JP2002527098A - 生物学的に活性なペプチドを単離するための方法及び試薬 - Google Patents

生物学的に活性なペプチドを単離するための方法及び試薬

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Abstract

(57)【要約】 本発明の一つの面は、例えば「ディスプレーモード」の多彩なペプチドディスプレーライブラリーを、例えば「分泌モード」の可溶性分泌ペプチドライブラリーと合わせて、所望の生物学的活性を有するペプチドの効率的単離のための方法を生じるバイナリー方法の組立てである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 高スループットのスクリーニングが、製薬産業において、薬物開発のための候
補に改変することのできるリード化合物の発見のための主たるツールとなってい
る。例えば、それは、レセプターに対する高い親和性を有するリガンドの同定の
ために、よく用いられている。この点において、コンビナトリアル技術は、高ス
ループットスクリーニングにおいて、試験化合物の大きなライブラリーを生成し
て解析するためのアプローチを提供した。それは、所望の生物学的特性を有する
分子のサブセットの複合ライブラリーからの選択及び増幅を含んでいる。
【0002】 ペプチドリードの同定のために出現した一つの技術は、ペプチドディスプレー
の方法論例えばファージディスプレーの利用を包含している。ファージディスプ
レーされたペプチドライブラリーは、繊維状バクテリオファージ粒子の表面にデ
ィスプレーされた短いランダム化されたポリペプチドの巨大なコレクションを含
むことができる。従って、各「ペプチド」は、実は、コートタンパク質の生成の
ためのファージゲノムのランダムに変異した領域によりコードされるファージコ
ートタンパク質のN末端配列である。この様式においては、ライブラリー中の各
々のユニークなペプチドは、それをコードするDNA分子と物理的にリンクされ
る。抗体及び他の結合分子は、リガンドペプチドを有する希なファージクローン
を特異的に選択するための「標的」として用いることができ、対応するウイルス
DNAの配列決定は、それらのアミノ酸配列を示すであろう。様々なペプチド及
び非ペプチド性結合標的に対する比較的高い親和性のペプチドが、エピトープラ
イブラリーからアフィニティー単離されている。この技術は、エピトープをタン
パク質上にマップするため及び様々な標的分子のペプチド模倣物を見出すために
用いられてきた。多くの強力な応用が、ドラッグデザインの分野及び診断用マー
カー、ワクチン及びトレラゲンの開発において構想され得る。
【0003】 薬物の発見の目的のためには、遺伝子的にコードされたライブラリー例えばフ
ァージディスプレー(Scott等、Science 249, 386 (1990);Devlin等、Science 2
49, 386 (1990))、「peptide on plasmid」(Cull等、PNAS 89, 1865(1992))及び
イン・ビトロ翻訳ベースの系(Mattheakis等、PNAS 91, 9022(1994)){合成低分子
のライブラリーの利用(Bunin等、PNAS 91, 4708(1994);Gordon等、J.Med.Chem.
37, 1385(1994);及びDooley等、Science 266, 2019(1994))に匹敵}の利用に潜
在的利点がある。ライブラリーの遺伝コード化は、所望の結合活性を有する分子
の再合成及び再スクリーニングを可能にする。その結果生じたその後の選択のラ
ウンドでの相互作用分子の増幅は、極めて希な特異的バインダーの分子の大きな
プールからの単離へと導くことができる。
【0004】 しかしながら、これらの方法の成功にもかかわらず、それらは、多くのエラー
及び偏向の起源(例えば、非常に低い種の初期濃度、非特異的結合及び、有意に
、実験の最後でのライブラリーの一画分のみのサンプリング)を被っている。
【0005】発明の要約 この発明の一つの面は、選択した生物学的活性を有するペプチドを生成する方
法であって、下記のステップを含む当該方法を提供する: (i)ディスプレーパッケージの一集団の表面に発現される試験ペプチドの多彩
な集団を含むペプチドディスプレーライブラリーを用意し; (ii)ディスプレーモードにおいて、このペプチドディスプレーライブラリー
から、細胞又はその成分に対する所望の結合特異性及び/又は親和性を有する試
験ペプチドを富化させたディスプレーパッケージの亜集団を単離し; (iii)分泌モードにおいて、この富化させた試験ペプチド亜集団を、これら
の試験ペプチドが分泌されてディスプレーパッケージから自由となる条件下で同
時に発現させ、 (iv)分泌された試験ペプチドの標的細胞において生物学的プロセスを調節す
る能力を評価する。
【0006】 例えば、このペプチドディスプレーライブラリーは、ファージディスプレーラ
イブラリーであってよく、例えば、それは、ファージ粒子例えばM13、f1、
fd、If1、Ike、Xf、Pf1、Pf3、λ、T4、T7、P2、P4、
φX−174、MS2又はf2を利用する。好適具体例においては、ファージデ
ィスプレーライブラリーは、大腸菌に特異的な繊維状バクテリオファージを用い
て生成し、ファージコートタンパク質は、コートタンパク質III又はコートタ
ンパク質VIIIである。例えば、繊維状バクテリオファージは、M13、fd
及びf1であってよい。
【0007】 他の具体例において、このペプチドディスプレーライブラリーは、細菌細胞表
面ディスプレーライブラリー又は胞子ディスプレーライブラリーである。
【0008】 ある具体例においては、これらの試験ペプチドを、ディスプレーモードのペプ
チドディスプレーライブラリーから、細胞又はその成分と特異的に結合する試験
ペプチドをそうでない試験ペプチドからアフィニティー分離することを含むディ
ファレンシャル結合手段によって富化させる。例えば、ディファレンシャル結合
手段は、ペプチドディスプレーライブラリーの全細胞についてのパニング、細胞
の成分が不溶性マトリクスの部分(例えば、ポリマー支持体に付着された細胞表
面タンパク質)として与えられるアフィニティークロマトグラフィー手段及び/
又はディスプレーパッケージの免疫沈降を包含することができる。
【0009】 ディスプレーモードにおいては、これらの試験ペプチドは、細胞型特異的マー
カー及び/又は細胞表面レセプタータンパク質に結合するものについて富化させ
ることができる。例えば、この試験ペプチドライブラリーをディスプレーモード
において、Gタンパク質共役レセプター例えば化学誘引性ペプチドレセプター、
神経ペプチドレセプター、光受容体、神経伝達物質レセプター、サイクリックA
MPレセプター又はポリペプチドホルモンレセプターに結合する試験ペプチドに
ついて富化させることができる。他の具体例において、この試験ペプチドライブ
ラリーは、ディスプレーモードで、レセプターチロシンキナーゼ例えばEPHレ
セプターに結合する試験ペプチドについて富化させることができる。更に別の具
体例において、この試験ペプチドライブラリーは、ディスプレーモードで、サイ
トカインレセプター又はMIRRレセプターに結合する試験ペプチドについて富
化させることができる。ある具体例においては、この試験ペプチドライブラリー
を、ディスプレーモードで、オーファンレセプターに結合する試験ペプチドにつ
いて富化させることができる。
【0010】 好適具体例において、このペプチドディスプレーライブラリーは、少なくとも
103の異なる試験ペプチドを含んでいる。
【0011】 好適具体例において、これらの試験ペプチドは、4〜20アミノ酸残基長であ
る。
【0012】 ある具体例においては、これらの試験ペプチドの各々を、(i)試験ペプチドの
コード配列、(ii)試験ペプチドをディスプレーパッケージ集団の表面にディス
プレーするためのディスプレーパッケージの表面タンパク質のコード配列、及び
(iii)この表面タンパク質のコード配列に隣接するRNAスプライス部位を含
むキメラ遺伝子によりコードし、ディスプレーモードにおいて、このキメラ遺伝
子を、試験ペプチドと表面タンパク質とを含む融合タンパク質として発現させ、
分泌モードにおいて、この試験ペプチドを、表面タンパク質のコード配列をRN
Aスプライシングにより除去した結果として、表面タンパク質を伴わないで発現
させる。
【0013】 好適具体例において、これらの試験ペプチドを真核細胞により、一層好ましく
は哺乳動物細胞により、分泌モードで発現させる。
【0014】 好適具体例において、標的細胞は、真核細胞であり、一層好ましくは、哺乳動
物細胞例えばヒト細胞である。
【0015】 ある具体例において、分泌モードで記録される生物学的プロセスには、細胞増
殖、細胞分化又は細胞死における変化が含まれる。他の具体例においては、この
検出される生物学的プロセスは、細胞内カルシウム動員、細胞内タンパク質リン
酸化、リン脂質代謝及び/又は細胞特異的マーカー遺伝子の発現における変化で
ある。
【0016】 ある具体例において、標的細胞は、細胞表面レセプタータンパク質のシグナル
変換活性に応答する少なくとも1つの転写調節エレメントに機能的に結合された
レポーター遺伝子を含むレポーター遺伝子構築物を含み、このレポーター遺伝子
の発現は、検出可能なシグナルを与える。例えば、このレポーター遺伝子は、色
、蛍光、ルミネセンス、細胞の栄養要求性の細胞生存力救済、細胞成長及び薬物
耐性よりなる群から選択する検出可能なシグナルを生じる遺伝子産物をコードす
ることができる。好適具体例において、このレポーター遺伝子は、クロラムフェ
ニコールアセチルトランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ及び分泌型アルカ
リホスファターゼよりなる群から選択する遺伝子産物をコードする。他の好適具
体例において、このレポーター遺伝子は、成長シグナルを与える遺伝子産物をコ
ードする。
【0017】 ある具体例においては、この分泌モードは、分泌された試験ペプチドの、標的
細胞に外因的に加えられた化合物の生物学的活性を阻止する能力を評価すること
を含む。
【0018】 典型的具体例においては:上記のステップ(ii)において、内皮細胞に結合す
るディスプレーパッケージを単離し;そして上記のステップ(iv)では、分泌さ
れた試験ペプチドの、内皮細胞の増殖を阻止する能力を評価する。例えば、ステ
ップ(iv)において、分泌された試験ペプチドの、脈管形成量の内因性成長因子
の存在下で内皮細胞の増殖を阻止する能力を評価することができる。
【0019】 主題の発明は又、特に、分泌モードで同定されたペプチドがペプチド模倣物に
変換され得ることをも企図している。
【0020】 その上、ある具体例においては、主題の方法は、製薬上許容し得るキャリアー
と、標的細胞における生物学的プロセスを調節する少なくとも一の試験ペプチド
又はそのペプチド模倣物とを配合する更なるステップを含む。
【0021】 本発明の他の面は、細胞又はその成分に対する所望の結合特異性及び/又は親
和性を有して標的細胞内で生物学的プロセスを調節する試験ペプチドを富化させ
たペプチドディスプレーライブラリーを提供する。
【0022】 本発明の更に別の面は、キメラタンパク質のキメラ遺伝子を含むベクターに関
係し、このキメラ遺伝子は、(i)試験ペプチドのコード配列、(ii)ディスプレ
ーパッケージの表面タンパク質のコード配列及び(iii)この表面タンパク質の
コード配列に隣接するRNAスプライス部位を含み、 ディスプレーモードにおいて、このキメラ遺伝子を、試験ペプチド及び表面タ
ンパク質を含む融合タンパク質として発現させ、それにより、この試験ペプチド
をディスプレーパッケージの集団の表面にディスプレーすることができ、 分泌モードでは、この試験ペプチドを、表面タンパク質のコード配列をRNA
スプライシングにより除去した結果として、表面タンパク質を伴わないで発現さ
せる。
【0023】 ある具体例において、キメラ遺伝子は、分泌モードにおける試験ペプチドの分
泌のために、例えば試験ペプチドの真核細胞好ましくは哺乳動物細胞からの分泌
のために、分泌用シグナル配列を含むことができる。
【0024】 本発明の更に別の面は、ベクターライブラリーを提供し、各ベクターは、キメ
ラタンパク質のキメラ遺伝子を含み、このキメラ遺伝子は、(i)試験ペプチドの
コード配列、(ii)ディスプレーパッケージの表面タンパク質のコード配列及び
(iii)この表面タンパク質のコード配列に隣接するRNAスプライス部位を含
み、 ディスプレーモードにおいては、このキメラ遺伝子を、試験ペプチドと表面タ
ンパク質とを含む融合タンパク質として発現させ、それにより、この試験ペプチ
ドを、ディスプレーパッケージの集団の表面にディスプレーすることができ、 分泌モードでは、この試験ペプチドを、表面タンパク質のコード配列をRNA
スプライシングにより除去した結果として、表面タンパク質を伴わずに発現させ
、 このベクターライブラリーは、試験ペプチドの多彩な集団を集合的にコードす
る。
【0025】 好適具体例において、ベクターライブラリーは、少なくとも103の異なる試
験ペプチドを集合的にコードする。
【0026】 好適具体例において、これらの試験ペプチドは、4〜20アミノ酸残基長であ
る。
【0027】 本発明の他の面は、上記のベクターライブラリーを含む細胞集団を含む細胞組
成物である。
【0028】 本発明の更に別の面は、選択した抗菌活性を有するペプチドを生成する方法で
あって、下記のステップを含む当該方法を提供する: (i)多彩な試験ペプチドの集団を含む可溶性ペプチドライブラリーを発現する
組換え宿主細胞集団を用意し; (ii)宿主細胞を、ペプチドライブラリーが分泌されて標的微生物に拡散する
条件下で標的微生物と培養し;そして (iii)選択した宿主細胞に、標的微生物の成長を阻止する試験ペプチドを発現
させる。 例えば、この標的微生物は、細菌又はカビである。ある具体例においては、これ
らの宿主細胞を、標的微生物を埋め込んだ寒天上で培養する。例えば、試験ペプ
チドの抗菌活性は、この寒天中の により測定することができる。
【0029】発明の詳細な説明 I.概観 本発明は、生物学的に活性なペプチドを単離するための強力な方向付けられた
アプローチを利用可能にする。本発明の一つの面は、例えば「ディスプレーモー
ド」における多彩なペプチドディスプレーライブラリーを、例えば「分泌モード
」の可溶性の分泌ペプチドライブラリーと組合せて所望の生物学的活性を有する
ペプチドの効率的な単離方法を生成するバイナリー法の組立てである。
【0030】 ペプチドディスプレー技術を用いて、ペプチドライブラリーを、先ず、パニン
グ又は他のアフィニティー精製技術によって複雑さを減らすことができる。特に
、主題の方法は、あるアフィニティープロフィル例えば別々の細胞又はそれらの
タンパク質その他の細胞成分に対する特異性及び/又は結合親和性を有するペプ
チドを、(i)それらのペプチドを複製可能な遺伝的ディスプレーパッケージの外
表面上にディスプレーさせてペプチドディスプレーライブラリーを造り、そして
(ii)アフィニティー選択技術を用いて、ディスプレーパッケージの集団を、標
的の細胞又は細胞成分(ここでは、集合的に「標的」という)に対する所望の結合
特異性を有するペプチドを含むものを富化させることにより選択する。
【0031】 このアフィニティー富化のステップの後に、生成したサブライブラリーを、次
いで、分泌モードで利用して、それにより、これらの試験ペプチドは、可溶性細
胞外因子として分泌され、それらのパラクリン又はオートクリン因子としての効
果を評価する。即ち、この分泌モードでは、試験細胞又は組織の特定の生物学的
応答の調節に関するアゴニスト、アンタゴニスト及び不活性ペプチドを区別する
ために、試験ペプチドの生物学的活性を測定する。
【0032】 好適具体例においては、ディスプレーモードと分泌モードを、試験ペプチドを
コードする配列を他のベクター中にサブクローン化することを要せずに実施する
ことができる。説明のために、図1〜3は、ディスプレー及び分泌モードの両者
での順次的使用のための典型的ベクターを示している。細菌細胞中では、これら
のベクターは、分泌シグナル配列と、試験ペプチドと、遺伝子VIIIタンパク
質の残りのC末端部分とからなる融合タンパク質を生成する。その結果生成した
キメラタンパク質は、M13ファージ粒子中に取り込まれ得る。しかしながら、
哺乳動物細胞(COS細胞等)中では、M13コード配列は、このファージの配列
に隣接するスプライス部位によって成熟mRNAから除去される。従って、この
成熟mRNAは、哺乳動物細胞において、分泌シグナル配列及び試験ペプチド(
可溶性ペプチドとして細胞から分泌される)だけをコードしている。
【0033】 この主題の方法のかかる具体例の一つの利点は、サブクローン化ステップを排
除することにより、サブライブラリーからのペプチド配列のロスを減じる能力で
ある。
【0034】 典型的具体例において、この主題の方法を用いて、抗血管形成活性例えば内皮
細胞の増殖を可逆的に阻止する能力を有するペプチドを同定することができる。
このことについては、本発明は、血管形成と関連する疾患の阻止及び血管形成プ
ロセスの調節に用いることのできる内皮インヒビターを同定する方法を利用可能
にする。ここで用いる場合、用語「血管形成」は、新たな血管の組織又は臓器中
への生成を意味する。通常の生理的条件下では、ヒト又は動物は、非常に特殊な
限られた情況でのみ血管形成を受ける。例えば、血管形成は、怪我の治癒、胎児
の発生並びに黄体、子宮内膜及び胎盤の形成において普通に認められる。用語「
内皮」は、漿液腔、リンパ管及び血管を裏打ちする平らな上皮細胞の薄い層を意
味する。例えば、主題の方法により単離されたペプチドは、それらの内皮細胞に
結合する能力及び内皮成長因子(例えば、bFGF)の血管形成活性をイン・ビト
ロで克服する能力により同定することができる。
【0035】 II.定義 この発明の更なる説明の前に、この明細書、実施例及び添付の請求の範囲中で
用いている幾つかの用語を、便宜のために、ここに集めておく。
【0036】 用語「ペプチド」は、モノマーがアミノ酸(通常、アルファアミノ酸)であるオ
リゴマーをいう(アミド結合で一本に繋がれている)。ペプチドは、2以上のアミ
ノ酸モノマーの長さであり、一層しばしば5〜10アミノ酸モノマーの長さであ
り、更に一層長くてもよい(例えば、最大で20アミノ酸以上)(もっとも、20
アミノ酸より長いペプチドは、「ポリペプチド」と呼ばれるであろう)。用語「
タンパク質」は、当分野で周知であり、通常、非常に大きいポリペプチド、又は
何らかの生物学的機能を有する会合した同質の若しくは異質のポリペプチドをい
う。本発明の目的のためには、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タン
パク質」は、3つの型すべてがディスプレーライブラリーを生成するのに用いる
ことができるならば大いに交換可能であり、集合的にペプチドという。
【0037】 用語「同時発現」は、ペプチドライブラリーの代表的集団(例えば、ライブラ
リーのすべての異なるペプチド配列の少なくとも50%、一層好ましくは75、
80、85、90、95又は98%)の発現をいう。
【0038】 用語「ランダムペプチドライブラリー」は、ランダム又はセミランダムのペプ
チドのセット並びにそれらのランダムペプチドを含む融合タンパク質のセット(
あてはまるならば)をいう。
【0039】 用語「有効量」は、統計的に有意の結果を誘導するのに十分な量をいう。
【0040】 用語「リガンド」は、特定のタンパク質(例えば、レセプター)により認識され
る分子をいう。タンパク質と結合し又は反応する任意の因子を「リガンド」と呼
び、それ故、この用語は、酵素の基質及び触媒反応の反応物を包含する。用語「
リガンド」は、問題の物質がタンパク質と結合し或は相互作用することができる
こと以外、如何なる特定の分子の大きさ又は他の構造的若しくは組成的特徴をも
意味しない。「リガンド」は、タンパク質が結合する天然のリガンドとして又は
アゴニスト若しくはアンタゴニストとして作用し得る機能的類似体として役立ち
得る。
【0041】 術語「複製可能な遺伝的ディスプレーパッケージ」又は「ディスプレーパッケ
ージ」は、複製する能力を有する粒子を与える遺伝情報を有する生物学的粒子を
記述する。このパッケージは、多彩なペプチドライブラリーに由来するペプチド
を含む融合タンパク質をディスプレーすることができる。この融合タンパク質の
試験ペプチド部分は、ディスプレーパッケージと接触する標的にペプチドを結合
させる状況で、ディスプレーパッケージにより提示される。このディスプレーパ
ッケージは、一般に、非常に大きい多彩なペプチドライブラリーのサンプリング
を可能にする系から導かれる。このディスプレーパッケージは、例えば、栄養微
生物細胞、細菌胞子及び細菌ウイルスから導くことができる。
【0042】 術語「ディファレンシャル結合手段」並びに「アフィニティー選択」及び「ア
フィニティー富化」は、標的に結合するライブラリーのディスプレーパッケージ
の各々の表面上のペプチドの識別能力に基づくペプチドディスプレーライブラリ
ーのメンバーの分離をいう。ディスプレーの試験ペプチドによる標的のディファ
レンシャル結合は、標的に特異的に結合するペプチドのそうでないものからのア
フィニティー分離において用いることができる。例えば、アフィニティー選択の
プロトコールは、プレ又はポスト富化ステップをも含むことができ、該ステップ
では、「バックグラウンド標的」に結合し得るディスプレーパッケージが(例え
ば、負の選択として)ライブラリーから除去される。アフィニティー選択手段の
例には、アフィニティークロマトグラフィー、免疫沈降、蛍光活性化セルソーテ
ィング、凝集及びプラークリフトが含まれる。下記の通り、アフィニティークロ
マトグラフィーは、精製した、固定化した標的タンパク質等並びに全細胞を用い
るバイオパニング技術を含む。
【0043】 試験ペプチドの標的タンパク質との結合に関して、句「個別に選択的な様式」
及び「個別に選択的な結合」は、あるタンパク質標的へのペプチドの結合であっ
て、該タンパク質標的の結合がそのタンパク質標的の分子的個性に特異的であり
、それに依存する結合をいう。
【0044】 用語「固体支持体」は、硬質又は半硬質の表面を有する材料をいう。かかる材
料は、好ましくは、小さいビーズ、ペレット、ディスク、チップ、ディッシュ、
マルチウェルプレート、ウェハー等の形態をとる。幾つかの具体例においては、
基質の少なくとも一面は、実質的に平らとなろう。用語「面」は、固体基質上の
一般に二次元的な任意の構造をいい、面である限り、段、隆起、ねじれ、段丘等
を有し得る。
【0045】 本発明の典型例においては、ディスプレーパッケージは、試験ペプチドのアミ
ノ酸配列を含むペプチド融合コートタンパク質を含むファージ粒子である。従っ
て、複製可能なファージベクター特にファージミド(ここに規定の通り)のライブ
ラリー(ペプチド融合コートタンパク質のライブラリーをコードする)を生成して
、適当な宿主細胞をトランスフォームするのに用いる。キメラタンパク質から形
成されたファージ粒子は、特定のファージ粒子と結合したペプチドの標的に特異
的に結合する能力に基づいて、アフィニティー選択により分離することができる
。好適具体例において、ライブラリーの各ファージ粒子は、パッケージの表面に
ディスプレーされたペプチド融合コートタンパク質をコードする対応するファー
ジミドのコピーを含む。本発明の多彩なペプチドライブラリーを生成するための
典型的なファージには、M13、f1、fd、If1、Ike、Xf、Pf1、
Pf3、λ、T4、T7、P2、P4、φX−174、MS2及びf2が含まれ
る。
【0046】 術語「融合タンパク質」及び「キメラタンパク質」は、技術的に認められた用
語であり、ここでは交換可能に用いるが、第1のポリペプチドを含む隣接するポ
リペプチドを含み、該第1のポリペプチドは、アミド結合で少なくとも一のアミ
ノ酸配列に共有結合されており、該アミノ酸配列は、第1のポリペプチドの何れ
のドメインに対しても外来であり且つ実質的に相同でない。融合タンパク質の一
部分は、試験ペプチドを含む(例えば、それは、ランダム又はセミランダムであ
ってよい)。融合タンパク質の第2のポリペプチド部分は、典型的には、外側表
面タンパク質から又は「ディスプレーパッケージ」(以下で規定)に試験ペプチド
をその外側表面に結合するように指示するディスプレーアンカータンパク質から
導かれる。下記のように、ディスプレーパッケージがファージである場合には、
このアンカータンパク質は、遺伝的パッケージに本来的な表面タンパク質例えば
ウイルスコートタンパク質に由来し得る。融合タンパク質がウイルスコートタン
パク質と試験ペプチドを含む場合には、それは、「ペプチド融合コートタンパク
質」と呼ばれよう。この融合タンパク質は、更に、シグナル配列を含み、これは
、融合タンパク質のアミノ末端の短い長さのアミノ酸配列であり、試験ペプチド
を含む融合タンパク質の少なくとも部分を細胞質から分泌されて細胞膜の細胞外
サイドに位置するように指示する。
【0047】 融合タンパク質をコードする遺伝子構築物は、同様に、「キメラ遺伝子」又は
「融合遺伝子」と呼ばれる。
【0048】 用語「ベクター」は、宿主細胞内で複製可能なDNA分子であって、それに遺
伝子を挿入して組換えDNA分子を構築することのできる当該DNA分子をいう
【0049】 用語「ファージベクター」及び「ファージミド」は、技術的に認められており
、一般に、ファージゲノムの改変により誘導されたベクターをいい、バクテリオ
ファージの複製起点及び好ましくは(適宜であるが)細菌プラスミドの起点(or
i)を含む。ファージゲノムそれ自体よりむしろファージベクターを利用するこ
とは、野生型コートタンパク質に対するキメラのペプチド/コートタンパク質の
比を変えること及びファージ遺伝子に、他の異質ポリペプチド例えば下記の「二
重」ペプチドディスプレー構築物において有用であり得る「補助ポリペプチド」
をコードする追加の遺伝子を補足することに対する一層大きな柔軟性を与える。
【0050】 術語「ヘルパーファージ」は、欠損ファージゲノム又はファージベクターを含
む細胞に感染させるのに用いるファージであって、その欠損を補完するように機
能するファージを記述する。この欠損は、ファージ粒子の生成に必要なファージ
ゲノム配列の除去又は不活性化により生じるものであってよい。ヘルパーファー
ジの例は、M13K07である。
【0051】 ここで用いる場合、「細胞表面レセプター」は、細胞の表面上に現れ、細胞外
環境と相互作用し、その環境に関する情報を細胞内に、細胞内二次メッセンジャ
ーの活性又は特異的プロモーターの転写活性を調節し得るような仕方で(直接又
は間接に)伝達し又は変換して特異的遺伝子の転写を生じる分子をいう。
【0052】 ここで用いる場合、「細胞外シグナル」は、このシグナルと直接又は間接に相
互作用する細胞表面タンパク質を介して細胞内に変換される細胞外環境の分子そ
の他の変化を包含する。細胞外シグナル又はエフェクター分子には、ある様式で
細胞表面タンパク質の活性を変化させる任意の化合物又は物質が含まれる。かか
るシグナルの例には、細胞表面及び/又は細胞内レセプター及びイオンチャンネ
ルに結合して、かかるレセプター及びチャンネルの活性を調節するアセチルコリ
ン、成長因子及びホルモン、脂質、等質及びヌクレオチド等の分子が含まれるが
、これらに限定されない。
【0053】 ここで用いる場合、「細胞外シグナル」は又、細胞レセプターの活性を調節し
、それにより、細胞内機能に影響を及ぼす未同定の物質をも包含する。かかる細
胞外シグナルは、特異的細胞表面レセプターの活性を調節することにより特異的
疾患を治療するために用いることのできる潜在的薬剤である。
【0054】 「オーファンレセプター」は、特異的な天然のリガンドが記載されておらず且
つ/又は機能が決定されていないレセプターに与えられた名称である。
【0055】 ここで用いる場合、「レポーター遺伝子構築物」は、少なくとも一の転写調節
配列に機能的に結合された「レポーター遺伝子」を含む核酸である。レポーター
遺伝子の転写は、それらが結合されているこれらの配列により制御される。これ
らの制御配列の少なくとも一つの活性を、標的レセプタータンパク質により直接
又は間接に調節することができる。典型的転写制御配列は、プロモーター配列で
ある。レポーター遺伝子は、細胞内で異種的に発現されるプロモーター−レポー
ター遺伝子構築物を包含することを意味する。
【0056】 用語「指標遺伝子」は、一般に、発現可能な(例えば、転写され得て且つ(適宜
)翻訳され得る)DNA配列をいい、それは、例えば、標的レセプター又はイオン
チャンネルにより調節されるシグナル変換経路に応答して発現される。典型的な
指標遺伝子には、宿主細胞の未改変の内因性遺伝子、改変された内因性遺伝子、
又は異種性構築物のレポーター遺伝子が含まれる(例えば、レポーター遺伝子構
築物の部分として)。
【0057】 「シグナル変換」は、細胞膜を通しての細胞環境からの物理的又は化学的シグ
ナルのプロセッシングであり、酵素の活性化/不活性化(プロテアーゼその他の
リン酸化パターン又は他の翻訳後修飾を変えることのできる酵素等)、イオンチ
ャンネル又は細胞間イオン貯蔵の活性化、エフェクター酵素のグアニンヌクレオ
チド結合タンパク質中間体による活性化、イノシトールホスフェートの形成、ア
デニリルシクラーゼの活性化又は不活性化、転写因子の直接的活性化(又は阻害)
及び/又は活性化等の幾つかの機構の少なくとも一つにより起こり得る。
【0058】 用語「レセプタータンパク質のシグナル変換活性の調節」は、その様々な文法
的形態で、ここで用いる場合、誘導及び/又は強化並びにレセプターの下流の一
つ以上のシグナル変換経路の阻害を示す。
【0059】 アゴニスト及びアンタゴニストは、レセプターを介するシグナル変換を調節す
る「レセプターエフェクター」分子である。レセプターエフェクター分子は、レ
セプターに結合することのできる分子である(もっとも、必ずしも天然のリガン
ドの結合部位にではないが)。レセプターエフェクターは、単独で用いてシグナ
ル変換を調節することができ、即ちリガンドの代用となり得、又は天然のリガン
ドの存在下でシグナル変換を変化させることができる(天然リガンドによるシグ
ナリングを増大し又は阻害する)。例えば、「アンタゴニスト」は、レセプター
のシグナル変換活性をブロックし又は減少させる分子であり、例えば、それらは
、レセプターからのシグナル変換を、競争的に、非競争的に及び/又はアロステ
リック的に阻害するが、「アゴニスト」は、レセプターのシグナル変換を強化し
、誘導し或は増大させる。用語「レセプターアクチベーター」及び「代用リガン
ド」は、レセプターからのシグナル変換を誘導するアゴニストである。
【0060】 用語「化合物」は、ここで用いる場合、外因的に加えられる試験ペプチドとペ
プチドライブラリーから発現されるペプチドの両者を包含することを意味する。
【0061】 III.典型的具体例 A.ディスプレーモード その「ディスプレーモード」において、試験ペプチドのライブラリーは、ディ
スプレーパッケージの集団により発現されてペプチドディスプレーライブラリー
を形成する。多彩なペプチドライブラリーが明示されるディスプレーパッケージ
に関して、ここに与えた議論から、ディスプレーパッケージは、(i)異種ペプチ
ドをコードするように遺伝的に変化させることができ、(ii)培養で維持して増
幅することができ、(iii)ペプチド含有遺伝子産物を、そのペプチドがアフィ
ニティー分離のステップで標的と相互作用することを可能にするような仕方でデ
ィスプレーするように操作することができ、そして(iv)試験ペプチドをコード
するヌクレオチド配列(ここでは、「ペプチド遺伝子」という)をそのペプチド遺
伝子の配列を得ることができるように保持しつつアフィニティー分離され得るの
が好ましいということが認められよう。好適具体例においては、このディスプレ
ーは、アフィニティー分離後も、生存可能である。
【0062】 理想的には、このディスプレーパッケージは、非常に大きい多彩なペプチドデ
ィスプレーライブラリーのサンプリング、各アフィニティー分離ラウンド後の迅
速なソーティング、及びペプチド遺伝子の精製したディスプレーパッケージから
の容易な単離又は分泌モードにおけるその配列の更なる操作を可能にする系を含
む。このタイプのスクリーニングのための最も魅力的な候補は、原核生物及びウ
イルスである(何故なら、それらは、迅速に増幅することができ、比較的容易に
操作することができ、多数のクローンを造ることができるからである)。好適な
ディスプレーパッケージは、例えば、栄養細菌細胞、細菌胞子、及び最も好まし
くは細菌ウイルス(特に、DNAウイルス)を包含する。しかしながら、本発明は
又、酵母及びそれらの胞子を含む真核細胞の潜在的ディスプレーパッケージとし
ての利用をも企図している。
【0063】 ファージディスプレーライブラリーを生成するための市販のキット(例えば、P
harmacia Recombinant Pharge Antibody System, カタログ番号27−9400
−01;及びStratagene SurfZAP(商標)ファージディスプレーキット、カタログ
番号240612)に加えて、本発明の多彩なペプチドディスプレーライブラリ
ーの生成における利用に特に従順な方法及び試薬の例は、例えば、Ladner等、米
国特許第5,223,409号;Kang等、国際公開No.WO92/18619
;Dower等、国際公開No.WO91/17271;Winter等、国際公開No.
WO92/20791;Markland等、国際公開No.WO92/15679;Br
eitling等、国際公開No.WO93/01288;McCafferty等、国際公開N
o.WO92/01047;Garrard等、国際公開No.WO92/09690
;Landner等、国際公開No.WO90/02809;Fuchs等(1991)Bio/Techno
logy 9:1370-1372;Hay等(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81-85;Huse等(1989
)Science 246:1275-1281;Griffths等(1993)EMBO J 12:725-734;Hawkins等(199
2)J Mol Biol 226:889-896;Clackson等(1991)Nature 352:624-628;Gram等(199
2)PNAS 89:3576-3580;Garrad等(1991)Bio/Technology 9:1373-1377;Hoogenboo
m等(1991)Nuc Acid Res 19:4133-4137;及びBarbas等(1991)PNAS 88:7978-7982
に見出すことができる。これらの系は、ここに記載した改変により、主題の方法
における使用に適合させることができる。
【0064】 このディスプレーが細菌細胞又はペリプラスムで組み立てられるファージに基
づいているならば、そのパッケージのディスプレー手段は、少なくとも2つの成
分を含むであろう。第1の成分は、組換えペプチドに細胞膜(ディスプレーパッ
ケージがファージの場合は宿主細胞の細胞膜)の細胞外サイドに位置するように
指示する分泌シグナルである。この分泌シグナルは、シグナルペプチダーゼによ
り開裂削除されてプロセスされた「成熟」ペプチドを生じるように選択すること
ができる。第2の成分は、ディスプレーパッケージに試験ペプチドをその外側表
面に結合することを指示するディスプレーアンカータンパク質である。下記の通
り、このアンカータンパク質は、遺伝的パッケージに本来的な表面又はコートタ
ンパク質から誘導することができる。
【0065】 ディスプレーパッケージが細菌胞子又はタンパク質コーティングが細胞内で組
み立てられるファージである場合には、ペプチドを宿主細胞の内膜へ向かわせる
分泌シグナルは不要である。これらの場合には、多彩なペプチドライブラリーを
整列させる手段には、融合タンパク質としての使用に従順な胞子又はファージコ
ートタンパク質の誘導体が含まれる。
【0066】 幾つかの場合には、キメラタンパク質部分の間に例えば試験ペプチドとディス
プレーポリペプチドとの間に未構造化ポリペプチドリンカー領域を導入すること
が必要であり得る。このリンカーは、2つの断片の間の立体障害を減じることに
より試験ペプチドが標的と自由に相互作用することを可能にし、並びに各タンパ
ク質の適当な折り畳みを生じさせるキメラタンパク質の増大された柔軟性を促進
することができる。このリンカーは、天然起源のもの(例えば、タンパク質の2
つのドメイン間のランダムコイル中に存在することが決定されている配列)であ
ってよい。或は、このリンカーは、合成起源のものであってよい。例えば、配列
(Gly4Ser)3を合成の未構造化リンカーとして用いることができる。このタ
イプのリンカーは、Huston等(1988)PNAS 85:4879;及び米国特許第5,091,
513号及び5,258,498号に記載されている。ヒト起源の天然の未構造
化リンカーは、それらが免疫原性の危険を減じるので好適である。
【0067】 ディスプレーパッケージがファージである場合には、ファージミド中の試験ペ
プチド遺伝子配列用のクローニング部位は、正常なファージ機能を実質的に邪魔
しないように位置されるべきである。かかる遺伝子座の一つは、Zinder及びBoek
e,(1982)Gene 19:1-10により記載されたように遺伝子間領域である。
【0068】 ペプチドライブラリーにおける可能な組合せの数は、長さが増し、各位置での
縮重についての選択基準が緩いほど大きくなり得る。できるだけ多くの組合せを
試すことは、部分的に、多数のトランスフォーマントを回収する能力に依存して
いる。プラスミド様形態のファージ(繊維状ファージのような)については、エレ
クトロトランスフォーメーションは、DNAインプットに対する非常に高い容量
に加えて、イン・ビトロパッケージングを用いるファージトランスフェクション
に匹敵する効率を与える。これは、非常に多くのトランスフォーマントメンバー
を得るために用いるべき多量のベクターDNAを与える。例えば、Dower等(1988
)Nucleic Acids Res., 16:6127-6145により記載された方法は、fd−tet由
来の組換え体を、大腸菌(MC1061株等)への連結されたベクター1μg当た
り約107トランスフォーマントの割合でトランスフォームするために用いるこ
とができ、ライブラリーを、fd−tetB1中に最大で約3×108以上まで
構築することができる。DNAインプットを増すこと及び当業者の能力内のクロ
ーニングプロトコールを改変することは、トランスフォーマントの回収率を約1
0倍以上に高め、最大で1010以上のトランスフォーマントのライブラリーを与
える。
【0069】 当業者には明らかとなるように、高アフィニティーペプチドを探す具体例にお
いて、本発明の選択方法に重要な基準は、特定の標的に対して異なるアフィニテ
ィーを有するペプチドを識別できること及び好ましくは最高のアフィニティーを
有するペプチドを富化することができることであり得る。周知のペプチドアフィ
ニティー及び数価(即ち、アビディティー)の原理を適用して、効果的に一価とす
るようにディスプレーパッケージを操作することは、多価ディスプレーパッケー
ジを用いて分離できるアフィニティーの一層広い範囲に匹敵する一般に一層高い
結合アフィニティー(即ち、106〜1010-1の範囲の結合定数)のためにアフ
ィニティー富化を実施することを可能にし得るということは、理解される。一価
のディスプレーを生成するために、ペプチドをディスプレーに繋ぎ留めるために
用いる表面又はコートタンパク質の天然型(即ち、野生型)を、ペプチド融合タン
パク質をディスプレーパッケージ内に含有することを殆ど完全に排除するだけ十
分高レベルで加えることができる。従って、大多数のディスプレーパッケージは
、ペプチド融合タンパク質の1コピー以下を含むように生成することができる(
例えば、Garrad等(1991)Bio/Technology 9:1373-1377参照)。一価のディスプレ
ーライブラリーの好適具体例において、ディスプレーパッケージのライブラリー
は、集団中に、5〜10%以下の多価ディスプレーを、一層好ましくは2%以下
の、最も好ましくは1%以下の多価ディスプレーパッケージ含むであろう。野生
型のアンカータンパク質の起源は、例えば、ペプチド融合タンパク質と同じ構築
物上に存在する野生型遺伝子のコピーにより与えられ、又は全く別個の構築物に
より与えられ得る。しかしながら、類似の操作により、一層広い範囲の結合アフ
ィニティーを単離するための多価ディスプレーが生成され得ることは、同様に明
らかとなろう。かかるペプチドは、例えば、アビディティーが望まれ得る精製プ
ロトコールにおいて有用であり得る。
【0070】 i)ディスプレーパッケージとしてのファージ バクテリオファージは、主題の方法で用いるための魅力的な原核生物関連微生
物である。バクテリオファージは、完全な成熟ファージに結合した酵素活性が殆
ど又は全くなく、それらの遺伝子が細菌宿主の外では不活性であって成熟ファー
ジ粒子を代謝的に不活性にしているので、多彩なペプチドライブラリーのディス
プレーシステムを与えるための優れた候補である。一般に、ファージ表面は、比
較的単純な構造である。ファージは、容易に多数に増殖することができ、それら
は、多くの潜在的マススクリーニングプログラムに含まれる実際の取扱いに従順
であり、それら自身の合成のために小さい単純なパッケージ内に遺伝情報を運ん
でいる。ペプチド遺伝子をファージゲノムに挿入するので、主題の方法で用いる
ために適当なファージを選択することは、一般に、(i)ファージゲノムがペプチ
ド遺伝子の導入を追加の遺伝物質を許容し又は複製可能な遺伝物質を有すること
により許すかどうか;(ii)ビリオンが遺伝物質の挿入又は置換を受けた後でゲ
ノムのパッケージングができるかどうか;及び(iii)ペプチドのファージ表面
へのディスプレーがビリオン構造を、ファージ増殖を邪魔する程に破壊しないか
どうかに最も依存するであろう。
【0071】 ファージの利用に伴って生じる一つの懸念は、ファージの形態形成経路が、ペ
プチドが折り畳まる機会を有するであろう環境を決定することである。ペリプラ
スムで組み立てられるファージは、ディスプレーされるペプチドが必須のジスル
フィドを含み得てかかるペプチドは細胞内で正しく折り畳まれ得ないので好適で
ある。しかしながら、ディスプレーパッケージが細胞内で形成されるある具体例
(例えば、λファージを用いた場合)においては、他の場合において、ジスルフィ
ド含有ペプチドはファージが細胞から放出された後に適当な折り畳みを仮定する
ことができることが示されている。
【0072】 ファージの使用に関係するが細菌細胞及び胞子の使用にも関係する他の懸念は
、多重感染が一の特定の試験ペプチドの遺伝子を運ぶが更に二以上の異なる試験
ペプチドをそれらの表面に有するハイブリッドディスプレーを生じ得ることであ
る。それ故、適宜であるが、細胞に低い多重感染を生じる条件下でファージを感
染させることにより、この可能性を最小化することは好ましい。
【0073】 所定のバクテリオファージについて、好適なディスプレー手段は、ファージ表
面に存在するタンパク質である(例えば、コートタンパク質)。繊維状ファージは
、らせん格子により;等軸ファージは、二十面体格子により記述され得る。各々
の主要コートタンパク質の各モノマーは、格子点に位置して、その隣接格子の各
々と限られた相互作用をする。正常の格子接触のすべてではないが幾らかを生じ
ることによりこの格子中に適合するタンパク質が、ビリオンの形成を頓挫させる
ことにより並びにビリオンにギャップを残して核酸が保護されないことによりビ
リオンを不安定にすることはありそうなことである。従って、バクテリオファー
ジにおいては、細菌及び胞子の場合と異なり、ビリオン中の他のタンパク質と相
互作用するコートタンパク質の残基をペプチド融合タンパク質中に保持すること
は、一般に重要である。例えば、M13cpVIIIタンパク質を用いる場合に
は、完全な成熟タンパク質が、一般に、保持され、ペプチド断片はcpVIII
のN末端に付加されているが、他方、それは、ペプチド融合タンパク質中にM1
3cpIIIコートタンパク質の最後の100カルボキシル末端残基だけ保持す
れば(又は、もっと少なくてさえ)十分である。
【0074】 適当な誘導の下で、試験ペプチドライブラリーを発現させて、融合タンパク質
の部分として細菌細胞質中に搬出する(λファージを用いた場合等)。融合タンパ
ク質の誘導は、ファージゲノムのある複製、ファージ構造タンパク質の幾らかの
合成、及び幾らかのファージ粒子の組立てが起きるまで延ばすことができる。組
み立てられたタンパク質鎖は、次いで、ファージ粒子と、ファージ粒子の外側表
面でのアンカータンパク質の結合により相互作用する。これらの細胞は、溶解さ
れ、ライブラリーにコードされた試験ペプチド(ファージのDNAに運ばれる特
異的ライブラリー配列に相当する)を有するファージが放出され、細菌残渣から
単離される。
【0075】 選択した試験ペプチドをコードするファージを富化させて単離するために、そ
うして、最終的にそれら自身の核酸配列(ペプチドの遺伝子)を単離するために、
細菌残渣から集めたファージをアフィニティー精製する。下記のように、特定の
標的に特異的に結合する試験ペプチドを望む場合には、標的を用いて、所望の試
験ペプチドをディスプレーするファージを回収することができる。そうして得ら
れたファージを、次いで、宿主細胞に感染させることにより増幅することができ
る。更なるアフィニティー富化とその後の増幅のラウンドを、所望のレベルの富
化に達するまで用いることができる。
【0076】 富化されたペプチド−ファージは又、更なる検出技術例えば発現プラーク(又
はコロニー)リフト(例えば、Young及びDavis, Science(1983)222:778-782参照)
によりスクリーニングすることができる(標識された標的をプローブとして用い
る)。
【0077】 a)繊維状ファージ 繊維状バクテリオファージ(M13、fl、fd、Ifl、Ike、Xf、P
fl、及びPf3を含む)は、細菌に感染する関連ウイルスの群である。それら
は、バクテリオファージゲノムを形成するデオキシリボ核酸(DNA)を包む伸長
されたカプセルよりなる細長い粒子であるので繊維状と呼ばれる。F繊毛繊維状
ファージ(Ffファージ)は、F繊毛の先端に特異的に吸着することによりグラム
陰性細菌にのみ感染し、fd、fl及びM13が含まれる。
【0078】 他のバクテリオファージに比べて、繊維状ファージは、一般に、魅力的であり
、特に、M13は、(i)ビリオンの3D構造が公知であり;(ii)コートタンパ
ク質のプロセッシングがよく理解されており;(iii)ゲノムが拡張可能であり
;(iv)ゲノムが小さく;(v)ゲノム配列が公知であり;(vi)ビリオンが剪断
、熱、寒冷、尿素、塩化グアニジウム、低pH及び高塩濃度に対して物理的に耐
性であり;(vii)ファージが配列決定用ベクターであるので配列決定が特に容
易であり;(viii)予想可能な結果を有する抗生物質耐性遺伝子がゲノム中に
クローン化されており(Hines等(1980)Gene 11:207-218);(ix)それは、容易に
培養されて保存され、被感染細胞に何ら特別な又は高価な培地要求はなく;(x)
それは、高い生産数を有し、各感染細胞は、感染後、100〜1000のM13
子孫を産生し;そして(xi)それは、容易に回収され、濃縮される(Salivar等(1
964)Virology 24:359-371)ので特に魅力的である。繊維状ファージM13の完全
な生活環、一般的クローニング及び配列決定用ベクターは、よく理解されている
。M13の遺伝子構造は、完全な配列(Schaller等、The Single-Stranded DNA P
Phages Denhardt等編、(NY:CSHL Press, 1978))、10個の遺伝子の同定及び機
能、及びプロモーターの転写の順序及び位置並びにビリオンの物理的構造(Smith
等(1985)Science 228:1315-1317;Raschad等(1986)Microbiol Dev 50:401-417;
Kuhn等(1987)Science 238:1413-1415;Zimmerman等(1982)J Biol Chem 257:6529
-6536;及びBanner等(1981)Nature 289:814-816)を含んで周知である。このゲノ
ムは小さい(6423bp)ので、カセット突然変異誘発がRFM13において実
際的であり(Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel等編(NY:John W
iley & Sons, 1991))、それは、一本鎖オリゴヌクレオチドに向けられた突然変
異誘発である(Fritz等、DNA Cloning, Glover編(英国、Oxford: IRC Press, 198
5))。M13は、それ自身、プラスミドであり、トランスフォーメーションシス
テムであって、理想的配列決定用ベクターである。M13は、大腸菌Rec−株
で増殖することができる。M13のゲノムは、拡張可能であり(Messing等、The
Single-Stranded DNA Phage, Denhardt等編(NY: CSHL Press, 1978)449-453頁;
及びFritz等、前出)、M13は、細胞を溶解させない。余分な遺伝子をM13中
に挿入することができ、それは、ウイルスゲノム中に安定な様式で維持されるで
あろう。
【0079】 Ffファージの成熟カプセルは、ファージがコードする5つの遺伝子産物のコ
ート:遺伝子VIIIの主要コートタンパク質産物であるcpVIII(カプセ
ルの大部分を形成する);及び4つの副次的コートタンパク質cpIII及びc
pIV(カプセルの一端)及びcpVII及びcpIX(カプセルの他端)よりなる
。このカプセルの長さは、特徴的な繊維構造を形成する順序的らせん整列中の2
500〜3000コピーのcpVIIIにより形成される。遺伝子IIIにコー
ドされるタンパク質(cpIII)は、典型的には、カプセルの一端に4〜6コピ
ーで存在し、感染の初期にファージが細菌宿主に結合するためのレセプターとし
て働く。Ffファージの構造の詳細な総説については、Rasched等、Microbiol.
Rev., 50:401-427(1986);及びModel等、The Bacteriophages, 2巻、R.Calendar
編、Plenum Press, 375-456頁(1988)を参照されたい。
【0080】 ファージ粒子の組立ては、ウイルスゲノムの宿主細胞膜を通っての排出を含む
。排出前に、主要コートタンパク質cpVIII及び副次的コートタンパク質c
pIIIが合成され、宿主細胞膜へ輸送される。cpVIII及びcpIIIの
両者は、宿主細胞膜に繋ぎ留められてから、成熟粒子に取り込まれる。加えて、
このウイルスゲノムは、生成されてcpVタンパク質でコートされる。排出プロ
セスの間に、cpVコートされたゲノムDNAは、そのcpVコートを剥がされ
て、同時に成熟コートタンパク質で再びコートされる。
【0081】 cpIII及びcpVIIIタンパク質の両者は、成熟ファージ粒子の組立て
のためのシグナルを与える2つのドメインを含んでいる。第1のドメインは、新
たに合成されたタンパク質を宿主細胞膜に向ける分泌シグナルである。この分泌
シグナルは、ポリペプチドのアミノ末端に位置され、そのポリペプチドに少なく
とも細胞膜を標的とさせる。第2のドメインは、宿主細胞膜との結合のための及
び組立て中のファージ粒子との結合のためのシグナルを与える膜アンカードメイ
ンである。cpVIII及びcpIIIの両者に関するこの第2のシグナルは、
膜を貫通する少なくとも1つの疎水性領域を含む。
【0082】 50アミノ酸の成熟遺伝子VIIIコートタンパク質(cpVIII)は、73
アミノ酸のプレコートとして合成される(Ito等(1979)PNAS 76:1199-1203)。cp
VIIIは、細胞膜等の脂質二重層中にその酸性アミノ末端を外側に向けて塩基
性カルボキシ末端を内側に向けて非対称配向で組み込まれ得るので、モデル膜タ
ンパク質として大いに研究されてきた。その最初の23アミノ酸は、発生期のポ
リペプチドを内側細胞膜に挿入させる典型的なシグナル配列を構成する。大腸菌
のシグナルペプチダーゼ(SP−I)は、アミノ酸18、21及び23を認識し、
一層弱い程度に残基22を認識して、このプレコートの残基23と24の間を切
断する(Kuhn等(1985)J.Biol.Chem.260:15914-15918;及びKuhn等(1985)J.Biol.C
hem.260:15907-15913)。シグナル配列の除去の後に、成熟コートのアミノ末端は
、内膜のペリプラスム側に位置され;カルボキシ末端は、細胞質側にある。約3
000コピーの成熟コートタンパク質が、内膜内で並んで会合している。
【0083】 遺伝子VIIIの配列は、公知であり、そのアミノ酸配列を合成遺伝子上にコ
ードすることができる。成熟遺伝子VIIIタンパク質は、環状ssDNAの周
囲に鞘を作る。この遺伝子VIIIタンパク質は、ビリオン中の配置及び配向が
公知である(Banner等(1981)Nature 289:814-816)ので適当なアンカータンパク質
である。好ましくは、ペプチドを、この成熟M13コートタンパク質のアミノ末
端に付着させて、ファージディスプレーライブラリーを生成する。上述のように
、野生型cpVIIIとAb/cpVIII融合タンパク質(感染細胞中)の両者
の濃度の操作は、このディスプレーのアビディティーを減少させ、それにより、
標的に向けられた高アフィニティーペプチドの検出を促進するために利用するこ
とができる。
【0084】 ペプチドをディスプレーするための他のビヒクルは、例えばcpIIIをコー
ドする遺伝子IIIの部分又はすべてを含むキメラ遺伝子のドメインとしてそれ
を発現させることによる。一価のディスプレーが必要な場合には、ペプチドをc
pIIIとの融合タンパク質として発現させることは、ファージ粒子の形成中の
野生型cpIIIのキメラcpIIIに対する比の操作が容易に制御できるので
、好適具体例であり得る。この遺伝子は、M13の副次的コートタンパク質の1
つをコードする。遺伝子VI、VII及びIXも又、副次的コートタンパク質を
コードする。これらの副次的タンパク質の各々は、ビリオン当たり約5コピーで
存在し、形態形成又は感染に関係する。対照的に、主要コートタンパク質は、ビ
リオン当たり2500コピーより多く存在する。遺伝子VI、VII及びIXタ
ンパク質は、ビリオンの端に存在し;これらの3種のタンパク質は、翻訳後プロ
セスを受けない(Rasched等(1986)Ann Rev.Microbiol.41:507-541)。特に、一本
鎖環状ファージDNAは、約5コピーの遺伝子IIIタンパク質と会合し、その
後、膜結合コートタンパク質のパッチから、DNAがタンパク質のらせん状の鞘
で覆われるような仕方で排出される(Webster等、The Single-Stranded DNA Phag
es, Dressler編(NY:CSHL Press, 1978))。
【0085】 cpIIIの配列の操作は、通常膜アンカーの原因となる疎水性アミノ酸のC
末端の23アミノ酸残基のストレッチが、様々な方法で変化され得且つ膜と結合
する能力を保持し得ることを示した。Ffファージベースの発現ベクターは、最
初、cpIIIのアミノ酸残基配列がポリペプチド「標的」(Parmely等、Gene(1
988)73:305-318;及びCwirla等、PNAS(1990)87:6378-6382)又は一本鎖ペプチド
ドメインを規定するアミノ酸残基配列(McCafferty等、Science(1990)348:552-55
4)の挿入により改変されることが記載された。遺伝子IIIへの挿入がビリオン
の外面上に新規なタンパク質ドメインの生成を生じ得るということが示されてい
る(Smith(1985)Science 228:1315-1317;及びde la Cruz等(1988)J.Biol.Chem.2
63:4318-4322)。ペプチド遺伝子は、Smithにより及びde la Cruz等により用いら
れた部位で、タンパク質の他のドメイン境界に又は表面ループに又は成熟タンパ
ク質のアミノ末端に対応するコドンで、遺伝子IIIに融合させることができる
【0086】 一般に、繊維状ファージfdのcpIII等のファージコートタンパク質を用
いて成功したクローニングストラテジーは、コートタンパク質(例えば、cpI
II)のN末端に融合されたペプチド鎖の発現及び宿主の内膜への輸送を与え、
コートタンパク質のC末端領域内の疎水性ドメインは、融合タンパク質を膜内に
繋ぎ留め、N末端は、ペリプラスム腔内に突き出たペプチド鎖を含んでいる。
【0087】 類似の構築物を、他の繊維状ファージを用いて作ることもできた。Pf3は、
IncP−Iプラスミドを有するシュードモナス・アエルゲノサ細胞に感染する
周知の繊維状ファージである。その全ゲノムは、配列決定されており(Luiten等(
1985)J.Virol.56:268-276)、複製及び組立てに関係する遺伝的シグナルは公知で
ある(Luiten等(1987)DNA 6:129-137)。PF3の主要コートタンパク質は、その
分泌を指示するシグナルペプチドを有しない点で珍しい。この配列は、帯電した
残基ASP−7、ARG−37、LYS−40及びPHE44を有し、これは、
露出しているアミノ末端と一致する。従って、ペプチドをPf3の表面に出現さ
せるために、P.アエルゲノサ中で分泌を引き起こすことの知られたシグナル配
列、それとイン・フレームで融合されたペプチド配列をコードする遺伝子断片、
それとイン・フレームで融合された成熟Pf3コートタンパク質をコードするD
NAよりなる3部からなる遺伝子を構築することができる。適宜、1〜10アミ
ノ酸のフレキシブルリンカーをコードするDNAをペプチド遺伝子断片とPf3
コートタンパク質遺伝子の間に導入する。この3部よりなる遺伝子をPf3に、
如何なるPf3遺伝子の発現をも邪魔しないように導入する。一度シグナル配列
が開裂されれば、このペプチドは、ペリプラスム内にあって、成熟コートタンパ
ク質は、アンカー及びファージ組立てシグナルとして作用する。
【0088】 b)バクテリオファージφX174 バクテリオファージφX174は、遺伝学、生化学及び電子顕微鏡により徹底
的に研究された非常に小さい二十面体ウイルスである(The Single Stranded DNA
Phages(Den Hardt等編(NY:CSHL Press, 1978))参照)。φX174の3つの遺伝
子産物は、成熟ビリオンの外側に存在する:F(キャプシッド)、G(主要スパイ
クタンパク質、ビリオン当たり60コピー)及びH(副次的スパイクタンパク質、
ビリオン当たり12コピー)。このGタンパク質は、175アミノ酸を含み、H
は、328アミノ酸を含む。Fタンパク質は、このウイルスの一本鎖DNAと相
互作用する。これらのタンパク質F、G及びHは、ウイルス感染細胞中で、単一
mRNAから翻訳される。このウイルスは、遺伝子の幾つかが重複しているので
非常に窮屈であり、非常に僅かの追加のDNAしか許容し得ないという事実のた
め、φX174は、クローニングベクターとしては、典型的には用いられない。
しかしながら、このウイルスのGタンパク質遺伝子(Gタンパク質をコードする)
の突然変異は、同じ宿主細胞中で発現されるプラスミド上の野生型G遺伝子のコ
ピーによってレスキューされ得る(Chambers等(1982)Nuc Acid Res 10:6465-6473
)。一具体例においては、少なくとも1つの停止コドンをG遺伝子中に、Gタン
パク質がウイルスゲノムから生成されないように導入する。次いで、多彩なペプ
チド遺伝子ライブラリーを、H遺伝子の核酸配列と融合させることができる。ペ
プチド遺伝子断片の大きさと等しい量のウイルスG遺伝子をφX174ゲノムか
ら除去して、ゲノムの大きさを最終的に変えないようにする。こうして、野生型
Gタンパク質を発現する第2のプラスミドでもトランスフォームした宿主細胞に
おいて、変異型ウイルスからのウイルス粒子の生成は、外因性Gタンパク質源に
よりレスキューされる。φX174粒子当たり唯一つの試験ペプチドがディスプ
レーされるのが望ましい場合には、この第2のプラスミドは、更に、少なくとも
1コピーの野生型Hタンパク質遺伝子を、ファージ粒子への組込みに際して、H
及び試験ペプチド/Hタンパク質の混合物より野生型Hが優勢であるように含ん
でよい。
【0089】 c)大型DNAファージ λ又はT4等のファージは、M13又はφX174よりもずっと大きいゲノム
を有し、M13又はφX174より一層複雑な(選択すべき一層多くのコートタ
ンパク質を有する)3Dキャプシッド構造を有する。試験ペプチドライブラリー
がプロセスを受けて機能的形態に組み立てられ、宿主細胞の細胞質内でバクテリ
オファージ粒子と結合されるこの発明の具体例においては、バクテリオファージ
λ及びその誘導体は、適当なベクターの例である。ファージλの細胞内形態形成
は、普通ジスルフィド結合を含んでいるタンパク質ドメインが正しく折り畳まれ
るのを潜在的に阻害する。しかしながら、かかる結合を含む機能的なペプチドの
集団を発現している多彩なライブラリーは、λファージにおいて生成されてきた
(Huse等(1989)Science 246:1275-1281;Mullinax等(1990)PNAS 87:8095-8099;
及びPearson等(1991)PNAS 88:2432-2436)。かかるストラテジーは、λファージ
の迅速な構築及び効率的トランスフォーメーション能力を利用している。
【0090】 ペプチド配列の発現に用いる場合には、外因性ヌクレオチド配列は、容易にλ
ベクターに挿入することができる。例えば、多彩なペプチドライブラリーは、λ
ZAPIIの改変により、λZAPIIベクターの多重クローニング部位を利用
することにより構築することができる(Huse等、前出)。
【0091】 ii)ディスプレーパッケージとしての細菌細胞 組換えペプチドは、適当な分泌シグナル配列をタンパク質のN末端に付加した
後には、細菌の膜を横切ることができる(Better等(1988)Science 240:1041-1043
;及びSkerra等(1988)Science 240:1038-1041)。加えて、組換えペプチドは、表
面提示のために外膜タンパク質と融合されてきた。例えば、ペプチドを細菌細胞
上にディスプレーする一つのストラテジーは、そのペプチドを全外膜タンパク質
の細胞表面露出部分に挿入することによる融合タンパク質の生成を含む(Fuchs等
(1991)Bio/Technology 9:1370-1372)。ディスプレーパッケージとして役立てる
ための細菌細胞の選択においては、任意のよく特性表示されている細菌株が、典
型的に、適当であろう(但し、それらの細菌は、培養で生育させることができ、
操作して試験ペプチドライブラリーをその表面上でディスプレーすることができ
、そして主題の方法において実施される特定のアフィニティー選択プロセスに適
合性であるとする)。細菌細胞の内で、好適なディスプレーシステムは、Salmone
lla typhirnurium, Bacillus subtilis, Pseudomonas aeruginosa, Vibrio chol
erae, Klebsiella pneumonia, Neisseria gonorrhoeae, Neisseria meningitide
s, Bacteroides nodosus, Moraxella bovis及び特に大腸菌を包含する。本発明
で有用な多くの細菌細胞表面タンパク質が特性決定されており、これらのタンパ
ク質の局在性及びそれらの構造を決定する方法についての研究には、Benz等(198
8)Ann Rev Microbiol 42:359-393;Balduyck等(1985)Biol Chem Hoppe-Seyler 3
66:9-14;Ehrmann等(1990)PNAS 87:7574-7578;Heijne等(1990)Protein Enginee
ring 4:109-112;Ladner等、米国特許第5,223,409号;Ladner等WO8
8/06630;Fuchs等(1991)Bio/technology 9:1370-1372;及びGoward等(19
92)TIBS 18:136-140が含まれる。
【0092】 更に説明するために、大腸菌のLamBタンパク質は、試験ペプチドの多彩な
ライブラリーを細菌細胞の表面に生成するのに用いることのできるよく理解され
た表面タンパク質である(例えば、Ronco等(1990)Biochemie 72:183-189;van de
r Weit等(1990)Vaccine 8:269-277;Charabit等(1988)Gene 70:181-189;及びLa
dner米国特許第5,222,409号を参照されたい)。大腸菌のLamBは、
マルトース及びマルトデキストリンの輸送のためのポーリンであり、バクテリオ
ファージλ及びK10の吸着のためのレセプターとして働く。LamBは、機能
的N末端シグナル配列が存在するならば外膜に輸送される(Benson等(1984)PNAS
81:3830-3834)。他の細胞表面タンパク質と同様に、LamBは、典型的なシグ
ナル配列を伴って合成されるが、それはその後除去される。こうして、多彩なペ
プチド遺伝子ライブラリーを、生じる融合タンパク質のライブラリーが、そのタ
ンパク質を細胞膜に、細胞膜の細胞外側に配向した試験ペプチド断片を伴って繋
ぎ留めるのに十分なLamB部分を含むようにLamB遺伝子中にクローン化す
ることができる。この融合タンパク質の細胞外部分の分泌を、LamBシグナル
配列又は他の適当なシグナル配列をそのタンパク質のN末端として含有すること
により容易にすることができる。
【0093】 大腸菌のLamBは又、S.typhimurium中(Harkki等(1987)Mol Gen Genet 209:
607-611)、V.cholerae中(Harkki等(1986)Microb Pathol 1:283-288)、及びK.pne
umonia中(Wehmeier等(1989)Mol Gen Genet 215:529-536)でも機能的形態で発現
されてきたので、試験ペプチドの集団をこれらの種の何れかにおいて大腸菌La
mBへの融合物としてディスプレーすることができよう。その上、K.pneumonia
は、LamBに類似のマルトポリンを発現し、これも利用できよう。P.aerugino
saでは、D1タンパク質(LamBの類似体)を用いることができる(Trias等(198
8)Biochim Biophys Acta 938:493-496)。同様に、他の細菌表面タンパク質例え
ばPAL、OmpA、OmpC、OmpF、PhoE、ピリン、BtuB、Fe
pA、FhuA、IutA、FecA及びFhuEをLamBの代わりに、細菌
細胞におけるディスプレー手段の一部として用いることができる。
【0094】 他の典型的具体例において、融合タンパク質を、FliTrx(商標)ランダム
ペプチドディスプレーライブラリー(Invitrogen)を用いて誘導することができる
。そのライブラリーは、細菌のフラジェリン遺伝子(fliC)のなくてもよい領
域内のチオレドキシン活性部位のループ内に挿入されたランダム12量体ペプチ
ドの多様な集団である。その結果生じる組換え融合タンパク質(FLITRX)は
、搬出されて細菌細胞表面上の部分的に機能的なフラジェラに組み立てられて、
ランダムペプチドライブラリーをディスプレーする。
【0095】 ペプチドは、チオレドキシンの中央に融合され、それ故、それらのN及びC末
端は、チオレドキシン三次構造により繋ぎ留められる。これは、窮屈なペプチド
のディスプレーを生じる。対照的に、ファージディスプレータンパク質は、ファ
ージコートタンパク質のN末端に束縛されない仕方で融合される。これらの束縛
されない分子は、多くのコンホメーション自由度を有し、これは、標的分子との
適当な相互作用の欠如を生じ得る。適当な相互作用がなければ、多くの潜在的タ
ンパク質−タンパク質相互作用が失われ得る。
【0096】 その上、ファージディスプレーは、バクテリオファージコートタンパク質の低
い発現により制限を受ける。FliTrx(商標)及び類似の方法は、この制限を
強力なプロモーターを利用することにより克服して、多重コピーとしてディスプ
レーされる試験ペプチド融合物の発現を駆動することができる。
【0097】 本発明に従って、FliTrxベクターを、添付の図に説明したベクターと同
様に、哺乳動物細胞中で選択的スプライシングを受けるベクターを与えるように
改変して、分泌される可溶性試験ペプチドを産生することができるということを
企図している。
【0098】 iii)ディスプレーパッケージとしての細菌胞子 細菌胞子も又、主題の方法におけるディスプレーパッケージの候補として望ま
しい特性を有している。例えば、胞子は、栄養細菌細胞又はファージよりも化学
的及び物理的因子に対して遙かに耐性であり、それ故、非常に多様なアフィニテ
ィー精製条件での利用を可能にする。やはり、バチルスの胞子は、活発に代謝し
ないし、表面のタンパク質を変化させない。しかしながら、胞子は、胞子形成の
引き金を引く分子機構がM13の形成又は大腸菌外膜へのタンパク質の搬出で研
究されている程にはよく研究されていないという不利な点を有している(もっと
も、かかる制限は、本発明におけるそれらの利用に対して深刻な減損ではないが
)。
【0099】 バチルス属の細菌は、熱、放射線、乾燥及び毒性化学物質による損傷に対して
極めて耐性である内生胞子を形成する(Losick等(1986)Ann Rev Genet 20:625-66
9に総説されている)。この現象は、コートタンパク質の過剰の分子間架橋に帰す
るものである。主題の方法のある具体例(比較的苛酷なアフィニティー分離ステ
ップを含むもの等)においては、バチルスの胞子は、好適なディスプレーパッケ
ージであり得る。バチルス属に由来する内生胞子は、例えば、ストレプトミセス
に由来する外生胞子より一層安定である。その上、枯草菌は、4〜6時間で胞子
を形成するが、ストレプトミセス種は、胞子形成に数日から数週間を要し得る。
加えて、遺伝学的知識及び操作は、他の胞子形成性細菌よりも、枯草菌について
一層開発されている。
【0100】 野生型と僅かしか異ならない生存可能な胞子が、たとえ4つのコートタンパク
質の何れか1つが欠けていても、枯草菌中で生成される(Donovan等(1987)J Mol
Biol 196:1-10)。その上、プラスミドDNAは、一般に、胞子中に含まれ、プラ
スミドにコードされたタンパク質は、バチルス胞子の表面で認められてきた(Deb
ro等(1986)J Bacteril 165:258-268)。従って、胞子形成中に、様々な遺伝子ラ
イブラリーのペプチドを含むキメラコートタンパク質をコードする遺伝子を、胞
子形成を物質的に邪魔しないで、発現させることが可能である。
【0101】 説明のために、枯草菌胞子コートの幾つかのポリペプチド成分(Donovan等(198
7)J Mol Biol 196:1-10)が特性決定された。2つの完全なコートタンパク質及び
2つの他のもののアミノ末端断片の配列が決定された。試験ペプチド配列のco
tC又はcotD断片への融合が胞子表面にそのペプチドを出現させることはあ
りそうなことである。これらの胞子コートタンパク質の各々の遺伝子は、cot
CもcotDも翻訳後修飾を受けないので好適である(Ladner等、米国特許第5
,223,409号参照)。
【0102】 iv)ディスプレーモードからのペプチドの選択 発現に際しては、多彩なペプチドディスプレーを、予め選択した標的に結合す
る試験ペプチドを選択するために、アフィニティー富化にかける。用語「アフィ
ニティー分離」又は「アフィニティー富化」は:(1)固定化標的を利用するアフ
ィニティークロマトグラフィー、(2)可溶性標的を利用する免疫沈降、(3)蛍光
活性化セルソーティング、(4)凝集、及び(5)プラークリフトを含むが、これら
に限定されない。各具体例において、ディスプレーパッケージのライブラリーは
、最終的に、関連試験ペプチドの関心ある標的に結合する能力に基づいて分離さ
れる。例えば、Ladner等、米国特許第5,223,409号;Kang等、国際公開
No.WO92/18619;Dower等、国際公開No.WO91/17271
;Winter等、国際公開WO92/20791;Markland等、国際公開No.WO
92/15679;Breitling等、国際公開WO93/01288;McCafferty
等、国際公開No.WO92/01047;Garrard等、国際公開No.WO9
2/09690;及びLadner等、国際公開No.WO90/02809を参照さ
れたい。最も好適な具体例において、このディスプレーライブラリーは、標的に
特異的なペプチドについて、最初にこのディスプレーライブラリーを任意の負の
対照と又は試験ペプチドによるディファレンシャル結合が望まれる他の標的と接
触させることにより予備富化されよう。その後、予備処理ステップからの非結合
画分を標的と接触させ、その標的に特異的に結合することのできるディスプレー
からのペプチドを単離する。
【0103】 アフィニティークロマトグラフィーに関して、当業者には、カラムクロマトグ
ラフィーからバッチ溶出に及ぶ多数のクロマトグラフィー技術(ELISA及び
バイオパニング技術を含む)が、本発明における利用のために適合され得ること
は理解されよう。典型的には、標的が、全細胞ではなくて細胞の成分であるなら
ば、その標的は、不溶性キャリアー例えばセファロース又はポリアクリルアミド
ビーズ上に、或は、ミクロ滴定プレートのウェル中に固定化される。下記のよう
に、標的の精製起源が容易に入手できない場合(多くの細胞表面レセプターの場
合等)には、標的がディスプレーされている細胞は、不溶性マトリクスキャリア
ーとして働き得る。
【0104】 ディスプレーパッケージの集団を、試験ペプチドの標的への結合に適合した条
件下でアフィニティーマトリクスに適用する。この集団を、次いで、ペプチドの
標的への特異的結合に大きく影響しないがディスプレーパッケージの標的または
マトリクスへの任意の非特異的結合を実質的に破壊する溶質を用いて洗浄するこ
とにより分画する。ある程度の制御を、このディスプレーライブラリーから回収
されたこれらのペプチドの結合特性にわたって、結合インキュベーションとその
後の洗浄を調節することにより行使することができる。温度、pH、イオン強度
、二価カチオン濃度及び洗浄の容積と持続時間は、アフィニティーと特異性の特
定の範囲内でペプチドについて選択することができる。通常、高アフィニティー
が予想される遅い解離速度に基づく選択が、非常に実際的な方法である。これは
、飽和量の遊離のハプテン(使用可能な場合)の存在下での継続的インキュベーシ
ョンにより、又は洗浄の容積、回数及び長さを増すことによって行うことができ
る。それぞれの場合に、解離したペプチドディスプレーパッケージの再結合は、
阻止され、時間を増すことにより、一層高アフィニティーのペプチドディスプレ
ーパッケージが回収される。その上、これらの結合及び洗浄手順の更なる改変を
適用して、特別の性質のペプチドを見出すことができる。幾つかのペプチドのア
フィニティーは、イオン強度又はカチオン濃度に依存している。これは、ペプチ
ドからタンパク質を除去するために穏やかな条件が必要な場合に、様々なタンパ
ク質のアフィニティー精製で用いられるペプチドの有用な特性である。特別の例
は、結合活性のためにCa++に依存するペプチド及びEGTAその他の金属キレ
ート剤の存在下で結合アフィニティーを失い又は得るペプチドである。かかるペ
プチドは、組換えペプチドライブラリーにおいて、先ずCa++の存在下で標的に
結合するものを単離し、その後この群の内でEGTAの存在下で結合できなくな
るもの同定する二重スクリーニング技術により同定することができる。
【0105】 非特異的に結合したディスプレーパッケージを除去するための「洗浄」後に、
所望であれば、特異的に結合したディスプレーパッケージを、特異的脱着(過剰
の標的を使用)又は非特異的脱着(pH、極性低下剤又はカオトロピック剤を使用
)により溶出させることができる。好適具体例においては、溶出プロトコールは
、ディスプレーパッケージとして用いる生物を殺さず、それにより、ディスプレ
ーパッケージの富化された集団を再生産により更に増幅することができる。潜在
的溶離液のリストは、塩(例えば、対イオンの一方がNa+、NH4 +、Rb+、S
4 2-、H2PO4 -、シトレート、K+、Li+、Cs+、HSO4 -、CO3 2-、Ca 2+ 、Sr2+、Cl-、PO4 2-、HCO3 -、Mg2 +、Ba2 +、Br-、HPO4 2-
はアセテート)、酸、熱及び利用可能であれば可溶性形態の標的(又はその類似体
)を含む。細菌は、アフィニティー分離ステップ中も代謝し続け、一般に、苛酷
な条件により障害を受けやすいので、緩衝剤成分(特に、溶出液)の選択は、ディ
スプレーパッケージが細菌の場合には、ファージ又は胞子の場合より一層制限さ
れ得る。中性の溶質例えばエタノール、エーテル又は尿素は、結合したディスプ
レーパッケージの溶出に有用な他の薬剤の例である。
【0106】 好適具体例において、アフィニティー富化したディスプレーパッケージは、所
望の結合活性の富化が検出されるまで、繰り返し増幅して更なるアフィニティー
分離のラウンドにかける。ある具体例においては、特異的に結合したディスプレ
ーパッケージ(特に、細菌細胞)は、本質的に、溶出する必要はなく、むしろ、マ
トリクス結合したディスプレーパッケージを、直接、増幅のための適当な生育培
地に接種するのに用いることができる。
【0107】 ディスプレーパッケージがファージ粒子である場合には、コートタンパク質を
伴って生成された融合タンパク質は、実質的に、溶出されたファージ粒子のその
後の増幅を、特に、cpIIIタンパク質をディスプレーアンカーとして用いる
具体例において邪魔することができる。たとえ5〜6のテール繊維の内の1つに
しか存在しなくても、幾つかのペプチド構築物は、それらの大きさ及び/又は配
列の故に、それらのキャリアーファージの感染性に幾つかの欠陥を生じ得る。こ
れは、パニングの各サイクル後の再感染及び増幅における集団からのファージの
消失を生じる。一具体例において、このペプチドは、ディスプレーされたペプチ
ドの少なくとも標的結合部位の共有結合を残りのパッケージから切断するタンパ
ク質分解性の開裂を受けやすいように、ディスプレーパッケージの表面に引き出
すことができる。例えば、M13のcpIIIコートタンパク質を用いる場合に
は、かかるストラテジーを用いて、感染性ファージを、テール繊維融合タンパク
質の試験ペプチド部分とcpIII部分の間を開裂させる酵素での処理(例えば
、エンテロキナーゼ開裂認識配列の利用等)により得ることができる。
【0108】 感染性欠陥と関係する問題を更に最小化するために、溶出されたファージから
調製したDNAを、宿主細胞に、エレクトロポレーション又は周知の化学的手段
によりトランスフォームすることができる。これらの細胞を、マーカー発現に十
分な時間培養し、選択を、DNAトランスフォーメーション用に典型的に行われ
るように適用する。それらのコロニーを増幅し、後続のパニングのラウンド用に
ファージを回収する。
【0109】 標的に対する所望の結合特異性を有するペプチドをコードするディスプレーパ
ッケージの単離後に、各精製ディスプレーパッケージに対する試験ペプチドを、
主題の方法の分泌モードにおいて生物学的活性について試験することができる。
【0110】 B.分泌モード 「分泌モード」においては、ディスプレーモードで富化されたコンビナトリア
ルペプチドライブラリーを、原核細胞にトランスフェクトして発現させる。この
モードでは、試験ペプチドは、宿主細胞から分泌されて生物学的活性についてス
クリーニングされる。
【0111】 好適具体例において(及び図面で説明したように)、主題のベクターは、真核生
物用スプライス部位を含むように構築され、それにより、成熟mRNAにおいて
は、ディスプレーモードで原核細胞中で必要とされたエレメント(少なくとも、
分泌モードを邪魔するであろうエレメント)はスプライシングで除かれる。様々
な天然の又は非天然のスプライス部位が当分野では利用でき、例えば、特に、選
択した真核細胞中で最適のものを選択することができる。
【0112】 好適具体例において、主題の発明のベクターを用いて、標的細胞と同時培養す
ることのできる細胞をトランスフェクトする。このコンビナトリアルライブラリ
ーを発現する細胞により分泌される生物学的に活性なタンパク質は、近隣の標的
細胞に拡散して特定の生物学的応答(例えば、説明のために示すが、増殖若しく
は分化、又は他の表現型基準により直接検出されるシグナル変換経路の活性化)
を誘導するであろう。生物学的活性の検出のパターンは、勾配関数に似ており、
アッセイにおいてある活性を有するペプチドを生成する細胞の単離(一般に、選
択の数回の反復ラウンドの後)を可能にするであろう。同様に、所定の因子のア
ンタゴニストを、機能的アンタゴニストを生成する細胞の、培地に加えられた外
因性因子の影響から近隣の細胞を保護する能力により、類似の様式で選択するこ
とができる。
【0113】 更に説明するために、標的細胞を24ウェルのミクロ滴定プレート中で培養す
る。他の細胞を、コンビナトリアルペプチドライブラリーでトランスフェクトし
、ディスプレーモードステップの後で回収して、ミクロ滴定プレートのウェル中
に適合し得る細胞培養インサート(例えば、Collaborative Biomedical Products
, カタログ番号40446)中で培養する。これらの細胞培養インサートを、こ
れらのウェル中に、インサート中の細胞により分泌された組換え試験ペプチドが
インサートの多孔性の底部から拡散してミクロ滴定プレートのウェル内の標的細
胞と接触することができるように置く。分泌された試験ペプチドが標的細胞内で
測定可能な応答を生成するのに十分な時間の後に、これらのインサートを取り出
し、標的細胞に対するこれらのペプチドの効果を測定する。例えば、標的細胞が
神経冠細胞であり、試験ペプチドに望まれる活性がニューロン分化の誘導である
場合には、蛍光標識したIslet−1に特異的な抗体又は他のニューロンマー
カーを用いて、標的細胞における誘導を、そのウェル中の機能的神経栄養性ペプ
チドの指標として評価することができる。活性について陽性の評価のウェルに対
応するインサートからの細胞を分けて幾つかのインサートにおいて再培養するこ
とができ、このプロセスを活性ペプチドが同定されるまで繰り返す。
【0114】 試験ペプチドの対生物活性についてスクリーニングする場合には、細胞内二次
メッセンジャーの生成を直接測定することができる。例えば、様々な細胞内エフ
ェクターが、レセプター制御され又はイオンチャンネル制御されることが同定さ
れている(アデニリルシクラーゼ、サイクリックGMP、ホスホジエステラーゼ
、ホスホイノシチダーゼ、ホスホイノシトールキナーゼ、及びホスホリパーゼ並
びに種々のイオンが含まれる)。
【0115】 一具体例において、Gタンパク質によるGTPアーゼ酵素活性を、原形質膜調
製物において、γ32PGTPのバックグラウンドを当分野で公知の技術を用いて
測定することにより測定することができる(例えば、Signal Transduction: A Pr
actical Approach. G.Milligan編、Oxford University Press, 英国、Oxford,参
照)。cAMPを調節するレセプターを試験する場合には、cAMP検出のため
の標準的技術例えば未標識cAMPの存在下で[3H]cAMPを定量する競争的
アッセイを用いることができよう。
【0116】 あるレセプター及びイオンチャンネルは、ホスホリパーゼCの活性を刺激し、
これは、ホスファチジルイノシトール4,5二リン酸の1,4,5−IP3(細
胞内Ca++を流動化する)とジアシルグリセロール(DAG)(プロテインキナー
ゼCを活性化する)への分解を刺激する。イノシトール脂質は、標準的脂質抽出
技術を用いて抽出して分析することができる。DAGも、薄層クロマトグラフィ
ーを用いて測定することができる。3種類のイノシトール脂質(IP1、IP2
、IP3)のすべての水溶性誘導体も又、放射性標識技術又はHPLCを用いて
定量することができる。
【0117】 PIP2分解の他の生成物のDAGは又、ホスファチジルコリンからも生成す
ることができる。このリン脂質のレセプター媒介のシグナリングに応じた分解は
、様々な放射性標識技術を用いても測定することができる。
【0118】 ホスホリパーゼA2の活性化は、公知の技術(例えば、細胞中でのアラキドネ
ートの生成を含む)を用いて容易に定量することができる。
【0119】 様々な細胞(例えば、哺乳動物細胞)で、特異的プロテアーゼは、分岐するシグ
ナル伝達経路の幾つかの腕の各々において誘導され又は活性化される。これらは
、独立に、それらのユニークな活性を各プロテアーゼに特異的な基質を用いて追
跡することによりモニターすることができる。
【0120】 あるレセプターとイオンチャンネルの場合には、細胞のリン酸化の変化につい
てスクリーニングするのが望ましいであろう。かかるアッセイ形式は、例えば、
アッセイがレセプターキナーゼ又はホスファターゼのアゴニスト又はアンタゴニ
ストを検出するようにデザインされる場合に有用であり得る。例えば、抗ホスホ
チロシン、抗ホスホセリン又は抗ホスホスレオニンを用いる免疫ブロッティング
(Lyons及びNelson(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:7426-7430)。加えて、リン
酸化の試験も又、レセプター自身はキナーゼでないがシグナル変換経路の下流で
機能するプロテインキナーゼ又はホスファターゼを活性化する場合には、有用で
あり得る。
【0121】 一つのかかるカスケードは、種々の細胞型において有糸分裂、分化及びストレ
ス応答の両方を媒介するらしいMAPキナーゼ経路である。成長因子レセプター
の刺激は、Ras活性化とその後のc−Raf、MEK及びp44及びp42M
APキナーゼ(ERK1及びERK2)の順次的活性化を生じる。活性化されたM
APキナーゼは、次いで、多くのキー調節タンパク質(MAPキナーゼが核に移
行したときにリン酸化されるp90RSK及びElk−1を含む)をリン酸化す
る。同種の経路が哺乳動物と酵母細胞に存在する。例えば、S.セレビシエのフ
ェロモンシグナル伝達経路の必須部分は、STE11、STE7及びFUS3/
KSS1遺伝子(後者の対は、明確であり機能的に重複する)の産物よりなるプロ
テインキナーゼのカスケードよりなる。従って、このキナーゼカスケードのメン
バーのリン酸化及び/又は活性化は、検出可能であり、レセプターの参加を定量
するために利用することができる。ホスホチロシン特異的抗体が、チロシンリン
酸化の増加を測定するために利用でき、ホスホ特異的抗体は、市販されている(N
ew England Biolabs, マサチューセッツ、Beverly)。
【0122】 更に別の具体例においては、関心あるシグナル変換経路は、発現をアップレギ
ュレートするか或は細胞に加えることのできる基質を改変することのできる酵素
を活性化することができる。このシグナルは、検出可能な基質を利用する(この
場合には、基質シグナルの消失をモニターする)ことにより、或は検出可能な生
成物を生成する基質を利用することにより検出することができる。好適具体例に
おいて、基質の活性化酵素による生成物への変換は、試験細胞の光学的特性に検
出可能な変化を生じる(例えば、基質及び/又は生成物は、色原体的に活性であ
るか又は蛍光原的に活性である)。説明のための具体例において、シグナル変換
経路は、タンパク質分解酵素の活性の変化を引き起こし、それが基質のペプチド
を開裂させる速度を変化させる(又は、単に、酵素を基質に対して活性化する)。
このペプチドは、蛍光原ドナー基(例えば、蛍光放出基)及びアクセプター基(例
えば、アクセプター基と蛍光原ドナー基が共有結合で極めて近くに保持されてい
る場合にその蛍光原ドナー基の蛍光エネルギーを吸収する芳香族基)を含む。例
えば、USSN5,527,681号、5,506,115号、5,429,7
66号、5,424,186号及び5,316,691号;並びにCapobianco等
(1992)Anal Biochem 204:96-102を参照されたい。例えば、基質のペプチドは、
そのペプチドのある位置に位置する蛍光ドナー基例えば1−アミノ安息香酸(ア
ントラニル酸又はABZ)又はアミノメチルクマリン(AMC)と、ペプチドの末
端近くの異なる位置に蛍光消光基例えばルシファイエロー、メチルレッド又はニ
トロベンゾ−2−オキソ−1,3−ジアゾール(NBD)とを有する。活性化酵素
の開裂部位は、これらのドナー及びアクセプター基の部位の各々の間に配置され
よう。蛍光ドナー分子から消光物質への細胞内共鳴エネルギートランスファーは
、二者が空間内で十分に近接していれば(例えば、ペプチドが無傷であれば)、ド
ナー分子の蛍光を消光するであろう。しかしながら、ペプチドの開裂に際して、
この消光物質は、ドナー基から分離されて、あとに蛍光性断片を残す。従って、
酵素の活性化は、検出ペプチドの開裂及び蛍光性の基の非消光を生じる。
【0123】 更に別の具体例において、検出可能なシグナルは、活性が二次メッセンジャー
(例えば、カルシウム、イノシトールホスフェートの加水分解産物、cAMP等)
の濃度に依存する酵素又は色原体/蛍光性プローブの利用により生成することが
できる。例えば、細胞内カルシウムの流動化又はカルシウムの細胞外からの流入
は、標準的技術を用いて測定することができる。適当なカルシウムインジケータ
ー、蛍光性、生物発光性、金属指示薬的、又はCa++感受性の微小電極の選択
は、細胞型及び研究する事象の等級及び時定数に依存する(Borle(1990)Environ
Health Perspect 84:45-56)。Ca++検出の典型的手段として、細胞を、標準
的技術を用いて、Ca++感受性蛍光染料フラ−2又はインド−1と共に充填す
ることができ、Ca++の如何なる変化も蛍光光度計を用いて測定することがで
きよう。
【0124】 上記のある具体例は、二次メッセンジャーの生成を直接測定することに加えて
、レセプター又はイオンチャンネル経路のシグナル変換活性を、転写産物の検出
により(例えば、遺伝子のレセプター/チャンネル媒介の転写活性化(又はリプレ
ッション)を検出することにより)測定することができることを示唆している。転
写産物の検出は、遺伝子転写物の検出、産物の直接的検出(例えば、免疫アッセ
イによる)又はタンパク質の活性(例えば、酵素活性又は色原体/蛍光原活性)の
検出を含み;その各々は、一般に、ここでは、指標遺伝子の発現の検出手段と呼
ばれる。指標遺伝子は、宿主細胞の改変されてない内因性遺伝子、改変された内
因性遺伝子又は完全に異種の構築物の一部(例えば、レポーター遺伝子構築物の
部分)であってよい。
【0125】 一具体例において、この指標遺伝子は、未改変の内因性遺伝子である。例えば
、本発明の方法は、Gタンパク質共役レセプターに起源を発するシグナル変換経
路等に応答する内因性遺伝子例えばc−fos遺伝子(例えば、哺乳動物細胞内)
又はBar1若しくはFus1遺伝子(例えば、酵母細胞内)等の転写レベルの検
出に依存することができる。
【0126】 ある場合には、例えば試験システムのシグナル対ノイズを改善するために内因
性指標遺伝子の転写活性化のレベルをシグナル経路により増大させ、又は応答の
レベルを特定の検出技術に適したレベルに調節することが望ましいであろう。一
具体例において、シグナル経路の転写活性化能力を、細胞内シグナルカスケード
に関係する少なくとも一のタンパク質特にこの経路に関係する酵素の過剰発現に
より増幅させることができる。例えば、Junキナーゼ(JNK)の増大された発
現は、MEKK/JNKK経路のシグナルによる転写活性化のレベルを強化する
ことができる。同様に、酵母のフェロモン経路における少なくとも一のシグナル
変換タンパク質の過剰発現は、Fus1及び/又はBar1発現のレベルを増大
させることができる。勿論、このアプローチは、異種性レポーター遺伝子の転写
のレベルを強化するためにも利用できる。
【0127】 他の具体例において、内因性指標遺伝子の感度は、その指標遺伝子の天然遺伝
子座のプロモーター配列を操作することにより増大させることができる。かかる
操作は、内因性調節エレメントの点突然変異から調節エレメントの全部又は主要
部の大きい置換まで及び得る。一般に、指標遺伝子のゲノム配列の操作は、相同
組換えを含む当分野で公知の技術を用いて実施することができる。
【0128】 他の典型的具体例においては、内因性遺伝子のプロモーター(又は、他の転写
調節用配列)を、異種プロモーター配列を用いて例えば指標遺伝子座でキメラ遺
伝子を形成することにより「スイッチを切る」ことができる。やはり、相同組換
え等の技術を用いても、調節配列を、指標遺伝子のゲノム座で変化させることが
できる。
【0129】 更に別の具体例においては、異種レポーター遺伝子構築物を用いて、指標遺伝
子の機能を与えることができる。レポーター遺伝子構築物は、レポーター遺伝子
を少なくとも一つの転写調節エレメントと機能的に結合させることにより調製さ
れる。もし唯一つの転写調節エレメントしか含まれないならば、それは、調節可
能なプロモーターでなければならない。少なくとも一選択した転写調節エレメン
トは、間接又は直接に、選択した細胞表面レセプターの活性により調節されなけ
ればならず、それにより、レセプターの活性をレポーター遺伝子の転写によりモ
ニターすることができる。
【0130】 多くのレポーター遺伝子及び転写調節エレメントは、当業者には公知であり、
他のものは、当業者に公知の方法により同定され又は合成され得る。
【0131】 レポーター遺伝子の例には、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランス
フェラーゼ)(Alton及びVapnek(1979),Nature 282:864-869)ルシフェラーゼ及び
他の酵素検出システム例えばべータ−ガラクトシダーゼ;ホタルルシフェラーゼ
(deWet等(1987),Mol.Cell.Biol.7:725-737);細菌ルシフェラーゼ(Engebrecht及
びSilverman(1984),PNAS 1:4154-4158;Baldwin等(1984),Biochemistry 23:3663
-3667);アルカリホスファターゼ(Toh等(1989)Eur.J.Biochem.182:231-238, Hal
l等(1983)J.Mol.Appl.Gen.2:101)、ヒト胎盤分泌アルカリホスファターゼ(Culle
n及びMalim(1992)Methods in Enzymol.216:362-368);β−ラクタマーゼ又はG
STが含まれるが、これらに限らない。
【0132】 レポーター遺伝子構築物中で用いるための又は指標遺伝子のゲノム座を改変す
るための転写制御エレメントには、プロモーター、エンハンサー並びにリプレッ
サー及びアクチベーター結合部位が含まれるが、これらに限らない。適当な転写
調節エレメントは、発現が迅速に(一般に、細胞表面タンパク質とその活性を調
節するエフェクタータンパク質との接触の数分以内に)誘導される遺伝子の転写
調節領域から導くことができる。かかる遺伝子の例には、最初期遺伝子(Sheng等
(1990)Neuron 4:477-485参照)例えばc−fosが含まれるが、これらに限らな
い。最初期遺伝子は、リガンドの細胞表面タンパク質への結合に際して迅速に誘
導される遺伝子である。これらの遺伝子構築物中での使用に好適な転写制御エレ
メントには、最初期遺伝子に由来する転写制御エレメント、最初期遺伝子の特徴
の幾つか若しくは全部を示す他の遺伝子に由来するエレメント、又は、機能的に
内部に結合した遺伝子がかかる特徴を示すように構築された合成エレメントが含
まれる。転写制御エレメントが導かれる好適遺伝子の特徴には、休止細胞での低
い又は検出不能な発現、細胞外刺激の数分以内の転写レベルの迅速な誘導、一過
性の、新規タンパク質合成に依存しない誘導(その後の転写の停止には新規のタ
ンパク質合成が必要であり、これらの遺伝子から転写されたmRNAは短い半減
期を有する)が含まれるが、これらに限定されない。これらの特性のすべてが与
えられる必要がある訳ではない。
【0133】 上記のものに加えて、他のプロモーター及び転写制御エレメントには、血管作
用性小腸ペプチド(VIP)遺伝子プロモーター(cAMP応答性;Fink等(1988)P
roc.Natl.Acad.Sci. 85:6662-6666);ソマトスタチン遺伝子プロモーター(cA
MP応答性;Montminy等(1986)Proc.Natl.Acad.Sci. 8.3: 6682-6686);プロエンケファリンプロモーター(cAMP、ニコチン性アゴニス
ト及びホルボールエステル応答性;Comb等(1986),Nature 323:353-356);ホスホ
エノールピルベートカルボキシ−キナーゼ遺伝子プロモーター(cAMP応答性
;Short等(1986),J.Biol.Chem.261:9721-9726);NGFI−A遺伝子プロモータ
ー(NGF、cAMP及び血清応答性;Changelian等(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.
86:377-381);及び他の当業者に公知又は当業者により調製されるものが含まれ
る。
【0134】 サイクリックAMPを調節するレセプターの場合には、転写ベースのリードア
ウトは、特定のセリン(S133)のリン酸化により活性が制御される転写因子で
あるサイクリックAMP応答性エレメント結合タンパク質CREBを用いて作成
することができる。このセリン残基がリン酸化されると、CREBは、上昇した
cAMPレベルに応答性であることが知られているプロモーターの5’側に見出
されるCRE(cAMP応答性エレメント)として知られる認識配列に結合する。
リン酸化CREBのCREへの結合に際して、このプロモーターからの転写が増
加する。
【0135】 CREBのリン酸化は、増大したcAMPレベル及び増大した細胞内Caレベ
ルの両者に応答して見られる。増大したcAMPレベルは、PKAの活性化を生
じ、それは、更に、CREBをリン酸化して、CREへの結合及び転写の活性化
へと導く。増大した細胞内カルシウムレベルは、カルシウム/カルモジュリン応
答性キナーゼII(CaMキナーゼII)の活性化を生じる。CaMキナーゼII
によるCREBのリン酸化は、PKAによるCREBのリン酸化と同程度に効果
的であり、CRE含有プロモーターの転写活性化を生じる。
【0136】 それ故、転写ベースのリードアウトは、発現が少なくとも一つのCREを含む
基本プロモーターにより駆動されるレポーター遺伝子を含む細胞において作成す
ることができる。Ca++の細胞内濃度の変化(リガンドでふさがったときのレセ
プターの活性の変化の結果)は、もし:a)CREBも細胞内で同時発現され且
つb)内因性又は異種性CaMキナーゼがカルシウムの増加に応答してCREB
をリン酸化するか又は外因的に発現されたCaMキナーゼIIが同じ細胞内に存
在するならば、レポーター遺伝子の発現のレベルの変化を生じよう。換言すれば
、PLC活性の刺激は、CREBのリン酸化及びCRE構築物からの増大した転
写を生じ得るが、PLC活性の阻害は、CRE応答性構築物からの減少した転写
を生じ得る。
【0137】 Bonni等(1993)Science 262:1575-1579に記載されたように、SK−N−MC細
胞のCNTF処理がSTAT/p91及びSTAT関連タンパク質の特異的DN
A配列との増大された相互作用へと導くという観察は、これらのタンパク質が、
CNTFにより引き金を引かれる遺伝子発現の変化のキーレギュレーターであり
得ることを示唆した。STAT/p91結合に必要なコンセンサスDNA配列に
類似したDNA配列エレメントが、以前にCNTFにより誘導されることが見出
された多くの遺伝子(例えば、ヒトc−fos、マウスc−fos、マウスti
s11、ラットjunB、ラットSOD−1及びCNTF)の上流に存在すると
いう発見は、この可能性と一致する。それらの著者は、CNTF応答性を非応答
性レポーター遺伝子に与えるSTAT/p91結合部位の能力を示した。従って
、STATタンパク質によるシグナル変換を検出するために本発明で用いるため
のレポーター構築物(サイトカインレセプター由来のもの等)は、細菌性クロラム
フェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子に融合させたマウスc−fos
遺伝子の−71〜+109(−71fosCAT)又は他の検出用マーカー遺伝子
を利用することにより生成することができる。サイトカインレセプターによる誘
導は、STAT及びSTAT関連タンパク質のチロシンリン酸化、並びにその後
のこれらのタンパク質の移行及びSTAT−REへの結合を誘導する。これは、
次いで、このDNAエレメントをプロモーター内に含む遺伝子の転写の活性化へ
と導く。
【0138】 好適具体例において、レポーター遺伝子は、その発現がスクリーニング又は選
択可能な表現型の変化を引き起こす遺伝子である。もしその変化が選択可能であ
れば、表現型の変化は、そのレポーター遺伝子を発現する細胞とそうでない細胞
との間で生育又は生存率の差異を生じる。もしその変化がスクリーニング可能で
あれば、表現型の変化は、これらの細胞の幾つかの検出可能な特徴に差異を生じ
、それにより、マーカーを発現する細胞は、そうでないものと区別され得る。選
択は、レセプターエフェクターである試験ポリペプチドを発現する細胞を細胞培
養物から増幅させる手段を提供できる点においてスクリーニングより好ましい。
【0139】 マーカー遺伝子は、マーカー遺伝子の発現がレセプターの活性化に依存するよ
うにレセプターシグナル伝達経路と共役される。この共役は、マーカー遺伝子を
レセプター応答性プロモーターに操作可能に結合することにより達成することが
できる。用語「レセプター応答性プロモーター」は、標的レセプターのシグナル
変換経路のある生成物により調節されるプロモーターを指す。
【0140】 或は、このプロモーターは、レセプター経路により抑制され、それにより、細
胞に有害な産物の発現を阻止するものであってよい。レセプター抑制されるプロ
モーターを用いる場合は、そのプロモーターを有害な遺伝子に結合することによ
りアゴニストについてスクリーニングし、有益な遺伝子に結合することによりア
ンタゴニストについてスクリーニングする。抑制は、レセプター誘導されるプロ
モーターを、マーカー遺伝子によりコードされるmRNAの少なくとも一部(コ
ード領域内又は隣接領域内)に対してアンチセンスであるmRNAをコードする
遺伝子に、該マーカー遺伝子によりコードされるmRNAの転写を阻止するよう
に操作可能に結合することにより達成することができる。抑制は又、レセプター
誘導されるプロモーターを、DNA結合性リプレッサータンパク質をコードする
遺伝子に結合し且つ適当なオペレーター部位をマーカー遺伝子のプロモーター又
は他の適当な領域に組み込むことによっても得ることができる。
【0141】 マーカー遺伝子は又、スクリーニング可能な遺伝子であってもよい。スクリー
ニングされる特性は、細胞の形態、代謝又は他のスクリーニング可能な特徴の内
で変更してよい。適当なマーカーには、β−ガラクトシダーゼ(Xgal、C12
FDG、サーモンgal、マゼンタ−Gal(最後の2つは、BiosyntAgより))、
アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、エキソグルカナーゼ(
酵母のexbl遺伝子の産物;非必須、分泌性);ルシフェラーゼ;細菌性グリ
ーン蛍光タンパク質;(ヒト胎盤から)分泌されたアルカリホスファターゼ(SE
AP);及びクロラムフェニコールトランスフェラーゼ(CAT)が含まれる。上
記の内の幾つかは、分泌されるように加工することができる(β−ガラクトシダ
ーゼでなくても)。好適なスクリーニング可能なマーカー遺伝子は、ベータ−ガ
ラクトシダーゼ;無職の物質Xgalを青色顔料に変換する酵素を発現している
酵母細胞である。又、プロモーターは、レセプター誘導されるものであっても、
レセプター阻止されるものであってもよい。
【0142】 あるアッセイにおいては、スクリーニング手順において増殖の変化を利用する
のが望ましいであろう。例えば、野生型酵母のフェロモンシグナル経路の活性化
の結果の一つは、増殖停止である。もしGタンパク質共役レセプター(例えば、
遺伝子工学により酵母細胞に導入したヒトのレセプター)のアンタゴニストにつ
いて試験するのであれば、増殖停止のこの正常な応答は、フェロモン応答経路が
阻害されている細胞を選択するために利用することができる。即ち、試験化合物
にさらされている細胞は、もしその化合物がアゴニストであれば増殖停止するが
、もしその化合物が中性又はアンタゴニストであれば正常に増殖するであろう。
従って、この増殖停止応答は、アゴニスト又はアンタゴニストとして機能する化
合物の発見に利するために利用することができる。その上、増殖停止の効果は、
有糸分裂細胞に対して細胞傷害性である薬剤の存在下での選択的利益を与える。
例えば、増殖停止領域中で、細胞傷害性薬剤を培養に加える。細胞周期を進行す
る細胞(例えば、増殖停止されない細胞)は、殺されるであろう。細胞傷害性薬剤
の添加後のある時点で、それを培養から洗って、生存細胞を増殖させることがで
きる。試験化合物により停止された細胞は、生存集団中で富化されよう。
【0143】 しかしながら、ある具体例においては、フェロモン応答経路の活性化の結果と
しての増殖停止は、アゴニストと結合した細胞が増殖を停止して周囲のペプチド
と結合できない細胞が増殖し続けるので望ましくない効果である。その後、関心
ある細胞は、生長し過ぎ、又はそれらの検出は、バックグラウンドによりわかり
にくくなり、アゴニストのペプチドの同定を混乱させる。この問題を克服するた
めに、本発明は、細胞を次のように処理することを教示する:1)増殖停止が、
外因性シグナル経路の活性化(例えば、FAR1遺伝子の不活性化)によっては起
きず;且つ/又は2)選択的な増殖の利益が、この経路の活性化により与えられ
る(例えば、栄養要求性変異株をフェロモン応答性プロモーターの制御下のHI
S3遺伝子でトランスフォームして選択条件を適用することによる)。
【0144】 勿論、外因性レセプターを連続的にこれらのペプチドにさらすことは、望まし
いことである。残念ながら、これがフェロモン経路の刺激に対する減感作を生じ
ることはありそうなことである。例えば、交配シグナル変換経路は、フェロモン
分解及びフェロモンシグナル変換のレセプター、Gタンパク質及び/又は下流の
エレメントの機能のSST2、STE50、AFR1(Konopka,J.B.(1993)Mol.C
ell.Biol.13:6876-6888)並びにSGV1、MSG5及びSIG1遺伝子の産物に
よる改変を含む幾つかの機構によって減感作されることが知られている。これら
の遺伝子中の選択した突然変異は、フェロモンに対する過剰感作及びフェロモン
の存在に対する適応不能へと導くことができる。例えば、機能を邪魔する突然変
異の、異種性Gタンパク質共役レセプターを発現している株への導入は、野生型
株に対する有意の改善を構成し、これらのレセプターと相互作用する化合物につ
いての極めて鋭敏なバイオアッセイの開発を可能にする。他の突然変異例えば、
STE50、sgv1、bar1、ste2、ste3、pik1、msg5、
sig1及びaft1は、バイオアッセイの感度を増す同様の効果を有する。従
って、減感作は、SST2遺伝子を、もはや機能的タンパク質を生成しないよう
に変異させる(欠失を含んでよい)か又は上記の他の遺伝子の一つを変異させるこ
とにより回避することができる。
【0145】 もしレセプターの内因性同族体を酵母細胞により生成したならば、このアッセ
イは、内因性レセプターと相互作用するペプチドと外因性レセプターと相互作用
するものとを区別できないであろう。それ故、内因性遺伝子を削除するか或は非
機能的にすることが望ましい。
【0146】 主題のアッセイの標的細胞を生成するのに適した宿主細胞には、原核生物、酵
母又は一層高等な真核細胞(植物細胞及び動物細胞、特にヒトの細胞を包含する)
が含まれる。原核生物には、グラム陰性又はグラム陽性微生物が含まれる。適当
な哺乳動物宿主細胞株の例には、サル腎臓細胞のCOS−7(ATCC CRL
1651)(Gluzman(1981)Cell 23:175)CV−1細胞(ATCC CCL70)、
L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、
HEK−293、SWISS3T3及びBHK細胞株が含まれる。
【0147】 もし酵母細胞を用いるならば、その酵母は、培養可能で、外因性レセプターを
生成して宿主細胞の適当なシグナル変換機構に参加することのできる任意の種で
あってよい。適当な種には、クルイベレイ・ラクチス、シゾサッカロミセス・ポ
ンベ及びユスチラコ・メイディス;サッカロミセス・セレビシエが含まれる。本
発明の実施において用いることのできる他の酵母は、ニュウロスポラ・クラッサ
、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・ニドゥランス、ピチカ・パストリ
ス、カンジダ・トロピカリス及びハンセヌラ・ポリモルファである。用語「酵母
」は、ここで用いる場合、厳密に分類学的意味での酵母(即ち、単細胞生物)だけ
でなく、酵母様の多細胞のカビ又は繊維状のカビをも包含する。
【0148】 適当な宿主細胞の選択は又、検出シグナルの選択によっても影響されよう。例
えば、レポーター構築物は、下記のように、標的レセプターと共役したシグナル
変換経路に応答しての転写活性化(又は不活性化)に際して選択可能な又はスクリ
ーニング可能な特徴を提供することができる。レポーター遺伝子は、宿主細胞の
経路中に既にある未改変の遺伝子であってよい。それは、「レセプター応答性」
プロモーターに操作可能に結合された宿主細胞遺伝子であってよい。或は、それ
は、そのように結合された異種性遺伝子(例えば、「レポーター遺伝子構築物」)
であってよい。適当な遺伝子及びプロモーターは、下記で検討する。他の具体例
においては、二次メッセンジャーの生成を、検出ステップにおいて直接測定する
ことができ、細胞内カルシウムの流動化又はリン脂質の代謝を定量することがで
きる。更に別の具体例においては、指標遺伝子を用いて、レセプター媒介のシグ
ナリングを検出することができる。
【0149】 従って、選択又はスクリーニングを達成するためには、宿主細胞が適当な表現
型を有しなければならないということは、理解されよう。例えば、野生型HIS
3遺伝子を有する酵母におけるフェロモン応答性のキメラのHIS3遺伝子の生
成は、遺伝的選択を失敗させるであろう。こうして、栄養選択を達成するために
は、栄養要求性の株が必要である。
【0150】 主題のアッセイで使用するための様々な相補性を構成することができる。実際
、多くの酵母の哺乳動物シグナル変換タンパク質との遺伝的相補性が、当分野で
は記載されている。例えば、Mosteller等(1994)Mol Cell Biol 14:1104-12は、
ヒトのRasタンパク質がS.セレビシエにおいてras変異の消失を補完する
ことができることを示している。その上、Toda等(1986)Princess Takamatsu Sym
p 17:253-60は、ヒトのrasタンパク質が酵母においてRAS1及びRAS2
タンパク質の消失を補完し、それ故、機能的に相同であることを示した。ヒト及
び酵母のRASタンパク質の両者は、酵母膜中に存在するマグネシウム及びグア
ニンヌクレオチド依存性のアデニレートシクラーゼ活性を刺激することができる
。Ballester等(1989)Cell 59:681-6は、酵母S.セレビシエ中で哺乳動物のGA
Pタンパク質を発現するベクターを記載している。酵母中で発現された場合、G
APは、ヒトのrasタンパク質の機能を阻害し、IRA1の消失を補完する。
IRA1は、GAPに対する相同性を有してRASの上流で作用するタンパク質
をコードする酵母遺伝子である。哺乳動物のGAPは、それ故、酵母において機
能して、酵母RASと相互作用することができる。Wei等(1994)Gene 151:279-84
は、ヒトのRas特異的グアニンヌクレオチド交換因子Cdc25GEFがS.
セレビシエにおいてCDC25機能の消失を補完することができることを記載し
ている。Martegani等(1992)EMBO J 11:2151-7は、CDC25の同族体、サッカ
ロミセス・セレビシエRASアクチベーターをコードするマウスcDNAの機能
的相補性によるクローニングを記載している。Vojtek等(1993)J Cell Sci 105:7
77-85及びMatviw等(1992)Mol Cell Biol 12:5033-40は、如何にしてマウスのC
APタンパク質例えばras媒介のシグナル変換と関係するアデニリルシクラー
ゼ関連タンパク質がS.セレビシエ中の欠陥を補完するのかを記載している。Pa
pasavvas等(1992)Biochem Biophys Res Commun 184:1378-85も又、不活性化酵母
アデニリルシクラーゼが哺乳動物のアデニリルシクラーゼ遺伝子により補完され
得ることを示唆している。Hughes等(1993)Nature 364:349-52は、分裂酵母にお
けるbyr1の哺乳動物MAPキナーゼキナーゼ(MEK)による補完を記載して
いる。Parissenti等(1993)Mol Cell Endocrinol 98:9-16は、ウシのプロテイン
キナーゼC(PKC)の酵母における再構成を記載している。Ca(2+)−及びリ
ン脂質依存性Ser/ThrキナーゼPKCは、哺乳動物細胞における細胞シグ
ナルの変換において重要な役割を演じてる。Marcus等(1995)PNAS 92:6180-4は、
S.ポンベにおけるshk1ヌル突然変異の構造的に関連するS.セレビシエS
te20又は哺乳動物p65PAKプロテインキナーゼによる補完を示唆してい
る。
【0151】 「不活性化」は、宿主細胞の遺伝子に関して、機能的遺伝子産物の生成が防止
され又は阻害されることを意味する。不活性化は、遺伝子の欠失、発現が起きな
いようなプロモーターの変異、又は遺伝子産物が不活性となるようなコード配列
の変異により達成することができる。不活性化は、部分的であっても全体的であ
ってもよい。
【0152】 「補完」は、宿主細胞の遺伝子に関して、宿主細胞の不活性化遺伝子の少なく
とも部分的機能が外因性核酸により供給されることを意味する。例えば、酵母細
胞は、レセプターとシグナル変換タンパク質の哺乳動物同族体による補完によっ
て「哺乳動物化」することができ、「ヒト化」することさえできる。説明のため
に、酵母Byr2/Ste11遺伝子の不活性化をヒトのMEKK遺伝子の発現
により補完することができる。
【0153】 C.ペプチドライブラリーの生成 主題の方法の多彩なペプチドライブラリーは、多くの方法の何れによっても生
成することができ、制限はしないが、化学的ライブラリーの調製における最近の
傾向を利用するのが好ましい。例えば、縮重遺伝子配列の化学合成を自動化DN
Aシンセサイザーにおいて実施することができ、それらの合成遺伝子を、次いで
、適当な発現ベクター中に連結させることができる。遺伝子の縮重セットの目的
は、潜在的試験配列の所望のセットをコードするすべての配列を、一つの混合物
中に提供することである。この縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当分野で周知
である(例えば、Narang,SA(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura等(1981)Recombina
t DNA,Proc 3rd Cleveland Sympos.Macromolecules,AG Walton編、Amsterdam:El
sevier p273-289;Itakura等(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura等(1984)
Science 198:1056;Ike等(1983)Nucleic Acid Res.11:477参照)。かかる技術は
、他のタンパク質の方向付けられた進化において用いられてきた(例えば、Scott
等(1990)Science 249:386-390;Roberts等(1992)PNAS 89:2429-2433;Devlin等(
1990)Science 249:404-406;Cwirla等(1990)PNAS 87:6378-6382;並びに米国特
許第5,223,409号、5,198,346具及び5,096,815号参
照)。
【0154】 ここで用いる場合、「多彩な」は、ペプチドの集団が、ライブラリーのメンバ
ーごとに異なるペプチド配列を有することを特徴とするという事実をいう。例え
ば、nアミノ酸長の所定のペプチドライブラリーにおいて、このライブラリー中
の異なるペプチド配列の総数は、{V1×V2×・・・・Vn-1×Vn}の積により与えら
れる(ここに、各Vnは、ペプチドのn位に生じる異なるアミノ酸残基の数を表す
)。本発明の好適具体例において、このペプチドディスプレーは、多様なペプチ
ドを同時に、標的タンパク質と相互作用する能力についてアッセイすることがで
きるように、集合的に、少なくとも96〜107の異なるペプチドを含むペプチ
ドライブラリーを生成する。
【0155】 一具体例において、この試験ペプチドライブラリーは、如何なる公知の配列に
も基づくものでもなくcDNAから導かれるものでもないペプチドのコンビナト
リアルライブラリーを発現するように導く。即ち、このライブラリーの配列は、
大いに(完全にではなくても)ランダムである。このライブラリーのペプチドが大
きさにおいて、ジペプチドから大きなタンパク質まで及び得るということは明白
であろう。
【0156】 他の具体例において、このペプチドライブラリーは、少なくとも部分的に公知
のペプチド配列又はその部分に基づくペプチドのコンビナトリアルライブラリー
を発現するように導く(好ましくは、cDNAライブラリーではない)。即ち、こ
のライブラリーの配列は、セミランダムであり、公知の配列のコンビナトリアル
突然変異誘発により誘導される。例えば、Ladner等、PCT公開WO90/02
909;Garrard等、PCT公開WO92/09690;Marks等(1992)J.Biol.C
hem.267:16007-16010;Griffths等(1993)EMBO J 12:725-734;Clackson等(1991)
Nature 352:624-628;及びBarbas等(1992)PNASを89:4457-4461参照されたい。従
って、標的タンパク質に対する公知のリガンドであるポリペプチドを標準的技術
により突然変異誘発して、ポリペプチド配列の多彩なライブラリーを誘導するこ
とができ、更にそれをアゴニスト及び/又はアンタゴニストについてスクリーニ
ングすることができる。かかるコンビナトリアルペプチドライブラリーをスクリ
ーニングする目的は、例えばアゴニスト若しくはアンタゴニストとして作用し得
るか或は新規な活性をみないっしょに有する公知のポリペプチドの同族体を生成
することである。説明のために、一のリガンドを本発明の方法により加工して、
同源のレセプターに対する一層効率的な結合又は特異性を与え、しかも野生型リ
ガンドに結合した活性の少なくも一部は依然として保持していることができる。
こうして、コンビナトリアル技術により誘導される同族体を、天然型のタンパク
質と比べて増大された効能を有するように生成することができる。同様に、同族
体を、本発明のアプローチにより生成して、それらが例えば標的に対する結合を
真似るが如何なる生物学的応答も誘導せず、それにより真正のリガンドの作用を
阻害するという点において、アンタゴニストとして作用させることができる。
【0157】 好適具体例において、コンビナトリアルペプチドは、3〜100の、一層好ま
しくは5〜50の、更に一層好ましくは少なくとも10、13、15、20又は
25アミノ酸残基長の範囲にある。好ましくは、このライブラリーのポリペプチ
ドは、一様な長さである。コンビナトリアルペプチドの長さが、発現を容易にす
るために存在する如何なる外来の配列(例えば、シグナル配列又は融合タンパク
質の不変部分)をも反映しないということは理解されよう。
【0158】 好適具体例において、試験ペプチドには、窮屈な環境を与えるためにシステイ
ン残基を隣接させる。例えば、試験ペプチドは、一般式Cys−(Xaa)3-23
Cysで表すことができる。
【0159】 ペプチドの多様性を生成するための生物学的システムの利用は、今や十分確立
された技術であり、主題の方法のペプチドライブラリーを生成するために利用す
ることができる。多様性の源は、オリゴヌクレオチド混合物のコンビナトリアル
化学合成である。オリゴヌクレオチド合成は、造り出す混合物の組成を厳密に制
御することを可能にする十分特性決定された化学である。生成された縮重DNA
配列を、続いて、ペプチドとして発現するのに適当な遺伝学的状況に置く。
【0160】 必要な縮重混合物を調製するための2つの主要な方法がある。一つの方法にお
いては、そのDNAを一度に一塩基ずつ合成する。遺伝コードにより指示された
一塩基位置での変化を希望する場合には、ヌクレオチドの適当な混合物を発生期
のDNAと反応させる(慣用のポリヌクレオチド合成の純粋なヌクレオチド試薬
ではなく)。第2の方法は、アミノ酸変化の一層正確な制御を与える。最初に、
トリヌクレオチド試薬を調製し、各トリヌクレオチドは、ペプチドライブラリー
で特徴的なアミノ酸の1つ(唯一つ)のコドンである。特定の変異残基を合成すべ
きときは、適当なトリヌクレオチドより混合物を作り、発生期のDNAと反応さ
せる。一度必要な「縮重」DNAが完成すれば、以下に詳細に論ずるように、ペ
プチドの発現を確実にするために必要なDNA配列と合わせなければならず、完
全なDNA構築物を細胞に導入しなければならない。
【0161】 この方法が、如何にコドンレベルで多様性を生成するためのものであっても、
縮重遺伝子配列の化学合成は自動化DNAシンセサイザーで実施することができ
、合成遺伝子は、次いで、発現のために適当な遺伝子に連結することができる。
遺伝子の縮重セットの目的は、潜在的試験ペプチド配列の所望のセットをコード
する配列のすべてを一つの混合物中に与えることである。縮重オリゴヌクレオチ
ドの合成は、当分野では周知である(例えば、Narang,SA(1983)Tetrahedron 39:3
;Itakura等(1981)Recombinant DNA, Proc 3rd Cleveland Sympos.Macromolecul
es,AG Walton編、Amsterdam: Elsevier p273-289;Itakura等(1984)Annu.Rev.Bi
ochem.53:323;Itakura等(1984)Science 198:1056;Ike等(1983)Nucleic Acid R
es.11:477を参照されたい)。かかる技術は、他のタンパク質の方向付けられた進
化において用いられてきた(例えば、Scott等(1990)Science 249:386-390;Rober
ts等(1992)PNAS 89:2429-2433;Devlin等(1990)Science 249:404-406;Cwirla等
(1990)PNAS 87:6378-6382;並びに米国特許第5,223,409号、5,19
8,346具及び5,096,815号参照)。
【0162】 IV.例示的用途 この系が柔軟性に富むため、本方法は、増殖、分化、細胞死、細胞移動等々に
対して効果を有するペプチドの選別を包含する、広範囲の用途に用いることがで
きる。好適実施態様では、ディスプレーモードで用いられる標的は、細胞の細胞
外成分である。しかし、本方法の標的は、細胞内成分であることもでき、分泌モ
ードの際は、この系は、試験ペプチドの細胞による取込みを促進する作用因で増
強することもできることが理解されるものと思われる。
【0163】 例示的な実施態様では、本方法は、一つ又はそれ以上の種類の細胞に対して抗
増殖活性を有するペプチドを特定するのに利用される。例えば、ディスプレーモ
ードでは、それに対して抗増殖剤が望まれる、標的細胞を用いてペプチドライブ
ラリーを検索して、その細胞に結合するペプチドに富ませることができる。この
段階で、ペプチドライブラリーを、一つ又はそれ以上の対照細胞系に対して検索
して、対照細胞に結合するペプチドを除去することもできる。このようにして、
次に分泌モードで試験するペプチドライブラリーを、標的細胞に(対照細胞に比
して)選択的に結合するペプチドに富ませることができる。したがって、例えば
、ディスプレーモードは、正常細胞、すなわち、他の上皮細胞、又は他の何らか
の分化上の結合特性よりも毛嚢胞細胞に優先的に結合するp53+細胞よりも、
p53−細胞に優先的に結合する細胞よりも、腫瘍細胞に優先的に結合するペプ
チドに富むペプチドライブラリーを形成することができる。
【0164】 分泌モードでは、当技術に公知の多数の手法のいずれかを用いて、標的細胞に
対する抗増殖活性について、ペプチドを試験する。例えば、BrdUその他のヌ
クレオチドの取込みを、増殖の指標として測定することができる。上記のとおり
、分泌モードは、特異的な抗増殖活性を有するペプチドを選別するために、負の
対照を含むことができる。
【0165】 同様にして、アポトーシス又は細胞溶解を、例えば細胞選択的な方式で、誘導
できるその能力に基づいて、ペプチドをライブラリーから単離することができる
【0166】 更にもう一つの実施態様では、本方法を用いて、血管形成又は抗血管形成の活
性を有するペプチドを特定することができる。例えば、図6に示したとおり、ペ
プチドライブラリーは、内皮細胞には結合するが、繊維芽細胞には結合しないペ
プチドに富ませることができる。得られるサブライブラリーは、毛細血管内皮細
胞の増殖、及び/又は内皮細胞の移動を阻害するペプチドについて、ふるい分け
ることができる。これらの活性の一方又は双方について陽性であると評価される
ペプチドは、他の細胞型、例えば平滑筋細胞又は繊維芽細胞に対する活性につい
て試験して、内皮細胞に対してのみ活性であるペプチドを選別することもできる
。内皮細胞結合ペプチドの共通モチーフのリストを、表1として提示する。
【0167】
【表1】
【表2】
【0168】 更にもう一つの実施態様では、本方法を用いて、例えば抗真菌剤又は抗菌剤と
しての活性を有する、抗感染ペプチドを特定することができる。
【0169】 一実施態様では、本発明のアッセイを用いて、受容体タンパク質又はその複合
体の作動体を特定することができる。一般的には、このアッセイは、標的受容体
又はイオンチャンネルタンパク質を含む試験細胞の使用を特徴とするが、それら
は、検出可能なシグナルを生成することができ、そのシグナル伝達活性を細胞外
シグナルとの相互作用によって調整することができる。
【0170】 一般に、本アッセイのそのような実施態様は、検出可能なシグナルを試薬細胞
に導入することができる、標的受容体タンパク質又はイオンチャンネルを発現す
る細胞の混合物を用いることを特徴とする。この受容体/チャンネルタンパク質
は、内因性であることも、異種性であることもできる。開示された検出手段と組
み合せると、本試薬細胞の培養体は、受容体機能を有するアゴニスト又はアンタ
ゴニストを検出する手段を提供することになる。
【0171】 特定のペプチドが標的受容体又はチャンネルのシグナル伝達活性を調整できる
能力は、検出シグナルの上向又は下向調節することによって、評価することがで
きる。例えば、第二メッセンジャーの生成(例えば、一例としてのGTPアーゼ
活性、リン脂質加水分解又はタンパク質リン酸化のパターン)は、直接測定する
ことができる。これに代えて、指標遺伝子の使用は、好都合な読出しを提供する
ことができる。別の実施態様では、検出手段は、指標遺伝子からなる。いずれに
しても、シグナル検出の統計的に有意な変化は、受容体又はイオンチャンネル活
性を調整する化合物の特定を容易にするのに用いることができる。
【0172】 この方法によって、特定の受容体又はチャンネルからのシグナル経路を誘導す
るペプチドを、特定することができる。試験ペプチドが受容体/チャンネルタン
パク質の活性を誘導すると思われないならば、このアッセイを、上記のとおり反
復し、標的受容体/チャンネルの公知の活性化因子に試薬細胞を最初に接触させ
る段階の導入によって、シグナル伝達を誘導するよう調整してよく、試験ペプチ
ドを、例えばアンタゴニストを特定するよう、活性化された受容体/チャンネル
を阻害できるその能力について検定することができる。更に別の実施態様では、
ペプチドを、受容体の公知活性化因子に対する応答を強化するものについてふる
い分けることができる。
【0173】 受容体又はイオンチャンネルについては、宿主細胞によって内因的に発現させ
るか、又は細胞に導入された異種遺伝子から発現させてもよい。異種DNAを真
核細胞に導入する方法は、当然、当技術に周知であり、いかなるそのような方法
を用いてもよい。加えて、様々な受容体タンパク質をコードしているDNAが、
当業者に公知であるか、又は当業者に公知のいかなる方法によっても、それをク
ローニングしてよい。一定の実施態様、例えば外因性受容体を発現させるときの
それでは、細胞内に存在する同種受容体を、例えば削除によって、不活性化する
のが望ましいことがある。
【0174】 特に、これらのアッセイは、細胞表面に局在する受容体及びチャンネルについ
て、機能的なリガンド−受容体又はリガンド−イオンチャンネル相互作用を試験
するのに用いることができる。より詳しく下記に述べるとおり、本アッセイは、
例えばGタンパク質共役型受容体、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン受容
体、及びイオンチャンネルの作動体を特定するのに用いることができる。一定の
実施態様では、本明細書に記載の方法は、リガンドが全く知られていない、「オ
ーファン受容体」に対するリガンドを特定するのに用いられる。
【0175】 好適実施態様では、受容体は、細胞表面受容体、例えば、受容体チロシンキナ
ーゼ、例えばEPH受容体;イオンチャンネル;サイトカイン受容体;マルチサ
ブユニット免疫認識受容体、ケモカイン受容体;成長因子受容体、又はGタンパ
ク質共役型受容体、例えば化学誘引性ペプチド受容体、神経ペプチド受容体、光
受容体、神経伝達物質受容体、若しくはポリペプチドホルモン受容体である。
【0176】 好適なGタンパク質共役型受容体は、α1Aアドレナリン性受容体、α1Bア
ドレナリン性受容体、α2アドレナリン性受容体、α2Bアドレナリン性受容体
、β1アドレナリン性受容体、β2アドレナリン性受容体、β3アドレナリン性
受容体、m1アセチルコリン受容体(AChR)、m2AChR、m3AChR
、m4AChR、m5AChR、D1ドーパミン受容体、D2ドーパミン受容体
、D3ドーパミン受容体、D4ドーパミン受容体、D5ドーパミン受容体、A1
アデノシン受容体、A2bアデノシン受容体、5−HT1a受容体、5−HT1
b受容体、5HT1様受容体、5−HT1d受容体、5HT1d様受容体、5H
T1dβ受容体、サブスタンスK(ニューロキニンA)受容体、fMLP受容体
、fMLP様受容体、アンギオテンシンIIタイプ1受容体、エンドテリンETA
受容体、エンドテリンETB受容体、トロンビン受容体、成長ホルモン放出ホル
モン(GHRH)受容体、血管作動性腸管ペプチド受容体、オキシトシン受容体
、ソマトスタチンSSTR1及びSSTR2、SSTR3、カンナビノイド受容
体、卵胞刺激ホルモン(FSH)受容体、ルトロピン(LH/HCG)受容体、
甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体、トロンボキサンA2受容体、血小板活性
化因子(PAF)受容体、C5aアナフィラトキシン受容体、インターロイキン
8(IL−8)、IL−8RA、IL−8RB、δオピオイド受容体、κオピオ
イド受容体、mip−1/RANTES受容体、ロドプシン、赤色オプシン、緑
色オプシン、青色オプシン、代謝共役型グルタミン酸mGluR1−6、ヒスタ
ミンH2受容体、ATP受容体、神経ペプチドY受容体、アミロイドタンパク質
前駆物質受容体、インスリン様成長因子II受容体、ブラジキニン受容体、性腺刺
激ホルモン放出ホルモン受容体、コレシストキニン受容体、メラニン細胞刺激ホ
ルモン受容体、抗利尿ホルモン受容体、グルカゴン受容体、及び副腎皮質刺激ホ
ルモンII受容体を包含する。
【0177】 好適なEPH受容体は、eph、elk、eck、sek、mek4、hek、hek2、eek、erk、t
yro1、tyro4、tyro5、tyro6、tyro11、cek4、cek5、cek6、cek7、cek8、cek9、c
ek10、bsk、rtk1、rtk2、rtk3、myk1、myk2、ehk1、ehk2、pagliaccio、htk、er
k及びnuk受容体を包含する。
【0178】 A.サイトカイン受容体 一実施態様では、標的受容体は、サイトカイン受容体である。サイトカインは
、一群の細胞−細胞連絡の可溶性メジエーターであって、インターロイキン、イ
ンターフェロン及びコロニー刺激因子を包含する。サイトカインの固有の特徴は
、その機能が豊富なこと、及び多面発現にある。明確なスーパーファミリーを構
成するサイトカイン受容体のほとんどは、固有のタンパク質チロシンキナーゼド
メインを保有しないが、受容体刺激は、通常、受容体自体も包含する、細胞内タ
ンパク質の急速なチロシンリン酸化を誘発する。サイトカイン受容体スーパーフ
ァミリーの多くの成員は、JAKタンパク質チロシンキナーゼファミリーを活性
化して、STAT転写活性化因子のリン酸化を招く。IL−2、IL−7、IL
−2及びインターフェロンγは、すべて、JAKキナーゼを活性化することが示
されている[Frank et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:7779-7783
;Scharfe et al. (1995) Blood, 86:2077-2085;Bacon et al. (1995) Proc. N
atl. Acad. Sci. USA, 92:7307-7311;及びSakatsume et al. (1995) J. Biol.
Chem. 270:17528-17534]。JAKリン酸化の下流の事象も、解明されている。
例えば、IL−2とのTリンパ球の接触は、転写のシグナル伝達体及び活性化因
子(STAT)のタンパク質であるSTAT1α、STAT2β及びSTAT3
はもとより、2種類のSTAT関連タンパク質であるp94及びp95のリン酸
化へと導くことが示されている。STATタンパク質は、核へと輸送され、特定
のDNA配列に結合することが見出され、そのため、免疫細胞の機能に関与する
特定の遺伝子をIL−2が活性化し得る機序が示唆された[Frank et al.、前掲
]。JAK3は、IL−2、IL−4及びIl−7サイトカイン受容体のγ鎖と
会合している[Fujii et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:5482-54
86;及びMusso et al. (1995) J. Exp. Med., 181:1425-1431]。JAKキナー
ゼは、サイトカイン受容体を経由して発信する無数のリガンド、例えば成長ホル
モン及びエリスロポエチン並びにIL−6によって活性化されることも示されて
いる[Kishimoto (1994) Stem Cells Suppl., 12:37-44]。
【0179】 本アッセイで評価し得る検出手段は、第二メッセンジャーの、例えばリン酸化
における変化による、直接検出に加えて、リポーター構成体又は指標遺伝子を包
含するが、後者は、STATタンパク質に応答する転写調節要素を包含する(前
記)。
【0180】 B.マルチサブユニット免疫認識受容体(MIRR) もう一つの実施態様では、受容体は、マルチサブユニット受容体である。受容
体は、サブユニットと呼ばれる複数のタンパク質で構成されることができ、マル
チサブユニット受容体と呼ばれるその一カテゴリーが、マルチサブユニット免疫
認識受容体(MIRR)である。MIRRは、共有結合によらずに会合した複数
のサブユニットを有する受容体を包含し、srcファミリーのチロシンキナーゼと
作用し合うことができる。MIRRは、B細胞抗原受容体、T細胞抗原受容体、
Fc受容体及びCD22を包含するが、これらに限定されない。MIRRの一例
は、B細胞の表面にある抗原受容体である。更に例示すると、B細胞表面のMI
RRは、抗原によって結合されたとき、B細胞の機能を調節できる複合体を形成
する、サブユニットIg−α及びIg−β又はIgγと会合した膜結合免疫グロ
ブリン(mIg)を含む。抗原受容体は、アンプリファイア分子に、それが遺伝
子転写を調節できるような方式で、機能的に結合することができる。
【0181】 srcファミリーチロシンキナーゼは、標的分子のチロシン残基をリン酸化でき
る酵素である。代表的には、srcファミリーチロシンキナーゼは、一つ又はそれ
以上の結合ドメインと、キナーゼドメインとを有する。srcファミリーチロシン
キナーゼの結合ドメインは、標的分子に結合することができ、キナーゼドメイン
は、キナーゼに結合した標的分子をリン酸化することができる。srcファミリー
チロシンキナーゼの成員は、N末端の独自領域と、それに続く三つの領域とを特
徴とするが、後者は、ファミリーのすべての成員間で異なる度合いの相同性を有
する。これら三つの領域は、src相同性領域1(SH1)、src相同性領域2(S
H2)及びsrc相同性領域3(SH3)と呼ばれる。SH2及びSH3ドメイン
は、ともに、シグナル伝達複合体の形成に重要な、タンパク質会合機能を有する
と考えられる。N末端独自領域のアミノ酸配列は、それぞれのsrcファミリーチ
ロシンキナーゼの間で変化がある。N末端独自領域は、srcファミリーチロシン
キナーゼのN末端の初めの少なくとも約40アミノ酸残基であることができる。 sykファミリーキナーゼは、標的分子のチロシン残基をリン酸化できる酵素で
ある。代表的には、sykファミリーキナーゼは、一つ又はそれ以上の結合ドメイ
ンと、キナーゼドメインとを有する。sykファミリーチロシンキナーゼの結合ド
メインは、標的分子に結合することができ、キナーゼドメインは、キナーゼに結
合した標的分子をリン酸化することができる。sykファミリーチロシンキナーゼ
の成員は、タンパク質会合機能のための二つのSH2ドメインと、チロシンキナ
ーゼドメインとを特徴とする。
【0182】 主要な標的分子は、第二メッセンジャー分子を修飾することによって、シグナ
ル伝達経路を更に延長することができる。主要標的分子は、ホスファチジルイノ
シトール3キナーゼ(PI−3K)、P21rasGAPアーゼ活性化タンパク質
、及び関連するP190及びP62タンパク質、PLCγ1及びPLCγ2のよ
うなホスホリパーゼ、MAPキナーゼ、Shc、並びにVAVを包含することが
できるが、これらに限定されない。主要標的分子は、伝達されたシグナルを更に
増幅できる、第二メッセンジャー分子を生成することができる。第二メッセンジ
ャー分子は、ジアシルグリセロール及びイノシトール1,4,5−三リン酸(I
P3)を包含するが、これらに限定されない。第二メッセンジャー分子は、遺伝
子転写の変更へと導き得る生理学的事象を開始することができる。例えば、IP
3の生成は、細胞内カルシウムの放出を招くことができ、次いで、これがカルモ
ジュリンキナーゼIIの活性化へと導くことができ、次いで、これがets−1癌
原タンパク質と呼ばれるDNA結合タンパク質のセリンリン酸化へと導くことが
できる。ジアシルグリセロールは、プロテインキナーゼCというシグナル伝達タ
ンパク質を活性化できるが、これは、AP1というDNA結合タンパク質複合体
の活性に影響する。シグナル伝達経路は、c-fos、egr-1及びc-mycのような遺伝
子の転写活性化へと導くことができる。
【0183】 Shcは、アダプター分子として考えることができる。アダプター分子は、他
の2種類のタンパク質が複合体(例えば三分子複合体)を形成するのを可能にす
るタンパク質を含む。Shcタンパク質は、Grb2及びSOSを含む複合体の
形成を可能にする。Shcは、Grb2のSH2ドメインと会合できる、SH2
ドメインを含む。
【0184】 シグナル伝達経路の分子は、認識配列を用いて、互いに会合することができる
。認識配列は、2分子間の特異的な結合を可能にする。認識配列は、互いに会合
する分子の構造に応じて変化することができる。一分子が、一つ又はそれ以上の
認識配列を有することができ、その限りで、一つ又はそれ以上の異なる分子と会
合することができる。
【0185】 MIRR複合体に対するシグナル伝達経路は、細胞の生物学的機能を調節する
ことができる。そのような機能は、細胞が増殖し、分化し、細胞産物を分泌でき
る能力を包含することができるが、これらに限定されない。MIRRに誘導され
るシグナル伝達経路は、動物による特定の応答、例えば免疫応答、炎症応答及び
アレルギー応答に関与する、特定の型の細胞の生物学的機能を調節することがで
きる。免疫応答に関与する細胞は、例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、
樹状細胞、ナチュラルキラー細胞及びプラズマ細胞を包含することができる。炎
症応答に関与する細胞は、例えば好塩基球、マスト細胞、好酸球、好中球及びマ
クロファージを包含することができる。アレルギー応答に関与する細胞は、例え
ばマスト細胞、好塩基球、B細胞、T細胞及びマクロファージを包含することが
できる。
【0186】 本アッセイの例示的実施態様では、検出シグナルは、第二メッセンジャー、例
えば、リン酸化されたsrc様タンパク質であり、血清応答要素(SRE)、1
2−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート応答要素、サイクリッ
クAMP応答要素、c-fosプロモーター若しくはCREB応答性要素のような、
転写調節要素を包含する、リポーター構成体又は指標遺伝子を包含する。
【0187】 C.受容体チロシンキナーゼ 更にもう一つの実施態様では、標的受容体は、受容体チロシンキナーゼである
。受容体チロシンキナーゼは、細胞外ドメインの構造的類似性と、細胞質ドメイ
ンのチロシンキナーゼ触媒領域の構成とに基づいて、五つのサブグループに分け
ることができる。サブグループI(表皮成長因子(EGF)受容体様)、II(イ
ンスリン受容体様)、及びeph/eckファミリーは、システインに富む配列
を有する[Hirai et al. (1987) Science, 238:1717-1720;及びLindberg & Hun
ter (1990) Mol. Cell. Biol., 10:6316-6324]。これら3分類群の受容体チロ
シンキナーゼのキナーゼ領域の機能性ドメインは、隣接配列としてコードされて
いる[Hanks et al. (1988) Science 241:42-52]。サブグループIII(血小板由
来成長因子(PDGF)受容体様)及びIV(繊維芽細胞成長因子(FGF)受容
体)は、細胞外ドメインに免疫グロブリン(Ig)様の折畳みを有するばかりで
なく、キナーゼドメインが、無関係のアミノ酸の可変的な伸張によって2部分に
分けられているとして特徴付けられる[Yanden & Ullrich (1988)、前掲;及びH
anks et al. (1988)、前掲]。
【0188】 はるかに最大数の公知の成員を有するファミリーは、EPHファミリーである
。原型、すなわちEPH受容体の記載以来[Hirai et al. (1987) Science, 238
:1717-1720]、このファミリーの、二つ以上の種で見出された見かけ上オーソロ
ガスな受容体は別として、少なくとも10の成員について配列が報告されている
。追加の部分配列や新たな成員がなおも報告されつつある速度は、このファミリ
ーがはるかに大きいことを示唆する[Maisonpierre et al. (1993) Oncogene, 8
:3277-3288;Andres et al. (1994) Oncogene, 9:1461-1467;Henkemeyer et al
. (1994) Oncogene, 9:1001-1014;Ruiz et al. (1994) Mech. Dev., 46:87-100
;Xu et al. (1994) Development, 120:287-299;Zhou et al. (1994) J. Neuro
sci. Res., 37:129-143;及びTuzi & Gullick (1994) Br. J. Cancer 69:417-42
1の参考文献]。顕著なことに、EPHファミリーの数が多いにも拘わらず、こ
れらの分子は、すべて、既知のリガンドのないオーファン受容体として特定され
た。
【0189】 EPHファミリー受容体のいくつかについて決定された発現パターンは、脊椎
動物の初期発生におけるこれらの分子の重要な役割を暗示している。とりわけ、
嚢胚形成期及び初期器官形成期の際の、sek、mek4、及び他の受容体のいくつか
の発現のタイミング及びパターンは、この段階での胚の形状形成に関与する、重
要な細胞相互作用でのこれらの受容体に関する機能を示唆している[Gilardi-He
benstreit et al. (1992) Oncogene, 7:2499-2506;Nieto et al. (1992) Devel
opment, 116:1137-1150;Henkemeyer et al.、前掲;Ruiz et al.、前掲;及びX
u et al.、前掲]。例えばsekは、マウス胚の二つの部域での、明らかな体節形
成、すなわち中胚葉における体節、及び後脳の菱脳神経小片を示す、顕著な初期
発現を示し、そのためにsek、すなわち体節に関して発現されるキナーゼと名付
けられた[Gilardi-Hebenstreit et al.、前掲;Nieto et al.、前掲]。ショウ
ジョウバエでのように、哺乳動物の胚のこれらの体節的構造は、身体の体制を確
立するのに重要な要素としての意味がある。Sekの発現が、形態学的体節形成
の出現に先行するという所見は、これらの体節構造を形成するか、又は系列区画
化のような、体節特異的細胞特性を決定する際のsekの役割を示唆する[Nieto e
t al.、前掲]。その上、EPH受容体は、その発現パターンによって、胚体及
び成体のほとんどあらゆる組織の発生及び維持の際に意味があるとされている。
例えば、EPH受容体は、神経系、精巣、骨格の軟骨性モデル、歯の原基、脳下
垂体の漏斗性要素、様々な上皮組織、肺、膵臓、肝臓及び腎臓組織であまねく検
出されている。このような所見は、発生及び生理学におけるEPHファミリーの
キナーゼの重要かつ独自の役割を示しているが、それらの作用の理解のそれ以上
の進歩は、それらのリガンドに関する情報の欠如によって、甚だしく限定されて
いる。
【0190】 本明細書に用いられる限りで、用語「EPH受容体」又は「EPH型受容体」
とは、少なくとも11のパラロガス遺伝子を含む、一群の受容体チロシンキナー
ゼを意味するが、より多くのオーソロガス体、例えば異なる種からの相同体が、
この群内に存在する。一般に、EPH受容体は、相同性によって関連付けられ、
容易に認識できる受容体の明確な群であって、例えば、代表的には、N末端付近
のシステイン残基による特徴的な間隔を含む細胞外ドメイン、及び二つのフィブ
ロネクチンタイプIIIの反復を特徴とする[Hirai et al. (1987) Science, 238:
1717-1720;Lingberg et al. (1990) Mol. Cell. Biol., 10:6316-6324;Chan e
t al. (1991) Oncogen, 6:1057-1061;Maisonpierre et al. (1993) Oncogene,
8:3277-3288;Andres et al. (1994) Oncogene, 9:1461-1467;Henkemeyer et a
l. (1994) Oncogene, 9:1001-1014;Ruiz et al. (1994) Mech. Dev., 46:87-10
0;Xu et al. (1994) Development, 120:287-299;Zhou et al. (1994) J. Neur
osci. Res., 37:129-143;及びTuzi & Gullick (1994) Br. J. Cancer 69:417-4
21の参考文献]。例示的なEPH受容体は、eph、elk、eck、sek、mek4、hek、h
ek2、eek、erk、tyro1、tyro4、tyro5、tyro6、tyro11、cek4、cek5、cek6、cek
7、cek8、cek9、cek10、bsk、rtk1、rtk2、rtk3、myk1、myk2、ehk1、ehk2、pag
liaccio、htk、erk及びnuk受容体を包含する。用語「EPH受容体」は、受容体
タンパク質の膜形態はもとより、本発明のリガンドに結合できる能力を保持する
、可溶性細胞外フラグメントをも意味する。
【0191】 例示的実施態様では、検出シグナルは、細胞内タンパク質、例えばMEKK、
MEK又はMapキナーゼのリン酸化を検出すること、或いはc-fos及び/又はc
-junに応答する転写調節要素を含む、受容体構成体若しくは指標遺伝子を用いる
ことによって与えられる。上記に記載した。
【0192】 D.Gタンパク質共役型受容体 真核細胞に見出されるシグナル伝達カスケードの一ファミリーは、ヘテロ三量
体性「Gタンパク質」を利用する。異なる多くのGタンパク質が、受容体と作用
し合うことが公知である。Gタンパク質シグナリング系は、三つの成分:すなわ
ち受容体自体、GTP結合タンパク質(Gタンパク質)及び細胞外標的タンパク
質を含む。
【0193】 細胞膜は、配電盤として作用する。異なる受容体を通じて到着するメッセージ
は、受容体が同じ形式のGタンパク質に作用するならば、単一の効果を生じるこ
とができる。一方、単一の受容体を活性化するシグナルは、受容体が異なる種類
のGタンパク質に作用するか、又はGタンパク質が異なる作動体に作用できるな
らば、二つ以上の効果を生じることができる。
【0194】 休止状態で、Gタンパク質は、アルファ(α)、ベータ(β)及びガンマ(γ
)サブユニットからなり、ヌクレオチドのグアノシン二リン酸(GDP)と複合
体を形成し、受容体と接触している。ホルモンその他の第一メッセンジャーが受
容体に結合すると、受容体は配座を変え、これが、Gタンパク質とのその相互作
用を変更する。これが、αユニットにGDPを放出させ、より豊富なヌクレオチ
ドであるグアノシン三リン酸(GTP)が、取って換わって、Gタンパク質を活
性化する。そうして、Gタンパク質は、解離して、なおも複合体を形成している
β及びγサブユニットからαサブユニットを分離する。経路に応じて、Gαサブ
ユニット又はGβγ複合体のいずれかが、作動体と作用し合う。次いで、作動体
(しばしば酵素)は、不活性である前駆体分子を、活性を有する「第二メッセン
ジャー」に転化し、これが、細胞質から拡散し、代謝カスケードを誘発し得る。
いくつかのカスケードの後、Gαは、GTPをGDPに転化し、それによって自
らを不活性化する。そうして、不活性化されたGαは、Gβγ複合体と再会合し
得る。
【0195】 数千ではないにしても、数百の受容体が、ヘテロ三量体のGタンパク質を通じ
てメッセージを伝達するが、Gタンパク質のうち少なくとも17の明確な形態が
、単離されている。最大の変異性は、αサブユニットに認められているものの、
異なるいくつかのβ及びγ構造が、報告されている。加えて、異なるいくつかの
Gタンパク質依存性作動体が、存在する。
【0196】 ほとんどのGタンパク質共役型受容体は、原形質膜を7回貫通する一本のタン
パク質鎖で構成される。そのような受容体は、しばしば、七回貫膜受容体(ST
R)と呼ばれる。同じリガンドに結合する多くの別個の受容体を包含する、百を
越える異なるSTRが見出されており、発見を待つはるかに多くのSTRが存在
する可能性がある。
【0197】 加えて、天然のリガンドが知られていないSTRが特定されていて;これらの
受容体は、上記のとおり、「オーファン」Gタンパク質共役型受容体と名付けら
れている。その例は、Neoteら[(1993) Cell, 72:415]、Koubaら[FEBS Lett.
(1993) 321:173]及びBirkenbachら[(1993) J. Virol., 67:2209]がクローニ
ングした受容体を包含する。
【0198】 本発明の「外因性受容体」は、本発明の目的のために遺伝的に加工しようとす
る細胞にとって外因性である、いかなるGタンパク質共役型受容体であってもよ
い。この受容体は、植物又は動物細胞の受容体であってよい。植物細胞受容体と
の結合についてのスクリーニングは、例えば除草剤の開発に役立ち得る。動物の
受容体の場合は、無脊椎動物又は脊椎動物起源であってよい。無脊椎動物の受容
体ならば、昆虫の受容体が好適であり、殺虫剤の開発を促進すると思われる。該
受容体は、脊椎動物、より好ましくは哺乳動物、更に好ましくはヒトの受容体で
あってもよい。この外因性受容体は、やはり好ましくは、七回貫膜セグメントの
受容体である。
【0199】 Gタンパク質共役型受容体に対する公知のリガンドは、プリン及びヌクレオチ
ド、例えばアデノシン、cAMP、ATP、UTP、ADP、メラトニンなど;
生物アミン(及び関連する天然リガンド)、例えば5−ヒドロキシトリプタミン
、アセチルコリン、ドーパミン、アドレナリン、アドレナリン、アドレナリン、
ヒスタミン、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン、チラミ
ン/オクトパミンその他の関連する化合物;ペプチド、例えば副腎皮質刺激ホル
モン(ACTH)、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)、メラノコルチン、ニ
ューロテンシン(NT)、ボンベシン及び関連するペプチド、エンドテリン、コ
レシストキニン、ガストリン、ニューロキニンb(nk3)、無脊椎動物タキキ
ニン様ペプチド、サブスタンスK(nk2)、サブスタンスP(nk1)、神経
ペプチドY(NPY)、甲状腺刺激ホルモン放出因子(TRF)、ブラジキニン
、アンギオテンシン2、β−エンドルフィン、C5aアナフィラトキシン、カル
シトニン、ケモカイン(インタークリンとも呼ばれる)、副腎皮質刺激ホルモン
放出因子(CRF)、ダイノルフィン、エンドルフィン、FMLPその他のホル
ミル化ペプチド、卵胞刺激ホルモン(FSH)、真菌接合フェロモン、ガラニン
、胃阻害性ポリペプチド受容体(gip)、グルカゴン様ペプチド(glp)、
グルカゴン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GNRH)、成長ホルモン放出ホ
ルモン(GHRH)、昆虫利尿ホルモン、インターロイキン8、ルトロピン(L
H/HCG)、メチオニンエンケファリン、オピオイドペプチド、オキシトシン
、副甲状腺ホルモン(PTH)及びPTHRP、脳下垂体アデニリルシクラーゼ
活性化ペプチド(PACAP)、セクレチン、ソマトスタチン、トロンビン、甲
状腺刺激ホルモン(TSH)、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、バソプレッ
シン、バソトシン;エイコサノイド、例えばIP−プロスタサイクリン、PG−
プロスタグランジン、TX−トロンボキサン;レチナールに基づく化合物、例え
ば脊椎動物11−cis−レチナール、無脊椎動物11−cis−レチナールその他の
関連化合物;脂質、及び脂質に基づく化合物、例えばカンアビノイド、アナンダ
ミド、リゾホスファチジン酸、血小板活性化因子、ロイコトリエンなど;興奮性
アミノ酸及びイオン、例えばカルシウムイオン及びグルタメートを包含する。
【0200】 Gタンパク質共役型受容体の適切な例は、ドーパミン作動性、ムスカリン性コ
リン作動性、αアドレナリン作動性、βアドレナリン作動性、オピオイド(δ及
びμを包含)、カンナビノイド、セロトニン作動性及びGABA作動性受容体を
包含するが、これらに限定されない。好適な受容体は、5HTファミリー受容体
、ドーパミン受容体、C5a受容体及びFPRL−1受容体、シクロヒスチジル
−プロリン−ジケトピペラジン受容体、メラニン細胞刺激ホルモン放出阻害因子
受容体、及びニューロテンシン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、カルシトニ
ン、コレシストキニンA、ニューロキニン2、ヒスタミン3、カンナビノイド、
メラノコルチン、又はアドレノモジュリン、神経ペプチドY1若しくはガラニン
に対する受容体を包含する。その他の適切な受容体は、当技術に列挙されている
。用語「受容体」は、本明細書に用いられる限りで、天然に産するのと突然変異
種のとの双方の受容体を包含する。
【0201】 これらのGタンパク質共役型受容体の多くは、酵母a及びα因子受容体と同様
に、7個所の疎水性アミノ酸に富む領域を有し、それらは、原形質膜の内部に存
在すると考えられている。その遺伝子が単離され、発現ベクターを構築すること
ができた、特定のヒトGタンパク質共役型STRは、本明細書に列挙されたもの
、および当技術に公知のその他のものを包含する。したがって、この遺伝子は、
加工しようとする細胞内で機能を有するプロモーターと、該細胞内でも機能する
シグナル配列とに機能的に結合されていると思われる。例えば酵母の場合、適切
なプロモーターは、Ste2、Ste3及びgal10を包含する。適切なシグナル配列は、S
te2、Ste3、及び酵母細胞が分泌するタンパク質をコードしているその他の遺伝
子のそれを包含する。好ましくは、酵母細胞を用いるときは、遺伝子のコドンは
、酵母内での発現に対して最適化されると思われる。Hoekema et al. (1987) Mo
l. Cell. Biol., 7:2914-24;Sharp et al. (1986) 14:5125-43を参照のこと。
【0202】 STRの相同性は、Dohlmanら[Ann. Rev. Biochem. (1991)]に考察されてい
る。STRを比較すると、相同性の明確な空間的パターンが識別できる。貫膜ド
メインは、しばしば、最も類似するのに対し、N及びC末端領域、並びに貫膜第
五及び第六セグメントを接続する細胞質ループは、より多岐にわたる。
【0203】 異なるSTR領域の機能的意義は、点突然変異(置換及び欠失の双方)を導入
すること、及び異なるが関連するSTRのキメラを構築することによって研究さ
れている。個々のセグメントに対応する合成ペプチドも、活性について試験され
ている。親和性標識化は、リガンド結合部位を同定するのに用いられている。
【0204】 宿主細胞が酵母細胞であるとき、外来の受容体は、酵母の膜に機能的に融和で
きず、酵母の内因性Gタンパク質と作用し合うことが考えられる。より可能性が
あるのは、受容体が、(例えばその第五〜第六ループを酵母STE2又はSTE
3受容体と置き換えることによって)修飾される必要があるか、又は融和できる
Gタンパク質を与えなければならないかのいずれかである。
【0205】 野生型の外因性Gタンパク質共役型受容体を、酵母内で機能的にすることがで
きないならば、これを目的として、突然変異させてもよい。外因性受容体のアミ
ノ酸配列と、酵母受容体のそれ、及び特定された高い相同性と低い相同性との比
較をすることになる。次いで、試験的な突然変異を実施して、リガンド又はGタ
ンパク質の結合に関与する領域を、膜における機能的統合に必要な領域と区別す
ることになる。次いで、外因性受容体を、より密接に酵母受容体に類似するよう
、後者の領域で突然変異させて、機能的統合を達成することになる。これが、機
能性を達成するのに不充分ならば、次には、Gタンパク質結合に関与する領域で
、突然変異を実施することになる。最後の手段として、突然変異を、リガンド結
合にのみ関与する領域で実施し、そうして、可能ならば常に、同類置換を実施す
ることによって、リガンド結合を保全するよう努力することになる。
【0206】 好ましくは、機能的な形態で外因性受容体に相同である、酵母受容体を生成す
るのが不可能であるように、酵母ゲノムを修飾する。さもなければ、アッセイで
の陽性の評価が、ペプチドが問題の受容体ではなく内因性Gタンパク質共役型受
容体を活性化できる能力を反映し得ると思われる。
【0207】 (i)化学誘引性受容体 N−ホルミルペプチド受容体は、哺乳動物免疫系の好中球その他の食細胞によ
って発現される、カルシウム動員性Gタンパク質共役型受容体の古典的な例であ
る[Snyderman et al. (1988) In Inflamation: Basic Priciples and Clinical
Correlates, pp. 309-323]。細菌起源のN−ホルミルペプチドは、この受容体
に結合し、指向性細胞移動、炎症性顆粒内容の放出、及び分子状酸素の代謝産物
生成に重要である潜在性NADPHオキシダーゼの活性化を招く、複雑な活性化
プログラムに取り組む。受容体−リガンド相互作用によって開始されるこの経路
は、化膿性感染からの宿主の防護に決定的に重要である。類似のシグナル伝達は
、炎症性ペプチドのC5a及びIL−8に応答して発生する。
【0208】 その他2種類のホルミルペプチド受容体様(FPRL)遺伝子が、NFPRc
DNAコーディング配列のフラグメントとハイブリダイズできる能力に基づいて
クローニングされている。これらは、FPRL1[Murphy et al. (1992) J. Bi
ol. Chem., 267:7637-7643]及びFPRL2[Ye et al. (1992) Biochem. Biop
hys. Res. Comm., 184:582-589]と名付けられている。FPRL2は、この遺伝
子を移入し、ホルミルペプチドと接触させた、マウス繊維芽細胞でのカルシウム
動員を仲介することが見出された。対照的に、FPRL1は、アミノ酸配列がN
FPRと69%同一であることが見出されたものの、異種細胞型で発現されたと
き、原型N−ホルミルペプチドリガンドに結合しなかった。このことは、FPR
L1オーファン受容体に対する、依然として特定されていないリガンドの存在と
いう仮説へと導く[Murphy et al.、前掲]。
【0209】 (ii)Gタンパク質 外因性Gタンパク質共役型受容体の場合、酵母細胞は、この外因性受容体によ
って活性化され、次いで酵母作動体を活性化することができる、Gタンパク質を
生成できなければならない。当技術は、内因性酵母Gαサブユニット(例えばG
PA)が、しばしば、共役が生じるよう内因性受容体と自然に会合する、「同族
の」Gαサブユニットと充分に相同であることを示唆する。より可能性があるの
は、外因性受容体と適正に作用し合うことができる、外来Gαサブユニットを生
成するよう、酵母細胞を遺伝的に加工する必要があることである。例えば、酵母
Gタンパク質のGαサブユニットは、外因性受容体と自然に会合するGαサブユ
ニットと置き換えてよい。
【0210】 Dietzel及びKurjan[(1987) Cell, 50:1001]は、ラットGαが、酵母Gβγ
複合体と機能的に結合されることを立証した。しかし、ラットGαi2は、実質
的に過剰発現されたときにのみ補完したにすぎないが、Gα0は、全く補完しな
かった[Kang et al., Mol. Cell. Biol., (1990) 10:2582]。その結果、いく
つかの外来Gαサブユニットでは、酵母Gαを単純に置き換えることが実施でき
ない。
【0211】 外因性Gタンパク質共役型受容体が、その受容体と自然に会合するGαサブユ
ニットによって酵母Gβγに適切に結合されないならば、Gαサブユニットを修
飾して、結合を改良し得る。これらの修飾は、しばしば、突然変異の形態をとり
、該Gαサブユニットの酵母Gαとの類似性は増大させるが、受容体に会合した
Gαとのその類似性は減少させることになる。例えば、ある残基を、対応する酵
母Gα残基と同一になるようにか、又は少なくともその残基の同じ交換群に属す
るように変化させ得る。修飾後は、修飾されたGαサブユニットは、外来及び/
若しくは酵母のGαサブユニットと「実質的に相同」であっても、又はなくても
よい。
【0212】 修飾は、好ましくは、Gαの、Gβγ結合に関与する可能性が高い領域に集中
させる。いくつかの実施態様では、修飾は、受容体に会合したGαの一つ又はそ
れ以上のセグメントを対応する酵母Gαセグメントと置き換え、それによってキ
メラGαサブユニットを形成するという形態をとることになる(付記された請求
項を目的として、用語「セグメント」は、3個又はそれ以上の連続するアミノ酸
を意味する)。別の実施態様では、点突然変異が充分であり得る。
【0213】 このキメラGαサブユニットは、外因性受容体及び酵母Gβγ複合体と作用し
合い、それによってシグナル伝達を可能にすることになる。内因性の酵母Gβγ
を用いるのが好ましいが、外来又はキメラGβγが、シグナルを酵母の作動体に
伝達できるならば、代わりにそれを用いてもよい。
【0214】 V.特定された薬剤の製剤調製品 本アッセイで一定の試験ペプチドを、例えば潜在的な代用リガンド、又は受容
体アンタゴニストとして、特定した後、本アッセイの実施者は、選ばれたペプチ
ドの薬効及び特異性を、in vitroとin vivoとの双方で試験し続けることになる
。その後のin vivo試験のためであろうと、又は認可薬物としての動物への投与
のためであろうと、本アッセイで特定されたペプチド、又はその模擬ペプチドは
、動物、好ましくはヒトへのin vivo投与のための製剤調製品として処方するこ
とができる。
【0215】 本アッセイで選ばれたペプチド、又は製薬上許容され得るその塩は、生物学的
に許容され得る媒体、例えば水、緩衝生理食塩水、ポリオール(例えばグリセリ
ン、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、又は適切なそ
れらの混合物とともに投与するために、しかるべく処方してよい。選ばれた媒体
中の活性成分の最適濃度は、医療化学者に周知の手順に従って、経験的に決定す
ることができる。本明細書に用いられる限りで、「生物学的に許容され得る媒体
」は、該製剤調製品の望ましい投与経路に適切であり得る、いかなる、かつすべ
ての溶媒、分散媒などを包含する。製薬活性物質のためのそのような媒体の使用
は、当技術に公知である。慣用の何らかの媒体又は薬剤が、該化合物の活性に不
適格でない限り、それを本発明の製剤調製品に用いることが考慮される。適切な
担体と、その他のタンパク質も含むその配合物とは、例えばRemington's Pharma
ceutical Sciences という書籍(Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack
Publishing Company, Easton, PA、米国、1985年)に記載されている。これらの
担体は、注射できる「デポジット配合物」を包含する。上記に基づき、そのよう
な配合物は、排他的にではないが、製薬上許容され得る1種類又はそれ以上の担
体若しくは希釈剤を伴い、適切なpHでの、かつ生理学的流体と等浸透性である、
緩衝媒体に含有される化合物の溶液若しくは凍結乾燥粉末を包含する。好適実施
態様では、該ペプチドを、局所及び/又は全身投与のための無菌調製品中に配合
することができる。凍結乾燥調製品の場合は、マンニトール又はグリシンのよう
な(しかし排他的にではなく)担持用賦形剤を用いてよく、望みの量の適切な緩
衝液を与えて、望みのpHの適切な等張緩衝液を得ることになる。類似の溶液を、
望みの量の等張液中の化合物の製剤組成物に用いてもよく、それは、リン酸塩又
はクエン酸塩で緩衝した生理食塩水溶液を適切な濃度で用いて、望みのpH(例え
ば中性のpH)の常に等張である製剤調製品を得ることを、排他的にではなく包含
してよい。
【0216】 実施例 本発明は、こうして一般的に説明されたからには、下記の実施例を参照するこ
とによって、より容易に理解されるものと思われるが、それらは、本発明の一定
の態様及び実施態様の例示の目的でのみ収載され、本発明を限定しようとするも
のではない。
【0217】 図1に示したとおり、pAM6 M13/COSというペプチドの発現プラスミドを、原核
及び真核細胞で明確な機能を有するよう設計した。原核細胞では、該プラスミド
はディスプレーモードで機能し、このモードは、コードされているペプチドの、
それをパッケージしているM13ファージの表面でのディスプレーを指令する。
これらのペプチドは、主要なM13カプシドタンパク質であるpVIIIとの融合物
としてディスプレーされる。このモードを可能にする、図示された要素は、下記
のとおりである:lac、すなわち原核生物のプロモーター;preIIIシグナル、す
なわちM13 geneIIIからの周辺細胞質標的シグナル配列(シグナルペプチダー
ゼに対する切断部位を示すためにたどる上端の垂直方向の矢印);ランダムペプ
チド、すなわちM13コートタンパク質に融合させようとするペプチドの無作為
又は特異的コーディング配列;M13pVIII、すなわちM13のpVIIIコートタ
ンパク質のコーディング配列(その上のSTOPは、停止コドンと、原核生物の
転写ターミネーターとを表わす);ApR、すなわちプラスミドを有する細胞に
対するアンピシリン選別を可能にするβ−ラクタマーゼ遺伝子;pUC ori、す
なわち大腸菌内でのプラスミドの高コピー数複製を指令する複製起点;M13(
−) ori、すなわちM13ヘルパーファージの存在下で、一本鎖DNAの生成を
可能にし、ファージ粒子へのそのパッケージングを指令する複製起点及びパッケ
ージングシグナル。
【0218】 真核細胞では、該プラスミドは分泌モードで機能し、他の配列とは別に、細胞
外媒体へのコードされたペプチドの分泌を招く。このモードを可能にする、図示
された要素は、下記のとおりである:CMV enh/prom、すなわち真核生物のプ
ロモーター;IgH secr.s.、すなわちタンパク質の細胞外分泌を指令する免疫
グロブリン重鎖シグナル配列;ランダムペプチド、すなわち分泌させようとする
ペプチドの無作為又は特異的コーディング配列;SV40ポリA、すなわちRN
Aポリアデニル化シグナル;グロビンスプライス供与体/IgHスプライス受容
体対、すなわち望ましくない干渉性原核生物の配列を欠く成熟mRNAへのRN
Aのプロセシングを指令する;SV40 ori、すなわちCOS細胞内でのプラス
ミドの高コピー数複製を招く複製起点。
【0219】 その他の例示的プラスミドである、pAM7及びpAM9 M13/COSペプチド発現プラス
ミドを図2に示す。pAM7とpAM9との相違は、ディスプレーモードでペプチドを融
合させるM13コートタンパク質であって:M13pVIII又はpIIIで示したと
おり、pAM7は、pVIII融合物を利用し、pAM9は、pIII融合物を利用する。
【0220】 このプラスミドの設定は、下記の変更以外は、pAM6(図1参照)と同一である
:CMV enh/prom及びlacプロモーターは、分離されており、それぞれの真核生
物IgHのシグナルs、及び原核生物の大腸菌シグナルsというシグナル配列に
隣接して配置されている。最初の一対のスプライスシグナルは、pAM6のシグナル
配列とは正反対に、ここでは、mRNAからlacプロモーター及び大腸菌シグナ
ル配列を除去するように機能する。加えて、大腸菌シグナルs配列を、共通シグ
ナル配列から生成し、そのコーディング配列へと、IgHスプライス受容体配列
を無音加工したが、それは、ランダムペプチドのアミノ末端への余分な残基の付
加を排除する。
【0221】 図3は、本発明の更にもう一つのプラスミドである、pAM8 M13/COSペプチド発
現プラスミドを例示する。このプラスミドの設定は、下記の変更以外は、pAM6(
図1参照)と同一である:分離されたシグナルペプチド配列をディスプレー及び
分泌モードに用いるのに代えて、この設定は、両モードで機能するβ−ラクタマ
ーゼシグナル配列を利用する。この設定は、最初の一対のスプライスシグナルの
必要性を排除する。
【0222】 例示的なトランスウェル細胞培養チェンバーを、図4Aに示す。この例示は、
本方法の分泌モードに利用されるトランスウェル装置系を図示している。標的細
胞を内容する下方の区画は、慣用の組織培養皿内のウェルである。トランスウェ
ルは、このウェルに嵌合し、充実した側面と、浸透可能な、細孔に富む膜の底部
とを有するチェンバーである。分泌性COS細胞は、この膜上で増殖させ、分泌
されたペプチドは、これを通じて拡散し、標的細胞に接触することができる。
【0223】 別の実施態様では、本方法を、指標プレート抗菌アッセイの一部として用いる
。図4Bは、抗菌活性を有するペプチドを特定する方法を例示している。試験ペ
プチドの分泌を指令するプラスミドを有する細菌細胞を、標的微生物の寒天包埋
培養体の頂部に配置する。細菌コロニーのいずれかによる阻害性ペプチドの生産
は、寒天包埋された標的細胞の培養体に阻害帯域を生じることになる。この帯域
は、標的細胞が、分泌されたペプチドの存在下で、濃密な培養体を形成できない
ため、寒天中の透明な部域として視覚化されることになる。
【0224】 本発明の方法は、抗血管形成ペプチドを特定するのに利用されている。図5は
、抗血管形成ペプチドの特定のための、M13ディスプレー/COS分泌法の利
用を図示する流れ図である。図6は、pAM6というM13/COSペプチド発現プ
ラスミドの1バージョンの配列を示す。この例で、別個のBstX1部位に挟まれた
ランダムペプチドは、実際にはMycエピトープ−6xHis制御ペプチドであ
る。
【0225】 図6、7及び8は、それぞれ、図1、2及び3にそれぞれ示されたpAM6、pAM7
及びpAM8のM13/COSプラスミドの、機能的要素におけるより詳細な状況を
示す。これらの例のそれぞれにおいて、別個のBstX1部位に挟まれたランダムペ
プチドは、実際にはMycエピトープ−6xHis制御ペプチドである。
【0226】 プラスミドのそれぞれを試験するため、大腸菌を、負の対照であるpLITMUSプ
ラスミド、及びMycエピトープ−6xHisコーディングプラスミド:すなわ
ちpAM6、pAM7及びpAM8で形質転換した。細胞を、37℃で対数期まで増殖させ、
0.1mMのIPTGで3時間誘導するか(+)、又はIPTGの不在下で3時間
増殖させた(−)。全細胞溶菌液を、16%トリシンSDS−PAGE上の電気
泳動によって分離し、抗myc抗体で免疫ブロッティングを実施した。
【0227】 結果(図9)は、M13/COSベクターが、それぞれ、Myc−6xHis
−pVIII融合タンパク質を発現すること、及びpAM7及びpAM8の産物は、適正にプ
ロセシングされらしいことを立証している。しかし、pAM6から分泌されたペプチ
ドの見掛け分子量は、シグナルペプチドのプロセシングの問題を示す。すなわち
、より高分子量の種は、予測された大きさのペプチドに相当し、シグナルペプチ
ドが切断されていない。
【0228】 ファージミドカプシドへのmyc−6xHis−pVIII融合タンパク質の組込
みを、抗mycウエスタンブロット分析によって試験した。大腸菌を、負の対照
であるpLITMUSプラスミド、及びMycエピトープ−6xHisコーディングプ
ラスミド:すなわちpAM6、pAM7及びpAM8で形質転換した。細胞を、37℃で対数
期まで増殖させ、0.1mMのIPTGで誘導し、M13ヘルパーファージに感染
させ、終夜増殖させた。培地上清に含まれるファージミドを、16%トリシンS
DS−PAGE上の電気泳動によって分離し、抗myc抗体で免疫ブロッティン
グを実施した。
【0229】 図10は、pAM7及びpAM8ベクターが、カプシドに組み込まれている、適正にプ
ロセシングされたMyc−6xHis−pVIII融合タンパク質を生じることを立
証している。pAM6形質転換体によって生成されたファージミドのカプシドには、
非常に僅かな融合タンパク質が組み込まれたにすぎず、負の対照のpLITMUSのレ
ーンでは、何も検出されなかった。
【0230】 ファージミドカプシド中の未変性pVIII対myc−6xHis−pVIIIタンパ
ク質の比率も、決定した。上記のとおり、大腸菌を、負の対照であるpLITMUSプ
ラスミド、及びMycエピトープ−6xHisコーディングプラスミド:すなわ
ちpAM6、pAM7及びpAM8で形質転換した。細胞を、37℃で対数期まで増殖させ、
0.1mMのIPTGで誘導し、M13ヘルパーファージに感染させ、終夜増殖さ
せた。培地上清に含まれるファージミドを、16%トリシンSDS−PAGE上
の電気泳動によって分離し、クーマシーブルーで染色した。
【0231】 本発明者らは、pAM7及びpAM8ベクターが、カプシドに組み込まれている、適正
にプロセシングされたMyc−6xHis−pVIII融合タンパク質を、未変性p
VIIIの1〜10%の比率で生じること観察した。pAM6又はpLITMUSのレーンでは
、融合タンパク質は、全く検出されない。
【0232】 上記のとおり生成されたファージミドを、系列希釈、及び対数期大腸菌への感
染によってファージミド救出の際に生成された、プラーク及びコロニー形成単位
の力価についても試験した。図11を参照のこと。感染した細胞を、軟寒天に平
板接種して、プラーク形成単位(pfu)を検出するか、又はアンピシリン上に平
板接種して、コロニー形成単位(cfu)を決定するかした。cfuは、プラスミドD
NAをパッケージしたファージを表わすのに対し、pfuは、ヘルパー及びファー
ジゲノムDNAをパッケージしたファージを表わす。
【0233】 COS−7細胞からのM13/COSプラスミドにコードされたタンパク質の
、例えば分泌モードでの分泌を調べた。COS−7細胞に、pIC400という負の対
照プラスミド、及びランダムペプチド挿入部位でp27をコードしているpAM7及
びpAM8を移入した。正常に細胞内にあるp27をこの実験に選んで、細胞培地に
分泌されたタンパク質のウエスタンブロット分析による効率的な検出を可能にし
た。培地のアリコート20μlをトランスフェクションの1、2、3及び5日後
に採集し、SDS−PAGEによって分離し、抗p27抗体で免疫ブロット分析
した。図12に示したとおり、培地に分泌されたタンパク質のレベルは、pAM7及
びpAM8の双方について、実験期間にわたって上昇したが、pAM7のベクターの設定
によって、顕著により多くのp27が生成された。pIC400の負の対照では、p2
7は全く検出されなかった。精製されたp27を、大きさのマーカーとして含め
た。
【0234】 図13は、pIII融合物としてM13ファージミドカプシドに組み込まれたペ
プチドの、抗pIIIウエスタンブロット分析による検出を示す。略述すると、M
ycエピトープ−6xHisペプチドをコードしているオリゴヌクレオチド、ト
ロンボスポンジン由来のペプチド(TSP:SPWSSASVTCGDGVITRIR)、RGDのモチ
ーフを含むαVβ3インテグリン結合ペプチド(CDCRGDCFC)、及びアンギオスタ
チンの第一クリングルドメイン(K1:80アミノ酸)を、pAM9のBstXI部位の
間に挿入した。大腸菌では、このプラスミドは、ペプチド−pIII融合タンパク
質の発現を指令する。ファージミド生成のために、細胞を、37℃で対数期まで
増殖させ、0.1mMのIPTGで誘導し、M13ヘルパーファージ、又はpIII
遺伝子にアンバー変異を有するM13ヘルパーファージに感染させ、終夜増殖さ
せた。培地上清に含まれるファージミドを、16%トリシンSDS−PAGE上
の電気泳動によって分離し、抗pIII抗体で免疫ブロッティングを実施した。対
照としては、M13K07ファージ粒子を用いた。下方のバンドは、野生型pII
Iタンパク質に相当するが、上方の、高分子量バンドは、ペプチド−pIII融合タ
ンパク質に相当する。
【0235】 データは、pAM9由来ベクターが、pIII融合物として予測されたペプチドを発
現して、融合タンパク質が、M13ファージミドのカプシドに組み込まれている
ことを立証している。
【0236】 本発明者らは、ウシ毛細血管内皮細胞へのpAM9−K1ファージミドの特異的結
合を観察した。図14を参照のこと。Mycエピトープ−6xHisペプチド(
pAM9−myc:負の対照)、又はアンギオスタチンの第一クリングルドメイン(
pAM9−K1:正の対照)のいずれかをpIII融合物としてディスプレーするファ
ージミド粒子を用いて、ウシ毛細血管内皮(BCE)細胞とのファージミドの結
合の特異性を試験した。六穴プレートの1ウェル内で90%を越えて密集したB
CE細胞を、ペプチド結合用緩衝液(1xPBS、1mMCaCl2、10mMMg
Cl2、0.1%BSA)2.5ml中で1ウェルあたり5x1012pfuのM13K
07とともに35℃で30分間温置した。108cfuのpAM9−myc又はpAM9−K
1ファージミドを混合物に加え、温置を37℃で45分間続けた。過剰なファー
ジミドを、5x5mlの洗浄用緩衝液(2xPBS、1mMCaCl2、10mMMg
Cl2、0.1%BSA)で細胞を洗浄することによって除去し、BCE細胞に
結合したファージミドを、2x1mlの0.1規定HCl(pH2.2)によって溶
出させ、1Mトリス/Cl(pH8.0)1mlの添加によって中和した。溶出緩衝
液中のファージミドの数を、TG1細胞に、溶出液のアリコートに感染させ、L
B+Amp上でpAM9−myc又はpAM9−K1形質転換体を選別する(M13K0
7ファージは、LB+Amp上でコロニーを形成しない)ことによって決定した
【0237】 データは、ディスプレーモードで、ランダムペプチドライブラリーを、内皮細
胞に特異的に結合するペプチドについて富ませることの実施可能性を立証してい
る。
【0238】 図15は、COS−7細胞から分泌されたペプチドによる、トランスウェル内
のBCE細胞増殖の阻害を示す。COS−7細胞に、それぞれ、Mycエピトー
プ−6xHis、RGD及びアンギオテンシン第一クリングルドメインペプチド
の発現及び分泌を指令する、pAM9−myc、pAM9−RGD及びpAM9−K1プラス
ミドを移入した。移入したCOS−7細胞を、その増殖を1ng/mlのbFGFに
よって刺激したBCE細胞とともに、トランスウェル内で同時温置した。対照と
しては、非移入COS−7細胞とbFGF刺激BCE細胞とを、同様に同時温置
し、合成Myc−6xHis及びRGDペプチド、並びに精製K1も、指示され
た濃度で培地に加えた。bFGF刺激BCE細胞の増殖を、72時間後に蛍光Cy
QUANT増殖キット(Molecular Probes)を用いて測定した。
【0239】 合成RGDペプチド及び精製K1はもとより、COS−7が分泌したRGD及
びK1ペプチドも、bFGF刺激BCE細胞の増殖(正の対照)を阻害した。負
の対照であるMycエピトープ−6xHisペプチドは、BCEの増殖に対する
阻害効果が皆無であった。データは、分泌モードで、ランダムペプチドライブラ
リーを、内皮細胞の増殖を阻害するペプチドについてふるい分けることの実施可
能性を立証している。
【0240】 上に引用した参考文献及び刊行物は、すべて、参照によって本明細書に組み込
まれる。
【0241】 等価物 当業者は、常套的であるにすぎない実験を用いて、本明細書に記載された特定
の方法及び試薬と同等なものを無数に認識するか、又は確認できると思われる。
そのような等価物は、本発明の対象範囲内にあると考えられ、付記された請求項
に網羅される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 pAM6M13/COSペプチド発現用プラスミドの略図。
【図2】 pAM7&pAM9M13/COSペプチド発現用プラスミドの略図。
【図3】 pAM8M13/COSペプチド発現用プラスミドの略図。
【図4A】 トランスウェル細胞培養器。
【図4B】 抗菌性アッセイ用インジケータープレート。
【図5】 M13ディスプレー/COS選択法の抗血管形成性ペプチドの同定のための利
用を描いた流れ図。
【図6】 pAM6M13/COSペプチド発現用プラスミドのヌクレオチドレベルの描
写。
【図7】 pAM7M13/COSペプチド発現用プラスミドのヌクレオチドレベルの描
写。
【図8】 pAM8M13/COSペプチド発現用プラスミドのヌクレオチドレベルの描
写。
【図9】 MycエピトープpVIIIの大腸菌における発現。
【図10】 ファージミドキャプシッド中に取り込まれたmyc−pVIIIの抗mycウ
エスタンブロット検出。
【図11】 ファージミドレスキューに際して生じたプラーク及びコロニー形成単位の滴定
【図12】 M13/COSプラスミドにコードされたタンパク質のCOS7細胞からの分
泌。
【図13】 M13ファージミドキャプシッド中にpIII有効物として取り込まれたペプ
チドの抗pIIIウエスタンブロット検出。
【図14】 pAM9−K1ファージミドのウシの毛細血管内皮細胞への特異的結合。
【図15】 トランスウェル中のBCE細胞の増殖のCOS7細胞から分泌されたペプチド
による阻止。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/04 G01N 33/566 G01N 33/15 33/68 33/50 C12N 7/00 33/566 15/00 ZNAA 33/68 5/00 ZCCB // C12N 7/00 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG ,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT, RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,T J,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 アーロン ジェイ.モリス アメリカ合衆国 02130 マサチューセッ ツ、ボストン、オールドワース ストリー ト 42、アパートメント1 Fターム(参考) 2G045 AA40 CB01 CB21 DA36 DA77 FB02 4B024 AA01 CA07 DA02 FA17 GA11 HA04 HA15 4B063 QA18 QA19 QQ06 QQ07 QR48 QR79 QS24 QS36 QX01 4B065 AA98X AB01 AC14 BA02 CA24 CA46 4C084 AA02 AA06 BA01 BA08 BA18 BA23 MA01 NA14 ZB352

Claims (79)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 選択した生物学的活性を有するペプチドを生成するための方
    法であって、下記のステップを含む当該方法: (i)ディスプレーパッケージの集団の表面上に発現される試験ペプチドの多彩
    な集団を含むペプチドディスプレーライブラリーを用意し; (ii)ディスプレーモードにおいて、このペプチドディスプレーライブラリー
    から、細胞又はその成分に対する所望の結合特異性及び/又は親和性を有する試
    験ペプチドを富化させたディスプレーパッケージの亜集団を単離し; (iii)分泌モードにおいて、この富化させた試験ペプチド亜集団を、これら
    の試験ペプチドが分泌されてディスプレーパッケージから自由となる条件下で同
    時に発現させ;そして (iv)分泌された試験ペプチドの標的細胞において生物学的プロセスを調節す
    る能力を評価する。
  2. 【請求項2】 ペプチドディスプレーライブラリーがファージディスプレー
    ライブラリーである、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 ファージディスプレーライブラリーのディスプレーパッケー
    ジが、M13、f1、fd、If1、Ike、Xf、Pf1、Pf3、λ、T4
    、T7、P2、P4、φX−174、MS2又はf2よりなる群から選択される
    ファージ粒子である、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 ファージディスプレーライブラリーを大腸菌に特異的な繊維
    状バクテリオファージを用いて生成し、そのファージのコートタンパク質がコー
    トタンパク質III又はコートタンパク質VIIIである、請求項2に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 繊維状バクテリオファージを、M13、fd及びf1よりな
    る群から選択する、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ペプチドディスプレーライブラリーが細菌細胞表面ディスプ
    レーライブラリーであるか胞子ディスプレーライブラリーである、請求項1に記
    載の方法。
  7. 【請求項7】 試験ペプチドを、ディスプレーモードのペプチドディスプレ
    ーライブラリーから、細胞又はその成分と特異的に結合する試験ペプチドをそう
    でない試験ペプチドからアフィニティー分離することを含むディファレンシャル
    結合手段によって富化させる、請求項2に記載の方法。
  8. 【請求項8】 ディファレンシャル結合手段が、ペプチドディスプレーライ
    ブラリーの全細胞についてのパニングを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 ディファレンシャル結合手段が、細胞の成分が不溶性マトリ
    クスの部分として与えられるアフィニティークロマトグラフィー手段を含む、請
    求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】 不溶性マトリクスが、ポリマー支持体に付着された細胞表
    面タンパク質を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 ディファレンシャル結合手段が、ディスプレーパッケージ
    の免疫沈降を含む、請求項7に記載の方法。
  12. 【請求項12】 ディスプレーモードが、細胞型特異的マーカーに結合する
    試験ペプチドを富化させる、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 ディスプレーモードが、細胞表面レセプタータンパク質に
    結合する試験ペプチドを富化させる、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 レポータータンパク質が、Gタンパク質共役レセプターで
    ある、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 Gタンパク質共役レセプターを、化学誘引性ペプチドレセ
    プター、神経ペプチドレセプター、光受容体、神経伝達物質レセプター、サイク
    リックAMPレセプター及びポリペプチドホルモンレセプターよりなる群から選
    択する、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 Gタンパク質共役レセプターを、α1Aアドレナリン性受
    容体、α1Bアドレナリン性受容体、α2アドレナリン性受容体、α2Bアドレ
    ナリン性受容体、β1アドレナリン性受容体、β2アドレナリン性受容体、β3
    アドレナリン性受容体、m1アセチルコリン受容体(AChR)、m2AChR
    、m3AChR、m4AChR、m5AChR、D1ドーパミン受容体、D2ド
    ーパミン受容体、D3ドーパミン受容体、D4ドーパミン受容体、D5ドーパミ
    ン受容体、A1アデノシン受容体、A2bアデノシン受容体、5−HT1a受容
    体、5−HT1b受容体、5HT1様受容体、5−HT1d受容体、5HT1d
    様受容体、5HT1dβ受容体、サブスタンスK(ニューロキニンA)受容体、
    fMLP受容体、fMLP様受容体、アンギオテンシンIIタイプ1受容体、エン
    ドテリンETA受容体、エンドテリンETB受容体、トロンビン受容体、成長ホ
    ルモン放出ホルモン(GHRH)受容体、血管作動性腸管ペプチド受容体、オキ
    シトシン受容体、ソマトスタチンSSTR1及びSSTR2、SSTR3、カン
    ナビノイド受容体、卵胞刺激ホルモン(FSH)受容体、ルトロピン(LH/H
    CG)受容体、甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体、トロンボキサンA2受容
    体、血小板活性化因子(PAF)受容体、C5aアナフィラトキシン受容体、イ
    ンターロイキン8(IL−8)、IL−8RA、IL−8RB、δオピオイド受
    容体、κオピオイド受容体、mip−1/RANTES受容体、ロドプシン、赤
    色オプシン、緑色オプシン、青色オプシン、代謝共役型グルタミン酸mGluR
    1−6、ヒスタミンH2受容体、ATP受容体、神経ペプチドY受容体、アミロ
    イドタンパク質前駆物質受容体、インスリン様成長因子II受容体、ブラジキニン
    受容体、性腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体、コレシストキニン受容体、メラ
    ニン細胞刺激ホルモン受容体、抗利尿ホルモン受容体、グルカゴン受容体、及び
    副腎皮質刺激ホルモンII受容体よりなる群から選択する、請求項14に記載の方
    法。
  17. 【請求項17】 レセプタータンパク質が、レセプターチロシンキナーゼで
    ある、請求項13に記載の方法。
  18. 【請求項18】 レセプターチロシンキナーゼが、EPHレセプターである
    、請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 レセプターを、eph、elk、eck、sek、mek4、hek、hek2、e
    ek、erk、tyro1、tyro4、tyro5、tyro6、tyro11、cek4、cek5、cek6、cek7、cek
    8、cek9、cek10、bsk、rtk1、rtk2、rtk3、myk1、myk2、ehk1、ehk2、pagliacci
    o、htk、erk及びnukレセプターよりなる群から選択する、請求項18に記載の方
    法。
  20. 【請求項20】 レセプタータンパク質が、サイトカインレセプターである
    、請求項13に記載の方法。
  21. 【請求項21】 レセプタータンパク質が、MIRRレセプターである、請
    求項13に記載の方法。
  22. 【請求項22】 レセプタータンパク質が、オーファンレセプターである、
    請求項13に記載の方法。
  23. 【請求項23】 ペプチドディスプレーライブラリーが、少なくとも103
    の異なる試験ペプチドを含有する、請求項1に記載の方法。
  24. 【請求項24】 試験ペプチドが、4〜20アミノ酸残基長である、請求項
    1に記載の方法。
  25. 【請求項25】 試験ペプチドの各々が、(i)試験ペプチドのコード配列、
    (ii)試験ペプチドをディスプレーパッケージの集団の表面上にディスプレーす
    るためのディスプレーパッケージの表面タンパク質のコード配列及び(iii)こ
    の表面タンパク質のコード配列に隣接するRNAスプライス部位を含むキメラ遺
    伝子によりコードされ、ディスプレーモードにおいて、このキメラ遺伝子を、試
    験ペプチド及び表面タンパク質を含む融合タンパク質として発現させ、分泌モー
    ドでは、この試験ペプチドを、表面タンパク質のコード配列をRNAスプライシ
    ングにより除去した結果として、表面タンパク質を伴わないで発現させる、請求
    項1に記載の方法。
  26. 【請求項26】 試験ペプチドを、分泌モードで、真核細胞により発現させ
    る、請求項1に記載の方法。
  27. 【請求項27】 真核細胞が、哺乳動物細胞である、請求項25に記載の方
    法。
  28. 【請求項28】 標的細胞が、真核細胞である、請求項1に記載の方法。
  29. 【請求項29】 真核細胞が、哺乳動物細胞である、請求項28に記載の方
    法。
  30. 【請求項30】 哺乳動物細胞が、ヒトの細胞である、請求項29に記載の
    方法。
  31. 【請求項31】 生物学的プロセスが、細胞増殖、細胞分化又は細胞死の変
    化を含む、請求項1に記載の方法。
  32. 【請求項32】 生物学的プロセスが、細胞内カルシウム流動化の変化によ
    り検出される、請求項1に記載の方法。
  33. 【請求項33】 生物学的プロセスが、細胞内タンパク質リン酸化の変化に
    より検出される、請求項1に記載の方法。
  34. 【請求項34】 生物学的プロセスが、臨死質代謝の変化により検出される
    、請求項1に記載の方法。
  35. 【請求項35】 生物学的プロセスが、細胞特異的マーカー遺伝子の発現の
    変化により検出される、請求項1に記載の方法。
  36. 【請求項36】 標的細胞が、細胞表面レセプタータンパク質のシグナル変
    換活性に応答する少なくとも1つの転写調節エレメントに機能的に結合されたレ
    ポーター遺伝子を含むレポーター遺伝子構築物を更に含み、このレポーター遺伝
    子の発現が検出可能なシグナルを与える、請求項13に記載の方法。
  37. 【請求項37】 レポーター遺伝子が、色、蛍光、ルミネセンス、細胞の栄
    養要求性の細胞生存力救済、細胞成長及び薬物耐性よりなる群から選択する検出
    可能なシグナルを生じる遺伝子産物をコードする、請求項36に記載の方法。
  38. 【請求項38】 レポーター遺伝子が、クロラムフェニコールアセチルトラ
    ンスフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ及び分泌型アルカリホスファターゼ
    よりなる群から選択する遺伝子産物をコードする、請求項37に記載の方法。
  39. 【請求項39】 レポーター遺伝子が、成長シグナルを与える遺伝子産物を
    コードする、請求項37に記載の方法。
  40. 【請求項40】 分泌モードが、標的細胞と同時培養した宿主細胞による試
    験ペプチドの発現を含む、請求項1に記載の方法。
  41. 【請求項41】 同時培養した宿主と標的細胞を、試験ペプチドに対して透
    過性である膜によって分離する、請求項40に記載の方法。
  42. 【請求項42】 分泌モードが、分泌された試験ペプチドの、標的細胞に外
    因的に加えられた化合物の生物学的活性を阻止する能力を評価することを含む、
    請求項1に記載の方法。
  43. 【請求項43】 ステップ(ii)において、内皮細胞に結合するディスプレ
    ーパッケージを単離し;そしてステップ(iv)では、分泌された試験ペプチドの
    、内皮細胞の増殖を阻止する能力を評価する、請求項1に記載の方法。
  44. 【請求項44】 ステップ(iv)において、分泌された試験ペプチドの、脈
    管形成量の内因性成長因子の存在下で内皮細胞の増殖を阻止する能力を評価する
    、請求項43に記載の方法。
  45. 【請求項45】 標的細胞における生物学的プロセスを調節する少なくとも
    一の試験ペプチドをペプチド模倣物に変換する更なるステップを含む、請求項1
    に記載の方法。
  46. 【請求項46】 標的細胞における生物学的プロセスを調節する少なくとも
    一の試験ペプチド又はそのペプチド模倣物を製薬上許容し得るキャリアーと配合
    する更なるステップを含む、請求項1〜45に記載の方法。
  47. 【請求項47】 細胞又はその成分に対する所望の結合特異性及び/又は親
    和性を有して標的細胞内で生物学的プロセスを調節する試験ペプチドを富化させ
    たペプチドディスプレーライブラリー。
  48. 【請求項48】 キメラタンパク質のキメラ遺伝子を含むベクターであって
    、該キメラ遺伝子が、(i)試験ペプチドのコード配列、(ii)ディスプレーパッ
    ケージの表面タンパク質のコード配列及び(iii)この表面タンパク質のコード
    配列に隣接するRNAスプライス部位を含み、 ディスプレーモードにおいて、このキメラ遺伝子を、試験ペプチド及び表面タ
    ンパク質を含む融合タンパク質として発現させ、それにより、この試験ペプチド
    をディスプレーパッケージの集団の表面にディスプレーすることができ、 分泌モードでは、この試験ペプチドを、表面タンパク質のコード配列をRNA
    スプライシングにより除去した結果として、表面タンパク質を伴わないで発現さ
    せる、上記のベクター。
  49. 【請求項49】 キメラ遺伝子が、分泌モードにおける試験ペプチドの分泌
    のための分泌シグナル配列を更に含む、請求項48に記載のベクター。
  50. 【請求項50】 分泌シグナル配列が、試験ペプチドの真核細胞からの分泌
    を引き起こす、請求項49に記載のベクター。
  51. 【請求項51】 真核細胞が、哺乳動物細胞である、請求項50に記載のベ
    クター。
  52. 【請求項52】 ディスプレーパッケージが、ファージである、請求項48
    に記載のベクター。
  53. 【請求項53】 ファージを、M13、f1、fd、If1、Ike、Xf
    、Pf1、Pf3、λ、T4、T7、P2、P4、φX−174、MS2又はf
    2よりなる群から選択する、請求項52に記載のベクター。
  54. 【請求項54】 ファージが、大腸菌に特異的な繊維状バクテリオファージ
    であり、表面タンパク質が、コートタンパク質III又はコートタンパク質VI
    IIである、請求項52に記載のベクター。
  55. 【請求項55】 繊維状バクテリオファージを、M13,fd及びf1より
    なる群から選択する、請求項54に記載のベクター。
  56. 【請求項56】 ベクターライブラリーであって、各ベクターは、キメラタ
    ンパク質のキメラ遺伝子を含み、このキメラ遺伝子は、(i)試験ペプチドのコー
    ド配列、(ii)ディスプレーパッケージの表面タンパク質のコード配列及び(i
    ii)この表面タンパク質のコード配列に隣接するRNAスプライス部位を含み
    、 ディスプレーモードにおいては、このキメラ遺伝子を、試験ペプチドと表面タ
    ンパク質とを含む融合タンパク質として発現させ、それにより、この試験ペプチ
    ドを、ディスプレーパッケージの集団の表面にディスプレーすることができ、 分泌モードでは、この試験ペプチドを、表面タンパク質のコード配列をRNA
    スプライシングにより除去した結果として、表面タンパク質を伴わずに発現させ
    、 このベクターライブラリーは、試験ペプチドの多彩な集団を集合的にコードす
    る、当該ベクターライブラリー。
  57. 【請求項57】 キメラ遺伝子が、分泌モードにおける試験ペプチドの分泌
    のための分泌シグナル配列を更に含む、請求項56に記載のベクターライブラリ
    ー。
  58. 【請求項58】 分泌シグナル配列が、試験ペプチドの真核細胞からの分泌
    を引き起こす、請求項57に記載のベクターライブラリー。
  59. 【請求項59】 真核細胞が、哺乳動物細胞である、請求項58に記載のベ
    クターライブラリー。
  60. 【請求項60】 ディスプレーパッケージが、ファージである、請求項56
    に記載のベクターライブラリー。
  61. 【請求項61】 ファージを、M13、f1、fd、If1、Ike、Xf
    、Pf1、Pf3、λ、T4、T7、P2、P4、φX−174、MS2又はf
    2よりなる群から選択する、請求項60に記載のベクターライブラリー。
  62. 【請求項62】 ファージが大腸菌に特異的な繊維状バクテリオファージで
    あり、表面タンパク質がコートタンパク質III又はコートタンパク質VIII
    である、請求項56に記載のベクターライブラリー。
  63. 【請求項63】 繊維状バクテリオファージを、M13、fd及びf1より
    なる群から選択する、請求項62に記載のベクターライブラリー。
  64. 【請求項64】 ベクターライブラリーが、集合的に、少なくとも103
    異なる試験ペプチドをコードする、請求項56に記載のベクターライブラリー。
  65. 【請求項65】 試験ペプチドが、4〜20アミノ酸残基長である、請求項
    56に記載のベクターライブラリー。
  66. 【請求項66】 請求項56に記載のベクターライブラリーを含む細胞の集
    団を含む細胞組成物。
  67. 【請求項67】 選択した抗菌活性を有するペプチドを生成する方法であっ
    て、下記のステップを含む当該方法: (i)試験ペプチドの多彩な集団を含む可溶性ペプチドライブラリーを発現する組
    換え宿主細胞集団を用意し; (ii)これらの宿主細胞を標的微生物と、ペプチドライブラリーが分泌されて標
    的微生物に拡散する条件下で培養し;そして (iii)選択した宿主細胞が、標的微生物の生育を阻止する試験ペプチドを発現
    する。
  68. 【請求項68】 標的微生物が、細菌である、請求項67に記載の方法。
  69. 【請求項69】 標的微生物が、カビである、請求項67に記載の方法。
  70. 【請求項70】 宿主細胞が、細菌である、請求項67に記載の方法。
  71. 【請求項71】 宿主細胞を、標的微生物を埋めた寒天上で培養する、請求
    項67に記載の方法。
  72. 【請求項72】 試験ペプチドの抗菌活性を、寒天中の領域清澄化により測
    定する、請求項67に記載の方法。
  73. 【請求項73】 ペプチドディスプレーライブラリーが、少なくとも103
    の異なる試験ペプチドを含む、請求項67に記載の方法。
  74. 【請求項74】 試験ペプチドが、4〜20アミノ酸残基長である、請求項
    67に記載の方法。
  75. 【請求項75】 標的微生物の生育を阻止する少なくとも一の試験ペプチド
    をペプチド模倣物に変換する更なるステップを含む、請求項67に記載の方法。
  76. 【請求項76】 標的微生物の生育を阻止する少なくとも一の試験ペプチド
    又はペプチド模倣物を製薬上許容し得るキャリアーと配合する更なるステップを
    含む、請求項67〜75に記載の方法。
  77. 【請求項77】 動物の微生物感染を予防し又は治療する方法であって、そ
    の動物に請求項76に記載の医薬製剤を投与することを含む当該方法。
  78. 【請求項78】 動物の血管形成プロセスを調節する方法であって、その動
    物に請求項46に記載の医薬製剤を投与することを含む当該方法。
  79. 【請求項79】 図1、2又は3に示した構築物。
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