JP2002531083A - 植物の成長および収穫量を増大させる方法 - Google Patents

植物の成長および収穫量を増大させる方法

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JP2002531083A JP2000585391A JP2000585391A JP2002531083A JP 2002531083 A JP2002531083 A JP 2002531083A JP 2000585391 A JP2000585391 A JP 2000585391A JP 2000585391 A JP2000585391 A JP 2000585391A JP 2002531083 A JP2002531083 A JP 2002531083A
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nucleic acid
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ドエルナー、ピーター、ダブリュ.
ラム、クリストファー、ジェイ.
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Abstract

(57)【要約】 植物におけるサイクリンの発現レベルを上昇させることを含む、対応する野生型植物と比べて成長および収穫量が増大していることを特徴とする遺伝子改変された植物を作出する方法を提供する。この方法は、遺伝子の転写および発現を増大させるcycB1a;Atからの改変型核酸調節配列を用意することを含む。また、改変型核酸調節配列も提供する。さらに、成長および収穫量が増大していることを特徴とする遺伝子改変された植物も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は一般的に植物の遺伝子操作に関し、具体的には成長および収穫量が増
大していることを特徴とする遺伝子操作された植物の作出方法に関する。
【0002】発明の背景 各植物種に関して、自然環境条件によって植物成長に幅広い差異が存在する。
ほとんどの条件下では、植物の最大成長潜在力は発揮されていない。植物育種(b
reeding)は、植物の資源が個々の器官に転送されることにより成長が高められ得
るということを証明している。
【0003】 植物の遺伝子操作は、遺伝物質、例えばDNAまたはRNAを単離および操作
し、その後その遺伝物質を植物または植物細胞に導入することを必然的に伴うも
のであり、近年、植物育種および農業をかなり変化させた。農作物の食品価値の
増大、収穫量の増大、生産コストの低減、病害虫抵抗性、ストレス耐性、耐乾燥
性、医薬品、化学薬品および生物学的分子の生産、ならびにその他の有益な特性
がすべて、遺伝子操作技術によって得られる可能性がある。
【0004】 植物の成長は土壌に含まれる無機栄養素の利用可能性の増大に応答するが、シ
ュートと根は異なって応答する。さらに、無機栄養素の利用可能性と成長速度の
変化の直接的関係は広い濃度範囲にわたってまれにしか観察されていない。この
ことは、植物の成長が細胞増殖に必要な栄養素により物質的に制限されるだけで
なく、植物全体のために器官の成長速度を制御するシグナル伝達経路によっても
制限されることを示唆している。これらの調節経路の成分類は同定されていない
が、それらは植物の成長を向上させうる2つの明確な道を規定している。cdc2プ
ロモーターの制御下でのサイクリンタンパク質の蓄積の増加は、生育培養基にお
いて非限定条件下で根および植物全体の成長を増大させるのに十分であることが
示されている。
【0005】 植物は最適な条件のもとではみごとに成長する。植物の成長は水の利用可能性
、無機栄養素および短い生育シーズンにより制限され得る。所定の種の遺伝的変
種の長期日照りに対する耐性は、その根系が土壌に侵入する深さとよく相関して
いる。肥料はしばしば根系の不十分な土壌侵入のため最適には利用されない。昨
今では開花の誘導をコントロールすることによって、いくつかの重要な作物種の
潜在的生育範囲を引き延ばすことができるが、それだけでバイオマス(生物量)
の増加にはつながらない。
【0006】 遺伝子発現を操作する能力は、形質転換植物に新たな特性をもたらす手段を提
供する。例えば、植物の根系の大きさを増大させる能力は、土壌からの栄養素の
吸収を増大させることができるであろう。さらに、葉の成長を増大させる能力は
、太陽エネルギーを吸収する植物の能力を増大させるであろう。明らかに、植物
全体またはその特定の標的器官の成長を制御する能力が非常に所望されている。
【0007】発明の概要 本発明は、サイクリンの発現レベルを高めることによって植物の成長および収
穫量を増大させることができるという発見に基づくものである。
【0008】 第1の実施形態においては、本発明は、対応する野生型植物と比べて成長およ
び収穫量が増大していることを特徴とする遺伝子改変された植物を作出する方法
を提供する。この方法は、植物細胞に、サイクリンタンパク質をコードする核酸
と作動可能に結合された調節配列を含む核酸配列を接触させることにより、形質
転換された植物細胞を取得すること;形質転換された植物細胞から植物を作出す
ること;収穫量の増大を示す植物を選択すること;を含んでなる。特に、該核酸
はサイクリン遺伝子であり得、該調節配列はサイクリン遺伝子プロモーター、例
えばcycB1a;Atであり得る。
【0009】 別の実施形態においては、本発明は、異種核酸配列に作動可能に連結されたcy
cB1a;Atの調節配列を有する核酸配列を含む形質転換された植物細胞または形質
転換された植物を提供する。
【0010】 さらに別の実施形態において、本発明は、機能性cycB1a;At調節配列を有する
単離された核酸配列を提供する。特定の態様において、前記調節配列は配列番号
1に示される配列である。
【0011】 本発明はまた、本発明の方法により得られる植物、植物組織および種子を提供
する。
【0012】好ましい実施形態の説明 本発明は、農作物などの植物の収穫量を、植物におけるサイクリン発現レベル
を高めることによって増大させる方法を提供する。分裂に対して反応能のある植
物細胞におけるサイクリン発現の増大によって植物の成長の増大が生じる。
【0013】 好ましい実施形態においては、本発明は、遺伝子改変されていない植物(すな
わち野生型植物)と比べて収穫量が増大していることを特徴とする、遺伝子改変
された植物を産生する方法を提供する。この方法は、植物細胞をサイクリンタン
パク質をコードする核酸(ここで、核酸は調節配列と作動可能なように結合され
ている)と接触させて形質転換された植物細胞を得て、その形質転換植物細胞か
ら植物を産生させ、そしてその後成長および収穫量の増大を示す植物を選択する
ことを含む。
【0014】 さらなる実施形態においては、本発明の調節配列はcycB1a;At遺伝子に由来す
る。cycB1a;At遺伝子の調節配列は、長さが約1.2kbである。しかし、この調節配
列の機能的な断片が提供され、該断片は該調節配列に作動可能なように連結され
た核酸配列に改変された転写活性を付与する。「改変された転写活性」とは、連
結された配列の転写が、連結された配列の野生型の発現よりも、多くなるかまた
は少なくなることを意味する。
【0015】 本明細書で用いられる場合、「収穫量」または「植物の収穫量」という用語は
、作物の成長の増大および/または生物量の増大を意味する。一つの実施形態に
おいては、収穫量の増大は成長速度の増大および根の大きさの増大から生じる。
別の実施形態においては、収穫量の増大は、シュートの成長から誘導される。さ
らに別の実施形態においては、収穫量の増大は果実の成長から誘導される。
【0016】 「農学的」という用語は、本明細書中で用いられる場合、限定するものではな
いが、植物の収穫量、成長または根の大きさの変化を含む。その他の農学的特性
として、害虫への耐性、タンパク質の産生、乾燥への耐性、およびその他農業的
生産およびビジネスに望ましい要素が含まれる。
【0017】 「遺伝子改変」という用語は、本明細書で用いられる場合、1以上の外因性核
酸配列、例えばサイクリンをコードする配列、ならびに調節配列を1以上の植物
細胞に導入することを意味し、全体的な(whole)、性的に反応能のある(sexually
competent)、生存能力のある植物を作製することができる。「遺伝子改変され
た」という用語は、本明細書で用いられる場合、上記のプロセスによって作製さ
れた植物をいう。本発明の遺伝子改変された植物は、生殖細胞系列内に保持され
た外来遺伝子を挿入するか農業的に有用な植物変種に改良することができるよう
な自家受粉能または同種のその他の植物との他家受粉能を有する。「植物細胞」
という用語は、本明細書で用いられる場合、プロトプラスト、配偶子産生細胞、
および全植物に再生される細胞を意味する。
【0018】 本明細書で用いられる場合、「植物」という用語は、全植物、植物部分、植物
細胞、または植物組織もしくは植物種子のような植物細胞の1群のいずれかを意
味する。苗木も「植物」の意味に含まれる。本発明に含まれる植物は、形質転換
技術に適合可能な任意の植物であり、裸子植物ならびに単子葉類と双子葉類の両
方の被子植物が挙げられる。
【0019】 単子葉類被子植物の例としては、限定するものではないが、アスパラガス、ト
ウモロコシ(field corn)、スイートコーン、大麦、小麦、米、モロコシ、タマネ
ギ、パールミレット、ライ麦、カラスムギ、およびその他の穀類(cereal grains
)が挙げられる。双子葉類被子植物の例としては、限定するものではないが、ト
マト、タバコ、綿、菜種、圃場豆(field beans)、大豆、コショウ、レタス、エ
ンドウ、アルファルファ、クローバー、アブラナ属作物もしくはアブラナ オレ
ラセア(Brassica oleracea)(例えば、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー
、芽キャベツ)、ラディッシュ、ニンジン、ビート(beets)、ナス、ホウレンソ
ウ、キュウリ、カボチャ、メロン、カンタロープ、ヒマワリ、および種々の鑑賞
植物が挙げられる。木種の例としては、ポプラ、マツ、セコイア、ヒマラヤスギ
、オークなどが挙げられる。
【0020】 「外因性核酸配列」という用語は、本明細書で用いられる場合、受容植物宿主
とは関係ない核酸、または固有の(native)核酸がその原形から実質的に改変され
ている場合にはその宿主固有の核酸を意味する。例えば、この用語は、宿主種に
源を発する核酸を含み、そのような配列は、天然または野生型プロモーターとは
異なるプロモーターに作動可能なように連結されている。本発明の一般的な方法
においては、サイクリンをコードする少なくとも1種の核酸配列がプロモーター
に作動可能なように連結されている。サイクリン発現を高めるためには、サイク
リンポリヌクレオチドの1以上のコピーを植物に導入するのが望ましくあり得る
。例えば、サイクリンポリヌクレオチドの多数のコピーは植物におけるサイクリ
ンの産生をさらにいっそう高める効果を有するであろう。
【0021】 「調節配列」という用語は、本明細書で用いられる場合、作動可能なように結
合された遺伝子の転写を制御することが可能な核酸配列を意味する。したがって
、プロモーターまたは調節エレメントの調節支配下に遺伝子を配置するというこ
とは、遺伝子の発現が調節配列によって制御されるように遺伝子を配置するとい
うことを意味する。一般に、プロモーターは、それらが制御する遺伝子の5'側(
上流)に位置している。したがって、プロモーター遺伝子の組み合わせの構築に
おいては、プロモーターは、好ましくは、遺伝子の上流の、プロモーターとプロ
モーターが自然環境において制御する遺伝子の間の距離に近い転写開始部位から
の距離のところに配置されている。当技術分野で公知のように、この距離の多少
の変動はプロモーターの機能を損なうことなく許容され得る。同様に、エンハン
サーなどの調節エレメントの、その支配下に置かれた異種遺伝子に対する好まし
い位置は、そのエレメントが天然で調節する構造遺伝子に対する天然の位置を反
映する。
【0022】 本発明で利用されるサイクリンをコードする核酸としては、例えばサイクリン
Bなどの分裂サイクリンをコードする核酸、例えばサイクリンAなどのS期サイ
クリンをコードする核酸、ならびにG1期サイクリンをコードする核酸が挙げら
れる。本明細書で利用することができる具体的なサイクリンとしては、cyc1aAt
、cyc3aAt、cyc3bAt、cycB1a;At、cycd1、cycd2などが挙げられる。好ましくは
、本発明の方法で用いられる核酸はcyc1aAtタンパク質をコードするものである
(遺伝子バンク受託No.X62279)。
【0023】 本発明の遺伝子改変された植物は、植物細胞を所望のサイクリンをコードする
核酸配列と接触させることによって産生される。植物細胞に導入された場合に有
効であるためには、サイクリンをコードする核酸は、植物細胞においてサイクリ
ン導入遺伝子の転写を誘導するのに有効なプロモーターと作動可能なように結合
されなければならない。さらに、植物細胞において認識されるポリアデニル化配
列または転写調節配列も使用され得る。本明細書に記載されているように、核酸
はベクターによって導入されるのが好ましく、そしてその核酸配列を有するベク
ターは、培養物中で形質転換細胞を非形質転換細胞から選択することができるよ
うに1以上の選択マーカー遺伝子をも含むのが好ましい。
【0024】 「作動可能なように結合された」または「作動可能に連結された」という用語
は、調節配列、好ましくはプロモーター配列と、プロモーターによって調節され
るサイクリンをコードする核酸配列との機能的な連結を意味する。作動可能なよ
うに連結されたプロモーターは、サイクリン核酸配列の発現を制御する。
【0025】 本発明において用いられるサイクリン遺伝子の発現は、いくつかのプロモータ
ーによって誘導され得る。内因性、または目的の構造遺伝子の天然プロモーター
が遺伝子の転写調節に利用され得るが、好ましくは、プロモーターは外来の調節
配列である。
【0026】 そのような調節配列にはcycBla;At調節配列およびその断片が含まれる。その
ような断片には、転写開始部位(すなわち-1)の約-1148塩基上流の配列、並び
に-1〜-60、-1〜-120、-1〜-205、-1〜-286および-1〜-351の配列が含まれる。
このように、例えばリプレッサー機能およびエンハンサー機能、または調節配列
を改変することにより、改変調節配列は、所望の目的の遺伝子を増加されたレベ
ルで送達する方法を提供する。例えば、cycBla;At調節配列をリプレッサー機能
を除去するように欠失させて、増加された遺伝子発現をもたらす調節配列を提供
し得る。そのようなcycBla;At配列の欠失の例としては、限定されるわけではな
いが、-286または-205まで欠失されたサイクリンプロモーターが挙げられる。
【0027】 全植物の成長および収穫量を増大させることが望ましい場合、サイクリン発現
は、植物における分裂可能な全ての細胞に誘導されるべきである。これは、全て
の分裂組織において活性なプロモーターを用いることによって達成することがで
きる。そのようなプロモーターとしては、例えば、cdc2aプロモーターおよびcyc
07プロモーターが挙げられる(例えば、Itoら, Plant Mol. Biol. 24:863, 1994
; Martinezら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7360, 1992; Medfordら, Plant
Cell, 3:359, 1991; Teradaら, Plant Journal, 3:241, 1993; Wissenbachら,
Plant Journal, 4:411, 1993を参照されたい)。
【0028】 特定の器官の成長および収穫量を増大させることが望ましい場合、サイクリン
発現は、適当な分裂組織、例えばシュート分裂組織、花分裂組織、根分裂組織な
どを標的とするべきである。これは、組織特異的プロモーターを用いることによ
って達成することができる。シュート分裂組織において活性な組織特異的プロモ
ーターの例は、Atanassovaら, Plant Journal, 2:291, 1992およびModfordら, P
lant Cell, 3:359,1991に記載されている。花分裂組織において活性な組織特異
的プロモーターの例には、Bowmanら, Plant Cell, 3:749, 1991およびMandelら,
Nature, 360:273, 1992に記載されているagamousおよびapetala 1遺伝子のプロ
モーターがある。
【0029】 選択された特定のプロモーターは、収穫量の増大および/または生物量の増大
をもたらすのに十分なサイクリン発現を引き起こすことが可能であるべきである
。サイクリン発現は分裂に反応能のある細胞において変更することができるとい
うことが理解されるべきである。本発明のベクター構築物に用いられるプロモー
ターは、所望により、その制御特性に影響を及ぼすように改変してもよい。例え
ば、cycBla;At調節配列の5’末端からの欠失は、転写活性を増加させる。
【0030】 任意に、選択マーカーをサイクリンをコードする核酸に結合してもよい。本明
細書において用いられる場合、「マーカー」という用語は、マーカーを含む植物
または植物細胞の選択またはスクリーニングを可能にするトレイトまたは表現型
をコードする遺伝子を意味する。好ましくは、マーカー遺伝子は抗生物質耐性遺
伝子であり、それによって適当な抗生物質を用いることにより形質転換されてい
ない細胞から形質転換された細胞を選択することができる。適当な選択マーカー
の例としては、アデノシンデアミナーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ハイグロ
マイシンBホスホトランスフェラーゼ、チミジンキナーゼ、キサンチン−グアニ
ンホスホリボシルトランスフェラーゼおよびアミノグリコシド3'-O-ホスホトラ
ンスフェラーゼIIが挙げられる。その他の適当なマーカーは当業者には公知であ
ろう。
【0031】 本発明にしたがって形質転換プロセスを開始するために、まず、適当なベクタ
ーを構築し、それを植物細胞に適正に導入することが必要である。本発明におい
て植物細胞の形質転換に用いられるベクターは、例えば、cycBla;Atまたはその
断片等のプロモーターと作動可能なように結合されたサイクリンをコードする核
酸配列を含む。本明細書で利用されるベクターの構築の詳細は、植物遺伝子工学
の分野の当業者には公知である。
【0032】 植物発現ベクターに関しては、好適なウイルスプロモーターには、CaMVの35S
RNAおよび19S RNAプロモーター (Brissonら、Nature, 310:511, 1984;Odellら、
Nature, 313:810, 1985);フィグウォート(Figwort)モザイクウイルス(FMV)由来
の全長転写プロモーター(Gowdaら、J. Cell Biochem., 13D:301, 1989)およびTM
Vへのコートタンパク質プロモーター(Takamatsuら、EMBO J. 6:307, 1987)が含
まれる。他には、リブロース二リン酸カルボキシラーゼのスモールサブユニット
(ssRUBISCO)由来の光誘導性プロモーター(Coruzziら、EMBO J., 3:1671, 1984;B
roglieら、Science, 224:838, 1984);マンノピンシンターゼプロモーター(Velte
nら、EMBO J., 3:2723, 1984)ノパリンシンターゼ(NOS)およびオクトピンシンタ
ーゼ(OCS)プロモーター(Agrobacterium tumefaciensの腫瘍誘導性プラスミドに
担持されている)または大豆hsp17.5-Eもしくはhsp17.3-B等の熱ショックプロモ
ーター(Gurleyら、Mol. Cell. Biol., 6:559, 1986;Severinら、Plant Mol. Bi
ol., 15:827, 1990)が用いられ得る。
【0033】 本発明において有用なプロモーターには、天然の構成的および誘導性プロモー
ター並びに遺伝子操作されたプロモーターの双方が含まれる。CaMVプロモーター
は構成的プロモーターの例である。最も有用であるには、誘導性プロモーターは
、1)誘導物質の不在下では低発現を提供する;2)誘導物質の存在下では高発現を
提供する;3)正常な植物の生理を妨害しない誘導スキームを使う;そして4)他の
遺伝子の発現に影響を及ぼさないものでなければならない。植物において有用で
ある誘導性プロモーターの例には、銅イオンによって活性化される酵母メタロチ
オネインプロモーター(Mettら、Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 90:4567, 19
93);置換ベンゼンスルホンアミド(除草剤の毒性緩和剤等)によって活性化さ
れるIn2-1およびIn2-2調節配列(Hersheyら、Plant Mol. Biol., 17:679, 1991
);およびグルココルチコイドによって誘導されるGRE調節配列(Schenaら、Pro
c. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 88:10421, 1991)等の化学的手段により誘導さ
れるものが含まれる。他のプロモーターも、構成的なものと誘導性のものの双方
が当業者には良く知られ得るであろう。
【0034】 選択される特定のプロモーターは、十分な発現を生ぜしめ、有効な量の構造遺
伝子産物(植物病原体に対する耐性の増加をもたらすCDR1ポリペプチド等)の産
生をもたらす能力を有していなければならない。本発明のベクター構築物に用い
られるプロモーターは、所望により、その制御特性に影響を及ぼすように改変し
ても良い。
【0035】 組織特異的プロモーターもまた、本発明において用いられ得る。組織特異的プ
ロモーターの例は、シュート分裂組織において活性なプロモーター(Atanassova
ら, Plant J., 2:291, 1992)である。トランスジェニック植物において有用な他
の組織特異的プロモーターは、cdc2aプロモーターおよびcyc07プロモーターを含
み、当業者には良く知られ得るであろう(例えば、Itoら、Plant Mol. Biol., 2
4:863, 1994;Martinezら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:7360, 1992;Medfor
dら、Plant Cell, 3:359, 1991;Teradaら、Plant Journal, 3:241, 1993;Wissen
bachら、Plant Journal, 4:411, 1993を参照されたい)。
【0036】 発現を特定の植物部分に限定したり、または特定の刺激に応答して限定するプ
ロモーターが知られている。例えば、ジャガイモ塊茎特異的プロモーター(パタ
チン(patatin)プロモーター等)、またはADPグルコースピロホスホリラーゼのラ
ージまたはスモールサブユニットに関するプロモーターを、CDR1に作動可能なよ
うに結合させると、主として塊茎における発現が得られ、それにより塊茎への攻
撃(エルウィニアによるもの等)に対する耐性が提供される。果実特異的プロモ
ーターは、イチゴやブドウにおいて表皮菌(Botrytis)耐性を付与するために望ま
しいであろう。根特異的プロモーターは、小麦または大麦の根においてCDR1を発
現させGgtに対する耐性をもたらすために望ましいであろう。当業者は本発明に
おいて有用であり得る、多数のこのような植物部分特異的プロモーターを知り得
るであろう。
【0037】 他には、利用するプロモーターを、真菌類感染に応答してCDR1を特異的に発現
させるべく選択してもよい。真菌類病原体による植物への感染は、防御関連遺伝
子または病因関連(PR)遺伝子を活性化させる。これらは、(1)フェニルアラニン
アンモニアリアーゼ、カルコンシンターゼ、4-クマリン酸coAリガーゼおよびク
マリン酸4-ヒドロキシラーゼ等のフェニルプロパノイド代謝に関連する酵素、(2
)ヒドロキシプロリンに富むグリコプロテイン、グリシンに富むタンパク質およ
びペルオキシダーゼ等の植物細胞壁を改変するタンパク質、(3)キチナーゼおよ
びグルカナーゼ等の、真菌細胞壁を分解する酵素、(4)タウマチン様タンパク質
、または(5)機能が未知のタンパク質をコードするものである。これらの防御関
連遺伝子またはPR遺伝子は、多数の植物種から単離され、特徴づけられている。
これらの遺伝子のプロモーターを用いて、トランスジェニック植物において、こ
れらの植物が病原体(特にPi等の真菌類病原体)に攻撃された場合にCDR1を発現
させ得るであろう。選択される特定のプロモーターは、十分なCDR1の発現を生ぜ
しめ、有効量のポリペプチドの産生をもたらす能力を有していなければならない
【0038】 本発明の核酸構築物において用いられるプロモーターは、所望により、その制
御特性に影響を及ぼすように改変してもよい。例えば、CaMV 35Sプロモーターを
、光の不在下ではssRUBISCOの発現を抑制するssRUBISCO遺伝子の一部に結合し、
葉においては活性であるが根においては活性ではないプロモーターを作製し得る
であろう。その結果得られるキメラプロモーターは、本明細書に記載されたよう
に使用し得る。この記述のために、「CaMV 35S」プロモーターという用語は、Ca
MV 35Sプロモーター変異体(例えば、オペレーター領域との連結、ランダムでま
たは制御下での突然変異誘発等の手段により誘導されたプロモーター等)を含む
ものである。さらに、プロモーターを、複数の「エンハンサー配列」を含有させ
て遺伝子発現の上昇を支援し得るように変化させてもよい。
【0039】 本発明で利用されるサイクリンをコードする核酸配列は、アグロバクテリウム
ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)(A.ツメファシエンス)のTiプ
ラスミド、アグロバクテリウム リゾジーンズ(Agrobacterium rhizogenes)(A.
リゾジーンズ)の根誘導(Ri)プラスミドおよび植物ウイルスベクターを用いる
ことにより植物細胞に導入することができる(かかる技術の概略については、例
えば、Weissbach & Weissbach, 1988, Methods for Plant Molecular Biology,
Academic Press, ニューヨーク, 第VIII節, 第421-463頁;およびGrierson & Co
rey, 1988, Plant Molecular Biology, 第2版, Blackie, ロンドン, 第7-9章、
およびHorschら, Science, 227:1229, 1985を参照されたい。これらはいずれも
参照により本明細書に含まれるものである)。アグロバクテリウア菌のTiまたは
Riプラスミドから誘導された植物形質転換ベクター以外にも、別法としては、例
えば、リポソームの使用、エレクトロポレーション、遊離のDNA取込みを増大
させる化学薬品、ウイルスまたは花粉を用いる形質転換、ならびにマイクロプロ
ジェクション(microprojection)の使用が含まれ得る。
【0040】 当業者は比較的無傷の状態のサイクリンをコードする核酸配列を導入するのに
適したベクターを選択することができるであろう。したがって、導入されたサイ
クリンをコードする核酸を有する植物を産生するベクターは、いずれも十分なは
ずである。裸の(naked)DNAの断片を使用した場合でも低効率ではあるが本発
明の特性が得られるものと予想される。ベクターの選択、またはベクターを使用
するかどうかは、典型的には、選択される形質転換方法によって導き出される。
【0041】 本発明による植物の形質転換は、本質的に、植物分子生物学の分野の当業者に
公知の種々の方法のいずれかにおいて行い得る(例えば、Methods of Enzymolog
y, 第153巻, 1987, WuおよびGrossman編, Academic Pressを参照されたい。これ
は参照により本明細書に含まれるものである)。本明細書で用いられる場合、「
形質転換」という用語は、サイクリン−核酸配列の導入による宿主植物の遺伝子
型の変更を意味する。
【0042】 例えば、サイクリンをコードする核酸は、上記で簡単に述べたように、Tiプラ
スミドを含むA. ツメファシエンス(A. tumefaciens)を利用することによって
植物細胞に導入することができる。形質転換媒体(vehicle)としてA.ツメファシ
エンス培養液を用いる場合、形質転換された組織の正常な非がん遺伝子分化が可
能であるようにアグロバクテリウムの非がん遺伝子株をベクター担体として用い
ることが最も有利である。また、アグロバクテリウムは、バイナリーTiプラスミ
ド系を有することも好ましい。そのようなバイナリー系は、1)転移DNA(T
−DNA)の植物への導入に必須の毒性領域を有する第1のTiプラスミド、およ
び2)キメラプラスミドを含む。このキメラプラスミドは導入される核酸に隣接
する野生型TiプラスミドのT−DNA領域の少なくとも1個のボーダー(border)
領域を含む。バイナリーTiプラスミド系は、植物細胞の形質転換において有効で
あることが示されている(De Framond, Biotechnology, 1:262, 1983; Hoekema
ら, Nature, 303:179, 1983)。そのようなバイナリー系は、A.ツメファシエン
スのTiプラスミドへの組込み(これは古い方法論である)を必要としないので、
好ましい。
【0043】 本発明による形質転換においてアグロバクテリウムの使用を含む方法は、限定
するものではないが、1)アグロバクテリウムと、培養され、単離されたプロト
プラストとの共培養;2)アグロバクテリウムを用いた植物細胞または組織の形
質転換;または3)アグロバクテリウムを用いた種子、頂部または分裂組織の形
質転換を含む。さらに、遺伝子導入は、Bechtoldら(C.R. Acad. Sci. Paris, 31
6:1194, 1993)によって記載され、本明細書の実施例において説明されているよ
うに、アグロバクテリウムによるin planta形質転換によって行うことができる
。このアプローチはアグロバクテリウム細胞の懸濁液の減圧浸潤に基づくもので
ある。
【0044】 サイクリンをコードする核酸を植物細胞に導入する好ましい方法は、そのよう
な植物細胞、外植体、分裂組織または種子に、上記のように形質転換されたA.ツ
メファシエンスを感染させることである。当技術分野で公知の適当な条件下で、
形質転換された植物細胞を成長させてシュート、根を形成させ、さらに植物に発
達させる。
【0045】 一方、サイクリンをコードする核酸を機械的または化学的手段を用いて植物細
胞に導入することができる。例えば、マイクロピペットを用いたマイクロインジ
ェクションによって核酸を植物細胞に機械的に導入することができる。また、核
酸は、細胞に取り込まれる遺伝物質と沈降複合体を形成するポリエチレングリコ
ールを用いることによって植物細胞に導入することが可能である。
【0046】 また、サイクリンをコードする核酸は、エレクトロポレーションによって植物
細胞に導入することもできる(Frommら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82:5
824, 1985、これは参照により本明細書に含まれるものである)。この技術にお
いて、植物プロトプラストは、関連核酸配列を含むベクターまたは核酸の存在下
でエレクトロポレートされる。高電圧の電気インパルスを可逆的に膜に透過させ
て核酸を導入する。エレクトロポレートされた植物プロトプラストは細胞壁を再
構成し、分裂し、植物カルスを形成する。形質転換された遺伝子で形質転換され
た植物細胞の選択は、本明細書に記載したように表現型マーカーを用いて行うこ
とができる。
【0047】 サイクリンをコードする核酸を植物細胞に導入するための別の方法は、導入す
べき核酸を小粒子のマトリックス内またはその表面上に含む、該小粒子による高
速弾道侵入(high velocity ballistic penetration)である(Kleinら, Nature 3
27:70, 1987)。また、衝撃(bonbardment)形質転換法もSanfordら(Techniques
3:3-16, 1991)およびKleinら(Bio/Techniques 10:286, 1992)によって記載さ
れている。典型的には、新規核酸配列の1個のみの導入が要求されるが、この方
法は、特に多数導入を与えるものである。
【0048】 カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)も核酸を植物細胞に導入するため
のベクターとして使用し得る(米国特許第4,407,956号)。CaMVウイルスD
NAゲノムを、細菌中で増殖することができる組換えDNA分子を作り出す親細
菌プラスミドに挿入する。クローニング後、組換えプラスミドを再度クローニン
グして所望の核酸配列の導入によってさらに改変し得る。次いで、組換えプラス
ミドの改変されたウイルス部分を親細菌プラスミドから切り出して、植物細胞ま
たは植物の接種に用いる。
【0049】 本明細書で用いられる場合、「接触させる」という用語は、上記のような化学
的および物理的手段などの、サイクリンをコードする核酸を植物細胞に導入する
任意の手段を意味する。好ましくは、接触させるとは、核酸または核酸を含むベ
クターを上記のようなサイクリンをコードする核酸で形質転換されたA.ツメファ
シエンスによって植物細胞(外植体、分裂組織、種子など)に導入することをい
う。
【0050】 通常、形質転換プロセスから植物細胞を再生させて完全な植物が得られる。形
質転換の即時産物は「トランスジノート(transgenote)」と称する。「成長」ま
たは「再生」という用語は、本明細書で用いられる場合、植物細胞、植物細胞の
1群、植物部分(種子など)または植物断片(例えばプロトプラスト、カルスま
たは組織の一部)から完全な植物に成長させることを意味する。
【0051】 プロトプラストからの再生は植物の種間で変化するが、一般的には、まずプロ
トプラストの懸濁液が製造される。ある一定の種においては、次いでプロトプラ
スト懸濁液から胚形成を誘導することができる。培養培地には、一般的に、成長
および再生に必要な種々のアミノ酸およびホルモンが含まれる。利用されるホル
モンの例としては、オーキシンおよびサイトカイニンが挙げられる。効率的な再
生は培地、遺伝子型、および培養の履歴に依存する。これらの変化因子を制御し
た場合、再生が再現可能である。
【0052】 また、再生は、植物カルス、外植体、器官または部分からも生じる。形質転換
は、器官または植物部分の再生に関連して行うことができる(Methods in Enzym
ology, 第118巻およびKleeら, Annual Review of Plant Physiology, 38:467, 1
987を参照されたい)。Horschら, Science, 227:1229, 1985のリーフディスク−
形質転換−再生法を利用することによってディスクを選択培地で培養すると、そ
の後約2〜4週間のうちにシュートが形成される。発達したシュートをカルスか
ら切り出し、適当な根を誘導する選択培地に移植する。根が伸びた苗木を、根が
現れたらできるだけはやく土壌に移植する。苗木は、必要に応じて成熟するまで
別の大きな鉢に植え替えることができる。
【0053】 栄養繁殖した作物においては、成熟トランスジェニック植物を、挿木または多
数の同一植物を産生させるための組織培養技術を利用することによって繁殖させ
る。所望のトランスジノートの選択が行われ、新しい品種を得て、商業用途のた
めに栄養繁殖する。
【0054】 種子繁殖作物においては、成熟トランスジェニック植物は自家交配して同型接
合性近交植物を産生することができる。得られた近交植物は、新たに導入された
外来遺伝子を含む種子を産生する。これらの種子は、成長し、選択された表現型
、例えば収穫量の増大をもたらす植物を産生することができる。
【0055】 花、種子、葉、枝、根、果実などの再生された植物から得られる部分は、これ
らの部分が記載したような形質転換された植物細胞を含む場合、本発明に含まれ
るものである。再生された植物の後代および変種、ならびに突然変異体も、これ
らの部分が導入された核酸配列を含む場合、本発明の範囲に含まれるものである
【0056】 野生型植物と比べて成長および/または収穫量の増大を示す植物は、視覚的な
観察によって選択することができる。本発明は、本発明の方法によって産生され
た植物ならびに植物組織および種子を含むものである。
【0057】 別の実施形態においては、本発明は、収穫量の増大が可能な植物を、サイクリ
ンプロモーターを誘導する量のサイクリン遺伝子発現を誘導する作用物質と接触
させることによって、成長および収穫量が増大していることを特徴とする植物を
産生する方法を提供する。サイクリン遺伝子発現の誘導によって、その作用物質
と接触させていない植物と比べて収穫量が増大した植物が産生される。
【0058】 「収穫量の増大が可能な植物」とは、その内因性サイクリン遺伝子の発現を誘
導して収穫量を増大させることができる植物をいう。「プロモーターを誘導する
量」という用語は、内因性サイクリンプロモーターを刺激することによって、作
用物質と接触させていない植物細胞におけるサイクリン発現よりもサイクリン遺
伝子発現を高めさせるのに必要な作用物質の量を意味する。例えば、転写因子ま
たは化学物質を用いることにより天然サイクリンプロモーターからの遺伝子発現
を高め得るものであり、これによってプロモーターおよびサイクリン遺伝子発現
が誘導され得る。
【0059】 また、本発明は、選択された組織における核酸配列の転写を増大させる方法も
提供する。この方法は、サイクリンタンパク質をコードする外因性遺伝子を含む
核酸構築物がゲノム内に組み込まれている植物を成長させることを含み、ここで
、該遺伝子は組織特異的プロモーターと作動可能なように結合されており、それ
によって該遺伝子の転写が該選択組織中で増大するものである。
【0060】 植物の発達は、分裂組織によって媒介される後胚器官形成により行われる(Ste
evesおよびSussex, Patterns in Plant Development, 1-388(Press Syndicate o
f the University of Cambridge, ケンブリッジ, 1989))。細胞分裂は分裂組織
の形成(initiation)、維持および貫性(proliferative)成長に固有のものである
が、成長および発達の調節における細胞周期の役割は不明確である。この問題に
取り組むために、cdc2およびサイクリン遺伝子(それぞれ、細胞周期進行を制御
するサイクリン依存タンパク質キナーゼの触媒および調節サブユニットをコード
する)(MurrayおよびHunt, The Cell Cycle(ニューヨーク), 1993)の発現を調
べた。頂端分裂組織だけでなく静止分裂組織においても発現するcdc2とは異なり
(Martinezら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:7360, 1992)、cyc1aAtの転写
物は活性分裂組織に特異的に蓄積され、細胞質分裂前に即座に細胞を分裂させる
。シロイヌナズナ(Arabidopsis)植物は、発達のパターンが変更されたり腫瘍形
成が誘導されることなく成長が著しく増進された。したがって、サイクリン発現
は成長の制限要因である。
【0061】 上記の開示は、本発明を一般的に説明するものである。より完全な理解は、下
記の具体例を参照することによって得られ得る。この具体例は単に説明の目的の
ために本明細書に記載されているものであり、本発明の範囲を限定するものでは
ない。
【0062】実施例1 全長cyc1aAtサイクリンcDNAをシロイヌナズナcdc2aAtプロモーター(Heme
rlyら, 1992, 前出)の制御下に配置した。キメラ遺伝子を、選択マーカーであ
るハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(Hyg)を有するT−DNA形質転
換ベクターにクローニングし、減圧浸潤法(BechtoldおよびPelletier, Acad. S
ci. Paris, Life Sci., 316:1194, 1993)を用いてシロイヌナズナ中に形質転換
してアグロバクテリウム ツメファシエンスを導入した。cyc1aAt mRNAの
定常状態レベルが上昇したいくつかの独立トランスジェニック系は、主根および
側根の両方の成長速度の劇的な増大を示し、これは生(fresh)重量、乾燥重量お
よびDNA含量の増大と比例関係にあったが、細胞の大きさとは相関していなか
った。成長の増大は規則的であり、形態学的には相違が観察されず、明らかに腫
瘍形成性ではなかった。
【0063】 シロイヌナズナ苗(生態型(ectotype)コロンビア)を20mlのMS培地(Murash
igeおよびSkoog, Physiol. Plant., 15:473, 1962)中で成長させた。8日齢〜1
0日齢の植物を、50mMリン酸カリウム、pH5.5で緩衝化したMS培地に移し、IA
Aを10μMeff まで加えることによって(非解離IAA)側根の形成を刺激した
。指示された時点で根を回収し、全RNAおよびタンパク質を単離した。500ng
のポリ(A)+RNAを1%ホルムアルデヒドゲル上で分離して(Ausubelら, Curr
ent Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wile
y-Interscience, ニューヨーク, 1987)、Nytran膜に移し(SchleicherおよびSc
hull)、cyc1aAt(Hemerlyら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:3259, 1992)の
ヌクレオチド(nt)674〜1004またはシロイヌナズナcdc2aAt(Hirayamaら, Gene, 1
05:159, 1991)のnt 661〜1386に対応する32P標識プローブとハイブリダイズさ
せ、その後標準化(normalization)のためにシロイヌナズナUBQ3(Norrisら, Pla
nt Mol. Biol., 21:895, 1993)のnt 2576〜2824とハイブリダイズさせた。分子
動力学ホスホイメージャー(Molecular Dynamics Phosphorimager)を用いてブロ
ットを定量した。cyc1aAtはシロイヌナズナにおけるシングルコピー遺伝子であ
る。全タンパク質を12%SDS-PAGEにて分離し、PVDF膜に移した。p34cdc2aAt
、ウサギ中でアミノ酸286〜294に対応するペプチドYFKDLGGMP(配列番号1)に
対して生じさせた血清を用いて検出し、化学発光増幅アッセイ(Enhanced Chemil
uminescence Assay)(Amersham)によって視覚化した。
【0064】 図1は、定常状態レベルのcdc2aAt mRNAおよびp34タンパク質を示すも
のであり、パネルaは側根分裂組織のIAA誘導中のcdc1aAt mRNAを示し
、パネルbは選択された非誘導トランスジェニック系におけるcdc1aAt mRN
Aを示し、パネルcは野生型に対して標準化した転写物レベルを示す。Col-0;
野生型;1A2、2A5、4A3、11A1:T2ホモ接合性トランスジェニック系;6A、7A、8
A:T1ヘテロ接合性トランスジェニック系。4A3、6A、7A、8A、および3A系のcdc1
aAt mRNAレベルはIAA誘導野生型根のものより高かった。
【0065】 細胞当たりのcdc2 mRNAとp34cdc2 タンパク質のレベルは、オーキシンイ
ンドール酢酸(IAA)による側根形成の刺激の後それほど変化しなかった(図
1、パネルa)。したがって、cdc2発現が分裂に対する反応能と相関する一方、
根成長および側根の形成はサイクリン依存性タンパク質キナーゼp34触媒サブユ
ニットの発生量によって限定されるようには見えず、さらに、トランスジェニッ
クシロイヌナズナにおけるcdc2の異所性発現によって成長または発達を混乱させ
ることはできなかった(Hemerlyら, EMBO J., 14:3925, 1995)。
【0066】 それとは対照的に、シロイヌナズナ根のIAA処理によって低い基底レベルか
らいくつかのcyc遺伝子の発現が誘導され、特にcdc1aAt mRNA(これは分裂
サイクリンをコードする(Hemerlyら, 前出))は15〜20倍の急速な増大を示し
た(図1、パネルB)。
【0067】 図2は、根端および発達中の側根におけるcdc2aAtおよびcyc1aAt転写物のin s
ituハイブリダイゼーション分析を示すものである。パネルa〜dは、cdc2aAt(
a)またはcyc1aAt(b〜d)アンチセンスプローブにハイブリダイズした静止
根(パネルa、b)または原基における増殖細胞(パネルc、d)の横断面を示
すものである。パネルe、fは、根端における隣接分裂組織細胞ファイル中のcy
c1aAt mRNA発生量を示す。転写物蓄積は、銀粒子付着によって示され、間
接赤色照明によって視覚化した。目盛りはa〜dでは10μmであり、eでは5μm
である。fc:cyc1aAt転写物を蓄積している創始細胞;p:内鞘細胞層;r:根
端方向;s:シュート方向。
【0068】 組織試料を、サイクリン転写物の発現を調べるためにin situハイブリダイゼ
ーション用に加工した。試料を、10μMのIAAで処理した。8時間または24時
間インキュベートした後、ラディッシュ(Raphanus sativa var Scarlet Globe
)根をDrewsら, Cell, 65:991, 1991に記載されたとおりに加工した。断片(8
μm)をcyc1aAt(Hemerlyら、前出)(図2、パネルb〜e)のnt 674〜1004に
対応する33P標識RNAプローブまたはcdc2aAt(Hirayamaら、前出)のnt 661
〜1386に対応する35S標識プローブと、50%ホルムアミド中で48℃にて14時間ハ
イブリダイゼズさせた。ハイブリダイゼーション後、0.015MのNaCl中、58℃で
1時間最終洗浄を行い、次いでスライドを3週間(cyc1aAt)または5日間(cdc
2aAt)暴露した。発達後、銀粒子を赤色光で横方向から照らし、切片を相コント
ラストによって視覚化してFUJI Velviaフィルムに二重写しで記録した。画像をA
DOBEフォトショップで処理した。図2、パネルfに要約されている分析のために
、銀粒子を計数し、細胞の大きさを図2、パネルeに示した細胞列(file)におい
て測定した。
【0069】 in situハイブリダイゼーションの場合、cdc2とは異なり、cyc1aAt転写物が静
止内鞘細胞内で検出されなかったが、発端側根原基の単一細胞質濃密細胞(singl
e cytoplasmically dense cells)に蓄積されており、創発性(emergent)器官では
cyc1aAtが分裂組織中で独占的に発現しているということがわかった(図2、パ
ネルa〜d)。さらに、アブラナ科草本(crucifer)の根は、横方向への分裂後の
縦方向への伸張によって生じる長い細胞列からなり(Dolanら, Development, 119
:71, 1993)、連続細胞分裂期におけるそのような隣接する空間的なディスプレイ
内でcyc1aAt転写物は細胞質分裂直前に大きい細胞内でのみ蓄積し、隣接する小
さい娘細胞ではバックグラウンドレベルまで低下していた(図2、パネルe、f
)。サイクリン発現と有糸分裂とにおける同様の厳重な空間−時間関係が、キン
ギョソウ属草本(Antirrhinum)の茎頂分裂組織において観察された(Fobertら, E
MBO. J., 13:616, 1994)。
【0070】 根端分裂組織の成長および側根の形成中におけるcyc1aAt発現と細胞分裂との
密接な相関関係は、トランスジェニックシロイヌナズナにおけるcyc1aAt::uidA
遺伝子融合物の発現から導きだされたcyc1aAtプロモーター活性のパターン(Fer
reiraら, Plant Cell, 6:1763, 1994)とともに、サイクリン発生量が根の成長
および発達を調節する主要な要因であるということを示唆するものであった。こ
の仮説を試験するために、cdc2aAtプロモーターの制御下でcyc1aAtを含むトラン
スジェニックシロイヌナズナを作製した(BechtoldおよびPelletier, Acad. Sci
. Paris, Life Sci., 316:1194, 1993)。非処理根におけるcyc1aAt mRNA
のレベルが野生型植物のIAAで刺激した根において観察されたものよりも高い
5種の形質転換体が得られ(図1、パネルc)、これらの系をさらなる研究のた
めに選択した。
【0071】 in vitro突然変異誘発によってcyc1aAt cDNAの3番目のコドンにNheI部
位を導入し、その後、このオープンリーディングフレームを、コドン3のところ
でin vitro作製したXbaI部位を有するcdc2aAtプロモーターに連結した。この断
片をpBiB-Hyg内に連結し(Beckerら, Pl. Mol. Biol., 20:1195, 1992)、アグ
ロバクテリウム ツメファシエンスGV3101内にトランスフェクトした(Konczお
よびSchell, Mol. Gen. Genet., 204:383, 1986)。シロイヌナズナ タリアナ(
Arabidopsis thaliana)(A.タリアナ)(生態型コロンビア)を減圧浸潤によっ
て形質転換し(Bechtoldら, 前出)、トランスジェニック苗(T0世代)を30μg/
mlハイグロマイシンを含むMSプレート上で選択した。52個の独立トランスジェ
ニック系が得られ、cyc1aAt mRNAのレベルの上昇が、詳細に分析した11系
の中の9系で検出された。成長アッセイを、示したようにヘテロ接合性T1後代お
よびホモ接合性T2後代において行った。
【0072】 図3は、cyc1aAtサイクリンを異所的に発現しているシロイヌナズナにおける
根の成長速度の上昇を示すものである。パネルa:野生型(左)またはcdc2aAt:
:cyc1aAt遺伝子融合物を含むトランスジェニック系6A(T1世代)(右)。シロイ
ヌナズナ種子をMS(3%スクロース)寒天上に播いて、7日間垂直方向に成長
させた。ベクター単独で、または無関係のプロモーター::uidA構築物を用いて、
またはcdc2aAt5'非翻訳リーダーがDSトランスポゾン挿入によって分断されて
いるcdc2aAt::cyc1aAt融合物を用いて形質転換した植物は、この表現型を示さな
かった。パネルb:野生型(左)または側根のIAA誘導の6日後のトランスジ
ェニック系6A(T1世代)(右)。水耕法で成長させた1週齢の苗を10μMのIA
eff で処理することにより側根発達を刺激した。
【0073】 cdc2aAt::cyc1aAt導入遺伝子の強い発現によって組織化された(organaized)根
の成長速度の著しい増大が生じた(図3、パネルa)。ホモ接合性またはヘテロ
接合性種をMS寒天上に播き、植物を7日間、昼16時間/夜8時間のスケジュー
ルで22℃にて垂直方向に成長させた。スピードライトプラチナフレームグラバー
(Lighttools Research)を用いて24時間間隔で各プレートの4つの画像を得て、
NIH-Imageを用いて根端の変位を測定することによって根の成長を分析した。成
長分析後、各クラスの10植物由来の根を集めて、RNAを分析した。細胞の大き
さを測定するために、根を飽和抱水クロラール中で一晩中インキュベートするこ
とによって清浄にし、Normarski光学素子を用いて視覚化し、写真を撮ってNIH-I
mageを用いて分析した。統計的分析(不対分散(unpaired variances)によるt-検
定)をMSエクセルを用いて行った。IAA処理植物における根の成長を、誘導
の3日後および6日後に、液中で成長させた植物から切り取った根の生重量を測
定し、次いで24時間凍結乾燥した後の乾燥重量を測定することによって評価した
。全DNAを乾燥物から抽出した(Ausubelら, 前出)。
【0074】 ヘテロ接合性T2後代において、微速度写真撮影法において主根の頂部の変位に
よって測定された成長速度の上昇は、導入遺伝子発現により厳密に共分離されて
おり(co-segregated)、導入遺伝子が無い個体は野生型植物と同じ速度で成長し
た(表1)。cdc2aAt::cyc1aAt形質転換体における表皮細胞、皮質細胞、内皮細
胞および内鞘細胞の平均の大きさは、野生型植物と同等であるか、わずかに小さ
かった(表2)。したがって、成長の増大は細胞の大きさよりもむしろ細胞の数
の増大を反映していた。自然発生的な側根形成のパターンおよび根全体の形態は
、野生型植物とトランスジェニック植物とでは区別がつかなかった(図3、パネ
ルa)。1μMのIAA(IAAは非常によく分離された側根原基を誘導する)
で処理した場合、主根の単位長さ当たりの原基の形成の頻度は変化しなかった(
野生型では標準偏差0.09で平均1.08 initials/mm、調べた2種のトランスジェ
ニック系では1.14±0.07と1.09±0.13)。しかしながら、10μMのIAAによる
誘導後の側根の成長および発達は、cdc2aAt::cyc1aAt形質転換体においては著し
く促進され、非常に大きな根系が生じた(図3、パネルb)。IAA処理後のcd
c2aAt::cyc1aAt植物における根成長の増大は、見かけ上、alf1表現型に似ており
(Celenzaら, Genes & Development, 9:2131, 1995)、これらの植物はcyc1aAt
転写物のレベルが上昇していたが、cdc2aAt::cyc1aAt形質転換体とは対照的に、
alf1植物は、余分の側根を形成する。IAA処理cdc2aAt::cyc1aAt植物の生重量
の、同等の野生型対照に対する数倍の増加は、DNA含量および乾燥重量におけ
る著しい増大を伴っていた(表3)。共焦顕微鏡検査によって、IAAに応答す
る成長の増大(弱いcdc2aAt::cyc1aAt発現を示すいくつかの系でも観察された)
は、細胞空胞形成または伸張の導入遺伝子刺激を反映していないということが確
認された。したがって、異所性サイクリン発現は、分裂組織において細胞分裂活
性を刺激することによって根の成長を増大させ、それによって分裂組織の組織化
を変化させずに細胞の産生速度を増大させる。
【0075】 上記のデータから、cdc2aAt::cyc1aAt発現が既成の頂端分裂組織からの成長を
増大させるのに十分であることがわかり、これは細胞周期活性が分裂組織活性を
調節するということを示唆するものである。しかしながら、cdc2aAtプロモータ
ーの制御下におけるcyc1aAtの異所性発現による余分の器官原基の誘導の失敗は
、サイクリン依存性タンパク質キナーゼ活性の翻訳後調節または平行調節経路の
操作のいずれかによる新たな頂端分裂組織の発生におけるさらなる制御ポイント
を意味する。大部分の動物細胞においては、細胞分裂への関与はG1の後期に生じ
(Pardee.A.B., Science, 246:603, 1989)、サイクリンD1およびサイクリンE
は培養細胞におけるG1進行の速度を制限する(OhtsuboおよびRoberts, Science,
259:1908,1993; Quelleら, Genes Dev., 7:1559, 1993; ResnitzkyおよびReed,
Mol. Cell Biol., 15:3463, 1995)。サイクリンD1のレベルの上昇がいくつか
の腫瘍において観察され(Motokuraら, Nature, 350:512, 1991; Rosenbergら,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:9638, 1991; Withersら, Mol. Cell Biol., 1
1:4864, 1991)、トランスジェニックマウスにおける異所性発現は過形成および
腺癌を促進する(Wangら, Nature, 369:669, 1994)。
【0076】 それとは対照的に、cyc1aAtの異所性発現では腫瘍形成が生じなかったが、共
焦顕微鏡検査によってモニターしたところ、分裂組織の組織化または大きさを変
化させることなく組織化された成長が刺激された。さらに、トランスジェニック
植物の形態は変化せず、成長の増大は器官発達の促進を伴っていた。したがって
、サイクリン発現は、分裂組織活性、組織化された成長および不確定な植物発達
を決定する内因性調節階層における重大な制限上流要因である。この調節階層は
動物のものとは明らかに異なっていて、筋肉分化の際の細胞分裂の厳格な形態形
成調節によって例示されるように、決定的発達が増殖性成長を制限しており(Ha
levyら, Science, 267:1018, 1995; Skapekら, Science, 267:1022, 1995)、こ
れが植物の成長および発達の著しい適応性の基礎をなすものであり得る(Drew,
M.C., New Phytol., 75:479, 1975)。サイクリン存在量が加減抵抗器(rheosta
t)として機能することによって、栄養素入手可能性などの自然環境における変
化に応答して柔軟な成長の調節を可能にするのであろう。
【0077】
【表1】
【0078】 表1は根端成長速度の比較を示す。植物系=独立形質転換体(Col-0を除く)。
(+)=十分なレベルのサイクリンをコードする核酸の存在により成長表現型の
増大を示す植物。(−)=導入されたサイクリンをコードする核酸を喪失したか
、または成長の増大に十分なサイクリン発現を示さない植物。速度=単位時間当
たりの根端の変位の速度(*は野生型の成長速度と有意に異なる値を示す)。n
=分析した各植物の数。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】 表2は細胞の大きさの比較を示すものであり、表3は野生型およびcdc2aAt::c
yc1aAt遺伝子融合物を含むトランスジェニックシロイヌナズナ系におけるIAA
処理後の根成長の比較を示すものである。系3A、6A、7A、8Aは、導入遺
伝子が1以上導入されたヘテロ接合性T1集団である。(+)はcyc1aAt転写物レ
ベルが増大した植物を示す。(−)は野生型cyc1aAt転写物レベルを有する植物
である。下記のT2系はcdc2aAt::cyc1aAtに対してホモ接合性である:2A5、4
A3および11A1;4A3における構成cyc1aAt発現はIAA誘導野生型レベ
ルよりも高いが、2A5および11A1においてはそうではなかった(図1)。
nは分析した植物の数である。*は野生型とは有意に異なることを意味する:a
、P<0.001、b、P<0.01。生重量=新たに切り取った根系の重量。乾燥重量
=24時間乾燥後の重量。
【0082】 CDC2a::cyc1aAtトランスジェニック植物におけるサイクリン過剰発現の1つの
側面は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)複合体活性を刺激するその役割である
。サイクリンはかかる複合体の触媒サブユニットを活性化するよう機能する。い
くつかの系における遺伝的証拠により、特定のいくつかのサイクリン遺伝子は主
に細胞周期過程におけるそれらの調節の点で異なっているのであって、キナーゼ
活性を活性化するそれらの生化学的能力の点で異なっているのではない、という
ことが示される。この証拠により、構造が異なるサイクリンがその機能上互いに
置換し得ることが示される。第1に、出芽酵母のゲノムは、細胞周期の進行の制
御に関わるサイクリン依存性キナーゼ遺伝子ファミリーのある1つの触媒サブユ
ニット(CDC28)のみをコードしている。しかしながら、出芽酵母のゲノムは少な
くとも9種のサイクリンをコードしており、これらのサイクリンは構造上ほんの
僅かに関連しているにすぎないものの、その全てがCDC28によりコードされるp34
cdc28タンパク質との結合後にCDK活性を活性化する。第2に、ショウジョウバエ
(Drosophila)またはヒトのサイクリン遺伝子が、3種の酵母G1サイクリン(CLN)
ノックアウト株の相補性により単離された。動物のG1サイクリンが単離されただ
けでなく、分裂サイクリンも同様にして単離された。また、最近の調査により、
酵母CLBまたは分裂型サイクリンがCLNサイクリンの要求性を回避し得ることが示
された。
【0083】 まとめると、これらの観察結果は、明らかに調節された、また構造上ほんの僅
かに関連したサイクリン(これらの中にはほんの19%しか相同性を共有しない
ものもある)が互いに置換することにより、その効率の程度は様々ではあるが、
触媒サブユニットと結合してサイクリン依存性キナーゼ活性を活性化できるよう
になることを示している。従って、通常の植物サイクリンは、CDK相同遺伝子に
よりコードされる内因性タンパク質と結合するその能力により根および植物の成
長を促進する固有の特性を有し、そのため本発明をcyc1aAt以外の他の植物サイ
クリンに適用する。
【0084】 図6は、成長刺激ホルモンであるオーキシンで根を処理した後の、サイクリン
の内因性レベルの上昇を示すノーザンブロット分析である。このブロットにより
、5種の異なる分裂サイクリン遺伝子および1種のG1サイクリン遺伝子の全てが
、オーキシン(IAA)処理した際に上昇したレベルで発現され、やがて新しい根を
生じることが示された。成長刺激後の多くの内因性サイクリン遺伝子の誘導によ
り、植物において成長を制御する調節経路は概してサイクリン発現レベルを増大
させるという結論が導かれた。従って、成長刺激中の細胞分裂の促進は、特定の
サイクリン遺伝子を発現したり、またはそのタンパク質産物のレベルを増大させ
たりといった固有の特性ではないようである。
【0085】 酵母または動物よりも植物において、より大きな遺伝子ファミリー中にサイク
リンが存在するという現状況は、予測されなかったことではない(Renaudinら、P
lant Mol. Biol.[1996]32 1003-1018)。植物の調節遺伝子は、大きく、明らかに
調節された遺伝子ファミリー中に存在する傾向がある。例えば、色素(アントシ
アニン)合成を制御する調節遺伝子は遺伝子ファミリーを構成する。高等植物に
おいてみられる鮮やかな赤色および青色の大部分はアントシアニンである。植物
界のその他の例として穀物を挙げると、ヘリックス-ループ-ヘリックスクラス(R
,B,Lc)およびmybクラス(C1,P1)の重要な調節遺伝子は、アントシアニン経路の生
合成遺伝子の転写を刺激するのに必要である。これらの調節遺伝子は機能上豊富
である、言い換えれば、それらを互いに置き換えることができる。しかしながら
、トウモロコシでは、それらの遺伝子は示差的に調節されており、そのため植物
の栄養組織におけるアントシアニン色素形成にはP1が必要であり、またP1は光度
に感受性であるが、その一方でC1は増殖組織中において構成的に作用する。R,B,
Lcファミリーについても同様の特性が保持されている。トウモロコシのR遺伝子
の構成的発現により、遍在するアントシアニン生合成遺伝子および異種植物であ
るシロイヌナズナにおける色素の蓄積が十分に誘導される(Lloid AMら、 Scienc
e,[1992]258 1773-1775)。
【0086】 植物における複雑な調節遺伝子ファミリーの別の例は、カルモジュリン様ドメ
インプロテインキナーゼ遺伝子ファミリー(Hrabakら、Plant Mol. Biol. [1996]
31 405-412)のメンバーである。少なくとも12種のかかる遺伝子が現在シロイ
ヌナズナにおいて知られている。これらの酵素は全てカルシウムにより活性化さ
れるが、植物におけるそれらの発現パターンは全く異なっている。
【0087】 まとめると、植物は、機能的すなわち生化学的に富むが示差的に調節される調
節遺伝子からなる、複雑な多重遺伝子族を進化させた。従って、遺伝子ファミリ
ーの構造上分岐したメンバーは、環境上および発生上の合図に植物を適切に応答
させ得るように示差的な調節と、通常の生化学的活性とを結びつける。
【0088】実施例2 約1.2kbの上流配列およびcycB1a;At遺伝子によってコードされる最初の306の
アミノ酸に対応するゲノム配列を含む2.8kbのHindIII断片を単離した。この断片
の3'欠失体をエキソヌクレアーゼIII処理によって生成させ、プロモーター配列
およびアミノ酸116までのコード配列を含む1.8kbの断片を選択することにより、
βグルクロニダーゼ(GUS)への翻訳融合体を生成させた。続いて、一連のネステ
ッド5'欠失体を生成させた。本明細書に記載のプラスミドは、転写開始部位の上
流のそれぞれ351、286、205、120、60および9bpで終わる。得られた一連の構築
物(図5)をpBIB形質転換ベクターのKpnI-SacI部位にクローン化し(Beckerら、
(1990)、Nucl. Acids Res. 18:203)、続いてアグロバクテリウム(Agrobact
erium)の介在する形質転換によってタバコ BY2細胞およびシロイヌナズナ(Ara
bidopsis)宿主植物に導入した(An, G.,(1985)、Plant physiol.,568-570;B
echtoldら、(1993),C.R. Acad. Sci. Paris, Life Sci. 316:1194-1199)。
【0089】 同調培養細胞集団を確立するために、N.Tabacum BY2(pCDG)細胞を、DNAポリ
メラーゼ阻害剤であるアフィジコリン(APC)によりS期で停止させた(Kodamaお
よびKomamine,(1995),Meth. Cell Biol.49:315-329)。細胞周期の停止を解
除した後、サンプルをRNA分析のために1時間ごとに抜き取った。-1148または-35
1サイクリンプロモーター-GUS構築物で形質転換した細胞では、RNA量は細胞がM
期に入るとおよそ50倍に増加した(図4)。しかし、-286または-205まで欠失し
たサイクリンプロモーターで形質転換した細胞においては、細胞がM期に入るとR
NA量が約200倍に増加した(図4)。5'配列をさらに取り除くと、サイクリン誘導
の大きさが実質的に減少し(-120、-60欠失体)、-9まで欠失した後では細胞周
期調節発現が失われた。従って、-351と-286の間のDNA配列は、リプレッサー機
能を有するコグネイト(cognate)タンパク質の結合モチーフを含み、-205および
-60間の配列はアクチベーターモチーフを含み、-60と-9の間の配列は細胞周期調
節に関与している。従って-286または-205まで欠失したサイクリンプロモーター
を使用すると、特にG2/M期において、目的とする所望の遺伝子のレベルを増加さ
せる方法が得られる。
【0090】 第3のサイクリンエキソン内に存在するXhoI部位を用いて、E.coli UidAコード
配列を残りのサイクリンcDNAと置換した。5'欠失プロモーターを含む一連の構築
物を用いてシロイヌナズナ(Arabidopsis)を形質転換し、得られた植物の成長
特性を評価した。cycB1a;At mRNAの定常状態量が増加した13の個々のトランス
ジェニック系のうち9で、根の成長速度が10〜25%増加しただけでなく、乾燥質量
および生の重量も増加したが細胞サイズは増加しなかった。土壌で成長させた場
合、植物全体の成長、特に葉の成長速度は劇的に上昇したが、植物の最終的な大
きさおよび開花時期はどちらも強い影響は受けなかった。従って、葉の発達の早
期における成長の増進は、おそらく形質転換されていない対照の場合よりも早く
光合成物を組織に蓄積できるため、植物の成長に対して累積的な正の影響をもた
らす。増進された成長は規則的で、器官の形態には違いがなく、異常増殖または
過形成症の形跡もない。
【0091】 本発明の以上の記載は、例示および説明の目的で典型的なものを示したもので
ある。本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な改変を行い得ること
は理解されよう。従って、特許請求の範囲は、そのような改変のすべてを包含す
るものと解釈されることを意図する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、定常状態レベルのcdc2aAt mRNAおよびp34タンパク質を示すものであ
り、パネルaは側根分裂組織のIAA誘導中のcyc1aAt mRNAを示し、パネルbは
選択された非誘導トランスジェニック系におけるcyc1aAt mRNAを示し、パネルc
は野生型に対して標準化した転写物レベルを示す。Col-0:野生型;1A2、2A5、4
A3、11A1:T2ホモ接合性トランスジェニック系;6A、7A、8A:T1ヘテロ接合性ト
ランスジェニック系。
【図2】 図2は、根端および発達中の側根におけるcdc2aAtおよびcyc1aAt転写物のin s
ituハイブリダイゼーション分析を示すものである。パネルa〜dは、cdc2aAt(
a)またはcyc1aAt(b〜d)アンチセンスプローブにハイブリダイズした静止
根(パネルa、b)または原基における増殖細胞(パネルc、d)の横断面を示
すものである。パネルe、fは、根端における隣接する分裂組織細胞列(cell fi
les)中のcyc1aAt mRNA発生量を示す。転写物蓄積は、銀粒子付着によって
示され、間接赤色照明によって視覚化した。目盛りバーはa〜dでは10μmであ
り、eでは5μmである。fc:cyc1aAt転写物を蓄積している創始細胞;p:内鞘
細胞層;r:根端方向;s:シュート方向。
【図3】 図3は、cyc1aAtサイクリンを異所的に発現しているシロイヌナズナ タリア
ナ(Arabidoopsis thaliana)(A.タリアナ)における根の成長速度の増大を示すも
のである。パネルa:野生型(左)またはcdc2aAt::cyc1aAt遺伝子融合物を含む
トランスジェニック系6A(T1世代)(右)。シロイヌナズナ種子をMS(3%ス
クロース)寒天上に播いて、7日間垂直方向に成長させた。ベクター単独もしく
は無関係のプロモーター::uidA構築物またはcdc2aAt5'非翻訳リーダーがDSト
ランスポゾン挿入によって分断されているcdc2aAt::cyc1aAt融合物で形質転換し
た植物はこの表現型を示さなかった。パネルb:野生型(左)または側根のIA
A誘導の6日後のトランスジェニック系6A(T1世代)(右)。水耕法で成長させ
た1週齢の苗を10μMのIAAeff で処理することにより側根発達を刺激した。
【図4】 図4は、-1148形質転換体および-205形質転換体のアフィジコリン(APC)の放出
を示す。
【図5】 図5は、cyclaおよびGUSに作動可能なように連結された一連の構築物を示す。
該構築物においては、一連のネステッド欠失体をcycBla;At調節配列の5'末端で
生成させた。
【図6】 図6は、成長刺激ホルモンオーキシンによって根を処理した後の内因性サイク
リンレベルの上昇を示すノーザンブロット分析を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (71)出願人 10010 North Torrey Pi nes Road,La Jolla,C alifornia 92037,Unite d States of America (72)発明者 ラム、クリストファー、ジェイ. イギリス国 イーエイチ4 1エヌアール エディンバラ、セント. ベルナルズ クレセント 29 (72)発明者 コロン−カルモナ、アダン アメリカ合衆国 95616 カリフォルニア 州、デイヴィス、アルト コート 2210 Fターム(参考) 2B030 AA02 AA03 AB04 AD07 CA17 CA19 CB02 CD03 CD07 CD09 CD13 4B024 AA08 CA04 DA01 FA02 GA21 4B065 AA88 AB01 BA02 BA10 CA53

Claims (43)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対応する野生型植物と比べて成長および収穫量が増大してい
    ることを特徴とする遺伝子改変された植物を作出する方法であって、 植物細胞に、サイクリンタンパク質をコードする核酸と作動可能に結合された
    調節配列を含む核酸配列を接触させることにより、形質転換された植物細胞を取
    得すること、 形質転換された植物細胞から植物を作出すること、 収穫量の増大を示す植物を選択すること、 を含む前記方法。
  2. 【請求項2】 遺伝子改変された植物が根の成長の増大を示す、請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 遺伝子改変された植物がシュートの成長の増大を示す、請求
    項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 サイクリンがcyc1aAtである、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記調節配列がcycB1a;Atプロモーターからなる、請求項1
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記調節配列が配列番号1に示される配列を含む、請求項5
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1から
    約ヌクレオチド-1148までの配列からなる、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1から
    約ヌクレオチド-286までの配列からなる、請求項6記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1から
    約ヌクレオチド-205までの配列からなる、請求項6記載の方法。
  10. 【請求項10】 接触が物理的手段によるものである、請求項1記載の方法
  11. 【請求項11】 接触が化学的手段によるものである、請求項1記載の方法
  12. 【請求項12】 植物細胞が、プロトプラスト、配偶子産生細胞、および全
    植物に再生される細胞からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記核酸がT−DNA誘導ベクターに含まれている、請求
    項1記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の方法によって作出された植物。
  15. 【請求項15】 請求項1記載の方法によって作出された植物に由来する植
    物組織。
  16. 【請求項16】 請求項1記載の方法によって作出された植物に由来する種
    子。
  17. 【請求項17】 異種核酸配列に作動可能に連結されたcycB1a;At調節配列
    を含むキメラ核酸配列を含有する形質転換された植物細胞。
  18. 【請求項18】 前記調節配列が配列番号1に示される配列を含む、請求項
    17記載の形質転換された植物細胞。
  19. 【請求項19】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-1148までの配列からなる、請求項18記載の形質転換された
    植物細胞。
  20. 【請求項20】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-286までの配列からなる、請求項18記載の形質転換された植
    物細胞。
  21. 【請求項21】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-205までの配列からなる、請求項18記載の形質転換された植
    物細胞。
  22. 【請求項22】 cycB1a;Atの調節配列により調節される異種核酸配列を含
    有するトランスジェニック植物であって、該調節配列が該異種核酸配列に作動可
    能に連結されている、該トランスジェニック植物。
  23. 【請求項23】 前記調節配列が配列番号1に示される配列を有する、請求
    項22記載のトランスジェニック植物。
  24. 【請求項24】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-1148までの配列からなる、請求項23記載のトランスジェニ
    ック植物。
  25. 【請求項25】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-286までの配列からなる、請求項23記載のトランスジェニッ
    ク植物。
  26. 【請求項26】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-205までの配列からなる、請求項23記載のトランスジェニッ
    ク植物。
  27. 【請求項27】 機能性cycB1a;At調節配列を含む単離された核酸配列。
  28. 【請求項28】 前記調節配列が配列番号1に示される配列を含む、請求項
    27記載の配列。
  29. 【請求項29】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-1148までの配列からなる、請求項28記載の配列。
  30. 【請求項30】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-351までの配列からなる、請求項28記載の配列。
  31. 【請求項31】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-286までの配列からなる、請求項28記載の配列。
  32. 【請求項32】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-205までの配列からなる、請求項28記載の配列。
  33. 【請求項33】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-120までの配列からなる、請求項28記載の配列。
  34. 【請求項34】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-60までの配列からなる、請求項28記載の配列。
  35. 【請求項35】 サイクリンタンパク質をコードする核酸配列に作動可能に
    連結された機能性cycB1a;At調節配列を含む単離された核酸配列。
  36. 【請求項36】 請求項27または35記載の核酸配列を含むベクター。
  37. 【請求項37】 前記調節配列が配列番号1に示される配列を含む、請求項
    35記載の核酸配列。
  38. 【請求項38】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-1148までの配列からなる、請求項37記載の核酸配列。
  39. 【請求項39】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-351までの配列からなる、請求項37記載の核酸配列。
  40. 【請求項40】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-286までの配列からなる、請求項37記載の核酸配列。
  41. 【請求項41】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-205までの配列からなる、請求項37記載の核酸配列。
  42. 【請求項42】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-120までの配列からなる、請求項37記載の核酸配列。
  43. 【請求項43】 前記調節配列が配列番号1に示される約ヌクレオチド-1か
    ら約ヌクレオチド-60までの配列からなる、請求項37記載の核酸配列。
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