JP2002518347A - 前立腺癌治療のための免疫療法組成物および方法 - Google Patents

前立腺癌治療のための免疫療法組成物および方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、前立腺癌の治療のための組成物および方法であり、そして前立腺抗原と特異的に結合する抗体を投与することを包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の属する技術分野 本発明は、一般に、前立腺特異抗原(PSA)に対する細胞性免疫応答と体液性
免疫応答の発生に関する。本発明はまた、PSAに対する細胞性免疫応答と体液性
免疫応答の発生に有用なモノクローナル抗体を含む治療用組成物に関する。
【0002】 発明の背景 前立腺癌は、男性の最も一般的な癌のひとつであり、癌による死因の最も一般
的なもののひとつであるが、初期に診断されれば、外科的処置、放射線治療、ま
たはホルモン治療により、潜在的に治癒可能である。しかし、特異的な(differ
ential)診断はよく見ても困難であり、ほとんどの前立腺癌は、より後期段階、
典型的には原発腫瘍の転移後、まで診断されない。転移前立腺癌の第一療法はア
ンドロゲン拮抗剤の使用、または去勢であるが、再発する患者の多くはアンドロ
ゲン非依存性の前立腺腫瘍細胞を示すようになる。現在のところ、アンドロゲン
非依存性前立腺腫瘍細胞の増殖を調節可能な効果的な化学療法剤はない。
【0003】 PSAは腺性カリクレイン遺伝子ファミリーの240アミノ酸メンバーである。この
33 kDaの一本鎖糖タンパク質は、正常な前立腺上皮細胞、および形質転換された
前立腺上皮細胞の両方から分泌されるセリンプロテアーゼである。PSAは前立腺
癌の証拠を示さない健康な男性の血清でも低レベルで検出される。しかし、腫瘍
性状態の間、この抗原の循環レベルは、疾患の臨床病期と相関して著しく増加す
る。PSAの発現はほとんど前立腺細胞のみに限られており、前立腺癌患者の診断
とモニターに最も広く用いられているマーカーである。
【0004】 その組織特異性により、PSAは、前立腺癌に対する免疫療法の開発のために特
に魅力的な標的抗原である。PSAはほとんど全ての前立腺の腺癌腫で検出され、P
SAの発現は離れた転移位置でも明らかになった。PSAは前立腺癌に対するT細胞主
導の免疫性を誘導するための潜在的な標的であると、いくつかの研究が指摘して
いる。確かに、MHCクラスI分子に結合可能ないくつかのPSAペプチドが同定され
ており、今では、PSA特異的なT細胞レパートリーがヒトに存在することが十分に
確立されている。In vitroの免疫感作を用いた研究では、PSAに特異的なCD4細胞
およびCD8細胞の産生が示され、PSAペプチドを特異的に認識するT細胞株が健常
ボランティアと前立腺癌患者の両方から生じた。PSA特異的でヒト前立腺腫瘍細
胞を溶解可能な細胞障害性T細胞がin vitroで生じたことは特に重要である [Xue
ら, Prostate 30(2):73-8 (1997); Correaleら, Journal of the National Canc
er Institute 89(4):293-300 (1997); Correaleら, Journal of Immunology 161
(6):3186-94 (1998); Alexanderら, Urology 51(1):150-7 (1998)]。
【0005】 これらの頼もしいデータに基づいて、PSAを標的にした免疫療法的アプローチ
が現在、前臨床的環境で数多く研究されている。PSAを発現するように操作した
組換えワクシニアウイルス、リポソーム中に封入された組換えPSA、またはPSAの
ペプチド配列を負荷した自己樹状細胞を使用した臨床試験が既に始められている
[Future Oncology Vol 4, No. 3/4 (1998)を参照]。
【0006】 本発明は、PSAに対するモノクローナル抗体のような結合剤を治療剤として用
いる前立腺癌のための新しい免疫治療産物を記載する。注射された抗PSA抗体の
治療上の効能は相乗的に作用している働きの多重機構に基づくと考えられている
。PSAは細胞の表面で発現されないのでADCC機構またはCDC機構で死に至らしめる
腫瘍細胞はこれらの結合剤について期待されたものではない。これらの結合剤の
治療効能は、PSAに特異的な細胞性免疫応答の誘導と、結果として種々の腫瘍抗
原に対する免疫応答を誘導する宿主免疫系の非特異的な刺激に頼るものである。
【0007】 Ab1またはAb2のいずれかによる宿主の免疫感作に際しての特異的な細胞性免疫
応答の誘導は多くの研究で示されている。卵巣癌患者、黒色腫患者、骨髄腫患者
、および非ホジキンリンパ腫患者における特異的CTL応答がこの機構により生ず
ることは特に重要である [Nelsonら, Blood 88(2):580-9 (1996); Madiyalakan
ら, Hybridoma 16(1):41-5 (1997); Osterborgら, Blood 91(7):2459-66 (1998)
; Prideら, Clinical Cancer Research 4:2363 (1998)]。従って、本発明の結合
剤での前立腺患者の免疫感作は、PSAに対する特異的で防御的なCTL免疫応答をも
誘導するかもしれないと予想されている。 これによって、PSAは免疫療法の魅力的な標的となる。免疫応答を生じさせるた
めの幾つかの試みが、わずかに成功している [Xueら, The Prostate 30:73-78 (
1997); Correlaeら, J. of the National Cancer Institute 89:293-300 (1997)
; Choeら, Cancer Investigations, 5:285-291 (1987); Weiら, Cancer Immunol
. Immunother., 42:362-368 (1996); 1997年3月19日に出願の国際出願PCT/US97/
04454]。効果的な治療法がないことと前立腺癌の深い影響力を合わせると、代替
治療様相が研究される必要があり、PSAに対する治療的免疫応答を誘発する能力
が非常に求められるのは明らかである。
【0008】 免疫療法は、宿主から外来分子を排除することに焦点を合わせた生物学的反応
の複雑なカスケードを誘発する免疫系の1以上の構成要素を含むものである。免
疫系は広範囲の異なる細胞種を含み、そのなかでも最も重要なのはリンパ球であ
る。リンパ球は免疫の特異性を決定し、免疫系のエフェクター細胞群(limb)を
組織化するのはリンパ球の応答である。細胞や抗体のようなタンパク質は、リン
パ球と相互作用し、抗原の提示と免疫学的作用の仲介の両方において重要な役割
を果たす。
【0009】 個々のリンパ球は構造的に関連した抗原の限られたセットに反応して、特殊な
機能を示す。後により詳しく示すように、抗原の上の結合部位(決定基またはエ
ピトープ)に特異的な受容体がリンパ球表面の膜に存在することによって、この
機能が構造的に決定される。リンパ球は、受容体の特異性だけではなく、その機
能においても相互に異なる。リンパ球のひとつのクラスであるB細胞は、抗体分
泌細胞の前駆体であり、体液性免疫応答のメディエーターとして機能する。リン
パ球のもうひとつのクラスであるT細胞は、重要な調節機能を示し、細胞性免疫
応答のメディエーターである。
【0010】 癌免疫療法は、免疫系に新生細胞(neoplastic cell)の認識と排除を誘導す
る原理に基づくものである。どの免疫療法においても鍵となる要素は、宿主免疫
系に、まず望まれない標的として分子を認識させ、次にその分子に対する応答を
起こさせるということである。健康な宿主では、免疫系が、宿主の正常成分では
ない(すなわち、宿主にとっては“外来”である)という分子の表面特徴を認識
する。この認識機構が起こると、宿主はその特定の外来分子に対する応答を指示
しなければならない。
【0011】 免疫系の認識という要素と応答という要素はいずれも、生物学的反応の高度に
複雑なカスケードを含む。ほとんどの免疫学的な疾患で、認識相での少なくとも
ひとつの段階、または応答相での少なくともひとつの段階が崩壊している。どち
らのこの複雑な経路におけるどの段階が崩壊しても、事実上、応答が弱まるか、
または応答がなくなるという結果になる。免疫系が増殖する腫瘍を消滅させられ
ないのは、数ある要因のなかでも特に、免疫寛容および/または免疫抑制を誘発
する腫瘍関連抗原(TAA)が存在するためであるとされている。例えば、ある種
の癌では、癌自身が、宿主を外来の癌細胞を正常の成分であると認識するように
しむけて、免疫系の認識相を崩壊する。癌療法への免疫学的アプローチには、免
疫系が誘導されるように、または免疫系がTAAへの応答を増幅させるように、宿
主-腫瘍関係を修正することが含まれる。もし成功すれば、免疫系を誘導、また
は増幅することにより、腫瘍緩解、腫瘍拒絶、そして時には腫瘍治癒が可能であ
る。
【0012】 外来分子と戦うための宿主系機構のひとつは体液性免疫と呼ばれている。これ
は特定の外来分子(抗原と呼ばれる)に対する抗体を産生するものである。特徴
的に、抗体の抗原との結合能力は高度に相補的な構造に基づく。すなわち、抗体
の形状は抗原上の構造の相補体となる構造を含まなければならない。それぞれの
構造が十分に相補的であれば、二つの分子は強く結合する。
【0013】 抗原は、特定のリンパ球受容体、すなわち、表面T細胞抗原受容体とB細胞免疫
グロブリン受容体と相互作用する分子である。特定のB細胞またはT細胞は、抗原
決定基またはエピトープと呼ばれる、抗原の非常に特定の領域に結合する。この
ように、抗原は、免疫系において特定の受容体に認識されうる一以上のエピトー
プをもつ分子であり、これは抗原性と呼ばれる特性である。
【0014】 免疫原性は、免疫系を刺激し、特定の応答を生じさせる特性である。従って、
全ての免疫原は抗原であるが、その逆は真ではない。免疫系は抗原を認識するか
もしれないが、抗原が免疫原性も備えていなければ、免疫系はその抗原には反応
しない。
【0015】 特定の抗原への免疫応答は、他の無数の要素と同様に、抗原自身の構造と活性
に大きく影響される。ある場合には、免疫系が特定の抗原に免疫応答を生じさせ
られず、このような状態は寛容と呼ばれる。
【0016】 抗原が免疫原性であるか、免疫寛容であるかに影響を及ぼすということにおい
て、抗原の重要な特徴は、抗原と、宿主内の類似の分子との違いの度合いである
。最も免疫原性のある抗原は宿主にホモログがないもの、すなわち、最も「外来
」であるものである。免疫原性を促進するその他の要因としては、より高い分子
量、より大きな分子の複合度、適切な抗原の投与量の範囲、投与ルート、宿主の
年齢、および宿主の遺伝的構成がある。
【0017】 前述のように、抗原は、免疫系の特定の受容体に認識されるひとつ以上のエピ
トープ、または結合部位を持ち得る。エピトープは分子の一次構造で形成されて
いる(シークエンシャルエピトープと呼ばれる)場合もあり、分子の二次構造ま
たは三次構造で並列した、一次構造とは分離した分子の部分から形成されている
(コンホメーショナルエピトープと呼ばれる)場合もある。エピトープにはネイ
ティブ抗原における3次元構造のなかに隠れているものもあり、抗原のコンホメ
ーションが変化して、免疫系の特定の受容体がエピトープに到達出来るようにな
ってから初めて、免疫原性になる。この事は、治療剤が抗原の認識と抗原への応
答を起こし、抗原に対する細胞性応答と体液性応答の両方を誘導し、また、分子
の免疫原性に影響を与えることなく抗原性を増大させるという能力において、重
要な特徴と機能である。
【0018】 免疫系が産生する応答のひとつである体液性応答は抗体の産生を含むものであ
る。抗体は三つの主要な抗原特異的決定基のカテゴリーをもつ。それは、アイソ
タイプ、アロタイプ、およびイディオタイプである。それぞれ抗体分子上の位置
によって定義されている。本発明の目的のために、我々はイディオタイプのカテ
ゴリーに集中することにする。
【0019】 イディオタイプの決定基、またはイディオトープは抗体のV領域のマーカーで
ある。V領域は比較的大きな領域で、それぞれ異なった抗体と相互作用可能ない
くつかのイディオトープを含むことができる。単一の抗体のV領域に発現された
イディオトープのセットは抗体イディオタイプを構成する。抗原結合部位(パラ
トープ)が他抗体のV領域上の抗原決定基(イディオトープ)と相互作用する抗
体(Ab1)は抗イディオタイプ抗体(Ab2)と呼ばれている。このように、抗体は
一つの抗原結合部位を含むが、一以上の抗体結合部位をも含む場合がある。時に
Ab2αとAb2βと呼ばれる2種類の抗イディオタイプ抗体がある。その一種の抗イ
ディオタイプ抗体(Ab2β)では、結合部位は、Ab1抗体によって認識される抗原
のエピトープの構造を完全に模倣している。抗イディオタイプのこの種類は抗原
の内部イメージを表現していると言われている。定義では、抗原と抗イディオタ
イプのこの種類がAb1上の同一の結合部位に競合し、抗原はAb1と抗イディオタイ
プ抗体の相互作用を阻害する。抗原の内部イメージを有する抗イディオタイプ抗
体を産生する現象は、免疫原としての抗原の代わりに抗体を使用することを許す
ものであるだろう。
【0020】 抗イディオタイプの第2の種類であるAb2αは、抗原結合部位とは別個のAb1の
イディオトープと結合するため、抗体が抗イディオタイプのAb1への結合を阻害
できないことより特徴づけることができる。抗イディオタイプのこの種類では、
Ab1は抗原と抗イディオタイプ抗体の両方に結合可能である。これらの種類の抗
体とその相互作用についての図解説明は図1を参照。
【0021】 これらのイディオタイプ決定基に基づくさまざまな相互作用は、イディオタイ
プネットワークと呼ばれ、免疫系を刺激して抗イディオタイプ抗体(Ab2)を産
生させる免疫グロブリン分子(Ab1)の可変領域の免疫原性に基づくものである
。そして抗イディオタイプ抗体には、最初の抗原の抗原エピトープ(内部イメー
ジ)を模倣するものがある。循環における内部イメージ抗体(Ab2)の存在によ
り、順番に、抗-抗イディオタイプ抗体(Ab3)の発生を誘導できる。そのなかに
は最初の抗原と反応する構造を含むものがある。
【0022】 体液性応答に加えて、免疫系はまた活性化T細胞により仲介される細胞性応答
をも産生することもできる。T細胞活性化に重要な細胞内シグナルが多く存在す
る。普通の環境では、抗原は分解してまたは切断されて、抗原断片またはペプチ
ドを形成する。抗原断片のT細胞への提示は、MHC分子の主要な機能であり、この
機能を果たす細胞は抗原提示細胞(APC:樹状細胞、マクロファージ、およびB細
胞を含むが、これらに限定されない)という。
【0023】 体液性応答を産生する以外に、Ab1とAb2は、細胞障害性リンパ球だけでなく増
殖リンパ球(ヘルパーおよびサプレッサーリンパ球)によって特徴づけられる細
胞性免疫応答を誘導するということが示されている。従って、イディオタイプネ
ットワーク理論によれば、抗PSA抗体の注射は、結果としてPSA分子に対する特定
の細胞性および体液性免疫応答を誘導することになるであろう。抗イディオタイ
プ抗体が免疫原として機能するという概念は、動物モデルにおいて腫瘍性、細菌
性、ウイルス性、および寄生虫性の抗原に対する免疫感作が成功したことにより示
されている。Ab2の産生は、本質的に免疫系経路の誘導に影響する強い免疫応答
の存在を示すものである。
【0024】 APCによる抗原の捕獲とプロセシングは、特定の免疫応答の誘導に必須のもの
である。三つの主なAPCは樹状細胞、マクロファージ、およびB細胞であり、樹状
細胞が最も効果的である。注射された抗体は循環するPSAと複合体を形成し、樹
状細胞とマクロファージの上にあるFc受容体を通じて、これらの細胞の標的とな
ることができる。しかし、好中球上にある多数のFc受容体が、このプロセスをか
なり制限し得る。
【0025】 B細胞によるPSAの捕獲とプロセシングもまた、膜に結合したAb2が抗PSA/PSA
複合体と相互作用して起こり、同様に、膜に結合したAb3がPSA(複合している、
または抗PSA抗体を伴っていない)に相互作用して起こる。
【0026】 発明の概要 本発明は、抗-抗イディオタイプ抗体の産生という結果になる結合部位で、循
環前立腺特異抗原と特異的に結合するモノクローナル抗体の使用である。本発明
に従った組成物は、PSAに対する体液性免疫応答および細胞性免疫応答の両方を
誘導する。さらに、本発明に従った組成物は、免疫原性に影響を与えることなく
、腫瘍関連抗原の抗原性を誘導または増幅する。
【0027】 本発明に従った方法は、好ましくは、体液性免疫応答および細胞性免疫応答を
刺激するために十分な量の抗体を宿主に導入する事を含む。抗体の組成物はアジ
ュバントとともに製剤化されてもよく、またはリポソーム形態若しくはミセル製
剤で製剤化されてもよい。
【0028】 本発明に従った抗体は、異なったHLAクラスI分子タイプを持つヒト個体群の広
い区分において、PSAに対する体液性免疫と細胞性免疫応答を産生するのに有用
である。これは、部分的には、PSA分子上の特定の配列に対する抗体の特異性の
ためである。
【0029】 この配列はPSAを標的とした免疫療法には特に重要なものである。なぜなら、
この配列が、HLA-A2に結合するコンセンサスアミノ酸モチーフを含むからである
。特に興味深いのは、141〜150、146〜154および154〜163ペプチドがヒト前立腺
癌腫細胞を溶解することのできるヒト細胞傷害性T細胞をin vitroで産生できる
ことの論証である。もうひとつの重要な知見は、短縮型(clipped form)PSAの1
45〜146位において結合が切断しているのが同定され、この配列が特に加水分解
し易いということが示されることである。従って、選択された抗PSA抗体は、PSA
に結合することにより、APCのエンドソーム区画内での加水分解からこの特定の
配列を防御し、抗PSA免疫応答を誘導することのできる免疫原性ペプチドの産生
を向上させることができる。
【0030】 発明の詳細な説明 本発明は、前立腺特異抗原(PSA)、好ましくは循環PSA、さらに好ましくは13
9から163アミノ酸配列に対応するPSA分子のエピトープに特異的に結合する抗体
のような結合剤を含む組成物である。本発明の好ましい態様において、結合剤は
モノクローナル抗体である。
【0031】 本発明は、組成物と治療法であり、ここで、組成物は、抗ー抗イディオタイプ
抗体の産生を誘導可能で循環PSAと結合して抗原提示細胞の標的を形成する事が
できる抗体のような結合剤を含む。
【0032】 本発明はまた、本発明に従った組成物を投与することにより前立腺癌を治療す
る方法を含む。 本発明はまた、前立腺特異抗原に特異的に結合する抗-抗イディオタイプ抗体
の産生を誘導する組成物と方法を含む。
【0033】 本発明はまた、本発明に従った組成物を含むキットを含む。 本発明の好ましい態様において、あらかじめ定められた腫瘍関連抗原に特異的
に結合するあらかじめ定められた抗体を含む組成物は、その腫瘍によって生産さ
れる可溶性抗原に結合するために用いられる。一旦可溶性抗原が結合すると、免
疫系は抗原を「外来」として認識し、抗原に対して、または抗原に結合した結合
剤に対しての免疫応答を開始する。免疫原性にされ得る抗原は、免疫応答を誘導
または活性化して、治療的、そしておそらく予防的利益に導くのに潜在的に有用
である。
【0034】 本明細書中で使用されている場合に「前立腺特異抗原」という語はin vivo、e
x vivo、またはin vitroの、天然タンパク質を含む。この天然タンパク質とは、
何れかのポリペプチド、または、天然のコンホメーション的に正しいPSAに対す
る免疫応答を産生可能な突然変異タンパク質もしくはそれ由来の断片をいうだけ
でなく、天然源から精製されたか組換え技術で作成されたかいずれかの天然タン
パク質のことをもいう。例えば、天然PSAの認識をもするであろう抗体を産生す
る能力に悪く影響を与えることなく、分子の保存的アミノ酸置換をすることがで
きる。
【0035】 本発明の組成物と方法は、可溶性で多エピトープの腫瘍関連抗原(TAA)を産
生する前立腺癌を含む。本明細書中で使用されている場合に可溶性とは、体液、
すなわち、血液、血清、腹水、唾液などのようなものの中に検出可能であるいず
れかの抗原を表すのに用いられる。表面抗原や細胞内抗原と対立するものとして
、可溶性腫瘍抗原、例えば血流中に発生される腫瘍抗原を発生した前立腺癌は、
好ましくはタンパク質または糖タンパク質(たとえばムチン)性の多エピトープ
腫瘍関連抗原を示し、健常な対照に普通存在するより多くの患者の体液中濃度に
より発見される。そして、まだ免疫応答は開始していないが、このような高い濃
度は患者にとって気の毒な予後であることを意味する。当業者によく知られてい
るように、TAAの濃度がこの疾患の再発の前兆となるものより高いかどうかを決
定する一つの方法は、患者の濃度を健常な対照と比較することによっている。も
し、TAAの濃度が健常な対照より高ければ、患者の濃度は、この疾患の気の毒な
予後の前兆となる。
【0036】 本明細書中で使用されている場合に結合剤(BA)とは、例えば、腫瘍抗原上に
発現された単一のエピトープに結合可能な結合部位のような、免疫学的対の一方
を示す。典型的な結合剤は、モノクローナル抗体(「MAb」)、キメラモノクロ
ーナル抗体(「C-MAb」)、遺伝的操作されたモノクローナル抗体(「G-MAb」)
、モノクローナル抗体の断片(「F(Ab)2」、「F(Ab)」、および「Dab」を含
むがこれらに限定されない)、モノクローナル抗体の反応性部位を示している一
本鎖(「SC-MAb」)、腫瘍結合ペプチド、ヒト化抗体、エフェクター機能を仲介
する分子と結合した上記いずれかのもの、および、上記いずれかを模したものを
含むがこれらに限定されるものではない。抗体はポリクローナル抗体でもモノク
ローナル抗体でもよい。対象がヒト対象の場合、抗体は、マウス、ラット、ヤギ
、ヒツジ、ウサギ、またはその他の適当な実験動物のような、抗原に対する有用
な免疫応答を開始できる動物を免疫感作することにより得る事ができる。モノク
ローナル抗体の場合には、抗体を産生するハイブリドーマを得るために、免疫感
作された動物の抗体産生細胞は、「不死の」または「不死化した」ヒトもしくは
動物の細胞と融合させてもよい。必要であれば、一以上の免疫グロブリン鎖をコ
ードする遺伝子をクローン化して、抗体が異なった宿主細胞で産生されるように
してもよい。そして、もし必要であれば、この遺伝子は、配列を変えて、産生さ
れる抗体の免疫学的性質を変えるように突然変異させてもよい。
【0037】 断片、または結合剤の断片は、ペプシン、パパイン等のようなものを使用した
結合剤のタンパク質分解、または、必要な断片をコードするDNAがクローン化さ
れ、種々の宿主に発現される組換えDNA技術のような従来の技術で得る事ができ
る。前述のものを、例えば紫外線などの光で照射すると、同様の状況で多エピト
ープ抗原に対する免疫応答を高めるだろう。本発明の好ましい態様では、CDCま
たはADCCを仲介するエフェクター機能は必要ではない。
【0038】 修飾により免疫原性が高まった機能的に同等な抗体になるという条件で、本発
明は抗体のアミノ酸構造に置換と欠失がある場合を含む。 本発明のひとつの態様において、組成物は循環前立腺特異抗原に特異的に結合
する抗体を含む。本発明のひとつの態様において、抗体は、PSA分子の139〜163
アミノ酸配列に対応するPSAのエピトープに結合する。さらに詳しくは、抗体は
、EEFLTPKKLQCVDLHVISNDVCAQV(SEQ ID NO:1)という配列に対応するエピトープ
に結合する。最も好ましい態様において、本発明に従った結合剤はPSA分子の135
から150アミノ酸配列に対応するPSAのエピトープに結合する。本発明に従って、
その他の結合剤も本発明の実施に有用でありうる。例えば、モノクローナル抗体
のような他の適当な結合剤は、PSA分子のN末端近くに結合するものを含んでいる
【0039】 本発明の抗体は、哺乳動物、好ましくはヒトまたは霊長類の免疫原として使用
する、薬学的に許容可能な担体と組み合わせた医薬組成物として製剤化されてい
てもよい。組成物は免疫応答を高める一以上の他の成分をさらに含んでいてもよ
い。この成分には、Flt3のような樹状細胞成長因子、インターロイキン2、イン
ターロイキン6、インターロイキン12、インターフェロン、腫瘍壊死因子、GM-CS
F、シクロホスファミドといった生物学的応答調節剤が含まれるが、これらに限
定されるものではない。組成物はまた、少なくとも一つのHLAクラスI分子、また
は、一以上の抗体もしくはその断片と組み合わせた少なくとも一つのHLAクラスI
分子を発現している細胞を含んでいてもよい。アジュバントは、例えば、RIBI D
etox、QS21、みょうばん、不完全フロイントアジュバントを含む。リポソーム製
剤も使用できる。
【0040】 組成物は、一以上のアジュバント、一以上の担体、一以上の賦形剤,、一以上
の安定剤、一以上の造影剤、および/または生理学的に許容可能な塩類溶液を含
んでもよい。一般に、アジュバントはより明白な免疫応答を引き出すために免疫
原と混合される物質である。アジュバントを除いた比較対照のワクチン注射では
体液性免疫応答が生じる結果となった。組成物はまた、薬学的に許容される担体
を含んでいてもよい。薬学的に許容可能な担体とは、塩類溶液、滅菌水、リン酸
緩衝塩類溶液などを含むが、これらに限定されるものではない。その他の緩衝剤
、拡散剤、患者への投与に適当な不活性な無毒性物質が本発明の組成物に含まれ
ていてもよい。組成物は投与に適当な溶液でよく、典型的には無菌で、望ましく
ない粒子状物がないものである。組成物は従来の滅菌技術で滅菌されることがで
きる。
【0041】 本発明に従った組成物は、PSA特異的な体液性および細胞性免疫応答を産生す
るのに効果的な量で哺乳動物に投与されうる。抗体の免疫原としての効果は、当
該技術分野で既知のin vivoまたはin vitroのパラメーターによって決定される
。これらのパラメーターには、細胞毒性アッセイ、PSA+腫瘍の緩解、PSA+癌細胞
の阻害、サイトカインなどの産生が含まれるが、これらに限定されるものではな
い。
【0042】 本明細書中で使用されている場合に「投与する」とは、抗体のような結合剤を
、典型的には哺乳類の、あらかじめ定められた抗原、細胞、複数の細胞、または
組織に、さらすか、または接触させるという行為全てをいう。本明細書中で使用
されている場合に、投与は、in vivoで、in vitroで、またはex vivoで行うこと
ができる。例えば、組成物は注射により、または内視鏡によって投与されてもよ
い。投与はまた、本発明に従った組成物の細胞への直接適用も含む。
【0043】 本発明の方法に従って、結合剤はあらかじめ定められた結合部位または受容体
に結合可能でなければならず、免疫学的に適当な経路で患者に投与する事ができ
る。例えば、結合剤は、静脈内、皮下、腹腔内、くも膜下、膀胱腔内、皮内、筋
肉内、またはリンパ腺内経路により患者に導入することができる。組成物は溶液
、錠剤、エーロゾル、または複数相製剤剤形(multi-phase formulation forms
)でもよい。リポソーム、長循環リポソーム、イムノリポソーム、生分解性ミク
ロスフィア、ミセルなどもまた、担体、ビヒクル、または送達系として使用でき
る。さらに、当該技術分野でよく知られているex vivoの方法を利用して、まず
、患者の血液または血清を患者から取り除いてもよい。場合により、患者の血液
中の抗体を精製する事が望ましいかもしれない。次に、血液または血清は本発明
に従った結合剤を含む組成物と混合されてもよい。そして処理した血液または血
清は患者に戻される。臨床医は最も効果的な投与経路を決定する際、これらの異
なった経路に関連した抗イディオタイプおよび抗アイソタイプの応答を比較する
ことができる。本発明は結合剤の患者への導入法を特に限定するものではない。
【0044】 本発明の方法に従って、結合剤を含む組成物は前立腺腫瘍関連抗原を認識し、
これに結合するのに十分な量で投与されうる。本発明の好ましい態様において、
投与量はTAAに対する免疫応答を産生する、または引き出すのに十分である。免
疫学上または治療学上効果的なまたは許容できる量の結合剤は、あらかじめ定め
られた抗原にin vivoまたはex vivoで結合するのに十分な量であり、抗原に対す
る免疫応答を引き出すことができる。この応答が、あらたに接近可能となったエ
ピトープを持ち、提示している腫瘍細胞を阻害し、または死滅させる。それによ
り、疾患、または、抗原を産生している状態が改善する、または無くなる。免疫
応答は体液性応答、細胞を介した応答、または両方の形態をとることができる。
本発明の好ましい態様において、モノクローナル抗体の投与量はADCCまたはCDC
を引き出すのに必要な投与量よりも少ない。
【0045】 組成物中のタンパク質の濃度または投与量は、例えば、0.01重量%から約15か
ら20重量%まで、広く異なってよい。前述のように、組成物は抗原に対する免疫
応答を刺激するのに十分な量を投与される。この使用に効果的な量は、部分的に
疾患の重症度と、患者の免疫系の状態に依存しうる。一般的に、組成物は、体重
1キログラムあたり、約0.1μgから2 mg以上のタンパク質剤、より一般的には体
重1キログラムあたり、約1μgから200μgの投与量、を含むだろう。普通、濃度
は少なくとも0.5%になる。主として、液体量、粘度、抗原性などを基に、投与
の特定の形態に従って、適当な量を選ぶ事ができる。
【0046】 投与は一回以上、好ましくは、長期間に渡って三回でよい。本発明の組成物が
、深刻な疾患状態、すなわち、生命を脅かす、または生命を脅かす可能性のある
状態にある患者に用いられる際には、必要であれば、過剰量の結合剤を投与して
もよい。医薬組成物を投与する実際の方法とプロトコールは、本組成物注射のた
めの希釈技術も含め、当業者によく知られているか、明らかになるであろうもの
である。これらの方法とプロトコールのうちのいくつかは、Remington's Pharma
ceutical Science, Mack Publishing Co. (1982)に記載されている。投与はまた
、ex vivo投与プロトコールを含んでもよい。例えば、患者の体液の一部を取り
出し、この体液をin vitroで治療組成物と接触させ、次に処理した体液を患者に
戻すというプロトコールである。
【0047】 結合剤は他の結合剤と合わせて投与してもよく、または、例えば化学療法剤の
ような他の治療プロトコールもしくは治療剤と合わせて投与してもよい。 投与された抗PSA抗体の治療的効能はふたつの異なった作用機構に従っている
と考えられる。しかし、本発明は、列挙された機構に限定されるものではない。
初めの機構はイディオタイプネットワークによるPSAへの特異的免疫(体液性免
疫)の誘導である。第2の機構は投与された抗PSA抗体が循環PSAに結合して抗原
提示細胞(APC)への結合に適した複合体を形成するという細胞性免疫を含む。
特に興味深いことは、この作用機構が、PSAに対する多エピトープ免疫応答を産
生するということである。静脈注射で腫瘍部位のAr47.47を標的とすることはま
た、腫瘍部位での免疫適格細胞の移動と蓄積に都合がよい。これらの免疫細胞か
らのサイトカインの分泌は、順番に、種々の腫瘍抗原に対する防御免疫応答の産
生を刺激する。
【0048】 本発明のもうひとつの態様に従って、抗体の構造は、樹状細胞による捕捉を亢
進するために修飾されていてもよい。典型的な修飾は、抗PSA抗体のマンノシル
化、または、マウス樹状細胞の表面マーカーに特異的な抗体との結合を含むが、
これらに限定されるものではない。Fc受容体と異なって、マンノース受容体はエ
ンドサイトーシスの後、細胞表面に再生される。従って、継続的に繰り返してリ
ガンドを内面化することができる。実際、非グリコシル化タンパク質と比較して
、マンノシル化タンパク質は樹状細胞によって100倍の効率で提示される。
【0049】
【実施例】
実施例1.AR47.47の産生 抗PSA抗体を分泌するハイブリドーマクローンは、マウスミエローマ細胞Sp2/
OとヒトPSAで免疫感作したBalb/cマウスの脾臓細胞を融合して産生された(図3
)。
【0050】 免疫原:ヒト精漿より精製したPSAはScripps Laboratories, San Diego, CAよ
り得られた [Cat # P0723 (純度約50%); Cat # P0725 (純度99%)]。 マウス:6週齢のオスBalb/cCr/AltBMマウスはジャクソンラボラトリーから
購入され歯科学/薬学ビル(Dentistry/Pharmacy Building)(HSLAS設備)の7
階に収容された。
【0051】 免疫感作プロトコール:マウスは、完全フロイントアジュバント中の30μgのP
SA(Cat # P0723)で腹腔内免疫感作された。マウスは続いて、10日の間隔で30
μgのPSA(Cat # P0723)の腹腔内注射を2回受けた。一度目の追加免疫は不完全
フロイントアジュバント中で行われたが、2度目の追加免疫はPBS中で行われた。
抗PSA抗体の血清レベルはPSAコートプレートでELISAにより測定され(ELISA#1
)、より高い血清レベルのマウスはPBS中の30μgのPSA(Cat # P0725)で最後の
脾臓内追加免疫を受けた。
【0052】 融合:最後の脾臓内追加免疫から三日後、脾臓細胞とマウスミエローマ細胞株
Sp2/O-Ag14(ATCC CRL-1581)との細胞融合により、ハイブリドーマが得られた
【0053】 スクリーニング: 第一スクリーニング:抗PSA抗体を分泌するハイブリドーマクローンは最初にP
SAコートプレートでのELISA(ELISA#1)、によって検出された。我々は、この
第一スクリーニングで80の陽性クローンを選択した。これらのクローンは液体窒
素タンクの中で現在凍結された状態である。
【0054】 第二スクリーニング:陽性クローンはさらに、アルファ抗キモトリプシンと複
合体を形成したPSA(PSA-ACT)に対して(ELISA#2)、アルファ抗キモトリプシ
ンと複合体を形成していないPSAに対して(ELISA#4)、血漿カリクレインに対
して(ELISA#5)、および139〜163のPSAペプチドに対して(ELISA#6)、さら
にスクリーニングされた。
【0055】 AR47クローンのPSAの様々な形態に対する反応性とカリクレインに対する反応
性は実施例2に報告されている。AR47クローンにより分泌される抗体のアイソタ
イプは実施例3に報告されている。
【0056】 追加研究のためのクローン選択基準は、PSAとPSA-ACT(ヒト血清中の免疫応答
性PSAにおける二つの主要な形態)に対する反応性、139〜163位のPSAペプチド(
細胞性免疫に関与するPSA配列)に対する反応性、および分泌される抗体のアイ
ソタイプに基づいた。これらの基準に基づいて、AR47.47ハイブリドーマクロー
ンが選択された。
【0057】 HAT培地の標準培地への適応: 96ウェルのプレートから発生し、HAT培地で増殖したAR47クローンは、まず、H
T培地2 ml/ウェルを含む24ウェルのプレートに移され、次に、コンフルエント
に至ったらHT培地6 ml/ウェルを含む6ウェルのプレートに移された。HT培地か
ら標準培地への細胞の適応は漸次的に行われた。
【0058】 HAT培地:RPMI 1640、10%FBS、HAT添加物、OPI添加物、0.3 mg/mlグルタミ
ン、100μg/mlストレプトマイシン、100 U/mlペニシリン HT培地:RPMI 1640、10%FBS、HT添加物、OPI添加物、0.3 mg/mlグルタミン
、100μg/mlストレプトマイシン、100 U/mlペニシリン 標準培地:RPMI 1640、10%FBS、0.3 mg/mlグルタミン、100μg/mlストレプ
トマイシン、100 U/mlペニシリン。
【0059】 プリスタン(0.5 ml/マウス)であらかじめ処理し、AR47.47R6R6を注射した
マウスでは腹水が生じ得る。腹水中でのAR47.47の濃度は4から6 mg/mlの範囲で
あると算出された。
【0060】
【表1】
【0061】 前立腺特異抗原(PSA)は前立腺腫瘍免疫療法のための魅力的な標的であるこ
とが示される。この糖タンパク質ははほとんど前立腺のみで合成され、現在は前
立腺癌患者の診断とモニターのために使用されている。しかし、PSAは自己抗原
として認識されるので、効果的な免疫療法のためには、免疫系を触発し得る革新
的な方法を開発し、PSA発現細胞に対する防御免疫を誘導する必要がある。本実
施例は抗原特異的抗腫瘍免疫応答に関連した抗イディオタイプカスケードを引き
出すための抗体の利用法を明らかにしている。抗PSAモノクローナル抗体の大き
なパネルが我々の実験室で産生され、これらの抗体は、前立腺癌に対する潜在的
な治療的効能を評価された。マウスを選択された抗PSA抗体で免疫感作すると、P
SA自身に対する特異的免疫が誘導されることを、我々は明らかにした。従って、
これらの結果は、前立腺癌の免疫治療への抗PSA抗体の潜在的な用途を強調する
ものである。
【0062】 抗PSA抗体を分泌するハイブリドーマクローンは、マウスミエローマ細胞Sp2/
OとヒトPSAで免疫感作したBalb/cマウスの脾臓細胞を融合して産生された。具
体的なクローン、AR47.47はPSA分子の139〜163アミノ酸配列に対応するPSAのエ
ピトープに結合する。現在、AR47.47は、135〜150アミノ酸配列も認識して、よ
り強いシグナルを発し、結合に必要な最小配列であり得ることが示されている。
【0063】 抗PSA抗体を同定するのに使用された最初の選択基準は、この抗体が循環PSAと
相互作用する能力であった。循環PSAはフリーの形態でも、α-抗キモトリプシン
やα2-マクロブロブリンのような抗プロテアーゼとの複合体でも検出される。ク
ローンのスクリーニングのために我々は3つの異なった形態のPSAを使用した;フ
リーのPSA;α-抗キモトリプシンとの複合体を形成したPSA(PSA-ACT);および
、α-抗キモトリプシンと複合体を形成していないPSA(PSA-nc)である。フリー
のPSAはヒト精液から直接精製されたPSAに対応する。フリーのPSAを精製ACTと共
にインキュベーションを行うとPSA-ACTとPSA-ncを形成する。PSA-ncはゲルろ過
クロマトグラフィーで分離され得る。PSA-ncは循環中に存在するフリーの形態の
PSAを示すと考えられている。α2-マクロブロブリンとPSAの複合させるとPSAが
総てカプセル化されるという結果になる。結果として、この形態のPSAはもはや
モノクローナル抗PSA抗体では検出できない。従って、我々はこの形態の循環PSA
をスクリーニングに使用しなかった。
【0064】 PSAはカリクレインファミリーに属し、PSAとカリクレインHK1とHK2の間には高
い構造相同性が見出される。ヒト血漿から単離されたカリクレインと抗PSA抗体
との交差反応がないということを第2の選択基準とした。
【0065】 ハイブリドーマクローンAR47.47が、前述の基準にかない、スクリーニングに
使用されたPSAの3つの形態との強い免疫応答が観測された。一方で、ヒト血漿カ
リクレインとの交差反応は観測されなかった。ハイブリドーマクローンAR47.47
は限界希釈法により、2回クローニングされ、第2世代のクローンAR47.47R6R6が
さらなる研究のために選ばれた。AR47.47R6R6クローンは標準培地(RPMI 10% F
BS)に適応され、細胞バンクが形成された。マイコプラズマによる汚染がない事
はBoehringer Manheimマイコプラズマ試験で確かめられた。クローンAR47.47R6R
6はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託され、受託番号H-B 1
2526を受けている。
【0066】 イディオタイプネットワークによる特異的PSA免疫性の誘導(すなわち、Ab3抗
体の誘導)のために、本発明に従った結合組成物(AR47.47)を用いたDBAマウス
での免疫感作が試みられた。抗PSA抗体(Ab3)は、AR47.47で免疫感作した動物
血清に検出することができた。最小限で2回のAR47.47の注射がAb3産生のために
必要であった。対照グループ(PSAに関連しないアイソタイプ適合対照抗体で免
疫感作したマウスとPBS注射を受けたマウス)にはPSAに対する反応性は検出され
なかった。
【0067】 AR47.47は、PSA分子の139〜163配列に含まれるPSAエピトープに導かれる。AR4
7.47免疫感作マウスにより産生される抗PSA抗体は139〜163 PSAペプチドに特異
的に相互作用することが可能であり、少なくとも産生されたAb3の一部は、AR47.
47に対する特異性に関して同一であることを示している。これらの結果は、AR47
.47での免疫感作は、宿主に特異的抗PSA免疫性を誘導することができることを明
らかにしている。
【0068】 実施例2.クローン培養と生産性 標準培地での増殖特性 標準培地(RPMI 1640、10%FBS、0.3 mg/mlグルタミン、100μg/mlストレプ
トマイシン、100 U/mlペニシリン)を用いて、AR47.47R6R6ハイブリドーマ細胞
は、5×104細胞/mlで6ウェルプレートに植え付けられ、数日間培養された。各
日、細胞濃度は血球計算板を用いて手動で細胞を数えることにより定められ、細
胞の生存率はトリパンブルー排除により決定され、培養培地での抗体濃度はELIS
A(ELISA#8)により測定された。3つの独立した実験が行われた。AR47.47R6R6
ハイブリドーマクローンの増殖特性は図4と次の表に示される。
【0069】
【表2】
【0070】 AR47.47R6R6クローンは、22時間の世代時間を有し、最大60万細胞/mlまで増
殖する。培養培地での最も高い抗体レベルは約60μg/mlと算出された。 AR47.47ハイブリドーマ細胞は無血清培地(SFM, Gibco)と無タンパク質培地
(UltraDOMA-PF, Biowhitaker)に適応された。AR47.47R6R6ハイブリドーマ細胞
は、無血清培地(SFM, Gibco, cat #12045-084)と、無タンパク質培地(UltraD
OMA-PF, Bio Whittaker, cat #15-7-27と08-242F)に適応された。AR47.47R6R6
は容易に、無タンパク質培地UltraDOMAに適応された。この培地では、細胞は10
万細胞/mlより小さい濃度で植え付けられる際、最も良く維持された。
【0071】 AR47.47R6R6の標準培地(RPMI 10%FBS)における増殖特性、RPMI 5%FBSにお
ける増殖特性、およびUltraDOMAにおける増殖特性は次の表で比較されている。
【0072】
【表3】
【0073】 AR47.47R6R6の無血清培地(SFM, Gibco)への適応は、対照的に、かなり難し
いものであった。細胞は1×105細胞/mlより薄い濃度に希釈されると生存しなか
った。細胞は2〜4×105細胞/mlの範囲を含む細胞濃度で最も良く維持された。
本培地での増殖特性は検討されなかった。
【0074】 実施例3. AR47.47は腹水と細胞培養培地のどちらかから、アフィニティークロマトグラ
フィーで精製された。使用されたアフィニティーカラムはPharmacia BiotechのG
amma Bind Plus Sepharoseである。抗体の精製は製造元の指示プロトコールに従
って行われた。クロマトグラフィーは280 nmにおける吸光度(タンパク質の総濃
度)の測定と、抗PSA抗体の有無についての異なる画分の試験(ELISA#1)によ
り観測された。精製された抗体を含む画分は濃縮され、PBSに対して透析された
。抗体の純度はSDS-PAGEで分析された。出発物質における抗体濃度と精製した画
分における抗体濃度は、ELISA(ELISA#8)と、280 nmにおける吸光度の測定に
より決定された(吸光度値の濃度値への変換はε=1.46を用いて行った)。
【0075】 AR47.47はIgG1抗体であり、ACTと複合したPSAと特異的に相互作用するのと同
様に、フリーのPSAとも特異的に相互作用する。合成直鎖PSAペプチドが、AR47.4
7により認識されるエピトープを同定するのに使用された(図5)。競合実験と同
様に、直接結合も、AR47.47R6R6により認識されるエピトープはPSA配列139〜163
を含むことを明らかにしている。AR47.47は、ヒト血漿カリクレインを認識しな
い。AR47.47R6R6のアイソタイプはELISAキット(Southern Biotechnology)によ
り決定された。そして、それはマウスIgG1,k抗体である。AR47抗体はPSA、PSA-A
CT、およびPSAncを特異的に認識する。
【0076】 配列140〜163を含むPSA分子のドメインは、前立腺癌に対する免疫治療産物の
開発には特に興味深い。確かに、次のPSAペプチド、141〜150、146〜154、154〜
163は、HLA-A2分子に結合し、これらのペプチドに特異的な細胞障害性Tリンパ球
がin vitroで産生されている。
【0077】 N-ビオチン化PSAペプチド139〜163との直接結合アッセイを用いて、AR47.47は
この配列に対して特異的に導かれていることを我々は明らかにした(ELISA#5)
。AR47.47のみがPSAペプチド139〜163に結合する。AR47.47のPSA配列139〜163へ
の特異性は、さらに競合結合アッセイ(ELISA#7)によって確かめられた。AR47
.47の固定化PSAへの結合は、投与量に応じて、N-ビオチン化PSAペプチド139〜16
3により阻害され得る。AR47.47により認識される最小限の配列をより正確に同定
する試みとして、我々は、同一の競合アッセイ(ELISA#7)を用いて、PSAペプ
チド141〜150、146〜154、154〜163によるAR47.47のPSAへの結合に対する、阻害
を調べた。
【0078】
【表4】
【0079】 9アミノ酸の短いペプチド配列は、AR47.47のPSAへの結合を阻害する事はでき
なかった。阻害の無い事は、コンホメーショナルエピトープを認識するAR47.47
、および/または直鎖エピトープを認識するAR47.47によって説明することがで
きる。しかし、用いられたペプチド配列は、PSAへのAR47.47の最小限結合配列を
代表するものではない(例えば、AR47.47はPSA分子の139〜148部位を認識し得る
)。用いられた総てのペプチド配列がシステインを有することは言及する価値の
あることである。おそらく、ペプチドは可溶化後すぐに、2つのシステイン残基
間でジスルフィド架橋を形成して二量化するのであろう。二量化したペプチドは
AR47.47に認識されない可能性がある。しかし、種々の抗体がPSA分子のN末端近
傍のエピトープを認識し、これらの抗体が治療的に有益な免疫応答を誘導するこ
とが示された。
【0080】 PSAへのAR47.47のアフィニティー測定は、放射線ラベルAR47.47(RIA#1)と
放射線ラベルPSA(RIA#2)を用いて決定された。独立した実験から算出されたK
d値は次の表に報告される。
【0081】
【表5】
【0082】 AR47.47に認識されるPSA配列はチロシンを含まないので、おそらくヨウ素化工
程により影響を受けていない。放射線ラベルAR47.47と比較して放射線ラベルPSA
が用いられた時に算出された若干高いアフィニティーは、抗体のアフィニティー
はヨウ素化工程により若干減少することを示唆している可能性がある。
【0083】 PSA-ACTへのAR47.47のアフィニティーは、放射線ラベルAR47.47(RIA#3)を
用いて行われた。二つの独立した実験が行われた。スキャッチャードプロットか
ら算出されたアフィニティー定数は、それぞれ1.6 nMと1 nMであった。従って、
AR47.47のPSAとPSA-ACTの両者に対するアフィニティーは近いもののようだ。
【0084】 PSAペプチド139〜166へのAR47.47のアフィニティーは、放射線ラベルAR47.47
(RIA#4)を用いて行われた。スキャッチャードプロットから算出されたアフィ
ニティー定数は、PSAに対してとPSAペプチド139〜163に対しての両方で、AR47.4
7のアフィニティーが同様であることを明らかにしている。
【0085】
【表6】
【0086】 AR47.47R6R6抗体のF(ab)2フラグメントへの断片化は、固定化フィシン(Pie
rce)を用い、製造元の指示に示されたように酵素消化することにより、実現し
た。FabフラグメントのFcフラグメントとの分離は、プロテインAカラムでのアフ
ィニティークロマトグラフィーによって行われた。カラムから洗い除かれた非結
合画分がfabフラグメントを含み、結合画分はFcフラグメントと、結局残った非
消化の抗体を含んでいた。
【0087】 プロテインAカラムから溶出した画分はまず、抗Fc抗体と抗Fab抗体との免疫反
応性の試験(ELISA#9と10)が行われた。得られた結果により、カラムから直接
溶出した最初の画分は、予期されたとおり、Fab[FabまたはF(ab)2]フラグメ
ントを含み、Fcフラグメントに汚染されていなかったことが示された。我々はさ
らに、これらのFabフラグメントはまだPSAに結合できることを明らかにした(EL
ISA#11、RIA#5):Gamma Bind +カラムから精製されたAR47.47のSDS PAGE分析
【0088】 実施例4.動物モデル 二つのマウスPSA形質転換細胞株(ライン-1-PSA;P815-PSA)はDr. E.M. Lord
(NY、Rochester大学)から得られた。ライン-1はBalb/cByJ(H-2d)マウス肺
癌腫細胞株で、P815はDBA/2(H-2d)肥満細胞腫瘍細胞株である。形質転換細胞
株、ライン-1-PSAとP815-PSAは安定して形質転換され、培養培地で高レベルのPS
Aを分泌する(図6)。これらの形質転換細胞株によるPSA発現のレベルは、ジヒ
ドロテストステロン誘導ヒト前立腺細胞株LnCAP[Weiら; Cancer Immunol. Immu
nother, 42:362-368 (1996)]で観測されたものに匹敵する。
【0089】 MHCクラスI分子とMHCクラスII分子の発現は、市販の、H-2KdDd(MHCクラスI)
とI-Ad(MHCクラスII)に向けられた抗体を用いたFACS分析により調べられた。i
n vitroで増殖した、または、固形癌(DBAマウスより)から単離されたP815-PSA
細胞は、高レベルのMHCクラスI分子を発現するが、MHCクラスII分子は低レベル
でのみ発現する。in vitroで増殖させた場合、ライン-1PSAは、非常に低レベル
のMHCクラスI分子およびMHCクラスII分子を発現した。しかし、MHCクラスI分子
とMHCクラスII分子の発現は、細胞の5日間の3%DMSO処理によって誘導する事が
できた。
【0090】
【表7】
【0091】 二つの同遺伝子型(syngeneic)腫瘍モデルが確立された。第一の動物モデル
は10万のライン-1-PSA腫瘍細胞を静脈注射されたBalb/cByJマウスからなる。3
〜4週間後、マウスを犠死させ、全身腫瘍組織量を肺の癌病巣の数を測定し、肺
の重量を測ることにより算出された。
【0092】 第二の動物モデルは、50万のP815-PSA細胞を皮下注射されたDBA/2マウスから
なる。2週間後、腫瘍は蝕知でき、一定の間隔をおいてカリパーで測定された。
癌細胞の接種から4週間後、マウスを犠死させた。腫瘍は解剖され、重量を測ら
れる。
【0093】 実施例5.マウスのPSA免疫の抗イディオタイプ誘導 抗PSA抗体での免疫感作がイディオタイプネットワークの活性化によるPSAに対
する特異的免疫を誘導できるか否かを決定するため、マウスが使用された。本実
験の目的は、マウスの抗PSA抗体(Ab1)での免疫感作が、免疫系を刺激して、抗
イディオタイプ抗体(Ab2=代替抗体)と、最初の抗原と反応する事の可能な抗-
抗イディオタイプ抗体(Ab3)を産生させることができることを明らかにするこ
とであった。
【0094】 これらの実験では市販の抗体を抗PSA抗体のモデルとして用いた(RLSD09;ATC
C HB-8525)。精製した抗体はその免疫原性を高めるために、キーホールリンペ
ットヘモシアニン(KLH)と複合させた。KLHと複合した抗PSA抗体は、まだPSAと
結合可能で、抗体のイディオタイプは複合処置によっては覆われないことを示し
た。B43.13抗体、PSA抗体と同じアイソタイプのマウスモノクローナル抗体(IgG
1)が対照として使われた。B43.13抗体はCA125卵巣腫瘍抗原に対して特異的であ
り、PSAと交差反応しない。さらに、B43.13抗体は、ライン-1-PSAの細胞表面に
もP815-PSAの細胞表面にも結合しないことが、FACS分析により確かめられた。
【0095】 マウスは5マウスずつの3グループに再分された。第一のマウスのグループは、
KLHと複合した抗PSA抗体で免疫感作された。第二のマウスのグループは、KLHと
複合した対照のB43.13抗体で免疫感作された。第三のマウスのグループは、PBS
注射を受けた。注射は10日の間隔をおいて腹腔内で行われ、最初の注射は完全フ
ロイントアジュバントで、2回目の注射は不完全フロイントアジュバントで行わ
れた。
【0096】 Ab2は、注射された抗PSA抗体に認識されるPSAエピトープを模倣できる代替抗
原である。競合阻害アッセイはAb2の血清レベルを測定する事により確立された
。本アッセイは2回目の注射の5日後に行われた。抗PSA抗体で免疫感作したマウ
スのマウス血清の存在下でのインキュベーションの後、阻害が観測された。しか
し、対照抗体またはPBSで免疫感作したマウスの血清を用いた場合では、阻害は
観測されなかった。これらの結果により、Balb/cマウス(図7A)とDBAマウス(
図7B)の抗PSA抗体による免疫感作が、PSAを模倣できる抗イディオタイプ抗体(
Ab2)の形成を誘導できることが示される。
【0097】 実施例6. Ab3は宿主によって産生される抗PSA抗体に対応する。マウス血清におけるAb3
レベルは、2回目の注射の5日後に行った、PSAコートプレートを用いたELISAで測
定された(図8)。本アッセイにより測定された抗PSA抗体は注射された抗体に一
致し得ない。抗PSA抗体は、抗PSA抗体で免疫感作したDBAマウスとBalb/cマウス
のマウス血清中に検出することができた。これらの結果は、抗PSAモノクローナ
ル抗体での免疫感作により、抗PSA免疫応答がマウスに誘導され得ることを明ら
かにしている。
【0098】 実施例7.腫瘍発生への抗PSA免疫感作の影響 抗PSA抗体での免疫感作が続いておこる腫瘍の攻撃から動物を守れるか否かを
決定するため、Balb/cマウスが用いられた。Balb/cマウスは5マウスずつの3グ
ループに分けられた。第一のグループは、KLHと複合した抗PSA抗体RLSD09で免疫
感作され、第二のグループは、KLHと複合した対照抗体B43で免疫感作され、第三
のグループは、PBS注射を受けた。それぞれのグループに、各注射50μgの抗体を
使用して、全部で4注射がなされた。3回目と4回目の注射の間に、腫瘍細胞ライ
ン1-PSAが静脈注射された。腫瘍接種の19日後、マウスを犠死させ、肺の腫瘍病
巣の数と血清のAb3レベルが決定された。
【0099】 抗PSA MAbで免疫感作したマウスのグループの全身腫瘍組織量は、対照抗体で
免疫感作したマウスのグループと比較して著しく低かった。特に興味深いのは、
抗PSA MAbで免疫感作したマウスのグループで、Ab3レベルと肺の腫瘍病巣数の間
に、負の相関関係が明らかになったことである(図9)。
【0100】 実施例8.特異的PSA免疫誘導への免疫感作の影響 PSAに特異的に結合するモノクローナル抗体(AR47.47)での免疫感作が、イデ
ィオタイプネットワーク(すなわち、Ab3抗体の誘導)による特異的PSA免疫の誘
導という結果になり得るのか否かを、我々はDBAマウスで研究した。抗PSA抗体(
Ab3)はAR47.47で免疫感作した動物の血清中に検出する事ができた。Ab3産生に
は最小限2回のAR47.47の注射が必要であった。対照グループ(PSAに無関係のア
イソタイプ適合対照抗体で免疫感作したマウスとPBS注射を受けたマウス)にはP
SAに対する反応性は検出できなかった。図10aを参照。
【0101】 AR47.47はPSA分子の139〜163配列の間に含まれるPSAエピトープに対するもの
である。AR47.47免疫感作マウスから産生された抗PSA抗体は、PSAペプチド139〜
163と特異的に相互作用することができる(図10b)。従って、少なくとも産生さ
れたAb3の一部はAR47.47への特異性と言う点で同一であると、結論づけることが
できる。AR47.47での免疫感作は宿主に特異的抗PSA免疫を誘導できることが、こ
れらの結果により明らかになる。
【0102】 実施例9. 本研究で使用された同遺伝子型腫瘍動物モデルは: A. ライン-1-PSA腫瘍細胞10〜4万を静脈注射されたBalb/cByJマウス。3〜4週
間後にマウスを犠死させ、全身腫瘍組織量は肺の腫瘍病巣数の測定と肺の重量を
測ることにより算出される。 B. 40万P815-PSA細胞を皮下注射されたDBA/2マウス。2週間後、腫瘍は蝕知で
き、一定の間隔をおいてカリパーで測定される。腫瘍細胞の接種から約4週間後
、マウスを犠死させ、腫瘍は解剖され、重量を測られる。
【0103】 治療抗体と対照抗体 治療抗体:PSAに特異的なIgG1アイソタイプのマウスモノクローナル抗体AR47.
47R6R6 対照抗体:IgG1アイソタイプのマウスモノクローナル抗体: 腫瘍抗原CA125に対するCA125MAb(AltaRex Corp.) 特異性不明のマウスミエローマ免疫グロブリンMOPC-21(Sigma)。
【0104】 対照抗体とPSAの間に相互作用が無いことはELISAにより、確かめられた。 抗PSA抗体と対照抗体のPSA形質転換癌細胞株への結合はFACS分析により調べら
れた。調べられた抗PSA抗体はどれも、in vitroで増殖したPSA形質転換腫瘍細胞
の表面に結合しなかった。対照抗体はライン-1-PSA腫瘍細胞の表面に結合しなか
った。P815-PSA細胞株では、二つの対照抗体に非常に弱い結合が観測された。
【0105】
【表8】
【0106】 抗PSA抗体と対照抗体はマウスにおける免疫原性を高めるために、KLHに複合さ
せた(グルタルアルデヒド複合、1モルIgG/0.2モルKLH)。KLH複合後のAR47.47
のPSA結合活性は、複合工程によりかなり減少した(90%)。
【0107】
【表9】
【0108】 実施例10.AR47.47での免疫感作による、マウスにおける特異的抗PSA免疫応答
の誘導 AR47.47での免疫感作で特異的PSA免疫応答を引き出して、特異的イディオタイ
プネットワークを誘導することが、Balb/cマウスとDBAマウスの両方で調べられ
た。本実験セット(実験#5、6、7、9、11、12)では、マウスはまずAR47.47、
対照MAbまたはPBSのいずれかで処理され、その後PSA形質転換腫瘍細胞を接種さ
れた。結果は、腫瘍接種前の、AR47.47に対する抗イディオタイプ(Ab2)免疫応
答と抗-抗イディオタイプ(Ab3)免疫応答の測定に対応する。
【0109】 抗イディオタイプ抗体(Ab2)の検出はAR47.47F(ab)フラグメント(フィシ
ン消化により得られた)でコートされたプレートを使用したELISAにより行われ
た。AR47.47免疫感作マウスのマウス血清においてAb2が存在することは、実験7
、9、11、12で明らかになった。
【0110】 Ab3の存在を検出するため、二つの異なったELISAアッセイが行われた。一つ目
のアッセイはPSAコートプレートでAb3の結合を検出する。このアッセイを使用し
て、AR47.47で免疫感作したマウスの血清中にAb3が存在することを、我々は実験
#5、6、および7で明らかにした。二つ目のアッセイはAR47.47に認識されること
が知られているPSAペプチドを用いる。このアッセイでは、実験7において、AR47
.47で免疫感作したマウスに正のシグナルを得た。しかし、二つ目のアッセイは
この時点では標準化されておらず、多くの場合で陽性対照(AR47.47で行われた
)が負のシグナルを示すため、図7に示された結果は用心して分析されなければ
ならない。このアッセイで使用されたPSAペプチドはシステイン残基を含むので
、ペプチドの可溶化および/または保管の後、ペプチドの環化または重合が起き
ると我々は考えた。このような効果はストレプトアビジンコートプレートまたは
特異的抗体(すなわちAR47.47またはAb3)へのペプチドの結合を害する可能性が
ある。
【0111】 また、AR47.47に認識されるPSAペプチドを用いた競合ELISAアッセイも行われ
た。ELISAプレートに固定されたAR47.47へPSAペプチドが結合するのを阻害する
のは、理論上、マウス血清中におけるAb2とAb3の両方の存在に依存する。競合阻
害は実験#7、9、11、および12で観測された。
【0112】 宿主による抗PSA抗体の形成という結果になる抗イディオタイプネットワーク
が、AR47.47での免疫感作でマウス(Balb/cとDBA)に誘導され得るということ
が、これらの結果で明らかになる。
【0113】 実施例11.腫瘍発生に対するAR47.47の影響 AR47.47がPSA形質転換腫瘍の発生を阻害する能力が、Balb/cマウス(実験#5
、7、11)とDBAマウス(実験6、9、12)の両方で調べられた。本実験セットでは
、腫瘍接種は、マウスをAR47.47、対照MAbまたはPBSのいずれかで処理した後で
起こる。マウスの免疫感作は腫瘍接種の後継続された。
【0114】 各実験で、次のパラメータが測定された:Ab2;Ab3;Ab2+Ab3;全身腫瘍組織
量である。各実験で得られた結果は次の表で示される。 Balb/cマウスでのライン1-PSA腫瘍発生に対するAR47.47-KLH免疫感作の影響
【0115】
【表10】
【0116】
【0117】 DBAマウスでのP815-PSA腫瘍発生に対するAR47.47-KLH免疫感作の影響
【0118】
【表11】
【0119】
【0120】 AR47.47で処理したマウスのグループでより低い全身腫瘍組織量が、Balb/cマ
ウス腫瘍モデル3実験のうち1実験、DBAマウス腫瘍モデル3実験のうち2実験で観
測された。前節で示されたものと同じELISAアッセイを使用して、腫瘍接種後の
マウスでの体液性免疫を測定した。総ての実験で、AR47.47で免疫感作したマウ
スのグループにAb2の存在が検出された。総ての実験で、総てのマウスのグルー
プにAb3の存在が検出された。対照グループ(PBSと対照mab)でAb3について得ら
れた正のシグナルは、in vivoの増殖腫瘍によるヒトPSAの放出が抗PSA免疫応答
を誘導し得るため、驚くことではない。
【0121】 実施例12.腫瘍進行へのAR47.47の影響 AR47.47がPSA形質転換腫瘍の進行を阻害する能力が、Balb/cマウス(実験#8
、13)とDBAマウス(実験10、14)の両方で調べられた。本実験セットでは、腫
瘍接種は、マウスをAR47.47、対照MAbまたはPBSのいずれかで処理する前に起こ
る。
【0122】 各実験で、次のパラメータが測定された:Ab2;Ab3;Ab2+Ab3;そして全身腫
瘍組織量である。 各実験で得られた結果は次の表に要約される。
【0123】 Balb/cマウスでのライン-1 PSA腫瘍進行に対するAR47.47-KLH免疫感作の影響
【0124】
【表12】
【0125】 DBAマウスでのP815-PSA腫瘍進行に対するAR47.47-KLH免疫感作の影響
【0126】
【表13】
【0127】 腫瘍進行に対する治療的効果はAR47.47について観測されなかった。しかしな
がら、マウスにおける腫瘍の増殖速度は、腫瘍進行を根絶し、または遅らせるこ
とのできる適当な治療的免疫応答の発生に要する時間をはるかに越えるという事
を考慮しなければならない。また、マウスにおける腫瘍の増殖速度は、ヒトにお
いて起こることを反映していない。なぜなら、前立腺癌はゆっくり進行する疾患
と考えられているからである。
【0128】 実施例13.考えられる作用機構
【0129】
【表14】
【0130】 本発明は特定の好ましい態様によって示されたが、それらの態様に限定される
ものではない。他の態様、実施例およびなお本発明に含まれる修正は、特に前述
の教えに照らして、当業者により行われうる。
【図面の簡単な説明】
付属の図面は、これらの並びにその他の目的、新規な特徴、および利点が容易
に明確となる、本発明の実証となる態様を示す。
【図1】 図1は、異なる種類の抗体と、それら抗体相互およびそれら抗体と
抗原との構造的関係を図示したものである。
【図2】 図2は、前立腺特異抗原結合部位のアミノ酸配列を示す。
【図3】 図3は、本発明に従った抗体産生の概要のフローチャートである。
【図4】 図4は、本発明に従った抗体の増加の特性を示す。
【図5】 図5は、本発明に従った抗体の結合特性を示す。
【図6】 図6は、形質転換細胞株の細胞上清でのPSAの検出を示す。
【図7】 図7は、本発明の抗PSA抗体で免疫感作したBalb/cマウス(図7a)
とDBAマウス(図7b)が抗イディオタイプ抗体の産生を誘導していることを示す
【図8】 図8は、本発明の抗PSA抗体での免疫感作がAb3抗体の産生を誘導す
ることを示す。
【図9】 図9は、腫瘍発生に対する本発明の抗体での免疫感作の影響を示す
【図10】 図10は、本発明の抗体での免疫感作が、PSAに対する特異的免疫
を誘導することを示す。図10aはPSAに対してであり、図10bはPSAペプチドに対し
てである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07K 16/42 C07K 16/42 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 マディヤラカン,ラグパシー カナダ国アルバータ ティー6イー・2エ ス1,エドモントン,89・アベニュー 9741 (72)発明者 ノウジャイム,アントワーヌ・エイ カナダ国アルバータ ティー6エム・2ケ イ4,エドモントン,ウィルキンス・ロー ド 58 (72)発明者 シュルツ,バージット カナダ国アルバータ ティー6アール・1 ティー4,エドモントン,ヘグラー・クレ セント 529 Fターム(参考) 4C085 AA13 AA14 BB24 EE05 4H045 AA11 AA30 CA44 DA76 EA28 FA72 GA26

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前立腺癌治療のための組成物であって、循環前立腺特異抗原
    に特異的に結合し治療的免疫応答を誘導する結合剤を含む組成物を含む、前記組
    成物。
  2. 【請求項2】 循環前立腺特異抗原に特異的に結合し治療的免疫応答を誘導
    する結合剤を含む組成物の有効量を投与することを含む、前立腺癌の治療方法。
  3. 【請求項3】 結合剤が、アミノ酸配列139から163を含む前立腺特異抗原の
    エピトープに結合する、請求項1または2の組成物。
  4. 【請求項4】 組成物がATCC受託番号12526を有する結合剤を含む、組成物
  5. 【請求項5】 治療的免疫応答が体液性免疫応答と細胞性免疫応答を含む、
    請求項1または2の組成物および方法。
  6. 【請求項6】 循環前立腺特異抗原のエピトープに特異的に結合する結合剤
    で、抗原に結合して免疫原性結合剤-抗原複合体を形成することのできる結合剤
    を含む、前立腺癌治療のための組成物。
  7. 【請求項7】 循環前立腺特異抗原のエピトープに特異的に結合する結合剤
    で、抗原に結合して免疫原性結合剤-抗原複合体を形成することのできる結合剤
    を含む、免疫応答を誘導するための組成物。
  8. 【請求項8】 循環前立腺特異抗原のエピトープに特異的に結合する結合剤
    で、抗原に結合して免疫原性結合剤-抗原複合体を形成することのできる結合剤
    を含む、抗原の免疫原性を増大させるための組成物。
  9. 【請求項9】 前立腺癌治療のための組成物であって、ATCC受託番号12526
    を有するハイブリドーマにより産生される抗体によって結合されるエピトープと
    同じエピトープに結合する結合剤を含む、前記組成物。
  10. 【請求項10】 結合剤が免疫原性担体と複合している、請求項1〜9の組
    成物。
  11. 【請求項11】 免疫原性担体がキーホールリンペットヘモシアニンである
    、請求項10の組成物。
  12. 【請求項12】 循環前立腺特異抗原に特異的に結合する結合剤を含む組成
    物を投与し、抗原に対する治療的免疫応答を誘導することを含む、前立腺癌の治
    療方法。
  13. 【請求項13】 結合剤が、アミノ酸配列139から163を含む前立腺特異抗原
    のエピトープに結合する、請求項2または12の方法。
  14. 【請求項14】 組成物が、ATCC受託番号12526を有する結合剤を含む、請
    求項12または13の方法。
  15. 【請求項15】 治療的免疫応答が体液性免疫応答と細胞性免疫応答を含む
    、請求項12から14の方法。
  16. 【請求項16】 循環前立腺特異抗原のエピトープに特異的に結合する結合
    剤で、抗原に結合して免疫原性結合剤-抗原複合体を形成することのできる結合
    剤を投与することを含む、前立腺癌の治療方法。
  17. 【請求項17】 循環前立腺特異抗原のエピトープに特異的に結合する結合
    剤で、抗原に結合して免疫原性結合剤-抗原複合体を形成することのできる結合
    剤を投与することを含む、免疫応答の誘導方法。
  18. 【請求項18】 循環前立腺特異抗原のエピトープに特異的に結合する結合
    剤で、抗原に結合して免疫原性結合剤-抗原複合体を形成することのできる結合
    剤を投与することを含む、抗原の免疫原性を増大させる方法。
  19. 【請求項19】 組成物がATCC受託番号12526を有するハイブリドーマによ
    り産生される抗体によって結合されるエピトープと同じエピトープに結合する結
    合剤を含む、前立腺癌の治療方法。
  20. 【請求項20】 結合剤が免疫原性担体と複合している請求項12〜19の
    方法。
  21. 【請求項21】 免疫原性担体がキーホールリンペットヘモシアニンである
    請求項20の方法。
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