされた抗原の提示を含む。細菌性産物(例えば、LPSおよび炎症シグナル(
例えば、TNF およびIL−1))は、DCの成熟を誘導することが示された
。このDCの成熟は、MHCクラスIおよびクラスIIタンパク質の表面発現の
増加、T細胞補助的刺激分子(例えば、CD80、CD86、およびCD40)
のアップレギュレーション、ならびにT細胞を刺激する能力の増強によって特徴
付けられる(Banchereauら(1998)Nature 392、66
73:245)。ケモカイン(例えば、C5a、fMLP SDF−1、MCP
−3、MCP−4、RANTES、MIP1α、MIP1β、MIP−5、およ
びMDC)は、インビトロで未成熟DCの遊走を誘導することが報告された(S
ozzaniら(1995)J.Immunol.155、7:3292;Mo
relliら(1996)Immunology 89、1:126;Xuら(
1996)J.Leukoc.Biol.60、3:365;Sozzaniら
(1997)J.Immunol.159、4:1993;Godiskaら(
1997)J.Exp.Med.185、9:1595)。
【0010】 臨床免疫学の発展によって、異常な免疫応答に起因するますます多くの疾患が
明らかとなった。例えば、異常な免疫応答から生じると考えられる40を超える
疾患が、免疫応答を阻害し得る薬剤によって、潜在的に処置され得る。従って、
免疫応答の調節のための方法および治療は、これらの疾患の処置において、そし
て移植拒絶を予防する際に有用である。
【0011】 従って、第2の局面では、本発明は、樹状細胞(DC)の操作を通して免疫応
答を調節する方法を提供する。
【0012】 (発明の要旨) 本発明は、SLCが、インビボで腫瘍の増殖を阻害し、そして樹状細胞(DC
)に対する強力なケモカインであるという、本明細書中で報告される新規の観察
に基づく。従って、本発明は、哺乳動物被験体において癌または過剰増殖性障害
を処置する方法を提供する。この方法は、その被験体に治療的有効量のSLCを
投与する工程を包含する。本発明の方法において有用なSLCとしては、SLC
のポリペプチド、改変体およびフラグメント、ならびに関連の核酸が挙げられる
。本発明の方法は、癌および過剰増殖性障害の処置において有用である。
【0013】 さらに、本発明は、哺乳動物において樹状細胞の機能を調節するための方法を
提供する。この方法は、その哺乳動物に治療的有効量のSLC薬剤を投与する工
程を包含し、この薬剤は、SLCポリペプチド、SLCポリペプチド改変体、S
LCポリペプチドフラグメント、SLCポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チド、SLCポリペプチド改変体をコードするポリヌクレオチド、およびSLC
ポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチド、抗SLC抗体、なら
びにCCR7レセプターに対するリガンドからなる群から選択される。このよう
な方法を使用して、哺乳動物における免疫応答(特に、一次免疫応答)を増加ま
たは減少させ得る。この方法は、特に、移植片拒絶の予防および自己免疫疾患の
処置において有用である。あるいは、この方法を使用して、免疫応答を増強し得
る。
【0014】 (発明の詳細な説明) 本発明は、二次リンパ系組織ケモカイン(SLC)が、腫瘍の増殖を阻害し、
そして成熟樹状細胞(DC)に対して走化性であるという、本明細書中で開示さ
れる新規の発見に基づく。本発明は、本明細書中で提案される機構によって限定
されないが、SLCは、免疫学的応答を媒介することによって、および血管新生
を阻害することによって、腫瘍増殖および過剰増殖性障害を阻害すると考えられ
る。特に、SLCは、DC、未刺激のT細胞、および活性化T細胞に対する化学
誘引物質として作用する。SLCが、ラット角膜モデルにおいて、bFGFまた
はVEGFに誘導される血管新生を阻害することは以前に示されているが、本発
明は、インビボでのSLCの抗腫瘍活性を実証する最初の報告である。
【0015】 従って、1つの局面では、本発明は、哺乳動物被験体において癌または過剰増
殖性細胞増殖を処置する方法に関する。この方法は、この被験体に治療的有効量
のSLCを投与する工程を包含する。
【0016】 「SLCポリペプチドまたはタンパク質」とは、二次リンパ系組織ケモカイン
を意味する。SLCとしては、以下に規定されるような、天然に存在する哺乳動
物SLC、ならびにその改変体およびフラグメントが挙げられる。好ましくは、
SLCは、ヒトまたはマウス起源のSLCである。最も好ましくは、SLCはヒ
トSLCである。ヒトSLCは、クローン化され、そして配列決定されている。
Nagiraら(1997)J Biol Chem 272:19518(こ
の内容は、参考として援用される)。ヒトSLCのcDNA配列およびアミノ酸
配列を、図1に示す(それぞれ、配列番号1および配列番号2)。ヒトSLCの
シグナル配列は切断されて成熟形態を産生し、配列番号2の残基24〜134(
配列番号5)を示す。マウスのSLCもまた、クローン化され、そして配列決定
されている。Hromasら(1997)J Immunol 159:255
4;Hedrickら(1997)J Immunol 159:1589;お
よびTanabeら(1997)J Immunol 159:5671(これ
らの内容は、参考として援用される)。マウスSLCのcDNA配列およびアミ
ノ酸配列を、図2に示す(それぞれ、配列番号3および配列番号4)。マウスS
LCのシグナル配列は切断されて成熟形態を産生し、配列番号2の残基24〜1
33(配列番号6)を示す。
【0017】 用語「SLCポリペプチド」はまた、配列番号5および6のSLCの改変体お
よびフラグメントを含む。本発明の目的のために、SLCポリペプチドおよび改
変体は、配列番号4または配列番号5のポリペプチドと少なくとも70%配列同
一性を有する。%配列同一性を決定するための方法を、以下に考察する。
【0018】 「SLCポリペプチド改変体」は、ネイティブなタンパク質のN末端および/
またはC末端への1つ以上のアミノ酸の欠失または付加;ネイティブなタンパク
質中の1つ以上の部位での1つ以上のアミノ酸の欠失または付加;あるいは、ネ
イティブなタンパク質中の1つ以上の部位での1つ以上のアミノ酸の置換によっ
て、配列番号5または6のSLCタンパク質から誘導されるポリペプチドをいう
。このような改変体としては、ネイティブなSLCポリペプチド配列の変異体、
フラグメント、対立遺伝子改変体、相同なオルソログ(ortholog)、お
よび融合体が挙げられる。本発明の方法において有用なSLCポリペプチド、S
LCポリペプチド改変体、およびSLCフラグメントは、グリコシル化、リン酸
化、天然ではないアミノ酸アナログの置換などによって改変され得る。
【0019】 本発明の目的のために、SLC改変体は、配列番号5または6のアミノ酸配列
に対して、少なくとも70%、一般的には少なくとも75%、80%、85%、
好ましくは、約90%〜95%以上、そして最も好ましくは、約98%以上の配
列同一性を有する。本発明の方法において有用なSLCタンパク質の改変体は、
1〜33程度の少数のアミノ酸残基、1〜30程度の少数のアミノ酸残基、1〜
20程度の少数のアミノ酸残基、1〜15程度の少数のアミノ酸残基、1〜10
程度の少数(例えば、6〜10)のアミノ酸残基、5程度の少数のアミノ酸残基
、4、3、2、またはさらに1程度の少数のアミノ酸残基によって、配列番号5
または6のポリペプチドとは異なり得る。
【0020】 同一性および類似性を計算するための方法は、当該分野において公知である。
例えば、Computer Analysis of Sequence Da
ta、第1部、Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編、
Humana Press、New Jersey、1994;Sequenc
e Analysis in Molecular Biology、von
Heinje,G.、Academic Press、1987;ならびにSe
quence Analysis Primer、Gribskov,M.およ
びDevereux,J.編、M Stockton Press、New Y
ork、1991を参照のこと。一般的に、2つのアミノ酸配列の%同一性を決
定するため、配列を、最適な比較目的のために整列する。2つの配列間の%同一
性は、これらの配列によって共有される同一な位置の数の関数である(すなわち
、%同一性=同一な位置の数/位置の数の合計(例えば、重複する位置)×10
0)。例えば、参照アミノ酸配列に対して少なくとも95%「同一」なアミノ酸
配列を有するポリペプチドとは、そのポリペプチド配列が、参照アミノ酸配列の
各100アミノ酸あたり5個までのアミノ酸変更を含み得ることを除いて、その
ポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列に同一であることを意図する。参照配列
のこれらの変更は、参照アミノ酸配列のアミノ末端位置もしくはカルボキシ末端
位置で生じ得るか、または参照配列内の残基の間で個々にか、もしくは参照配列
内の1つ以上の連続した群においてのいずれかで散在して、これらの末端の間の
どこかで生じ得る。
【0021】 2つの配列間の%同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得
る。本発明の目的のために、2つのポリペプチド配列間の%配列同一性は、デフ
ォルトの設定を用いて、BESTFITコンピュータープログラム(Wisco
nsin Sequence Analysis Package、Unix(
登録商標)用バージョン8、Genetics Computer Group
、University Research Park、575 Scienc
e Drive、Madison,Wis.53711)を使用して決定される
。本発明に従って、特定の配列が、参照配列に対して、例えば、95%同一であ
るか否かを決定するためにBESTFITを使用する場合、パラメーターは、当
然ながら、同一性のパーセントが参照アミノ酸配列の全長にわたって計算される
ように、そして参照配列中のアミノ酸残基の総数の5%までの相同性におけるギ
ャップが許容されるように設定される。
【0022】 本発明の方法において有用なSLC改変体は、アミノ酸の置換、欠失、短縮化
(truncation)、および挿入によって、獲得され得る。好ましいSL
Cポリペプチド改変体は、配列番号5または6のポリペプチドの1つ以上の保存
的アミノ酸置換を有する。例えば、保存的アミノ酸置換は、1つ以上のアミノ酸
残基でなされ得る。好ましくは、置換は非必須アミノ酸残基でなされる。
【0023】 「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性のいずれも変更することなく、SL
Cタンパク質の野生型配列(例えば、配列番号5または6の配列)から変更され
得る残基である。一方、「必須」アミノ酸残基は、所定の生物学的活性に必要と
される。
【0024】 「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基を、類似の側鎖を有するアミノ酸残
基で置換する置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当
該分野で規定されている。これらのファミリーとしては、以下が挙げられる:塩
基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性
側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性
側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン
、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば
、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、
メチオニン、トリプトファン)、β−分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレ
オニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば
、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)。例えば、Bo
wieら(1990)Science 247:1306(本明細書中で参考と
して援用される)を参照のこと。好ましくは、このような置換は、保存されたシ
ステイン残基(例えば、アミノ末端に隣接したシステイン残基)では、なされな
い。
【0025】 本発明の方法において有用なSLC改変体は、天然に存在する改変体から単離
され得るか、変異誘発もしくは組換え操作後に単離され得るか、または合成的に
生成され得る。天然に存在する対立遺伝子改変体は、周知の分子生物学的技術(
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびハイブリダイゼーション技術を
用いるような)を使用して同定され得る。このような操作の方法は、当該分野に
おいて一般的に知られている。さらに、SLCタンパク質の改変体は、変異誘発
または組換え操作によって調製され得る。変異誘発およびヌクレオチド配列の変
更のための方法は、当該分野において周知である。例えば、Kunkel(19
85)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492
;Kunkelら(1987)Methods in Enzymol.154
:367−382;米国特許第4,873,192号;WalkerおよびGa
astra編(1983)Techniques in Molecular
Biology(MacMillan Publishing Company
、New York)、ならびに、それらにおいて引用される参考文献を参照の
こと。目的のタンパク質の生物学的活性に影響しない、適切なアミノ酸置換に関
する指針は、Dayhoffら(1978)Atlas of Protein
Sequence and Structure(Natl.Biomed.
Res.Found.、Washington,D.C.)(本明細書中で参考
として援用される)のモデルにおいて見出され得る。
【0026】 従って、本発明の方法において有用なポリペプチドは、天然に存在するタンパ
ク質、ならびにその改変体および改変された形態の両方を包含する。このような
改変体は、所望されるSLC活性を保有し続ける。改変体をコードするDNAに
おいてなされる変異は、明らかに、読み取り枠を外して配列を置換してはならず
、そして好ましくは、二次的なmRNA構造を生成し得る相補的領域を作製しな
い。EP特許出願公開番号第75,444号を参照のこと。
【0027】 「SLCポリペプチドフラグメント」とは、配列番号5または6のアミノ酸配
列の一部分を意図する。本明細書中で使用される場合、SLCポリペプチドフラ
グメントは、配列番号5または6のポリペプチドの少なくとも30%の樹状細胞
化学誘引活性、抗腫瘍活性、または血管新生抑制活性を保持する。さらに、本発
明の目的のために、SLCフラグメントは、配列番号5または6のポリペプチド
の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基を含む。従って、SLCポリペプチ
ドフラグメントは、配列番号5または6の少なくとも10個の連続したアミノ酸
残基(約15個、約20個、約25個、約30個、約40個、約50個、約60
個、約70個、約80個、約90個、約100個)から、配列番号5または6の
ポリペプチドの110〜111個の連続したアミノ酸残基までの範囲であり得る
【0028】 本発明の方法において有用な改変体SLCタンパク質およびSLCポリペプチ
ドフラグメントは、SLCの生物学的活性を有さなければならない。詳細には、
これらは、そのネイティブタンパク質の所望の生物学的活性(すなわち、本明細
書中に記載されるような、樹状細胞化学誘引活性、血管新生抑制活性または抗腫
瘍活性)を有さなければならない。本発明の目的のためには、「SLC改変体」
は、配列番号5または6のポリペプチドの少なくとも30%の樹状細胞化学誘引
活性、腫瘍阻害活性または血管新生抑制活性を示す。より代表的には、改変体は
、これらの活性の少なくとも1つの60%を超える活性を示す;さらにより代表
的には、改変体は、これらの活性の少なくとも1つの80%を超える活性を示す
【0029】 本明細書において有用なタンパク質配列番号の欠失、挿入および置換は、その
タンパク質の特徴において過激な変化を生じるとは予想されない。しかし、置換
、欠失または挿入を行う前に置換、欠失または挿入の正確な効果を予測すること
が困難な場合、当業者は、その効果が慣用的なスクリーニングアッセイによって
評価されることを認識する。すなわち、樹状細胞化学誘引活性は、例えば、以下
の実施例2に記載される走化性アッセイのような、標準的な走化性アッセイによ
って、および当業者に公知の他の走化性アッセイによって評価され得る。例えば
、Rubbertら,(1998)J Immunol 160:3933およ
びNagiraら(1997)J Biol Chem 272:19518(
本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。同様に、血管新生抑制活性
は、血管新生の卵絨毛尿膜モデルまたはげっ歯類角膜モデルにおいて測定され得
る。例えば、Sotoら(1998)Proc Natl Acad Sci
USA 95:8205(この内容は、本明細書中に参考として援用される)を
参照のこと。抗腫瘍活性は、実施例6および7に記載されるように、非ヒト哺乳
動物被験体における腫瘍細胞の移植を用いて決定され得る。
【0030】 樹状細胞へのSLCの結合に関与するアミノ酸は、樹状細胞に対するSLCの
走化性活性に必須である。このようなアミノ酸は、当該分野で公知の方法によっ
て同定され得る。このような方法としては、アラニンスキャニング変異誘発、分
子進化(Crameriら(1996)Nat.Biotechnol.14(
3):315−319;Crameriら(1998)Nature 15:2
88−291;Pattenら(1997)Curr.Opin.Biotec
hnol.8:724−733;Stemmer,W.P.(1994)Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747−51;Stem
mer,W.P.(1994)Nature 370:389−391)、また
は部位特異的変異誘発が挙げられる。Cunninghamら(1989)Sc
ience 244:1081を参照のこと。得られる変異体は、生物学的活性
について試験され得る。結合に重要な部位は、結晶化、光学的親和性標識または
核磁気共鳴のような構造解析によって決定され得る。deVosら(1992)
Science 255:306およびSmithら(1992)J.Mol.
Biol.224:899を参照のこと。
【0031】 本発明の方法は、過剰増殖性障害および癌の処理に有用であり、そして固形腫
瘍の処置に特に有用である。本発明の方法に従って処置され得る固形腫瘍の型と
しては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:黒色腫、乳癌、頭部および
頸部の腫瘍、卵巣癌、子宮内膜癌、尿路癌、胃癌、精巣癌、前立腺癌、肺癌、膀
胱癌、膵臓癌、骨の癌、肝臓癌、結腸癌、直腸癌、上記の転移物、ならびに原発
起源が未知の転移物。本発明の方法によって処置され得る過剰増殖性障害として
は、以下が挙げられるがこれらに限定されない:前立腺過形成、増殖乳房疾患、
増殖性網膜症および色素性皮膚損傷。
【0032】 血管新生、すなわち、新たな血管の発生は、腫瘍形成、転移および腫瘍増殖、
網膜症、血管新生性眼障害、ならびに血管形成後または粥腫切除術後の再狭窄を
含む、宿主の疾患に関与する(Bicknellら(1996)Curr.Op
in.Oncol.8:60−65;Garianoら(1996)Surve
y Ophthalmol.40:481−490;およびWilcox,J.
N.(1993)Am.J.Cardiol.72:88E−95E)。本発明
の方法は、血管新生を(特に癌、腫瘍形成、転移および腫瘍増殖に関与する血管
新生)を抑制する際に有用である。従って、本発明は、哺乳動物被験体における
癌または過剰増殖性障害の処置のための方法を提供し、この方法は、治療的有効
量のSLCをこの被験体に投与する工程を含む。
【0033】 SLCは、SLCポリペプチド、SLC改変体またはSLCフラグメントをこ
の被験体にまたは被験体上に導入することによって直接投与され得る。あるいは
、SLCは、被験体に導入され得る、SLCポリペプチド、SLC改変体または
SLCフラグメントをコードするポリヌクレオチドの投与後に、インサイチュで
生成され得る。哺乳動物被験体中にポリヌクレオチドを導入し、そして発現させ
る方法は、当業者に公知である。このような方法としては、遺伝子治療法が挙げ
られるがこれに限定されない。従って、1つの実施形態では、SLCの投与は、
SLCポリヌクレオチドを哺乳動物に導入する工程を含む。
【0034】 本発明の方法において有用なSLCポリヌクレオチドとしては、以下が挙げら
れるがこれらに限定されない: a)配列番号1または3のポリヌクレオチド; b)配列番号1または3のポリヌクレオチドと少なくとも70%配列同一性を
有するポリヌクレオチド; c)配列番号1または3のポリヌクレオチドのコード領域と少なくとも70%
配列同一性を有するポリヌクレオチド; d)配列番号5または6のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド; e)配列番号5または6に対して少なくとも70%配列同一性を有するポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドであって、ここでこのポリペプチドは、配
列番号5または6のポリペプチドの血管新生抑制活性、腫瘍阻害活性、および/
または樹状細胞化学誘引活性の少なくとも30%の活性を有する、ポリヌクレオ
チド;ならびに f)配列番号5または6のポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌク
レオチドであって、ここでこのフラグメントは、配列番号5または6のポリペプ
チドの血管新生抑制活性、腫瘍阻害活性、および/または樹状細胞化学誘引活性
の少なくとも30%の活性を有する、ポリヌクレオチド;そしてこのフラグメン
トは、配列番号5または6の少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を含む。
【0035】 なお別の局面では、本発明は、哺乳動物において樹状細胞の機能を調節する方
法を含み、この方法は、治療的有効量のSLC薬剤をこの哺乳動物に投与する工
程を含み、この薬剤は、以下からなる群より選択される:SLCポリペプチド、
SLCポリペプチド改変体、SLCポリペプチドフラグメント、SLCポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチド、SLCポリペプチド改変体をコードするポ
リヌクレオチドおよびSLCポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレ
オチド、抗SLC抗体およびCCR7レセプターについてのリガンド。
【0036】 本発明は、二次リンパ系ケモカイン(SLC)が、成熟DCならびにT細胞を
含む他の免疫細胞に対して走化性であることを認識する。本発明はいかなる機構
にも結びつけられないが、SLCが、二次リンパ器官へのDCおよび他の細胞の
結合および遊走の誘導に関与すると考えられる。本発明のSLC薬剤が、本明細
書中に記載される免疫カスケードの別の局面に効果を発揮し得ることが認識され
る。従って、「樹状細胞の機能の調節」とは、レセプター結合または樹状細胞活
性の調節、ならびに免疫応答およびT細胞機能の調節に対する下流の効果の調節
が意図される。成熟DC細胞およびT細胞の両方に対するその走化性活性を考慮
すると、SLCは、これらの細胞についての重要な同時局在シグナル(co−l
ocalization signal)として役立ち得、免疫応答の開始を媒
介する。従って、本発明の組成物は、炎症および免疫応答の部位への白血球の補
充を媒介する際、特に樹状細胞および他の細胞の走化性において、用途を見出す
。本発明の組成物はさらに、腫瘍細胞の増殖を防止する際に、ならびに腫瘍後退
に、過剰増殖性細胞増殖を予防する際に、血管新生を阻害する際に、そして一般
に癌の処置に有用である。
【0037】 「免疫治療介入」によって、免疫応答の調節;(例えば、移植片拒絶を予防す
る際の)免疫応答の抑制;自己免疫疾患の予防および処置;免疫応答の増強;新
生物または腫瘍の増殖の阻害;血管新生の阻害などが意図される。
【0038】 免疫応答の「調節」によって、本発明の組成物を用いて、免疫応答を促進、増
強、アップレギュレートまたは開始し得ること、あるいは本発明の組成物を用い
て免疫応答を抑制またはダウンレギュレートし得ることが意図される。重要なこ
とには、樹状細胞は免疫応答の開始に関与するので、本発明の組成物を用いて、
一次免疫応答を予防し得る。「一次免疫応答」によって、上記のような免疫カス
ケードの始まり(onset)または開始(initiation)が意図され
る。このような応答は、抗原の捕獲および提示、ならびにT細胞を刺激する身体
全体での抗原の輸送を、ブロックすることにより少なくとも予防され得る。
【0039】 本発明のSLC薬剤は、ネイティブなSLCポリペプチド、ネイティブなSL
C核酸配列、ポリペプチドおよび核酸改変体、抗体、モノクローナル抗体、なら
びにSLCの発現、活性およびレセプター結合の操作を通して免疫応答をブロッ
クし得る他の成分を含む。このような成分としては、例えば、SLCプロモータ
ー活性を妨害または増強する、タンパク質または低分子;転写調節因子を誘引す
る、タンパク質または低分子;SLC mRNAを安定化または分解する、ポリ
ヌクレオチド、タンパク質または低分子;レセプター結合を妨害する、タンパク
質または低分子などが挙げられる。
【0040】 本発明は、どの特定の方法にも束縛されないことが認識される。SLCが成熟
樹状細胞およびT細胞に対して走化性であることが認識されたので、例えば、レ
セプター結合を妨害すること、SLCプロモーター活性を妨害すること、遺伝子
発現、mRNA安定性またはタンパク質安定性を妨害することなどにより、SL
C活性を抑制または増強する任意の手段を用いて一次免疫応答を調節し得、そし
てこれは本発明に含まれる。SLCのアミノ酸およびDNA配列は、当該分野で
公知である。例えば、Pachynskiら(1998)J.Immunol.
161:952;Yoshidaら(1998)J.Biol.Chem.27
3:7118,Nagiraら(1998)Eur.J.Immunol.28
:1516−1523;Nagiraら(1997)J.Biol.Chem.
272:19518を参照のこと。これらの全ては、本明細書中に参考として援
用される。
【0041】 SLC活性を保持するSLC改変体を利用して、免疫応答を増強し得、腫瘍の
進行を予防し得、過剰増殖性の細胞増殖を予防し得るなどである。いくつかのS
LC改変体またはSLC誘導体は、レセプターと結合する能力を保持し得るが、
走化性活性も免疫応答の開始に必須の活性も保持しないことが認識される。従っ
て、このような改変体または誘導体は、免疫応答を抑制するために有用である。
免疫応答を抑制し得るが、SLCレセプターを介して走化性細胞に結合し得るポ
リペプチドを選択するための方法は、当該分野で利用可能である。実験の節に示
されるアッセイ系のようなアッセイ系が利用され得る。コンビナトリアルケミス
トリーアプローチを用いて、免疫応答を抑制するために有用であり得る、SLC
改変体またはSLC誘導体を決定し得る。このようなアプローチは、選択のため
に利用可能な分子多様性の範囲を増大させ、そして生物学的活性について調査さ
れる分子のランダムなコレクションの範囲を大いに広げる。一般的に、John
N.Abelson(編)Methods In Enzymology,C
ombinatorial Chemistry 267,Academic
Press(1996);米国特許第5,270,170号;米国特許第5,4
98,530号(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。SLCの
アゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとして機能するSLCタンパク質の
改変体は、変異体タンパク質のコンビナトリアルライブラリーを、SLCタンパ
ク質のアゴニスト活性または血管新生抑制活性についてスクリーニングすること
によって同定され得る。
【0042】 適切なSLCポリペプチドは、SLC改変体、SLCフラグメント、アナログ
および誘導体であり得る。「アナログ」によって、1以上のアミノ酸の置換、挿
入または欠失を有する、ネイティブなSLCの配列および構造を含む、SLCま
たはSLCフラグメントのいずれかのアナログが意図される。1以上のペプトイ
ド(ペプチド模倣物)を有するペプチドもまた、用語アナログによって包含され
る(WO 91/04282)。「誘導体」によって、所望の活性が保持される
限り、SLC、SLCフラグメントまたはそれらのそれぞれのアナログの任意の
適切な改変物(例えば、グリコシル化、リン酸化または他の外来部分の付加)が
意図される。SLCのフラグメント、アナログおよび誘導体を作製するための方
法は、当該分野で利用可能である。
【0043】 本発明のSLCポリペプチドまたはその改変体を利用して、SLCのポリペプ
チドおよびその改変体に特異的な抗体を生成し得る。抗体は、ポリクローナルま
たはモノクローナルであり得る。インタクトな抗体またはそのフラグメント(例
えば、FabまたはF(ab’)2、ならびにScFV)が利用され得る。抗体
を作製または選択するための方法は、当該分野で公知である。例えば、Kohl
erおよびMilstein(1975)Nature 256:495−49
7(ハイブリドーマ技術);Coleら(1985),Monoclonal
Antibodies and Cancer Therapy,Alan R
.Liss,Inc.77−96頁;Kozborら(1983)Immuno
l.Today 4:72;Current Protocols in Im
munology(1994)Coliganら(編)John Wiley
& Sons,Inc.,New York,NY;Galfreら(1977
)Nature 266:55052;Lerner(1981)Yale J
.Biol.Med.54:387−402を参照のこと。さらに、キメラ抗体
およびヒト化モノクローナル抗体が、例えば、以下に記載されるように、組換え
DNA技術によって生成され得る:EPA 171,496;EPA 184,
187;WO 86/01533;WO 87/02671;Betterら(
1988)Science 240:1041;Liuら(1987)Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439;Sunら(1987
)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214;Woodら
(1985)Nature 314:446;Morrison(1985)S
cience 229:1202;Diら(1986)BioTechniqu
es 4:214;Beidlerら(1988)J.Immunol.141
:4053;Verhoeyanら(1988)Science 239:15
34;米国特許第5,225,539号および同第4,816,567号;Ma
rksら(1993)Biotechnology 11:1145−49;R
obertsら(1993)Gene 128:67−69;Figiniら(
1998)Cancer Res.58:991−996;Hoogenboo
mら(1992)J.Mol.Biol.227:381−88;McGuin
nessら(1996)Nat.Biotechnol.14:1149−54
;Vaughanら(1996)Nat.Biotechnol.14:309
−314;Stevensら(1998)J.Biol.Chem 273:2
874−84;Winterら(1994)Annu.Rev.Immunol
.12:433−455;Winterら(1993)Immunol.Tod
ay 14:243−6;McCaffertyら(1990)Nature
348:552−4;Gorman(1990)Semin.Immunol.
2:457−66。
【0044】 この抗体は、処置が、SLC機能を阻害することを含む、治療の状況で適用さ
れ得る。抗体は、例えば、SLC結合をブロックするために用いられ得る。抗体
は、機能(例えば、結合)に必要な部位を含む特定のフラグメントに対して調製
され得る。
【0045】 抗抗体(例えば、抗イディオタイプ抗体)もまた、調製され得、ここで、この
ような抗抗体は、レセプターに結合し得、そして免疫応答のSLC活性化を予防
し得る。このような抗体もまた、SLC活性の阻害が所望される治療の状況で有
用である。
【0046】 上記のように、本発明のSLC薬剤はまた、SLCポリペプチド、誘導体、ア
ナログ、改変体またはそれらのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含
む。この組成物はさらに、改変体ポリヌクレオチドおよびそのフラグメントを含
む。このような「改変体ポリヌクレオチド」は、SLCポリペプチドをコードす
るが、遺伝暗号の縮重に起因してそのネイティブな配列とは異なる、ポリヌクレ
オチドを含む。改変体ヌクレオチド配列はまた、例えば、部位特異的変異誘発を
用いることによって作製された、合成的に誘導されたヌクレオチド配列を含む。
一般に、本発明のヌクレオチド配列改変体は、配列番号1または3に対して、少
なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは約90〜9
5%以上、そして最も好ましくは約98%以上の配列同一性を有する。
【0047】 本発明のポリヌクレオチドは、天然に存在し得る(例えば、対立遺伝子改変体
、ホモログ、オルソログ)か、または組換えDNA法もしくは化学合成により構
築され得る。あるいは、改変体ポリペプチドは、天然に存在しなくともよく、そ
して当該分野で公知の技術(変異誘発を含む)によって作製され得る。ポリヌク
レオチド改変体は、ヌクレオチドの置換、欠失、逆位および挿入を含み得る。
【0048】 本発明のポリヌクレオチド配列は、アンチセンスヌクレオチドを含む。アンチ
センス技術は、遺伝子の発現を調節する際に、核酸塩基対の認識を利用し、そし
て高度の特異性を達成する。一般に、一本鎖DNAに似ている、小さな、合成の
オリゴヌクレオチドを細胞内で用いて、特異的なメッセンジャーRNA(mRN
A)標的におけるコード配列に対してワトソン−クリック塩基対合によってハイ
ブリダイズする。アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、主要なクラスの
潜在的な医薬として認識されている。本発明において用いられるアンチセンスオ
リゴデオキシヌクレオチド(ODN)は、SLC mRNAに相補的に結合し得
、そしてSLC活性を調節し得る。
【0049】 アンチセンス分子として用いられるODNの配列は、SLC mRNA配列ま
たはSLCプロモーター領域の任意の部分に実質的に相補的であり得る。好まし
くは、アンチセンス配列は、別のmRNAについての配列にもrRNAもしくは
tRNAにも同一でも相補的でもない。一般に、ODNは、選択されたSLC配
列の一部に約40%〜約100%相補的であり、好ましくは約50%〜約85%
、より好ましくは約60%〜約80%相補的である。本発明の1つの実施形態で
は、ODN配列は、有意に相補的であるように、すなわち、翻訳開始コドンAU
Gに隣接したSLC mRNA配列に対して約80%〜約100%相補的である
ように、設計され得る。
【0050】 ODNの長さは、約10ヌクレオチド〜約300ヌクレオチド、好ましくは約
10ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド、そしてより好ましくは約15ヌクレ
オチド〜約50ヌクレオチドの範囲であり得る。
【0051】 本発明のポリヌクレオチドの発現のための方法が、一般に当該分野において利
用可能である。例えば、Sambrookら,Cold Spring Har
bor,NY,(1989)を参照のこと。種々の発現ベクターを用いて、本発
明のポリヌクレオチドを発現し得る。適切なポリヌクレオチドを含むベクターは
、周知の技術を用いて、増殖および発現のために宿主細胞中に導入され得る。例
えば、Studierら,Gene Expression Technolo
gy:Methods In Enzymology 185:60−89(1
990);Wadaら(1992)Nucleic Acids Res.20
:2111−2118;Schultzら(1987)Gene 54:113
−123;Lucklowら(1989)Virology 170:31−3
9;Seed,B.(1987)Nature 329:840;Kaufma
nら(1987)EMBO J.6:187−195;およびSmithら(1
988)Gene 67:31を参照のこと。
【0052】 上記で議論したタンパク質および低分子薬剤は、当該分野で利用可能な方法に
よって同定され得る。例えば、上記で議論したように、コンビナトリアルケミス
トリーまたはファージディスプレイアプローチを用いて、ペプチドをランダムに
生成し得、そしてレセプター結合またはSLC活性を調節する能力について選択
し得る。
【0053】 本発明の方法において有用な、SLCポリペプチド、SLCポリペプチド改変
体、SLCポリペプチドフラグメント、このポリペプチド、改変体およびフラグ
メントをコードするSLCポリヌクレオチド、ならびにSLC薬剤は、被験体へ
の投与に適切な薬学的組成物中に組み込まれ得る。被験体としては、哺乳動物(
例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマなど)が挙げられる。このような組成物は代表
的に、少なくとも1つのSLCポリペプチド、SLCポリペプチド改変体、SL
Cポリペプチドフラグメント、このポリペプチド、改変体もしくはフラグメント
をコードするSLCポリヌクレオチド、ならびにSLC薬剤、またはそれらの組
み合わせ、ならびに薬学的に受容可能なキャリアを含む。本発明のSLC化合物
を薬学的投与のために処方するための方法は、当業者に公知である。例えば、R
emington:The Science and Practice of
Pharmacy,第19版,Gennaro(編)1995,Mack P
ublishing Company,Easton,PAを参照のこと。
【0054】 本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学
的投与に適合する、任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗微生
物剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。薬
学的に活性な物質についてのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周
知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と不適合な範囲を除いて、
このような媒体は、本発明の組成物中で使用され得る。補助活性化合物もまた、
この組成物中に組み込まれ得る。本発明の薬学的組成物は、その意図される投与
経路と適合するように処方される。
【0055】 投与経路は、所望の結果に依存して変化する。一般に、免疫応答の開始のため
には、所望の炎症部位または応答部位でかまたはそれらの部位の付近での薬剤の
注射が利用される。あるいは、疾患の状態に依存して、他の投与経路が認可され
得る。すなわち、新生物または腫瘍の増殖の抑制のためには、腫瘍部位または腫
瘍部位付近での薬学的組成物の注射が好ましい。あるいは、移植片拒絶の予防の
ためには、全身投与が用いられ得る。同様に、自己免疫疾患の処置または予防の
ためには、全身投与が好適であり得る。全身投与の経路の例としては、非経口投
与(例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与)、経口投与(例えば、吸入)、
経皮投与(局所投与)、経粘膜投与および直腸投与が挙げられる。非経口適用、
皮内適用または皮下適用のために用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分を
含み得る:滅菌希釈剤(例えば、注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリ
エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒)
;抗細菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン類(methy
l paraben);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナ
トリウム);キレート剤(例えば、EDTA);緩衝剤(例えば、アセテート、
シトレートまたはホスフェートおよび張度の調整のための薬剤(例えば、塩化ナ
トリウムまたはデキストロース)。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸または
水酸化ナトリウム)を用いて調整され得る。非経口調製物は、ガラスまたはプラ
スチックで作製された、アンプル、使い捨てシリンジまたは複数用量バイアルに
封入され得る。
【0056】 注射可能物質としての用途に適切な薬学的組成物としては、滅菌水性溶液(水
溶性の場合)または分散物および滅菌注射可能な溶液もしくは分散物の即時調製
のための滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与に関して、適切なキャリアとしては
、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF,Parsip
pany,NJ)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。全て
の場合、この組成物は、無菌でなければならず、そして容易な注射可能性が存在
する程度に液体であるべきである。この組成物は、製造条件下および保存条件下
で安定であるべきであり、そして細菌および真菌のような微生物の混入作用から
保護されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール
(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコ
ールなど)ならびにそれらの適切な混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得
る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、
分散の場合、必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用
によって、維持され得る。微生物作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤
(例えば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメ
ロサールなど)によって達成され得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖、ポリ
アルコール(例えば、マンニトール)、ソルビトール、塩化ナトリウム)を組成
物中に含むことが好ましい。注射可能組成物の長期の吸収は、吸収を遅延させる
薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物中に含
むことによってもたらされ得る。
【0057】 滅菌注射可能な溶液が、要求される量の活性化合物(例えば、タンパク質また
は抗体)を、適切な溶媒中に、必要ならば上記に列挙した成分の1つまたは組み
合わせとともに混合すること、続いて滅菌濾過することによって、調製され得る
。一般的に、分散物は、基本的分散媒体および上記に列挙した成分からの必要な
他の成分を含む滅菌ビヒクル中にこの活性化合物を混合することによって、調製
される。滅菌注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合は、好ましい調製方
法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、この方法は、この活性成分および以前に
滅菌濾過したその溶液からのさらなる任意の所望の成分の、粉末を生じる。
【0058】 経口組成物は、一般に、不活性賦形剤または食用キャリアを含む。この経口組
成物は、ゼラチンカプセル中に封入され得るし、または圧縮して錠剤にもされ得
る。経口投与のために、この薬剤は、胃で残存するために腸溶性形態で包まれる
得るし、あるいは公知の方法によって胃腸管の特定の領域にて放出されるように
さらにコーティングまたは混合され得る。経口治療投与の目的のために、この活
性化合物は、賦形剤と混合され得、そして錠剤、トローチ、またはカプセルの形
態にて使用され得る。経口組成物はまた、マウスウォッシュとして使用するため
に液体キャリアを使用して調製され得る。このマウスウォッシュの状態では、こ
の液体キャリア中のこの化合物は、経口適用され、そしてうがいされ、そして吐
き出されるかまたは飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤および/またはアジ
ュバント物質が、この組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル、
トローチなどは、以下の成分または類似の性質の化合物のうちのいずれかをも含
み得る:結合剤(例えば、微晶質セルロース、トランガントゴムまたはゼラチン
);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース);崩壊剤(例えば、アルギン
酸、Primogelまたはコーンスターチ);潤滑剤(lubricant)
(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterote);潤滑剤(gli
dant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、ショ糖また
はサッカリン);あるいは香味剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、
またはオレンジフレーバー)。
【0059】 全身投与はまた、経粘膜手段または経皮手段によってであり得る。経粘膜投与
または経皮投与のために、浸透すべき障壁に適切な浸透剤が、処方物において使
用される。このような浸透剤は、一般に当該分野で周知であり、そして例えば、
経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が、挙
げられる。
【0060】 1つの実施形態において、この活性化合物は、身体からの迅速な除去からこの
化合物を防御するキャリアとともに調製され、例えば、徐放性処方物(移殖片お
よび微小カプセル送達系を含む)である。生分解性の生体適合性ポリマー(例え
ば、エチレンビニル酢酸、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオ
ルソエステル、およびポリ乳酸)が使用され得る。このような処方物の調製のた
めの方法は、当業者には明らかである。これらの材料はまた、Alza Cor
porationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.
から商業的に入手され得る。リポソーム性懸濁物(ウイルス抗原に対するモノク
ローナル抗体を用いて感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、薬学的
に受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、当業者に公知の方法(例
えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような方法)に従って調製
され得る。
【0061】 経口組成物または非経口組成物を、投薬単位形態で処方することが、投与の容
易さおよび投薬の均一性に特に有利である。投薬単位形態とは、本明細書中で使
用される場合、処置される被験体にとっての単位投薬として適切な、物理的に分
散した単位をいい、各単位は、必要な薬学的キャリアと共同して所望の治療効果
を生成するように計算された、所定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位形
態についての仕様は、その活性化合物の独特の特徴、および達成すべき特定の治
療効果、および個体の処置のためにこのような活性化合物を配合する当該分野に
固有の制限により示され、かつこれらに直接依存する。
【0062】 本発明の核酸分子は、ベクター中に挿入され得、そして遺伝子治療ベクターと
して使用され得る。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈注射、局所投与(米国
特許第5,328,470号)、移殖によってか、または定位注射(例えば、C
henら、PNAS 91:3054〜3057(1994)を参照のこと)に
よって、被験体に送達され得る。哺乳動物宿主における発現のためのベクターは
、Wuら(1991)J.Biol.Chem.266:14338;Wuおよ
びWu(1988)J.Biol.Chem.263:14621;ならびにZ
enkeら(1990)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 8
7:3655(これらすべてが、本明細書中にて参考として援用される)に開示
される。この遺伝子治療ベクターの薬学的調製物は、受容可能な希釈剤中にある
遺伝子治療ベクターを含み得るし、またはその遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれ
ている徐放性マトリクスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが、
組換え細胞から無傷で生成され得る場合(例えば、レトロウイルスベクター)、
この薬学的調製物は、この遺伝子送達系を生成する1つ以上の細胞を含み得る。
【0063】 1つの実施形態において、この薬学的組成物は、SLCタンパク質またはSL
Cタンパク質の発現に適切なDNA構築物を含む、徐放性の処方物またはマトリ
クスを介して、身体中の部位またはその周囲に送達され得る。この様式で、一過
性リンパ節が、所望の移殖位置で生成され得、免疫応答を開始する樹状細胞およ
びT細胞を誘引し得る。
【0064】 この薬学的組成物は、投与の説明書とともに、容器、パック、または投薬器中
に含まれ得る。その結果は、疾患の徴候、症状、または原因の減少および/また
は改善、あるいは生物学的系の他の任意の所望の変化であり得る。
【0065】 本発明の薬学的組成物(上記に規定するような、SLCポリペプチド、SLC
ポリペプチド改変体、SLCポリペプチドフラグメント、これらのSLCのポリ
ペプチド、改変体、およびフラグメントをコードするポリヌクレオチド、および
SLC薬剤を含む)は、治療的有効量で投与される。この「治療的有効量」とは
、所望の生物学的結果を誘導するに十分な、非毒性の投薬量レベルをいう。投与
のための量は、所望の活性、処置される哺乳動物の疾患状態、投薬形態、投与の
方法、患者の因子(例えば、年齢、性別、および疾患の重篤度)に基づいて変化
し得る。治療的有効量は、広範囲の濃度にて提供されることが、認識される。そ
のような範囲は、結合アッセイ、走化性アッセイ、およびインビボアッセイに基
づいて決定され得る。一般的には、薬学的組成物は、約0.1ng/ml〜約1
mg/ml;約1ng/ml、10ng/ml、50ng/ml、100ng/
ml、200ng/ml、300ng/ml、400ng/ml、500ng/
ml〜約600ng/ml、700ng/ml、800ng/ml、900ng
/ml、1μg/ml、10μg/ml、100μg/ml、200μg/ml
、300μg/ml、400μg/ml、500μg/ml、900μg/ml
、1mg/mlを含む。これらの組成物は、特定の標的部位に注射(約20μl
、500μl、30μl、40μl、50μl、75μl、100μl〜約20
0μl、300μl、400μl、500μl、1ml、2ml、3ml、4m
l、5ml、そして約10mlまでの注射)のため、あるいは他の投与のために
、使用され得る。
【0066】 投与のレジメンは、変化し得る。この薬剤の単回注射または複数回注射が使用
され得る。同様に、発現ベクターが、この薬剤の継続的発現のために標的部位で
使用され得る。このようなレジメンは、その疾患の重篤度および所望の結果に依
存して変化する。
【0067】 好ましい実施形態において、SLCまたはSLC組成物が、腫瘍中または腫瘍
周囲部位に直接注射される。腫瘍周囲とは、腫瘍の外縁から約15cm未満の部
位を意味する。SLCの投与は、1つ以上の部位に対してであり得る。好ましく
は、SLCの投与は、腫瘍内および/または腫瘍周辺の複数の部位にてである。
【0068】 1つの実施形態において、癌または過剰増殖性細胞増殖は、このSLCの投与
の前および/または後に、外科的除去される。従って、1つの実施形態において
、本発明は、癌、腫瘍、または過剰増殖性細胞障害を処置する方法を含む。この
方法は、以下の工程を包含する:(a)癌、腫瘍、または過剰増殖性細胞増殖の
部位にこのSLCを投与する工程;(b)この癌または過剰増殖性細胞増殖を外
科的除去する工程;および(c)外科的除去の部位にこのSLCを投与する工程
【0069】 本発明のSLC組成物は、癌、血管新生、過剰増殖性細胞増殖または免疫応答
の調節の阻害に関与し得る他の薬剤と、同時投与され得るし、あるいは共同処方
され得る。このような薬剤の例としては、メトトレキサート、タモキシフェン、
ネランドロン(nelandron)、ニルタミド、アドリアマイシン、5FU
、インターフェロンなどが、挙げられる。好ましい薬剤は、IL−2である。好
ましくは、このIL−2は、組換えヒトIL−2である。最も好ましくは、この
組換えIL−2は、ProleukinTM(Chiron Corp.、Eme
ryville、CA)である。IL−2の好ましい投与経路としては、以下が
挙げられるが、これらに限定されない:IV(静脈内)投与経路、SQ(皮下)
投与経路、経口投与経路、粘膜投与経路、鼻腔内投与経路、経皮投与経路、腹腔
内投与経路、腫瘍内投与経路、および腫瘍周囲投与経路。最も好ましくは、IL
−2は、ヒトにIV投与またはSQ投与される。
【0070】 Proleukinは、2200万IU/バイアルを含む、IV(SQ)注射
用凍結乾燥粉末の状態で入手され得る。注射用に調製するために、1.2mlの
滅菌水が、このバイアルに添加されて、1800万IU/バイアル(すなわち、
1.3mgタンパク質/ml)が作製される。この溶液は、室温で48時間安定
である。アルブミンが、Proleukinの添加前にD5Wに添加されなけれ
ばならない。5%アルブミン1ml(または25%アルブミン0.2ml)が、
D5W各50mlに添加されて、0.1%アルブミンを含むD5Wが作製される
。最終用量は、0.1%アルブミンを含むD5W(上記を参照のこと)中で、1
mlあたり5〜60mcgタンパク質に希釈され得る。
【0071】 投薬量は、高用量プロトコル600,000IU/kg〜6,000,000
IU/M2を与える低用量プロトコルまで広く変化する。経路は、SQ〜IV−
連続またはボーラス(30分以下をかけてのIV注射により与えられる)に変化
する。
【0072】 以下の例は、例として提供され、かつ限定としては提供されない。
【0073】 (実験) (材料および方法) (ケモカインおよび抗体) ヒト組換えSLC(MW=12kD)、ELC(MW=8.8kD)およびR
ANTES(MW=7.8kD)、ならびにフィコエリトリン(PE)結合抗ヒ
トCCR6抗体を、R&D Systems(Minneapolis、MN)
から購入した。PE結合抗ヒトCD1a、CD14およびフルオレセインイソチ
オシアネート(FITC)結合抗ヒトCD86、CD40およびHLA−DR抗
体を、Pharmingen(San Diego、CA)から入手した。PE
結合抗ヒトCD83を、Immunotech/Coulter(Miami、
FL)から入手した。
【0074】 (DCの生成) DCを、以前に記載(Benderら(1996)J.Immunol.Me
thods 196:121)のように、末梢血単球から誘導した。健常なドナ
ー由来のバフィコートを、Blood Center of the Paci
sic(San Francisco、CA)から得た。Monocyte I
solation KitsをMACSカラム(Miltenyi Biote
c、Auburn、CA)とともに使用して、CD14単球をネガティブ除去に
よって単離した。細胞を培地(10%胎仔ウシ血清(FCS)(Summit,
Inc.、Fort Collins、CO)、2mMグルタミン、ペニシリン
およびストレプトマイシンを補充し、1,000U/mlの組換えヒト顆粒球−
マクロファージコロニー刺激因子(rhGM−CSF)(Peprotech、
Rocky Hill、CA)および1,000U/mlのrhIL−4(Pe
protech)を含む、RPMI 1640)中で0.6×106/mlに培
養した。サイトカインを含む新鮮な培養培地を、2日ごとに添加した。単球馴化
培地(MCM)を、以前に記載(Bederら(1996)J.Immunol
.Methods 196:121)のように調製し、そしてさらに3日間の培
養開始の後5日目または6日目のいずれかに、30%でDC培養物に添加した。
いくつかの実験において、細胞を、50ng/mlの組換えヒトTNFα(Ce
tus、Emeryville、CA)をMCMの代わりに使用して、成熟させ
た。MCM処理に際する表面マーカーの発現を、フローサイトメトリーによって
分析した。
【0075】 (走化性アッセイ) 遊走アッセイを、以前に記載(Rubbertら(1998)J.Immun
ol.160:3933)のように、わずかに改変して実施した。簡潔には、1
0,000〜15,000個の細胞を、96ウェルマイクロ走化性プレート(1
01−5 Neuroprobe、Cabin John、MD)の一番上のチ
ャンバー各々に添加した。マイクロ走化性プレートを、37℃で2時間インキュ
ベートした。一番下のチャンバー中の細胞の数を、Cell Prolifer
ation Reagent WST−1(Roche Diagnostic
s、Indianapolis、IN)を製造業者のプロトコルに従って使用し
て、測定した。各測定を3連で設定し、そしてその平均値および標準偏差を算出
した。いくつかの実験においては、その細胞を、100ng/mlの百日咳毒素
(PT)とともに37℃で2時間プレインキュベートしておいた。
【0076】 (カルシウム動員) 細胞を、培地(上記を参照のこと)(10mM HEPESおよび2μM F
luo−3AM(Molecular Probes、Eugene、OR)を
含む)1mlあたり106個で37℃にて30分間インキュベートした。細胞を
洗浄し、続いて1μg/mlのヨウ化ピロピジウム(propidium io
dite)とともに室温で15分間インキュベートした。細胞を再び洗浄し、そ
して4×105/mlにて10mM HEPESを含む培地中に再懸濁した。生
存細胞のFluo−3蛍光(ヨウ化ピリジウム排除に基づく)をフローサイトメ
トリーによって分析した。
【0077】 (フローサイトメトリー分析) 分析をFACScan(Becton Dickinson、Frankli
n Lakes、NJ)において実施し、そしてそのデータをMacintos
h 7100(Apple、Cupertino、CA)でCellQuest
v3.1ソフトウェアを作動させて得た。得られたデータを、FlowJo(
Tree Star Inc.、San Carlos、CA)を使用して分析
し、そして表示した。
【0078】 (RT−PCRおよびLight CyclerによるRNA発現の定量) RT−PCR:全RNAを、Trizol試薬(Gibco/BRL)を製造
業者のプロトコルを使用して細胞から単離した。RNaseを含まないDNas
eでの処理後、SuperScriptII Preamplificatio
n System(Gibco/BRL、Gaithersburg、MD)を
製造業者のプロトコルに従って使用して、オリゴdT12-18でプライムすること
によって第1鎖cDNAを合成した。RNaseH処理後、このcDNAを分光
測光法によって定量した。CCR1〜9、CXCR1〜5、CX3CR1および
3つのオーファンレセプターについての公開されたヒト配列に基づいて、ケモカ
インレセプター間で最も分岐したコード領域の3’末端付近の領域を標的とする
、PCRオリゴヌクレオチドを設計した。各遺伝子についてのフォワード(f)
プライマーおよびリバース(r)プライマー、配列番号(SEQ ID NO.
)、予想フラグメントサイズならびにGenBank登録番号を、以下のように
示す。
【0079】
【化1】
【0080】 GAPDHプライマーを、Clontech(Palo Alto、CA、#
5406)から得た。各PCR反応について、cDNA 0.5μgを以下を含
む25μl反応物中で使用した:10mM Tris、1.5mM MgCl2
、50mM KCl(pH8.3)、1.25U Taq DNAポリメラーゼ
(Boehringer Mannheim)、0.2mM dNTPおよび5
0pmolの各プライマー。PCR反応は、94℃にて1分、60℃にて1分、
72℃にて1分を30サイクル実施し、そして2%アガロースゲル上に分析した
。いくつかのPCR反応は、60℃での代わりに55℃で1分間のアニーリング
工程を用いて、実施した。各遺伝子についての各プライマー対の特異性は、各P
CR産物をpCR2.1−TOPO(Invitrogen;Carlsbad
、CA)中にクローニングすることによって確認し、そして配列を確認した(デ
ータは示さず)。
【0081】 Light Cycler(Idaho Technology、Idaho
Falls、ID):最適なライトサイクル(light cycle)条件
を、これらの半定量的(semi−quantitative)PCR反応につ
いて使用した。各ライトサイクル反応物(10μl)は、以下を含んだ:50m
M Tris−HCl(pH8.3)、2.5mM MgCl2、250μg/
mlウシ血清アルブミン(BSA)、0.2mM dNTP、1U DNA T
aq Polymerase、0.1pmolの各プライマー、および1:50
00 SYBR Green I(Molecular Probes)。4つ
の反応を、色素インターカレーション算出用の濃度曲線(250ng、125n
g、62.5ngおよび31.25ngのcDNA)を確立するように、各プラ
イマーセットについて実行した。このLight Cyclerプログラムは、
以下からなる:1つの標準化サイクル(65℃〜85℃〜95℃、20秒固定)
、続いて45サイクルの変性(95℃を5秒間)、アニーリング(Tmより3℃
低く2秒間)および伸長(72℃を30秒間)。この45サイクルの後に、1回
の「大融解(Big Melt)」工程(60℃を5秒間、95℃を5秒間およ
び32℃を20秒間)が続く。各プライマー対は、2℃以下のTmの差異を有し
、そしてSYBR Green I色素定量に最適な範囲(100〜500bp
)内の産物を生じる。使用するプライマーの配列およびアニーリング温度は、以
下の通りである:CCR1(58℃)、CCR2(62℃)、CCR3(62℃
)、CCR4(60℃)、CCR5(58℃)、CCR6(RT−PCRと同じ
、60℃)、CCR7(58℃)およびアクチン(57℃)。アクチン増幅物は
、未成熟DCのcDNAサンプルおよび成熟DCのcDNAサンプルの両方につ
いて、同様のプロフィールを生じたので、アクチンを参照として使用し、そして
CCRサンプルすべてを、その豊富さに関して、そのcDNAサンプルのアクチ
ンに対して評価した。
【0082】 (実施例1) (未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞の生成) 未成熟DCを、GM−CSFおよびIL−4を使用して、ヒト末梢血から単離
した単球から誘導した。成熟DCを生成するために、本発明者らは、これらの細
胞を単球馴化培地(MCM)またはTNFαで処理した。MCM処理は、DC成
熟と関連するマーカー(例えば、CD86、CD83およびMHCクラスII表
面発現)の有意なアップレギュレーションを誘導した。MCM処理なしのDCま
たはMC処理ありのDCについての平均蛍光チャネルは、それぞれ、CD86に
ついて417および3624、CD83について186および721、CD40
について667および790、CD14について202および132、CD1a
について2401および2413、そしてHLA−DRについて1242および
3106であった。これらの細胞をまた、同種異系MLRアッセイにて試験した
。そしてDC:T比1:100でのその平均刺激指数は、MCM処理の前および
後のDCについて、それぞれ17.6および47.2であった(データは示さず
)。従って、このインビトロ培養モデルにて分化したDCは、免疫表現型および
機能の両方によって、これらのインビボでの対応物と似ている。
【0083】 (実施例2) (SLCおよびELCは、成熟DCに走化性である) ELC(二次リンパ器官において発現するケモカイン)(Dieuら(199
8)J.Exp.Med.188:373;Yoshidaら(1997)J.
Biol.Chem.272:13803;Rossiら(1997)J.Im
munol.158:1033)は、以前に、成熟DCについて走化性であるこ
とが示されている。SLCは、未刺激のT細胞について走化性であることが以前
に示された、リンパ組織で発現する別のケモカインである。CCR7は、SLC
およびELCのレセプターであり、そしてDC成熟の際にアップレギュレートさ
れる(Gunnら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
95:258;Willimannら(1998)Eur.J.Immuno
l.28:2025;Yoshidaら(1998)J.Biol.Chem.
273:7118;Sozzaniら(1998)J.Immunol.161
:1083;Dieuら(1998)J.Exp.Med.188:373;S
allustoら(1998)Eur.J.Immunol.28:2760)
。これらの実験は、SLCが、成熟DCについてもまた走化性であるか否かを、
Boydenチャンバーアッセイを使用して試験した。SLC(図1a)および
ELC(図1b)の両方に応答して、MCM処理(成熟)DCの遊走に、用量依
存性の増加が観察された。対照的に、成熟DCは、RANTESには応答しなか
った(図1c)。RANTESは、未成熟DCに走化性であることが以前に示さ
れたケモカインである(Sozzaniら(1995)J.Immunol.1
55:7:3292)。類似の結果が、MCMの代わりにTNFαで処理したD
Cを用いてもまた観察された(図1a〜b)。SLCおよびELCに対するDC
の遊走応答は、DCの成熟段階に依存した。なぜなら、未成熟DCは、SLCに
もELCにも応答しなかった(図1a、b)が、RANTESに応答して遊走し
得た(図1c)からである。
【0084】 成熟DCによるSLCおよびELCに対する遊走応答は、走化性であって、ケ
モキネシスに起因しなかった。なぜなら、遊走は、ケモカイン勾配(図1a、b
、最右欄)がない場合に観察されなかったからである。百日咳毒素による成熟D
Cの事前処理によって、SLCおよびELCの両方へのこの成熟DCの遊走は完
全に阻害された(図1d)。このことは、これら2つのケモカインによる成熟D
Cの走化性は、Gαi共役型レセプター(Baggioliniら(1997)
Annu.Rev.Immunol.15:675)によって媒介されたことを
示唆する。
【0085】 (実施例3) (SLCおよびELCに応答性の成熟DCによる、細胞内カルシウム動員) ケモカインは、応答細胞中の細胞内カルシウム動員の迅速な増加を生じ得る(
Baggioliniら(1997)Annu.Rev.Immunol.15
:675)ので、本発明者らは、次に、SLCおよびELCが、本発明者らの成
熟DCおよび未成熟DCにおけるカルシウム動員を誘導するか否かを試験した。
SLCおよびELCは両方が、成熟DCにおいて迅速なカルシウム動員を誘導し
た(図2b、c)が、未成熟DCでは誘導しなかった(図2a)。対照的に、R
ANTESは、未成熟DCにおいて迅速なカルシウム応答を誘導した(図2a)
が、成熟DCでは誘導しなかった(図2b、c)。これらの結果は、遊走アッセ
イにおいて観察された示差的走化性応答(図1)を密接に類似した。走化性応答
と同様に、SLCおよびELCに対するMCM処理細胞のカルシウム応答は、用
量依存性であった(図2d〜e)。
【0086】 (実施例4) (SLC誘導性Ca2+動員およびELC誘導性Ca2+動員の交差脱感作) SLCが等価な用量のELCよりも、成熟DCにおいて強力なカルシウム応答
を誘導した(図2)ことが、一貫して観察された。また、成熟DCのSLC誘導
性動員は、6ng/mlのED50を有するが、ELCについてのED50は35n
g/mlであった(図1a、b)。まとめると、これらの観察は、本発明者らの
商業的供給源由来のSLCが、ELCよりも高い比活性を有することを示唆した
。実際、100ng/mlのSLCでのDCの事前処理は、500ng/mlの
ELCに対するカルシウム応答を完全に阻害するに十分であった(図2f)。反
対に、500ng/mlのELCでの事前処理は、このSLC誘導性カルシウム
応答のほとんどを排除した(図2g)。SLCおよびELCは、カルシウム動員
において互いに脱感作し得ることが、CCR−7でトランスフェクトされた細胞
において以前に示されている(Willimannら(1998)Eur.J.
Immunol.28:2025;Yoshidaら(1998)J.Biol
.Chem.273:7118)。本発明者らの結果は、SLCおよびELCが
また、DCにおいて類似のシグナル伝達経路を共有することを示した。成熟DC
がオートクライン様式でELCを生成することが、最近報告された。従って、本
発明者らはまた、本発明者らの未成熟DCおよび成熟DCにおけるSLCのmR
NAの発現をRT−PCRによって試験したが、いずれの細胞集団がSLCのm
RNAを発現することも見出さなかった(データは示さず)。
【0087】 (実施例5) (MCM処理前およびMCM処理後のケモカインレセプターmRNAの発現) 指示薬としてのケモカインレセプターのアップレギュレーションの有用性を考
え、MCM処理前およびMCM処理後のDCにおけるケモカインレセプターの発
現に関する包括的な調査を実施した。CCR4、CCR7およびCXCR5/B
LR1のmRNAの発現の有意な増加、ならびにCCR1、CCR5およびCX
CR2の有意な減少を、DCの成熟の際に観察した(図3)。CXCR1の発現
はまた、低い基底レベルであるが、MCM処置の際に一貫して低減されていた。
CCR2のわずかな減少およびCCR8のわずかな上昇をまた観察したが、CC
R3、CCR6、CCR9、CXCR3およびCXCR4に関して、有意な変化
は検出されなかった。オーファンレセプターGPR−9−6についてメッセージ
は、検出されず、そして成熟DCおよび未成熟DCにおけるCX3CR1、Bo
nzoおよびGPR5の発現レベルに差異はなかった(データは示さず)。半定
量的RT−PCRの結果の正当性を確認するために、報告されたところによると
、RANTES、ELCおよびSLC(CCR1、3〜7)の結合に関与する、
レセプターの発現レベルを、SYBR green/Light Cycler
を用いて試験した。表1に示されるように、Light Cyclerからの定
量的データは、アガロースゲル分析(図3)からの結果で観察される傾向と密接
に類似する。Sallustoおよび共同研究者らは、近年、RNaseプロテ
クションアッセイを用いて、CCR1、CCR4、CCR5、CCR7およびC
XCR1の発現における同様の変化を報告した(Sallustoら、(199
8)Eur.J.Immunol.28:2760)。
【0088】 CCR6 RNAは、単球由来のDCにおいて検出されないことが以前に報告
された(Powerら、(1997)J.Exp.Med.186:825;G
reavesら、(1997)J.Exp.Med.186:837)。対照的
に、本発明者らは、本発明者らの単球由来のDCにおけるCCR6 mRNAの
発現を検出し得たが、MCM処理の際に発現の有意な変化は、観察されなかった
(図3)。本発明者らはまた、Powerら(1997)J.Exp.Med.
186:825により用いられたプライマーを用いた場合に、同様の結果を得た
(データは示さず)。本発明者らのPCR産物の正体をまた、CCR6をmRN
Aレベルで実際に発現したことを示す直接的な配列決定により確認した(データ
は示さず)。しかし、ヒトCCR6に対する抗体を用いる成熟DCおよび未成熟
DCの両方のフローサイトメトリー分析は、いずれの細胞型においてもCCR6
の表面発現は、存在しないことを示した(データは示さず)。
【0089】 CCR4およびCXCR5が、DCのMCM処理の際にアップレギュレートさ
れるという観察は、興味深い。なぜなら、これらの2つのレセプターは、それぞ
れMDC(Godiskaら、(1997)J.Exp.Med.185:15
95;Imaiら、(1998)J.Biol.Chem.273:1764)
およびBLC/BCA−1(Leglerら、(1998)J.Exp.Med
.187:655;Gunnら、(1998)Nature 391:799)
を結合することが実証されているからである。MDCは、胸腺において、および
より低いレベルで脾臓において発現され、そして単球由来のDCに対する走化性
を示した(Godiskaら、(1997)J.Exp.Med.185:15
95)。MDCのマウスホモログはまた、B細胞小節に隣接するリンパ節のT細
胞領域において発現されることが見出された(Tangら、(1998)J.L
eukoc.Biol.64:81)。他方で、BLCは、パイアー斑の小節、
脾臓およびリンパ節において発現される(Gunnら、(1998)Natur
e 391:799)。従って、CCR4およびCXCR5のアップレギュレー
ションは、DCが二次リンパ器官への侵入のためにそれらを導くさらなるケモカ
インを感知することを可能にし得る。一旦、二次リンパ器官内になると、DCは
、ケモカイン(例えば、DC−CK1)を分泌することによりナイーブT細胞を
誘引し、免疫応答を開始する。Randolphら(Science(1998
)282:480)は、組織からリンパ管へのDCのインビボでの移動を模倣す
る培養系において、内皮単層を横切る際の単球のDCへの分化を報告した。
【0090】 要約すると、本発明者らは、SLCが、ELCと同様に、成熟DCのための化
学誘引物質であるが、未成熟DCの化学誘引物質でないことを実証した。MCM
処理の際のDCにおけるCCR7のアップレギュレーションは、この発見と一致
する。炎症性ケモカイン(CCR1、CCR5、CXCR2)についてのレセプ
ターのダウンレギュレーションおよび二次リンパ器官において発現されるケモカ
インについての成熟DCにおけるレセプターのアップレギュレーションは、免疫
応答を開始するためにDCを炎症および抗原取り込みの部位に残存させて、局所
的なリンパ器官に遊走させる機構を提供すると考えられる。
【0091】 表1.未成熟DCおよび成熟DC由来のcDNAにおけるケモカインレセプタ
ーの発現のLight Cycler定量
【0092】
【表1】 未成熟(−MCM)DCまたは成熟(+MCM)DC由来のcDNAサンプルを
、材料および方法に記載したようにライトサイクルPCR反応において使用した
。各々のPCR反応についての産物の量を、蛍光色素(SYBR green)
の取り込みから計算し、そして同じcDNAサンプルから得られたアクチン産物
の量のパーセンテージとして示した。結果をMCMの添加の際の倍数変化として
表す。これらのデータは、1つのcDNAサンプルについて複数、および3つの
独立したcDNAのセットにおける反復の代表である。
【0093】 (実施例6) (SLCを用いての、マウスにおける腫瘍増殖の阻害) マウス黒色腫細胞株、B16−BL6を使用して、6〜8週齢のピンクスキン
雌BDF−1マウス(Charles River Laboratories
,Boston,Massachusetts)において皮下腫瘍を確立した。
B16−BL6細胞を、10%胎仔ウシ血清および20mM L−グルタミン(
Sigma,St.Louis,MO)を含むEMEM培地(Bio−Whit
taker,Walkersville,MD)において単層として維持した。
細胞を1〜2分間のトリプシンでの処理によって回収し、次いで培地で洗浄した
。細胞を、引き続くマウスへの注射のために、5×106細胞/mlの濃度で培
地中に再懸濁した。
【0094】 皮下腫瘍を生成するために、0.2mlの培地中の106個のB16−BL6
細胞を、27.5ゲージ針を用いて、6〜8週齢の雌BDF−1マウスの上背領
域に注射した(0日目)。細胞の生存率を、細胞注射の前および後にトリパンブ
ルー圧排色素法により評価した。注射前の死滅細胞の数は、全細胞の10%以下
であった。6日目まで、腫瘍の直径は、約5〜10mmであった。次いで、腫瘍
の容量を、6〜27日間、毎日測定した。
【0095】 腫瘍増殖に対するSLCの効果を、評価した。組換えマウスSLCを、バキュ
ロウイルス発現系を用いて産生し、そしてS1カラムおよびヘパリンカラムで精
製した。精製されたマウスSLCを、注射の前にPBS、pH7.4に希釈した
。SLCの全ての注射物を、3日目および4日目に、1日あたり0.02mlの
注射を2回(1日あたり0.04mlの全注射容量)皮下に投与した。SLC注
射は、各回で異なる部位であり、そして各部位は、腫瘍の縁から約3mm離れて
いた。注射されたSLCの濃度は、PBS中で0.025〜250μg/mlの
範囲であった。PBSをネガティブコントロールとして使用し、そして10mg
/mlであった。ダカルバジン(DTIC;Sigma,カタログ番号D239
0)を腫瘍増殖の阻害のためのポジティブコントロールとして使用した。いくつ
かのマウスを、SLC注射の2日後または4日後に屠殺した。残りの全てのマウ
スを、腫瘍の容量が4000mm3に達した後に、屠殺した。組織検体を、屠殺
後、直ちに収集し、OCTゲル(Sakura Finetek)に包埋し、そ
してドライアイスで予め冷却した2−メチルブタン中で凍結した。
【0096】 BDF−1マウス生存に対するSLC処理の効果を試験する実験の結果を、図
4に示す。図4に示されるように、SLCでの処理は、腫瘍増殖を阻害し、そし
て0.25μg/mlおよび25μg/mlの濃度(1ng/日および100n
g/日)で最も有効であった。一連の同様の実験からの結果は、B16−BL6
腫瘍(腫瘍<2000mm3)を有するBDF−1マウスのSLC処理またはD
TIC処理が、18日間(コントロール群)から27日間(SLC処理およびD
TIC処理群)に生存が伸びたことを示す。
【0097】 SLCまたはDTICで処理されたBDF−1マウスおよびコントロールBD
F−1マウスにおける腫瘍増殖速度を、図5に示す。最大の原発性腫瘍増殖阻害
は、13日目に生じた。SLC(25μg/ml)は、腫瘍増殖を58%阻害し
た。DTICは、腫瘍増殖を69%阻害した(図6)。
【0098】 腫瘍および周辺組織を、免疫細胞の存在について免疫蛍光染色することにより
分析した。ナイーブT細胞を、SLC注射後、2日目で100μg/mlのSL
Cで小節形成とともに検出した。対照的に、ナイーブT細胞は、PBSコントロ
ールにおいてSLC注射後の2日目に検出されず、また250μg/mlのSL
Cを用いて処理されたマウスにおいても検出されなかった。SLC処理後4日目
に、小節形成とともに活性化T細胞を、100μg/mlのSLCを用いて処理
されたマウス中で検出したが、PBSまたは250μg/mlのSLCで処理さ
れたマウス中では、検出されなかった。SLCでの処理後、11日目、活性化T
細胞腫瘍の浸潤が、10μg/mlおよび100μg/mlのSLCを用いて処
理された腫瘍中で検出されたが、PBSまたは250μg/mlのSLCで処理
された腫瘍中では、検出されなかった。
【0099】 SLC注射後2日目および4日目に、成熟樹状細胞を、10μg/mlおよび
100μg/mlのSLC濃度で、小節形成とともに、容量依存様式で検出した
。樹状細胞を、ネガティブPBSコントロールまたは250μg/mlのSLC
で処理した腫瘍部位において検出しなかった。マクロファージを、SLC処理腫
瘍およびPBS処理腫瘍の両方で、検出した。対照的に、B細胞、NK細胞、好
中球、好塩基球、および好酸球を、SLC処理腫瘍部位においても、またPBS
処理腫瘍部位においても検出しなかった。
【0100】 CT26−13結腸癌細胞を皮下に注射したマウスにおいて、SLCが腫瘍形
成を阻害する能力を、上記したのと同様の一連の実験で試験した。腫瘍増殖の最
大の阻害は、25日目に生じた。11日目および12日目での25μg/mlま
たは75μg/mlのSLCの投与は、CT26−13腫瘍増殖を25日目に4
3%阻害したが、250μg/mlのSLCでは、腫瘍増殖を19%阻害した。
【0101】 (実施例7) (SLCおよびIL−2併用療法を用いての、マウスにおける腫瘍増殖の阻害
) IL−2と組み合わせたSLCが、BDF−1マウスに皮下移植されたB16
−BL6黒色腫細胞の増殖を阻害する能力を試験した。B16−Bl6マウス黒
色腫細胞を調製し、そして実施例6に記載したようにBDF−1マウスの皮下に
注射した(0日目)。SLC(0.25μg/mlまたは2.5μg/mlを1
日あたり2回、0.02ml注射)を上記のように3日目および4日目に投与し
た。3日目および4日目に、PBS,pH7.4での処理をネガティブコントロ
ールとして実施した。3〜9日目に腹腔内(i.p.)注射により投与された0
.2mlの0.05N HCl中0.01%DTICでの処理をポジティブコン
トロールとして、実施した。
【0102】 IL−2を以下のように、注射のために調製した。16.8mlの1.1mg
/mlのIL−2(ProleukinTM,Chiron corporati
on,Emeryville,CA)を0.74mlの5%ヒト血清アルブミン
(HAS)および19.44mlの5%デキストロースに添加した。IL−2を
3〜9日目に0.2mlでの静脈内(IV)注射により毎日投与した。
【0103】 この結果を図9に示す。ポジティブコントロール、DTICを用いる処理は、
14日目で腫瘍増殖を約70%減少させた。2.5μg/mlのSLC単独、I
L−2単独またはIL−2と組み合わせた2.5μg/mlのSLCでの処理は
、14日目で腫瘍増殖を約60%減少させた。IL−2と組み合わせた0.25
μg/mlのSLCでの処理は、最大の効果を有し、腫瘍増殖を約85%減少さ
せた。
【0104】 本明細書中に言及された全ての刊行物および特許出願は、本発明が関与する当
該分野の当業者の水準を示すものである。全ての刊行物および特許出願は、各個
々の刊行物または特許出願が、具体的にかつ個々に参考として援用されるように
示されるのと同程度に、本明細書中で参考として援用される。
【0105】 上記発明は、理解の明確さの目的のために例示および実施例により幾分詳細に
記載されたが、特定の変化および改変が、添付の特許請求の範囲の範囲内で実施
され得ることが明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1.ヒトSLCのcDNA配列およびアミノ酸配列(それぞれ、配列番号1
および配列番号2)。アミノ酸残基23と24との間の矢印は、シグナル配列の
推定切断部位を示す。
【図2】 図2.マウスSLCのcDNA配列およびアミノ酸配列(それぞれ、配列番号
3および配列番号4)。
【図3】 図3.RANTESではなく、SLCおよびELCに誘導される成熟DCの走
化性。(a〜b)示される濃度(ng/ml)の(a)SLCまたは(b)EL
Cへの応答における、処理されていない未成熟細胞(白色棒)と比較した、MC
M(黒色棒)またはTNF (斜線棒)を用いて成熟させたヒト単球由来DCの
遊走。%遊走(+/− SE)は、上部チャンバーに添加された細胞数に基づく
。(c)示される濃度(ng/ml)のRANTESへの応答における、MCM
処理された成熟DCまたは未刺激(未成熟)DCの遊走。走化性指数は、ケモカ
インの非存在下における細胞数に対する、試験ケースの下部チャンバーにおける
細胞数の比率である。(d)100ng/mlの百日咳毒素(PT)とのプレイ
ンキュベーションは、MCM処理した成熟DCのSLC誘導遊走を阻害した。こ
れらの結果は、少なくとも3回の独立した実験の代表である。
【図4A】 図4.SLCおよびELCによって誘導された、MCM処理した成熟DCにお
けるカルシウム動員。MCM処理なしDC(a)、またはMCM処理ありDC(
b〜e)を、Fluo−3AMにロードした。ケモカインを、矢印によって示さ
れる時点で添加し、そしてカルシウム応答を、フローサイトメトリーによって分
析した。(a〜c)500ng/mlのSLC、ELCまたはRANTESに対
するカルシウム応答。(d〜e)500、150、50、15、5、および1.
5ng/mlの(d)SLCまたは(e)ELCによって誘導される、用量依存
性カルシウム応答。(f〜g)MCM処理したDCを、Fluo−3AMにロー
ドし、そしてカルシウム動員を、フローサイトメトリーによって分析した。添加
されたケモカインの濃度は、以下の通りであった:(f)100ng/ml S
LC、500ng/ml ELC、(g)500ng/ml ELC、100n
g/ml SLC。これらの結果は、2回以上の独立した実験の代表である。
【図4B】 図4.SLCおよびELCによって誘導された、MCM処理した成熟DCにお
けるカルシウム動員。MCM処理なしDC(a)、またはMCM処理ありDC(
b〜e)を、Fluo−3AMにロードした。ケモカインを、矢印によって示さ
れる時点で添加し、そしてカルシウム応答を、フローサイトメトリーによって分
析した。(a〜c)500ng/mlのSLC、ELCまたはRANTESに対
するカルシウム応答。(d〜e)500、150、50、15、5、および1.
5ng/mlの(d)SLCまたは(e)ELCによって誘導される、用量依存
性カルシウム応答。(f〜g)MCM処理したDCを、Fluo−3AMにロー
ドし、そしてカルシウム動員を、フローサイトメトリーによって分析した。添加
されたケモカインの濃度は、以下の通りであった:(f)100ng/ml S
LC、500ng/ml ELC、(g)500ng/ml ELC、100n
g/ml SLC。これらの結果は、2回以上の独立した実験の代表である。
【図5】 図5.DCにおけるケモカインレセプターの発現プロフィール。処理されてい
ない(−)か、または5〜8日目からMCMで処理された(+)かのいずれかの
DCから、8日間の培養後に総RNAを調製した。第一鎖cDNAを合成し、そ
して半定量的PCR分析に使用した。30サイクルの増幅からのPCR産物を、
エチジウムブロミド染色した2%アガロースゲル上で可視化した。分子量マーカ
ー(kb)を、ゲルの左側に示す。CCR5、CCR6、CCR9、CXCR3
、CXCR5、CX3CR1を除き、すべてのPCR反応について、アニーリン
グ温度は55℃であった。CCR5、CCR6、CCR9、CXCR3、CXC
R5、CX3CR1は、60℃であった。これらの結果は、3つの独立したcD
NA対を用いた、7回以上の実験の代表である。
【図6】 図6.B16−BL6マウス黒色腫細胞を皮下注射されたマウスの生存に対す
る、SLCの腫瘍周囲投与の効果。
【図7】 図7.マウスに皮下注射されたB16−BL6マウス黒色腫細胞の原発性腫瘍
増殖に対する、SLCの腫瘍周囲投与の効果。
【図8】 図8.13日目のB16−BL6マウス黒色腫細胞の原発性腫瘍増殖に対する
、SLCの腫瘍周囲投与の効果。
【図9】 図9.マウスにおける皮下B16−BL6腫瘍増殖に対する、IL−2と組み
合わせたSLCの効果。
【手続補正書】
【提出日】平成13年10月16日(2001.10.16)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】 「SLCポリペプチドまたはタンパク質」とは、二次リンパ系組織ケモカイン
を意味する。SLCとしては、以下に規定されるような、天然に存在する哺乳動
物SLC、ならびにその改変体およびフラグメントが挙げられる。好ましくは、
SLCは、ヒトまたはマウス起源のSLCである。最も好ましくは、SLCはヒ
トSLCである。ヒトSLCは、クローン化され、そして配列決定されている。
Nagiraら(1997)J Biol Chem 272:19518(こ
の内容は、参考として援用される)。ヒトSLCのcDNA配列およびアミノ酸
配列を、図1に示す(それぞれ、配列番号1および配列番号2)。ヒトSLCの
シグナル配列は切断されて成熟形態を産生し、配列番号2の残基24〜134(
配列番号5)を示す。マウスのSLCもまた、クローン化され、そして配列決定
されている。Hromasら(1997)J Immunol 159:255
4;Hedrickら(1997)J Immunol 159:1589;お
よびTanabeら(1997)J Immunol 159:5671(これ
らの内容は、参考として援用される)。マウスSLCのcDNA配列およびアミ
ノ酸配列を、図2に示す(それぞれ、配列番号3および配列番号4)。マウスS
LCのシグナル配列は切断されて成熟形態を産生し、配列番号の残基24〜1
33(配列番号6)を示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
【化1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図1】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図2】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図3】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4A
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図4A】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4B
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図4B】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図5】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図6】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図7】
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図8】
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図9】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 35/00 A61P 35/00 37/00 37/00 43/00 105 43/00 105 C07K 14/47 C07K 14/47 A61K 37/02 // C12N 15/02 ZNA C12N 15/00 ZNAD (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 チャン, ビビアン ダブリュー. エ フ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94608, エメリービル, ホートン ストリート 4560 (72)発明者 コサコタ, スリニバス アメリカ合衆国 カリフォルニア 90403, サンタ モニカ, アパートメント 10, 7ティーエイチ ストリート 932 (72)発明者 ウィリアムズ, ルイス ティー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94920, ティブロン, ミラフロアーズ 3 (72)発明者 ウィンター, ジル エイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94805, リッチモンド, マウント ストリート 435 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 CA04 DA02 HA17 4C084 AA02 AA13 AA17 BA03 BA21 CA18 CA35 DA06 DC50 MA02 MA52 MA56 MA59 MA63 MA65 MA66 NA14 ZB212 ZB262 4C085 AA13 AA14 BB11 CC02 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 MA02 MA04 MA52 MA56 MA59 MA63 MA65 MA66 NA14 ZB07 ZB11 ZB21 ZB26 4H045 AA10 CA40 DA01 EA28 FA74

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物被験体において癌または過剰増殖性障害を処置する
    方法であって、該方法は、該被験体に治療的有効量のSLCを投与する工程を包
    含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記SLCがヒトSLCである、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記ヒトSLCが配列番号5のポリペプチド配列を有する、
    請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記ヒトSLCが配列番号5のポリペプチドと少なくとも7
    0%配列同一性を有する、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の方法であって、前記SLCが配列番号5ま
    たは6のポリペプチドの活性改変体であり; ここで、該改変体が、配列番号5または6のポリペプチドの少なくとも30%
    の血管新生抑制活性、抗腫瘍活性、および/または樹状細胞化学誘引活性を有し
    ;そして 該誘導体が、配列番号5または6のポリペプチドと少なくとも70%配列同一
    性を有する、 方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の方法であって、前記SLCが配列番号5ま
    たは6のポリペプチドの活性フラグメントであり; ここで、該フラグメントが、配列番号5または6のポリペプチドの少なくとも
    30%の血管新生抑制活性、抗腫瘍活性、および/または樹状細胞化学誘引活性
    を有し;そして 該フラグメントが、配列番号5または6の少なくとも10個の連続するアミノ
    酸残基を含む、 方法。
  7. 【請求項7】 前記癌が固形腫瘍である、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記腫瘍が黒色腫である、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記投与が前記腫瘍への注射による、請求項7に記載の方法
  10. 【請求項10】 前記投与が、前記腫瘍の縁から15cm以内の1つ以上の
    部位への腫瘍周囲注射による、請求項7に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記SLCの投与が、前記哺乳動物にSLCポリヌクレオ
    チドを導入する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の方法であって、前記SLCポリヌクレ
    オチドが、以下: a)配列番号1または3のポリヌクレオチド; b)配列番号5または6のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド; c)配列番号5または6に対して少なくとも70%配列同一性を有するポリペ
    プチドをコードするポリヌクレオチドであって、該ポリペプチドは、配列番号5
    または6のポリペプチドの少なくとも30%の血管新生抑制活性、腫瘍阻害活性
    、および/または樹状細胞化学誘引活性を有する、ポリヌクレオチド;ならびに d)配列番号5または6のポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌク
    レオチドであって、該フラグメントは、配列番号5または6の少なくとも30%
    のポリペプチドの血管新生抑制活性、腫瘍阻害活性、および/または樹状細胞走
    化性活性を有し;そして該フラグメントは、配列番号5または6の少なくとも1
    0個の連続するアミノ酸残基を含む、ポリヌクレオチド、 からなる群より選択される、方法。
  13. 【請求項13】 前記SLCと組み合わせた治療的有効量のIL−2の投与
    をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記IL−2が組換えヒトIL−2である、請求項13に
    記載の方法。
  15. 【請求項15】 IL−2の前記投与の経路が、静脈内投与経路、経口投与
    経路、粘膜投与経路、鼻腔内投与経路、経皮投与経路、腹腔内投与経路、腫瘍内
    投与経路、および腫瘍周囲投与経路からなる群より選択される、請求項13に記
    載の方法。
  16. 【請求項16】 IL−2の前記治療的有効量が約6,000,000IU
    /M2〜600,000IU/kgである、請求項13に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記癌または過剰増殖性細胞増殖の外科的除去をさらに包
    含する、請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の方法であって、以下: (a)癌、腫瘍、または過剰増殖性細胞増殖の部位に前記SLCを投与する工
    程; (b)該癌または過剰増殖性細胞増殖を外科的除去する工程;および (c)外科的除去の部位に該SLCを投与する工程、 を包含する、方法。
  19. 【請求項19】 哺乳動物において樹状細胞の機能を調節するための方法で
    あって、該方法が、該哺乳動物に治療的有効量のSLC薬剤を投与する工程を包
    含し、該薬剤が、SLCポリペプチド、SLCポリペプチド改変体、SLCポリ
    ペプチドフラグメント、SLCポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、S
    LCポリペプチド改変体をコードするポリヌクレオチドおよびSLCポリペプチ
    ドフラグメントをコードするポリヌクレオチド、抗SLC抗体ならびにCCR7
    レセプターに対するリガンドからなる群より選択される、方法。
  20. 【請求項20】 前記調節が、一次免疫応答の減少を生じる、請求項19に
    記載の方法。
JP2000590657A 1998-12-31 1999-12-28 癌を処置するためおよび樹状細胞の走化性を媒介するための方法 Withdrawn JP2002533402A (ja)

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