JP2002529050A - 弁別的に発現されたmRNAの同時同定および相対濃度測定のための方法 - Google Patents

弁別的に発現されたmRNAの同時同定および相対濃度測定のための方法

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JP2002529050A JP2000556999A JP2000556999A JP2002529050A JP 2002529050 A JP2002529050 A JP 2002529050A JP 2000556999 A JP2000556999 A JP 2000556999A JP 2000556999 A JP2000556999 A JP 2000556999A JP 2002529050 A JP2002529050 A JP 2002529050A
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マーク ジー エアランダー
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Abstract

(57)【要約】 mRNA集団中のmRNAの配列特異的同時同定のための改良方法によって、組織で発現されるほとんど全てのmRNAがゲル上の個別のバンドとして可視化され、ゲル上のバンドの濃度はmRNAの濃度に概ね一致する。一般に、本方法は、3−末端部を固定するためにアンカープライマーを用いるcDNAの生成、その後のRNA合成のためにバクテリオファージ特異的プロモーターを含むベクターで前記cDNAからクローン化挿入物を生成、前記クローン化挿入物の直線化フラグメントの作製、cRNAの調製、プライマーセットを用いて前記cRNAからcDNAの転写、および3’−プライマーを用いてPCRの実施を含むが、前記3’−PCRプライマーの配列は前記ベクターおよび5’−PCRプライマーセットに由来し、5−PCRプライマーセットはcRNAからcDNAの転写に用いたプライマーに由来する。本方法によって、薬剤の投与に伴うmRNA発現の変化、または生理学的もしくは病理学的状態に付随するmRNA発現の変化を特定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、弁別的に発現されたmRNAを同時に同定し、さらにそれらの相濃
度を測定する方法を目的とする。
【0002】従来技術 生化学研究の最終ゴールは、生物体を構成している蛋白質分子の完全な性状決
定であろう。これには、それら蛋白質分子の同定、配列決定、それらの解剖学的
発現部位の開示、それらの生化学的活性の解明、およびこれらの活性が生物体の
生理をどのように決定するかについての理解が含まれる。医療に応用するために
は、各蛋白質の濃度が医薬または毒性物質に反応してどのように変化するかにつ
いての情報も含まれる。
【0003】 問題の範囲を考えてみよう:どれぐらいの数の遺伝子が存在するのか。哺乳類
ではどれぐらいの数の遺伝子が発現されているのかという問題は、少なくとも2
0年間の研究を経て未だに解決されていない。異なる組織での遺伝子発現パター
ンを目的とした直接的な研究はほとんど存在しない。変異負荷実験(J.O. Bisho
p, "The Gene Numbers Game", Cell 2:81-86(1974); T. Ohta & M. Kimura, "Fu
nctional Organization of Genetic Material as a Product of Molecular Evol
ution", Nature 223:118-119(1971))では、3x104から105の必須の遺伝子
が存在すると提唱された。
【0004】 cDNAクローニング技術が出現する前には、遺伝子発現に関する情報は、R
NAコンプレキシティー実験、すなわち、豊富さに関して異なる特性をもつRN
A分子の混合集団の観察を基にしたアナログ測定(仕分けしない集団の測定)か
ら得られた。初期のアナログコンプレキシティー実験は、そのRNA集団のほと
んどを構成している各組織中の分子はそのコンプレキシティー全体の小さな部分
しか構成していないという事実の隠蔽された複雑さによって予想の程度を越えて
歪められた。後に、cDNAクローニングによって、デジタル測定(すなわち個
々の種についての配列特異的測定)が可能になり、したがって、より最近のmR
NA発現に関する考えは個々のRNA種の実際の観察を基にしている。
【0005】 脳、肝および腎は、アナログRNAコンプレキシティー測定によって最も広範
囲に調べられた哺乳類組織である。コンプレキシティーの最小概算値はHastie &
Bishop(N.D. Hastie & J.B. Bishop, " The Expression of Three Abundance C
lasses of Messeger RNA in Mouse Tissues", Cell 9:761-774(1976))のそれで
、彼らは、3x109塩基対のゲッ歯類ゲノムの26x106ヌクレオチドが脳で
、23x106が肝で、さらに22x106が腎で発現され、RNAセットはほぼ
完全に重複していると提唱した。これは、組織特異的mRNAの数はきわめてわ
ずかであることを示している。しかしながら、これらの値は明らかに過少評価で
あることは経験によって示された。なぜならば、多くのmRNA分子(これらは
、おそらく初期のこの実験では検出限界以下の量である)が脳で発現されている
が、肝または腎では検出できないことが示されたからである。他の多くの研究者
(J.A. Bantle & W.E. Hahn, "Complexity and Characterization of Polyadeny
lated RNA in the Mouse Brain", Cell 8:139-150(1976); D.M. Chikaraishi, "
Complexity of Cytoplasmic Polyadenylated and Non-Adenylated Rat Brain Ri
bonucleic Acids", Biochemstry 18:3249-3235(1979))の測定では、アナログコ
ンプレキシティーは脳で100−200x106ヌクレオチドで、肝および腎の
概算値は2から3倍低かった。脳のmRNAのうちで50−65%は肝でも腎で
も検出されない。これらの数値はデジタルクローニング実験により支持された(
R.J. Milner & J.G. Sutcliffe, "Gene Expression in Rat Brain", Nuc. Acids
Res. 11: 5497-5520(1983))。
【0006】 仕分けされていないmRNAのアナログ測定で、mRNAの平均の長さは14
00−1900ヌクレオチドであると提唱された。ノザンブロッティングによっ
てRNAサイズを測定するために、任意に選択した200の脳のcDNAを用い
て脳のmRNAの長さを系統的にデジタル分析したところ(Milner & Sutcliffe
, 上掲書)、mRNAサイズデータをRNAの豊富さで調整したとき、平均長は
1790ヌクレオチドとなり、アナログ測定で得られたものと同じであった。し
かしながら、脳のmRNAコンプレキシティーの大半を構成しているmRNAの
平均長は5000ヌクレオチドであった。数がより少ない脳のRNAの方が長い
だけでなく、それらは脳に特異的な傾向があり、一方、より豊富な脳のmRNA
はより普遍的に発現され、平均して長さはより短かった。
【0007】 mRNAの長さについてのこれらの考え方は、配列が決定された脳のmRNA
の長さからつい最近確認された(J.G. Sutcliffe, "mRNA in the Mammalian Cen
tral Nervous System", Annu. Rev. Neurosci. 11:157-198(1988))。したがって
、1−2x108のヌクレオチドコンプレキシティーおよび5000ヌクレオチ
ドの平均mRNA長では脳で発現されるmRNAは30000と概算され、その
約2/3は肝または腎で検出されない。脳は、明らかに哺乳類の組織特異的遺伝
子の大部分の原因である。ほとんどの脳mRNAは低濃度で発現される。完全な
哺乳動物mRNAコンプレキシティ−の測定は存在しないし、非神経組織の場合
、5000ヌクレオチドがmRNA長の正しい概数であるのかも分からない。全
遺伝子数の合理的な概数は50000から100000の間かもしれない。
【0008】 生理学的機能を化学的に理解することによって前進するために最も必要なこと
は、ゲノムによってコードされる蛋白質およびその各々が発現される細胞タイプ
のメニューである。現在のところ、蛋白質配列の信頼できる推定は、ゲノム配列
中の介在配列(イントロン)の存在のためにcDNAのみから得られ、遺伝子か
らは得られない。哺乳類ゲノムの完全なヌクレオチド配列でさえ、その発現され
た配列の性状決定の代用にはならないであろう。したがって、転写された配列を
収集し、さらにそれらの発現部位を明らかにするという系統的な戦略が必要とさ
れている。そのような戦略は、脳内で弁別的に発現される配列の決定に極めて有
用であろう。終結に到達すること、すなわち全てのmRNAを同定することは、
必ずしもそのような研究の最終ゴールということではない。多くの異なる組織で
発現される個々のmRNAの数が豊富なことおよび種々のmRNAの量が異なる
ために、終結の達成は困難である。達成しようと努めることによって、遺伝子空
間の大きさについてより信頼できる説明が徐々に得られるであろう。
【0009】 クレーグ=ベンター(Craig Venter)の研究室で行われた研究によって、ヒトの
脳のmRNAの任意に選択されたcDNAクローンの単離、それらの3'末端の
短いシングルパス配列(約300塩基対)の決定、および"発現配列タグ"のデー
タベースとしてこれらのうちほぼ2500の編集が達成された(M.D. Adams et a
l., "Complementary DNA Sequencing: Expressed Sequence Tags and Human Gen
ome Project", Science 252:1651-1656(1991); M.D. Adams et al., "Sequence
Identification of 2375 Human Brain Genes", Nature 355:632-634(1992))。こ
のデータベースは有用であるが、弁別的な発現については全く情報を提供できな
い。したがって、単一の組織内でのそれらの単純な発現ではなく、脳の領域およ
び他の組織内でのそれらの全体的発現パターン、並びに多様な基準、例えば種々
の生理学的もしくは病理学的状態または薬剤治療の効果に対する全体的な発現パ
ターンに基づいて遺伝子を認識することができるということが重要である。
【0010】 他の研究は、データベース確立のためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の利
用に集中している。ウィリアムズら(J.G.K. Williamset al., "DNA Polymorphi
sms Amplified by Arbitrary Primers Are Useful as Genetic Markers", Nucl.
Acids Res. 18:6531-6535(1990))およびウェルシュとマックリーランド(J. We
lsh & McClelland, "Genomic Fingerprinting Using Arbitrary Primed PCR and
a Matrix of Pairwise Combinations of Primers", Nucl. Acids Res. 18:7213
-7218(1990))は、任意に選択した配列の一本鎖10量体プライマー(すなわちい
つでも入手可能な任意の10量体プライマー)は、複雑なDNA鋳型(例えばヒ
ト、植物、酵母、または細菌のゲノムDNA)とともにPCRに用いた場合、一
連のPCR生成物を生じることを示した。
【0011】 プライミング事象では、プライマーと鋳型DNAとの間の不完全な相補性形成
が必要とされることが明らかにされた。おそらく、部分的に適合していないプラ
イマー結合部位がゲノム全体にランダムに分布しているのであろう。稀には、反
対方向にあるこれらの部位の2つが、PCR生成物バンドを生じるために十分に
近接していた。平均して8−10生成物が存在し、これらはサイズが約0.4か
ら約4kbで、各プライマーについて異なる移動度を有していた。一連のPCR
生成物は、同じ種の中で個々に違いを示していた。前述の著者らは、任意の一本
鎖プライマーを用いて、遺伝子研究のために制限フラグメント長についての多形
性(RFLP)様情報を得ることができると提唱した。他の研究者らはこの技術
を応用した(S.R. Woodward et al., "Random Sequence Pligomucleotide Prime
rs Detect Polymorphic DNA Products Which Segregate in Inbred Strains of
Mice", Mamm. Genome 3:73-78(1992); J.H. Nadeau et al., "Multilocus Marke
rs for Mouse Genom Analysis; PCR Amplification Based on Single Primers o
f Arbitrary Nucleotide Sequence", Mamm. Genome 3:55-64(1992))。
【0012】 2つのグループ(J. Welsh et al., "Arbitrarily Primed PCR Fingerprintin
g of RNA", NUcl. Acids Res. 20:4965-4970(1992); P. Liang & A.B. Pardee,
"Differential Display of Eukaryotic Messenger RNA by Means of the Polyme
rase Chain Reaction", Science 257:967-971(1992))は、mRNA集団を比較す
る方法を利用した。リアングとパーディー(Liang & Pardee)の実験では、この
方法(mRNA弁別ディスプレーと称される)を用いて、2つの関連する細胞型
(正常および腫瘍形成性マウスA31細胞)によって発現されるmRNA集団を
比較した。各実験について、かれらは、5'プライマーとして1つの任意の10
量体、および3'アンカープライマーとしてポリ(A)テールのサブセットに対
して相補的なオリゴヌクレオチドを用い、これら2つの細胞型から調製したcD
NAを使用して35S−dNTPの存在下でPCR増幅を実施した。生成物をシー
クェンシングゲルで解析し、100−500ヌクレオチドの範囲の50−100
バンドを調べた。
【0013】 これらのバンドはおそらく、ゲノムDNA鋳型で観察されたように3'アンカ
ープライマーの相補物および部分的にミスマッチの5'プライマー部位を含むm
RNAの3'末端に対応するcDNAの増幅から生成された。各プライマーペア
について、2つのcDNAから増幅されたバンドのパターンは同様で、区別しえ
ないバンドの約80%の量を有していた。バンドのいくつかはPCRサンプルの
それぞれでより濃く、いくつかは2つのサンプルの一方でのみ検出された。
【0014】 更なる実験では(P. Liang et al., "Distribution and Cloning of Eukaryot
ic mRNAs by Means of Differential Display: Refinements and Optimization"
, Nucl. Acids Res. 21:3296-3275(1993))、この方法は低い濃度の投入RNAで
も機能し(ただし稀な種では定量的ではない)、特異性はもっぱら3'アンカー
プライマーの最後のヌクレオチドに存在することが示された。弁別的に同定され
た検出PCR生成物の少なくとも1/3は、弁別的に発現されたRNAに対応し
、偽陽性率は少なくとも25%である。
【0015】 哺乳類の50000から100000のmRNAの全てがこの任意プライマー
PCRアプローチでアクセス可能であるとすると、約80−95の5'任意プラ
イマーおよび12の3'アンカープライマーが、ポアソン分布によって計算され
る同様なものを得るために約1000PCRパネルおよびゲルで必要とされるで
あろう(これらのmRNAの約2/3が同定されるであろう)。
【0016】 以下の理由のために全てのmRNAがこの方法による検出に馴染むとは考えに
くい。そのような調査でmRNAを明るみに出すためには、そのmRNAは、オ
ートラジオグラフ上でシグナルを発生させるために十分に大量で、さらにミスマ
ッチのプライマーの結合およびプライミングのための部位として機能することが
できる500ヌクレオチドをその3'に含んでいなければならない。個々のmR
NA種が豊富であればあるほど、より多くの生成物を生じるであろう。したがっ
て、豊富な種は多くの異なる任意のプライマーでバンドを生じることができる。
この後者の特性は、任意のプライマーの選択による機会の予想不能の要素を含む
ことになると思われるので、この任意のプライマーによる方法によって答えを得
ることは困難であろう。さらにまた、ある研究室から別の研究室に移すことが可
能で、また信頼に足る情報であるためには、このミスマッチプライミングは、異
なるPCR機を用いて異なる研究室の条件下で高い再現性を有する必要がある。
ミスマッチプライミングの原理はほとんど判明していないので、これは、リアン
グとパーディー(Liang & Pardee)の弁別的表示法によって得られるデータから
データベースを構築する場合の欠点である。
【0017】 したがって、5'末端の生成における不確かな局面を減少させ、異なる設定で
完全に再現可能な、mRNA種の弁別的ディスプレーの改良方法が必要とされて
いる。好ましくは、そのような方法は、潜在的に再現性を損なうミスマッチプラ
イミングに依存しない。好ましくは、そのような方法は、完璧な調査に必要なP
CRパネルとゲル数を少なくし、二本鎖配列データを迅速に蓄積できる。好まし
くは、そのような改良方法はまた、同じmRNA種から得られる同時シグナルを
排除できないとしても減少させる。
【0018】発明が解決しようとする課題 我々は、mRNA集団でmRNAを同時に配列特異的に同定する改良方法を開
発した。一般に、本方法は以下を含む: (1)12アンカープライマーの混合物を用いてmRNA集団から二本鎖cD
NAを調製する。このアンカープライマーは各々:(i)7から40のT残基列
;(ii)6つより多い塩基を認識する制限エンドヌクレアーゼによる切断部位
、この切断部位はこのT残基列の5'側に位置する;(iii)4から40ヌク
レオチドの第一の充填セグメント、この第一の充填セグメントは制限エンドヌク
レアーゼ切断部位の5'側に位置する;および(iv)アンカープライマーの各
々の3'末端に位置する調整用残基、−V−N(式中、VはA、CおよびGから
成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチドで、NはA、C、GおよびTから
成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチド)を含み、前記混合物はVおよび
Nについて全ての可能性を含むアンカープライマーを含む; (2)ベクターによって形質転換された適切なホスト細胞からクローン化挿入
物を作製する。このベクターは、その中に挿入された第一の制限エンドヌクレア
ーゼおよび第二の制限エンドヌクレアーゼで切断されたcDNAサンプルを有す
る。この切断されたcDNAサンプルは、ベクター内のバクテリオファージ特異
的プロモーターに対してアンチセンス方向にベクター内に挿入されており、第一
の制限エンドヌクレアーゼは4つのヌクレオチド配列を認識し、第二の制限エン
ドヌクレアーゼはアンカープライマー混合物の各メンバー内のただ1つの部位を
切断する; (3)第一および第二の制限エンドヌクレアーゼとは異なる少なくとも1つの
制限エンドヌクレアーゼの消化によってクローニング挿入物の直線化フラグメン
トを作製する; (4)直線化フラグメントをバクテリオファージ特異的プロモーターから転写
を開始させることができるバクテリオファージ特異的RNAポリメラーゼと保温
してアンチセンスcRNA転写物のcRNA調製物を作製する; (5)cRNA調製物を16のサブプールに分け、熱耐性逆転写酵素および1
6の5'−RTの1つを用いて、各サブプールから第一鎖cDNAを転写する。
5'−RTはその3'末端が−N−N(式中Nは4つのデオキシヌクレオチド、A
、C、GまたはTのうちの1つ)で、長さは少なくとも15ヌクレオチドで、バ
クテリオファージ特異的プロモーターの3'末端に配列が一致し、さらにその配
列は前記cRNAの少なくとも最初の2つのヌクレオチドまで伸長しており、前
記混合物は前記3'末端の2つのヌクレオチドについて全ての可能性を含み; (6)ポリメラーゼ連鎖反応のための鋳型として16のサブプールの各々の転
写生成物を用い以下の3'−PCRプライマーおよび5'−PCRプライマーによ
りポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを生成する。前記3'−PCRプライ
マーはベクター内のcDNAサンプル挿入物の部位に隣接するベクター内配列と
配列が一致し、5'−PCRプライマーは以下の(i)−(iii)から成る群
から選ばれる:(i)そのサブプールについて第一鎖cDNAの合成に用いた5
'−RTプライマー;(ii)そのサブプールについて第一鎖cDNAの合成に
用いた、3'末端がさらに別の1つの残基−N(NはA、C、GまたはTのいず
れか)によって伸長されたれた5'−RTプライマー;および(iii)そのサ
ブプールについて第一鎖cDNAの合成に用いた、その3'末端がさらに別の2
つの残基−N−N(NはA、C、GまたはTのいずれか)によって伸長された5
'−RT;および (7)ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを電気泳動によって解析し、サ
ンプル中に存在するmRNAの3'末端を表わすバンドを表示する。 別の好ましい実施態様では本方法は以下の工程を含む: (a)アンカープライマーの混合物を用いてmRNA集団から二本鎖cDNA
集団を調製する。前記アンカープライマーは各々、:(i)7から40のT残基
列;(ii)T残基列の5'側に位置する、6つより多い塩基を認識する第一の
制限エンドヌクレアーゼによる切断部位;(iii)第一の制限エンドヌクレア
ーゼ切断部位の5'側に位置する、4から40ヌクレオチドの第一の充填セグメ
ント;および(iv)−V及び−V−Nからなる群より選ばれるアンカープライ
マーの各々の3'末端に位置する調整用残基(式中、VはA、CおよびGから成
る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチドで、NはA、C、GおよびTから成
る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチド)を含み、前記混合物はVおよびN
について全ての可能性を含むアンカープライマーを含み、前記混合物内の調整用
残基は−V又は−V−Nのうちの1つによって定義される; (b)第一の制限エンドヌクレアーゼおよび第二の制限エンドヌクレアーゼ(
第二の制限エンドヌクレアーゼは4ヌクレオチド配列を認識する)で二本鎖cD
NA集団を切断し、それぞれ第一および第二の末端を有する二本鎖cDNA分子
を生成する; (c)工程(b)の各々から得た二本鎖cDNA分子をバクテリオファージ特
異的プロモーターに対してアンチセンス方向でベクターに挿入し、挿入cDNA
分子を含むベクター集団を作製する。前記の挿入によって、5'が挿入cDNA
のセンス鎖の上流にあり3'がセンス鎖の下流にあるように、3'および5'フラ
ンキングベクター配列が規定され、さらに前記ベクターは、前記第一の制限エン
ドヌクレアーゼ部位と前記プロモーター内の転写開始を規定する部位との間に長
さが少なくとも15ヌクレオチドの3'フランキングヌクレオチド配列を有し; (d)工程(c)で生成されたベクターを、挿入cDNA分子内またはバクテ
リオファージ特異的プロモーター内の配列を認識しないが、ベクター内の配列を
認識する少なくとの1つの制限エンドヌクレアーゼで消化して挿入cDNA分子
を含む直線化フラグメントを作製するが、この場合、生じた直線化フラグメント
が、cDNAの第二の末端でベクターに挿入されたcDNAサンプルの挿入部位
に対して5'側に少なくとも15ヌクレオチドの5'フランキングベクター配列を
もつように消化され; (e)直線化フラグメントをバクテリオファージ特異的プロモーターから転写
を開始させることができるバクテリオファージ特異的RNAポリメラーゼと保温
してアンチセンスcRNA転写物のcRNA調製物を作製し; (f)cRNA調製物をサブプールに分け、逆転写酵素および以下のように規
定される5'−RTプライマーの1つを用いて各サブプールから第一鎖cDNA
を転写する;前記5'−RTプライマーは、Nxから成る3'末端を有し(式中"N
"は4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、GまたはTの1つで、"x"は1か
ら5の整数)、長さが15から30ヌクレオチドで、さらに5'フランキングベ
クター配列と相補的で5'−RTプライマーの相補性がcRNAの挿入物特異的
ヌクレオチドの中の"x"と同じ数のヌクレオチドまで伸長しており、この転写で
は、前記5'−RTプライマーのうちの異なる1つが異なるサブプールで用いら
れ、"x"=1の場合はサブプールは4つで、"x"=2の場合はサブプールは16
で、"x"=3の場合はサブプールは64で、"x"=4の場合はサブプールは25
6で、"x"=5の場合はサブプールは1024であり; (g)ポリメラーゼ連鎖反応の鋳型としてサブプールの各々の第一鎖cDNA
転写生成物を用い、前記第一の制限エンドヌクレアーゼ部位とバクテリオファー
ジ特異的プロモーターによる転写開始部位を規定する部位との間に存在する3'
フランキングベクター配列に相補的で長さが15から30ヌクレオチドの3'−
PCRプライマーおよび、−Nx−Nyから成る3'末端を有する5'−PCRプラ
イマーによりポリメラーゼ連鎖反応増幅生成物を生成する。前記式中、"N"およ
び"x"は工程(f)で規定したとおりで、−Nxは、そのサブプールについて第
一鎖cDNAの合成に用いた5'−RTプライマーの場合と同じで、"y"は、x
+yが3、4、5および6から成る群から選ばれる整数と等しい完全な整数で、
前記プライマーは長さが15から30ヌクレオチドで、さらに5'フランキング
ベクター配列と相補的で5'−PCRプライマーの相補性がcRNAの挿入物特
異的ヌクレオチドの中の"x+y"と同じ数のヌクレオチドにまで伸長しており;
さらに、 (h)ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを解析して、mRNA集団に存
在する異なるmRNAの3'末端を表す配列特異的生成物を表示する。
【0019】 典型的には、アンカープライマーは各々、T残基列中に18のT残基を有し、
さらにアンカープライマーの第一の充填セグメントは長さが14残基である。第
一の充填セグメントに適した配列は、A−A−C−T−G−G−A−A−G−A
−A−T−T−C(配列番号:1)である。典型的には、6より大きい塩基を認
識する第一の制限エンドヌクレアーゼによる切断部位は、NotI切断部位であ
る。適切なアンカープライマーはまた、6より大きい塩基を認識する第一の制限
エンドヌクレアーゼによる切断部位とT残基列との間に挟まれた第二の充填セグ
メントを含むことができる。アンカープライマーの3'末端およびT残基列に対
して3'側に存在する調整残基は−V及び−V−Nからなる群より選ばれ、式中
、VはA、CおよびGから成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチドで、N
はA、C、GおよびTから成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチドである
【0020】 好ましい実施態様では、アンカープライマーは、A−A−C−T−G−G−A
−A−G−A−A−T−T−C−G−C−G−G−C−C−G−C−A−G−G
−A−A−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T
−T−T−V−N(配列番号:2)を有し、これは、NotI部位(G−C−G
−G−C−C−G−C)に対して5'側に存在する第一の充填セグメントA−A
−C−T−G−G−A−A−G−A−A−T−T−C、制限エンドヌクレアーゼ
切断部位とT残基列との間に挟まれた第二の充填配列A−G−G−A−A、およ
び調整残基−V−Nを含む。その他の好ましい態様において、工程(a)におい
て使用するアンカープライマーの調整残基は−Vである。
【0021】 典型的には、6より大きい塩基を認識する第一の制限エンドヌクレアーゼは、
AscI、BaeI、FseI、NotI、PacI、PmeI、PpuMI、
RsrII、SapI、SexAI、SfiI、SgfI、SgrAI、Srf
I、Sse8387IおよびSwaIから成る群から選ばれる。典型的には、4
つのヌクレオチド配列を認識する第二の制限エンドヌクレアーゼは、MboI、
DpnII、Say3AI、Tsp509I、HpaII、BfaI、Csp6
I、MseI、HhaI、NlaIII、TaqI、MspI、MaeIIおよ
びHinP1Iから成る群から選ばれる。
【0022】 典型的には、工程(f)における「x」の値は1又は2である。典型的には工
程(g)における「y」の値は3又は4である。1つの態様において、工程(a
)における調整残基は−V−Nであり、工程(f)における「x」の値は2であ
り、工程(g)における「y」の値は2である。別の態様において、工程(a)
における調整残基は−V−Nであり、工程(f)における「x」の値は1であり
、工程(g)における「y」の値は3である。別の態様において、工程(a)に
おける調整残基は−V−Nであり、工程(f)における「x」の値は1であり、
工程(g)における「y」の値は4である。 別の態様において、工程(a)における調整残基は−Vであり、工程(f)に
おける「x」の値は1であり、工程(g)における「y」の値は3である。更な
る態様において、工程(a)における調整残基は−Vであり、工程(f)におけ
る「x」の値は1であり、工程(g)における「y」の値は4である。 典型的には、アンカープライマーの各々は、T残基列に18のT残基を有し、
アンカープライマーの第一の充填セグメントは長さが14残基である。
【0023】 適切なベクターはpBCSK+およびpBSSK+(Stratagene)である。別の
特徴では、本発明は、pBSSK+を基にして改善したベクターを提供し、これ
は本発明の実施のためにデザインされ、例えばpBSSK+/DGT1、pBS
SK+/DGT2およびpBSSK+/DGT3で、下記で詳細に説明する。その
ような改善ベクターはまたpBCSK+または他の当技術分野で周知の適切なベ
クターを基本にすることができる。
【0024】 好ましいベクターは、pBluescript(pBSまたはpBC)SK+(Stratagene
)を基本にした改良ベクターで、このベクターでは、656から764位のヌク
レオチド配列の一部分が除去され、NotI制限エンドヌクレアーゼ部位を含む
少なくとも110ヌクレオチドで置換されていた。この領域(マルチクローニン
グ部位(MCS)と呼ぶ)は、SacI部位からKpnI部位のヌクレオチド配
列部分に広がっている。
【0025】 ベクターはClaIおよびNotIで切断されたプラスミドpBCSK+でよ
いが、この場合は、工程(6)の3'−PCRプライマーはG−A−A−C−A
−A−A−A−G−C−T−G−G−A−G−C−T−C−C−A−C−C−G
−C(配列番号:4)でよい。好ましい実施態様では、ベクターは、pBCSK + 、pBSSK+およびpBSSK+/DGT1から成る群から選ばれ、工程(f
)の3'−PCRプライマーはG−A−G−C−T−C−C−A−C−C−G−
C−G−G−T(配列番号:18)である。
【0026】 典型的には、工程(d)で用いられる制限エンドヌクレアーゼは、工程(b)
で用いられる第二の制限エンドヌクレアーゼの4ヌクレオチド配列を含むヌクレ
オチド配列認識を有する。一般に、そのような制限エンドヌクレアーゼのための
部位は、ClaIに対して5'側のベクター配列内の他にClaI部位とNot
I部位との間のMCS内に存在する必要がある。 ある実施態様では、ベクターはプラスミドpBCSK+で、MspIが第二の
制限エンドヌクレアーゼとして、さらに工程(d)で用いられる直線化制限エン
ドヌクレアーゼとして用いられる。 別の実施態様では、ベクターはプラスミドpBCSK+で、第二の制限エンド
ヌクレアーゼは、MspI、MaeII、TaqIおよびHinP1Iから成る
群から選ばれ、さらに工程(d)の直線化はSmaIによる第一の消化、続いて
KpnIおよびApaIの混合物による第二の消化によって達成される。
【0027】 他の実施態様では、ベクターはpBSSK+/DGT1、pBSSK+/DGT
2およびpBSSK+/DGT3から成る群から選ばれる。そのような実施態様
では、第二の制限エンドヌクレアーゼがMspIで工程(d)用いられる制限エ
ンドヌクレアーゼがSmaIである適切な酵素の組合せが提供される。別の適切
な組合せは、第二の制限エンドヌクレアーゼがTaqIで、工程(d)で用いら
れる制限エンドヌクレアーゼがXhoIである。さらに適切な組合せは、第二の
制限エンドヌクレアーゼがHinP1Iで、工程(d)で用いられる制限エンド
ヌクレアーゼがNarIである。さらに別の適切な組合せは、第二の制限エンド
ヌクレアーゼがMaeIIで、工程(d)で用いられる制限エンドヌクレアーゼ
がAatIIである。
【0028】 典型的には、バクテリオファージ特異的プロモーターは、T3プロモーター、
T7プロモーターおよびSP6プロモーターから成る群から選ばれる。もっとも
典型的にはそれはT3プロモーターである。 典型的には、cRNAからcDNAの転写をプライミングするための16の5
'−RTプライマーは、配列A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A
−T−C−G−G−N−N(配列番号:3)を有する。別の好ましい実施態様で
は、cRNAからcDNAの転写をプライミングするための4つの5'−RTプ
ライマーは、配列G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−
G−N(配列番号:9)を有する。
【0029】 4ヌクレオチド配列を認識する第二の制限エンドヌクレアーゼは典型的にはM
spIで、また別にはそれはTaqI、MawIIまたはInP1Iでもよい。
アンカープライマー混合物の各々でただ1か所で切断する制限エンドヌクレアー
ゼは典型的にはNotIである。 典型的にはmRNA集団ではポリアデニル化mRNA種が濃縮されていた。 典型的にはホスト細胞は大腸菌(Escherichia coli)株である。
【0030】 クローン化挿入物の直線化フラグメントを生成する工程は典型的には以下を含
む: (a)挿入物を含むプラスミドを2つに分け、第一の部分を制限エンドヌクレ
アーゼXhoIで切断し、第二の部分を制限エンドヌクレアーゼSalIで切断
する; (b)切断後第一および第二の部分を再び一緒にする; (c)この再度一緒にした部分を三等分し、第一の三等分を制限エンドヌクレ
アーゼHindIIIで、第二の三等分を制限エンドヌクレアーゼBamHIで
、さらに第三の三等分を制限エンドヌクレアーゼEcoRIで切断し;さらに (d)集団の約1/6が可能な酵素組合せの各々による切断生成物に一致する
直線化フラグメント集団を製造するためにこれら三等分を再度一緒にする。
【0031】 ベクターがpBCSK+およびpBSSK+から成る群から選ばれ、MspIが
第二の制限エンドヌクレアーゼである別の実施態様では、MspIを工程(d)
で用いられる直線化制限エンドヌクレアーゼとして用いることができる。ベクタ
ーがプラスミドpBCSK+であるまた別の場合には、直線化はSmaIによる
第一の消化、続いてKpnIおよびApaIの混合物による第二の消化によって
達成することができる。
【0032】 他の実施態様では、ベクターはpBSSK+/DGT1、pBSSK+/DGT
2およびpBSSK+/DGT3から成る群から選ばれ、工程(d)で用いられ
る直線化制限エンドヌクレアーゼはSmaI、XhoI、NarIおよびAat
IIから成る群から選ばれる。 典型的には、ポリメラーゼ連鎖増幅フラグメントを電気泳動によって解析する
工程は、少なくとも2つのゲルでのフラグメントの電気泳動を含む。 各配列特異的PCR生成物、またはポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントは
、配列識別子、ヌクレオチド残基としての長さおよびPCR生成物の標識の濃度
(そのPCR生成物に対する検出装置の出力のピーク下の面積と規定される)か
ら成るデジタルアドレスによって特定される。
【0033】 配列識別子は、5'成分および3'成分によって規定される。配列識別子の5'
成分は、最初のmRNA集団から調製された二本鎖cDNA集団を切断するため
に用いられた第二の制限ヌクレアーゼの認識部位である。典型的には、制限エン
ドヌクレアーゼはMspIで、配列識別子の5'成分は−C−C−G−Gである
。配列識別子の3'成分は5'PCRプライマーの3'末端配列によって規定され
る配列である。例えば、図2の"111"として表示されるPCR生成物の配列識
別子の3'成分は−C−T−G−Cである。したがって、この事例では、配列識
別子は−C−C−G−GC−T−G−Cであろう。
【0034】 典型的には、配列識別子および配列特異的PCR生成物のヌクレオチド残基と
しての長さおよびPCR生成物の標識の濃度(そのPCR生成物の検出装置の出
力のピーク下の面積として表される)として上記に規定されるように、デジタル
アドレスを含むデータベースは、適切なコンピュータハードウェアおよびコンピ
ュータソフトウェアを用いて構築され、維持される。好ましくは、そのようなデ
ータベースは、さらに配列の関連性、遺伝子マッピング、細胞における分布、実
験処理条件および遺伝子機能に関連すると考えられる他の一切の情報を含む。
【0035】 本方法はさらに、例えば以下によってmRNAの少なくとも1つの3'末端の
配列を決定することを含む: (1)サンプル中に存在するmRNAの3'末端を示すバンドが表出されてい
る電気泳動から1つのmRNAに対応する少なくとも1つのcDNAを溶出させ
; (2)前記溶出cDNAをポリメラーゼ連鎖反応で増幅し; (3)前記増幅cDNAをプラスミドでクローニングし; (4)前記プラスミドでクローニングしたDNAに一致するDNAを生成し;
さらに (5)前記クローン化DNAの配列を決定する。
【0036】 本発明の別の特徴は、mRNA集団の3'末端を表わすアンチセンスcRNA
プールのメンバーに対応するmRNAを同時に配列特異的に同定する方法で、ア
ンチセンスcRNAプールのメンバーのアンチセンスcRNAでは、それらの5
'末端はバクテリオファージ特異的ベクターと一致するプライマー配列で終結し
、それらの3'末端はベクターの配列と一致する配列で終結している。
【0037】 本方法は以下の工程を含む: (1)アンチセンスcRNAプールのメンバーを16のサブプールに分け、熱
耐性逆転写酵素および16の5'−RTプライマーの1つを用いて各サブプール
から第一鎖cDNAを転写する。5'−RTプライマーの3'末端は−N−N(式
中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、GまたはTの1つである)で
、5'−RTプライマーは長さが少なくとも15ヌクレオチドで、配列がバクテ
リオファージ特異的プロモーターの3'末端に一致し、さらにその配列はcRN
Aの少なくとも最初の2つのヌクレオチドまで伸長している。この混合物は3'
末端の2つのヌクレオチドについて全ての可能性を含んでいる; (2)ポリメラーゼ連鎖反応の鋳型として16のサブプールの各々の転写生成
物を用い、ベクター内のcDNAサンプルの挿入部位に隣接するベクター配列に
配列が一致する3'−PCRプライマーおよび5'−PCRプライマーとして、(
i)そのサブプールについて第一鎖cDNAの合成に用いられた5'−RT、(
ii)その3'末端がさらに別の残基−N(NはA、C、GまたはTのいずれで
もよい)で伸長されたそのサブプールについて第一鎖cDNAの合成に用いられ
た5'−RTおよび(iii)その3'末端がさらに別の2つの残基−N−N(N
はA、C、GまたはTのいずれでもよい)で伸長されたそのサブプールについて
第一鎖cDNAの合成に用いられた5'−RTから成る群から選ばれる5'−PC
Rプライマーによりポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを生成する; (3)ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを電気泳動によって解析し、サ
ンプルに存在するmRNAの3'末端を表すバンドを表示する。
【0038】 別の好ましい実施態様では、本方法は以下の工程を含む: (1)cRNA調製物をサブプールに分け、さらに逆転写酵素および以下の定
義を有する5'−RTプライマーの1つを用いて各プールから第一鎖cDNAを
転写するが、この場合、前記5'−RTプライマーのうち異なる1つが異なるサ
ブプールで用いられ、"x"=1の場合サブプールは4つで、"x"=2の場合サブ
プールは16で、"x"=3の場合サブプールは64で、"x"=4の場合サブプー
ルは256で、"x"=5の場合サブプールは1024である。前記5'−RTプ
ライマーは、−Nxから成る3'末端を有し(式中"N"は4つのデオキシリボヌク
レオチドA、C、GまたはTの1つで、"x"は1から5までの整数)、長さが1
5から30ヌクレオチドで、さらに5'フランキングベクター配列と相補的で5'
−RTプライマーの相補性がcRNAの挿入物特異的ヌクレオチド内の"x"と同
じ数のヌクレオチドまで伸長しており; (2)ポリメラーゼ連鎖反応のための鋳型としてサブプールの各々の第一鎖c
DNA転写生成物を用い、長さが15から30ヌクレオチドで、前記第一の制限
エンドヌクレアーゼ部位とバクテリオファージ特異的プロモーターによる転写開
始を規定する部位との間の3'フランキングベクター配列に相補的である3'−P
CRプライマーおよび以下のように規定される5'−PCRプライマーによりポ
リメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを生成する。前記5'−PCRプライマー
は−Nx−Nyから成る3'末端を有し(式中、"N"および"x"は工程(f)の場
合と同じで、−Nxは、当該サブプールについてcDNAの合成に用いられた5'
−RTの場合と同じで、"y"は、x+yが3、4、5および6から成る群から選
ばれる整数と等しい完全な整数)、長さが15から30ヌクレオチドで、さらに
5'フランキングベクター配列と相補的で5’−PCRプライマーの相補性がc
RNAの挿入物特異的ヌクレオチド内の"x+y"と同じ数のヌクレオチドまで伸
長しており; (3)ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを電気泳動によって解析し、m
RNA集団に存在する異なるmRNAの3'末端を表示する配列特異的生成物デ
ィスプレーを作製する。
【0039】 本発明のさらに別の特徴は、生理学的また病理学的変化に付随する組織内での
mRNA発現パターンの変化を検出する方法である。この方法は以下の工程を含
む: (1)生理学的または病理学的変化を受けていない第一の組織サンプルを入手
し; (2)mRNA集団の3'末端を表示しているアンチセンスcRNAのメンバ
ーに対応するmRNAを同時に配列特異的に同定する上記の方法の(1)−(3
)の工程を実施することによって、第一の組織サンプルにおけるmRNA発現パ
ターンを決定して、第一のサンプルに存在するmRNAの3'−末端を表示する
第一のバンドディスプレーを作製し; (3)生理学的または病理学的変化を受けた第二の組織サンプルを入手し; (4)アンチセンスcRNAのメンバーに対応するmRNAを同時に配列特異
的に同定する上記の方法の(1)−(3)の工程を実施することによって、第二
の組織サンプルにおけるmRNA発現パターンを決定して、第二のサンプルに存
在するmRNAの3'−末端を表示する第二のバンドディスプレーを作製し;さ
らに (5)第一および第二のディスプレーを比較して、組織内のmRNA発現パタ
ーンにおける生理学的または病理学的変化の影響を決定する。 比較は典型的には隣合ったレーンで実施される。 組織は中枢神経系または中枢神経系の特定の構造物に由来するであろう。前記
組織は別の器官または器官系に由来するものでもよい。
【0040】 本発明の別の特徴は薬剤の副作用をスクリーニングする方法である。本方法は
以下の工程を含む: (1)既知の生理学的機能をもつ化合物で処理した器官から第一の組織サンプ
ルを入手し; (2)mRNA集団の3'末端を表示しているアンチセンスcRNAのメンバ
ーに対応するmRNAを同時に配列特異的に同定する上記の方法の(1)−(3
)の工程を実施することによって、第一の組織サンプルにおけるmRNA発現パ
ターンを決定して、第一のサンプルに存在するmRNAの3'−末端を表示する
第一のバンドディスプレーを作製し; (3)副作用についてスクリーニングするべき薬剤で処理した器官から第二の
組織サンプルを入手し; (4)アンチセンスcRNAのメンバーに対応するmRNAを同時に配列特異
的に同定する上記の方法の(1)−(3)の工程を実施することによって、第二
の組織サンプルにおけるmRNA発現パターンを決定して、第二のサンプルに存
在するmRNAの3'−末端を表示する第二のバンドディスプレーを作製し;さ
らに (5)第一および第二のディスプレーを比較して、その発現が既知の化合物に
よって影響されないが、スクリーンニングしている薬剤によって影響を受けるm
RNA種の存在(したがって副作用)を検出し、それによってスクリーニングし
ている薬剤と既知の化合物の作用の違いを示す。 スクリーニングされる薬剤は、中枢神経系に影響を与える薬剤、例えば抗うつ
剤、神経弛緩薬、抗痙攣薬、モノアミンオキシダーゼ抑制物質または刺激物質で
あろう。また別には前記薬剤は別の種類の薬剤、例えば抗パーキンソン症薬、骨
格筋弛緩薬、鎮痛剤、局所麻酔剤、コリン作動薬、鎮痙薬、ステロイド、または
非ステロイド系抗炎症剤でもよい。
【0041】 本発明の別の特徴は、本発明の実施に適したプライマーパネルおよび縮重プラ
イマー混合物である。これらは以下を含む: (1)以下の配列の16のプライマーを含む5'−RTプライマーパネル:A
−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N(配
列番号:3)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、GまたはT
のうちの1つで; (2)以下の配列の64のプライマーを含む5’−RTプライマーパネル:A
−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N−N
(配列番号:5)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、Gまた
はTのうちの1つで; (3)以下の配列の256のプライマーを含む5'−PCRプライマーパネル
:A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N
−N−N(配列番号:6)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C
、GまたはTのうちの1つで; (4)以下の配列の1024のプライマーを含む5'−PCRプライマーパネ
ル:A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−
N−N−N−N(配列番号:24)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチ
ドA、C、GまたはTのうちの1つで;さらに (5)以下の配列の4096のプライマーを含む5'−PCRプライマーパネ
ル:A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−
N−N−N−N−N(配列番号:25)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレ
オチドA、C、GまたはTのうちの1つである; (6)以下の配列の12のプライマーを含むアンカープライマーパネル:A−
A−C−T−G−G−A−A−G−A−A−T−T−C−G−C−G−G−C−
C−G−C−A−G−G−A−A−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−
T−T−T−T−T−T−T−T−V−N−N(配列番号:28)、式中、Vは
A、CおよびGから成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチドで、NはA、
C、GまたはTから成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチドで; (7)以下の配列の3つのプライマーを含むアンカープライマーのパネル:A-
A-C-T-G-G-A-A-G-A-A-T-T-C-G-C-G-G-C-C-G-C-A-G-G-A-A-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-
T-T-T-T-T-T-T-T-V(配列番号: 23)、式中、VはA、C及びGからなる群より選
ばれるデオキシリボヌクレオチドである; (8)各々が以下の配列を有する4つの異なるオリゴヌクレオチドを含む5’
−RTプライマーのパネル:G-G-T-C-G-A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N (配列番号: 9)
、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのうちの1つで
ある; (9)各々が以下の配列を有する16の異なるオリゴヌクレオチドを含む5’
−RTプライマーのパネル:G-T-C-G-A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N-N (配列番号: 7)
、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのうちの1つで
ある; (10)各々が以下の配列を有する64の異なるオリゴヌクレオチドを含む5
’−PCRプライマーのパネル:T-C-G-A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N-N-N (配列番号: 13)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのうちの1
つである; (11)各々が以下の配列を有する256の異なるオリゴヌクレオチドを含む
5’−PCRプライマーのパネル: C-G-A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N-N-N-N (配列番
号: 14)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのうち
の1つである; (12)各々が以下の配列を有する1024の異なるオリゴヌクレオチドを含
む5’−PCRプライマーのパネル:G-A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N-N-N-N-N (配列
番号: 15)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのう
ちの1つである; (13)各々が以下の配列を有する4096の異なるオリゴヌクレオチドを含
む5’−PCRプライマーのパネル:A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N-N-N-N-N-N (配列
番号: 16)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのう
ちの1つである; (14)各々が以下の配列を有する4つの異なるオリゴヌクレオチドを含む5
’−RTプライマーのパネル:C-T-T-C-A-G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N (配
列番号: 10)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTの
うちの1つである; (15)各々が以下の配列を有する16の異なるオリゴヌクレオチドを含む5
’−RTプライマーのパネル:T-T-C-A-G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N-N (配
列番号: 11)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTの
うちの1つである; (16)各々が以下の配列を有する64の異なるオリゴヌクレオチドを含む5
’−RTプライマーのパネル:T-C-A-G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N-N-N (配
列番号: 12)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTの
うちの1つである; (17)各々が以下の配列を有する256の異なるオリゴヌクレオチドを含む
5’−PCRプライマーのパネル:C-A-G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N-N-N-N
(配列番号: 17)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はT
のうちの1つである; (18)各々が以下の配列を有する1024の異なるオリゴヌクレオチドを含
む5’−PCRプライマーのパネル:A-G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N-N-N-N-
N (配列番号: 26)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又は
Tのうちの1つである; (19)各々が以下の配列を有する4096の異なるオリゴヌクレオチドを含
む5’−PCRプライマーのパネル:G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N-N-N-N-N-
N (配列番号: 27)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又は
Tのうちの1つである; (20)以下の配列の3つのプライマーの混合物を含むアンカープライマーの
縮重混合物:A-A-C-T-G-G-A-A-G-A-A-T-T-C-G-C-G-G-C-C-G-C-A-G-G-A-A-T-T-T-
T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-V (配列番号: 23)、式中、VはA、C及びGか
らなる群より選ばれるデオキシリボヌクレオチドであり、3つのプライマーの各
々は概ね等モル量で存在する;更に、 (21)以下の配列の12のプライマーの混合物を含むアンカープライマーの
縮重混合物:A-A-C-T-G-G-A-A-G-A-A-T-T-C-G-C-G-G-C-C-G-C-A-G-G-A-A-T-T-T-
T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-V-N (配列番号: 2)、式中、VはA、C及びG
からなる群より選ばれるデオキシリボヌクレオチドであり、Nは、A、C、G及
びTからなる群より選ばれるデオキシリボヌクレオチドであり、12のプライマ
ーの各々は概ね等モル量で存在する。
【0042】課題を解決するための手段 我々は、mRNA集団中のmRNAを同時に配列特異的に同定し、表示する方
法を開発した。 下記で考察するように、この方法は、薬剤のスクリーニング、生理学的および
病理学的状態の研究、並びにゲノムマッピングにおいて数多く応用される。これ
らの応用については下記で考察されるであろう。mRNAの配列特異的同時同定 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を基礎にして本発明の方法は、組織で発
現されるほとんど全てのmRNAの可視化のための手段を提供する。前記mRN
Aは、バンドの濃度が前記mRNAの濃度と概ね一致する、ゲル上のそれぞれ別
個のバンドとして表される。本方法は、実際上全てのmRNAが3'−ポリ(A
)テールで終わるが、プライマーのテールへの結合の特異性に依存しないという
観察を基礎にしている。
【0043】 一般に本方法は以下を含む: (1)12のアンカープライマーの混合物を用いてmRNA集団から二本鎖c
DNAを調製するが、ここでアンカープライマーの各々は、(i)7から40の
T残基の列、(ii)T残基列の5'側に位置する、6より多い塩基を認識する
第一の制限エンドヌクレアーゼによる切断部位、(iii)前記制限エンドヌク
レアーゼによる切断部位の5'側に位置する、4から40ヌクレオチドの第一の
充填セグメント;および(iv)アンカープライマーの各々の3'末端に位置す
る調整残基−V−N(式中、VはA、CおよびGから成る群から選ばれるデオキ
シリボヌクレオチドで、NはA、C、GおよびTから成る群から選ばれるデオキ
シリボヌクレオチドである)を含み、前記混合物はVおよびNについて全ての可
能性を含むアンカープライマーを含み; (2)ベクターによって形質転換された適切なホスト細胞からクローン化挿入
物を作製するが、前記ベクターは、その中に挿入された第一の制限エンドヌクレ
アーゼおよび第二の制限エンドヌクレアーゼで切断されたcDNAサンプルを有
し、前記切断されたcDNAサンプルは、ベクター内のバクテリオファージ特異
的プロモーターに対してアンチセンス方向でベクター内に挿入されてあり、第二
の制限エンドヌクレアーゼは4つのヌクレオチド配列を認識し、第一の制限エン
ドヌクレアーゼはアンカープライマー混合物の各メンバー内でただ1つの部位を
切断し; (3)第一および第二の制限エンドヌクレアーゼとは異なる少なくとも1つの
制限エンドヌクレアーゼの消化によってクローニング挿入物の直線化フラグメン
トを作製し; (4)直線化フラグメントをバクテリオファージ特異的プロモーターから転写
を開始させることができるバクテリオファージ特異的RNAポリメラーゼと保温
してアンチセンスcRNA転写物のcRNA調製物を作製し; (5)cRNA調製物を16のサブプールに分け、熱耐性逆転写酵素および1
6の5'−RTの1つを用いて、各サブプールから第一鎖cDNAを転写し、こ
こで5'−RTはその3'末端が−N−N(式中Nは4つのデオキシヌクレオチド
、A、C、GまたはTのうちの1つ)で、長さは少なくとも15ヌクレオチドで
、バクテリオファージ特異的プロモーターの3'末端に配列が一致し、さらにそ
の配列は前記cRNAの少なくとも最初の2つのヌクレオチドまで伸長しており
、前記混合物は前記3'末端の2つのヌクレオチドについて全ての可能性を含み
; (6)ポリメラーゼ連鎖反応のための鋳型として16のサブプールの各々の転
写生成物を用い以下の3'−PCRプライマーおよび5'−PCRプライマーによ
りポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを生成するが、ここで前記3'−PC
Rプライマーはベクター内のcDNAサンプル挿入物の部位に隣接するベクター
内配列と配列が一致し、5'−PCRプライマーは、(i)そのサブプールにつ
いて第一鎖cDNAの合成に用いた5'−RTプライマー;(ii)そのサブプ
ールについて第一鎖cDNAの合成に用いた、3'末端がさらに別の1つの残基
−N(NはA、C、GまたはTのいずれか)によって伸長されたれた5'−RT
プライマー;および(iii)そのサブプールについて第一鎖cDNAの合成に
用いた、その3'末端がさらに別の2つの残基−N−N(NはA、C、Gまたは
Tのいずれか)によって伸長された5'−RTの3つから成る群から選ばれ;さ
らに (7)ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを電気泳動によって解析し、サ
ンプル中に存在するmRNAの3'末端を表わすバンドを表示する。
【0044】 別の好ましい実施態様では本方法は以下の工程を含む: (a)アンカープライマーの混合物を用いてmRNA集団から二本鎖cDNA
集団を調製し、前記アンカープライマーは各々、(i)7から40のT残基の列
;(ii)T残基列の5'側に位置する、6つより多い塩基を認識する第一の制
限エンドヌクレアーゼによる切断部位;(iii)第一の制限エンドヌクレアー
ゼ切断部位の5'側に位置する、4から40ヌクレオチドの第一の充填セグメン
ト;および(iv)−V及び−V−Nからなる群より選ばれるアンカープライマ
ー各々の3'末端に位置する調整用残基(式中、VはA、CおよびGから成る群
から選ばれるデオキシリボヌクレオチドで、NはA、C、GおよびTから成る群
から選ばれるデオキシリボヌクレオチド)を含み、前記混合物はVおよびNにつ
いて全ての可能性を含有するアンカープライマーを含み、前記混合物内の調整用
残基は−V又は−V−Nのうちの1つによって定義される; (b)第一の制限エンドヌクレアーゼおよび第二の制限エンドヌクレアーゼ(
第二の制限エンドヌクレアーゼは4ヌクレオチド配列を認識する)で二本鎖cD
NA集団を切断し、それぞれ第一および第二の末端を有する二本鎖cDNA分子
を生成し; (c)工程(b)の各々から得た二本鎖cDNA分子をバクテリオファージ特
異的プロモーターに対してアンチセンス方向でベクターに挿入し、挿入cDNA
分子を含むベクター集団を作製するが、前記の挿入によって、5'が挿入cDN
Aのセンス鎖の上流にあり3'がセンス鎖の下流にあるように、3'および5'フ
ランキングベクター配列が規定され、さらに前記ベクターは、前記第一の制限エ
ンドヌクレアーゼ部位と前記プロモーター内の転写開始を規定する部位との間に
長さが少なくとも15ヌクレオチドの3'フランキングヌクレオチド配列を有し
; (d)工程(c)で生成されたベクターを、挿入cDNA分子内またはバクテ
リオファージ特異的プロモーター内の配列を認識しないが、ベクター内の配列を
認識する少なくとの1つの制限エンドヌクレアーゼで消化して挿入cDNA分子
を含む直線化フラグメントを作製するが、この場合、生じた直線化フラグメント
が、cDNAの第二の末端でベクターに挿入されたcDNAサンプルの挿入部位
に対して5'側に少なくとも15ヌクレオチドの5'フランキングベクター配列を
もつように消化され; (e)直線化フラグメントをバクテリオファージ特異的プロモーターから転写
を開始させることができるバクテリオファージ特異的RNAポリメラーゼと保温
してアンチセンスcRNA転写物のcRNA調製物を作製し; (f)cRNA調製物をサブプールに分け、逆転写酵素および以下のように規
定される5'−RTプライマーの1つを用いて各サブプールから第一鎖cDNA
を転写するが、ここで前記5'−RTプライマーは、Nxから成る3'末端を有し
(式中"N"は4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、GまたはTの1つで、"
x"は1から5の整数)、長さが15から30ヌクレオチドで、さらに5'フラン
キングベクター配列と相補的で5'−RTプライマーの相補性がcRNAの挿入
物特異的ヌクレオチドの中の"x"と同じ数のヌクレオチドまで伸長しており、こ
の転写では、前記5'−RTプライマーのうちの異なる1つが異なるサブプール
で用いられ、"x"=1の場合はサブプールは4つで、"x"=2の場合はサブプー
ルは16で、"x"=3の場合はサブプールは64で、"x"=4の場合はサブプー
ルは256で、"x"=5の場合はサブプールは1024であり; (g)ポリメラーゼ連鎖反応の鋳型としてサブプールの各々の第一鎖cDNA
転写生成物を用い、3'−PCRおよび5'−PCRによりポリメラーゼ連鎖反応
増幅生成物を生成するが、ここで前記3'−PCRプライマーは長さが15から
30ヌクレオチドで、第一の制限エンドヌクレアーゼ部位とバクテリオファージ
特異的プロモーターによる転写開始部位を規定する部位との間に存在する3'フ
ランキングベクター配列に相補的であり、前記5'−PCRプライマーは−Nx
yから成る3'末端を有し(前記式中、"N"および"x"は工程(f)で規定した
とおりで、−Nxは、そのサブプールについて第一鎖cDNAの合成に用いた5'
−RTプライマーの場合と同じで、"y"は、x+yが3、4、5および6から成
る群から選ばれる整数と等しい完全な整数)、長さが15から30ヌクレオチド
で、さらに5'フランキングベクター配列と相補的で5'−PCRプライマーの相
補性がcRNAの挿入物特異的ヌクレオチドの中の"x+y"と同じ数のヌクレオ
チドにまで伸長しており;さらに、 (h)ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを解析して、mRNA集団に存
在する異なるmRNAの3'末端を表す配列特異的生成物のディスプレーを作製
する。
【0045】 A.mRNAの単離 本方法の第一の工程はmRNA集団の単離または提供である。RNAの抽出方
法は当技術分野で周知で、例えば以下の文献に記載されている:J. Sambrook et
al., "Molecular Cloning: A Laboratory Manual"(Cold Spring Harbor Labora
tory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989), vol.1, Ch.7, "Extractio
n, Purification, and Analysis of Messenger RNA from Eukaryotic Cells"(こ
の文献は参照により本明細書に含まれる)。また別の単離および抽出方法もまた
周知である。典型的には、単離は、カオトロピズム薬剤(例えば塩化グアニジニ
ウムまたはグアニジニウムチオシアネート)の存在下で実施されるが、他の洗浄
剤および抽出剤もまた用いることができる。 典型的には、mRNAは、オリゴ(dT)−セルロース、またはmRNA分子
のポリアデニル化3'−部分と結合する能力を有する他のクロマトグラフィー媒
体上でのクロマトグラフィーによって、全抽出RNAから単離される。しかしな
がら、また別の選択肢として、好ましさは低下するが全RNAを使用することも
できる。しかしながら一般にはポリ(A)+RNAを単離するのが好ましい。
【0046】 B.二本鎖cDNAの調製 続いて、逆転写を開始させるアンカープライマーの混合物を用いて二本鎖cD
NAを調製する。アンカープライマーは各々、(i)7から40のT残基の列;
(ii)T残基列の5'側に位置する、6つより多い塩基を認識する制限エンド
ヌクレアーゼによる切断部位;(iii)制限エンドヌクレアーゼ切断部位の5
'側に位置する、4から40ヌクレオチドの第一の充填セグメント;および(i
v)6つより多い塩基を認識する制限エンドヌクレアーゼの切断部位とT残基列
との間に挟まれた0から8残基の第二の充填セグメント;(v)アンカープライ
マーの各々の3'末端に位置する、−V及び−V−Nからなる群より選ばれる調
整残基(式中、VはA、CおよびGから成る群から選ばれるデオキシリボヌクレ
オチドで、NはA、C、GおよびTから成る群から選ばれるデオキシリボヌクレ
オチド)を含み、さらに、前記混合物はVおよびNについて全ての可能性を含む
アンカープライマーを含む。アンカープライマーが−Vの調整残基を有する場合
は、前記混合物は3種のアンカープライマーの混合物を含み、アンカープライマ
ーが−V−Nの調整残基を有する場合は、前記混合物は12種のアンカープライ
マーの混合物を含む。
【0047】 典型的には、アンカープライマーは各々T残基列に18のT残基を有し、アン
カープライマーの第一の充填セグメントは長さが14残基である。第一の充填セ
グメントの適切な配列は、A−A−C−T−G−G−A−A−G−A−A−T−
T−C(配列番号:1)である。典型的には、6より多い塩基を認識する制限エ
ンドヌクレアーゼによる切断部位はNotI切断部位である。3つのアンカープ
ライマーの好ましいセットは、配列:A-A-C-T-G-G-A-A-G-A-A-T-T-C-G-C-G-G-C-
C-G-C-A-G-G-A-A-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-V (配列番号: 23)を有
している。12のアンカープライマーの別の好ましいセットは、配列:A-A-C-T-
G-G-A-A-G-A-A-T-T-C-G-C-G-G-C-C-G-C-A-G-G-A-A-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-
T-T-T-T-T-V-N (配列番号: 2)を有している。
【0048】 このアンカープライマー混合物の1つのプライマーが、サンプル中の各mRN
A種の全コピーの3'末端の固定部位から合成を開始し、それによって各mRN
A種の3'末端を明らかにする。 この反応は、mRNAから二本鎖cDNAを調製するために当技術分野で周知
の条件下で実施される。そのような技術は以下の文献に記載されている:Sambro
ok et al., "Molecular Cloning: A Laboratory Manual", Vol.2,(表題:"Const
ruction and Analysis of cDNA Libraries")。適切な逆転写酵素にはニワトリ骨
髄芽球症ウイルス(AMV)およびマロニーネズミ白血病ウイルス(MMLV)
に由来するものが含まれる。好ましい逆転写酵素はMMLV逆転写酵素である。
【0049】 C.制限エンドヌクレアーゼによるcDNAサンプルの切断 cDNAサンプルは2つの制限エンドヌクレアーゼで切断する。第一の制限エ
ンドヌクレアーゼは6塩基より長い部位を認識し、アンカープライマー混合物の
各アンカープライマー内のただ1つの部位を切断する。第二の制限エンドヌクレ
アーゼは4ヌクレオチド配列を認識するエンドヌクレアーゼである。そのような
エンドヌクレアーゼは典型的にはほとんどのcDNAで多数の部位を切断する。
典型的には、第一の制限エンドヌクレアーゼはNotIで、第二のエンドヌクレ
アーゼはMspIである。酵素NotIは、ほとんどのcDNAを内部で切断し
ない。これは、アンカー部位以外の場所でcDNAを切断することによって生じ
るクローン化挿入物の損失を最小限に留めるために望ましいことである。
【0050】 また別には、第二の制限エンドヌクレアーゼはTaqI、MaeIIまたはH
inP1Iであろう。後者の2つの制限エンドヌクレアーゼの使用によって、M
spIによって切断されないmRNAを検出できる。第二の制限エンドヌクレア
ーゼは、下記で考察するように、所望のベクターでクローニングするために適合
する5'−突出部を生じる。pBCSK+、pBSSK+、pBSSK+/DGT1
、pBSSK+/DGT2およびpBSSK+/DGT3から成る群から選ばれる
ベクターの場合、このクローニングは下記で考察するようにClaI部位で実施
される。
【0051】 また別には、他の適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて、上記の制限エンド
ヌクレアーゼによって切断されないcDNAを検出することができる。そのよう
な実施態様では、6塩基よりも大きいものを認識する適切な第一の制限エンドヌ
クレアーゼは、AscI、BaeI、FseI、NotI、PacI、PmeI
、PpuMI、RsrII、SapI、SexAI、SfiI、SgfI、Sg
rAI、SrfI、Sse8387IおよびSwaIである。4ヌクレオチド配
列を認識する適切な第二の制限エンドヌクレアーゼは、MboI、DpnII、
Sau3AI、Tsp509I、HpaII、BfaI、Csp6I、MseI
、HhaI、NlaIII、TaqI、MspI、MaeIIおよびHinP1
Iである。 cDNAの消化の条件は当技術分野で周知で、例えば以下の文献に記載されて
いる:Sambrook et al., "Molecular Cloning: A Laboratory Manual", Vol.1,
Ch.5,("Enzymes Used in Molecular Cloning")。
【0052】 D.切断cDNAのベクターへの挿入 第一および第二の制限エンドヌクレアーゼで切断したcDNAサンプルを続い
てベクターに挿入する。一般に、適切なベクターは、NotI制限エンドヌクレ
アーゼ部位を有するマルチクローニング部位を含む。適切なベクターは、制限エ
ンドヌクレアーゼClaIおよびNotIで切断されたプラスミドpBCSK+
である。ベクターはバクテリオファージ特異的プロモーターを含む。典型的には
、プロモーターはT3プロモーター、SP6プロモーター、またはT7プロモー
ターである。好ましいプロモーターはバクテリオファージT3プロモーターであ
る。切断したcDNAは、バクテリオファージ特異的プロモーターに対してアン
チセンス方向でベクターに挿入される。
【0053】 別の好ましい態様では、ベクターは、TSプロモーター、T7プロモーターお
よびSP6プロモーターから成る群から選ばれる少なくとも1つのバクテリオフ
ァージプロモーターを含む。好ましい実施態様では、ベクターは、配列番号:2
0、配列番号:21および配列番号:22から成る群から選ばれるヌクレオチド
配列を有するマルチクローニング部位を含む。 好ましいベクターはプラスミドベクターpBluescript(pBSまたはpBC)S
+(Stratagene)を基礎にするが、これは656位から764位のヌクレオチ
ド配列の一部分が除去され、NotI制限エンドヌクレアーゼ部位を含む少なく
とも110ヌクレオチド配列で置換されている。この領域(マルチクローニング
部位(MCS)と称される)は、SacI部位からKpnI部位のヌクレオチド
配列部分に広がっている。
【0054】 適切なプラスミドベクター、例えばpBCSK+またはpBSSK+(Stratage
ne)を適切な制限エンドヌクレアーゼで消化し、マルチクローニング部位の少な
くとも100ヌクレオチドを除去した。pBSSK+の場合には、マルチクロー
ニング部位を除去するために適切な制限エンドヌクレアーゼはSacIおよびK
pnIである。新しいマルチクローニング部位を含む、第一および第二の制限エ
ンドヌクレアーゼによる消化後NotIおよびClaIに適合する末端を有する
cDNA部分をベクターでクローニングし、適切なプラスミドベクターを生成し
た。新しいマルチクローニング部位を含む好ましいcDNA部分は、配列番号:
20、配列番号:21および配列番号:22に示すヌクレオチド配列を有するも
のを含む。cDNAクローンは、第二の制限エンドヌクレアーゼ部位の4ヌクレ
オチド配列を認識するただ1つの制限エンドヌクレアーゼで消化して直線化する
【0055】 好ましいプラスミドベクター(ここではpBSSK+/DGT1と称する)は
、配列番号:20のMCSを含む。第二の制限エンドヌクレアーゼと直線化制限
エンドヌクレアーゼのペアはそれぞれ、MspIとSmaI;HinP1IとN
arI;TaqIとXhoI;MaeIIとAatIIである。 別の好ましいプラスミドベクター(ここではpBSSK+/DGT2と称され
る)は配列番号:21のNCSを含み、pBSSK+/DGT1について上記で
述べたように調製した。pBSSK+/DGT2の場合、第二の制限エンドヌク
レアーゼと直線化制限エンドヌクレアーゼのペアはそれぞれ、MspIとSma
I;HinP1IとNarI;およびTaqとXhoIである。 別の好ましいプラスミドベクター(ここではpBSSK+/DGT3と称され
る)は配列番号:22のNCSを含む。第二の制限エンドヌクレアーゼと直線化
制限エンドヌクレアーゼのペアはそれぞれ、MspIとSmaI;HinP1I
とNarI;TaqとXhoI;MaeIIとAatIIである。
【0056】 好ましい実施態様では、ベクターは、第一と第二のベクター制限エンドヌクレ
アーゼ部位との間に内部ベクター充填配列制限エンドヌクレアーゼ部位を含むベ
クター充填配列を含む。そのような実施態様の1つでは、直線化工程は、ベクタ
ーを内部ベクター充填配列制限エンドヌクレアーゼ部位で切断する制限エンドヌ
クレアーゼでベクターを消化することを含む。そのような実施態様の別の態様で
は、直線化工程で用いられる制限エンドヌクレアーゼはまた、内部ベクター充填
配列制限エンドヌクレアーゼ部位でベクターを切断する。 E.適切なホスト細胞の形質転換 続いて、切断DNAを挿入したベクターを用い、挿入物含有ベクターで効率的
に形質転換またはトランスフェクトできる適切なホスト細胞を形質転換する。ク
ローニングに適したホスト細胞は、例えば以下の文献に記載されている:Sambro
ok et al., "Molecular Cloning: A Laboratory Manual"(上掲書)。典型的には
ホスト細胞は原核細胞である。特に適切なホスト細胞は大腸菌株である。適切な
大腸菌株はMC1061である。好ましくは、挿入物を含むクローンの割合をX
−galプレートで青色クローンと白色クローンの相対百分率から求めることが
できるように、少量の部分標本を用いて大腸菌株XL1-Blueもまた形質転換する。
典型的には5x105リコンビナントを越えるライブラリーのみが許容される。
【0057】 F.直線化フラグメントの生成 続いて、プラスミド調製物(典型的にはミニプレップとして)をcDNAライ
ブラリーの各々から作製する。その後、直線化フラグメントを少なくとも1つの
制限エンドヌクレアーゼによる消化により作製する。 ある実施態様では、ベクターはプラスミドpBCSK+で、MspIが第二の
制限エンドヌクレアーゼとして、さらに直線化制限エンドヌクレアーゼとして用
いられる。 別の実施態様では、ベクターはプラスミドpBCSK+で、第二の制限エンド
ヌクレアーゼは、MspI、MaeII、TaqIおよびHinP1Iから成る
群から選ばれ、さらに直線化は、SmaIによる第一の消化、続いてKpnIお
よびApaIの混合物による第二の消化によって達成される。 他の実施態様では、ベクターは、pBSSK+/DGT1、pBSSK+/DG
T2およびpBSSK+/DGT3から成る群から選ばれる。そのような実施態
様では、適切な酵素の組合せは、第二の制限エンドヌクレアーゼがMspIで、
直線化工程で用いられる制限エンドヌクレアーゼがSmaIで提供される。別の
適切な組合せは、第二の制限エンドヌクレアーゼがTaqIで、直線化工程で用
いられる制限エンドヌクレアーゼがXhoIで提供される。さらに適切な組合せ
は、第二の制限エンドヌクレアーゼがHinP1Iで、直線化工程で用いられる
制限エンドヌクレアーゼがNarIで提供される。さらに別の適切な組合せは、
第二の制限エンドヌクレアーゼがMaeIIで、直線化工程で用いられる制限エ
ンドヌクレアーゼがAatIIで提供される。一般に、直線化工程では、下記の
項Fで詳細に説明するように、cDNA挿入物を欠くいずれのプラスミドベクタ
ーも、NotI部位とClaI部位との間のSmaI、NarI、XhoIまた
はAatIIの6ヌクレオチド認識部位(図3Aの下線部)で切断された。対照
的に、挿入物を含むプラスミドは、ClaI部位の3'側で見いだされるSma
I、NarI、XhoIまたはAatIIの6ヌクレオチド認識部位で切断され
るであろう。
【0058】 別の実施態様では、クローン化挿入物の各々の部分標本を2つのプールに分け
、そのうちの一方をXhoIで他方をSalIで切断する。直線化したプラスミ
ドプールを一緒にし混合してから三等分する。この三等分をHindIII、B
amIおよびEcoRIで消化する。この工程は注意して見守る必要がある。な
ぜならば、T3RNAポリメラーゼにより挿入物のアンチセンス転写物を生成す
るためには、フランキング配列内で切断するが挿入物自体を切断しない制限エン
ドヌクレアーゼで先ず初めに鋳型を切断しなければならないからである。3'−
末端のMspIフラグメントの平均の長さが256塩基対であるとすると、挿入
物の約6%が6ヌクレオチド配列を認識する任意の酵素に対する部位を含む。た
だ1つの酵素が用いられるならば、そのような挿入物は更なる解析で失われるで
あろう。したがって、2つの酵素のいずれか一方のみが半分の反応物の各々の直
線化に用いられるように前記反応物を分割することが好ましい。
【0059】 両方の酵素のための部位を含む挿入物(約0.4%)のみがサンプルの両半分
から失われる。同様に、各cRNAサンプルには様々な程度で挿入物非含有プラ
スミドが夾雑している。これは、プライマーに対する弁別的な競合のために、そ
の後のポリメラーゼ連鎖反応効率に変動をもたらすであろう。pBCSK+のC
laIとNotI部位との間にただ1つの標的部位をもつ3つの酵素のうちの1
つで三等分サンプルを切断することによって、PCR工程で究極の5'プライマ
ーのための結合部位を含む転写物が挿入物非含有プラスミドから生じることが排
除される。三等分の反応物に3つの酵素を使用することによって、挿入物非含有
配列が夾雑する可能性の問題が解決され、一方、当該酵素のための部位をも含む
挿入物含有配列の使用も減らすことができる。ただ1つの酵素だけを使用すると
した場合、挿入物含有配列の約10%が失われるであろうが、この可能性は約0
.1%まで減少する。なぜならば、3つの全ての酵素によって切断されない配列
のみが失われることになるからである。
【0060】 G.cRNAの作製 次の工程は、アンチセンスcRNA転写物のcRNA調製物の作製である。こ
れは、バクテリオファージ特異的プロモーターから転写を開始することができる
RNAポリメラーゼとともに直線化フラグメントを保温することによって実施さ
れる。典型的には、上記で考察したように、プロモーターはT3プロモーターで
、ポリメラーゼはしたがってT3RNAポリメラーゼである。ポリメラーゼは、
前記直線化フラグメントおよび4種のリボヌクレオシド三燐酸とともに合成に適
した条件下で保温される。
【0061】 H.第一鎖cDNAの転写 好ましい実施態様では、cRNA調製物は多くのサブプールに分割されるが、
分割数は5’−RTプライマーの調整残基の数に左右される。続いて、マロニー
ネズミ白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素(Life Technologies)を用いて、
第一鎖cDNAを各サブプールから転写する。この逆転写酵素では、アニーリン
グは42℃で実施され、転写反応は42℃で実施される。各サブプールの反応は
、以下のように規定される5'−RTプライマーの1つを使用する:前記5'−R
Tプライマーは、−Nxから成る3'−末端をもち(式中"N"は4種のデオキシリ
ボヌクレオチドA、C、GまたはTの1つで、"x"は1から5の整数)、長さが
15から30ヌクレオチドで、さらに5'フランキングベクター配列と相補的で
5'−RTプライマーの相補性がcRNAの挿入物特異的ヌクレオチドの中の"x
"と同じ数のヌクレオチドまで伸長しており、ここで、前記5'−RTプライマー
のうちの異なる1つが異なるサブプールで用いられ、"x"=1の場合はサブプー
ルは4つで、"x"=2の場合はサブプールは16で、"x"=3の場合はサブプー
ルは64で、"x"=4の場合はサブプールは256で、"x"=5の場合はサブプ
ールは1024である。
【0062】 別の実施態様では、cRNA調製物は16のサブプールに分割される。続いて
、各サブプールから熱耐性逆転写酵素および下記のような5'−RTプライマー
を用いて第一鎖cDNAを転写する。好ましい転写酵素は、rTthとして知ら
れているテルムス=テルモフィルス(Thermus thermophilus)由来のリコンビナ
ント逆転写酵素(Perkin-Elmer社(Norwalk, CT)から入手可能)である。本酵素
はRNA依存DNAポリメラーゼとしても知られている。この逆転写酵素を用い
、アニーリングは60℃で転写反応は70℃で実施される。これは、5'−RT
プライマーとcRNAとの間の高フィデリティー相補性を促進する。使用される
5'−RTプライマーは16のプライマーの1つで、その末端は−N−N(式中
Nは4種のデオキシリボヌクレオチドA、C、GまたはTの1つ)で、この5'
−RTプライマーは長さが少なくとも15ヌクレオチドで、バクテリオファージ
特異的プロモーターの3'−末端と配列が一致し、cRNAの少なくとも最初の
2つのヌクレオチドにまで伸長している。
【0063】 バクテリオファージ特異的プロモーターがT3プロモーターの場合は、5'−
RTプライマーは、典型的には以下の配列を有する:A−G−G−T−C−G−
A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N(配列番号:3)、A−G−
G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N−N(配列
番号:5)、A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−
G−N−N−N−N(配列番号:6)、G−G−T−C−G−A−C−G−G−
T−A−T−C−G−G−N(配列番号:9)、G−T−C−G−A−C−G−
G−T−A−T−C−G−G−N−N(配列番号:7)、T−C−G−A−C−
G−G−T−A−T−C−G−G−N−N−N−N(配列番号:13)、C−G
−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N−N−N(配列番号:14
)、G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N−N−N−N(配列
番号:15)またはA−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C
−G−G−N−N−N−N−N(配列番号:24)。
【0064】 I.PCR反応 次の工程は、ポリメラーゼ連鎖反応の鋳型としてサブプールの各々の転写生成
物を下記のようなプライマーとともに使用して、ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラ
グメントを生成することである。 一般に、ポリメラーゼ連鎖反応の鋳型としてサブプールの各々の第一鎖cDN
A転写生成物が、3'−PCRプライマーおよび5'−PCRプライマーとともに
用いられ、ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを生成する。3'−PCRプ
ライマーは、典型的には長さが15から30ヌクレオチドで、さらに、第一の制
限エンドヌクレアーゼ部位とバクテリオファージ特異的プロモーターによる転写
開始部位を規定する部位との間の3'フランキングベクター配列に相補的である
。5'−PCRプライマーは、−Nx−Nyから成る3'末端を有し(式中、"N"お
よび"x"は上記の逆転写工程の場合と同じで、−Nxは、そのサブプールについ
て第一鎖cDNAの合成に用いた5'−RTプライマーの場合と同じ配列で、"y
"は、x+yが3、4、5および6から成る群から選ばれる整数と等しい完全な
整数)、長さが15から30ヌクレオチドで、さらに5'フランキングベクター
配列と相補的で5'−PCRプライマーの相補性がcRNAの挿入物特異的ヌク
レオチドの中の"x+y"と同じ数のヌクレオチドにまで伸長している。
【0065】 別の実施態様では、用いられるプライマーは以下のとおりである:(a)ベク
ター中のcDNAサンプルの挿入部位に隣接するベクター内の配列とその配列が
一致する3'−PCRプライマー;および(b)以下から成る群から選ばれる5'
−PCRプライマー:(i)そのサブプールについて第一鎖cDNAの合成に用
いられた5'−RTプライマー;(ii)その3'末端でさらに別の1つの残基−
Nが伸長されている、そのサブプールについて第一鎖cDNAの合成に用いられ
た5'−RTプライマー(ここでNはA、C、GまたはTのいずれでもよい);
(iii)その3'末端でさらに別の2つの残基−N−Nが伸長されている、そ
のサブプールについて第一鎖cDNAの合成に用いられた5'−RTプライマー
(ここでNはA、C、GまたはTのいずれでもよい)。
【0066】 ベクターがClaIおよびNotIで切断されたプラスミドpBCSK-の場
合は、適切な3'−PCRプライマーは、G−A−A−C−A−A−A−A−G
−C−T−G−G−A−G−C−T−C−C−A−C−C−G−C−(配列番号
:4)である。別の実施態様では、ベクターがClaIおよびNotIで切断さ
れたプラスミドpBCSK+の場合は、適切な3'−PCRプライマーは、A−A
−G−C−T−G−G−A−G−C−T−C−C−A−C−C(配列番号:8)
である。別の実施態様では、適切な3'−PCRプライマーは、G−A−G−C
−T−C−C−A−C−C−G−C−G−G−T(配列番号:18)およびG−
A−G−C−T−C−G−T−T−T−T−C−C−C−A−G(配列番号:1
9)である。バクテリオファージ特異的プロモーターがT3プロモーターの場合
は、適切な5'−PCRプライマーは、A−G−G−T−C−G−A−C−G−
G−T−A−T−C−G−G−N−N−N(配列番号:5)、A−G−G−T−
C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N−N−N(配列番号
:6)、T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N−N(
配列番号:13)、C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N
−N−N(配列番号:14)、G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−
N−N−N−N−N(配列番号:15)、またはA−C−G−G−T−A−T−
C−G−G−N−N−N−N−N−N(配列番号:16)。
【0067】 典型的にはPCRは、94℃15秒の変性、50℃−62℃15秒のアニーリ
ング、および72℃30秒の合成によるPCRプログラムを用い、パーキン=エ
ルマー(Perkin-Elmer)9600装置(Perkin-Elmer Cetus, Norwalk, CT)で35 S−dATPの存在下で実施する。アニーリングの温度は、当技術分野で周知の
原理を用い個々のプライマーのヌクレオチド配列について最適化される。高温の
アニーリング工程は、その3'末端における5'プライマーによる偶発的な誤作動
プライミングを最小限にし、高フィデリティー複製を促進する。
【0068】 また別にはPCR増幅は、32P−標識または33P−標識デオキシリボヌクレオ
シド三燐酸(例えば〔32P〕dCTPまたは〔33P〕dCTP)の存在下で実施
できる。しかしながら、一般には最高の解析のためには35S−標識デオキシリボ
ヌクレシド三燐酸を用いるのが好ましい。非放射性標識を含む他の検出方法もま
た用いることができる。
【0069】 選択した5'−PCRに応じて一連の反応で多数の生成物プールが生じる。上
記で考察したように、5'−PCRプライマーは、−Nx−Nyから成る3'末端を
有し(式中、"N"および"x"は上記の逆転写工程の場合と同じで、−Nxは、そ
のサブプールについて第一鎖cDNAの合成に用いられた5'−RTプライマー
と同じ配列で、"y"は、x+yが3、4、5および6から成る群から選ばれる整
数と等しい完全な整数)、長さが15から30ヌクレオチドで、さらに5'フラ
ンキングベクター配列と相補的で5'−PCRプライマーの相補性がcRNAの
挿入物特異的ヌクレオチドの中の"x+y"と同じ数のヌクレオチドにまで伸長し
ている。サブプールの数はx+yによって決定される。すなわち、x+y=3の
場合はサブプールは64で、x+y=4の場合はサブプールは256で、x+y
=5の場合はサブプールは1024で、x+y=6の場合はサブプールは409
6である。 本発明の工程は、さらに別のヌクレオチドをその3'末端に付加した、より長
いPCRプライマーセットを用いることによって延長することができる。例えば
、−N−N−N−N−Nの3'−末端をもつ5'−PCRプライマーは1024の
生成物を生じ、−N−N−N−N−N−Nの3'−末端をもつプライマーは40
96の生成物を生じるであろう。
【0070】 J.電気泳動 続いて、ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを電気泳動によって分離し、
サンプル中に存在するmRNAの3'−末端を表すバンドを表示する。 PCR増幅フラグメントを分離するための電気泳動技術は周知で、ここでさら
に詳しく述べる必要はないであろう。対応する生成物は、変性DNAシークェン
シングゲルで分離し、オートラジオグラフィーによって可視化する。本明細書で
述べた特定のベクター系の場合、最初の90塩基対が底から流れ出るようにゲル
を泳動させる。なぜならば、ベクター由来配列は55塩基対だけ長さが増加して
いるからである。この数は他のベクター系が用いられる場合には変動し、したが
って、ベクター由来配列がゲルの底から流出するように、用いられるベクターの
配列を考慮しながら適切な電気泳動条件を決定することができる。典型的には、
各反応物を別々の変性ゲル上で泳動させ少なくとも2つのゲルを用いる。好まし
くは、一連の反応を平行して(例えば異なる組織から得て)実施し、同じプライ
マーを用いた全ての反応を同じゲルで解析できる。相当な数の反応を同じゲル上
で解析できる。典型的には、30反応を同じゲルで解析し比較できる。下記で考
察するように、これは組織特異的mRNAの決定方法を提供する。
【0071】 典型的には、オートラジオグラフィーを使用して、分解したcDNA種を検出
する。しかしながら、その他の検出方法、例えばホスホイメージング(phosphor
imaging)又は蛍光等を使用することができ、特定の用途において高感度を提供
してもよい。
【0072】 模式図に従えば、mRNAサンプルの各々から生成されたcDNAライブラリ
ーは、出発材料のmRNA中の全ポリ(A)+mRNAの最も遠位部位のMsp
I切断部位からポリ(A)テールの開始部までの3'−末端最端部のコピーを、
当該mRNAの最初の相対濃度にほぼ一致して含む。各々のmRNA種について
挿入物の両端は配列によって正確に表されているので、それらの長さは各々の種
について均一で、mRNAの供給組織に関係なく、後でそれらをゲル上で個々の
バンドとして可視化することを可能にする。
【0073】 cDNAを精査するために延長プライマーによる連続工程を使用することは、
本質的に重複PCR(nested PCR)と同様に機能する。これらの工程は品質制御
を促進し、標的以外のcDNAの増幅から生じえるバックグラウンドを減少させ
る。好ましい実施態様では、第二の逆転写工程では各cRNAサンプルが4つの
サブプールにさらに分割され、pBCSK+由来の配列とアニールするが非再生
MspI部位のCGGを越えて伸長し、かつ挿入物の1つのヌクレオチド(−N
)を含むプライマーが用いられる。この工程によって、潜在的に50000から
100000mRNAを有する出発集団は各々が約12500から25000の
mRNAを含む4つのサブプールに分断される。後続のPCR工程の連続的な繰
り返しに際して(この工程で放射能標識が生成物のオートラジオグラフによる可
視化のためにそれらに取り込まれる)、前記プールは、挿入物の2−6ヌクレオ
チドを含む徐々に長くなる5'−PCRプライマーを用いて4つまたは16のサ
ブプールに分割されることによってさらに分断される。
【0074】 高温アニーリングによる第一の強力な要求によって、逆転写工程で高フィデリ
ティーをもつ3'−末端が当該N位でマッチし、さらに、その後続いてそのよう
な高フィデリティーマッチングを−N−N、−N−N−N、−N−N−N−N、
−N−N−N−N−N、または−N−N−N−N−N−Nという繰り返しで再び
強力に要求して、−N位のミスマッチプライミングから生じるブリードスルーを
劇的に減少させる。 cRNA調製物を4つのサブプールに分割し、さらに各サブプールから第一鎖
cDNAを転写することで開始する方法に含まれる工程は、mRNA集団の3'
−末端を表すアンチセンスcRNAプールの各々のcRNAに一致するmRNA
の配列特異的同時同定の方法として別々に実施することができる。
【0075】II.mRNAパターン表示方法の応用 組織内でのmRNA発現パターンの検出およびゲル電気泳動によるそれらパタ
ーンの解析のために上記で述べた方法は様々に応用される。これらの応用の1つ
は、生理学的または病理学的変化に付随する、組織内mRNA発現パターンの変
化を検出する場合の応用である。この方法は一般に以下の工程を含む: (1)生理学的または病理学的変化を受けていない第一の組織サンプルを入手
し; (2)第一のサンプル中に存在するmRNAの3'−末端を表わすバンドの第
一のディスプレーを作製するために、上記のようにmRNA集団の3'−末端を
表すアンチセンスcRNAプールのメンバーに一致するmRNAの配列特異的同
時同定の方法を実施して、第一の組織サンプルのmRNA発現パターンを決定し
; (3)生理学的または病理学的変化を受けた第二の組織サンプルを入手し; (4)第二のサンプル中に存在するmRNAの3'−末端を表わすバンドの第
二のディスプレーを作製するために、上記のようにmRNA集団の3'−末端を
表すアンチセンスcRNAプールのメンバーに一致するmRNAの配列特異的同
時同定の方法を実施して、第二の組織サンプルのmRNA発現パターンを決定し
; (5)第一および第二のディスプレーを比較して、組織中のmRNA発現パタ
ーンに対する生理学的または病理学的変化の影響を決定する。
【0076】 典型的にはこの比較は1枚のゲルの隣合うレーンで実施される。 典型的には、配列特異的生成物の表示の定量化により生成したデータを含むデ
ータベースを、適切なコンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア
を使用して構築し、維持する。好ましくは、そのようなデータベースは、配列の
関連性、遺伝子地図、細胞における分布及び遺伝子機能に関連すると考えられる
その他全ての情報を更に含んでいる。 前記組織は中枢神経系に由来するであろう。特にそれは、網膜、大脳皮質、嗅
球、視床、視床下部、下垂体前葉、下垂体後葉、海馬、側坐核、扁桃、線条、小
脳、脳幹、交叉上核、または脊髄である中枢神経系内の構造物に由来するであろ
う。前記組織が中枢神経系に由来する場合、前記の生理学的または病理学的変化
は、アルツハイマー病、パーキンソン病、虚血、アルコール中毒、薬物中毒、精
神分裂病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、うつ病、および双極性躁うつ病
のいずれでもよい。また別には、本発明の方法は、日周期の変動、加齢または長
期の相乗作用(後者は海馬に影響を与える)の研究に用いることができる。さら
にまた、中枢神経系内の特定の構造物で生成されるmRNA種については、本方
法は、複雑な行動、例えば学習および記憶、感情、薬物中毒、グルタメート神経
毒性、飼育行動、嗅覚、ウイルス感染、視覚、および運動異常に関与することが
知られている脳領域の研究に用いることができる。
【0077】 本方法はまた、個体に薬物および/または毒素を投与した結果を、薬物または
毒素の投与前後のmRNAパターンを比較することによって調べるために用いる
ことができる。電気ショック療法の結果もまた研究できる。 また別に、前記組織は、心脈管系、肺系、消化系、末梢神経系、肝、腎、骨格
筋および生殖系を含む器官もしくは器官系から、または身体の他の任意の器官ま
たは器官系から得ることができる。例えば、肝、心、腎または骨格筋のmRNA
パターンを調べることができる。さらにまた、いずれの組織についてもサンプル
を多様な時間に採取し、mRNA発現に対する日周期の影響を見つけることがで
きる。したがって、この方法は、具体的な機能パターンまたは機能不全パターン
における個々のmRNAの関与を明らかにすることができる。
【0078】 mRNAの3'−末端を表すアンチセンスcRNAプールは上記セクションI
で述べた(1)−(4)の工程によって作製することができる。 同様に、本発明のmRNA解析方法は、薬剤の副作用をスクリーニングする方
法の一部分として用いることができる。一般にそのような方法は以下を含む: (1)既知の生理学的機能をもつ化合物で処理した器官から第一の組織サンプ
ルを入手し; (2)第一のサンプル中に存在するmRNAの3'−末端を表わすバンドの第
一のディスプレーを作製するために、上記のように、mRNA集団の3'−末端
を表すアンチセンスcRNAプールのメンバーに一致するmRNAの配列特異的
同時同定の方法を実施して、第一の組織サンプルのmRNA発現パターンを決定
し; (3)副作用についてスクリーニングするべき化合物で処理した器官から第二
の組織サンプルを入手し; (4)第二のサンプル中に存在するmRNAの3'−末端を表わすバンドの第
二のディスプレーを作製するために、上記のように、mRNA集団の3'−末端
を表すアンチセンスcRNAプールのメンバーに一致するmRNAの配列特異的
同時同定の方法を実施して、第二の組織サンプルのmRNA発現パターンを決定
し; (5)第一および第二のディスプレーを比較して、その発現が既知の化合物に
よって影響されないが、スクリーニングしている薬剤の作用と既知化合物の作用
との間で相違を示すmRNA、したがって副作用を示すmRNAの存在を検出す
る。
【0079】 特にこの方法は、中枢神経系に影響を与える薬剤、例えば抗うつ剤、神経弛緩
剤、精神安定剤、抗痙攣薬、モノアミンオキシダーゼ抑制物質および刺激物質に
ついて用いることができる。しかしながらこの方法は、実際のところ、特定の組
織でのmRNA発現に影響を与える可能性があるいずれの薬剤についても用いる
ことができる。例えば、抗パーキンソン病薬、骨格筋弛緩薬、鎮痛剤、局所麻酔
剤、コリン作動薬、抗痙攣薬、ステロイド、非ステロイド系抗炎症剤、抗ウイル
ス剤、またはmRNA発現に影響を与える能力をもつ他の任意の薬剤のmRNA
発現に対する影響を研究でき、さらに個々の組織または構造物における影響を決
定することができる。
【0080】 さらにまた、本発明の方法は、表示されるmRNA種の3'−末端の配列を入
手しようとする場合に応用される。一般にそのような配列を得る方法は以下を含
む: (1)サンプル中に存在するmRNAの3'−末端を表すバンドが表示されて
いる電気泳動物からmRNAに一致する少なくとも1つのcDNAを溶出させ; (2)ポリメラーゼ連鎖反応で溶出cDNAを増幅し; (3)前記増幅cDNAをプラスミドでクローニングし; (4)前記プラスミドからクローン化DNAに一致するDNAを生成し;さら
に (5)クローン化cDNAの配列を決定する。
【0081】 切り出したcDNAは先にPCR工程で用いたプライマーで増幅することがで
きる。続いて、cDNAをpCRII(Invitorogen, San Diego, CA)でTAク
ローニングおよびベクターへの連結によってクローニングすることができる。さ
らに、DNAのミニプレップを標準的な技術によってサブクローンから作製し、
一部分を変性させ、さらにサンガー(Sanger)のジデオキシチェーンターミネー
ター法による自動化配列決定のために2つの部分標本に分割する。市販の配列決
定装置、例えばABIシーケンサーを自動化配列決定のために用いることができ
る。これによって、長さが50−500bpの研究されているほとんどのcDN
Aのフラグメントの全長にわたってその相補配列の決定が可能である。
【0082】 続いてこれらの部分配列を用いて、例えばGenBankのようなゲノムデー
タベースをBLASTINおよびBLASTXのようなソフトを使って調べ、配
列同一性および類似性を見つけることができる。本方法はmRNAの3'−末端
のみから配列を作製するので、開放読み枠(ORF)は時折見いだされるだけで
あろう(脳mRNAの3'−非翻訳領域の平均的な長さは1300ヌクレオチド
より長い(J.G. Sutcliffe, 上掲書))。潜在的なORFはシグナチャー蛋白質モ
チーフについて調べることができる。
【0083】 続いて得られたcDNA配列を用いて半定量PCRのためのプライマー対をデ
ザインし、組織での発現パターンを確認することができる。更なる分析のために
、選択した生成物を用いて完全長のcDNAクローンを単離してもよい。プライ
マー対をゲノムDNAのSSCR−PCR(一本鎖構造多形性−PCR(single
strand conformation polymorphism-PCR)の頭文字を取って)に用いてもよい。
例えば、既に連関が決定されているマーカーとの各PCR生成物の連結を決定す
るために種間戻し交配マウス系統からそのような増幅を実施できる。これによっ
て新しい遺伝子がマッピングされ、マッピングされたマウスの変異体遺伝子座と
相同なヒト疾患の遺伝子についての候補遺伝子の供給源として役立つであろう。
SSCP−PCRは、PCRを介して小さな(100−200bp)セグメント
を増幅させる合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いる(M. Orita et al., "
Detection of Polymorphism of Human DNA by Gel Electrophoresis as Single-
Strand Conformation Polymorphisms", Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:2766-
2770(1989); M. Orita et al., "Rapid and Sensitive Detection of Point Mut
ations in DNA polymorphisms Using the Polymerase Chain Reaction", Genomi
cs 5:874-879(1989))。
【0084】 ノザンブロットまたはin situハイブリダイゼーションをプローブで精査する
ために、切り出したcDNAフラグメントを当技術分野で周知の技術によって放
射能標識し、mRNAの分布を実証し、対応する完全長のmRNAのサイズおよ
び量を知ることができる。このプローブを用いて、より信頼できる完全な配列を
決定するためのクローンを単離するためにcDNAライブラリーをスクリーニン
グすることができる。この標識プローブはまた他のいずれの目的、例えばin vit
roでの発現の研究にも用いることができる。
【0085】III.プライマーの縮重混合物パネル 本発明の別の特徴は、本発明の実施に適したプライマーパネルおよび縮重プラ
イマー混合物である。これらは以下を含む: (1)以下の配列の16のプライマーを含む5’−RTプライマーパネル:A
−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N(配
列番号:3)、式中、Nは4種のデオキシリボヌクレオチドA、C、GまたはT
のうちの1つで; (2)以下の配列の64のプライマーを含む5’−PCRプライマーパネル:
A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N−
N(配列番号:5)、式中、Nは4種のデオキシリボヌクレオチドA、C、Gま
たはTのうちの1つで; (3)以下の配列の256のプライマーを含む5’−PCRプライマーパネル
:A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N
−N−N(配列番号:6)、式中、Nは4種のデオキシリボヌクレオチドA、C
、GまたはTのうちの1つで; (4)以下の配列の1024のプライマーを含む5’−PCRプライマーパネ
ル:A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−
N−N−N−N(配列番号:24)、式中、Nは4種のデオキシリボヌクレオチ
ドA、C、GまたはTのうちの1つで;さらに (5)以下の配列の4096のプライマーを含む5’−PCRプライマーパネ
ル:A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−
N−N−N−N−N(配列番号:25)、式中、Nは4種のデオキシリボヌクレ
オチドA、C、GまたはTのうちの1つである; (6)以下の配列の12のプライマーを含むアンカープライマーパネル:A−
A−C−T−G−G−A−A−G−A−A−T−T−C−G−C−G−G−C−
C−G−C−A−G−G−A−A−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−
T−T−T−T−T−T−T−T−V−N(配列番号:2)、式中、VはA、C
およびGから成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチドで、NはA、C、G
またはTから成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチドで; (7)以下の配列の3つのプライマーを含むアンカープライマーのパネル:A-
A-C-T-G-G-A-A-G-A-A-T-T-C-G-C-G-G-C-C-G-C-A-G-G-A-A-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-
T-T-T-T-T-T-T-T-V(配列番号: 23)、式中、VはA、C及びGからなる群より選
ばれるデオキシリボヌクレオチドである; (8)各々が以下の配列を有する4つの異なるオリゴヌクレオチドを含む5’
−RTプライマーのパネル:G-G-T-C-G-A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N (配列番号: 9)
、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのうちの1つで
ある; (9)各々が以下の配列を有する16の異なるオリゴヌクレオチドを含む5’
−RTプライマーのパネル:G-T-C-G-A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N-N (配列番号: 7)
、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのうちの1つで
ある; (10)各々が以下の配列を有する64の異なるオリゴヌクレオチドを含む5
’−PCRプライマーのパネル:T-C-G-A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N-N-N (配列番号: 13)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのうちの1
つである; (11)各々が以下の配列を有する256の異なるオリゴヌクレオチドを含む
5’−PCRプライマーのパネル: C-G-A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N-N-N-N (配列番
号: 14)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのうち
の1つである; (12)各々が以下の配列を有する1024の異なるオリゴヌクレオチドを含
む5’−PCRプライマーのパネル:G-A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N-N-N-N-N (配列
番号: 15)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのう
ちの1つである; (13)各々が以下の配列を有する4096の異なるオリゴヌクレオチドを含
む5’−PCRプライマーのパネル:A-C-G-G-T-A-T-C-G-G-N-N-N-N-N-N (配列
番号: 16)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTのう
ちの1つである; (14)各々が以下の配列を有する4つの異なるオリゴヌクレオチドを含む5
’−RTプライマーのパネル:C-T-T-C-A-G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N (配
列番号: 10)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTの
うちの1つである; (15)各々が以下の配列を有する16の異なるオリゴヌクレオチドを含む5
’−RTプライマーのパネル:T-T-C-A-G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N-N (配
列番号: 11)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTの
うちの1つである; (16)各々が以下の配列を有する64の異なるオリゴヌクレオチドを含む5
’−RTプライマーのパネル:T-C-A-G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N-N-N (配
列番号: 12)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はTの
うちの1つである; (17)各々が以下の配列を有する256の異なるオリゴヌクレオチドを含む
5’−PCRプライマーのパネル:C-A-G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N-N-N-N
(配列番号: 17)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又はT
のうちの1つである; (18)各々が以下の配列を有する1024の異なるオリゴヌクレオチドを含
む5’−PCRプライマーのパネル:A-G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N-N-N-N-
N (配列番号: 26)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又は
Tのうちの1つである; (19)各々が以下の配列を有する4096の異なるオリゴヌクレオチドを含
む5’−PCRプライマーのパネル:G-T-C-A-G-G-C-T-A-A-T-C-G-G-N-N-N-N-N-
N (配列番号: 27)、式中、Nは4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、G又は
Tのうちの1つである; (20)以下の配列の3つのプライマーの混合物を含むアンカープライマーの
縮重混合物:A-A-C-T-G-G-A-A-G-A-A-T-T-C-G-C-G-G-C-C-G-C-A-G-G-A-A-T-T-T-
T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-V (配列番号: 23)、式中、VはA、C及びGか
らなる群より選ばれるデオキシリボヌクレオチドであり、3つのプライマーの各
々は概ね等モル量で存在する;更に、 (21)以下の配列の12のプライマーの混合物を含むアンカープライマーの
縮重混合物:A-A-C-T-G-G-A-A-G-A-A-T-T-C-G-C-G-G-C-C-G-C-A-G-G-A-A-T-T-T-
T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-T-V-N (配列番号: 2)、式中、VはA、C及びG
からなる群より選ばれるデオキシリボヌクレオチドであり、Nは、A、C、G及
びTからなる群より選ばれるデオキシリボヌクレオチドであり、12のプライマ
ーの各々は概ね等モル量で存在する。
【0086】実施例 本発明は以下の実施例によって詳述するが、これらの実施例は説明を目的とし
ており、本発明を限定しようとするものではない。 実施例 異なる濃度の脳の既知mRNAの配列に一致するプライマーを用いる脳mRN
Aの解析 本発明の方法の有効性を証明するために、例えば以下の異なる濃度の既知脳m
RNAの配列と一致する5'プライマーで、さらにそれらの3'−末端から2ヌク
レオチドが伸長している5'−RTプライマーを用いて本方法を適用し、上記の
ようにして得た大脳皮質、線条、小脳および肝RNAから構築したライブラリー
から生成したcDNAを比較した:約0.5%の濃度のニューロン特異的エノラ
ーゼ(NSE)(S. Forss-Peter et al., "Neuron-Specific Enolase: Complet
e Structure of Rat mRNA, Multiple Transcriptional Start Sites and Eviden
ce for Translational Control", J. Neurosci. Res. 16:141-156(1986))、約0
.01%のRC3および0.001%のソマトスタチン(G.H. Travis & J.G. S
utcliffe, "Phenol Emulsion-Enhanced DNA-Driven Subtractive cDNA Cloning:
Isolation of Low-Abundance Monkey Cortex-Specific mRNAs", Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 85:1696-1700(1988))。
【0087】 個々の任意のRNAサンプルのオートラジオグラフィーでの短時間露光で、5
0−100バンドが得られた。二重に作製したサンプルでバンドは完全に再現性
を示した。バンドの約2/3が脳と肝のサンプルで異なっていた。このサンプル
は既知の脳特異的mRNAに一致する正確な長さのバンドを含んでおり、これは
、ゲルからバンドを切り出して増幅し、配列決定を実施して確認された。いずれ
の5’−RTプライマーを用いた場合にも、種々の脳領域のサンプル間で異なる
数バンドが存在した。ただしいくつかのバンドでは濃度が異なっていた。
【0088】 NSE(比較的豊富なmRNA種)に一致するバンドは、肝サンプルには出現
しなかったが脳サンプルの全てに出現した。しかしながら、合成5'−プライマ
ーで3'−末端の4塩基配列−N−N−N−N内の最後の3つの1ヌクレオチド
のいずれかが変更されたときは観察されなかった。最初のNが変更されたとき、
少量のブリードスルーが検出される。既知の種については、オートラジオグラフ
ィーのシグナル濃度はmRNA量に対してほぼ比例しており、105以上のポリ
(A)+RNAで1割の濃度のmRNAは常に目で見ることが可能であるが、よ
り濃度の高いバンドの近くに泳動したcDNAは曖昧になるという問題が時に存
在する。
【0089】 これらのデータのサンプルは図2に示されている。左の5ゲルレーンでは、皮
質cRNAが以下の5'−RTプライマーによる逆転写のための基質であった:
A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N(
配列番号:3)、式中−N−Nは−C−T(プライマー118)、−G−T(プ
ライマー116)または−C−G(プライマー106)。PCR増幅には、図2
で示したように以下の5'−PCRプライマーが用いられた:A−G−G−T−
C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N−N−N−N(配列番号
:6)、式中、N−N−N−Nは−C−T−A−C−(プライマー128)、−
C−T−G−A(プライマー127)、−C−T−G−C(プライマー111)
、−G−T−G−C(プライマー134)、および−C−G−G−C(プライマ
ー130)。プライマー118および111は、NSEmRNA配列の3'−末
端の最も近くに位置するMspI部位の下流の2ヌクレオチドおよび4ヌクレオ
チド配列とそれぞれマッチする。プライマー127は、NSE配列と最後(−1
)の位置で、プライマー128は最後の次(−2)の位置で、プライマー106
および130は−3位で、さらにプライマー116および134は−4位でミス
マッチを示す。プライマー134は、ここに示したその他のものよりさらに上流
に2ヌクレオチド伸長していた。したがってそのPCR生成物は、他のレーンの
生成物に対して2ヌクレオチドだけ長い。
【0090】 各レーンでは、生成物の標識に32P−dCTPを用い15分露光で50−10
0バンドを見ることができた。これらのバンドは各プライマーペアについて明ら
かに異なっているが、例外は、118−111バンドのサブセットは、2ヌクレ
オチドのトレーリングで116−134レーンでより薄く見えるということで、
これは、4つの位置でのブリードスルーを示唆している。 118−111プライマーセットは、別個の皮質(CX)および肝(LV)c
RNAで再度用いられた。皮質のパターンはレーン118−111のパターンと
同一で、再現性を示した。肝のパターンは大半の種でCXと異なっていた。星印
はNSE生成物の位置を示している。類似のプライマーセットによって、RC3
およびソマトスタチン(somat)生成物(星印)がCXで検出されたが、L
Vレーンでは認められなかった。あるPCR生成物の相対的なバンドの濃度は同
じプライマーセットを用いたレーン内で比較できるが異なるセットの場合は比較
できない。 本実施例は、本発明の方法の利用可能性および再現性、並びに異なるmRNA
を解析する能力を示している。さらに、本実施例は、個々のmRNAの量はオー
トラジオグラフィーシグナルの濃度から概算できることを示している。本アッセ
イは、高濃度および低濃度の両方のmRNAの同時検出を可能にする。
【0091】 本発明の利点 本方法は、以下の場合でその発現が変化する遺伝子の同定に用いることができ
る:神経発生時、形成および再生モデルで、化学的または電気生理学的攻撃(例
えば神経毒性および長期の相乗作用)に対する反応で、さらに行動、ウイルス感
染、薬剤/アルコールに対する反応で、細胞死またはアポプトシスの出現、加齢
、病的状態および他のmRNA発現に影響を与える状態。本方法は、神経系での
遺伝子発現の研究について特に有用であるが、本方法は神経系に限定されず、任
意の組織でのmRNA発現の研究に用いることができる。本方法は、組織で発現
されるほぼ全てのmRNAを個別のバンドとしてゲル上に可視化させることがで
き、バンドの濃度は概ね当該mRNAの濃度に一致する。
【0092】 本方法は、潜在的に再現性を欠くミスマッチのランダムプライミングに依存せ
ず、したがって高い正確性および再現性を提供するという利点を有する。さらに
また、異なるプライミング事象の結果として、同じmRNAから生じるが長さが
異なる共存バンドの存在によって発生する複雑性および不正確さを減少させる。
ランダムプライミングを用いる方法では、そのような共存バンドは、豊富なmR
NA種で発生し、また発生の可能性が高い。本発明ではそのような共存バンドが
回避される。 本方法はmRNA種について配列特異的情報を提供し、プライマー、プローブ
および他の固有配列の作製に用いることができる。 本発明をある種の好ましい実施態様を参考に極めて詳細に開示してきたが、そ
の他の変型も可能である。したがって、添付の請求の範囲は本明細書に含まれる
好ましい実施態様の記載によって制限されない。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
本発明の特徴および利点は以下の添付図面を参考に一層理解が容易となろう。
【図1】 図1は、プライミング、切断、クローニングおよび増幅の種々のステージを示
す本発明の方法の模式図である。
【図2】 図2は、出発材料として肝および脳のmRNAを用い、脳mRNAの既知配列
と一致するいくつかの5'−プライマーをPCR工程で使用して本発明を実施し
た結果を示しているゲルのオートラジオグラフィーである。
【図3】 図3は、プラスミドpBSSK+/DGT1、pBSSK+/DGT2およびp
BSSK+/DGT3のマルチクローニング部位のヌクレオチド配列を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA, UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 エアランダー マーク ジー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92024 エンシニタス ヒルクレスト ド ライヴ 442 (72)発明者 ハーゼル カルル ヴェー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92075 ソラナ ビーチ サウス ナード アベニュー 247 Fターム(参考) 2G045 AA35 AA40 BB60 DA14 FB01 FB02 FB05 JA01 4B024 AA11 CA04 CA12 DA06 FA02 GA11 HA09 HA12 4B063 QA01 QA18 QQ42 QQ53 QR14 QR55 QR62 QS16 QS25 QS34 QX07 5B075 ND02 ND20 NK37 PR06 QM08 UU19

Claims (80)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の工程を含むmRNA集団中のmRNAを同時に配列特
    異的に同定する方法: (a)アンカープライマーの混合物を用いてmRNA集団から二本鎖のcDN
    A集団を調製し、ここで前記アンカープライマーは各々、(i)7から40のT
    残基の列;(ii)前記T残基列の5'側に位置する6より多い塩基を認識する
    第一の制限エンドヌクレアーゼによる切断部位;(iii)第一の制限エンドヌ
    クレアーゼ切断部位の5'側に位置する4から40ヌクレオチドの第一の充填セ
    グメント;および(iv)−Vおよび−V−Nから成る群から選ばれるアンカー
    プライマーの各々の3'末端に位置する調整残基(式中、VはA、CおよびGか
    ら成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチドで、NはA、C、GおよびTか
    ら成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチド)を含み、さらに前記混合物は
    、その中の前記調整残基が−Vまたは−V−Nと定義されるVおよびNについて
    全ての可能性を含むアンカープライマーを含有し; (b)第一の制限エンドヌクレアーゼおよび第二の制限エンドヌクレアーゼで
    前記二本鎖cDNAを切断し、それぞれ第一および第二の末端を有する二本鎖c
    DNA分子集団を生成し、ここで前記第二の制限エンドヌクレアーゼは4つのヌ
    クレオチド配列を認識し; (c)工程(b)の二本鎖cDNA分子の各々をベクター内のバクテリオファ
    ージ特異的プロモーターに対してアンチセンス方向で前記ベクターに挿入し、挿
    入cDNA分子を含むベクター集団を生成し、ここで前記挿入は、5'が挿入c
    DNAのセンス鎖の上流に存在し、3'がセンス鎖の下流に存在するように3'お
    よび5'フランキングベクター配列の位置を規定し、さらに前記ベクターは、前
    記第一の制限エンドヌクレアーゼと前記プロモーター内の転写開始を規定する部
    位との間に長さが少なくとも15ヌクレオチドの3'フランキングヌクレオチド
    配列を有し; (d)挿入cDNA分子内またはバクテリオファージ特異的プロモーター内の
    配列は認識しないが、ベクター内の配列は認識する少なくとも1つの制限エンド
    ヌクレアーゼで工程(c)で生成されたベクターを消化して挿入cDNA分子を
    含む直線化フラグメントを生成するが、この場合、生じた直線化フラグメントが
    、cDNAの第二の末端でベクターに挿入されたcDNAサンプルの挿入部位の
    5'側に少なくとも長さが15ヌクレオチドの5'フランキングベクター配列を有
    するように消化し; (e)バクテリオファージ特異的プロモーターから転写を開始することができ
    るバクテリオファージ特異的RNAポリメラーゼと前記直線化フラグメントを保
    温して、アンチセンスcRNA転写物のcRNA調製物を生成し; (f)cRNA調製物をサブプールに分け、逆転写酵素および以下のように規
    定される5'−RTプライマーを用いて各サブプールから第一鎖cDNAを転写
    するが、前記5'−RTプライマーは−Nxから成る3'末端を有し(式中、"N"
    は4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、GまたはTの1つで、"x"は1から
    5の整数)、長さが15から30ヌクレオチドで、さらに5'フランキングベク
    ター配列と相補的でプライマーの相補性はcRNAの挿入物特異的ヌクレオチド
    の中の"x"と同じ数のヌクレオチドにまで伸長しており、ここで前記プライマー
    のうち異なる1つが異なるサブプールで用いられ、"x"=1ならばサブプールは
    4つで、"x"=2ならばサブプールは16で、"x"=3ならばサブプールは64
    で、"x"=4ならばサブプールは256で、"x"=5ならばサブプールは102
    4であり; (g)ポリメラーゼ連鎖反応の鋳型としてサブプールの各々の第一鎖cDNA
    転写生成物を用い、長さが15から30ヌクレオチドで前記第一の制限エンドヌ
    クレアーゼ部位とバクテリオファージ特異的プロモーターによる転写開始部位を
    規定する部位との間の3'フランキングベクター配列に相補的な3'−PCRプラ
    イマーおよび以下のような5'−PCRプライマーによりポリメラーゼ連鎖反応
    増幅フラグメントを生成し、ここで5'−PCRプライマーは、−Nx−Nyから
    成る3'末端を有し(式中、"N"および"x"は工程(f)で規定したとおりで、
    −Nxは、そのサブプールについて第一鎖cDNAの合成に用いた5'−RTプラ
    イマーの場合と同じで、"y"は、x+yが3、4、5および6から成る群から選
    ばれる整数と等しい完全な整数)、長さが15から30ヌクレオチドで、さらに
    5'フランキングベクター配列と相補的でプライマーの相補性がcRNAの挿入
    物特異的ヌクレオチドの中の"x+y"と同じ数のヌクレオチドにまで伸長してお
    り;さらに (h)mRNA集団に存在する異なるmRNAの3'末端を表す配列特異的生
    成物を表示するために、ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを解析する。
  2. 【請求項2】 工程(a)の前記調整残基が、−V−Nである請求項1の方
    法。
  3. 【請求項3】 工程(a)の前記調整残基が−Vである請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 工程(f)の前記"x"が2である請求項1の方法。
  5. 【請求項5】 工程(f)の前記"x"が1である請求項1の方法。
  6. 【請求項6】 工程(g)の前記"y"が3である請求項5の方法。
  7. 【請求項7】 工程(g)の前記"y"が4である請求項5の方法。
  8. 【請求項8】 工程(a)の前記調整残基が−V−Nで、工程(f)の"x"
    が2で、工程(g)の"y"が2である請求項1の方法。
  9. 【請求項9】 工程(a)の前記調整残基が−V−Nで、工程(f)の"x"
    が1で、工程(g)の"y"が3である請求項1の方法。
  10. 【請求項10】 工程(a)の前記調整残基が−V−Nで、工程(f)の"
    x"が1で、工程(g)の"y"が4である請求項1の方法。
  11. 【請求項11】 工程(a)の前記調整残基が−Vで、工程(f)の"x"が
    1で、工程(g)の"y"が3である請求項1の方法。
  12. 【請求項12】 工程(a)の前記調整残基が−Vで、工程(f)の"x"が
    1で、工程(g)の"y"が4である請求項1の方法。
  13. 【請求項13】 前記アンカープライマーの各々がT残基列に18のT残基
    を有する請求項1の方法。
  14. 【請求項14】 前記アンカープライマーの第一の充填セグメントの長さが
    14残基である請求項1の方法。
  15. 【請求項15】 前記第一の充填セグメントの配列が、A−A−C−T−G
    −G−A−A−G−A−A−T−T−C(配列番号:1)である請求項1の方法
  16. 【請求項16】 第二の充填セグメントが、6より多い塩基を認識する制限
    エンドヌクレアーゼによって切断される部位とT残基列との間に挟まれている請
    求項1の方法。
  17. 【請求項17】 前記アンカープライマーが、A−A−C−T−G−G−A
    −A−G−A−A−T−T−C−G−C−G−G−C−C−G−C−A−G−G
    −A−A−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T
    −T−T−V−N(配列番号:2)なる配列を有する請求項1の方法。
  18. 【請求項18】 前記アンカープライマーが、A−A−C−T−G−G−A
    −A−G−A−A−T−T−C−G−C−G−G−C−C−G−C−A−G−G
    −A−A−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T
    −T−T−V(配列番号:23)なる配列を有する請求項1の方法。
  19. 【請求項19】 前記バクテリオファージ特異的プロモーターが、T3プロ
    モーター、T7プロモーターおよびSP6プローモーターから成る群から選ばれ
    る請求項1の方法。
  20. 【請求項20】 前記バクテリオファージ特異的プロモーターがT3プロモ
    ーターである請求項16の方法。
  21. 【請求項21】 cRNAからcDNAの転写プライミングに用いる前記1
    6の5'−RTプライマーが、A−G−G−T−C−G−A−C−G−G−T−
    A−T−C−G−G−N−N(配列番号:3)なる配列を有する請求項1の方法
  22. 【請求項22】 cRNAからcDNAの転写プライミングに用いる前記1
    6の5'−RTプライマーが、G−T−C−G−A−C−G−G−T−A−T−
    C−G−G−N−N(配列番号:7)なる配列を有する請求項1の方法。
  23. 【請求項23】 前記ベクターが、pBCSK+、pBSSK+、pBSSK + /DGT1、pBSSK+/DGT2およびpBSSK+/DGT3から成る群
    から選ばれる請求項1の方法。
  24. 【請求項24】 前記ベクターが、ClaIおよびNotIで切断されたプ
    ラスミドpBCSK+で、工程(g)の3'−PCRプライマーがG−A−A−C
    −A−A−A−A−G−C−T−G−G−A−G−C−T−C−C−A−C−C
    −G−C(配列番号:4)である請求項1の方法。
  25. 【請求項25】 前記ベクターが、ClaIおよびNotIで切断されたプ
    ラスミドpBCSK+で、工程(g)の3'−PCRプライマーがA−A−G−C
    −T−G−G−A−G−C−T−C−C−A−C−C(配列番号:8)である請
    求項1の方法。
  26. 【請求項26】 4ヌクレオチド配列を認識する第二の制限エンドヌクレア
    ーゼがMspIである請求項1の方法。
  27. 【請求項27】 4ヌクレオチド配列を認識する第二の制限エンドヌクレア
    ーゼが、MboI、DpnII、Sau3AI、Tsp509I、HpaII、
    BfaI、Csp6I、MseI、HhaI、NlaIII、TaqI、Msp
    I、MaeIIおよびHinP1Iから成る群から選ばれる請求項1の方法。
  28. 【請求項28】 6より多い塩基を認識する第一の制限エンドヌクレアーゼ
    が、AscI、BaeI、FseI、NotI、PacI、PmeI、PpuM
    I、RsrII、SapI、SexAI、SfiI、SgfI、SgrAI、S
    rfI、Sse8387IおよびSwaIから成る群から選ばれる請求項1の方
    法。
  29. 【請求項29】 6より多い塩基を認識する第一の制限エンドヌクレアーゼ
    がNotIである請求項1の方法。
  30. 【請求項30】 工程(d)で用いられる制限エンドヌクレアーゼが、工程
    (b)で用いられる第二の制限エンドヌクレアーゼの4ヌクレオチド配列を含む
    ヌクレオチド配列認識を有する請求項1の方法。
  31. 【請求項31】 第二の制限エンドヌクレアーゼがMspIで、工程(d)
    で用いられる制限エンドヌクレアーゼがSmaIである請求項30の方法。
  32. 【請求項32】 第二の制限エンドヌクレアーゼがTaqIで、工程(d)
    で用いられる制限エンドヌクレアーゼがXhoIである請求項30の方法。
  33. 【請求項33】 第二の制限エンドヌクレアーゼがHinP1Iで、工程(
    d)で用いられる制限エンドヌクレアーゼがNarIである請求項30の方法。
  34. 【請求項34】 第二の制限エンドヌクレアーゼがMaeIIで、工程(d
    )で用いられる制限エンドヌクレアーゼがAatIIである請求項30の方法。
  35. 【請求項35】 工程(c)のベクターが、ベクターの充填配列に接する第
    一および第二のベクター制限エンドヌクレアーゼ部位を有する環状DNA分子の
    形態を有し、さらに、第一および第二の制限エンドヌクレアーゼ部位で前記ベク
    ターを切断する制限エンドヌクレアーゼで前記ベクターを消化する工程を含む請
    求項1の方法。
  36. 【請求項36】 前記ベクター充填配列が、第一のベクター制限エンドヌク
    レアーゼ部位と第二のベクター制限エンドヌクレアーゼ部位との間に内部ベクタ
    ー充填配列制限エンドヌクレアーゼ部位を含む請求項35の方法。
  37. 【請求項37】 工程(d)が、内部ベクター充填配列制限エンドヌクレア
    ーゼ部位で前記ベクターを切断する制限エンドヌクレアーゼによるベクターの消
    化を含む請求項36の方法。
  38. 【請求項38】 工程(d)で用いられる制限エンドヌクレアーゼがまた、
    内部ベクター充填配列制限エンドヌクレアーゼ部位で前記ベクターを切断する請
    求項37の方法。
  39. 【請求項39】 前記クローン化挿入物の直線化フラグメントを生成する工
    程が以下の(i)−(iv)を含む請求項1の方法:(i)挿入物を含むプラス
    ミドを2つの部分に分け、第一の部分を制限エンドヌクレアーゼXhoIで切断
    し、第二の部分を制限エンドヌクレアーゼSalIで切断し;(ii)切断後第
    一および第二の部分を再結合させ;(iii)再結合させた部分を三等分し、第
    一の三等分を制限エンドヌクレアーゼHindIIIで、第二の三等分を制限エ
    ンドヌクレアーゼBamHIで、さらに第三の部分を制限エンドヌクレアーゼE
    coRIで切断し;さらに(iv)集団の約1/6が可能な酵素の組合せの各々
    によって切断された生成物に一致する直線化フラグメント集団を作製するために
    消化後に前記三等分を再結合させる。
  40. 【請求項40】 前記mRNA集団がポリアデニル化mRNA種について濃
    縮されている請求項1の方法。
  41. 【請求項41】 生成物を表示するために工程(h)の増幅フラグメントの
    解析が電気泳動によって行われる請求項1の方法。
  42. 【請求項42】 電気泳動後に表示される生成物の量が、最初の混合物中の
    生成物に対応するmRNAの豊富さとほぼ比例する請求項41の方法。
  43. 【請求項43】 さらに、電気泳動後の該当するmRNAに対応する生成物
    の量から最初の混合物中の各mRNAの相対的な量を決定する工程を含む請求項
    41の方法。
  44. 【請求項44】 電気泳動によってポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメント
    を解析する工程が、少なくとも2つのゲルで前記フラグメントの電気泳動を実施
    することを含む請求項41の方法。
  45. 【請求項45】 適切なホスト細胞が大腸菌(Escherichia coli)である請
    求項1の方法。
  46. 【請求項46】 さらに以下の工程を含む請求項41の方法: (i)サンプル中に存在するmRNAの3'−末端を表わすバンドが表示され
    ている電気泳動から1つのmRNAに対応する少なくとも1つのcDNAを溶出
    させ; (j)ポリメラーゼ連鎖反応で溶出cDNAを増幅させ; (k)前記増幅cDNAをプラスミドでクローニングし; (l)前記クローン化DNAに対応するDNAをプラスミドから産生させ;さ
    らに (m)前記クローン化cDNAの配列を決定する。
  47. 【請求項47】 以下の工程を含むmRNA集団中のmRNAを同時に配列
    特異的に同定する方法: (a)mRNA集団を単離し; (b)アンカープライマーの混合物を用いてmRNA集団から二本鎖cDNA
    集団を調製するが、前記アンカープライマーの各々は、(i)7から40のT残
    基の列;(ii)前記T残基列の5'側に位置する8より多い塩基を認識する第
    一の制限エンドヌクレアーゼによる切断部位;(iii)第一の制限エンドヌク
    レアーゼ切断部位の5'側に位置する4から40ヌクレオチドの第一の充填セグ
    メント;および(iv)−Vおよび−V−Nから成る群から選ばれる、アンカー
    プライマーの各々の3'末端に位置する調整残基(式中、VはA、CおよびGか
    ら成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチドで、NはA、C、GおよびTか
    ら成る群から選ばれるデオキシリボヌクレオチド)を含み、さらに前記混合物は
    VおよびNについて全ての可能性を含むアンカープライマーを含有し; (c)二本鎖cDNA集団を第一の制限エンドヌクレアーゼおよび4ヌクレオ
    チドを認識する第二の制限エンドヌクレアーゼで切断し、それぞれ第一および第
    二の末端を有する二本鎖cDNA分子の集団を生成し; (d)工程(b)の二本鎖cDNA分子の各々を、ベクター内のT3プロモー
    ターに対してアンチセンス方向でベクターに挿入し、挿入cDNA分子を含むベ
    クター集団を生成し、前記挿入は、5'が挿入cDNAのセンス鎖の上流に存在
    し、3'がセンス鎖の下流に存在するように3'および5'フランキングベクター
    配列の位置を規定し、さらに前記ベクターは、前記第一の制限エンドヌクレアー
    ゼと前記プロモーター内の転写開始を規定する部位との間に長さが少なくとも1
    5ヌクレオチドの3'フランキングヌクレオチド配列を有し; (e)前記切断cDNAが挿入された前記ベクターで大腸菌を形質転換して、
    クローン化挿入物を含むベクターを生成し; (f)前記挿入cDNA分子またはT3プロモータ内の配列を認識しない少な
    くとも1つの制限エンドヌクレアーゼで工程(e)で生成したベクターを消化し
    、挿入cDNA分子を含む直線化フラグメントを生成し; (g)T3プロモーターから転写を開始することができるT3RNAポリメラ
    ーゼと前記直線化フラグメントを保温して、アンチセンスcRNA転写物のcR
    NA調製物を生成し; (h)cRNA調製物をサブプールに分け、逆転写酵素および以下のように規
    定される5'−RTプライマーの1つを用いて各サブプールから第一鎖cDNA
    を転写し、ここで前記プライマーは−Nxから成る3'末端を有し(式中、"N"は
    4つのデオキシリボヌクレオチドA、C、GまたはTの1つで、"x"は1から2
    の整数)、長さが15から30ヌクレオチドで、さらに5'フランキングベクタ
    ー配列と相補的で5'−RTプライマーの相補性がcRNAの挿入物特異的ヌク
    レオチドの中の"x"と同じ数のヌクレオチドにまで伸長しており、ここで前記プ
    ライマーのうち異なる1つが異なるサブプールで用いられ、"x"=1ならばサブ
    プールは4つで、"x"=2ならばサブプールは16で; (i)ポリメラーゼ連鎖反応の鋳型としてサブプールの各々の第一鎖cDNA
    転写生成物を用い、長さが15から30ヌクレオチドで前記第一の制限エンドヌ
    クレアーゼ部位とT3プロモーターによる転写開始部位を規定する部位との間の
    3'フランキングベクター配列に相補的な3'−PCRプライマーおよび、以下の
    ような5'−PCRプライマーによりポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを
    生成し、ここで5'−PCRは−Nx−Nyから成る3'末端を有し(式中、"N"お
    よび"x"は工程(h)で規定したとおりで、−Nxは、そのサブプールについて
    第一鎖cDNAの合成に用いた5'−RTプライマーと同じ配列で、"y"は、x
    +yが4および5から成る群から選ばれる整数と等しい完全な整数)、長さが1
    5から30ヌクレオチドで、さらに5'フランキングベクター配列と相補的で5'
    −PCRプライマーの相補性がcRNAの挿入物特異的ヌクレオチドの中の"x
    +y"と等しい数のヌクレオチドにまで伸長しており;さらに (j)mRNA集団に存在する異なるmRNAの3'末端を表示する生成物デ
    ィスプレーを作製するために、ポリメラーゼ連鎖反応増幅フラグメントを解析す
    る。
  48. 【請求項48】 前記アンカープライマー混合物中のプライマーの各々が、
    A−A−C−T−G−G−A−A−G−A−A−T−T−C−G−C−G−G−
    C−C−G−C−A−G−G−A−A−T−T−T−T−T−T−T−T−T−
    T−T−T−T−T−T−T−T−T−V−N(配列番号:2)なる配列を有す
    る請求項47の方法。
  49. 【請求項49】 前記アンカープライマー混合物中のプライマーの各々が、
    A−A−C−T−G−G−A−A−G−A−A−T−T−C−G−C−G−G−
    C−C−G−C−A−G−G−A−A−T−T−T−T−T−T−T−T−T−
    T−T−T−T−T−T−T−T−T−V(配列番号:23)なる配列を有する
    請求項47の方法。
  50. 【請求項50】 前記第一の制限エンドヌクレアーゼがMspIで、第二の
    制限エンドヌクレアーゼがNotIである請求項47の方法。
  51. 【請求項51】 前記工程(h)の5'−RTプライマーが、G−G−T−
    C−G−A−C−G−G−T−A−T−C−G−G−N(配列番号:9)である
    請求項47の方法。
  52. 【請求項52】 前記3'−PCRプライマーが、A−A−G−C−T−G
    −G−A−G−C−T−C−C−A−C−C(配列番号:8)である請求項47
    の方法。
  53. 【請求項53】 前記工程(i)の"y"が3である請求項47の方法。
  54. 【請求項54】 前記工程(i)の"y"が4である請求項47の方法。
  55. 【請求項55】 以下の工程を含む生理学的または病理学的な変化に付随す
    る組織中のmRNA発現パターンの変化を検出する方法: (a)生理学的または病理学的変化を受けていない第一の組織サンプルを入手
    し; (b)第一のサンプルからmRNA集団を単離し; (c)請求項1の(a)−(h)の工程を実施して第一の組織サンプルのmR
    NA発現パターンを決定し、第一のサンプル中に存在するmRNAの3'末端を
    表示する配列特異的生成物の第一のディスプレーを作製し; (d)生理学的または病理学的変化を受けた第二の組織サンプルを入手し; (e)第二のサンプルからmRNA集団を単離し; (f)請求項1の(a)−(h)の工程を実施して第二の組織サンプルのmR
    NA発現パターンを決定し、第二のサンプル中に存在するmRNAの3'末端を
    表示する配列特異的生成物の第二のディスプレーを作製し;さらに (g)第一および第二のディスプレーを比較して、組織中のmRNA発現パタ
    ーンに対する生理学的または病理学的変化の影響を決定する。
  56. 【請求項56】 前記組織が中枢神経系に由来する請求項55の方法。
  57. 【請求項57】 前記生理学的または病理学的変化が、アルツハイマー病、
    パーキンソン病、虚血、アルコール中毒、薬物中毒、精神分裂病、筋萎縮性側索
    硬化症、多発性硬化症、双極性躁うつ病から成る群から選ばれる請求項56の方
    法。
  58. 【請求項58】 前記生理学的または病理学的変化が、学習もしくは記憶、
    感情、グルタメート神経毒性、飼育行動、嗅覚、視覚、運動異常、ウイルス感染
    、電気ショック療法または薬剤もしくは毒素の投与に付随する請求項56の方法
  59. 【請求項59】 前記生理学的または病理学的変化が、日周期による変動、
    加齢および長期の相乗作用から成る群から選ばれる請求項56の方法。
  60. 【請求項60】 前記組織が、網膜、大脳皮質、嗅球、視床、視床下部、下
    垂体前葉、下垂体後葉、海馬、側坐核、扁桃、線条、小脳、脳幹、交叉上核、お
    よび脊髄から成る群から選ばれる中枢神経系内の構造物に由来する請求項56の
    方法。
  61. 【請求項61】 前記組織が、心脈管系、肺系、消化系、末梢神経系、肝、
    腎、骨格筋および生殖系から成る群から選ばれる器官または器官系に由来する請
    求項55の方法。
  62. 【請求項62】 以下の工程を含むスクリーニングされるべき薬剤と既知化
    合物の作用の相違を検出する方法: (a)既知の生理学的機能をもつ化合物で処理した器官から第一の組織サンプ
    ルを入手し; (b)前記第一のサンプルからmRNA集団を単離し; (c)請求項1の(a)−(h)の工程を実施して第一の組織サンプルのmR
    NA発現パターンを決定し、第一のサンプル中に存在するmRNAの3'末端を
    表示する配列特異的生成物の第一のディスプレーを作製し; (d)薬剤と既知化合物の作用の相違についてスクリーニングされるべき薬剤
    で処理した器官から第二の組織サンプルを入手し; (e)第二のサンプルからmRNA集団を単離し; (f)請求項1の(a)−(h)の工程を実施して第二の組織サンプルのmR
    NA発現パターンを決定し、第二のサンプル中に存在するmRNAの3'末端を
    表示する配列特異的生成物の第二のディスプレーを作製し;さらに (g)第一および第二のディスプレーを比較して、既知の化合物ではその発現
    が影響を受けないが、スクリーニングしている薬剤によって影響を受ける、した
    がってスクリーニングしている薬剤と既知の化合物の作用の相違を示唆するmR
    NA種の存在を検出する。
  63. 【請求項63】 前記被験薬剤が、抗うつ剤、神経弛緩薬、精神安定剤、抗
    痙攣薬、モノアミンオキシダーゼ抑制物質および刺激物質から成る群から選ばれ
    る請求項62の方法。
  64. 【請求項64】 前記被験薬が、抗パーキンソン病薬、骨格筋弛緩薬、鎮痛
    剤、局所麻酔剤、コリン作動薬、抗ウイルス剤、抗痙攣薬、ステロイド、および
    非ステロイド性抗炎症剤から成る群から選ばれる請求項62の方法。
  65. 【請求項65】 以下の配列を有する12のプライマー混合物を含むアンカ
    ープライマーの縮重混合物:A−A−C−T−G−G−A−A−G−A−A−T
    −T−C−G−C−G−G−C−C−G−C−A−G−G−A−A−T−T−T
    −T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−T−V−N(配
    列番号:2)、式中、VはA、CおよびGから成る群から選ばれるデオキシリボ
    ヌクレオチドで、NはA、C、GまたはTから成る群から選ばれるデオキシリボ
    ヌクレオチドで、12のプライマーの各々はほぼ等モル量で存在する。
  66. 【請求項66】 デジタルアドレスを得るために請求項1の配列特異的生成
    物のディスプレーを定量することによって作製されたデータを含むデータベース
    であって、前記デジタルアドレスが、配列識別子、配列特異的PCR生成物のヌ
    クレオチド残基としての長さおよびPCR生成物の標識量(そのPCR生成物に
    ついての検出器の出力ピーク下の面積と定義される)と定義される前記データベ
    ス。
  67. 【請求項67】 さらに、配列の関連性、遺伝子マッピングおよび細胞にお
    ける分布から成る群から選ばれるデータを含む請求項66のデータベース。
  68. 【請求項68】 さらに以下の工程を含む請求項1の方法: (i)サンプル中に存在するmRNAの3'−末端を表わすバンドが表示され
    ている電気泳動から1つのmRNAに対応する少なくとも1つのcDNAを溶出
    させ; (j)ポリメラーゼ連鎖反応で溶出cDNAを増幅させ; (k)前記増幅cDNAをプラスミドでクローニングし; (l)前記クローン化DNAに対応するDNAをプラスミドから産生させ; (m)前記クローン化cDNAの配列を決定し;さらに、 (n)ヌクレオチド配列のデーターベースから、第二のエンドヌクレアーゼに
    対する最も遠位部の認識配列およびポリ(A)テールの開始部によってその境界
    が限定される対応するヌクレオチド配列を決定する。
  69. 【請求項69】 さらに、(p)二次元グラフディスプレーでPCR生成物
    の長さおよび量を比較する工程を含む請求項68の方法。
  70. 【請求項70】 さらに以下の工程を含む請求項69の方法: (q)前記対応するヌクレオチド配列の予想される長さを決定し、ここで前記
    予想される長さは、前記データベースから決定された対応するヌクレオチド配列
    の長さ、ベクター配列とハイブリダイズすることができる5'PCR配列の長さ
    、残存アンカープライマー配列の長さ、ベクター配列の介在セグメントおよびベ
    クター配列とハイブリダイズすることができる3'PCR配列の長さの合計で;
    さらに (r)PCR生成物の長さを前記対応するヌクレオチド配列の決定された予想
    の長さと比較するが、ここで、前記対応するヌクレオチド配列の予想の長さが、
    前記二次元グラフディスプレーでグラフ記号またはテキストキャラクターを用い
    ることによって示される。
  71. 【請求項71】 以下の工程を含む、サンプル中に存在するmRNA分子に
    一致するcDNAフラグメントの配列と配列データベースとの間で配列同一性お
    よび類似性を認知する方法: サンプル中に存在するmRNAに対応するcDNAフラグメントを溶出させ; ポリメラーゼ連鎖反応で溶出cDNAを増幅させて増幅cDNAフラグメント
    を生成し; 前記増幅cDNAをプラスミドでクローニングし; 前記クローン化DNAに一致するDNAを製造し; 前記製造DNA分子の配列を決定し、それによって前記溶出cDNAフラグメ
    ントの配列を決定し;さらに 前記溶出cDNAフラグメントの配列をデーターベースの配列と比較し、それ
    によって配列同一性および類似性を認知する。
  72. 【請求項72】 前記溶出cDNAフラグメントの配列をデーターベースの
    配列と比較する工程がコンピューターを用いて実施される請求項71の方法。
  73. 【請求項73】 前記比較の結果をグラフによって表示する追加工程をさら
    に含む請求項72の方法。
  74. 【請求項74】 以下の工程を含む、サンプル中に存在するmRNA分子に
    一致するcDNAフラグメントの配列と配列データベースとの間で配列同一性お
    よび類似性を認知する方法: サンプル中に存在するmRNAに対応するcDNAフラグメントを溶出させ、
    ここで、前記cDNAフラグメントは制限エンドヌクレアーゼ認識部位の位置と
    mRNA分子のポリ(A)テールによって決定される長さを有し; 制限エンドヌクレアーゼ認識部位の配列と一致する5'PCRプライマーを用
    いてポリメラーゼ連鎖反応を実施することによって、cDNAフラグメントの部
    分配列を決定し;さらに、 前記溶出cDNAフラグメントの決定部分配列および前記cDNAフラグメン
    トの長さを配列データーベースの配列と比較し、それによって配列同一性および
    類似性を認知する。
  75. 【請求項75】 以下の工程を含む、変換ポリヌクレオチド配列データーベ
    ースエントリーを作製する方法: ポリヌクレオチド配列データベースエントリーから根源配列を選択し; 前記根源配列内でポリ(A)テール配列の位置を決定し; 前記根源配列内で第一の認識部位に最も近いエンドヌクレアーゼ認識部位配列
    の位置を決定し; 前記エンドヌクレアーゼ認識部位に隣接する約2から約6ヌクレオチドから成
    るインデックス配列を決定し; 前記根源配列内の相関配列を決定するが、ここで前記相関配列は、ポリ(A)
    テールとエンドヌクレアーゼ認識部位による境界を有する配列を含み、さらに前
    記エンドヌクレアーゼ認識部位の少なくとも一部分を含んでおり; 前記相関配列の長さを決定し;さらに ポリ(A)テールの位置および配列、前記エンドヌクレアーゼ認識部位の位置
    および配列、並びに前記根源配列に対する前記相関配列の長さに関する情報を保
    存し、それによって変換データベースエントリーを作製する。
  76. 【請求項76】 前記インデックス配列に対して前記相関配列の長さをグラ
    フにより表示する工程をさらに含む請求項75の方法。
  77. 【請求項77】 前記制限エンドヌクレアーゼが、MspI、TaqIおよ
    びHinP1Iから選ばれる請求項76の方法。
  78. 【請求項78】 以下の工程を含む、標的以外のcDNAの増幅に起因する
    バックグラウンドを減少させることによって改善されたPCR生成物の長さおよ
    び量の解析方法: その各々が挿入配列およびベクター由来配列を含むcRNA集団のサンプルを
    選択し; 前記ベクター由来配列とハイブリダイズし、さらに約5ヌクレオチドから6ヌ
    クレオチドが前記挿入配列に伸長している逆転写プライマーを用いて逆転写を実
    施し、cDNA逆転写生成物を製造し; 前記cDNA逆転写生成物をさらに分割し; 前記亜分割cDNA逆転写生成物、3'PCRプライマーおよび5'PCRプラ
    イマーを用いて少なくとも1回ポリメラーゼ連鎖反応を実施してPCR生成物を
    製造し、それによって標的以外のcDNAの増幅に起因するバックグラウンドを
    減少させるが、ここで前記5'PCRプライマーはベクター由来配列とハイブリ
    ダイズし、さらに前記挿入配列内に約7ヌクレオチドから9ヌクレオチド伸長し
    ている。
  79. 【請求項79】 16プールの逆転写反応物が存在し、さらに16の異なる
    逆転写プライマーが存在する請求項78の方法。
  80. 【請求項80】 ポリメラーゼ連鎖反応で4Xのサブプールが存在し、ここ
    でXは、5'PCRプライマーが前記挿入配列内に伸長している数と逆転写プラ
    イマーが前記挿入配列内に伸長している数との違いである請求項79の方法。
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