JP2002515256A - 単純ヘルペスウイルス変異体およびその使用 - Google Patents

単純ヘルペスウイルス変異体およびその使用

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コフィン,ロバート,スチュアート
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Abstract

(57)【要約】 (i) 単純ヘルペスウイルス(HSV)の必須遺伝子中に挿入されたHSV LAT配列、および(ii) HSV株の内因性LAT領域中の欠失、を含む単純ヘルペスウイルス(HSV)。本発明のHSVは、哺乳動物の神経系の障害または損傷の治療に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、必須遺伝子中に挿入されたHSVの潜伏期関連転写物(latency associ
ated transcript: LAT)領域のエレメントおよび内因性LAT領域の対応する配列中
に欠失を含む単純ヘルペスウイルス変異体に関する。本発明はまた、遺伝子治療
および遺伝子機能のアッセイ方法における、かかる単純ヘルペスウイルス変異体
の使用にも関する。
【0002】発明の背景 単純ヘルペスウイルス(HSV)は、神経系にとって好適なベクターとしてしばし
ば提言されてきた。それは、HSVが神経栄養的であり、細胞が生存する間、神経
細胞に保持され得るからである。しかし、野生型HSVは病原性が高く、ほとんど
のウイルスベクターと同様、いくつかの方法には利用できない。HSVの病原性作
用は、ウイルスの溶解性感染の結果生じ、従って、ベクターとしてのHSVの使用
には、溶解性周期を中断させる突然変異を担持すると同時に無症状性の潜伏性感
染の確立を可能にする株の開発が必要である。
【0003】 単純ヘルペスウイルス(HSV)は、神経細胞起源および非神経細胞起源の双方の
細胞のための遺伝子送達ベクターとしてしばしば提言されてきた。HSVは、神経
系への遺伝子送達に特に適している。何故なら、HSVはこれらの細胞において、
生存期間中、潜伏状態に自然に入ることができるからである。従って、潜在的に
治療的な遺伝子の発現を潜伏期全体を通して維持することができれば、長期間の
治療効果の可能性が提供される。HSVの巨大なゲノムサイズのおかげで、そのゲ
ノム中に巨大なDNAを挿入することができ、特定の疾患の治療にとって重要な可
能性のある複数の遺伝子を発現させることができる。しかし、これらの特定の利
点を利用する前に、ウイルスの複製の防止および細胞毒性の低減の双方でウイル
スを無力化する必要があり、また、潜伏期間中に挿入された遺伝子の発現を可能
にするプロモーター系を開発する必要がある。
【0004】 HSVベクター株の製造のために、必須遺伝子および非必須遺伝子の組合せを、
該ゲノムから除去して、ウイルスを非病原性にし、かつ最小限の細胞毒性しか有
さないようにすることができる。ベクターウイルスは、2つの必須極初期遺伝子
ICP4およびICP27の一方または双方の欠失によって製造されることが多い。これ
らは、欠失した遺伝子を発現する細胞系で増殖させる必要がある。細胞毒性を低
減させるために、さらなる欠失をもたらすことができる。潜伏期間中に遺伝子発
現を可能にするウイルスの製造のためには、この期間中に継続的に遺伝子を発現
させることができるプロモーターを設計しなければならない。このことは、HSV
ベクター開発の分野において、かなりの難問であることが証明されてきた。しか
し、本発明者らおよび他の研究者らは、HSVの潜伏期関連転写物(LAT)領域のそれ
ぞれ異なるエレメントを組み込んだいくつかの異なるプロモーター系が、様々な
レベルの効率で潜伏期間中に遺伝子を発現させることを見出した。これらのLAT
プロモーター(LAP1またはLAP2、Goinsら、1994)のいずれか一方を用いて、潜伏
期間中の遺伝子発現を直接駆動することができ、またはLAT領域から誘導されるD
NA断片は、個々のプロモーターもしくはプロモーター対に長期間の活性を与える
ことができる。本明細書においてLAT P2(LAP2および他の上流配列(ヌクレオチド
118866〜120219、GenBank HE1CG))と呼ぶこのエレメントは、真のプロモーター
としてではなく、代わりのプロモーターとして作用して、その近くで置換された
異種プロモーターに長期間の活性を与えるが、これらのプロモーターは、それ自
身を用いた場合には潜伏期間中に活性を有さないということが順次示された。
【0005】発明の概要 本発明は、LATエレメントに基づくプロモーター系を組み込んだHSVの変異ゲノ
ムの安定性が、LATに基づくプロモーター構築物を、US5などのHSVゲノムの非必
須遺伝子領域(内因性LAT領域からさらに除去することができる)ではなく必須IE
遺伝子領域中に挿入したときに、劇的に減少するという本発明者らの知見に基づ
くものである。本発明は、安定的に増殖させることができるウイルス、さもなけ
れば、かかるプロモーター構築物が必須IE遺伝子中に挿入されたときに安定的に
増殖させることができるウイルスを提供する。
【0006】 本発明は、必須IE遺伝子中に挿入されたプロモーター構築物中に存在する配列
に対応する内因性LAT配列の欠失によって、得られる改変HSVゲノムの安定性の減
少を克服することを追求するものである。
【0007】 具体的には、本発明者らは、内因性LAT領域中の対応するエレメントの欠失の
ない、必須IE遺伝子(ICP4および/またはICP27)中に挿入されたLATに基づくプロ
モーターを、補完する遺伝子を発現する細胞系上でかかるウイルス変異体を増殖
させる間に相同的組換えによって再配列させることができることを見出した。こ
れは、挿入された異種遺伝子の欠失、また、ウイルス由来の他の配列の欠失をも
たらすことがよくある。しかし、ICP4および/またはICP27中に挿入されたLAT配
列に対応するエレメントを内因性LAT領域から欠失させれば、再配列は検出され
ず、かかるウイルスを安定な様式で増殖させることができる。従って、本発明は
、必須遺伝子座、好ましくは必須IE遺伝子座中にLAT領域のエレメントを含む挿
入を有し、対応するエレメントがウイルスの内因性LAT領域から欠失しているウ
イルスに関する。これらのウイルスは、安定な様式で、さもなければ、かかる安
定な増殖が可能な様式で増殖させることができる。
【0008】 従って、本発明は、 (i) 単純ヘルペスウイルス(HSV)の必須遺伝子中に挿入されたHSVのLAT配列、
および (ii) HSVの内因性LAT領域中の欠失、 を含む単純ヘルペスウイルスを提供する。
【0009】 好ましくは、この欠失は、挿入されたHSVのLAT配列中に存在する配列のうちの
少なくともいくらか、好ましくは挿入されたLAT配列中に存在する配列のうちの
少なくとも50%、より好ましくは挿入されたLAT配列中に存在する配列のうちの
少なくとも75%、最も好ましくは挿入されたLAT配列中に存在する配列のうちの
少なくとも全部、を含む。
【0010】 LAT配列が挿入された必須遺伝子は、好ましくは欠失、例えばコード領域およ
び/または必須遺伝子の内因性調節配列中の欠失を含む。必須IE遺伝子中への挿
入が好ましい。
【0011】 本発明の単純ヘルペスウイルスは、例えば、パーキンソン病、脊髄損傷もしく
は卒中、または眼、心臓もしくは骨格筋の疾患、あるいは悪性腫瘍などの神経系
の疾患または損傷の治療方法において、治療用遺伝子を送達するのに用いること
ができる。本発明は、例えば細胞の機能障害を補完する遺伝子を同定する際の、
哺乳動物細胞における遺伝子の機能を研究する方法、または野生型もしくは変異
型哺乳動物細胞における変異遺伝子の発現の効果を研究する方法にも関する。本
発明の方法は、特に疾患に関与する遺伝子の機能研究に用いることができる。
【0012】 本発明はさらに、異種遺伝子を担持する本発明のHSVを提供する。異種遺伝子
という用語は、HSVゲノム中に見出されないいずれの遺伝子をも包含すると意図
される。この異種遺伝子は、野生型遺伝子の任意の対立遺伝子変異体であっても
よく、または突然変異遺伝子であってもよい。異種遺伝子は、哺乳動物細胞、好
ましくは中枢もしくは末梢神経系の細胞、または眼、心臓もしくは骨格筋の細胞
、より好ましくは中枢もしくは末梢神経系の細胞において該異種遺伝子を発現さ
せ得る制御配列に機能しうる形で連結されるのが好ましい。従って、本発明のHS
Vを用いて、異種遺伝子を、それが発現される哺乳動物細胞に送達することがで
きる。かかるベクターは、例えば遺伝子治療またはin vitroアッセイ法における
様々な適用、あるいはHSV遺伝子調節の研究にとって有用である。
【0013】 該異種遺伝子は、細胞毒性を有するか、または前駆体プロドラッグを細胞毒性
化合物に変換し得るポリペプチドなどの治療用ポリペプチドをコードするのが好
ましい。
【0014】 本発明はさらに、ヒトおよび動物の治療において使用するための、異種遺伝子
を担持する本発明の単純ヘルペスウイルスを提供する。例えば、かかるウイルス
を、パーキンソン病、脊髄損傷もしくは卒中、または眼、心臓もしくは骨格筋の
疾患、あるいは悪性腫瘍などの神経系の疾患または損傷の治療に用いることがで
きる。
【0015】 本発明のHSVは、例えば細胞の機能障害を補完する遺伝子を同定する際の、哺
乳動物細胞における遺伝子の機能を研究する方法、または野生型もしくは変異型
哺乳動物細胞における変異遺伝子の発現の効果を研究する方法に用いることもで
きる。本発明の方法は、特に疾患に関与する遺伝子の機能研究に用いることがで
きる。
【0016】 本発明はまた、本発明の単純ヘルペスウイルスの製造方法をも提供する。その
方法は、 (i) 該ウイルスの必須遺伝子にHSVのLAT配列を挿入すること、および (ii) 該ウイルスのLAT領域の少なくとも一部を欠失させること、 を含む。
【0017】 HSVのLAT領域中の欠失は、挿入されたHSVのLAT配列中に存在する配列に対応す
る内因性配列のうちの少なくともいくらか、またはより好ましくは全部を含むの
が好ましい。
【0018】発明の説明 A. LAT配列 本明細書では、LAT配列を、HSV1 17+株由来の全配列(ヌクレオチド5,490〜9,2
14および117,159〜120,882 (GenBank HE1CG))ならびにHSV1の他の株およびHSV2
の全株に由来する相同な領域を含むものと定義する。
【0019】 本明細書では、LAT P2領域を、HSV1 17-株中のHSV1のヌクレオチド118866〜12
0219(GenBank HE1CG、PstI-BstXI部位に由来する)およびこの領域の断片もしく
は誘導体(HSV2およびHSV1の他の株の相同な領域を含む)と定義する。LAT P2領域
は、それらが連結されたプロモーターに長期間の発現能力を提供することができ
、またはそれ自身で長期間の遺伝子発現を駆動することができる。
【0020】 B. ウイルス株 本発明の単純ヘルペスウイルスは、例えば、HSV1もしくはHSV2株、またはそれ
らの誘導体、好ましくはHSV1から誘導することができる。誘導体には、HSV1およ
びHSV2株からのDNAを含有するタイプ間組換え体が含まれる。誘導体は、好まし
くはHSV1またはHSV2ゲノムのどちらかと少なくとも70%、より好ましくは少なく
とも80%、さらに好ましくは少なくとも90または95%の配列相同性を有する。本発
明のウイルスを取得するのに使用し得る他の誘導体には、ICP4および/またはIC
P27のいずれかに既に突然変異を有する株、例えば、ICP4に欠失を有するd120株
(DeLucaら、1985)が含まれる。ICP27中に欠失を有するHSV株を製造することもで
きる。例えば、Reef HardyおよびSandri-Goldin, 1994ならびにRiceおよびKnipe
, 1990がある(d27-1株)。ICP4およびICP27の双方に欠失を有する株は、US.A第5,
658,724号およびSamaniegoら、1995に記載されている(d92株)。これらの株の使
用により、本発明のHSV変異株を製造するのに必要な工程数が減少する。
【0021】 種々のHSV遺伝子を記載するのに用いられる用語は、CoffinおよびLatchman、1
996に見られるとおりである。
【0022】 C. 相補する細胞系 本発明のウイルスを、必須遺伝子を発現する細胞系で増殖する。ICP4を発現す
る細胞系の例は、E5細胞(DeLucaら、1985)またはB4細胞(実施例2を参照のこと
)、好ましくはB4細胞である。ICP27を発現する細胞系の例は、V27細胞(Riceお
よびKnipe、1990)、2‐2細胞(Smithら、1992)、またはB130/2細胞(実施例1およ
びWO98/04726を参照のこと)、好ましくはB130/2細胞である。
【0023】 必須遺伝子を発現する細胞系は、哺乳動物細胞を共トランスフェクトすること
により、例えば、Vero細胞またはBHK細胞を、1つのベクター(好ましくは、前記
細胞において発現され得る機能的なHSVの必須遺伝子を含むプラスミドベクター
)ともう1つのベクター(好ましくは例えばネオマイシン耐性などの選択可能マ
ーカーをコードするプラスミドベクター)とで共トランスフェクトすることによ
り製造することができる。その後、選択可能マーカーを有するクローンをさらに
スクリーニングして、例えば、それらが該必須遺伝子を欠損しているHSV株の増
殖を支持する能力に基づいて、当業者に公知の方法を用いて機能的な必須遺伝子
をも発現するクローンを決定する。
【0024】 特定の必須遺伝子を欠損しているHSV変異株を機能的な必須遺伝子を有する株
に転換させない細胞系を、上記のごとく作製し、機能的な必須遺伝子を含むベク
ターが変異ウイルスにおいて保持される配列と重複する(すなわち、相同な)配
列を可能な限り含まないことを確実にする。重複が全くないのが好ましい。
【0025】 D. 突然変異の方法 必須遺伝子を、当技術分野においてよく知られたいくつかの技術により、LAT
配列の挿入に先行して機能的に不活性にすることができる。例えば、それらは、
欠失、置換または挿入、好ましくは欠失により機能的に不活性にすることができ
る。欠失とは、遺伝子の一部または遺伝子全体を除去することである。例えば、
たった1個のヌクレオチドの欠失がなされても、フレームシフトを引き起こす。
しかし、より大きな欠失、例えば、全コード配列および非コード配列のうちの少
なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%(または、絶対数では、少なくとも
10ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも100ヌクレオチド、さらに好ましく
は少なくとも1000ヌクレオチド)の欠失がなされるのが好ましい。遺伝子全体お
よびそのフランキング配列のいくつかを除去するのが特に好ましい。挿入される
配列には、上記のLAT配列および下記の異種遺伝子が含まれる。
【0026】 HSVのLAT領域の一部または全部を除去するために欠失を為すこともできる。こ
れらの欠失は、下記の如く行うことができる。
【0027】 当業者によく知られた相同的組換え法により、単純ヘルペスウイルスにおける
突然変異を行う。例えば、HSVゲノムDNAを、相同なHSV配列を隣接させた変異配
列を含むベクター、好ましくはプラスミドベクターでトランスフェクトする。変
異配列は、欠失、挿入または置換を含んでもよく、その全ては日常的な技術によ
り構築することができる。挿入物には、例えば、β‐ガラクトシダーゼ活性によ
り組換えウイルスをスクリーニングするための、例えばlacZなどの選択可能マー
カーが含まれる。
【0028】 E. 異種遺伝子およびプロモーター 本発明のHSV変異株を改変して、異種遺伝子、すなわちHSVゲノム中に存在する
遺伝子以外の遺伝子を担持させることができる。用語「異種遺伝子」は、HSVゲ
ノム中に存在する遺伝子以外の任意の遺伝子を含む。異種遺伝子は、野生型遺伝
子の任意の対立遺伝子変異体でもよく、または突然変異遺伝子でもよい。用語「
遺伝子」は、少なくとも転写はされ得る核酸配列をカバーすることを意図する。
従って、mRNA、tRNAおよびrRNAをコードする配列もこの定義内に含まれる。配列
は、プロモーターに関してセンスまたはアンチセンスの向きにあってもよい。ア
ンチセンス構築物を用いて、公知の技術により細胞中の遺伝子発現を阻害するこ
とができる。mRNAをコードする配列は、場合によっては、自然に転写はされるが
翻訳はされない5'および/または3'のフランキング配列、または翻訳されるコー
ド配列に結合した5'および/または3'のフランキング配列の一部または全部を含
む。それはさらに場合によっては、例えば、転写終結シグナル、ポリアデニル化
部位および下流エンハンサーエレメントなどの転写される配列に正常に結合する
、関連転写制御配列を含む。
【0029】 例えば、HSV配列を隣接させた異種遺伝子を担持するプラスミドベクターと共
にHSV株を相同的に組換えることにより、異種遺伝子をHSVゲノム中に挿入するこ
とができる。当技術分野でよく知られたクローニング技術を用いて、HSV配列を
含む適当なプラスミドベクター中に異種遺伝子を導入することができる。該ウイ
ルスがなお増殖できるような任意の位置でHSVゲノム中に異種遺伝子を挿入する
ことができる。異種遺伝子は、必須遺伝子、好ましくはICP4またはICP27中に挿
入するのが好ましい。
【0030】 異種遺伝子の転写される配列は、哺乳動物細胞、好ましくは中枢神経系および
末梢神経系の細胞において異種遺伝子を発現させる制御配列に機能し得る形で連
結されるのが好ましい。用語「機能し得る形で連結される」とは、記載の構成要
素が意図された様式で機能することを可能にする関係において並置されているこ
とを指す。コード配列に「機能し得る形で連結された」制御配列を、コード配列
の発現が制御配列と共存できる条件下で達成されるような方法でライゲートする
【0031】 該制御配列は、異種遺伝子の発現を可能にするプロモーターおよび転写終結シ
グナルを含む。該プロモーターは、哺乳動物、好ましくはヒト細胞において機能
的なプロモーターより選択される。該プロモーターは、真核生物遺伝子のプロモ
ーター配列から誘導することができる。該プロモーターは、例えば、異種遺伝子
の発現する細胞のゲノム、好ましくは哺乳動物の中枢または末梢神経系の細胞の
ゲノムから誘導されたプロモーターであってよい。真核生物のプロモーターに関
しては、それらは遍在的な様式で機能するプロモーター(β‐アクチン、チュー
ブリンのプロモーターなど)、または組織特異的な様式で機能するプロモーター
(ピルビン酸キナーゼ遺伝子のプロモーターなど)であってもよい。また、それ
らは特異的な刺激物に応答するプロモーター、例えば、ステロイドホルモン受容
体に結合するプロモーターであってもよい。ウイルスプロモーター、例えば、モ
ロニーマウス白血病ウイルスの長い末端繰り返し配列(MMLV LTR)のプロモーター
またはHSV遺伝子のプロモーターを用いることもできる。
【0032】 HSVのLATプロモーターおよびLATプロモーター領域のエレメントを含有するプ
ロモーターが特に好ましい。何故なら、潜伏中に異種遺伝子の長期間の発現を達
成する可能性があるからである。特に、LATのP2領域から本質的になる発現カセ
ットは、それ自体はここでプロモーターとして働かず、プロモーターおよび異種
遺伝子にその順序で連結されているのが特に好ましい。
【0033】 用語「長期間の発現」は、本発明の単純ヘルペスウイルスに感染した細胞中に
おいて、単純ヘルペスウイルスが侵入して潜伏した後でさえ、異種遺伝子が発現
されることを意味するものとする。好ましくはこの期間は、少なくとも2週間、
より好ましくは感染後少なくとも1ヶ月または2ヶ月、さらに好ましくは細胞の
寿命の間である。
【0034】 該発現カセットはさらに、第2のプロモーターおよび第2の異種遺伝子を含ん
でもよく、この場合、該プロモーターおよび該異種遺伝子は、前記HSV LAT P2領
域にその順序で、かつ第1のプロモーターおよび第1の異種遺伝子と反対の向き
に機能し得る形で連結される。ここで、第2のプロモーターおよび第2の異種遺
伝子は、第1のプロモーターおよび第1の異種遺伝子と同じか、または異なる。
このように、反対の向きにある1対のプロモーター/異種遺伝子構築物は、単一
のLAT P2領域に隣接し、異種遺伝子対の長期間の発現を可能にする。異種遺伝子
対は、同じであっても異なってもよく、同じかまたは異なるプロモーターにより
駆動されてもよい。さらに、第1の異種遺伝子の産物は、適当な生理学的条件下
で第2の異種遺伝子の発現を調節しても(またはその逆でも)よい。
【0035】 当業者に公知の日常的なクローニング技術(例えば、Sambrookら、1989、Mole
cular Cloning - a laboratory manual; Cold Spring Harbor Press)を用いて
、該発現カセットを構築することができる。さらに、そのような発現カセットを
含む特定のHSV株の構築は、実施例に記載されている。
【0036】 LAT P2領域は、本明細書において、HSV1のヌクレオチド118866〜120219(GenBa
nk HE1CG: PstI-BstXI部位から)、この領域の断片または誘導体(HSV2の相同な
領域を含む)であって、それらが連結されるプロモーターに対する長期間の発現
能を提供することが可能であるものと定義される。
【0037】 また、異種遺伝子の発現レベルが細胞の寿命中に調節され得るような誘導性を
有することがプロモーターには有益であろう。誘導性とは、プロモーターを用い
て得られる発現レベルが調節され得ることを意味する。例えば、2つ以上の異種
遺伝子がHSVゲノム中に挿入される好ましい実施形態においては、あるプロモー
ターが、以前に報告されたtetリプレッサー/VP16転写アクチベーター融合タン
パク質(GossenおよびBujard、1992、Gossenら、1995)に応答し、発現を調節すべ
き異種遺伝子を駆動させるプロモーターを含む。第2のプロモーターは、tetリ
プレッサー/VP16融合タンパク質を発現させる強力なプロモーター(例えば、CMV
IEプロモーター)を含む。従って、この実施例においては、第1の異種遺伝子の
発現は、テトラサイクリンの存在または非存在に依存するだろう。
【0038】 さらに、これらのプロモーターのうち任意のものを、さらなる調節配列、例え
ば、エンハンサー配列(LAT領域のエレメントを含む)を付加することにより、
改変することができる。上記の2つ以上の異なるプロモーターからの配列エレメ
ントを含むキメラプロモーター、例えば、MMLV LTR/LAT融合プロモーター(Loken
sgardら、1994)、またはLAT領域のエレメントを含むプロモーター(上記参照。
)を用いることもできる。
【0039】 該異種遺伝子は、例えば、神経栄養増殖因子(脳由来神経栄養因子、グリア細
胞由来神経栄養因子、NGF、NT3、NT4およびNT5、GAP43など)、サイトカイン(
α‐、β‐もしくはγ‐インターフェロン、IL-1、IL-2などのインターロイキン
、腫瘍壊死因子、またはインスリン様増殖因子IもしくはIIなど)、プロテイン
キナーゼ(MAPキナーゼなど)、プロテインホスファターゼおよび上記のうちの
任意のものに対する細胞受容体を含む分裂促進増殖因子などの細胞分裂の調節に
関与するタンパク質をコードしてもよい。該異種遺伝子はまた、例えば、アミノ
酸生合成もしくは生分解(チロシンヒドロキシラーゼなど)、プリンもしくはピ
リミジン生合成もしくは生分解、および神経伝達物質の生合成もしくは生分解(
ドーパミンなど)に関与する酵素などの細胞代謝経路に関与する酵素、またはプ
ロテインキナーゼおよびプロテインホスファターゼなどの該経路の調節に関与す
るタンパク質をコードしてもよい。該異種遺伝子はまた、例えば、Brn3ファミリ
ーのメンバー(Brn3a、Brn3bおよびBrn3cなど)もしくはRbファミリー(Rbもし
くはp107など)のポケットタンパク質、膜タンパク質(ロドプシンなど)、構造
タンパク質(ジストロフィンなど)、または熱ショックタンパク質(hsp27、hsp
65、hsp70およびhsp90など)などの、転写因子またはその調節に関与するタンパ
ク質をコードしてもよい。
【0040】 好ましくは、該異種遺伝子は、治療に使用し得るポリペプチド、または、その
機能もしくは機能の欠損が疾患のプロセスに重要であるポリペプチドをコードす
る。例えば、上記のタンパク質のうち、チロシンヒドロキシラーゼはパーキンソ
ン病の治療に用いることができ、ロドプシンは眼の障害の治療に用いることがで
き、ジストロフィンは筋ジストロフィーの治療に用いることができ、そして熱シ
ョックタンパク質は虚血性ストレスに関連する心臓および脳の障害の治療に用い
ることができる。また治療に使用し得るポリペプチドには、リシンなどの細胞毒
性ポリペプチド、または、例えば、ウイルス標的酵素プロドラッグ療法もしくは
遺伝子標的酵素プロドラッグ療法などにおける使用のために前駆体プロドラッグ
を細胞毒性化合物に変換させることができる酵素が含まれ得る。後者の場合、酵
素が、酵素自体を細胞表面に誘導するための適当なシグナル配列を確実に有する
ことが望ましい。好ましくは、シグナル配列は、該酵素が細胞表面の外側に曝露
されるが、細胞膜にアンカーされたままにすることを可能にするものである。適
当な酵素としては、WO93/08288に開示された大腸菌ニトロレダクターゼなどの細
菌のニトロレダクターゼ、またはカルボキシペプチダーゼ、特にWO88/07378に開
示されたカルボキシペプチダーゼCPG2などが挙げられる。他の酵素は、EP-A-415
731の参照により見出される。適当なプロドラッグとしては、ナイトロジェンマ
スタードプロドラッグならびにWO88/07378、WO89/10140、WO90/02729およびWO93
/08288(参照により本明細書に組み入れる)に記載されたものなどの他の化合物
が挙げられる。
【0041】 異種遺伝子はまた、ワクチンとして使用するための抗原性ポリペプチドをコー
ドしてもよい。好ましくは、そのような抗原性ポリペプチドは、病原性生物(細
菌もしくはウイルスなど)、または腫瘍から誘導される。
【0042】 異種遺伝子はまた、マーカー遺伝子(例えば、β‐ガラクトシダーゼもしくは
グリーン蛍光タンパク質をコードする遺伝子)、または遺伝子産物が他の遺伝子
の発現を調節する遺伝子(例えば、上記のtetリプレッサー/VP16転写アクチベ
ーター融合タンパク質などの転写調節因子)を含んでもよい。
【0043】 遺伝子療法および他の治療の用途には、複数の遺伝子の投与がおそらく必要で
あろう。複数の遺伝子の発現は、例えば複数の神経栄養因子を用いた様々な症状
の治療に有益であろう。HSVは、他のウイルスベクター系の限定されたパッケー
ジング能力を有さないので、非常に適している。従って、複数の異種遺伝子をそ
のゲノム内に収容できる。例えば、これを達成するためには少なくとも2つの方
法がある。例えば、2つ以上の異種遺伝子および関連制御配列を、特定のHSV株に
導入することができる。また、中心に位置するLAT P2エレメントから逆向きに向
かうプロモーター対(同じかまたは異なるプロモーター)を使用することもでき
る。これらのプロモーターは各々、上記のごとく異種遺伝子(同じかまたは異な
る異種遺伝子)を発現させる。
【0044】 F. 投与 本発明の単純ヘルペスウイルス変異体を用いて、治療を要するヒトまたは動物
に治療用の遺伝子を送達することができる。本発明の単純ヘルペスウイルス変異
体を用いた治療用の遺伝子の送達を用いて、例えば、パーキンソン病、神経系の
障害、脊髄損傷、脊髄卒中またはグリオーマなどの悪性腫瘍を治療することがで
きるであろう。
【0045】 投与される遺伝子療法の1つの方法は、上記のごとく、本発明の単純ヘルペス
ウイルス変異体のゲノムに治療用の遺伝子を挿入すること、次いで、得られた組
換えウイルスと製薬上許容される担体または希釈剤とを組み合わせて医薬組成物
を製造することを含む。適当な担体および希釈剤としては、等張性生理食塩水、
例えばリン酸緩衝生理食塩水などが挙げられる。非経口、筋肉内、静脈内、皮下
、眼球内、または経皮投与のために該組成物を製剤化することができる。
【0046】 遺伝子療法のための治療用の遺伝子を含有する変異ウイルスが、適切な領域で
細胞中に取り込まれるような方法で、該医薬組成物を投与する。例えば、遺伝子
療法の標的が中枢神経系または末梢神経系である場合、シナプス末端が位置する
領域に該組成物を投与することができる。典型的には、定位固定接種により該医
薬組成物を脳に投与する。該医薬組成物を眼に投与する場合、典型的には、網膜
下注入が用いられる技術である。
【0047】 投与するウイルス量は、104〜1010pfu、好ましくは105〜108pfu、より好まし
くは約106〜107pfuの範囲である。注入するとき、典型的には製薬上許容される
適当な担体または希釈剤中の1〜10μlのウイルスを投与する。
【0048】 記載された投与経路および用量は、単なる指標にすぎない。何故なら、通常の
知識を有する専門家ならば、特定の患者および症状のための最適な投与経路およ
び用量を容易に決定し得るからである。
【0049】 G. アッセイ法 本発明の単純ヘルペスウイルス変異体はまた、科学的研究の方法にも用いるこ
とができる。従って、本発明のさらなる態様は、in vitroまたはin vivoにおい
て哺乳動物細胞における遺伝子の機能をアッセイする方法に関する。異種遺伝子
の機能は、 (a)前記異種遺伝子を本発明の単純ヘルペスウイルス変異体に導入すること、 (b)得られるウイルスを哺乳動物細胞系に導入すること、および (c)前記哺乳動物細胞系における前記異種遺伝子の発現効果を測定すること、 を含む方法により決定することができる。
【0050】 例えば、該細胞系は細胞分裂において温度感受性の欠陥を有する場合もある。
本発明による異種遺伝子を含むHSV株を該欠陥を有する細胞系に導入し、該細胞
系を制限的な温度で増殖した場合、当業者は、該異種遺伝子が細胞分裂における
該欠陥を相補できるかどうかを容易に決定することができるであろう。同様に、
他の公知の技術を適用して、該異種遺伝子の発現が哺乳動物細胞系における観察
可能な変異表現型を修正できるかどうかを決定することができる。
【0051】 この方法を用いて、異種遺伝子の体系的な突然変異誘発を実施し、該遺伝子に
よりコードされるタンパク質のどの領域が変異表現型の修復に関与しているかを
確認することもできる。
【0052】 この方法はまた、いわゆる「遺伝子ノックアウト」を担持する、マウスなどの
動物に用いることもできる。野生型の異種遺伝子を、本発明のHSV変異株を用い
て該動物に導入し、当業界で公知の種々の行動学的、組織化学的または生化学的
アッセイを用いて、該動物に対する効果を決定することができる。あるいは、変
異異種遺伝子を、野生型または「遺伝子ノックアウト」の動物に導入して、疾患
関連性病状が誘導されるかどうかを決定することができる。この例としては、プ
リオンをコードする遺伝子を用いて、クロイツフェルト‐ヤコブ病およびげっ歯
類の中枢神経系における他のプリオン型疾患を誘導することが挙げられる。他の
疾患モデルとしては、アルツハイマー病、運動ニューロン病またはパーキンソン
病に関するモデルが挙げられる。
【0053】 HSVゲノムの大きな容量により、少なくとも2つの異なる異種遺伝子を1個の
細胞に導入することが可能であるため、2つ以上の遺伝子産物間の相互作用につ
いて研究することも可能である。
【0054】 従って、本発明の方法は、特に疾患に関与する遺伝子の機能的研究に用いるこ
とができる。
【0055】 本発明は、以下の実施例を参照して説明されるが、単なる例示を意図するもの
であって、本発明を限定するものではない。
【0056】実施例 参考実施例1−ICP4を補完する細胞系(B4)の調製 ICP4を欠失したウイルスの増殖を可能にする補完細胞系(B4)を、プラスミドpI
CP4のDNAとネオマイシン耐性をコードするプラスミドpMamNeo(Invitrogen)とをB
HK細胞中に共トランスフェクトすることにより作製し、ネオマイシン耐性クロー
ンを選別した。プラスミドpICP4は、HSV1ゲノム由来のDdeI-SphI断片(ヌクレオ
チド126,764〜131,730)を含む。ICP4コード領域およびプロモーターを含むこの
断片を、pSP72(Promega)のEcoRVとSphI部位の間にクローニングした。
【0057】 HSV1のICP4欠失変異体の増殖に高度に許容性のクローン(B4)を、ウイルス増殖
に関して選別した。
【0058】参考実施例2−ICP27を補完する細胞系(B130/2)の調製 ICP27を欠失したウイルスの増殖を可能にし、補完配列と上記のICP27を欠失し
たウイルスとの間に重複を有さない(従って、ウイルス増殖の間に相同的組換え
によりICP27の修復を妨げる)補完細胞系(B130/2)を、プラスミドpSG130BS(Sekul
ovichら、1988)のDNAとネオマイシン耐性をコードするプラスミドpMamNeo(Invit
rogen)とをBHK細胞中に共トランスフェクトすることにより作製し、ネオマイシ
ン耐性クローンを選別した。HSV1のICP27欠失変異体の増殖に高度に許容性のク
ローン(B130/2)を、ウイルス増殖に関して選別した。PSG130BSは、完全なICP27
コード配列およびUL55の一部をコードするHSV1由来のBamHI/SacI断片(ヌクレオ
チド113322〜115743)を担持する。
【0059】実施例1−ICP27を欠失するが、内因性LAT領域中には欠失を有さないようにLAT
配列を含むプロモーターを挿入したHSV株は、安定的に増殖することができない
(a) 互いに逆向きのRSV/lacZ/pA配列およびCMV/GFP/pA配列からなり、HSVのLAT
領域の配列(ヌクレオチド118,866〜120,219)によって分断されたプラスミドpR20
.5由来のカセットを、標準的な技法により、精製したHSV1 17+株のゲノムDNAを
用いる相同的組換えによって、ICP27遺伝子座に挿入した。このpR20.5カセット
は、まずICP27フランキング配列を含むプラスミド(pΔ27)中に双方向に挿入され
たものであり、隣接した内因性LAT領域中にLAT配列と同じか、または逆の向きに
HSVのLAT配列を有する2つのウイルスを産生させる。これらのウイルスはICP27
遺伝子全体を欠失している。SrfIをコードするオリゴヌクレオチドを該pR20.5カ
セットの片側に挿入したので、このカセットを、SrfIを用いてそのpGEM5(Promeg
a)プラスミド骨格から切り出すことができる。プラスミドpR20.5の構築のために
は、RSVプロモーターをpRc/RSV(Invitrogen)から、lacZ/pAをpCH110(Pharmacia)
から、CMV/pAをpcDNA3(Invitrogen)から、およびGFPをpEGFP-N1(Clontech)から
それぞれ切り出した。まず、ICP27遺伝子を含むHSV1の制限断片EcoRI B(ヌクレ
オチド110095〜131534)由来のEcoRI-NotI断片を、pGEM5(Promega)中にサブクロ
ーニングし、次にMluIを用いた消化および再ライゲーションによりMluI断片をコ
ードするICP27(UL54)、UL55およびUL56を欠失させることによって、pΔ27を構築
した。次にpR20.5カセットを、このユニークなMluI部位に挿入した。
【0060】 蛍光顕微鏡下で緑のGFPを発現するプラークの選別によってウイルスをプラー
ク精製し、B130/2細胞(上記の参考実施例2に記載)を用いて保存液を調製した。
得られるウイルス保存液(17+/pR20.5/27および17+/pR20/27rev)は、ICP27の欠失
を補完しないBHK細胞にウイルス産生的な感染をもたらすことができなかった。
【0061】 ウイルスの保存液は、1個のプラークを6ウェルプレートの1個のウェルに接
種し、この保存液を回収し、新しい6ウェルプレートに接種することにより調製
したものである。次に、これらのプレートから得た保存液の力価を、B130/2細胞
上で測定した。各手順の後、緑のプラーク数(蛍光顕微鏡下で)、青のプラーク数
(lacZの検出のためのX-gal染色の後)、および白のプラーク数を計数した。17+/p
R20.5/27に関しては、GFP遺伝子が、挿入されたLAT配列と内因性LAT領域の間に
あり、17+/pR20/27revに関しては、lacZ遺伝子が、挿入されたLAT配列と内因性L
AT配列の間にある。
【0062】結果 ウイルス保存液を増殖させ、力価を測定すると、全てのプラークがGFPおよびl
acZ遺伝子の双方を発現するわけではないことが判明した。17-/pR20.5/27の場合
、全てのプラークがlacZを発現したが、約2%のプラークがGFPを発現しなかっ
たことが判明した。このことにより、挿入されたLAT配列と内因性LAT配列の間の
相同的組換えが同じ向きで起こり、ウイルスの増殖中に比較的低レベルでGFPを
含む介在配列が欠失したことが示唆された。17+/pR20/27revの場合は、挿入され
たLAT配列および隣接の内因性LAT配列は互いに逆向きにあり、大部分のプラーク
は依然としてlacZおよびGFPの双方を発現していた。しかし、約1%のプラーク
はlacZもしくはGFPのどちらか、または挿入された遺伝子の双方を発現していな
かった。このことは、互いに逆向きにある場合、挿入されたLAT配列と内因性LAT
配列との間にはより複雑な組換え機構が存在し、一方もしくは他方またはより稀
には双方の挿入された遺伝子の欠失をもたらし得ることを示唆している。
【0063】 (b) 約700bpのプラスミドスペーサー配列(pGEM3zf由来のNdeI-SmaI、Promega)の
後のpCH100(Pharmacia)由来のlacZ/pA配列によって分断された、LAT配列(DdeI-D
deI:ヌクレオチド118,180〜118,768)の後のpJ4(MorgensternおよびLand、1990)
由来のMMLVのLTRプロモーターからなるカセットを、上記の(a)の如くpΔ27中に
挿入した。このプラスミドをpR18/27と呼ぶ。ここで、LAT配列は隣接する内因性
LAT領域で同じ向きにある。ウイルスを構築(17+/pR18/27)し、保存液をB130/2細
胞を用いて上記の(a)の如く増殖させ、X-gal染色によりlacZの発現について選別
した。保存液の力価を再び測定し、X-gal染色後、青および白のICP27を欠失した
プラーク数を計数した。
【0064】結果 記載のとおり2回の連続継代を行ったところ、得られたプラークの約3%がla
cZを発現しなかった。このことは、挿入されたLAT領域と内因性LAT領域との間の
相同的組換えが、lacZ遺伝子などの介在配列の欠失をもたらしたことを示唆して
いる。
【0065】実施例2−ICP4を欠失するが、内因性LAT領域中には欠失を有さないようにLAT配
列を含むプロモーターを挿入したHSV株は、安定的に増殖することができない。 pR20.5カセットをICP4フランキング領域(プラスミドpΔ4)中に挿入してプラス
ミドpR20.5/4を作製し、精製したHSV1 17+株のゲノムDNAをB4細胞(参考実施例1
に記載の如く製造したもの)中に導入すると同時に相同組換えを起こすことによ
り、ICP4の欠失が起こるのと同時にHSV1のICP4遺伝子座中にpR20.5カセットを挿
入した。pΔ4は、pSP72(Promega)から誘導されたXbaIおよびSalI部位によって分
断されたpSP72中のICP4フランキング配列(ヌクレオチド123,459〜126,774(Sau3a
-Sau3a)およびヌクレオチド131,730〜134,792(SphI-KpnI)からなるものであった
。pICP4は、pSP72のEcoRVおよびSphI部位間にクローニングされたHSV1に由来す
るDdeI-SphI断片(ヌクレオチド126,764〜131,730)を含む。得られたウイルス(17
+/pR20.5/4)は、ICP4における欠失を補完しないBHK細胞上で増殖することができ
なかった。
【0066】 先述のように、ウイルスの保存液を、1個のプラークを6ウェルプレートの1
個のウェルに接種し、この保存液を回収し、新しい6ウェルプレートに接種する
ことにより調製した。次に、これらの保存液を用いて175cm2のフラスコに接種し
た。次いで、プレートおよびフラスコの双方から得た保存液の力価を、B4細胞上
で測定した。各手順の後、緑のプラーク数(蛍光顕微鏡下で)、青のプラーク数(l
acZの検出のためのX-gal染色の後)、および白のプラーク数を計数した。17+/pR2
0.5/4においては、挿入部位(ICP4)は、逆向きにある内因性LAT配列および挿入さ
れたLAT配列が、GFP遺伝子ならびにICP0、RL1およびORFPのコード配列ならびに
あまり特徴付けられていない他のコード配列によって互いに分断されていること
を意味する。内因性LAT配列と挿入されたLAT配列間の相同組換えによる、ICP0(
恐らくRL1、ORFPまたは他の配列ではない)の欠失は、IE1含有ウイルスと比較し
て有意に減少した増殖特性を有するウイルスをもたらすと考えられる。
【0067】結果 6ウェルプレートから調製したウイルス保存液の力価によると、lacZまたはGF
P遺伝子の検出可能な欠失は認められなかった。しかし、3回連続継代した保存
液の力価を大きいフラスコから測定した場合は、力価を測定した保存液を高いMO
I感染を用いて作製しなかった時でも、一方もしくは他方または双方の遺伝子を
発現しなかったプラークを少数検出することができた。従って、約0.5%のプラ
ークが、GFPまたはlacZ遺伝子のどちらかを発現しなかったことになり、約0.1%
のプラークが、両方(either)の遺伝子を発現しなかったことになる。ICP4の双
方のコピー中の挿入されたLAT配列と、ゲノムの長い反復領域に存在する内因性L
AT配列の一方もしくは他方または双方のコピーとの間の相同的組換えは、一方も
しくは他方または双方の挿入されたマーカー遺伝子を欠失させることができる組
換え機構を生じさせると結論付けることができる。
【0068】実施例3−US5中にLAT配列を含むプロモーターを挿入したHSV株は、安定的に増
殖させることができる。 pR20.5カセットをUS5フランキング領域(プラスミドpΔUS5)中に挿入してプラ
スミドpR20.5/US5を作製し、その後、精製したHSV1 17+株のゲノムDNAをBHK細胞
に導入すると同時に相同的組換えを起こしてウイルス17+/pR20.5/US5株を得るこ
とにより、pR20.5カセットをHSV1のUS5遺伝子座に挿入した。プラスミドpΔUS5
は、US5コード領域を含むHSV1由来のBamHI-EcoNI断片(ヌクレオチド136,289〜13
1,328)を、プラスミドpAT153中にクローニングすることにより調製したものであ
る。pR20.5を、US5遺伝子中のヌクレオチド137,945にあるユニークなSacI部位に
挿入した。17+/pR20.5/US5においては、必須遺伝子は欠失していないので、欠失
を補完する細胞は必要ではない。
【0069】 先述のように、プラーク精製後、ウイルスの保存液を、1個のプラークを6ウ
ェルプレートの1個のウェルに接種し、この保存液を回収し、新しい6ウェルプ
レートに接種することにより調製した。連続継代を5回行った後、175cm2フラス
コに接種した。プレートおよびフラスコの双方から得た保存液の力価を、BHK細
胞上で測定し、緑、青および白のプラーク数を計数した。
【0070】結果 各事例において、6ウェルプレートまたは175cm2フラスコのどちらかから測定
したウイルス力価によると、連続継代後でさえ、lacZまたはGFP遺伝子の検出可
能な欠失は認められなかった。
【0071】実施例1〜3から得られる結論 HSVのICP27またはICP4遺伝子座のどちらかへのLAT配列の挿入は、不安定なHSV
ゲノムをもたらす。何故なら、HSVゲノムは、たとえ介在配列の欠失がバックグ
ラウンドウイルスと比較して増殖に不利益があるウイルスをもたらすと考えられ
るとしても、内因性LAT配列と挿入されたLAT配列間の相同的組換えによって再配
列され得るからである。一方、US5遺伝子座へのLAT配列の挿入は、ICP27またはI
CP4よりも内因性LAT配列からさらに除去されるHSVゲノム中の位置にあり、安定
的な増殖が妨げられるウイルスをもたらさない。
【0072】実施例4−ゲノム中の他の位置に挿入された配列に対応するLAT領域由来の配列
が欠失しているHSV株は、安定な様式で増殖することができる。 (a) pR20.5カセットのLAT配列に対応するLAT配列が、さらなる配列を挿入する前
に双方の内因性LAT領域から欠失されているウイルスを構築した。このウイルス(
17+/p2-)は、CMV/lacZカセットをLAT領域の2つのBstXI部位(ヌクレオチド120,2
17および120,406の位置で切断するBstXI部位)の間に挿入し、プラスミドpR19lac
ZとHSV1 17+株のゲノムDNAとの相同的組換えによってlacZを発現するプラークを
選別することにより構築したものである。次いで、CMV/lacZカセットとLAT配列(
ヌクレオチド118,769〜120,469)とを、必要な配列を欠失するようにフランキン
グ領域を含む第2のプラスミド(pΔP2)を用いる相同的組換えによって欠失させ
、白の(X-gal染色後)lacZを発現しないプラークを選別した。pR19lacZを、CMV/l
acZ/polyAカセットをpNot3.5のBstXI部位間に挿入することにより構築した。pNo
t3.5は、pGem5(Promega)のNotI部位にクローニングされたLAT領域(ヌクレオチド
118,439〜122,025)由来の3.5 kbのNotI断片からなるものである。pΔP2は、LAT
領域由来のDdeI断片(ヌクレオチド118,180〜118,768)、その後に続く、pGEM5中
にクローニングされ、SacI、KpnIおよびAvaIポリリンカーに由来する部位によっ
て分断されたHpaI‐NotI断片(ヌクレオチド120,470〜122,025)からなるものであ
る。17+/p2-をサザンブロッティングにより調べ、ゲノムの長い反復領域に由来
するLAT配列の双方のコピーの欠失を確認した。次いで、実施例2のプラスミドp
R20.5/27を用いて、pR20.5カセットをICP27遺伝子座に挿入した。得られたウイ
ルス(17+/P2-/pR20.5/27)は、ICP27における欠失を補完しないBHK細胞上で増殖
することができなかった。
【0073】 再び、ウイルスの保存液を、1個のプラークを6ウェルプレートの1個のウェ
ルに接種し、この保存液を回収し、新しい6ウェルプレートに接種することによ
り調製した。これらの保存液を用いて175 cm2フラスコに接種し、次いで双方か
らの保存液の力価をB130/2細胞上で測定した。各手順の後、緑のプラーク数(蛍
光顕微鏡下で)、青のプラーク数(lacZの検出のためのX-gal染色の後)、および白
のプラーク数を再び計数した。
【0074】結果 ウイルス保存液を増殖させ、力価を測定すると、どちらかのウイルス保存液の
力価を測定したとき、全てのプラークがlacZ遺伝子を発現したことが判明した。
このことにより、挿入されたLAT配列と内因性LAT配列との間の相同的組換えがも
はや起こり得ず、従ってウイルスを安定的に増殖させることができることが示唆
された。
【0075】 (b) また、実施例2の如く、プラスミドpR20.5/4を用いて、pR20.5カセットを17
+/p2-のICP4遺伝子座に挿入した。得られたウイルス(17+/P2-/pR20.5/4)は、ICP
4における欠失を補完しないBHK細胞上で増殖することができなかった。
【0076】 先述のように、ウイルスの保存液を、1個のプラークを6ウェルプレートの1
個のウェルに接種し、この保存液を回収し、新しい6ウェルプレートに接種する
ことにより調製した。連続継代を5回行った後、175cm2フラスコに接種した。プ
レートおよびフラスコの双方から得た保存液の力価を、先述のようにB4/27/4細
胞上で測定し、緑、青および白のプラーク数を計数した。
【0077】結果 最初の6ウェルプレートから調製したウイルス保存液の力価によると、lacZま
たはGFP遺伝子の検出可能な欠失は認められなかった。保存液をさらに5回連続継
代した後、大きいフラスコに接種して力価を測定した場合、GFPおよびlacZの双
方を発現したプラークのみを検出することができたが、一方もしくは他方のみを
発現したか、またはどちらの遺伝子も発現しなかったプラークは観察されなかっ
た。このことにより、pR20.5中に挿入された配列に対応する内因性LAT配列を先
に欠失させることによって、最初に内因性LAT配列を欠失させないウイルスより
も安定性の高いウイルスが提供され、従ってウイルスを安定的に増殖させること
ができることが示唆された。
【0078】引用文献 Coffin RS, Latchman DS. Herpes simplex virus-based vectors.「単純ヘルペ
スウイルスに基づくベクター」、Latchman DS(編)、Genetic manipulation of t
he nervous system、Academic Press:London, 1996, pp 99-114. Morgenstern JPおよびLand H. A series of mammalian expression vectors and
characterisation of their expression of a reporter gene in stably and t
ransiently transfected cells.「一連の哺乳動物発現ベクターおよび安定かつ
一過性にトランスフェクトされた細胞におけるそれらのリポーター遺伝子の発現
の特徴付け」、NAR 1990.;18:1068. Reef Hardy, WおよびSandri-Goldin RM. Herpes simplex virus inhibits host
cell splicing and regulatory protein ICP27 is required for this effect.
「単純ヘルペスウイルスは宿主細胞のスプライシングを阻害し、また調節タンパ
ク質ICP27がこの作用に必要である」、J. Virol 1994;68:7790-7799. DeLuca NAら、J. Virol. 1985;56:558-570. Sekulovich REら、1988、J. Virol.64; 3916-3926. Lokensgard JRら、J. Virol. 1994;68:7148-7158.
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A61K 35/76 C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 ラッチマン,デイビッド,セイムール イギリス国 ダブリュ1ピー 6ディーピ ー ロンドン クリーブランド ストリー ト 46,ザ ウィンデイヤー ビルディン グ,デプト オブ モレキュラー パソロ ジー,ディビジョン オブ パソロジー, ユーシーエル メディカル スクール

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のものを含む単純ヘルペスウイルス(HSV): (i) HSVの必須遺伝子中に挿入されたHSVのLAT配列、および (ii) HSVの内因性LAT領域中の欠失。
  2. 【請求項2】 前記必須遺伝子が必須極初期(IE)遺伝子である、請求項1に
    記載のウイルス。
  3. 【請求項3】 前記必須IE遺伝子がICP27である、請求項2に記載のウイル
    ス。
  4. 【請求項4】 前記必須IE遺伝子がICP4である、請求項2に記載のウイルス
  5. 【請求項5】 前記欠失が、挿入されたHSVのLAT配列に存在する配列のうち
    の少なくともいくらかを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のウイルス。
  6. 【請求項6】 前記欠失が、挿入されたLAT配列に存在する配列のうちの少
    なくとも50%を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のウイルス。
  7. 【請求項7】 前記欠失が、挿入されたLAT配列に存在する配列のうちの少
    なくとも75%を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のウイルス。
  8. 【請求項8】 前記欠失が、挿入されたLAT配列に存在する配列のうちの少
    なくとも全部を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のウイルス。
  9. 【請求項9】 前記LAT配列が、HSV1 17+株(GenBank HE1CG)のヌクレオチ
    ド118866〜120219および/またはヌクレオチド117159〜118865、あるいは別のHS
    V株の相同な配列からなることを必須とする、請求項1〜8のいずれか1項に記
    載のウイルス。
  10. 【請求項10】 前記必須遺伝子が欠失を含む、請求項1〜9のいずれか1
    項に記載のウイルス。
  11. 【請求項11】 HSV1株、HSV2株、またはそれらの誘導体より選択される、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載のウイルス。
  12. 【請求項12】 HSV1株である、請求項11に記載のウイルス。
  13. 【請求項13】 少なくとも1つの異種遺伝子を担持する、請求項1〜12
    のいずれか1項に記載のウイルス。
  14. 【請求項14】 前記異種遺伝子が、挿入されたHSVのLAT配列に機能しうる
    形で連結される、請求項13に記載のウイルス。
  15. 【請求項15】 前記異種遺伝子が、哺乳動物細胞において前記異種遺伝子
    を発現させ得る制御配列に機能しうる形で連結される、請求項13または14に
    記載のウイルス。
  16. 【請求項16】 前記哺乳動物細胞が、哺乳動物の中枢神経系または末梢神
    経系の細胞である、請求項15に記載のウイルス。
  17. 【請求項17】 前記哺乳動物細胞が、哺乳動物の眼、心臓または骨格筋の
    細胞である、請求項15に記載のウイルス。
  18. 【請求項18】 前記異種遺伝子が、治療用のポリペプチドをコードする、
    請求項13〜17のいずれか1項に記載のウイルス。
  19. 【請求項19】 前記遺伝子が、細胞毒性を有するポリペプチドをコードす
    る、請求項18に記載のウイルス。
  20. 【請求項20】 前記遺伝子が、前駆体プロドラッグを細胞毒性化合物に変
    換し得るポリペプチドをコードする、請求項18に記載のウイルス。
  21. 【請求項21】 前記異種遺伝子が、細胞分裂の調節に関与するタンパク質
    、代謝経路に関与する酵素、転写因子、および熱ショックタンパク質をコードす
    る遺伝子より選択される、請求項15〜18のいずれか1項に記載のウイルス。
  22. 【請求項22】 前記異種遺伝子を哺乳動物細胞に送達するのに用いるため
    の、請求項13〜21のいずれか1項に記載のウイルス。
  23. 【請求項23】 ヒトまたは動物の身体の治療方法に用いるための、請求項
    13〜22のいずれか1項に記載のウイルス。
  24. 【請求項24】 哺乳動物の神経系の障害または損傷の治療に用いるための
    、請求項23に記載のウイルス。
  25. 【請求項25】 ヒトまたは動物の身体の治療に用いるための薬剤の製造に
    おける、請求項13〜22のいずれか1項に記載の単純ヘルペスウイルスの使用
  26. 【請求項26】 哺乳動物の神経系の障害または損傷の治療における、請求
    項25に記載の単純ヘルペスウイルスの使用。
  27. 【請求項27】 請求項13〜22のいずれか1項に記載のHSV株と、製薬
    上許容される担体または希釈剤とを共に含む医薬組成物。
  28. 【請求項28】 哺乳動物細胞において異種遺伝子の機能を研究する方法で
    あって、 (a) 前記異種遺伝子を、請求項1〜12のいずれか1項に記載の単純ヘルペス
    ウイルスに導入すること、 (b) 得られる単純ヘルペスウイルスを、前記哺乳動物細胞に導入すること、お
    よび (c) 前記哺乳動物細胞における前記異種遺伝子の発現の効果を測定すること、
    を含む前記方法。
  29. 【請求項29】 前記異種遺伝子が、疾患を引き起こす上で関与する野生型
    または変異型遺伝子である、請求項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記哺乳動物細胞が機能障害を有し、前記異種遺伝子が野
    生型であり、そして前記異種遺伝子の発現の効果が細胞機能に関するアッセイに
    よって測定される、請求項28または29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記哺乳動物細胞が、突然変異によって不活性化された1
    つ以上の内因性遺伝子を有する、請求項28または29に記載の方法。
  32. 【請求項32】 請求項1に記載の単純ヘルペスウイルスの製造方法であっ
    て、 (i) HSVのLAT配列を、該ウイルスの必須IE遺伝子中に挿入すること、および (ii) 該ウイルスのLAT領域の少なくとも一部を欠失させること、 を含む前記方法。
  33. 【請求項33】 請求項10〜19のいずれか1項に記載のウイルスの有効
    量を、治療を必要とする被験体に投与することを含む、哺乳動物の神経系の障害
    または損傷の治療方法。
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