JP2002526785A - 疎水性防壁によって規定された反応区域を有するスライド - Google Patents

疎水性防壁によって規定された反応区域を有するスライド

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JP2002526785A
JP2002526785A JP2000564087A JP2000564087A JP2002526785A JP 2002526785 A JP2002526785 A JP 2002526785A JP 2000564087 A JP2000564087 A JP 2000564087A JP 2000564087 A JP2000564087 A JP 2000564087A JP 2002526785 A JP2002526785 A JP 2002526785A
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Abstract

(57)【要約】 生物学的標本を固定し、次に分析処理するためのスライドであって、実質的に全ての境界を画する疎水性防壁によって仕切られた少くとも1つの反応区域を有する前記スライド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】技術分野 本発明は、顕微鏡用スライド、特に、疎水性の縁によって仕切られていて、且
つ分析する試料に対する親和性を有する少くとも1つの反応区域を有する顕微鏡
用スライドに関する。
【0002】発明の背景 細胞抗原は、患者の病症状の存在を指示する重要なマーカーとして認知されて
いる。細胞上のその様な抗原マーカーを、当抗原とそれに対応する抗体との反応
を、蛍光、金粒子又は可視色素の酵素反応によって視覚化することに基づいて検
出する方法が文献に記載されている。この様な方法は一般に免疫染色法と称され
ている。この反応過程を、懸濁した細胞上で行うことができ、その場合、透過式
測定装置によって、又は染色した細胞を顕微鏡用スライドに移した後、顕微鏡に
よって評価を行う。
【0003】 患者から、例えば生検によって、採取した組織標本に対しても免疫染色を行う
。この様な組織標本を、日常的に、操作及び分析の簡便さのためにスライド上に
マウントする。組織標本をのせたスライドを調製するという方法(Elias, j.,“
Immunohistopathology : A Practical Approach to Diagnosis”ASCO Press, 19
90, pp. 3-4)のために、顕微鏡用スライド上で組織標本の大きさ及び/又は位置
が、そのスライドの比較的に大きな面域内でかなり変動し得る。スライド上の適
切な位置に染色剤を適用するために、そして適当な時間且つ適当な量ですすぎ過
程及びその他の操作過程を行うために、最近まで、全てのその様な染色操作は手
動で行われていた。
【0004】 しかし、現代の免疫染色法ではしばしば多過程の染色法が要求され、しかも多
数の組織標本を検査し、又はその他の診断試験を行う研究所では、染色又は診断
方法の自動化が望まれている。従って多くの製造業者が、スライド上の組織標本
を自動染色するための装置、並びに種々の試薬を用いる他の観点の診断方法を自
動化する装置を開発してきた。
【0005】 自動処理する装置において顕微鏡用スライドの取り扱い及び分析を容易にする
試みにおいて、スライド面域を別々の反応区域に定めること、そしてそれらの区
域を、組織標本のマウント及び固定を容易にする様に調製することが望ましいと
思われる。
【0006】 文献には、スライド表面上で、前記検出方法のために用いられる細胞を固定す
る技術、例えば、検査する調製試料、例えば細胞、を固定する位置に限定された
反応野を作成することを含む前記技術が記載されている。例えば、プラスチック
フィルムによりスライドの表面を被い、その中に1又は複数の開放領域が作られ
たスライドが知られている。次に、そのプラスチックフィルム内に露出された前
記開口部のスライド表面を、調製した細胞をスライドに付着させることができる
物質、例えばポリ−L−リシンによってコーティングする(Transplantation 25
(6) : 331-334 (1978))。
【0007】 その様な領域を有するスライドを、スライドの全表面を撥水剤によってコーテ
ィングし、次に所望の領域に存在する前記薬剤を濃縮硫酸、次に水酸化ナトリウ
ム溶液によって取り除くことによって、作成することも知られている(Transpla
ntation 28 (3) : 257-259 (1974))。この実験でも、露出した領域のガラス表面
が、細胞接着を促すためにポリ−L−リシンによってコーティングされる。
【0008】 この様なスライド及びその調製方法の更なる開発が米国特許No. 4705705 に開
示されていて、そこでは、スライドの一方の面のある領域が、その表面に接着す
る除去可能材料によってコーティングされている。次にそのスライドの全表面が
疎水性物質によってコーティングされ、前記コーティング材料を除くことにより
前記領域が露出され、そして露出された領域が、調製した組織に対して親和性を
有する物質によってコーティングされる。
【0009】 これらの全ての技術により、顕微鏡用スライド上に、処置する細胞を固着させ
ることが可能となり、このことは、懸濁した細胞を用いた従来の方法と比較して
かなりの進歩である。特に、多くの検査においてより簡単な取り扱いが達成され
、従ってインキュベーション及び洗浄操作を自動的に行うことができる。更に、
自動処理装置により、試薬による適切な処理を確実に行うこと、及びスライド全
体をコーティングする必要がないために廃棄量を減らすことがより容易に可能と
なろう。
【0010】 しかし、その様な処理された領域を有する従来のスライドは、1つには反応野
を仕切る領域の液体忌避作用の点から、もう1つには反応野の実際の表面上に検
査する調製物、特に細胞を固定することに関して、完全に満足できるものではな
い。従って、凍結組織切片、ホルマリン固定したパラフィン切片、及び細胞学的
調製品のために容易に用いられるスライド及びその調製方法を提供することが望
まれると思われる。
【0011】 事前にプログラム設定された反復作動及び処置過程を伴った自動処理装置にお
いて容易に用いられるこの様なスライドを生産するための簡単な方法を提供する
ことも望まれるだろう。
【0012】発明の説明 本発明は、生物学的標本の固定及びそれに続く分析処理のためのスライドを提
供する。1つの点としては本発明は、実質的に矩形で且つ平らな上部面を有する
スライド基体を有し、その上部面上に規定された少くとも1つの反応区域を有し
、そしてその反応区域の全境界を画する疎水性防壁を有するスライドを提供する
。スライド基体に適用することにより、この防壁は、反応区域上にのせた一定量
の水性溶液が、その区域の境界から出ない様にするために十分な高さまで、スラ
イドの上部面から上方向に突き出す。更にこのスライドは、反応区域内のスライ
ド上部面と、その上部面に接触する様に配置する生物学的標本との結合を強める
ための手段を有する。この結合は、標本に、使用者が望む通りの分析処理過程を
施すために十分なものである。
【0013】 本発明は、典型的な事前にプログラムされた反復作動及び処理過程を行う自動
スライド処理装置で使用することに特に適する。
【0014】発明の詳細な説明 本発明は、生物学的標本の固定及びそれに続く分析処理のためのスライドを提
供する。1つの点としては本発明は、実施例に矩形で且つ平らな上部面を有する
スライド基体を有し、その上部面上に規定された少くとも1つの反応区域を有し
、そしてその反応区域の全境界を画する疎水性防壁を有するスライドを提供する
。スライド基体に適用することにより、この防壁は、反応区域上にのせた一定量
の水性溶液が、その区域の境界から出ない様にするために十分な高さまで、スラ
イドの上部面から上方向に突き出す。更にこのスライドは、反応区域内のスライ
ド上部面と、その上部面に接触する様に配置する生物学的標本との結合を強める
ための手段を有する。この結合は、標本に、使用者が望む通りの分析処理過程を
施すために十分なものである。
【0015】 事実上任意のサイズであり、そして事実上任意の物質から作られたスライドに
よって本発明を実施することが可能であるが、自動処理装置での使用を促すため
に、高度の基準化が望ましいであろう。その第1点として、典型的には、顕微鏡
用スライドを、細胞及び組織の分析処理に用い、そして前記スライドのサイズを
、大まかには幅約25mm、長さ約75mm及び厚さ約1mmであると基準化した。スライ
ドは、多数の異なる材料、例えばガラス及び種々のプラスチックから作られるが
、ガラススライドが、種々の特性、例えば強度、透過性、及びかき傷やその他の
欠陥に対する耐性の点で最も容易に受け入れられることが分った。特に好ましい
ガラスはソーダ石灰ガラスである。
【0016】 従って、部分的には基準化したガラススライドを使用することにより、本発明
は、実質的に矩形で且つ平らな上部面を有するスライド基体を、部分的には含ん
で成る。実質的に矩形であるとは、基準化したサイズを有する一連の本発明のス
ライドが矩形であると認められ、現代の製造技術に固有の標準的な変動の範囲内
でのみ典型的には変動することを意味する。自動スライド処理のために、当スラ
イドは、個々の間で、又はロット間で実質的に変動しないことが重要であるが、
矩形のスライドの使用は、大きくは、慣習的な問題であろう。通常のスライドの
上面及び下面は、大きくは互換性があるが、一旦、スライド上で本発明の種々の
特徴が現れた場合、上面と下面の互換性は失なわれ、スライドの上面が明確にな
る。
【0017】 本発明に従って作成されたスライドでは、そのスライドの上面は、一般的には
、2つの異なる領域:反応領域及びラベル領域を含んで成ると考えられる。
【0018】 ラベル領域は、スライド上で、その平らな上面の約25%までの領域から成り、
そしてその矩形スライドの一端に位置するものである。再び自動処理を容易にす
るために、ラベル領域は、生物学的標本の処理には直接関与しないスライド上の
一部分である表示用領域であるとみなされ、そしてスライドの残りの部分は、分
析処理の間に処理を行い得る領域として、自動処理装置によって認識されるため
に基準化される。
【0019】 スライドのラベル領域は、典型的には、生物学的標本の名称、その起源、行う
分析処理、そしてスライド上の標本に強く関連して同定のために使用者が重要で
あると考えるその他の追加情報を目的としたラベル区域から成る。このラベル領
域を、表面をざらざらにする処置によって提供することができ、これは「つや消
しガラス」と称され、使用者がその上に情報を書き込むことができる。あるいは
追加でもよいが、その様な情報を、言語情報又は機器読み取り可能情報、例えば
情報をコード化したバーコードによって提供してもよい。従って、コード化され
た情報を認識し、そして作用することができる自動処理装置のために、ラベル領
域は、スライド及びその内容物の独特な同定のための手段を提供する。場合によ
り、ラベル領域は、例えば、スライドの製造者又はスライド操作を容易にする処
理装置を特定するために必要な部域を含み得る。
【0020】 スライドの反応領域では、本発明は、スライド上面上に規定された少くとも1
つの反応区域を提供する。再び自動処理を容易にするために、そして貴重且つ高
価な分析試薬の消費を節約するために、スライド表面上の反応区域のサイズ及び
位置を基準化することが望ましいであろう。反応区域のサイズ及び位置の代替選
択を限られた数で提供することにより、その限られた数のスライドから選択する
こと、そして、例えばラベル区域内の機械読み取り可能なラベルを用いることを
介して、自動処理装置の操作及び貴重な試薬の節約が容易となろう。
【0021】 本発明では、少くとも3つの代替的な反応区域配置を提供することが望ましい
であろう。各々の場合で、反応区域の少くとも一部分の外側の縁は、スライド上
面を提供するスライド基体の縁と実質的に共通である。例えば、最初の例として
、ラベル領域として規定された上面の 1/4〜1/3 を残して、スライド上面の約2/
3 にわたる反応区域が提供される。
【0022】 この実施態様では、反応区域の境界は、スライド基体の3辺の縁と実質的に共
有であり、そしてスライド基体の4つ目の辺と平行である。図1に示す通り、ス
ライド基体のサイズが長さ約75mm、そして幅約25mmである基準スライドを用いた
場合、この実施態様の反応区域は、長さ約50mm、そして幅約25mmである。ただし
反応区域を規定する防壁部材の幅は実質的に無視できるほどであると仮定する。
実質的に無視できるほどであるとは、1〜2mm又はそれ未満であることを意味す
る。従って、この疎水性の防壁部材は、反応区域の全境界を実質的に画し、望ま
しくは、自動製造行程に合致する範囲内で連続的にその様な間隙が許される。理
想的な場合には、間隙は存在せず、防壁部材は反応区域の境界を完全に画する。
【0023】 スライド基体に適用することにより、防壁部材は、スライド基体の上面から上
方向に突き出す様に、一定の高さを有する。しかし、上方向への突出の大きさは
、それが防壁部材自体の特性であり、むしろ反応区域を規定し、その境界内に、
処理過程中に用いられる任意の物質を保持することを目的とした任意の機械的な
属性であるという点で比較的に非実質的であると考えられる。
【0024】 本発明の別の態様は図2に示された通りであり、この場合、反応区域はスライ
ド基体の全上面の約50%である。すなわち、再び前記サイズの基準スライドを用
いた場合、この態様の反応区域は長さ30mm、そして幅約25mmである。従って、ス
ライド上面のいくらか小さい領域が生物学的標本の固定のために用いられ、そし
て次の自動分析処理における任意の処理過程では、スライド上のより小さい領域
に試薬及びその他の溶液を適用することが必要となる。この様にして、より少く
ない生物学的標本をより限られた領域にマウントすることができ、そして生物学
的標本を確実に処理するためにより少ない試薬が要求される。
【0025】 本発明の更に別の態様は図3に示された通りである。この態様は複数の反応区
域を有し、そのために図1に示した反応区域をほぼ同サイズの3つの別の区域に
分ける2つの中間防壁部材を組み込む。すなわち、前記の基準スライドを用いた
場合、3つの個別の反応区域は各々長さ約15mm、そして幅約25mmである。この様
にして、複数の生物学的標本を、同一スライド上にマウントすることができ、そ
して直接比較するために、それらに同一の又は異なった分析処理過程を行うこと
ができる。あるいは単に、自動処理装置の仕事量を増やすために、いくらかより
小さな3つの標本をマウントすることも望ましい。おそらくいくらか面倒であろ
うが、ラベル領域に記された情報、典型的には機械読み取り可能なデータ、によ
り、その索引機能を介して3つの反応区域を別々に同定することもできるだろう
。従って別々の生物学的標本と別々の処理過程を用いることができ、そしてその
情報を適宜追跡することができる。
【0026】 本発明の反応区域の全境界を実質的に規定し且つ仕切る防壁部材は、望ましく
は、反応区域に適用する種々の物質の移動を抑制し、そして反応区域の境界を越
える混入を実質的に抑えるための種々の特性を有する。この防壁特性において穏
当な役割を果たすと思われる既に記載した1つの特徴は、スライド基体の上面か
ら上方向に突き出した防壁部材の高さであろう。しかし、それによる寄与は、絶
対的な意味で評価することは難しいが、比較的に穏当なものであろうと予想され
る。
【0027】 より重要なことは、防壁部材が疎水性物質から成ることであり、防壁部材の疎
水性特性が、特に全ての自動処理行程で水性試薬及び溶液を用いるという点で、
主要な防壁機能を有すると思われる。防壁部材を形成するための疎水性化合物の
使用は、水性溶液に固有の特性であるかなり実質的な凝集力と相まって、反応区
域からの水性溶液の移動に対して実質的に物理的な防壁を提供する。従って、そ
の様な疎水性と親水性との相互作用を利用することにより、試薬及び/又は水性
溶液が希望の箇所に留まり、そして単一スライド上の反応区域間で、又は隣接す
るスライドの反応区域間での試薬の混入又は損失に至らない様に、一定量の試薬
を反応区域に系統的に適用することができるスライド基体上の反応区域の設計が
可能となる。
【0028】 当業界で多数の疎水性化合物が十分に知られているが、種々の機械的製造技術
によってスライド基体の上面に反応区域を仕切るために、疎水性インクを使用す
ることが望ましいと現在思われている。その様な技術には、例えば、シルクスク
リーン適用法又は、例えばコンピュータ制御インクジェットプリンターによる正
確な防壁部材のコンピュータ制御がある。疎水性インクの望ましい成分は、テフ
ロン(登録商標)などの物質である。これは非常に実質的な疎水性特性を有する
有名な物質である。従って、当該インクは、種々の不揮発性成分、例えばテフロ
ン、及び任意の色素、又は防壁部材の均一性及び均質性を促すためのその他の物
質を含有するだろう。また種々の揮発性成分、例えば溶剤、乾燥剤、並びにイン
クの流動性及び適用後の急速乾燥を促すための類似物質が含まれるだろう。従っ
て、この好ましい態様に従って作成された防壁部材は、スライド上で、防壁部材
の作成に用いられる疎水性インクの不揮発性残査から成るであろう。正確な組成
は知られていないが、現在好ましい態様であるその様なインクは、S-902 グレー
と称するテフロンを含む疎水性インクである。これはErie Scientific Company,
Portsmouth, New Hampshireから入手できる。
【0029】 当該スライドに施す種々の分析行程には、典型的に少くとも1回の「洗浄」過
程が必要とされることにも注意すべきである。その過程では、スライドの反応区
域上に添加した試薬又は溶液を、しばしば洗浄溶液によってその区域から流し去
るか、又はその他の機械的手段によって取り除く。従って、反応区域を越えて添
加した試薬又は溶液が移動しないという反応区域の抵抗性が、洗浄溶液又はその
他の手段、例えば空気などのガスの噴射による洗浄過程において克服される必要
がある。
【0030】 本発明の更に別の望ましい特徴は、主に反応区域内のスライド上面と、その上
面に接触させて、次の分析処理のために反応区域に固定する生物学的標本との結
合を増強するための手段を用いていることである。明らかに、反応区域内の生物
学的標本とそのスライド上面との結合は、その標本に、分析処理の適当な行程と
同基準の合理的処理を施すために十分なものであることが望ましい。従って、標
本が、スライドに一旦固定された後には、そこから解離しないこと、そして次の
処理、分析及び保存の際中に実質的に永続して接着し続けることが必要である。
【0031】 スライド表面と生物学的標本との結合を強くする手段は、スライド全体の特徴
であってもよいし、又は適当に反応区域に制限されてもよい。適用のための適当
な技術は、大きくは、スライド製造の効率、そしておそらく結合増強に用いられ
る材料の費用に依存して選択される。
【0032】 プラスチック材料、例えばポリメチルメタクリレート又はポリカーボネートの
スライドを用いることが可能であり、それらは最も一般的に用いられる生物学的
標本に対して実質的な結合親和性を有するものであるが、既に指摘した様に、ガ
ラススライドが特に好ましく、従ってガラススライドの表面と生物学的標本との
結合を強めることが望まれる。
【0033】 典型的には、スライド基体の上面の反応区域を、アルカリ薬剤、例えばアルカ
リ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、ある
いはアルカリ洗剤によって処理し得る。この処理により、スライド基体の表面が
アルカリ性に変化し、従って正味の正荷電が付与される。この正味の正荷電は、
ガラス表面と生物学的標本との結合を増加する効果があり、この結合効果を促進
又は修飾するために別の薬剤を使用し得る。この目的に適することが示されてい
る物質は、ガラス表面に接着し、且つ生物学的標本に特有の細胞又はタンパク質
と結合するものであり、塩基性タンパク質及び塩基性色素、例えばポリ−L−リ
シン、スペルミジン、ポリアルギニンなどは、細胞又は組織の種々の成分、ある
いは単離された生物学的タンパク質と、細胞又はタンパク質表面の正味の負荷電
のために、結合するだろう。あるいは代りのものとして、特定の分子、例えば細
胞及び組織の表面に存在する分子と反応する多数の物質、例えば抗体、例えば特
定の細胞膜抗原に特異的な抗体が知られている。この技術を、特定のタンパク質
及び細胞を単離するために用いることができ、その場合、本発明のスライドは、
生物学的標本の固定のためだけでなく、その固定及び選択のためにも用いられる
【0034】 当業界では、ガラスと生物学的標本との結合を増強するための多数の代替方法
が広く知られているが、現在、Erie Scientific Company, Portsmouth, New Ham
pshireにより開発された独占方法を用いることが好ましい。この方法は、ADCELL (advanced cell adhesive technology)として知られており、細胞及び組織切片
をガラス表面に引き付けるため、そして生物学的標本を確実にガラス表面に結合
させるために特に有益であることが示されている。この技術は、反応区域の平方
ミリメートルあたりの生物学的情報密度を向上させる単層標本をより良好に確立
することができると言われている。この技術は、種々の分析処理行程、例えばin
situ DNA ハイブリダイゼーション法における免疫ペルオキシダーゼ、免疫アル
カリホスファターゼ、比色及び放射性標識行程のために、新鮮な細胞、凍結組織
切片及びホルマリン固定組織標本を接着させるために十分に機能すると言われて
いる。凍結組織切片及びその他の細胞学的調製物を用いる場合にも有用であるこ
とが示されている。前記標本はスライドに結合し、そして染色、電子レンジ処理
、化学剤回収(米国特許5,244,787 及び5,578,542 参照)、並びに酵素消化、DN
A 変性及びRNA ハイブリダイゼーションの際中にその場所に止どまるであろう。
しかし、ADCELL処理したガラススライドが一旦、環境薬剤に接触すると、正味の
正荷電、従って結合増強は経時的に消失し得ることが注意される。
【0035】 以下の実施例を、本発明の種々の態様を説明するために提供する。これらは、
発明の範囲を限定するものではない。実施例 以下の実施例では、生物学的標本の固定及び分析処理のために、本発明に従っ
てスライドを調製することを説明する。このスライドは、全境界を実質的に仕切
る疎水性防壁によって規定された少くとも1つの反応区域を有する。
【0036】実施例1 75mm×25mm×1mm±0.04mmのサイズのソーダ石灰ガラス製スライドを用意する
。このソーダ石灰ガラスは、約72.2%二酸化珪素、14.3%酸化ナトリウム、 1.2
%酸化カリウム、 6.4%酸化カルシウム、 4.3%酸化マグネシウム、 1.2%酸化
アルミニウム、並びに微量の酸化第二鉄及び三酸化イオウから成る。スライドに
は、気泡などの外来性物質が埋め込まれてなく、ふくれ及び内部のくもりが無く
、更に粗い又は鋭利な切断面及び辺が無いことが望ましい。場合により、図1に
示した通り、スライドの一方の末端は、言語情報又は機械読み取り情報を書き込
むラベル領域を提供するためにつや消しにする。
【0037】 テフロンを含有するS902グレー疎水性インク(Erie Scientific Company, por
tsmouth, NH)を用いて、図1の通りのサイズでスライド表面上に、疎水性防壁領
域をスクリーンプリントする。反応区域を仕切る当防壁部材は、反応区域の長さ
を規定する部材において幅約1mmであり、そして反応区域の幅を規定する部材に
おいて幅約2mmである。 このスライドを、標本結合特性を強化するためにADCELL細胞接着方法(Erie S
cientific Company, Portsmouth, NH)によって処理した。
【0038】実施例2 75mm×25mm×1mm±0.04mmのサイズのソーダ石灰ガラス製スライドを用意する
。このソーダ石灰ガラスは、約72.2%二酸化珪素、14.3%酸化ナトリウム、 1.2
%酸化カリウム、 6.4%酸化カルシウム、 4.3%酸化マグネシウム、 1.2%酸化
アルミニウム、並びに微量の酸化第二鉄及び三酸化イオウから成る。スライドに
は、気泡などの外来性物質が埋め込まれてなく、ふくれ及び内部のくもりが無く
、更に粗い又は鋭利な切断面及び辺が無いことが望ましい。場合により、図2に
示した通り、スライドの一方の末端は、言語情報又は機械読み取り情報を書き込
むラベル領域を提供するためにつや消しにしする。
【0039】 テフロンを含有するS902グレー疎水性インク(Erie Scientific Company, Por
tsmouth, NH)を用いて、図2の通りのサイズでスライド表面上に、疎水性防壁領
域をスクリーンプリントする。反応区域を仕切る当防壁部材は、反応区域の長さ
を規定する部材において幅約1mmであり、そして反応区域の幅を規定する部材に
おいて幅約2mmである。 このスライドを、標本結合特性を強化するためにADCELL細胞接着方法(Erie S
cientific Company, Portsmouth, NH)によって処理した。
【0040】実施例3 75mm×25mm×1mm±0.04mmのサイズのソーダ石灰ガラス製スライドを用意する
。このソーダ石灰ガラスは、約72.2%二酸化珪素、14.3%酸化ナトリウム、 1.2
%酸化カリウム、 6.4%酸化カルシウム、 4.3%酸化マグネシウム、 1.2%酸化
アルミニウム、並びに微量の酸化第二鉄及び三酸化イオウから成る。スライドに
は、気泡などの外来性物質が埋め込まれてなく、ふくれ及び内部のくもりが無く
、更に粗い又は鋭利な切断面及び辺が無いことが望ましい。場合により、図3に
示した通り、スライドの一方の末端は、言語情報又は機械読み取り情報を書き込
むラベル領域を提供するためにつや消しにする。
【0041】 テフロンを含有するS902グレー疎水性インク(Erie Scientific Company, por
tsmouth, NH)を用いて、図3の通りのサイズでスライド表面上に、疎水性防壁領
域をスクリーンプリントする。反応区域を仕切る当防壁部材は、反応区域の長さ
を規定する部材において幅約1mmであり、そして反応区域の幅を規定する部材に
おいて幅約2mmである。図3にも示した通り、3つの実質的に同一の反応区域を
規定する2つの中間防壁部材が存在する。 このスライドを、標本結合特性を強化するためにADCELL細胞接着方法(Erie S
cientific Company, Portsmouth, NH)によって処理した。
【0042】 その後、実施例1〜3に従って調製したスライドを、多数の分析処理方法にお
いて用いる。その方法では、前記スライドと共に、製造業者の説明書に従って最
適自動免疫染色装置(BioGenex Laboratories, San Ramon, California)を用い
る。この自動免疫染色機は、米国特許5,439,649 の対象である。
【0043】 この様にして、前記の通りの多数の分析方法を行うために、一方で種々の高価
な試薬を節約するために、そしてスライド上で、及びスライド間で混入を防ぐた
めに、本発明を実施することにより、均一なスライドを提供する。
【0044】 本明細書に引用した全ての特許及び特許出願を、本明細書に組み入れる。 前記開示内容から、請求の範囲内で変更又は改変し得ることは当業者には明白
であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、矩形スライドの上面の約2/3 を占める単一の反応区域を有する本発明
のスライドの平面図である。
【図2】 図2は、スライド上面の約50%を占める反応区域を有するスライドの平面図で
ある。
【図3】 図3は、図1のスライドにおいてその反応区域をほぼ同サイズの3つの別個の
区域に再分割する2つの中間の疎水性防壁を追加することによって作成された複
数の反応区域を有する本発明のスライドの平面図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記を含んで成る、生物学的標本の固定、そして次の分析処
    理のためのスライド: a.実質的に矩形で平らな上面を有するスライド基体; b.反応区域の全境界を実質的に仕切る疎水性防壁部材によって前記上面上に
    規定された少くとも1つの反応区域、ただし前記防壁部材は、前記反応区域上に
    のせた一定量の水性溶液がその区域の境界を越えない様にするために十分な高さ
    まで、その反応区域から上方向に突出するものであり;そして c.前記反応区域内のスライドの上面と、その上面に接触する様に配置される
    生物学的標本との結合を増強するための手段、ただし前記結合は、前記標本が分
    析処理を受けるために十分なものである。
  2. 【請求項2】 前記反応区域の境界が、前記スライド基体の3辺の縁と実質
    的に連続的であり、そして前記スライド基体の4つ目の辺と平行である、請求項
    1に記載のスライド。
  3. 【請求項3】 前記スライド基体が、長さ約75mm、そして幅約25mmである、
    請求項2に記載のスライド。
  4. 【請求項4】 前記反応区域が、長さ約50mm、そして幅約25mmである、請求
    項3に記載のスライド。
  5. 【請求項5】 前記反応区域が、長さ約30mm、そして幅約25mmである、請求
    項3に記載のスライド。
  6. 【請求項6】 前記反応区域が、その反応区域を、各々長さ約15mm、そして
    幅約25mmである3つの別個の区域に再分割する2つの中間防壁部材を更に含んで
    成る、請求項4に記載のスライド。
  7. 【請求項7】 前記境界部材が、前記スライド基体に付着させた疎水性化合
    物を含んで成る、請求項1に記載のスライド。
  8. 【請求項8】 前記疎水性化合物がテフロン(登録商標)を含んで成る、請
    求項7に記載のスライド。
  9. 【請求項9】 前記疎水性化合物が、疎水性インクの不揮発性残査である、
    請求項8に記載のスライド。
  10. 【請求項10】 前記の結合を増強するための手段が、前記スライド上面と
    前記生物学的標本との結合を付与する物質を含んで成る、請求項1に記載のスラ
    イド。
  11. 【請求項11】 前記結合がイオン結合である、請求項10に記載のスライド
  12. 【請求項12】 前記の結合の手段が、前記反応区域内のスライド基体の上
    面に正味の正荷電を付与する、請求項11に記載のスライド。
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