JP2002519068A - 組換えアデノ−随伴ウィルスを生産するための組換えヘルペスウィルス - Google Patents

組換えアデノ−随伴ウィルスを生産するための組換えヘルペスウィルス

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Abstract

(57)【要約】 AAVのrep遺伝子およびcap遺伝子を有する組換えヘルペスウィルスならびに高力価、高い感染性のアデノ−随伴ウィルスベクター調製物の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、組換えヘルペスウィルス、その製法ならびに高力価の感染アデノ−
随伴ウィルスベクター調製物の製法に関する。
【0002】 数多くの遺伝病が公知であるが、このために効果的な治療は今日まで見出され
ていない。遺伝病を治療するための1つの可能な方法は、遺伝子病を修正するこ
とができる特定の遺伝子を患者のゲノム中に挿入することであり、その結果、前
記遺伝子は患者のDNA中に存在し、かつそこで複製できる。
【0003】 修正する所望の遺伝子を細胞中に挿入するために、ベクターを使用することが
でき、その際にアデノ−随伴ウィルス(AAV)をベースとする遺伝子治療用の
ウィルス性ベクターは、他のウィルス性ベクター系に対して、かなりの利益を有
する。AAVは非常に安定であるが、しかし非病原性ウィルスである。さらに、
これは幅広い組織親和性を有し、かつ増殖細胞と同様に休止細胞中も効率的に染
色体を組込む能力を有する。
【0004】 ウィルス性ベクター系として、大抵はアデノ−随伴ウィルスタイプ2(AAV
-2)をベースとするAAVベクターが使用される [Carter, Curr. Opinion. Bio
tech. 3(1992) 533; Muzyczka, Curr. Top. Microbiol. Imm. 158(1992) 97]。
AAV-2は、広く蔓延するヒトウィルスであり、その際、大抵は幼年期に起き
る一次感染の際には、病原性は誘導されない。AAV-2がガン遺伝子の可能性
を備えているらしいという示唆もない。AAV-2の高い安定性に基づいて、こ
のウィルスは、費用のかかる精製方法でも感染力を失うことない。
【0005】 AAV−2は、2つの遺伝子を有する小さな一本鎖のDNAウィルスである:
4個の重複する調節タンパク質、Rep78およびRep52および両方のタン
パク質のC−末端がスプライスングされた変異体、Rep68およびRep40
をコードするrep−遺伝子である。Repタンパク質は、AAV遺伝子制御、
DNA−複製およびウィルスパッケージングに利用される。cap−遺伝子は、3
個のウィルス−カプシドタンパク質をコードする。両方の遺伝子repおよびc
apは、“複製の起点”として利用される145bpの長さの逆方向反復配列によ
りフランキングされている。これらは、DNA−複製のためのCisにおいて、ホ
スト細胞ゲノム中のウィルスパッケージングおよび組込みに必要である唯一のA
AV DNA配列であり、その結果、約4.7kbの長さの外部配列をそれぞれ
のベクター中へクローニングさせることができる。
【0006】 AAVは、複製欠損性であり、かつヘルパーウィルスとの同時感染の効果的な
増殖に必要である。ヘルパーウィルスなしに、AAVは高頻度でホスト細胞ゲノ
ム中に組み込まれ、その際、染色体19(q13.3-qter)上の特殊な遺伝子座が著
しく有利である。従って、組込みはウィルス性または細胞性のDNA−複製に依存
しない。上記の利点に基づき、AAVベクターは、非増殖細胞中への遺伝子の導
入および安定な組込みに理想的な必要条件を提供する。遺伝子治療には、通常は
異種の所望の遺伝子産物をコードするDNAを有する組換えAAVベクターが使
用される。しかし、異種のDNAのAAVベクター中への挿入により、repお
よびcap発現が阻害されてしまう。従って、組換えAAVベクターを増殖させ
るために、このタンパク質を発現するタンパク質もしくは系を外側から供給しな
くてはならない。
【0007】 この増殖は、例えば組換えAAVベクターとヘルパープラスミドを用いるアデ
ノウィルス感染細胞のコトランスフェクションにより行うことができ、その際A
AVのrep遺伝子およびcap遺伝子は、アデノウィルス タイプ5の複製起
源(“Origins of Replication”)によりフランキングされる。ヘルパープラス
ミドは、アデノウィルス感染細胞中で複製され、その結果AAVベクターを増殖
するために十分な量のRepおよびCapが提供される。rep−およびcap
−発現構築物は、AAVベクターと共通のDNA-配列を有さず、その結果、相
同的組換えにより感染した野生型AAVのベクター調製物が生じ得ない(Samuls
ki et al., J. Virol. 63 (1989), 3822)。しかし、これらの系の欠点は、1ml
当たりに10〜10の感染粒子を有する達成可能なウィルス力価は、1ml
当たりに1012まで達成できる野生型AAVの場合よりも著しく低いことであ
る。さらに、新たな細胞上のそれぞれのバッチは、AAVベクターおよびrep
−およびcap−発現ヘルパープラスミドを用いてコトランスフェクションさせ
、引き続きアデノウィルスで感染させなくてならない、それというのもヘルパー
プラスミドはウィルスとしてパッケージングされず、ひいては感染によりうつす
ことができないからである。
【0008】 J. Conway 等[J. Virol. 71 (11) (1997), 8780-8789]は、RepおよびCa
pを発現する単純ヘルペスウィルス(HSV)タイプ1 アンプリコンを用いる
組換えAAVタイプ2の複製およびパッケージング方法を記載している。HSV
-アンプリコンは、HSV−カバー(Huellen)中にパッケージングされており、
従って野生型−HSVの存在だけで増殖することができる。野生型HSVおよび
パッケージングされたアンプリコンの相対比は、共通の増殖の際に予測不可能で
ありかつ殆ど調節することができない。両方のウィルス集団を精製により相互に
分離する方法はない、それというのも、両方に共通のカバーは、本質的に物理化
学的特性を有するからである。さらに、成長に関して欠点を有するアンプリコン
が既に数回の継代後にもはや検出不可能な量でしか存在しないという問題が生じ
る。従って、それぞれのrAAV−調製物用にアンプリコン−プラスミドを新た
にトランスフェクションし、かつ野生型HSVを用いて感染させる場合にアンプ
リコン系は再現可能に使用できるにすぎない。しかし、それぞれの増殖サイクル
用にアンプリコンプラスミドを新たにトランスフェクションしなくてはならない
結果となり、このことは、まさしく上記のパッケージング系の欠点である。
【0009】 自己複製しないプラスミドを使用ことに関連する欠点をAAV−遺伝子rep
およびcapが十分に高い量で発現する安定な細胞系を樹立化することにより解
決することが試みられている。しかしRepは有毒であるため、Rep78また
はRep68を発現する機能性がある安定な細胞クローンの形成は、非常に困難
である。
【0010】 WO 95/06743には、ヘルパーウィルスとしてアデノウィルス構築物を使用する
組換えAAVの製法が記載されており、その際に、ヘルパーウィルスとしてAA
Vのrep−およびcap−遺伝子を有する組換えインサートを含むアデノウィ
ルス構築物が使用されている。Repタンパク質の発現は、AAVで感染した細
胞中でアデノウィルス感染を阻止し、その結果、高力価の調整物を得ることがで
きない。WO 95/06743には、アデノウィルスベクターの代わりにヘルペスウィル
スベクターの使用が記載されている。ただし、野生型に復帰しないAAV−遺伝
子領域を有する安定な組換えヘルペスウィルスを製造することができるが、追試
可能な方法は記載されていない。
【0011】 従って、本発明の課題は、臨床規模において使用するのに必要な組換えAAV
−ベクターを高力価の調製物として有するシステムを提供することである。本発
明のもう1つの課題は、先行技術の課題が少なくとも部分的に取り除かれたAA
V−ベクターを増殖するためのヘルパー調製物を提供することである。
【0012】 これらの課題は、AAV−遺伝子repおよびcapが十分に高い量で発現さ
れ、かつAAV−ベクターが感染により増殖することができる本発明による安定
な細胞系により解決された。
【0013】 本発明は、アデノ随伴ウィルス(AAV)のrep遺伝子およびcap遺伝子
、例えばAAV−2のrep遺伝子およびcap遺伝子またはその機能的に同等
な遺伝子が作動的に発現制御配列と結合して有することを特徴とする組換えヘル
ペスウィルスに関する。有利には、前記rep遺伝子およびcap遺伝子は、ゲ
ノム中でヘルペスウィルスが適当な場所に組み込まれているインサート上に存在
する。
【0014】 本発明による組換えヘルペスウィルスは、AAVの効果的な増殖に必要なヘル
パー機能を有し、その上RepおよびCapをコードするAAVの領域を十分な
量で発現させることができ、その結果、細胞培養中でのAAVベクターの増殖お
よびパッケージングが組換えHSV(rHSV)で同時感染する際に可能となる
【0015】 発現制御配列として、標的細胞中でrepおよびcapの十分な発現を供給す
る全ての配列、例えば相同のAAV−発現制御配列、例えばAAVp5プロモータ
ー、または異種のプロモーター、例えば真核細胞性またはウィルス性プロモータ
ーが適当である。構成性または調整可能な発現制御配列を使用することができる
。rep遺伝子およびcap遺伝子は、共通の制御下で1つの発現制御配列であ
るかまたはそれぞれの制御下で別々(同時または異なる)の発現制御配列であっ
てもよい。
【0016】 意外にも、ヘルパーウィルス、特にHSVは、AAV−Rep−タンパク質の
高い発現に対して耐性であることが確認された。ヘルパーウィルス依存性のAA
V−ベクターの増殖用のヘルパーウィルスとして必要なヘルペスウィルス中へr
ep遺伝子およびcap遺伝子を組込むことにより、AAV−増殖に必要なすべ
ての機能を有しかつベクター増殖のために必要なAAV−タンパク質を大量に製
造することができる構築物が得られる。このような系を用いて、例えば遺伝子治
療用に臨床規模において必要であるような感染性AAV−ベクターを大規模に製
造することができる。従って、例えばプラスミドを使用する場合には、組換えA
AVの形成は、もはやトランスフェクション効果に依存しない。
【0017】 本発明によるヘルペスウィルスは、遺伝子的に安定であり、かつ有利には野生
型への復帰を示さない。従って、プラーク精製の際に、複数の連続する希釈工程
の後、例えば3回、有利に5回および特に有利に7回の希釈工程の後でも明白な
野生型への復帰は見出されない。このことは、組込まれたカセットが安定のまま
であることを示す。本発明によるヘルペスウィルスのもう1つの利点は、高い力
価で、例えば相応するヘルペスウィルス−野生型の5%≧、特に10%≧、殊に
有利には20%≧の力価で培養することができることであり、その際、力価は、
細胞放出ウィルス(Cell-Release-Virus:CRV)−力価として有利に測定される。
【0018】 本発明による組換えヘルペスウィルスは、さらに有利には、その発現力がre
p遺伝子およびcap遺伝子の組込みと関連するリポーター遺伝子を有する。レ
ポーター遺伝子は、適当な発現制御配列、例えばSV40-プロモーターまたは
他のプロモーター、例えばHSV-またはAAV-プロモーターと作動的に結合し
ている。有利には、レポーター遺伝子は、非抗生物質耐性遺伝子、特に有利には
、例えば視覚的に検出可能なポリペプチド、例えばLacZまたはGFP(グリ
ーン蛍光タンパク質)を直接にコードする遺伝子である。レポーター遺伝子を発
現することにより、もはや組換えヘルペスウィルスを含んではならないAAV−
調整物の純度を監視することができる。さらに、野生型−ヘルペスウィルスを有
する不純物に対して、組換えヘルペスウィルス調製物の純度の制御も可能である
【0019】 原則として、ヘルペスウィルス族(Herpesviridae)のそれぞれのメンバーは
、AAVのrep遺伝子およびcap遺伝子の挿入により、本発明による組換え
ヘルペスウィルスに変えることができる。例えば、適当なヘルペスウィルスは、
単純ヘルペスウィルス(HSV)、サイトメガロウィスル(CMV)、仮性狂犬
病ウィルス(PRV)およびエプスタイン・バーウィルス(EBV)である。特
に有利には、単純ヘルペスウィルス(HSV)および特にHSV-タイプ1であ
る。有利には、1つの制限部位を有するヘルペスウィルス、例えば、U−領域
中のポジション143969(ポジションのナンバリングは、McGeoch et al., Nucl.
Acids Res. 14 (1986), 1727-1745により行われた)に単に1つのXbal-部位
を有する、例えばHSV-タイプ1突然変異体1802(Rixon et al., J. Gen.
Virol. 71 (1990), 2934-2939)を使用する。
【0020】 ヘルペスウィルスは、AAVのrep遺伝子およびcap遺伝子を重要ではな
い領域、例えばU−または/およびU−領域中に含むことができる。有利に
は、複製欠損性のヘルペスウィルス突然変異体も使用する。このために、rep
遺伝子または/およびcap遺伝子を、ヘルペスウィルスの複製に必要であるが
AAV−複製には必要ではないヘルペスウィルスゲノムの領域中に挿入すること
ができる。また、初めから相応するヘルペスウィルス−複製遺伝子が既に欠失し
ているヘルペスウィルス突然変異体を使用することができる。例えば、HSV−
複製に絶対的に重要であるが、AAV−複製には不必要であるUL9遺伝子が挙
げられる(Weindler et al., J. Virol. 65 (1991), 2476-2483)。さらに、Imm
ediate Early Protein ICP27をコードするUL54遺伝子も適当である。これら
の遺伝子もまたAAV−複製には不必要である。UL54遺伝子の欠損は、UL
9遺伝子における突然変異とは対照的に、相応する突然変異体であるが、しかし
完全に複製欠損性ではないヘルペスウィルスの複製サイクルの延長を生じる。さ
らに、突然変異または/および欠失が同様の効果を有する、すなわちヘルペスウ
ィルス−複製サイクルを延長もしくは完全に遮断する他の挿入用のヘルペスウィ
ルス−遺伝子を挙げることもできる。
【0021】 有利には、組換えヘルペスウィルスは、AAVの逆方向反復配列(ITR)を
完全に含まず、特に有利にはAAVのITR配列の部分を完全に含まない。
【0022】 さらなる改良は、rep遺伝子または/およびcap遺伝子、特にrep遺伝
子のための抑制可能な発現制御配列を使用することにより達成できる。このため
の例は、テトラサイクリン[Gossen und Bujard, Proc. Natl. Sci. USA (1992),
5547-5551]を添加するかまたはエクジソン[No. et al., Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA (1996), 3346-3351]を添加することにより抑制可能な発現制御配列であ
る。また、“early”および“late”ヘルペスウィルスタンパク質、例えばHS
Vの発現をコントロールするプロモーターを使用することができる。
【0023】 本発明のもう1つの課題は、組換えヘルペスウィルスの製法であり、その際、
AAVのrep遺伝子およびcap遺伝子は、ヘルペスウィルスのゲノム中に安
定に組込まれる。このために、ヘルペスウィルス−DNAは、有利には1つ以上
の所望の場所で切断され、かつrep遺伝子およびcap遺伝子含有のDNA断
片、例えばプラスミドはヘルペスウィルス−DNA中にライゲーションされる。
切断は、有利には制限酵素、例えばXbalを用いて実施される。また、rep
遺伝子およびcap遺伝子は、相同的組換えによりヘルペスウィルスゲノム中へ
挿入することもできる。従って、rep−cap−構築物は、ヘルペスウィルス
ゲノム中に挿入する予定のDNA配列に一致するかまたは少なくとも高い相同性
を有するフランキング配列を有していなくてはならない。
【0024】 本発明のもう1つの課題は、本発明による組換えヘルペスウィルスから由来し
かつアデノ随伴ウィルス(AAV)のrep遺伝子および/またはcap遺伝子
ならびにヘルペスウィルスから由来し、組換えアデノ随伴ウィルスベクターの増
殖に必要なヘルパー機能がそれぞれ発現制御配列と作動的に結合して含有する核
酸である。これらの核酸は、有利にはベクター上に存在し、特に有利には真核性
ベクター上に存在する。
【0025】 本発明は、本発明による組換えヘルペスウィルスを有するもう1つのウィルス
性組成物を含む。このような組成物は、特に野生型−ヘルペスウィルスを含まな
いことを特徴とする。
【0026】 ここで使用されているようなウィルスの概念は、ビリオンとしても理解される
【0027】 本発明による組換えヘルペスウィルスおよびベクターは、高力価の感染性rA
AV−ベクター調製物の製造に有利に使用される。従って、本発明は、次の: (a)異種のDNA−インサートを含むアデノ随伴ウィルス(AAV)をベース
とするウィルス性ベクターを作成し、 (b)AAVのrep遺伝子およびcap遺伝子を発現制御配列と作動的に結合
して有している組換えヘルペスウィルスを作成し、 (c)(a)からのAAV−ベクターおよび(b)からの組換えヘルペスウィル
スを、例えば感染、または/およびDNA−トランスフェクションにより細胞中
へ導入し、 (d)AAV−ベクターを増殖させ、かつ (e)感染性AAV−ベクター調製物を得る 工程を含む感染性AAV−ベクター調製物の製法を含む。
【0028】 組換えヘルペスウィルス(もしくはビリオン)の代わりに、AAVのrep遺
伝子およびcap遺伝子ならびにAAVの複製およびパッケージングに必要なヘ
ルパー機能を有する、相応するベクターを使用することもできる。
【0029】 有利には、細胞を組換えAAV−ベクターを用いてトランスフェクションさせ
るかまたは感染させ、かつ引き続き組換えヘルペスウィルスで感染させる。特に
有利には、AAV−ベクターと同様にヘルペスウィルスも感染により細胞中に導
入する、それというものこの方法により望ましくない異常な組換えの発生の進行
を抑えることができるからである。本発明による方法のために、複製可能な組換
えヘルペスウィルスを使用することができる。しかし、有利には、制限不可能で
あるかまたは単に制限的に複製可能であるにすぎない組換えヘルペスウィルスを
使用し、このことは、さらにAAVの収率を高める。本発明による方法を用いて
、高力価の感染性AAVベクター調製物、特にパッケージングされたrAAV−
調製物を得ることができる。
【0030】 AAV−増殖に必要なヘルパー機能を有しならびにRepおよびCapタンパ
ク質の高められた量を製造する、本発明による組換えヘルペスウィルス(ビリオ
ン)またはベクターを用いて、一般的に使用可能な種々の細胞系を含める真核細
胞の感染により、AAV−ベクターを増殖させることができる。従って、本発明
のもう1つの課題は、本発明による組換えヘルペスウィルスまたはベクターを有
する細胞である。細胞は、有利には哺乳類の細胞、特に永続的に培養可能な細胞
である。例えば、げっ歯類細胞、例えばBHK−細胞、例えばBHK21である。
しかし、他の細胞、例えばベロ細胞またはヒーラ(HeLa)細胞のようなヒト
の細胞を使用することもできる。
【0031】 細胞は、ウィルス、ベクターまたはビリオンを染色体外の形で1種以上のコピ
ー中で有することができる。このような細胞は、例えば感染により得られる。ま
た、ウィルス、ベクターまたはビリオンは、細胞のゲノム中に組み込まれて存在
することもできる。有利には、細胞はウィルスを用いた感染により生産される。
【0032】 さらに、細胞は、他の組換えAAV−ベクター、特に臨床的に作用するポリペ
プチドをコードする異種のDNA−インサートを有するAAV−ベクターを含むこ
とができる。AAV−ベクターは、染色体外に存在するかまたは細胞のゲノム中
に導入されて潜在的に存在することができる。従って、AAV−ベクターは、組
換えヘルペスウィルスで感染する際に遊離され、かつAAV−ベクター感染の後
に複製される。
【0033】 本発明による組換えヘルペスウィルスを用いた哺乳類細胞の感染は、rep遺
伝子およびcap遺伝子の高い発現を生じ、その際、AAV−野生型と単純ヘル
ペスウィルスとの同時感染の収率は比較が可能である。
【0034】 最終的に、本発明は、AAV−ベクターをトランスフェクションによりホスト
細胞中に導入し、異常な不所望の組換えの出現の著しい低下が見出される公知の
方法に対してなお改善された感染性AAV−ベクター調製物の製法に関する。こ
の方法は、AAV−ベクターおよび任意のヘルパーウィルス、例えばアデノウィ
ルス、ヘルペスウィルス、特に本発明によるrep/cap発現ヘルペスウィル
スを細胞中へ導入し、細胞をAAV−ベクターの増殖に適当な条件下で培養し、
かつ感染性AAV−ベクター調製物を細胞および/または培養上澄み液から得る
ことを含み、その際、前記方法はAAV−ベクターおよびヘルパーウィルスの両
方を感染により細胞中に導入することを特徴とする。
【0035】 本発明を添付した図および以下の実施例によりさらに説明する。
【0036】 図1は、本発明によるrHSV/AAVのゲノム構造を表す。HSV-1 1802
中のXbal-部位のポジション143969は、McGeochet al., Nucl. Acids Res. N
o. 14(1986), 1727-1745)によるナンバリングである。AAV−ゲノムのナンバ
リングは、遺伝子バンク寄託番号 JO1901により行われた。
【0037】 図2は、rHSV/AAVを用いたBHK−細胞の感染後の短い(A)または
長い(B)AAV−Rep-タンパク質の発現を表す。
【0038】 図3は、rHSV/AAVを用いたBHK−細胞の感染後の短い(A)または
長い(B)AAV−Cap-タンパク質の発現を表す。
【0039】 図4は、免疫蛍光法によりrHSV/AAVで感染させたBHK−細胞中のR
epまたはCapタンパク質および組立てられたAAVカプシドの局在化を表す
【0040】 図5は、複製中心アッセイの結果を表し、その中で従来の方法と本発明による
方法が比較されている。
【0041】 図6は、粗製ライセート中のrAAV/GFPの感染性力価アッセイの結果を
表す。
【0042】 実施例 1.材料および方法 1.1 細胞培養 BHK-21-細胞(Stoker et al.,Nature, 203(1964), 1355-1357; ECACC No
. 8501143)を単層として、10%NCS:(Newborn Calf Serum)(Gibco BRL-No
. 16010-084)、1×Tryptose ホスフェート肉汁(Gibco BRL-No. 18060-02)お
よびPen/Strep (Seromed)を有するG-MEM(Gibco BRL No. 21710-025)中で
、37℃、5%COで培養した。BHK-細胞を回転フラスコ(Falcon 850cm
、No. 3027)中で培養するために、50ml体積の培地を使用しかつフラスコ
を37℃、5%COで0.8回転/分で回転させた。回転フラスコ中で成長す
るBHK-21-細胞を感染させるために、完全なG-MEM15mlに体積を減
少させた。BHK-21-細胞を新たな培養の前に15継代まで培養した。
【0043】 ヒーラ細胞およびベロ細胞を10%FCS(Seromede No. SO115)およびPen/
Strep(Seromed)を有するD−MEM(Gibco No. 21855-025)中で培養した。
【0044】 1.2 感染性HSVおよびrHSV調整物の製造 野生型−または組換え単純ヘルペスウィルス(HSV)を例1で記載したよう
な回転フラスコ中で約2×10BHK-21-細胞を感染させることにより培養
し、感染の多重度(MOI)0.002で増殖させた。感染経過は、細胞変性効
果(CPE)を細胞培養中で増加させることにより監視した。感染の3日後に、
大多数の細胞は完全なCPEを示し、かつ細胞培地中で振盪することにより収集
することができた。4℃で1500×gで10分間遠心分離した後に、ウィルスを細
胞不含の上澄液(CRV; Cell-Released-Virus)から得、アリコート中で分離しか
つ−80℃で凍結させた。
【0045】 細胞ペレットをPBS(燐酸塩緩衝溶液)中で再懸濁させかつ4℃で1分間振
盪した。4℃で2000×gで10分間遠心分離した後に、上澄液を細胞随伴ウィル
ス(CAV)として得、アリコート中で分離しかつ−80℃で凍結させた。
【0046】 1.3 HSV−ビリオンの精製 HSV−ビリオンを製造するために、回転フラスコ中で1.2で記載したよう
に培養したBHK−細胞を感染させた。遠心分離後に、CRV含有の透明な上澄
液を遠心分離試験管中に移した。ビリオンを遠心分離により4℃で23000×gで2
時間ペレット化し、これをBeckman SW28-Rotorを使用して13500回転/分に相応
させた。ウィルスペレットをフェノールレッド(MEM-PR)なしにMEM1
ml中で再懸濁させかつ振盪により4℃(30秒×3)でホモジナイスした。懸濁
液を直線状のフィコール勾配(MEM-PR中5%+15% w/v)でBeckman SW28 Ult
raclear試験管中で4℃で12000回転/分(19000×g)で2時間遠心分離した。
【0047】 照射の際に、濃縮されたビリオン−バンドが試験管の中央で目視可能であった
。ビリオン−バンドの上方は、損傷した粒子を含有する分散バンドが目視できた
。ビリオン−バンドを21または23ゲージ針を備えた試験管の打点により収集
し、新たにBeckman SW28 Ultraclear 試験管中に移しかつMEM-PRを用いて
最終体積35mlに希釈した。次にビリオンを遠心分離により4℃で22200回転
/分(65000×g)で2時間ペレット化した。このペレットをMEM-PR中で再
懸濁し、かつ−80℃で貯蔵した。ウィルス性DNAを製造するために、ペレッ
トを300μlTE−緩衝液中で再懸濁し、かつさらに処理するために1.5m
l試験管中へ移した。
【0048】 また、HSV-ビリオンをCsCl−勾配の使用下に精製した。
【0049】 1.4 HSV-DNAの製造 1.3により得られ300μlTE中で再懸濁させたビリオンペレットにSD
S(最終濃度0.2%)およびプロテイナーゼK(最終濃度300μg/ml)を添
加した。バッチを少なくとも37℃で1時間インキュベートした。酢酸ナトリウ
ムpH9.2を添加後に、0.3Mの最終濃度およびフェノール/クロロホルム
抽出液 [2×フェノール/CIA(クロロホルム−イソアミルアルコール)、1
×CIA]、2体積エタノールを添加後に遠心分離することによりDNAを調整し
た。ペレットを70%エタノールで洗浄し、乾燥し、かつTE(Tris-EDTA-緩衝液
、10mM Tris HCl、1mM EDTA)中で再懸濁させた。
【0050】 1.5 プラスミド psub201lacの製造 lacZ遺伝子をSV40プロモーターの制御下に有する(Rixon et al., J.
Gen. Virol. 71 (1990) 2931-2939)pCH110(Pharmacia)をベースとす
るプラスミドpFJ3をBamHIで切断し、かつ脱リン酸化した。rep遺伝
子およびcap遺伝子およびプロモーターp5、p19およびp40を含むが逆
方向末端反復配列(ITR)を含まない、アデノ随伴ウィルス タイプ2(遺伝子
バンクNo. JO19901)の配列191-4485を有するpsub201のXbal断片(S
amulski et al., J. Virol. 61(1987), 3096-3101)をpFJ3中に挿入し、p
sub201lacを得た。
【0051】 1.6 プラークアッセイ 予備同時感染させたBHK-21細胞をHSV CRVまたはCAV調整物の
種々の希釈液を用いて感染させた。37℃で1時間吸着した後に、細胞をPBS
で洗浄しかつ0.5%Sea-Plaque-Agar、5%NCS、Pen/Strep および1×Trypto
se-ホスフェート肉汁を有するG-MEMを用いて加えた。37℃、5%COで3日
間インキュベートした後にプラークを数え、力価を測定した。
【0052】 1.7 X−Gal−染色 感染したかまたは感染していない細胞を150mM NaCl、15mMリン酸ナ
トリウム、pH7.3を用いてPBS中で1回洗浄した。2%ホルムアルデヒド
および0.2%グルタルアルデヒドを有する冷たいPBS中で5分間インキュベ
ーションすることにより細胞を固定した。固定剤を除去するために、細胞をPB
Sで洗浄した。最終的に、細胞を1mg/ml X−Gal、5mMフェロシア
ン化カリウム、5mMフェリシアン化カリウム、2mM MgClを有するX
−Gal−染色溶液をPBS中に加えた。着色された細胞を通常の方法で、青色
が目視できるまで37℃で数時間インキュベーションした。
【0053】 1.8 ウェスタンブロット法 LaemmliによりNatur, 227(1970) 680-685に記載されているようにウェスタン
ブロット法を実施した。細胞がなおプレートに付着している間または細胞を収集
した後に、細胞を2回PBSで洗浄し、かつ15ml試験管中でペレット化した
。1×10細胞当たりに1×SDS プローブ緩衝液(50mM Tris-Cl, pH 6.8
; 1% β−メルカプトエタノール;2% SDS; 0.1% ブロモフェノー
ルブルー; 10% グリセリン)100μlを添加した後に、この懸濁液を1.5m
l反応容器中へ移した。プローブを沸騰水中で10分間インキュベートし、氷上
で冷却し、かつ−80℃で貯蔵した。分析のために、それぞれのプローブ30μ
lまでを10%SDS ポリアクリルアミドゲル(SDS-PAGE)上に加えた。電気
泳動後に、ゲルをトリス-グリシン溶液(25mM Tris−塩基;95% mM グリシン;1
0% メタノール)中で15分間平衡化した。タンパク質を半乾燥させたブロッテ
ィング装置および1mA/cmの使用下にニトロセルロース膜(Schleicher u
nd Schuell, BA85, No. 401196)上に転写した。移行およびタンパク質量を調節
するために、膜をポンソー-S(Sigma)を用いて着色した。膜をPBS、0.3
%Tween-20、10%脂肪不含のミルクパウダー中で室温で30分間または4℃で
一晩ブロッキングした。
【0054】 抗体を相応するPBS、0.3%Tween-20、10%脂肪不含のミルクパウダー
中で希釈させ、かつ室温で少なくとも1時間または4℃で一晩インキュベートし
た。Rep−検出のために、モノクロナール抗体303.9および76.3(1:
10希釈)を使用した(Kleinschmidt et al., Virology 206 (1995) 254-262; Wi
stuba et al., J. Virol. 69(1995), 5311-5319)。Cap(VP)−タンパク質
を検出するために、抗体B1(1:10希釈)を使用した(上記のWistuba et al.,
(1995))。フィルターをPBS、0.3%Tween-20を用いて室温で3回洗浄した
。AAV−カプシド構築物を検出するために、抗体A20(Wistuba et al., J.
Viol. 71(1996), 1341-1352)を使用した。
【0055】 二次抗体、通常の抗マウス抗体ペルオキシダーゼ−結合物をPBS、0.3%
Tween-20、10%脂肪不含のミルクパウダー中で希釈し、かつフィルターを用い
て室温で30分から1時間インキュベートした。検出されたタンパク質をECL
キットにより製造者(Amersham Life Science, RPN 2106)の指示に従って目視
可能にした。
【0056】 1.9 免疫蛍光法 細胞をカバーガラス上で培養し、かつMOI 1のHSVまたはrHSVで感
染させた。感染の24時間後に、カバーガラスを3回PBS(燐酸緩衝塩溶液)
を用いて洗浄し、5分間氷冷させたメタノール中でインキュベートしかつ再度P
BSを用いて洗浄した。ブロックするためにカバーガラスを10%NCSを有す
るPBS中で30分間インキュベーションした。次に、通常10%NCSを有す
るPBS中で1:1に希釈されたそれぞれの検出−抗体(1.8を参照のこと)
を用いて1時間、湿室中でインキュベーションした。PBSを用いて3回洗浄し
た後に、カバーガラスを希釈されたフルオレセインイソチオシアネート(FITC)
標識した抗−マウス抗体を用いてさらに30分間インキュベーションした。PB
Sを用いる3回の洗浄工程の後に、カバーガラスを蛍光顕微鏡で分析した。
【0057】 1.10 rAAVの製造 rAAVベクターを製造するために、従来の方法(同時感染)ならびに本発明
によるrHSV/AAV−系を使用した。試験は、野生型HSVタイプ1菌株1
802または本発明によるrHSV/AAVで感染させたBHK-21細胞を用
いて実施した。レポータータンパク質GFP(グリーン蛍光タンパク質)を発現
するrAAV−GFP-(UF5)を使用した(Zolotukhin et al., J. Viol. 7
0(1996), 4646-4654)。末端繰り返し単位によってフランキングされているrA
AVゲノムを含んでいるプラスミド調整物を、これを試験で使用する前に、末端
繰り返しに関する完全性を検査した。
【0058】 5.5cmプレート上で培養したBHK-21細胞を、rAAV-GFP (U
F5)プラスミドDNA10μgおよびΔTR DNA (rep/cap-発
現プラスミド)10μgを用いる従来の方法のために、または単にrAAV-G
FP(UF5)DNA10μgを用いる本発明による方法のために、トランスフ
ェクションした。1晩37℃、5%COでインキュベーションした後に、G-
MEM完全培地を添加する前に細胞を無血清G-MEMで2回、PBSで1回洗
浄した。次に細胞を、MOI 1のwtHSV-1(従来の方法)かまたはMO
I 0.01〜1のrHSV/AAV(本発明による方法)で6〜12時間感染
させた。37℃で1時間吸着させた後、細胞を1回PBSで洗浄しかつ完全なG
-MEMを添加した。感染された細胞を37℃、5%COで完全なCPE(通常2
〜3日)までインキュベーションした。回収するために、プレートを−80℃で
凍結させかつ解凍後に細胞を15ml試験管中に移した。さらに2回の液体窒素
中での凍結サイクルおよび解凍の後に、細胞性の断片を4℃で1500×gで15分
間遠心分離により除去した。透明な上澄み液を粗製ライセートとして収集しかつ
ヘルパーウィルスをインキュベーションにより56℃で15〜30分間失活させ
た。このライセートを直接に分析するかまたはさらにCsCl−勾配で精製した
【0059】 1.11 物理的rAAV粒子数の測定 物理的rAAV粒子数をドットブロッティング−分析により測定した。CsC
l−勾配画分または粗製ライセートから得られるプローブを有するrAAV5μ
lに、10×DNアーゼ 1−反応緩衝液(500mM Tris-Cl, pH7.5; 100mM MgCl
; 500μg/ml BSA)20μl、DNアーゼ1(12U)5μlおよびHO 170μ
lを添加した。37℃で1時間インキュベーションした後に、プロテイナーゼK
−緩衝液(20mM Tris-Cl, pH 8.0, 20mM EDTA, pH 8.0, 1% SDS)200μlおよ
びプロテイナーゼK100μgを2回添加した。さらに37℃で1時間インキュ
ベーションした後に、3M酢酸ナトリウム(pH9.2)1/10体積を添加し、かつプ
ローブをフェノール抽出(1×フェノール、1フェノール/ClA, 1×ClA)した。
グリコーゲン40μgおよび100%エタノール2.5体積を添加後に、-80
℃で30分間インキュベーションした。最終的に、DNAを最大速度で30分間
遠心分離することによりペレット化した。ペレットを70%エタノールで1回洗
浄、乾燥させ、かつ引き続き0.4M NaOH 400μl、10mM EDTA溶液中で
再懸濁させた。
【0060】 標準としてrAAVベクターDNA(40〜0.3プラスミド125ng)の一連の2倍
希釈液を20μl体積中で製造し、かつ0.4M NaOH、10mM EDTA溶液を混合
した。全てのプローブを100℃で5分間インキュベーションし、かつ即座に氷
上で冷却した。ドットブロッティング装置の使用下に、プローブを遺伝子スクリ
ーン−プラスメンブレン(NEN Light Science Products)上に移し、かつDNA
をフィルター上でUV−照射により結合させた。上記のChurch等により65℃で
0.25M燐酸ナトリウム緩衝液、pH7.2、1mM EDTA、7% SDSおよび1% BSA中
でハイブリダイゼーションを実施した。30分後に、ハイブリダイゼーション2
時間まで、膜をrAAV-GFPの[α−32P]dCTP-標識した731bpのN
otI-断片に1晩ハイブリダイズさせた。フィルターを65℃で洗浄緩衝液1
(20mM 燐酸ナトリウム緩衝液、pH7.2; 2.5% SDS; 0.25% BSA; 1mM EDTA)を用
いて3回、さらに洗浄緩衝液2(20mM 燐酸ナトリウム緩衝液、pH7.2; 1% SDS;1
mM EDTA)を用いて3回洗浄した。フィルターをX線フィルム上に露出した後に
、斑点を切り取り、かつシンチレーションカウンター中で分析した。物理的粒子
数は、2本鎖rAAV−プラスミドDNAを標準として使用しながら計算した。
【0061】 1.12 複製中心アッセイによるrAAV−調製物の感染性力価の測定 複製中心アッセイを実施するために、rAAVが一次感染細胞から遊離し、か
つ二次感染が培養中に広がる前に細胞を回収した。約5×10ヒーラ−細胞を
12ウェルプレートのくぼみ1つ当たりに添加した。1晩インキュベーションし
た後に、wtAAVを検出するためにアデノウィルス(MOI=20)を単独に
用いるか、またはrAAVを検出するためにアデノウィルス(MOI=20)お
よびwtAAV(MOI=4)を用いて細胞を感染させた。吸着の1時間後に、
細胞を洗浄しかつライセートを有するrAAV-GFP100μlで感染させた
。1時間後に、新たな培地1mlを添加した。次に、細胞を37℃、5%CO で24時間インキュベーションし、かつ遠心分離によりペレット化した。なお粘
着性の細胞をトリプシン処理しかつペレット化した細胞と結合させた。細胞を再
懸濁し、かつ真空装置の使用下にニトロセルロースフィルター上に移した。ニト
ロセルロースフィルターのハイブリダイゼーションをホルムアミド溶液(5×SSC
; 50% ホルムアミド;5×Denhardt; 50mM 燐酸ナトリウム緩衝液、pH7.2; 0.1%
SDS; 0.1 mg/ml 酵母tRNA)中、42℃で、rAAV-GFPの[α−32P]dC
TP-標識した731bp NotI-断片またはAAV repの[α−32P]
dCTP-標識した1465bp-断片を用いて実施した。
【0062】 2. 結果 2.1 組換えHSV/AAVの製造 出発材料として、単に1つのXbal-部位をU−領域のポジション143969(
上記のMcGeoch et al.によるナンバリング)に有するHSV-タイプ1突然変異
体1082(Rixon et al., J. Gen. Virol. 71 (1990) 2931-2939)を使用した。こ
のポジションは、異種の配列の組込みに適当である、それというのも一方で、オ
ープンリーディングフレームに影響がなく、他方でこの領域中のポジション5に
ある遺伝子が細胞培養におけるウィルス増殖に重要であるからである。rHSV
を製造する方法は、図1に記載されている。
【0063】 psub201lacを、完全な8.4kbの長さの発現カセットを切り取る
ためにXbalを用いて切断した。引き続き、ゲル精製した発現カセットをHS
V-1 1802のXbal-部位中にライゲーションした。このために、HSV
DNAを完全にXbalを用いて切断した。Xbal−切断したHSV DN
A1μgをpsub201lacの精製したXbal-断片1μgと20μl体
積中でライゲーションした。次に、ライゲーションしたHSV 1802/ps
ub201lacをBHK-21細胞中で以下の方法の使用下にトランスフェク
ションさせた。1ml HBS、ニシンの精子DNA(10μg/μl)1μlおよび
ライゲーションしたHSV 1802/psub201lac(1μg)10μg
を混合した。引き続き、2M CaCl70μlを滴加した。成長培地の除去
後に、該溶液をBHK-細胞上に注いだ。37℃で40分間インキュベーション
した後に、完全なG-MEM(5%NCS含有)4mlを添加しかつ細胞をさら
に200分間インキュベーションした。培地を除去した後に、無血清G-MEM
で細胞を1回洗浄した。次に、トランスフェクションした細胞を20%DMSO
1mlを用いてHBS中で室温で4時間処理した。DMSO溶液を除去しかつ細
胞を再度無血清G-MEMで洗浄した。5%NCSを有するG-MEMを添加後に
、プラークが目視可能になりかつウィルスが回収されるまで細胞を3日間培養し
た。CRVおよびCAVの生産を例1.2に記載したように行った。
【0064】 CAV−プラークアッセイを1.6に従って実施した。3日後に目視可能なプ
ラークを分離し、かつ5%NCSを有するPBS200μl中に移した。3サイ
クルの凍結および解凍の後、細胞を感染させるために該懸濁液を使用し、該細胞
を次いで組換え単純ヘルペスウイルスの存在に関してβ−Gal−染色およびア
デノ随伴ウイルスタンパク質RepもしくはCapの発現により分析した。陽性
プラークを選択し、かつその後の別のプラークアッセイ−サイクルにより精製し
た。均質で純粋な組換え分離株が既にサイクル4の後で得られた時でさえ、別の
プラーク精製サイクルを実施し、残りの野生型単純ヘルペスウイルスによるごく
わずかな汚染さえも回避した。全ての陽性プラークはウエスタンブロット分析で
RepもしくはCap発現において同一のパターンを示した。
【0065】 野生型HSVの存在は種々の大きさの細胞培養シャーレを組換えウイルスで感
染させ、かつ引き続きX−Galを染色することにより感染の約12時間後に試
験した。その際、感染した細胞の未染色の領域により示される野生型HSVの形
成を観察することはできなかった。
【0066】 組換えHSVを、ここではrHSV/AAVとも呼ぶが、BHK−21回転フ
ラスコ中で1〜2×10PFU/mlのCRV−力価まで培養したが、これと
比較して野生型HSV−1 1802を使用した場合には約1×10PFU/
mlまでであった。全てのrHSV/AAV−調製物の純度をX−Gal−染色
(1.7を参照のこと)により分析した。ごくわずかな感染の多重度を有する複
数のサイクルによるrHSV/AAVの増殖の場合でさえ、組換えHSVから野
生型HSVへの復帰は観察されなかった。この実験条件下で場合により存在する
野生型−HSVはrHSV/AAVを上回って増殖し、これは上記の力価の記載
から明らかであるように、わずかな増殖の不利点を有する。この場合、分離した
rHSV/AAVは安定しており、かつ増殖能力がある。rHSV/AAV調製
物のアリコートは1997年11月10日にEuropean Collection of Cell Cult
ures CAMR, Salisbury, Wiltshire SP4 OIG, UKに寄託されており、かつ一時的
なアクセス番号V97111302を有する。
【0067】 2.2 rHSV/AAVで感染させたBHK細胞中でのAAV Rep−タ
ンパク質の発現 プラーク精製の間の分析の際にすでにAAV−タンパク質はrHSV/AAV
を用いた細胞の感染後に発現することが明らかになった。より正確な時間経過お
よび発現度の分析のためにBHK−21細胞を感染の多重度(MOI)1のrH
SV/AAVを用いて感染させ、かつ感染後、記載の時間において回収した。A
AV Rep78およびRep52はrHSV/AAVを用いた感染後すでに4
時間でBHK−21細胞中で検出可能であった(図2A)。感染の8時間後(8
h p.i.)、4つのRep−タンパク質全ては目視可能であり、その際、その割
合はAAV野生型およびHSV−1 1802の同時感染と比較可能であった。
Rep−タンパク質の発現は極めて高く、かつヘルパーウイルスの存在下での増
殖性野生型AAV感染の範囲であった。
【0068】 この結果は基準AAVプロモーターを有する組み込まれたAAV配列がHSV
に特異的なタンパク質、例えば組み込まれていない野生型ゲノムによりヘルパー
ウイルスを用いた同時感染の後に調整されることを示している。この結果はさら
に増殖性HSV生存サイクル自体はRep−タンパク質の極めて高い含有率によ
り顕著に阻害されないことを示している。
【0069】 HSVを用いた感染は極めて急速にホスト細胞の代謝作用を引き継ぎ、かつ最
終的に細胞を溶解するので、感染のその後の段階でRep−タンパク質の存在を
試験した。その結果(図2B)は、Rep−タンパク質の発現が感染の16〜2
4時間後にプラトーに到達し、かつRep自体は感染後に極めて遅い段階(72
時間)でまだ検出可能であることを示している。
【0070】 2.3 Cap−タンパク質の発現 効果的なパッケージングのためにアデノ随伴Cap−タンパク質の高い発現率
が必要である。従ってBHK−21細胞におけるAAV Cap−発現の時間経
過を、rHSV/AAVを用いた感染後に分析した(図3)。AAV VP3タ
ンパク質はすでに感染後0時間で検出可能であった(図3A)ので、該タンパク
質をrHSV/AAV−ビリオンへ組み込むことができる。p.i.6〜8時間
の間にAAV VPタンパク質の蓄積が判明し、その際、感染の12時間後に、
VP1、VP2およびVP3の量はHSV−1の存在下での野生型AAV感染と
区別できなかった(図3A)。その際、Rep−タンパク質、特にRep78お
よびRep52が感染細胞中に充分な含有率で存在している場合、相応するAA
V VPタンパク質の相応する発現をまず誘発した(図2A)。VPタンパク質
の発現は感染から感染後72時間までは高かった(図3B)。
【0071】 総じて、rHSV/AAVを用いたBHK−21細胞の感染後に、その割合に
おいて野生型AAVおよびHSV−1の同時感染と比較可能な大量のVP−タン
パク質が存在することを確認することができる。
【0072】 AAV−タンパク質であるCapおよびRepの発現もまたrHSV/AAV
感染したヒーラ−もしくはベロ細胞中で見いだされた。
【0073】 2.4 AAVキャプシド構造の検出 免疫蛍光分析法によりAAV Cap−タンパク質VP1、VP2およびVP
3の発現がパッケージングのために充分であるかどうかを試験した。Repに特
異的な抗体(1.8)の使用下にrHSV/AAV感染させたBHK−21細胞
の集中的な核染色および細胞質染色を観察した(図4)。Capに特異的な抗体
(1.8)の使用下に強度がやや小さい類似の染色パターンが判明した(図4)
。AAV−キャプシドに特異的な抗体A20(1.8)を用いてもrHSV/A
AV感染させた細胞中で陽性のシグナルを検出することができた(図4)。
【0074】 2.5 rHSV/AAVを用いた組換えアデノ随伴ウイルスベクターのパッ
ケージング 組換えHSV/AAVは組換えアデノ随伴ウイルスベクターの複製およびパッ
ケージングを支援するが、このことはlacZ−もしくはGFP−形質導入アデ
ノ随伴ベクターの使用下で示された。
【0075】 粒子の実際の数の決定のためにBHK−21−もしくはベロ−細胞をrAAV
−GFP(UF5)またはrAAV−GFPおよびΔTRを用いてトランスフェ
クションし、かつ引き続きrHSV/AAVを用いるか、またはHSV−1 1
802を用いて上記の通りに感染させた。粗製ライセート中の粒子数をドットブ
ロッティング(Dotblot)により決定した。従来の方法の使用下での8×10
子/細胞と比較して、本発明によるrHSV/AAVの使用下で1×10rA
AV−GFP−タンパク質/細胞が形成された。
【0076】 このために14cmの培養シャーレをUF5 100μgまたはUF5および
ΔTRそれぞれ50μgを用いてトランスフェクションした。トランスフェクシ
ョンした細胞を、MOI 1の組換えHSV/AAVを用いるか、またはHSV
−1変種1802を用いて感染させた。ライセートをp.i.3日で製造し、か
つ物理的なrAAV−GVP−粒子の数に関して分析した。ハイブリダイゼーシ
ョン緩衝液(Church et al., Proc. Natl. Acad. Sci.(USA) 81, (1984) 1991-1
995)中のrAAV−GFPの[α−32P]dCTP−標識した731bp
Notl−断片上へ膜をハイブリダイゼーションし、かつ65℃でインキュベー
ションした。洗浄後にフィルタを露出させ、かつ斑点を切り抜いた。該斑点をパ
ッカードシンチレーションカウンター中でカウントし、かつ粒子数を標準液の使
用下に算出した。
【0077】 結果を以下の表に記載する。
【0078】
【表1】
【0079】 2.5 rHSV/AAV−調製物の純度および安定性 AAV−ベクター産生の間の野生型AAV(wtAAV)の形成は珍しいもの
ではなく(例えば Muzyczka, Curr. Topics. Microbiol. Immunol. 158 (1992)
97-129を参照のこと)、かつ従ってパッケージングの際に慎重に試験しなくては
ならない。特にベクターを大規模に製造する場合には、野生型AAVの形成を制
限し、かつ制御しなくてはならない。rHSV/AAV中に組み込まれたAAV
配列は、該配列が逆方向末端反復配列 (invertierten terminalen Repetitionen
: ITR)の配列要素を有していないように構成されていた。その結果としてrHS
V/AAVと使用されるAAV−GFP(UF5)との間には配列のオーバーラ
ップが存在せず、このことはwtAAVの形成につながりうる組換え現象の可能
性を最小化する。wtAAVがその他の方法、例えば非相同組換えにより形成さ
れることを排除するために、感染性のrAAV−GFPおよびwtAAVのため
の粗製パッケージングライセートを複製中心アッセイにおいて分析した。物理的
な粒子を測定するドットブロッティングとは対照的に、複製中心アッセイは感染
性で増殖能力のある粒子のみを示す。
【0080】 2つの異なった濃度のUF5(10μgもしくは20μg)またはUF5およ
びΔTRそれぞれ10μgをヒーラ−細胞4×10中でリン酸カルシウム法の
使用下にトランスフェクションした。トランスフェクションの約20時間後にM
OI 1のrHSVを用いて細胞を感染させる(UF5単独に関して)か、また
はMOI 3のrHSVを用いてアデノウイルスを感染させた(UF5/ΔTR
に関して)。細胞をp.i.40時間で回収し、かつ凍結/解凍サイクルで3回
処理した。56℃で30分のインキュベーション(ヘルパーウイルスの不活性化
のため)の後、細胞の砕片を遠心分離によりペレット化し、かつ清澄な上澄み液
を回収した。複製中心アッセイを実施するために12−ウェル−プレート中で培
養したヒーラ−細胞をアデノウイルス(MOI=20)のみを用いて、またはア
デノウイルス(MOI=20)とwtAAV(MOI=4)とを用いて感染させ
た。引き続き該細胞を予め製造したそれぞれの粗製ライセート100μlを用い
て感染させた。該細胞を24時間後に回収し、再懸濁させ、かつ真空装置を用い
てニトロセルロース膜上に移した。フィルターをgfpに特異的なプローブを用
いてハイブリダイゼーションし、rAAV−感染した細胞を検出し、かつ新たに
形成したwtAAVにより感染させた細胞を目視可能にするために並行してre
pに特異的なプローブを用いてハイブリダイゼーションした。
【0081】 その結果は、rHSV/AAVをUF5と一緒に使用することは、感染に関し
てアデノウイルスで感染した従来のUF5およびΔTRのコトランスフェクショ
ンと同様に能力のある組換えAAV−ベクターを形成するために充分であること
を示している(図5)。アデノウイルスで感染させたか、またはアデノウイルス
とwtAAvとで感染させたヒーラ−細胞の使用は野生型AAVの形成を示す。
この実験において従来の方法の使用下でのwtAAVの形成は極めて高かった。
これとは対照的に新規のrHSV/AAVバッチによればハイブリダイゼーショ
ンによりrepに特異的なプローブにおいて示されるように実質的にwtAAV
粒子は形成されなかった。このことはサザンブロット分析法によっても確認され
たが、この場合、種々のパッケージング調製物中でwtAAVの複製型は発見さ
れなかった。
【0082】 2.7 rHSV/AAVを用いた感染による感染性rAAV−GFP−粒子
の製造 感染性rAAV−GFP粒子の力価を決定した。通常、感染性rAAV−GF
P粒子は物理的な粒子数よりも約1×10少ない。このためにリン酸カルシウ
ム法により得られたBHK−21−細胞からの粗製ライセートを感染性力価アッ
セイの使用下に96ウェルプレート中で分析した。
【0083】 wtAAVまたはrAAVの感染性の力価の決定のために、ヒーラ−細胞を9
0μl/ウェルの体積で96−ウェル−プレート中に添加した。AAV含有の調
製物10μlを第一列のくぼみに添加し、混合し、かつその後の7工程の各工程
のために連続的に10倍に希釈した。12〜24時間のインキュベーションの後
にトランスフェクションした細胞をアデノウイルス(MOI=10〜20)を単
独で用いて感染させ、wtAAVを分析するか、あるいはrAAVの力価を決定
する場合にはアデノウイルス(MOI=10〜20)とwtAAV(MOI=4
)とを用いて感染させる。細胞が完全なCPEを示したら該細胞を3回凍結およ
び解凍した。感染性の細胞ライセートをGene Screen(R)膜上へ移した。湿っ
たワットマン紙の層上で5分間該膜を変性させ、0.5M NaOH、1.5M
NaCl中に浸漬し、かつ20XSSC/0.5M Tris、pH7.5中
で5分間のインキュベーションにより中和した後でDNAを該膜上でUV架橋さ
せた。該膜を上記のChurch等による相応するプローブを用いたハイブリダイゼー
ションのために使用し、かつrAAVまたはwtAAV力価を算出した。
【0084】 結果を図6に記載し、かつ第2表にまとめる。
【0085】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明によるrHSV/AAVのゲノム構造を表す。
【図2】 図2は、rHSV/AAVを用いたBHK−細胞の感染後の短い(A)または
長い(B)AAV−Rep-タンパク質の発現を表す。
【図3】 図3は、rHSV/AAVを用いたBHK−細胞の感染後の短い(A)または
長い(B)AAV−Cap-タンパク質の発現を表す。
【図4】 図4は、免疫蛍光法によりrHSV/AAVで感染させたBHK−細胞中のR
epまたはCapタンパク質および組立てられたAAVカプシドの局在化を表す
【図5】 図5は、複製中心アッセイの結果を表す。
【図6】 図6は、粗製ライセート中のrAAV/GFPの感染性力価アッセイの結果を
表す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年10月16日(2000.10.16)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA04 CA07 DA02 EA02 FA02 GA11 HA01 HA17 4B065 AA90X AA95Y AB01 BA02 CA24 CA44 4C084 AA13 MA01 NA14 ZB322 ZB332

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発現制御配列と作動的に結合するアデノ−随伴ウィルス(A
    AV)のrep遺伝子およびcap遺伝子を有することを特徴とする、組換えヘ
    ルペスウィルス。
  2. 【請求項2】 野生型への復帰を示さない、請求項1に記載の組換えヘルペ
    スウィルス。
  3. 【請求項3】 さらにリポーター遺伝子を有する、請求項1または2に記載
    の組換えヘルペスウィルス。
  4. 【請求項4】 単純ヘルペスウィルス(HSV)、サイトメガロウィスル(
    CMV)、仮性狂犬病ウィルス(PRV)およびエプスタイン・バーウィルス(
    EBV)を含むヘルペスウィルス科およびその他のヘルペスウィルス科のメンバ
    ーのグループから選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組換
    えヘルペスウィルス。
  5. 【請求項5】 単純ヘルペスウィルス(HSV)である、請求項4に記載の
    組換えヘルペスウィルス。
  6. 【請求項6】 HSV-1突然変異体1802である、請求項5に記載の組
    換えヘルペスウィルス。
  7. 【請求項7】 完全にまたは部分的に複製欠損性の突然変異体である、請求
    項1から6までのいずれか1項に記載の組換えヘルペスウィルス。
  8. 【請求項8】 インサートが、AAVの完全なITR-配列を有していない
    、請求項1から7までのいずれか1項に記載の組換えヘルペスウィルス。
  9. 【請求項9】 AAVのrep遺伝子およびcap遺伝子がヘルペスウィル
    スのUまたはU−領域中に挿入されている、請求項1から8までのいずれか
    1項に記載の組換えヘルペスウィルス。
  10. 【請求項10】 AAVのrep遺伝子およびcap遺伝子をヘルペスウィ
    ルスのゲノム中に安定に組込む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の組
    換えヘルペスウィルスの製法。
  11. 【請求項11】 rep遺伝子およびcap遺伝子を制限切断/ライゲーシ
    ョンまたは相同的組換えによってヘルペスウィルスのゲノム中に組込む、請求項
    10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 1つの制限部位を有するHSV−突然変異体を使用する、
    請求項10または11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 完全にまたは部分的に複製欠損性のHSV−突然変異体を
    使用する、請求項11に記載の方法。
  14. 【請求項14】 AAV−ウィルスの複製に必要なヘルペスウィルスゲノム
    のヘルパー機能および前記ヘルペスウィルスゲノムに挿入された形でアデノ−随
    伴ウィルス(AAV)のrep遺伝子およびcap遺伝子を、それぞれ発現制御
    配列と作動的に結合して有する核酸。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の核酸を有することを特徴とする、ベク
    ター。
  16. 【請求項16】 請求項1から9までのいずれか1項に記載の組換えヘルペ
    スウィルスを有するウィルス性組成物。
  17. 【請求項17】 野生型−ヘルペスウィルスを含まない、請求項16に記載
    の組成物。
  18. 【請求項18】 次の: (a)アデノ−随伴ウィルス(AAV)をベースとするウィルス性ベクターを作
    成し、 (b)請求項1から9までのいずれか1項に記載の組換えヘルペスウィルスを作
    成し、 (c)(a)のAAV−ベクターおよび(b)の組換えヘルペスウィルスを細胞
    中へ導入し、 (d)AAV−ベクターを増殖させ、かつ (e)感染性AAV−ベクター調製物を得る 工程を含む、感染性AAV−ベクター調製物の製法。
  19. 【請求項19】 AAV−ベクターおよび組換えヘルペスウィルスを感染に
    より細胞中に導入する、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 パッケージングされたrAAV−調製物を得る、請求項1
    8または19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 複製可能な組換えヘルペスウィルスを使用する、請求項1
    8から20までのいずれか1項に記載の方法。
  22. 【請求項22】 複製不可能な組換えヘルペスウィルスを使用する、請求項
    18から20までのいずれか1項に記載の方法。
  23. 【請求項23】 請求項1から9までのいずれか1項に記載の組換えヘルペ
    スウィルスまたは請求項15に記載のベクターを有することを特徴とする、細胞
  24. 【請求項24】 組換えヘルペスウィルスまたはベクターを感染により導入
    する、請求項23に記載の細胞。
  25. 【請求項25】 さらに組換えAAV−ベクターを有する、請求項23また
    は24に記載の細胞。
  26. 【請求項26】 AAV−ベクターが治療に効果的なポリペプチドをコード
    する異種のDNA−インサートを有する、請求項25に記載の細胞。
  27. 【請求項27】 BHK細胞、ベロ細胞またはヒーラ細胞である、請求項2
    3から26までのいずれか1項に記載の細胞。
  28. 【請求項28】 AAV−ベクターおよびヘルパーウィルスを細胞中に導入
    し、AAV−ベクターを増殖し、かつ感染性AAV−ベクター調製物を細胞また
    は/および培養上澄み液から得る感染性AAV−ベクター調製物の製法において
    、AAV−ベクターおよびヘルパーウィルスを感染により細胞中へ導入すること
    を特徴とする、感染性AAV−ベクター調製物の製法。
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