JP2002531815A - オキシダント・ストレス症候群および疾病における脂質の過酸化のレベルを決定する方法および組成物 - Google Patents

オキシダント・ストレス症候群および疾病における脂質の過酸化のレベルを決定する方法および組成物

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Abstract

(57)【要約】 本発明はアルツハイマー病の診断および哺乳動物の脂質の過酸化のレベルの上昇を評価する方法に関する。この方法では、哺乳動物の脂質の過酸化に対する感度の良い安定なセンサーとしてイソプロスタンを利用する。アルツハイマー病の治療に有用な化合物を識別する方法、または哺乳動物の脂質の過酸化のレベルを減少させる方法も含まれている。本発明にはまたアルツハイマー病の診断キット、および哺乳動物の脂質の過酸化のレベルを評価する方法も含まれている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願に対する相互参照) 本出願は、35 U.S.C.§119(e)に基づき1998年12月2日
付けの米国仮特許出願No.60/110,569号に対する優先権を保有して
いる。
【0002】 (米国連邦政府による支援研究および開発に関する事項) 本発明は米国政府基金(NIH助成金HL5400、AG−09215および
AG−10124)により一部支援を受けており、従って米国政府は本発明に一
定の権利を有するものである。
【0003】 (本発明の背景) アルツハイマー病(AD)は神経変性障害であり、ADの患者では認知機能が
次第に低下すること、および多数のアミロイド・プラーク(plaque)、神
経原繊維の絡み合い(NFT)および脳の中のニューロンの広範な喪失の特徴を
もっている(Morrison−Bogorad等、1997年、The Mo
lecular and Genetic Basis of Neurolo
gical Disease、第2版、Butterworth−Heinem
ann編、581〜600頁)。疫学的研究によりADの単一の原因を突き止め
ることは失敗しているが、遺伝的な研究では、家族性のAD(FAD)をもつ血
縁者のサブセットの中で常染色体を優性的に受け継いだADの原因として、アミ
ロイド(A)前駆体蛋白質(APP)、プレセニリン−1(PS−1)およびプ
レセニリン−2(PS−2)をコードする異なった染色体上の3種の別々の遺伝
子のいくつかの突然変異が示唆されている(Van Duijin、1996年
、J.Neurosur.Psychiatry誌、60巻、478〜488頁
;Goedert等、1997年、The Molecular and Ge
netic Basis of Neurological Disease、
第2版、Butterworth−Heinemann編、613〜628頁)
。また、アポリポ蛋白質E(APOE)の遺伝子の4種の対立遺伝子はADに対
する遺伝的な危険因子であることが示されている(Selkoe、1997年、
Science誌、275巻、630〜631頁)。しかし既知のすべてのFA
Dの突然変異では5%未満の罹病患者を説明できるに過ぎない。何故なら大部分
のADの場合散発性であり、家族によるクラスター化を支持する証拠はあまりな
いからである(Hardy、1997年。Natl.Acad.Sci.USA
誌、94巻、2095〜2097頁)。
【0004】 このような不均一性にも拘らず、遺伝性および散発性のADの病因には共通の
因子が含まれているようである。これらの因子はAの沈積およびNFTの形成、
並びにすべてのADの脳の選ばれた区域におけるニューロンの大量の退化を促進
す可能性がある(Morrison−Bogorad等、1997年、The
Molecular and Genetic Basis of Neuro
logical Disease、第2版、Butterworth−Hein
emann編、581〜600頁)。Aの異常な処理または生成およびプラーク
の生成はこの病気の病因論において枢要な徴候であることが示唆されている(S
cheuner等、1996年、Nature Med.誌、2巻、864〜8
70頁;Mattson等、1992年、Neurosc.誌、12巻、376
〜389頁)。集合してはいるが単一体ではないAの種は或る範囲の機構によっ
て試験管内におけるニューロンの機能不全および死を誘発すると仮定されている
(Busciglio等、1995年、Neuron誌、14巻、879〜88
8頁、Tomas等、1996年、Nature誌、380巻、168〜171
頁;Behl等、1994年、Cell誌、77巻、817〜827頁)。多数
のAに富んだ老いたプラーク(SP)が蓄積したADの脳の区域は上昇したオキ
シダントによるストレスの座であり、恐らく炎症反応を反映している(Hens
ley等、1994年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA誌、9
1巻、3270〜3274頁)。さらに、オキシダント・ストレスはADの病因
論において機能的に重要であり、脳の中で反応性酸素種(ROS)が生成すると
、ADの場合脂質の過酸化およびニューロンの変質が起こることが示唆された(
Gotz等、1994年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA誌、
91巻、3270〜3274頁)。
【0005】 ADにおいてROSが重要な役割を演ずることができるという多くの推論があ
るが、この仮説を支持するデータは殆どなかった。生体内における脂質の過酸化
およびオキシダント・ストレスの役割を説明する努力は、信頼できる定量性をも
った分子マーカーが不足していることによって妨げられてきた。現在入手できる
分子マーカーは、化学的に不安定であるか或いは感度または特異性が欠けている
ために、その価値は限定されている(GutteridgeおよびHalliw
ell、1990年、Trends Biochem.Sci.誌、15巻、1
365頁)。
【0006】 ADの脳内における脂質の過酸化について報告したこれまでの数少ない研究に
より、チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)を測定することにより脂質
の過酸化が増加したことの証拠が提出された(Subbarao等、1990年
、J.Neurochem.誌、55巻、342〜345頁;Palmerおよ
びBurns、1994年、Brain Res.誌、645巻、338〜34
2頁;Lovell等、1995年、Neurology誌、45巻、1594
〜1601頁;BalazsおよびLeon、1994年、Neuroch.R
es.誌、19巻、1131〜1137頁)。しかし、この方法は他のアルデヒ
ドに共役したTBARS、並びに非脂質に関連した色原体も測定しているので、
その有効性は限られている。最近、ADにおけるTBARSおよび脂質ヒドロパ
ーオキシドのレベルは、対照の検体の脳に対し差がないことが二つの別のグルー
プの研究者によって報告された(Lyras等、1997年、J.Neuroc
hem.誌、68巻、2061〜2069頁;Hayn等、1996年、Lif
e Sci.誌、59巻、537〜544頁)。免疫組織化学的なデータは、A
Dの脳の中に脂質の過酸化の安定な副成物が存在することを示唆している(Mo
ntine等、1997年、J.Neuropath.Exper.Neuro
l.誌、56巻、866〜871頁;Sayre等、1997年、J.Neur
ochem.68巻、2092〜2097頁)。AD患者の死後のCSFの中で
4−ヒドロキシノネナールのレベルが増加していることが報告されたが、ADの
脳の中におけるこの化合物について定量的なデータは得られていない(Love
ll等、1997年、Neurobiol.Aging誌、18巻、457〜4
61頁)。
【0007】 従って、哺乳動物のオキシダント・ストレスまたは脂質の過酸化に対する分子
マーカーに関連して、アルツハイマー病のようなオキシダント・ストレスが現わ
れる病気の診断、治療および治療法の開発に使用するための組成物および方法に
対して、当業界においてかってなかった要求が存在している。本発明はこの要求
に応えるものである。
【0008】 (本発明の簡単な概要) 本発明はオキシダント・ストレス症候群または疾病をもつと疑わしい哺乳動物
において脂質の過酸化を測定する方法に関する。この方法は(a)該哺乳動物か
らの組織または体液の第1の試料の入手し、(b)該第1の試料中に存在する脂
質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベルの検定、(c)該第1
の試料中に存在する該イソプロスタン分子マーカーのレベルの、オキシダント・
ストレス症候群または疾病に罹っていないが他の点に関しては同じ哺乳動物から
得た組織または体液の第2の試料中に存在する該イソプロスタン分子マーカーの
レベルとの比較(ここで、該第2の試料中の該イソプロスタン分子マーカーのレ
ベルに対する該第1の試料中に存在するイソプロスタン分子マーカーのレベルの
上昇を該哺乳動物における脂質の過酸化のレベルの上昇の指標にし、これによっ
て該哺乳動物にオキシダント・ストレス症候群または疾病が存在することを示す
)を含んで成る。
【0009】 一態様においてこの方法は(a)の後、(b)の前において該第1の試料から
該イソプロスタン分子マーカーを分離することを含んで成る。
【0010】 他の態様においては、脂質の過酸化のレベルの上昇が反応性酸素種(ROS)
のレベルの上昇を含んで成る。
【0011】 さらに他の態様においては、脂質の過酸化のレベルの上昇が炎症のレベルの上
昇を含んで成る。
【0012】 一態様においては、脂質の過酸化のレベルの上昇がシクロオキシゲナーゼ(C
OX)活性の上昇を含んで成る。
【0013】 さらに他の態様においては、該オキシダント・ストレスの疫病がアルツハイマ
ー病である。
【0014】 さらに他の態様においては、該イソプロスタン分子マーカーがiPF−I
II、iPF−VIおよび8,12−iso−iPF−VIから成る群か
ら選ばれる。
【0015】 さらに他の態様においては、該組織は脳の組織である。
【0016】 一態様においては、該の脳の組織が大脳前頭極および側頭極から成る群から選
ばれる。
【0017】 他の態様においては、該体液が髄液(CSF)、血漿および尿から成る群から
選ばれる。
【0018】 また本発明は、哺乳動物のオキシダント・ストレス症候群または疾病を診断す
る方法に関する。この方法は(a)該哺乳動物からの組織または体液の第1の試
料の入手、(b)該第1の試料中に存在する脂質の過酸化に対するイソプロスタ
ン分子マーカーのレベルの検定、(c)該第1の試料中に存在する該イソプロス
タン分子マーカーのレベルの、オキシダント・ストレス症候群または疾病に罹っ
ていないが他の点に関しては同じ哺乳動物から得た組織または体液の第2の試料
中に存在する該イソプロスタン分子マーカーのレベルとの比較(ここで該第2の
試料中の該イソプロスタン分子マーカーのレベルに対する該第1の試料中に存在
するイソプロスタン分子マーカーのレベルの上昇を該哺乳動物における脂質の過
酸化のレベルの上昇の指標にし、これによって該哺乳動物にオキシダント・スト
レス症候群または疾病が存在することを示す)、を含んで成る。
【0019】 一態様においては、この方法はさらに(a)の後、(b)の前において該第1
の試料から該イソプロスタン分子マーカーを分離することを含んで成る。
【0020】 また本発明はオキシダント・ストレス症候群または疾病をもつと疑われる哺乳
動物の脂質の過酸化のレベルを測定する方法を含んでいる。この方法は(a)該
哺乳動物からの組織または体液の試料の入手、(b)全脂質溶媒抽出法を用いる
該試料から該イソプロスタン分子マーカーの分離、(c)(b)から得た該イソ
プロスタン分子マーカーの検定の実施、(d)該イソプロスタン分子マーカーの
レベルの定量、を含んで成る方法。
【0021】 一態様においては、該検定は合成した均質なイソプロスタン標準を含むガス
クロマトグラフ/質量分析法の使用を含んで成り、該定量がピークの面積または
ピークの高さを使用して行われる。
【0022】 他の態様においては、該オキシダント・ストレスの病気がアルツハイマー病で
ある。
【0023】 さらに他の態様においては、該イソプロスタン分子マーカーがiPF−I
II、iPF−VIおよび8,12−iso−iPF−VIから成る群か
ら選ばれる。
【0024】 さらに他の態様においては、該組織が脳の組織である。
【0025】 一態様においては、該脳の組織が大脳前頭極および側頭極から成る群から選ば
れる。
【0026】 他の態様においては、該体液が髄液(CSF)、血漿および尿から成る群から
選ばれる。
【0027】 本発明はさらに哺乳動物のアルツハイマー病の治療に有用な化合物の決定方法
に関する。この方法は、(a)該化合物を投与する前に第1の哺乳動物から得た
組織または体液の試料、あるいは該化合物を投与しないが他の点に関しては同じ
第2の哺乳動物から得た組織または体液の試料のいずれかの中の脂質の過酸化に
対するイソプロスタン分子マーカーのレベルを測定し、(b)該第1の哺乳動物
に該化合物を投与し、(c)しかる後該第1の哺乳動物から得た組織または体液
中の該イソプロスタン分子マーカーのレベルを測定し、(d)(c)で測定され
た該イソプロスタン分子マーカーのレベルを(a)で測定された該イソプロスタ
ン分子マーカーのレベルと比較し、ここで(c)で測定された該イソプロスタン
分子マーカーのレベルが(a)で測定された該イソプロスタン分子マーカーのレ
ベルに比べて減少している場合、該化合物は哺乳動物のアルツハイマー病の治療
に有用であると同定することを含んで成る。
【0028】 一態様においては、該イソプロスタン分子マーカーがiPF−III、i
PF−VIおよび8,12−iso−iPF−VIから成る群から選ばれ
る。 他の態様においては、該脳の組織が大脳前頭極および側頭極から成る群か
ら選ばれる。
【0029】 他の態様においては、該体液が髄液(CSF)、血漿および尿から成る群から
選ばれる。
【0030】 また本発明は哺乳動物のアルツハイマー病の治療に有用な化合物の有効量の決
定方法に関する。この方法は、(a)該化合物を投与する前に第1の哺乳動物か
ら得た組織または体液の試料、あるいは該化合物を投与しないが他の点に関して
は同じ第2の哺乳動物から得た組織または体液の試料のいずれかの中の脂質の過
酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベルを測定し、(b)該第1の哺
乳動物に該化合物の或る量を投与し、(c)しかる後該第1の哺乳動物から得た
組織または体液中の該イソプロスタン分子マーカーのレベルを測定し、(d)(
c)で測定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルを(a)で測定された
該イソプロスタン分子マーカーのレベルと比較し、ここで(c)で測定された該
イソプロスタン分子マーカーのレベルが(a)で測定された該イソプロスタン分
子マーカーのレベルに比べて減少している場合、該量が哺乳動物のアルツハイマ
ー病の治療に有用な該化合物の有効量であると同定することを含んでなる。
【0031】 また本発明は哺乳動物のアルツハイマー病の治療に有用な化合物の最適濃度の
決定方法に関する。この方法は、一連の濃度において該化合物を投与された一連
の系列の哺乳動物の脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベル
を監視し、一つまたはそれ以上の系列の哺乳動物の中で該イソプロスタン分子マ
ーカーのレベルの減少が最大になり、それが該哺乳動物に対し毒性を与えない場
合、該化合物の濃度を最適濃度と同定することを含んで成る。
【0032】 さらに本発明は哺乳動物のアルツハイマー病の治療に有用な化合物の最適投与
周期の決定方法に関する。この方法は、一連の投与周期において該化合物を投与
された一連の系列の哺乳動物の脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカ
ーのレベルを監視し、一つまたはそれ以上の系列の哺乳動物の中で該イソプロス
タン分子マーカーのレベルの減少が最大になり、該哺乳動物に対し毒性を与えな
い場合、該化合物の投与周期を最適投与周期と認定することを含んで成る。
【0033】 一態様においては、該化合物が抗酸化性化合物である。
【0034】 他の態様においては、該化合物が抗炎症性化合物であり、該化合物は哺乳動物
のシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の活性を阻害するのに有効な一連の濃度
で投与される。
【0035】 さらにまた本発明は第1の哺乳動物から得られた組織または体液の試料中の脂
質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベルを減少させるのに有用
な化合物の決定方法に関する。この方法は、(a)該化合物を投与する前に第1
の哺乳動物から得た組織または体液の試料、あるいは該化合物を投与しないが他
の点に関しては同じ第2の哺乳動物から得た組織または体液の試料のいずれかの
中の脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベルを測定し、(b
)該第1の哺乳動物に該化合物を投与し、(c)しかる後該第1の哺乳動物から
得た組織または体液中の該イソプロスタン分子マーカーのレベルを測定し、(d
)(c)で測定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルを(a)で測定さ
れた該イソプロスタン分子マーカーのレベルと比較し、ここで(c)で測定され
た該イソプロスタン分子マーカーのレベルが(a)で測定された該イソプロスタ
ン分子マーカーのレベルに比べて減少している場合、該化合物は哺乳動物のイソ
プロスタン分子マーカーのレベルを減少させるのに有用と認めることを含んで成
る。
【0036】 一態様においては、該化合物が該哺乳動物の脳の組織の中のシクロオキシゲナ
ーゼ酵素の活性を阻害するのに有効な量で存在している。
【0037】 他の態様においては、該化合物が該哺乳動物の脳の組織の中の反応酸素種のレ
ベルを減少させるのに有効な量で存在している。
【0038】 さらに他の態様においては、該イソプロスタン分子マーカーがiPF−I
II、iPF−VIおよび8,12−iso−iPF−VIから成る群か
ら選ばれる。
【0039】 また哺乳動物のアルツハイマー病の診断用キットもふくんでいる。このキット
は、(a)該哺乳動物から得た組織または体液の試料を入れる試料容器、(b)
該哺乳動物から得た該組織または該体液から脂質の過酸化に対するイソプロスタ
ン分子マーカーを抽出するのに使用する溶液、(c)アルツハイマー病に罹って
いない哺乳動物の組織または体液中に存在する該イソプロスタン分子マーカーの
濃度にほぼ等しい濃度で存在する脂質の過酸化に対する該イソプロスタン分子マ
ーカーの負の対照溶液、(d)アルツハイマー病に罹っている哺乳動物の組織ま
たは体液中に存在する該イソプロスタン分子マーカーの濃度にほぼ等しい濃度で
存在する脂質の過酸化に対する該イソプロスタン分子マーカーの正の対照溶液、
(e)脂質の過酸化に対する該イソプロスタン分子マーカーに対する抗体、およ
び(f)使用説明資料を含んで成る。
【0040】 さらに哺乳動物から得られた組織または体液中の脂質の過酸化に対するイソプ
ロスタン分子マーカーのレベルの測定用キットが含まれる。このキットは、(a
)該哺乳動物から得た組織または体液の試料を入れる試料容器、(b)該哺乳動
物から得た該組織または該体液から脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マ
ーカーを抽出するのに使用する溶液、(c)アルツハイマー病に罹っていない哺
乳動物の組織または体液中に存在する該イソプロスタン分子マーカーの濃度にほ
ぼ等しい濃度で存在する脂質の過酸化に対する該イソプロスタン分子マーカーの
負の対照溶液、(d)アルツハイマー病に罹っている哺乳動物の組織または体液
中に存在する該イソプロスタン分子マーカーの濃度にほぼ等しい濃度で存在する
脂質の過酸化に対する該イソプロスタン分子マーカーの正の対照溶液、(e)脂
質の過酸化に対する該イソプロスタン分子マーカーに対する抗体、および(f)
使用説明資料を含んで成る。
【0041】 上記の本発明の概要、並びに下記の本発明の詳細な説明は添付図面を参照すれ
ばさらに良く理解されるであろう。
【0042】 (本発明の詳細な記述) 本発明は哺乳動物の脂質の過酸化のレベルを検定するのに有用な組成物および
方法に関する。哺乳動物の脂質の過酸化のレベルが高いことはオキシダント・ス
トレス症候群または疾病、例えばアルツハイマー病の存在の有用な指標となる。
このような脂質の過酸化のレベルが高いことは、それだけに止まらないが例えば
反応性酸素種(ROS)のレベルが高いこと、炎症レベルが高いこと、およびオ
キシダント・ストレスのレベルが高いことを含む幾つかの因子の一つによって生
じる。
【0043】 本発明の方法および組成物では脂質の過酸化に対する分子マーカーとしてイソ
プロスタンと称する一群の分子を使用する。イソプロスタン(iP)は膜の燐脂
質の中でフリー・ラジカルがアラキドン酸を攻撃することによりその場でつくら
れるプロスタグランジン(PG)異性体である(Morrow等、1992年、
J.Biol.Chem.誌、268巻、4161〜4169頁)。イソプロス
タンは脂質の過酸化に対する従来の指標よりも有利な点をもっている。
【0044】 例えば、迅速に分解する脂質のヒドロパーオキシドとは対照的に、イソプロス
タンは脂質の過酸化反応の化学的に安定な最終生成物であり、これはフォスフォ
リパーゼによって放出され、血漿中を循環し、尿の中に排泄される(Awad等
、1993年、J.Biol.Chem.誌、268巻、4161〜4169頁
)。このようにしてプロスタグランジン、ロイコトリエンおよびエポキシエイコ
サトリエン酸の異性体が生じるが、その中でPGF2の異性体、即ちF2−イソプ
ロスタン(F2−iPs)に注目が集められてきた。
【0045】 本発明は3種の異なったF2−イソプロスタン、即ち8−iso−PFG2(現
在iPF2−IIIとして知られている)、IPF2−I(現在iPF2−VIと
して知られている)および8,12−iso−iPF2を、試験管内および生体
内で脂質の過酸化に対する分子マーカーとして測定する特異的で感度の高い方法
に関する(Pratico等、1995年、J.Biol.Chem.誌、27
0巻、9800〜9808頁;Pratico等、1998年、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA誌、95巻、3449〜3454頁;Roka
ch等、1997年、Prostaglandins誌、54巻、853〜87
3頁;Pratico等、1996年、J.Biol.Chem.誌、271巻
、8919〜8924頁;Reilly等、1996年、Circulatio
n誌、94巻、19〜25頁;Delanty等、1997年、Circula
tion誌、95巻、2492〜2499頁)。
【0046】 生成と消滅の所定の機構では、イソプロスタンはフリー・ラジカルが生成する
組織の部位、或いは例えば髄液(CSF)のような体液の中において生じる脂質
の過酸化を反映している。以前IPF2−IIIは人のアテローム性動脈硬化症
の血小板の中で上昇すると報告されおり、この場合イソプロスタンは単球/大食
細胞および平滑筋の細胞の中、および循環する低密度のリポ蛋白質の中、並びに
コレステロール過剰症患者の尿の中に局在していることが見出だされている(P
ratico等、1997年、J.Clin.Inv.誌、100巻、2027
〜2034頁;Reilly等、1997年、Circulation誌、94
巻、3727(A))。
【0047】 生体内で安定な化合物であるイソプロスタンの生成は非侵襲性の分析方法によ
り高い信頼性をもって監視することができる。即ち、これらの分子は哺乳動物の
脂質の過酸化のレベルの感度の良い特異的な分子マーカーとして有用である(P
atronaおよびFitzGerad、1997年、Arterioscl.
Tromb.Vasc.Biol.誌、17巻、2309〜2315頁;Mor
rowおよびRoberts、1996年、Biochem.Pharmaco
l.誌、51巻、1〜9頁)。これらの理由のために、本発明は3種の特殊なi
PF2−III、iPF2−VIおよび8,12−iso−iPF2によって例示
されるイソプロスタンのレベルを測定する特異的で感度の良い方法を含んでいる
。iPF2−IIIの生成は、喫煙および冠状動脈の再潅流を含む生体内のオキ
シダント・ストレスに伴うと推定される種々の症候群において増加する(Pra
ticoおよびFitzGerald、1996年、J.Biol.Chem.
誌、271巻、8919〜8924頁;Reilly等、1996年、Circ
ulation誌、94巻、19〜25頁;Reilly等、1997年、Ci
rculation誌、96巻、3314〜3320頁)。F2−イソプロスタ
ンは人のアテローム性動脈硬化症のプラークの中でそれが生成する部位において
その場で増加し、その場合生体内で脂質の過酸化が起こると考えられる(Pra
tico等、1997年、J.Clin.Inv.誌、100巻、2027〜2
034頁)。しかし本発明に至るまで、アルツハイマー病のような神経変性病の
診断、治療および治療法の開発に有用な方法および組成物にこれらの特定のイソ
プロスタンが使用できることは示されていない。
【0048】 定義 本明細書において下記の用語はこの節に定義するような意味をもつものとする
【0049】 冠詞「a」および「an」はこの品詞のもつ文法的な意味においての一つまた
は一つよりも多い(即ち少なくとも一つ)を意味するものとする。例えば「an
element」は一つの要素または一つよりも多い要素を意味する。
【0050】 本明細書において「イソプロスタン」の語は、アラキドン酸からフリー・ラジ
カルを触媒として生じたプロスタグランジン異性体を意味する。
【0051】 本明細書において「オキシダント・ストレス」の語は、関与する特定のフリー
・ラジカル或いは標的の相対的な重要性には無関係に、蛋白質、DNAおよび/
または脂質に対するフリー・ラジカルに起因した損傷の結果を意味する。「オキ
シダント・ストレス」は、哺乳動物の内因性の対オキシダント防御機構により抑
制(対処)できるよりも過剰にフリー・ラジカルが生成する場合を含み、また哺
乳動物における組織および器官の機能不全を含み、従って疾病の潜在的な機構で
ある。
【0052】 本明細書において「オキシダント・ストレス症候群または疾病」という語は、
オキシダント・ストレスが原因であるか、或いはオキシダント・ストレスが症状
として現れる疾病または症候群を意味する。例えば神経変性的なオキシダント・
ストレス病はオキシダント・ストレスが原因であるか、或いはオキシダント・ス
トレスが症状として現れる神経変性的な疾病である。
【0053】 本明細書において「脂質の過酸化」という語は、フリー・ラジカルによる脂質
の損傷を意味する。
【0054】 本明細書において「脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカー」とい
う語は、脂質の過酸化の過程で生じた誘導体を意味し、該過程の出現を定量的に
反映する。
【0055】 本明細書において「アルツハイマー病の治療」という語は、下記の一つまたは
それ以上の目的で薬物学的または栄養学的に介入治療を行うことを意味する:ア
ルツハイマー病の症状の緩解、その発病または再発傾向の低減化を含むアルツハ
イマー病の進行を阻止または遅延させる目的、或いはその一つまたはそれ以上の
症状を軽減する目的。
【0056】 本明細書において「実質的に精製された」または「実質的に純粋な」という語
は、天然に付随する成分を分離した例えば蛋白質または脂質のような化合物に対
して使用する。典型的には試料中の全材料の少なくとも10%、好ましくは少な
くとも20%、さらに好ましくは少なくとも50%、もっと好ましくは少なくと
も60%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも9
0%、最も好ましくは少なくとも99%(割合は容積、湿った重量、乾燥重量、
またはモル%、或いはモル分率にいずれかの基準)が問題の化合物である時に、
その化合物は実質的に純粋である。純度は適当な方法、例えば蛋白質の場合はカ
ラムクロマトグラフ法、ゲル電気泳動法またはHPLC分析法で測定することが
できる。例えば蛋白質のような化合物は、それが天然に付随した成分を含まない
場合、或いは天然産の状態でそれに付随した天然の不純物から分離されている場
合、実質的に精製されている。本明細書において「実質的に純粋な」という言葉
には、蛋白質または脂質のような化合物で、均質に純粋であり、例えば試料中の
全蛋白質または全脂質の少なくとも95%(割合は容積、湿った重量、乾燥重量
、またはモル%、或いはモル分率にいずれかの基準)が問題の蛋白質または脂質
である場合を含んでいる。
【0057】 説明 本明細書に記載された本発明のすべての方法および組成物において、哺乳動物
は任意の哺乳動物であることができ、好ましくは人である。本発明方法は、オキ
シダント・ストレス症候群または疾病の一つまたはそれ以上の症状を示す哺乳動
物、或いはオキシダント・ストレス症候群または疾病の一つまたはそれ以上の症
状を示していない哺乳動物のいずれかに使用することができる。さらに本発明方
法は、オキシダント・ストレス症候群または疾病が進行している段階の哺乳動物
に対し使用することができる。さらに、本発明方法は、環境的な要因または遺伝
的な要因によりオキシダント・ストレス症候群または疾病に罹っていることが疑
われている哺乳動物に対し使用することができる。
【0058】 本明細書に記載された本発明のすべての方法および組成物において、オキシダ
ント・ストレス症候群または疾病は神経変性的な症候群および疾病、例えばアル
ツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症候群、およびパーキンソン病(黒
質症に限定)である。疾病はアルツハイマー病の場合が好適である。
【0059】 また本明細書に記載された本発明のすべての方法および組成物において、組織
の試料は任意のタイプの組織から得られた組織試料であり、体液の試料は任意の
タイプの体液から得ることができる。
【0060】 第1の哺乳動物から得られた第1の試料を他の点では同じ第2の哺乳動物から
得られた第2の試料と比較するような本発明の方法においては、第2の試料は第
1の試料と同じタイプの組織または体液から得ることが好ましい。組織の試料は
脳の組織から得ることが好適である。体液の試料は髄液(CSF)、血漿および
尿から成る群から得た試料であることが好ましい。好適な試料の量としては、髄
液では約100μL(マイクロリットル)またはそれ以上、血漿では約2mL(
ミリリットル)またはそれ以上、尿では約5mLまたはそれ以上である。
【0061】 本発明の方法は非侵襲的な方法で行うことができ、例えば外来患者に対して、
或いは臨床的な設定基準で使用することができる。これらの態様は、オキシダン
ト・ストレス症候群または疾病に罹っていることを疑われる患者に対して便宜的
なスクリーニングを行うのに有用である。
【0062】 また本発明は、例えば生検試料、または外科手術の間に得られる試料を必要と
する非侵襲的な方法として行うことができる。また侵襲的方法を剖検の一部とし
て行うことができる。これらの態様においては、組織の試料は脳の組織であるこ
とが好ましい。好ましくは、脳の組織は大脳前頭極の組織および側頭極の組織か
ら成る群から選ばれる脳の組織である。本発明方法には重さがほぼ数gまたはそ
れ以上の脳組織の試料を使用する。これらの侵襲的な態様における体液の試料の
例には、特に心膜液、胆嚢液、および局所的なオキシダント・ストレスの起こる
部位の体液が含まれる。
【0063】 さらに、本発明のすべての方法および組成物において、脂質の過酸化に対する
イソプロスタン分子マーカーは好ましくはiPF−III、iPF−VI
および8,12−iso−iPF2−VIから成る群から選ばれるイソプロスタ
ンである。
【0064】 本発明のいずれの方法も、場合により、哺乳動物からの組織または体液の試料
の入手後、該試料から脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーを分離
する工程を含むことができる。好ましくはイソプロスタン分子マーカーはiPF −III、iPF−VIおよび8,12−iso−iPF2−VIから成
る群から選ばれるイソプロスタンである。イソプロスタン分子マーカーはプロス
タグランジン分子を分離する当業界の専門家に公知の任意の方法により試料から
分離することができる(例えばPratico等、1995年、J.Biol.
Chem.誌、270巻、9800〜9808頁;Pratico等、1998
年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA誌、95巻、3449〜3
454頁参照)。
【0065】 このような方法は、限定されるものでないが例えば溶媒抽出、固相抽出、クロ
マトグラフ法、薄層クロマトグラフ法、遠心分離および沈降法のような分離法を
含んでいる。分離法の一例は下記実施例に記載されている。
【0066】 さらに、本発明方法は随時当業界の専門家には公知の、或いはプロスタグラン
ジン分子を分離するために本明細書に記載された方法および技術を使用して実質
的に純粋なイソプロスタン分子を分離する工程を含むことができる。
【0067】 また本発明のすべての方法は、哺乳動物から得られた組織または体液の試料の
中の脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベルを検定し、測定
し、分析し、或いは定量する過程を含んでいる。プロスタグランジン分子を検定
し、測定し、分析し、或いは定量する技術および方法は当業界の専門家には公知
である。このような方法には例えばプロスタグランジンを検定し定量する方法が
含まれる。このような方法は例えばLawson等の文献に記載されている(1
999年、J.Biol.Chem.誌、374巻(5号)、24441〜24
444頁)。これらの方法には、限定されるものではないが例えば定量的および
半定量的な方法、例えば薄層クロマトグラフ法、低圧、中圧、高圧液体クロマト
グラフ法を含むクロマトグラフ法、質量分析法、ガスクロマトグラフ法、ガスク
ロマトグラフ/質量分析法、並びに免疫学的方法が含まれる。組織または体液中
のイソプロスタン分子マーカーを検定する例は下記実施例に記載されている。
【0068】 また本発明には、本発明方法を実施するための適切な化合物の薬物学的組成物
、適当な化合物と薬物学的に許容される担体とから成る組成物を使用することが
含まれる。この化合物は、それだけに限らないが例えば抗酸化性化合物または抗
炎症性化合物である。
【0069】 本明細書において使用される「薬物学的に許容される担体」という語は、適当
な化合物と組み合わせることができ組み合わせた後適当な化合物を哺乳動物に投
与するのに使用することができる化学的な組成物を意味する。
【0070】 本発明を実施するのに有用な薬物学的組成物は1日当たり体重1kgについて
約1ng(ナノグラム)〜約100gの投与量で投与することができる。
【0071】 本発明方法に有用な薬物学的組成物は、経口用固体組成物、眼科用組成物、座
薬、エーロゾル、局所剤または他の同様な組成物の形で全身的に投与することが
できる。適当な化合物の他に、このような薬物学的組成物は薬物学的に許容され
る担体および薬物の投与を補強し容易にすることが知られている他の成分を含む
ことができる。他の可能な組成物、例えばナノ粒子(nm程度の大きさの粒子)
、リポゾーム、再封した赤血球、並びに免疫学的なシステムも本発明方法により
適当な化合物を投与するのに使用することができる。
【0072】 本発明はオキシダント・ストレス症候群および疾病の疑いがある哺乳動物にお
ける脂質の過酸化レベルを測定する方法を含んでいる。
【0073】 この方法は、哺乳動物からの組織または体液の第1の試料の入手、この第1の
試料の中に存在する脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベル
の検定、第1の試料の中に存在するイソプロスタン分子マーカーのレベルの、オ
キシダント・ストレス症候群または疾病に罹っていないが他の点では同一の哺乳
動物から採取した組織または体液の第2の試料との比較を含んでなる。組織また
は体液の第2の試料は第1の試料と同じまたは異なったタイプの組織または体液
から得ることができる。
【0074】 好ましい態様では、第2の試料を第1の試料と同じタイプの組織または体液か
ら採取する。第1および第2の体液試料は髄液であることが好ましい。また他の
好ましい態様では、組織の第1および第2の試料は両方とも脳の組織である。脳
の組織は大脳前頭極の組織および側頭極の組織から成る群から選ばれる脳の組織
であることが好ましい。
【0075】 他の態様では、組織または体液の第2の試料は哺乳動物から得られる組織また
は体液の試料であり、この組織または体液は典型的なオキシダント・ストレス症
候群または疾病により影響を受けていないものである。例えばアルツハイマー病
の場合、組織の第2の試料は小脳の組織である。何故なら小脳は典型的にアルツ
ハイマー病の影響を受けないからである。
【0076】 第2の試料の中に存在するイソプロスタン分子マーカーのレベルは、第1の試
料のイソプロスタン分子マーカーのレベルを検定するのに使用した方法と同じ方
法によって検定することが好ましい。第1の試料のイソプロスタン分子マーカー
のレベルを第2の試料のイソプロスタン分子マーカーのレベルと比較する場合、
第2の試料のイソプロスタン分子マーカーのレベルに比べ第1の試料のイソプロ
スタン分子マーカーのレベルが高いことは、その哺乳動物において脂質の過酸化
のレベルが高いことの指標である。このことは、その哺乳動物においてオキシダ
ント・ストレス症候群または疾病が存在することを示すものとして採択される。
好ましくは、高いレベルとは第2の試料のイソプロスタン分子マーカーのレベル
よりも少なくとも約20%高いレベルである。
【0077】 本発明方法によって検出される高い脂質の過酸化のレベルは、いくつかの因子
の中の一つまたはそれ以上が存在することによって生じることができる。一態様
においては、高い脂質の過酸化のレベルは哺乳動物の組織または体液の中の反応
性酸素種のレベルが高いことに起因している。
【0078】 他の態様においては、高い脂質の過酸化のレベルは哺乳動物の組織または体液
の中に高い炎症レベルが存在することによって生じる。好ましくは、高い炎症レ
ベルはシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素活性のレベルが高いことによって生
じる。
【0079】 本発明はまた哺乳動物のオキシダント・ストレス症候群または疾病の診断法を
含んでいる。この方法は哺乳動物の脂質の過酸化レベルを測定することを含んで
成る。哺乳動物の高い脂質の過酸化レベルはオキシダント・ストレス症候群また
は疾病が存在する指標である。何故なら、オキシダント・ストレス症候群または
疾病の症状は哺乳動物の組織または体液に高いレベルのROSが存在することで
あり、ROSのレベルが高いと哺乳動物の組織または体液の中の脂質の過酸化の
レベルが増加する原因になる。
【0080】 この方法では、組織または体液の第1の試料は哺乳動物から得られる。次に第
1の試料中に存在するイソプロスタン分子マーカーのレベルを本明細書に記載さ
れた或いは当業界の専門家に公知の方法または技術によって検定する。次に第1
の試料の中に存在するイソプロスタン分子マーカーのレベルを、オキシダント・
ストレス症候群または疾病に罹っていないが他の点では同じ哺乳動物から採取し
た組織または体液の第2の試料と比較する。
【0081】 好ましくは、組織または体液の第2の試料はオキシダント・ストレス症候群ま
たは疾病に罹っていないが他の点では同じ哺乳動物から得る。組織または体液の
第2の試料の中に存在するイソプロスタン分子マーカーのレベルは第1の試料の
中のイソプロスタン分子マーカーのレベルを検定するのに使用したのと同じ方法
で検定すことが好ましい。
【0082】 レベルを比較する場合、第2の試料のイソプロスタン分子マーカーのレベルに
比べ第1の試料のイソプロスタン分子マーカーのレベルが高いことは、哺乳動物
の脂質の過酸化レベルが高いことの指標である。このことは哺乳動物にオキシダ
ント・ストレス症候群または疾病が存在する積極的な診断として採択される。高
いレベルとは組織または体液の第2の試料のイソプロスタン分子マーカーのレベ
ルよりも少なくとも約20%高いレベルである。組織または体液の第2の試料は
負の対照(negative control)の役目をする。一態様において
は、第2の試料は診断されるオキシダント・ストレス症候群に罹っているが他の
点では同じ哺乳動物から採取されるが、この試料は典型的にはこの病気の影響を
受けていない組織または体液から得られる。例えばオキシダント・ストレス病が
アルツハイマー病の場合組織の第2の試料の組織のタイプは小脳の組織であるこ
とができる。何故なら小脳は通常この病気の影響を受けないからである。
【0083】 さらに本発明はオキシダント・ストレス症候群または疾病の疑いのある哺乳動
物の脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーを測定する方法を含んで
いる。この方法は哺乳動物から組織または体液の試料を採取する過程を含んでい
る。次いでイソプロスタン分子マーカーを試料から分離する。このイソプロスタ
ン分子マーカーは本明細書に記載された或いは当業界の専門家に公知の任意の方
法で分離することができる。イソプロスタン分子マーカーを分離する好適な方法
では、組織の試料の場合には先ず組織試料を均質化する。体液の試料の場合には
均質化の段階は不必要である。次いで氷冷したFloch溶液、即ちクロロフォ
ルム/メタノール(2:1、容積/容積)を用い試料から全脂質を抽出する。次
にこの溶液を短時間遠心分離し、抽出された脂質を含む有機層を窒素下で乾燥す
る。次に水酸化カリウムを用いて脂質を加水分解し、イソプロスタン分子マーカ
ーを分離させる。
【0084】 上記の方法で分離したイソプロスタン分子マーカーを次にイソプロスタンに対
する検定方法で検定する。この検定は定量的な検定であることが好ましい。この
場合イソプロスタン分子マーカーのレベルは、例えばピークの面積またはピーク
の高さを使用する結果に基づいて定量する。イソプロスタンに対する好適な定量
的検定の例は下記実施例に記載されている(またPratico等、1998年
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA誌、95巻、3449〜34
54頁参照のこと)。
【0085】 上記方法で分離されたイソプロスタンは例えば次のようにして効力を検定する
ことができる。水酸化カリウムで加水分解した後しばらくして、イソプロスタン
を含む試料に既知量の均質な合成内部標準を加える。この内部標準は例えば放射
性元素でラベルした合成した均質なイソプロスタン分子であることができる。次
いでこの試料を固相で抽出し、誘導体化し、薄層クロマトグラフで精製する。薄
層クロマトグラフにかけた後、ガスクロマトグラフ−質量分析法を用いて各試料
をイソプロスタン含量について分析し、ピークの面積またはピークの高さの比に
よって定量する。
【0086】 また本発明は哺乳動物のアルツハイマー病の治療に有用な化合物を決める方法
を含んでいる。この方法は、該化合物を投与する前に第1の哺乳動物から得られ
た組織または体液の試料、或いは該化合物を投与されていないが他の点では同じ
第2の哺乳動物から得た組織または体液の試料のいずれかの中の脂質の過酸化に
対するイソプロスタン分子マーカーのレベルを測定する過程を含んでいる。この
化合物は任意の化合物であることができ、またそれだけに限定されないが例えば
抗酸化性または抗炎症性をもった化合物であることができる。この化合物は抗酸
化性または抗炎症性をもった化合物として有効であると考えられる任意の量で哺
乳動物に投与される。例えば酸化防止性をもった化合物はビタミンEおよびビタ
ミンCを含むことができ、ビタミンEに対しては1日に約200〜約2,000
国際単位、ビタミンCに対しては1日に約20〜約2,000mgの範囲の量で
投与される。またこれだけに限定されないが例えば抗炎症性をもった化合物は、
1日に約200〜約1,600mgの範囲の量で投与されるイブプロフェン、1
日に約80〜約2,000mgの範囲の量で投与されるアスピリン、1日に約1
00〜約400mgの範囲の量で投与されるシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤の
ような非ステロイド系の抗炎症薬であることができる。
【0087】 この化合物を哺乳動物に投与した後、第1の哺乳動物から得た組織または体液
の試料中のイソプロスタン分子マーカーのレベルを測定する。イソプロスタン分
子マーカーのレベルは本明細書記載の或いは当業界の専門家に公知の任意の方法
によって測定することができる。次に、該化合物投与後第1の哺乳動物から得ら
れた試料中で測定されたイソプロスタン分子マーカーのレベルを、該化合物投与
前に第1の哺乳動物から得られた試料中で測定されたイソプロスタン分子マーカ
ーのレベル、或いは該化合物を投与しなかった哺乳動物から得られた試料中で測
定されたイソプロスタン分子マーカーのレベルと比較する。
【0088】 上記最後の節に記載された比較の結果、該化合物投与前に第1の哺乳動物から
得られた試料中で測定されたイソプロスタン分子マーカーのレベル、或いは該化
合物を投与しなかった哺乳動物から得られた試料中で測定されたイソプロスタン
分子マーカーのレベルに比べ該化合物投与後第1の哺乳動物から得られた試料中
で測定されたイソプロスタン分子マーカーのレベルが減少しているとされた場合
、この化合物はアルツハイマー病の治療に有用であると認定される。
【0089】 減少したレベルは、未処置の哺乳動物(他の点では同じ第2の哺乳動物)から
得られた試料または化合物投与前の第1の哺乳動物から得られた試料中のイソプ
ロスタン分子マーカーのレベルよりも約60%〜約100%低いレベルであるこ
とが好ましい。
【0090】 本発明はまた哺乳動物のアルツハイマー病の治療に有用な化合物の有効量を決
める方法を含んでいる。この方法は、脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子
マーカーのレベルを、該化合物投与前に第1の哺乳動物から得られた組織または
体液の試料、或いは該化合物を投与しなかったが他の点では同じ第2の哺乳動物
から得られた組織または体液の試料の中で測定する過程を含んでいる。次いでア
ルツハイマー病の治療に有効と思われる量を第1の哺乳動物に投与する。この化
合物は本明細書に記載された任意のタイプの化合物を含む任意のタイプの化合物
であることができる。このような化合物を投与する量は1日に体重1kg当たり
約1ng〜約100mgの範囲であることができる。
【0091】 有効と考えられる量の化合物を投与した後、第1の哺乳動物から得られた組織
または体液のイソプロスタン分子マーカーのレベルを測定する。イソプロスタン
分子マーカーのレベルは本明細書記載の或いは当業界の専門家に公知の任意の方
法によって測定することができる。次に、該有効と思われる量の化合物を投与し
た後、第1の哺乳動物から得られた試料中で測定されたイソプロスタン分子マー
カーのレベルを、該化合物投与前に第1の哺乳動物から得られた試料中で測定さ
れたイソプロスタン分子マーカーのレベル、或いは該化合物を投与しなかった哺
乳動物から得られた試料中で測定されたイソプロスタン分子マーカーのレベルと
比較する。
【0092】 上記最後の節に記載された比較の結果、該化合物投与前に第1の哺乳動物から
得られた試料中で測定されたイソプロスタン分子マーカーのレベル、或いは該化
合物を投与しなかった哺乳動物から得られた試料中で測定されたイソプロスタン
分子マーカーのレベルに比べ、有効量と思われる該化合物を投与した後の第1の
哺乳動物から得られた試料中で測定されたイソプロスタン分子マーカーのレベル
が減少しているとされた場合、この量がこの化合物のアルツハイマー病の治療に
対する有効量であると認定される。
【0093】 減少したレベルは、未処置の哺乳動物(他の点では同じ第2の哺乳動物)から
得られた試料または化合物投与前の第1の哺乳動物から得られた試料中のイソプ
ロスタン分子マーカーのレベルよりも約40%〜約100%低いレベルであるこ
とが好ましい。
【0094】 また本発明はアルツハイマー病の治療に有用な化合物の最適濃度を決定する方
法を含んでいる。この方法では、一連の濃度で該化合物を投与された一連の系列
の哺乳動物に関し、脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベル
を監視する。哺乳動物に対し毒性を与えることなく1匹またはそれ以上の哺乳動
物においてイソプロスタン分子マーカーのレベルの減少が最大になる化合物の濃
度が最適濃度である。
【0095】 一態様においてこの方法は、オキシダント・ストレス症候群または疾病の治療
、例えばアルツハイマー病の治療のために患者に投与する化合物の最適濃度を決
定するための臨床的な試行方法である。一連の哺乳動物において脂質の過酸化に
対するイソプロスタン分子マーカーのレベルは、本明細書記載の或いは当業界の
専門家に公知の任意の方法を用い一連の時点においてイソプロスタンのレベルを
測定することにより監視される。
【0096】 化合物は抗酸化性化合物であることが好ましい。他の好適な化合物は抗炎症性
化合物であり、この場合該化合物は哺乳動物のシクロオキシゲナーゼ酵素の活性
を阻害するのに有効な一連の濃度で投与される。該化合物は1日に体重1kg当
たり約1ng〜約100gの量で投与される。
【0097】 酸化防止性および抗炎症性を示す化合物を臨床的に試験するための、一連の哺
乳動物の中に含まれる哺乳動物の数の範囲、該化合物の期待される作用持続期間
、および投与すべき化合物の量は当業界に公知である。例えば抗酸化性および抗
炎症性を示す化合物の投与量の範囲は本明細書に記載されている。抗酸化性およ
び抗炎症性を示す両方の化合物の好適な作用継続時間は、化合物投与後一晩(即
ち8〜12時間)、および投与直後化合物の活性のスポット・チェックを行う時
間(即ち約1〜2時間)の範囲である。
【0098】 これだけに限定されないが、本発明方法が有用な臨床的状況は例えば下記のよ
うに例示することができる。アルツハイマー病が治療手段を施し易い炎症成分を
含んでいることは当業界に公知である。炎症成分の烈しさはアルツハイマー病を
もつ個人の間およびアルツハイマー病をもつ個人の罹病時間の範囲で異なるから
、或る与えられた時点において例えば抗酸化剤または抗炎症剤を用いる治療手段
に合理的な基盤があるかどうかを研究している医学者は、アルツハイマー病の生
存中の治療を確立し臨床的研究を設計する際の進行性炎症過程を確立して日常的
な医療を施す助けとなる方法を必要としている。例えば新規抗酸化性または抗炎
症性化合物の臨床試験、或いはこのような薬物の利益を受けると患者を診断する
日常的な医療に使用するために、また薬物の最適濃度および投与周期を選ぶ手段
としての両方において、炎症の酸化成分を非侵入的に評価するのに本発明方法は
有用である。酸化防止剤の効果は内因性の酸化防止剤による防衛の減少の度合い
と逆の関係をもつ傾向がある。本発明方法は、例えばオキシダント・ストレスが
明白な患者であると診断するのに使用することができる。抗酸化性化合物により
炎症成分が抑制されたことが本発明方法で測定されると、このことはその患者に
対する有効濃度を決定し、しかる後該薬物の最適濃度を決定するのに用いること
ができる。
【0099】 本発明はまたアルツハイマー病の治療に有用な化合物の最適投与周期を決定す
る方法を含んでいる。この方法は一連の投与周期で該化合物を投与された一連の
系列の哺乳動物において脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレ
ベルを監視する方法を含んでいる。哺乳動物に対し毒性を与えることなく一つま
たはそれ以上の系列の哺乳動物においてイソプロスタン分子マーカーのレベルの
減少が最大になる該化合物の投与周期が最適の投与周期である。一態様において
この方法は、オキシダント・ストレス症候群または疾病の治療、例えばアルツハ
イマー病の治療のために患者に投与する化合物の最適の投与周期を決定するため
の臨床的な試行方法である。一連の哺乳動物において脂質の過酸化に対するイソ
プロスタン分子マーカーのレベルは、本明細書記載の或いは当業界の専門家に公
知の任意の方法を用い一連の時点においてイソプロスタンのレベルを測定するこ
とにより監視される。
【0100】 化合物は抗酸化性化合物であることが好ましい。他の好適な化合物は抗炎症性
化合物であり、この場合該化合物は哺乳動物のシクロオキシゲナーゼ酵素の活性
を阻害するのに有効な一連の濃度で投与される。
【0101】 本発明はまた第1の哺乳動物から得られた組織または体液の試料中の脂質に対
するイソプロスタン分子マーカーのレベルを減少させるのに有用な化合物を同定
する方法を含んでいる。この方法では、該化合物を投与する前に第1の哺乳動物
から得られた組織または体液の試料、或いは該化合物を投与されていないが他の
点では同じ第2の哺乳動物から得た組織または体液の試料のいずれかの中の脂質
の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベルを測定する。またこの方
法では第1の哺乳動物に該化合物を投与する。この化合物は本明細書に記載され
た任意のタイプの化合物を含む任意の化合物であることができる。この化合物は
1日に体重1kg当たり約1ng〜約100gの量で投与することができる。該
化合物投与後、第1の哺乳動物から得られた組織または体液の試料中のイソプロ
スタン分子マーカーのレベルを本明細書記載の或いは当業界の専門家に公知の任
意の方法で測定する。
【0102】 次に、該化合物投与後測定された第1の哺乳動物から得られた組織または体液
の試料中のイソプロスタン分子マーカーのレベルを、該化合物を投与する前に第
1の哺乳動物から得られた組織または体液の試料、或いは該化合物を投与されて
いないが他の点では同じ第2の哺乳動物から得た組織または体液の試料のいずれ
かの中の測定されたイソプロスタン分子マーカーのレベルと比較する。
【0103】 上記最後の節に記載された比較の結果、該化合物投与前に第1の哺乳動物から
得られた試料中で測定されたイソプロスタン分子マーカーのレベル、或いは該化
合物を投与しなかった哺乳動物から得られた試料中で測定されたイソプロスタン
分子マーカーのレベルに比べ、該化合物を投与した後の第1の哺乳動物から得ら
れた試料中で測定されたイソプロスタン分子マーカーのレベルが減少したことが
分かった場合、哺乳動物において脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マー
カーのレベルを減少させるのに有効な化合物が決定される。イソプロスタン分子
マーカーの減少したレベルは上記に定義した通りである。
【0104】 一態様においては、該化合物は哺乳動物の脳組織中のシクロオキシゲナーゼ(
COX)酵素の活性を阻害するのに有用な量で投与される。
【0105】 他の態様においては、該化合物は哺乳動物の脳組織中の反応性酸素種(ROS
)のレベルを減少させるのに有用な量で投与される。
【0106】 本発明はまた哺乳動物のアルツハイマー病の診断キットを含んでいる。このキ
ットは哺乳動物から得られた組織または体液の試料を入れる試料容器を含んでい
る。
【0107】 このキットはまた、哺乳動物から得られた組織または体液の試料から脂質の過
酸化に対するイソプロスタン分子マーカーを抽出するのに用いられる溶液を含ん
でいる。この溶液はエタノール溶液であることが好ましい。
【0108】 またこのキットは、アルツハイマー病に罹っていない哺乳動物の組織または体
液の試料に存在するイソプロスタン分子マーカーの濃度とほぼ等しい濃度でイソ
プロスタン分子マーカーを含む負の対照溶液を含んでいる。イソプロスタン分子
マーカーはエタノール溶液に懸濁していることが好ましい。このような濃度の範
囲は本明細書の実施例に記載されている。
【0109】 またこのキットは、アルツハイマー病に罹っている哺乳動物の組織または体液
の試料に存在するイソプロスタン分子マーカーの濃度とほぼ等しい濃度でイソプ
ロスタン分子マーカーを含む正の対照溶液を含んでいる。イソプロスタン分子マ
ーカーはエタノール溶液に懸濁していることが好ましい。このような濃度の範囲
は本明細書の実施例に記載されている。
【0110】 さらに、このキットは脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーに対
する抗体を含んでいる。抗体の製造法および精製法は当業界に公知であり、例え
ばHarlow等著、「Antibodies、A Laboratory M
anual」、米国ニューヨークのCold Spring Harbor 1
988年発行、に記載されている。抗体は当業界に公知の任意のタイプの抗体で
あることができる。
【0111】 このキットは随時イソプロスタン分子に対して特異的な抗体に対する二次抗体
を含むことができる。
【0112】 さらに、このキットは哺乳動物のアルツハイマー病の診断に使用する使用説明
資料を含んでいる。この使用説明資料は哺乳動物のアルツハイマー病の診断に対
しこのキット中の本発明方法の有用性を伝えるのに用い得る刊行物、記録、図面
、または他の表現媒体であることができる。本発明のキットの使用説明資料は例
えばキットの他の内容物を含む容器に付属しているか、或いはこのキットを含む
容器と一緒に出荷することができる。別法として、使用説明資料とキットの内容
が受取人によって一緒に使用される意図の下に、使用説明資料を容器とは別に出
荷することもできる。
【0113】 本発明はまた哺乳動物から得られた組織または体液の試料の中の脂質の過酸化
のイソプロスタン分子マーカーのレベルを測定するキットを含んでいる。このキ
ットは哺乳動物から得られた組織または体液の試料を入れる使用容器を含んでい
る。
【0114】 このキットはまた、哺乳動物から得られた組織または体液の試料から脂質の過
酸化に対するイソプロスタン分子マーカーを抽出するのに用いられる溶液を含ん
でいる。この溶液はエタノール溶液であることが好ましい。
【0115】 またこのキットは、アルツハイマー病に罹っていない哺乳動物の組織または体
液の試料に存在するイソプロスタン分子マーカーの濃度とほぼ等しい濃度でイソ
プロスタン分子マーカーを含む負の対照溶液を含んでいる。イソプロスタン分子
マーカーはエタノール溶液に懸濁していることが好ましい。このような濃度の範
囲は本明細書の実施例に記載されている。
【0116】 またこのキットは、アルツハイマー病に罹っている哺乳動物の組織または体液
の試料に存在するイソプロスタン分子マーカーの濃度とほぼ等しい濃度でイソプ
ロスタン分子マーカーを含む正の対照溶液を含んでいる。イソプロスタン分子マ
ーカーはエタノール溶液に懸濁していることが好ましい。このような濃度の範囲
は本明細書の実施例に記載されている。
【0117】 さらに、このキットは脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーに対
する抗体を含んでいる。抗体の製造法および精製法は当業界に公知であり、例え
ばHarlow等著、「Antibodies、A Laboratory M
anual」、米国ニューヨークのCold Spring Harbor 1
988年発行、に記載されている。抗体は当業界に公知の任意のタイプの抗体で
あることができる。
【0118】 このキットは随時イソプロスタン分子に対して特異的な抗体に対する二次抗体
を含むことができる。
【0119】 さらに、このキットは哺乳動物のアルツハイマー病の診断に使用する使用説明
資料を含んでいる。この使用説明資料は哺乳動物から得られた組織または体液の
試料中のイソプロスタン分子マーカーのレベルを測定する上でこのキット中の本
発明方法の有用性を伝えるのに用い得る刊行物、記録、図面、または他の表現媒
体であることができる。本発明のキットの使用説明資料は例えばキットの他の内
容物を含む容器に付属しているか、或いはこのキットを含む容器と一緒に出荷す
ることができる。別法として、使用説明資料とキットの内容が受取人によって一
緒に使用される意図の下に、使用説明資料を容器とは別に出荷することもできる
【0120】 次に下記実施例により本発明を具体的に説明する。これらの実施例は単に例示
のためのものであり、本発明を限定するものではなく、本明細書の説明の結果明
らかになった多くの変形を包含するものである。
【0121】 実施例1 本実施例に記載された実験において、2種のイソプロスタン(iPF2−II
IおよびiPF2−VI)のレベルはAD(アルツハイマー病)に罹った脳の冒
された領域(即ち大脳前頭極および側頭極であるが、小脳皮質内にはない)で選
択的に増加することが見出だされた。また、パーキンソン病(PD)、精神分裂
症(SCHI)の患者、または神経学的に正常な対照の脳から得られた試料にお
けるレベルに比べ、ADの大脳前頭極および側頭極の組織の試料ではiPF2
IIIおよびiPF2−VIが高いレベルで検出された。さらに、心室CSF中
におけるこれらのイソプロスタンのレベルはADの脳の中で高かった。従ってこ
れらの研究は、オキシダント・ストレスがADの病原論において重要な役割を演
じていること、およびCSFまたは他の体液、例えば血漿および尿の中のイソプ
ロスタンのレベルの決定を、生存している患者のADの診断、または哺乳動物の
脂質の高い過酸化のレベルの評価法の開発に利用できることを示唆している。ま
たこれらのデータは、ADの脳の中のオキシダント・ストレスの機構が哺乳動物
でのADの進行を停止または遅延させるための新しい治療化合物の設計の標的に
なり得ることを意味している。
【0122】 脳組織の試料の調製 19人のADの患者、6人のPDの患者、10人のSCHIの患者および8人
の対照の死体から剖検時において脳の試料を得た。この実験で研究された患者お
よび対照の死後における診断の評価は、従来報告された方法および基準に従って
行った(Schmidt等、1991年、Lab.Invest.誌、64巻、
352〜357頁;Arnold等、1995年、Am.J.Psych.誌、
152巻、731〜737頁;Schmidt等、1996年、Acta ne
uropathol.誌、91巻、475〜468頁)。対照検体は痴呆、他の
神経的な病気、或いは脳に影響する全身性の病気の履歴をもっていなかった。対
照の脳では神経病的な検査によって顕著な異常性は示されなかった。固定しない
冷凍した(−80℃)大脳前頭極(FP)、側頭極(TP)および小脳の組織に
ついてイソプロスタンのレベルの検定を行った。透明で血液を含んでいないCS
Fは他のAD患者(総数10人、男性10人、女性5人、年齢65〜85歳)お
よびAD患者でない対照(総数10人、男性7人、女性3人、年齢67〜86歳
)の脳の側脳室から剖検時に得た。CSFを1,500rpmで10分間遠心分
離にかけ、部分標本にし、分析を行うまで−80℃で貯蔵した。CSFおよび脳
のすべての試料をコード化し、これらの試料の以後の分析は、年齢または個人か
ら得られる診断結果或いは脳組織の地域的な身元に関する知識なしで行った。
【0123】 脳の試料の抽出物の調製 FP、TPおよび小脳の組織の試料を刻み、10mMのEDTAおよび1mM
のブチル化されたヒドロキシトルエン(BHT)を含む燐酸塩で緩衝された塩水
の中に再び懸濁させて自動酸化を防ぐ。10μgの[28]−アラキドン酸を試
料に加え、試料の抽出および処理の間F2−イソプロスタンが人工的に生成する
のを監視できるようにした。刃による均質化装置で均質化した後、20mLの氷
冷したFolch溶液、即ちクロロフォルム/メタノール(2:1、容積/容積
)で全脂質を抽出した。次にこの溶液を撹拌し、4℃において800×gにおい
て15分間遠心分離にかける。抽出された脂質を含む有機相を窒素下で乾燥し、
次いで水酸化カリウム水溶液(15%)を加え、この混合物を45℃で1時間加
温し、加水分解させて全iPF2−IIIおよびiPF2−VIを放出させる。こ
こに記載したの同じ試料について6−ケトPGF1のレベルの検定を行った。
【0124】 生化学的分析 前記のガスクロマトグラフ/質量分析法による検定法を用いiPF2−III
およびiPF2−VI並びに6−ケトPGF1のレベルを検定した(Pratic
o等、1995年、J.Biol.Chem.誌、270巻、9800〜980
8頁;Pratico等、1998年、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA誌、95巻、3449〜3454頁)。簡単に説明すると、既知量の内
部標準[182]−iPF2−III、[24]−iPF2−VIまたは[24
−6−ケトPGF1を試料に加える。次いで試料に対し固相抽出を行い、誘導体
化し、薄層クロマトグラフに2回かけて精製した。最後にFisons MD−
800(イタリー、ミラノのFisons Instruments製)ガスク
ロマトグラフ/質量分析計を用い各試料についてイソプロスタンおよび6−ケト
PGF1の分析を行い、ピークの比を用いて定量した。
【0125】 統計分析 平均値±SEMとしてデータを提示する。iPF2−IIIおよびiPF2−V
I並びに6−ケトPGF1に対する平均値および範囲を与える。適宜後で2−テ
イルド−t−試験(2 tailed t test)による一対にして比較す
る分散分析を行った。0.05より小さいp値だけを統計的に有意な値と見做し
た。線形回帰法を用い2種のイソプロスタンの間で、イソプロスタンと死後の期
間(PMI)、年齢またはAD患者の罹病期間との相関を調べた。
【0126】 患者および対照のグループの臨床的な結果および剖検の結果を表1に示す。グ
ループ間において年齢およびPMIには顕著な差異は観測されなかった。ADの
脳の大脳前頭極(FP)から得た組織試料のiPF2−IIIのレベル[湿った
組織1g当たり平均値(範囲)pg]は、図1に示すように、PDの患者から得
たFP脳組織のレベル[湿った組織1g当たり230(80〜300)pg、p
=0.004]、SCHI患者のレベル[湿った組織1g当たり280(130
〜380)pg、p<0.001]、または正常な対照の検体[湿った組織1g
当たり200(81〜260)pg、p=0.002]に比べて著しく高いこと
が見出だされた。AD患者の側頭極(TP)から得られた組織試料においても対
照検体に対しiPF2−IIIのレベルについて同様な評価結果が得られた。こ
れらの結果[湿った組織1g当たり平均値(範囲)pg]は次の通りである。A
D患者に対して[445(250〜685)]、PD患者に対し[303(16
0〜350]、SCHI患者に対し[223(130〜300)]、および正常
な対照に対し[205(110〜300)]。AD患者の脳から得られたFPま
たはTPの組織試料において年齢、PMI、または罹病期間とiPF2−III
のレベルとの間には実質的に顕著な関係は見られなかった。
【0127】 AD患者の脳の中のiPF2−VIのレベルはiPF2−IIIの場合よりも高
く、AD患者のFP中で湿った組織1g当たり605〜1790pgの範囲に亙
り、平均値は950pgであった。対応する値は図2に示すように、PDの脳で
は650(400〜894)(p=0.004)、SCHIの脳では400(2
90〜510)(p<0.001)、正常な対照では460(300〜700)
(p<0.001)pg/gである。注目すべきことには、TPの試料のiPF 2 −VIのレベルの検定でも同様な結果が得られ、この場合の値[湿った組織1
g当たり平均値(範囲)pg]は次の通りである。AD患者に対して[1100
(700〜1800)]、PD患者に対し[700(500〜950]、SCH
I患者に対し[355(220〜420)]、および正常な対照に対し[480
(320〜650)]。この場合もこれらのAD患者の年齢、PMIまたは罹病
期間とiPF2−VIのレベルとの間には顕著な相関は認められなかった。しか
しFP脳皮質(R=0.73,p=0.0005)およびAD患者のTP試料の
両方ともこれら2種のイソプロスタンのレベルの間には顕著な相関が見られた。
処理の際[28]−アラキドン酸(10μg)を組織と一緒に加温し、イソプロ
スタンの分析において死後の処理により脳試料中のアラキドニル含有燐脂質から
8−iso−PGF2またはIPF2−Iが人工的に生成するかどうかを確かめ
た。ここで使用した処理中には[28]−iPF2−IIIまたは[28]−i
PF2−VIのいずれも生成しなかった。
【0128】 同じ試料についてプロスタサイクリンの加水分解生成物、プロスタグランジン
6−ケトPGF1(アラキドン酸のシクロオキシゲナーゼ依存代謝生成物)のレ
ベルの検定も行った。注目すべきことに、イソプロスタンとは全く対照的に、A
D患者のグループとAD患者ではない対照検体のグループとの間に差は見られな
かった(表2参照)。同じ検体から得た小脳の試料についてもこの2種のF2
イソプロスタンのレベルの検定を行った。何故なら、典型的には小脳に対してA
Dによる障害はないからである。iPF2−IIIおよびiPF2−VIのレベル
は新皮質におけるよりも小脳の中の方が低かった。またADの小脳中のレベルを
ADでない対照の小脳と比較した場合、F2−イソプロスタンのレベルに差は認
められなかった(表3参照)。
【0129】 また、他のAD患者(n=15)および非AD対照検体(n=10)から得た
死後の心室のCSFに対しF2−イソプロスタンの検定を行った。iPF2−II
Iのレベルは非ADの患者に比べADのCSFの方が高いが、その差は統計的に
有意であるとは言えなかった[49(30〜84)対41(22〜60)pg/
g、p=0.14]。これとは対照的にiPF2−VIのレベルは非ADのCS
Fに比べADのCSFの方が著しく高かった[102(33〜220)対38(
22〜80)pg/g、p=0.009]。この2種のイソプロスタンのCSF
レベルと年齢、PMIまたは罹病期間との間には相関も見られなかった。
【0130】
【表1】
【0131】 年齢、死後経過期間(PMI)は平均値±SEMで示し、範囲は括弧の中に報
告されている。M/Fは男女比である。
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】 実施例2 本実施例で説明する実験は,ADと臨床的に診断された人の患者から得られた
髄液(CSF)、血漿および尿中の脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マ
ーカー、8,12−iso−iPF2−VIのレベルを健康な対照検体のレベル
と比較した検定である。8,12−iso−iPF2−VIが人の尿中に最も豊
富に存在するF2イソプロスタンであることの証拠はLawson等によって論
じられている(1998年、J.Biol.Chem.誌、273巻、2929
5〜29301頁)。恐らくADであると診断された患者25人、ADの可能性
があると診断された患者10人、および25人の健康な対照検体について研究を
行った。CSF、血漿および尿、並びにCSF−τ蛋白質、CSF Aβ1-40
Aβ1-42およびapoE遺伝子型の中の8,12−iso−iPF2−VIのレ
ベルの検定を行った。その結果、恐らくADである並びにADの可能性があると
診断された患者は健康な対照に比べCSF、血漿および尿中において8,12−
iso−iPF2−VIのレベルが高いことが示された。CSF中および血漿中
の8,12−iso−iPF2−VIのレベルの間、およびCSF中および尿中
の8,12−iso−iPF2−VIのレベルの間には直接の相関が見られた。
さらにCSFのイソプロスタン・レベルはCSF−τ蛋白質および痴呆重症度評
価尺度(Dementia Sererity Rating Scale,D
SRD)と直接相関があり、Aβ1-42および簡易精神状態検査(Mini Me
ntal State Examination,MMSE)と逆の相関をもっ
ていた。apoE ε4対立遺伝子に対しホモ接合したAD患者は、apoE
ε4対立遺伝子をもたないかまたはapoE ε4対立遺伝子の一つのコピーを
もっている患者に比べてイソプロスタンのレベルが高かった。
【0135】 臨床的にADであると診断された患者はこの病気の早期の段階においてCSF
、血漿および尿中において生体内で脂質の過酸化のレベルが増加することをこれ
らの実験結果は示唆している。脂質の過酸化のレベルの増加とこの病気の他の危
険な要因との間に見られる相関は、本明細書に記載された非侵入的な方法を用い
酸化防止剤による治療が効果的な患者を決めることができることを示唆している
。この研究によれば、CSFばかりではなく血漿および尿中においても健康な個
体に比べAD患者ではイソプロスタンのレベルが上昇しており、8,12−is
o−iPF2−VIのレベルはADに対して当業界に公知の他のマーカーおよび
危険因子と相関がある。さらに、尿中の8,12−iso−iPF2−VIのレ
ベルとCSF中のイソプロスタンのレベルとの相関は、尿中の脂質の過酸化に対
するこの分子マーカーの非侵入的な測定結果が脳中のオキシダント・ストレスの
レベルを反映していることを示している。
【0136】 これらの研究に使用した材料および方法は次の通りである。
【0137】 患者の選択 検体患者はペンシルバニア大学(米国ペンシルバニア州、Philadelp
hia)の記憶障害クリニック(Memory Disorders Clin
ic,MDC)から募集した。すべての患者からこの研究に対する告知による同
意(インフォームド・コンセント)を得た。恐らくADである並びにADの可能
性があるという臨床的な診断はNational Institute of
Neurological and Communicative Disea
ses and Stroke−Alzheimer’s Disease a
nd Related Disorders Association cri
teria(Radebaugh等、1996年、Alzheimer’s D
isease & Associated Disorders 10,Sup
p 1:15)に基づいて行った。日常的な認識に関する検定の一部として、す
べての患者は記憶、言語および習慣の評価のためのConsorthium t
o Establish a Registry for Alzheimer
’s Disease(CERAD)の心理測定用電池を持たされている。痴呆
重症度評価尺度(DSRS)および簡易精神状態検査(MMSE)を行い、この
病気の臨床的な重症度を評価した。広範な実験室での研究、並びに磁気共鳴画像
診断法および単光子放射型コンピューター断層撮影法(single−phot
on emission computed tomography)を行い、
他の痴呆障害を除外した。多発性梗塞状態を含む痴呆を説明し得る他の医学的な
症状をもった患者はこの研究から除外した。急性の感染症または炎症を伴う病気
、慢性肝炎、アルコール中毒症、癌をもつ患者、および卵胞ホルモン置換術およ
びビタミン治療を受けている患者も除外した。
【0138】 この研究には25人の患者を登録し、各患者から尿および血液試料を得た。こ
の試料を得た後、腰椎穿刺法を用い母集団のサブグループからCSFの試料を得
た。CSF試料を捕集すると共にさらに尿の試料を捕集した。対照検体はAlz
heimer’s Disease Centerの知覚的に正常な集団から、
またMDCに同伴した患者の配偶者から選んだ。
【0139】 イソプロスタン分析用の試料の調製 尿、血漿およびCSFを集めて抗酸化剤のブチル化されたヒドロキシトルエン
0.1%を含む管に入れ、分析するまで−80℃で貯蔵する。試料に[42]−
8,12−iso−iPF2−VIを加え、固相抽出カラムで抽出し、薄層クロ
マトグラフ法で精製し、陰イオン化学イオン化ガスクロマトグラフ/質量分析法
(GC/MS)により下記に説明するようなPratico等の方法(1998
年、Nature Med.誌、4巻、1189〜1192頁;および1999
年、Atheroscler.誌、147巻、1〜10頁)で検定した。この方
法の検定内および検定間の変動率は尿および血漿に対しそれぞれ±4%および5
%、±4.5%および4%であった。尿のイソプロスタン(iP)のレベルはク
レアチン1mg当たりのngとして表される。EDTAで凝固を防止した血液を
直ちに3,000rpmで15分間、4℃において遠心分離して血漿を得て−8
0℃で貯蔵する。分析の前に上記のように血漿を処理する。血漿中のイソプロス
タンのレベルは血漿1mg中のpgで表される。
【0140】 目で見て血液の汚染が起こらないようにしてCSFを捕集し、1,500rp
mで15分間遠心分離にかけ、分割した試料(1mL)を直ちに−80℃で凍結
させる。CSF中のイソプロスタンのレベルはCSF 1mL中のpgで表され
る。すべての検定はコード化様式で行った。
【0141】 ガスクロマトグラフ/質量分析法による検定 ガスクロマトグラフ/質量分析法による検定(GC/MS)は、被検体と内部
標準とが不均質である以前の文献記載の方法とは異なり、合成した均質な標準を
用いて行った。均質標準はHwang等(1994年、J.Am.Chem.S
oc.誌、116巻、10829〜10830頁)およびPudukulath
an等(1998年、J.Am.Chem.Soc.誌、120巻、11953
〜11961頁)により報告されたようにして合成し調製した。均質標準を用い
、単一のイソプロスタン異性体の定量を可能にする検定条件をつくった。
【0142】 iPF2−IIIは、試験管内および生体内において生活性をもつ優れたF2
iPであると報告されている(Banerjee等、1992年、Am.J.P
hysiol.誌、263巻、H660〜H663頁;Takahashi等、
1992年、J.Clin.Invest.誌、90巻、136〜141頁)か
ら、GC/MSによる最初の検定をこのイソプロスタンに集中した。[182
iPF2−IIIを合成し、トリメチルシリルエーテエルの代りにt−ブチルジ
メチルシリルエーテルを用いて(Pratico等、1995年、J.Biol
.Chem.誌、270巻、9800〜9808頁)GC/MSの特性を改善す
ることにより単一の異性体を測定する検定法を開発した。この検定法は一回の固
相抽出段階、2回の薄層クロマトグラフ段階、および2回の誘導体化段階を含ん
でおり、技術的に厳しい要求をもっている。iPF2−IIIまたは他のF2イソ
プロスタンと異なり、COX−1またはCOX−2酵素によって生成させること
ができる(Pratico等、1995年、J.Biol.Chem.誌、27
0巻、9800〜9808頁)から、このことは試験管内における脂質の過酸化
の指標としてiPF2−IIIを使用する価値を潜在的に低下させている。従っ
てこの検定法の開発にはその代わりにイソプロスタンiPF2−VI(以前はi
PF2−Iとして知られていた)を使用した(Adiyaman等、1996年
、Tetrahedron Lett.誌、37巻、4849〜4852頁)。
イソプロスタンiPF2−VIは目標の被分析体として有望であった。何故なら
このものは容易に環式ラクトンに変わり、III、IVおよびVの種類の他のF 2 イソプロスタンからこの異性体を手軽に分離できるからである。またiPF2
VIはiPF2−IIIよりも高い濃度で尿中に存在し、またiPF2−VIはC
OX酵素に依存する方法では生成しない(Pratico等、1998年、Na
tl.Acad.Sci.U.S.A.誌、95巻、3449〜3454頁)。
【0143】 CSF−τ、CSF Aβ1-40、Aβ1-42の測定 Innotest hTAU−Antigenキット(ベルギー、Zwijn
drecht、Innogenetics社)を使い、サンドイッチ−ELIS
A法を用いてτ蛋白質のレベルを測定した(Arai等、1995年、Ann.
Neurol.誌、38巻、649〜652頁)。Aβ1-40およびAβ1-42のレ
ベルは異なった種のAβに特異的な単クローン性の抗体を使用しサンドイッチ−
ELISA法を用いて測定した。合成Aβ1-40およびAβ1-42を使用して標準曲
線をつくった。サンドイッチ−ELISA法の検出限界は1試料当たり合成Aβ
1ヘムトモルより小さい。すべての検定はコード化方式で行った。
【0144】 ApoE遺伝子型の検定 末梢血管の白血球からDNAを抽出し、患者の臨床的診断の知識なしに(We
hham等、1991年、Lancet誌、337巻、1158〜1159頁)
記載のようにして遺伝子型の分類を行った。しばらくしてDNA分離後一段階の
ポリメラーゼ連鎖反応を行った。この方法は日常的な作業の目的に対しても非常
に効率的で特異的なことが示されている(Peterson等、1995年、J
AMA誌、273巻(16号)、1274〜8頁)。
【0145】 統計分析 グループ間の比較はDunnの事後調査法を使用するパラメータなしの一方向
分散分析法(Kruskall−Wallisの試験)を用いて行った。線形回
帰分析法を使用して相関を求めた。統計的有意性はp<0.05に設定した。
【0146】 結果 NINCDS−ADRDA基準に従って恐らくADであるかADの可能性があ
ると診断された患者の特性、並びに対照検体の特性を表4に示す。対照検体では
8,12−iso−iPF2−VIの尿中のレベルは、図5に示されているよう
に、クレアチン1mg当たり0.75〜4.1ngの範囲にあり、8,12−i
so−iPF2−VIの血漿中のレベルは、図6に示されているように、1mL
当たり0.1〜0.2pgの範囲ににある。臨床的に恐らくADであると診断さ
れた患者では、8,12−iso−iPF2−VIの尿および血漿中のレベルは
、図5および6に示されているように、対照検体よりも高い(両方ともp<0.
0001)。図5および6に示されるように、ADの可能性があると臨床的に診
断された患者についても同様なパターンが観測された。CSFは、恐らくADで
あると診断された患者10人、ADの可能性があると診断された患者4人、対照
10人からなる母集団についての研究のサブグループから得た。CSFの試料を
集めると共に、第2の尿の試料も集めた。この尿の試料で測定された8,12−
iso−iPF2−VIのレベルは、図4に示すように、1mL当たり6〜38
pgの範囲であった。恐らくADであるかまたはADの可能性があると診断され
た患者では、8,12−iso−iPF2−VIのレベルは著しく高く、図4に
示されているように、それぞれ1mL当たり47〜91pg(p<0.0001
)、および43〜105pg(p<0.0001)であった。尿中およびCSF
中の間において8,12−iso−iPF2−VIのレベルに直接の相関が認め
られ(r2=0.55、p<0.001)、また血漿中およびCSF中の間にお
いても8,12−iso−iPF2−VIのレベルに直接の相関が認められた(
2=0.64、p<0.001)。
【0147】 表5に示されているように、CSF−τ蛋白質のレベルも対照検体に比べ恐ら
くADと思われるかADの可能性がある患者の方が高かった。これとは対照的に
、CSF Aβ1-40およびAβ1-42の間の百分率は対照検体に比べ恐らくADと
思われるかADの可能性がある患者の方が小さかった(表5)。CSF中におけ
るCSF−τ蛋白質のレベルと8,12−iso−iPF2−VIのレベルとの
間には著しい直接の相関(r2=0.43、p<0.0001)があるが、Aβ1 -42 のCSF百分率と8,12−iso−iPF2−VIのレベルとの間には逆の
相関(r2=−0.25、p<0.03)が見られた。
【0148】 CSF中に見られるイソプロスタン・レベルの上昇に対するapoE遺伝子型
の影響を研究するために、検体をそれがもっているapoEのε4対立遺伝子の
コピーの数によって組分けした。ε4対立遺伝子の二つのコピーをもっている(
同型接合)検体は、ε4対立遺伝子のコピーをもたないか一つしかもっていない
検体(異型接合)に比べ、CSF中の8,12−iso−iPF2−VIのレベ
ルは著しく高かった(p=0.04)。CSF−τ蛋白質のレベルとε4対立遺
伝子のコピーの数との間にはこのような相関はなかった。
【0149】 最後に、AC患者の痴呆の程度を臨床的に評価するのに持いっられるもっとも
普通の二つの認識試験(痴呆重症度評価尺度{DSRD}および簡易精神状態検
査{MMSE})の結果の間に直接の相関が見られた。DSRDの結果とCSF
中の8,12−iso−iPF2−VIのレベルとの間には直接の相関が見られ
た(r2=0.22、p=0.02)が、MMSEの結果とCSF中の8,12
−iso−iPF2−VIのレベルとの間には逆の相関が観測された(r2=−0
.15、p=0.04)。
【0150】 結果の考察 ADと臨床的に診断された(ADの可能性がある、および恐らくADである)
患者は、健康な対照に比べ、生体内での脂質の過酸化に対する信頼すべき分子マ
ーカーであるCSF、血漿および尿中の8,12−iso−iPF2−VIのレ
ベルが上昇していることの証拠をこれらの実験の結果は提示している。さらに、
血漿および尿の両方の中におけるこのイソプロスタンのレベルがCSF中のこの
イソプロスタンのレベルと相関をもっているという発見は、オキシダント・スト
レスがADの初期の段階で起こり、これがこの病気の進展に寄与しているであろ
うということを示している。また、本発明の方法はADにおける脂質の過酸化の
レベルの研究に対する最初の非侵入的な方法である。当業界において脂質の過酸
化およびオキシダント・ストレスはADの可能な発病機構として広く認められて
きている。
【0151】 以前のいくつかの研究によれば、CSF−τレベルの上昇はADの脳のニュー
ロンが次第に死滅していることを反映しており、上昇したCSF−τレベルはA
Dの信頼すべき早期の診断試験になり得ることが示されている(Tato等、1
995年、J.Neurol.Neurosur.Psychiatry誌、5
9巻、280〜283頁;Kanai等、1998年、Ann.Neurol.
誌、44巻、17〜26頁)。これとは対照的に、CSF Aβ1-42のレベルは
、恐らくはAβ1-42の分離片形成のために、この病気の進行と共に次第に減少す
ることが以前に報告されている(Nakamura等、1994年、Ann.N
eurol.誌、36巻、903〜911頁)。
【0152】 本実施例に記載した実験においては、CSF−τ蛋白質のレベルとCSF中の
8,12−iso−iPF2−VIのレベルとの間に直接の相関があり、CSF
Aβ1-42のレベルとCSF中の8,12−iso−iPF2−VIのレベルと
の間には逆の相関があることが示された。これらを一緒に考えると、これらの発
見は、AD患者において脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーがこ
の病気の進行と直接関係しているCNS オキシダント・ストレスの増加を反映
していることを示している。イソプロスタンのレベルがこの病気の進行と関連が
あるという事実は、さらにCSF中の8,12−iso−iPF2−VIのレベ
ルと上記の認識試験の結果との間に見られる相関によってさらに確証が与えられ
る。何故なら、このイソプロスタンのCSF中のレベルはDSRDの尺度と直接
相関しており、MMSEの評価値と逆の相関をもっているからである。
【0153】 以前から散在性のADの発病の危険は人のアポリポ蛋白質E(apoE)の多
形成性と結び付けられてきた。独立した研究により、人のapoEの4種の対立
遺伝子はAD患者の方がそれに対応した対照検体に比べコピーの数が多いことが
見出だされた(Mayeux等、1993年、Ann.Neurol.誌、34
巻、752〜754頁;Van Duijin等、1994年、Nature
Genet.誌、7巻、74〜78頁)。本実施例のこの実験の結果は、CSF
中のイソプロスタンのレベルとapoEの4種のコピーの数との間に直接の相関
を示している。これらの発見はapoEのイソ形が脳の障害に対する応答に影響
を与える証拠となる(Mahley等、1995年、Curr.Opin.Li
pidol.誌、6巻、86〜91頁;Pratico等、1999年、J.N
eurochem.誌、73巻、736〜741頁)。従って、なお議論される
べき機構によってapoEの特定のiso形が脳中の脂質の過酸化のレベルを変
化させる可能性もあろう。
【0154】 ADの神経病理学的な変化は通常この病気の臨床的な診断が可能になる数年前
に始まるから、早期の段階でADを検出するために使用できる脂質の過酸化に対
する分子マーカーの決定が重要な目標である。このような分子マーカーを使用す
ると、ADの症状の発症を遅延させるためにできるだけ早くADの治療を開始す
るのことが容易になる。ADの患者から得られたCSF中の8,12−iso−
iPF2−VIのレベルと対照検体から得られたものとの間に全く重複がないこ
とは、このイソプロスタンの定量が温和な形のADの早期の検出に特に有用であ
ることを強く示唆している。さらに本発明方法によるイソプロスタンの上昇した
レベルの検出は、ADの症状を治癒させるかその進行を遅延させる抗酸化性化合
物または抗炎症性化合物のような治療用化合物の効力の評価についての将来の臨
床試験において検体を選ぶ場合の合理的な基礎として使用することができる。
【0155】
【表4】
【0156】
【表5】
【0157】 本明細書に記載した特許、特許出願および刊行物は引用することによりそれら
の全体が組み込まれる。
【0158】 以上特定の態様を参照して本発明を説明したが、当業界の専門家は本発明の精
神および範囲を逸脱することなく本発明の他の態様および変更を行い得ることは
明らかであろう。添付特許請求の範囲はこのようなすべての態様および同等な変
形を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 正常な対照検体(C)、アルツハイマー病患者(AD)、パーキンソン病患者
(PD)、および精神分裂症患者(SCHI)の大脳前頭極から採取されたイソ
プロスタンiPH−IIIのレベルを示すグラフ。iPH−IIIのレベ
ルは湿った組織試料1g当たりのpgで表されている。
【図2】 正常な対照検体(C)、アルツハイマー病患者(AD)、パーキンソン病患者
(PD)、および精神分裂症患者(SCHI)の大脳前頭極から採取されたイソ
プロスタンiPH−VIのレベルを示すグラフ。iPH−VIのレベルは
湿った組織試料1g当たりのpgで表されている。
【図3】 アルツハイマー病患者(AD)の大脳前頭極から採取されたイソプロスタンi
PH−IIIおよびiPH−VIのレベルを示すグラフ。イソプロスタン
のレベルは湿った組織試料1g当たりのpgで表されている。
【図4】 ADの診断で恐らくAD(ADpr)またはADの可能性がある(ADpo)
と診断された生きている人の患者から採取したCSF中の8,12−iso−i
PH−VIのレベルを示すグラフ。対照のグループには穏やかな認識障害(
MCI)の患者、前頭痴呆症(FD)の患者、およびそれに合わせた健康に加齢
した人から成る対照(Con)が含まれている。イソプロスタンのレベルはpg
/mLで表されている。
【図5】 ADの診断で恐らくAD(ADpr)またはADの可能性がある(ADpo)
と診断された生きている人の患者から採取した尿中の8,12−iso−iPH −VIのレベルを示すグラフ。対照のグループには穏やかな認識障害(MC
I)の患者、前頭痴呆症(FD)の患者、およびそれに合わせた健康に加齢した
人から成る対照(Con)が含まれている。イソプロスタンのレベルはng/m
Lで表されている。
【図6】 ADの診断で恐らくAD(ADpr)またはADの可能性がある(ADpo)
と診断された生きている人の患者から採取した血漿中の8,12−iso−iP
−VIのレベルを示すグラフ。対照のグループには穏やかな認識障害(M
CI)の患者、前頭痴呆症(FD)の患者、およびそれに合わせた健康に加齢し
た人から成る対照(Con)が含まれている。イソプロスタンのレベルはpg/
mLで表されている。
【図7】 図7A、7B、および7Cから成り、それぞれiPF−III、iPF −VIおよび8,12−iso−iPF−VIの化学構造を表す一連の式を
示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/61 C12Q 1/61 G01N 33/50 G01N 33/50 E 33/53 33/53 S (72)発明者 フイツジエラルド,ギヤレツト・エイ アメリカ合衆国ペンシルベニア州19087ウ エイン・チヤーチロード730 (72)発明者 ロカシユ,ジヨシユア アメリカ合衆国フロリダ州32937サテライ トビーチ・ランターバツクドライブ100 (72)発明者 プラテイコ,ドメニコ アメリカ合衆国ペンシルベニア州19103フ イラデルフイア・ユニツト131・ノースト エンテイセカンドストリート100 (72)発明者 トロジヤノウスキ,ジヨン・キユー アメリカ合衆国ペンシルベニア州19103フ イラデルフイア・パインストリート2005 Fターム(参考) 2G045 DA60 FB01 FB03 FB06 4B063 QA19 QQ03 QQ23 QQ70 QQ79 QQ96 QR48 QS14 QS33 QX01 4C084 AA17 MA01 NA05 ZA162 ZB212

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オキシダント・ストレス症候群または疾病をもつと疑われる
    哺乳動物の脂質の過酸化のレベルを測定する方法であって、 (a)該哺乳動物からの組織または体液の第1の試料を入手し、 (b)該第1の試料中に存在する脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マ
    ーカーのレベルを検定し、そして (c)該第1の試料中に存在する該イソプロスタン分子マーカーのレベルを、
    オキシダント・ストレス症候群または疾病に罹っていないが他の点に関しては同
    じ哺乳動物から得た組織または体液の第2の試料中に存在する該イソプロスタン
    分子マーカーのレベルと比較し、ここで該第2の試料中の該イソプロスタン分子
    マーカーのレベルに対する該第1の試料中に存在するイソプロスタン分子マーカ
    ーのレベルの上昇を該哺乳動物における脂質の過酸化のレベルの上昇の指標にし
    、これによって該哺乳動物にオキシダント・ストレス症候群または疾病が存在す
    ることを示すことを含んでなる方法。
  2. 【請求項2】 (a)の後、(b)の前において該第1の試料から該イソプ
    ロスタン分子マーカーを分離することを含んで成る請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 脂質の過酸化のレベルの上昇が反応性酸素種(ROS)のレ
    ベルの上昇を含んで成る請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 脂質の過酸化のレベルの上昇が炎症のレベルの上昇を含んで
    成る請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 脂質の過酸化のレベルの上昇がシクロオキシゲナーゼ(CO
    X)活性の上昇を含んで成る請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 該オキシダント・ストレスの病気がアルツハイマー病である
    請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 該イソプロスタン分子マーカーがiPF−III、iP
    −VIおよび8,12−iso−iPF−VIから成る群から選ばれる
    請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 該組織が脳の組織である請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 該の脳の組織が大脳前頭極および側頭極から成る群から選ば
    れる請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 該体液が髄液(CSF)、血漿および尿から成る群から選
    ばれる請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 哺乳動物のオキシダント・ストレス症候群または疾病を診
    断する方法であって、 (a)該哺乳動物からの組織または体液の第1の試料を入手し、 (b)該第1の試料中に存在する脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マ
    ーカーのレベルを検定し、そして (c)該第1の試料中に存在する該イソプロスタン分子マーカーのレベルを、
    オキシダント・ストレス症候群または疾病に罹っていない他の点に関しては同じ
    哺乳動物から得た組織または体液の第2の試料中に存在する該イソプロスタン分
    子マーカーのレベルと比較し、ここで該第2の試料中の該イソプロスタン分子マ
    ーカーのレベルに対する該第1の試料中に存在するイソプロスタン分子マーカー
    のレベルの上昇を該哺乳動物における脂質の過酸化のレベルの上昇の指標にし、
    これによって該哺乳動物にオキシダント・ストレス症候群または疾病が存在する
    ことを示すことを含んでなる方法。
  12. 【請求項12】 (a)の後、(b)の前において該第1の試料から該イソ
    プロスタン分子マーカーを分離することを含んで成る請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 オキシダント・ストレス症候群または疾病をもつと疑われ
    る哺乳動物の脂質の過酸化のレベルを測定する方法であって、 (a)該哺乳動物からの組織または体液の試料を入手し、 (b)全脂質溶媒抽出法を用いて該試料から該イソプロスタン分子マーカーを
    分離し、 (c)(b)由来の該イソプロスタン分子マーカーの検定を行い、そして (d)該イソプロスタン分子マーカーのレベルを定量することを含んでなる方
    法。
  14. 【請求項14】 該検定が合成した均質なイソプロスタン標準を含むガスク
    ロマトグラフ/質量分析法を使用する方法であり、該定量がピークの面積または
    ピークの高さを使用することを含んで成る請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 該オキシダント・ストレスの病気がアルツハイマー病であ
    る請求項13記載の方法。
  16. 【請求項16】 該イソプロスタン分子マーカーがiPF−III、i
    PF−VIおよび8,12−iso−iPF−VIから成る群から選ばれ
    る請求項13記載の方法。
  17. 【請求項17】 該組織が脳の組織である請求項13記載の方法。
  18. 【請求項18】 該脳の組織が大脳前頭極および側頭極から成る群から選ば
    れる請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 該体液が髄液(CSF)、血漿および尿から成る群から選
    ばれる請求項13記載の方法。
  20. 【請求項20】 哺乳動物のアルツハイマー病の治療に有用な化合物の同定
    方法であって、 (a)該化合物を投与する前に第1の哺乳動物から得た組織または体液の試料
    、あるいは該化合物を投与しないが他の点に関しては同じ第2の哺乳動物から得
    た組織または体液の試料のいずれかの中の脂質の過酸化に対するイソプロスタン
    分子マーカーのレベルを測定し、 (b)該第1の哺乳動物に該化合物を投与し、 (c)しかる後該第1の哺乳動物から得た組織または体液中の該イソプロスタ
    ン分子マーカーのレベルを測定し、そして (d)(c)で測定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルを(a)で
    測定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルと比較し、そしてここで(c
    )で測定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルが(a)で測定された該
    イソプロスタン分子マーカーのレベルに比べて減少している場合、該化合物は哺
    乳動物のアルツハイマー病の治療に有用であると同定することを含んで成る方法
  21. 【請求項21】 該イソプロスタン分子マーカーがiPF−III、i
    PF−VIおよび8,12−iso−iPF−VIから成る群から選ばれ
    る請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 該脳の組織が大脳前頭極および側頭極から成る群から選ば
    れる請求項20記載の方法。
  23. 【請求項23】 該体液が髄液(CSF)、血漿および尿から成る群から選
    ばれる請求項20記載の方法。
  24. 【請求項24】 哺乳動物のアルツハイマー病の治療に有用な化合物の有効
    量の同定方法であって、 (a)該化合物を投与する前に第1の哺乳動物から得た組織または体液の試料
    、あるいは該化合物を投与しないが他の点に関しては同じ第2の哺乳動物から得
    た組織または体液の試料のいずれかの中の脂質の過酸化に対するイソプロスタン
    分子マーカーのレベルを測定し、 (b)該第1の哺乳動物に該化合物の或る量を投与し、 (c)しかる後該第1の哺乳動物から得た組織または体液中の該イソプロスタ
    ン分子マーカーのレベルを測定し、そして (d)(c)で測定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルを(a)で
    測定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルと比較し、ここで(c)で測
    定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルが(a)で測定された該イソプ
    ロスタン分子マーカーのレベルに比べて減少している場合、該量が哺乳動物のア
    ルツハイマー病の治療に有用な該化合物の有効量であると同定することを含んで
    成る方法。
  25. 【請求項25】 哺乳動物のアルツハイマー病の治療に有用な化合物の最適
    濃度の決定方法であって、一連の濃度において該化合物を投与された一連の系列
    の哺乳動物の脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベルを監視
    し、一つまたはそれ以上の系列の哺乳動物の中で該イソプロスタン分子マーカー
    のレベルの減少が最大になり、それが該哺乳動物に対し毒性を与えない場合、該
    化合物の濃度を最適濃度とすることを含んでなる方法。
  26. 【請求項26】 哺乳動物のアルツハイマー病の治療に有用な化合物の最適
    投与周期の決定方法であって、一連の投与周期において該化合物を投与された一
    連の系列の哺乳動物の脂質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベ
    ルを監視し、一つまたはそれ以上の系列の哺乳動物の中で該イソプロスタン分子
    マーカーのレベルの減少が最大になり、該哺乳動物に対し毒性を与えない場合、
    該化合物の投与周期を最適投与周期と認定することを含んで成る方法。
  27. 【請求項27】 該化合物が抗酸化性化合物である請求項25記載の方法。
  28. 【請求項28】 該化合物が抗炎症性化合物であり、該化合物が哺乳動物の
    シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の活性を阻害するのに有効な一連の濃度で
    投与される請求項25記載の方法。
  29. 【請求項29】 第1の哺乳動物から得られた組織または体液の試料中の脂
    質の過酸化に対するイソプロスタン分子マーカーのレベルを減少させるのに有用
    な化合物の同定方法であって、 (a)該化合物を投与する前に第1の哺乳動物から得た組織または体液の試料
    、あるいは該化合物を投与しないが他の点に関しては同じ第2の哺乳動物から得
    た組織または体液の試料のいずれかの中の脂質の過酸化に対するイソプロスタン
    分子マーカーのレベルを測定し、 (b)該第1の哺乳動物に該化合物を投与し、 (c)しかる後該第1の哺乳動物から得た組織または体液中の該イソプロスタ
    ン分子マーカーのレベルを測定し、そして (d)(c)で測定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルを(a)で
    測定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルと比較し、ここで(c)で測
    定された該イソプロスタン分子マーカーのレベルが(a)で測定された該イソプ
    ロスタン分子マーカーのレベルに比べて減少している場合、該化合物は哺乳動物
    のイソプロスタン分子マーカーのレベルを減少させるのに有用であると同定する
    ことを含んで成る方法。
  30. 【請求項30】 該化合物が該哺乳動物の脳の組織の中のシクロオキシゲナ
    ーゼ酵素の活性を阻害するのに有効な量で存在する請求項29記載の方法。
  31. 【請求項31】 該化合物が該哺乳動物の脳の組織の中の反応性酸素種のレ
    ベルを減少させるのに有効な量で存在する請求項29記載の方法。
  32. 【請求項32】 該イソプロスタン分子マーカーがiPF−III、i
    PF−VIおよび8,12−iso−iPF−VIから成る群から選ばれ
    る請求項29記載の方法。
  33. 【請求項33】 哺乳動物のアルツハイマー病の診断用キットであって、 (a)該哺乳動物からの組織または体液の試料を入れる試料容器、 (b)該哺乳動物から得た該組織または該体液から脂質の過酸化に対するイソ
    プロスタン分子マーカーを抽出するのに使用する溶液、 (c)アルツハイマー病に罹っていない哺乳動物の組織または体液中に存在す
    る該イソプロスタン分子マーカーの濃度にほぼ等しい濃度で存在する脂質の過酸
    化に対する該イソプロスタン分子マーカーの負の対照溶液、 (d)アルツハイマー病に罹っている哺乳動物の組織または体液中に存在する
    該イソプロスタン分子マーカーの濃度にほぼ等しい濃度で存在する脂質の過酸化
    に対する該イソプロスタン分子マーカーの正の対照溶液、 (e)脂質の過酸化に対する該イソプロスタン分子マーカーに対する抗体、お
    よび (f)使用説明資料 を含んで成るキット。
  34. 【請求項34】 哺乳動物から得られた組織または体液中の脂質の過酸化に
    対するイソプロスタン分子マーカーのレベルの測定用キットであって、 (a)該哺乳動物からの組織または体液の試料を入れる試料容器、 (b)該哺乳動物から得た該組織または該体液から脂質の過酸化に対するイソ
    プロスタン分子マーカーを抽出するのに使用する溶液、 (c)アルツハイマー病に罹っていない哺乳動物の組織または体液中に存在す
    る該イソプロスタン分子マーカーの濃度にほぼ等しい濃度で存在する脂質の過酸
    化に対する該イソプロスタン分子マーカーの負の対照溶液、 (d)アルツハイマー病に罹っている哺乳動物の組織または体液中に存在する
    該イソプロスタン分子マーカーの濃度にほぼ等しい濃度で存在する脂質の過酸化
    に対する該イソプロスタン分子マーカーの正の対照溶液、 (e)脂質の過酸化に対する該イソプロスタン分子マーカーに対する抗体、お
    よび (f)使用説明資料 を含んで成るキット。
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