JP2002517618A - マーカー組成物および架橋重合体を含む繊維 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 繊維および他の製品が、架橋剤により製品の繊維に結合した、識別マーカーとして有用な近赤外蛍光組成物を有する。マーカー組成物は、その中に混合した他の成分、例えば帯電防止剤、殺菌剤、および／または他の添加剤、を含むことができる。加熱炉中での加熱、空気乾燥、等を含む幾つかの手段により、効果的に架橋させることができる。繊維または製品のマーキング方法は、材料を架橋剤および約６５０nm〜約１００nmの放射線を吸収する近赤外発蛍光化合物と接触させることを含む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 発明の背景 発明の分野 本発明は、繊維に関し、より詳しくは、繊維上に少なくとも１種の不可視近赤
外発蛍光団を有する繊維に関する。本発明はさらに、約６００ナノメートル(nm)
を超える波長を生じる照射源を使用して識別するできる様に繊維を処理する方法
にも関する。

【０００２】 発明の背景 織物工業では、糸、ヤーン、布地および完成材料の製造に様々な種類の繊維お
よび材料を使用している。当業者には公知の２種類の布地には、織布および不織
布がある。不織布材料は、織りまたは編み以外の手段により製造される。不織材
料は、多種多様の製品、例えば吸収パッド、拭う、および清掃するためのシート
および布地、絶縁、ライナー、芯、比較的厚い中入れ綿、圧縮接着した中入れ綿
およびウェブ、包帯、失禁用構造およびフィルター、等に使用されている。織り
上げた材料は、一般的に糸またはヤーン材料を使用し、織物分野における当業者
には公知の装置を使用して布地に織り上げる。

【０００３】 製品を追跡および識別するための、例えば切込み、曲げ、または織りの際のヤ
ーンまたは繊維の一体性を監視するための蛍光剤の使用は、米国特許第４，９９
２，２０４号明細書に記載されている。この特許明細書には、少なくとも１種の
ポリ（オキシアルキレン）と架橋したルミノフォア(luminophore) で材料に付箋
を付けることが開示されている。付箋化合物は３００nm〜４００nmの範囲内で吸
収する。

【０００４】 これまで、蛍光材料は、実質的に安全対策に使用されている。例えば、米国特
許第４，５０４，０８４号明細書、１９９１年１１月１２日、Miehe et al.に公
布、には、コピーをオリジナルから区別するためにオリジナルに標識を付ける方
法が開示されている。この方法では、オリジナルを印刷するための印刷媒体を有
するリボンを使用している。リボンは、マーキングの形態にある物質を含み、こ
れを使用すると、目には見えないが、特殊なスキャナーを使用した場合にのみ認
識できる、識別可能なマーキングを形成する。

【０００５】 米国特許第４，５４０，５９５号明細書には、近赤外波長の光に露出すると蛍
光を発するマーキングを与える水系インクが開示されている。この水系インクは
、書類、例えば銀行小切手、に自動識別するためのマークを付けるのに使用され
る。

【０００６】 米国特許第５，６１４，００８号明細書には、近赤外発蛍光団を含む水系イン
クが記載されている。この処方されたインクは、連続式またはドロップ−オン−
デマンド、バブル−ジェット、および圧電、インパルスインクジェットプリンタ
ーに効果的に使用できる。

【０００７】 米国特許第５，０８３，８１４号明細書、１９９２年１月２８日、Guinta et
al.に公布、には、自動車、ボート、等に安全マーキングを付ける予防方法が開
示されている。この方法では、全国ネットワークの認可されたディーラーに入力
および出力装置、例えばコンピュータ、モニターおよび携帯マーキング装置を供
給する。中央の処理ユニットから供給される特殊な位置データを使用し、ディー
ラーは自動車の表面に機密の不可視登録コードを付ける。

【０００８】 米国特許第４，７３６，４２５号明細書、１９８８年４月５日、Jalonに公布
、には、重要な書類、例えば機密文書、銀行手形、小切手、株券、印紙、等にマ
ーキングし、偽造を防止し、本物であることを証明する２工程方法が開示されて
いる。このマーキング方法の第一工程では、キレートを形成する１種以上の元素
を機密書類の中または上に付着させる。元素は、後になるまでキレートが形成さ
れない様に選択する。この方法の第二工程では、キレートの合成に欠けている成
分を紙の上に付着させることによりキレートを形成する。欠けている成分は、水
性アルコール付着により紙に添加する。従って、第一工程で配位子を、次いで金
属イオンを第二工程で付着させることも、その反対も可能である。キレート化さ
れた化合物は、金属および希土類元素で形成され、日光の下では目に見えないが
、紫外光線に露出すると蛍光を発する。

【０００９】 米国特許第４，５９１，７０７号明細書、１９８６年５月２７日にStenzel et
al.に公布、には、金銭書類、例えば銀行手形、通貨、等、の上に品質証明を使
用する方法が開示されている。この品質証明は、真空配置技術、例えば蒸発また
は陰極スパッタリング、により、パターン、縞または図の形態で紙基材の外側表
面上に施された被覆である。

【００１０】 米国特許第５，２３４，７２０号、第５，３７２，７３９号、および第５，６
７７，０５８号各明細書には、繊維表面に薄い被覆を施し、熱硬化させることに
より、様々な繊維の特定の表面特性を変化させる方法が開示されている。例えば
、ある種の被覆は、繊維の柔軟性を高め、他の被覆は親水性または疎水性を付与
する。

【００１１】 各種の添加剤を重合体中に混合した後、様々な配向性を有する繊維に紡糸でき
ることが公知である。しかし、ある種の添加剤、例えば染料、光学ブライトナー
、等は、ある製造バッチが完了した後に紡糸機械の内側から除去するのが困難な
場合がある。例えば、青色の染料を含むバッチを紡糸した直後に、黄色の染料添
加剤を含む繊維を紡糸しようとする場合、紡糸機械の中に最初の重合体／顔料混
合物が少量残っているために、第二の繊維の一部が好ましくない緑色になること
がある。そのため、時間および／または経費がかかる洗浄手順が紡糸バッチ間で
重要になる。あるいは、紡糸機械を単一の重合体／添加剤の組合せ専用にし、バ
ッチ間の好ましくない変動を抑える／低減させる。

【００１２】 そこで、ＵＶおよび可視光波長では人間の肉眼では実質的に不可視であるマー
キング化合物を繊維に配合する必要がある。その様な繊維は機密保持手段に使用
することができる。その様な繊維はさらに、製造の際に、衣類または他の製品の
製造に使用される様々な繊維、ヤーン、または糸を「オンライン」検査すること
にも使用できる。

【００１３】 発明の概要 本発明は、その広い実施態様で、架橋化合物により近赤外発蛍光団を繊維に結
合させた、天然または合成の、織り上げた、または織り上げていない繊維である
。近赤外発蛍光化合物は、約６００nmを超える波長で吸収し、吸収した波長より
も大きい波長の蛍光を発する。

【００１４】 本発明の別の態様は、約６００nmを超える吸収を有する近赤外発蛍光化合物で
繊維をマーキングする方法である。この方法は、繊維を、架橋化合物および発蛍
光化合物と接触させる工程を含む。この方法ではさらに、非中性調製液で繊維を
処理し、処理した繊維を乾燥させてから、架橋化合物を繊維と接触させる。非中
性調製液は、苛性処理に続いて酸中和を含むことができる。

【００１５】 本発明の別の態様は、蛍光標識物質を検出し、必要に応じてその蛍光から製品
を識別する方法である。

【００１６】 本発明の目的は、少なくとも部分的に、実質的に６００nmを超える吸収を有す
る発蛍光化合物を伴う繊維を提供することである。

【００１７】 本発明の別の目的は、繊維が配合されており、その繊維が実質的に６００nmを
超える吸収を有する発蛍光化合物を含む製品を提供することである。

【００１８】 本発明の別の目的は、発蛍光化合物で物質をマーキングする方法を提供するこ
とである。

【００１９】 本発明のこれらの、および他の目的および利点は、下記の本発明の好ましい実
施態様の説明から、当業者には明らかである。

【００２０】 発明の詳細な説明 本発明により、様々な天然および人造繊維を本発明のマーキング化合物と接触
させることにより、それらの繊維に容易に標識を付けることができる。本発明に
より、架橋化合物を使用してマーキング化合物を繊維と結合させる。

【００２１】 本発明で有用な繊維は、天然でも合成でもよく、ウール、綿、亜麻、ジュート
、紙、毛皮、厚紙、ポリエステル、コポリエステル、酢酸セルロース、ポリアク
リル、ナイロン、オレフィン、ビスコースレーヨン、ポリフェニレンスルフィド
、およびそれらの混合物を含む。繊維は、様々な製品、例えば織布、不織材料、
紙製品、厚紙、接着テープ、等の製造に使用することができ、さらに、マーキン
グに適当な材料は、ある程度吸収性で、粗くした、またはエンボス加工した表面
を有するか、またはある程度浸透し得る材料、例えばある種のゴム製品、皮材料
、不織布用の発泡させた裏張り、織物、毛皮、カーペット、その他の製品を含む
ことができる。好ましくは、繊維は少なくとも１本の連続した溝を有し、円形ま
たは非円形の幾何学的断面、例えばここにその全文を参考として含める米国特許
第４，８４２，７９２号、第４，９５４，３９８号、第５，３７２，７３９号お
よび第５，６７７，０５８号明細書に記載されている様な断面、を有することが
できる。溝の表面は、溝の外側表面よりも粗い方が好ましい。溝は、非中空また
は中空コアの周りに円形パターンで配置することもできる。非円形繊維は、少な
くとも１〜約３０本の、実質的に連続した溝または通路を有する。複数の溝を有
する繊維は単位重量あたりの表面積が円形繊維よりも大きく、蛍光化合物を繊維
と結合させるための箇所が多くなる。好ましい繊維は、約１０，０００〜約１０
０，０００総デニールを有する連続フィラメントのトウである。必要に応じて、
総デニールがより大きいトウも使用できる。トウは、トウ供給装置を通して処理
し、梱包装置に集め、輸送に便利な梱を形成することができる。トウは、ジェッ
トにより開くか、またはロールを開いてブルームにした後、各種の不織製品、フ
ィルター、等に使用することができる。ステープルファイバーには、ステープル
ファイバーを形成する前の総デニールが３０，０００まで小さくてもよい。しか
し、約２，０００，０００を超えるトウが好ましい。トウは、波形加工を行なう
こともできる。波形加工した、またはしていない繊維は、ステープル長が約０．
５センチメートル〜約１５センチメートルで、フィラメント１本あたりのデニー
ルが約０．７〜約２００でよい。各種の人造繊維を連続フィラメントヤーンに紡
糸し、これをさらに潤滑剤、熱硬化材料、等で処理することができる。

【００２２】 本発明で使用できる適当なポリエステルおよびコポリエステルには、比較的配
向したポリエステルおよび塩基性染料を使用できる様に変性したポリエステルが
ある。

【００２３】 本発明で有用な酢酸セルロース繊維は、繊維分野の当業者には良く知られてお
り、溶融紡糸またはアセトンまたは溶剤を使用する通常の溶剤紡糸手段により製
造することができる。例えば、ここにその全文を参考として含める米国特許第５
，５０５，８８８号明細書にはセルロース繊維の製造方法が開示されている。

【００２４】 本発明で有用なポリエステル材料は、この分野で良く知られており、ポリエス
テル分野で公知の標準的な技術を使用して製造することができるポリエステルま
たはコポリエステルである。

【００２５】 適当な合成繊維は、公知の技術を使用し、公知の量で繊維の中に配合される顔
料、例えばBlanc fixe、つや消し剤、例えば二酸化チタン、および光学ブライト
ナーも含むことができる。

【００２６】 本発明の繊維は、あらゆる形状を取ることができる。様々な形状を有する繊維
および繊維混合物は、独特な、検出可能な繊維の選択性が増加するので好ましい
。

【００２７】 本発明で有用な架橋剤は、変性ポリエステル架橋剤、アクリル系架橋剤、変性
アクリル共重合体エマルジョン、シリコーン系架橋性組成物、例えばWacker Sil
icones, Inc.から市販の組成物、エポキシ組成物、架橋性ポリウレタンエマルジ
ョン、およびそれらの混合物を含む。架橋剤は、単独で、または適当な開始剤と
共に使用することができる。使用する架橋剤の濃度は、約０．０５重量％〜約５
０．０重量％、好ましくは約１．０重量％〜約２０．０重量％、より好ましくは
約２．０重量％〜約１０重量％、でよいが、ここで重量％は処理した繊維または
処理した材料の乾燥重量に基づく。

【００２８】 これらの架橋剤を含むマーカー組成物の乾燥および硬化は、水を除去し、およ
び／または熱硬化し、架橋を起こすのに適当なあらゆる様式で達成することがで
きる。架橋剤の中には、室温で十分に架橋させるものもあれば、高温を必要とす
るものもある。例えば、Eastern Color and Chemical Co.から市販のECCO-REZ U
21は、ｐＨを約中性〜約１０に調節した水分散性ポリウレタンエマルジョンであ
り、室温で架橋するが、やはりEastern Color から市販のECCO-REZ M907 は、僅
かに酸性に調節したｐＨを有する変性アクリル樹脂エマルジョンであり、約１５
０℃で架橋する。

【００２９】 本発明で使用するのに適当なマーキング組成物は、近赤外発蛍光団、例えばこ
こにその全文を参考として含める米国特許第５，４６１，１３６号、第５，４２
３，４３２号、第５，４６１，１３６号、および第５，６１４，００８号各明細
書に開示され、説明されている発蛍光団、を含む。典型的には、これらの発蛍光
団組成物は、主要吸収ピークが、約６００nmを超える、好ましくは約６５０nm〜
１１００nmの、波長にある。しかし、近赤外波長領域を超える波長で蛍光を発す
る化合物も使用できるが、好ましくはない。発蛍光団は、それらを使用する濃度
では目に見えないが、正確に検出できる十分な蛍光を発するのが好ましい。近赤
外発蛍光団は、繊維の中および／または上に配合し、続いて繊維を布地に加工し
、布地を最終的な製品に加工した後も、蛍光を維持していなければならない。好
ましくは、その様な化合物は熱的に安定しており、衣類の製造に一般的に使用す
るイオン系洗浄および処理工程に対して耐性を有しているべきである。好ましい
近赤外発蛍光団化合物は、式Ｉ、IIおよびIII に相当するフタロシアニン、ナフ
タロシアニンおよびスクアランから選択される。

【化１】 式中、ＰｃおよびＮｃは、式ＩａおよびIIａのフタロシアニンおよびナフタロシ
アニン部分をそれぞれ表す。

【化２】 これらの部分は、水素またはＡｌＣｌ、ＡｌＢｒ、ＡｌＯＨ、ＡｌＯＲ_５、Ａｌ
ＳＲ_５、Ｇｅ、Ｇｅ（ＯＲ_６）、Ｇａ、ＩｎＣｌ、Ｍｇ、ＳｉＣｌ_２、ＳｉＦ_２ 、ＳｎＣｌ_２、Ｓｎ（ＯＲ_６）_２、Ｓｉ（ＳＲ_６）_２、またはＺｎを含む様々な
金属、ハロゲン化ベンジルアルコール金属、有機金属基、およびオキシ金属に共
有結合しており、Ｒ_５およびＲ_６は水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール
、低級アルカノイル、トリフルオロアセチル、式

【化３】 の基から選択され、Ｒ_７、Ｒ_８、およびＲ_９は、独立して、アルキル、フェニル
、または低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで置換されたフェニルか
ら選択される。 Ｘは酸素、硫黄、セレン、テルル、または式Ｎ（Ｒ_１０）の基から選択され、
Ｒ_１０は水素、シクロアルキル、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、また
はアリールであるか、またはＲ_１０とＲが一つになって脂肪族または芳香族環を
形成し、それらが窒素に付加している。

【００３０】 Ｙは置換されていない、または置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル
、Ｃ_３ＯＣ_８シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、

【化４】 から選択される。

【００３１】 （Ｘ−Ｒ）部分はアルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ま
たは式−Ｘ（Ｃ_２Ｈ_４Ｏ）_ｚＲ^１、

【化５】 から選択された基であり、Ｒ^１は水素であるか、またはＲは上に定義した通りで
あり、ｚは１〜４の整数である。

【００３２】 さらに、２個の（Ｘ−Ｒ）部分が一つになって式

【化６】 の２価置換基を形成することができ、ここでＸ_１ は独立して−Ｏ−、−Ｓ−、
または−Ｎ（Ｒ_１０）−から選択され、Ａはエチレン、プロピレン、トリメチレ
ン、およびＣ_１〜Ｃ_４アルキル、Ｃ_１〜Ｃ_４アルコキシ、アリールおよびシクロ
アルキルで置換されたその様な基、１，２−フェニレンおよびＣ_１〜Ｃ_４アルキ
ル、Ｃ_１〜Ｃ_４アルコキシまたはアルコキシまたはハロゲンから選択された１〜
３個の置換基を含む１，２−フェニレン、から選択される。

【００３３】 Ｒ_１およびＲ_２部分は、独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ハ
ロゲン、アリールオキシ、低級アルキル−チオ、アリールチオ、低級アルキルス
ルホニル、アリールスルホニル、低級アルキル−スルホニル−アミノ、低級アル
カノイルアミン、アリールスルホニルアミノ、シクロアルキル−スルホニルアミ
ノ、カルボキシ、置換されていない、および置換されたカルバモイルおよびスル
ファモイル、低級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、低級アルカノイルオキシ
、

【化７】 から選択される。

【００３４】 Ｒ_３およびＲ_４部分は、独立して、水素、低級アルキル、アルケニルまたはア
リールから選択され、ｎは０〜１６の整数であり、ｎ_１は０〜２４の整数である
が、ただし、ｎ＋ｍおよびｎ_１＋ｍ_１の合計はそれぞれ１６および２４である。
無論、ｎ、ｍ、ｎ_１またはｍ_１が０である場合、それぞれの部分は存在しない。

【００３５】 本発明のこの態様の好ましい実施態様では、ｍは４〜１２、ｍ_１は０〜８であ
るが、ただし、置換基（Ｙ）ｎ、（Ｙ）ｎ_１および（Ｘ−Ｒ）ｍ_１の定義で、ｎ
、ｎ_１およびｍ_１がそれぞれゼロである場合、これらの置換基は存在しない。

【００３６】 置換基（Ｘ−Ｒ）および（Ｙ）は、化合物Ｉａ中では周辺部の炭素原子上に、
すなわち位置１〜４、８〜１１、１５〜１８、２２〜２５に存在し、置換基（Ｘ
−Ｒ）および（Ｙ）は、IIａでは周辺部の炭素原子上に、すなわち位置１〜５、
９〜１４、１８〜２３、２７〜３２および３６に存在する。

【００３７】 上の定義中、用語アルキルは、１〜１２個の炭素を含む直鎖または分岐鎖炭化
水素基を指定するのに使用される。

【００３８】 低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキル−チオ、低級アルコキシカルボ
ニル、低級アルキルスルホニル、低級アルキルスルホニルアミノ、低級アルカノ
イルアミノ、低級アルカノイルおよび低級アルカノイルオキシの用語中、これら
の基のアルキル部分は１〜６個の炭素を含み、直鎖または分岐鎖を含むことがで
きる。

【００３９】 用語「シクロアルキル」は、３〜８個の炭素、好ましくは５〜７個の炭素、を
含む環状脂肪族炭化水素基を表すのに使用される。

【００４０】 前に定義した基のアルキルおよび低級アルキル部分は、他の置換基として、ヒ
ドロキシ、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、Ｃ_１〜Ｃ_４アルコキシ、Ｃ_１〜Ｃ_４ アルキルチオ、アリールチオ、アリールオキシ、Ｃ_１〜Ｃ_４アルコキシカルボニ
ルまたはＣ_１〜Ｃ_４アルカノイルオキシから選択された１個以上の基を含むこと
ができる。

【００４１】 用語「アリール」は、６〜１８個の炭素を含む炭素環式芳香族基、好ましくは
フェニルおよびナフチル、および低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、低
級アルキルチオ、Ｎ（低級アルキル）２、トリフルオロメチル、カルボキシ、低
級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、低級アルカノイル−アミノ、低級アルキ
ルスルホニルアミノ、アリールスルホニル−アミノ、シクロアルキルスルホニル
−アミノ、低級アルカノイルオキシ、シアノ、フェニル、フェニル−チオおよび
フェノキシから選択された１個以上の置換基で置換されたその様な基を含む。

【００４２】 用語「ヘテロアリール」は、酸素、硫黄および窒素またはそれらの組合せから
選択された少なくとも１個の「異」原子を含む単または二環式ヘテロ芳香族基を
表すのに使用される。適当なヘテロアリール基の例は、チアゾリル、ベンゾチア
ゾリル、ピラゾリル、ピロリル、チエニル、フリル、チアジアゾリル、オキサジ
アゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリジル、ピリミジニルお
よびチアゾリルを含む。これらのヘテロアリール基は、アリール基に可能な置換
基として、上に挙げたものと同じ置換基を含むことができる。用語トリアゾリル
は、構造IVおよびその異性体も含む。

【化８】 式中、Ｒ_１１は水素であるか、または低級アルキル、および水素、ハロゲン、カ
ルボキシ、低級アルコキシ、アリール、シアノ、シクロアルキル、低級アルカノ
イルオキシまたは低級アルコキシ−カルボニルから選択された１または２個の基
で置換された低級アルキルから選択される。

【００４３】 用語「アルケニル」および「アルキニル」は、３〜８個の炭素を有し、少なく
とも１個の炭素−炭素二重結合および１個の炭素−炭素三重結合をそれぞれ含む
脂肪族炭化水素部分を表すのに使用される。

【００４４】 用語ハロゲンは、臭素、塩素、フッ素およびヨウ素を含む。

【００４５】 用語「置換されたカルバモイル」は、式ＣＯＮＲ_１２Ｒ_１３を有する基を表す
のに使用され、式中、Ｒ_１２およびＲ_１３は、置換されていない、または置換さ
れたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘ
テロアリールから選択される。

【００４６】 用語「置換されたスルファモイル」は、式ＳＯ２ＮＲ_１２Ｒ_１３を有する基を
表すのに使用され、式中、Ｒ_１２およびＲ_１３は上に定義した通りである。

【００４７】 用語「アルキレン」は、直鎖または分岐鎖の、置換されていない、または低級
アルコキシ、ハロゲン、アリール、またはアリールオキシから選択された１個以
上の基で置換された２価のＣ_１〜Ｃ_１２脂肪族炭化水素部分を表す。

【００４８】 用語「アシル」は、式Ｒ°Ｃ（Ｏ）−Ｏ−の基を表し、Ｒ°は、好ましくはＣ _１ 〜Ｃ_１０アルキル部分である。用語「アルキルスルホニル」は、式Ｒ°ＳＯ２
−の基を表し、Ｒ°はアシルに環して定義した通りである。

【００４９】 近赤外発蛍光団を形成する化合物の濃度は、約１０ ppm〜約３０重量％で変え
ることができる。発蛍光団の好ましいレベルは、約０．１重量％〜約１０重量％
であり、より好ましくは約０．１重量％〜約３重量％である。濃度は、検出また
は他の特別な目的に十分な蛍光を発する様に選択する。

【００５０】 本発明の組成物には他の添加剤、例えば可塑剤、着色剤、酸化防止剤、安定剤
、ＵＶ吸収剤、ＵＶ遮蔽剤、消泡剤、潤滑剤、難燃性付与剤、核形成剤、殺菌剤
、ＴｉＯ_２、希土類元素、光学ブライトナー、湿潤剤、等、も加えることができ
る。その様な添加剤は、本発明の組成物と混合するか、または繊維に別に塗布す
ることができる。

【００５１】 本発明の別の態様により、物品、例えば毛布、ジャケット、コート、織り上げ
たまたは編み上げた製品、不織布、毛皮を有する材料、紙、厚紙、等の製品、に
マーキングする方法を提供する。例えば、波形加工したまたは波形加工していな
いポリエステル繊維充填材、ナイロン繊維またはウェブ、フィラメントあたりの
デニールが異なった中入れ綿、等を有する不織絶縁材料（約１／８〜３／４イン
チ厚）を、本発明の架橋／マーカー組成物の個々の滴のパターンまたは細かいス
プレーで処理し、続いて圧縮して滴を材料の中により深く分散させることができ
る。好ましくは、移動する多孔スクリーンまたは一連の適当な蝶番付き板が、処
理したばかりの材料をスプレー塗布区域から加熱区域に運ぶことができる。場合
により、スプレーの直後に、固定した、または移動するフェルト細片と軽く接触
させるか、または軽いブラシ、空気ジェット、真空を使用し、標的材料の表面か
ら過剰の架橋マーカーを除去するか、または処理している材料の上または中にマ
ーキング組成物を拡散または浸透させることができる。繊維充填材の中入れ綿お
よび他の材料は、架橋／マーカー組成物を塗布する前または後に、アクリル系接
着剤または他の適当な材料を上からスプレーして繊維をさらに接着し、続いて加
熱炉中で硬化させることができる。その様な接着した繊維充填材の中入れ綿は、
適当な布地を上から被せるか、または布地同士の間に挟み、固定手段、例えば接
着剤、縫い上げ、その他により所定の位置に保持し、コート、ジャケット、毛布
、等に使用するのに適当な絶縁材料を形成することもできる。多くの場合、その
様な材料の片側を、軽く、薄い不織スクリムまたは織布で覆い、それを通してマ
ーカーを適当な機器で検出することができる。

【００５２】 製品の別の処理方法では、真空を作用させることができる塗布手段を使用して
標的材料の表面から過剰の架橋／マーカー組成物を除去することにより標的材料
を製造する工程、軽いウェブまたは布地を使用してマーキングした材料を覆う工
程、必要に応じて、架橋／マーカー組成物を適当な様式で硬化させる工程を含む
。次いで、このマーキングした材料を最終製品の製造に使用することができる。
上記方法の工程の順序は、重要ではなく、特定の製品の必要性に応じて変えるこ
とができる。

【００５３】 製品の中間体、例えば繊維、コード、フィラメント、ウェブ、トウまたはヤー
ン（以下、繊維と総称する）だけを本発明の架橋／マーカー組成物と接触させる
のが望ましい場合もある。繊維の処理では、架橋／マーカー組成物を塗布するす
べての適当な方法が本発明の範囲内に入る。例えば、塗布方法には、平滑でも、
表面にエンボス加工した、または取り付けたデザインを有していてもよい、被覆
した回転接触ロール、自動または手動操作スプレーブース、浸漬、スポンジ塗布
、フェルトチップ塗布、印刷装置、および単独で、またはテンプレートと共に使
用し、予め決められたマーカーパターンを標的材料上に形成するスプレー機構が
ある。その様な塗布の後、プレスロールをかけることができる。送風機または真
空装置を使用し、処理している繊維または材料の中にマーカー組成物をさらに浸
透させることも本発明の範囲内である。必要に応じて、溶解した、コロイド状の
、懸濁した、または他の様式で分散させたマーキング化合物および架橋剤を含む
ことができる水溶液を繊維と接触させる。

【００５４】 本発明の好ましい方法では、繊維を架橋／マーカー組成物と接触させる前に、
繊維表面を変性するのに十分な非中性溶液で繊維を処理する。理論的な裏付けは
無いが、非中性溶液は、架橋化合物または発蛍光化合物、好ましくは両方の化合
物、を繊維と結合し易くすると考えられる。ある種の架橋化合物およびマーカー
組成物の、繊維表面に実質的に架橋する、または堅く付加する能力は、恐らく、
繊維表面を傷付ける、または孔を開けること、または妨害物質、例えば処理潤滑
剤、表面モノマー、等を除去することの様なファクターの組合せに関連している
のであろう。非中性溶液は、ｐＨが７を超え、約０．０１重量％〜約４重量％の
苛性物質および／またはトリエタノールアミン、等を、好ましくは約０．１重量
％〜約２重量％のその様な添加剤を含むことができる。ある種の架橋剤に関して
は、非中性溶液はｐＨが７未満であり、酢酸、クエン酸、または両方を、約０．
０１重量％〜約１０重量％、好ましくは約０．５重量％〜約４重量％、の濃度で
含む。

【００５５】 繊維は、上記の組合せを使用して処理することもでき、その場合、繊維を、ｐ
Ｈが７を超える溶液と接触させ、続いて、必要であれば、ｐＨが７未満である適
当な酸性溶液を使用して中和する。この苛性物質／酸による中和工程は、酸によ
る中和の前に繊維を少なくとも部分的に乾燥させることをさらに含むことができ
る。乾燥工程は、好ましくは少なくとも約１２０℃の温度で、より好ましくは少
なくとも約１４５℃の温度で、約３０秒間〜約５分間行なう。無論、温度は繊維
が融解する程高くすべきではない。上記の酸に加えて、単独で、または中和工程
で使用できる他の適当な酸には、アスコルビン酸、並びに酢酸、クエン酸、およ
びアスコルビン酸の混合物がある。非中性溶液による処理を選択することにより
、加工性、液体輸送、マーカーの耐久性、およびその様な処理を行なわなかった
他の繊維と比較して全体的に改良された性能を含む重要な特徴の組合せを有する
優れた繊維が得られる。

【００５６】 本発明の特に好ましい態様では、適当な非円形断面および縦方向溝を有する繊
維を、上記の様に苛性物質で実質的に連続的に処理する。有利なことに、大量の
架橋剤／マーカー組成物が繊維表面に付着する。架橋剤は、蛍光化合物と繊維の
結合箇所を与える。

【００５７】 理論的な裏付けは無いが、２〜３０本未満の縦方向または軸方向の溝を有する
繊維は、架橋剤および発蛍光化合物を非常に効果的に保持する傾向があると考え
られる。

【００５８】 本発明の別の態様は、発蛍光化合物が結合している材料を検出するための方法
に関する。この方法では、波長が約６００nmを超える励起放射線に材料をさらし
、波長が約６７０nmを超える蛍光を化合物から発生させ、その蛍光を検出する。
材料は、その材料の繊維と結合した少なくとも１種の発蛍光化合物を有し、２種
類以上の発蛍光化合物を有することができる。２種類以上の発蛍光化合物が繊維
と結合している場合、それらの発蛍光化合物は、別個の、明瞭に識別できる吸収
帯を有するのが好ましい。本発明では、発蛍光化合物は、ここに記載する１種以
上の架橋化合物により、繊維と結合する。発蛍光化合物の検出では、発蛍光化合
物の吸収ピークにある波長を有する励起放射線に材料をさらす。発蛍光化合物に
より発生する蛍光は、主としてスペクトルの近赤外領域にある。次いで、光検出
技術の当業者には公知の適当な検出器を使用して蛍光を検出する。検出器は固定
、携帯のスキャナー、「有り−無し」検出器、またはＣＣＤカメラでよく、補正
機構、例えばフィルター、またはソフトウエアまたはそれらの組合せを含み、蛍
光スペクトル中の、発蛍光化合物に由来しない光をすべて適切に無効にすること
ができる。発蛍光化合物は、材料、またはその材料から製造された製品を識別す
るのにさらに使用することができる。例えば、発蛍光化合物が結合した繊維また
はヤーンを材料中に織り込み、特殊なデザインを形成するか、または特定位置で
縫い合わせ、その物体を識別するか、または正当性を与える手段を提供すること
ができる。

【００５９】 下記の例は、本発明をさらに説明するためのものであるが、本発明を制限する
ものではない。

【００６０】 比較例 水約５０ミリリットル(ml)および変性ポリエステル架橋剤（Bayer China Comp
any Ltd.から市販のBAYPRET USV）２５mlを混合した。光学漂白剤粉末(UVITEX O
B-3)約０．１グラムを、水／架橋剤混合物約２５mlに加え、十分に攪拌した。

【００６１】 ポリエステル／光学漂白剤混合物を長さ３０cmの潤滑した酢酸セルロース、フ
ィラメント１本あたり８デニール、「Ｙ」断面ヤーン（約３００総デニール）に
塗布したが、追加被覆の量はある程度可変である。次いで、空気循環式加熱炉を
使用してこのヤーンを温度約１３５℃に１０分間加熱処理した。ヤーンは、塗布
前に特殊な調製を行なわなかった。

【００６２】 この被覆した熱硬化フィラメントヤーンは、適当な紫外光源を備えた暗所の中
で蛍光応答を示した。

【００６３】 被覆したヤーンを乾燥計量し、オープンメッシュバッグの中に入れ、標準的な
家庭用洗濯機で、液体洗剤および布地柔軟性付与剤を使用して洗濯し、乾燥させ
、再度計量した。試料の蛍光を洗濯および乾燥後に再度試験した。発蛍光マーカ
ーの信号は、洗濯前の状態程強くなかった。従って、この例の被覆条件では、洗
濯を頻繁に行なっても存続できる様に繊維にマーカーを付けることができない。

【００６４】 例１ 上記の比較例で使用したヤーンの試料を、約０．４重量％の苛性物質を含む水
溶液で処理した。ヤーンを溶液に少なくとも５秒間浸漬し、次いで少なくとも４
秒間蒸気処理した。０．５重量％の酢酸を使用して残留苛性物質を中和した。次
いで、ヤーンを熱水中で洗浄し、少なくとも部分的に乾燥させた。静電気を抑え
るために、ここにその全文を参考として含める米国特許第５，３７２，７３９号
明細書、例１０、に記載されている約０．３重量％の親水性潤滑剤を使用して軽
く潤滑させた。次いで、処理したヤーンを紙の管上に巻き取った。この管から長
さ約１５センチメートル(cm)のコードを数本切り取り、約５０℃の熱水道水を使
用して十分に洗浄し、乾燥させた。これらのコードを、上記の比較例の架橋剤／
光学漂白剤混合物で処理し、上記の様に熱処理した。

【００６５】 製造されたヤーンは、検出ケース中で、１回の洗濯および乾燥サイクルの前後
に強い蛍光応答を示した。蛍光化合物は、比較例よりも堅く繊維に結合している
と思われる。

【００６６】 例２ 円形断面を有し、総デニールが約２１６５である２本撚りポリエステルマルチ
フィラメントコード約５００メートルを、２重量％の苛性物質溶液を使用し、温
度約７０℃〜７５℃で洗浄処理した。繊維を、蒸気箱中、６ psig 蒸気を使用し
て１０秒間加熱し、次いで０．５重量％の酢酸を使用して中和した。次いで繊維
を加熱ロールを使用して乾燥させた。下記の成分を組み合わせ、攪拌して均一な
混合物を形成した。

【００６７】 １）米国特許第５，６１４，００８号明細書、例６、に記載されている、７８
０nm蛍光を有する３０重量％マーカー分散組成物８ml、 ２）米国特許第５，６１４，００８号明細書、例１０、に記載されている、濃
度約１０００ ppmで、６７０nm蛍光を有する３０重量％マーカー分散組成物８ml
、 ３）親水性ポリエステル架橋樹脂Repel-O-Tex PSR 200、Rhone-Poulenc Corp.
から市販、１５０ml、および ４）Millipore水１５０ ml。

【００６８】 架橋／マーカー混合物を乾燥フィラメントコードに、回転キス−ロール塗布装
置を使用して塗布した。架橋／マーカー混合物は、必要に応じて酢酸およびトリ
エタノールアミンを使用し、ｐＨ約４〜９に維持した。コードは濡れたまま紙管
上に集めた。空気循環式加熱炉を使用し、処理したコードを温度約１５０℃に約
５〜７分間加熱して架橋作用させ、熱硬化させた。塗布および乾燥後、繊維は総
デニールが約２４６４であり、約１３．８％増加した。

【００６９】 小さな一かせのコード、重量１．０９グラム、を、セーター、繊細な衣類、等
の洗濯用に設計されたオープン−メッシュバッグの中に入れ、温度約５０℃の水
を使用して洗濯した。液体洗濯洗剤および柔軟性付与剤を洗濯および濯ぎ水にそ
れぞれ加えた。洗浄したコードを乾燥させ、計量した。一巻のコードは、その本
来の処理した状態の重量の約５．５％が失われたことが分かった。パーマネント
−プレス条件を使用する１洗濯および乾燥サイクルの後でも、蛍光マーカーは、
米国特許第５，４２３，４３２号に記載されている適当な機器を使用することに
より検出できた。しかし、２回目の洗濯および乾燥処理の後では、蛍光が減少し
た。

【００７０】 例３ ８本の溝を含む断面、繊維あたり６デニール、およびステープル長２インチを
有する潤滑させた波形加工ポリエステル繊維を使用して４．０/lコットン−カウ
ントヤーンを製造した。このヤーンを苛性処理し、酸洗浄して潤滑剤を除去し、
例２に記載する様にマーカー混合物で被覆し、乾燥させた。マーキングした繊維
を、パーマネント−プレス条件を使用する２回の洗濯および乾燥サイクルにかけ
た。繊維の重量損失は約０．９％だけであった。洗浄および乾燥処理の前後で蛍
光マーカーは容易に検出できた。

【００７１】 例４ 酢酸セルロースを溶剤紡糸機構で使用し、８デニール／フィラメント、「Ｙ」
断面の連続マルチフィラメントヤーン、総デニール約３００を製造した。このヤ
ーンを、約０．４重量％の苛性物質溶液を使用して十分に洗浄した。２４時間後
、約０．５重量％の酢酸を温度約７６℃で使用し、苛性物質を中和した。次いで
繊維を上記の様に乾燥させた。下記のマーキング組成物を混合し、回転キス−ロ
ール塗布装置を使用し、乾燥したヤーンに塗布した。 １）例２の７８０nm蛍光を有する３０重量％マーカー分散組成物１２ml、 ２）例２の６７０nm蛍光を有する３０重量％マーカー分散組成物１２ml、 ３）親水性ポリエステル架橋樹脂Repel-O-Tex PSR 200、１５０ml、および ４）蒸留水２５０ ml。

【００７２】 ヤーンを紙管上に集めた。処理したヤーンを十分に乾燥させ、約１４５℃で熱
硬化させた。乾燥および硬化の後、約３重量％の架橋／マーカー組成物が塗布さ
れたことが確認された。処理したフィラメントヤーンの試料を直径約３cmのかせ
上に手で巻き取った。このかせの重量は０．６９９グラムであった。このかせを
例２の様に家庭用洗濯機で洗浄し、乾燥させた。１回の洗濯および乾燥サイクル
の後でも、マーカーは容易に検出できた。４回のパーマネント−プレス洗浄およ
び乾燥サイクルの後、このかせは約３．７重量％を失った。ヤーン上のマーカー
の検出は変動し、このかせの中で、信号がほとんど、またはまったく検出されな
かった部分もあれば、十分な信号が検出された部分もあった。

【００７３】 例５ 総デニール約１７０のポリエステル縫い糸を、例２に記載する様に苛性物質／
酸中和処理した。この糸を、アクリル系架橋剤(Rhom and Haasから市販のROHM 8
4116)約３００ml、光学漂白剤ブライトナー(UVITEX OB-3)約３．５mlおよび米国
特許第５，６１４，００８号明細書、例６に記載されているナフタロシアニンマ
ーカー分散組成物（１０００ ppm濃度）約４．５mlの混合物で被覆した。被覆し
た糸を乾燥させ、約１３５〜１４０℃で約１２分間熱硬化させた。この糸を０．
８グラムのかせに巻き取った。乾燥した被覆により、繊維重量が約３〜５重量％
増加した。パーマネント−プレス設定を使用する１回の洗浄および乾燥処理の前
後で、紫外および近赤外波長の両方で陽性の応答が得られた。これらの結果は、
上記の両方の波長で、架橋／マーカー組成物が様々な繊維および／または他の材
料に妥当な耐久性で付加し得ることを示している。

【００７４】 例６ ２本撚りの１００％コットンヤーン、Wintonブランドタイプ1579、総デニール
約３００、Gastonia, NC, USA 製、を、温度約７６℃の酢酸洗浄浴、約０．３重
量％を使用して処理した。ヤーンは、適当な浸漬ガイドを使用し、少なくとも約
４〜１０秒間酢酸浴にさらした。下流のストリッパーガイド（浴の外側）および
液体除去ジェットにより、酸洗および部分的液体ストリッピング処理を完了した
。

【００７５】 例２に記載した同じ架橋／マーカー組成物および熱硬化処理をこのコットンヤ
ーンに使用した。乾燥後、ヤーンの重量は約３〜５％増加していた。それぞれ約
１グラムの幾つかのかせを上記の様に製造した。家庭用洗濯装置を使用する５回
の洗濯および乾燥サイクルの後、これらのかせは、重量が約２．６〜２．８％低
下した。かせ全体を通して、マーカーは容易に検出され、大きな変動は無かった
。 上記の架橋剤および識別マーカーの組合せからなる組成物を長期間付加させ
るには、調製手順として酸洗を使用することが有利である。架橋剤に必要なｐＨ
に応じて、より高い温度または異なった酸溶液を酸洗に使用することができる。

【００７６】 例７ 下記のヤーン、すなわち１）６デニール／フィラメントの、溝のある断面を有
し、４．０/lコットン−カウントヤーンに紡糸されたポリエステルステープルフ
ァイバー、２）シルケット加工したコットンヤーン（２０/lコットンカウント）
、および３）６０／４０シルケット加工したコットン／ポリエステルブレンドヤ
ーン（３０/lコットンカウント、リング紡糸）を上記の例６に記載する様に酸洗
した。これらのヤーンを、例２に記載の架橋／マーカー組成物および手順を使用
して処理し、硬化させた。多くの洗浄および検出試験により、強い架橋付加が確
認された。ほとんどの用途で、特に高温洗浄の前に上記の様な適当な親水性潤滑
剤が繊維上に使用されている場合、酢酸またはクエン酸の、約０．２重量％〜約
５．０重量％酸の水中混合物が高温洗浄に好ましい。この組合せで調製すること
により、適切に洗浄され、ｐＨ調節された表面が得られ、そこに架橋マーカー組
成物を塗布し、硬化させることができる。

【００７７】 例８ ６．５オンス／平方ヤードの繊維充填材の不織中入れ綿（約０．７５インチ厚
）を下記の架橋マーカーの個々の滴で、滴間で約２インチあけて処理し、続いて
圧縮し、中入れ綿中に深く浸透させた。マーカーは下記の成分、すなわち １）Eastern Color and Chemical Co.から供給された状態のECCO-REZ U21架橋
剤５０ml、 ２）ｐＨを約８．５に調節するためのトリエタノールアミン９ml、 ３）Millipore水６００ml、 ４）例２の６７０nm蛍光を有する３０重量％マーカー分散液５０ml からなり、これらを加える際に十分に攪拌した。

【００７８】 上記混合物の各滴の重量は約０．０３８グラムであった。ECCO-REZ U21は、水
分散性ポリウレタンエマルジョンであり、ほぼ室温で空気乾燥し、架橋状態を達
成することができる。処理した中入れ綿を、その両側で、重量約１オンス／平方
ヤードの薄い、半透明の不織ウェブで覆う。空気乾燥した材料をロールに巻き上
げ、ジャケット、コート、等の絶縁布地として後で使用する。この圧縮処理によ
り、厚さが約０．２インチ減少し、空気乾燥した材料の密度が増加することが観
察された。必要に応じて、不織中入れ綿の厚さは、ニードル−パンチングおよび
／またはスティッチ−ボンディングにより減少させることもできる。

【００７９】 ロールから約１２ｘ１２平方インチの試料を切り取った。架橋マーカーの滴は
、オハイオ州、シンシナティのV.L. Engineering, Inc.製の「Wizard V6」 viewer
を使用して容易に検出された。

【００８０】 例９ 例８に記載する様な最終的な結合した繊維充填材製品にとって厚さの減少は好
ましくない場合がある。その様な厚さの減少を最少に抑えながら、架橋／マーカ
ー組成物の浸透を増加するために、中入れ綿を真空と接触させた。この場合、中
入れ綿を、中入れ綿の幅より大きな幅を有する真空手段に対して実質的に垂直位
置に置いた。小型の携帯ポンプスプレー（２流体オンス容量）を使用した。標的
から３インチの所で、滴スプレーパターンは直径が約２インチであり、８インチ
の距離では、直径は約５〜６インチに増加し、縁部がかなり不規則になった。様
々なスプレーノズルおよびマスクまたはスクリーンを使用し、標的材料上に架橋
マーカーの様々な滴サイズおよび／または各種のパターンを形成することができ
る。また、必要であれば、架橋／マーカー組成物を塗布する前または後に、マー
カー組成物を含まない架橋剤を繊維に塗布し、特定の標的材料中に比較的均一な
構造を形成することもできる。

【００８１】 真空は、架橋／マーカー組成物の細かいスプレーの約２〜３乾燥重量％を材料
の中に吸引するのに十分であった。空気乾燥後、中入れ綿の厚さの減少は非常に
僅かであり、本来の約３／４インチから約１／１６インチしか減少しなかった。

【００８２】 例１０ 例８の架橋／マーカー組成物および繊維充填中入れ綿を使用し、異なったスプ
レー技術およびパターンを使用した。繊維充填中入れ綿に、直径約２ 1/2インチ
、長さおよび幅で約６インチ間隔で個々のスプレーパターンで塗布した。スプレ
ー収容ブースを使用し、中入れ綿上に多孔質のスクリムを置く直前にスプレーを
行なった。スプレー毎に約０．０３５グラムの架橋／マーカー組成物が中入れ綿
に加えられた。加えられた量は、８ 1/2インチｘ１１インチの紙シート(「Spring
hill Incentive DP」, No. 13145)を、例９で使用した小型携帯スプレーポンプ装
置から約1/2 秒間続く単一スプレーにあてることにより測定した。架橋／マーカ
ー組成物は、例８のWizard V6 機器を使用して容易に検出された。

【００８３】 例８に記載する不織繊維充填中入れ綿の約１２インチｘ１２インチの試料の片
側に約０．７５〜約１．５オンス／平方ヤードの下記の架橋／マーカー組成物、
すなわち １）６７０nmマーカー８ml、 ２）ECCO-REZ U21架橋剤１１２ml、 ３）蒸留水１１２ml、および ４）混合物のｐＨを約８〜約８．５に調節するのに十分なトリエタノールアミ
ン をスプレーした。

【００８４】 スプレーは、滴を中入れ綿表面上に吸引するための低速空気吸引ファンを取り
付けた多孔金属スクリーンの上に支持した中入れ綿で行なった。スプレーしたば
かりの表面上に多孔質スクリムを載せ、十分な圧力をかけて確実に良く接触させ
た。この材料を空気循環で、温度約６５〜７５℃で約５分間乾燥させた。中入れ
綿を室温で約８時間放置した。スクリムが中入れ綿に軽く結合していることが分
かった。架橋／マーカー組成物は、上記のWizard V6 機器を使用して容易に検出
された。

【００８５】 本発明を現在好ましい実施態様に関して説明したが、無論、この様な開示はこ
こに記載する本発明を制限するものではない。この開示を読んだ後、本発明が関
与する分野の当業者には様々な変形および修正が可能であることは明らかである
。請求項は、その様な変形および修正はすべて本発明の精神および範囲内に入る
ものとしてカバーするものとする。例えば、特定の波長吸収性を有し、特定の種
類の材料、布地、繊維、ヤーン、または化合物相容性に対して選択的な親和力を
さらに示すことができる一連の架橋／発蛍光組成物を使用して繊維または他の材
料を処理することができる。

【００８６】 さらに、製造業者が様々な種類の繊維および／または繊維混合物を選択し、様
々な性能特徴、例えば高強度、濾過性能、疎水性または親水性、しわに対する耐
性、ドレープ、暖かさ、その他多くの特性を得ることは明らかである。これらの
繊維はアクリル、酢酸セルロース、綿、ナイロン、ポリエステル、絹、ビスコー
スレーヨン、ウール、木材パルプおよび／またはその様な繊維の混合物である。
液体輸送が重要である用途では、顕著な外観から物理的特性までの様々な必要性
に応じて、様々なデニール／フィラメントの溝付き断面、例えば「８の字形」、
「８本溝」、「Ｙ」、「丸みを付けたデルタ」、「Ｈ」、「フレアの付いたＨ」
、「三つ葉形」、等、を有する繊維も本発明により使用することができる。

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１２年９月２６日（２０００．９．２６）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【特許請求の範囲】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＡＵ，ＣＡ，Ｊ Ｐ，ＭＸ (72)発明者 マイケル、ロイ、クッシュマン アメリカ合衆国テネシー州、キングズポー ト、ウィローブルック、ドライブ、33 (72)発明者 ジェイムズ、ジョン、クルタック、シニア アメリカ合衆国テネシー州、キングズポー ト、ブース、コート、6305 Ｆターム(参考） 3B154 AA01 AA06 AB20 AB22 BA07 BA19 BB32 BB51 BD01 BD17 BD20 BE04 BF12 BF21 BF25 CA13 DA30 4H057 AA01 BA26 CA90 CB02 CC01 DA01 DA21 DA24 4J004 CB01 CD10 GA01

Claims (27)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ａ）繊維、 ｂ）約６００nmを超える吸収性を有する発蛍光化合物、および ｃ）前記繊維と結合し、前記発蛍光化合物を前記繊維に結合する架橋化合物 を含んでなることを特徴とする組成物。
2. 【請求項２】 前記繊維が天然材料を含んでなる、請求項１に記載の組成物。
3. 【請求項３】 前記天然材料が、ウール、綿、亜麻、ジュート、紙、毛皮、厚紙、およびそれ
   らの混合物からなる群から選択される、請求項２に記載の組成物。
4. 【請求項４】 前記繊維が合成材料を含んでなる、請求項１に記載の組成物。
5. 【請求項５】 前記合成材料が、ポリエステル、コポリエステル、酢酸セルロース、ポリアク
   リル、ナイロン、オレフィン、ビスコースレーヨン、ポリフェニレンスルフィド
   、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項４に記載の組成物。
6. 【請求項６】 前記ポリエステルが、配向した、および実質的に配向していないポリエステル
   からなる群から選択され、デンプン、変性デンプン、酢酸セルロース、プロピオ
   ン酸セルロース、酪酸セルロース、および酢酸デンプンを含む、請求項５に記載
   の組成物。
7. 【請求項７】 前記酢酸セルロース繊維が、溶融紡糸により製造される、請求項５に記載の組
   成物。
8. 【請求項８】 前記酢酸セルロース繊維が、溶剤紡糸により製造される、請求項５に記載の組
   成物。
9. 【請求項９】 顔料、つや消し剤、希土類材料、殺菌剤、ＵＶ遮蔽剤、ＵＶ吸収剤、消泡剤、
   界面活性剤、湿潤剤、光学ブライトナー、およびそれらの混合物からなる群から
   選択された少なくとも１種の他の材料をさらに含んでなる、請求項１に記載の組
   成物。
10. 【請求項１０】 前記近赤外発蛍光化合物が、フタロシアニン、２，３−ナフタロシアニンおよ
    びここに記載する式Ｉ、IIおよびIIに対応するスクアランからなる群から選択さ
    れる、請求項１に記載の組成物。
11. 【請求項１１】 前記架橋化合物が、ポリエステル剤、アクリル系架橋剤、変性アクリル共重合
    体エマルジョン、シリコーン系架橋材料、エポキシ組成物、架橋性ポリウレタン
    エマルジョンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項１に記載
    の組成物。
12. 【請求項１２】 約６５０nm〜約１１００nmの波長を有する照射光源に露出した時に蛍光を発す
    る繊維であって、請求項１０に記載の発蛍光化合物、および前記繊維と結合し、
    前記発蛍光化合物を前記繊維に結合する架橋化合物を含んでなることを特徴とす
    る繊維。
13. 【請求項１３】 ウール、綿、毛皮、亜麻、ジュート、紙、厚紙、ポリエステル、コポリエステ
    ル、酢酸セルロース、ポリアクリル、ナイロン、オレフィン、ビスコースレーヨ
    ン、ポリフェニレンスルフィドおよびそれらの混合物からなる群から選択される
    、請求項１２に記載の繊維。
14. 【請求項１４】 前記架橋化合物が、ポリエステル剤、アクリル系架橋剤、変性アクリル共重合
    体エマルジョン、シリコーン系架橋材料、エポキシ組成物、架橋性ポリウレタン
    エマルジョンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項１２に記
    載の組成物。
15. 【請求項１５】 前記繊維が、紙、毛皮、織物、皮革、重合体状フィルム、接着テープ、不織シ
    ートおよびそれらの混合物からなる群から選択された製品中に配合される、請求
    項１３に記載の繊維。
16. 【請求項１６】 発蛍光化合物で材料にマーキングする方法であって、材料を架橋剤および近赤
    外発蛍光化合物と接触させることを含んでなり、前記発蛍光化合物が約６５０nm
    〜約１１００nmの照射放射線を吸収することを特徴とする方法。
17. 【請求項１７】 前記発蛍光化合物および前記架橋剤が混合されて混合物を形成し、前記架橋剤
    が、乾燥および硬化の後、繊維または他の材料に対して約０．５〜約５０重量％
    の濃度を有する、請求項１６に記載の方法。
18. 【請求項１８】 前記架橋剤が、乾燥および硬化の後、繊維または他の材料に対して約１．０〜
    約２０重量％の濃度を有する、請求項１７に記載の方法。
19. 【請求項１９】 前記架橋剤が、乾燥および硬化の後、繊維または他の材料に対して約２．０〜
    約１０重量％の濃度を有する、請求項１７に記載の方法。
20. 【請求項２０】 前記材料を前記架橋化合物と接触させる前に、前記材料を非中性ｐＨ溶液と接
    触させることをさらに含んでなる、請求項１６に記載の方法。
21. 【請求項２１】 前記溶液が、約０．０１〜約１０重量％の、酢酸、クエン酸およびそれらの組
    合せから選択された酸を有する、請求項２０に記載の方法。
22. 【請求項２２】 前記溶液が、約０．１〜約４重量％の苛性物質を有する、請求項２０に記載の
    方法。
23. 【請求項２３】 前記材料を苛性物質／酸で処理して中和する工程をさらに含んでなり、前記処
    理工程が、苛性物質で物質を処理し、材料を加熱し、酸性溶液を使用して過剰の
    苛性物質を実質的に中和することを含む、請求項１６に記載の方法。
24. 【請求項２４】 発蛍光化合物を結合した材料を検出する方法であって、約６００nmを超える波
    長を有する励起照射に前記材料をさらし、前記化合物から約７００nmを超える波
    長を有する蛍光を発生させ、前記蛍光を検出することを特徴とする方法。
25. 【請求項２５】 前記蛍光に応答して前記材料を識別する工程をさらに含んでなる、請求項２４
    に記載の方法。
26. 【請求項２６】 少なくとも２種類の発蛍光化合物を前記材料と結合させる、請求項２５に記載
    の方法。
27. 【請求項２７】 前記少なくとも２種類の発蛍光化合物が前記励起放射線を明らかに異なった波
    長で吸収する、請求項２６に記載の方法。