JP2002533129A - アブラナ属植物のプラスチド形質転換 - Google Patents

アブラナ属植物のプラスチド形質転換

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チヤウドウーリ,スミータ
オウクス,ジヤネツト・ブイ
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カルジーン エルエルシー
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    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
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Abstract

(57)【要約】 本方法は、植物細胞プラスチドから目的のDNA配列を発現するためのアブラナ属植物の形質転換方法を提供する。該方法は、異種DNA構築物でアブラナ属植物組織の形質転換を可能にする。そのようなDNA構築物は、転写の5’から3’方向に、植物プラスチド中で機能的なプロモーター領域および目的のDNA配列を含む。本発明はさらに、該プラスチドが異種DNA構築物を含有するアブラナ属植物細胞を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 序論 発明の分野 本発明は植物プラスチドを遺伝子的に形質転換する方法、より詳細にはアブラ
ナ属(Brassica)植物種のプラスチドゲノムを遺伝子的に形質転換する
方法に関する。
【0002】 背景 高等植物のプラスチドは、遺伝子工学にとって魅力的な標的である。植物プラ
スチド(クロロプラスト、アミロプラスト、エライオプラスト、エチオプラスト
、クロモプラスト等)は、光合成に加えて、アミノ酸、炭水化物複合体、脂肪酸
、及び色素のような産業的に重要な化合物の生産を担う主要な生合成中心である
。プラスチドはプロプラスチドとして知られる共通の前駆体から得られ、このよ
うに該プラスチドは同じ遺伝的内容を持つ全ての一定の植物種に存在している。
一般に、植物細胞は小さな120−160キロベース環状ゲノム、それぞれが大
きな(ほぼ25kb)逆方向反復を有する分子の500−10,000コピーを
含有する。このように、それは外来遺伝子発現の非常に高いレベルを潜在的にも
たらし得る目的の個々の遺伝子の20,000コピーまでを含むように植物細胞
を操作することを可能にする。加えて、ほとんどの植物のプラスチドは、母性遺
伝される。したがって、核内で発現した異種遺伝子とは異なり、プラスチド内で
発現した異種遺伝子は花粉播種できず、それ故に、植物プラスチド中に導入され
た形質は野生型同族に伝達されないだろう。
【0003】 高等植物のプラスチドは、遺伝子工学にとって魅力的な標的を提供する。上述
した通り、高等植物のプラスチドは母性遺伝される。これは、これらの形質が野
生型同族に伝達されないであろうような、除草剤耐性のような自然の又は化学的
な条件に対する耐性又は抵抗性のための植物の遺伝的操作の利点を提供する。顕
花植物のプラスチド形質転換の文献は、全体が参考として本明細書に組み込まれ
る、Maliga (1993)Trends in Biotech.11:
101−107によって提供される。
【0004】 残念ながら、高等植物についてこれまでに記載された成功裏のプラスチド形質
転換技術は、タバコ(米国特許第5,451,513号;Svabら(1990
)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8526−853
0とSvabら(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
90:913−197)及びシロイヌナズナ(Arabidopsis)(S
ikdarら(1998)、Plant Cell Reports 18:2
0−24)のようなモデル栽培作物に制限されている。さらに、シロイヌナズナ
(Arabidopsis)用に記載された該方法は、繁殖しない再生体を生産
する。PCT公開WO/32977もまた、シロイヌナズナ(Arabidop
sis)のプラスチド形質転換方法を記載し且つアブラナ属植物プラスチドのプ
ラスチド形質転換の予言的な実施例を提供する。しかしながら、トランスプラス
トミックアブラナ属植物は、そこに記載された方法を用いて現在までに生産され
ていない。このように、アブラナ属植物種のような、広範な栽培作物のための栽
培作物プラスチド、クロロプラスト形質転換技術への遺伝子工学技術の実践的な
適用が、当該分野で必要とされる。
【0005】 アブラナ属植物種のような栽培種に適用可能なクロロプラスト形質転換方法は
、当該分野で必要とされる。そのような方法は、植物プラスチドの遺伝子操作を
経て栽培学的に、同じく品質的に重要な形質のためのプラスチド形質転換を経て
遺伝子操作の新規な手段を提供するであろう。
【0006】 発明の開示 本発明は、植物細胞を含んでいるアブラナ属植物の形質転換と再生のための構
築物と方法を提供し、そのプラスチドは目的の外来DNAによって安定に形質転
換されている。本発明は概して、アブラナ属植物プラスチドゲノムから得られた
相同な領域を有しているDNA構築物によってアブラナ属植物細胞プラスチドを
形質転換する方法;該DNA構築物を含む細胞を選択すること;及び該植物細胞
プラスチド中に該DNA構築物を含む細胞の成熟多細胞植物を得ることを含む。
【0007】 本発明の第1の態様は、転写の5’から3’方向に、植物細胞プラスチド中で
機能的なプロモーター領域、目的のDNA配列、及び植物細胞プラスチド中で機
能的な転写終止領域を一般に含んでいるDNA構築物によってアブラナ属植物細
胞のプラスチドを形質転換するための方法を提供する。該構築物は、アブラナ属
植物プラスチド配列に由来する相同な領域をさらに含む。
【0008】 本発明の別な態様は、アブラナ属植物細胞プラスチド中で機能的なプロモータ
ー領域、目的の核酸配列、及び植物細胞プラスチド中で機能的な転写終止配列を
有する核酸構築物を提供する。該構築物は、宿主細胞プラスチドゲノム内への該
構築物の組み込み用の相同な領域をもまた含むことができる。該相同な領域は、
アブラナ属植物プラスチドゲノム配列から好ましくは得られる。
【0009】 本発明の別な態様において、宿主アブラナ属植物細胞プラスチドにおいて核酸
配列を発現するための方法が提供される。一般に、該方法は、プラスチド中で機
能的なプロモーター、目的の核酸配列、及び植物細胞プラスチド中で機能的な転
写終止配列を有している組換え核酸構築物を宿主アブラナ属植物細胞に導入する
ことを含む。
【0010】 本発明のさらに別な態様において、本明細書中に記載された方法により得られ
た多細胞アブラナ属植物が提供される。
【0011】 本発明はまた、そのプラスチドが目的のDNA構築物で形質転換されている多
細胞アブラナ属植物をも提供する。
【0012】 本発明はまた、転写の5’から3’方向に、植物細胞プラスチド中で機能的な
プロモーター、緑色蛍光タンパク質(以下、GFPと言う)をコードするDNA
配列、及び植物細胞プラスチド中で機能的な転写終止領域機能を含むDNA構築
物によりそのプラスチドが安定に形質転換されているアブラナ属植物細胞を得る
ための方法も提供する。
【0013】 図面の簡単な説明 図1は、GFP発現マーカーを含んでいるトランスプラストミックアブラナ属
植物系の調製のための構築物を提供する。pCGN6408構築物の概略とタバ
コプラスチドゲノムへの組み込みの描写が上部に示される。aadAとGFPボ
ックス上のラインは、転写の方向を示す。StuIフラグメントの予想したサイ
ズは入来DNA、同じく野生型DNA(ptDNA)用に提供される。
【0014】 図2は、非形質転換(野生型、Bn)及びトランスプラストミックアブラナ属
植物系のサザンハイブリダイゼーションの結果を提供する。
【0015】 図3は、生長の連続ラウンドについてのサザンハイブリダイゼーション結果を
提供し、ライン6408 99−1Y、cc、及びddは約80%ホモプラスミ
ックである。
【0016】 発明の詳細な記述 本発明によると、構築物と方法が、異種DNAが挿入されているプラスチドを
含んでいるアブラナ属植物細胞を得るために提供される。該方法は一般に、プラ
スチド発現ベクターによりアブラナ属植物細胞を形質転換することを包含する。
該プラスチド発現構築物は一般に、転写の5’から3’方向に機能的に結合した
構成要素として、植物プラスチド中で機能的なプロモーター領域、目的のDNA
配列、及び植物プラスチド中で転写を終止することができる転写終止領域を含ん
でいる核酸配列を含む。使用のための該構築物は、宿主植物細胞プラスチドゲノ
ム内に組み込むための相同な領域を好ましくは含む。その相同な領域は、アブラ
ナ属植物ゲノム配列から好ましくは得られる。ここで使用される用語「得られる
」とはアブラナ属植物プラスチドゲノム配列の相同な領域に類似する任意の配列
をさす。そのような配列は、当該分野における周知の方法に従って作製すること
ができ、合成、プラスチドゲノム配列から増幅、あるいはアブラナ属植物プラス
チドゲノム配列からのクローニングを含むが、これらに限定されない。
【0017】 本発明の方法の一態様は、アブラナ属植物種から植物細胞を生産する方法であ
って、植物のプラスチドが、植物細胞プラスチドからの目的の核酸配列の発現を
導くための組換え核酸配列を含む方法である。
【0018】 該方法は一般に、アブラナ属植物種から調製した組織ソース中の植物細胞プラ
スチドに組換え核酸構築物を導入することを含む。該核酸構築物は、該プラスチ
ドゲノム中に組み込むことができ、あるいは該プラスチド内の自己複製プラスミ
ドとして含ませることができる。好ましくは、該構築物は、アブラナ属植物プラ
スチドゲノムから得られた相同組換え配列を用いて植物細胞プラスチドゲノム内
に組み込まれる。
【0019】 本発明の方法において使用される植物細胞は、プラスチドを含有し、且つ成熟
植物への再生能力を有するいずれかの植物組織ソース又は成熟植物を生起するだ
ろう構築物から得ることができる。そのような組織は、葉組織、子葉(子葉ノッ
チを含む)、胚軸、上胚軸、幹切片、胚形成カルス、カルス、茎、プロトプラス
ト、幹薄層、小胞子、同じく幾つかの種子と胚を包含するが、これらに限定され
ない。好ましくは、本発明の方法において使用される細胞は、葉組織から得られ
る。さらに、該組織ソースは、インビトロ、土壌培養などを含む各種の条件中で
培養した植物から得ることができる。
【0020】 形質転換に先立って、該組織ソースは各種浸透圧で処理することができる。浸
透圧処理は、ソルビトール及びマンニトールを含むがこれらに限定されない糖ア
ルコールを含む培地上で該組織を培養することをさす。該浸透圧処理は、形質転
換後、形質転換の間、あるいは形質転換の前、間及び後に実行することもできる
。該処理において使用する糖アルコールの濃度は、約0.01Mから約1.0M
まで、好ましくは約0.05Mから約0.7Mまで、より好ましくは約0.1M
から約0.5Mまで、最も好ましくは約0.2Mから約0.4Mまでの範囲を含
む。
【0021】 アブラナ属植物細胞への形質転換用の構築物は、いずれかの利用可能な方法を
用いて導入することができる。導入のための方法は、バイオリスティック形質転
換、PEG媒介形質転換、およびエレクトロポレーションを含むが、これらに限
定されない。好ましくは、目的のDNA構築物は、粒子銃ボンバードメント(p
article gun bombardment)を用いて望ましい宿主組織
からの植物細胞のプラスチド内に形質転換される。バイオリスティック形質転換
の一般的な方法は、Sanfordら(1993)、Methods in E
nzymology 217:483−509、及びYeら(1990)、Pl
ant Molecular Biology 15:809−819により記
載される。粒子ボンバードメントによるタバコプラスチドの安定な形質転換は報
告されている(Svabら(1990上掲)及びSvabら(1993上掲))
。それらに報告された方法は、本発明の形質転換方法において利用することがで
きる。他の方法が当該分野で知られており、且つO’Neilら(1993)、
Plant Journal 3:729−738及びGoldsら(1993
)、Bio/Technology 11:95−97に記載される。
【0022】 形質転換において用いた形質転換組織に含まれる形質転換細胞からの全植物の
再生は幾つかの生長段階を包含する。典型的に、成熟植物から又は発芽した苗か
ら削り取った組織は、滅菌条件下で化学的に定義した培地に配置される。一定期
間そのような制御した条件下で該移植片を増殖することによって、カルスと呼ば
れる分化していない細胞の塊を形成できる。
【0023】 例えば栄養、光、温度、湿度の適切な条件の組み合わせ下でこのカルスを培養
することによって、且つ植物生長調節剤の適切な組み合わせと濃度を提供するこ
とによって、該カルスは分化下細胞を形成すると共に、植物シュート再生を誘導
することができる。分裂組織を含んでいる、時折苗木(plantlets)と
呼ばれる、植物シュート(plant shoots)は、次に根の生産の誘導
用培地に移される。
【0024】 好ましくは、プラスチド構築物が導入されている組織は、遅延培地と呼ばれる
、細胞分裂、又は細胞拡張、開始培地上で培養される。該遅延培地は、液状又は
固体、又は寒天のような固体化試薬の添加による半固体のいずれかとし得る。該
組織は、該植物組織が阻害量の特有の選択試薬、同じく特有のホルモン及びその
特有の植物種のための再生を得るために必要な他の物質を含む選択培地に移した
後、約0日から約14日まで、好ましくは約1日から約10日まで、より好まし
くは約1日から約7日まで、最も好ましくは約2日から約7日までの期間の間、
遅延培地上で好ましく培養される。シュートは、ホモプラスミックシュートの生
産と選択に入るため、より高い、より低い又は同じ濃度の該特有の選択試薬を含
んでいる同じ選択培地上で継代培養される。
【0025】 該選択培地は、液体又は固体又は寒天のような固体化剤の添加によって半固体
とすることができる。液体選択培地は、特有のホルモン、特に選択試薬及び再生
を得るための他の物質を含む選択培地と該植物組織の非常に大きな接触表面積を
与える。
【0026】 選択試薬の量は、再生の間、該培地中に定常量残存し得る。あるいは、選択剤
の量は、最初に最も高いレベル、次いで再生の後の段階の間は低下させることが
できる。さらに、選択試薬の量は再生の最初の段階の間低く、再生後期に増加さ
せることができる。
【0027】 トランスプラストミック植物は、形質転換プラスチドゲノムの純粋な集団用に
分析される(ホモプラスミック系)。ホモプラスミーは、トランスジーン及びク
ロロプラストゲノムの核酸プローブスパンニング領域(すなわち、挿入領域)を
利用したサザン分析を用い確証することができる。ヘテロプラスミックであるト
ランスプラストミック植物(すなわち、トランスジーンを含んでいる及び欠いて
いるプラスチドゲノムの混合物を含む)は、野生型及びトランスジーンのハイブ
リダイゼーションパターンによって特徴付けられる。ホモプラスミック植物は、
野生型バンドを欠いているハイブリダイゼーションパターンを示す。
【0028】 あるいは、ホモプラスミーはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて確証す
ることができる。PCRプライマーは、挿入領域からの配列から増幅するために
標的化され利用される。例えば、プライマーの対がPCR反応において利用され
得る。一つのプライマーはトランスジーン中の領域から増幅し、一方、第2のプ
ライマーは、該挿入領域に向かい隣接領域から該挿入領域まで増幅する。第2の
PCR反応は、目的の領域を増幅するように設計したプライマーを用いて実行さ
れる。ホモプラスミックと同定されたトランスプラストミック系は、最初の反応
において予期されたサイズのフラグメントを生産する一方、それらは第2反応に
おいて予期されたサイズのフラグメントを生産しない。
【0029】 後述の実施例でより詳細に記載した通り、トランスプラストミックアブラナ属
植物は、ここに記載した方法から製造される。
【0030】 他のアブラナ属植物種は、本発明の方法を用いて同様に形質転換することがで
きる。本発明の実践のために好適な植物は、B.rapa、B.olerace
a及びB.nigraを含む二倍体アブラナ属植物種、同じくB.napus、
B.juncea及びB.carinataを含む複二倍体種を含むが、これら
に限定されない。本発明の方法は、シロイヌナズナのような密接に関連した植物
のプラスチドの形質転換においての使用もまた見出すことができる。
【0031】 本発明の別な態様は、植物細胞プラスチド中で機能的なプロモーター、目的の
核酸、及び植物細胞プラスチド中で機能的な転写終止領域を有している組換え核
酸構築物を提供する。
【0032】 本明細書で用いる「組換え核酸構築物」とは、標的細胞中の特有の核酸の転写
を許す一連の特徴付けられた核酸要素を持つ核酸構築物、遺伝的に組み換えた又
は合成された核酸構築物である。組換え核酸構築物は、プラスミド、クロモソー
ム、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス、又は核酸フラグメン
ト内に組み込むことができる発現カセットを含む。典型的に、核酸構築物の組換
え発現カセット部分は、他の配列の中で、転写されるべき核酸配列とプロモータ
ーを含む。
【0033】 植物細胞プラスチド中で機能的な多くのプロモーターは、当業者に利用可能で
ある。そのようなプロモーターは、16SリボソームRNAオペロン(Prrn
)、psbA遺伝子(PpsbA)又はrbcL遺伝子(PrbcL)からのプ
ロモーター領域のような高度発現プラスチド遺伝子のプロモーター領域から得ら
れるそれらを含むが、これらに限定されない。他の要素もまた、転写、翻訳、又
は両方を増大するためのプロモーター領域とともに使用することができる。その
ような要素は、リボソーム結合部位、シャイン−ダルガルノ配列、エンハンサー
要素などを含むが、これらに限定されない。
【0034】 該組換え構築物において使用するための核酸配列は、宿主植物細胞プラスチド
において転写又は転写と翻訳(発現)のための目的のいずれかの核酸配列とする
ことができる。目的の配列は、除草剤に対する耐性に係わった遺伝子、リポータ
ー遺伝子、選択可能マーカー、哺乳動物タンパク質、及び病原体抵抗性をコード
している遺伝子を含むが、これらに限定されない。
【0035】 除草剤耐性に係わったタンパク質をコードしている核酸配列は当該分野で知ら
れ、且つ5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェート合成酵素(EPS
PS、米国特許第5,627,061号と5,633,435号、Padget
teら(1996)、Herbicide Resistant Crops,
Lewis Publishers, 53−85、及びPenaloza−
Vazquezら(1995)、Plant Cell Reports14:
482−487)及びグリホセート耐性用のaroA(米国特許第5,094,
945号)、ブロモキシニル耐性用のブロモキシニルニトリラーゼ(Bxn)(
米国特許第4,810,648号)、ノルフラゾン耐性用のフィトエンデサチュ
ラーゼ(crtI)(Misawaら(1993)、Plant Journa
l 4:833−840、及び(1994)Plant Jour 6:481
−489)、アセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS(Sathasiivan
ら(1990)、Nucl.Acids Res.18:2188−2193)
)及びグルフォシネートに対する抵抗性用のbar遺伝子(DeBlockら(
1987)、EMBO J.6:2513−2519)をコードしているDNA
配列を含むが、これらに限定されない。
【0036】 本発明の発現構築物が他のストレス耐性、例えば昆虫又は病気抵抗性/耐性遺
伝子に係わった遺伝子をコードしている配列をも含むことができることに留意す
べきである。そのような昆虫抵抗性遺伝子は、例えばバシラス・チューリンゲン
シス(Bacillus thuringensis)cry1Acタンパク質
のように当該分野で知られる。
【0037】 加えて、該発現構築物は、植物プラスチドからのヒト生物学的タンパク質(薬
学タンパク質)の生産を導くことにおける使用もまた見出される。ヒト成長ホル
モン(hGH)をコードしている核酸配列は、本発明のプラスチド発現構築物に
おいて利用できる。
【0038】 ヒト生物学的タンパク質の生産のため本発明の発現構築物における使用のため
の目的の他の配列は、アプロチニンの生産である。
【0039】 ヒトの生物学的物質の生産における使用が見出される他の配列は、インスリン
又はインスリン前駆体をコードしている配列を含む。当業者は、ヒトの生物学的
物質をコードしている多くの核酸配列が、GoodmanとGelman (1
990)Pharmacological Basis of Therape
utics, Pergaman Press, 第8版、14及び15章中に
記載されたそれらのように、植物プラスチドからのそれらの発現を導くため、本
発明の該構築物が利用できることを理解するであろう。
【0040】 多くのリポーター遺伝子が当業者に利用可能であり、且つGUS及び緑色蛍光
タンパク質(GFP)を含むが、これらに限定されない。トランスジェニック組
織からのGUSの発現のための分析技術は、染色に先立つ組織の破壊を含む。一
般に、該組織は、グルコロニド含有溶液を浸透させ、次いでクロロフィルのバッ
クグラウンドを取り除くためアルコール溶液で脱染色される。染色した組織は、
細胞発現b−グルコロニダーゼの青色着色によって実証されるように、GUS染
色で視覚的観測される。他のリポーター遺伝子もまた当該分野で知られ、例えば
緑色蛍光タンパク質(GFP)は非破壊分析法を用い利用可能である。GFPの
一般的文献は、参考としてその全体が本明細書に組み込まれる、Tsien (
1998)Annu.Rev.Biochem.67:509−544によって
提供される。
【0041】 後述する実施例においてより詳細に論じる通り、GFPを利用している構築物
は、形質転換したアブラナ属植物がプラスチドからのGFPの発現を導くため構
築物がクロロプラストゲノム中に組み込まれるようにアブラナ属植物を形質転換
するために用いられる。GFPを発現している植物の細胞は、破壊方法の必要な
しに、紫外(uv)光下で可視化できる。uv光下で可視化される、GFPを発
現している細胞は、緑色の蛍光を発する。GFPコード配列における突然変異は
、緑色植物表面上での発現のより好都合な視覚化を与える青色光に励起波長をシ
フトする。
【0042】 さらに、トランスプラストミックアブラナ属植物は、GFP遺伝子をコードし
ている目的のDNA配列のヘテロプラスミックであることで同定される。トラン
スプラストミックアブラナ属植物は、植物細胞プラスチドにおいて機能的である
プロモーター配列から発現した、GFPのようなマーカー遺伝子を含んでいるD
NA構築物を形質転換するため本発明の方法を用いて得られる。ここで得られた
トランスプラストミック植物は、uv顕微鏡下の視覚化によって検出されるGF
P発現を示す。
【0043】 該構築物の開発において調節領域とオープンリーディングフレームを含む各種
フラグメントは、連結(ligation)、制限酵素消化、PCR、インビト
ロ変異誘発、リンカーとアダプター付加、などのような異なる加工条件に付すこ
とができる。このように、ヌクレオチド転移、転換、挿入、欠失などが、該調節
領域において利用されるDNA又は該プラスチドにおける発現のため目的のDN
A配列において実行できる。制限消化、クレノウ平滑断端処理、連結、などの方
法は、当業者に周知であり、且つ例えばManiatisら(Molecula
r cloning: a laboratory manual (1989
)Cold Spring Harbor Laboratory Press
, Cold Spring Harbor, NY)に記載される。
【0044】 該構築物の調製の間、DNAの各種フラグメントは、DNAの増幅、配列、リ
ンカーの結合又は除去によるDNAの変更又はDNAの操作などを考慮して、適
当なクローニングベクター中でしばしばクローンされるだろう。好ましくは、該
ベクターは、少なくとも大腸菌(E.coli)における高いコピー数に匹敵す
る複製ができるであろう。pBR322,pUCシリーズのベクター、M13シ
リーズベクター、及びpBluescriptベクター(Stratagene
; La Jolla CA)のようなベクターを含め、多くのベクターがクロ
ーニング用に現在利用可能である。
【0045】 望まれる植物細胞を選択する手段を提供するため、プラスチド形質転換用のベ
クターは、選択可能なマーカー遺伝子の発現を提供する構築物を典型的に含む。
マーカー遺伝子は、選択物質、すなわち抗生物質、除草剤などの効力を弱める、
又は不活性化することによって自然の抑制に抵抗するポリペプチドを発現する植
物発現可能DNA配列である。
【0046】 あるいは、マーカー遺伝子は、幾つかの他の明らかな反応応答を提供でき、す
なわち植物又は植物細胞に直接適用されるかあるいは植物又は植物細胞培地中に
存在しているかのいずれかで、何らかの物質の存在において該選択可能なマーカ
ー遺伝子を発現していない植物又は植物細胞に比較して示差的な外観又は生長パ
ターンをもたらすことができる。
【0047】 いずれかのケースにおいて、そのような選択可能なマーカー遺伝子を含んでい
る植物又は植物細胞は、同定の目的のために示差的な表現型を有するであろう、
すなわちそれらは非形質転換細胞と区別可能であろう。その特有の表現型により
、該構築物を含んでいる細胞、細胞群、組織、器官、植物部分又は全体の植物が
同定される。
【0048】 該マーカー表現型の検出は、該マーカー遺伝子が結合されている第2の遺伝子
を有する細胞の選択を可能にする。この第2の遺伝子は典型的に、形質転換細胞
中の容易に同定可能ではないが、しかし一様な条件下で、該植物細胞又はその派
生物が成熟体まで生長した際に存在している望まれる表現型を含み、該選択可能
なマーカー表現型それ自身は現れない。
【0049】 プラスチド構築物を含んでいる植物細胞の同定用のそのようなマーカーの使用
は、Svabら(1993,上掲)に記載されている。後で提供された実施例に
おいて、細菌aadA遺伝子は、クロロプラスト5’プロモーターと3’転写終
止領域、特にthepsbA遺伝子の調節領域(Staubら、EMBO J.
(1993)12(2):601−606中に記載される)の調製制御下で該マ
ーカーとして発現される。多数の付加プロモーター領域もまた、植物プラスチド
において機能することが示されている各種のプラスチドプロモーター及び細菌プ
ロモーターを含む、選択可能なマーカー遺伝子の発現を導くために使用できる。
【0050】 aadA遺伝子の発現は、スペクチノマイシンとストレプトマイシンに対する
抵抗性を与え、そしてこのマーカーを発現している植物細胞の同定を考慮する。
該aadA遺伝子産物は、クロロプラストが選択可能なマーカー遺伝子産物を含
む細胞の継続した生長及び緑化を考慮する。該選択可能なマーカー遺伝子産物を
含んでいない細胞は脱色され又は紫色である。aadA遺伝子マーカーの選択は
、植物生長培地中のストレプトマイシン、より好ましくはスペクチノマイシンの
存在によって脱色されない植物細胞の同定に基づく。
【0051】 クロラムフェニコール、アミノグリコシドG418、ヒグロマイシンなどに対
する抵抗性のような、多くのマーカーが植物細胞で使用するために開発されてい
る。クロロプラスト代謝に関与した産物をコードする他の遺伝子もまた、選択可
能なマーカーとして使用することができる。例えば、グリホセート、ブロモキシ
ニル又はイミダゾリノンのような植物除草剤に対する抵抗性を提供する遺伝子は
、特有な使用を見出し得る。そのような遺伝子は報告されている(Stalke
rら、J.Biol.Chem.(1985)260:4724−4728(グ
リホセート抵抗性EPSP);Stalkerら、J.Biol.Chem.(
1985)263−6310−6314(ブロモキシニル抵抗性ニトリラーゼ遺
伝子);及びSathasivanら、Nucl.Acids Res.(19
90)18:2188(AHASイミダゾリノン抵抗性遺伝子))。
【0052】 プラスチド形質転換に使用するためのベクターは、プラスチド中で自律的に複
製することを導入された構築物に許容する複製の起源を提供する配列を含み得る
。そのような配列は当該分野で周知であり、且つ参考によりその全体が本明細書
に組み込まれる米国特許第5,693,507号中に記載される。
【0053】 プラスチド形質転換に使用するためのベクターは、好ましくはプラスチドゲノ
ム内への該プラスチド発現構築物と選択可能なマーカー構築物の安定な転移を提
供するための手段を含む。これは、プラスチドゲノムに相同な領域により最も利
便的に提供される。該相同な領域は転移されるべき発現構築物をはさみ、且つ該
ゲノムへの二重交差を経て、相同組換えによって該プラスチドゲノムへの移入を
提供する。タバコの該プラスチドゲノムの完全DNA配列は報告されている(S
hinozakiら、EMBO J.(1986)5:2043−2049)。
ゼニゴケ類からの(Ohyamaら、Nature (1986)322:57
2−574)及びコメ(Hiratsukaら、Mol.Gen.Genet.
(1989)217:185−194)からのプラスチドゲノムの完全DNA配
列もまた報告される。
【0054】 相同な領域がプラスチドゲノムの逆方向反復領域中に存在する場合(IRAと
IRBとして知られる)、形質転換プラスチド当り2コピーのトランスジーンが
予測される。相同な領域がプラスチドゲノムの逆方向反復領域の外側にある場合
、形質転換プラスチド当り1コピーのトランスジーンが予測される。プラスチド
ゲノム内の相同な領域は、ほぼ1kbないし3kbのサイズである。より小さい
相同な領域もまた使用することができ、100bp程度のものはプラスチドゲノ
ム内への相同組換えに供することができる。しかしながら、組換えの頻度、した
がって形質転換プラスチドを有している植物が得られる頻度は、該相同領域のサ
イズ減少に従って低下する。
【0055】 タバコプラスチドゲノムに相同な領域を有している構築物の実例は、Svab
ら(1990上掲)、Svabら(1990上掲)及びZoubenkoら(N
uc Acid Res (1994)22(19):3819−3824)中
に記載される。シロイヌナズナ(Arabidopsis)プラスチドゲノムに
相同な領域を有している構築物の実例は、Sikdarら(1998)上掲に記
載される。
【0056】 ここに記載したような構築物は、プラスチドゲノムの逆方向反復領域への異種
DNAの相同組換えを導くためにアブラナ属植物プラスチドゲノムの配列から得
られた相同な配列を用いて調製される。そのような相同な領域は、アブラナ属植
物中の相同な領域(本明細書中では相同プラスチドゲノムとも呼ぶ)に一致して
いる配列を単離するためPCR反応を利用することによって得られる。このよう
に、ここで用いたような相同なプラスチドゲノムに相同な領域は、該領域が得ら
れたと同じ植物遺伝子のプラスチドゲノムへの発現構築物の組み込みを導くため
構築物の調製において使用されるDNA配列に関する。
【0057】 当業者は、付加的な相同の領域が本発明の方法に従って利用できることを認識
するだろう。例えば、他の植物種、例えばシロイヌナズナ(Arabidops
is)、又はタバコのプラスチドゲノムから得られた相同な領域もまた利用する
ことができる。また、相同な領域は、巨大単一コピー領域に一致するプラスチド
ゲノムにおける相同組換えにも提供することができる。
【0058】 さらに、ここで提供された発現構築物は、アブラナ属植物プラスチドゲノムか
ら得られた調節領域に利用される。例えばアブラナ属植物16SリボソームRN
A(Prrn)は、選択可能なマーカーaadAの発現用に使用される。rps
16のターミネーター配列、同じくpsbAのプロモーターと転写終止領域の両
方のようなアブラナ属植物プラスチドゲノムから得られた他の調節領域もまた、
本発明の構築物において使用される。当業者は、タバコ又はシロイヌナズナ(A
rabidopsis)のような異種プラスチドゲノムから得られた調節要素も
また、本発明の構築物において使用できることを認識するだろう。
【0059】 本発明において単独アブラナ属植物細胞プラスチドへの2つ以上の構築物の導
入もまた意図される。そのような方法は、形質転換、共形質転換などを含むが、
これらに限定されない。プラスチドの共形質転換の方法は、Carrerら(1
995)、Bio/technology, 13;791−794によってタ
バコについて記載されている。そのような方法は、一つの選択試薬での選択、続
いて第2の選択試薬での選択を許容する。例えば、一つの構築物は、スペクチノ
マイシン/ストレプトマイシンについての選択用のaadA発現カセットを含む
ことができ、及び第2の構築物はグリホセートについての選択用のCP4EPS
PS発現カセットを含むことができる。
【0060】 このように、本発明の方法において使用するための発現構築物は、広範な植物
遺伝子工学適用に関与する遺伝子をコードしているDNA配列の発現を導くこと
においての使用が見出される。そのような遺伝子は、除草剤耐性及び病気抵抗性
のような作物学的形質(インプット形質)、又は脂肪酸組成変更及びカロテノイ
ド生産性のような質的形質(アウトプット形質)に関与するタンパク質をコード
することができる。さらに、植物細胞プラスチドにおけるヒトの生物学的物質の
生産のためのタンパク質をコードしているDNA配列もまた、本発明の発現構築
物における使用が見出される。
【0061】 構築物は、植物細胞プラスチドからの目的のDNA配列の転写及び/又は転写
と翻訳(発現)を調節するためにもまた調製することができる。そのような構築
物は当該分野で知られ、且つ参考により本明細書に組み込まれる、米国特許第5
,576,198号に記載される。そのような構築物は、宿主植物中の選択した
組織の細胞からの発現を導くために使用することができる。例えば、アブラナ属
植物の種子細胞中のプラスチドからの目的のDNA配列の転写及び/又は転写と
翻訳(発現)を導くために、種子中での発現を増加するために提供しているプロ
モーターが、該植物細胞核からT7RNAポリメラーゼの発現を導くために使用
される。
【0062】 アブラナ属植物の核形質転換の方法は当該分野で知られ、且つ例えば、Rad
keら(Theor, Appl.Genet.(1988)75:685−6
94及びPlant Cell Reports (1992)11:499−
505)中に記載される。
【0063】 そのような方法は、例えば種子プラスチドにおける優先的なカロテノイド生合
成経路を変更するために用いることができる。種子におけるカロテノイド生合成
の変更は、参考によりその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO98
/06862中に例えば記載される。
【0064】 本発明はこれまで一般的に記載され、説明のみの目的のために包含され、且つ
本発明を制限することを意図するものではない以下の実施例を参考することによ
ってより容易に理解されるであろう。
【0065】 実施例 実施例1 ベクターの構築 高等植物のプラスチドの形質転換に使用するための構築物と方法は、Zoub
enkoら(Nuc Acid Res (1994)22(19):3819
−3824)、Svabら(Proc.Natl.Acad.Sci.(199
0)87;8526−8530及びProc.Natl.Acad.Sci.(
1993)90;913−917)、Staubら(EMBO J.(1993
)12:601−606)及び米国特許第5,576,198号中に記載される
。タバコのプラスチドゲノムの完全DNA配列は、Shinozakiら(EM
BO J.(1986)5:2043−2049)に報告される。
【0066】 T7バクテリオファージ遺伝子10リーダー(G10L)は、2つのオリゴヌ
クレオチド、潜在ステム−ループ構造およびシャイン−ダルガルノ配列を連結す
ることによって構築される。使用されるオリゴヌクレオチドは、5’−AGGG
AGACCACAACGGTTTCCCTCTAGAAATAATTTTGTT
TAACTTTAAGAAGGAGATATACC−3’(配列番号:1)及び
5’−GGTATATCTCCTTCTTAAAGTTAAACAAAATTA
TTTCTAGAGGGAAACCGTTGTGGTCTCCCT−3’(配列
番号:2)である。
【0067】 ベクター、pMON30125は、第2の変異GFP(GFP−2)リポータ
ー遺伝子及び植物プラスチドからのaadA選択可能マーカー遺伝子の組み込み
と発現を導くために予め作製した。
【0068】 該GFP−2は、更に2つの変異(F64LとS65T、Cormackら、
(1996)Gene 173:33−38)によってGFP−1から得た。そ
のような変異は、励起波長を青色光にシフトする。本明細書中ではGFPuvm
とも称しているGFP−2遺伝子は、Prrn/rbcLプロモーター/リボソ
ーム結合部位と、Trps16転写終止配列との間にクローンした。Prrn/
rbcL配列は、Svabら(1993、上掲)中に記載されている。Trps
16フラグメントは、タバコプラスミドDNA中のヌクレオチド5,087から
4,939までのrps16遺伝子3’−調節領域を含む。
【0069】 発現カセットpMON30125は、スペクチノマイシンとストレプトマイシ
ンについて選択用のマーカー遺伝子aadA、及びtrnV−rps7/12イ
ンタージェニック領域内へのパッセンジャーDNAの相同組換えによる組み込み
のためのrps7/12を含む。aadAマーカー遺伝子は、psbAプロモー
ターと転写終止配列から発現される。プラスチドpsbAプロモーター(Pps
bA)のプロモーター領域とターミネーター配列(TpsbA)は、Staub
ら(1993, EMBO J., 12, 601−606)中に記載される
【0070】 タバコにおいて、trnVとrps12/7の間のプラスチドゲノムにおける
トランスジーンの相同ターゲティングは、高い効率で安定な形質転換体をもたら
している(Zoubenkoら(1994)上掲)。たとえアブラナ属植物のプ
ラスチドゲノムがタバコのそれと共線的であるとしても、この標的領域のシーク
エンシングは幾つかの顕著な相違が明らかとなった。従って、アブラナ属植物特
異的プラスチド形質転換ベクターPCGN6408は、アブラナ属植物から得た
標的配列のほぼ5.0kbを用いて構築した。PCGN6408は、2つのトラ
ンスジーン発現カセット:1)スペクチノマイシン/ストレプトマイシン耐性を
与え且つアブラナ属植物16Srrnプロモーター領域、プラスチドにおいて有
効に機能することが見出されているリボソーム結合部位を含む細菌のT7遺伝子
10リーダー(同時継続米国特許出願09/113,690号中に記載される)
及びアブラナ属植物rps16ターミネーター配列を用いて発現される選択可能
なaadA遺伝子−Prrn−g10L:aadA:Trps16。2)アブラ
ナ属植物psbAプロモーターとターミネーター配列を用いて発現される緑色蛍
光タンパク質(GFPuvm)マーカー遺伝子−PpsbA:GFPuvm:T
psbA。その2つのトランスジーン発現カセットは、pCGN6408中のほ
ぼ2.5kbプラスチドターゲティング配列にはさまれる。
【0071】 該ベクターpCGN6408は、pCGN6399からAscI−NotIフ
ラグメントとしてGFPuvmとaadA遺伝子カセットをpCGN6407内
にクローニングすることにより構築される。pCGN6407はプラスチドター
ゲティング配列のほぼ5.0kbを含み、NotI−SacIフラグメントとし
てrps12/7領域を含んでいるほぼ2.5kbフランク(flank)配列
のクローニングによって、続いてAsp718−XhoIフラグメントとしてほ
ぼ2.5kbフランク配列を含んでいるtrnVをpBluescript I
I KS(+)(Stratagene)中にクローニングすることによって構
築される。ほぼ2.5kbのフランクは、Asp718−XhoIフラグメント
用のプライマー(表1)SC175とSC176及びNotI−SacIフラグ
メント用のSC177とSC178によってアブラナ属植物全DNAを用いてP
CR増幅される。pCGN6399は、aadA発現カセットを含むpCGN6
398内に、キメラGFPuvm遺伝子カセットを含んでいるEcoRI−Hi
ndIIIフラグメントをクローニングすることによって構築した。該キメラ緑
色蛍光タンパク質(GFPuvm)遺伝子カセット、PpsbA:GFPuvm
:TpsbAは、アブラナ属植物psbAから得られたプロモーターとターミネ
ーター配列を有する。それはpUC118のEcoRIとHindIII部位中
にpMON30125からのGFPuvm発現カセットをクローニングし、プラ
スミドpCGN6388を生成するEcoRI−NcoIフラグメントとしてP
psbA及びSacI−HindIIIフラグメントとしてTpsbAで調節部
位を置換することによって構築される。該PpsbAは、適切な制限部位を含ん
でいるプライマーSC186とSC187でのPCRによって生成される。同様
に、TpsbAは適切な制限部位を含んでいるプライマーSC188とSC18
9によってPCR増幅される。キメラaadA遺伝子は、細菌T7ファージから
の遺伝子−10リーダー(g10L)と融合したrrnプロモーター(Prrn
)と、rps16のターミネーター(Trps16)を有する。Trps16は
、適切な制限部位を含んでいるプライマーSC193とSC194でPCR増幅
され、SacIとXbaIで消化され、且つpCGN6387を生成するように
pBluescriptII SK(+)(Stratagene)内にクロー
ニングされる。Prrnは、Prrn−g10L融合体を生成するようにプライ
マー対SC190とSC191,SC190とSC203、及びSc190とS
C192により連続的にPCR増幅される。aadA遺伝子は、プライマーSC
198とSC192とともにpMON30125からPCR増幅される。Prr
n−g10Lは、重複プライマーSC198とSC192を用いてaadAに融
合され、また得られたPrrn−g10L:aadAフラグメントは、プライマ
ーSC190とSC199で増幅される。Prrn−g10L:aadAフラグ
メントは、BamHIとXbaIで消化し、pCGN6387内にクローニング
される。得られたPrrn−g10L:aadA:Trps16を含んでいるプ
ラスミドは、pCGN6398とした。
【0072】 フランキング領域用の配列およびマーカー及びリポーター遺伝子用の調節配列
は、他の種からの同じ領域の周知の配列から設計したプライマーでのPCR増幅
によってブラシカ・ナプス(Brassica napus)から得られる。相
同領域を増幅するためのPCR反応用の条件は以下の通りとした:94℃4分間
;94℃30秒、50℃30秒、72℃1分45秒を30サイクル;72℃7分
での最終延長。調節領域用の条件は以下の通りとした:94℃4分;94℃15
秒、55℃30秒、72℃30秒を30サイクル;7分間の最終延長。プライマ
ー配列は表1中に掲示される。
【0073】
【表1】 形質転換ベクターは、上述の通り得られたフランキング領域と調節領域を用い
て植物プラスチドからのリポーター及びマーカー遺伝子の組み込みと発現を導く
ように調製される。
【0074】 ベクターpCGN6408は、pCGN6399(後述)からのAscI−N
otIフラグメントとしてGFPuvmとaadA遺伝子カセットをpCGN6
407(後述)内にクローニングすることによって構築した。プラスミドpCG
N6407は、アブラナ属プラスチドターゲティング配列のほぼ5.0kbを含
み、pBluescript II KS(+)(Stratagene)内に
NotI−SacIフラグメントとしてrps12/7領域を含むほぼ2.5k
bフランキング配列をクローニングすること、続いてAsp718−XhoIフ
ラグメントとしてほぼ2.5kbフランク配列を含んでいるtrnVをクローニ
ングすることによって構築した。ほぼ2.5kbのフランクは、Asp718−
XhoIフラグメント用のプライマーSC175とSC176及びNotI−S
acIフラグメント用のSC177とSC178による、アブラナ属植物全DN
Aを用いてPCR増幅した。pCGN6399は、aadA発現カセットを含む
pCGN6398内、にキメラGFPuvm遺伝子を含むEcoRI−Hind
IIIフラグメントをクローニングすることによって構築した。キメラ緑色蛍光
タンパク質(GFPuvm)遺伝子カセット、PpsbA:GFPuvm:Tp
sbAは、アブラナ属植物psbA由来のプロモーターとターミネーター配列を
有する。それは、pUC118のEcoRI−NcoI部位内にpMON301
25からのGFPuvm発現カセットをクローニングすること、及びプラスミド
pCGN6388を生成するEcoRI−NcoIフラグメントとしてのPps
bA及びSacI−HindIIIフラグメントとしてのTpsbAによって調
節領域を置換することによって構築される。PpsbAは、適切な制限部位を含
んでいるプライマーSC186とSC187とのPCRによって生成した。同様
に、TpsbAは、適切な制限部位を含んでいるプライマーSC188とSC1
89とともにPCR増幅した。キメラaadA遺伝子は、細菌T7ファージから
の遺伝子−10リーダー(g10L)とrps16のターミネーター(Trps
16)を融合したrrnプロモーター(Prrn)を有する。Trps16は、
適切な制限部位を含んでいるプライマーSC193とSC194でPCR増幅し
、SacIとXbaIによって消化し、pCGN6387が生成するようにpB
luescript II SK(+)(Stratagene)内にクローン
した。Prrnは、Prrn−g10L融合体が生成するようにプライマー対S
C190とSC191、SC190とSC203、及びSC190とSC192
によって連続的にPCR増幅した。aadA遺伝子は、プライマーSC198と
SC199と共にpMON30125からPCR増幅した。Prrn−g10L
は、重複プライマーSC192とSC198を用いてaadAに融合し、Prr
n−g10L:aadAフラグメントはプライマーSC190とSC199によ
って増幅した。Prrn−g10L:aadAフラグメントはさらに、BamH
IとXbaIで消化し,pCGN6387内にクローンした。結果的に得られた
Prrn−g10L:aadA:Trps16を含んでいるプラスミドは、pC
GN6398とした。
【0075】 アブラナ属植物プラスチド発現カセットの核酸配列は、相同領域の配列と調節
配列を確認するために検査し、配列番号:19中に提供される。
【0076】 実施例2 クロロプラスト形質転換 A.ソース植物の確立 ブラシカ・ナプス(Brassica napus)品種 212/86の種
子を95%エタノールに2分間浸漬し、続いて100ml当たり界面活性剤とし
て1滴の食器用洗剤を含む20%Clorox中に30分間浸漬することによっ
て表面を滅菌する。該種子は滅菌蒸留水中で4回濯ぐ。
【0077】 滅菌した種子は、アブラナ属植物発芽培地(表2)を含むマジェンタボックス
(Magenta社製、シカゴ、IL)に播種する。そのボックスは、16時間
の光照射及び55フォトン/m/秒の光強度で21℃の生長室内に配置する。
子葉は2週齢植物から取り除き、シュート(shoot)の上部を根から切除し
て1箱当たり1本でアブラナ属植物インビトロ培地(表3)上に置く。その植物
は発芽と同じ条件下で培養し、4週間毎に該インビトロ培地を用いて継代培養す
る。
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】 B.ボンバードメント(Bombardment)条件 タングステン又は金粒子は、ボンバードメント実験におけるミクロキャリアと
しての使用のために滅菌する。金粒子((1.4mg、5回のボンバードメント
用の充分量)0.6ミクロン金粒子(#1652262, Bio−Rad L
aboratories)は100%エタノールで滅菌した。使用の直前に、粒
子を遠心分離によって沈殿させ、滅菌脱イオン蒸留水で2〜3回洗浄し、このと
き、各洗浄の間に渦動と遠心分離を行った。洗浄した粒子は50μlの滅菌水中
に再懸濁する。
【0083】 滅菌金粒子の50μLに、TE緩衝液中にpCGN6408 DNAを含んで
いる1μg/μl溶液の10μlを加える。2.5MのCaClの50μlと
0.1Mのスペルミジン遊離塩基の20μlもまた加える。該粒子を4℃で10
分間振とうし、遠心分離し、100%エタノール中で4回洗浄した。純エタノー
ル中の最終懸濁液は30μlである。この溶液の5マイクロリットルを粒子ボン
バードメントにおける使用のためのフライングディスク上にロードする。
【0084】 暗緑色の葉、広がった約3/4、長さほぼ3〜4cmをソース植物からボンバ
ードメント用に選択する。葉は葉柄を含まないように切断し、ペトリ皿中のシュ
ート用培地(shooting medium)(表6)に対して背軸側を置く
。出芽直前まで葉は培地に接触させて平面を緩く圧する。
【0085】
【表6】 粒子ボンバードメントによる形質転換は、製造元によって記載された修正プロ
トコルを用いて、PDS 1000 Helium gun(Bio Rad,
Richmond, CA)を用いて実行する。
【0086】 フライングディスクは、発進リングの1cm下方の保持リング上の金属停止ス
クリーンを伴うスリーブに螺着された発進リングに配置した。該フライングディ
スクは1cmの有効飛行距離を有している。葉は、該停止スクリーンから12c
m、銃(gun)の底部から第2のプラットフォーム上に配置され、1100p
.s.i.破裂ディスクを用いてボンバードした。
【0087】 C.形質転換シュートの再生 ボンバードメント後、葉はシュート用平板培地上に置き、1/4” Micr
oporea tape(3M Health Care, St.Paul,
MN 555144)で密封し、90フォトン/m/秒及び16時間光照射
の光条件で2日間、21℃で培養室中に置いた。二日後、その葉を培地から取り
だし、ほぼ1cm角に切断した。その角片は、20mg/lのスペクチノマイシ
ンを補充したアブラナ属植物再生用培地(表7)に対して背軸側を置いた。アブ
ラナ属植物再生用培地上で7日後、葉片を20mg/lのスペクチノマイシンを
補充したシュート発育用培地(表8)に移し、該培地に対して背軸側を置いた。
2週間後、該葉片を20mg/lのスペクチノマイシンを含有している新鮮なシ
ュート発育用培地に移した。
【0088】 脱色した(紫/白)シュートと緑色シュートは、ボンバードメント後約6乃至
8週で再生した。高さが約0.25乃至0.5cmの緑色シュート、及びその外
植体の小部分は、20mg/lのスペクチノマイシンを補充した新鮮なシュート
発育用培地に移した。高さがほぼ1cmに伸びた緑色シュート(99−A)は、
外植体から取り出し、シュート伸長用培地(表9)プラス20mg/lのスペク
チノマイシン上に置いた。高さが2cmとなった時点で、そのシュートを20m
g/lのスペクチノマイシンを補充した発根用培地上に置いた。
【0089】
【表7】
【0090】
【表8】
【0091】
【表9】
【0092】
【表10】
【0093】 D.ホモプラスミックシュートの再生 葉は、シュート99からのヘテロプラスミックシュートから取り出し、0.5
cm片に切断し、20mg/lのスペクチノマイシンを補充した再生用培地上に
該培地に対して背軸側を置く。アブラナ属植物再生用培地上で7日後、葉片を2
0mg/lのスペクチノマイシンを補充したシュート発育用培地に移し、該培地
に対して背軸側を置く。2週間後、該葉片を20mg/lのスペクチノマイシン
をプラスした新鮮なシュート発育用培地に移した。約2〜3週間後に再生した緑
色シュートを裁断した。緑色シュートと外植体の小部分は、高さほぼ0.25乃
至0.5cmの時点で20mg/lのスペクチノマイシンをプラスした新鮮なシ
ュート発育用培地に移した。高さがほぼ1cmの時点でシュートを外植体から切
断し、20mg/lのスペクチノマイシンをプラスしたシュート伸長用培地に移
した。高さ2cmの時点でシュートを20mg/lのスペクチノマイシンを含ん
でいる発根用培地(表10)上に置いた。
【0094】 実施例3 トランスプラストミック植物の分析 マーカーaadAマーカー遺伝子発現用に選択した形質転換植物は、該植物の
全体のプラスチド含量が形質転換されているかどうか調べるために分析する(ホ
モプラスチック形質転換)。典型的には、シュート形成とスペクチノマイシン選
択の2ラウンド行った後、分析されるトランスジェニック植物のほぼ50%が、
プラスチドDNAのサザンブロット分析によって決定されたように、ホモプラス
チックである。ヘテロプラスミック植物は、ホモプラスミック系を得るための更
なる継代培養で選択される。
【0095】 ゲノムDNAを、Svabら((1993), Proc Natl Aca
d Sci, 90:913−917)によって概略的に記載された通りに電気
泳動し、及びフィルターに転移して形質転換アブラナ属植物から単離することが
できる。プラスチド形質転換体は、StuI制限酵素での全DNAの消化後のサ
ザン分析によって同定される。
【0096】 全DNAを、plant DNAzol Reagent(GIBCO BR
L社製)を用いて葉から抽出し、StuIで消化し、0.7%アガロースゲルで
電気泳動し、さらに標準技法を用いてナイロン膜(Amersham社製)に移
す。ブロットを、pCGN6408からのプライマーSC177とSC178に
よって得られた32P−標識PCR増幅DNAプローブを用いRapid Hy
bridization buffer(Amersham社製)を用いてプロ
ーブ検索する。該プローブ領域は、アブラナ属植物プラスチドベクターpCGN
6408の全部のNotI−SacIフランク配列を含む(図1)。このプロー
ブは、野生型ブラシカ・ナプス(Brassica napus)212/86
DNA中の4.50kbフラグメントとBn−pCGN6408−1系中の7.
02kbフラグメント及びその二次再生物Bn−pCGN6408−1−1、B
n−pCGN6408−1−2、Bn−pCGN6408−1−3及びBn−p
CGN6408−1−4を検出する。野生型サイズとトランスジェニック系中の
トランスジェニックフラグメントの両方の存在は、それらが形質転換プラスチド
DNAにヘテロプラスミックであることを示す(図2)。
【0097】 ホモプラスミック植物は、実施例2Cに記載した再生方法を用いて植物の再生
用の削り取った葉組織を用いてさらに継代培養することを経て得られた。ホモプ
ラスミックアブラナ属植物は、上述したサザンブロットハイブリダイゼーション
を用いて且つトランスプラストームに一致する7.02kbの単独ハイブリダイ
ジングフラグメントを示している系を選択することで同定される。図3は次の系
のためのサザンハイブリダイゼーション結果を提供する。系6408 99−1
Y、cc,及びddは約80%ホモプラスミックである。
【0098】 実施例4 GFP発現の分析 ヘテロプラスミックシュート(Bn−6408−99−1)及び非形質転換コ
ントロールシュートからの葉を取り出し、接線方向にスライスした。調製した葉
は、ニコン社製,Labophot 蛍光顕微鏡で観測し、ニコン UFX−I
I顕微鏡撮影ユニットで撮影した。
【0099】 調製した組織の視覚観測は、青色光下で気孔の保護細胞中のクロロプラストか
ら蛍光が見られた。このように、アブラナ属植物細胞プラスチドからのGFP発
現が実証される。
【0100】 GFP発現の定量分析は、ウエスタンイムノブロット分析を用いて調べること
ができる。例えば、全可溶性タンパク質は、凍結した又はプロテアーゼインヒビ
ターを含むPBS緩衝液(1mMのKHPO,NaHPO,0.137
MのNaCl、2.7mMのKCl pH7.0)の250μl中で250mg
の組織を磨砕することによって凍結葉組織から抽出することができる。このホモ
ジネートは、5分間遠心分離し、その上清を新しい試験管に移す。その上清中の
タンパク質の濃度はタンパク質濃度アッセイ(BioRad, Richmon
d, CA)を用いて測定する。
【0101】 抽出した全タンパク質は、4−20% SDS−PAGEゲル(Sigma,
StLouis, MO)で電気泳動し、1xSDS−PAGE緩衝液中でP
VDF膜に移す(Maniatisら、1989, Cold Spring
Harbor Press)。定量した精製GFPタンパク質の標準品を用い、
植物プラスチド中で発現したとしてGFPの発現を定量する。
【0102】 ウエスタンハイブリダイゼーションは、GFPに対する抗体を用いた以外は、
StaubとMaliga (1993)EMBO Journal, 12(
2)601−606中に記載された通りに実行する。電気泳動後、移動させたタ
ンパク質を含むPVDF膜は、0.05%のTween−20(PBS−T)と
5%ミルクを含むPBS緩衝液のブロッキング溶液中、4℃で一晩インキュベー
トする。次いでその膜を1%ミルクとGFPに対してヤギ中で産生された一次抗
体を含有するPBS−Tの溶液中、室温で2時間インキュベートする。その膜は
1%ミルクを含むPBS−Tの溶液中で3回洗浄し、それぞれの洗浄は室温で5
分間とする。次いでその膜を1%ミルクとヒツジ抗−ヤギ抗体を含むPBS−T
の溶液中、室温で1時間インキュベートし、室温で10分間、3回、0.1%ミ
ルク含有PBS−Tの溶液中で再度洗浄した。PBS−Tのみを用いた最後の洗
浄を、例えば非放射活性検出キット(nonradioactive dete
ction kit)(ECL, Amersham)を用いる膜の現像の前に
実行する。
【0103】 このように、前記の結果は、本発明で提供した方法がアブラナ属植物細胞プラ
スチドの形質転換を可能にすることを示す。
【0104】 本明細書中に記載した全ての公知文献及び特許出願は、本発明に関連する当業
者のレベルを示している。全ての公知文献及び特許出願は、もしそれぞれの公知
文献又は特許出願が参考により本明細書に組み込まれることが特異的に且つ個別
的に示されるのと同じ程度に参考により本明細書に組み込まれる。
【0105】 前述の発明は説明のための幾つかの詳細及び理解の明確化の目的のための実施
例を記載しているが、一定の変更及び修正は添付した特許請求の範囲の範囲内で
実践できることは自明であろう。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はGFP発現マーカーを含んでいるトランスプラストミックアブラナ属植
物系の調製のための構築物を提供する。pCGN6408構築物の概略とタバコ
プラスチドゲノムへの組み込みの描写が上部に示される。aadAとGFPボッ
クス上のラインは、転写の方向を示す。StuIフラグメントの予想したサイズ
は入来DNA、同じく野生型DNA(ptDNA)用に提供される。
【図2】 図2は非形質転換(野生型、Bn)及びトランスプラストミックアブラナ属植
物系のサザンハイブリダイゼーションの結果を提供する。
【図3】 図3は生長の連続ラウンドについてのサザンハイブリダイゼーション結果を提
供し、ライン6408 99−1Y、cc、及びddは約80%ホモプラスミッ
クである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B030 CA15 CA17 CA19 4B024 AA08 BA38 BA79 CA01 DA01 GA11 GA17 4B065 AA88X AB01 AC14 BA02 CA47 CA48 CA53

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アブラナ属(Brassica)植物細胞の形質転換方法で
    あって、目的のDNA配列と機能的に結合した植物プラスチド中で機能的なプロ
    モーターを有する構築物を前記細胞のプラスチド中に導入することを含む形質転
    換方法。
  2. 【請求項2】 前記構築物を含むプラスチドを有する細胞を選択することを
    さらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記構築物が前記プラスチドのゲノムに相同な領域を含み、
    それにより前記構築物が植物細胞プラスチドゲノム中に組み込まれることを特徴
    とする、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記相同な領域がアブラナ属(Brassica)植物のプ
    ラスチドゲノムに由来することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記植物細胞からの形質転換プラスチドを含む成熟植物を再
    生することをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記植物細胞がブラシカ・ナプス(Brassica na
    pus)細胞であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記植物細胞が葉細胞を含むことを特徴とする、請求項1に
    記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記DNA配列が前記植物細胞のプラスチド中に転写される
    際、前記目的のDNA配列が少なくとも1つの除草剤化合物に対する植物細胞の
    耐性を付与することができるDNA配列であることを特徴とする、請求項1に記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 前記目的のDNA配列が、昆虫に対する抵抗性を提供するバ
    シラス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringensis)
    からの遺伝子をコードすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記目的のDNA配列が、ヒト生物学的タンパク質の産生
    を導くことができる遺伝子をコードすることを特徴とする、請求項1に記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の方法によって得られた植物細胞。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の植物細胞を含んでいる植物、植物種子
    又は植物部分又はその子孫。
  13. 【請求項13】 異種構築物を含むプラスチドを有するアブラナ属(Bra
    ssica)植物細胞であり、前記構築物は、転写の5’から3’方向に機能的
    に結合した構成要素として、植物細胞プラスチド中で機能的なプロモーター、目
    的のDNA配列及び植物細胞プラスチド中で機能的な転写ターミネーターを含む
    ことを特徴とする、アブラナ属(Brassica)植物細胞。
  14. 【請求項14】 前記構築物が、前記プラスチドのゲノムに相同な領域をさ
    らに含み、それにより、前記構築物が植物細胞プラスチドゲノム中に組み込まれ
    ることを特徴とする、請求項13に記載の植物細胞。
  15. 【請求項15】 前記相同な領域がアブラナ属(Brassica)植物の
    プラスチドゲノムに由来することを特徴とする、請求項13に記載の植物細胞。
  16. 【請求項16】 前記植物細胞がブラシカ・ナプス(Brassica n
    apus)細胞であることを特徴とする、請求項13に記載の植物細胞。
  17. 【請求項17】 前記植物細胞が葉細胞を含むことを特徴とする、請求項1
    3に記載の植物細胞。
  18. 【請求項18】 請求項13に記載の植物細胞を含む植物、植物種子又は植
    物部分又はその子孫。
  19. 【請求項19】 植物細胞プラスチド中で機能的なプロモーター、目的の核
    酸配列、及びアブラナ属(Brassica)植物プラスチドゲノムに由来する
    相同な領域を含む組換え核酸構築物。
  20. 【請求項20】 前記相同な領域がアブラナ(Brassica napu
    s)から得られることを特徴とする、請求項19に記載の構築物。
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